(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】光電変換装置、撮像装置、機器及び光電変換装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/60 20230101AFI20231215BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20231215BHJP
【FI】
H04N25/60
H04N25/76
(21)【出願番号】P 2021129213
(22)【出願日】2021-08-05
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大下内 和樹
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-092595(JP,A)
【文献】特開2017-069724(JP,A)
【文献】特開2018-019268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/60
H04N 25/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光電変換部と、第2光電変換部と、電荷電圧変換部と、前記第1光電変換部と前記電荷電圧変換部との間に設けられた第1転送トランジスタと、前記第2光電変換部と前記電荷電圧変換部との間に設けられた第2転送トランジスタと、前記電荷電圧変換部と電源電圧端子との間に設けられたリセットトランジスタと
、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とに入射光を集光するマイクロレンズと、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を出力する出力部と、をそれぞれが含む複数の画素
と、駆動部と、を備える光電変換装置であって、
前記駆動部が、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオフの状態とする第一リセット動作と、前記第一リセット動作後に前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオンし、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力する第一読み出し動作と、を含む第一動作と、
前記駆動部が、前記リセットトランジスタと前記第1転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ及び前記第1転送トランジスタをともにオフの状態とする第二リセット動作と、前記駆動部が前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオフの状態とする第三リセット動作と、前記第三リセット動作後に前記第1転送トランジスタをオンし前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力し、前記電荷電圧変換部が電荷を保持した状態で前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオンし、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力する第二読み出し動作と、を含む第二動作とを行う光電変換装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記リセットトランジスタをオンするときは、前記リセットトランジスタの制御ノードに第1リセット電位を供給し、前記リセットトランジスタをオフするときは、前記リセットトランジスタの前記制御ノードに第2リセット電位又は第3リセット電位を供給するように構成されており、
前記第1リセット電位は前記第2リセット電位よりも高電位であり、前記第3リセット電位は前記第2リセット電位よりも低電位であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記第一読み出し動作及び前記第二読み出し動作をするときに、前記第3リセット電位を前記制御ノードへ供給することを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2リセット電位は前記第1リセット電位と前記第3リセット電位との中間電位であることを特徴とする請求項2又は3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第一動作と前記第二動作とは水平同期信号に同期してそれぞれ繰り返し行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第一リセット動作と前記第一読み出し動作とはそれぞれ1水平同期信号期間の間に行われ、前記第二リセット動作及び前記第三リセット動作と前記第二読み出し動作とはそれぞれ2水平同期信号期間の間に行われることを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第一リセット動作において前記第1転送トランジスタと前記第2転送トランジスタとをオフにしてから、
次に前記第1転送トランジスタおよび前記第2転送トランジスタがオンする期間を含む前記第
一読み出し動作において前記第1転送トランジスタと前記第2転送トランジスタとをオフにするまでの期間は4水平同期信号期間であることを特徴とする請求項5又は6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号を処理する処理部と、を有する撮像装置。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える機器であって、
前記光電変換装置に対応した光学装置、
前記光電変換装置を制御する制御装置、
前記光電変換装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置、
前記光電変換装置で得られた情報を記憶する記憶装置、および、
前記光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置、の少なくともいずれかを備えることを特徴とする機器。
【請求項10】
第1光電変換部と、第2光電変換部と、電荷電圧変換部と、前記第1光電変換部と前記電荷電圧変換部との間に設けられた第1転送トランジスタと、前記第2光電変換部と前記電荷電圧変換部との間に設けられた第2転送トランジスタと、前記電荷電圧変換部と電源電圧端子との間に設けられたリセットトランジスタと
、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とに入射光を集光するマイクロレンズと、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を出力する出力部と、をそれぞれが含む複数の画素
と、駆動部と、を備える光電変換装置を駆動する方法であって、
前記駆動部が、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオフの状態とすることと、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオンし、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力することと、を含む第一駆動方法と、
前記駆動部が、前記リセットトランジスタと前記第1転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ及び前記第1転送トランジスタをともにオフの状態とすることと、前記駆動部が前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオフの状態とすることと、前記第1転送トランジスタをオンし、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力することと、前記電荷電圧変換部が電荷を保持した状態で前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオンし、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力することと、を含む第2駆動方法と、を含む光電変換装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、撮像装置、機器及び光電変換装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
瞳分割による焦点検出を行う光電変換装置がある。この光電変換装置は、複数の光電変換部を一組としている。この光電変換装置において、焦点検出のための焦点検出信号と撮像のための撮像信号と、をそれぞれ出力する動作と、撮像信号だけを出力する動作とを行う。特許文献1には、焦点検出信号と撮像信号とをそれぞれ読み出す領域と、撮像信号だけを読み出す領域が設けられている撮像装置が記載されている。ここでは光電変換部から、焦点検出信号と撮像信号とのそれぞれを電荷電圧変換部へ電荷を転送するときと、撮像信号を電荷電圧変換部へ電荷を転送するときとで、電荷電圧変換部へ電荷を転送する転送トランジスタを同じ条件で動作させるようにしている。特許文献1ではこのようにすることで撮像信号の特性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1に開示された方法によっても、焦点検出のための焦点検出信号と撮像のための撮像信号とをそれぞれ出力するときと、撮像信号だけを出力する動作ときとの動作の違いにより、撮像信号に表れる特性に差が生じる可能性があった。本発明の目的は、瞳分割による焦点検出を行う光電変換装置において、撮像信号の画質の向上に有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光電変換装置は、第1光電変換部と、第2光電変換部と、電荷電圧変換部と、前記第1光電変換部と前記電荷電圧変換部との間に設けられた第1転送トランジスタと、前記第2光電変換部と前記電荷電圧変換部との間に設けられた第2転送トランジスタと、前記電荷電圧変換部と電源電圧端子との間に設けられたリセットトランジスタと、前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とに入射光を集光するマイクロレンズと、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を出力する出力部と、をそれぞれが含む複数の画素と、駆動部と、を備え、前記駆動部が、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオフの状態とする第一リセット動作と、前記第一リセット動作後に前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオンし、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力する第一読み出し動作と、を含む第一動作と、前記駆動部が、前記リセットトランジスタと前記第1転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ及び前記第1転送トランジスタをともにオフの状態とする第二リセット動作と、前記駆動部が前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオンの状態とした後に、前記リセットトランジスタ、前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをともにオフの状態とする第三リセット動作と、前記第三リセット動作後に前記第1転送トランジスタをオンし前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力し、前記電荷電圧変換部が電荷を保持した状態で前記第1転送トランジスタ及び前記第2転送トランジスタをオンし、前記電荷電圧変換部の電圧に応じた信号を前記出力部が出力する第二読み出し動作と、を含む第二動作とを行う。
【発明の効果】
【0006】
瞳分割による焦点検出を行う光電変換装置において、撮像信号の画質の向上に有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】実施例1の撮像装置の駆動タイミングを示す図。
【
図10】実施例2の撮像装置の駆動タイミングを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
また以下に述べる各実施形態では、光電変換装置の一例として、撮像装置を中心に説明する。ただし、実施形態は撮像装置に限られるものではなく、光電変換装置を使う他の例にも適用可能である。適用可能な例には、測距装置(焦点検出やTOF(Time Of Flight)を用いた距離測定等の装置)、測光装置(入射光量の測定等の装置)などがある。
【0010】
(実施形態1)
光電変換装置を使用した撮像装置の構成について
図1により説明する。画素アレイ100には、行列状に複数並んで配置された画素101で構成される。垂直走査回路107は、タイミングジェネレータ108(以下、「TG108」と表記する)から出力された信号に基づいて、画素101を順次走査する。垂直走査回路107は画素を行毎に駆動する駆動部として機能する。画素アレイ100の最後の行まで走査することで1フレームの画像に対応する信号を得ることができる。画素101からは、ノイズレベルのアナログ信号であるノイズ信号と、入射光を光電変換して生成した電荷に基づくアナログ信号である光電変換信号が垂直信号線102を介して出力される。光電変換信号としては、焦点検出用に用いられる焦点検出信号と、画像形成用に用いられる撮像信号が画素101から出力される。
図1では、4行×5列の画素101を示しているが、実際には、もっと多数の行及び列に渡って画素101、垂直信号線102が設けられている。
【0011】
読み出し回路103は各列の垂直信号線102に対応して設けられている。読み出し回路103は、画素101から出力される信号を、垂直信号線102を介して読み出す。読み出した信号にはノイズ信号および光電変換信号が含まれる。読み出し回路103は、垂直信号線102を介して、画素101に電流を供給する電流供給部207を有する。なお、読み出し回路103には、アナログ信号を一時的に保持するメモリ部、画素からのアナログ信号を増幅する列アンプ部、アナログ信号をデジタル信号へと変換するAD変換部などが含まれていても良い。
【0012】
信号保持部104は、読み出し回路103から出力される信号を保持する。水平走査回路105は、各列の信号保持部104を順次走査する。これにより、各列の信号保持部104が保持した信号が、各列の信号保持部104から順次、信号処理部(以下「DSP」と表記)106に転送される。DSP106は、各列の信号保持部104から出力された信号を処理し、処理した信号を撮像装置の外部に出力する。TG108は、読み出し回路103,信号保持部104、水平走査回路105、DSP106、垂直走査回路107の動作を制御する。
【0013】
画素アレイ100に配置された画素101と読み出し回路103とについて
図2により説明する。なお、ここでは読み出し回路103の1列分の回路に含まれる電流供給部207が示されている。画素101は複数の光電変換部を有しうる。本実施形態では光電変換部が2つの例を示す。
【0014】
画素101の光電変換部201a及び201bは入射光に基づく電荷を生成する。トランジスタ202a及び202bは、光電変換部201a及び201bと電荷電圧変換部(以下、「FD部」と表記する。)203との間の電気的経路にそれぞれ設けられている。トランジスタ202aは、光電変換部201aからFD部203への電荷の転送のオンとオフとを制御する転送トランジスタである。トランジスタ202bは、光電変換部201bからFD部203への電荷の転送のオンとオフとを制御する転送トランジスタである。
【0015】
光電変換部で生成された電荷は、転送トランジスタ202a及び202bによってFD部203に転送される。FD部203は電荷信号を電圧信号に変換する。画素101は、入射光を集光するマイクロレンズと色に対応したカラーフィルタを有しうる。
【0016】
トランジスタ204は、一方の主ノードがFD部203に電気的に接続され、他方の主ノードには電源電圧端子から電源電圧VDDが与えられている。トランジスタ204はオン又はオフすることによりFD部203の電位をリセットするリセットトランジスタである。
【0017】
トランジスタ205の入力ノードはFD部203に電気的に接続され、一方の主ノードには電源電圧端子から電源電圧VDDが与えられる。他方の主ノードには、トランジスタ206の一方の主ノードとトランジスタ204の一方の主ノードが電気的に接続されている。トランジスタ205は、FD部203の電位に基づくアナログ信号を増幅して垂直信号線102へ出力する出力部として機能する増幅トランジスタである。
【0018】
トランジスタ206の他方の主ノードには垂直信号線102が電気的に接続されている。トランジスタ206は、増幅トランジスタ205と、垂直信号線102との導通、非導通を切り替える選択トランジスタである。
【0019】
転送トランジスタ202a、202b、リセットトランジスタ204及び選択トランジスタ206の制御ノードには、垂直走査回路107から、それぞれ信号ptxa、信号ptxb、信号pres、信号pselが供給される。なお、転送トランジスタ202a、202b、リセットトランジスタ204及び選択トランジスタ206の制御ノードに高電位(Hi)が入力されたときそれぞれのトランジスタはオンになるものとする。転送トランジスタ202a、202b及びリセットトランジスタ204がともにオンのときに、光電変換部201a及び201bとFD部とはリセットされる。一方、制御ノードに低電位(Lo)が入力されたときにそれぞれのトランジスタはオフになるものとする。電流供給部207である電流源は、垂直信号線102を介して、画素101の増幅トランジスタ205に電流を供給する。
【0020】
増幅トランジスタ205は、垂直信号線102に接続された電流供給部207から供給される電流と、電源電圧VDDとによってソースフォロワ動作を行う。画素101の増幅トランジスタ205の出力は、選択トランジスタ206により、垂直信号線102との接続を切り替えることができる。
【0021】
このような構成により、画素101から焦点検出信号と撮像信号を得ることが可能である。焦点検出信号を得る際は、光電変換部201aまたは201bで生じた信号電荷のみをFD部203に転送するとよい。2次元に行列状に配置された画素101から片方の光電変換部の信号のみを読むことで、焦点検出信号を得る。
【0022】
一方で、撮像信号を得る際は、光電変換部201a及び201bの信号をFD部203に転送し混合することで撮像信号として読み出す。ここで焦点検出信号として、光電変換部201aおよび201b両方の信号がそれぞれ必要な場合には、撮像信号から、読み出した片方の光電変換部の信号を減算すればよい。なお、画素におけるトランジスタの構成は、2つ以上の画素でリセットトランジスタ204や増幅トランジスタ205を共有するなど任意の構成が適用可能である。
【0023】
次に撮像装置の駆動タイミングについて
図3及び
図4により説明する。
図3のt300~t315までの時間では、撮像用の撮像信号を得る第一動作を示す。ここでは[n]は行列状に複数並んで配置された画素101のn行目を意味し、n行目の画素からノイズ信号と撮像信号を垂直信号線102を介して読み出す場合の駆動タイミングを示す。
【0024】
図4のt400~t422までの時間では、焦点検出用の焦点検出信号と撮像用の撮像信号の両方を得ることができる第二動作を示す、ここでは[m]は行列状に複数並んで配置された画素101のm行目を意味する。
図4は行列状に複数並んで配置された画素101のm行目の画素からノイズ信号と焦点検出信号と撮像信号を垂直信号線102を介して読み出す場合の駆動タイミングを示す。
【0025】
また垂直走査回路107は水平同期信号(以下、「信号HD」と表記する。)によって制御され、信号HDがHiからLoになることで、第一動作および第二動作のリセット動作と信号読み出し動作の開始が制御される。
【0026】
リセット動作とは、光電変換装置の光電変換部やFD部をリセットする動作を含む。信号読み出し動作とは、ノイズ信号、焦点検出信号、撮像信号を画素101から読み出す動作を含む。
【0027】
リセット動作から、信号読み出し動作までに期間が、光電変換部201a及び光電変換部201bに電荷が蓄積される期間、すなわち蓄積時間である。水平同期信号HDの間隔の単位を1水平同期信号期間(1H)としたとき、
図3および
図4では、蓄積時間が4水平同期信号期間(4H)となる場合の駆動方法のタイミングを示している。
【0028】
第一動作について
図3により説明する。時刻t300において、信号HDがLoになり、n行目の光電変換装置のリセット動作が開始される。時刻t301において、信号pres[n]がLoからHiになり、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203がリセットされる。
【0029】
時刻t302に、信号ptxa[n]および信号ptxb[n]をHiとする。転送トランジスタ202aがオンし、光電変換部201aの電荷がリセットされる。また、転送トランジスタ202bがオンし、光電変換部201bの電荷がリセットされる。時刻t303に、信号ptxa[n]および信号ptxb[n]をLoとする。転送トランジスタ202aがオフし、光電変換部201aの電荷のリセットが終了する。転送トランジスタ202bがオフし、光電変換部201bの電荷のリセットが終了する。
【0030】
時刻t304において、信号pres[n]がHiからLoになり、リセットトランジスタ204をオフする。これにより、FD部203のリセットが終了する。時刻t305において、信号HDがLoになり、n行目の第一動作でのリセット動作が終了する。
【0031】
時刻t306、時刻t307、時刻t308それぞれにおいて信号HDがLoになる。時刻t308において信号HDがLoになり、n行目の光電変換装置に対する第一動作における信号読み出し動作が開始される。なお本実施形態ではこのようなタイミングで画素を駆動することにより、リセット動作から信号読み出し動作までの期間が4Hとなるため、蓄積時間は4Hとなる。
【0032】
時刻t308において、信号HDがLoになり、n行目の第一動作の信号読み出し動作が開始される。また、時刻t308において、信号pres[n]がLoからHiになり、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203のリセットがされる。
【0033】
時刻t309で信号psel[n]がHiとなり、n行目の選択トランジスタ206がオンする。これにより、n行目の画素101の増幅トランジスタ205が選択トランジスタ206を介して、垂直信号線102に電気的に接続される。
【0034】
時刻t310において、pres[n]がHiからLoになり、リセットトランジスタ204をオフする。これにより、FD部203のリセットが解除される。n行目の画素101からは、リセットされたFD部203の電位に基づくノイズ信号が垂直信号線102を介して出力される。
【0035】
時刻t310~311の間に、n行目のノイズ信号は垂直信号線102を介して読み出し回路103により読み出され、信号保持部104に保持される。時刻t311に、信号ptxa[n]および信号ptxb[n]をHiとする。転送トランジスタ202aがオンし、光電変換部201aの信号がFD部203に転送される。また、転送トランジスタ202bがオンし、光電変換部201bの信号がFD部203に転送される。光電変換部201a及び201bの信号がFD部203に転送され混合することで画素101の撮像信号が得られる。
【0036】
時刻t312に、信号ptxa[n]および信号ptxb[n]をLoとする。転送トランジスタ202aがオフし、光電変換部201aの信号のFD部203への転送が終了する。また、転送トランジスタ202bがオフし、光電変換部201bの信号のFD部203への転送が終了する。n行目の画素の撮像信号は、FD部で電圧に変換されて増幅トランジスタ205を介して垂直信号線102に出力される。時刻t312~313の間に、n行目の撮像信号は、垂直信号線102を介して読み出し回路103により読み出され、信号保持部104に保持される。
【0037】
時刻t313において、信号pres[n]がLoからHiになり、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203のリセットがされる。時刻t314において、信号psel[n]をLoとし、n行目の選択トランジスタ206をオフする。これにより、n行目の画素101の増幅トランジスタ205と垂直信号線102が電気的に切り離される。
【0038】
時刻t313の後、水平走査回路105は信号保持部104を順次走査し、各列の保持されたノイズ信号及び撮像信号はDSP106へ出力される。撮像信号には、ノイズ信号の成分が含まれている。従って、DSP106において、撮像信号からノイズ信号を差し引くことによって、ノイズ信号の低減された撮像用の信号を生成する。時刻t315において、信号HDがLoになり、n行目の第一動作における信号読み出し動作が終了する。
【0039】
次に、第二動作について
図4により説明する。第一動作では1Hの期間で、リセット動作と信号読み出し動作がそれぞれ行われるのに対して、第二動作では2水平同期信号期間(2H)の期間で、リセット動作と信号読み出し動作がそれぞれ行われる。第二動作は、1H以上2H以下でもよいが、2Hとすることで、DSP106やTG108の回路規模が簡略化される。
【0040】
時刻t400において、信号HDがLoになり、m行目の光電変換装置に対する第二動作におけるリセット動作が開始される。時刻t401において、信号pres[m]がLoからHiになり、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203がリセットされる。
【0041】
時刻t402に、信号ptxa[m]をHiとする。転送トランジスタ202aがオンし、光電変換部201aの電荷がリセットされる。時刻t403に、信号ptxa[m]をLoとする。転送トランジスタ202aがオフし、光電変換部201aの電荷のリセットが終了する。
【0042】
時刻t404において、pres[m]をHiからLoとし、リセットトランジスタ204をオフする。これにより、FD部203のリセットが終了する。時刻t405において、信号HDがLoになるが、第二動作ではm行目のリセット動作は継続される。
【0043】
時刻t406において、垂直走査回路107は信号pres[m]をLoからHiとし、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203のリセットがされる。
【0044】
時刻t407に、信号ptxa[m]および信号ptxb[m]をHiとする。転送トランジスタ202aがオンし、光電変換部201aの電荷がリセットされる。また、転送トランジスタ202bがオンし、光電変換部201bの電荷がリセットされる。
【0045】
時刻t408に、信号ptxa[m]および信号ptxb[m]をLoとする。転送トランジスタ202aがオフし、光電変換部201aの電荷のリセットが終了する。転送トランジスタ202bがオフし、光電変換部201bの電荷のリセットが終了する。時刻t409において、信号pres[m]がHiからLoになり、リセットトランジスタ204をオフする。これにより、FD部203のリセットが終了する。
【0046】
時刻t410において、信号HDがLoになり、m行目の第二動作におけるリセット動作が終了する。時刻t411、時刻t412において、信号HDがLoになる。時刻t412において、m行目の第二動作における信号読み出し動作が開始される。これにより、信号リセット動作から信号読み出し動作までの期間が4Hとなるため、蓄積時間は4Hとなる。
【0047】
時刻t412において、信号pres[m]がLoからHiになり、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203のリセットがされる。時刻t413において、信号psel[m]をHiとし、m行目の選択トランジスタ206がオンする。これにより、m行目の画素101の増幅トランジスタ205が選択トランジスタ206を介して、垂直信号線102に電気的に接続される。
【0048】
時刻t414において、pres[m]がHiからLoになり、リセットトランジスタ204をオフする。これにより、FD部203のリセットが解除される。m行目の画素101からは、リセットされたFD部203の電位に基づくノイズ信号が垂直信号線102へ出力される。
【0049】
時刻t414~415の間に、m行目のノイズ信号は、垂直信号線102を介して読み出し回路103により読み出され、信号保持部104に保持される。時刻t415に、信号ptxa[m]をHiとする。転送トランジスタ202aがオンし、光電変換部201aの信号がFD部203に転送される。光電変換部201aと光電変換部201bの信号のうち、光電変換部201aの信号のみがFD部203に転送される。転送された信号は画素101の焦点検出信号として利用される。
【0050】
時刻t416に、信号ptxa[m]をLoとする。転送トランジスタ202aがオフし、光電変換部201aの信号のFD部203への転送が終了する。これにより、m行目の焦点検出信号は、垂直信号線102に出力される。時刻t416~417の間に、m行目の焦点検出信号は、垂直信号線102を介して読み出し回路103により読み出され、信号保持部104に保持される。
【0051】
時刻t417において、信号HDがLoになるが、m行目の信号読み出し動作は継続される。時刻t418に、信号ptxa[m]および信号ptxb[m]をHiとする。転送トランジスタ202aがオンし、光電変換部201aの信号がFD部203に転送される。また、転送トランジスタ202bがオンし、光電変換部201bの信号がFD部203に転送される。光電変換部201a及び201bの信号はFD部203に転送され混合されることにより画素101の撮像信号となる。
【0052】
時刻t419に、信号ptxa[m]および信号ptxb[m]をLoとする。転送トランジスタ202aがオフし、光電変換部201aの信号のFD部203への転送が終了する。また、転送トランジスタ202bがオフし、光電変換部201bの信号のFD部203への転送が終了する。これにより、m行目の画素の撮像信号は、垂直信号線102に出力される。
【0053】
時刻t419~420の間に、m行目の撮像信号は、垂直信号線102を介して読み出し回路103により読み出され、信号保持部104に保持される。時刻t420において、信号pres[m]がLoからHiになり、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203のリセットがされる。
【0054】
時刻t421において、信号psel[m]をLoとし、m行目の選択トランジスタ206をオフする。これにより、m行目の画素101の増幅トランジスタ205と垂直信号線102が電気的に切り離される。時刻t420の後、水平走査回路105は信号保持部104を順次走査し、各列の保持したノイズ信号と焦点検出信号と撮像信号をDSP106に出力させる。
【0055】
焦点検出信号と撮像信号には、ノイズ信号の成分が含まれている。従って、DSP106において、焦点検出信号からノイズ信号を差し引くことによって、ノイズ信号の少ない焦点検出用の信号を生成する。また、撮像信号からノイズ信号を差し引くことによって、ノイズ信号の少ない撮像用の信号を生成する。時刻t422において、HDがLoになり、m行目の第二動作における信号読み出し動作が終了する。
【0056】
リセット動作において時刻t402で転送トランジスタ202aをオンしている。時刻t407で転送トランジスタ202a及び転送トランジスタ202bをオンすれば光電変換部201a及び201bのリセットは可能である。しかし、リセット期間と信号の読み出し期間とで、同様な転送トランジスタの駆動を行うことによって電荷電圧変換部の状態をリセット期間と読み出し期間とで近づける。また転送トランジスタの動作に起因するノイズ成分をリセット期間と読み出し期間とで近づける。このような駆動を行うことにより転送による信号の特性差を低減している。
【0057】
次に、本実施形態の光電変換装置を適用した撮像装置の駆動について
図5および
図6を用いて説明する。画素アレイ100の構成の一例について
図5により説明する。この例では画素101は行列状に配置されている。
図5において水平方向で左端から垂直に並んだ画素を第1列、第2列、第3列とする。また、
図5において垂直方向で上端から水平に並んだ画素を第1行、第2行、第3行とする。この例では、第1から第4行目、第6から第9行目にある画素からは第一動作により信号を読み出し、第5、第10行目のそれぞれの画素からは第二動作により信号を読み出す。
【0058】
つまりNを1以上の整数としたときに、N、N+1、N+2、N+3行目の画素に対しては、第一動作を適用して撮像信号を読み出し、N+4行目の画素に対しては、第二動作を適用して焦点検出信号と撮像信号を読み出す。
【0059】
撮像装置の各行の画素の光電変換装置からの信号の読み出しについて
図6により説明する。ここで各信号の横の記載[N]は画素アレイ100のN行目の画素からの信号の読み出しに対応する各信号を示す。横軸は時間を示している。この例では、信号の蓄積時間は4Hである。各行の画素のリセット動作と信号読み出し動作は、順次行われる。各行のリセット動作は重ならず、また、各行の信号読み出し動作は重ならない。
【0060】
時刻t600において、信号HDがLoになると、N行目の第一動作におけるリセット動作が開始される。時刻t601において、信号HDがLoになると、N行目の第一動作におけるリセット動作が終了し、N+1行目の第一動作におけるリセット動作が開始される。
【0061】
時刻t602において、信号pres[N+3]がHiからLoになる。これは、N+3行目の第一動作におけるリセット動作のうち、
図3で示した時刻t304におけるFD部203のリセット解除に対応する。
【0062】
時刻t600から4H後の時刻t603において、信号HDがLoになると、N行目の第一動作の信号読み出し動作が開始される。また、N+3行目の第一動作のリセット動作が終了し、N+4行目の第二動作の信号リセット動作が開始される。
【0063】
時刻t604において、信号pres[N+4]がLoからHiになる。これは、N+4行目の第二動作におけるリセット動作のうち、
図4で示した時刻t401におけるFD部203のリセットに対応する。
【0064】
時刻t605において、信号pres[N+4]がHiからLoになる。これは、N+4行目の第二動作におけるリセット動作のうち、
図4で示した時刻t404におけるFD部203のリセット解除に対応する。
【0065】
時刻t606において、信号HDがLoになると、N行目の第一動作による信号読み出し動作が終了し、N+1行目の第一動作による信号読み出しが開始される。また、N+4行目の第二動作における信号リセット動作は継続される。
【0066】
時刻t607において、信号pres[N+4]がLoからHiになる。これは、N+4行目の第二動作のリセット動作のうち、
図4で示した時刻t406におけるFD部203のリセットに対応する。
【0067】
時刻t608において、信号HDがLoになると、N+1行目の第一動作の信号読み出し動作が終了し、N+2行目の第一動作の信号読み出し動作が開始される。また、N+4行目の第二動作のリセット動作が終了し、N+5行目の第一動作のリセット動作が開始される。
【0068】
時刻t609において、信号HDがLoになると、N+3行目の第一動作の信号読み出し動作が終了し、N+4行目の第二動作の信号読み出し動作が開始される。時刻t610において、信号HDがLoになると、N+4行目の第二動作の信号読み出し動作が終了し、N+5行目の第一動作の信号読み出し動作が開始される。以上のような動作を任意の全行で繰り返すことで、1フレーム分の信号を得ることができる。
【0069】
光電変換装置からの信号の読み出しについて、
図6に示した例に対する比較例について
図7により説明する。
図6で示したタイミングと異なる点は、
図6では、時刻t605において信号pres[N+4]がHiからLoになり、時刻t607において、LoからHiになる遷移がある。しかし
図7において、信号pres[N+4]は、時刻t705と時刻t707において遷移しない。それ以外は、
図6と
図7は同じである。
【0070】
信号presは、高電位(Hi)や低電位(Lo)に遷移するが、このときのHi電位をDVDDHとしLo電位をGND(0V)とする。時刻t602において、信号pres[N+3]がHiからLoになり遷移し、つまりDVDDHからGNDとなる。時刻t604において、信号pres[N+4]がLoからHiになり遷移し、つまりGNDからDVDDHとなる。この遷移するとき、DVDDHの電位が変動する。このDVDDHの電位の変動を受けて、時刻t603からのN行目の撮像信号の読み出し動作では、N行目の撮像信号は変動する。これはたとえば、N行目の画素のFD部203の電位の状態が変わることが一因と考えられる。同様にpres[N+4]の時刻t605におけるHiからLoへの遷移及び時刻t607におけるLoからHiへの遷移を受けてN+1行目の撮像信号は変動する。
【0071】
一方、時刻t702から1H後の時刻t705と、時刻t704から1H後の時刻t707においては、いずれの行における信号リセット動作において、presの遷移が発生しない。そのため、DVDDHの電位も変動しない。これにより、時刻t706からの読み出し動作では、N+1行目の撮像信号はDVDDHの変動による影響を受けない。
【0072】
N行目の信号読み動作の直前に行われる第一動作のリセット動作と、N+1行目の信号読み動作の直前に行われる第二動作のリセット動作において、信号presの駆動が異なると、DVDDHの遷移に伴って発生するノイズの量に差が生じる。このため
図7の比較例では、N行目とN+1行目の撮像信号に出力差が生じる。比較例の場合は、画像としては、5行周期の横縞が生じる。
【0073】
一方、
図6の例では、時刻t605において、pres[N+4]がHiからLoになり、つまりDVDDHからGNDとなる。時刻t607において、pres[N+4]がLoからHiに遷移し、つまりGNDからDVDDHとなる。遷移するとき、DVDDHの電位が変動する。これにより、N+1行目の撮像信号がN行目と同様な影響を受ける。
【0074】
以上のように、N行目の信号読み動作の直前に行われる第一動作のリセット動作と、N+1行目の信号読み動作の直前に行われる第二動作のリセット動作において、信号presの駆動を同じにすることで重畳する変動ノイズの量を低減できる。これにより、N行目とN+1行目の撮像信号に表れる出力差が低減する。得られる画像としては、5行周期の横縞が低減できる。
【0075】
本実施例では、蓄積時間の周期が4Hの場合について説明した。蓄積時間の周期が3Hの場合には、N+1行目とN+2行目の撮像信号に出力差が発生する。言い換えると、撮像信号の出力差は、蓄積時間によって発生する行が変化することになる。また、蓄積時間によっては、第一動作による撮像信号と第二動作による撮像信号の出力差も発生する。この実施形態では、第一動作を行う画素の行と第二動作を行う画素の行のそれぞれのリセットの駆動を同様にすることで撮像信号のばらつくのを低減することができる。いずれの場合においても、本実施形態の画素の駆動のやり方により、撮像信号の出力差を低減できる。
【0076】
なお、信号presのLo電位をGND(グラウンドレベル)として説明したが、リセットトランジスタ204がオフする電位であれば、GNDでなくてもよい。
【0077】
また、本実施例で説明したタイミングの場合、撮像時の読み出し動作からリセット動作までの期間が、第一動作で読み出す行と第二動作で読み出す行とでは、1Hの差が発生する。光電変換部に蓄積された電荷が多い場合には、隣接する行への電荷の漏れ量に影響を与え、出力差が生じる場合がある。そのため、第二の読み出し方法の信号リセット動作において、時刻t402から時刻t403における光電変換部201aの電荷のリセットを行わない方がノイズの低減には有利な場合がある。
【0078】
(実施形態2)
実施形態1では、信号presがHiとLoの2値の場合について説明した。本実施例では信号pres信号を3値とした場合について述べる。信号presが3値の場合の第一動作について
図8により説明する。信号presが3値の場合の第二動作について
図9により説明する。信号pres以外の、信号ptxa、信号ptxb、信号pselは、
図3を用いた実施例1と同じである。そのため、主に信号presについて説明する。信号pres信号を3値とするが、電荷電圧変換部のリセット電位は電源電圧に近い電位であるために、3値のうちの中間の電位レベルを信号presとしてリセットトランジスタへ与えたときであってもリセットトランジスタはオフ状態を保つことができる。
【0079】
信号presの3値は一番高い高電位(Hi)をDVDDH1、DVDDH1の次に高い中間電位(Mid)をDVDDH2、一番低い低電位(Lo)をGNDレベルとする。電位間の関係はDVDDH1>DVDDH2>GNDの関係とする。
【0080】
時刻t800において、信号HDがLoになり、n行目の第一動作のリセット動作が開始される。このとき信号pres[n]の電位はDVDDH2である。時刻t801において、垂直走査回路107からの信号pres[n]の電位がDVDDH2からDVDDH1になる。これにより、FD部203のリセットがされる。
【0081】
時刻t804において、垂直走査回路107からの信号pres[n]がDVDDH1からDVDDH2になる。これにより、FD部203のリセットが終了する。時刻t805において、信号HDがLoになり、n行目の第一動作のリセット動作が終了する。時刻t808において、信号HDがLoになり、n行目の第一動作の撮像信号の読み出しが開始される。また、信号pres[n]の電位がDVDDH2からDVDDH1になる。これにより、FD部203のリセットがされる。
【0082】
時刻t810において、信号pres[n]の電位がDVDDH1からGNDになり、リセットトランジスタ204をオフする。これにより、FD部203のリセットが解除される。時刻t813において、信号pres[n]の電位がGNDからDVDDH1になり、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203のリセットがされる。時刻t815において、信号HDがLoになり、n行目の第一動作の信号読み出し動作が終了する。信号pres[n]の電位がDVDDH1からDVDDH2になる。
【0083】
時刻t900において、信号HDがLoになり、m行目の第二動作のリセット動作が開始される。このとき信号pres[m]の電位はDVDDH2である。時刻t901において、垂直走査回路107からの信号pres[m]の電位がDVDDH2からDVDDH1になる。これにより、FD部203のリセットがされる。時刻t904において、垂直走査回路107からの信号pres[m]の電位はDVDDH1からDVDDH2となる。
【0084】
時刻t905において、信号HDがLoになるが、m行目の信号リセット動作は継続される。時刻t906において、垂直走査回路107は信号pres[m]の電位をDVDDH2からDVDDH1とする。時刻t904から時刻t906の間に、リセットトランジスタ204の制御ノードであるゲートの電位がDVDDH1からDVDDH2とし、t906からt909の間は再度ゲートの電位をDVDDH2からDVDDH1とする。t909で信号pres[m]の電位はDVDDH1からDVDDH2となる。
【0085】
時刻t910において、信号HDがLoになり、m行目の第二動作のリセット動作が終了する。時刻t912において、信号HDがLoになり、m行目の第二動作の信号読み出し動作が開始される。また、信号pres[m]の電位がDVDDH2からDVDDH1になり、FD部203はリセットされる。
【0086】
時刻t914において、信号pres[m]の電位がDVDDH1からGNDとなる。これにより、FD部203のリセットが解除される。時刻t920において、信号pres[m]の電位がGNDからDVDDH1になり、リセットトランジスタ204をオンする。これにより、FD部203のリセットがされる。時刻t922において、信号HDがLoになり、m行目の第二の読み出し方法の信号読み出し動作が終了する。このとき、信号pres[m]の電位がDVDDH1からDVDDH2に制御される。
【0087】
図10は、画素アレイ100における行ごとの動作を示した本実施例のタイミング図である。横軸は時間を示しており、縦方向は
図5に示す画素アレイ100の行に対応している。蓄積時間は4Hである。N、N+1、N+2、N+3行目は、
図8で示した第一動作により、撮像信号を読み出し、N+4行目は、
図9で示した第二動作により、焦点検出信号と撮像信号を読み出す。
【0088】
各行の信号リセット動作と信号読み出し動作は、順次行われる。各行の信号リセット動作は重ならず、また、各行の信号読み出し動作は重ならない。時刻t1000において、信号HDがLoになると、N行目の第一動作の信号リセット動作が開始される。
【0089】
時刻t1001において、信号HDがLoになると、N行目の第一動作のリセット動作が終了し、N+1行目の第一動作のリセット動作が開始される。時刻t1002において、信号pres[N+3]の電位がDVDDH1からDVDDH2になる。これは、N+3行目の第一動作のリセット動作のうち、
図8で示した時刻t804におけるFD部203のリセット解除に対応する。
【0090】
時刻t1000から4H後の時刻t1003において、信号HDがLoになると、N行目の第一動作の信号読み出し動作が開始される。また、N+3行目の第一動作のリセット動作が終了し、N+4行目の第二動作のリセット動作が開始される。
【0091】
時刻t1004において、信号pres[N+4]の電位がDVDDH1からDVDDH2になる。これは、N+4行目の第二動作のリセット動作のうち、
図9で示した時刻t901におけるFD部203のリセットに対応する。
【0092】
時刻t1005において、信号pres[N+4]の電位がDVDDH1からDVDDH2になる。これは、N+4行目の第二動作のリセット動作のうち、
図9で示した時刻t904におけるFD部203のリセット解除に対応する。
【0093】
時刻t1006において、信号HDがLoになると、N行目の第一動作の信号読み出し動作が終了し、N+1行目の第一動作の信号読み出し動作が開始される。また、N+4行目の第一動作のリセット動作は継続される。
【0094】
時刻t1007において、信号pres[N+4]の電位がDVDDH2からDVDDH1になる。これは、N+4行目の第二動作のリセット動作のうち、
図9で示した時刻t906におけるFD部203のリセットに対応する。
【0095】
時刻t1008において、信号HDがLoになると、N+1行目の第一動作が終了し、N+2行目の第一動作が開始される。また、N+4行目の第二動作のリセット動作が終了し、N+5行目の第一動作のリセット動作が開始される。
【0096】
時刻t1009において、信号HDがLoになると、N+3行目の第一動作の撮像信号の読み出し動作が終了し、N+4行目の第二動作の読み出し動作が開始される。時刻t1010において、信号HDがLoになると、N+4行目の第二動作が終了し、N+5行目の第一動作の撮像信号の読み出し動作が開始される。以上のような動作を任意の全行で繰り返すことで、1フレーム分の信号を得ることができる。
【0097】
本発明においては、時刻t1002や時刻1005において、信号pres[N+3]と信号pres[N+4]の電位は、DVDDH1からDVDDH2に遷移する。時刻t1004や時刻1007において、信号pres[N+4]の電位は、DVDDH2からDVDDH1に遷移する。この遷移するとき、DVDDHの電位が変動するが、実施例1で説明したGNDよりも、電位の高いDVDDH2を用いることで、変動量が低減する。そのため、N行目とN+1行目の撮像信号への影響を低減することができる。
【0098】
以上のように、信号presを3値にすることで、信号読み出しの直前に行われる電位の変動量が小さくなることで重畳するノイズの量が低減する。これにより、N行目とN+1行目の撮像信号に出力差が低減する。画像としては、5行周期の横縞が低減する。なお、信号presの最も低い電位LoをGNDレベルとしたが、リセットトランジスタ204がオフする電位であれば、GNDでなくてもよい。
【0099】
以上のように、実施形態1及び実施形態2によれば、ノイズ信号と撮像信号を読み出す回路と焦点検出信号を読み出す回路を同じにすることができ、焦点検出信号を一方の光電変換部から読み出して取得できる。このために読み出す回路の電流を小さくし、消費電力を低減することができる。
【0100】
また、実施形態1及び実施形態2によれば、信号読み出し動作に対して、焦点検出用の信号と撮像用の信号の両方をそれぞれ読み出すときのリセット動作と、撮像用の信号のみを読み出すときのリセット動作とのそれぞれの動作をそろえる。このためにリセット動作に起因する特性差を低減することができ、画質を向上しうる。
【0101】
以上、実施形態1及び実施形態2について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。また、
図1に記載の構成が1つの半導体基板に設けられた非積層型の光電変換装置だけでなく、複数の半導体基板が積層された積層型の光電変換装置にも適用可能である。この積層型の光電変換装置の場合、第1基板には
図1の画素アレイ100が設けられてもよい。そして、別の第2基板には、
図1の構成のうち、画素アレイ100以外の構成のうちの少なくとも一部(全部を含む)を設けることができる。また、さらに別の半導体基板を積層するようにしても良い。この場合、画素アレイ100が設けられた第1基板と、
図1の構成のうち、画素アレイ100以外の構成のうちの一部ずつが設けられた複数の基板とが積層された構成とすることができる。
【0102】
(機器への適用例)
図11は本実施形態の半導体装置930を備えた機器9191を説明する模式図である。半導体装置930を備える機器9191について詳細に説明する。半導体装置930は、上述のように、半導体層を有する半導体デバイス910のほかに、半導体デバイス910を収容するパッケージ920を含むことができる。パッケージ920は、半導体デバイス910が固定された基体と、半導体デバイス910に対向するガラスなどの蓋体と、を含むことができる。パッケージ920は、さらに、基体に設けられた端子と半導体デバイス910に設けられた端子とを接続するボンディングワイヤやバンプなどの接合部材を含むことができる。半導体デバイス910には、実施形態1又は2で説明した光電変換装置を適用することができる。
【0103】
機器9191は、光学装置940、制御装置950、処理装置960、表示装置970、記憶装置980、機械装置990の少なくともいずれかを備えることができる。光学装置940は、半導体装置930に対応する。光学装置940は、例えばレンズやシャッター、ミラーである。制御装置950は、半導体装置930を制御する。制御装置950は、例えばASICなどの半導体装置である。
【0104】
処理装置960は、半導体装置930から出力された信号を処理する。処理装置960は、AFE(アナログフロントエンド)あるいはDFE(デジタルフロントエンド)を構成するための、CPUやASICなどの半導体装置である。表示装置970は、半導体装置930で得られた情報(画像)を表示する、EL表示装置や液晶表示装置である。記憶装置980は、半導体装置930で得られた情報(画像)を記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置980は、SRAMやDRAMなどの揮発性メモリ、あるいは、フラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリである。
【0105】
機械装置990は、モーターやエンジンなどの可動部あるいは推進部を有する。機器9191では、半導体装置930から出力された信号を表示装置970に表示したり、機器9191が備える通信装置(不図示)によって外部に送信したりする。そのために、機器9191は、半導体装置930が有する記憶回路や演算回路とは別に、記憶装置980や処理装置960をさらに備えることが好ましい。機械装置990は、半導体装置930から出力され信号に基づいて制御されてもよい。
【0106】
また、機器9191は、撮影機能を有する情報端末(例えばスマートフォンやウエアラブル端末)やカメラ(例えばレンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ)などの電子機器に適する。カメラにおける機械装置990はズーミングや合焦、シャッター動作のために光学装置940の部品を駆動することができる。あるいは、カメラにおける機械装置990は防振動作のために半導体装置930を移動することができる。
【0107】
また、機器9191は、車両や船舶、飛行体などの輸送機器であり得る。輸送機器における機械装置990は移動装置として用いられうる。輸送機器としての機器9191は、半導体装置930を輸送するものや、撮影機能により運転(操縦)の補助および/または自動化を行うものに好適である。運転(操縦)の補助および/または自動化のための処理装置960は、半導体装置930で得られた情報に基づいて移動装置としての機械装置990を操作するための処理を行うことができる。あるいは、機器9191は内視鏡などの医療機器や、測距センサなどの計測機器、電子顕微鏡のような分析機器、複写機などの事務機器、ロボットなどの産業機器であってもよい。
【0108】
上述した実施形態によれば、良好な画素特性を得ることが可能となる。従って、半導体装置の価値を高めることができる。ここでいう価値を高めることには、機能の追加、性能の向上、特性の向上、信頼性の向上、製造歩留まりの向上、環境負荷の低減、コストダウン、小型化、軽量化の少なくともいずれかが該当する。
【0109】
従って、本実施形態に係る半導体装置930を機器9191に用いれば、機器の価値をも向上することができる。例えば、半導体装置930を輸送機器に搭載して、輸送機器の外部の撮影や外部環境の測定を行う際に優れた性能を得ることができる。よって、輸送機器の製造、販売を行う上で、本実施形態に係る半導体装置を輸送機器へ搭載することを決定することは、輸送機器自体の性能を高める上で有利である。特に、半導体装置で得られた情報を用いて輸送機器の運転支援および/または自動運転を行う輸送機器に半導体装置930は好適である。
【0110】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0111】
101 画素、102 垂直信号線、103 読み出し回路、104 信号保持部、105 水平走査回路、106 DSP、107 垂直走査回路、 108 タイミングジェネレータ