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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】燃料噴射弁装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 69/04 20060101AFI20231215BHJP
   F02M 61/14 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
F02M69/04 B
F02M69/04 C
F02M61/14 320Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022060541
(22)【出願日】2022-03-31
(65)【公開番号】P2023151102
(43)【公開日】2023-10-16
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】赤城 貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 国一
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-070188(JP,A)
【文献】特開2006-266131(JP,A)
【文献】特開2007-177711(JP,A)
【文献】特開2001-329930(JP,A)
【文献】登録実用新案第3061434(JP,U)
【文献】西独国特許出願公開第2614288(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00~71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ホースに接続される燃料供給管(6)に流通する燃料を吸気流路(11A)内に噴射する噴射口(3)を有するノズル部(2)と、
前記ノズル部(2)と別体に設けられ、内部に前記吸気流路(11A)が設けられた吸気管部(11)に前記ノズル部(2)を固定する少なくとも2つの固定部(31)が設けられた係止部材(30)と、を備え
前記吸気管部(11)には、前記固定部(31)を固定する台座(11B)が設けられ、
前記台座(11B)と前記固定部(31)との間に設けられるボス(C)を備え、
前記係止部材(30)は、前記ノズル部(2)を保持する保持部(32)と、前記固定部(31)に設けられ前記ボスに嵌合するように弾性変形する弾性変形部(31A)と、前記保持部(32)に連続して設けられ前記弾性変形部(31A)を連結する連結部(32A)とを備え、
前記固定部(31)は、前記ボス(C)に嵌め込み可能な切欠き部(31B)が形成され、
前記連結部(32A)は、前記切欠き部(31B)の反対側において前記固定部(31)に接続されている、燃料噴射弁装置(1A)
【請求項2】
前記ノズル部は、
前記燃料供給管(6)と、
前記噴射口(3)に連続し前記燃料供給管(6)に接続される接続管(4)と、を備え、
前記接続管(4)は、前記噴射口(3)と一体に形成されている、
請求項1に記載の燃料噴射弁装置(1A)
【請求項3】
前記ノズル部(2)は、前記燃料供給管(6)と、前記吸気管部(11)に固定される前記噴射口(3)に連続し前記燃料供給管(6)に接続される接続管(4)と、を備え、
前記接続管(4)は、前記燃料供給管(6)との接続部に設けられた第1拡径部(5)を備え、
前記燃料供給管(6)は、前記燃料ホース側に接続される管路部(7)と、前記管路部(7)に連続して形成され前記接続管(4)との接続部において前記管路部(7)の径に比して径が拡大された第2拡径部(8)とを備え、
前記保持部(32)は、前記第2拡径部(8)を保持すると共に、前記ノズル部(2)の軸線(L)方向に沿った動きを規制する、
請求項1又は2に記載の燃料噴射弁装置(1A)。
【請求項4】
2つの前記固定部(31)の少なくとも1つには、前記軸線(L)方向に沿って見て径方向に突出する突出部(31D)を備える、
請求項3に記載の燃料噴射弁装置(1A)。
【請求項5】
前記固定部(31)は、前記軸線(L)方向において前記ボス(C)の幅に形成され、
前記保持部(32)は、前記軸線(L)方向において前記ボス(C)に比して幅が小さく形成され、
前記連結部(32A)は、前記固定部(31)の前記軸線(L)方向の両端のうちいずれか一方側に偏心して連結されている、
請求項3又は4に記載の燃料噴射弁装置(1A)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に設けられる燃料噴射弁装置、車両用部品、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗り型車両に取り付けられる燃料噴射弁装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された燃料噴射弁装置は、吸気管の内部に設けられた吸気流路に燃料を噴射するノズル部と、ノズル部を吸気管の外部に固定する固定部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-177711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された燃料噴射弁装置は、取り付け対象の周囲の部品のレイアウトによっては、固定部材の取付性に問題が生じる場合があった。
【0005】
本発明は、ノズル部の構成を簡略化することができる燃料噴射弁装置、車両用部品、及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、燃料ホースに接続される燃料供給管(6)に流通する燃料を吸気流路(11A)内に噴射する噴射口(3)を有するノズル部(2)と、前記ノズル部(2)と別体に設けられ、内部に前記吸気流路(11A)が設けられた吸気管部(11)に前記ノズル部(2)を固定する少なくとも2つの固定部(31)が設けられた係止部材(30)と、を備え、前記吸気管部(11)には、前記固定部(31)を固定する台座(11B)が設けられ、前記台座(11B)と前記固定部(31)との間に設けられるボス(C)を備え、前記係止部材(30)は、前記ノズル部(2)を保持する保持部(32)と、前記固定部(31)に設けられ前記ボスに嵌合するように弾性変形する弾性変形部(31A)と、前記保持部(32)に連続して設けられ前記弾性変形部(31A)を連結する連結部(32A)とを備え、前記固定部(31)は、前記ボス(C)に嵌め込み可能な切欠き部(31B)が形成され、前記連結部(32A)は、前記切欠き部(31B)の反対側において前記固定部(31)に接続されている、燃料噴射弁装置(1A)である。
【0007】
この構成によれば、ノズル部と係止部材とを別体に設けることにより、ノズル部の構成を簡略化すると共に、設計を簡略化することができる。この構成によれば、ノズル部と係止部材とを別体に設けることにより、ノズル部を安定的に取付けられる。工具を用いることなく係止部材を着脱自在とし、組み立て効率を向上させることができる。係止部材とノズル部とが別体に設けられているため、コンパクト化することができる。
【0008】
請求項2に記載された発明の前記ノズル部は、前記燃料供給管(6)と、前記噴射口(3)に連続し前記燃料供給管(6)に接続される接続管(4)と、を備え、前記接続管(4)は、前記噴射口(3)と一体に形成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、接続管と噴射口とが別体に形成されていた従来のノズル部においては、スロットルボディに合わせて設計変更が必要となり、設計毎に金型等の新規投資が必要となり製造コストと、多品種に対応させるための管理コストが上昇していたのに比して、必要な部分を個別に設計変更することでコストを削減し、部品点数も削減可能となる。また、この構成によれば、接続管と噴射口との間に設けられていた接続部におけるシール部を廃止できるため、コストを削減し、部品点数も削減可能となる。
【0024】
請求項3に記載された発明の前記ノズル部(2)は、前記燃料供給管(6)と、前記吸気管部(11)に固定される前記噴射口(3)に連続し前記燃料供給管(6)に接続される接続管(4)と、を備え、前記接続管(4)は、前記燃料供給管(6)との接続部に設けられた第1拡径部(5)を備え、前記燃料供給管(6)は、前記燃料ホース側に接続される管路部(7)と、前記管路部(7)に連続して形成され前記接続管(4)との接続部において前記管路部(7)の径に比して径が拡大された第2拡径部(8)とを備え、 前記保持部(32)は、前記第2拡径部(8)を保持すると共に、前記ノズル部(2)の軸線(L)方向に沿った動きを規制してもよい。
【0025】
この構成によれば、燃料供給管の動きを保持部が上方から規制するため、燃料供給管の抜けを防止することができる。
【0028】
請求項4に記載された発明の2つの前記固定部(31)の少なくとも1つには、前記軸線(L)方向に沿って見て径方向に突出する突出部(31D)を備えていてもよい。
【0029】
この構成によれば、燃料供給管の抜けを防止すると共に、保持部と異なる位置において燃料供給管を係止することで燃料供給管を安定して固定することができる。
【0030】
請求項5に記載された発明の前記固定部(31)は、前記軸線(L)方向において前記ボス(C)の幅に形成され、前記保持部(32)は、前記軸線(L)方向において前記ボス(C)に比して幅が小さく形成され、前記連結部(32A)は、前記固定部(31)の前記軸線(L)方向の両端のうちいずれか一方側に偏心して連結されていてもよい。
【0031】
この構成によれば、係止部の組付け方向を規制し、組み立て効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ノズル部の構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】実施形態に係る燃料噴射弁装置の構成を示す分解斜視図である。
図2】燃料噴射弁装置の構成を示す斜視図である。
図3】係止部材の構成を示す平面図である。
図4】係止部材の構成を示す斜視図である。
図5】ストッパの構成を示す平面図である。
図6】ストッパの構成を示す斜視図である。
図7】変形例に係る燃料噴射弁装置の構成を示す分解斜視図である。
図8】変形例に係る燃料噴射弁装置の構成を示す斜視図である。
図9】変形例に係るノズル部と係止部材の構成を示す側面図である。
図10】変形例に係る係止部材の構成を示す斜視図である。
図11】変形例に係る係止部材の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1図3に示されるように燃料噴射弁装置1は、内燃機関(不図示)において吸気量を調整するスロットルボディ10に設けられる。燃料噴射弁装置1は、例えば、自動二輪車や自動三輪車に適用される。燃料噴射弁装置1は、例えば、燃料を噴射する噴射口3を有するノズル部2と、燃料ホースに接続される燃料供給管6と、ノズル部2をスロットルボディ10側に固定する係止部材20とを備えている。スロットルボディ10は、内燃機関の燃焼室に吸気を流入させる吸気管部11と、吸気管部11に設けられたスロットル12とを備えている。スロットルボディ10は、例えば、単気筒の内燃機関に適用される。1つのスロットルボディ10は、2気筒以上の内燃機関に用いられてもよい。また、2つ以上のスロットルボディ10により、2気筒以上の内燃機関において多連スロットルを構成してもよい。
【0039】
吸気管部11は、例えば、円筒状に形成されている。吸気管部11の内部には、空気が流通する吸気流路11Aが形成されている。吸気流路11Aは、例えば、円形断面の流路である。吸気管部11の外部には、噴射口3が挿入され、吸気流路11Aに貫通する貫通孔11Hと、係止部材20を固定する台座11Bとが形成されている。貫通孔11Hは、吸気流路11Aの軸方向に対して傾斜して形成されている。
【0040】
貫通孔11Hは、噴射口3から噴射された燃料が吸気流路11Aの下流側に流れる方向に形成されている。貫通孔11Hは、噴射口3をノズル部2の軸線L方向に沿った位置及び軸線Lの直交方向に位置決めする。台座11Bは、貫通孔11Hに対して吸気管部11の上流側に設けられている。台座11Bは、吸気管部11の軸線方向に対して一対(2個)設けられている。台座11Bは、吸気管部11の周壁から外方に突出して形成されている。台座11Bには、ボルトBを固定するためのボルト穴11Cが形成されている。吸気管部11の途中には、スロットル12が配置されている。
【0041】
スロットル12は、例えば、アクセルと連動して吸気流路11Aを流通する空気の流量を調整する装置である。スロットル12は、例えば、吸気流路11Aの途中に開閉自在に設けられたバタフライバルブ(不図示)と、バタフライバルブを開閉するスロットルドラム12Bと、スロットルバルブの開閉量を検出するスロットルセンサ12Aと、を備える。バタフライバルブは、円板状に形成されている。バタフライバルブは、回転軸(不図示)を中心に回転する回転軸は、吸気管部11の外部に貫通している。スロットルドラム12Bは、アクセルに接続されたスロットルワイヤにより吸気管部11の外部に突出した回転軸を回転する機械式装置である。スロットルドラム12Bは、例えば、スロットルワイヤの引張量に連動してバタフライバルブの開度を調整する。スロットルセンサ12Aは、スロットルバルブの開閉量だけでなく、吸気温、吸入圧、流速等の吸気に関する他の検出値を検出してもよい。
【0042】
スロットルドラム12Bは、アクセルの開度が0の状態において、バタフライバルブを全閉状態になるようにバネ(不図示)により付勢されている。スロットルドラム12Bは、アクセルを増加させる操作が行われた際にスロットルワイヤの引張力に基づいてバタフライバルブを開く方向に回転させ、アクセルが戻された際にバネの付勢力に基づいてバタフライバルブを閉じる方向に戻す。スロットルドラム12Bの近傍には、アクセルワイヤを案内するガイド12Cが設けられている。
【0043】
スロットル12は、電子制御に基づいて吸気管部11の外部に突出した回転軸を回転制御するサーボであってもよい。スロットル12は、例えば、駆動源となるモータ(不図示)と、モータの回転出力を減速してトルクを増強する減速機(不図示)とを備える。モータのトルクが十分である場合、減速機は、設けられていなくてもよい。スロットル12は、車両側のアクセル開度に連動してバタフライバルブの開度を調整するように制御される。
【0044】
ノズル部2は、軸線Lに沿って、吸気流路11A内に燃料を噴射する噴射口3と、噴射口3の上流側に連続して形成された接続管4と、接続管4の上流側に接続される燃料供給管6とを備える。噴射口3は、例えば、円柱状に形成されている。噴射口3の下流側の端部には、燃料噴射孔(不図示)が形成されている。燃料噴射孔からは、ノズル部2の内部を流通した燃料が噴射される。噴射口3は、貫通孔11Hの径に比して若干小さい径に形成されている。噴射口3は、貫通孔11Hに挿入され、軸線L方向及び径方向に位置決めされる。
【0045】
接続管4は、円管状に形成されている。接続管4は、噴射口3と一体に形成されている。従来のノズル部においては、接続管と噴射口とが別体に形成されていた。従来のノズル部においては、スロットルボディに合わせて設計変更が必要となり、設計毎に金型等の新規投資が必要となり製造コストと、多品種に対応させるための管理コストが上昇していた。これに比してノズル部2によれば、必要な部分を個別に設計変更することでコストを削減し、部品点数も削減可能となる。また、この構成によれば、接続管と噴射口との間に設けられていた接続部におけるシール部を廃止できるため、コストを削減し、部品点数も削減可能となる。接続管4は、燃料供給管6の下流側に挿入され、固定される。噴射口3と接続管4との間には、噴射口3及び接続管4の径に比して径が拡大された第1拡径部5が設けられている。第1拡径部5の内部には、例えば、入力電圧に基づいてバルブを開閉するソレノイドバルブ(不図示)が設けられている。ソレノイドバルブは、例えば、バルブの開閉に基づいて燃料を接続管4側から下流側の噴射口3側に圧送する。第1拡径部5には、ソレノイドバルブに電圧を入力するための電気コネクタ5Cが設けられている。
【0046】
第1拡径部5の下流側の端部は、貫通孔11Hの開口に当接し、噴射口3を位置決めする。第1拡径部5の上流の端部は、後述のように係止部材20に当接し位置決めされる。
【0047】
燃料供給管6は、燃料ホース側に接続される管路部7と、管路部7に連続して形成され接続管との接続部において管路部7の径に比して径が拡大された第2拡径部8とを備える。管路部7は、例えば、直角に屈曲した管路に形成されている。管路部7は、直管に形成されていてもよい。管路部7の上流側の端部は、燃料ホース(不図示)に接続される。管路部7の下流側には、第2拡径部8が設けられている。第2拡径部8の内部には、接続管4を挿入する孔(不図示)が形成されている。第2拡径部8の下流側の端部は、後述のように係止部材20に当接する。
【0048】
係止部材20は、ノズル部2と別体に設けられている。これにより、ノズル部2の設計変更に対して係止部材20を設計変更することで対応可能となり、設計の自由度を向上させることができる。係止部材20は、例えば、吸気管部に前記ノズル部を固定する少なくとも2つの固定部21と、ノズル部2を保持する保持部22とを備えている。保持部22と固定部21とは、軸線L方向において離間して配置されている。これにより、係止部材20は、軸線L方向における径方向においてコンパクト化することができる。
【0049】
保持部22と固定部21との間には、板状に形成された連結部23が設けられている。連結部23が設けられていることにより、固定部21は、軸線L方向において保持部22から離間した位置において吸気管部に固定され、ノズル部2を固定する。連結部23が設けられていることにより、係止部材20は、ノズル部2において燃料噴射に基づいて軸線L方向に生じる振動の影響を連結部23の弾性変形に基づいて低減することができる。
【0050】
固定部21は、例えば、軸線Lに直交する方向に対向して2個設けられている。固定部21は、例えば、円筒状に形成されている。固定部21には、円形断面の貫通孔21Hが形成されている。貫通孔21Hには、円筒状のボスCが嵌め込まれる。ボスCには、円形断面の貫通孔CHが形成されている。貫通孔CHには、ボルトBのネジ部B1が挿入される。ボスCは、台座11Bと固定部21との間に設けられる。固定部21は、ボスCを介してボルトBにより台座11Bに固定される。ボスCは、ボルトBのネジ部B1がボルト穴11Cにねじ込まれた際に、ボルトBの頭部B3に形成されたワッシャ部B2と台座11Bとに挟持されて固定される。
【0051】
固定部21の軸線L方向に沿った幅は、ボスCの軸線L方向に沿った幅と同じに形成されている。固定部21は、ボスCと共にワッシャ部B2と台座11Bとに挟持されて固定される。これにより固定部21は、軸線Lに沿った方向に位置決めされる。第2拡径部8と固定部21とは、軸線L方向に沿った位置において固定部21が上流側に位置しつつ、少なくとも一部が重なるように配置されている。これにより、係止部材20は、軸線L方向に沿った位置においてボルトBの頭部B3、ワッシャ部B2と第2拡径部8との干渉を防止し、軸線L方向における径方向にコンパクト化することができる。
【0052】
2個の固定部21のうち少なくとも1つは、軸線L方向に沿って見て燃料供給管側において一部に切欠き部21Cが設けられている。切欠き部21Cが設けられていることにより、係止部材20は、軸線L方向に沿って見て第2拡径部8との干渉を防止しつつ、コンパクト化することができる。
【0053】
保持部22は、第1拡径部5を軸線L方向において燃料供給管側6から保持する。保持部22は、例えば、円筒状に形成されている。保持部22は、円形断面の貫通孔22Hが形成されている。貫通孔22Hには、接続管4が挿通される。保持部22の下端部は、第1拡径部5の上端に当接する。保持部22の上端部は、第2拡径部8の下端に当接する。保持部22は、第1拡径部5と第2拡径部8との間に挟持され、ノズル部2を保持する。
【0054】
図4図6に示されるように、保持部22には、軸線L方向に沿って見て電気コネクタ5Cに向かって径方向に突出するストッパ22Dが形成されていてもよい。ストッパ22Dは、例えば、電気コネクタ5Cの対向する面に当接する形状に形成されている。ストッパ22Dには、軸線L方向に沿って下方側に突出し、電気コネクタ5Cを軸線L方向に直交する方向に挟持する一対の爪部22Eが設けられていてもよい。また、一対の爪部22Eは、軸線L方向に沿って下方側に突出せずに、電気コネクタ5Cを狭持するように、その両端が径方向に突出していてもよい。ストッパ22Dは、例えば、ノズル部2が軸線L方向に沿って回転するのを防止する。ストッパ22Dにおいて一対の爪部22Eは、電気コネクタ5Cを挟持することでノズル部2が軸線Lを中心に回転するのを確実に防止する。ストッパ22Dの形状は一例であり、ノズル部2の回転を防止できれば他の形状に形成されていてもよい。
【0055】
上述したように、燃料噴射弁装置1によれば、係止部材20とノズル部2とを別体に設けることにより、ノズル部2の設計変更に柔軟に対応可能となり、部品点数を削減すると共に、コストを低減することができる。燃料噴射弁装置1によれば、複数の固定部21がノズル部2を挟んだ位置に設けられていることにより、ノズル部2を安定して固定することができる。燃料噴射弁装置1によれば、係止部材20の固定部21と保持部22とが離間して形成されているため、径方向に対してコンパクト化することができる。燃料噴射弁装置1によれば、係止部材20の固定部21が保持部22に比して上方に離間して配置されているため、第1拡径部5とボルトBとの干渉を防止し、コンパクト化することができる。
【0056】
[変形例]
以下、燃料噴射弁装置1の変形例について説明する。以下、上記実施形態と同一の構成については同一の名称及び符号を用い、重複する説明については適宜省略する。
【0057】
図7図11に示されるように、変形例に係る燃料噴射弁装置1Aは、例えば、ノズル部2と、燃料供給管6と、係止部材30とを備えている。係止部材30は、吸気管部11に固定される固定部31と、ノズル部2を保持する保持部32と、を備えている。固定部31は、2個設けられている。固定部31は、例えば、円筒状に形成されている。固定部31は、切欠き部31Bが設けられている。固定部31には、ボスCに嵌合するように弾性変形する弾性変形部31Aが設けられている。
【0058】
弾性変形部31Aは、切欠き部31Bが径方向に開くことにより弾性変形する。切欠き部31Bが設けられていることにより、固定部31は、弾性変形部31Aが弾性変形し、ボスCに嵌め込み可能に形成されている。これにより、ノズル部2を吸気管部11への固定を容易にすることができ、燃料噴射弁装置1Aの組み立て効率を向上させることができる。一対の弾性変形部31Aは、保持部に連続して設けられた連結部32Aにより連結されている。
【0059】
連結部32Aは、切欠き部31Bの反対側において固定部31に接続されている。これにより、係止部材30は、ノズル部2への組み付けが容易となり、組立作業効率が向上する。保持部32は、軸線L方向に沿って見てアーチ状に形成されている。保持部32は、第2拡径部8を保持する。保持部32は、管路部7側から第2拡径部8を保持する。保持部32は、ノズル部2の軸線L方向に沿った動きを規制する。これにより、燃料供給管6が接続管4から抜けることが防止される。
【0060】
2つの固定部31の少なくとも1つには、軸線L方向に沿って見て径方向に突出する突出部31Dが設けられている。突出部31Dは、2つのボスCの中心を結ぶ線L1に対して連結部32A側に配置されている。突出部31Dが設けられていることにより、保持部32と異なる位置において燃料供給管6の係止効果を高めることができる。固定部31は、軸線L方向においてボスCの幅に形成されている。保持部32は、軸線L方向においてボスCに比して幅が小さく形成されている。連結部32Aは、固定部21の軸線L方向の両端のうちいずれか一方側に偏心して連結されている。これにより、係止部材30の組付け方向を規制し、組み立て効率を向上させることができる。
【0061】
上述したように、燃料噴射弁装置1Aによれば、工具を用いずに係止部材30を着脱可能に形成することにより、組み立て効率を向上させる共に、ノズル部2の交換を容易にすることができる。また、燃料噴射弁装置1Aによれば、係止部材30が第2拡径部8を上方から規制するため、燃料供給管6の脱落を防止することができる。燃料噴射弁装置1Aによれば、係止部材30の保持部が固定部31に対して上方に偏心して設けられていることにより、が規制され、組み立て効率を向上させることができる。
【0062】
また、上述した係止部材20,30とノズル部2は、車両用部品として提供されてもよい。車両用部品は、例えば、燃料ホースに接続される燃料供給管6に流通する燃料を吸気流路11A内に噴射する噴射口3を有するノズル部2と別体に設けられ、内部に吸気流路11Aが設けられた吸気管部11にノズル部2を固定する少なくとも2つの固定部21,31が設けられた係止部材20,30を備えている。
【0063】
係止部材20,30は、車両に取り付けられて提供されてもよい。車両は、例えば、ノズル部2を備える燃料噴射弁装置1と、ノズル部2と別体に設けられ、内部に吸気流路11Aが設けられた吸気管部11にノズル部2を固定する少なくとも2つの固定部21、31が設けられた係止部材20、30と、を備えている。
【0064】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、燃料噴射弁装置は、自動二輪車、自動三輪車だけでなく、4輪バギー等の他の自走車両、非自走車両等に適用されてもよい。また、燃料噴射弁装置は、車両以外の内燃機関を用いる発電機に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 燃料噴射弁装置、1A 燃料噴射弁装置、2 ノズル部、3 噴射口、4 接続管、5 第1拡径部、6 燃料供給管、7 管路部、8 第2拡径部、11 吸気管部、11A 吸気流路、11B 台座、20 係止部材、21 固定部、21C 切欠き部、22 保持部、22D ストッパ、23 連結部、30 係止部材、31 固定部、31A 弾性変形部、31B 切欠き部、31D 突出部、32 保持部、32A 連結部、C ボス、L 軸線
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