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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231215BHJP
   H02J 50/00 20160101ALI20231215BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022079923
(22)【出願日】2022-05-16
(62)【分割の表示】P 2020100312の分割
【原出願日】2013-12-13
(65)【公開番号】P2022105216
(43)【公開日】2022-07-12
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2012272121
(32)【優先日】2012-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】小山 潤
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-109810(JP,A)
【文献】特開2011-146698(JP,A)
【文献】特開2009-167087(JP,A)
【文献】特表2009-518144(JP,A)
【文献】特開2011-243976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 50/00 - 50/90
H01M 10/42 - 10/48
H01L 21/18 - 21/20
H01L 21/34 - 21/36
H01L 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを有する受電回路と、
蓄電体と、
1のトランジスタと、
制御回路と、を備え、
前記受電回路は、前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方と電気的に接続され、
前記蓄電体は、前記第1のトランジスタのソース及びドレインの他方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記制御回路と電気的に接続され、
前記制御回路は、前記蓄電体と電気的に接続され、
前記制御回路は、コンパレータと、I/Oインターフェースと、を有し、
前記コンパレータは、前記蓄電体の電圧を示す信号と基準電圧を示す信号との比較を行う機能を有し、
前記I/Oインターフェースは、チャネル形成領域にシリコンを有する第2のトランジスタと、チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第3のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタのゲート電極は、前記第3のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタは、前記チャネル形成領域の上方に第1のゲート電極と、前記チャネル形成領域の下方に第2のゲート電極と、を有し、
前記第3のトランジスタは、前記第2のトランジスタの上方に設けられている、電気機器。
【請求項2】
アンテナを有する受電回路と、
蓄電体と、
1のトランジスタと、
制御回路と、を備え、
前記受電回路は、前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方と電気的に接続され、
前記蓄電体は、前記第1のトランジスタのソース及びドレインの他方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記制御回路と電気的に接続され、
前記制御回路は、前記蓄電体と電気的に接続され、
前記制御回路は、コンパレータと、I/Oインターフェースと、を有し、
前記コンパレータは、前記蓄電体の電圧を示す信号と基準電圧を示す信号との比較を行う機能を有し、
前記I/Oインターフェースは、チャネル形成領域にシリコンを有する第2のトランジスタと、チャネル形成領域に酸化物半導体を有する第3のトランジスタと、を有し、
前記第2のトランジスタのゲート電極は、少なくとも第1の導電層を介して、前記第3のトランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタは、前記チャネル形成領域の上方に第1のゲート電極と、前記チャネル形成領域の下方に第2のゲート電極と、を有し、
前記第3のトランジスタは、少なくとも第1の絶縁膜を介して、前記第2のトランジスタの上方に設けられ、
前記第1の導電層と、前記第3のトランジスタの第2のゲート電極とは、前記第1の絶縁膜の上面に接する領域を有する、電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物(プロダクト。機械(マシン)、製品(マニュファクチャ)、組成物(コン
ポジション・オブ・マター)を含む。)、及び方法(プロセス。単純方法及び生産方法を
含む。)に関する。特に、本発明の一形態は、蓄電システム、蓄電装置、半導体装置、表
示装置、発光装置、若しくはその他の電気機器、又はそれらの製造方法に関する。特に、
本発明の一形態は、酸化物半導体を有する蓄電システム、蓄電装置、半導体装置、表示装
置、発光装置、若しくはその他の電気機器、又はそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やスマートフォンに代表される携帯端末、電動工具、電気自動車等、様々
な電気機器に、蓄電装置が搭載されている。
【0003】
蓄電装置は、リチウムイオンバッテリーなど、充電を行うことで電気を蓄え繰り返し使用
することが可能な二次電池を有する。
【0004】
このような蓄電装置が搭載された電気機器では、例えば給電装置と接続することにより蓄
電装置を充電することができる(例えば特許文献1)。
【0005】
さらに、上記蓄電装置が搭載された電気機器では、給電装置から無線により電力を供給す
ることにより、給電装置と物理的に接続しなくても、蓄電装置を充電することができる(
例えば特許文献2)。このような給電方法として、例えば特許文献2では、電磁誘導式及
び磁界共鳴式による給電方法が開示されている。
【0006】
特許文献1や特許文献2に示す給電方法では、蓄電装置の仕様に適合した給電装置を用い
ることにより、蓄電装置の充電を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-109778号公報
【文献】特開2012-125115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様では、給電装置の汎用性を高めることを課題の一つとする。
【0009】
又は、本発明の一態様では、給電装置を用いた蓄電システムの汎用性を高めることを課題
の一つとする。
【0010】
又は、本発明の一態様では、蓄電装置の消費電力を低減することを課題の一つとする。
【0011】
又は、本発明の一態様では、蓄電装置の信頼性を向上させることを課題の一つとする。
【0012】
又は、本発明の一態様では、新規な蓄電装置を提供することを課題の一つとする。又は、
本発明の一態様では、良い蓄電装置を提供することを課題の一つとする。
【0013】
本発明の一態様は、オフ電流の低い半導体装置を提供することを課題とする。又は、本発
明の一態様は、消費電力の低い半導体装置を提供することを課題とする。又は、本発明の
一態様は、透明な半導体層を用いた半導体装置を提供することを課題とする。又は、本発
明の一態様は、信頼性の高い半導体層を用いた半導体装置を提供することを課題とする。
【0014】
特に、本発明の一態様は、上記に掲げる課題のうち少なくとも一つを解決することができ
る場合がある。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないもの
とする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明ら
かとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出す
ることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様では、例えば蓄電装置及び給電装置の少なくとも一つを利用したものであ
ってもよい。
【0016】
本発明の一態様では、蓄電装置を識別するデータ(識別データともいう)を用いて蓄電装
置の充電条件を最適化することにより、例えば給電装置により異なる仕様である複数の蓄
電装置の充電を可能にし、汎用性の向上を図る。
【0017】
なお、本明細書において蓄電装置を識別するデータとは、蓄電装置の機械特性、蓄電装置
の電気特性などの蓄電装置の仕様や、劣化の進行度や蓄電された電気エネルギーの残量な
ど蓄電装置の内部情報を含むものいう。蓄電装置の情報として、例えば、蓄電装置の平均
電圧、蓄電装置の容量、蓄電装置のエネルギー密度、蓄電装置の抵抗、蓄電装置の出力電
力、蓄電装置のサイクル特性、蓄電装置の温度、蓄電装置の使用温度範囲、蓄電装置の許
容充電電流などの情報が挙げられる。又は蓄電装置の情報として、蓄電装置の製造メーカ
ー、蓄電装置のシリアル番号、蓄電装置の重さ、蓄電装置のサイズなどを含めてもよい。
なお、識別データを個体識別データとしてもよい。
【0018】
本発明の一態様は、蓄電装置と、給電装置と、を有し、蓄電装置は、蓄電装置を識別する
データを有し、蓄電装置は、蓄電体と、給電装置から供給された電力を、蓄電体に供給す
るか否かを制御するスイッチと、給電装置から入力される制御信号に従いスイッチの導通
状態を制御する機能を有する制御回路と、を有し、給電装置は、蓄電装置から入力された
データにより蓄電装置を識別し、制御信号を生成して蓄電装置に出力する機能を有する信
号処理回路を有する蓄電システムである。
【0019】
本発明の一態様は、蓄電装置であって、受電回路と、データ通信回路と、蓄電体と、受電
回路と蓄電体の間に設けられた第1のトランジスタと、蓄電体、第1のトランジスタのゲ
ートに電気的に接続される制御回路と、を有し、制御回路は、第1のトランジスタのゲー
トに電気的に接続されるプロセッサと、プロセッサに電気的に接続されるメモリと、プロ
セッサ及びメモリに電気的に接続されるコントローラと、を有し、メモリは、蓄電装置を
識別するデータを有し、プロセッサは、レジスタを有し、レジスタは、蓄電体からプロセ
ッサに電力が供給される期間にデータを保持する第1の記憶回路と、蓄電体からプロセッ
サに対する電力の供給が停止する期間にデータを保持する第2の記憶回路と、を有し、第
2の記憶回路は、データの書き込み及び保持を制御する第2のトランジスタを有し、第2
のトランジスタは、チャネル幅1μmあたりのオフ電流が100zA以下である蓄電装置
である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様により、給電装置、又は給電装置を用いた蓄電システムの汎用性を高める
ことができる。
【0021】
本発明の一態様により、蓄電装置の消費電力を低減することができる。
【0022】
本発明の一態様により、蓄電装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】蓄電システムの例を説明するための図。
図2】装置の例を説明するための図。
図3】回路の例を説明するための図。
図4】装置の例を説明するための図。
図5】蓄電システムの駆動方法例を説明するための図。
図6】回路の例を説明するための図。
図7】レジスタの例を説明するための図。
図8】メモリの例を説明するための図。
図9】装置の構造例を説明するための図。
図10】蓄電体の例を説明するための図。
図11】蓄電体の例を説明するための図。
図12】蓄電体の例を説明するための図。
図13】蓄電体の例を説明するための図。
図14】蓄電体の一部の例を説明するための図。
図15】蓄電体の一部の例を説明するための図。
図16】蓄電体の一部の例を説明するための図。
図17】蓄電体の例を説明するための図。
図18】電気機器の例を説明するための図。
図19】電気機器の例を説明するための図。
図20】電気機器の例を説明するための図。
図21】電気機器の例を説明するための図。
図22】電気機器の例を説明するための図。
図23】電気機器の例を説明するための図。
図24】電気機器の例を説明するための図。
図25】蓄電装置の充放電特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異な
る態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及
び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易である。従って、本発明は、以下に
示す実施の形態の記載内容に限定されない。なお、以下に説明する構成において、同様の
ものを指す符号は異なる図面間で共通の符号を用いて示し、同一部分又は同様な機能を有
する部分の詳細な説明は省略する。
【0025】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形
態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施
の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換え
などを行うことができる。
【0026】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて
述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0027】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、
その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数
の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより
、さらに多くの図を構成させることができる。
【0028】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(
容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しなく
ても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接続
先を特定しなくても、発明の一態様が明確であり、本明細書等に記載されていると判断す
ることが可能な場合がある。特に、端子の接続先が複数ある場合には、その端子の接続先
を特定の箇所に限定する必要はない。従って、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど
)、受動素子(容量素子、抵抗素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接
続先を特定することによって、発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0029】
なお、明細書の中の図面や文章において規定されていない内容について、その内容を除く
ことを規定した発明を構成できる。又は、ある値について、上限値と下限値などで示され
る数値範囲が記載されている場合、該数値範囲を任意に狭める、又は該数値範囲の中の一
点を除くことで、該数値範囲を一部除いて発明を規定できる。これらにより、例えば、従
来技術が本発明の技術的範囲内に入らないことを規定できる。
【0030】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当業
者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。又は、ある回路について、少なく
とも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。つま
り、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であり、本明細書等に記載されていると判断
することが可能な場合がある。従って、ある回路について、機能を特定しなくても、接続
先を特定すれば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成す
ることが可能である。又は、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定す
れば、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可
能である。
【0031】
また、第1、第2などの序数は、構成要素の混同を避けるために付しており、各構成要素
の数は、序数に限定されない。
【0032】
(実施の形態1)
図1(A)は、蓄電システムの構成例を示す図である。図1(A)に示す蓄電システムは
、装置100と、装置200と、を有する。
【0033】
装置100には、装置200から電力が供給される。なお、別の電源から装置100に電
力を供給してもよい。装置100は、信号を入力及び出力できる機能を有する。装置10
0は、電力を無線で受電することができる機能を有していてもよい。この場合、装置10
0を受電装置としてもよい。又は装置100は、蓄電することができる機能を有していて
もよい。この場合、装置100を蓄電装置としてもよい。なお、装置100が電力を無線
で受電することができる機能、及び蓄電することができる機能を有していてもよい。この
場合、装置100を受電装置、蓄電装置、又は半導体装置としてもよい。装置100には
、過充電及び過放電による装置100の破壊を防止することができる機能を有する保護回
路を設けてもよい。
【0034】
装置100は、データ110を有する。データ110は、装置100を識別するためのデ
ータである。例えば、装置100にメモリを設け、該メモリにデータ110を記憶させて
もよい。なお、データ110を識別データとしてもよい。
【0035】
装置200には、外部電源240から電力が供給される(図4を参照)。外部電源として
は、例えば商用電源を用いてもよい。装置200は、装置100に電力を供給できる機能
を有する。装置200は、信号を入力及び出力できる機能を有する。装置200は、電力
を無線で送電することができる機能を有していてもよい。この場合、装置200を送電装
置としてもよい。又は、装置200は、蓄電装置の給電を行うことができる機能を有して
いてもよい。この場合、装置200を、給電装置としてもよい。なお、装置200が電力
を無線で送電することができる機能、及び蓄電装置の給電を行うことができる機能を有し
ていてもよい。この場合、装置200を送電装置、給電装置、又は半導体装置としてもよ
い。
【0036】
図1(A)に示す蓄電システムでは、無線により装置200から装置100に電力を供給
することができる。図1(A)に示す蓄電システムでは、無線により装置200と装置1
00との間で信号を送信及び受信できる。よって、非接触で装置200と装置100との
間で信号を送信及び受信できる。なお、これに限定されず、図1(B)に示すように、装
置100を装置200に接続することにより、装置200から装置100に電力を供給し
てもよい。又は、装置100を装置200に接続することにより、装置200と装置10
0との間で信号を送信及び受信してもよい。
【0037】
無線により電力又は信号を供給する場合、例えば13.56MHz帯の電波などを用いる
ことができる。なお、これに限定されず、例えば135kHz帯、433MHz帯、95
2MHz帯、2.45GHz帯の電波などを用いてもよい。
【0038】
さらに、無線により電力を供給する場合、例えば電磁誘導方式、電界共鳴方式、磁界共鳴
方式、又はマイクロ波方式などの方式を用いることができる。
【0039】
なお、接続とは、電気的に接続される場合、機能的に接続される場合、及び直接接続され
る場合を含む。さらに、実施の形態に示す各構成要素の接続関係は、図又は文章に示す接
続関係のみに限定されない。
【0040】
例えば、2つの対象物が電気的に接続される場合、電気的接続が可能な別の素子(例えば
、スイッチ、トランジスタ、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、
負荷など)を2つの対象物の間に設けてもよい。
【0041】
2つの対象物が機能的に接続されている場合、機能的な接続が可能な別の回路(例えば、
論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路
、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、又は電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路
、降圧回路など)、又はレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅
回路(オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成
回路、記憶回路、又は制御回路など)を2つの対象物の間に設けてもよい。
【0042】
なお、スイッチは、導通状態(オン状態)若しくは非導通状態(オフ状態)になり、電流
を流すか流さないかを制御する機能、又は電流を流す経路を選択して切り替える機能を有
する。例えば、スイッチは、第1の経路に電流を流すことができるようにするか、第2の
経路に電流を流すことができるようにするかを選択して切り替える機能を有する。
【0043】
次に、装置100の構成例について図2(A)及び図2(B)の回路図を用いて説明する
【0044】
蓄電体111は、蓄電機能を有する。蓄電体111は、一対の端子を有する。一対の端子
の一方は、例えばトランジスタ131、トランジスタ132、及びトランジスタ170を
介して装置100の端子bに接続され、他方は、端子dに接続される。さらに、蓄電体1
11に2以上の端子を設け、該端子を介して外部電源から電力を供給することにより、蓄
電体111を充電してもよい。
【0045】
蓄電体111としては、リチウムイオンバッテリーの他、鉛蓄電池、リチウムイオンポリ
マー二次電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル鉄蓄電池、ニ
ッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池等の二次電池、レドックス・フロー電池、亜鉛
・塩素電池、亜鉛臭素電池等の液循環型の二次電池、アルミニウム・空気電池、空気亜鉛
電池、空気・鉄電池等のメカニカルチャージ型の二次電池、ナトリウム・硫黄電池、リチ
ウム・硫化鉄電池等の高温動作型の二次電池を用いることができる。なお、これに限定さ
れず、例えばリチウムイオンキャパシタなどを用いて蓄電体111を構成してもよい。
【0046】
トランジスタ132のソース及びドレインの一方は、蓄電体111に接続され、他方は、
トランジスタ131のソース及びドレインの一方に接続される。トランジスタ131及び
トランジスタ132は、蓄電体111の充放電を制御することができる機能を有する。ト
ランジスタ131及びトランジスタ132は、例えば蓄電体111の過充電及び過放電を
防止するための保護スイッチとしての機能を有することができる。又は、トランジスタ1
31及びトランジスタ132は、蓄電体111及び回路113に流れる電流を調整するこ
とができる機能を有する。トランジスタ131及びトランジスタ132を有する回路を、
蓄電体111の充放電を制御する保護回路としてもよい。なお、トランジスタ131及び
トランジスタ132をスイッチとしてもよい。トランジスタ131及びトランジスタ13
2を用いてスイッチを構成することにより、該スイッチをオフ状態にする場合において、
トランジスタ131及びトランジスタ132に生じる寄生ダイオードにより流れる電流を
小さくすることができる。なお、図2(A)及び図2(B)に示す構成に限定されず、例
えば1つのトランジスタ又は3つ以上のトランジスタを用いてもよい。また、トランジス
タ131及びトランジスタ132の代わりにバイポーラトランジスタ、ダイオード、又は
これらを組み合わせた論理回路などを用いてもよい。
【0047】
トランジスタ131及びトランジスタ132のゲートの電位は、例えば回路113により
制御される。
【0048】
回路113は、例えばトランジスタ131とトランジスタ132、トランジスタ150、
及びトランジスタ170の導通状態を制御することができる機能を有する。回路113は
、蓄電体111の充電状態を監視することができる機能を有する。なお、回路113を制
御回路としてもよい。又は、回路113をマイクロコンピュータ、FPGA(Field
Programmable Gate Array)、又はCPU(Central
Processing Unit)としてもよい。
【0049】
回路113は、例えばメモリ、プロセッサ、及びコントローラを有する。メモリには、例
えばデータ110が記憶されている。プロセッサは、データ110を元に制御信号を生成
できる機能を有する。コントローラは、メモリ及びプロセッサを制御できる機能を有する
。なお、メモリには、例えばプロセッサの駆動に必要なプログラムデータを記憶しておい
てもよい。プログラムデータとしては、例えば回路142から入力されるデータ信号に応
じてトランジスタ131、トランジスタ132、トランジスタ150、及びトランジスタ
170のゲートの電位の制御をプロセッサに実行させるプログラムデータなどが挙げられ
る。
【0050】
回路141は、アンテナ114と、回路115と、回路116と、を有する。回路141
は、電力を無線で受電することができる機能を有する。なお、回路141を受電回路とし
てもよい。
【0051】
なお、アンテナ114をアンテナ回路としてもよい。このとき、アンテナ回路は、アンテ
ナ及び容量を有する。
【0052】
回路115は、アンテナ114を介して電波を受信することにより生成される交流を整流
することができる機能を有する。回路115を整流回路としてもよい。なお、必ずしも回
路115を設けなくてもよい。
【0053】
回路116は、回路115により整流した交流を平滑化することができる機能を有する。
回路116をレギュレータとしてもよい。
【0054】
トランジスタ150は、例えば蓄電体111と回路141の間に設けられる。トランジス
タ150のソース及びドレインの一方は、回路116に接続され、他方は、トランジスタ
131のソース及びドレインの他方に接続される。トランジスタ150は、例えば回路1
41で受電した電力により蓄電体111を充電するか否かを制御できる機能を有する。な
お、トランジスタ150をスイッチとしてもよい。
【0055】
トランジスタ150のゲートの電位は、例えば回路113により制御される。なお、図2
(A)及び図2(B)に示す構成に限定されず、例えば複数のトランジスタを用いてもよ
い。また、トランジスタ150の代わりにバイポーラトランジスタ、ダイオード、又はこ
れらを組み合わせた論理回路などを用いてもよい。
【0056】
回路142は、アンテナ118と、回路119と、を有する。回路142は、データ信号
を送信及び受信できる機能を有する。なお、回路142を送受信回路としてもよい。又は
回路142をデータ通信回路としてもよい。
【0057】
なお、アンテナ118をアンテナ回路としてもよい。このとき、アンテナ回路は、アンテ
ナ及び容量を有する。
【0058】
なお、アンテナ114とアンテナ118の代わりに1つのアンテナを回路115及び回路
119に接続させてもよい。
【0059】
回路119は、アンテナ118を介して受信した電波からデータ信号を生成できる機能を
有する。回路119は、例えば整流回路、復調回路、及び変調回路などの機能回路を有す
ることができる。又は、回路119にアナログベースバンド回路及びデジタルベースバン
ド回路などの機能回路を設けてもよい。又は、回路119がインターフェースを有してい
てもよい。回路119を信号生成回路としてもよい。
【0060】
電波としては、搬送波を用いてもよい。搬送波とは、キャリアとも呼ばれる交流信号であ
り、該搬送波を用いてデータ信号のやりとりが行われる。なお、外部から受信した電波と
しては、変調された電波(変調波)も含む。
【0061】
回路119は、例えば図3に示すように、回路191と、インターフェース192と、回
路193と、回路194と、を有する。
【0062】
回路191は、受信した電波を復調し、データを抽出できる機能を有する。なお、回路1
91を復調回路としてもよい。
【0063】
インターフェース192は、回路119と回路113の信号の入出力を制御できる機能を
有する。なお、必ずしもインターフェース192を設けなくてもよい。
【0064】
回路193は、インターフェース192を介して入力される信号を変調できる機能を有す
る。なお、回路193を変調回路としてもよい。
【0065】
回路194は、変調された信号の電圧を増幅させ、該信号を調整できる機能を有する。な
お、回路194を増幅回路としてもよい。
【0066】
回路121は、蓄電体111から出力される電圧を平滑化する機能を有する。回路121
をレギュレータとしてもよい。なお、必ずしも回路121を設けなくてもよい。
【0067】
トランジスタ170は、トランジスタ131及びトランジスタ132を介して例えば図2
(B)に示すように、負荷143と、蓄電体111の間に設けられる。トランジスタ17
0のソース及びドレインの一方は、トランジスタ131のソース及びドレインの他方に接
続される。トランジスタ170は、蓄電体111から負荷への電力の供給(放電)を制御
できる機能を有する。なお、トランジスタ170をスイッチとしてもよい。
【0068】
トランジスタ170のゲートの電位は、回路113により制御される。なお、図2(A)
及び図2(B)に示す構成に限定されず、例えば複数のトランジスタを用いてもよい。
【0069】
装置100は、端子aと端子dを介して電源電圧V1を出力できる機能を有する。端子a
には、例えば電位Vaが与えられてもよい。端子dには、例えば電位Vdが与えられても
よい。例えば、電位Vaを電位Vdよりも高い電位にしてもよい。装置100は、端子b
と端子dを介して電源電圧V2を出力できる機能を有する。端子bには、例えば電位Vb
が与えられてもよい。例えば、電位Vbを電位Vdよりも高い電位にしてもよい。
【0070】
端子cには、例えば回路113を制御する制御信号を入力できる。例えば、制御信号の数
に応じた数の端子cが設けられる。制御信号としては、例えばIC規格のバス信号など
を用いることができる。
【0071】
以上が図2(A)及び図2(B)に示す装置100の構成例である。
【0072】
次に、装置200の構成例について図4(A)及び図4(B)を用いて説明する。
【0073】
回路211は、入力されたデータ110を識別できる機能を有する。さらに、回路211
は、データ110に基づいて信号を生成して出力する機能を有する。なお、回路211を
信号処理回路としてもよい。
【0074】
回路211は、例えばメモリ、プロセッサ、及びコントローラを有する。メモリには、例
えばプロセッサの駆動に必要なプログラムデータを記憶しておいてもよい。プログラムデ
ータとしては、例えば識別データに応じて電力量の調整をプロセッサに実行させるプログ
ラムデータなどが挙げられる。
【0075】
回路230は、アンテナ212と、回路213と、回路214と、回路215と、を有す
る。回路230は、アンテナ212を介して受信した電波からデータ信号を生成できる機
能を有する。なお、回路230を送受信回路としてもよい。又は、回路230をデータ通
信回路としてもよい。
【0076】
なお、アンテナ212をアンテナ回路としてもよい。このとき、アンテナ回路は、アンテ
ナ及び容量を有する。
【0077】
回路213は、アンテナ212に接続される。回路213は、例えばアンテナ212を介
して受信した電波を復調し、データ信号を抽出できる機能を有する。抽出したデータ信号
のデータとしては、例えばデータ110も含まれる。なお、回路213を復調回路として
もよい。
【0078】
回路214は、回路211に接続される。回路214は、例えば回路211から入力され
る信号を変調できる機能を有する。なお、回路214を変調回路としてもよい。
【0079】
変調方式としては、例えば振幅変調方式、周波数変調方式、位相変調方式などを用いても
よい。
【0080】
回路215は、例えば変調されたデータ信号を増幅し、データ信号を調整できる機能を有
する。回路215を増幅回路としてもよい。なお、必ずしも回路215を設けなくてもよ
い。
【0081】
回路231は、回路221と、回路222と、アンテナ223と、を有する。回路231
を給電回路としてもよい。又は回路231を送電回路としてもよい。なお、図4(B)に
示すように、装置200にセンサ235を設けてもよい。センサ235は、変位、位置、
速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬
度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を
測定することができる機能を有する。これにより、例えばセンサ235を用いて装置10
0の有無を判別することもできる。
【0082】
回路221は、例えば電力を供給するための交流波を発振できる機能を有する。回路22
1を発振回路としてもよい。
【0083】
回路222は、例えば交流波を増幅して調整できる機能を有する。回路222を増幅回路
としてもよい。なお、必ずしも回路222を設けなくてもよい。
【0084】
交流波は、アンテナ223を介して電波として出力される。なお、アンテナ223をアン
テナ回路としてもよい。このとき、アンテナ回路は、アンテナと容量を有する。
【0085】
装置200には、例えば商用電源などから電力が供給されてもよい。
【0086】
次に、本実施の形態に係る蓄電システムの駆動方法例として、図1(A)に示す蓄電シス
テムの駆動方法例について図5のフローチャートを用いて説明する。なお、装置100の
構成を図2(B)に示す構成とし、装置200の構成を図4(A)に示す構成とする。
【0087】
図1(A)に示す蓄電システムの駆動方法例では、ステップS1として、電波を用いて装
置200から確認信号を装置100に送信する。例えば、数秒に1回程度確認信号を送信
することが好ましい。
【0088】
次に、ステップS2として、装置100が確認信号を受信する。
【0089】
このとき、回路142に含まれる回路119により確認信号を抽出し、その確認信号は回
路113に出力される。
【0090】
次に、ステップS3として、装置100が、受信した確認信号に対応する応答信号を生成
し装置200に送信する。
【0091】
このとき、回路113は、確認信号のデータを元に、必要なプログラムデータをメモリか
ら読み出し、プロセッサに実行させて応答信号を生成する。応答信号には、装置100を
識別するデータ110も含まれる。
【0092】
装置100と装置200の間での信号による応答方式としては、例えばISO15693
、ISO14443などの規格に準拠した方式を用いることができる。又は、NFC(N
ear Field Communication)などの規格に準拠した方式を用いる
ことができる。NFCの規格としては、NFCIP-1(ISO18092)などが挙げ
られる。
【0093】
なお、応答信号を用いて装置100の位置を検出してもよい。例えば、回路211を用い
て応答信号から装置100の距離を割り出すことにより、装置100の位置を検出できる
【0094】
さらに、回路142により生成した応答信号を含む電波を装置200に送信する。
【0095】
次に、ステップS4として装置200が応答信号を受信し、受信した応答信号に含まれる
データ110を識別する。
【0096】
例えば、回路230は、受信した電波から応答信号を抽出し、抽出した応答信号を回路2
11に出力する。
【0097】
回路211は、入力された応答信号に含まれるデータ110から装置100を識別する。
例えば、予めメモリに装置100を識別するデータを記憶させておき、該データとデータ
110を比較することにより識別できる。さらに、ステップS5として、応答信号から蓄
電体111に対する充電の要否及び可否を判定する。
【0098】
充電が不要又は不可能と判断された場合には、回路231の動作を停止させる。例えば、
回路211のコントローラを用いて回路231に対する電源電圧の供給を停止させること
により、回路231の動作を停止できる。
【0099】
充電が必要及び可能と判断された場合には、ステップS6として装置200から装置10
0に対する送電を開始する。
【0100】
なお、充電が必要と判断された場合であっても、蓄電体111に蓄電される電荷はゼロで
はなく、回路113を動作するための電力など、装置100の動作に必要な電荷が蓄電体
111に蓄積されていることが好ましい。
【0101】
このとき、回路231の動作を開始させ、交流を装置100に送信することにより装置1
00に電力を供給する。
【0102】
なお、装置100を識別するデータに応じて、例えば、送信する交流の周波数又は振幅な
どを変えることにより、装置100に供給する電力量を最適にできる。例えば、装置10
0の蓄電体111の容量に応じて電力の供給時間を調整することができる。さらに、回路
211により、増幅された交流の変換効率を制御することにより、送信する交流の周波数
又は振幅などを変えることができる。
【0103】
次に、ステップS7として、装置100の受電を開始させ、蓄電体111の充電を開始さ
せる。例えば装置100は、電磁誘導方式、電界共鳴方式、磁界共鳴方式、又はマイクロ
波方式などの方式を用いて受電を行うことができる。
【0104】
装置200から供給された電力は、回路141により調整される。さらに、回路113が
トランジスタ131、トランジスタ132、トランジスタ150をオン状態にすることに
より、蓄電体111が充電される。
【0105】
次に、ステップS8として、充電により蓄電体111の電圧Vbtが基準電圧Vref以
上になったか否かを判定する。例えば、回路113により電圧Vbtと基準電圧Vref
を比較できる。
【0106】
電圧Vbtが基準電圧Vref未満と判断された場合には、引き続き蓄電体111を充電
する。
【0107】
一方電圧Vbtが基準電圧Vref以上と判断された場合には、回路113によりトラン
ジスタ150をオフ状態にし、ステップS9として回路142を介して停止信号を含む電
波を装置200に送信する。なお、電圧Vbtが基準電圧Vref以上と判断された場合
、トランジスタ131及びトランジスタ132をオフ状態にしてもよい。これにより、蓄
電体111に対する過充電を防止できる。
【0108】
なお、電圧Vbtが基準電圧Vref未満であっても、例えばユーザーが強制的に装置1
00を離して蓄電体111の充電を終了させたい場合がある。その場合、例えばセンサ2
35により装置100の位置を検出し、装置100の位置データの値がしきい値を超えた
場合に回路211により回路231の動作を停止させてもよい。又は、例えば給電中に装
置200が確認信号を装置100に送信し、装置100からの応答信号が無い場合に回路
211により回路231の動作を停止させてもよい。
【0109】
次に、ステップS10として装置200が停止信号を有する電波を受信すると、回路21
3で停止信号を抽出し、回路213は、抽出した停止信号を回路211に出力する。
【0110】
回路211は、停止信号が入力されると回路231の動作を停止させる。例えば、回路2
11のコントローラを用いて回路231に対する電源電圧の供給を停止させることにより
、回路231の動作を停止できる。このように、動作不要の期間に回路231の動作を停
止させることにより、消費電力を低減できる。
【0111】
その後、必要に応じてトランジスタ131、トランジスタ132、及びトランジスタ17
0をオン状態にすることにより、端子a及び端子dを介して電源電圧V1を出力でき、蓄
電体111から負荷に電力を供給できる。又は、トランジスタ131、トランジスタ13
2、及びトランジスタ170をオン状態にすることにより、端子b及び端子dを介して電
源電圧V2を出力でき、蓄電体111から負荷に電力を供給できる。
【0112】
以上が蓄電システムの駆動方法例の説明である。
【0113】
図1乃至図5を用いて説明したように、本実施の形態に係る蓄電システムの一例では、識
別データを用いて装置100を装置200により識別することにより、装置100毎に最
適な条件で充電を行うことができるため、例えば装置100の仕様に関係なく、充電を行
うことができる。従来の蓄電装置は、例えば携帯端末毎に個別に仕様が設定され、仕様が
異なる場合には、異なる給電装置を準備する必要があった。例えば、給電用ケーブルを接
続するコネクタなどが異なっていると他の給電装置は使用できない。そのため、仕様の異
なる複数の携帯端末を有する場合、ユーザーは、いくつもの給電装置が必要であり、不便
であった。本実施の形態では、例えば装置100の仕様によって装置200を変える必要
がないため、汎用性を高くできる。
【0114】
なお、識別データを用いて装置100を装置200により識別する例について示したが、
本発明の実施形態の一態様は、これに限定されない。場合によっては、若しくは、状況に
応じて、識別データを用いなくてもよい。又は、場合によっては、若しくは、状況に応じ
て、装置100を装置200により識別しなくてもよい。
【0115】
(実施の形態2)
本実施の形態では、回路113の構成例について図6を用いて説明する。
【0116】
回路113は、プロセッサ710、バスブリッジ711、RAM(Random Acc
ess Memory)712、メモリインターフェース713、コントローラ720、
割り込みコントローラ721、I/Oインターフェース(入出力インターフェース)72
2、及びパワーゲートユニット730を有する。
【0117】
さらに、回路113は、水晶発振回路741、タイマー回路745、I/Oインターフェ
ース746、I/Oポート750、コンパレータ751、I/Oインターフェース752
、バスライン761、バスライン762、バスライン763、及びデータバスライン76
4を有する。さらに、回路113は、外部装置との接続部として少なくとも接続端子77
0乃至接続端子776を有する。なお、各接続端子770乃至接続端子776は、1つの
端子又は複数の端子でなる端子群を表す。また、水晶振動子743を有する発振子742
が、接続端子772、及び接続端子773を介して回路113に接続されている。
【0118】
プロセッサ710はレジスタ785を有し、バスブリッジ711を介してバスライン76
1乃至バスライン763、及びデータバスライン764に接続されている。
【0119】
メモリ712は、プロセッサ710のメインメモリとして機能することができる記憶装置
であり、例えばランダムアクセスメモリが用いられる。メモリ712は、プロセッサ71
0が実行する命令、命令の実行に必要なデータ、及びプロセッサ710の処理によるデー
タを記憶する装置である。プロセッサ710の命令により、メモリ712へのデータの書
き込み、読み出しが行われる。なお、メモリ712に図1に示すデータ110を記憶させ
てもよい。
【0120】
回路113では、低消費電力モードのときにメモリ712に対する電力供給が遮断される
。そのため、メモリ712は電源が供給されていない状態でもデータを保持できるメモリ
で構成することが好ましい。
【0121】
メモリインターフェース713は、外部記憶装置との入出力インターフェースである。プ
ロセッサ710の命令により、メモリインターフェース713を介して、接続端子776
に接続される外部記憶装置へのデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0122】
クロック生成回路715は、プロセッサ710で使用されるクロック信号MCLK(以下
、単に「MCLK」とも呼ぶ。)を生成する回路であり、RC発振器などを有する。MC
LKはコントローラ720及び割り込みコントローラ721にも出力される。
【0123】
コントローラ720は回路113全体の制御処理を行う回路であり、例えば、バス及びメ
モリマップなどの制御、回路113の電源制御、クロック生成回路715、水晶発振回路
741の制御などを行うことができる。
【0124】
接続端子770は、外部の割り込み信号入力用の端子であり、接続端子770を介してマ
スク不可能な割り込み信号NMIがコントローラ720に入力される。コントローラ72
0にマスク不可能な割り込み信号NMIが入力されると、コントローラ720は直ちにプ
ロセッサ710にマスク不可能な割り込み信号NMIを出力し、プロセッサ710に割り
込み処理を実行させる。
【0125】
また、割り込み信号INTが、接続端子770を介して割り込みコントローラ721に入
力される。割り込みコントローラ721には、周辺回路からの割り込み信号(T0IRQ
、P0IRQ、C0IRQ)も、バス(761乃至764)を経由せずに入力される。
【0126】
割り込みコントローラ721は割り込み要求の優先順位を割り当てる機能を有する。割り
込みコントローラ721は割り込み信号を検出すると、その割り込み要求が有効であるか
否かを判定する。有効な割り込み要求であれば、コントローラ720に割り込み信号IN
Tを出力する。
【0127】
また、割り込みコントローラ721はI/Oインターフェース722を介して、バスライ
ン761及びデータバスライン764に接続されている。
【0128】
コントローラ720は、割り込み信号INTが入力されると、プロセッサ710に割り込
み信号INTを出力し、プロセッサ710に割り込み処理を実行させる。
【0129】
また、割り込み信号T0IRQが割り込みコントローラ721を介さずコントローラ72
0に直接入力される場合がある。コントローラ720は、割り込み信号T0IRQが入力
されると、プロセッサ710にマスク不可能な割り込み信号NMIを出力し、プロセッサ
710に割り込み処理を実行させる。
【0130】
これにより、例えば装置100にセンサを設け、蓄電体111の電圧の変化、装置100
と装置200との距離の変化を検出し、検出結果に応じて割り込み処理を実行してもよい
。例えば、割り込み処理に応じて、装置200による給電を停止させてもよい。
【0131】
コントローラ720のレジスタ780は、コントローラ720内に設けられ、割り込みコ
ントローラ721のレジスタ786は、I/Oインターフェース722に設けられている
【0132】
続いて、回路113が有する周辺回路を説明する。回路113は、周辺回路として、タイ
マー回路745、I/Oポート750及びコンパレータ751を有する。これらの周辺回
路は一例であり、回路113が使用される電気機器に応じて、必要な回路を設けることが
できる。
【0133】
タイマー回路745は、クロック生成回路740から出力されるクロック信号TCLK(
以下、単に「TCLK」とも呼ぶ。)を用いて、時間を計測する機能を有する。また、ク
ロック生成回路715は、決められた時間間隔で、割り込み信号T0IRQを、コントロ
ーラ720及び割り込みコントローラ721に出力する。タイマー回路745は、I/O
インターフェース746を介して、バスライン761及びデータバスライン764に接続
されている。
【0134】
TCLKはMCLKよりも低い周波数のクロック信号である。例えば、MCLKの周波数
を数MHz程度(例えば、8MHz)とし、TCLKは、数十kHz程度(例えば、32
kHz)とする。クロック生成回路740は、回路113に内蔵された水晶発振回路74
1と、接続端子772及び接続端子773に接続された発振子742を有する。発振子7
42の振動子として、水晶振動子743が用いられている。なお、CR発振器などでクロ
ック生成回路740を構成することで、クロック生成回路740の全てのモジュールを回
路113に内蔵することが可能である。
【0135】
I/Oポート750は、接続端子774を介して接続された外部機器と情報の入出力を行
うためのインターフェースであり、デジタル信号の入出力インターフェースである。例え
ば、I/Oポート750は、接続端子774を介して回路119に接続され、接続端子7
74を介してトランジスタ131に接続され、接続端子774を介してトランジスタ13
2に接続され、接続端子774を介してトランジスタ150に接続され、接続端子774
を介してトランジスタ170に接続され、接続端子774を介して蓄電体111に接続さ
れる。例えば、I/Oポート750は、入力されたデジタル信号に応じて、割り込み信号
P0IRQを割り込みコントローラ721に出力する。なお、接続端子774を複数設け
、回路119、トランジスタ131、トランジスタ132、接続端子774を介してトラ
ンジスタ150に接続され、接続端子774を介してトランジスタ170に接続され、接
続端子774を介して蓄電体111に接続される。
【0136】
コンパレータ751は、例えば接続端子775から入力されるアナログ信号の電位(又は
電流)と基準信号の電位(又は電流)との大小を比較でき、値が0又は1のデジタル信号
を生成できる。さらに、コンパレータ751は、このデジタル信号の値が1のとき、割り
込み信号C0IRQを生成できる。割り込み信号C0IRQは、割り込みコントローラ7
21に出力される。さらに、コンパレータ751は、例えば、接続端子774を介して入
力される蓄電体111の電圧Vbtを示す信号と基準電圧Vrefを示す信号との比較を
行うこともできる。
【0137】
I/Oポート750及びコンパレータ751は共通のI/Oインターフェース752を介
してバスライン761及びデータバスライン764に接続されている。ここでは、I/O
ポート750、コンパレータ751各々のI/Oインターフェースに共有できる回路があ
るため、1つのI/Oインターフェース752で構成しているが、I/Oポート750、
コンパレータ751のI/Oインターフェースを別々に設けることもできる。
【0138】
また、周辺回路のレジスタは、対応する入出力インターフェースに設けられている。タイ
マー回路745のレジスタ787はI/Oインターフェース746に設けられ、I/Oポ
ート750のレジスタ783及びコンパレータ751のレジスタ784は、それぞれ、I
/Oインターフェース752に設けられている。
【0139】
回路113は内部回路への電力供給を遮断するためのパワーゲートユニット730を有す
る。パワーゲートユニット730により、動作に必要な回路のみに電力供給を行うことで
、回路113全体の消費電力を低くすることができる。
【0140】
図6に示すように、回路113内の破線で囲んだユニット701、ユニット702、ユニ
ット703、ユニット704の回路は、パワーゲートユニット730を介して、接続端子
771に接続されている。接続端子771は、例えば蓄電体111に接続される。
【0141】
本実施の形態では、ユニット701は、タイマー回路745、及びI/Oインターフェー
ス746を含み、ユニット702は、I/Oポート750、コンパレータ751、及びI
/Oインターフェース752を含み、ユニット703は、割り込みコントローラ721、
及びI/Oインターフェース722を含み、ユニット704は、プロセッサ710、メモ
リ712、バスブリッジ711、及びメモリインターフェース713を含む。
【0142】
パワーゲートユニット730は、コントローラ720により制御される。パワーゲートユ
ニット730は、ユニット701乃至704への電源電圧の供給を遮断するためのスイッ
チ731及びスイッチ732を有する。このときの電源電圧としては、例えば蓄電体11
1の電圧などを用いることができる。
【0143】
スイッチ731、スイッチ732のオン/オフはコントローラ720により制御される。
具体的には、コントローラ720は、プロセッサ710の要求によりパワーゲートユニッ
ト730が有するスイッチの一部又は全部をオフ状態とする信号を出力する(電力供給の
停止)。また、コントローラ720は、マスク不可能な割り込み信号NMI、又はタイマ
ー回路745からの割り込み信号T0IRQをトリガーにして、パワーゲートユニット7
30が有するスイッチをオン状態とする信号を出力する(電力供給の開始)。
【0144】
なお、図6では、パワーゲートユニット730に、2つのスイッチ(スイッチ731、ス
イッチ732)を設ける構成を示しているが、これに限定されず、電源遮断に必要な数の
スイッチを設ければよい。
【0145】
また、本実施の形態では、ユニット701に対する電力供給を独立して制御できるように
スイッチ731を設け、ユニット702乃至704に対する電力供給を独立して制御でき
るようにスイッチ732を設けているが、このような電力供給経路に限定されるものでは
ない。例えば、スイッチ732とは別のスイッチを設けて、メモリ712の電力供給を独
立して制御できるようにしてもよい。また、1つの回路に対して、複数のスイッチを設け
てもよい。
【0146】
また、コントローラ720には、パワーゲートユニット730を介さず、常時、接続端子
771から電源電圧が供給される。また、ノイズの影響を少なくするため、クロック生成
回路715の発振回路、水晶発振回路741には、それぞれ、電源電圧の電源回路と異な
る外部の電源回路から電源電位が供給される。
【0147】
コントローラ720及びパワーゲートユニット730などを備えることにより、回路11
3を3種類の動作モードで動作させることが可能である。第1の動作モードは、通常動作
モードであり、回路113の全ての回路がアクティブな状態である。ここでは、第1の動
作モードを「Activeモード」と呼ぶ。
【0148】
第1の動作モードでは、例えば実施の形態1に示す装置200からの確認信号に基づく応
答信号の生成などが行われる。
【0149】
第2、及び第3の動作モードは低消費電力モードであり、一部の回路をアクティブにする
モードである。第2の動作モードでは、コントローラ720、並びにタイマー回路745
とその関連回路(水晶発振回路741、I/Oインターフェース746)がアクティブで
ある。第3の動作モードでは、コントローラ720のみがアクティブである。ここでは、
第2の動作モードを「Noff1モード」と呼び、第3の動作モードを「Noff2モー
ド」と呼ぶことにする。Noff1モードでは、コントローラ720と周辺回路の一部(
タイマー動作に必要な回路)が動作し、Noff2モードでは、コントローラ720のみ
が動作している。
【0150】
なお、クロック生成回路715の発振器、及び水晶発振回路741は、動作モードに関わ
らず、電源が常時供給される。クロック生成回路715及び水晶発振回路741を非アク
ティブにするには、コントローラ720から又は外部からイネーブル信号を入力し、クロ
ック生成回路715及び水晶発振回路741の発振を停止させることにより行われる。
【0151】
また、Noff1、Noff2モードでは、パワーゲートユニット730により電力供給
が遮断されるため、I/Oポート750、I/Oインターフェース752は非Activ
eになるが、接続端子774に接続されている外部機器を正常に動作させるために、I/
Oポート750、I/Oインターフェース752の一部には電力が供給される。具体的に
は、I/Oポート750の出力バッファ、I/Oポート750用のレジスタ783である
。Noff1、Noff2モードでは、I/Oポート750での実質的な機能である、I
/Oインターフェース752及び外部機器とのデータの伝送機能、割り込み信号生成機能
は停止している。また、I/Oインターフェース752も同様に、通信機能は停止してい
る。
【0152】
なお、本明細書では、回路が非アクティブとは、電力の供給が遮断されて回路が停止して
いる状態の他、Activeモード(通常動作モード)での主要な機能が停止している状
態や、Activeモードよりも省電力で動作している状態を含む。
【0153】
上記構成にすることにより、例えばユーザーが装置100の充電動作を強制的に終了させ
た場合に、プロセッサ710の要求によりパワーゲートユニット730が有するスイッチ
の一部又は全部をオフ状態とする信号を出力し、Noff1、Noff2モードに切り換
え、不要な回路ブロックに対する電力の供給を停止させることもできる。
【0154】
さらに、各回路ブロックに適用可能なレジスタの構成例について図7を参照して説明する
【0155】
図7(A)に示すレジスタは、記憶回路651と、記憶回路652と、セレクタ653と
、を有する。
【0156】
記憶回路651には、リセット信号RST、クロック信号CLK、及びデータ信号Dが入
力される。記憶回路651は、クロック信号CLKに従って入力されるデータ信号Dのデ
ータを保持し、データ信号Qとして出力する機能を有する。記憶回路651としては、例
えばバッファレジスタや、汎用レジスタなどのレジスタを構成することができる。又は、
記憶回路651としては、SRAM(Static Random Access Me
mory)などからなるキャッシュメモリを設けることもできる。これらのレジスタやキ
ャッシュメモリは記憶回路652にデータを退避させることができる。
【0157】
記憶回路652には、書き込み制御信号WE、読み出し制御信号RD、及びデータ信号が
入力される。書き込み制御信号WE、読み出し制御信号RDなどは、例えば端子cを介し
て入力されてもよい。
【0158】
記憶回路652は、書き込み制御信号WEに従って、入力されるデータ信号のデータを記
憶し、読み出し制御信号RDに従って、記憶されたデータをデータ信号として出力する機
能を有する。
【0159】
セレクタ653は、読み出し制御信号RDに従って、データ信号D又は記憶回路652か
ら出力されるデータ信号を選択して、記憶回路651に入力する。
【0160】
記憶回路652には、トランジスタ631及び容量素子632が設けられている。
【0161】
トランジスタ631は、nチャネル型トランジスタであり、選択トランジスタとしての機
能を有する。トランジスタ631のソース及びドレインの一方は、記憶回路651の出力
端子に接続されている。さらに、トランジスタ631のバックゲートには、電源電位が供
給される。トランジスタ631は、書き込み制御信号WEに従って記憶回路651から出
力されるデータ信号の保持を制御する機能を有する。
【0162】
トランジスタ631としては、例えばオフ電流の低いトランジスタを適用してもよい。オ
フ電流の低いトランジスタとしては、例えばシリコンよりもバンドギャップの広い酸化物
半導体を含むチャネル形成領域を有し、該チャネル形成領域が実質的にi型であるトラン
ジスタを適用することができる。
【0163】
例えば、水素又は水などの不純物を可能な限り除去し、酸素を供給して酸素欠損を可能な
限り減らすことにより、上記酸化物半導体を含むトランジスタを作製できる。このとき、
チャネル形成領域において、二次イオン質量分析法(SIMS(Secondary I
on Mass Spectrometry))の測定値でドナー不純物といわれる水素
の量を1×1019/cm以下、好ましくは1×1018/cm以下に低減すること
が好ましい。トランジスタ631のオフ電流は、25℃でチャネル幅1μmあたり1×1
-19A(100zA)以下である。より好ましくは1×10-22A(100yA)
以下である。トランジスタのオフ電流は、低ければ低いほどよいが、トランジスタのオフ
電流の下限値は、約1×10-30A/μmであると見積もられる。
【0164】
上記酸化物半導体としては、例えばIn系金属酸化物、Zn系金属酸化物、In-Zn系
金属酸化物、又はIn-Ga-Zn系金属酸化物などを適用することができる。
【0165】
容量素子632の一対の電極の一方はトランジスタ631のソース及びドレインの他方に
接続され、他方には電源電位VSSが供給される。容量素子632は、記憶するデータ信
号のデータに基づく電荷を保持する機能を有する。トランジスタ631のオフ電流が非常
に低いため、電源電圧の供給が停止しても容量素子632の電荷は保持され、データが保
持される。
【0166】
トランジスタ633は、pチャネル型トランジスタである。トランジスタ633のソース
及びドレインの一方には電源電位VDDが供給され、ゲートには、読み出し制御信号RD
が入力される。
【0167】
トランジスタ634は、nチャネル型トランジスタである。トランジスタ634のソース
及びドレインの一方は、トランジスタ633のソース及びドレインの他方に接続されてお
り、ゲートには、読み出し制御信号RDが入力される。
【0168】
トランジスタ635は、nチャネル型トランジスタである。トランジスタ635のソース
及びドレインの一方は、トランジスタ634のソース及びドレインの他方に接続されてお
り、ソース及びドレインの他方には、電源電位VSSが供給される。
【0169】
インバータ636の入力端子は、トランジスタ633のソース及びドレインの他方に接続
されている。また、インバータ636の出力端子は、セレクタ653の入力端子に接続さ
れる。
【0170】
容量素子637の一対の電極の一方はインバータ636の入力端子に接続され、他方には
電源電位VSSが供給される。容量素子637は、インバータ636に入力されるデータ
信号のデータに基づく電荷を保持する機能を有する。
【0171】
なお、上記に限定されず、例えば相変化型メモリ(PRAM(Phase-change
RAM)又はPCM(Phase Change Memory)ともいう)、抵抗変
化型メモリ(ReRAM(Resistance RAM)ともいう)、磁気抵抗型メモ
リ(MRAM(Magnetoresistive RAM)ともいう)などを用いて記
憶回路652を構成してもよい。例えば、MRAMとしては磁気トンネル接合素子(MT
J(Magnetic Tunnel Junction)素子ともいう)を用いたMR
AMを適用できる。
【0172】
次に、図7(A)に示すレジスタの駆動方法例について説明する。
【0173】
まず、通常動作期間において、電力となる電源電圧、リセット信号RST、クロック信号
CLKは、レジスタに供給された状態である。このとき、セレクタ653は、データ信号
Dのデータを記憶回路651に出力する。記憶回路651は、クロック信号CLKに従っ
て入力されたデータ信号Dのデータを保持する。このとき、読み出し制御信号RDにより
トランジスタ633がオン状態になり、トランジスタ634がオフ状態になる。
【0174】
次に、電源電圧を停止する直前のバックアップ期間において、書き込み制御信号WEのパ
ルスに従って、トランジスタ631がオン状態になり、記憶回路652にデータ信号Dの
データが記憶され、トランジスタ631がオフ状態になる。その後レジスタに対するクロ
ック信号CLKの供給を停止させ、さらにその後レジスタに対するリセット信号RSTの
供給を停止させる。なお、トランジスタ631がオン状態のとき、トランジスタ631の
バックゲートに正電源電位を供給してもよい。このとき、読み出し制御信号RDによりト
ランジスタ633がオン状態になり、トランジスタ634がオフ状態になる。
【0175】
次に、電源停止期間において、レジスタに対する電源電圧の供給を停止させる。このとき
、記憶回路652のトランジスタ631のオフ電流が低いため、記憶されたデータが保持
される。なお、電源電位VDDの代わりに接地電位GNDを供給することにより、電源電
圧の供給を停止するとみなすこともできる。例えば、接地電位は、図2(A)に示す端子
dを介して供給される。なお、トランジスタ631がオフ状態のとき、トランジスタ63
1のバックゲートに負電源電位を供給してトランジスタ631のオフ状態を維持してもよ
い。
【0176】
次に、通常動作期間に戻る直前のリカバリー期間において、レジスタに対する電源電圧の
供給を再開させ、その後クロック信号CLKの供給を再開させ、さらにその後リセット信
号RSTの供給を再開させる。このとき、クロック信号CLKが供給される配線を電源電
位VDDにしておき、その後クロック信号CLKの供給を再開させる。さらに、読み出し
制御信号RDのパルスに従ってトランジスタ633がオフ状態になり、トランジスタ63
4がオン状態になり、記憶回路652に記憶された値のデータ信号がセレクタ653に出
力される。セレクタ653は、読み出し制御信号RDのパルスに従って上記データ信号を
記憶回路651に出力する。これにより、電源停止期間の直前の状態に記憶回路651を
復帰させることができる。
【0177】
その後、通常動作期間において、再び記憶回路651の通常動作を行う。
【0178】
以上が図7(A)に示すレジスタの駆動方法例である。
【0179】
なお、レジスタは、図7(A)に示す構成に限定されない。
【0180】
例えば、図7(B)に示すレジスタは、図7(A)に示すレジスタの構成と比較してトラ
ンジスタ633、トランジスタ634、インバータ636、容量素子637が無く、セレ
クタ654を有する構成である。図7(A)に示すレジスタと同じ部分については、図7
(A)に示すレジスタの説明を適宜援用する。
【0181】
このとき、トランジスタ635のソース及びドレインの一方は、セレクタ653の入力端
子に接続される。
【0182】
また、セレクタ654は、書き込み制御信号WE2に従って、データとなる電源電位VS
S又は記憶回路651から出力されるデータ信号を選択して、記憶回路652に入力する
【0183】
次に、図7(B)に示すレジスタの駆動方法例について説明する。
【0184】
まず、通常動作期間において、電源電圧、リセット信号RST、クロック信号CLKは、
レジスタに供給された状態である。このとき、セレクタ653は、データ信号Dのデータ
を記憶回路651に出力する。記憶回路651は、クロック信号CLKに従って入力され
たデータ信号Dのデータを保持する。また、書き込み制御信号WE2に従いセレクタ65
4は、電源電位VSSを記憶回路652に出力する。記憶回路652では、書き込み制御
信号WEのパルスに従いトランジスタ631がオン状態になり、記憶回路652に電源電
位VSSがデータとして記憶される。
【0185】
次に、電源電圧を停止する直前のバックアップ期間において、書き込み制御信号WE2に
従いセレクタ654により、電源電位VSSの供給の代わりに記憶回路651の出力端子
とトランジスタ631のソース及びドレインの一方が導通状態になる。さらに、書き込み
制御信号WEのパルスに従いトランジスタ631がオン状態になり、記憶回路652にデ
ータ信号Dのデータが記憶され、トランジスタ631がオフ状態になる。このとき、デー
タ信号Dの電位が電源電位VDDと同じ値のときのみ、記憶回路652のデータが書き換
わる。さらに、レジスタに対するクロック信号CLKの供給を停止させ、レジスタに対す
るリセット信号RSTの供給を停止させる。なお、トランジスタ631がオン状態のとき
、トランジスタ631のバックゲートに正電源電位を供給してもよい。
【0186】
次に、電源停止期間において、レジスタに対する電源電圧の供給を停止させる。このとき
、記憶回路652において、トランジスタ631のオフ電流が低いため、データの値が保
持される。なお、電源電位VDDの代わりに接地電位GNDを供給することにより、電源
電圧の供給を停止させるとみなすこともできる。なお、マルチプレクサにより、トランジ
スタ631がオフ状態のとき、トランジスタ631のバックゲートに負電源電位を供給し
てトランジスタのオフ状態を維持してもよい。
【0187】
次に、通常動作期間に戻る直前のリカバリー期間において、レジスタに対する電源電圧の
供給を再開し、その後クロック信号CLKの供給を再開させ、さらにその後リセット信号
RSTの供給を再開させる。このとき、クロック信号CLKが供給される配線を電源電位
VDDにしておき、その後クロック信号CLKの供給を再開させる。セレクタ653は、
読み出し制御信号RDのパルスに従って記憶回路652の記憶されたデータに応じた値の
データ信号を記憶回路651に出力する。これにより、電源停止期間の直前の状態に記憶
回路651を復帰させることができる。
【0188】
その後、通常動作期間において、再び記憶回路651の通常動作を行う。
【0189】
以上が図7(B)に示すレジスタの駆動方法例である。
【0190】
図7(B)に示す構成にすることにより、バックアップ期間における電源電位VSSであ
るデータの書き込みを無くすことができるため、動作を速くできる。
【0191】
上記レジスタをレジスタ784乃至787に用いた場合、ActiveモードからNof
f1、Noff2モードへ移行する際は、電源遮断に先立って、レジスタ784乃至78
7の記憶回路651のデータは記憶回路652に書き込まれ、記憶回路651のデータを
初期値にリセットし、電源が遮断される。
【0192】
また、Noff1、又はNoff2モードからActiveへ復帰する場合、レジスタ7
84乃至787に電力供給が再開されると、まず記憶回路651のデータが初期値にリセ
ットされる。そして、記憶回路652のデータが記憶回路651に書き込まれる。
【0193】
従って、低消費電力モードでも、回路113の処理に必要なデータがレジスタ784乃至
787で保持されているため、回路113を低消費電力モードからActiveモードへ
直ちに復帰させることが可能になる。よって、装置100の消費電力を低減させることが
できる。
【0194】
(実施の形態3)
本実施の形態では、記憶装置の例として図6に示すメモリ712の例について説明する。
【0195】
本実施の形態に係る記憶装置の構成例について説明する。
【0196】
メモリセルアレイの例について図8を用いて説明する。
【0197】
図8に示すメモリセルアレイは、I行J列に配置された複数のメモリセル(記憶回路)4
00と、配線BL_1乃至BL_Jと、配線WL_1乃至WL_Iと、配線CL_1乃至
CL_Iと、所定の値の電位が供給される配線SLと、を有する。
【0198】
図8に示すメモリセルアレイにおいて、M(Mは1以上I以下の自然数)行N(Nは1以
上J以下の自然数)列目のメモリセル400(メモリセル400(M,N))は、トラン
ジスタ411(M,N)と、トランジスタ412(M,N)と、容量素子413(M,N
)と、を備える。
【0199】
また、トランジスタ411(M,N)のソース及びドレインの一方は、配線BL_Nに接
続される。さらに、トランジスタ411(M,N)のゲートは、配線WL_Mに接続され
る。なお、ダイオード及び容量を用いた回路により一定期間の間、トランジスタ411(
M,N)のバックゲートの電位を保持してもよい。
【0200】
そして、トランジスタ411(M,N)は、nチャネル型トランジスタであり、データの
書き込み及び保持を制御する選択トランジスタである。
【0201】
また、トランジスタ411(M,N)としては、上記オフ電流の低いトランジスタを用い
ることができる。
【0202】
トランジスタ412は、pチャネル型トランジスタである。トランジスタ412(M,N
)のソース及びドレインの一方は配線BL_Nに接続され、ソース及びドレインの他方は
配線SLに接続されている。また、トランジスタ412(M,N)のゲートは、トランジ
スタ411(M,N)のソース及びドレインの他方に接続されている。
【0203】
トランジスタ412(M,N)は、出力するデータの電位を設定する出力トランジスタと
しての機能を有する。
【0204】
容量素子413(M,N)の一対の電極の一方は、トランジスタ411(M,N)のソー
ス及びドレインの他方に接続され、他方は、配線CL_Mに接続されている。
【0205】
容量素子413(M,N)は、データを保持する保持容量としての機能を有する。
【0206】
以上が図8に示すメモリセルアレイの構成例の説明である。
【0207】
次に、図8のメモリセルアレイを有するメモリの駆動方法例について説明する。ここでは
、一例としてM行目のメモリセル400に順次データを書き込み、その後書き込まれたデ
ータを読み出す場合について説明するが、これに限定されない。
【0208】
まず、M行目のメモリセル400にデータを書き込む場合、配線WL_Mの電位をVHに
し、それ以外の全ての配線WL_otherの電位をVLにする。
【0209】
なお、VHは、例えば基準電位(例えば電源電位VSS)より大きい値の電位(例えば電
源電位VDD)であり、VLは基準電位以下の電位である。
【0210】
このとき、M行目のメモリセル400のそれぞれにおいて、トランジスタ411がオン状
態になり、容量素子413の一対の電極の一方の電位が各配線BLの電位と同等の値にな
る。
【0211】
その後、トランジスタ411がオフ状態となり、トランジスタ412のゲートは、浮遊状
態になり、トランジスタ412のゲートの電位は、保持される。
【0212】
上記動作を行毎に行うことにより、全てのメモリセル400にデータを書き込むことがで
きる。
【0213】
また、M行目のメモリセル400からデータを読み出す場合、全ての配線WLの電位をV
Lにし、配線CL_MをVLにし、それ以外の全ての配線CL_otherの電位をVH
にする。
【0214】
なお、M行目のメモリセル400において、トランジスタ412のソースとドレインの間
の抵抗値は、トランジスタ412のゲートの電圧に応じて決まる。また、トランジスタ4
12のソースとドレインの間に流れる電流に応じた値の電位をデータとしてメモリセル4
00から読み出すことができる。
【0215】
さらに、上記動作を行毎に繰り返し行うことにより、全てのメモリセル400においてデ
ータを読み出すことができる。以上がメモリの駆動方法例の説明である。
【0216】
(実施の形態4)
本実施の形態では、装置100が有する回路の構造例について図9を用いて説明する。回
路としては、例えば回路113、回路115、回路116、回路119、回路121など
が挙げられる。
【0217】
図9(A)に示す装置100は、チャネル形成領域にシリコンを含むトランジスタ801
と、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタ802とを積層し、さらに、ト
ランジスタ802の上に複数の配線層を積層した構造である。
【0218】
トランジスタ801は、埋め込み絶縁層を有する半導体基板に設けられる。
【0219】
トランジスタ802は、絶縁層に埋め込まれた導電層811aと、導電層811aの上に
設けられた絶縁層814と、絶縁層814を挟んで導電層811aに重畳する酸化物半導
体層813と、酸化物半導体層813に接続する導電層815a、815bと、酸化物半
導体層813、導電層815a、815bの上に設けられた絶縁層816と、絶縁層81
6を挟んで酸化物半導体層813に重畳する導電層818により構成される。このとき、
導電層811aは、バックゲート電極としての機能を有する。絶縁層814は、ゲート絶
縁層としての機能を有する。酸化物半導体層813は、チャネル形成層としての機能を有
する。導電層815a、815bは、ソース電極又はドレイン電極としての機能を有する
。絶縁層816は、ゲート絶縁層としての機能を有する。導電層818は、ゲート電極と
しての機能を有する。
【0220】
絶縁層814は、水素などの不純物をブロックする機能を有することが好ましい。例えば
、酸化アルミニウム層、窒化シリコン層などは、水素をブロックする機能を有する。図9
(A)に示す構成では、酸化物半導体層813が絶縁層814、816に囲まれているた
め、トランジスタ802に対する、外部(例えばトランジスタ801)から水素などの不
純物の拡散が抑制される。
【0221】
さらに、導電層815aは、絶縁層814を貫通して設けられた開口部で、導電層811
aと同一の導電膜により形成される導電層811bに接続され、導電層811bは、トラ
ンジスタ801のゲート電極に接続される。
【0222】
さらに、トランジスタ802の上層には、配線層822、824、826が順に積層して
設けられる。配線層822は、絶縁層に埋め込まれた配線層821により導電層815b
に接続される。配線層824は、絶縁層に埋め込まれた配線層823により配線層822
に接続される。配線層826は、絶縁層に埋め込まれた配線層825により配線層824
に接続される。例えば、配線層826を外部接続端子として用いてもよい。
【0223】
さらに、図9(B)に示す構造は、トランジスタ801と、トランジスタ802を積層し
、さらに、トランジスタ801とトランジスタ802の間に積層された複数の配線層を設
けた構造である。さらに、図9(B)では、端子部803も示す。
【0224】
トランジスタ801の上層には、配線層831a、833a、835aが順に積層して設
けられる。配線層831aは、トランジスタ801のゲート電極に接続される。配線層8
33aは、絶縁層に埋め込まれた配線層832aにより配線層831aに接続される。配
線層835aは、絶縁層に埋め込まれた配線層834aにより配線層833aに接続され
る。
【0225】
さらに、導電層815aは、絶縁層814を貫通して設けられた開口部で、導電層811
aと同一の導電膜により形成される導電層811bに接続され、導電層811bは、絶縁
層に埋め込まれた配線層836aにより配線層835aに接続される。
【0226】
さらに、トランジスタ802の上層には、配線層838aが積層して設けられる。配線層
838aは、絶縁層に埋め込まれた配線層837aにより導電層815bに接続される。
【0227】
また、端子部803には、配線層831aと同一の導電膜により形成される配線層831
b、配線層833aと同一の導電膜により形成される配線層833b、配線層835aと
同一の導電膜により形成される配線層835b、導電層811aと同一の導電膜により形
成される導電層811c、導電層815aと同一の導電膜により形成される導電層815
c、配線層837aと同一の導電膜により形成される配線層837b、配線層838aと
同一の導電膜により形成される配線層838bが順に積層して設けられる。配線層833
bは、絶縁層に埋め込まれ、配線層832aと同一の導電膜により形成される配線層83
2bにより配線層831bに接続される。配線層835bは、絶縁層に埋め込まれ、配線
層834aと同一の導電膜により形成される配線層834bにより配線層833bに接続
される。導電層811cは、絶縁層に埋め込まれ、配線層836aと同一の導電膜により
形成される配線層836bにより配線層835bに接続される。導電層815cは、絶縁
層814を貫通して設けられた開口部で導電層811cに接続される。配線層838bは
、絶縁層に埋め込まれ、配線層837aと同一の導電膜により形成される配線層837b
により導電層815cに接続される。例えば、配線層838bを外部接続端子として用い
てもよい。
【0228】
さらに、各構成要素について説明する。
【0229】
導電層811a乃至導電層811c、導電層818、配線層831a乃至配線層838a
、配線層831b乃至配線層838bとしては、例えばモリブデン、チタン、クロム、タ
ンタル、マグネシウム、銀、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、ルテニウム、
又はスカンジウムなどの金属材料を含む層を適用できる。また、導電層811a乃至導電
層811c、818、配線層831a乃至配線層838a、配線層831b乃至配線層8
38bとして金属酸化物などを用いてもよい。
【0230】
絶縁層814、絶縁層816を含む各絶縁層としては、例えば酸化シリコン層、窒化シリ
コン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化アルミニ
ウム層、酸化窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、酸化ハフニウム層、酸化ガ
リウム層などを用いることができる。例えば、絶縁層814、絶縁層816としては、酸
化シリコン層又は酸化窒化シリコン層などを用いることができる。上記絶縁層がハロゲン
を含んでいてもよい。なお、必ずしも絶縁層814、絶縁層816を設けなくてもよい。
【0231】
酸化物半導体層813としては、例えばIn系金属酸化物、Zn系金属酸化物、In-Z
n系金属酸化物、又はIn-Ga-Zn系金属酸化物などを適用できる。酸化物半導体層
は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis A
ligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質を有する。非晶質は、微結晶
、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAACよりも欠陥準位密度が
高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC-OS(C Axis Ali
gned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ
。酸化物半導体層は、例えばCAAC-OSを有してもよい。CAAC-OSは、例えば
、c軸配向し、a軸又は/及びb軸はマクロに揃っていない酸化物半導体を有している。
【0232】
また、上記In-Ga-Zn系金属酸化物に含まれるGaの一部若しくは全部の代わりに
他の金属元素を含む金属酸化物を用いてもよい。上記他の金属元素としては、例えばガリ
ウムよりも多くの酸素原子と結合が可能な金属元素を用いればよく、例えばチタン、ジル
コニウム、ハフニウム、ゲルマニウム、及び錫のいずれか一つ又は複数の元素を用いれば
よい。また、上記他の金属元素としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム
、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム
、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムのいずれか一つ又は複数の元
素を用いればよい。これらの金属元素は、スタビライザーとしての機能を有する。なお、
これらの金属元素の添加量は、金属酸化物が半導体として機能することが可能な量である
。ガリウムよりも多くの酸素原子と結合が可能な金属元素を用い、さらには金属酸化物中
に酸素を供給することにより、金属酸化物中の酸素欠陥を少なくできる。
【0233】
導電層815a乃至導電層815cとしては、例えばモリブデン、チタン、クロム、タン
タル、マグネシウム、銀、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、ルテニウム、又
はスカンジウムなどの金属材料を含む層を適用できる。また、導電層815a乃至導電層
815cとして金属酸化物などを用いてもよい。
【0234】
図9に示すように、本実施の形態に係る装置100の一例では、異なるトランジスタを積
層させて構成することにより、回路面積を小さくできる。
【0235】
なお、これに限定されず、装置200の構造を上記構造にしてもよい。
【0236】
(実施の形態5)
本実施の形態では、装置100の構造例について図10乃至図17を用いて説明する。
【0237】
図10(A)及び図10(B)は、装置100の外観図を示す図である。装置100は、
回路基板900と、蓄電体913と、を有する。蓄電体913には、ラベル910が貼ら
れている。さらに、図10(B)に示すように、装置100は、端子951と、端子95
2と、を有し、ラベル910の裏にアンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
【0238】
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951
、端子952、アンテナ914、アンテナ915、及び回路912に接続される。なお、
端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子
などとしてもよい。
【0239】
回路912は、例えば図2(A)に示す回路113、回路115、回路116、回路11
9、回路121、トランジスタ131、トランジスタ132、トランジスタ150、及び
トランジスタ170を有する。回路912は、回路基板900の裏面に設けられていても
よい。なお、アンテナ914は、アンテナ114に相当し、アンテナ915は、アンテナ
118に相当する。なお、アンテナ914及びアンテナ915は、コイル状に限定されず
、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アン
テナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は
、アンテナ914若しくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体
は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する
2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914若しくはアンテナ915を機能さ
せてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うことも
できる。
【0240】
蓄電体913は、図2(A)に示す蓄電体111に相当する。
【0241】
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これによ
り、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
【0242】
装置100は、アンテナ914及びアンテナ915と、蓄電体913との間に層916を
有する。層916は、例えば蓄電体913に対する電磁界の遮蔽を防止することができる
機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。層916を遮蔽
層としてもよい。
【0243】
なお、装置100の構造は、図10に限定されない。
【0244】
例えば、図11(A-1)及び図11(A-2)に示すように、図10(A)及び図10
(B)に示す蓄電体913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよ
い。図11(A-1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図11(A
-2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図10(A)及び図
10(B)に示す装置100と同じ部分については、図10(A)及び図10(B)に示
す装置100の説明を適宜援用できる。
【0245】
図11(A-1)に示すように、蓄電体913の一対の面の一方に層916を挟んでアン
テナ914が設けられ、図11(A-2)に示すように、蓄電体913の一対の面の他方
に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば蓄電体913に対
する電磁界の遮蔽を防止することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性
体を用いることができる。層917を遮蔽層としてもよい。
【0246】
上記構造にすることにより、アンテナ914及びアンテナ915の両方のサイズを大きく
することができる。
【0247】
又は、図11(B-1)及び図11(B-2)に示すように、図10(A)及び図10
B)に示す蓄電体913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを設けても
よい。図11(B-1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図11
B-2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図10(A)及び
図10(B)に示す装置100と同じ部分については、図10(A)及び図10(B)に
示す装置100の説明を適宜援用できる。
【0248】
図11(B-1)に示すように、蓄電体913の一対の面の一方に層916を挟んでアン
テナ914及びアンテナ915が設けられ、図11(B-2)に示すように、蓄電体91
3の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ918は
、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918に
は、例えばアンテナ914及びアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用するこ
とができる。アンテナ918を介した装置100と他の機器との通信方式としては、NF
Cなど、装置100と装置200の間で用いることができる応答方式などを適用すること
ができる。
【0249】
又は、図12(A)に示すように、図10(A)及び図10(B)に示す蓄電体913に
表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911に電
気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくて
もよい。なお、図10(A)及び図10(B)に示す装置100と同じ部分については、
図10(A)及び図10(B)に示す装置100の説明を適宜援用できる。
【0250】
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表
示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクト
ロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペー
パーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
【0251】
又は、図12(B)に示すように、図10(A)及び図10(B)に示す蓄電体913に
センサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的
に接続される。なお、センサ921は、ラベル910の裏側に設けられてもよい。なお、
図10(A)及び図10(B)に示す装置100と同じ部分については、図10(A)及
図10(B)に示す装置100の説明を適宜援用できる。
【0252】
センサ921としては、例えば、センサ235に適用可能なセンサを用いることができる
。よって、センサ235としてセンサ921を用いてもよい。センサ921を設けること
により、例えば、装置100が置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回
路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
【0253】
さらに、蓄電体913の構造例について図13及び図14を用いて説明する。
【0254】
図13(A)に示す蓄電体913は、筐体930の内部に端子951と端子952が設け
られた捲回体950を有する。捲回体950は、筐体930の内部で電解液に含浸される
。端子952は、筐体930に接し、端子951は、絶縁材などを用いることにより筐体
930に接していない。なお、図13(A)では、便宜のため、筐体930を分離して図
示しているが、実際は、捲回体950が筐体930に覆われ、端子951及び端子952
が筐体930の外に延在している。筐体930としては、金属材料(例えばアルミニウム
など)又は樹脂材料を用いることができる。
【0255】
なお、図13(B)に示すように、図13(A)に示す筐体930を複数の材料によって
形成してもよい。例えば、図13(B)に示す蓄電体913は、筐体930aと筐体93
0bが貼り合わされており、筐体930a及び筐体930bで囲まれた領域に捲回体95
0が設けられている。
【0256】
筐体930aとしては、有機樹脂など、絶縁材料を用いることができる。特に、アンテナ
が形成される面に有機樹脂などの材料を用いることにより、蓄電体913に対する電界の
遮蔽を抑制できる。なお、筐体930aによる電界の遮蔽が小さければ、筐体930の内
部にアンテナ914やアンテナ915などのアンテナを設けてもよい。筐体930bとし
ては、例えば金属材料を用いることができる。
【0257】
さらに、捲回体950の構造について図14に示す。捲回体950は、負極931と、正
極932と、セパレータ933と、を有する。捲回体950は、セパレータ933を挟ん
で負極931と、正極932が重なり合って積層され、該積層シートを捲回させた捲回体
である。
【0258】
負極931は、端子951及び端子952の一方を介して図10に示す端子911に接続
される。正極932は、端子951及び端子952の他方を介して図10に示す端子91
1に接続される。
【0259】
さらに、各構成要素について説明する。
【0260】
負極931の例について、図15を参照して説明する。
【0261】
図15(A)に示すように、負極931は、負極集電体961と、負極集電体961の両
面又は片面(図では両面の場合を示す。)に設けられた負極活物質層962と、を有する
【0262】
負極集電体961としては、リチウム等のキャリアイオンと合金化することがない、導電
性の高い材料により構成される。例えば、ステンレス、鉄、銅、ニッケル、又はチタンを
用いることができる。また、負極集電体961は、箔状、板状(シート状)、網状、パン
チングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。負極集電体
961は、厚みが10μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
【0263】
負極活物質層962は、負極集電体961の片面又は両面に設けられる。負極活物質層9
62としては、リチウム金属の他、蓄電分野に一般的な炭素材である黒鉛を用いることが
できる。黒鉛は、低結晶性炭素として軟質炭素や硬質炭素等が挙げられ、高結晶性炭素と
して、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解炭素、液晶ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイ
クロビーズ(MCMB)、液晶ピッチ、石油又は石炭系コークスなどを用いることができ
る。
【0264】
負極活物質には上述の材料の他、キャリアイオンとの合金化、脱合金化反応により充放電
反応を行うことが可能な合金系材料を用いることができる。キャリアイオンがリチウムイ
オンである場合、合金系材料としては、例えば、Mg、Ca、Al、Si、Ge、Sn、
Pb、As、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、Hg及びIn等のうちの少なくとも
一つを含む材料を用いることができる。
【0265】
なお、例えば負極活物質の表面を金属やシリコンなどの酸化物膜で被覆してもよい。負極
活物質の表面を上記酸化物膜で被覆することにより、固体電解質界面(Solid El
ectrolyte Interphaseともいう)膜の形成を抑制でき、不可逆容量
の発生を抑制できる。
【0266】
本実施の形態では、上記材料に導電助剤及びバインダ(結着剤)を加え、混合、焼成して
作製した負極活物質層962を用いる。
【0267】
図15(B)を用いて、負極活物質層962を説明する。図15(B)は負極活物質層9
62の一部における断面である。負極活物質層962は、上記電極材料と、導電助剤97
4と、バインダ(図示せず)を有する。
【0268】
導電助剤974は、粒状の負極活物質973間や粒状の負極活物質973と負極集電体9
61との導電性を向上させる機能を有する。例えば、負極活物質層962に導電助剤97
4を添加することが好ましい。導電助剤974としては、比表面積が大きい材料が望まし
く、アセチレンブラック(AB)などを適用できる。また、カーボンナノチューブやグラ
フェン、フラーレンといった炭素材料を導電助剤974として適用してもよい。なお、一
例としてグラフェンを用いる場合については後述する。
【0269】
また、バインダは負極活物質、導電助剤、また集電体を結着するものであればよい。バイ
ンダとして、例えばポリフッ化ビニリデン(pVdF)、ビニリデンフルオライド-ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重
合体、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン
、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂材料を用いることができる。
【0270】
負極931は、以下のように作製する。まず、電極材料を、ポリフッ化ビニリデン等のフ
ッ化ビニリデン系重合体等を溶かしたNMP(N-メチルピロリドン)等の溶媒に混合し
、スラリーを形成する。
【0271】
次に、負極集電体961の片面又は両面に、当該スラリーを塗布し乾燥させる。当該塗布
工程を負極集電体961の両面に行う場合には、両面に同時に又は一面ずつ負極活物質層
962を形成する。この後、ロールプレス機を用いて圧延加工し、負極931が製造され
る。
【0272】
次に、負極活物質層962に添加する導電助剤としてグラフェンを用いた例について、図
15(C)及び図15(D)を参照して説明する。
【0273】
ここで本明細書において、グラフェンは単層のグラフェン、又は2層以上100層以下の
多層グラフェンを含むものである。単層グラフェンとは、π結合を有する1原子層の炭素
分子のシートのことをいう。また、酸化グラフェンとは、上記グラフェンが酸化された化
合物のことをいう。なお、酸化グラフェンを還元してグラフェンを形成する場合、酸化グ
ラフェンに含まれる酸素は全て脱離されずに、一部の酸素はグラフェンに残存する。グラ
フェンに酸素が含まれる場合、酸素の割合は、XPS(X-ray Photoelec
tron Spectroscopy)で測定した場合にグラフェン全体の2atomi
c%以上20atomic%以下、好ましくは3atomic%以上15atomic%
以下である。
【0274】
図15(C)は、グラフェンを用いた負極活物質層962の一部における平面図である。
負極活物質層962は、粒状の負極活物質973と、複数の粒状の負極活物質973を覆
いつつ、粒状の負極活物質973が内部に詰められたグラフェン975で構成されている
。図示していないバインダについては、添加してもよいが、グラフェン975が互いに結
着することでバインダとして十分機能を果たす程度に含有される場合には、必ずしもバイ
ンダを添加しなくてもよい。平面視の負極活物質層962は、複数の負極活物質973の
表面を異なるグラフェン975が覆っている。なお、一部において、粒状の負極活物質9
73が露出していてもよい。
【0275】
図15(D)は、図15(C)の負極活物質層962の一部における断面図である。粒状
の負極活物質973、及び負極活物質層962の平面視において粒状の負極活物質973
を覆っているグラフェン975が図示されている。断面図において、グラフェン975は
線状に観察される。同一のグラフェン又は複数のグラフェンは複数の粒状の負極活物質9
73に重畳する、又は、同一のグラフェン又は複数のグラフェンにより、複数の粒状の負
極活物質973を内在する。なお、グラフェン975は袋状になっており、該内部におい
て、複数の粒状の負極活物質を内包する場合がある。また、グラフェン975は、一部開
放部があり、当該領域において、粒状の負極活物質973が露出している場合がある。
【0276】
なお、負極活物質層962の厚さとしては、20μm以上150μm以下の間で所望の厚
さを選択することが好ましい。
【0277】
なお、負極活物質層962にリチウムをプレドープしてもよい。リチウムのプレドープ方
法としては、スパッタリング法により負極活物質層962表面にリチウム層を形成しても
よい。又は、負極活物質層962の表面にリチウム箔を設けることで、負極活物質層96
2にリチウムをプレドープすることができる。
【0278】
なお、粒状の負極活物質973においては、キャリアイオンの吸蔵により体積が膨張する
ものがある。このため、充放電により、負極活物質層が脆くなり、負極活物質層の一部が
崩壊してしまうことで、サイクル特性等の蓄電装置の信頼性が低下する。
【0279】
しかしながら、負極活物質が充放電により体積が増減しても、粒状の負極活物質973の
周囲をグラフェン975が覆う場合には、グラフェン975は負極活物質の分散や負極活
物質層の崩落を妨げることが可能である。すなわち、グラフェン975は、充放電に伴い
負極活物質の体積が増減しても、負極活物質どうしの結合を維持する機能を有する。つま
り、負極活物質層962を形成する際にバインダを用いる必要がなく、一定重量(一定体
積)の負極活物質層962において、負極活物質量を増加させることが可能である。従っ
て、電極重量(電極体積)あたりの充放電容量を増大させることができる。
【0280】
また、グラフェン975は導電性を有しており、且つ複数の粒状の負極活物質973と接
しているため導電助剤としても機能する。つまり、負極活物質層962を形成する際に導
電助剤を用いる必要がなく、一定重量(一定体積)の負極活物質層962において、負極
活物質量を増加させることが可能である。従って、電極重量(電極体積)あたりの充放電
容量を増大させることができる。
【0281】
また、グラフェン975は、負極活物質層962に効率良く且つ十分な電子伝導の経路を
形成するため、負極931の導電性を向上させることができる。
【0282】
なお、グラフェン975は、キャリアイオンの吸蔵放出が可能な負極活物質としても機能
するため、負極931の充電容量を向上させることができる。
【0283】
なお、上記グラフェンを正極活物質として用いてもよい。
【0284】
次に、図15(C)及び図15(D)に示す負極活物質層962の作製方法について説明
する。
【0285】
まず、電極材料と、酸化グラフェンを含む分散液を用いて混練し、スラリーを形成する。
【0286】
次に、負極集電体961上に、上記スラリーを塗布する。次に、一定時間、真空乾燥を行
って負極集電体961上に塗工したスラリーから溶媒を除去する。この後、ロールプレス
機により圧延加工する。
【0287】
その後、電気エネルギーを用いた酸化グラフェンの電気化学的な還元や、加熱処理による
酸化グラフェンの熱的な還元によって、グラフェン975を生成する。特に、電気化学的
な還元処理を行った場合、加熱処理によって形成したグラフェンに比べてπ結合を有する
炭素原子の割合が増大するため、導電性の高いグラフェン975を形成することができる
。以上の工程により、負極集電体961の片面又は両面にグラフェンを導電助剤として用
いた負極活物質層962を形成することができ、負極931を製造することができる。
【0288】
次に、正極932について図16を参照して説明する。
【0289】
図16(A)は正極932の断面図である。正極932は、正極集電体981上に正極活
物質層982が形成される。
【0290】
正極集電体981には、ステンレス、金、白金、亜鉛、鉄、銅、アルミニウム、チタン等
の金属、及びこれらの合金など、導電性の高い材料を用いることができる。また、シリコ
ン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加
されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを
形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素
としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム
、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。正極集電体981は、箔状
、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜
用いることができる。
【0291】
正極活物質層982には、正極活物質の他、導電助剤、バインダ(結着剤)を含有させて
もよい。
【0292】
正極活物質層982の正極活物質としては、LiFeO、LiCoO、LiNiO
、LiMn、V、Cr、MnO等の化合物を材料として用いること
ができる。
【0293】
又は、リチウム含有複合リン酸塩(一般式LiMPO(Mは、Fe(II)、Mn(I
I)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMP
の代表例としては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnP
、LiFeNiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO、L
iNiCoPO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、0<b
<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNiMnPO、LiNi
MnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、Li
FeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、
0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を活物質材料として用いることができる。
【0294】
又は、一般式Li(2-j)MSiO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(I
I)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等のリチウム含有複合ケイ酸塩を用いること
ができる。一般式Li(2-j)MSiOの代表例としては、Li(2-j)FeSi
、Li(2-j)NiSiO、Li(2-j)CoSiO、Li(2-j)Mn
SiO、Li(2-j)FeNiSiO、Li(2-j)FeCoSiO
、Li(2-j)FeMnSiO、Li(2-j)NiCoSiO、Li
2-j)NiMnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2
-j)FeNiCoSiO、Li(2-j)FeNiMnSiO、Li
(2-j)NiCoMnSiO(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1
、0<q<1)、Li(2-j)FeNiCoMnSiO(r+s+t+uは
1以下、0<r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等の化合物を材料として用
いることができる。
【0295】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類金
属イオンの場合、正極活物質層982として、上記リチウム化合物及びリチウム含有複合
リン酸塩及びリチウム含有複合ケイ酸塩において、リチウムの代わりに、アルカリ金属(
例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロン
チウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。
【0296】
また正極活物質層982は、正極集電体981上に直接接して形成する場合に限らない。
正極集電体981と正極活物質層982との間に、正極集電体981と正極活物質層98
2との密着性の向上を目的とした密着層や、正極集電体981の表面の凹凸形状を緩和す
るための平坦化層、放熱のための放熱層、正極集電体981又は正極活物質層982の応
力を緩和するための応力緩和層等の機能層を、金属等の導電性材料を用いて形成してもよ
い。
【0297】
図16(B)は、正極活物質層982の平面図である。正極活物質層982として、キャ
リアイオンの吸蔵放出が可能な粒子状の正極活物質983を用いている。また、当該正極
活物質983の複数を覆いつつ、当該正極活物質983が内部に詰められたグラフェン9
84を含有する例である。複数の正極活物質983の表面を異なるグラフェン984が覆
う。また、一部において、正極活物質983が露出していてもよい。
【0298】
正極活物質983の粒径は、20nm以上100nm以下が好ましい。なお、正極活物質
983内を電子が移動するため、正極活物質983の粒径はより小さい方が好ましい。
【0299】
また、正極活物質983の表面にグラファイト層が被覆されていなくとも十分な特性が得
られるが、グラファイト層が被覆されている正極活物質とグラフェンを共に用いると、電
流が流れるためより好ましい。
【0300】
図16(C)は、図16(B)の正極活物質層982の一部における断面図である。正極
活物質983、及び該正極活物質983を覆うグラフェン984を有する。グラフェン9
84は断面図においては線状で観察される。複数の正極活物質983は、同一のグラフェ
ン984または複数のグラフェン984の間に挟まれるように設けられる。なお、グラフ
ェン984は袋状になっており、複数の正極活物質983をその内部に包み込む場合があ
る。また、グラフェンに覆われず、一部の正極活物質が露出している場合がある。
【0301】
正極活物質層982の厚さは、20μm以上100μm以下の間で所望の厚さを選択する
。なお、クラックや剥離が生じないように、正極活物質層982の厚さを適宜調整するこ
とが好ましい。
【0302】
なお、正極活物質層982は、グラフェンの体積の0.1倍以上10倍以下のアセチレン
ブラック粒子や1次元の拡がりを有するカーボンナノファイバー等のカーボン粒子など、
公知の導電助剤を有してもよい。
【0303】
なお、正極活物質の材料によっては、キャリアとなるイオンの吸蔵により体積が膨張する
ものがある。このため、充放電により、正極活物質層が脆くなり、正極活物質層の一部が
崩落してしまい、この結果蓄電装置の信頼性が低下する。しかしながら、正極活物質が充
放電により体積が増減しても、当該周囲をグラフェンが覆うため、グラフェンは正極活物
質の分散や正極活物質層の崩落を妨げることが可能である。即ち、グラフェンは、充放電
にともない正極活物質の体積が増減しても、正極活物質同士の結合を維持する機能を有す
る。よって、蓄電体の信頼性を高めることができる。
【0304】
また、グラフェン984は、複数の正極活物質と接しており、導電助剤としても機能する
。また、キャリアイオンの吸蔵放出が可能な正極活物質を保持する機能を有する。このた
め、正極活物質層にバインダを混合する必要がなく、正極活物質層当たりの正極活物質量
を増加させることが可能であり、蓄電体の放電容量を高めることができる。
【0305】
次に、正極活物質層982の製造方法について説明する。
【0306】
まず、粒子状の正極活物質及び酸化グラフェンを含むスラリーを形成する。次に、正極集
電体981上に、当該スラリーを塗布した後、還元雰囲気での加熱により還元処理を行っ
て、正極活物質を焼成すると共に、酸化グラフェンに含まれる酸素を脱離させ、グラフェ
ンを形成する。なお、酸化グラフェンに含まれる酸素は全て脱離されず、一部の酸素はグ
ラフェンに残存する。なお、酸化グラフェンの還元処理は上述のような加熱による還元(
以下、熱還元という。)に限られず、ヒドラジン等の還元剤を用いた化学反応による還元
(以下、化学還元という。)、電解液中で電極に酸化グラフェンが還元される電位を与え
て行う電気化学的な還元(以下、電気化学還元という。)等、熱還元と異なる還元方法に
より行ってもよい。以上の工程により、正極集電体981上に正極活物質層982を形成
することができる。この結果、正極活物質層982の導電性が高まる。
【0307】
酸化グラフェンは酸素を含むため、極性溶媒中では負に帯電する。この結果、酸化グラフ
ェンは極性溶媒内で互いに分散する。このため、スラリーに含まれる正極活物質が凝集し
にくくなり、凝集による正極活物質の粒径の増大を低減することができる。このため、正
極活物質内の電子の移動が容易となり、正極活物質層の導電性を高めることができる。
【0308】
なお、正極活物質粒子の表面に炭素層などを形成してもよい。
【0309】
セパレータ933としては、セルロース(紙)、又は空孔が設けられたポリプロピレン、
ポリエチレン等の絶縁体を用いることができる。
【0310】
なお、負極931、正極932、セパレータ933には、電解液を含浸させる。電解液に
含む電解質としては、キャリアイオンを含む材料を用いる。キャリアイオンとしてリチウ
ムを用いる場合、電解質にLiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、Li
(CSON等のリチウム塩を用いることができる。
【0311】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類金
属イオンの場合、電解質として、上記リチウム塩において、リチウムの代わりに、アルカ
リ金属(例えば、ナトリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、
ストロンチウム、バリウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。
【0312】
また、電解液の溶媒としては、キャリアイオンの移送が可能な材料を用いる。電解液の溶
媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては
、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート(DEC)、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つ又は複数を用いることができる。
【0313】
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安
全性が高まる。また、リチウムイオン電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化され
る高分子材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル
、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、フッ素系ポリマー等がある。
【0314】
また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ
又は複数用いることで、リチウムイオン電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が
上昇しても、リチウムイオン電池の破裂や発火などを防ぐことができる。
【0315】
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、P
EO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができ
る。固体電解質を用いる場合には、セパレータの設置が不要となる。また、電池全体を固
体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
【0316】
なお、蓄電体913の構成は、図10に示す構成に限定されない。ラミネート型の蓄電体
913の例について、図17を参照して説明する。
【0317】
図17に示すラミネート型の蓄電体913は、正極集電体991及び正極活物質層992
を有する正極993と、セパレータ997と、負極集電体994及び負極活物質層995
を有する負極996とを積層し、外装体999に封入して電解液998を注入した電池で
ある。図17において、蓄電体913は、シート状の正極993と負極996とを一枚ず
つ重ねた構造を示しているが、電池容量を増加させるために上記の積層構造体を捲回し、
又は複数枚重ね合わせてから封止することが好ましい。特にリチウムイオン電池の形態を
ラミネート型とした場合、電池が可撓性を有するため、フレキシビリティを要求される用
途に適している。
【0318】
図17に示すラミネート型の蓄電体913において、正極集電体991及び負極集電体9
94は、外部との電気的接触を得る端子の役割も兼ねている。そのため、正極集電体99
1及び負極集電体994の一部は、外装体999から外側に露出するように配置される。
【0319】
ラミネート型の蓄電体913において、外装体999には、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アル
ミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属
薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂
膜を設けた三層構造の積層フィルムを用いることができる。このような三層構造とするこ
とで、電解液や気体の透過を遮断するとともに、絶縁性を確保し、併せて耐電解液性を有
する。
【0320】
なお、ラミネート型に限定されず、例えばコイン型、角型としてもよい。
【0321】
さらに、蓄電体913にリチウムイオンキャパシタを用いてもよい。
【0322】
リチウムイオンキャパシタは、電気二重層キャパシタ(EDLC。Electric D
ouble Layer Capacitorの略)の正極に、炭素材料を用いたリチウ
ムイオン電池の負極を組み合わせたハイブリッドキャパシタであり、正極と負極の蓄電原
理が異なる非対称キャパシタである。正極が電気二重層を形成し物理的作用により充放電
を行うのに対して、負極はリチウムの化学的作用により充放電を行う。この負極活物質で
ある炭素材料等に予めリチウムを吸蔵させた負極を用いることで、従来の負極に活性炭を
用いた電気二重層キャパシタに比べ、エネルギー密度を飛躍的に向上させている。
【0323】
リチウムイオンキャパシタは、上記正極活物質層に代えて、リチウムイオン及びアニオン
の少なくとも一つを可逆的に担持できる材料を用いればよい。このような材料として、例
えば活性炭、導電性高分子、ポリアセン系有機半導体(PAS。PolyAcenic
Semiconductorの略)等が挙げられる。
【0324】
リチウムイオンキャパシタは、充放電の効率が高く、急速充放電が可能であり、繰り返し
利用による寿命も長い。
【0325】
このようなリチウムイオンキャパシタの負極に、上記負極を用いる。これにより初期の不
可逆容量の生成を抑制し、サイクル特性を向上させた蓄電装置を作製することができる。
また、優れた高温特性を有する蓄電装置を作製することができる。
【0326】
(実施の形態6)
本実施の形態では、電気機器について説明する。
【0327】
ここで電気機器とは、電気の力によって作用する部分を含む工業製品をいう。電気機器は
、家電等の民生用に限られず、業務用、産業用、軍事用等、種々の用途のものを広くこの
範疇とする。
【0328】
本発明の一態様に係る蓄電装置を適用することができる電気機器としては、例えば、テレ
ビやモニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型やノート型等のパーソナルコンピュ
ータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)な
どの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、CD(Compac
t Disc)プレーヤやデジタルオーディオプレーヤ等の携帯型又は据置型の音響再生
機器、携帯型又は据置型のラジオ受信機、テープレコーダやICレコーダ(ボイスレコー
ダ)等の録音再生機器、ヘッドホンステレオ、ステレオ、リモートコントローラ、置き時
計や壁掛け時計等の時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話機、自動車電話
、携帯型又は据置型のゲーム機、歩数計、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍、電
子翻訳機、マイクロフォン等の音声入力機器、スチルカメラやビデオカメラ等の写真機、
玩具、電気シェーバ、電動歯ブラシ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気
洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、加湿器や除湿器やエアコンディショ
ナ等の空気調和設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、
電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、電動工具、煙感知器、補
聴器、心臓ペースメーカ、携帯型X線撮影装置、放射線測定器、電気マッサージ器や透析
装置等の健康機器や医療機器などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ガスメータや
水道メータ等の計量器、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、自動販売機、自動
券売機、現金自動支払機(CD。Cash Dispenserの略)や現金自動預金支
払機(ATM。AutoMated Teller Machineの略)、デジタルサ
イネージ(電子看板)、産業用ロボット、無線用中継局、携帯電話の基地局、電力貯蔵シ
ステム、電力の平準化やスマートグリッドのための二次電池等の産業機器が挙げられる。
また、二次電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体(輸送体)なども、電気
機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内
燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(P
HEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、農業機械、電動アシスト自
転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、電動カート、小型又は大型船舶、
潜水艦、固定翼機や回転翼機等の航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機
、宇宙船などが挙げられる。
【0329】
なお、上記電気機器は、消費電力のほぼ全てを賄うための主電源として、本発明の一態様
に係る蓄電装置を用いることができる。また、上記電気機器は、主電源や商用電源からの
電力の供給が停止した場合に、電気機器への電力の供給を行うことができる無停電電源と
して、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。あるいは、上記電気機器は
、主電源や商用電源からの電気機器への電力の供給と並行して、電気機器への電力の供給
を行うための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることができる。
【0330】
ここで一例として、携帯端末について、図18(A)及び図18(B)に示す。図18
A)は、携帯端末を表面から見た図であり、図18(B)は、裏面から見た図である。
【0331】
図18(A)及び図18(B)に示す携帯端末1100は、筐体1111と、表示部11
12と、蓄電装置1113と、電源スイッチ1114と、を有する。
【0332】
表示部1112は、一部をタッチパネルの領域とすることができ、表示された操作キーに
触れることでデータを入力することができる。表示部1112の全ての領域がタッチパネ
ルの機能を有する構成としても良い。
【0333】
表示部1112には、例えばエレクトロルミネセンス(ELともいう)ディスプレイモジ
ュール、液晶ディスプレイモジュールを用いることができる。
【0334】
蓄電装置1113は、カセット式のバッテリーである。蓄電装置1113は、端子112
1を有する。なお、端子1121の数は特に限定されない。蓄電装置1113を筐体11
11の凹部に嵌め込むことにより、端子1121が筐体1111に設けられた端子112
2に接続する。これにより、蓄電装置1113から筐体1111内部の回路に電力を供給
できる。なお、蓄電装置1113を筐体1111の凹部に嵌め込んだ後の蓄電装置111
3が露出していてもよい。また、蓄電装置1113の上に蓋を設けてもよい。なお、蓄電
装置1113は、携帯端末1100から取り外せるようになっているが、本発明の実施形
態の一態様は、これに限定されない。携帯端末1100のユーザーが、蓄電装置1113
を取り外すことができないようになっていてもよい。蓄電装置1113を筐体1111の
凹部に嵌め込むことにより、携帯端末1100の内部の部品の配置自由度があがり、携帯
端末1100を小型化、薄型化することができる。このような場合には、蓄電装置111
3を、携帯端末1100の中に入れたまま、電力などのやり取りを行うことができる。な
お、蓄電装置1113を、携帯端末1100から取り外せるような場合であっても、蓄電
装置1113を、携帯端末1100の中に入れたまま、電力などのやり取りを行ってもよ
い。
【0335】
図18(A)及び図18(B)に示す携帯端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト
画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表
示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア
(プログラム)によって処理を制御する機能、などを有することができる。
【0336】
また、図19は、携帯端末の例のブロック図である。図19に示す携帯端末は、例えば無
線通信回路1131、アナログベースバンド回路1132、デジタルベースバンド回路1
133、蓄電装置1134、電源回路1135、アプリケーションプロセッサ1136、
ディスプレイコントローラ1141、メモリ1142、ディスプレイ1143、タッチセ
ンサ1149、音声回路(スピーカ及びマイクなど)1147、及び入力手段の一つであ
るキーボード1148などより構成される。
【0337】
蓄電装置1134は、図18に示す蓄電装置1113に相当し、それ以外の構成要素は、
負荷に相当する。
【0338】
無線通信回路1131は、例えばデータを含む電波を受信する機能を有する。無線通信回
路1131としては、例えばアンテナなどが用いられる。
【0339】
タッチセンサ1149を設けることにより、ディスプレイ1143における表示部114
4を操作することができる。
【0340】
ディスプレイ1143は、表示部1144、ソースドライバ1145、及びゲートドライ
バ1146によって構成される。表示部1144は、ソースドライバ1145及びゲート
ドライバ1146により動作が制御される。
【0341】
アプリケーションプロセッサ1136は、CPU1137、デジタルシグナルプロセッサ
(DSPともいう)1138、インターフェース(IFともいう)1139を備える。
【0342】
また、メモリ1142は、通常SRAM又はDRAMで構成されるが、例えば図8に示す
メモリを用いることにより、1ビットあたりのメモリ単価を低減することができ、また、
メモリ1142の消費電力を低減することができる。
【0343】
さらに、図19に示す携帯端末の動作例について説明する。
【0344】
まず、データを含む電波の受信又はアプリケーションプロセッサ1136により画像が形
成される。メモリ1142に記憶されているデータを、ディスプレイコントローラ114
1を介してディスプレイ1143に出力し、ディスプレイ1143により入力された画像
データに応じた画像を表示する。そのまま、画像に変更が無ければ通常60以上130H
z以下の周期でメモリ1142からデータが読み出され、読み出されたデータは、ディス
プレイコントローラ1141に送られ続ける。ユーザーが画面を書き換える操作をしたと
き、アプリケーションプロセッサ1136により新たな画像を形成し、その画像を、メモ
リ1142に記憶する。この間も定期的にメモリ1142から画像データは読み出す。メ
モリ1142に新たな画像データを記憶し終わると、ディスプレイ1143における次の
フレーム期間において、メモリ1142に記憶されたデータを読み出し、読み出したデー
タを、ディスプレイコントローラ1141を介して、ディスプレイ1143に出力する。
データが入力されたディスプレイ1143は、入力された画像データに応じた画像を表示
する。上記読み出し動作は、さらに次のデータがメモリ1142に記憶されるまで継続さ
れる。このように、メモリ1142にデータを書き込み、読み出すことによって、ディス
プレイ1143により表示動作を行う。
【0345】
図20(A)及び図20(B)は、電動工具の例である。
【0346】
図20(A)に示す電動工具は、筐体1211と、先端工具1212と、トリガースイッ
チ1214と、蓄電装置1216と、着脱制御スイッチ1217と、を有する。なお、図
20(A)に示す電動工具を電動ドリルとしてもよい。又は、図20(A)に示す電動工
具を電動ドライバーとしてもよい。
【0347】
筐体1211は、ハンドル部1215を有する。
【0348】
先端工具1212としては、例えばドリル、プラスビット、又はマイナスビットなどを用
いることができる。なお、先端工具1212を着脱可能にし、用途に応じてドリル、プラ
スビット、又はマイナスビットを適宜選択して用いてもよい。
【0349】
図20(A)に示す電動工具では、電源スイッチをオン状態にし、ハンドル部1215を
握り、トリガースイッチ1214をオン状態にすることにより、先端工具1212を動作
させることができる。
【0350】
蓄電装置1216は、着脱制御スイッチ1217を切り替えることにより着脱可能である
。蓄電装置1216は、図18に示す携帯端末と同様に端子を有し、蓄電装置1216の
端子と、筐体1211に設けられた端子を接続することにより、蓄電装置1216から筐
体1211に電力を供給できる。
【0351】
図20(B)に示す電動工具は、筐体1221と、ブレード1222と、トリガースイッ
チ1224と、蓄電装置1226と、着脱制御スイッチ1227と、を有する。なお、図
20(B)に示す電動工具を電動カッターとしてもよい。
【0352】
筐体1221は、ハンドル部1225を有する。
【0353】
図20(B)に示す電動工具では、ハンドル部1225を握り、トリガースイッチ122
4をオン状態にすることにより、ブレード1222を回転させ、切断処理などを行うこと
ができる。
【0354】
蓄電装置1226は、着脱制御スイッチ1227を切り替えることにより着脱可能である
。蓄電装置1226は、図18に示す携帯端末と同様に端子を有し、蓄電装置1226の
端子と、筐体1221に設けられた端子を接続することにより、蓄電装置1226から筐
体1221に電力を供給できる。
【0355】
さらに、上記電気機器を充電する場合の例について図21を用いて説明する。
【0356】
図21(A)では、給電装置1300に図18に示す携帯端末1100を重畳させた例を
示している。
【0357】
図21(B)は、携帯端末の底面方向から表した図である。例えば電磁誘導式の場合、図
21(B)に示すように、携帯端末1100に設けられたアンテナ1311と、給電装置
1300に設けられたアンテナ1312と電磁結合させて電力伝送トランスを形成するこ
とにより、携帯端末1100に電力を供給できる。
【0358】
なお、図21(A)及び図21(B)では、給電装置1300に携帯端末1100を重畳
させた例を示しているが、図22に示すように、携帯端末1100から蓄電装置1113
を取り外して蓄電装置1113を給電装置1300に重畳させてもよい。
【0359】
なお、給電装置1300の構成は、特に限定されない。例えば、携帯端末1100の位置
を検出し、アンテナ1312を移動させて携帯端末1100に重畳させることにより充電
を行うムービングコイル式、又はアンテナ1312を複数設けて携帯端末1100に重畳
するアンテナ1312により充電を行う多コイル方式などを適用してもよい。
【0360】
給電装置1300により充電できる電気機器は、上記に限定されない。
【0361】
図23に、上記電気機器の具体的な構成を示す。図23において、給電装置1450から
電力の供給を行うことができる表示装置1400は、本発明の一態様に係る蓄電装置14
04を用いた電気機器の一例である。具体的に、表示装置1400は、TV放送受信用の
表示装置に相当し、筐体1401、表示部1402、スピーカ部1403、蓄電装置14
04等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置1404は、筐体1401の内部に設け
られている。表示装置1400は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄
電装置1404に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電
源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置1404を無停
電電源として用いることで、表示装置1400の利用が可能となる。
【0362】
表示部1402には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光
装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Devi
ce)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field
Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0363】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など
、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0364】
図23において、給電装置1450から電力の供給を行うことができる据え付け型の照明
装置1410は、本発明の一態様に係る蓄電装置1413を用いた電気機器の一例である
。具体的に、照明装置1410は、筐体1411、光源1412、蓄電装置1413等を
有する。蓄電装置1413には、給電装置1450から電力が供給される。図23では、
蓄電装置1413が、筐体1411及び光源1412が据え付けられた天井1414の内
部に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置1413は、筐体1411の内部に
設けられていても良い。照明装置1410は、商用電源から電力の供給を受けることもで
きるし、蓄電装置1413に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などに
より商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置14
13を無停電電源として用いることで、照明装置1410の利用が可能となる。
【0365】
なお、図23では天井1414に設けられた据え付け型の照明装置1410を例示してい
るが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井1414以外、例えば側壁1415、床1
416、窓1417等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上
型の照明装置などに用いることもできる。
【0366】
また、光源1412には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができ
る。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光
素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0367】
図23において、給電装置1450から電力の供給を行うことができる室内機1420及
び室外機1424を有するエアコンディショナは、本発明の一態様に係る蓄電装置142
3を用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機1420は、筐体1421、送風口
1422、蓄電装置1423等を有する。図23では、蓄電装置1423が、室内機14
20に設けられている場合を例示しているが、蓄電装置1423は室外機1424に設け
られていても良い。あるいは、室内機1420と室外機1424の両方に、蓄電装置14
23が設けられていても良い。エアコンディショナは、商用電源から電力の供給を受ける
こともできるし、蓄電装置1423に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内
機1420と室外機1424の両方に蓄電装置1423が設けられている場合、停電など
により商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置1
423を無停電電源として用いることで、エアコンディショナの利用が可能となる。
【0368】
なお、図23では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナを例
示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンデ
ィショナに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
【0369】
図23において、給電装置1450から電力の供給を行うことができる電気冷凍冷蔵庫1
430は、本発明の一態様に係る蓄電装置1434を用いた電気機器の一例である。具体
的に、電気冷凍冷蔵庫1430は、筐体1431、冷蔵室用扉1432、冷凍室用扉14
33、蓄電装置1434等を有する。図23では、蓄電装置1434が、筐体1431の
内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫1430は、商用電源から電力の供給を受けるこ
ともできるし、蓄電装置1434に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電
などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装
置1434を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫1430の利用が可能とな
る。
【0370】
図23において、給電装置1450から電力の供給を行うことができる時計1440は、
本発明の一態様に係る蓄電装置1441を用いた電気機器の一例である。
【0371】
なお、上述した電気機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電気
機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助
するための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電気機器の
使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
【0372】
また、電気機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量の
うち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄電
装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑える
ことができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫1430の場合、気温が低く、冷蔵室用扉143
2、冷凍室用扉1433の開閉が行われない夜間において、蓄電装置1434に電力を蓄
える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉1432、冷凍室用扉1433の開閉が行わ
れる昼間において、蓄電装置1434を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率
を低く抑えることができる。
【0373】
さらに、電気機器の一例である移動体の例について、図24を参照して説明する。
【0374】
先の実施の形態で説明した蓄電装置を制御用の蓄電装置に用いることができる。制御用の
蓄電装置は、プラグイン技術や非接触給電による外部からの電力供給により充電をするこ
とができる。なお、移動体が鉄道用電気車両の場合、架線や導電軌条からの電力供給によ
り充電をすることができる。
【0375】
図24(A)及び図24(B)は、給電装置1590から電力の供給を行うことができる
電気自動車の一例を示している。電気自動車1580には、本発明の一態様に係る蓄電装
置1581が搭載されている。蓄電装置1581には、給電装置1590から電力が供給
され、蓄電装置1581の電力は、制御回路1582により出力が調整されて、駆動装置
1583に供給される。制御回路1582は、図示しないROM、RAM、CPU等を有
する処理装置1584によって制御される。
【0376】
駆動装置1583は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を
組み合わせて構成される。処理装置1584は、電気自動車1580の運転者の操作情報
(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負
荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路1582に制御信号を出力する。制御回路1
582は、処理装置1584の制御信号により、蓄電装置1581から供給される電気エ
ネルギーを調整して駆動装置1583の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合
は、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
【0377】
蓄電装置1581は、給電装置1590からの電力供給により充電することができる。充
電は、AC/DCコンバータ等の変換装置を介して、一定の電圧値を有する直流定電圧に
変換して行うことができる。蓄電装置1581として、本発明の一態様に係る蓄電装置を
搭載することで、電池の高容量化などに寄与することができ、利便性を向上させることが
できる。
【0378】
図20乃至図24を用いて説明した給電装置としては、例えば実施の形態1に示す装置2
00を適用することができる。
【0379】
図20乃至図24を用いて説明した蓄電装置としては、例えば実施の形態1に示す装置1
00を適用することができる。
【0380】
なお、一つの給電装置1450で複数の蓄電装置に給電することもできる。例えば、給電
装置1450は、無線信号を用いてそれぞれの電気機器に確認信号を送信し、電気機器か
らの応答信号により各電気機器に順番に給電を行うことができる。このとき、それぞれの
蓄電装置は、衝突防止機能(アンチコリジョン機能)を有し、給電装置1450から受信
した電波に対して各蓄電装置がそれぞれ異なるタイミングで応答できるようにしてもよい
。例えば、蓄電装置毎に異なる識別データを有する場合には、識別データに基づいて応答
させる蓄電装置を選択することができるため、各蓄電装置は、異なるタイミングで応答す
ることができる。よって、例えば給電装置1450が複数の発振回路を有する場合、各発
振回路を制御することにより複数の蓄電装置に対して順番に給電を行うこともできる。又
は、各蓄電装置に対して同時に給電を行うこともできる。
【0381】
以上のように、本発明の一態様である蓄電装置は、様々な電気機器に適用できる。
【実施例
【0382】
本実施例では、蓄電装置の例について説明する。
【0383】
本実施例に係る蓄電装置は、コイン型の蓄電装置である。
【0384】
正極の作製では、表面に炭素層が形成されたLiFePO粒子とNMP(N-メチル-
ピロリドン)を混練機により2000rpmで3分間攪拌・混合を行った。
【0385】
次に、超音波振動を3分間加え、混練機により2000rpmで1分間攪拌・混合を行う
工程を5回繰り返し行った。
【0386】
次に、酸化グラフェンを該混合物に加え、混練機により2000rpmでの2分間の攪拌
・混合を8回行った。
【0387】
その後、結着剤としてpVdF(呉羽化学株式会社製)を加え混練機により2000rp
mでの2分間の攪拌・混合を1回行った。
【0388】
さらに、NMPを添加して2000rpmで2分間の攪拌・混合を行う工程を、試料が塗
工に適した粘度になるまで繰り返し行った。
【0389】
なお、炭素層が形成されたLiFePO粒子、酸化グラフェン、pVdFの配合比を9
1.4:0.6:8(単位:wt%)とした。
【0390】
以上の工程によりスラリーを形成した。さらに、スラリーを、塗工装置(アプリケータ)
を用いて厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗工した。このとき、塗工装置の塗工部と塗
工面との間隔を230μmとし、塗工の速度を10mm/secとした。
【0391】
上記試料を80℃の温度で40分間熱風乾燥した後、ロールプレス機を用いてプレスを行
った。さらに、減圧雰囲気下で170℃の温度で10時間加熱し、再度プレスを行い、得
られた電極の一部を打ち抜くことにより正極を作製した。なお、プレス機のロールの温度
を120℃とし、正極の厚さが20%減少する条件でプレスを行った。正極において、活
物質層の厚さは、58μmであり、電極密度は、1.82g/cmであり、LiFeP
の担持量は約9.7mg/cmであり、単極理論容量は約1.6mAh/cm
ある。
【0392】
上記表面に炭素層が形成されたLiFePO粒子は、固相法を用いて作製した材料であ
る。表面に炭素層が形成されたLiFePO粒子の作製では、ドライルーム環境下(露
点-55℃~-70℃)において、原料としてLiCO:FeC・2HO:
NHPO=2:1:1のモル比となるように原料を秤量した。
【0393】
次に、これらを、ボールミルを用いて混合・粉砕した。ボールミルは、遊星回転式ボール
ミルであり、500mlのジルコニアポットと、直径3mm、300gのジルコニアボー
ルを用い、総量150gの上記原料を回転数300rpmで2時間処理を行った。混合・
粉砕には、溶媒として250mlのアセトン(関東化学株式会社製、全体に対して0.0
068%の水を含む)を用いた。
【0394】
次に、ドライルーム環境下において、ホットプレートを用いて、50℃で1時間以上2時
間以下の乾燥を行った。
【0395】
その後、上記ドライルーム環境下で真空乾燥機を用いて0.1MPaの真空中で、80℃
で2時間の乾燥を行った。
【0396】
次に、マッフル炉を用いて、350℃10時間の焼成を行った。このとき、N流量は、
5l/minである。
【0397】
次に、焼成した試料に対してグルコースを10wt%秤量し、焼成した試料とグルコース
をボールミルを用いて混合・粉砕した。ここでは、上記混合・粉砕の工程と同じ装置、方
法を用いて混合・粉砕を行った。
【0398】
次に、上記ドライルーム環境下において、ホットプレートを用いて、50℃で1時間以上
2時間以下の乾燥を行った。
【0399】
その後、上記ドライルーム環境下で真空乾燥機を用いて0.1MPaの真空中で、80℃
で2時間乾燥を行った。
【0400】
次に、マッフル炉を用いて、600℃10時間の焼成を行った。
【0401】
その後、上記ドライルーム環境下で、ボールミルを用いて凝集した活物質粒子の解砕を行
った。この解砕工程は、上述した原料の混合・粉砕と同一の条件で行ったが、回転数20
0rpm、処理時間を30分とした点において異なる。
【0402】
次に、上記ドライルーム環境下において、ホットプレートを用いて、50℃で1時間以上
2時間以下の乾燥を行った。
【0403】
その後、上記ドライルーム環境下で、真空乾燥機を用いて0.1MPaの真空中で、17
5℃の温度で2時間乾燥を行った。
【0404】
以上の工程により、表面に炭素層が形成されたLiFePO粒子を作製した。得られた
LiFePOの一次粒子の径は、50nm以上300nm以下であり、二次粒子の径は
、2μm以下であった。
【0405】
酸化グラフェンは、Hummers法を用いて作製した材料である。酸化グラフェンの作
製では、グラファイトと、KMOと、硫酸と混合しグラファイトを酸化させる。さらに
塩酸で洗浄した後、水に分散させ超音波洗浄機を用いてグラファイトの一部を剥離する。
その後塩酸を除去し、減圧下でエバポレータ、エタノールを用いて水分を除去する。さら
に、得られた試料をダンシングミルで粉砕し乾燥させる。以上の工程により酸化グラフェ
ンを作製した。
【0406】
負極の作製では、粒子の表面に酸化珪素層が形成されたMCMBと、NMPと、pVdF
と、を混練機により2000rpmで5分間攪拌・混合を行った。なお、MCMBに対す
るpVdFの重量比を10wt%(重量パーセント)とした。
【0407】
さらに、NMPを添加して2000rpmで5分間の攪拌・混合を行う工程を、試料が塗
工に適した粘度になるまで繰り返し行った。
【0408】
以上の工程によりスラリーを形成した。さらに、スラリーを、塗工装置(アプリケータ)
を用いて厚さ18μmの銅箔上に塗工した。このとき、塗工装置の塗工部と塗工面との間
隔を230μmとし、塗工の速度を10mm/secとした。
【0409】
上記試料を70℃の温度で40分間熱風乾燥させた後、ロールプレス機を用いプレスを行
った。さらに減圧雰囲気下で170℃の温度で10時間加熱し、再度プレスを行い、得ら
れた電極の一部を打ち抜くことにより負極を作製した。なお、プレス機のロールの温度を
120℃とし、正極の厚さが20%減少する条件でプレスを行った。なお、負極において
、活物質層の厚さは89μmであり、電極密度は1.42g/cmであり、MCMBの
担持量は約11.4mg/cmであり、単極理論容量は約4.2mAh/cmである
【0410】
酸化珪素層が形成されたMCMB粒子は、ゾルゲル法を用いて作製した材料である。酸化
珪素層が形成されたMCMB粒子の作製では、シリコンエトキシドと、塩酸と、トルエン
を加え、撹拌してSi(OEt)トルエン溶液を作製した。このとき、後に生成される
酸化珪素の割合がMCMBに対して1wt%(重量パーセント)になるようにシリコンエ
トキシドの量を決定した。この溶液の配合比は、Si(OEt)を3.14×10―4
mol、1Nの塩酸を2.91×10―4mol、トルエンを2mlとした。
【0411】
次に、上記ドライルーム環境下において、Si(OEt)トルエン溶液に、平均粒径が
9μmのMCMBを添加して撹拌した。この後、湿気環境において、70℃で3時間溶液
を保持した。
【0412】
次に、マッフル炉を用いて、窒素雰囲気下において500℃、3時間の焼成を行った。
【0413】
その後、乳鉢で凝集した活物質粒子の解砕を行うことにより、酸化珪素層が形成されたM
CMB粒子を作製した。
【0414】
さらに、上記正極及び負極を用いてCR2032タイプ(直径20mm、高さ3.2mm
)のコイン型セルを作製した。このとき、セパレータとしては、厚さ25μmのポリプロ
ピレンを用いた。また、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカー
ボネート(DEC)とを体積比で3:7の割合で混合し、混合した溶液に六フッ化リン酸
リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解することにより作製した電解液
を用いた。
【0415】
さらに、作製したコイン型セルの充放電容量を評価した。評価では、定電流充放電装置(
東洋システム製TOSCAT-3100)を用い、環境温度を25℃、充放電レートを0
.2C(34mA/g)、上限電圧を4.0V、下限電圧2.0Vでコイン型セルの充放
電試験を行った。
【0416】
充放電試験の結果を図25に示す。図25は、横軸に容量(mAh/g)を、縦軸に電圧
(V)を示す。なお、充放電評価のサンプル数を3とし、それぞれの結果を実線、鎖線、
点線で示す。
【0417】
図25から、いずれのサンプルも充電容量及び放電容量の最大値が120mAh/g程度
であることがわかる。よって、上記正極及び負極を用いて蓄電装置を構成することができ
ることが確認できた。
【符号の説明】
【0418】
100 装置
110 データ
111 蓄電体
113 回路
114 アンテナ
115 回路
116 回路
118 アンテナ
119 回路
121 回路
131 トランジスタ
132 トランジスタ
141 回路
142 回路
143 負荷
150 トランジスタ
170 トランジスタ
191 回路
192 インターフェース
193 回路
194 回路
200 装置
211 回路
212 アンテナ
213 回路
214 回路
215 回路
221 回路
222 回路
223 アンテナ
230 回路
231 回路
235 センサ
240 外部電源
400 メモリセル
411 トランジスタ
412 トランジスタ
413 容量素子
631 トランジスタ
632 容量素子
633 トランジスタ
634 トランジスタ
635 トランジスタ
636 インバータ
637 容量素子
651 記憶回路
652 記憶回路
653 セレクタ
654 セレクタ
701 ユニット
702 ユニット
703 ユニット
704 ユニット
710 プロセッサ
711 バスブリッジ
712 メモリ
713 メモリインターフェース
715 クロック生成回路
720 コントローラ
721 コントローラ
722 I/Oインターフェース
730 パワーゲートユニット
731 スイッチ
732 スイッチ
740 クロック生成回路
741 水晶発振回路
742 発振子
743 水晶振動子
745 タイマー回路
746 I/Oインターフェース
750 I/Oポート
751 コンパレータ
752 I/Oインターフェース
761 バスライン
762 バスライン
763 バスライン
764 データバスライン
770 接続端子
771 接続端子
772 接続端子
773 接続端子
774 接続端子
775 接続端子
776 接続端子
780 レジスタ
783 レジスタ
784 レジスタ
785 レジスタ
786 レジスタ
787 レジスタ
801 トランジスタ
802 トランジスタ
803 端子部
811a 導電層
811b 導電層
811c 導電層
813 酸化物半導体層
814 絶縁層
815a 導電層
815b 導電層
815c 導電層
816 絶縁層
818 導電層
821 配線層
822 配線層
823 配線層
824 配線層
825 配線層
826 配線層
831a 配線層
831b 配線層
832a 配線層
832b 配線層
833a 配線層
833b 配線層
834a 配線層
834b 配線層
835a 配線層
835b 配線層
836a 配線層
836b 配線層
837a 配線層
837b 配線層
838a 配線層
838b 配線層
900 回路基板
910 ラベル
911 端子
912 回路
913 蓄電体
914 アンテナ
915 アンテナ
916 層
917 層
918 アンテナ
919 端子
920 表示装置
921 センサ
922 端子
930 筐体
931 負極
932 正極
933 セパレータ
951 端子
952 端子
961 負極集電体
962 負極活物質層
973 負極活物質
974 導電助剤
975 グラフェン
981 正極集電体
982 正極活物質層
983 正極活物質
984 グラフェン
991 正極集電体
992 正極活物質層
993 正極
994 負極集電体
995 負極活物質層
996 負極
997 セパレータ
998 電解液
999 外装体
1100 携帯端末
1111 筐体
1112 表示部
1113 蓄電装置
1114 電源スイッチ
1121 端子
1122 端子
1131 無線通信回路
1132 アナログベースバンド回路
1133 デジタルベースバンド回路
1134 蓄電装置
1135 電源回路
1136 アプリケーションプロセッサ
1137 CPU
1141 ディスプレイコントローラ
1142 メモリ
1143 ディスプレイ
1144 表示部
1145 ソースドライバ
1146 ゲートドライバ
1148 キーボード
1149 タッチセンサ
1211 筐体
1212 先端工具
1214 トリガースイッチ
1215 ハンドル部
1216 蓄電装置
1217 着脱制御スイッチ
1221 筐体
1222 ブレード
1224 トリガースイッチ
1225 ハンドル部
1226 蓄電装置
1227 着脱制御スイッチ
1300 給電装置
1311 アンテナ
1312 アンテナ
1400 表示装置
1401 筐体
1402 表示部
1403 スピーカ部
1404 蓄電装置
1410 照明装置
1411 筐体
1412 光源
1413 蓄電装置
1414 天井
1415 側壁
1416 床
1417 窓
1420 室内機
1421 筐体
1422 送風口
1423 蓄電装置
1424 室外機
1430 電気冷凍冷蔵庫
1431 筐体
1432 冷蔵室用扉
1433 冷凍室用扉
1434 蓄電装置
1440 時計
1441 蓄電装置
1450 給電装置
1580 電気自動車
1581 蓄電装置
1582 制御回路
1583 駆動装置
1584 処理装置
1590 給電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25