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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20231215BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20231215BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20231215BHJP
   H01F 27/22 20060101ALI20231215BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
H02M3/28 Y
H01F30/10 S
H01F30/10 M
H01F30/10 C
H01F37/00 S
H01F37/00 M
H01F37/00 C
H01F27/22
H01F27/28 176
H01F27/28 147
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022134762
(22)【出願日】2022-08-26
(62)【分割の表示】P 2021147393の分割
【原出願日】2021-09-10
(65)【公開番号】P2023041014
(43)【公開日】2023-03-23
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 崇志
(72)【発明者】
【氏名】三木 省吾
(72)【発明者】
【氏名】小玉 勝久
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-090523(JP,A)
【文献】特開2015-084609(JP,A)
【文献】特開2002-369527(JP,A)
【文献】特開2016-220361(JP,A)
【文献】特開2012-231616(JP,A)
【文献】特開2009-224392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
H02M 7/42-7/98
H01F 30/10
H01F 37/00
H01F 27/22
H01F 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバスバーと、
少なくとも二つの前記バスバーが互いに重なって電気的に接続された接続部分を締結すると共に前記接続部分と熱的に接続され、熱伝導性を有した第一の締結部材と、
複数の前記バスバーに対向した冷却面を有した冷却器と、
前記冷却面と前記バスバーとの間に設けられ、熱伝導性及び電気絶縁性を有した絶縁部材と、
磁性コアと、を備え、
前記第一の締結部材は、前記接続部分よりも前記冷却器の方向に延出し、前記絶縁部材を介して、前記冷却面に熱的に接続された第一延出部を有し、
前記磁性コアは、前記冷却面から離れる方向に延出した部分であるコア延出部を有し、
前記バスバーは、前記コア延出部の周りを、前記冷却面に沿って湾曲したコイル部を有し、
前記磁性コアは、前記冷却面に熱的に接続され
前記バスバーにおける前記接続部分以外の非接続部分は、前記冷却器から離間した部分から前記冷却器の方向に折り曲げられて突出した突出部を有し、
前記突出部は、前記絶縁部材を介して、前記冷却面に熱的に接続され、
電子部品と、
前記バスバーにおける前記接続部分以外の非接続部分に、前記電子部品を熱的または電気的に接続し、熱伝導性を有した第二の締結部材と、をさらに備え、
前記第二の締結部材は、前記第二の締結部材が接続された前記非接続部分の部分よりも前記冷却器の方向に延出し、前記絶縁部材を介して、前記冷却面に熱的に接続された第二延出部を有している電力変換装置。
【請求項2】
前記磁性コアは、環状の外周コア、及び前記外周コアにおける対向する二つの部分の間を接続した柱状の前記コア延出部である中心コアを有している請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記磁性コア及び前記コイル部を有する磁性部品を複数備えた請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記コイル部を有した前記バスバーは、前記第一の締結部材により他の前記バスバーに締結されている請求項1から3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
第一の前記磁性コアと、第一の前記磁性コアの前記コア延出部の周りを湾曲した第一の前記コイル部を有する第一の前記バスバーと、第二の前記磁性コアと、第二の前記磁性コアの前記コア延出部の周りを湾曲した第二の前記コイル部を有する第二の前記バスバーと、を備え、
第一の前記バスバーと第二の前記バスバーとが前記第一の締結部材により締結されている請求項1から4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
第一の前記磁性コアと、第一の前記磁性コアの前記コア延出部の周りを湾曲した第一の前記コイル部を有する第一の前記バスバーと、第一の前記磁性コアの前記コア延出部の周りを湾曲した追加の前記コイル部を有する追加の前記バスバーと、第一の前記バスバーと追加の前記バスバーとが互いに重なって電気的に接続された追加接続部分を締結すると共に前記追加接続部分と熱的に接続され、熱伝導性を有した追加の締結部材と、を備え、
第一の前記コイル部及び追加の前記コイル部は、第一の前記磁性コアの前記コア延出部の周りの電流の流れる向きが同じであり、
前記追加の締結部材は、前記追加接続部分よりも前記冷却器の方向に延出し、前記絶縁部材を介して、前記冷却面に熱的に接続された追加延出部を有している請求項1から5のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
複数の前記バスバー、前記第一の締結部材、及び前記第二の締結部材の一つ以上を一体成形した樹脂部材を備え、
前記樹脂部材は、前記冷却面に固定されている請求項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記樹脂部材に一体成形された部分を有し、熱伝導性を有した第三の締結部材を備え、
前記樹脂部材に一体成形されていない前記バスバーである非成形バスバーは、前記第三の締結部材により前記樹脂部材に固定され、
前記第三の締結部材の前記樹脂部材に一体成形された部分は、前記第三の締結部材が接続された前記非成形バスバーの部分よりも前記冷却器の方向に延出し、前記樹脂部材から露出した部分において、前記絶縁部材を介して、前記冷却面に熱的に接続された第三延出部を有している請求項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記樹脂部材に一体成形されていない前記バスバーである非成形バスバーは、少なくとも2つの突起部を有し、前記樹脂部材は、少なくとも2つの凹部を有し、前記非成形バスバーの少なくとも2つの前記突起部と前記樹脂部材の少なくとも2つの前記凹部とが、それぞれ互いに嵌め合って、位置決めされ、
または、前記樹脂部材に一体成形されていない前記バスバーである非成形バスバーは、少なくとも2つの凹部を有し、前記樹脂部材は、少なくとも2つの突起部を有し、前記非成形バスバーの少なくとも2つの前記凹部と前記樹脂部材の少なくとも2つの前記突起部とが、それぞれ互いに嵌め合って、位置決めされている請求項またはに記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記冷却面は、少なくとも2つの凹部を有し、前記樹脂部材は、少なくとも2つの突起部を有し、前記冷却面の少なくとも2つの前記凹部と前記樹脂部材の少なくとも2つの前記突起部とが、それぞれ互いに嵌め合って、位置決めされ、
または、前記冷却面は、少なくとも2つの突起部を有し、前記樹脂部材は、少なくとも2つの凹部を有し、前記冷却面の少なくとも2つの前記突起部と前記樹脂部材の少なくとも2つの前記凹部とが、それぞれ互いに嵌め合って、位置決めされている請求項からのいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記樹脂部材は、少なくとも、前記第一の締結部材及び前記第二の締結部材を一体成形し、
一体成形された前記第一の締結部材及び前記第二の締結部材は、前記樹脂部材から前記冷却器の側に突出し、前記絶縁部材を介して、前記冷却面に熱的に接続されている請求項から10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記樹脂部材は、少なくとも、前記バスバーを一体成形し、
一体成形された前記バスバーにおける前記接続部分以外の非接続部分は、前記冷却器から離間した部分から前記冷却器の方向に折り曲げられて突出した成形バスバー突出部を有し、
前記成形バスバー突出部は、前記樹脂部材から前記冷却器の側に突出し、前記絶縁部材を介して、前記冷却面に熱的に接続されている請求項から11のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車または電気自動車のように、駆動源にモータが用いられている電動車両には、複数の電力変換装置が搭載されている。電力変換装置は、入力電流を直流から交流、交流から直流、または入力電圧を異なる電圧に変換する装置である。電動化車両に搭載される電力変換装置として、具体的には、商用の交流電力を直流電力に変換して高圧バッテリに充電する充電器、高圧バッテリの直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC/DCコンバータ、高圧バッテリからの直流電力をモータへの交流電力に変換するインバータ等が挙げられる。
【0003】
DC/DCコンバータは、例えば、一次側コイルと二次側コイルとを有するトランス、トランスの二次側コイルに誘起される電圧を整流する電子部品、及びトランスの二次側コイルに接続されるチョークコイルを備える。電動化が進む車載装置において、電力変換装置の数が増加すると共に、電力変換装置は大電力化している。コイル等で変換した電力を効率よく伝送するために、部品間をバスバーで接続する手段が大電力化する電力変換装置によく用いられるようになってきた。
【0004】
車内空間の拡大、燃費及び電費の向上、コストの低減などを目的として、上述した電動車両に用いられる電力変換装置及び電力変換装置に搭載される部品は、小型化が求められている。電力変換装置に搭載される部品のうち、例えばコイル及びバスバーは、小型化すると損失が増加し、かつ損失密度が増加して高温になる。そのため、冷却構造を設けて積極的にコイル及びバスバーを冷却してこれらの温度を下げることで、コイル及びバスバーの小型化を実現している。
【0005】
具体的な冷却構造として、バスバーの一部を冷却のために拡大し、絶縁シートなどを介して冷却器に接続することで、バスバーの熱を冷却器に放熱する冷却構造が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-22239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1においては、バスバーの拡大された部分が冷却器に熱的に接続されるため、バスバーの熱を冷却器に放熱することができる。しかしながら、バスバーの一部を拡大し、拡大された部分を用いてバスバーの熱を冷却器に放熱させる冷却構造であるため、バスバーが大型化するという課題があった。また、バスバーが大型化するため、バスバーのコストが増加するという課題があった。
【0008】
そこで、本願は、バスバーで生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示される電力変換装置は、複数のバスバーと、少なくとも二つのバスバーが互いに重なって電気的に接続された接続部分を締結すると共に接続部分と熱的に接続され、熱伝導性を有した第一の締結部材と、複数のバスバーに対向した冷却面を有した冷却器と、冷却面とバスバーとの間に設けられ、熱伝導性及び電気絶縁性を有した絶縁部材と、磁性コアとを備え、第一の締結部材は、接続部分よりも冷却器の方向に延出し、絶縁部材を介して、冷却面に熱的に接続された第一延出部を有し、磁性コアは、冷却面から離れる方向に延出した部分であるコア延出部を有し、バスバーは、コア延出部の周りを、冷却面に沿って湾曲したコイル部を有し、磁性コアは、冷却面に熱的に接続され、バスバーにおける接続部分以外の非接続部分は、冷却器から離間した部分から冷却器の方向に折り曲げられて突出した突出部を有し、突出部は、絶縁部材を介して、冷却面に熱的に接続され、電子部品と、バスバーにおける接続部分以外の非接続部分に、電子部品を熱的または電気的に接続し、熱伝導性を有した第二の締結部材と、をさらに備え、第二の締結部材は、第二の締結部材が接続された非接続部分の部分よりも冷却器の方向に延出し、絶縁部材を介して、冷却面に熱的に接続された第二延出部を有しているものである。


【発明の効果】
【0010】
本願に開示される電力変換装置によれば、複数のバスバーと、少なくとも二つのバスバーが互いに重なって電気的に接続された接続部分を締結すると共に接続部分と熱的に接続され、熱伝導性を有した第一の締結部材と、複数のバスバーに対向した冷却面を有した冷却器と、冷却面とバスバーとの間に設けられ、熱伝導性及び電気絶縁性を有した絶縁部材と、磁性コアとを備え、第一の締結部材は、接続部分よりも冷却器の方向に延出し、絶縁部材を介して、冷却面に熱的に接続された第一延出部を有し、磁性コアは、冷却面から離れる方向に延出した部分であるコア延出部を有し、バスバーは、コア延出部の周りを、冷却面に沿って湾曲したコイル部を有し、磁性コアは、冷却面に熱的に接続されているため、第一延出部が絶縁部材を介して冷却面に熱的に接続されるので、第一の締結部材により締結された複数のバスバーと冷却器の絶縁を確保しつつ、複数のバスバーで生じた熱を冷却器に放熱することができる。また、第一の締結部材により締結された複数のバスバーの端部がバスバーの他の部分と同じ幅であるため、接続部分のバスバーの幅を拡大させる必要がないので、バスバーで生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置を得ることができる。また、磁性コアが冷却面に熱的に接続されているため、磁性コア及びコイル部で生じた熱を容易に冷却器に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る電力変換装置の概略を示す斜視図である。
図2図1のA-A断面位置で切断した電力変換装置の概略を示す断面図である。
図3】実施の形態1に係る電力変換装置の要部の概略を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る別の電力変換装置の要部の概略を示す断面図である。
図5】実施の形態1に係る別の電力変換装置の要部の概略を示す断面図である。
図6】実施の形態1に係る別の電力変換装置の要部の概略を示す断面図である。
図7】実施の形態1に係る別の電力変換装置の要部を示す断面図である。
図8】実施の形態2に係る電力変換装置の要部の概略を示す断面図である。
図9】実施の形態2に係る別の電力変換装置の要部の概略を示す断面図である。
図10】実施の形態2に係る別の電力変換装置の要部の概略を示す断面図である。
図11】実施の形態3に係る電力変換装置の概略を示す断面図である。
図12】実施の形態4に係る電力変換装置の回路の概略を示す図である。
図13】実施の形態4に係る電力変換装置の要部の概略を示す斜視図である。
図14】実施の形態4に係る電力変換装置の要部の概略を示す斜視図である。
図15】実施の形態4に係る別の電力変換装置の磁性コアの概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の実施の形態による電力変換装置を図に基づいて説明する。なお、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る電力変換装置1の概略を示す斜視図で、電力変換装置1が備えた電気部品の間を接続する部分である。図2図1のA-A断面位置で切断した電力変換装置1の概略を示す断面図、図3は電力変換装置1の要部の概略を示す斜視図で、樹脂部材6を取り除き、冷却器5を省略して示した図である。電力変換装置1は、入力電流を直流から交流、交流から直流、または入力電圧を異なる電圧に変換する装置である。
【0014】
<電力変換装置1>
電力変換装置1は、複数のバスバーと、第一の締結部材21と、第二の締結部材22と、固定部材23と、絶縁部材4、冷却器5と、電子部品7とを備える。電力変換装置1は、複数のバスバー、第一の締結部材21、及び第二の締結部材22の一つ以上を一体成形した樹脂部材6を備える。本実施の形態では、電力変換装置1は、複数のバスバーとして、バスバー11、12を備える。また本実施の形態では、バスバー12と、第一の締結部材21、第二の締結部材22、及び固定部材23の締結部21a、22a、23aとが樹脂部材6により一体成形されている。樹脂部材6により一体成形されることで、バスバー12、第一の締結部材21、第二の締結部材22、及び固定部材23の位置が決定する。さらにバスバー12に接続されるバスバー11、及びバスバー11に接続される電子部品7の位置が決定する。
【0015】
第一の締結部材21による放熱経路について説明する。第一の締結部材21は、図2に示すように、バスバー11、12の端部が互いに重なって電気的に接続された接続部分30を締結すると共に接続部分30と熱的に接続される。第一の締結部材21は熱伝導性を有する。バスバーの個数は少なくとも2つあればよい。バスバーの個数は2つに限るものではなく、3つのバスバーが互いに重なって電気的に接続された部分を第一の締結部材21により締結しても構わない。第一の締結部材21により締結されるバスバー11、12の端部の幅は、バスバー11、12の他の部分の幅と同じである。冷却器5は、バスバー11、12に対向した冷却面5aを有する。図2において、冷却面5aに垂直な方向をZ方向、冷却面5aの形成された方向をXY方向とする。絶縁部材4は、冷却面5aとバスバー11、12との間に設けられ、熱伝導性及び電気絶縁性を有する。第一の締結部材21は、接続部分30よりも冷却器5の方向に延出し、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された第一延出部21a1を有している。
【0016】
このように構成することで、バスバー11、12を締結した第一の締結部材21の第一延出部21a1が、絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11、12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー11、12で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。第一の締結部材21により締結されるバスバー11、12の端部がバスバー11、12の他の部分と同じ幅であるため、接続部分30のバスバー11、12の幅を拡大させる必要がないので、バスバー11、12で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。
【0017】
各部位の詳細について説明する。バスバー11、12は、例えば、電気伝導度が高い銅、アルミニウムから作製される。バスバー11、12は、一定の厚みを有した金属平板をプレス金型などにより打ち抜いた板金により作製される。バスバー12は、板金にさらに折り曲げ加工を施すことで作製される。バスバー11、12の作製方法はプレス金型による打ち抜きに限るものではなく、金属平板にレーザー加工、エッチングなどを施してバスバー11、12を作製しても構わない。これらの製造方法を使用することで、バスバー11、12を容易に作製することができる。
【0018】
第一の締結部材21は、ねじ穴が形成された締結部21aと、ねじ21bとから構成される。締結部21aの冷却面5aの側の部分が第一延出部21a1である。第二の締結部材22は、ねじ穴が形成された締結部22aと、ねじ22bとから構成される。固定部材23は、樹脂部材6に一体成形された筒状の締結部23aと、ねじ23bとから構成される。冷却器5にねじ穴5bが形成され、樹脂部材6は、固定部材23により冷却面5aに固定されている。第一の締結部材21、第二の締結部材22、及び固定部材23は、例えば、鉄またはステンレスなどの金属により作製される。
【0019】
樹脂部材6は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の絶縁性に優れた樹脂材料により、例えば射出成形で作製される。樹脂部材6の射出成形により、バスバー12と、第一の締結部材21、第二の締結部材22、及び固定部材23の締結部21a、22a、23aとが容易に一体化される。一体化された成形品を冷却器5に固定することで、バスバー12と、締結部21a、22a、23aとを容易に冷却器5に固定することができる。成形品の冷却器5への固定により、バスバー12等の複数の部材の冷却器5への固定の製造工程が簡略化されるので、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。電力変換装置1の生産性が向上するため、電力変換装置1の製造コストを削減することができる。
【0020】
冷却器5は、例えばアルミニウムからダイカストにて作製される。冷却器5の冷却面5aとは反対側の面に、フィンを設けても構わない。または、冷媒が流れる流路を設けても構わない。冷却面5aは、少なくとも2つの凹部5cを有し、樹脂部材6は、少なくとも2つの突起部6aを有する。本実施の形態では、冷却面5aは2つの凹部5c有し、樹脂部材6は2つの突起部6aを有する。冷却面5aの2つの凹部5cと樹脂部材6の2つの突起部6aとがそれぞれ互いに嵌め合って、冷却器5と樹脂部材6とはXY方向において位置決めされている。冷却器5と樹脂部材6との位置決めの構成はこれに限るものではなく、図7に示した構成でも構わない。図7は、実施の形態1に係る別の電力変換装置1の要部を示す断面図である。冷却面5aは2つの突起部5dを有し、樹脂部材6は2つの凹部6bを有する。図7では、1つの突起部5dとそれに嵌め合う1つの凹部6bのみを示す。冷却面5aの2つの突起部5dと樹脂部材6の2つの凹部6bとがそれぞれ互いに嵌め合って、冷却器5と樹脂部材6とはXY方向において位置決めされている。このように構成することで、冷却器5と樹脂部材6のXY方向における位置決めを容易に行うことができる。位置決めを容易に行うことができるので、樹脂部材6の冷却器5への組み付け工程が容易になり、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。
【0021】
絶縁部材4は、熱伝導性及び電気絶縁性に優れた放熱シート等により作製される。絶縁部材4は、バスバー11、12と冷却器5との間の絶縁を確保しつつ、バスバー11、12の熱を冷却器5に放熱する機能を有する。絶縁部材4は、シリコーンゴム等の厚み方向に変形可能な性能を有した材料により作製しても構わない。絶縁部材4が厚み方向に変形可能な場合、第一の締結部材21及び第二の締結部材22のZ方向の寸法公差のばらつきを絶縁部材4の変形により吸収することができる。また、絶縁部材4が厚み方向に変形可能な場合、バスバー12と、第一の締結部材21、第二の締結部材22、及び固定部材23の一部とが一体化された成形品の成形時に発生するZ方向の寸法公差のばらつきを絶縁部材4の変形により吸収することができる。
【0022】
樹脂部材6が、少なくとも、第一の締結部材21及び第二の締結部材22を一体成形した場合、図2に示すように、一体成形された第一の締結部材21及び第二の締結部材22は、樹脂部材6から冷却器5の側に突出し、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続されている構成でも構わない。このように構成することで、第一の締結部材21及び第二の締結部材22と冷却面5aとを確実に熱的に接続することができる。第一の締結部材21及び第二の締結部材22と冷却面5aとを確実に熱的に接続できるので、バスバー11、12で生じた熱を確実に冷却器5に放熱することができる。なお、一体成形された第一の締結部材21及び第二の締結部材22が樹脂部材6から冷却器5の側に突出した構成に限るものではなく、第一の締結部材21、第二の締結部材22、及び樹脂部材6の冷却器5の側の面がZ方向に同じ高さの面であっても構わない。第一の締結部材21、第二の締結部材22、及び樹脂部材6の冷却器5の側の面が同じ高さの面であっても、一体化された成形品は絶縁部材4を押圧して冷却器5に固定されるため、第一の締結部材21及び第二の締結部材22と冷却面5aとを熱的に接続することができる。
【0023】
<第二の締結部材22>
本実施の形態における電力変換装置1は、第一の締結部材21による放熱経路に加えて、第二の締結部材22による放熱経路を備える。電力変換装置1は、電子部品7と、バスバー11における接続部分30以外の非接続部分に、電子部品7を熱的または電気的に接続する第二の締結部材22を備える。第二の締結部材22は熱伝導性を有する。本実施の形態では、電子部品7は、例えば温度センサである。温度センサは、バスバー11に熱的に接続される。温度センサは、電力変換装置1の動作時にバスバー11の温度を測定する。電子部品7は温度センサに限るものではなく、ダイオードなどバスバー11に電気的に接続される部品であっても構わない。第二の締結部材22は、第二の締結部材22が接続された非接続部分の部分よりも冷却器5の方向に延出し、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された第二延出部22a1を有している。第二の締結部材22により電子部品7を熱的または電気的に接続するバスバー11の部分の幅は、バスバー11の他の部分の幅と同じである。本実施の形態のように、第二の締結部材22の締結部22aが樹脂部材6により一体化されている場合、バスバー11は第二の締結部材22により樹脂部材6に固定される。
【0024】
このように構成することで、バスバー11に電子部品7を接続した第二の締結部材22の第二延出部22a1が、絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー11で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。第二の締結部材22により電子部品7を接続したバスバー11の部分の幅がバスバー11の他の部分の幅と同じであるため、バスバー11の幅を拡大させる必要がないので、バスバー11で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。バスバー12よりも冷却器5から離れた位置に設けられたバスバー11に第二の締結部材22による放熱経路を設けることで、放熱しにくい位置に設けられたバスバー11で生じた熱を効率よく冷却器5に放熱することができる。
【0025】
<バスバー12>
本実施の形態における電力変換装置1は、第一の締結部材21及び第二の締結部材22による放熱経路に加えて、バスバー12の突出部12aによる放熱経路を備える。バスバー12における接続部分30以外の非接続部分は、冷却器5から離間した部分から冷却器5の方向に折り曲げられて突出した突出部12aを有する。突出部12aは、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続されている。突出部12aは、接続部分30と接続部分30とは反対側の端部12bとの間に設けられる。バスバー12の突出部12aの部分の幅は、図3に示すように、バスバー12の他の部分の幅と同じである。突出部12aの冷却器5の側のZ方向の高さは、第一の締結部材21及び第二の締結部材22の冷却器5の側の高さと同じである。
【0026】
このように構成することで、バスバー12の突出部12aが絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー12で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。バスバー12の突出部12aの部分の幅がバスバー12の他の部分の幅と同じであるため、バスバー12の幅を拡大させる必要がないので、バスバー12で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。
【0027】
本実施の形態では、バスバー12は樹脂部材6により一体成形されているが、突出部12aを有するバスバー12は、樹脂部材6により一体成形されていなくても構わない。樹脂部材6が、少なくとも、バスバー12を一体成形した場合、図2に示すように、一体成形されたバスバー12における接続部分30以外の非接続部分は、冷却器5から離間した部分から冷却器5の方向に折り曲げられて突出した成形バスバー突出部12a1を有する。成形バスバー突出部12a1は、樹脂部材6から冷却器5の側に突出し、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続されている。このように構成することで、成形バスバー突出部12a1と冷却面5aとを確実に熱的に接続することができる。成形バスバー突出部12a1と冷却面5aとを確実に熱的に接続できるので、バスバー12で生じた熱を容易に冷却器5に放熱することができる。なお、一体成形されたバスバー12の成形バスバー突出部12a1が樹脂部材6から冷却器5の側に突出した構成に限るものではなく、成形バスバー突出部12a1、及び樹脂部材6の冷却器5の側の面がZ方向に同じ高さの面であっても構わない。成形バスバー突出部12a1、及び樹脂部材6の冷却器5の側の面が同じ高さの面であっても、一体化された成形品は絶縁部材4を押圧して冷却器5に固定されるため、成形バスバー突出部12a1と冷却面5aとを熱的に接続することができる。
【0028】
本実施の形態における電力変換装置1は、第一の締結部材21、第二の締結部材22、及びバスバー12の突出部12aによる放熱経路を備えることができる。このように電力変換装置1が複数の放熱経路を有した場合、バスバー11、12の熱を効率的に放熱することができる。バスバー11、12の熱を効率的に放熱できるため、バスバー11、12の断面積を低減することができる。バスバー11、12の断面積を低減できるため、バスバー11、12のコストを削減することができる。
【0029】
<変形例1>
本実施の形態の変形例について説明する。図2に示した本実施の形態では、バスバー12と、第一の締結部材21、第二の締結部材22、及び固定部材23の締結部21a、22a、23aとが樹脂部材6により一体成形されているが、これらの部材の全てが一体成形された構成に限るものではなく、図4に示した構成でも構わない。図4は、実施の形態1に係る別の電力変換装置1の要部の概略を示す断面図である。図4に示した電力変換装置1において、バスバー12と、第一の締結部材21及び第二の締結部材22の締結部21a、22aとは樹脂部材6により一体成形されていない。締結部21aとバスバー12とは溶接などにより接続される。締結部22aとバスバー11とは溶接などにより接続される。バスバー11及びバスバー12の一方または双方は、樹脂部材6に接着などにより固定される。樹脂部材6を冷却器5に固定することで、バスバー11、バスバー12、第一の締結部材21、及び第二の締結部材22は、冷却器5に固定される。
【0030】
このように構成することで、樹脂部材6に一体成形されないバスバー12と、樹脂部材6に一体成形されない第一の締結部材21及び第二の締結部材22の締結部21a、22aを電力変換装置1に用いることができる。バスバー12と、締結部21a、22aが一体成形されていないため、これらの部材に不具合が生じた際、不具合が生じた部材のみを容易に交換することができる。また、図2に示した本実施の形態では、バスバー11は樹脂部材6により一体成形されていないが、バスバー11が樹脂部材6により一体成形されている構成でも構わない。バスバー11が樹脂部材6により一体成形されている場合、バスバー11を冷却器5に組付ける作業が簡略化されるため、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。電力変換装置1の生産性を向上するため、電力変換装置1の製造コストを削減することができる。
【0031】
<変形例2>
図2に示した本実施の形態では、バスバーが有した突出部をバスバー12にのみ設けたが、突出部を設けるバスバーはバスバー12に限るものではなく、図5または図6に示した構成でも構わない。図5及び図6は、実施の形態1に係る別の電力変換装置1の要部の概略を示す断面図である。図5に示した電力変換装置1において、バスバー12は突出部12aを有し、バスバー11は突出部11aを有する。図6に示した電力変換装置1において、バスバー12は突出部を有さず、バスバー11は突出部11aを有する。このように構成することで、バスバー11の突出部11aが絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー11で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。バスバー11の熱をさらに効率的に放熱することができるため、バスバー11の断面積を低減することができる。バスバー11の断面積を低減できるため、バスバー11のコストを削減することができる。
【0032】
以上のように、実施の形態1による電力変換装置1において、バスバー11、12と、バスバー11、12が互いに重なって電気的に接続された接続部分30を締結すると共に接続部分30と熱的に接続され、熱伝導性を有した第一の締結部材21と、バスバー11、12に対向した冷却面5aを有した冷却器5と、冷却面5aとバスバー11、12との間に設けられ、熱伝導性及び電気絶縁性を有した絶縁部材4とを備え、第一の締結部材21は、接続部分30よりも冷却器5の方向に延出し、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された第一延出部21a1を有しているため、第一延出部21a1が絶縁部材4を介して冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11、12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー11、12で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。また、第一の締結部材21により締結されるバスバー11、12の端部がバスバー11、12の他の部分と同じ幅であるため、接続部分30のバスバー11、12の幅を拡大させる必要がないので、バスバー11、12で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。
【0033】
バスバー12における接続部分30以外の非接続部分が冷却器5から離間した部分から冷却器5の方向に折り曲げられて突出した突出部12aを有し、突出部12aが絶縁部材4を介して冷却面5aに熱的に接続されている場合、バスバー12の突出部12aが絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー12で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。また、バスバー12の突出部12aの部分の幅がバスバー12の他の部分の幅と同じであるため、バスバー12の幅を拡大させる必要がないので、バスバー12で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。
【0034】
電子部品7と、バスバー11における接続部分30以外の非接続部分に、電子部品7を熱的または電気的に接続し、熱伝導性を有した第二の締結部材22とを備え、第二の締結部材22が、第二の締結部材22が接続された非接続部分の部分よりも冷却器5の方向に延出し、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された第二延出部22a1を有している場合、第二延出部22a1が絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー11で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。また、第二の締結部材22により電子部品7を接続したバスバー11の部分の幅がバスバー11の他の部分の幅と同じであるため、バスバー11の幅を拡大させる必要がないので、バスバー11で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。
【0035】
バスバー11、12、第一の締結部材21、及び第二の締結部材22の一つ以上を一体成形した樹脂部材6を備え、樹脂部材6が冷却面5aに固定されている場合、個々の部材ではなく一体化された成形品を冷却器5に固定できるので、成形された部材を容易に冷却器5に固定することができる。成形品の冷却器5への固定により、各部材の冷却器5への固定の製造工程が簡略化されるので、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。電力変換装置1の生産性が向上するため、電力変換装置1の製造コストを削減することができる。
【0036】
冷却面5aが少なくとも2つの凹部5cを有し、樹脂部材6が少なくとも2つの突起部6aを有し、冷却面5aの少なくとも2つの凹部5cと樹脂部材6の少なくとも2つの突起部6aとが、それぞれ互いに嵌め合って、冷却器5と樹脂部材6とがXY方向において位置決めされている場合、冷却器5と樹脂部材6のXY方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0037】
樹脂部材6が、少なくとも、第一の締結部材21及び第二の締結部材22を一体成形し、一体成形された第一の締結部材21及び第二の締結部材22が樹脂部材6から冷却器5の側に突出し、絶縁部材4を介して冷却面5aに熱的に接続されている場合、第一の締結部材21及び第二の締結部材22と冷却面5aとを確実に熱的に接続することができる。また、樹脂部材6が、少なくとも、バスバー12を一体成形し、一体成形されたバスバー12における接続部分30以外の非接続部分が冷却器5から離間した部分から冷却器5の方向に折り曲げられて突出した成形バスバー突出部12a1を有し、成形バスバー突出部12a1が樹脂部材6から冷却器5の側に突出し、絶縁部材4を介して冷却面5aに熱的に接続されている場合、成形バスバー突出部12a1と冷却面5aとを確実に熱的に接続することができる。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電力変換装置1について説明する。図8は実施の形態2に係る電力変換装置1の要部の概略を示す断面図で、図1のA-A断面位置と同等の位置で切断した電力変換装置1の要部の断面図である。実施の形態1では電子部品7とバスバー11を固定する第二の締結部材22を備えたが、実施の形態2に係る電力変換装置1はバスバー11のみを固定する第三の締結部材24を備えた構成になっている。
【0039】
電力変換装置1は、樹脂部材6に一体成形された部分を有し、熱伝導性を有した第三の締結部材24を備える。第三の締結部材24は、ねじ穴が形成された締結部24aと、ねじ24bとから構成される。締結部24aが樹脂部材6に一体成形されている。樹脂部材6に一体成形されていないバスバー11である非成形バスバーは、第三の締結部材24により樹脂部材6に固定される。第三の締結部材24の締結部24aは、第三の締結部材24が接続された非成形バスバーの部分よりも冷却器5の方向に延出し、樹脂部材6から露出した部分において、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された第三延出部24a1を有している。締結部24aの冷却面5aの側の部分が第三延出部24a1である。第三の締結部材24に接続されたバスバー11の部分の幅は、バスバー11の他の部分の幅と同じである。
【0040】
以上のように、実施の形態2による電力変換装置1において、第三延出部24a1が、絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー11で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。第三の締結部材24に接続されたバスバー11の部分の幅がバスバー11の他の部分の幅と同じであるため、バスバー11の幅を拡大させる必要がないので、バスバー11で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。
【0041】
図8に示した本実施の形態では、第三の締結部材24をバスバー11にのみ設けたが、第三の締結部材24を設けるバスバーはバスバー11に限るものではなく、図9または図10に示した構成でも構わない。図9及び図10は、実施の形態2に係る別の電力変換装置1の要部の概略を示す断面図で、図1のA-A断面位置と同等の位置で切断した電力変換装置1の要部の断面図である。図9に示した電力変換装置1は、バスバー12が固定された第三の締結部材25を有し、バスバー11が固定された第三の締結部材24を有する。第三の締結部材25は、ねじ穴が形成された締結部25aと、ねじ25bとから構成される。締結部25aが樹脂部材6に一体成形されている。締結部25aの冷却面5aの側の部分が第三延出部25a1である。図10に示した電力変換装置1は、バスバー12が固定された第三の締結部材25のみを有し、バスバー11が固定される第三の締結部材を有さない。
【0042】
このように構成することで、第三延出部25a1が、絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー12で生じた熱をさらに冷却器5に放熱することができる。バスバー12で生じた熱をさらに冷却器5に放熱できるので、バスバー12の断面積を低減することができる。バスバー12の断面積を低減できるため、バスバー12のコストを削減することができる。
【0043】
実施の形態3.
実施の形態3に係る電力変換装置1について説明する。図11は実施の形態3に係る電力変換装置1の概略を示す断面図で、図1のA-A断面位置と同等の位置で切断した電力変換装置1の断面図である。実施の形態3に係る電力変換装置1は、バスバー12と樹脂部材6とがXY方向において位置決めされた構成になっている。
【0044】
樹脂部材6に一体成形されていないバスバー12である非成形バスバーは、少なくとも2つの凹部12cを有し、樹脂部材6は、少なくとも2つの突起部6cを有する。本実施の形態では、バスバー12は2つの凹部12c有し、樹脂部材6は2つの突起部6cを有する。バスバー12の2つの凹部12cと樹脂部材6の2つの突起部6cとが、それぞれ互いに嵌め合って、バスバー12と樹脂部材6とはXY方向において位置決めされている。なお、凹部12cの形状は、貫通孔であっても構わない。凹部12cの形状が貫通孔である場合、突起部6cはバスバー12を貫通する高さで形成されても構わない。
【0045】
バスバー12と樹脂部材6との位置決めの構成はこれに限るものではなく、樹脂部材6に一体成形されていないバスバーである非成形バスバーが少なくとも2つの突起部を有し、樹脂部材6が少なくとも2つの凹部を有した構成でも構わない。非成形バスバーの少なくとも2つの突起部と樹脂部材6の少なくとも2つの凹部とが、それぞれ互いに嵌め合って、バスバーと樹脂部材6とはXY方向において位置決めされる。
【0046】
以上のように、実施の形態3による電力変換装置1において、バスバー12と樹脂部材6とがXY方向において凹部と突起部により位置決めされるので、バスバー12と樹脂部材6のXY方向における位置決めを容易に行うことができる。バスバー12と樹脂部材6のXY方向における位置決めを容易に行えるため、バスバー12の樹脂部材6への組み付け工程が容易になるので、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。電力変換装置1の生産性が向上するため、電力変換装置1の製造コストを削減することができる。
【0047】
実施の形態4.
実施の形態4に係る電力変換装置1について説明する。図12は実施の形態4に係る電力変換装置1の回路の概略を示す図、図13は電力変換装置1の要部の概略を示す斜視図、図14は電力変換装置1の要部の概略を示す斜視図で、樹脂部材6と、トランスコア81及びリアクトルコア91の一部とを取り除いて示した図である。実施の形態4に係る電力変換装置1は、トランス8及びリアクトル9を備え、バスバー11、12がコイル部13、14を有した構成になっている。
【0048】
電力変換装置1は、図12に示すように、トランス8、リアクトル9、複数のダイオード100、及びコンデンサ110を備える。図13は、図12に示されたトランス8及びリアクトル9と、トランス8及びリアクトル9の接続部分の構造を示すもので、他の部材は省略している。トランス8及びリアクトル9は、磁性部品である。
【0049】
<トランス8>
トランス8は、磁性コアであるトランスコア81とコイル部13とを有する。トランスコア81は、環状の外周コアと、外周コアにおける対向する二つの部分の間を接続した柱状の中心コア81aとを有する。中心コア81aは、冷却面5aから離れる方向に延出したトランスコア81の部分で、コア延出部である。トランスコア81は、フェライトなどの磁性材料により作製される。本実施の形態では、E型に形成された2つの分割コア81b、81cをZ方向に重ねることで、閉磁路構造を有したトランスコア81が形成される。トランスコア81の構成は、E型に形成された2つの分割コア81b、81cに限るものではなく、図15に示した構成でも構わない。図15は、実施の形態4に係る別の電力変換装置1のトランスコア81の概略を示す斜視図である。E型とI型に形成された2つの分割コア81d、81eをZ方向に重ねることで、閉磁路構造を有したトランスコア81が形成される。トランスコア81は、冷却面5aに熱的に接続されている。
【0050】
バスバー11は、中心コア81aの周りを、冷却面5aに沿って湾曲し、中心コア81aを巻回するように設けられたコイル部13を有する。バスバー11とコイル部13とは同じ材料から作製され、一体化されている。バスバー11とバスバー11が有したコイル部13とを合わせて、バスバーコイル15と称する。バスバーコイル15は、バスバー11の部分を露出させて樹脂部材61に一体成形される。樹脂部材61は、固定部材231により冷却器5に固定される。樹脂部材61が冷却器5に固定されることで、分割コア81cはXY方向に位置決めされて冷却器5に固定される。分割コア81bは、ばねなどの押圧部材(図示せず)で押圧され、Z方向に位置決めされて冷却器5に固定される。
【0051】
このように構成することで、トランスコア81が冷却面5aに熱的に接続されているため、トランス8で生じた熱を容易に冷却器5に放熱することができる。また、トランス8がトランスコア81とバスバー11が有したコイル部13とから形成されるため、トランス8を容易に作製することができる。トランス8が容易に作製できるので、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。なお、閉磁路を形成する分割コア81b、81c間に、例えば樹脂などのコアとは別の材質の部材を設けても構わない。これにより、トランスコア81とコイル部13の間の寸法を調整して、各部材間の絶縁性を保ちながらトランス8の電磁気特性を所望の特性に調整できる。
【0052】
磁性コア及びコイル部を有した磁性部品はトランス8及びリアクトル9に限るものではなく、フィルタなどもこのように構成することができる。電力変換装置1は磁性コア及びコイル部を有した磁性部品を複数備えても構わない。複数の磁性部品をこのように構成することで、複数の磁性部品で生じた熱を容易に冷却器5に放熱することができる。また、複数の磁性部品のそれぞれが磁性コアとコイル部とから形成されるため、複数の磁性部品のそれぞれを容易に作製することができる。
【0053】
コイル部13を有したバスバー11は、第一の締結部材21により他のバスバー12に締結されている。本実施の形態では、他のバスバー12は、後述するようにコイル部14を有しているが、バスバー12はコイル部を有さないバスバーであっても構わない。第一の締結部材21により締結されるバスバー11、12の端部の幅は、バスバー11、12の他の部分の幅と同じである。第一の締結部材21は、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された第一延出部21a1を有している。バスバーコイル15を一体成形した樹脂部材61が固定部材231により冷却器5に固定されることで、第一延出部21a1は絶縁部材4を押圧する。
【0054】
このように構成することで、バスバー11、12を締結した第一の締結部材21の第一延出部21a1が、絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11、12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー12、バスバーコイル15、及びトランス8で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。第一の締結部材21により締結されるバスバー11、12の端部がバスバー11、12の他の部分と同じ幅であるため、バスバー12、バスバーコイル15、及びトランス8で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。
【0055】
<リアクトル9>
本実施の形態で、電力変換装置1が備えたもう一つの磁性部品であるリアクトル9について説明する。以下、前述したトランスコア81を第二の磁性コア、コイル部13を第二のコイル部、バスバー11を第二のバスバーとする。リアクトル9は、第一の磁性コアであるリアクトルコア91と第一のコイル部であるコイル部14とを有する。リアクトルコア91は、環状の外周コアと、外周コアにおける対向する二つの部分の間を接続した柱状の中心コア91aとを有する。中心コア91aは、冷却面5aから離れる方向に延出する。リアクトルコア91は、フェライトなどの磁性材料により作製される。本実施の形態では、E型に形成された2つの分割コア91b、91cをZ方向に重ねることで、閉磁路構造を有したリアクトルコア91が形成される。リアクトルコア91の構成は、E型に形成された2つの分割コア91b、91cに限るものではなく、E型とI型に形成された2つの分割コアであっても構わない。リアクトルコア91は、冷却面5aに熱的に接続されている。
【0056】
第一のバスバーであるバスバー12は、中心コア91aの周りを、冷却面5aに沿って湾曲し、中心コア91aを巻回するように設けられたコイル部14を有する。バスバー12とコイル部14とは同じ材料から作製され、一体化されている。バスバー12とバスバー12が有したコイル部14とを合わせて、バスバーコイル16と称する。バスバーコイル16は、バスバー12の部分を露出させて樹脂部材62に一体成形される。樹脂部材62は、固定部材232により冷却器5に固定される。樹脂部材62が冷却器5に固定されることで、分割コア91cはXY方向に位置決めされて冷却器5に固定される。分割コア91bは、ばねなどの押圧部材(図示せず)で押圧され、Z方向に位置決めされて冷却器5に固定される。
【0057】
バスバー12とバスバー11とが第一の締結部材21により締結されている。第一の締結部材21により締結されるバスバー11、12の端部の幅は、バスバー11、12の他の部分の幅と同じである。第一の締結部材21は、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された第一延出部21a1を有している。
【0058】
このように構成することで、バスバー11、12を締結した第一の締結部材21の第一延出部21a1が、絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11、12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、トランス8とリアクトル9とを電気的に接続し、バスバーコイル15、バスバーコイル16、トランス8、及びリアクトル9で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。バスバーコイル15、バスバーコイル16、トランス8、及びリアクトル9で生じた熱を冷却器5に放熱できるため、各コイルの幅、厚みを縮小することができる。各コイルの幅、厚みを縮小できるため、トランス8及びリアクトル9が小型化され、トランス8及びリアクトル9の重量を低減することができる。トランス8及びリアクトル9を小型化できるため、トランス8及びリアクトル9のコストを削減することができる。また、第一の締結部材21により締結されるバスバー11、12の端部がバスバー11、12の他の部分と同じ幅であるため、バスバーコイル15、バスバーコイル16、トランス8、及びリアクトル9で生じた熱を放熱させる機能を維持しつつ、小型で、低コストの冷却構造を有した電力変換装置1を得ることができる。
【0059】
本実施の形態で、リアクトル9がさらに有した追加のバスバー17について説明する。追加のバスバー17は、中心コア91aの周りを、冷却面5aに沿って湾曲し、中心コア91aを巻回するように設けられた追加のコイル部18を有する。追加のバスバー17とバスバーコイル16とは、同じ材料から作製される。追加のバスバー17の追加のコイル部18の部分は、樹脂部材62に一体成形される。閉磁路を形成する分割コア91b、91c間に、例えば樹脂などのコアとは別の材質の部材を設けても構わない。これにより、リアクトルコア91とコイル部14及び追加のコイル部18との間の寸法を調整して、各部材間の絶縁性を保ちながらリアクトル9の電磁気特性を所望の特性に調整できる。
【0060】
電力変換装置1は、バスバー12と追加のバスバー17とが互いに重なって電気的に接続された追加接続部分31を締結すると共に、追加接続部分31と熱的に接続された、追加の締結部材である第四の締結部材26を備える。第四の締結部材26は熱伝導性を有する。コイル部14及び追加のコイル部18は、リアクトルコア91の中心コア91aの周りの電流の流れる向きが同じである。第四の締結部材26により締結されるバスバー12と追加のバスバー17の端部の幅は、バスバー12と追加のバスバー17の他の部分の幅と同じである。第四の締結部材26は、追加接続部分31よりも冷却器5の方向に延出し、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された、追加延出部である第四延出部26a1を有している。第四の締結部材26は、ねじ穴が形成された締結部26aと、ねじ26bとから構成される。締結部26aの冷却面5aの側の部分が第四延出部26a1である。第四の締結部材26は、例えば、鉄またはステンレスなどの金属により作製される。追加のバスバー17を一体成形した樹脂部材62が固定部材232により冷却器5に固定されることで、第四延出部26a1は絶縁部材4を押圧する。
【0061】
このように構成することで、バスバー12と追加のバスバー17とが互いに重なって電気的に接続された追加接続部分31が、第四延出部26a1により絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、最も温度上昇が大きく放熱が困難なコイルの途中の部分を直接放熱することができる。コイルの途中の部分を直接放熱することができるので、リアクトル9を構成するバスバーコイル16及び追加のバスバー17の温度を低減することができる。バスバーコイル16及び追加のバスバー17の温度が低減できるので、バスバーコイル16及び追加のバスバー17の幅、厚みが縮小でき、リアクトル9を小型化することができる。リアクトル9が小型化されるので、電力変換装置1が小型化され、電力変換装置1のコストを削減することができる。
【0062】
トランス8及びリアクトル9の小型化について説明する。トランス8とリアクトル9は、中心コア81a、91aに巻回されるコイル部13、14の内径、外径、厚み、電磁気特性などにより、トランス8とリアクトル9のそれぞれの磁性コアのサイズが決定される。具体的には、電磁気特性で磁性コアの閉磁路における断面積が決定する。図14に示す中心コア81a、91aから外周コアの外柱82、92までのY方向の距離は、コイル部13、14の幅で決定される。外周コアの外柱とは、冷却面5aから離れる方向に延出した外周コアの部分である。磁性コアの高さは、コイル部13、14の厚みに応じて、コイル部13、14が収納可能な空間を確保できる高さで決定される。そのため、コイル部13、14の幅、厚み低減に伴い、磁性コアの全体のサイズを低減することができる。磁性コアのサイズが低減できるので、トランス8及びリアクトル9を小型化することができる。トランス8及びリアクトル9が小型化されるので、電力変換装置1を小型化することができる。また、電力変換装置1を含む機器も小型化されるので、機器のコストを削減することができる。
【0063】
トランス8及びリアクトル9の小型化に加えて、バスバーコイル15、バスバーコイル16、及び追加のバスバー17は樹脂部材61、62により一体成形されているため、各部材の冷却器5への固定の製造工程が簡略化されるので、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。電力変換装置1の生産性が向上するため、電力変換装置1の製造コストを削減することができる。なお、本実施の形態ではバスバーコイル15、バスバーコイル16、及び追加のバスバー17を樹脂部材61、62により一体成形しているが、これらの構成は一体成形した構成に限るものではない。各部材を個別に重ねて配置し、冷却器5に組み付けても構わない。各部材を個別に重ねて組み付ける場合、複数の部材を一体成形せずに樹脂部材6を形成できるので、成形の工程を単純化することができる。
【0064】
以上のように、実施の形態4による電力変換装置1において、環状の外周コアと柱状の中心コア81aとを有するトランスコア81を備え、バスバー11が中心コア81aの周りを、冷却面5aに沿って湾曲したコイル部13を有し、トランスコア81が冷却面5aに熱的に接続されているため、トランス8で生じた熱を容易に冷却器5に放熱することができる。また、トランス8がトランスコア81とバスバー11が有したコイル部13とから形成されるため、トランス8を容易に作製することができる。
【0065】
磁性コア及びコイル部を有したトランス8などの磁性部品を電力変換装置1が複数備えた場合、複数の磁性部品のそれぞれは冷却面5aに熱的に接続されているため、複数の磁性部品で生じた熱を容易に冷却器5に放熱することができる。また、コイル部13を有したバスバー11が第一の締結部材21により他のバスバー12に締結されている場合、バスバー11、12を締結した第一の締結部材21の第一延出部21a1が、絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11、12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、バスバー11を含むバスバーコイル15、バスバー12、及びトランス8で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。
【0066】
リアクトルコア91と、リアクトルコア91の中心コア91aの周りを湾曲したコイル部14を有するバスバー12と、トランスコア81と、トランスコア81の中心コア81aの周りを湾曲したコイル部13を有するバスバー11とを備え、バスバー12とバスバー11とが第一の締結部材21により締結されている場合、バスバー11、12を締結した第一の締結部材21の第一延出部21a1が、絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、バスバー11、12と冷却器5の絶縁を確保しつつ、トランス8とリアクトル9とを電気的に接続し、バスバーコイル15、バスバーコイル16、トランス8、及びリアクトル9で生じた熱を冷却器5に放熱することができる。バスバーコイル15、バスバーコイル16、トランス8、及びリアクトル9で生じた熱を冷却器5に放熱できるため、各コイルの幅、厚みを縮小することができる。各コイルの幅、厚みを縮小できるため、トランス8及びリアクトル9が小型化され、トランス8及びリアクトル9の重量を低減することができる。
【0067】
リアクトルコア91の中心コア91aの周りを湾曲した追加のコイル部18を有する追加のバスバー17と、バスバー12と追加のバスバー17とが互いに重なって電気的に接続された追加接続部分31を締結すると共に追加接続部分31と熱的に接続された第四の締結部材26とを備え、第四の締結部材26が追加接続部分31よりも冷却器5の方向に延出し、絶縁部材4を介して、冷却面5aに熱的に接続された第四延出部26a1を有している場合、追加接続部分31が第四延出部26a1により絶縁部材4を介して冷却器5の冷却面5aに熱的に接続されるので、最も温度上昇が大きく放熱が困難なコイルの途中の部分を直接放熱することができる。コイルの途中の部分を直接放熱することができるので、リアクトル9を構成するバスバーコイル16及び追加のバスバー17の温度を低減することができる。バスバーコイル16及び追加のバスバー17の温度が低減できるので、バスバーコイル16及び追加のバスバー17の幅、厚みが縮小でき、リアクトル9を小型化することができる。
【0068】
また本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0069】
1 電力変換装置、11 バスバー、11a 突出部、12 バスバー、12a 突出部、12a1 成形バスバー突出部、12b 端部、12c 凹部、13 コイル部、14 コイル部、15 バスバーコイル、16 バスバーコイル、17 追加のバスバー、18 追加のコイル部、21 第一の締結部材、21a 締結部、21a1 第一延出部、21b ねじ、22 第二の締結部材、22a 締結部、22a1 第二延出部、22b ねじ、23 固定部材、23a 締結部、23b ねじ、24 第三の締結部材、24a 締結部、24a1 第三延出部、24b ねじ、25 第三の締結部材、25a 締結部、25a1 第三延出部、25b ねじ、26 第四の締結部材、26a 締結部、26a1 第四延出部、26b ねじ、30 接続部分、31 追加接続部分、4 絶縁部材、5 冷却器、5a 冷却面、5b ねじ穴、5c 凹部、5d 突起部、6 樹脂部材、6a 突起部、6b 凹部、6c 突起部、7 電子部品、8 トランス、81 トランスコア、81a 中心コア、81b 分割コア、81c 分割コア、81d 分割コア、81e 分割コア、82 外柱、9 リアクトル、91 リアクトルコア、91a 中心コア、91b 分割コア、91c 分割コア、92 外柱、100 ダイオード、110 コンデンサ
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