(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】CO2および1または複数の炭化水素を含むガス流の処理による合成ガスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/36 20060101AFI20231215BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20231215BHJP
B01D 53/44 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
C01B3/36
B01D53/62 ZAB
B01D53/44
(21)【出願番号】P 2021510783
(86)(22)【出願日】2019-08-26
(86)【国際出願番号】 FR2019051966
(87)【国際公開番号】W WO2020043985
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520098420
【氏名又は名称】ユーロプラズマ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ポール・ロベール-アルヌイユ
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/098324(WO,A1)
【文献】特開2001-214174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0246337(US,A1)
【文献】特開2016-175818(JP,A)
【文献】特表2010-533742(JP,A)
【文献】特開2008-247717(JP,A)
【文献】特表2017-501958(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108212(WO,A1)
【文献】特表2010-530878(JP,A)
【文献】特表2018-502804(JP,A)
【文献】特開昭60-226596(JP,A)
【文献】RAMSES, Snoeckx et al.,Plasma technology - a novel solution for CO2 conversion?,Chemical Society Reviews,2017年,46,p. 5805-5863
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 6/34
B01D 53/34 -53/73
53/74 -53/85
53/92
53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO
2および1または複数の炭化水素を含むガス流の処理による合成ガスの製造方法であって、
a)10体積%~50体積%のCO
2、および10体積%~50体積%の1または複数の炭化水素を含むガス流を供給
し、処理すべき前記ガス流を第1のガス流と第2のガス流に分離するステップと、
b)
少なくとも前記第2のガス流をプラズマジーンガスとして用いて非移行式アークプラズマトーチからプラズマジェットを生成するステップと、
c)前記プラズマトーチの下流において、前記
第1のガス流を前記プラズマジェットと混合するステップと、
d)前記
第1のガス流
と前記プラズマジェットの合成ガスへの変換を確実にするために、前記混合物を長い反応器内に伝播するステップと
を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
前記プラズマトーチに供給している前記プラズマジーンガスが、第2のガス流のみからなることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマジェットを生成するために前記プラズマトーチに前記プラズマジーンガスを供給する場合、前記プラズマジーンガスが、前記第2のガス流中に含まれるタールなどの重炭化水素の露点を上回る温度であることを特徴とする、請求項
1または
2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマジーンガスが、20℃~150℃の範囲の温度であることを特徴とする、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
ステップa)において、前記ガス流が大気圧を上回る圧力で供給されており、前記非移行式アークプラズマトーチに供給される前記プラズマジーンガスが、前記反応器の稼働時の圧力に少なくとも等しいプラズマジェットを生成できる供給圧力Pr
alimであることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記トーチが主軸を有し、前記ジェットが前記トーチの前記主軸と実質的に同一線上にある伝播軸を有し、前記プラズマトーチが注入装置に取り付けられ、前記注入装置の少なくとも1つの入口において前記ガス流または前記第1のガス流を受け取り、前記入口は前記プラズマトーチの下流に位置し、前記プラズマジェットとの混合を確実にするために、少なくとも部分的に前記プラズマジェットと接触できるように前記ガス流または前記第1のガス流を注入することを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップa)において、処理すべき前記ガス流が、室温を上回る温度で供給されることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
処理すべき前記ガス流が、主にCO
2およびメタン(CH
4)を含むことを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記プラズマジェットと、前記ガス流または前記第1のガス流との間に乱流混合の領域を作り出すために、伝播軸とは別の方向に従って、前記ガス流または前記第1のガス流を注入することを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガス流または前記第1のガス流が、前記反応器と連通している注入装置の中に注入されており、水蒸気などステップc)で得られる前記混合物の組成を調整する少なくとも1つの流体を、前記注入装置または前記反応器の中に注入することを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる合成ガスの処理方法であって、前記反応器から生じる合成ガスが、一酸化炭素(CO)と水素の混合物を含んでおり、ガス状の水素(H
2)を生成するためにこの混合物を変換し、前記ガス状の水素(H2)を保管することを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる合成ガスの処理方法であって、前記反応器から生じる合成ガスが、一酸化炭素(CO)と水素の混合物を含んでおり、メタノールを生成するためにこの混合物を変換することを特徴とする、方法。
【請求項13】
この変換に先立って、一酸化炭素(CO)と水素のモル混合物を、2:1または2.05:1の単位量あたりの比で生成し、次に、もっぱらメタノールを生成するためにこの混合物を変換することを特徴とする、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から
10のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる合成ガスの処理方法であって、前記反応器から生じる合成ガスが、一酸化炭素(CO)と水素を含んでおり、アンモニアを生成するためにこの混合物を変換することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に火力発電所、および鉄工業またはセメント工業などの工場設備から排出されるガス流における、二酸化炭素(CO2)の排出の削減の一般的な分野に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、CO2および1または複数の炭化水素を含むガス流の処理による合成ガスの製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
主要な温室効果ガスである二酸化炭素の削減は、気候の温暖化と闘うための社会の主要な問題点の1つとなっている。
【0004】
しかしながら、特に人口の増加および1人あたりの平均生活水準の上昇から世界のエネルギー需要の増加が続いていることにより、今日、化石エネルギーから解放されることができなくなっている。
【0005】
様々な解決策、例えば工業プロセスのエネルギー効率の改善、または最近ではCO2の回収および地中貯留が採用もしくは研究されている。
【0006】
新規のアプローチは、二酸化炭素を管理すべき制約ではなく、価値を高める、すなわち価値の高い製品を生成するために変換する(transformer ou convertir)ことができる原料と考えることを対象とする。
【0007】
このように、二酸化炭素を他の化学工業用の化学種、特にメタノール、エタノール、またはプロパノールなどに変換させるために、多くの研究が行われることとなった。
【0008】
二酸化炭素からのエタノールの合成は、例えばフィッシャートロプシュ法など生体触媒による方法の実施によって行われる。
【0009】
また、二酸化炭素によるメタンの改質反応も、遷移金属を主成分とする触媒(ルテニウムなど)の存在下で広く研究された。
【0010】
しかしながら、これらの最先端の方法は、工業設備から排出される二酸化炭素を含んだガス流を処理するのに適していない。
【0011】
それらは、確かに、具体的には高炉から発生したガス流中に、タールおよび酸性化合物など多くの不純物および微粒子を含む。
【0012】
これらの方法ではまた、大きなガスの体積を処理することもできない。
【0013】
ときに、これらの工場設備、特に製油所、セメント工場、および製鉄所の大気中へのガス排出は、主な二酸化炭素源である。
【0014】
したがって、上記に挙げられた従来技術の欠点を克服できる、工業施設から排出されるガス流に含まれる二酸化炭素の新規の変換方法に対する喫緊の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、理解および操作方法が容易であり、信頼度が高く経済的であり、二酸化炭素の体積を削減可能な、CO2および1または複数の炭化水素を含むガス流の処理による合成ガスの製造方法を提案することによって、従来技術の欠点を緩和することを目的とする。
【0016】
本発明の他の目的は、広い質および量の変動を示すガス流を許容できる、かかる方法である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本発明は、CO2および1または複数の炭化水素を含むガス流の処理による合成ガスの製造方法に関する。
【0018】
本発明によれば、この方法は、
a)10体積%~50体積%のCO2、および10体積%~50体積%の1または複数の炭化水素を含むガス流を供給するステップと、
b)非移行式アークプラズマトーチからプラズマジェットを生成するステップと、
c)前記プラズマトーチの下流において、前記ガス流を前記プラズマジェットと混合するステップと、
d)前記ガス流の合成ガスへの変換を確実にするために、前記混合物を長い反応器内に伝播するステップと
を含む。
【0019】
CO2および1または複数の炭化水素の体積がガス流の合計体積の100%に等しくない場合、ガス流の残りは、窒素、水蒸気、水素、または一酸化炭素など様々な化学種を含み得る。
【0020】
表現「下流に位置する」は、プラズマジェットの伝播する方向の、その向こうに位置することを意味する。
【0021】
この合成ガスの製造方法の具体的な一実施形態によれば、ステップa)で供給されたガス流は、主に(majoritairement)CO2および1または複数の炭化水素を含む。
【0022】
表現「主にCO2および1または複数の炭化水素を含むガス流」は、二酸化炭素および1または複数の炭化水素からなる集合が豊富な、すなわち30体積%を上回るCO2および1または複数の炭化水素からなる集合、より良好には50%を上回るこの集合を含むガス流を意味する。ガス流の残りは、窒素、水蒸気、水素、または一酸化炭素など様々な化学種を含み得る。
【0023】
この合成ガスの製造方法の他の一実施形態によれば、ステップa)において、処理すべき前記ガス流を第1のガス流と第2のガス流に分離し、次にステップb)において、少なくとも前記第2のガス流をプラズマジーンガスとして用いて非移行式アークプラズマトーチからプラズマジェットを生成し、次にステップc)において、前記プラズマトーチの下流において前記第1のガス流を前記プラズマジェットと混合し、ステップd)において、前記第1のガス流と前記プラズマジェットの合成ガスへの変換を確実にするために、長い反応器内に前記混合物を伝播する。
【0024】
有利には、プラズマトーチに供給している前記プラズマジーンガスは、第2のガス流のみからなる。代替方法として、このプラズマジーンガスは、前記第2のガス流、および空気またはこの方法の他のガス流などプラズマジーンガスの組成を調整できる少なくとも1つの他のガス流を含み得る。
【0025】
好ましくは、前記プラズマジェットを生成するために前記プラズマトーチに前記プラズマジーンガスを供給する場合、前記プラズマジーンガスは、前記第2のガス流中に含まれるタールなどの重炭化水素の露点を上回る温度である。したがって、好ましくは、前記プラズマジーンガスは、20℃~150℃の範囲の温度である。
【0026】
かかる温度によって、トーチの詰まりの原因となり得る炭化水素の凝縮現象を避けることができる。
【0027】
さらに、この合成ガスの製造方法の他の一実施形態によれば、前記トーチは主軸を有し、前記ジェットは前記トーチの主軸と実質的に同一線上にある伝播軸を有し、前記プラズマトーチは注入装置に取り付けられ、前記注入装置の少なくとも1つの入口において前記ガス流または前記第1のガス流を受け取り、前記入口は前記プラズマトーチの下流に位置し、前記プラズマジェットとの混合を確実にするために、少なくとも部分的に前記プラズマジェットと接触できるように前記ガス流または前記第1のガス流を注入する。
【0028】
さらに、この合成ガスの製造方法の他の一実施形態によれば、前記長い反応器は前記注入装置の下流に位置し、それと連通しており、前記反応器は、前記プラズマジェットの伝播軸と実質的に同一線上にある縦軸を有する。
【0029】
さらに、この合成ガスの製造方法の他の一実施形態によれば、処理すべき前記ガス流は、室温を上回る温度で供給される。
【0030】
言い換えれば、処理すべきガス流は、製油、製鉄、または化学プロセスから生じ得るため、典型的には150℃未満の温度である高温のガスである。したがって、非移行式アークプラズマトーチを用いてプラズマジェットを生成するために、このガス流の一部をプラズマジーンガスとして用いることによって、その熱量を有利に保存できる。このとき、かかる実施形態によって、ガス流処理に必要な設備量がそれに応じて削減可能であり、したがって設備の小型化が確実になる。
【0031】
さらに、この合成ガスの製造方法の他の一実施形態によれば、ステップa)において、前記ガス流は大気圧を上回る圧力で供給されており、前記非移行式アークプラズマトーチに供給されるプラズマジーンガスは、前記反応器の稼働時の圧力に少なくとも等しいプラズマジェットを生成できる供給圧力Pralimである。
【0032】
言い換えれば、前記反応器は超過圧で動作しており、前記プラズマジェットは、前記反応器内を支配する圧力以上の圧力で生成される。
【0033】
さらに、この合成ガスの製造方法の他の一実施形態によれば、処理すべき前記ガス流は、10体積%~50体積%のCO2、および10体積%~50体積%のメタン(CH4)を含み、好ましくは主にCO2およびメタン(CH4)を含む。
【0034】
さらに、この合成ガスの製造方法の他の一実施形態によれば、前記ガス流または前記第1のガス流と、プラズマジェットとの間に乱流混合の領域を作り出すために、前記伝播軸とは別の方向に従って、前記ガス流または前記第1のガス流を注入する。
【0035】
さらに、この合成ガスの製造方法の他の一実施形態によれば、前記ガス流または前記第1のガス流は、前記反応器と連通している注入装置の中に注入されており、水蒸気などステップc)で得られる混合物の組成を調整する少なくとも1つの流体を、前記注入装置または前記反応器の中に注入する。
【0036】
例として、反応器内に水蒸気がある場合、一酸化炭素と遊離水素(H2)を生成するために炭素(C)が水(H2O)と反応し得る。
【0037】
好ましくは、前記少なくとも1つの流体は、前記反応器または前記注入装置の少なくとも1つの入口から注入される。
【0038】
本発明はまた、前述のような製造方法によって得られる合成ガスの処理方法に関する。本発明によれば、反応器から生じる合成ガスは、一酸化炭素(CO)と水素の混合物を含んでおり、ガス状の水素(H2)を生成するためにこの混合物を変換し、ガス状の水素(H2)を保管する。
【0039】
本発明はまた、前述のような製造方法によって得られる合成ガスの処理方法に関する。本発明によれば、反応器から生じる合成ガスは、一酸化炭素(CO)と水素の混合物を含んでおり、メタノールを生成するためにこの混合物を変換する。
【0040】
この処理によって、CO2分子を取り除き、2つのCH3OHを生成することができる。
【0041】
有利には、この変換に先立って、一酸化炭素(CO)と水素のモル混合物を、2:1または2.05:1の単位量あたりの比で生成し、次に、もっぱらメタノールを生成するためにこの混合物を変換する。
【0042】
本発明はまた、前述のような製造方法によって得られる合成ガスの処理方法に関する。本発明によれば、反応器から生じる合成ガスは、一酸化炭素(CO)と水素を含んでおり、アンモニアを生成するためにこの混合物を変換する。
【0043】
さらに、本発明は、CO2および1または複数の炭化水素を含むガス流の処理による合成ガスの製造方法に関する。
【0044】
本発明によれば、この方法は、
a)主にCO2および1または複数の炭化水素を含むガス流を供給するステップと、
b)非移行式アークプラズマトーチからプラズマジェットを生成するステップと、
c)前記プラズマトーチの下流において、前記ガス流を前記プラズマジェットに混合するステップと、
d)前記ガス流の合成ガスへの変換を確実にするために、前記混合物を長い反応器内に伝播するステップと
を含む。
【0045】
表現「主にCO2および1または複数の炭化水素を含むガス流」は、二酸化炭素および1または複数の炭化水素からなる集合が豊富な、すなわち30体積%を上回るCO2および1または複数の炭化水素なる集合、より良好には50体積%を上回るこの集合を含むガス流を意味する。ガス流の残りは、窒素、水蒸気、水素、または一酸化炭素など様々な化学種を含み得る。
【0046】
この合成ガスの製造方法の具体的な一実施形態によれば、ステップa)において、処理すべき前記ガス流を第1のガス流と第2のガス流に分離し、次にステップb)において、少なくとも前記第2のガス流をプラズマジーンガスとして用いて非移行式アークプラズマトーチからプラズマジェットを生成し、次にステップc)において、前記プラズマトーチの下流において前記第1のガス流を前記プラズマジェットと混合し、ステップd)において、前記第1のガス流と前記プラズマジェットの合成ガスへの変換を確実にするために、長い反応器内に前記混合物を伝播する。
【0047】
この合成ガスの製造方法の他の具体的な一実施形態によれば、プラズマトーチに供給している前記プラズマジーンガスは、前記第2のガス流のみからなる。
【0048】
さらに、この合成ガスの製造方法の他の具体的な一実施形態によれば、前記プラズマジェットを生成するために前記プラズマトーチに前記プラズマジーンガスを供給する場合、前記プラズマジーンガスは、前記第2のガス流中に含まれるタールなどの重炭化水素の露点を上回る温度である。
【0049】
本発明の他の利点、目的、および具体的な特徴は、以下に続く説明によって明らかになり、付属の図面に関しては、説明を目的とし、全く限定的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の具体的な一実施形態による合成ガスを製造するための、CO
2および1または複数の炭化水素からなる集合を含むガス流の処理装置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるCO
2およびメタン(CH
4)を含むガス流から水素を製造するための様々なステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
最初に、図が縮尺どおりになっていないことに留意されたい。
【0052】
図1は、本発明の具体的な一実施形態による、より少量のCO
2を含む合成ガスを製造するための、CO
2および1または複数の炭化水素からなる集合を含む産業ガス流の処理装置を概略的に表している。
【0053】
オンラインシステムを形成するこの処理装置は、反応器2がつながれた、処理すべきガス流の注入装置1を含む。
【0054】
この注入装置1および反応器2は、内部体積を壁で画定され、この壁は、内側は、例えばクロム/コランダムを主成分とする、高温耐性の耐熱材料で被覆されている。これらの耐熱材料は、特に熱損失を減少できる。
【0055】
注入装置1および反応器2は、ここでは金属材料で作製され、圧力下の流体外部循環回路によって冷却され、この流体は例えば脱塩水である。しかしながら、装置は、処理すべきガス流中に存在する粒子の凝縮する領域が構成されるような冷温地点を示さないように考案されている。
【0056】
この注入装置1は、非移行式アークプラズマトーチ3を含む。このトーチ3は、トーチ3の主軸と実質的に同一線上にある伝播軸5を有するプラズマジェット4を生成することを目的とする。
【0057】
かかるトーチ3の使用によって、非常に高い、典型的には利用するトーチの出力に応じて2000~5000℃の範囲の温度を示すプラズマジェット4が得られるだけではなく、注入装置1の内部体積とプラズマトーチ3との間の完全な独立も確実になる。
【0058】
ここでは、処理すべき産業ガス流は、あらかじめ第1のガス流6と第2のガス流7に分離されており、プラズマジェット4は、少なくともこの第2のガス流7をプラズマジーンガスとして用いて前記トーチ3から生成される。
【0059】
この注入装置1はまた、プラズマジェット4のすぐ近くに第1のガス流6を注入するために、プラズマトーチ3の下流に位置する入口8を含む。この入口8は、プラズマジェット4の伝播軸5とは別の方向に従った第1のガス流6の注入を確実にし、このプラズマジェットとこの第1のガス流6との間に乱流混合の領域を作り出すように構成されている。この乱流混合の領域によって、プラズマジェット4と第1のガス流6との間に緊密な混合が確保できる。この第1のガス流6は、ここでは、プラズマジェット4の伝播軸5に対して垂直に注入される。
【0060】
プラズマジェット4の伝播軸5は、第1および第2のガス流が反応の中枢となり、これらを合成ガスに変換するように誘導する反応器2の方に第1のガス流/プラズマジェット混合物を送るように方向を決定する。
【0061】
インジェクタ(図には示されていない)は、処理すべき第1のガス流とプラズマジェットの混合のときに生成された化学種の処理を補うために、1または複数の流体を注入するために注入装置1および/または反応器2に置く。これらのインジェクタは、例えば水蒸気などのガスの注入ノズルであり得る。
【0062】
反応器2はほぼ円筒形の長い形を示し、その下流部において合成ガスの出口9を含む。反応器2の円筒形の幾何学形状は、反応器2の壁のレベルにおいて第1のガス流/プラズマジェット混合物の速度を有利に制限するために考案されており、この速度は、トーチ3の出口におけるプラズマジェットの速度によって誘導される(典型的には約400m/s)。
【0063】
この反応器2の縦軸は、このプラズマジェット4と反応器2の壁との接触を制限するように、プラズマジェット4の伝播軸5と実質的に同一線上にある。
【0064】
この反応器2は、合成ガスへの変換のために産業ガス流の熱または熱化学変換の領域を構成する。この反応器2、または炉の長さは、合成すべきまたは処理すべき材料の滞留時間、熱化学反応の完了に必要な滞留時間を最適化するように決定される。
【0065】
図2は、本発明の実施によって水素を生成する主要なステップを概略的に示している。
【0066】
処理すべきガス流10は、二酸化炭素(CO2)およびメタン(CH4)を含んでおり、特に2COおよび2H2を生成するために上記処理装置11内に注入される。処理後の操作12によって、一酸化炭素と水素が分離できる。
【0067】
このようにして、CO2の除去、および13に保管される2H2の生成が得られる。
【符号の説明】
【0068】
1 注入装置
2 反応器
3 (非移行式アーク)プラズマトーチ
4 プラズマジェット
5 伝播軸
6 第1のガス流
7 第2のガス流
8 入口
9 出口
10 ガス流
11 処理装置
12 処理後の操作
13 保管