(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】電子商取引システム、電子商取引支援プログラムおよび電子商取引支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20231215BHJP
【FI】
G06Q30/0601 312
(21)【出願番号】P 2022010549
(22)【出願日】2022-01-26
(62)【分割の表示】P 2017137371の分割
【原出願日】2017-07-13
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】510084297
【氏名又は名称】株式会社ブロードリーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】大 山 堅 司
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-011135(JP,A)
【文献】特開平08-163269(JP,A)
【文献】特開2006-079497(JP,A)
【文献】特開2003-196495(JP,A)
【文献】再公表特許第2002/027573(JP,A1)
【文献】特開2010-186430(JP,A)
【文献】特開2004-139571(JP,A)
【文献】特開2010-186431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品または役務の提供者側電子端末と、商品または役務の需要者側電子端末と、当該提供者側電子端末と需要者側電子端末とにおける電子商取引を支援する電子商取引支援装置とを具備する電子商取引システムであって、
前記提供者側電子端末は、需要者側電子端末からの電子商取引における取引予定の取引予定情報の提供の要求により、取引予定情報を作成し、
前記電子商取引支援装置は、前記取引予定情報を前記提供者側電子端末から取得する取引予定情報取得部と、
前記取引予定情報に、該取引予定情報が発行されたことを証明する認証情報を付加して認証済取引予定情報を生成する認証情報付加部と、
前記取引予定情報の提供の要求を行った需要者側電子端末に対して、前記認証済取引予定情報を発行する発行部と、
前記認証済取引予定情報を発行した発行先の需要者側電子端末から、前記認証済取引予定情報に対する購入申込情報を受領したことにより、該需要者側電子端末と、前記認証済取引予定情報を発行した発行元の提供者側電子端末との間の取引において、前記認証済取引予定情報に基づく、有効性のある当該購入申込情報であるか否かを判断する判断部と、
を具備する、電子商取引システム。
【請求項2】
前記電子商取引支援装置は、
前記提供者側電子端末が、前記電子商取引における情報の送受信に対応可能な状態か否かを示す在/不在情報を取得し、該提供者側電子端末における在/不在情報を管理する請求項1記載の電子商取引システム。
【請求項3】
コンピュータで実行され、商品または役務の提供者側電子端末と、商品または役務の需要者側電子端末と、当該提供者側電子端末と需要者側電子端末との電子商取引を支援する電子商取引支援装置とにおける電子商取引を支援する電子商取引支援プログラムであって、
前記電子商取引
支援装置は、提供者側電子端末が、需要者側電子端末からの電子商取引における取引予定の取引予定情報の提供の要求により作成した取引予定情報を前記提供者側電子端末から取得する取引予定情報取得ステップと、
前記取引予定情報に、該取引予定情報が発行されたことを証明する認証情報を付加して認証済取引予定情報を生成する認証情報付加ステップと、
前記取引予定情報の提供の要求を行った需要者側電子端末に対して、前記認証済取引予定情報を発行する発行ステップと、
前記認証済取引予定情報を発行した発行先の需要者側電子端末から、前記認証済取引予定情報に対する購入申込情報を受領したことにより、該需要者側電子端末と、前記認証済取引予定情報を発行した発行元の提供者側電子端末との間の取引において、前記認証済取引予定情報に基づく、有効性のある当該購入申込情報であるか否かを判断する判断ステップと、
を具備する、電子商取引支援プログラム。
【請求項4】
コンピュータで実行され、商品または役務の提供者側電子端末と、商品または役務の需要者側電子端末と、当該提供者側電子端末と需要者側電子端末との電子商取引を支援する電子商取引支援装置とにおける電子商取引を支援する電子商取引支援方法であって、
前記電子商取引
支援装置は、提供者側電子端末が、需要者側電子端末からの電子商取引における取引予定の取引予定情報の提供の要求により作成した取引予定情報を前記提供者側電子端末から取得する取引予定情報取得ステップと、
前記取引予定情報に、該取引予定情報が発行されたことを証明する認証情報を付加して認証済取引予定情報を生成する認証情報付加ステップと、
前記取引予定情報の提供の要求を行った需要者側電子端末に対して、前記認証済取引予定情報を発行する発行ステップと、
前記認証済取引予定情報を発行した発行先の需要者側電子端末から、前記認証済取引予定情報に対する購入申込情報を受領したことにより、該需要者側電子端末と、前記認証済取引予定情報を発行した発行元の提供者側電子端末との間の取引において、前記認証済取引予定情報に基づく、有効性のある当該購入申込情報であるか否かを判断する判断ステップと、
を具備する、電子商取引支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は商品または役務の提供者側電子端末と、商品または役務の需要者側電子端末とにおける電子商取引を支援する電子商取引システム、電子商取引支援プログラムおよび電子商取引支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、インターネットに代表される通信システムや通信環境の普及により、各種の商取引がWeb上で行われる電子商取引(イーコマース)が増加している。この電子商取引(イーコマース)は、直接取引相手に会う手間を省く事ができ、更に遠方の相手とも簡易且つ迅速に取引を行う事ができることから、急速に普及している。一方で、当該電子商取引は、売買などの商取引における相互の意思確認がコンピュータネットワークを介して行われ、取引当事者同士が直接会って交渉するものではないことから、相互の信頼や、取引の確実性などの問題が内在している。
【0003】
そこで従前においては、商取引の安全を確保する事のできる商取引管理装置も提案している。例えば、特許文献1(特開2010-186430号公報)では、商取引において提示される見積書などの取引書類についての情報を第三者が保持し、これを管理する事で商取引の安全を確保する事のできる商取引管理装置およびこれを用いた商取引システム、並びにプログラムを提案している。即ち、この特許文献では、取引番号付加手段と、取引情報比較手段と、取引情報保存手段とを具備し、取引番号付加手段は、提供者側端末からの要求に応じて、取引対象とその取引量を含む取引情報を需要者側端末に送信する際に付する取引番号を付加して当該取引番号を提供者側端末に送信し、取引情報比較手段は、提供者側端末から送信される取引対象とその取引量を含む取引情報と、需要者側端末から送信される取引対象とその取引量を含む取引情報との同一性を比較し、取引情報保存手段は、当該取引情報比較手段における比較結果で、両者が同一であるとの比較結果が得られた場合に、双方の取引情報を保存する商取引管理装置を提案している。
【0004】
また、特許文献2(特開2002-222380号公報)では、インターネットなどのネットワーク上の商談(オークションを含む)などで決まった商品の売買取引を販売者、及び購入希望者の双方が安心して行えるようにする為に、第三者機関に対し、販売者、及び購入希望者からそれぞれネットワークを介して、売買取引の対象となる商品の金額を少なくとも含む取引内容を通知して決済の代行を依頼し、前記決済の代行を依頼された前記第三者機関が、前記通知された取引内容を基に、前記販売者から前記購入希望者への商品の受け渡し、及び該購入希望者から該販売者への該商品の代金の支払いを代行して行うショッピング決済代行方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献3(特開平10-187836号公報)では、2以上の当事者間で行われる取り引きの内容等の取り引きに関する事項を、通信ネットワークを利用して客観的に証明する取り引き証明装置として、第1のユーザと第2のユーザの間の取り引きに関する事項を記述した取り引き文書データに対する第1のユーザの電子署名データと第2のユーザの電子署名データとを、ネットワークから受け取る通信手段と、前記第1のユーザの電子署名データと第2のユーザの電子署名データを検証する処理手段と、前記第1のユーザの電子署名データと第2のユーザの電子署名データを記憶する記憶手段とを備える取り引き証明装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-186430号公報
【文献】特開2002-222380号公報
【文献】特開平10-187836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、従来においては電子商取引における取引情報を第三者が保持し、且つ管理することは提案されているものに過ぎなかった。
【0008】
そこで本発明では、電子商取引システム、電子商取引支援プログラムおよび電子商取引支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するべく、本発明では電子商取引における取引内容について、一定の有効期間又は有効期限を設定し、当該有効期間又は有効期限内における商取引を監視するようにした電子商取引支援装置を提供する。
【0010】
即ち、本発明では、商品または役務の提供者側電子端末と、商品または役務の需要者側電子端末とにおける電子商取引を支援する電子商取引支援装置であって、前記提供者側電子端末及び需要者側電子端末の少なくとも何れかの端末から、電子商取引における取引予定の内容情報と、当該取引予定の内容情報が有効な期間又は期限情報とを含む取引予定情報を取得する取引予定情報取得部と、当該取引予定情報取得部が取得した取引予定情報に認証情報を付加して認証済取引予定情報を生成する認証情報付加手段と、少なくとも前記取引予定情報取得部が生成した認証済取引予定情報を保持する取引予定情報保持部とからなる電子商取引支援装置を提供する。
【0011】
また本発明では、前記認証済取引予定情報を、前記提供者側電子端末及び需要者側電子端末の少なくとも何れかの端末に対して送信する、認証済取引予定情報送信手段を備える電子商取引支援装置を提供する。
【0012】
また本発明では、前記取引予定情報に含まれる有効な期間又は期限情報に基づいて、前記電子商取引を監視する取引監視手段と、前記提供者側電子端末及び需要者側電子端末の少なくとも何れかの端末から、前記取引予定の内容情報が有効な期間又は期限内に、前記電子商取引における取引予定の内容情報に対する取引を要求する取引申込情報が送信された時に、当該取引申込情報を保持する取引申込情報保持部を備える電子商取引支援装置を提供する。
【0013】
また本発明では、更に、前記提供者側電子端末からの入力によって指定されている、在/不在情報を前記需要者側端末に提供する在/不在情報管理手段を具備する電子商取引支援装置を提供する。
【0014】
また本発明では、前記在/不在情報管理手段は、前記提供者側電子端末からの商取引開始要求情報を受けた後、所定時間内に提供者側電子端末からの応答情報を取得しない場合には、当該提供者側電子端末に対して不在情報を設定する電子商取引支援装置を提供する。
【0015】
また本発明では、更に、前記提供者側電子端末と需要者側電子端末との間における商取引情報通信の有無を監視し、当該提供者側電子端末がビジー状態である時に他の需要者側電子端末から商取引開始要求情報を受けた場合には、交渉待ち情報を需要者側電子端末に提供する交渉待ち情報出力手段を具備する電子商取引支援装置を提供する。
【0016】
また本発明では、前記取引予定の内容情報が、前記提供者側電子端末によって提供する商品の引き渡し場所又は役務の提供場所の所在を特定する所在情報を含んでおり、更に、当該所在情報に基づいて、前記商品の引き渡し場所又は役務の提供場所を地図画面上に表示する地図情報表示手段を備える電子商取引支援装置を提供する。
【0017】
また本発明では、電子商取引の対象となる商品または役務を提供する提供者側電子端末と、当該提供者側端末が提供する商品または役務の購入申し込みを行う需要者側電子端末と、当該提供者側電子端末と需要者側電子端末とにおける電子商取引を支援する電子商取引支援装置とからなる、電子商取引システムであって、当該電子商取引支援装置が、前記した本発明の電子商取引支援装置である電子商取引システムを提供する。
【0018】
また本発明では、コンピュータで実行され、商品または役務の提供者側電子端末と、商品または役務の需要者側電子端末とにおける電子商取引を支援する電子商取引支援プログラムであって、前記提供者側電子端末及び需要者側電子端末の少なくとも何れかの端末から、電子商取引における取引予定の内容情報と、当該取引予定の内容情報が有効な期間又は期限情報とを含む取引予定情報を取得する取引予定情報取得ステップと、当該取引予定情報取得部が取得した取引予定情報に認証情報を付加する認証情報付加ステップと、前記認証情報付加ステップで取得した認証済取引予定情報を保持する取引予定情報保持ステップとからなる、電子商取引支援プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
上記本発明によれば、電子商取引システム、電子商取引支援プログラムおよび電子商取引支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施の形態にかかる電子商取引支援装置を用いて構成された電子商取引支援システムを示す全体構成図
【
図2】(A)見積情報入力様式を示す略図、(B)見積情報保存形式を示す略図
【
図5】見積情報の送信要求時の処理を示すシーケンス図
【
図6】見積情報の送信要求時の処理を示すシーケンス図
【
図7】提供者側電子端末の在/不在設定処理を示すフローチャート
【
図8】提供者側電子端末の監視処理を示すフローチャート
【
図9】提供者側電子端末のビジー状態監視処理を示すフローチャート
【
図10】電子商取引支援装置が出力するEコマースサイトの画面
【
図11】Eコマースサイトにおける店舗情報表示様態を示す略図
【発明を実施するための形態】
【0021】
《実施の形態1》
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる電子商取引支援装置を説明する。特に本実施の形態にかかる電子商取引支援装置は、特に取引予定情報が見積情報である場合を例に説明しているが、その他にも当該取引予定情報は、注文書で特定されるような注文情報、受注書で特定されるような受注情報、商取引契約書で特定されるような売買情報であっても良い。
【0022】
図1は、本実施の形態にかかる電子商取引支援装置を用いて構成された電子商取引支援システムを示す全体構成図である。この
図1に示すように、本実施の形態にかかる電子商取引支援システムは、商品や役務を提供する提供者が操作する提供者側電子端末と、商品や役務を取得する需要者が操作する需要者側電子端末と、当該提供者側電子端末と需要者側電子端末における電子商取引を支援する電子商取引支援装置とで構成されている。これらはインターネットなどの情報通信ネットワークを介して接続されており、相互に情報の送受信を行うことができる。
【0023】
上記提供者側電子端末、需要者側電子端末及び電子商取引支援装置は、何れもスマートフォンやタブレットPCなどの携帯情報端末やコンピュータ等の電子情報処理装置を用いて構成することができる。これらは夫々の装置における処理を実行するためのプログラムやデータを伴って構成することができる。なお、当該電子情報処理装置のハードウェア構成は、後述する
図12において、コンピュータを例としながら詳述する。
【0024】
この実施の形態にかかる電子商取引支援装置は、前記提供者側電子端末及び需要者側電子端末の少なくとも何れかの端末から、電子商取引における取引予定の内容情報と、当該取引予定の内容が有効な期間又は期限情報とを含む取引予定情報としての「見積情報」を、インターネットに接続されている取引予定情報取得部で取得する。かかる見積情報は、
図2(A)の見積情報入力様式に示すように、帳票形式で作成することができる。即ち、当該見積情報としては、本実施の形態では、取引予定の商品または役務と、その数量や単価、及び金額などで構成される取引予定の内容情報と、取引予定の内容が有効な期間又は期限を定めた見積書の有効期限からなる期限情報とを少なくとも含んでいる。その他、当該見積情報は、見積先の宛先情報、見積書の発行日情報、見積書番号情報、見積書提出者情報、納期情報等を含めることができる。
【0025】
上記のように帳票形式で入力された見積情報が、提供者側電子端末から電子商取引支援装置に送信されると、当該電子商取引支援装置は、前記見積情報を
図2(B)の見積情報保存形式に示すようにデータベース形式で保持する。ただし、当該取得した見積情報は、電子商取引支援装置においてファイル形式で保持することもできる。なお、当該見積情報は、提供者側電子端末から需要者側電子端末に直接送信するように構成しても良い。
【0026】
そして電子商取引支援装置においては、前記取引予定情報取得部が取得した取引予定情報について、当該見積が発行されたことを客観的に証明する為の認証情報を、認証情報付加手段によって付加する。かかる認証情報は、電子日付印や、暗号化された記号やコードを付することによって行うことができるほか、当該電子商取引支援装置が受信したことを示す何らかのデータを付加することによって行うことができる。
【0027】
そして、当該電子商取引支援装置が認証した認証済見積情報は、提供者側電子端末及び/又は需要者側電子端末に送信され、これにより取引当事者同士において、実際に当該見積書が発行されていることを確認することができる。このとき、電子商取引支援装置は、更に前記取引予定情報取得部が取得した取引予定情報及び/又は前記認証情報付加手段によって認証を付加した認証済見積情報を記憶手段に保持しておくことで、前記提供者と需要者などに対して、当該見積情報を任意に発行することができる。
【0028】
以上のように、取得した見積情報に認証を付し、客観的に証明することにより、電子商取引における取引の安全性を高めることができる。即ち、見積書自体は、もともと取引当事者双方における取引内容を確認するため、及び発注の意思表示を促すために使用されている所、従前においては、後から当該見積の存在や内容を客観的に証明するのは困難であった。そこで本発明においては、当該見積情報を電子商取引支援装置が保持し、且つ当該見積情報を認証することにより、当該見積の存在や内容を客観的に証明することができ、これにより商取引の安全性を確保することができる。
【0029】
図3は上記
図1に示した電子商取引支援システムのシーケンス図である。特にこの
図3では、見積情報の認証処理の他、更に購入申し込みまでの処理を含んだ処理を示している。上記実施の形態にかかる電子商取引支援装置の1つの処理では、最初に提供者側電子端末において、取引対象となる商品や役務についての見積もりを作成する為に見積情報入力ステップS11が実行される。この見積情報入力ステップS11では、前記
図2に示したような見積情報が入力され、少なくとも電子商取引における取引予定の内容情報と、当該取引予定の内容が有効な期間又は期限情報とを含む取引予定情報(即ち、見積情報)が入力される。そして当該見積情報入力ステップS11が完了すると、見積情報送信ステップS12が実行され、提供者側電子端末で入力された見積情報を電子商取引支援装置に送信する。
【0030】
電子商取引支援装置では、取引予定情報取得部において、前記提供者側電子端末から送信された見積情報を取得する見積情報取得ステップS13が実行される。そして取得した見積情報については、前記認証情報を付加する認証情報付加ステップS14を行い、認証済見積情報を作成する。かかる認証済見積情報は、例えば
図4に示す認証済見積書に示すように、「認証済」の表示と、当該認証が申請であることを確認するためのコードによって構成することができる。
【0031】
そしてこの認証済見積情報は、保存ステップS15において、当該電子商取引支援装置が備える記憶手段に保存すると共に、送信ステップS16において、認証済見積情報を提供者側電子端末に送信する。これにより、提供者側電子端末は、取得ステップS17において、電子商取引支援装置によって認証された見積情報を取得することができる。また、認証情報が前記コードを含んでいることから、当該コードを手掛かりとして、電子商取引支援装置の記憶手段や、提供者側電子端末が取得した認証済見積情報を検索することができ、検索によって抽出した認証済見積情報の同一性を確認することにより、当該認証情報の真偽を判断することができる。
【0032】
そして電子商取引支援装置は、前記認証済見積情報の保存ステップS15と並行して、前記認証済見積情報を商取引の当事者である需要者又は第三者に公表する公開ステップS18を実行する。これにより、当該見積情報は公開されることから、需要者側電子端末において当該見積情報を閲覧することが可能になる。これにより需要者側電子端末では、前記公表された見積情報を、インターネットを介して閲覧する見積情報閲覧ステップS19を実行することができる。
【0033】
電子商取引支援装置は、見積情報の公開後においては、前記認証済見積情報に基づいて、第三者(需要者)との電子商取引を監視する取引監視ステップS20を実行する。かかる取引監視ステップS20は、取引予定情報における期間又は期限情報に基づいて、前記電子商取引を監視する処理を実行するものであり、監視後において実行される認証済見積情報要求ステップS21や、購入申込情報送信ステップS25等の商取引が、取引予定情報における期間又は期限情報に設定された期間又は期限内の処理であるか否かを監視することができる。また需要者側電子端末からの購入申し込みが、認証済見積情報の内容と一致しているか否かを監視することもできる。
【0034】
そして電子商取引支援装置が取引監視ステップS20を実行している状態において、前記需要者は、前記見積情報閲覧ステップS19によって関心のある認証済見積情報に接した場合には、当該見積情報(取引予定情報)の客観性を取得する為に、電子商取引支援装置に対して、認証済の見積情報を要求する認証済見積情報要求ステップS21を実行することができる。
【0035】
電子商取引支援装置は、当該認証済見積情報の発行を要求する要求情報を取得すると(要求情報取得ステップS22)、前記記憶手段に保存した認証済見積情報を読み出し、これを需要者側電子端末に送信する認証済見積情報発行ステップS23を実行する。これにより、需要者側電子端末は、電子商取引支援装置によって認証された見積情報(認証済見積情報)を取得することができる(認証済見積情報取得ステップS24)。
【0036】
当該電子商取引支援装置が認証済見積情報を発行するに際しては、発行の順番により、実際の商取引時における優先順位を付与することもできる。即ち、取引予定の商品又は役務の数量に限りがある場合には、当該優先順位に基づいて、諸取引を行うことができる。
【0037】
以上の処理により認証済見積情報を取得した需要者では、当該見積情報について、一応の信頼をすることができ、これにより安心して商取引を行うことができる。具体的には、認証済見積情報を取得した需要者は、その見積内容を確認した上で、購入申込情報送信ステップS25において、電子商取引支援装置に対して購入申込情報を送信することができる。ただし、当該購入申込情報は、電子商取引支援装置を介することなく提供者側電子端末に直接送信することもできる。
【0038】
本実施の形態にかかる電子商取引支援システムでは、前記購入申込情報を電子商取引支援装置が取得するように構成している(申込情報受付ステップS26)。これにより、電子商取引支援装置において実行していた取引監視処理により、当該購入申込情報の有効性を判断することができる(有効性判断ステップS27)。即ち、当該購入申込情報の受付が、取引予定情報における期間又は期限情報に設定された期間又は期限内に行われたか否かを判断することができる。この有効性判断ステップS27において、当該購入申込情報が、取引予定の内容が有効な期間又は期限外で取得していると判断した場合には、当該購入申込情報を無効と判断し、提供者側電子端末及び需要者側電子端末に対して、不成立の情報を送信する。一方で、当該購入申込情報が取引予定の内容が有効な期間又は期限内に取得している場合には、当該購入申込情報を有効と判断し、これを当該電子商取引支援装置の記憶手段に保存し(購入申込情報保存ステップS28)、確定した購入申込情報を提供者側電子端末及び需要者側電子端末に送信する(確定購入申込情報送信ステップS29)。
【0039】
なお、前記有効性判断ステップS27では、その他にも、当該購入申込情報を受け付けた時点において、前記認証済見積情報が有効か否かを判断することもできる。例えば、認証済見積情報で特定される商品又は役務について、すでに第三者との商取引が完了しており、当該見積情報に従った商取引を実行できない場合には、当該有効性判断ステップS27において、無効の判断を行うことができる。
【0040】
本実施の形態にかかる電子商取引支援装置は、以上のような処理を実行することにより、従前においては客観性が担保されていなかった見積情報(取引予定情報)について、客観的にその内容及び存在を担保することができる。これにより、電子商取引における安心感を高めることができる。特に本実施の形態においては、取引予定情報取得部が取得する見積情報(取引予定情報)は、その内容で商取引を行うための有効な期間又は期限を設定している。そして上記実施の形態にかかる電子商取引支援装置では、当該見積情報(取引予定情報)に対しては、認証情報付加手段が認証情報を付加していることから、当該見積情報(取引予定情報)の有効な期間又は期限を客観的に担保することができる。
【0041】
更に本実施の形態にかかる電子商取引支援装置では、取引予定情報における期間又は期限情報に基づいて、前記電子商取引を監視する取引監視手段を備えていることから、見積情報(取引予定情報)についての有効な期間又は期限に着目した上で、電子商取引を管理することができる。
【0042】
これにより、例えば一定の期間に限って販売単価を値下げした見積情報を提供した場合に、当該見積情報が存在することを客観的に保証し、且つ当該一定の期間内に購入申込がなされたか否かを監視することができる。従って、実際に商品の引き渡しや役務の提供の段階になって、当該見積書の内容について疑義が生じたとしても、当該見積内容と、購入申込の有無を、取引当事者においても客観的に確認することができる。
【0043】
そして上記のように、一定の期間に限って値下げした商品や役務の提供の予定を申し出ることにより、提供者における在庫商品を効率的に販売することができ、需要者においても取引価格において有利な商取引を実現することが可能になる。また、前記取引監視手段は、見積情報(取引予定情報)の有効な期間又は期限を監視し、当該期間または期限が経過した後には、その見積情報(取引予定情報)を削除するか、あるいは当該見積情報(取引予定情報)に具現化された認証情報を削除するように処理することができる。
【0044】
図5及び6は、前記
図1に示した電子商取引支援システムにおける他の処理内容を示すシーケンス図である。特にこの
図5・6は、需要者側電子端末から見積情報を要求する場合の処理を示しており、当該見積情報に対して認証情報を付加する処理までを示している。
【0045】
図5に示す見積情報の送信要求処理では、最初に需要者側電子端末から、提供者側電子端末に対して見積情報の提供を要求する見積情報要求ステップS31を実行する。かかる見積情報要求ステップS31は、直接、提供者側電子端末に対して見積情報の提供を要求する要求情報を送信する他、一旦、電子商取引支援装置に送信し、当該電子商取引支援装置が提供者側電子端末に送信するように構成しても良い。
【0046】
提供者側電子端末は、前記需要者側電子端末からの見積情報の提供を要求する要求情報を取得すると(要求情報取得ステップS32)、要求された商品や役務についての見積情報を作成し(見積情報作成ステップS33)、これを電子商取引支援装置に送信する見積情報送信ステップS34を実行する。
【0047】
見積情報送信ステップS34の実行により、電子商取引支援装置は、提供者側電子端末で作成された見積情報を受け付け(見積情報受付ステップS35)、受け付けた見積情報に対して認証情報を付加する認証情報付加ステップS36を実行する。これにより、認証情報が付加された認証済見積情報は、送信ステップS37において需要者側電子端末に送信され、当該需要者側電子端末は、認証済見積情報を取得(認証済見積情報取得ステップS39)することができる。
【0048】
そして前記電子商取引支援装置では、上記した需要者側電子端末に対する認証済見積情報の送信と並行して、提供者側電子端末から取得した見積情報及び/又は上記認証済見積情報を、電子商取引支援装置の記憶手段に保存する(見積情報保存ステップS38)。
【0049】
以上の処理により、需要者側電子端末からの要求によって、提供者側電子端末は見積情報を提供し、電子商取引支援装置は当該見積情報に認証情報を付加することができる。これにより、需要者側電子端末は、電子商取引支援装置によって存在や内容が保証された見積情報を取得することができ、電子商取引における安全性を確保することができる。さらに当該見積情報及び/又は認証済見積情報は、電子商取引支援装置の記憶手段に保存されることから、取引者及び需要者において、当該見積情報を確認する必要が生じた場合には、任意に当該見積情報を電子商取引支援装置から取得することができる。
【0050】
図6は上記
図5に示した電子商取引支援システムと同様に、需要者側電子端末から見積情報を要求する場合の処理を示しており、特に提供者側電子端末で作成した見積情報を、需要者側電子端末に直接送信するように構成した例を示している。
【0051】
即ち、需要者側電子端末は、提供者側電子端末に対して見積情報の提供を要求する見積情報要求ステップS31を実行し、提供者側電子端末が当該見積情報の提供を要求する要求情報を取得すると(要求情報取得ステップS32)、要求された商品や役務についての見積情報を作成する(見積情報作成ステップS33)。提供者側電子端末は、作成した見積情報を、直接、需要者側電子端末に送信し(見積情報送信ステップS34)、需要者側電子端末は、認証が付加されていない見積情報を取得する(見積情報取得ステップS41)。その後、取得した見積情報について認証情報を取得する為に、電子商取引支援装置に見積情報を送信する認証情報要求ステップS42を実行する。電子商取引支援装置では、需要者側電子端末から送信された認証要求を取得すると(認証要求取得ステップS43)、これに認証情報を付加する認証情報付加ステップS36を実行して認証情報が付加された認証済見積情報を作成し、送信ステップS37において需要者側電子端末に送信する。これにより当該需要者側電子端末は、認証済見積情報を取得することができる(認証済見積情報取得ステップS44)。
【0052】
以上の処理によっても、需要者側電子端末では、提供者側電子端末から見積情報を取得することができ、当該見積情報には、電子商取引支援装置による認証情報を付加することができる。そして当該見積情報には、その取引内容についての有効期限が設定されている所、当該認証済見積情報に基づいて、当該見積情報の有効期限を監視することができる。これにより、電子商取引における取引の安全性を客観的に確保することができる。また、従前においては見積書などの取引予定情報に設定された有効期間について、当該有効期間内における有効な商取引か否かを判断するのが困難であった所、本実施の形態にかかる電子商取引支援装置によれば、一定の期間又は期限を定めた商取引の申し出において、当該期間又は期限内の商取引か否かを監視する電子商取引支援装置を提供するとの課題を解決することができる。
【0053】
《実施の形態2》
本実施の形態は、上記実施の形態1にかかる電子商取引支援システムに関連し、特に提供者側電子端末の動作状態を監視して、円滑な電子商取引を支援するように構成した電子商取引支援装置と、これを用いた電子商取引支援システムとしたものである。当該電子商取引支援システムは、前記
図1に示したようなシステム構成で構築することができる。また電子商取引支援装置は、提供者側電子端末と需要者側電子端末とにおける電子商取引を支援するためのEコマースサイトを提供することができ、当該Eコマースサイトにおいて、提供者側電子端末の稼働状態や、電子商取引におけるリアルタイムでの交渉の可否を表示することができる。
【0054】
図7は、本実施の形態にかかる電子商取引支援装置における提供者側電子端末の在/不在設定処理を示すフローチャートである。この提供者側電子端末の在/不在設定処理は、前記見積情報に対する認証情報付加処理とともに実行することができる。
【0055】
即ち、本実施の形態にかかる電子商取引支援装置は、前記提供者側電子端末からの入力によって指定されている「在/不在情報」を、前記購入者側端末に提供する在/不在情報管理手段を備えて構成されている。かかる電子商取引支援装置における提供者側電子端末の在/不在設定処理は、最初に提供者側電子端末から電子商取引の処理を開始するログイン情報などの取引開始要求情報を取得する取引開始要求情報取得ステップS51を実施する。これにより電子商取引支援装置は、当該提供者側電子端末が商取引を開始した状態であることを認識することができる。
【0056】
提供者側電子端末が商取引を開始した状態であることを知得した電子商取引支援装置では、在/不在情報取得ステップS52において、当該提供者側電子端末を操作するオペレータが、電子商取引における情報の送受信に対応可能な状態か否かを示す在/不在情報を、提供者側電子端末から取得する。かかる在/不在情報は、提供者側電子端末を操作するオペレータが、電子商取引における情報の送受信に対応可能であることを示す在席情報と、離席などによって電子商取引における情報の送受信に対応できないことを示す不在情報とで構成することができる。
【0057】
在/不在情報を取得した電子商取引支援装置では、在/不在判断ステップS53において、当該提供者側電子端末が、リアルタイムでの商取引が可能か否かを、当該在/不在情報に基づいて判断する。即ち、在/不在情報が、リアルタイムでの商取引が不可能である不在情報の場合には、当該提供者側電子端末を操作するオペレータが不在であると判断し(不在設定ステップS54)、当該電子商取引支援装置が提供しているEコマースサイトにおいて、提供者側電子端末とのリアルタイムでの商取引が困難であることを示す不在情報を表する(不在情報提供ステップS55)。一方で、前記在/不在情報が、リアルタイムでの商取引が可能である在席情報の場合には、前記Eコマースサイトにおける商取引を続けることができる。
【0058】
なお、上記在/不在情報取得ステップS52では、提供者側電子端末からの不在情報だけを取得する不在情報取得ステップとすることもできる。この場合には、前記在/不在判断ステップS53は不要となり、当該不在情報を取得することを契機として、当該提供者側電子端末とのリアルタイムでの商取引が困難であることを示す不在情報を表するように構成することもできる。
【0059】
前記在/不在判断ステップS53において、電子商取引支援装置が取得した在/不在情報が、提供者側電子端末におけるリアルタイムでの商取引が可能である在席情報の場合(あるいは不在情報を取得しない場合)には、当該電子商取引支援装置が提供しているEコマースサイトにおける商取引の持続を許可すると共に、
図8に示す提供者側電子端末の監視処理を実行する。
【0060】
この提供者側電子端末監視処理では、先ず提供者側電子端末の応答状況を監視する提供者側電子端末監視ステップS61を実行する。提供者側電子端末監視ステップS61では、需要者側電子端末からの要求に対して、提供者側電子端末が遅滞なく応答信号を送信しているか否かを監視することができる。即ち、提供者側電子端末からの要求等に応じた応答情報の有無を監視する応答情報監視ステップS62を実行することができる。かかる応答情報監視ステップS62において、需要者側電子端末などからの要求に応じて、遅滞なく応答信号を送信している場合(応答信号「有」の場合)には、取引維持の処理を実行し(取引維持ステップS63)、引き続き応答情報監視ステップS62に戻すことができる。一方で、需要者側電子端末などからの要求に応じた応答信号が遅滞している場合(応答信号「無」の場合)には、提供者側電子端末のオペレータが不在であると判断し(不在設定ステップS64)、前記不在情報提供ステップS55の処理を実行する。
【0061】
本実施の形態にかかる電子商取引支援装置が以上の処理を実行することにより、当該電子商取引支援装置を使用した電子商取引支援システムを利用する需要者側電子端末側では、提供者側電子端末におけるリアルタイムの商取引の可否を確認することができる。これにより、電子商取引支援装置において、商品や役務の商取引を提供するEコマースサイトを提供している場合には、当該Eコマースサイトにおいて、実店舗と同様にリアルタイムでの意思確認を行いながら商取引を行うことができる。
【0062】
即ち、従前においても電子商取引において、チャットや電子メールを使用して、提供者需要者との間での連絡を行うことは提案されていた。しかしながら、チャットによる連絡を送信しても、取引相手方からの応答がなければ購買意欲がそがれることも考えられる。また電子メールによる連絡ではタイムラグが発生してしまい、些細な交渉であっても、随時電子メールを送信し、その返信を待たなければならないといった煩わしさがあった。何よりも需要者(購入者)側から見れば、購入を希望するタイミングで提供者(販売者)との交渉を行わなければ、購買意欲が大幅にそがれてしまい、提供者における商機を逸失するという問題があった。
【0063】
そこで本実施の形態にかかる電子商取引支援装置及び電子商取引支援システムでは、在/不在情報を前記需要者(購入者)側端末に提供する在/不在情報管理手段を具備して構成することができる。
【0064】
これにより、本実施の形態にかかる電子商取引支援装置及び電子商取引支援システムは、商品又は役務の提供者が、当該電子商取引において、リアルタイムで交渉に応じる事ができるか否か、即ちEコマースサイトのWeb上において、販売の対応(応答)を行う事ができるか否かを明確にすることのできる電子商取引支援装置を提供するとの課題を解決することができる。
【0065】
また、上記の様にWeb上において販売の対応(応答)を行う事ができるか否かを購入者側に表示したとしても、これが常に正しいことを保証する事はできず、例えば僅かな間だけ離席する等により商取引の交渉や問い合わせに対応(応答)できないな場合も考えられる。このような場合には、当該接客を行うことが出来るか否かの情報を迅速に正すことが望ましい。
【0066】
そこで本実施の形態にかかる電子商取引支援装置及び電子商取引支援システムでは、望ましくは、前記在/不在情報管理手段が、前記提供者側電子端末からの商取引開始要求情報を受けた後、所定時間内に提供者側電子端末からの応答情報を取得しない場合には、当該提供者側電子端末に対して不在情報を設定するように構成することができる。
【0067】
これにより、提供者側電子端末が、当該Eコマースサイトにおいて、リアルタイムで商取引の交渉などに応答できるか否かを監視し、現在の状況を迅速に修正できるようにした電子商取引支援装置を提供するとの課題を解決することができる。
【0068】
《実施の形態3》
本実施の形態は、上記実施の形態1及び2にかかる電子商取引支援システムに関連し、特に提供者側電子端末におけるビジー状態を監視し、Eコマースサイトにおける提供者と需要者とにおけるコミュニケーションを効率的に行うことができるように構成した電子商取引支援装置と、これを用いた電子商取引支援システムとしたものである。当該電子商取引支援システムは、前記
図1に示したようなシステム構成で構築することができる。また電子商取引支援装置は、提供者側電子端末と需要者側電子端末とにおける電子商取引を支援するためのEコマースサイトを提供することができ、当該Eコマースサイトにおいて、提供者側電子端末のビジー状態を表示することができる。
【0069】
図9は、本実施の形態にかかる電子商取引支援装置における提供者側電子端末のビジー状態監視処理を示すフローチャートである。この提供者側電子端末のビジー状態監視処理では、提供者側電子端末における通信状態を監視する通信状態監視ステップS71によって開始される。
【0070】
当該通信状態監視ステップS71は、当該Eコマースサイトにアクセスしている何れかの需要者側電子端末との間で、双方向の通信が行われているか否かを監視することにより行うことができる。例えば当該提供者側電子端末と需要者側電子端末との間でチャット処理が実行されているか否かを監視することができる。
【0071】
当該通信状態監視ステップS71を実行している間において、何れかの需要者側電子端末との間で、排他的な通信状態が確立しているか否かを判断するビジー状態監視ステップS72においてビジー状態か否かを監視する。そして何れかの需要者側電子端末との間で独占的な双方向通信が行われていない場合(「NO」)には、当該提供者側電子端末との交渉ラインが開放されていると判断し、継続して通信状態監視ステップS71を実行する。
【0072】
一方で、何れかの需要者側電子端末との間で独占的な双方向の通信が確立されている場合(「YES」)には、当該提供者側電子端末にアクセスしてきた需要者側電子端末に対して、ビジー状態であることを示す交渉待ち情報を送信する(交渉待ち情報送信ステップS73)。かかる交渉待ち情報は、商取引開始要求情報を受けている需要者側電子端末の台数を、先着順で待ち人数情報として送信するか、あるいは当該台数に平均的な交渉時間を乗算した待ち時間情報として送信することができ、これは交渉待ち情報出力手段から、需要者側電子端末に対して送信することができる。
【0073】
かかる電子商取引支援装置では、提供者側電子端末のビジー状態を監視し、且つ交渉待ち情報出力手段を具備することから、Eコマースサイトにおいて、提供者と電子商取引上の交渉を希望する需要者に対して、待ち人数情報や待ち時間情報などの交渉待ち情報を提供することができ、実店舗における対面販売と同様に商取引の交渉を行うことができる電子商取引支援装置を提供するとの課題を解決することができる。
【0074】
《実施の形態4》
本実施の形態は、上記実施の形態1~3にかかる電子商取引支援システムに関連し、特に前記提供者側電子端末によって提供する商品の引き渡し場所又は役務の提供場所を地図上に表示するようにした電子商取引支援装置と、これを用いた電子商取引支援システムとしたものである。
【0075】
図10は、本実施の形態にかかる電子商取引支援装置が出力するEコマースサイトの画面であり、この図に示すように、提供者側電子端末によって提供する商品の引き渡し場所又は役務の提供場所を画面上に表示して提供することができる。当該地図情報は、実際の地図情報であることが望ましく、これにより当該地域における取引対象の商品や役務を特定することができる。この
図10に示す実施の形態では、地図として示されるEコマースサイトのショッピングモール内に、各提供者側電子端末が提供する商品の引き渡し場所や役務の提供場所を表示しており、更に各提供者側電子端末におけるリアルタイムでの対応が可能か否かを「OPEN」又は「CLOSE」情報によって表示している。かかる「OPEN」又は「CLOSE」情報は、前記在/不在情報等による不在設定の処理によって特定することができる。
【0076】
そして、このEコマースサイト上のショッピングモールに存在する仮想店舗の詳細については、各仮想店舗上にポインターを乗せるか、選択することにより、
図11に示すように店舗名、開店時間、取扱品目、特売情報などの詳細な情報を提示することができる。
【0077】
需要者においては、需要者側電子端末を操作して、
図10に示す仮想店舗にアクセスし、商取引の交渉などを行うことができる。かかる商取引において、提供者側電子端末から見積書を取得する際には、前記実施の形態にかかる電子商取引支援装置により、認証情報を取得することができ、これにより当該見積書情報(取引予定情報)についての客観性を確保することができる。従って提供者及び需要者は、インターネット上の商取引でありながらも、安心して交渉を進めることができる。
【0078】
《ハードウエア構成》
図12は、上記電子商取引支援装置500を構成するコンピュータハードウエア構成図である。ただしこの図ではコンピュータの代表的な構成例を示したに過ぎず、上記した処理を実行する演算装置やメモリ及びプログラムを備える限りにおいて、専用の装置として構成しても良い。
【0079】
この
図12に示すコンピュータ500は、CPU501、メモリ502、音声出力装置503、ネットワークインタフェース504、ディスプレイコントローラ505、ディスプレイ506、入力機器インタフェース507、キーボード508、マウス509、外部記憶装置510、外部記録媒体駆動装置511、およびこれらの構成要素を互いに接続するバス512を含んで構成されている。
【0080】
CPU501は、コンピュータ500の各構成要素の動作を制御し、OSの制御下で、前記した認証情報付加ステップ、在/不在判断ステップ、通信状態監視ステップ、地図情報表示処理等における各処置の実行をコントロールし、その動作を制御する。メモリ502は通常、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)、および揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)から構成される。ROMには、コンピュータ500の起動時に実行されるプログラム等が格納される。RAMには、CPU501で実行され、各装置の処理を実行する為のアプリケーションプログラムや、データベースプログラム、それらのプログラムが実行中に使用するデータ(たとえば、データベースやファイルシステムから読み出されたデータやスクリプト)が一時的に格納される。
【0081】
音声出力装置503は、スピーカ等の、音声を出力する機器であり、通信インタフェース504は、各種の機器と情報交換する為のネットワーク520に接続するためのインタフェースであり、上記実施の形態における取引予定情報取得部や、認証済取引予定情報送信手段、交渉待ち情報出力手段を構成することができる。
【0082】
ディスプレイコントローラ505は、CPU501が発する描画命令を実際に処理するための専用コントローラである。ディスプレイコントローラ505で処理された描画データは、一旦グラフィックメモリに書き込まれ、その後、表示部としてのディスプレイ506に出力される。
【0083】
入力機器インタフェース507は、キーボード508やマウス509、或いはタッチパッドなどの入出力デバイスから入力された信号を受信して、その信号パターンに応じて所定の指令をCPU501に提供する。キーボード508やマウス509は、プログラムの実行や設定などの操作を行う場合に必要となる。
【0084】
外部記憶装置510も本明細書における記憶手段の範疇に含まれる。かかる外部記憶装置510は、たとえばハードディスクドライブ(HDD)のような記憶装置で構成することができる。この装置内には上述したプログラムやデータが記録され、実行時に、必要に応じてそこからメモリ502のRAMにロードされる。
【0085】
外部記録媒体駆動装置511は、CD(Compact Disc)、MO(Magnet-Optical Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの可搬型の外部記録媒体530の記録面にアクセスして、そこに記録されているデータを読み取る装置である。
【0086】
そして上記本実施の形態にかかる電子商取引支援装置では、
図13に示すようなメモリ、すなわちユーザ情報DB、取引予定情報DB、取引申込情報DB、認証情報付加フログラム、取引監視プログラム、在/不在情報管理プログラムを備えることができる。即ち、当該電子商取引支援装置のメモリには、
図13に示すように、「ユーザID」「ユーザ名称」「メールアドレス」「電話番号」「住所」等の情報を保持するユーザ情報データベース(B)、「ユーザID」「見積番号」「発行日」「見積金額」「有効期限」「宛先」等の情報を保持する取引予定情報データベース(C)(即ち、認証済見積情報データベース)、及び「ユーザID」「見積番号」「取引申込日」「取引相手」等の情報を保持する取引申込情報データベース(D)を形成することができる。
【0087】
またこのメモリには、取引予定情報(見積り情報)に認証情報を付加する認証情報付加プログラム、取引監視処理を実行する取引監視プログラム、在/不在情報管理処理を実行する在/不在情報管理プログラムを伴うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
上記本発明にかかる電子商取引支援装置及びこれを用いた電子商取引支援システムは、商品または役務の提供者側電子端末と、商品または役務の需要者側電子端末とにおける電子商取引を行う分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
500 電子商取引支援装置(コンピュータ)
502 メモリ
504 ネットワークインタフェース
506 ディスプレイ
510 外部記憶装置
520 ネットワーク