(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】電池のケース、電池、電力消費装置、電池製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/342 20210101AFI20231215BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20231215BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20231215BHJP
H01M 50/375 20210101ALI20231215BHJP
H01M 50/367 20210101ALN20231215BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/204 401D
H01M50/289
H01M50/375
H01M50/367
(21)【出願番号】P 2021576387
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2021082464
(87)【国際公開番号】W WO2022198457
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】李 耀
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼ 明光
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/024433(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/003291(WO,A1)
【文献】中国実用新案第209401662(CN,U)
【文献】特表2013-509688(JP,A)
【文献】特表2022-545324(JP,A)
【文献】特表2022-543344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/342
H01M 50/204
H01M 50/289
H01M 50/375
H01M 50/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池のケースであって、
電池セル群を収容することに用いられる電気キャビティであって、前記電池セル群は第1方向に沿って配列された複数の電池セルを備え、前記複数の電池セルのうちの少なくとも2つの前記電池セルはリリーフ機構を備え、前記リリーフ機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記リリーフ機構は、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられる電気キャビティと、
前記リリーフ機構が作動する場合に前記リリーフ機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集キャビティと、
前記電気キャビティと前記収集キャビティを分離する分離部材であって、前記電気キャビティ及び前記収集キャビティを前記分離部材の両側に設置させることに用いられる分離部材と、
を備え、前記第1壁は前記分離部材に取り付けられ、前記分離部材の前記電池セル群に近い面に
連続した逃げ開口部が設置され、前記
連続した逃げ開口部は前記第1方向に沿って延在し、前記電池セル群の複数のリリーフ機構はいずれも前記
連続した逃げ開口部に対向することを特徴とする電池のケース。
【請求項2】
前記
連続した逃げ開口部は、前記リリーフ機構に変形スペースを提供して、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に前記リリーフ機構を前記分離部材に接近する方向に向かって変形して破裂させることを可能にするように構成されることを特徴とする請求項
1に記載のケース。
【請求項3】
前記
連続した逃げ開口部は凹溝であり、前記凹溝の底壁に少なくとも1つの排気孔が設置され、前記リリーフ機構が設けられた電池セルの排出物は前記排気孔を通って前記収集キャビティに入ることを特徴とする請求項
1又は2に記載のケース。
【請求項4】
前記ケースは少なくとも1つの空気バッフルを備え、前記空気バッフルは前記凹溝の底壁に設置され、前記空気バッフルは前記凹溝を前記第1方向に沿って少なくとも2つのスペースに分割することに用いられることを特徴とする請求項
3に記載のケース。
【請求項5】
前記凹溝の開口部の第2方向に沿った外側に遮断部材が設置され、前記遮断部材は接着剤が前記凹溝に入ることを遮断することに用いられ、前記接着剤は前記第1壁を前記分離部材に固定することに用いられ、前記第2方向は前記第1方向に垂直であることを特徴とする請求項
3又は4に記載のケース。
【請求項6】
前記
連続した逃げ開口部の底壁に脆弱領域が設置され、前記脆弱領域は、前記リリーフ機構が作動する場合に前記電池セル内から排出された排出物により破壊されて、前記排出物を前記脆弱領域に通過して前記収集キャビティに入れることを可能にするように構成されることを特徴とする請求項
3~5のいずれか一項に記載のケース。
【請求項7】
前記分離部材に第2貫通孔が設置され、前記排出物は前記第2貫通孔から排出されることを特徴とする請求項
1~6のいずれか一項に記載のケース。
【請求項8】
前記排出物は前記第2貫通孔を通って前記電気キャビティの排気通路に入り、前記排気通路を通って排出されることを特徴とする請求項
7に記載のケース。
【請求項9】
電池であって、
第1方向に沿って配列された複数の電池セルを備える電池セル群であって、前記複数の電池セルのうちの少なくとも2つの前記電池セルはリリーフ機構を備え、前記リリーフ機構は、前記リリーフ機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられる電池セル群と、
請求項
1~8のいずれか一項に記載のケースと、
を備えることを特徴とする電池。
【請求項10】
請求項9に記載の電池を備えることを特徴とする電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電池の技術分野に関し、特に電池のケース、電池、電力消費装置、電池製造方法及び電池製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ及び排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵である。この場合、電気自動車は、その省エネで環境に優しい利点により、自動車産業の持続可能な発展の重要な構成部分になっている。電気自動車について、電池技術はその発展に関連する重要な要素である。
【0003】
電池技術の発展では、電池の性能を向上させることに加えて、安全問題も無視できない問題である。電池の安全問題を確保できない場合、該電池を使用できない。従って、如何に電池の安全性を強化するかは、電池技術で早急に解決すべき技術的課題である。
【発明の概要】
【0004】
本願は、電池のケース、電池、電力消費装置、電池製造方法及び電池製造装置を提供し、電池の安全性を強化することができる。
【0005】
第1態様は、電池のケースを提供し、電池セル群を収容することに用いられる電気キャビティであって、前記電池セル群は第1方向に沿って配列された複数の電池セルを備え、前記複数の電池セルのうちの少なくとも2つの前記電池セルはリリーフ機構を備え、前記リリーフ機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記リリーフ機構は、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられる電気キャビティと、前記リリーフ機構が作動する場合に前記リリーフ機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集キャビティと、前記電気キャビティと前記収集キャビティを分離する分離部材であって、前記電気キャビティ及び前記収集キャビティを前記分離部材の両側に設置させるための分離部材とを備え、前記第1壁は前記分離部材に取り付けられ、前記分離部材の前記電池セル群に近い面に逃げ開口部が設置され、前記逃げ開口部は前記第1方向に沿って延在し、前記電池セル群の複数のリリーフ機構はいずれも前記逃げ開口部に対向する。
【0006】
本願の実施例の技術案では、分離部材を使用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティを分離し、リリーフ機構が作動する場合、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず又は少し入り、それにより電気キャビティの電気接続部材をオンにして短絡させることはなく、従って電池の安全性を強化することができる。電池のケースに電池セル群のリリーフ機構に対応する逃げ開口部を設置することにより、リリーフ機構が遮蔽されることを回避し、リリーフ機構が排出物をスムーズに排出できることを確保する。また、各リリーフ機構が各逃げ開口部に1対1で対応する技術案(該技術案は、組み立てに対する要件が非常に高く、組み立ての累積公差が許容可能範囲を超える場合、一部の電池セルのリリーフ機構は対応する逃げ開口部に位置合わせされないため分離部材により遮蔽され、従ってリリーフ機構が作動した後に排出物をスムーズに排出できず、極端な場合、単電池が適時にリリーフされないため爆発することを引き起こす)に比較して、逃げ開口部が前記第1方向に沿って延在することにより、電池セル群の全てのリリーフ機構をいずれも逃げ開口部に対向させ、リリーフ機構と逃げ開口部の位置合わせの難しさを大幅に低下させることができ、それによりリリーフ機構が遮蔽されることを防止する。
【0007】
いくつかの実施例では、前記電池セル群の全てのリリーフ機構はいずれも前記逃げ開口部に対向する。
【0008】
本願の実施例の電池セル群の全てのリリーフ機構は逃げ開口部に対向するため、全てのリリーフ機構が作動する場合、その排出物は逃げ開口部を通って収集キャビティにスムーズに入ることができ、それにより電池の安全を確保する。
【0009】
いくつかの実施例では、前記逃げ開口部は、前記リリーフ機構に変形スペースを提供して、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に前記リリーフ機構を前記分離部材に接近する方向に向かって変形して破裂させることを可能にするように構成される。
【0010】
逃げ開口部は、リリーフ機構に変形スペースを提供して、電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合にリリーフ機構を分離部材に接近する方向に向かって変形して破裂させることを可能にするため、リリーフ機構がスムーズに開放されて、電池セルに排出物を外部に排出させることが確保される。
【0011】
いくつかの実施例では、前記複数の電池セルのうちの各電池セルはいずれも前記リリーフ機構を備える。それにより、任意の電池セルの内部圧力又は温度が上昇する場合、いずれもリリーフ機構により内部圧力を解放できることが確保され、それにより電池セルの爆発を防止することができる。
【0012】
いくつかの実施例では、前記逃げ開口部は凹溝又は貫通孔である。
【0013】
凹溝又は貫通孔を設置することにより、リリーフ機構はスムーズに開放されて、電池セルに排出物を外部に排出させることができる。
【0014】
いくつかの実施例では、前記逃げ開口部の第2方向に沿った幅は前記リリーフ機構の前記第2方向に沿った幅よりも大きく、前記第2方向は前記第1方向に垂直である。
【0015】
逃げ開口部の幅をリリーフ機構の幅よりも大きく設定することにより、リリーフ機構が遮蔽されることを回避する。
【0016】
いくつかの実施例では、前記逃げ開口部は凹溝であり、前記凹溝の底壁に少なくとも1つの排気孔が設置され、前記リリーフ機構が設けられた電池セルの排出物は前記排気孔を通って前記収集キャビティに入る。
【0017】
排気孔を設置することにより、リリーフ機構が設けられた電池セルの排出物は排気孔を通って収集キャビティに入ることができ、それにより大量の排出物が分離部材によりバリアされて電気キャビティに入ることを防止する。
【0018】
いくつかの実施例では、前記排気孔は複数であり、各排気孔は対応するリリーフ機構に対向して設置される。
【0019】
複数の排気孔が設置され、各排気孔は対応するリリーフ機構に対向して設置されることにより、排出物が排気孔を通って収集キャビティに迅速に入ることができる。
【0020】
いくつかの実施例では、前記ケースは少なくとも1つの空気バッフルを備え、前記空気バッフルは前記凹溝の底壁に設置され、前記空気バッフルは前記凹溝を前記第1方向に沿って少なくとも2つのスペースに分割することに用いられる。
【0021】
ケースに空気バッフルを設置することにより、リリーフ機構の作動された電池セルから排出された排出物が隣接する電池セルを衝撃することを阻止でき、それにより隣接する電池セルの熱暴走を防止し、電池の安全性能が向上する。
【0022】
いくつかの実施例では、前記空気バッフルは複数であり、複数の前記空気バッフルは前記第1方向に沿って配列されて、隣接する2つの前記リリーフ機構の間に前記空気バッフルを持たせる。
【0023】
隣接するリリーフ機構の間に空気バッフルを設置することにより、任意の作動された電池セルから排出された排出物が隣接する電池セルを衝撃することを阻止でき、さらに電池の安全性能が向上する。
【0024】
いくつかの実施例では、前記空気バッフルは圧縮性材料で製造され、前記空気バッフルは前記第1壁及び前記凹溝の底壁により圧縮される。
【0025】
空気バッフルは圧縮性材料で製造され、空気バッフルは第1壁及び凹溝の底壁により圧縮されるため、良好な封止効果を確保でき、それによりリリーフ機構の作動された電池セルから排出された排出物が隣接する電池セルを衝撃することをより良好に阻止する。
【0026】
いくつかの実施例では、前記凹溝の第2方向に沿った2つの側壁に切り欠きが設置され、前記切り欠きは前記空気バッフルを配置することに用いられ、前記第2方向は前記第1方向に垂直である。
【0027】
本願の実施例の凹溝の側壁に切り欠きが設置され、空気バッフルの迅速な位置決めを実現でき、電池の迅速な装着及び組み合わせが容易になる。
【0028】
いくつかの実施例では、前記凹溝の開口部の前記第2方向に沿った外側に遮断部材が設置され、前記遮断部材は接着剤が前記凹溝に入ることを遮断することに用いられ、前記接着剤は前記第1壁を前記分離部材に固定することに用いられ、前記第2方向は前記第1方向に垂直である。
【0029】
凹溝の外側に遮断部材を設置することにより、接着剤が凹溝に入ることを遮断し、接着剤による凹溝の閉塞に起因してリリーフ機構の排出物を凹溝からスムーズに排出できないという問題を回避でき、それにより電池の安全性を強化することができる。
【0030】
選択可能に、上記遮断部材は接着剤バッフルであってもよく、上記接着剤は構造用接着剤であってもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、前記分離部材の前記電池セル群に近い面に第2凹溝が設置され、前記第2凹溝は前記第1方向に沿って延在し、前記凹溝の開口部の第2方向に沿った外側に位置し、前記第2凹溝は前記遮断部材を収容することに用いられる。
【0032】
凹溝の外側に遮断部材を収容する第2凹溝を設置することにより、遮断部材の位置決め及び固定を実現することができる。
【0033】
いくつかの実施例では、前記遮断部材は圧縮性材料で製造され、前記遮断部材は前記分離部材の前記電池セル群に近い面及び前記第2凹溝の底壁により圧縮される。
【0034】
遮断部材は圧縮性材料で製造され、遮断部材は電池セル群の表面及び第2凹溝の底壁により圧縮されるため、良好な封止効果を確保でき、それにより接着剤が凹溝に入ることをより良好に阻止する。
【0035】
いくつかの実施例では、前記分離部材は内部に流路を有し、前記流路は流体を収容して前記分離部材に前記電池セルの温度を調整させることに用いられる。
【0036】
分離部材内に流体を収容する流路を設置することにより、流路内の流体を使用でき、熱伝導材料を介して熱量を伝達することにより、電池セルの温度低下又は加熱を実現することができる。
【0037】
いくつかの実施例では、前記分離部材は、前記リリーフ機構が作動する場合に破壊されて、前記流体を前記分離部材の内部から排出させることを可能にするように構成される。
【0038】
分離部材が設置されて流体を収容し、リリーフ機構が作動する場合に分離部材が破壊されることにより、分離部材内の流体を排出させて電池セルを冷却し、それによりさらに電池の安全性能を向上させることができる。
【0039】
いくつかの実施例では、前記分離部材は第1板及び第2板を備え、前記第1板は前記第2板の前記電気キャビティに近い側に位置し、前記第1壁に取り付けられ、前記第1板の第1領域は前記第2板へ凹んで前記凹溝を形成し、前記第1領域は前記第2板に接続される。
【0040】
本願の実施例の分離部材は第1板及び第2板を備え、第1板及び第2板によって分離部材内に流体を収容する流路を形成でき、それにより電池セルの温度低下又は加熱を実現することができる。
【0041】
いくつかの実施例では、前記第1領域に少なくとも1つの第1排気孔が設置され、前記第1排気孔は前記リリーフ機構に対応して設置される。
【0042】
第1領域にはリリーフ機構に対向して設置された排気孔を設置することにより、リリーフ機構の排出物をスムーズに排出して収集キャビティに入れることができ、それにより電池の安全を確保する。
【0043】
いくつかの実施例では、前記第1領域に複数の前記第1排気孔が設置され、複数の前記第1排気孔は前記第1方向に間隔をおいて設置される。
【0044】
間隔をおいて設置された複数の第1排気孔を設置し、選択可能に、該複数の第1排気孔は各電池セルのリリーフ機構に1対1で対応することにより、各電池セルのリリーフ機構が作動する場合、その排出物が排気孔から収集キャビティにスムーズに入ることを確保でき、それにより電池の安全を確保する。
【0045】
いくつかの実施例では、前記第2板の前記第1排気孔に対応する位置に第2排気孔が設置される。
【0046】
第1排気孔に対向する第2排気孔を設置することにより、リリーフ機構の排出物が第1排気孔及び第2排気孔を通って電気キャビティにスムーズに排出され、収集キャビティに入ることを確保でき、それにより電池の安全を確保する。選択可能に、上記複数の第1排気孔は前記リリーフ機構に1対1で対応してもよい。
【0047】
いくつかの実施例では、前記第1排気孔は封止層で封止され、及び/又は、前記第2排気孔は封止層で封止される。
【0048】
上記第1排気孔及び/又は第2排気孔が封止層で封止されることにより、収集キャビティの封止を実現でき、それにより電気キャビティと収集キャビティを分離し、収集キャビティ内のガスによる電気キャビティへの影響を阻止する。
【0049】
いくつかの実施例では、前記封止層の厚さは0.05mm~0.3mmである。
【0050】
いくつかの実施例では、前記第2板の前記第1排気孔に対応する領域の厚さは前記第2板の他の領域の厚さよりも薄い。
【0051】
第2板の第1排気孔に対向する領域の厚さを他の領域の厚さよりも薄く設定することにより、リリーフ機構が作動する場合、第1排気孔に対応する第2板の領域が排出物でより容易に破壊され、それにより排出物が収集キャビティにスムーズに入り、さらに電池の安全を確保することができる。
【0052】
いくつかの実施例では、前記逃げ開口部の底壁に脆弱領域が設置され、前記脆弱領域は、前記リリーフ機構が作動する場合に前記電池セル内から排出された排出物により破壊されて、前記排出物を前記脆弱領域に通過して前記収集キャビティに入れることを可能にするように構成される。
【0053】
前記逃げ開口部の底壁に前記脆弱領域を設置することにより、一方では、前記リリーフ機構が作動する場合に前記排出物は前記脆弱領域を通過して前記収集キャビティに入り、前記排出物が前記電気キャビティに入ることを回避することができ、他方では、前記リリーフ機構が作動しない場合、前記電気キャビティと前記収集キャビティとの間の分離を確保でき、前記収集キャビティ内の水蒸気などの物質が前記電気キャビティに入って短絡させることを回避できる。
【0054】
いくつかの実施例では、前記脆弱領域の厚さは3mm以下である。
【0055】
いくつかの実施例では、前記脆弱領域は前記分離部材の前記脆弱領域以外の残りの部分よりも低い融点を有する。
【0056】
本願の実施例の脆弱領域は脆弱領域以外の残りの部分よりも低い融点を有し、脆弱領域は、リリーフ機構の排出物により衝撃される場合、より容易に破壊され、それにより排出物が収集キャビティにスムーズに排出され、電池の安全を確保する。
【0057】
いくつかの実施例では、前記脆弱領域で使用される材料の融点は400℃未満である。
【0058】
いくつかの実施例では、前記分離部材に第2貫通孔が設置され、前記排出物は前記第2貫通孔から排出される。
【0059】
第2貫通孔を設置することにより、排出物は、収集キャビティに入った後に電池ケースの外部に排出されることなく、第2貫通孔から排出されるため、排出物の排出経路をさらに延長させ、排出物による外部環境への影響を低下させ、外部環境の安全を確保することができる。
【0060】
いくつかの実施例では、前記排出物は前記第2貫通孔を通って前記電気キャビティの排気通路に入り、前記排気通路を通って排出される。
【0061】
本願の実施例の排出物は第2貫通孔を通って電気キャビティの排気通路に入って排出され、排気経路をさらに延長させ、排出物による外部環境への影響を低下させることができる。
【0062】
いくつかの実施例では、前記分離部材は前記電気キャビティ及び前記収集キャビティにより共有された壁を有する。
【0063】
前記分離部材は前記電気キャビティ及び前記収集キャビティにより共有された壁として機能するため、排出物と電気キャビティを分離し、それにより排出物の危険性を低下させ、電池の安全性を強化することができる。
【0064】
いくつかの実施例では、前記ケースは保護部材をさらに備え、前記保護部材は前記分離部材を保護することに用いられ、前記保護部材と前記分離部材は前記収集キャビティを形成する。
【0065】
前記保護部材と前記分離部材で形成された前記収集キャビティは、前記排出物を効果的に収集して緩衝し、その危険性を低下させることができる。また、保護部材は分離部材を保護する役割を果たし、分離部材が異物で破壊されることを防止できる。
【0066】
第2態様は、電池を提供し、第1方向に沿って配列された複数の電池セルを備える電池セル群であって、前記複数の電池セルのうちの少なくとも2つの前記電池セルはリリーフ機構を備え、前記リリーフ機構は、前記リリーフ機構が設けられた電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられる電池セル群と、第1態様に記載のケースとを備える。
【0067】
第3態様は、電力消費装置を提供し、第2態様に記載の電池を備える。
【0068】
いくつかの実施例では、前記電力消費装置は車両、船舶又は宇宙機である。
【0069】
第4態様は、電池製造方法を提供し、電池セル群を提供するステップであって、前記電池セル群は第1方向に沿って配列された複数の電池セルを備え、前記複数の電池セルのうちの少なくとも2つの前記電池セルはリリーフ機構を備え、前記リリーフ機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記リリーフ機構は、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられる、ステップと、ケースを提供するステップと、を含み、前記ケースは、前記電池セル群を収容することに用いられる電気キャビティと、前記リリーフ機構が作動する場合に前記リリーフ機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集キャビティと、前記電気キャビティと前記収集キャビティを分離する分離部材であって、前記電気キャビティ及び前記収集キャビティを前記分離部材の両側に設置させることに用いられる分離部材とを備え、前記分離部材の前記電池セル群に近い面に逃げ開口部が設置され、前記逃げ開口部は前記第1方向に沿って延在し、前記電池セル群の複数のリリーフ機構はいずれも前記逃げ開口部に対向する。
【0070】
第5態様は、電池製造装置を提供し、第1提供モジュールと、第2提供モジュールと、装着モジュールと、を備え、前記第1提供モジュールは、電池セル群を提供することに用いられ、前記電池セル群は第1方向に沿って配列された複数の電池セルを備え、前記複数の電池セルのうちの少なくとも2つの前記電池セルはリリーフ機構を備え、前記リリーフ機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記リリーフ機構は、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられ、前記第2提供モジュールは、ケースを提供することに用いられ、前記ケースは、前記電池セル群を収容することに用いられる電気キャビティと、前記リリーフ機構が作動する場合に前記リリーフ機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集キャビティと、前記電気キャビティと前記収集キャビティを分離する分離部材であって、前記電気キャビティ及び前記収集キャビティを前記分離部材の両側に設置させることに用いられる分離部材とを備え、前記装着モジュールは、前記分離部材の前記電池セル群に近い面に逃げ開口部を設置することに用いられ、前記逃げ開口部は前記第1方向に沿って延在し、前記電池セル群の複数のリリーフ機構はいずれも前記逃げ開口部に対向する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者が創造的労働を必要とせずに、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本願の一実施例に係る車両の構造模式図である。
【
図2】本願の一実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池セル群の構造模式図である。
【
図4】本願の一実施例に係る電池セルの分解図である。
【
図5】本願の別の実施例に係る電池セルの分解図である。
【
図6】本願の一実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図7】本願の一実施例に係る逃げ開口部が貫通孔である断面模式図である。
【
図8】本願の一実施例に係る逃げ開口部が凹溝である断面模式図である。
【
図9a】本願の一実施例に係る電池の平面模式図である。
【
図9b】
図9aに示される電池のA-Aに沿った断面模式図である。
【
図9c】
図9bに示される電池のB部分の拡大図である。
【
図10a】本願の一実施例に係る分離部材の斜視模式図である。
【
図10b】本願の一実施例に係る分離部材の分解図である。
【
図11】本願の一実施例に係る空気バッフルが設置された分離部材の模式図である。
【
図12】本願の一実施例に係る空気バッフルの構造模式図である。
【
図13】本願の一実施例に係る分離部材の別の斜視模式図である。
【
図14】本願の一実施例に係る遮断部材の構造模式図である。
【
図15】本願の一実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図16】本願の一実施例に係るケースの分解図である。
【
図17】本願の一実施例に係るケースの分解図である。
【
図18】本願の一実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図19】本願の一実施例に係るケースの構造模式図である。
【
図20】本願の一実施例に係るケースの構造模式図である。
【
図21】本願の一実施例に係る電池の構造模式図である。
【
図22】本願の一実施例に係る電池の分解図である。
【
図23】本願の一実施例に係る電池製造方法の模式的なフローチャートである。
【
図24】本願の一実施例に係る電池製造装置の模式的なブロック図である。 図面では、図面は実際の比例で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明するためのものに過ぎないが、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち、本願は説明される実施例に限定されない。
【0073】
ただし、本願の説明では、特に説明されない限り、「複数」は2つ以上(2つを含む)を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が示した方位又は位置関係は、本願を容易に説明し及び説明を簡素化するためのものに過ぎず、示した装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作されることを指示し又は暗示しないため、本願を限定するものとして理解できない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解できない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0074】
以下の説明に現れる方位詞はいずれも図示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。ただし、本願の説明では、特に明確に規定及び限定されない限り、「装着」、「接続」、「連結」という用語は広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接的接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0075】
本願では、電池セルは、一次電池、二次電池を備えてもよく、例えば、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などであってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは、円筒体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池セルは、一般的に包装方式に応じて、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルの3種類に分けられ、本願の実施例はこれを限定しない。
【0076】
本願の実施例に係る電池とは、1つ又は複数の電池セルを備えることで、より高い電圧及び容量を提供する単一の物理モジュールを指す。例えば、本願に係る電池は、電池セル群又は電池パックなどを備えてもよい。電池パックは、一般的に、1つ又は複数の電池セルを包装するためのケースを備える。ケースは、液体又は他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避できる。
【0077】
電池セルは、電極組立体と、電解液とを備え、電極組立体は、正極板、負極板及び分離膜からなる。電池セルは主に金属イオンが正極板と負極板との間に移動することにより動作する。正極板は、正極集電体と、正極活物質層とを備え、正極活物質層は正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない集電体は正極タブとして機能する。リチウムイオン電池を例として、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と、負極活物質層とを備え、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとして機能する。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流が流れて溶断しないことを確保するために、正極タブは数が複数であり且つ一体に積層され、負極タブは数が複数であり且つ一体に積層される。分離膜の材質はポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)などであってもよい。また、電極組立体は、巻回構造であってもよく、積層構造であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。電池技術の発展は、複数の設計要素、例えばエネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータを同時に考慮する必要があり、また、電池の安全性を考慮する必要がある。
【0078】
電池について、主な安全上の危険は充電及び放電過程から生じられ、電池の安全性能を向上させるために、電池セルに対して、一般的にリリーフ機構が設置される。リリーフ機構とは、電池セルの内部圧力又は温度が所定閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放する素子又は部材を指す。該所定閾値は設計需要の異なりによって調整され得る。前記所定閾値は、電池セル内の正極極板、負極極板、電解液及び分離膜のうちの1つ又は複数の材料により決められる。リリーフ機構は、例えば、感圧又は温度感受性の素子又は部材を使用でき、すなわち、電池セルの内部圧力又は温度が所定閾値になった場合、リリーフ機構は作動して、内部圧力又は温度を解放できるための通路を形成する。
【0079】
本願に係る「作動」とは、リリーフ機構が動きを生成して、電池セルの内部圧力及び温度を解放させることを意味する。リリーフ機構による動きは、リリーフ機構の少なくとも一部の破裂、破れ又は溶融などを含んでもよいがこれらに限定されない。リリーフ機構は作動した後、電池セル内部の高温高圧物質が排出物としてリリーフ機構から外部に排出される。該方式を使用すると、制御可能な圧力又は温度で電池セルがリリーフすることができ、それにより潜在的により深刻な事故の発生を回避することができる。
【0080】
本願に係る電池セルからの排出物は、電解液、溶解又は分割された正負極極板、分離膜の破片、反応によって生成された高温高圧ガス、火炎などを含むがこれらに限定されない。
【0081】
電池セルのリリーフ機構は電池の安全性に対して重要な影響を与える。例えば、電池セルが短絡したり、過充電されたりした場合、電池セル内部で熱暴走を引き起こして圧力又は温度を急激に上昇させる可能性がある。このような場合、リリーフ機構が作動することにより、内部圧力及び温度を外部に解放して、電池セルの爆発、発火を防止することができる。
【0082】
現在のリリーフ機構の設計案では、電池セル内部の高圧及び高熱を解放し、すなわち前記排出物を電池セルの外部に排出することに主に注目している。電池の出力電圧又は電流を確保するために、常に複数の電池セルの間をバス部材を介して電気的に接続する必要がある。熱暴走された電池セルの内部から排出された排出物が残りの電池セルの短絡現象を引き起こす可能性があり、例えば、排出された金屑が2つのバス部材に電気的に接続される場合に一部の電池セルを短絡させるため、安全上のリスクが存在する。
【0083】
これに鑑みて、本願の実施例は技術案を提供し、分離部材を使用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティを分離し、リリーフ機構が作動する場合、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず又は少し入り、それにより電気キャビティの電気接続部材をオンにして短絡させることはなく、従って電池の安全性を強化することができる。電池のケースには電池セル群のリリーフ機構に対応する逃げ開口部を設置することにより、リリーフ機構が遮蔽されることを回避し、リリーフ機構が排出物をスムーズに排出できることを確保する。また、各リリーフ機構が各逃げ開口部に1対1で対応する技術案(該技術案は、組み立てに対する要件が非常に高く、組み立ての累積公差が許容可能範囲を超える場合、一部の電池セルのリリーフ機構は対応する逃げ開口部に位置合わせされないため分離部材により遮蔽され、従ってリリーフ機構が作動した後に排出物をスムーズに排出できず、極端な場合、単電池が適時にリリーフされないため爆発することを引き起こす)に比較して、逃げ開口部が前記第1方向に沿って延在することにより、電池セル群の全てのリリーフ機構はいずれも逃げ開口部に対向し、リリーフ機構と逃げ開口部の位置合わせの難しさを大幅に低下させることができ、それによりリリーフ機構が遮蔽されることを防止する。
【0084】
分離部材は電気キャビティと収集キャビティを分離して、電気キャビティ及び収集キャビティを分離部材の両側に設置させることに用いられる。選択可能に、本願の実施例の分離部材は熱管理部材として機能してもよく、すなわち、該分離部材は流体を収容して複数の電池セルの温度を調整することができる。ここでの流体は液体又はガスであってもよく、温度の調整とは、複数の電池セルを加熱又は冷却することを意味する。電池セルを冷却又は温度低下する場合、該分離部材は冷却流体を収容して複数の電池セルの温度を低下させることに用いられ、また、分離部材は加熱して複数の電池セルを昇温することに用いられてもよく、本願の実施例はこれを限定しない。選択可能に、前記流体は循環的に流れて、より良好な温度調整効果を達成することができる。選択可能に、流体は水、水とエチレングリコールの混合液又は空気などであってもよい。
【0085】
本願に係る電気キャビティは複数の電池セル及びバス部材を収容することに用いられる。電気キャビティは封止されてもよく、又は封止されなくてもよい。電気キャビティは電池セル及びバス部材の装着スペースを提供する。いくつかの実施例では、電気キャビティには電池セルを固定するための構造がさらに設置されてもよい。電気キャビティの形状は、収容された電池セル及びバス部材の数及び形状に応じて決められ得る。いくつかの実施例では、電気キャビティは角形であってもよく、6つの壁を有する。本願に係るバス部材は、並列接続又は直列接続又は直並列接続など、複数の電池セルの間の電気的接続を実現することに用いられる。バス部材は、電池セルの電極端子を接続することにより電池セルの間の電気的接続を実現することができる。いくつかの実施例では、バス部材は電池セルの電極端子に溶接で固定される。
【0086】
本願に係る収集キャビティは排出物を収集することに用いられ、封止されてもよく又は封止されなくてもよい。いくつかの実施例では、前記収集キャビティ内に、空気、又は他のガスを含んでもよい。選択可能に、前記収集キャビティ内に、冷却媒体などの液体が含んでもよく、又は、該液体を収容する部材が設置されてもよく、収集キャビティに入った排出物をさらに温度低下することができる。さらに選択可能に、収集キャビティ内のガス又は液体は循環的に流れている。
【0087】
本願の実施例で説明される技術案は電池を使用する様々な装置に適用でき、例えば、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、電気自転車、電気玩具、電動工具、電気自動車、船舶及び宇宙機などであり、例えば、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含む。
【0088】
理解されるように、本願の実施例で説明される技術案は、上記説明される装置に適用できるだけでなく、電池を使用する全ての装置に適用でき、説明を簡潔にするために、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0089】
例えば、
図1は、本願の一実施例に係る車両1の構造模式図であり、車両1は、ガソリン車、ガス車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部にはモータ40、コントローラ30及び電池10が設置されてもよく、コントローラ30は電池10がモータ40に給電するように制御することに用いられる。例えば、車両1の底部又は前部又は尾部に電池10が設置されてもよい。電池10は車両1の給電に用いられ、例えば、電池10は車両1の操作電源として機能でき、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いられる。本願の別の実施例では、電池10は、車両1の操作電源として機能できるだけでなく、車両1の駆動電源として機能でき、ガソリン又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供する。
【0090】
異なる使用電力需要を満たすために、本願の電池は電池セル群であってもよく、電池パックであってもよい。電池は少なくとも1つの電池セル群を備え、電池セル群は複数の電池セルを備え、複数の電池セルの間は、直列接続は並列接続又は直並列接続によって電気的に接続されて電池を形成してもよく、直並列接続は、直列接続と並列接続の組み合わせである。電池は電池パックであってもよい。複数の電池セルは、先ず直列接続又は並列接続又は直並列接続によって電池セル群を形成し、次に、複数の電池セル群は、直列接続又は並列接続又は直並列接続によって電池パックを形成する。
【0091】
例えば、
図2は、本願の一実施例に係る電池10の構造模式図であり、電池10は少なくとも1つの電池セル群200を備えてもよい。電池セル群200は複数の電池セル20を備える。電池10はケースをさらに備えてもよく、ケースの内部は中空構造であり、複数の電池セル20はケース内に収容される。
図2に示すように、ケースは2つの部分を含んでもよく、ここでは、それぞれ第1部分111及び第2部分112と呼ばれ、第1部分111及び第2部分112は係合される。第1部分111及び第2部分112の形状は電池セル群200を組み合わせた形状に応じて決められてもよく、第1部分111及び第2部分112はいずれも開口部を有してもよい。例えば、第1部分111及び第2部分112はいずれも中空直方体であってもよく、且つそれぞれ1つのみの面が開口面であり、第1部分111の開口部と第2部分112の開口部とは対向して設置され、第1部分111及び第2部分112は互いに係合されて密閉チャンバを有するケースを形成する。複数の電池セル20は互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせられて第1部分111及び第2部分112が係合して形成されたケース内に配置される。
【0092】
選択可能に、電池10は他の構造をさらに備えてもよく、ここで詳細な説明を省略する。例えば、該電池10はバス部材をさらに備えてもよく、バス部材は、並列接続又は直列接続又は直並列接続など、複数の電池セル20の間の電気的接続を実現することに用いられる。具体的には、バス部材は、電池セル20の電極端子を接続することにより電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。さらに、バス部材は、電池セル20の電極端子に溶接で固定されてもよい。複数の電池セル20の電気エネルギーはさらに導電機構を介してケースを貫通して引き出され得る。
【0093】
異なる電力需要に応じて、電池セル群200の電池セル20の数は任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20は直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されて大きな容量又は電力を実現することができる。各電池10に備えられる電池セル20の数は多い可能性があるため、装着を容易にするために、電池セル20をグループ化して設置することができ、各グループの電池セル20は電池セル群200を形成する。電池セル群200に備えられる電池セル20の数は限られず、必要に応じて設定できる。例えば、
図3は電池セル群200の一例である。電池は複数の電池セル群を備えてもよく、これらの電池セル群は直列接続、並列接続又は直並列接続の方式で接続されてもよい。
【0094】
図4は、本願の一実施例に係る電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は、1つ又は複数の電極組立体22と、筐体211と、蓋板212とを備える。筐体211と蓋板212はハウジング21を形成する。筐体211の壁及び蓋板212はいずれも電池セル20の壁と呼ばれる。筐体211は1つ又は複数の電極組立体22を組み合わせた形状に応じて決められ、例えば、筐体211は中空の直方体又は立方体又は円筒体であってもよく、且つ筐体211の1つの面には、1つ又は複数の電極組立体22を筐体211内に配置することができるように、開口部がある。例えば、筐体211が中空の直方体又は立方体である場合、筐体211の1つの平面は開口面であり、すなわち該平面は壁体を有さないため、筐体211の内外が連通する。筐体211が中空の円筒体である場合、筐体211の端面は開口面であり、すなわち該端面は壁体を有さないため、筐体211の内外が連通する。蓋板212は開口部を覆い且つ筐体211に接続され、電極組立体22を配置する密閉キャビティを形成する。筐体211内に電解液などの電解質が充填される。
【0095】
該電池セル20は2つの電極端子214をさらに備えてもよく、2つの電極端子214は蓋板212に設置されてもよい。蓋板212は通常、平板形状であり、2つの電極端子214は蓋板212の平板面に固定され、2つの電極端子214はそれぞれ正電極端子214a及び負電極端子214bである。各電極端子214にはそれぞれ接続部材23が対応して設置され、前記接続部材23は、蓋板212と電極組立体22との間に位置し、電極組立体22と電極端子214の電気的接続を実現することに用いられる。
【0096】
図4に示すように、各電極組立体22は第1タブ221a及び第2タブ222aを有する。第1タブ221aと第2タブ222aの極性は逆である。例えば、第1タブ221aが正極タブである場合、第2タブ222aは負極タブである。1つ又は複数の電極組立体22の第1タブ221aは1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極組立体22の第2タブ222aは他の接続部材23を介して他の電極端子に接続される。例えば、正電極端子214aは1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負電極端子214bは他の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0097】
該電池セル20においては、実際の使用需要に応じて、電極組立体22は1つ又は複数設置されてもよく、
図4に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極組立体22が設置される。
【0098】
図5は、本願の別の実施例に係るリリーフ機構213を備える電池セル20の構造模式図である。
【0099】
図5の筐体211、蓋板212、電極組立体22及び接続部材23は
図4の筐体211、蓋板212、電極組立体22及び接続部材23と一致し、簡潔にするために、ここで詳細な説明を省略する。
【0100】
電池セル20の1つの壁、例えば
図5に示される第1壁21aにはリリーフ機構213がさらに設置されてもよい。
図5では、第1壁21aは筐体211から分離され、すなわち筐体211の底側に開口部があり、第1壁21aは底側の開口部を覆い且つ筐体211に接続され、接続方式は溶接又は接着などであってもよい。あるいは、第1壁21aと筐体211は一体構造であってもよい。リリーフ機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0101】
該リリーフ機構213は第1壁21aの一部であってもよく、第1壁21aとは別個の構造であってもよく、例えば溶接の方式で第1壁21aに固定される。リリーフ機構213が第1壁21aの一部である場合、例えば、リリーフ機構213は第1壁21aに切り込みを設置することにより形成され、該切り込みに対応する第1壁21aの厚さはリリーフ機構213の切り込み以外の他の領域の厚さよりも薄い。切り込み箇所はリリーフ機構213の最も薄い位置である。電池セル20によって生成されたガスが多すぎると、筐体211の内部圧力が上昇して閾値になり又は電池セル20の内部反応が熱量を発生させて電池セル20の内部温度が上昇して閾値になった場合、リリーフ機構213は切り込み箇所に破裂されて筐体211の内外を連通し、ガス圧力及び温度をリリーフ機構213の破裂によって外部に解放し、さらに電池セル20の爆発を回避する。
【0102】
選択可能に、本願の一実施例では、
図5に示すように、リリーフ機構213が電池セル20の第1壁21aに設置される場合、電池セル20の第2壁に電極端子214が設置され、第2壁は第1壁21aとは異なる。
【0103】
選択可能に、第2壁と第1壁21aとは対向して設置される。例えば、第1壁21aは電池セル20の底壁であってもよく、第2壁は電池セル20の蓋板212であってもよい。
【0104】
選択可能に、
図5に示すように、該電池セル20は当て板24をさらに備えてもよく、該当て板24は電極組立体22と筐体211の底壁との間に位置し、電極組立体22を支持する役割を果たすことができ、電極組立体22が筐体211の底壁の周りの丸い角に干渉することを効果的に防止できる。また、該当て板24には1つ又は複数の貫通孔が設置されてもよく、例えば、均一に配列された複数の貫通孔が設置されてもよく、又は、リリーフ機構213が筐体211の底壁に設置される場合、該リリーフ機構213に対応する位置に貫通孔が設置されてもよく、電解液の伝導又はガスの伝導を容易にし、具体的には、このように、当て板24の上下面のスペースが連通することができ、電池セル20の内部に生成されたガス、電解液はいずれも当て板24を自由に通過することができる。
【0105】
リリーフ機構213及び電極端子214は電池セル20の異なる壁に設置されると、リリーフ機構213が作動する場合、電池セル20の排出物は電極端子214よりも遠く離れて、排出物による電極端子214及びバス部材への影響を低下させ、従って電池の安全性を強化することができる。
【0106】
さらに、電極端子214が電池セル20の蓋板212に設置される場合、リリーフ機構213は電池セル20の底壁に設置されると、リリーフ機構213が作動する場合、電池セル20の排出物を電池10の底部に排出することができる。このように、一方では、電池10底部の分離部材を使用して排出物の危険性を低下させることができ、他方では、電池10の底部は通常、ユーザーから離れて、それによりユーザーに対する危害を低下させることができる。
【0107】
リリーフ機構213は、様々な可能なリリーフ構造であってもよく、本願の実施例はこれを限定しない。例えば、リリーフ機構213は、感温リリーフ機構であってもよく、感温リリーフ機構はリリーフ機構213が設けられた電池セル20の内部温度が閾値になった場合に溶融できるように構成され、及び/又は、リリーフ機構213は、感圧リリーフ機構であってもよく、感圧リリーフ機構はリリーフ機構213が設けられた電池セル20の内部気圧が閾値になった場合に破裂できるように構成される。
【0108】
現在、電池のリリーフ機構の設計案では、リリーフ機構が遮蔽されてリリーフ機構の排出物を排出できず、及び設計案が複雑であり、装着しにくいなどの複数の問題がさらに存在し、本願の実施例は、これらの問題に対して電池のケースを提出し、分離部材を使用して電池セルを収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティを分離し、リリーフ機構が作動する場合、電池セルの排出物は収集キャビティに入り、電気キャビティに入らず又は少し入り、それにより電気キャビティの電気接続部材をオンにして短絡させることはなく、従って電池の安全性を強化することができる。電池のケースには電池セル群のリリーフ機構に対応する逃げ開口部を設置することにより、リリーフ機構が遮蔽されることを回避し、リリーフ機構が排出物をスムーズに排出できることを確保する。また、各リリーフ機構が各逃げ開口部に1対1で対応する技術案(該技術案は、組み立てに対する要件が非常に高く、組み立ての累積公差が許容可能範囲を超える場合、一部の電池セルのリリーフ機構は対応する逃げ開口部に位置合わせされないため分離部材により遮蔽され、従ってリリーフ機構が作動した後に排出物をスムーズに排出できず、極端な場合、単電池が適時にリリーフされないため爆発することを引き起こす)に比較して、逃げ開口部が前記第1方向に沿って延在することにより、電池セル群の全てのリリーフ機構はいずれも逃げ開口部に対向し、リリーフ機構と逃げ開口部の位置合わせの難しさを大幅に低下させることができ、それによりリリーフ機構が遮蔽されることを防止する。
【0109】
図6は、本願の一実施例に係る電池の模式図を示す。
図6に示すように、ケース11は、電気キャビティ11aと、収集キャビティ11bと、分離部材13とを備えてもよい。分離部材13は電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離することに用いられる。ここでいわゆる「分離」は、仕切りを指し、封止されなくてもよい。
【0110】
電気キャビティ11aは電池セル群200を収容することに用いられ、電池セル群200は第1方向に沿って配列された複数の電池セル20を備え、選択可能に、該第1方向は単一行又は単一列の配列方向であってもよい。電気キャビティ11aは電池セル群200の収容スペースを提供し、電気キャビティ11aの形状は電池セル群200に応じて決められてもよい。
【0111】
選択可能に、電気キャビティ11aはさらにバス部材12を収容することに用いられ、バス部材12は複数の電池セル20の電気的接続を実現することに用いられる。バス部材12は、電池セル20の電極端子214を接続することにより電池セル20間の電気的接続を実現する。
【0112】
複数の電池セルのうちの少なくとも2つの電池セル20はリリーフ機構213を備えてもよく、該リリーフ機構213は電池セル20の第1壁21aに設置され、リリーフ機構213は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
【0113】
説明を容易にするために、以下、リリーフ機構213の関連説明に係る電池セル20は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20を指す。例えば、電池セル20は
図5の電池セル20であってもよい。
【0114】
収集キャビティ11bは、リリーフ機構213が作動する場合にリリーフ機構213が設けられた電池セル20からの排出物を収集することに用いられる。
【0115】
分離部材13は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離して、電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bを分離部材13の両側に設置させることに用いられてもよい。
【0116】
本願の実施例では、分離部材13を使用して電気キャビティ11aと収集キャビティ11bを分離する。すなわち、電池セル群200を収容する電気キャビティ11aは排出物を収集する収集キャビティ11bから分離される。このように、リリーフ機構213が作動する場合、電池セル20の排出物は収集キャビティ11bに入り、電気キャビティ11aに入らず又は少し入り、それにより電気キャビティ11a内の電気的接続に影響を与えず、従って電池の安全性を強化することができる。
【0117】
選択可能に、本願の実施例の分離部材13は内部に流路を有してもよく、前記流路は流体を収容して分離部材13に前記電池セル20の温度を調整させることに用いられる。具体的には、分離部材13は熱伝導材料で流体の流路を形成してもよい。流体は流路内を流れて、熱伝導材料を介して熱量を伝導して電池セル20を温度低下又は加熱する。選択可能に、前記流体は循環的に流れて、より良好な温度調整効果を達成することができる。
【0118】
選択可能に、本願の実施例の分離部材13は、リリーフ機構213が作動する場合に破壊されて、流体を分離部材13の内部から排出させるように構成される。具体的には、リリーフ機構213が作動する場合、分離部材13が破壊され、流体が分離部材13の内部から排出され、このように電池セル20の熱量を吸収し、排出物の温度を低下させ、さらに排出物の危険性を低下させることができる。この場合、流体と流体で冷却された排出物は収集キャビティ11bに入る。流体の冷却により、電池セル20の排出物の温度を迅速に低下させることができ、従って収集キャビティ11bに入った排出物の危険性が大幅に低下し、電池の他の部分(例えば、他の電池セル20)に大きな影響を与えることはなく、それにより単一の電池セル20の異常による破壊性を即座に抑制して、電池の爆発の可能性を低下させることができる。
【0119】
理解されるように、分離部材13にはリリーフ機構213が作動する場合に破壊され得る構造が設置されることに加えて、さらにリリーフ機構213には破壊装置が設置されてもよく、破壊装置は、リリーフ機構213が作動する場合に、分離部材13を破壊して、流体を分離部材13の内部から排出させることに用いられる。例えば、破壊装置はとげであってもよいが、本願の実施例はこれを限定しない。
【0120】
リリーフ機構がスムーズに開放されて電池セルに排出物を外部に排出させることを確保するために、本願の分離部材13の電池セル群200に近い面に逃げ開口部が設置されてもよく、該逃げ開口部は複数の電池セル20が配列された第1方向に沿って延在し、且つ、電池セル群200の複数の電池セル20に対応するリリーフ機構213はいずれも該逃げ開口部に対向し、すなわち、該逃げ開口部は電池セル群200の全てのリリーフ機構を覆うことができる。
【0121】
本願の実施例の逃げ開口部は、リリーフ機構213に変形スペースを提供して、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合にリリーフ機構213を分離部材13に接近する方向に変形して破裂させるように構成されてもよい。
【0122】
リリーフ機構213に変形スペースを提供することにより、本願の実施例のリリーフ機構213は、電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になって作動する場合、提供した変形スペース内に破裂され、リリーフ機構213が遮蔽されることを回避し、それによりその排出物の排出を確保することができ、従って、電池の安全性を強化し、また、本願の実施例の逃げ開口部は電池セル群200の全てのリリーフ機構213を覆うことができ、各リリーフ機構が各逃げ開口部に1対1で対応する技術案に比較して、逃げ開口部が前記第1方向に沿って延在することにより、電池セル群の全てのリリーフ機構はいずれも逃げ開口部に対向することにより、リリーフ機構と逃げ開口部の位置合わせの難しさを大幅に低下させることができ、それによりリリーフ機構が遮蔽されることを防止する。
【0123】
選択可能に、本願の実施例の逃げ開口部は凹溝又は貫通孔であってもよく、凹溝又は貫通孔はリリーフ機構213に変形スペースを提供できて、それによりリリーフ機構213が作動する場合にスムーズに破裂されて排出物を排出できる。
【0124】
一実施例として、本願の実施例の逃げ開口部の第2方向に沿った幅はリリーフ機構213の第2方向に沿った幅に関連してもよく、具体的には、逃げ開口部の第2方向に沿った幅はリリーフ機構213の第2方向に沿った幅よりも大きく、第2方向は第1方向に垂直である。
【0125】
以下、本願の実施例の逃げ開口部が凹溝又は貫通孔として設置される状況をそれぞれ説明する。
【0126】
図7は、本願の実施例に係る分離部材13に設置された逃げ開口部が貫通孔である時の断面模式図を示す。
図7に示すように、分離部材13には貫通孔137が設置され、貫通孔137は、一方では、逃げ開口部として機能でき、他方では、リリーフ機構213が作動する場合にリリーフ機構213が設けられた電池セル20からの排出物を貫通孔137を通って収集キャビティ11bに入れることができる。
【0127】
一実施例として、貫通孔137はリリーフ機構213に対向して設置されてもよい。このように、リリーフ機構213が作動する場合、排出物は直接貫通孔137を通って収集キャビティ11bに入ることができる。
【0128】
選択可能に、分離部材13には1つのみの貫通孔137が設置され、該1つの貫通孔137は電池セル群200の全てのリリーフ機構213に対応する。リリーフ機構213に対応する貫通孔137を設置することにより、リリーフ機構213に変形スペースを提供でき、それによりリリーフ機構213が作動する場合、貫通孔137を介して排出物を収集キャビティ11b内に排出することができる。上記したように、分離部材13は内部に流体を収容でき、且つ、分離部材13はリリーフ機構213が作動する場合に破壊されて流体を流出させることができる。分離部材13が破壊され得る状況に対応して、本願の一実施例では、分離部材13の逃げ開口部が貫通孔137として設置される場合、分離部材13の貫通孔137bの周りに位置する部分は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20からの排出物により破壊されて、流体を分離部材13の内部から排出させることができる。
【0129】
具体的には、リリーフ機構213が作動する場合、電池セル20の排出物は貫通孔137を通って収集キャビティ11bに入り、また、排出物は貫通孔137の周りの部分を破壊でき、例えば、高熱の排出物は貫通孔137の周りの分離部材13を溶融し、流体を分離部材13の内部から排出させ、それにより高熱の排出物を温度低下する。
【0130】
選択可能に、本願の一実施例では、貫通孔137の孔壁は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20からの排出物により破壊されて、流体を分離部材13の内部から排出させることができる。
【0131】
リリーフ機構213が作動する場合、電池セル20の排出物は貫通孔137に侵入し、排出物が高圧高熱の排出物であるため、排出物は貫通孔137を通過する時に貫通孔137の孔壁を溶融して、流体を分離部材13の内部から排出させ、それにより排出物を温度低下する。
【0132】
選択可能に、貫通孔137の孔壁は軸方向に傾斜し、具体的には、排出物の排出方向に沿って、貫通孔137の直径は徐々に小さくなり、このように排出物との接触面積を大きくして、貫通孔137の孔壁を排出物により破壊することを容易にする。
【0133】
選択可能に、貫通孔137の設置は、リリーフ機構213が作動する場合に開放され得るという条件を満たす必要がある。本願の一実施例として、貫通孔137の開口部の面積はリリーフ機構213の面積に関連する。リリーフ機構213を開放するために、貫通孔137の開口部の面積とリリーフ機構213の面積との比は所定値よりも大きい。また、貫通孔137の側壁を排出物により破壊することを容易にするために、貫通孔137の開口部の面積とリリーフ機構213の面積との比は所定値よりも小さい。
【0134】
図8は、本願の実施例に係る分離部材13に設置された逃げ開口部が凹溝である時の断面模式図である。
図8に示すように、分離部材13にはリリーフ機構213に対向して設置された凹溝134が設置される。
【0135】
選択可能に、凹溝134の深さは2mm以上であり、リリーフ機構に十分な変形スペースを提供することができ、リリーフ機構の作動に有利である。
【0136】
一実施例として、凹溝134の底壁には少なくとも1つの排気孔が設置されてもよく、前記リリーフ機構213が設けられた電池セル20の排出物は上記排気孔を通って前記収集キャビティ11bに入る。
【0137】
選択可能に、上記設置された排気孔は複数であってもよく、各排気孔は対応するリリーフ機構213に対向して設置される。
【0138】
凹溝134の底壁に排気孔を設置することにより、リリーフ機構213が作動する場合に排出された排出物は排気孔を通って収集キャビティ11bに排出され、排出物が電気キャビティ11aに入ることを防止し又は減少させ、それにより電池の安全性能を向上させる。
【0139】
以上、本願の実施例の分離部材13が流体を収容できることが説明されており、以下、本願の実施例の流体を収容できる分離部材13を説明する。一実施例として、本願の実施例の分離部材13は第1板及び第2板を備えてもよく、
図9a~9cに示すように、
図9aは本願の電池の平面模式図であり、
図9bは本願の実施例に係るケースのA-A’方向に沿った断面図であり、
図9cは
図9bに対応する部分詳細図である。
【0140】
選択可能に、本願の実施例の第1板及び第2板は熱伝導板であってもよく、具体的には、第1板及び第2板の材質は、アルミニウム又は鋼などの金属である。
【0141】
図9cに示すように、第1板131及び第2板132は流路133を形成でき、流体を収容することに用いられる。第1板131は第2板132の電気キャビティ11bに近い側に位置し、第1壁21aに取り付けられる。第1板131の第1領域131aは第2板132へ凹んで凹溝134を形成し、第1領域131aは第2板132に接続される。このように、凹溝134の周りに流路133が形成され、凹溝134の底壁内に流路がないため、リリーフ機構の排出物により破壊されることが容易になる。
【0142】
上記したように、分離部材13の逃げ開口部が凹溝134である場合、凹溝134の底壁には少なくとも1つの排気孔が設置されてもよく、本願の実施例の分離部材13は第1板131及び第2板132を有する場合、
図9cは、第1板131に設置された第1排気孔1311及び第2板132に設置された第2排気孔1321の断面図を示し、選択可能に、第1排気孔1311及び第2排気孔1321は同じサイズに設定されてもよい。
【0143】
理解されるように、上記第1排気孔1311及び第2排気孔1321は、上記説明された凹溝134に設置された排気孔を共同で構成することができる。
【0144】
以下、分離部材13の凹溝134の底壁に排気孔が設置される具体的な実施例は示されている。
【0145】
図10a~
図10bは、本願の一実施例に係る分離部材13の模式図を示す。
図10aに示すように、第1板131は凹んで凹溝134を形成し、該凹溝134は第1方向に沿って延在し、電池セル群200の複数の電池セル20の複数のリリーフ機構213に対応してもよい。選択可能に、凹溝134は電池セル群200の全ての電池セル20のリリーフ機構213に対応してもよい。
【0146】
上記したように、分離部材13が、
図9cに対応して、第1板131及び第2板132を備える場合、
図10aに示すように、第1板131の第1領域131aに第1排気孔1311が設置されてもよい。第1排気孔1311は1つであってもよく、例えば、第1領域131aは第1方向に沿って延在する第1排気孔1311だけであってもよく、このとき、該第1排気孔1311は電池セル群200の全てのリリーフ機構213に対応してもよく、又は、第1領域131aに複数の第1排気孔1311が設置されてもよく、該複数の第1排気孔1311は第1方向に間隔をおいて設置され、例えば、第1排気孔1311の数は電池セル群200のリリーフ機構213の数と同じであるように設定されてもよく、このように、各第1排気孔1311は対応するリリーフ機構213に1対1で対応することができ、それによりリリーフ機構213が排出物をスムーズに排出することを確保し、
図10aは、複数の第1排気孔1311がリリーフ機構213に1対1で対応する状況のみを示すが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0147】
選択可能に、一実現形態として、第2板132の第1排気孔1311に対応する位置には第2排気孔1321が設置されてもよい。第1排気孔1311と第2排気孔1321のサイズは同じに設定されてもよい。
【0148】
凹溝134の底壁に排気孔を設置することにより、リリーフ機構213が作動する場合、排出物をスムーズに排出できることを確保できる。
【0149】
一実施例として、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bの分離を確保するために、第1排気孔1311は封止層で封止されてもよく、及び/又は、第2排気孔1321は封止層で封止されてもよく、封止層の厚さは0.05mm~0.3mmであってもよく、選択可能に、封止層は、分離部材13の封止を実現するために、ポリエステル樹脂(PET)、ポリプロピレン(PP)などであってもよい。理解されるように、ここでの封止層の設置形態は、排気孔の孔位置に上記言及されているPET又はPP材料などを封止することであってもよく、本願の実施例は具体的な実現形態を限定しない。
【0150】
一実施例として、第1板131に第1排気孔1311が設置される場合、第2板132に第2排気孔1321が設置されなくてもよい。選択可能に、第1排気孔1311に対応する領域を薄化する方式で脆弱領域を形成することにより、リリーフ機構213の排出物は脆弱領域を突破して収集キャビティ11bにさらに排出される。具体的には、第2板132の第1排気孔1311に対応する領域の厚さは第2板132の他の領域の厚さよりも薄い。
【0151】
第2板132の第1貫通孔1311に対応する位置をより薄い厚さに設定することにより、リリーフ機構213の内部温度又は圧力が分離部材13をより容易に突破して、収集キャビティ11bに入ることができる。
【0152】
上記凹溝134の底壁に排気孔が設置される形態に加えて、本願の実施例はさらに凹溝134の底壁に脆弱領域を設置する形態により、リリーフ機構213の内部圧力又は温度で分離部材13を突破して収集キャビティ11bに入ることを達成することができる。
【0153】
一実現形態として、
図8は、本願の実施例に係る凹溝134の底壁に脆弱領域135が設置される模式図であり、底壁に脆弱領域135が設置される場合、凹溝134の底壁は分離部材13の他の領域よりも脆弱され、排出物により容易に破壊されるため、リリーフ機構213が作動する場合、排出物は凹溝134の底壁を破壊して収集キャビティ11bに入ることができる。
【0154】
脆弱領域135が設置される場合、選択可能に、第1板131及び第2板132にいずれも排気孔が設置されず、同時に設置されて脆弱領域135を構成する。又は、選択可能に、第1板131に第1排気孔1311が設置されてもよく、第2板132の凹溝134に対応する領域に第2排気孔1321が設置されず、脆弱領域135が設置され、このように、第1板131と第2板132が接続された後、凹溝134の底壁に脆弱領域135が形成され、リリーフ機構213の排出物が分離部材13を突破することを容易にする。
【0155】
理解されるように、さらに他の脆弱方式で凹溝134の底壁を薄化してもよく、例えば、第1板131の第1領域131aにブラインドビア又は段付き孔が設けられてもよく、及び/又は、第2板にブラインドビア等が設けられる。
【0156】
本願の一実施例では、脆弱領域135の厚さは3mm以下である。例えば、脆弱領域135の厚さは1mm以下であってもよい。
【0157】
薄い厚さの脆弱領域135を使用することに加えて、さらに低融点材料の脆弱領域135を使用してもよく、それにより排出物の溶融が容易になる。すなわち、脆弱領域135は分離部材13の残りの部分よりも低い融点を有する。例えば、脆弱領域135で使用される材料の融点は400℃未満である。
【0158】
理解されるように、脆弱領域135は、同時に低融点材料及び薄い厚さの設置を使用してもよく、すなわち、上記2種の実施形態は別々に実施されてもよく、組み合わせて実施されてもよい。
【0159】
上記の説明によれば、分離部材13は、リリーフ機構213が作動する場合に破壊されて、分離部材13の内部の流体を排出させることができる。本願の一実施例では、分離部材13の凹溝134の周りに位置する部分は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20からの排出物により破壊されて、流体を分離部材13の内部から排出させることができる。
【0160】
具体的には、分離部材13に凹溝134が設置される場合、凹溝134の側面は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20からの排出物により破壊されて、流体を分離部材13の内部から排出させることができる。
【0161】
凹溝134を使用する場合、リリーフ機構213が作動する場合、電池セル20の排出物は凹溝134に侵入し、凹溝134の底壁が薄いため、排出物は凹溝134の底壁を破壊して収集キャビティ11bに入り、また、凹溝134内に侵入した排出物はさらに凹溝134の側面を同時に溶融して、流体を分離部材13の内部から排出させ、それにより高熱の排出物を温度低下する。
【0162】
一実施例として、凹溝134の側壁は傾斜面であってもよく、このように排出物との接触面積を大きくして、排出物により破壊されることをより容易にする。例えば、凹溝134の側面の傾斜角(底壁が位置する平面との夾角)の角度範囲は15~85度であってもよい。
【0163】
又は、別の実施例として、凹溝134の側壁は垂直面であってもよいが、本願はこれを限定しない。
【0164】
一実施例として、上記説明された本願の実施例のリリーフ機構213が作動する場合、排出物は分離部材13を通って収集キャビティ11bに入り、排出物による外部環境への影響をさらに低下させるために、本願の実施例の分離部材13に第2貫通孔144がさらに設置されてもよく、収集キャビティ11bに入った排出物は第2貫通孔を通ってさらに排出できる。
【0165】
具体的には、排出物は第2貫通孔144を介して排気通路と連通し、排気通路を通ってケース11から最終的に排出される。分離部材13に第2貫通孔144を設置することにより、排出物の排出経路をさらに延長させ、排出物の温度などをさらに低下させることができ、それにより排出物による電池10への外部環境の影響を低下させる。
【0166】
本願の実施例の凹溝134は電池セル群200の複数の電池セル20の複数のリリーフ機構213に対応でき、複数のリリーフ機構213の排出物の全ては凹溝134から排出され、このとき、1つの電池セル20のリリーフ機構213が作動する場合、その排出物は隣接する電池セル20を衝撃して、隣接する電池セル20が破壊される可能性があり、これに基づき、本願の実施例の電池のケースは空気バッフルをさらに備えてもよく、空気バッフルを設置することにより、隣接する電池セル20の間の相互影響を低下させる。
【0167】
図11は、本願の実施例に係る空気バッフルが設置された分離部材の模式図を示し、
図11に示すように、本願の実施例の凹溝134は少なくとも1つの空気バッフル141をさらに備えてもよく、空気バッフル141は凹溝134の底壁に設置され、空気バッフル141は、凹溝134を第1方向に沿った少なくとも2つのスペースに分割することに用いられる。
【0168】
選択可能に、空気バッフル141は複数であってもよく、複数の空気バッフル141は第1方向に沿って配列されて、隣接する2つのリリーフ機構213の間に前記空気バッフルを持たせる。
【0169】
一実施例として、該複数の空気バッフル141は、凹溝134を第1方向に沿った複数のスペースに分割することができ、該複数のスペースは、複数の電池セル20のリリーフ機構213に1対1で対応してもよく、このように、各リリーフ機構213の間の相互影響を低下させ、1つの電池セル20のリリーフ機構213の排出物が隣接する電池セル20を衝撃することを回避する。
【0170】
それに対応して、本願の実施例の凹溝134の第2方向に沿った2つの側壁に切り欠き、
図10aに示される切り欠き1342が設置されてもよく、空気バッフル141は上記切り欠き1342内に配置されてもよく、分離部材13に空気バッフル141が配置された切り欠き1342を設置することにより、空気バッフル141の迅速な位置決めを実現し、装着がより簡単で容易になる。又は、空気バッフル141は凹溝134の底壁に直接張り付けられてもよく、本願はこれを限定しない。
【0171】
理解されるように、本願の実施例の空気バッフルの形状は実際の状況に応じて設定されてもよく、
図12は、本願の実施例に係る空気バッフルの模式図を示し、
図12に示すように、空気バッフル141は中間が低く、両側が高い構造であってもよく、両側の高い部分は、凹溝134の開口部の外側に設置された切り欠き1342とマッチングすることができ、それにより空気バッフル141の位置決めを実現し、この場合、装着された空気バッフルの高さは凹溝134の深さ未満であり、空気バッフル141によって分割された複数のスペースの間は完全に互いに分離されていない。
【0172】
又は、空気バッフル141は規則的な長尺状に設定されてもよく、切り欠き1342を設置することなく、凹溝134の底壁に直接張り付けられてもよく、本願の実施例は空気バッフル141の形状を限定しない。
【0173】
一実施例として、該空気バッフル141は圧縮性材料で製造されてもよく、装着が完了した後、空気バッフル141は第1壁21a及び凹溝134の底壁により圧縮される。
【0174】
電池セル20と分離部材13との間の固定を実現するために、両者の間に接着剤を使用する必要があり、接着剤が容易に流れるため、分離部材13の凹溝134内に溢出する可能性があり、接着剤が凹溝134内に入ることを防止するために、
図13に示すように、凹溝134の開口部の第2方向に沿った外側に遮断部材142が設置されてもよく、
図9cの断面図にも該遮断部材142が示され、遮断部材142は接着剤が凹溝134に入ることを防止することに用いられ、接着剤は第1壁21aを分離部材13aに固定することに用いられる。
【0175】
一実施例として、本願の実施例の遮断部材142は接着剤バッフルであってもよい。
【0176】
選択可能に、本願の実施例の遮断部材142は、
図14に示されるように、長尺状又は口字形などの形状であってもよいが、理解されるように、本願の遮断部材142は、接着剤が凹溝143内に入ることを防止する役割を実現し、その具体的な形状は実際の状況に応じて設定でき、本願の実施例はこれを限定しない。
【0177】
選択可能に、本願の実施例の電池セル群200に近い面に第2凹溝、
図10に示される第2凹溝1343が設置されてもよく、第2凹溝1343は第1方向に沿って設置され、凹溝134の開口部の第2方向に沿った外側に位置し、第2凹溝1343は上記遮断部材142を収容することに用いられ、又は、選択可能に、遮断部材142は、第2凹溝1343を設置することなく、凹溝134の第1方向に沿った開口部の外側に直接配置されてもよく、本願はこれを限定しない。
【0178】
本願の実施例の遮断部材142は圧縮性材料で製造されてもよく、遮断部材142は分離部材13の電池セル群200に近い面及び第2凹溝1343の底壁により圧縮されてもよく、選択可能に、遮断部材142の厚さは圧縮性材料の圧縮率に応じて決められてもよく、遮断部材142を設置することにより、一方では、接着剤が凹溝134内に入ることを防止でき、また、分離部材13の平面度公差を吸収して、異なる位置の接着層の厚さを調整することもできる。
【0179】
選択可能に、本願の一実施例では、分離部材13は電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bにより共有された壁を有する。
図15に示すように、分離部材13は同時に電気キャビティ11aの1つの壁及び収集キャビティ11bの1つの壁であってもよい。すなわち、分離部材13(又はその一部)は直接電気キャビティ11a及び収集キャビティにより共有された壁として機能でき、このように、電池セル群200の複数の電池セル20の排出物は分離部材13を通って収集キャビティ11bに入ることができ、また、分離部材13が存在するため、該排出物と電気キャビティ11aをできるだけ分離することができ、それにより排出物の危険性を低下させ、電池の安全性を強化する。
【0180】
選択可能に、本願の一実施例では、電気キャビティ11aは開口部を有するキャップ本体及び分離部材13で形成されてもよい。例えば、
図16に示すように、ケース11は開口部を有するキャップ本体110(
図16における下側開口部)をさらに備える。開口部を有するキャップ本体110は半密閉チャンバであり、外部と連通する開口部を有し、分離部材13は該開口部を覆って、チャンバ、すなわち電気キャビティ11aを形成する。
【0181】
選択可能に、キャップ本体110は複数の部分で構成されてもよく、例えば、
図15に示すように、キャップ本体110は第1部分111及び第2部分112を備えてもよい。第2部分112の両側にそれぞれ開口部があり、第1部分111は第2部分112の一側の開口部を覆い、分離部材13は第2部分112の他側の開口部を覆い、それにより電気キャビティ11aが形成される。
【0182】
図17の実施例は
図2に基づいて改良されたものである。具体的には、
図2の第2部分112の底壁を分離部材13に置き換え、分離部材13が電気キャビティ11aの1つの壁として機能し、それにより
図17の電気キャビティ11aを形成することができる。換言すれば、
図2の第2部分112の底壁を取り外すことができ、すなわち、両側が開口された環状壁が形成され、第1部分111及び分離部材13はそれぞれ第2部分112の両側開口部を覆って、チャンバ、すなわち電気キャビティ11aを形成する。
【0183】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bについては、分離部材13及び保護部材で形成されてもよい。例えば、
図18に示すように、ケース11は保護部材115をさらに備える。保護部材115は分離部材13を保護することに用いられ、且つ、保護部材115と分離部材13は収集キャビティ11bを形成する。
【0184】
保護部材115と分離部材13で形成された収集キャビティ11bは、電池セルを収容可能なスペースを占有せず、従って大きなスペースの収集キャビティ11bを設置することができ、それにより排出物を効果的に収集して緩衝し、その危険性を低下させることができる。
【0185】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11b内に、冷却媒体などの流体がさらに設定されてもよく、又は、該流体を収容する部材が設置されて、収集キャビティ11b内に入った排出物をさらに温度低下する。
【0186】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bは封止されたチャンバであってもよい。例えば、保護部材115と分離部材13の接続箇所は封止部材で封止されてもよい。
【0187】
選択可能に、本願の一実施例では、収集キャビティ11bは封止されたチャンバではなくてもよい。例えば、収集キャビティ11bは空気と連通でき、このように、一部の排出物をケース11の外部にさらに排出することができる。
【0188】
上記実施例では、分離部材13はキャップ本体110の開口部を覆って電気キャビティ11aを形成し、分離部材13と保護部材115は収集キャビティ11bを形成する。選択可能に、分離部材13は密閉されたキャップ本体を電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに直接分割することもできる。
【0189】
例えば、
図19に示すように、本願の一実施例では、ケース11は密閉されたキャップ本体110をさらに備える。分離部材13はキャップ本体110の内部に設置され、キャップ本体110の内部を電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに分離する。すなわち、密閉されたキャップ本体110はその内部にチャンバを形成し、分離部材13はキャップ本体110内部のチャンバを2つのチャンバ、すなわち電気キャビティ11a及び収集キャビティ11bに分離する。
【0190】
電気キャビティ11aは複数の電池セル20などを収容するために大きなスペースを必要とするため、分離部材13はキャップ本体110のある壁に近い位置に設置されて、比較的大きなスペースの電気キャビティ11a及び比較的小さなスペースの収集キャビティ11bを分離することができる。
【0191】
選択可能に、
図20に示すように、本願の一実施例では、キャップ本体110は第1部分111及び第2部分112を備えてもよい。第2部分112の一側には半密閉構造を形成するために開口部がある。半密閉構造は開口部を有するチャンバである。分離部材13は第2部分112の内部に設置され、第1部分111は第2部分112の開口部を覆う。換言すれば、先ず分離部材13を半密閉された第2部分112内に設置して、収集キャビティ11bを分離し、次に第1部分111が第2部分112の開口部を覆って、電気キャビティ11aを形成する。
【0192】
選択可能に、本願の一実施例では、電気キャビティ11aは分離部材13によって収集キャビティ11bから分離される。すなわち、収集キャビティ11bは電気キャビティ11aと連通せず、収集キャビティ11b内の液体又はガスなどが電気キャビティ11aに入ることができず、それにより電気キャビティ11aをより良好に保護することができる。
【0193】
リリーフ機構213が作動する場合、リリーフ機構213が開放され、電池セル20内の排出物を排出する。排出物は分離部材13を破壊でき、それにより分離部材13を通過して収集キャビティ11bに入る。
【0194】
図21は、本願の一実施例に係る電池10の模式図である。該電池10はケース11と、電池セル群200と、バス部材12とを備えてもよい。
【0195】
電池セル群200は複数の電池セル20を備え、電池セル20はリリーフ機構213を備え、リリーフ機構213は、リリーフ機構213が設けられた電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して内部圧力又は温度を解放することに用いられる。
バス部材12は、複数の電池セル20の電気的接続を実現することに用いられる。
【0196】
ケース11は上記各実施例に説明されるケース11であり、ケース11の電気キャビティ11aは電池セル群20を収容することに用いられ、ケース11の収集キャビティ11bは、リリーフ機構213が作動する場合にリリーフ機構213が設けられた電池セル20からの排出物を収集する。
【0197】
図22は、本願の一実施例に係る電池10の分解図である。
図19に示される実施例では、分離部材13に凹溝134が設置され、保護部材115とともに収集キャビティを形成する。
【0198】
電池10の各部材についての説明は、上記各実施例を参照すればよく、簡潔にするために、ここで詳細な説明を省略する。
【0199】
本願の一実施例は電力消費装置をさらに提供し、該電力消費装置は上記各実施例の電池10を備えてもよい。選択可能に、電力消費装置は車両1、船舶又は宇宙機であってもよい。
【0200】
以上、本願の実施例の電池のケース、電池及び電力消費装置が説明されており、以下、本願の実施例の電池製造方法及び装置を説明し、ここで詳細に説明されていない部分は上記各実施例を参照すればよい。
【0201】
図23は、本願の一実施例に係る電池製造方法300の模式的なフローチャートを示す。
図23に示すように、該方法300は以下を含んでもよい。
【0202】
S310:電池セル群200を提供し、前記電池セル群200は第1方向に沿って配列された複数の電池セル20を備え、前記複数の電池セル20のうちの少なくとも2つの前記電池セル20はリリーフ機構213を備え、前記リリーフ機構213は前記電池セル20の第1壁21aに設置され、前記リリーフ機構213は、前記電池セル20の内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられ、S320:ケース11を提供し、前記ケースは、前記電池セル群200を収容することに用いられる電気キャビティ11aと、前記リリーフ機構213が作動する場合に前記リリーフ機構213が設けられた前記電池セル20からの排出物を収集することに用いられる収集キャビティ11bと、前記電気キャビティ11aと前記収集キャビティ11bを分離する分離部材13であって、前記電気キャビティ11a及び前記収集キャビティ11bを前記分離部材13の両側に設置させることに用いられる分離部材13とを備える。
【0203】
S330:前記第1壁を前記分離部材に取り付け、前記分離部材13の前記電池セル群200に近い面に逃げ開口部を設置し、前記逃げ開口部は前記第1方向に沿って延在し、前記電池セル群200の複数のリリーフ機構213はいずれも前記逃げ開口部に対向する。
【0204】
図24は、本願の一実施例に係る電池製造装置400の模式的なブロック図を示す。
図24に示すように、電池製造装置400は、第1提供モジュール410と、第2提供モジュール420と、装着モジュール430とを備えてもよい。
【0205】
第1提供モジュール410は、電池セル群を提供することに用いられ、前記電池セル群は第1方向に沿って配列された複数の電池セルを備え、前記電池セルはリリーフ機構を備え、前記リリーフ機構は前記電池セルの第1壁に設置され、前記リリーフ機構は、前記電池セルの内部圧力又は温度が閾値になった場合に作動して前記内部圧力を解放することに用いられる。
【0206】
第2提供モジュール420は、ケースを提供することに用いられ、前記ケースは、前記電池セル群を収容することに用いられる電気キャビティと、前記リリーフ機構が作動する場合に前記リリーフ機構が設けられた前記電池セルからの排出物を収集することに用いられる収集キャビティと、前記電気キャビティと前記収集キャビティを分離する分離部材であって、前記電気キャビティ及び前記収集キャビティを前記分離部材の両側に設置させることに用いられる分離部材とを備える。
【0207】
装着モジュール430は、前記分離部材の前記電池セル群に近い面に逃げ開口部を設置することに用いられ、前記逃げ開口部は前記第1方向に沿って延在し、前記電池セル群の複数のリリーフ機構はいずれも前記逃げ開口部に対向する。
【0208】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、様々な改良を行い、等価物でその中の部材を置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に記載されている各技術的特徴をいずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内にある全ての技術案を含む。
【符号の説明】
【0209】
11 ケース
11a 電気キャビティ
11b 収集キャビティ
13 分離部材
20 電池セル
21a 第1壁
200 電池セル群
213 リリーフ機構