IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧 ▶ ユーリッヒ リサーチ センターの特許一覧

特許7403536キュービット・ポート応答の外部ポート測定
<>
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図1
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図2
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図3
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図4
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図5
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図6
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図7
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図8
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図9
  • 特許-キュービット・ポート応答の外部ポート測定 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】キュービット・ポート応答の外部ポート測定
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/01 20230101AFI20231215BHJP
   G06N 10/00 20220101ALI20231215BHJP
   G06F 7/38 20060101ALI20231215BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231215BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H10N60/01 Z
G06N10/00
G06F7/38 510
H01L27/04 U
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021510826
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019070492
(87)【国際公開番号】W WO2020043415
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-12-22
(31)【優先権主張番号】16/117,255
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】521077956
【氏名又は名称】ユーリッヒ リサーチ センター
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ソルグン、フィラット
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィンセンツォ、デイビッド
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/008049(WO,A1)
【文献】特表2019-517069(JP,A)
【文献】特開2006-331249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0280427(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0026107(US,A1)
【文献】SOLGUN, Firat et al.,Simple Impedance Response Formulas for the Dispersive Interaction Rates in the Effective Hamiltonians of Low Anharmonicity Superconducting Qubits,IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES,VOL. 67, NO. 3,2019年03月05日,pp. 928-948,DOI: 10.1109/TMTT.2019.2893639
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/01
G06N 10/00
G06F 7/38
H01L 21/822、27/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
気的に終端させた1つまたは複数のキュービット・ポートに基づいて、1つまたは複数の外部ポート応答を、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって決定することと、
前記1つまたは複数の外部ポート応答に基づいて、1つまたは複数のキュービット・ポート応答を前記システムによって決定することと
を含み、
前記1つまたは複数のキュービット・ポート応答は、前記1つまたは複数のキュービット・ポートと1つまたは複数の外部ポートとの間の関係を表す非対角線要素を有するアドミタンス行列であり、
前記アドミタンス行列を決定するための測定値の総数は次式で表され、
【数1】
j は、前記1つまたは複数のキュービット・ポートの接点の総数である、
コンピュータ実装方法。
【請求項2】
プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、1つまたは複数のキュービット・ポートを種々の電気接続で終端させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記終端させることが、前記システムによって、前記1つまたは複数のキュービット・ポートを開回路、短絡回路、またはシャントのうちの少なくとも1つで終端させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記終端させることが、
前記システムによって、第1のキュービット・ポートを開回路で終端させることと、
前記システムによって、第2のキュービット・ポートを短絡回路で終端させることとを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記終端させることが、
システムによって、第1のキュービット・ポートをシャントで終端させることと、
システムによって、第2のキュービット・ポートを短絡回路で終端させることとを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記終端させることが、前記1つまたは複数のキュービット・ポートのうちの少なくとも1つを、インダクタ、有限インダクタ、有限線形インダクタ、ダイオード、および電気抵抗器からなるグループから選択したシャントで、前記システムによって終端させることを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数のキュービット・ポートのうちの少なくとも2つに対応するマルチポート・アドミタンス関数を前記システムによって決定することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記外部ポート応答に基づいて、外部アドミタンス関数を前記システムによって決定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記1つまたは複数のキュービット・ポートのアドミタンス関数またはインピーダンス関数のうちの少なくとも1つを前記システムによって決定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記システムによって、それぞれのキュービットの終端間の1つまたは複数のキュービット・ポートを定義することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
システムであって、
コンピュータ実行可能コンポーネントを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶した前記コンピュータ実行可能コンポーネントを実行するプロセッサとを備え、前記コンピュータ実行可能コンポーネントが、前記プロセッサによって実行されると、請求項1ないし10のいずれかに記載の方法をシステムに実施させる、システム。
【請求項12】
コンピュータ・プログラムであって、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるための、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主題の開示は、超電導量子回路に関し、より詳細には、キュービット・ポート応答の外部ポート測定に関する。
【背景技術】
【0002】
量子計算は、一般に、計算および情報処理機能を実施するために、量子力学的現象を使用する。量子計算は、伝統的な計算とは対照的なものとみなすことができ、一般に、トランジスタによる2進値で動作する。すなわち、伝統的なコンピュータは、0または1のビット値で動作することができるが、量子コンピュータは、0と1両方の重ね合わせを含み、複数の量子ビットをもつれさせることができ、干渉を使用する量子ビットで動作する。
【0003】
量子計算ハードウェアは、伝統的なコンピューティング・ハードウェアとは異なる可能性がある。具体的には、超電導量子回路は、一般に、半導体デバイス内に作ることができるジョセフソン接合に依存する。ジョセフソン接合は、一般に、電圧を印加しなくても、電流がジョセフソン接合を横切って無限に流れることができる超電流のジョセフソン効果を示す。ジョセフソン接合は、例えば、トンネル障壁によって、2つの超電導体(抵抗なく電気を電導する材料)を弱く結合することによって作り出すことができる。
【0004】
量子計算にジョセフソン接合を使用することができる1つの方式は、超電導回路にジョセフソン接合を埋め込んで、量子ビット(キュービット)を形成することによるものである。ジョセフソン接合を分路コンデンサと並列に配置することによって、ジョセフソン接合を使用してキュービットを形成することができる。複数のこのようなキュービットは、半導体デバイス上に作られた超電導量子回路上に配置することができる。キュービットは、最近接キュービットに結合できるように、格子(例えば、グリッド)状に配置することができる。最近接キュービットに結合したキュービットのこのような配置が、量子計算アーキテクチャを構成する。既存の量子計算アーキテクチャの例は、量子表面符号アーキテクチャであり、量子表面符号アーキテクチャは、キュービットの量子情報を読み出すこと(キュービットの量子論理状態をアドレス指定すること、または読み出すこととも呼ばれる)を容易にする、それぞれのキュービットに結合されたマイクロ波読出し共振器をさらに備えることができる。このような量子表面符号アーキテクチャを半導体デバイス上で統合して、統合型量子プロセッサを形成することができ、統合型量子プロセッサは、伝統的な計算デバイス(例えば、汎用コンピュータ、特殊用途のコンピュータ、等)によって実行できるものよりも、かなり複雑な計算および情報処理機能を実行することができる。
【0005】
超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)は、例えば、ジョセフソン接合の終端間といった、キュービットの終端間に定義することができる内部ポート(例えば、キュービット・ポート)を備えることができる。本明細書で参照するように、キュービット・ポートは、ジョセフソン接合の終端間に定義することができる内部集中ポートを備えることができる。内部ポート(例えば、キュービット・ポート)は、例えば、ポート応答関数(例えば、インピーダンス行列、アドミタンス行列、等)などの情報を決定するためにプローブ(probe)することができる。キュービットのプローブ(例えば、キュービット・ポートのプローブ)から得られたこのような情報を利用して、例えば、回路量子電気力学(回路-QED:circuit quantum electrodynamic)系のハミルトニアンを構築すること、キュービット間の交換結合率を決定すること、または、複数のキュービットに対応する伝統的なクロストーク測定を決定すること、あるいはその組合せを行うことができる。本明細書で参照するように、ハミルトニアンは、系(例えば、回路-QED)の全エネルギーに相当し得る演算子を含むことができ、ここで、ハミルトニアンのスペクトルは、系の全エネルギーの測定から生じ得る可能な結果のセットを含むことができる。
【0006】
内部ポート(例えば、キュービットのキュービット・ポート)のプローブに関する問題は、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にあるこのようなポートへのアクセスの難しさである。例えば、キュービット・ポートなどの、内部ポートのプローブに関する別の問題は、このような終端の大きさが小さいことによる、キュービットの1つまたは複数の終端(例えば、ジョセフソン接合終端)に無線周波数(RF)プローブを非侵襲的に物理接続する難しさである。
【0007】
既存の超電導量子系は、内部ポート(例えば、キュービット・ポート)および外部ポートを定義することによって、ポート応答関数からハミルトニアンを構築する。いくつかの従来技術系は、キュービット・ポートで見られる系の応答が、超電導デバイスの完全なハミルトニアンを構築するのにどの程度十分であるかを示す。このような従来技術系では、キュービット・ポートで見られるポート応答関数(例えば、インピーダンス行列、アドミタンス行列、等)を、電磁気シミュレーション・ソフトウェア・システムで計算するために仮定する。このような従来技術系に関する問題は、超電導キュービット回路の量子ハミルトニアン・モデルの取得または検証あるいはその両方を行うために使用することができる、外部ポートにおいて測定したポート応答関数からの内部(キュービット)ポート応答の抽出を、従来技術系が開示できないことである。
【発明の概要】
【0008】
以下は、本発明の1つまたは複数の実施形態を基本的に理解するための概要を提示する。この概要は、主要もしくは重要な要素を識別すること、または、特定の実施形態のいずれかの範囲、もしくは、特許請求の範囲のいずれかの範囲を詳しく説明することを意図するものではない。その唯一の目的は、後で提示する、より詳細な説明への前置きとして、単純な形で概念を提示することである。本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態では、キュービット・ポート応答の外部ポート測定を容易にするデバイス、システム、コンピュータ実装方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せを説明する。
【0009】
1つの実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、1つまたは複数のキュービット・ポートを種々の電気接続で終端させることを含むことができる。コンピュータ実装方法は、終端させることに基づいて、外部ポート応答からの1つまたは複数のキュービット・ポート応答をシステムによって決定することを含むこともできる。このようなコンピュータ実装方法の長所は、このようなプローブを容易にするために、キュービットのキュービット・ポートに直接的にアクセスするのではなく、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にあるキュービットを、外部ポート(例えば、このような超電導量子デバイスの外部にあるポート)を使用してプローブするために、この方法を用いることができることである。
【0010】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、1つまたは複数のキュービット・ポートのうちの少なくとも2つに対応するマルチポート・アドミタンス関数をシステムによって決定することをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実装方法の長所は、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にある不定量のキュービットの不定量のキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定するために、この方法を用いることができることであり、これにより、このような超電導量子デバイスの内部にあるこのような不定量のキュービットを外部でプローブするために実装することができるキュービット・プローブ・システムのスケーラビリティが可能になる。
【0011】
別の実施形態によれば、システムは、コンピュータ実行可能コンポーネントを記憶するメモリと、メモリに記憶したコンピュータ実行可能コンポーネントを実行するプロセッサとを備えることができる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、1つまたは複数のキュービット・ポートを種々の電気接続で終端させることができる終端コンポーネントを備えることができる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、1つまたは複数の終端させたキュービット・ポートに基づいて、外部ポート応答からの1つまたは複数のキュービット・ポート応答を決定することができる計算コンポーネントをさらに備えることができる。このようなシステムの長所は、このようなプローブを容易にするために、キュービットのキュービット・ポートに直接的にアクセスするのではなく、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にあるキュービットを、外部ポート(例えば、このような超電導量子デバイスの外部にあるポート)を使用してプローブするために、このシステムを用いることができることである。
【0012】
いくつかの実施形態では、計算コンポーネントは、1つまたは複数のキュービット・ポートのアドミタンス関数またはインピーダンス関数のうちの少なくとも1つをさらに決定することができる。このようなシステムの長所は、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にある不定量のキュービットの不定量のキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定するために、このシステムを用いることができることであり、これにより、このような超電導量子デバイスの内部にあるこのような不定量のキュービットを外部でプローブするために実装することができるキュービット・プローブ・システムのスケーラビリティが可能になる。
【0013】
別の実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、1つまたは複数の電気的に終端させたキュービット・ポートに基づいて、1つまたは複数の外部ポート応答を、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって決定することを含むことができる。コンピュータ実装方法は、1つまたは複数の外部ポート応答に基づいて、1つまたは複数のキュービット・ポート応答をシステムによって決定することをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実装方法の長所は、このようなプローブを容易にするために、キュービットのキュービット・ポートに直接的にアクセスするのではなく、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にあるキュービットを、外部ポート(例えば、このような超電導量子デバイスの外部にあるポート)を使用してプローブするために、この方法を用いることができることである。
【0014】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、少なくとも2つのキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数をシステムによって決定することをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実装方法の長所は、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にある不定量のキュービットの不定量のキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定するために、この方法を用いることができることであり、これにより、このような超電導量子デバイスの内部にあるこのような不定量のキュービットを外部でプローブするために実装することができるキュービット・プローブ・システムのスケーラビリティが可能になる。
【0015】
別の実施形態によれば、コンピュータ・プログラム製品は、キュービット・ポート応答プロセスの外部ポート測定を容易にすることができる。コンピュータ・プログラム製品は、プログラム命令が具現化されたコンピュータ可読記憶媒体を備えることができ、プログラム命令は、1つまたは複数の電気的に終端させたキュービット・ポートに基づいて、1つまたは複数の外部ポート応答をプロセッサによって決定することをプロセッサに行わせるように、プロセッサによって実行可能であることが可能である。プログラム命令は、1つまたは複数の外部ポート応答に基づいて、1つまたは複数のキュービット・ポート応答をプロセッサによって決定することをプロセッサに行わせるようにさらに実行可能であることが可能である。このようなコンピュータ・プログラム製品の長所は、このようなプローブを容易にするために、キュービットのキュービット・ポートに直接的にアクセスするのではなく、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にあるキュービットを、外部ポート(例えば、このような超電導量子デバイスの外部にあるポート)を使用してプローブするために、このコンピュータ・プログラム製品を用いることができることである。
【0016】
いくつかの実施形態では、プログラム命令は、少なくとも2つのキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数をプロセッサによって決定することをプロセッサに行わせるように実行可能であることも可能である。このようなコンピュータ・プログラム製品の長所は、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にある不定量のキュービットの不定量のキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定するために、このコンピュータ・プログラム製品を用いることができることであり、これにより、このような超電導量子デバイスの内部にあるこのような不定量のキュービットを外部でプローブするために実装することができるキュービット・プローブ・システムのスケーラビリティが可能になる。
【0017】
別の実施形態によれば、コンピュータ実装方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、1つまたは複数のキュービット・ポートを種々の電気接続で終端させることを含むことができる。コンピュータ実装方法は、終端させることに基づいて、外部ポート応答とキュービット・ポート応答との間の関係をシステムによって決定することをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実装方法の長所は、このようなプローブを容易にするために、キュービットのキュービット・ポートに直接的にアクセスするのではなく、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にあるキュービットを、外部ポート(例えば、このような超電導量子デバイスの外部にあるポート)を使用してプローブするために、この方法を用いることができることである。
【0018】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、1つまたは複数のキュービット・ポートのうちの少なくとも2つに対応するマルチポート・アドミタンス関数をシステムによって決定することをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実装方法の長所は、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にある不定量のキュービットの不定量のキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定するために、この方法を用いることができることであり、これにより、このような超電導量子デバイスの内部にあるこのような不定量のキュービットを外部でプローブするために実装することができるキュービット・プローブ・システムのスケーラビリティが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なシステムのブロック図である。
図2】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なシステムのブロック図である。
図3】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なシステムのブロック図である。
図4】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法の流れ図である。
図5】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法の流れ図である。
図6】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法の流れ図である。
図7】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法の流れ図である。
図8】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法の流れ図である。
図9】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法の流れ図である。
図10】本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる実例の非限定的な動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明は例証にすぎず、実施形態の実施形態、または、用途もしくは使用、あるいはその両方を限定することを意図するものではない。さらに、背景技術もしくは発明の概要セクション、または発明を実施するための形態セクションで提示したいずれかの表現した、または意味した情報で束縛されるという意図はない。
【0021】
図面を参照しながら1つまたは複数の実施形態を次に説明し、図面では、同様の参照番号を使用して、同様の要素を全体にわたって指す。以下の説明では、説明のために、1つまたは複数の実施形態をより完全に理解するために、非常に多くの具体的詳細を示す。それでも、様々なケースで、これらの具体的詳細がなくても1つまたは複数の実施形態を実践することができることがはっきりわかる。
【0022】
超電導量子デバイスの内部にあるキュービットに直接的にアクセスして、このようなキュービットをプローブしなければならない既存のキュービット・プローブ・システムに関する上記の問題を考慮して、本開示は、このような超電導量子デバイスの外部にあるポートにアクセスして、このようなデバイスの内部にあるキュービットをプローブする形で、この問題に対する解決策をもたらすために実装することができる。本明細書で説明した本開示の長所は、このようなプローブを容易にするために、キュービットのキュービット・ポートに直接的にアクセスするのではなく、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ、等)の内部にあるキュービットを、外部ポート(例えば、このような超電導量子デバイスの外部にあるポート)を使用してプローブするために、この方法を用いることができることである。本開示のもう1つの長所は、超電導量子デバイス(例えば、超電導量子チップ、量子プロセッサ)の内部にある不定量のキュービットの不定量のキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定するために、この方法を用いることができることであり、これにより、このような超電導量子デバイスの内部にあるこのような不定量のキュービットを外部でプローブするために実装することができるキュービット・プローブ・システムのスケーラビリティが可能になる。
【0023】
図1は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なシステム100のブロック図を示す。いくつかの実施形態によれば、システム100は、キュービット・ポート測定システム102、1つもしくは複数の超電導チップ114、1つもしくは複数の外部ポート120a、120b、120n(ここで、「n」は、外部ポートのそれぞれの総数を表すことができる)、または外部電子デバイス122、あるいはその組合せを備えることができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、メモリ104、プロセッサ106、終端コンポーネント108、計算コンポーネント110、またはバス112、あるいはその組合せを備えることができる。いくつかの実施形態では、超電導チップ114は、1つまたは複数のキュービット116a、116b、116nを備えることができ、これらのキュービットは、1つまたは複数のキュービット・ポート118a、118b、118nをそれぞれ備えることができ、ここで、「n」は、このようなコンポーネントのそれぞれの総数を表すことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、システム100の様々なコンポーネントを、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して、通信的に、電気的に、または動作可能なように、あるいはその組合せで連結することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102、超電導チップ114、キュービット116a、116b、116n、キュービット・ポート118a、118b、118n、外部ポート120a、120b、120n、または外部電子デバイス122、あるいはその組合せを、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して、通信的に、電気的に、または動作可能なように、あるいはその組合せで連結することができる。いくつかの実施形態では、線形パッシブ・マイクロ波構造124は、マイクロ波周波数信号の伝送を容易にすることができる線形パッシブ・マイクロ波構造を備えることができる。例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造は、同軸線(例えば、50Ohm線)、伝送回線、バス(例えば、共振バス)、導波路、マイクロ波共振器、または別の線形パッシブ・マイクロ波構造、あるいはその組合せを備えることができる。
【0025】
本明細書で開示した様々な図に描写した主題の開示の実施形態は、例証のためにすぎず、したがって、このような実施形態のアーキテクチャは、図に描写したシステム、デバイス、またはコンポーネント、あるいはその組合せに限定されないということを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、システム100、キュービット・ポート測定システム102、超電導チップ114、または外部電子デバイス122、あるいはその組合せは、動作環境1000および図10を参照しながら本明細書で説明する様々なコンピュータ、またはコンピュータ・ベースの要素、あるいはその両方をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、このようなコンピュータ、またはコンピュータ・ベースの要素、あるいはその両方は、本明細書で開示した図1または他の図に関連して示し、説明するシステム、デバイス、コンポーネント、またはコンピュータ実装動作、あるいはその組合せの1つまたは複数の実装に関連して使用することができる。
【0026】
主題の開示は、キュービットおよびキュービット・ポート(内部ポート)に関して本明細書で説明するが、主題の開示の実施形態は、決して限定されない(例えば、キュービットに限定されない)ということを理解されたい。例えば、主題の開示(例えば、システム100、キュービット・ポート測定システム102、等)を用いると、関心のある終端間に定義された内部集中ポートの他のいくつかのタイプ(例えば、システムの内部にあり、直接的にアクセス可能ではない内部集中ポート)で見られる(例えば、超電導量子システム、超電導キュービット回路、等ではない)他の様々なシステムの応答を、内部ポートを直接的にプローブするのではなく、(測定電子機器にとってアクセス可能なポートにおいて)外部測定だけを行うことによって、抽出することができ、その結果、これらの内部ポートで見られる応答を決定できるようになる。
【0027】
複数の実施形態によれば、メモリ104は、プロセッサ106によって実行されると、実行可能なコンポーネントまたは命令あるいはその両方によって定義された動作の実施を容易にすることができる、1つまたは複数のコンピュータまたはマシンあるいはその両方が読込み可能な、書込み可能な、または実行可能な、あるいはその組合せのコンポーネントまたは命令あるいはその両方を記憶することができる。例えば、メモリ104は、プロセッサ106によって実行されると、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、計算コンポーネント110、超電導チップ114、キュービット116a、116b、116n、キュービット・ポート118a、118b、118n、外部ポート120a、120b、120n、または外部電子デバイス122、あるいはその組合せに関する本明細書で説明する様々な機能の実行を容易にすることができる、コンピュータまたはマシンあるいはその両方が読込み可能な、書込み可能な、または実行可能な、あるいはその組合せのコンポーネントまたは命令あるいはその両方を記憶することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、メモリ104は、揮発性メモリ(例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、等)、または不揮発性メモリ(例えば、リード・オンリ・メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、等)、あるいはその両方を備えることができ、1つまたは複数のメモリ・アーキテクチャを用いることができる。メモリ104のさらなる例を、システム・メモリ1016および図10を参照しながら下記で説明する。メモリ104のこのような例は、主題の開示のいずれかの実施形態を実装するために用いることができる。
【0029】
複数の実施形態によれば、プロセッサ106は、メモリ104に記憶することができる、1つまたは複数のコンピュータまたはマシンあるいはその両方が読込み可能な、書込み可能な、または実行可能な、あるいはその組合せのコンポーネントまたは命令あるいはその両方を実行することができるプロセッサまたは電子回路機器あるいはその両方の1つまたは複数のタイプを含むことができる。例えば、プロセッサ106は、ロジック、制御、入出力(I/O)、算術、または同様のもの、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない、このようなコンピュータまたはマシンあるいはその両方が読込み可能な、書込み可能な、または実行可能な、あるいはその組合せのコンポーネントまたは命令あるいはその両方によって指定することができる様々な動作を実施することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ106は、1つまたは複数の中央処理装置、マルチコア・プロセッサ、マイクロプロセッサ、デュアル・マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、システム・オン・チップ(SOC)、アレイ・プロセッサ、ベクトル・プロセッサ、または別のタイプのプロセッサ、あるいはその組合せを含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、キュービット・ポート測定システム102、メモリ104、プロセッサ106、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せは、システム100、キュービット・ポート測定システム102、またはバス112に連結された任意のコンポーネント、あるいはその組合せの機能を実施するために、バス112を介して互いに通信的に、電気的に、または動作可能なように、あるいはその組合せで連結することができる。いくつかの実施形態では、バス112は、1つまたは複数のメモリ・バス、メモリ・コントローラ、周辺機器バス、外部バス、ローカル・バス、または、様々なバス・アーキテクチャを用いることができる別のタイプのバス、あるいはその組合せを含むことができる。バス112のさらなる例を、システム・バス1018および図10を参照しながら下記で説明する。バス112のこのような例は、主題の開示のいずれかの実施形態を実装するために用いることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、プロセッサ106によって実行されると、このようなコンポーネントまたは命令あるいはその両方によって定義された動作の実施を容易にすることができる、1つまたは複数のコンピュータまたはマシンあるいはその両方が読込み可能な、書込み可能な、または実行可能な、あるいはその組合せのコンポーネントまたは命令あるいはその両方を含むことができる。さらに、多くの実施形態では、主題の開示の様々な図への参照の有無にかかわらず本明細書で説明するような、キュービット・ポート測定システム102に関連したいずれかのコンポーネントは、プロセッサ106によって実行されると、このようなコンポーネントまたは命令あるいはその両方によって定義された動作の実施を容易にすることができる、1つまたは複数のコンピュータまたはマシンあるいはその両方が読込み可能な、書込み可能な、または実行可能な、あるいはその組合せのコンポーネントまたは命令あるいはその両方を含むことができる。例えば、終端コンポーネント108、計算コンポーネント110、ならびに/または、(例えば、キュービット・ポート測定システム102によって通信的に、電子的に、および/もしくは動作可能に結合され、および/もしくは用いられる)本明細書で開示したようなキュービット・ポート測定システム102に関連した他の任意のコンポーネントは、このようなコンピュータまたはマシンあるいはその両方が読込み可能な、書込み可能な、または実行可能な、あるいはその組合せのコンポーネントまたは命令あるいはその両方を含むことができる。必然的に、多くの実施形態によれば、本明細書で開示したようなキュービット・ポート測定システム102、またはキュービット・ポート測定システム102に関連した任意のコンポーネント、あるいはその両方は、プロセッサ106を用いて、このようなコンピュータまたはマシンあるいはその両方が読込み可能な、書込み可能な、または実行可能な、あるいはその組合せのコンポーネントまたは命令あるいはその両方を実行し、キュービット・ポート測定システム102、またはキュービット・ポート測定システム102に関連した任意のこのようなコンポーネント、あるいはその両方を参照しながら本明細書で説明する1つまたは複数の動作の実施を容易にすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102、超電導チップ114、または外部電子デバイス122、あるいはその組合せは、プロセッサを備えること、ならびに/または、有線および/もしくはワイヤレス・ネットワークとの効果的および/もしくは動作的な通信能力があることが可能な、コンポーネント、マシン、デバイス、設備、装置、または計器、あるいはその組合せのいずれかのタイプを含むことができる。全てのこのような実施形態を想定する。例えば、キュービット・ポート測定システム102、超電導チップ114、または外部電子デバイス122、あるいはその組合せは、サーバ・デバイス、計算デバイス、汎用コンピュータ、特殊用途のコンピュータ、タブレット型計算デバイス、ハンドヘルドデバイス、サーバ・クラス・コンピューティング・マシン、ならびに/またはデータベース、ラップトップ・コンピュータ、ノートブック・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、セル・フォン、スマート・フォン、コンシューマ・アプライアンスおよび/もしくは器械類、産業用および/もしくは市販用デバイス、デジタル・アシスタント、マルチメディア・インターネット対応電話、マルチメディア・プレーヤ、ならびに/または別のタイプのデバイスを含むことができる。
【0033】
複数の実施形態によれば、超電導チップ114は、超電導量子チップを含むことができる。例えば、超電導チップ114は、半導体デバイス(例えば、シリコン基板)上に製造した1つまたは複数の超電導量子ビット回路(キュービット回路)を含むことができる。いくつかの実施形態では、超電導チップ114は、キュービット116a、116b、116nを結合することができる1つまたは複数の超電導キュービット回路を備えることができる。例えば、超電導チップ114は、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して互いに(例えば、通信的に、電気的に、動作可能なように、等で)連結した、キュービット116a、116b、116nを備える1つまたは複数の超電導キュービット回路を備えることができる。例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124は、キュービット・ポート118a、118b、118nを互いに結合することができる。いくつかの実施形態では、超電導チップ114またはそのコンポーネントあるいはその両方は、プリント回路基板(図1に図示せず)に連結することができる。例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124は、超電導チップ114、キュービット116a、116b、116n、またはキュービット・ポート118a、118b、118n、あるいはその組合せをプリント回路基板に(例えば、通信的に、電気的に、動作可能なように、等で)連結することができる。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、キュービット116a、116b、116nは、様々なタイプの量子ビット(キュービット)を含むことができる。例えば、キュービット116a、116b、116nは、トランスモン・キュービット(transmon qubit)、電荷キュービット、磁束キュービット、位相キュービット、または別のタイプのキュービット、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されないキュービットを含むことができ、ここで、集中ポート(キュービット・ポート)は、キュービットの設計時に使用されるジョセフソン接合の終端間に定義することができる。いくつかの実施形態では、キュービット116a、116b、116nは、1つまたは複数のジョセフソン接合を有するキュービットを含むことができる。例えば、キュービット116a、116b、116nは、単一のジョセフソン接合を有するトランスモン・キュービットを含むことができる。別の例では、キュービット116a、116b、116nは、例えば、2つのジョセフソン接合からなる超電導量子干渉素子(SQUID:Superconducting Quantum Interference Device)ループを有するトランスモン・キュービットなどの、複数のジョセフソン接合を有するトランスモン・キュービットを含むことができ、キュービット周波数は、SQUIDループにフラックス・バイアスを印加することによって調節することができる。別の例では、キュービット116a、116b、116nは、容量シャント型磁束キュービット(CSFQ:Capacitively Shunted Flux Qubit)を含むことができる。
【0035】
本明細書で参照するように、ジョセフソン接合は、超電流のジョセフソン効果を示す超電導コンポーネントを含むことができ、ここで、電流は、電圧を印加しなくてもジョセフソン接合を横切って無期限に流れることができる。例えば、ジョセフソン接合は、例えば、酸化アルミニウム(Al)などの、非超電導の非電導材料を含むことができるトンネル障壁(またはトンネル層)を使用して、2つの超電導体(例えば、容量パッド)を(例えば、通信的に、電気的に、動作可能なように、等で)弱く連結することによって作り出すことができる。
【0036】
複数の実施形態によれば、キュービット・ポート118a、118b、118nは、キュービットの終端間に定義することができる超電導チップ114の内部ポートを含むことができる。例えば、キュービット・ポート118a、118b、118nは、キュービット116a、116b、116nのそれぞれの終端間に定義することができる超電導チップ114の内部ポートを含むことができる。例えば、キュービット・ポート118a、118b、118nは、トランスモン・キュービット(例えば、キュービット116a、116b、116n)のジョセフソン接合の終端間に定義することができる内部ポートを含むことができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート118a、118b、118nは、例えば、接続した接点がない複数の実施形態では(例えば、主題の開示のシミュレートした実施形態、数学的概念の実施形態、等では)、ジョセフソン接合がなくても存在することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のキュービット・ポートに様々な情報が存在し得る。例えば、1つまたは複数のキュービット・ポート118a、118b、118nにマイクロ波応答関数(ポート応答関数)が存在し得る。いくつかの実施形態では、このような情報を利用して、回路量子電気力学(回路-QED)系に対応する他の情報を決定することができる。例えば、1つまたは複数のキュービット・ポート118a、118b、118nにある情報を利用して、回路-QED系のハミルトニアンを構築することができる。別の例では、このような情報を利用して、キュービット(例えば、キュービット116a、116b、116n)間の交換結合率、または1つもしくは複数のキュービット(例えば、キュービット116a、116b、116n)に対応する伝統的なクロストーク測定、あるいはその両方を決定することができる。
【0038】
1つまたは複数のキュービット・ポートにある情報の取得は、困難になり得ることを理解されたい。例えば、このようなキュービット・ポートに直接的に(物理的に)アクセスすることによるキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)におけるマイクロ波応答関数の直接的な測定は、キュービットのジョセフソン接合に無線周波数(RF)プローブを非侵襲的に接続するという難題により、困難になり得る。それでも、下記で説明するいくつかの実施形態では、主題の開示の長所は、キュービット・ポート測定システム102が1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにアクセスすることによって、1つまたは複数のキュービット・ポート118a、118b、118nにある情報を抽出できることである。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、外部ポート120a、120b、120nは、例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124などの、信号搬送線上に定義することができる外部ポートを含むことができる。例えば、外部ポート120a、120b、120nは、線形パッシブ・マイクロ波構造124の断面上に定義することができる外部ポートを含むことができる。例えば、外部ポート120a、120b、120nは、超電導チップ114、キュービット116a、116b、116n、またはキュービット・ポート118a、118b、118n、あるいはその組合せを行き来するマイクロ波周波数信号(マイクロ波信号)を伝送することができる50Ohm線の断面上に定義することができる。
【0040】
複数の実施形態によれば、外部電子デバイス122は、単一周波数(単一色調)のマイクロ波信号を伝送し、単一周波数の反射されたマイクロ波信号を受け取ることができる任意の外部電子デバイスを含むことができる。例えば、外部電子デバイス122は、ベクトル・ネットワーク分析器(VNA:vector network analyzer)を備えることができ、VNAは、超電導チップ114、キュービット116a、116b、116n、またはキュービット・ポート118a、118b、118n、あるいはその組合せに(例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して)単一周波数のマイクロ波信号を伝送することができ、このようなコンポーネントによって反射された単一周波数のマイクロ波信号を受け取ることができる。この例では、単一周波数のマイクロ波信号をこのように伝送すると、キュービット116a、116b、116nをプローブすることになる。
【0041】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、超電導キュービット回路における1つまたは複数のキュービットのキュービット応答を抽出することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、超電導チップ114上の超電導キュービット回路における1つまたは複数のキュービット116a、116b、116nのキュービット応答(本明細書ではキュービット応答関数とも呼ばれる)を抽出することができ、ここで、このようなキュービット応答は、このようなキュービットの1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)に存在し得る。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、アドミタンス関数(行列)、マルチポート・アドミタンス関数(行列)、インピーダンス関数(行列)、または別のマイクロ波ポート応答、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されないマイクロ波ポート応答(キュービット応答またはキュービット応答関数)を抽出することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、キュービット応答(キュービット応答関数)の抽出を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、1つまたは複数の行列式によって表された1つまたは複数の線形関数(式)を用いることができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにおいて取得した外部ポート応答と、1つまたは複数のキュービット・ポート118a、118b、118nにあるキュービット・ポート応答との間の関係(例えば、線形関係)を表すことができる行列式によって表された1つまたは複数の線形関数を用いることができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、下記で示し、説明する式(1)から(16)を用いて、外部ポート応答とキュービット・ポート応答の間のこのような関係(例えば、線形関係)を決定することができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、式(1)から(16)を用いて、下記で示し、説明する式(2)におけるアドミタンス行列(Y)の全てのパラメータ(要素、エントリ)を決定することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、式(1)から(16)を用いて、対角線キュービット・ポート要素(例えば、YJ1およびYJ2)、ならびに非対角線キュービット・ポート要素(例えば、YJ1,J2、Y1,J1、Y1,J2、Y2,J1、Y2,J2、等)を決定することができ、これらの要素は、キュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)と外部ポート(例えば、外部ポート120a、120b、120n)との間の接続(例えば、関係)を表すことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、(ここでは簡単に説明されるが、下記で詳細に説明される)一連の動作を実施して、このようなシステムの1つまたは複数の外部ポートにおいて決定した外部ポート応答に基づいて、回路-QED系の1つまたは複数のキュービットのキュービット応答(キュービット応答関数)の抽出を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、1つもしくは複数のタイプの電気接続、またはこれらの組合せ、あるいはその両方(例えば、開回路、短絡回路、シャント、等)を使用して、1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)を終端させることができる。いくつかの実施形態では、このようなキュービット・ポートの終端に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、1つまたは複数の外部ポート(例えば、外部ポート120a、120b、120n)におけるマイクロ波周波数信号を測定することができる。いくつかの実施形態では、このような測定に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、外部ポート応答関数(例えば、行列、またはこのような行列の要素、あるいはその両方)を決定することができる。いくつかの実施形態では、このような外部ポート応答関数に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、式(1)から(16)を参照しながら下記で説明する様々な数学演算を実施して、例えば、対角線キュービット・ポート要素(例えば、YJ1およびYJ2)、ならびに非対角線キュービット・ポート要素(例えば、YJ1,J2、Y1,J1、Y1,J2、Y2,J1、Y2,J2、等)などの、式(2)におけるアドミタンス行列(Y)の全てのパラメータ(要素、エントリ)について解くことによって、このような外部ポート応答関数とキュービット・ポート応答関数との間の関係(例えば、線形関係)を決定することができる。いくつかの実施形態では、このような外部ポート応答関数とキュービット・ポート応答関数との間の関係を決定すると、キュービット・ポート測定システム102は、(キュービット・ポートにアクセスするのとは対照的に)システムの外部ポートだけにアクセスすることによって、このようなキュービット・ポート応答関数を決定することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、式(2)におけるアドミタンス行列(Y)の全てのパラメータ(要素、エントリ)がわかるまで、上記で簡単に説明した(また、下記で詳細に説明する)動作を実施することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、開回路、短絡回路、シャント、もしくはこれらの組合せ、またはその組合せを使用して、1つまたは複数のキュービット・ポート(キュービット・ポート118a、118b、118n)を終端させること、外部ポート(外部ポート120a、120b、120n)におけるマイクロ波信号を測定すること、外部ポート応答関数(例えば、外部インピーダンスまたはアドミタンス関数の一方または両方、等)を決定すること、あるいは、式(1)から(16)および様々な数学演算を用いて、式(2)におけるアドミタンス行列(Y)の全てのパラメータ(要素、エントリ)を決定すること、のいずれかを含むがこれらに限定されない動作を実施することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、キュービット応答(キュービット応答関数)の抽出を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、回路-QED系の1つまたは複数の外部ポートにアクセスして、外部ポート応答(外部ポート応答関数)を決定することができ、外部ポート応答を利用して、超電導キュービット回路における1つまたは複数のキュービット・ポートにおいてキュービット・ポート応答関数を抽出することができる。例えば、キュービット応答関数のこのような抽出を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、(例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して)1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにアクセスして、外部ポート応答関数を決定することができ、外部ポート応答関数を利用して、1つまたは複数のキュービット・ポート118a、118b、118nに存在し得るキュービット・ポート応答関数を抽出することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにおける外部ポート応答(外部ポート応答関数)の決定を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、このような1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにおけるマイクロ波周波数信号を測定することができる。例えば、外部電子デバイス122は、1つまたは複数のキュービット116a、116b、116n、またはキュービット・ポート118a、118b、118n、あるいはその両方にマイクロ波信号(例えば、単一周波数信号)を伝送することができ、キュービット・ポート測定システム102は、このようなコンポーネントによって反射されたマイクロ波信号を、1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにおいて測定することができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにおいてマイクロ波信号を測定し、散乱応答関数(scattering response function)(行列)、アドミタンス関数(行列)、インピーダンス関数(行列)、または別の応答関数、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない1つまたは複数のマイクロ波応答関数(外部ポート応答関数)を決定することができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、外部ポート120a、120b、120nにおいて決定した1つまたは複数のマイクロ波応答関数を変換することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、散乱行列を変換して、アドミタンス行列またはインピーダンス行列あるいはその両方にすることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、このような外部ポートにおいて測定した外部ポート応答(外部ポート応答関数)に基づいて、回路-QED系の1つまたは複数の外部ポートにおいて1つもしくは複数の外部アドミタンス関数(行列)または1つもしくは複数の外部インピーダンス関数(行列)あるいはその両方を決定することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、下記で説明するような、終端コンポーネント108または計算コンポーネント110あるいはその両方を用いることによって、このような外部ポートにおいて測定した外部ポート応答に基づいて、1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにおいて1つもしくは複数の外部アドミタンス関数(行列)または1つもしくは複数のインピーダンス関数(行列)あるいはその両方を決定することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、計算コンポーネント110は、このような外部ポートにおいてキュービット・ポート測定システム102によって測定した外部ポート応答(外部ポート応答関数)に基づいて、1つまたは複数の外部ポートにおいて1つまたは複数の外部アドミタンス関数(行列)を決定することができる。いくつかの実施形態では、外部ポートにおいて外部アドミタンス行列を決定するのを容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110を用いて、2つの外部ポートと2つの内部ポート(キュービット・ポート)とのアドミタンス関係を決定することができる。例えば、計算コンポーネント110は、下記に示す式(1)および(2)を利用して、このようなアドミタンス関係を決定することができる。
I=YV (1)
【数1】
【0049】
いくつかの実施形態では、式(1)は、例えば、電流(I)、アドミタンス(Y)、または電圧(V)、あるいはその組合せなどの項を含むことができる。いくつかの実施形態では、式(2)は、指名した外部ポート1および外部ポート2という2つの外部ポートに対応する要素(パラメータ、エントリ)を含むことができる。例えば、このような要素は、I、I、Y11、Y12、Y21、Y22、V、V、または別の要素、あるいはその組合せを含むことができるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、式(2)は、指名したJおよびJという、2つの内部(キュービット)ポートに対応する要素(パラメータ、エントリ)を含むことができる。例えば、このような要素は、IJ1、IJ2、YJ1、YJ2、YJ1J2、YJ2J1、VJ1、VJ2、または別の要素、あるいはその組合せを含むことができるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、式(2)の外部ポート1および2は、外部ポート120a、120b、120nのうちの2つの外部ポートを表すことができる。いくつかの実施形態では、式(2)のキュービット・ポートJおよびJは、キュービット・ポート118a、118b、118nのうちの2つのキュービット・ポートを表すことができる。いくつかの実施形態では、式(1)および(2)によって定義したアドミタンス関係システムは、Y=Yになるように、相補的であることが可能である。
【0050】
複数の実施形態によれば、キュービット・ポート測定システム102は、終端コンポーネント108を用いて、1つまたは複数のキュービット・ポートを種々の電気接続で終端させること(例えば、1つまたは複数の種々の電気接続を利用することによって、このようなキュービット・ポートを終端させること)ができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、終端コンポーネント108を用いて、開回路電気接続、短絡回路電気接続、シャント電気接続、または別の電気接続もしくはこれらの組合せ、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない電気接続を利用することによって、1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118nのキュービット・ポートJまたはJあるいはその両方)を(例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して)終端させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110を用いて、1つまたは複数の終端させたキュービット・ポートに基づいて、外部ポート応答から1つまたは複数のキュービット・ポート応答を決定することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、終端コンポーネント108を用いて、(例えば、上記で説明したような)電気接続を利用することによって、1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118nのキュービット・ポートJまたはJあるいはその両方)を終端させることができる。この例では、このような終端させたキュービット・ポートに基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110をさらに用いて、外部ポート応答から(例えば、外部ポート120a、120b、120nにおいてキュービット・ポート測定システム102によって決定した外部アドミタンス関数などの、例えば、マイクロ波応答関数から)、1つまたは複数のキュービット・ポート応答(例えば、アドミタンス関数、マルチポート・アドミタンス関数、インピーダンス関数、等)を決定することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、外部アドミタンス行列Yの決定を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、終端コンポーネント108を用いて、1つまたは複数の種々の電気接続を利用することによって、1つまたは複数のキュービット・ポートを終端させることができる。例えば、外部アドミタンス行列Y(式(2)の部分行列)の決定を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、
【数2】

になるように、終端コンポーネント108を用いて、キュービット・ポートJおよびJ(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118nのうちの2つのキュービット・ポート)を、短絡回路を介して(例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して)終端させることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、(上記で説明したような)短絡回路電気接続を介した終端コンポーネント108によるキュービット・ポートJおよびJの終端に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、外部ポート1および2(例えば、外部ポート120a、120b、120nのうちの2つの外部ポート)においてマイクロ波応答関数(ポート応答関数)を測定して、このような外部ポート1および2に対応するインピーダンスの一部を得ることができる。例えば、(短絡回路電気接続を介した)終端コンポーネント108によるキュービット・ポートJおよびJのこのような終端に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、外部ポート1および2においてマイクロ波応答関数を測定して、
【数3】

という部分行列を得ることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、上記の式(2)の内部対角線要素YJ1およびYJ2を決定することができる。下記の説明は、式(2)の内部対角線要素YJ1を決定するために、キュービット・ポート測定システム102によって実装することができる非限定的な実例の処理を開示するが、いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、同じ処理を実装して、式(2)の内部対角線要素YJ2を決定することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、上記の式(2)の内部対角線要素YJ1の決定を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、VJ2=0になるように、終端コンポーネント108を用いて、短絡回路電気接続でキュービット・ポートJを終端させることができる。いくつかの実施形態では、上記の式(2)の内部対角線要素YJ1の決定を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、式(2)の3行目が、YJ1,1+YJ1,2+YJ1J1=0になり得るように、終端コンポーネント108をさらに用いて、開回路電気接続でキュービット・ポートJを終端させることができる。いくつかの実施形態では、(短絡回路および開回路それぞれによる)キュービット・ポートJおよびJのこのような終端に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、外部ポート1および2においてアドミタンスを測定することができる。このような実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110をさらに用いて、上記の式(YJ1,11+J1,2+YJ1J1=0)をVJ1について解くことができ、式(2)の1行目と2行目にこのような解を差し込んで、以下のアドミタンス行列式(4)を得る。
【数4】
【0056】
いくつかの実施形態では、上記のYに基づいて、計算コンポーネント110は、
【数5】

および
【数6】

という量を決定することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、このような量に基づいて、また相補性を利用して、計算コンポーネント110は、x=Y1,J1=YJ1,1、y=Y2,J1=YJ1,2、およびz=YJ1を定義して、いくつかの複素数c、c、およびcそれぞれについて、以下の式(5)、(6)、および(7)を書くことができる。
【数7】
【0058】
いくつかの実施形態では、式(5)、(6)、および(7)のこのような複素数c、c、およびcは、計算コンポーネント110がzについて解けるほど十分な情報を提供しない。したがって、いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、終端コンポーネント108を用いて、短絡回路電気接続でキュービット・ポートJを終端させること、およびシャントでキュービット・ポートJを終端させることができる。例えば、終端コンポーネント108は、インダクタ、有限インダクタ、有限線形インダクタ、ダイオード、電気抵抗器、または別のシャント、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されないシャントで、キュービット・ポートJを終端させることができる。いくつかの実施形態では、(短絡回路およびシャントそれぞれによる)キュービット・ポートJおよびJのこのような終端に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、外部ポート1および2を測定して、複素数c、c、およびcそれぞれについて、以下の式(8)、(9)、および(10)を得ることができ、ここで、「L」は、インダクタ(例えば、有限インダクタ)を表す。
【数8】
【0059】
いくつかの実施形態では、計算コンポーネント110は、上記の式(5)を上記の式(8)で割り、下記の式(11)を導出することができる。
【数9】
【0060】
いくつかの実施形態では、式(5)を式(8)でこのように割ることに基づいて、計算コンポーネント110は、zについて式(11)をさらに解いて、z=YJ1を得ることができ、ここで、zは、上記の式(2)の内部対角線要素YJ1を表すことができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、(上記の式(2)の)非対角線要素Y1,J1=YJ1,1およびY2,J1=YJ1,2を決定することができる。例えば、zについて上記の式(11)を解いて、z=YJ1を得ることに基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110を用いて、式(5)、(6)、および(7)を解き、x=Y1,J1=YJ1,1およびy=Y2,J1=YJ1,2を得ることができる。この例では、xおよびyについて解くことは、外部ポート1および2にキュービット・ポートJおよびJを接続する要素の計算になり得る。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110を用いて、ここで説明する非限定的な実例の処理を利用し、Y1,J2およびY2,J2について解くことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102または計算コンポーネント110あるいはその両方は、このようなキュービット・ポートの極性を定義することなく、キュービット・ポートに境界条件を適用することによる、±πの位相に対する(上記で説明したような)xおよびyを決定することができる。このような実施形態では、異なる位相を伴う解は、極性についての2つの可能な選択肢に対応させることができ、同じ物理系の説明である可能性がある。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、終端コンポーネント108を用いて、キュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118nのキュービット・ポートJまたはJあるいはその両方)をダイオードでシャントさせることによって、符号の曖昧さを解決することができる。このような実施形態では、関連ブロックに対応する符号は、1つの低周波測定から決定することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、キュービット・ポートJとJの間の(上記の式(2)の)非対角線要素YJ1,J2を決定することができる。いくつかの実施形態では、非対角線要素YJ1,J2の決定を容易にするために、キュービット・ポート測定システム102は、IJ1=IJ2=0になるように、終端コンポーネント108を用いて、キュービット・ポートJおよびJを開回路電気接続で終端させることができる。いくつかの実施形態では、(開回路による)このようなキュービット・ポートJおよびJの終端に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110をさらに用いて、VJ1およびVJ2について上記の式(2)の3行目および4行目を解き、以下の式(12)、(13)、(14)、および(15)を得ることができる。
【数10】

であり、ここで、
【数11】

および
【数12】

である。
【0064】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102または計算コンポーネント110あるいはその両方によって式(12)を用いて、キュービット・ポートJとJの間の電圧を決定することができる。いくつかの実施形態では、上記の式(12)を得ることに基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110をさらに用いて、式(2)の1行目と2行目に式(12)を差し込み、下記の式(16)を得ることができ、ここで、
【数13】

である。
【数14】
【0065】
いくつかの実施形態では、式(16)は、上記で説明したような(開回路による)キュービット・ポートJおよびJのこのような終端に基づいて、外部ポート1および2における、キュービット・ポート測定システム102によって取得した測定値を表すことができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、計算コンポーネント110をさらに用いて、いくつかの複素数cについて、1-1エントリから、xについて以下の二次方程式を導出することができ、ここで、xは、キュービット・ポートJとJの間の関係(例えば、線形関係)を表すことができる式(2)の非対角線要素であることが可能である。
【数15】
【0066】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、(例えば、式(1)から(16)を参照しながら上記で説明したように)キュービット・ポート測定システム102または計算コンポーネント110あるいはその両方によって他の全てのパラメータを決定できるので、計算コンポーネント110を用いて、x=YJ1,J2について上記の二次方程式を解くことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、(例えば、上記で説明したような式(2)の完全なアドミタンス行列を決定するために)キュービット・ポート測定システム102または計算コンポーネント110あるいはその両方が、全ての未知のパラメータについて式(1)から(16)を解けるのに必要な測定値の総数(例えば、外部ポート120a、120b、120nにおける測定値)は、以下の式によって決定することができ、ここで、Nは、それぞれのキュービットの接点の総数(例えば、それぞれのキュービット116a、116b、116nのキュービット・ポート118a、118b、118nの数)である。
【数16】
【0068】
図2は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なシステム200のブロック図を示す。それぞれの実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。いくつかの実施形態によれば、システム200は、キュービット・ポート測定システム102を備えることができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、シミュレーションコンポーネント202を備えることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、物理的な(現実の)世界環境で実現することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、物理的な(現実の)世界環境で実験的に実現することができる。例えば、図1を参照しながら上記で説明したシステム100は、物理的な(現実の)世界環境におけるキュービット・ポート測定システム102の実装形態を表すことができる。
【0070】
追加または代替として、いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、シミュレートした(仮想の)環境で実現することができる。複数の実施形態によれば、シミュレーションコンポーネント202は、シミュレートした(仮想の)環境における回路-QED系のシミュレーションを容易にすることができる。例えば、シミュレーションコンポーネント202は、図1を参照しながら上記で説明したシステム100の1つまたは複数のコンポーネントのシミュレーションを容易にすることができる。例えば、シミュレーションコンポーネント202は、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、計算コンポーネント110、超電導チップ114、キュービット116a、116b、116n、キュービット・ポート118a、118b、118n、外部ポート120a、120b、120n、外部電子デバイス122、線形パッシブ・マイクロ波構造124、または別のシステム100のコンポーネント、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されないシステム100のコンポーネントのシミュレーションを容易にすることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せは、シミュレーションコンポーネント202を用いて、このようなコンポーネントの1つまたは複数のそれぞれの動作を実行することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せは、シミュレーションコンポーネント202を用いて、図1を参照しながら上記で説明したこのようなコンポーネントの1つまたは複数のそれぞれの動作を実行することができる。
【0072】
図3は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なシステム300のブロック図を示す。それぞれの実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。いくつかの実施形態によれば、システム300は、キュービット・ポート測定システム102を備えることができる。いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、定義コンポーネント302を備えることができる。
【0073】
複数の実施形態によれば、定義コンポーネント302は、シミュレートした環境で実現した回路-QED系の1つまたは複数のコンポーネントを定義することができる。例えば、定義コンポーネント302は、シミュレートした環境で実現したシステム100の1つまたは複数のコンポーネントを定義することができる。例えば、定義コンポーネント302は、図2を参照しながら上記で説明したようなシミュレーションコンポーネント202を介して、シミュレートした環境で実現したシステム100の1つまたは複数のコンポーネントを定義することができる。いくつかの実施形態では、シミュレーションコンポーネント202は、定義コンポーネント302を備えることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、定義コンポーネント302は、超電導チップ114(例えば、超電導チップ114の超電導キュービット回路)、キュービット116a、116b、116n(例えば、例えば、トランスモン・キュービット、電荷キュービット、磁束キュービット、位相キュービット、等などのタイプのキュービット)、キュービット・ポート118a、118b、118n(例えば、キュービットあたりのポートの数、ジョセフソン接合終端の位置、このような端末間に印加された電圧、キュービットに流れ込む電流、等)、外部ポート120a、120b、120n(例えば、外部ポートの数、線形パッシブ・マイクロ波構造124の断面上の外部ポートの位置、等)、外部電子デバイス122(例えば、例えばVNAなどのタイプのデバイス)、線形パッシブ・マイクロ波構造124(例えば、例えば、同軸線(例えば、50Ohm線)、伝送回線、バス(例えば、共振バス)、導波路、マイクロ波共振器、等などのタイプの構造)、または別のシステム100のコンポーネント、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されないシステム100のコンポーネントを定義することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、様々な技術に関連したキュービット・ポート応答システムまたは処理あるいはその両方の外部ポート測定であることが可能である。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、超電導量子回路技術、量子ビット(キュービット)技術、回路量子電気力学(回路-QED)技術、量子計算技術、拡張可能な量子計算アーキテクチャ技術、表面符号アーキテクチャ技術、表面符号エラー訂正アーキテクチャ技術、量子ハードウェア技術、または他の技術、あるいはその組合せと関連付けることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、上記で識別した様々な技術に関連したシステム、デバイス、コンポーネント、動作ステップ、または処理ステップ、あるいはその組合せに技術的改善をもたらすことができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、キュービット・ポートに直接的にアクセスして、このようなキュービット・ポート応答を決定するのではなく、量子系(例えば、回路-QED)の外部ポートを使用して、超電導量子回路の1つまたは複数のキュービットのキュービット・ポート応答を決定することを容易にすることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、量子計算デバイス(例えば、量子プロセッサ、量子ハードウェア等)、回路-QED系、または超電導量子回路、あるいはその組合せに関連した処理ユニットに技術的改善をもたらすことができる。キュービット・ポート測定システム102の長所は、例えば、量子計算デバイス(例えば、量子プロセッサ)のキュービットを、このような量子計算デバイスの内部にあるこのようなキュービットのキュービット・ポートに直接的にアクセスするのではなく、このような量子計算デバイスの外部ポートにアクセスすることによってプローブできることである。いくつかの実施形態では、このような量子計算デバイス(例えば、量子プロセッサ)の内部にあるキュービットのこのような外部プローブを容易にすることによって、キュービット・ポート測定システム102は、キュービットをプローブするためにアクセスすることができるキュービット上の物理的なキュービット・ポートを有した、このような量子計算デバイスの設計または製造あるいはその両方を行う必要性をなくすことができる。このような実施形態では、キュービット・ポート測定システム102の長所は、このような量子計算デバイスのキュービット上の物理的なキュービット・ポートにこのようにアクセスできる必要性をなくすことによって、このような量子計算デバイス(例えば、量子プロセッサ)の設計、製造、機能、整合性、または性能、あるいはその組合せの改善を容易にできることである。
【0078】
追加または代替として、いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102のもう1つの長所は、量子計算デバイス(例えば、量子プロセッサ)の内部にある複数のキュービットの複数のキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定できることである。このような実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、個々のキュービット・ポートに対応する個々のアドミタンス関数をこのような量子計算デバイスが処理する必要性をなくすことができる。これらの実施形態では、個々のキュービット・ポートに対応する個々のアドミタンス関数をこのような量子計算デバイスが処理する必要性をなくすことによって、これにより、キュービット・ポート測定システム102は、このような量子計算デバイス(例えば、量子プロセッサ)の処理効率の改善、およびしたがって、処理容量の改善、または処理性能の改善、あるいはその両方を容易にすることができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102のもう1つの長所は、量子計算デバイス(例えば、量子プロセッサ)の内部にある不定量のキュービットの不定量のキュービット・ポートに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定できることである。このような実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、このような量子計算デバイスの内部にあるこのような不定量のキュービットを外部でプローブするために用いることができるキュービット・プローブ・システムのスケーラビリティを可能にすることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、キュービット・ポート測定システム102は、ハードウェアまたはソフトウェアあるいはその両方を用いて、本質的に非常に技術的があり、抽象的ではなく、人間による一連の精神活動として実施できない問題を解決することができる。例えば、キュービット・ポート測定システム102は、種々の電気接続を使用して、1つまたは複数のキュービット・ポートを終端させ、終端させることに基づいて、外部ポート応答から1つまたは複数のキュービット・ポート応答を決定することを自動的に行うことができる。このような例では、キュービット・ポート測定システム102は、マイクロ波周波数信号を処理し、多数の変数を含んだ、様々な複雑な数学関数またはアルゴリズムあるいはその両方(例えば、計算コンポーネント110および図1を参照しながら上記で説明した行列式(2)から(16))を用いることができ、ここで、このような数学関数は、本明細書で説明するようなキュービット・ポート測定システム102の様々な動作の実行を容易にするために、d次元のベクトル空間に実装される。
【0081】
キュービット・ポート測定システム102は、電気コンポーネント、機械コンポーネント、および、人間の心の中で複製できない、または人間が実施できない回路機器の様々な組合せを利用して、キュービット・ポート応答処理の外部ポート測定を実施することができるということを認識されたい。例えば、様々な電気接続を使用してキュービット・ポートを終端させること、マイクロ波周波数信号を測定すること、外部ポート応答を決定すること、またはキュービット・ポート応答を決定すること、あるいはその組合せは、人間の心の能力より高い動作である。例えば、処理されるデータの量、このようなデータを処理する速さ、または、一定の期間にわたってキュービット・ポート測定システム102によって処理されるデータのタイプ、あるいはその組合せは、同じ期間にわたって人間の心が処理できる量、速さ、またはデータ・タイプ、あるいはその組合せより大きく、速く、または、これらとは異なる、あるいはその組合せである可能性がある。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、キュービット・ポート測定システム102は、上記で参照した、キュービット・ポート応答処理の外部ポート測定も実施しながら、1つまたは複数の他の機能を実施すること(例えば、完全に電源オンにすること、完全に実行すること、等)に対して完全に動作可能であることがさらに可能である。このような同時のマルチ動作の実行は人間の心の能力を超えていることを理解されたい。キュービット・ポート測定システム102は、人間ユーザなどのエンティティが手動で取得できない情報を含むことができるということも認識されたい。例えば、終端コンポーネント108、計算コンポーネント110、超電導チップ114、キュービット116a、116b、116n、キュービット・ポート118a、118b、118n、外部ポート120a、120b、120n、シミュレーションコンポーネント202、または定義コンポーネント302、あるいはその組合せに含まれる情報のタイプ、量、または多様性、あるいはその組合せは、人間ユーザが手動で取得した情報より複雑になる可能性がある。
【0083】
図4は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法400の流れ図を示す。それぞれの実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0084】
402では、キュービット・ポート測定システム102は、開回路、短絡回路、およびシャント(例えば、またはこれらの組合せ)からなるグループから選択した電気接続で、1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)を(例えば、終端コンポーネント108を介して)終端させることができる。
【0085】
404では、キュービット・ポート測定システム102は、1つまたは複数のキュービット・ポートの終端に基づいて、1つまたは複数の外部ポート(例えば、外部ポート120a、120b、120n)においてマイクロ波信号を(例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して)測定することができる。
【0086】
406では、キュービット・ポート測定システム102は、測定したマイクロ波信号に基づいて、1つまたは複数の外部ポート応答関数(例えば、アドミタンス関数、マルチポート・アドミタンス関数、インピーダンス関数、等)を(例えば、図1を参照しながら上記で説明したような、終端コンポーネント108または計算コンポーネント110あるいはその両方を介して)決定することができる。
【0087】
408では、キュービット・ポート測定システム102は、式(2)におけるアドミタンス行列(Y)の全ての要素を(例えば、図1を参照しながら上記で説明したような、終端コンポーネント108または計算コンポーネント110あるいはその両方を介して)決定することができる。例えば、408では、キュービット・ポート測定システム102は、図1を参照しながら上記で説明したような、終端コンポーネント108、計算コンポーネント110、または式(1)から(16)、あるいはその組合せを用いて、式(2)におけるアドミタンス行列(Y)の全ての要素について解くことができる。
【0088】
410では、キュービット・ポート測定システム102は、1つまたは複数のキュービット・ポート応答関数(例えば、アドミタンス関数、マルチポート・アドミタンス関数、インピーダンス関数、等)を(例えば、計算コンポーネント110を介して)決定することができる。例えば、1つもしくは複数の外部ポート応答関数、または、406および408でそれぞれ決定したアドミタンス行列(Y)の要素、あるいはその両方に基づいて、キュービット・ポート測定システム102は、410における、このような1つまたは複数のキュービット・ポート応答関数の決定を容易にすることができる。
【0089】
図5は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法500の流れ図を示す。それぞれの実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0090】
502では、プロセッサ(例えば、プロセッサ106)に動作可能に結合されたシステムによって(例えば、キュービット・ポート測定システム102または終端コンポーネント108あるいはその両方を介して)、1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)を種々の電気接続で(例えば、開回路電気接続、短絡回路電気接続、シャント、等を介して)終端させる。
【0091】
504では、終端させることに基づいて、システムによって(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せを介して)、外部ポート応答(例えば、例えば、外部アドミタンス行列、外部インピーダンス行列、等などの外部ポート・マイクロ波応答関数)から、1つまたは複数のキュービット・ポート応答(例えば、例えば、アドミタンス行列、マルチポート・アドミタンス関数、インピーダンス行列、等などのマイクロ波応答関数)を決定する。いくつかの実施形態では、システム(例えば、キュービット・ポート測定システム102)は、このような外部ポートにおいてマイクロ波信号を測定するために、(例えば、線形パッシブ・マイクロ波構造124を介して)1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにアクセスすることによって、動作504のこのような外部ポート応答を決定することができる。
【0092】
図6は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法600の流れ図を示す。それぞれの実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0093】
602では、プロセッサ(例えば、プロセッサ106)に動作可能に結合されたシステムによって(例えば、キュービット・ポート測定システム102または終端コンポーネント108あるいはその両方を介して)、(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、および図1を参照しながら上記で説明したような)開回路、短絡回路、またはシャントのうちの少なくとも1つで、1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)を終端させる。
【0094】
604では、終端させることに基づいて、システム(例えば、キュービット・ポート測定システム102または線形パッシブ・マイクロ波構造124あるいはその両方)によって、1つまたは複数の外部ポート(例えば、外部ポート120a、120b、120n)においてマイクロ波信号(例えば、キュービット116a、116b、116nによって反射されたマイクロ波周波数信号)を測定する。
【0095】
606では、測定したマイクロ波信号に基づいて、システム(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せ)によって、外部アドミタンス関数(例えば、1つまたは複数の外部ポート120a、120b、120nにそれぞれ対応する外部アドミタンス関数)を決定する。
【0096】
608では、システム(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せ)によって、(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、計算コンポーネント110、および図1を参照しながら上記で説明したような)1つまたは複数のキュービット・ポートのアドミタンス関数またはインピーダンス関数のうちの少なくとも1つを決定する。
【0097】
610では、システム(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せ)によって、(例えば、少なくとも2つ以上のキュービット・ポートを使用して、図1で説明したキュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せの動作の実施を介して)1つまたは複数のキュービット・ポートのうちの少なくとも2つに対応するマルチポート・アドミタンス関数を決定する。
【0098】
図7は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法700の流れ図を示す。それぞれの実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0099】
702では、1つまたは複数の電気的に終端させたキュービット・ポート(例えば、開回路、短絡回路、もしくはシャント、またはその組合せ、あるいはこれらの組合せを使用して電気的に終端させた1つまたは複数のキュービット・ポート118a、118b、118n)に基づいて、プロセッサ(例えば、プロセッサ106)に動作可能に結合されたシステムによって(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せを介して)、1つまたは複数の外部ポート応答(例えば、例えば、アドミタンス関数、インピーダンス関数、等などの外部ポート120a、120b、120nの外部ポート応答)を決定する。
【0100】
704では、1つまたは複数の外部ポート応答に基づいて、システムによって(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せを介して)、1つまたは複数のキュービット・ポート応答(例えば、例えば、アドミタンス関数、マルチポート・アドミタンス関数、インピーダンス関数、等などのキュービット・ポート118a、118b、118nのキュービット・ポート応答)を決定する。
【0101】
図8は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法800の流れ図を示す。それぞれの実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0102】
802では、プロセッサ(例えば、プロセッサ106)に動作可能に結合されたシステム(例えば、キュービット・ポート測定システム102、シミュレーションコンポーネント202、または定義コンポーネント302、あるいはその組合せ)によって、それぞれのキュービット(例えば、キュービット116a、116b、116n)の終端(例えば、ジョセフソン接合終端)間の1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)を定義する。
【0103】
804では、1つまたは複数の電気的に終端させたキュービット・ポート(例えば、開回路、短絡回路、もしくはシャント、またはその組合せ、あるいはこれらの組合せを使用して電気的に終端させた1つまたは複数のキュービット・ポート118a、118b、118n)に基づいて、システムによって(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せを介して)、1つまたは複数の外部ポート応答(例えば、例えば、アドミタンス関数、インピーダンス関数、等などの外部ポート120a、120b、120nの外部ポート応答)を決定する。
【0104】
806では、1つまたは複数の外部ポート応答に基づいて、システムによって(例えば、キュービット・ポート測定システム102、終端コンポーネント108、または計算コンポーネント110、あるいはその組合せを介して)、1つまたは複数のキュービット・ポート応答(例えば、例えば、アドミタンス関数、マルチポート・アドミタンス関数、インピーダンス関数、等などのキュービット・ポート118a、118b、118nのキュービット・ポート応答)を決定する。
【0105】
図9は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態による、キュービット・ポート応答コンポーネントの外部ポート測定を容易にする実例の非限定的なコンピュータ実装方法900の流れ図を示す。それぞれの実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0106】
902では、プロセッサ(例えば、プロセッサ106)に動作可能に結合されたシステム(例えば、キュービット・ポート測定システム102または終端コンポーネント108あるいはその両方)によって、種々の電気接続で(例えば、開回路電気接続、短絡回路電気接続、シャント、等を介して)1つまたは複数のキュービット・ポート(例えば、キュービット・ポート118a、118b、118n)を終端させる。
【0107】
904では、終端させることに基づいて、システム(例えば、キュービット・ポート測定システム102または計算コンポーネント110あるいはその両方)によって、外部ポート応答(例えば、例えば、アドミタンス関数、インピーダンス関数、等などの外部ポート120a、120b、120nの外部ポート応答)と、キュービット・ポート応答(例えば、例えば、アドミタンス関数、マルチポート・アドミタンス関数、インピーダンス関数、等などのキュービット・ポート118a、118b、118nのキュービット・ポート応答)との間の関係(例えば、図1を参照しながら上記で説明したような線形関係)を決定する。
【0108】
説明の簡略化のために、コンピュータ実装方法は、一連の行為として描写し、説明する。主題のイノベーションは、図示した行為によって、または行為の順序によって、あるいはその両方によって限定されず、例えば、行為は、様々な順序で、または同時に、あるいはその両方で、また、本明細書で提示も説明もしていない他の行為とともに、発生し得るということを理解し、認識されたい。さらに、開示の主題によるコンピュータ実装方法を実装するために全ての図示した行為を必要としなくてもよい。さらに、コンピュータ実装方法は、代替として、状態図またはイベントを介して一連の相関状態として表せることを当業者は理解し、認識するであろう。追加として、本明細書の以降および全体にわたって開示したコンピュータ実装方法は、このようなコンピュータ実装方法の、コンピュータへの輸送および転送を容易にするための製品に記憶できることをさらに認識されたい。用語製品は、本明細書で使用するように、任意のコンピュータ可読デバイスまたは記憶媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムを包含することを意図するものである。
【0109】
開示の主題の様々な態様に関する背景を提供するために、図10および以下の議論は、開示の主題の様々な態様を実装することができる適切な環境の一般的な説明を提供することを意図するものである。図10は、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる実例の非限定的な動作環境のブロック図を示す。本明細書で説明する他の実施形態で用いた同様の要素の繰返しの説明は、簡潔さのために省略する。
【0110】
図10を参照すると、本開示の様々な態様を実装するための適切な動作環境1000は、コンピュータ1012も含むことができる。また、コンピュータ1012は、処理ユニット1014、システム・メモリ1016、およびシステム・バス1018を含むことができる。システム・バス1018は、システム・メモリ1016を含むがこれらに限定されないシステムコンポーネントを処理ユニット1014に連結する。処理ユニット1014は、様々な利用可能なプロセッサのいずれかであることが可能である。デュアル・マイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャも、処理ユニット1014として用いることができる。システム・バス1018は、インダストリアル・スタンダード・アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネル・アーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカル・バス(VLB)、ペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィックス・ポート(AGP)、ファイヤワイヤ(IEEE1394)、およびスモール・コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)を含むがこれらに限定されない任意の様々な利用可能なバス・アーキテクチャを使用した、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺機器バスもしくは外部バス、またはローカル・バス、あるいはその組合せを含むいくつかのタイプのバス構造のいずれかであることが可能である。
【0111】
また、システム・メモリ1016は、揮発性メモリ1020および不揮発性メモリ1022を含むことができる。基本入出力システム(BIOS)は、スタート・アップ中など、コンピュータ1012内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを収め、不揮発性メモリ1022に記憶される。コンピュータ1012は、取外し可能/取外し不能な揮発性/不揮発性のコンピュータ記憶媒体も含むことができる。図10は、例えば、ディスク・ストレージ1024を示す。また、ディスク・ストレージ1024は、磁気ディスク・ドライブ、フロッピー・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カード、またはメモリ・スティックのようなデバイスを含むことができるがこれらに限定されない。ディスク・ストレージ1024は、記憶媒体を別々に、または他の記憶媒体と組み合わせて含むこともできる。ディスク・ストレージ1024の、システム・バス1018への接続を容易にするために、インターフェース1026などの、取外し可能または取外し不能なインターフェースが典型的に使用される。図10は、ユーザと、適切な動作環境1000で説明した基本コンピュータ・リソースとの間の中間体として機能するソフトウェアも描写する。このようなソフトウェアは、例えば、オペレーティング・システム1028も含むことができる。オペレーティング・システム1028は、ディスク・ストレージ1024に記憶することができ、コンピュータ1012のリソースを制御し、アロケートするように機能する。
【0112】
システム・アプリケーション1030は、例えば、システム・メモリ1016またはディスク・ストレージ1024に記憶したプログラム・モジュール1032およびプログラム・データ1034を通じて、オペレーティング・システム1028によるリソースの管理を利用する。本開示は、様々なオペレーティング・システム、またはオペレーティング・システムの組合せによって実装することができるということを認識されたい。ユーザは、入力デバイス1036を通じてコンピュータ1012にコマンドまたは情報を入力する。入力デバイス1036は、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲーム・パッド、パラボラ・アンテナ、スキャナ、TVチューナ・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、ウェブ・カメラ、等などのポインティング・デバイスを含むがこれらに限定されない。これらおよび他の入力デバイスは、インターフェース・ポート1038を介してシステム・バス1018を通じて処理ユニット1014に接続する。インターフェース・ポート1038は、例えば、シリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、およびユニバーサル・シリアル・バス(USB:universal serial bus)を含む。出力デバイス1040は、入力デバイス1036と同じタイプのポートのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートは、コンピュータ1012に入力するため、およびコンピュータ1012からの情報を出力デバイス1040に出力するために使用することができる。出力アダプタ1042は、数ある出力デバイス1040の中でも、特殊なアダプタが必要な、モニタ、スピーカ、およびプリンタのような、いくつかの出力デバイス1040があることを示すために提供する。出力アダプタ1042は、限定ではなく例証として、出力デバイス1040とシステム・バス1018の間の接続手段を提供するビデオおよびサウンド・カードを含む。リモート・コンピュータ1044など、他のデバイス、またはデバイスのシステム、あるいはその両方は、入力と出力両方の能力を提供することに留意されたい。
【0113】
コンピュータ1012は、リモート・コンピュータ1044などの、1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用した、ネットワーク化された環境で動作することができる。リモート・コンピュータ1044は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサ・ベースのアプライアンス、ピア・デバイス、または他の一般的なネットワーク・ノード等であることが可能であり、典型的には、コンピュータ1012について説明した要素の多くまたは全てを含むこともできる。簡潔さのために、メモリ・ストレージ・デバイス1046だけを、リモート・コンピュータ1044とともに示す。リモート・コンピュータ1044は、ネットワーク・インターフェース1048を通じてコンピュータ1012に論理接続され、その後、通信接続1050を介して物理接続される。ネットワーク・インターフェース1048は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local-area network)、広域ネットワーク(WAN:wide-area network)、セルラー・ネットワーク、等などのワイヤまたはワイヤレスあるいはその組合せの通信ネットワークを包含する。LAN技術は、ファイバ・ディストリビューテッド・データ・インターフェース(FDDI)、カパー・ディストリビューテッド・データ・インターフェース(CDDI)、イーサネット、トークン・リングなどを含む。WAN技術は、ポイント・ツー・ポイント・リンク、サービス総合デジタル網(ISDN)およびその変形形態のような回線交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、ならびにデジタル加入者線(DSL)を含むがこれらに限定されない。通信接続1050は、ネットワーク・インターフェース1048をシステム・バス1018に接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。通信接続1050は、例証的な明瞭さのために、コンピュータ1012の内部に示したが、コンピュータ1012の外部にあることも可能である。ネットワーク・インターフェース1048に接続するためのハードウェア/ソフトウェアは、単なる例示として、通常のテレフォン・グレード・モデム、ケーブル・モデムおよびDSLモデム、ISDNアダプタ、ならびにイーサネット・カードを含むモデムなどの、内部および外部技術も含むことができる。
【0114】
本発明は、統合の任意の可能な技術詳細レベルにあるシステム、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組合せであってもよい。コンピュータ・プログラム製品は、本発明の態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持し、記憶することができる有形デバイスであることが可能である。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または前述の任意の適切な組合せであることが可能であるがこれらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の完全に網羅されていないリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリ・メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー・ディスク、命令が記録されたパンチ・カードまたは溝内隆起構造などの機械的にエンコードされたデバイス、および前述の任意の適切な組合せも含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用するように、電波もしくは他の自由に伝搬する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通じて伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを通じて伝送される電気信号などの本質的に一時的な信号であると解釈されるべきではない。
【0115】
本明細書で説明するコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理デバイスに、あるいは、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワークもしくはワイヤレス・ネットワークまたはその両方といったネットワークを介して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスに、ダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組合せを備えることができる。各計算/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受け取り、それぞれの計算/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械語命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路機器のための構成データ、または、Smalltalk(R)、C++、もしくは同様のものなどのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードもしくはオブジェクト・コードであることが可能である。コンピュータ可読プログラム命令は、全面的にユーザのコンピュータ上で、または部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンド・アロン・ソフトウェア・パッケージとして実行することができ、部分的にユーザのコンピュータ上かつ部分的にリモート・コンピュータ上で、または全面的にリモート・コンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続することができ、または、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用して、インターネットを通じて)外部コンピュータに接続することができる。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル・ロジック回路機器、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路機器は、本発明の態様を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して、電子回路機器を個別化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0116】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品の流れ図またはブロック図あるいはその両方を参照しながら本明細書で説明する。流れ図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、および流れ図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装することができるということが理解されよう。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行する命令が、流れ図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定した機能/行為を実装するための手段を作り出すべく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを作り出すことができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体が、流れ図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定した機能/行為の態様を実装する命令を含む製品を含むべく、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することもでき、コンピュータ、プログラム可能データ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組合せに、特定の手法で機能するように指示することができる。コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能装置、または他のデバイス上で実行する命令が、流れ図またはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックに指定した機能/行為を実装するべく、コンピュータ実行処理を生み出すように、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイス上にロードされ、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で一連の動作行為を実施させることもできる。
【0117】
図中の流れ図およびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。この点に関して、流れ図またはブロック図の中の各ブロックは、命令のモジュール、セグメント、または一部を表すことができ、指定の論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む。いくつかの代替実装形態では、ブロックに記した機能は、図に記した順序とは異なる順序で発生することができる。例えば、連続して示した2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行することができ、またはブロックは、時には、含まれる機能に応じて、逆の順序で実行することができる。ブロック図または流れ図あるいはその両方の各ブロック、および、ブロック図または流れ図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、指定の機能もしくは行為を行うか、または、特殊用途のハードウェアとコンピュータ命令の組合せを行う特殊用途のハードウェア・ベースのシステムによって実現されることが可能であるということにも留意されたい。
【0118】
1つのコンピュータまたは複数のコンピュータあるいはその両方で動くコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的な背景で主題を上記で説明してきたが、本開示は、他のプログラム・モジュールであること、または、他のプログラム・モジュールと組み合わせて実装することができることを当業者は認識するであろう。一般に、プログラム・モジュールは、特定のタスクの実施、または、特定の抽象データ型の実装、あるいはその両方を行うルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造、等を含む。その上、発明のコンピュータ実装方法は、シングル・プロセッサまたはマルチ・プロセッサ・コンピュータ・システム、ミニ計算デバイス、メインフレーム・コンピュータ、および、コンピュータ、ハンドヘルド計算デバイス(例えば、PDA、電話)、マイクロプロセッサ・ベースのまたはプログラム可能な消費者用または産業用電子機器、などを含む他のコンピュータ・システム構成で実践することができるということを当業者は理解するであろう。図示の態様は、通信ネットワークを通じてリンクされたリモート処理デバイスでタスクを実施する分散コンピューティング環境で実践することもできる。それでも、本開示の全てではないにしても、いくつかの態様は、スタンド・アロン・コンピュータ上で実践することができる。分散コンピューティング環境では、プログラム・モジュールは、ローカルおよびリモート両方のメモリ記憶デバイス内にあることが可能である。
【0119】
本出願で使用するように、用語「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェース」などは、コンピュータ関連エンティティ、または1つもしくは複数の特定の機能を有する動作マシンに関するエンティティを指すこと、または含むこと、あるいはその両方が可能である。本明細書で開示したエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアであることが可能である。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で動くプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、プログラム、またはコンピュータ、あるいはその組合せであることが可能であるがこれらに限定されない。例証として、サーバ上で動くアプリケーションとサーバの両方がコンポーネントであることが可能である。1つまたは複数のコンポーネントは、プロセス、または実行のスレッド、あるいはその両方の中に常駐することができ、コンポーネントは、1つのコンピュータ上に局所化されること、または、2つ以上のコンピュータ間に分散されること、あるいはその両方が可能である。別の例では、それぞれのコンポーネントは、様々なデータ構造を記憶した様々なコンピュータ可読媒体から実行することができる。コンポーネントは、1つまたは複数のデータ・パケット(例えば、ローカル・システム、分散型システムにおいて、または、信号を介して他のシステムとインターネットなどのネットワークをまたいで、あるいはその両方で、別のコンポーネントと対話する1つのコンポーネントからのデータ)を有する信号によるなどして、ローカルまたはリモートあるいはその両方のプロセスを介して通信することができる。別の例として、コンポーネントは、プロセッサによって実行されたソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションで動作する電気または電子回路機器によって動作する機械的な部品によって提供された特定の機能を有する装置であることが可能である。このようなケースでは、プロセッサは、装置の内部または外部にあることが可能であり、ソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。さらに別の例として、コンポーネントは、機械的な部品がなくても電子コンポーネントを通じて特定の機能を提供する装置であることが可能であり、電子コンポーネントは、電子コンポーネントの機能を少なくとも部分的に授けるソフトウェアまたはファームウェアを実行するためのプロセッサまたは他の手段を含むことができる。1つの態様では、コンポーネントは、例えば、クラウド・コンピューティング・システム内の仮想マシンを介して電子コンポーネントをエミュレートすることができる。
【0120】
さらに、用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図するものである。すなわち、別途指定されない限り、または文脈から明らかな限り、「XがAまたはBを用いる」は、自然の包括的な並べ替えのいずれかを意味することを意図するものである。すなわち、XがAを用いる、XがBを用いる、またはXがAとBの両方を用いる場合、「XがAまたはBを用いる」は、前述の事例のいずれかのもとで満たされる。その上、主題の明細書および添付の図面で使用するような冠詞「1つの(a)」および「ある(an)」は、全体的に、別途指定されない限り、または文脈から明らかな限り、単数形を指すものとして「1つまたは複数」を意味するものと解釈されたい。本明細書で使用するように、用語「例」または「例示的な」あるいはその両方は、例、事例、または例証として機能することを意味するために利用する。誤解を避けるために、本明細書で開示した主題は、このような例によって限定されない。さらに、「例」または「例示的な」あるいはその両方として本明細書で説明するいずれかの態様または設計は、他の態様または設計に対して好ましいものまたは有利なものとして必ずしも解釈されるべきではなく、当業者に知られた同等の例示的構造および技法を排除することを意味するものでもない。
【0121】
主題の明細書で用いるように、用語「プロセッサ」は、シングル・コア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力のあるシングル・プロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力のあるマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術によるマルチコア・プロセッサ、パラレル・プラットフォーム、および分散型共有メモリを有するパラレル・プラットフォームを含むがこれらに限定されない任意の計算処理ユニットまたはデバイスを実質的に指すことができる。追加として、プロセッサは、本明細書で説明する機能を実施するように設計された、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、コンプレックス・プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、ディスクリート・ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア・コンポーネント、または、これらの任意の組合せを指すことができる。さらに、プロセッサは、空間使用量を最適化するため、または、ユーザ機器の性能を拡張するために、分子および量子ドット・ベースのトランジスタ、スイッチ、およびゲートなどであるがこれらに限定されないナノ・スケール・アーキテクチャを活用することができる。プロセッサは、計算処理ユニットの組合せとして実装することもできる。本開示では、「記憶する(store)」、「記憶(storage)」、「データ記憶(data store)」、「データ記憶(data storage)」、「データベース」などの用語、ならびにコンポーネントの動作および機能に関する実質的に他の任意の情報記憶コンポーネントは、「メモリ・コンポーネント」、「メモリ」内に具現化されたエンティティ、またはメモリを備えるコンポーネントを指すために利用する。本明細書で説明するメモリまたはメモリ・コンポーネントあるいはその両方は、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリであることが可能であり、または、揮発性メモリと不揮発性メモリ両方を含むことができるということを認識されたい。限定ではなく例証として、不揮発性メモリは、リード・オンリ・メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリは、例えば外部キャッシュ・メモリとして機能することができるRAMを含むことができる。限定ではなく例証として、RAMは、シンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトRambus RAM(DRRAM)、ダイレクトRambusダイナミックRAM(DRDRAM)、およびRambusダイナミックRAM(RDRAM)などの多くの形で利用可能である。追加として、本明細書におけるシステムまたはコンピュータ実装方法の開示のメモリ・コンポーネントは、これらおよび他の任意の適切なタイプのメモリを含むことに限定することなく、含むことを意図するものである。
【0122】
上記で説明してきたものは、システムおよびコンピュータ実装方法の単なる例を含む。当然、本開示を説明するために、コンポーネントまたはコンピュータ実装方法のあらゆる想像可能な組合せを説明することはできないが、本開示の多くのさらなる組合せおよび並べ替えが可能であることを当業者は認識するはずである。さらに、用語「含む(includes)」、「有する(has)」、「保有する(possesses)」などが、詳細な説明、特許請求の範囲、補遺、および図面で使用される限り、このような用語は、請求項の中で遷移語として用いられるとき「備える」が解釈されるので、用語「備える(comprising)」と同じように包括的であることを意図するものである。
【0123】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、インテリジェンス先端研究プロジェクト活動(IARPA:Intelligence Advanced Research Projects Activity)によって与えられたW911NF-16-1-0114-FEの下、政府支援により行われた。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0124】
様々な実施形態の説明を例証として提示してきたが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定することを意図するものではない。説明した実施形態の範囲および思想から逸脱することなく、多くの修正および変更が当業者には明らかであろう。本明細書で使用する専門用語は、実施形態の原理、実用的な用途、もしくは、市場で見つかる技術に対する技術的改善を最も良く説明するように、または、本明細書で開示した実施形態を当業者が理解できるように選んだ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10