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特許7403537ジメチルカーボネート及びペルフルオロアルケンエーテルを含む共沸組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】ジメチルカーボネート及びペルフルオロアルケンエーテルを含む共沸組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/26 20060101AFI20231215BHJP
   C11D 7/28 20060101ALI20231215BHJP
   C23G 5/032 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
C11D7/26
C11D7/28
C23G5/032
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021513899
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019050289
(87)【国際公開番号】W WO2020055782
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】62/729,800
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン ケー.ムシミ
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043680(JP,A)
【文献】特表2013-538888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0244922(US,A1)
【文献】特開2013-170256(JP,A)
【文献】国際公開第2017/216492(WO,A1)
【文献】特表平09-502181(JP,A)
【文献】特表2000-510883(JP,A)
【文献】特開2003-165999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
C23G 1/00-5/06
C09K 5/00-5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物であって、
i)ジメチルカーボネートと、
ii)メトキシペルフルオロヘプテン及びメトキシペルフルオロペンテンから選択されるペルフルオロエーテル化合物と、を含み、
前記ジメチルカーボネート及びペルフルオロエーテル化合物は、共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で前記組成物中に存在し、
前記ペルフルオロエーテル化合物がメトキシペルフルオロヘプテンの場合、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンの総量に対するジメチルカーボネートの割合は80~40重量パーセントであり、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンの総量に対するメトキシペルフルオロヘプテンの割合は20~60重量パーセントであり、
前記ペルフルオロエーテル化合物がメトキシペルフルオロペンテンの場合、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンの総量に対するジメチルカーボネートの割合は0.1~12重量パーセントであり、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンの総量に対するメトキシペルフルオロペンテンの割合は99.9~88重量パーセントである、組成物。
【請求項2】
前記ペルフルオロエーテル化合物が、メトキシペルフルオロヘプテンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、50重量パーセントのジメチルカーボネート及び50重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンからなる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、101kPaの圧力で85℃~86℃の沸点を有する共沸混合物組成物である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ペルフルオロエーテル化合物が、メトキシペルフルオロペンテンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、8重量パーセントのジメチルカーボネート及び92重量パーセントのメトキシペルフルオロペンテンからなる、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月11日出願の米国特許仮出願第62/729,800号の利益を主張するものであり、その開示の全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ジメチルカーボネートと、ペルフルオロヘプテンエーテル又はペルフルオロペンテンエーテルとを含む共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物に関し、ペルフルオロヘプテンエーテル又はペルフルオロペンテンエーテルは、洗浄及びキャリア流体用途に有用である、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する。
【背景技術】
【0003】
クロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbon、CFC)化合物は、磁気ディスク媒体などの表面を洗浄するために、半導体製造分野において広く使用されている。しかしながら、CFC化合物などの塩素含有化合物は、地球のオゾン層に有害であると考えられている。加えて、CFC化合物を置換するために使用されるヒドロフルオロカーボンの多くは、地球温暖化に寄与することが見出されている。したがって、残渣フラックス、潤滑剤又は油汚染物質、及び粒子の除去などの洗浄用途のための新たな環境に安全な溶媒を特定する必要がある。また、フッ素系潤滑剤の堆積のため、及び水溶液中で処理された基材の乾燥又は脱水のための新たな溶媒も特定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許仮出願第62/729,800号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、とりわけ、
i)ジメチルカーボネートと、
ii)メトキシペルフルオロヘプテン及びメトキシペルフルオロペンテンから選択される化合物と、を含む組成物であって、
メトキシペルフルオロヘプテン又はメトキシペルフルオロペンテンは、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0006】
本出願は、HFC-4310mee及び酢酸メチルを含む組成物を更に提供し、HFC-4310mee及び酢酸メチルは、共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する。
【0007】
本出願は、溶質を溶解させるためのプロセスであって、溶質を、十分な量の本明細書に記載される組成物と接触させ混合するステップを含む、プロセスを更に提供する。
【0008】
本出願は、表面を洗浄するプロセスであって、本明細書に記載される組成物を上記表面と接触させるステップを含む、プロセスを更に提供する。
【0009】
本出願は、濡れている基材の表面から水の少なくとも一部を除去するためのプロセスであって、基材を本明細書に記載される組成物と接触させるステップと、次いで、基材を組成物との接触から除去するステップと、を含む、プロセスを更に提供する。
【0010】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本発明で使用するための方法及び材料が本明細書に記載されており、また、当該技術分野において既知の他の好適な方法及び材料を使用してもよい。材料、方法、及び実施例は、単なる例証であり、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含め、本明細書が優先される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】89.79℃のジメチルカーボネートとメトキシペルフルオロヘプテンとの2成分ブレンドを表すVLEプロットを示す。
図2】75.01℃のジメチルカーボネートとメトキシペルフルオロペンテンとの2成分ブレンドを表すVLEプロットを示す。
図3】ジメチルカーボネートとメトキシペルフルオロヘプテンとの2成分ブレンドの共沸混合物様挙動を示す。
図4】共沸混合物挙動を示すジメチルカーボネートとメトキシペルフルオロヘプテンとの2成分ブレンドの温度-組成図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、ヒドロフルオロカーボン混合物を含む、新しい共沸組成物及び共沸混合物様組成物を提供する。これらの組成物は、以前はCFC化合物が果たしていた多くの用途において有用性を有する。本開示の組成物は、環境影響がほとんど又は全くない所望の特性のうちのいくつか又は全て、並びに油、及び/又は油脂若しくはフラックスを溶解する能力を保有する。
【0013】
定義及び略語
本明細書で使用するとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素に必ずしも限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に対して明示的に記載されていない、又はこれらに固有のものではない、他の要素も含む場合がある。更に、明示的にこれに反する記載がない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下、すなわち、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つにより満たされる。
【0014】
本発明で使用するとき、「から本質的になる」は、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、成分、又は要素が、特許請求される発明の基本的及び新規の特徴(複数可)、特に本発明のプロセスのいずれかの所望の結果を達成するための作用機序に実質的に影響を及ぼさないことを条件に、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む、組成物、方法を定義するために使用される。「から本質的になる(consists essentially of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場をとる。
【0015】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載された要素及び成分を記述するために用いられる。これは、単に便宜上なされるものであり、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、実験誤差による変動(例えば、示された値のプラスマイナス約10%)を考慮することを意味する。本明細書で報告される全ての測定値は、特に明記しない限り、「約」という用語が明示的に使用されているか否かに関わらず、「約」という用語によって修飾されるものと理解される。
【0017】
量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、ある範囲、好ましい範囲、又は好ましい上方値及び/若しくは好ましい下方値のリストのいずれかとして与えられている場合に、これらは、範囲が別個に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限値又は好ましい上方値及び任意の範囲下限値又は好ましい下方値の任意の対から形成される全ての範囲を、具体的に開示するものとして、理解されるものとする。本明細書に数値範囲が記述されている場合、特に指示しない限り、この範囲は、その端点を包含し、かつその範囲内の全ての整数及び分数を包含することが意図される。
【0018】
当該技術分野において認識されるように、共沸組成物は、2つ以上の異なる成分の混合物であり、液体形態にあるとき、(1a)所与の一定圧力下において、実質的に一定の温度で沸騰するか(この温度は、個々の成分の沸騰温度よりも高い場合があるか若しくは低い場合がある)、又は(1b)所与の一定温度において、実質的に一定の圧力で沸騰し(この圧力は、個々の成分の沸騰圧力よりも高い場合があるか若しくは低い場合がある)、かつ(2)実質的に一定の組成で沸騰する(この相組成は、一定であるが、必ずしも等しいわけではない)(例えば、M.F.Doherty and M.F.Malone,Conceptual Design of Distillation Systems,McGraw-Hill(New York),2001,185を参照されたい)。
【0019】
単一の気相が単一の液相と平衡状態にある、均一共沸混合物は、上記の特性(1a)、(1b)、及び(2)に加えて、各成分の組成が共存平衡相のそれぞれにおいて同じである。一般用語「共沸混合物」は、均一共沸混合物に一般的に使用される代替名である。
【0020】
本明細書で使用するとき、「共沸混合物様」組成物は、共沸組成物のように挙動する(すなわち、一定の沸騰特性又は沸騰若しくは蒸発時に分留しない傾向を有する)組成物を指す。したがって、沸騰又は蒸発中、蒸気及び液体の組成は、変化する場合でも、最小限又は無視できる程度しか変化しない。対照的に、非共沸混合物様組成物の蒸気及び液体の組成は、沸騰又は蒸発中にかなりの程度変化する。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「共沸混合物様」又は「共沸混合物様挙動」は、事実上圧力差がない露点圧力及び気泡点圧力を呈する組成物を指す。いくつかの実施形態では、所与の温度における露点圧力と気泡点圧力との差は、3%以下である。いくつかの実施形態では、気泡点圧力と露点圧力との差は、5%以下である。
【0022】
共沸混合物及び共沸混合物様組成物
本出願は、
i)ジメチルカーボネートと、
ii)メトキシペルフルオロヘプテン及びメトキシペルフルオロペンテンから選択される化合物と、を含む組成物であって、
メトキシペルフルオロヘプテン又はメトキシペルフルオロペンテンは、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、組成物は、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンを含み、メトキシペルフルオロヘプテンは、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する。
【0024】
いくつかの実施形態では、メトキシペルフルオロヘプテンは、(E)-4-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エン、(E)-3-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エン、(E)-5-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エン、(E)-4-メトキシ-ペルフルオロヘプト-2-エン、(Z)-3-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エン、及び(Z)-4-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エンの混合物を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、約80~約5重量パーセントのジメチルカーボネート、例えば、約80~約10、約80~約20、約80~約30、約80~約40、約80~約50、約80~約60、約80~約70、約70~約5、約70~約10、約70~約20、約70~約30、約70~約40、約70~約50、約70~約60、約60~約5、約60~約10、約60~約20、約60~約30、約60~約40、約60~約50、約50~約5、約50~約10、約50~約20、約50~約30、約50~約40、約40~約5、約40~約10、約40~約20、約40~約30、約30~約5、約30~約10、約30~約20、約20~約5、約20~約10、又は約10~約5重量パーセントのジメチルカーボネートを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、約20~約95重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテン、例えば、約20~約90、約20~約80、約20~約70、約20~約60、約20~約50、約20~約40、約20~約30、約30~約95、約30~約90、約30~約80、約30~約70、約30~約60、約30~約50、約30~約40、約40~約95、約40~約90、約40~約80、約40~約70、約40~約60、約40~約50、約50~約95、約50~約90、約50~約80、約50~約70、約50~約60、約60~約95、約60~約90、約60~約80、約60~約70、約70~約95、約70~約90、約70~約80、約80~約95、約80~約90、又は約90~約95重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0028】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のように約80~約5重量パーセントのジメチルカーボネート、及び上記のように約20~約95重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のように約80~約40重量パーセントのジメチルカーボネート、及び上記のように約20~約60重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物は、約49~約51重量パーセントのジメチルカーボネート及び約49~約51重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0031】
いくつかの実施形態では、組成物は、約50重量パーセントのジメチルカーボネート及び約50重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のように約5~約15重量パーセントのジメチルカーボネート、及び上記のように約85~約95重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のように約5~約10重量パーセントのジメチルカーボネート、及び上記のように約90~約95重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0034】
いくつかの実施形態では、組成物は、約8~約10重量パーセントのジメチルカーボネート及び約90~約92重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0035】
いくつかの実施形態では、組成物は、約9重量パーセントのジメチルカーボネート及び約91重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、共沸混合物組成物である。
【0037】
いくつかの実施形態では、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、共沸混合物様組成物である。
【0038】
いくつかの実施形態では、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、約101kPaの圧力で約85℃~約86℃の沸点を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンを含む組成物は、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを更に含み、メトキシペルフルオロヘプテン及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンは、それぞれ、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、約22~約35重量パーセントのジメチルカーボネート、例えば、約22~約30、約22~約25、約25~約35、約25~約30、又は約30~約35重量パーセントのジメチルカーボネートを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、組成物は、約20~約55重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテン、例えば、約20~約50、約20~約40、約20~約30、約30~約55、約30~約50、約30~約40、約40~約55、約40~約50、約50~約55重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、約22~約35重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテン、例えば、約22~約30、約22~約25、約25~約35、約25~約30、又は約30~約35重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物は、約30~約52重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、例えば、約30~約45、約30~約40、約30~約35、約35~約52、約35~約45、約35~約40、約40~約52、約40~約45、又は約45~約52重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、組成物は、ジメチルカーボネート、メトキシペルフルオロヘプテン、及びメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0045】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のように約22~約35重量パーセントのジメチルカーボネート、上記のように約20~約55重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテン、及び上記のように約30~約52重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0046】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のように約22~約35重量パーセントのジメチルカーボネート、上記のように約22~約35重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテン、及び上記のように約30~約52重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0047】
いくつかの実施形態では、組成物は、約35~約45重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、約25~約35重量パーセントのジメチルカーボネート、及び約45~約55重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物は、約39~約41重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、約29~約31重量パーセントのジメチルカーボネート、及び約29~約31重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0049】
いくつかの実施形態では、組成物は、約39~約41重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、約29~約31重量パーセントのジメチルカーボネート、及び約49~約51重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0050】
いくつかの実施形態では、組成物は、約40重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、約30重量パーセントのジメチルカーボネート、及び約30重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0051】
いくつかの実施形態では、組成物は、約40重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、約30重量パーセントのジメチルカーボネート、及び約50重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる。
【0052】
いくつかの実施形態では、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、ジメチルカーボネート、及びメトキシペルフルオロヘプテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、共沸混合物組成物である。
【0053】
いくつかの実施形態では、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、ジメチルカーボネート、及びメトキシペルフルオロヘプテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、共沸混合物様組成物である。
【0054】
いくつかの実施形態では、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、ジメチルカーボネート、及びメトキシペルフルオロヘプテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、約101kPaの圧力で約88℃の沸点を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンを含み、メトキシペルフルオロペンテンは、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で、組成物中に存在する。
【0056】
いくつかの実施形態では、メトキシペルフルオロペンテンは、(E)-2-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、(E)-4-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、(Z)-2-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、(Z)-4-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、(E)-3-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、及び(Z)-3-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エンの混合物を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、組成物は、約0.1~約12重量パーセントのジメチルカーボネート、例えば、約0.1~約10、約0.1~約5、約0.1~約3、約0.1~1、約1~約12、約1~約10、約1~約5、約1~約3、約3~約12、約3~約10、約3~約5、約5~約12、又は約10~約12重量パーセントのジメチルカーボネートを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、組成物は、約99.9~約88重量パーセントのメトキシペルフルオロペンテン、例えば、約99.9~約90、約99.9~約95、約99.9~約97、約99.9~99、約99~約88、約99~約90、約99~約95、約99~約97、約97~約88、約97~約90、約97~約95、約95~約88、約95~約90、又は約90~約88重量パーセントのメトキシペルフルオロペンテンを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、組成物は、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンから本質的になる。
【0060】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のように約0.1~約12重量パーセントのジメチルカーボネート、及び上記のように約99.9~約88重量パーセントメトキシペルフルオロペンテンから本質的になる。
【0061】
いくつかの実施形態では、組成物は、約7~約9重量パーセントのジメチルカーボネート及び約91~約93重量パーセントのメトキシペルフルオロペンテンから本質的になる。
【0062】
いくつかの実施形態では、組成物は、約8重量パーセントのジメチルカーボネート及び約92重量パーセントのメトキシペルフルオロペンテンから本質的になる。
【0063】
いくつかの実施形態では、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、共沸混合物組成物である。
【0064】
いくつかの実施形態では、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、共沸混合物様組成物である。
【0065】
いくつかの実施形態では、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、約101kPaの圧力で約74℃の沸点を有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、本出願は、HFC-4310mee及び酢酸メチルを含む組成物であって、HFC-4310mee及び酢酸メチルは、共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する、組成物を更に提供する。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、約15~約30重量パーセントの酢酸メチル、例えば、約15~約25、約15~約20、約20~約30、約20~約25、又は約25~約30重量パーセントの酢酸メチルを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、組成物は、約70~約85重量パーセントのHFC-4310mee、例えば、約70~約80、約70~約75、約75~約85、約75~約80、又は約80~約85重量パーセントのHFC-4310meeを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、組成物は、HFC-4310mee及び酢酸メチルから本質的になる。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物は、上記のように約15~約30重量パーセントの酢酸メチル、及び上記のように約70~約85重量パーセントのHFC-4310meeから本質的になる。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は、約24~約26重量パーセントの酢酸メチル及び約74~約76重量パーセントのHFC-4310meeから本質的になる。
【0072】
いくつかの実施形態では、組成物は、約25重量パーセントの酢酸メチル及び約75重量パーセントのHFC-4310meeから本質的になる。
【0073】
いくつかの実施形態では、HFC-4310mee及び酢酸メチルを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、共沸混合物組成物である。
【0074】
いくつかの実施形態では、HFC-4310mee及び酢酸メチルを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、共沸混合物様組成物である。
【0075】
いくつかの実施形態では、HFC-4310mee及び酢酸メチルを含む、それらから本質的になる、又はそれらからなる組成物は、約101kPaの圧力で約59℃~約60℃の沸点を有する。
【0076】
使用方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、洗浄剤、フラックス除去剤、及び/又は脱脂剤として有用である。したがって、本出願は、表面を洗浄するプロセスであって、本明細書で提供される組成物を上記表面と接触させるステップを含む、プロセスを提供する。いくつかの実施形態では、プロセスは、表面又は基材から残渣を除去するステップであって、表面又は基材を本明細書で提供される組成物と接触させるステップと、組成物から表面又は基材を回収するステップと、を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本出願は、溶質を溶解させるためのプロセスであって、溶質を、十分な量の本明細書で提供される組成物と接触させ混合するステップを含む、プロセスを更に提供する。
【0078】
いくつかの実施形態では、表面又は基材は、集積回路デバイスであり得、この場合、残渣は、ロジンフラックス又は油を含む。集積回路デバイスは、フリップチップ、μBGA、又はチップスケールパッケージング構成要素などの様々な種類の構成要素を有する回路基板であり得る。表面又は基材は、追加として、ステンレス鋼などの金属表面であり得る。ロジンフラックスは、RMA((rosin mildly activated)ロジン弱活性化)、RA((rosin activated)ロジン活性化)、WS((water soluble)水溶性)、及びOA((organic acid)有機酸)が挙げられるが、これらに限定されない、集積回路デバイスのはんだ付けにおいて一般的に使用される任意の種類であり得る。油残渣としては、鉱油、モータ油、及びシリコーン油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態では、本出願は、濡れている基材又は表面又はデバイスの表面から水の少なくとも一部を除去するためのプロセスであって、基材、表面、又はデバイスを本明細書で提供される組成物と接触させるステップと、次いで、基材、表面、又はデバイスを組成物との接触から除去するステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、基材を脱水又は乾燥するのに好適な少なくとも1つの界面活性剤を更に含む。例示的な界面活性剤としては、アルキルジメチルアンモニウムイソオクチルホスフェート、tert-アルキルアミン(例えば、tert-ブチルアミン)、ペルフルオロアルキルホスフェート、ジメチルデセナミド、フッ素化アルキルポリエーテル、四級アミン(例えば、アンモニウム塩)、及びグリセロールモノステアレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
デバイス、表面、又は基材を接触させるための手段は重要ではなく、例えば、本明細書で提供される組成物を含有する浴中にデバイス、表面、若しくは基材を浸漬するステップ、本明細書で提供される組成物を用いてデバイス、表面、若しくは基材を噴霧するステップ、又は組成物で湿潤された材料(例えば、布)でデバイス、表面、若しくは基材を拭き取るステップによって達成され得る。代替的に、本明細書で提供される組成物は、このような残渣の除去のために設計された蒸気脱脂又はフラックス除去装置において使用され得る。このような蒸気脱脂又はフラックス除去機器は、Forward Technology(Crest Group,Trenton,NJの子会社)、Trek Industries(Azusa,CA)、及びUltronix,Inc.(Hatfield,PA)などの様々な供給元から入手可能である。
【実施例
【0082】
本発明を、具体的な実施例によって、より詳細に説明する。以下の実施例は、例示目的のために提供され、いかなる意味でも、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更又は修正することができる様々な、死活的に重要とは言えないパラメータを、容易に認識するであろう。
【0083】
実施例1.気液平衡分析及び蒸留分析
気液平衡分析
PTx法は、混合物の気相-液相平衡(VLE)データを実験的に測定する既知の方法である。測定は、等温又は等圧のいずれかで行うことができる。等温法は、一定温度で公知の組成の混合物の全圧を測定することを必要とする。この方法では、既知の体積のセル内の総絶対圧力を、2つの化合物の様々な既知の組成について一定温度で測定する。等圧法は、一定圧力で公知の組成の混合物の温度を測定することを必要とする。この方法では、既知の体積のセル内の温度を、2つの化合物の様々な既知の組成について一定圧力で測定する。PTx法の使用については、その開示が全体として参照により本明細書に組み込まれている、「Phase Equilibrium in Process Design」、Wiley-Interscience Publisher、1970年、Harold R.Null著、124~126頁に詳細に記載されている。
【0084】
測定したデータ点は、非ランダム二液(NRTL)式などの活量係数式モデルを用いることによって、PTxセル中の平衡状態の蒸気と液体の組成に変換して液相非理想系を表すことができる。NRTL式などの活量係数式の使用については、その開示が全体として参照により本明細書に組み込まれている、「The Properties of Gases and Liquids」、第4版、McGraw Hill発行、Reid、Prausnitz、及びPoling著、241~387頁、及び「Phase Equilibria in Chemical Engineering」、Butterworth Publishers発行、1985年、Stanley M.Walas著、165~244頁に詳細に記載されている。いかなる理論又は説明にも束縛されることを望むものではないが、NRTL式は、PTxセルデータと併せて、本発明の様々な組成物の気相-液相平衡挙動、及び蒸留塔などの多段階式分離装置内におけるこれらの混合物の挙動を充分に予測すると考えられる。
【0085】
蒸留分析
混合物を調製し、標準ASTM法D1078当たり760mmHgの圧力で、25段蒸留塔内で蒸留した。ヘッド及びフラスコ温度を1℃に直接監視した。蒸留液試料を、ガスクロマトグラフィーによる組成物の測定のために蒸留全体を通して採取した。
【0086】
共沸混合物組成物
表1は、大気圧(約101kPa)におけるジメチルカーボネートの様々な2成分組成物及び3成分組成物並びにHFC-4310mee及び酢酸メチルの2成分組成物の蒸留分析及び/又はVLE分析によって決定された共沸混合物範囲及び共沸混合物点を示す。MPHE=メトキシペルフルオロヘプテンエーテル(すなわち、メトキシペルフルオロヘプテン)、MPPE=メトキシペルフルオロペンテンエーテル(すなわち、メトキシペルフルオロペンテン)、DMC=ジメチルカーボネート、HFCP=1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン。MeAc=酢酸メチル。
【0087】
【表1】
【0088】
図1図2は、(A)ジメチルカーボネートとメトキシペルフルオロヘプテンエーテルとの2成分ブレンド(図1)及び(B)ジメチルカーボネートとメトキシペルフルオロペンテンエーテルとの2成分ブレンド(図2)の組成物のVLEデータを示す。図1に対応する表形式のVLEデータを以下の表2に示し、図2に対応する表形式のVLEデータを以下の表3に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
図3に示すように、ジメチルカーボネート及び40%~60%メトキシペルフルオロヘプテンエーテルを含有する2成分混合物は、一定の沸点、共沸混合物様挙動の特性を示した。表形式のデータを以下の表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
45%~60%メトキシペルフルオロヘプテンエーテル及びジメチルカーボネートを含有するブレンドの気相及び液相はまた、図4に示されるように、同一の組成、共沸混合物挙動の特性を示すことが見出された。表形式のデータを以下の表5に示す。
【0094】
【表5】
【0095】
実施例2.可燃性及び引火点試験
HFC-4310meeと酢酸メチルとの混合物を使用して、引火点試験を実施した。引火点は、タグ密閉式試験機による引火点の標準試験方法であるASTM D56-05(2010)を使用して決定した。図6に示されるように、「NF」として示される混合物は、不燃性であると決定された。
【0096】
【表6】
【0097】
実施例3.50%ジメチルカーボネート/50%メトキシペルフルオロヘプテンブレンドの洗浄効果
50%ジメチルカーボネートと50%メトキシペルフルオロヘプテンとの混合物を、凝縮コイルを備えた1000mLのビーカーにデカントし、ホットプレートを使用して沸点(85.4℃)まで加熱した。3つの予め洗浄された304ステンレス鋼クーポンを分析天秤で秤量した。Mobil 600Wシリンダ油の薄膜を各クーポンの片面に適用し、拭き取り布で過剰分を除去した。次いで、各クーポンを再秤量して、適用した油の重量及び堆積した油の量を決定した。次いで、クーポンを、沸騰している溶媒ブレンドの気相中に10分間配置した。次いで、クーポンを除去し、再秤量の前に10分間乾燥し、かつオフガスを発生することを可能にして、溶媒ブレンドの洗浄効果係数を決定した。洗浄効果係数(CEF)は、式1によって決定された。洗浄分析の結果を表7に示す。
式1.
CEF=(汚染重量-洗浄後重量)/(汚染重量-初期重量)
【0098】
【表7】
【0099】
実施例4.30%ジメチルカーボネート/50%メトキシペルフルオロヘプテン/40%1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンブレンドの洗浄効果
30%ジメチルカーボネート/50%メトキシペルフルオロヘプテン/40% 1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンの混合物を、凝縮コイルを備えた1000mLのビーカーにデカントし、ホットプレートを使用して沸点(88℃)まで加熱した。3つの予め洗浄された304ステンレス鋼クーポンを分析天秤で秤量した。Chesterton AWC切削油の薄膜を各クーポンの片面に適用し、拭き取り布で過剰分を除去した。次いで、各クーポンを再秤量して、適用した油の重量及び堆積した油の量を決定した。次いで、クーポンを、沸騰している溶媒ブレンドの気相中に10分間配置した。次いで、クーポンを除去し、再秤量の前に10分間乾燥し、かつオフガスを発生することを可能にして、溶媒ブレンドの洗浄効果係数を決定した。洗浄効果係数(CEF)は、式1によって決定された。洗浄分析の結果を表8に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
実施例5.9%ジメチルカーボネート/91%メトキシペルフルオロヘプテンブレンドの洗浄効果
9%ジメチルカーボネート/91%メトキシペルフルオロヘプテンの混合物を、凝縮コイルを備えた1000mLのビーカーにデカントし、ホットプレートを使用して沸点(74.3℃)まで加熱した。3つの予め洗浄された304ステンレス鋼クーポンを分析天秤で秤量した。クーポンを熱風ガンで加熱し、ホールドワックスブロックで拭き取って、ワックスの薄膜を堆積させた。次いで、各クーポンを再秤量して、ワックス重量を決定した。次いで、沸騰している溶媒ブレンドの気相中に10分間配置した。次いで、クーポンを除去し、再秤量の前に10分間乾燥し、かつオフガスを発生することを可能にして、溶媒ブレンドの洗浄効果係数を決定した。洗浄効果係数(CEF)は、式1によって決定された。洗浄分析の結果を表9に示す。
【0102】
【表9】
【0103】
他の実施形態
1.いくつかの実施形態では、本出願は、
i)ジメチルカーボネートと、
ii)メトキシペルフルオロヘプテン及びメトキシペルフルオロペンテンから選択される化合物と、を含む組成物であって、
メトキシペルフルオロヘプテン又はメトキシペルフルオロペンテンは、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する、組成物を提供する。
2.組成物は、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンを含み、メトキシペルフルオロヘプテンは、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する、実施形態1に記載の組成物。
3.メトキシペルフルオロヘプテンは、(E)-4-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エン、(E)-3-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エン、(E)-5-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エン、(E)-4-メトキシ-ペルフルオロヘプト-2-エン、(Z)-3-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エン、及び(Z)-4-メトキシ-ペルフルオロヘプト-3-エンの混合物を含む、実施形態1又は2に記載の組成物。
4.組成物は、約80~約40重量パーセントのジメチルカーボネートを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
5.組成物は、約20~60重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
6.組成物は、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
7.組成物は、約80~約40重量パーセントのジメチルカーボネート及び約20~約60重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる、実施形態1~3及び5のいずれか1つに記載の組成物。
8.組成物は、約50重量パーセントのジメチルカーボネート及び約50重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる、実施形態1~3及び5のいずれか1つに記載の組成物。
9.組成物が共沸混合物組成物である、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
10.組成物は、約101kPaの圧力で約85℃~約86℃の沸点を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の組成物。
11.1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを更に含み、メトキシペルフルオロヘプテン及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンは、それぞれ、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する、実施形態2~10のいずれか1つに記載の組成物。
12.組成物は、約22~約35重量パーセントのジメチルカーボネートを含む、実施形態11に記載の組成物。
13.組成物は、約22~約35重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンを含む、実施形態11又は12に記載の組成物。
14.組成物は、約30~52重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンを含む、実施形態11~13のいずれか1つに記載の組成物。
15.組成物は、ジメチルカーボネート、メトキシペルフルオロヘプテン、及びメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる、実施形態11~14のいずれか1つに記載の組成物。
16.組成物は、約22~約35重量パーセントのジメチルカーボネート、約22~約35重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテン、及び約30~約52重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる、実施形態11に記載の組成物。
17.組成物は、約40重量パーセントの1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、約30重量パーセントのジメチルカーボネート、及び約30重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる、実施形態11に記載の組成物。
18.組成物は共沸混合物組成物である、実施形態11~17のいずれか1つに記載の組成物。
19.組成物は、約101kPaの圧力で約88℃の沸点を有する、実施形態11~18のいずれか1つに記載の組成物。
20.組成物は、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンを含み、メトキシペルフルオロペンテンは、ジメチルカーボネートと共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する、実施形態1に記載の組成物。
21.メトキシペルフルオロペンテンは、(E)-2-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、(E)-4-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、(Z)-2-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、(Z)-4-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、(E)-3-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エン、及び(Z)-3-メトキシ-ペルフルオロペント-2-エンの混合物を含む、実施形態1~20に記載の組成物。
22.組成物は、約0.1~約12重量パーセントのジメチルカーボネートを含む、実施形態1、20、及び21のいずれか1つに記載の組成物。
23.組成物は、約99.9~88重量パーセントのメトキシペルフルオロペンテンを含む、実施形態1、及び20~22のいずれか1つに記載の組成物。
24.組成物は、ジメチルカーボネート及びメトキシペルフルオロペンテンから本質的になる、実施形態1、20、及び21のいずれか1つに記載の組成物。
25.組成物は、約0.1~約12重量パーセントのジメチルカーボネート及び約99.9~約88重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる、実施形態1、20、21、及び24のいずれか1つに記載の組成物。
26.組成物は、約8重量パーセントのジメチルカーボネート及び約92重量パーセントのメトキシペルフルオロヘプテンから本質的になる、実施形態1、20、21、及び24のいずれか1つに記載の組成物。
27.組成物は共沸混合物組成物である、実施形態20~26のいずれか1つに記載の組成物。
28.組成物は、約101kPaの圧力で約74℃の沸点を有する、実施形態1、及び20~27のいずれか1つに記載の組成物。
29.いくつかの実施形態では、本出願は、HFC-4310mee及び酢酸メチルを含み、HFC-4310mee及び酢酸メチルは、共沸混合物組成物又は共沸混合物様組成物を形成するのに有効な量で組成物中に存在する、組成物を提供する。
30.組成物は、約15~約30重量パーセントの酢酸メチルを含む、実施形態29に記載の組成物。
31.組成物は、約70~約85重量パーセントのHFC-4310meeを含む、実施形態29又は30に記載の組成物。
32.組成物は、HFC-4310mee及び酢酸メチルから本質的になる、実施形態29に記載の組成物。
33.組成物は、約15~約30重量パーセントの酢酸メチル及び約70~約85重量パーセントのHFC-4310meeから本質的になる、実施形態29又は32に記載の組成物。
34.組成物は、約25重量パーセントの酢酸メチル及び約75重量パーセントのHFC-4310meeから本質的になる、実施形態29、32、及び33のいずれか1つに記載の組成物。
35.組成物は共沸混合物組成物である、実施形態29~34のいずれか1つに記載の組成物。
36.組成物は、約101kPaの圧力で約59℃~約60℃の沸点を有する、実施形態29~35のいずれか1つに記載の組成物。
37.いくつかの実施形態では、本出願は、溶質を溶解させるためのプロセスであって、当該溶質を、十分な量の実施形態1~36のいずれか1つに記載の組成物と接触させ混合するステップを含む、プロセスを更に提供する。
38.いくつかの実施形態では、本出願は、表面を洗浄するプロセスであって、実施形態1~36のいずれか1つに記載の組成物を当該表面と接触させるステップを含む、プロセスを更に提供する。
39.いくつかの実施形態では、本出願は、濡れている基材の表面から水の少なくとも一部を除去するためのプロセスであって、基材を実施形態1~36のいずれか1つに記載の組成物と接触させるステップと、次いで、基材を組成物との接触から除去するステップと、を含む、プロセスを更に提供する。
40.組成物は、基材を脱水又は乾燥するのに好適な少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、実施形態39に記載のプロセス。
【0104】
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲を例示することを意図し、かつ限定するものではないことを理解すべきである。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。本発明が、本発明の任意の特定の態様及び/又は実施形態に関して本明細書に記載される特徴のいずれも、本明細書に記載される本発明の任意の他の態様及び/又は実施形態の他の特徴のいずれかのうちの1つ以上と組み合わせることができ、組み合わせの適合性を確実にするために適宜変更することができることが、当業者により理解されるべきである。このような組み合わせは、本開示により企図される本発明の一部であるとみなされる。
図1
図2
図3
図4