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特許7403616提案装置、提案システム、提案方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】提案装置、提案システム、提案方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/32 20120101AFI20231215BHJP
【FI】
G06Q50/32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022196701
(22)【出願日】2022-12-09
(62)【分割の表示】P 2022501443の分割
【原出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2023052729
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】中島 義統
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正俊
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/163106(WO,A1)
【文献】特開2011-205404(JP,A)
【文献】特開2003-174467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスに関するサービス情報に基づいて、前記複数の設備機器から前記サービスを顧客に提供する際に無線通信によりインターネットを介した通信を行う1又は複数の設備機器を対象機器として選択する選択手段と、
前記サービス情報に基づいて、前記対象機器ごとのデータ通信量を推定するデータ通信量推定手段と、
前記無線通信によるインターネットを介した通信に係る料金体系を示す情報と推定された前記対象機器ごとのデータ通信量とに基づいて前記サービスに係る通信料金を算出する料金算出手段と、
算出された前記通信料金に基づいて前記サービスに係る料金プランを顧客に提案する提案手段と、
を備える提案装置。
【請求項2】
前記サービス情報に基づいて前記機器管理システムのモデルを構築するモデル構築手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記サービス情報と前記モデルとに基づいて、前記1又は複数の設備機器を前記対象機器として選択する、
請求項1に記載の提案装置。
【請求項3】
前記料金算出手段は、推定された前記対象機器ごとのデータ通信量に基づいて、前記対象機器ごとに適切な前記料金体系を決定し、決定した前記料金体系に基づいて前記通信料金を算出する、
請求項1又は2に記載の提案装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の提案装置と、端末とを備え、
前記提案装置はさらに、前記端末を介して入力された前記サービス情報を取得するサービス情報取得手段を備える、
提案システム。
【請求項5】
コンピュータが、
複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスに関するサービス情報に基づいて、前記複数の設備機器から前記サービスを顧客に提供する際に無線通信によりインターネットを介した通信を行う1又は複数の設備機器を対象機器として選択し、
前記サービス情報に基づいて、前記対象機器ごとのデータ通信量を推定し、
前記無線通信によるインターネットを介した通信に係る料金体系を示す情報と推定された前記対象機器ごとのデータ通信量とに基づいて前記サービスに係る通信料金を算出し、
算出された前記通信料金に基づいて前記サービスに係る料金プランを顧客に提案する、
提案方法。
【請求項6】
コンピュータを、
複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスに関するサービス情報に基づいて、前記複数の設備機器から前記サービスを顧客に提供する際に無線通信によりインターネットを介した通信を行う1又は複数の設備機器を対象機器として選択する選択手段、
前記サービス情報に基づいて、前記対象機器ごとのデータ通信量を推定するデータ通信量推定手段、
前記無線通信によるインターネットを介した通信に係る料金体系を示す情報と推定された前記対象機器ごとのデータ通信量とに基づいて前記サービスに係る通信料金を算出する料金算出手段、
算出された前記通信料金に基づいて前記サービスに係る料金プランを顧客に提案する提案手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、提案装置、提案システム、提案方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
設備機器とゲートウェイとを無線通信にて通信可能に接続し、サーバがインターネット及びゲートウェイを介した通信により設備機器を管理する機器管理システムが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、家電機器とホームゲートウェイとを無線通信にて通信可能に接続し、クラウドサーバがインターネット及びホームゲートウェイを介して家電機器と通信することにより家電操作の遠隔操作を実現する遠隔操作システムが開示されている。
【0004】
設備機器とゲートウェイとを無線通信にて接続することにより、設備機器とゲートウェイとの配線を省略することができるため、設備機器を設置するときの自由度が上がる、設置コストを削減できる等のメリットが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-128712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の機器管理システムには、全ての設備機器が1つのゲートウェイを介してサーバと通信する必要があるため、ゲートウェイの障害発生時に全ての設備機器がサーバと通信できなくなる、ゲートウェイと無線通信できない位置に設置された設備機器を管理対象とすることができないなどの問題がある。
【0007】
上記の問題に対する対策として、一部又は全ての設備機器に無線通信モジュールを設け、無線通信モジュールを備える設備機器が個別に基地局と通信することにより、ゲートウェイを介することなく設備機器によるインターネットを介した通信を可能とすることが考えられる。なお、無線通信モジュールが設けられていない設備機器は、無線通信モジュールが設けられている設備機器を介して、インターネットを介した通信をする。
【0008】
例えば、携帯電話基地局と無線通信する無線通信モジュールを設備機器に設け、当該設備機器が当該基地局と無線通信することにより、設備機器が無線通信により携帯電話ネットワークを経由してインターネットを介した通信をすることができる。
【0009】
つまり、上記の機器管理システムに代えて、設備機器が無線通信により個別にインターネットを介した通信をすることによって、サーバによる設備機器の管理を可能なものとする機器管理システムが考えられる。
【0010】
一方、設備機器が無線通信によりインターネットを介した通信をするには、無線通信に対応したインターネット接続サービスを提供する通信事業者との契約が必要となる。例えば、設備機器が無線通信により携帯電話ネットワークを介してインターネットと通信するには、MNO(Mobile Network Operator:移動体通信事業者)又はMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)との契約が必要となる。そして、インターネット接続サービスの利用の際には、通信事業者に支払うべき通信料金が発生する。
【0011】
したがって、設備機器がゲートウェイを介さず無線通信により個別にインターネットを介した通信をする上記のような機器管理システムを利用したサービスを顧客に提供する場合、データ通信量に応じた適切な通信料金体系を選択する、無線通信モジュールを設ける設備機器を限定するなどして顧客に適切な料金プランを提案する必要がある。
【0012】
本開示の目的は、上記の事情に鑑み、複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスを顧客に提供する際に適切な料金プランを顧客に提案可能な提案装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本開示に係る提案装置は、
複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスに関するサービス情報に基づいて、前記複数の設備機器から前記サービスを顧客に提供する際に無線通信によりインターネットを介した通信を行う1又は複数の設備機器を対象機器として選択する選択手段と、
前記サービス情報に基づいて、前記対象機器ごとのデータ通信量を推定するデータ通信量推定手段と、
前記無線通信によるインターネットを介した通信に係る料金体系を示す情報と推定された前記対象機器ごとのデータ通信量とに基づいて前記サービスに係る通信料金を算出する料金算出手段と、
算出された前記通信料金に基づいて前記サービスに係る料金プランを顧客に提案する提案手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスを顧客に提供する際に適切な料金プランを顧客に提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施の形態に係る提案システムの構成を示す図
図2】本開示の実施の形態に係る提案システムによる料金プラン提案の対象となるサービスに係る機器管理システムの構成の一例を示す図
図3図2に示す機器管理システムにおいて、対象機器が選択された場合の構成の一例を示す図
図4】本開示の実施の形態に係るサービスデータの一例を示す図
図5】本開示の実施の形態に係るデータ通信量推定部により推定された、対象機器ごとのデータ通信量の一例を示す図
図6】本開示の実施の形態に係る料金体系データの一例を示す図
図7】本開示の実施の形態に係る料金算出部により推定された通信料金の一例を示す図
図8】本開示の実施の形態に係る提案部により提案された料金プランの一例を示す図
図9】本開示の実施の形態に係る提案装置のハードウェア構成の一例を示す図
図10】本開示の実施の形態に係る提案装置による料金プラン提案の動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態に係る提案システムを説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0017】
(実施の形態)
図1を参照しながら、実施の形態に係る提案システム1を説明する。提案システム1は、複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスを顧客に提供する際に、顧客に適切な料金プランを提案するためのシステムである。当該機器管理システム及び当該サービスの詳細については後述する。提案システム1は、本開示に係る提案システムの一例である。
【0018】
提案システム1は、提案装置10と端末20とを備える。提案装置10と端末20とは、インターネットINを介して通信する。提案装置10は、例えば上記のサービスを提供する事業者が管理するクラウドサーバである。端末20は、例えば上記のサービスを提供する事業者の作業員が所有する携帯端末である。
【0019】
提案システム1によれば、例えば以下のようにして、複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスを顧客に提供する際に、顧客に適切な料金プランを提案することができる。まず、作業員が顧客の要望に基づいて、顧客に提供すべきサービスに関するサービス情報を端末20にて入力し、入力されたデータを端末20が提案装置10に送信する。次に、提案装置10が受信したサービス情報に基づいて上記のサービスに係る料金プランを提案し、提案した料金プランを示すデータを端末20に送信する。そして、作業員が端末20を操作して端末20に料金プランを表示することにより、料金プランを顧客に提案することができる。
【0020】
次に、提案システム1による料金プランの提案について概略的に説明する。まず、提案装置10が、端末20から受信したサービス情報に基づいて、例えば図2に示す機器管理システムM1のモデルを構築する。図2に示す機器管理システムM1は、あくまで顧客の要望に基づいて構築されたモデルであり、現実に構築された機器管理システムではない。図2に示す機器管理システムM1のモデルは、例えばサービスについて顧客との契約が締結して初めて構築される機器管理システムを示すものである。機器管理システムM1は、例えば各設備機器の状態を監視する見守りサービス、各設備機器の消費電力を監視して各設備機器の省エネ制御を行う省エネ制御サービスなどを実現する機器管理システムである。
【0021】
図2に示す機器管理システムM1は、インターネットINを介してクラウドサーバM20が複数の室外機M11及び複数の室内機M12を管理する機器管理システムである。各室外機M11及び各室内機M12は、物件Bに設置される空気調和機である。物件Bは、例えばビルオーナである顧客が所有するオフィスビルである。各室外機M11及び各室内機M12がどのようにインターネットINに接続されるかは、モデルを構築した段階では決定されていない。機器管理システムM1は、本開示に係る機器管理システムの一例である。室外機M11及び室内機M12は、本開示に係る設備機器の一例である。
【0022】
次に、提案装置10は、各設備機器のうち無線通信によりインターネットINを介した通信を行う1又は複数の設備機器を対象機器として選択する。選択された対象機器は、各々が個別にインターネットINを介してクラウドサーバM20と通信する。対象機器は、例えば携帯電話ネットワークを構成する基地局と無線通信可能な無線通信モジュールを備える。この場合、上記のサービスを提供する事業者は、サービスを顧客に提供するにあたり、携帯電話ネットワークを利用したインターネット接続に関する契約を、対象機器ごとに通信事業者と締結することとなる。例えば、上記の作業員が、各対象機器に設けられた各無線通信モジュールが備えるSIM(Subscriber Identity Module)カードスロットに、通信事業者から提供されたSIMカードを挿入することにより、各対象機器が無線通信によりインターネット接続を介してクラウドサーバM20と通信できる。
【0023】
対象機器が選択された結果として、機器管理システムM1のシステム構成は、例えば図3に示すものとなる。図3においては、各室外機M11が対象機器として選択されている。そして、各室外機M11は、個別に基地局M40と無線通信し、インターネットINを介してクラウドサーバM20と通信する。基地局M40は、例えば携帯電話ネットワークを運用するMNOにより設置された基地局である。この場合において、各室外機M11は、本開示に係る対象機器の一例である。
【0024】
なお、設備機器のうちどのような設備機器を対象機器として選択するかの基準として、例えば、設備機器が屋外に設置されているか否か、設備機器がグループを代表する機器か否か、通信線の配線の困難さ、などが考えられる。例えば、屋外に設置されている室外機M11は、屋内に設置されている室内機M12と比べて良好に無線通信をすることができるため、室外機M11は対象機器として好適である。また、図3に示すとおり、1つの室外機M11と1又は複数の室内機M12とで1つの空調システムのグループが構成されていることから、室外機M11が当該グループを代表する機器であり、対象機器として好適である。また、室内機M12は同一グループの室外機M11に容易に通信線を配線することができる一方、室外機M11同士は、設置位置次第では通信線を配線することが困難であるため、各室外機M11は個別に無線通信をすることが好ましい。したがって、この観点からも、各室外機M11は対象機器として好適である。
【0025】
次に、提案装置10は、対象機器ごとのデータ通信量を推定する。例えば、提案装置10は、機器管理システムM1の各設備機器の接続関係、機器管理システムM1により顧客に提供するサービスの内容などに基づいて、対象機器ごとのデータ通信量を推定する。例えば、図3に示す機器管理システムM1において、各室外機M11のデータ通信量は、室外機M11に接続されている室内機M12の数が多いほど大きくなることが想定される。また、サービス内容が見守りサービスである場合よりもサービス内容が省エネ制御システムである場合のほうが各室外機M11のデータ通信量が大きくなることが想定される。また、サービス内容が省エネ制御システムである場合において、全フロアの設備機器を一括で制御するサービスよりも、フロア単位、部屋単位などより細かい単位で設備機器を制御するサービスのほうが、各室外機M11のデータ通信量が大きくなることが想定される。
【0026】
次に、提案装置10は、推定した対象機器ごとのデータ通信量に基づいて、対象機器ごとに通信事業者とインターネット接続に関する契約を締結した場合における通信料金を算出する。当該契約には様々な料金体系がある。例えば、基本料金は安価だが通信量単価が高価な契約、基本料金は高価だが通信料単価が安価な契約などがある。そのため、通信料金を最適なものとするために、推定したデータ通信量に基づいて対象機器ごとに適切な料金体系を選択する必要がある。
【0027】
そして提案装置10は、算出した通信料金とサービス内容とに基づいて、上記のサービスに係る料金プランを顧客に提案する。この場合において、提案装置10は、サービス内容ごとに料金プランを提案してもよい。例えば、サービス内容が見守りサービスのみである場合、サービス内容が省エネ制御サービスのみである場合、サービス内容が見守りサービス及び省エネ制御サービスのセットである場合のそれぞれについて、提案装置10はデータ通信量を推定し、通信料金を算出した上でサービスごとに料金プランを提案してもよい。
【0028】
再び図1を参照し、提案装置10の機能的構成を説明する。提案装置10は、制御部100と記憶部110と通信部120とを備える。また、記憶部110は、サービスデータD1とモデルデータD2と料金体系データD3とを保存する。
【0029】
制御部100は、提案装置10を統括制御する。制御部100は、サービス情報取得部101とモデル構築部102と選択部103とデータ通信量推定部104と料金算出部105と提案部106とを備える。
【0030】
サービス情報取得部101は、顧客の要望に基づくサービス情報を、通信部120を介して端末20から取得し、記憶部110にサービスデータD1として保存する。上記のとおり、端末20から取得するサービス情報は、例えば作業員が顧客の要望に基づいて端末20に入力した情報である。サービスデータD1は、例えば図4に示すものとなる。図4に示すとおり、サービスデータD1は、サービスに係る設備機器が設置される物件に関するデータ、設置すべき各種設備機器の数に関するデータ、サービス内容に関するデータ、設備機器のうちどの設備機器が屋外に設置される機器かを示すデータなどを含む。また、サービスデータD1は、例えば図4に示すもののほか、設備機器が設置されるフロアの図面を示すデータを含んでもよい。サービス情報取得部101は、本開示に係るサービス情報取得手段の一例である。
【0031】
再び図1を参照する。モデル構築部102は、サービスデータD1に基づいてサービスに係る機器管理システムのモデルを構築し、構築したモデルを示すデータを記憶部110にモデルデータD2として保存する。モデル構築部102は、例えば、図4に示すサービスデータD1に基づいて、図2に示す機器管理システムM1のモデルを構築する。モデルデータD2は、例えば図2に示すものに加えて、設備機器の具体的な設置位置を示すデータを含んでもよい。モデル構築部102は、本開示に係るモデル構築手段の一例である。
【0032】
選択部103は、サービスデータD1とモデルデータD2とに基づいて、複数の設備機器のうち設備機器ごとの契約に基づく無線通信によりインターネットINを介した通信をする1又は複数の設備機器を対象機器として選択する。上述のとおり、設備機器のうちどのような設備機器を対象機器として選択するかの基準として、例えば、設備機器が屋外に設置されているか否か、設備機器がグループを代表する機器か否か、通信線の配線の困難さ、などが考えられる。選択部103は、本開示に係る選択手段の一例である。
【0033】
再び図1を参照する。データ通信量推定部104は、サービスデータD1及びモデルデータD2に基づいて、選択部103にて選択された対象機器ごとのデータ通信量を推定する。データ通信量推定部104にて推定された対象機器ごとのデータ通信量は、例えば図5に示すものとなる。上述のとおり、データ通信量推定部104は、例えば各設備機器の接続関係、顧客に提供するサービスの内容などに基づいて、対象機器ごとのデータ通信量を推定する。データ通信量推定部104は、本開示に係るデータ通信量推定手段の一例である。
【0034】
再び図1を参照する。料金算出部105は、記憶部110に保存された料金体系データD3と、データ通信量推定部104により推定された対象機器ごとのデータ通信量とに基づいて、対象機器ごとに適切な料金体系を決定し、サービスのために必要な通信料金を算出する。料金算出部105は、本開示に係る料金算出手段の一例である。
【0035】
料金体系データD3は、例えば図6に示すものとなる。図6では、通信事業者Pが提供するインターネット接続サービスに係る料金体系A及び料金体系Bと、通信事業者Qが提供するインターネット接続サービスに係る料金体系Cとが示されている。料金体系Aは、基本料金が無料だが通信料単価が高価な料金体系であり、料金体系Cは、基本料金が高価だが通信料単価が安価な料金体系である。料金体系Bは、基本料金については料金体系Aより高価かつ料金体系Cより安価であり、通信料単価については料金体系Aより安価かつ料金体系Cより高価な料金体系である。
【0036】
料金算出部105は、例えば図7に示すように対象機器ごとに適切な料金体系を決定し、通信料金を算出する。図7では、室外機Xについては料金体系Cが、室外機Yについては料金体系Bが、室外機Zについては料金体系Aが、それぞれ適切な料金体系として決定されている。いずれの対象機器についても、他の料金体系を適用すると通信料金が増加する。
【0037】
再び図1を参照する。提案部106は、サービスデータD1と、料金算出部105により算出された通信料金とに基づいて、サービスに係る料金プランを顧客に提案する。提案部106は、例えば、料金プランを示す料金プランデータを生成し、通信部120を介して料金プランデータを端末20に送信することにより、顧客に料金プランを提案する。提案部106は、例えば図8に示す形式により、サービスに係る料金プランを提案する。なお、図8においては、複数のサービス内容のそれぞれについて料金プランが提案されたものとなっている。この場合においては、サービスの内容ごとに、データ通信量推定部104によるデータ通信量の推定及び料金算出部105による通信料金の算出が行われる。また、図8に示すとおり、提案部106は、サービス内容に応じて異なるサービス利用料金を料金プランに適用しうる。提案部106は、本開示に係る提案手段の一例である。
【0038】
記憶部110は、上述のとおり、サービスデータD1とモデルデータD2と料金体系データD3とを保存する。料金体系データD3は、例えば提案装置10の管理者により予め作成される。例えば、提案装置10の管理者が、無線通信によるインターネット接続サービスを提供する通信事業者が提示する各種の料金体系を提案装置10に入力することにより、料金体系データD3が作成される。
【0039】
通信部120は、インターネットINに接続され、インターネットINを介して端末20と通信する。
【0040】
以上、提案装置10の機能的構成を説明した。次に、提案装置10のハードウェア構成の一例について、図9を参照しながら説明する。図9に示す提案装置10は、例えばパーソナルコンピュータ、サーバ用コンピュータなどのコンピュータにより実現される。
【0041】
提案装置10は、バス1000を介して互いに接続された、プロセッサ1001と、メモリ1002と、インタフェース1003と、二次記憶装置1004と、を備える。
【0042】
プロセッサ1001は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。プロセッサ1001が、二次記憶装置1004に記憶された動作プログラムをメモリ1002に読み込んで実行することにより、提案装置10の各機能が実現される。
【0043】
メモリ1002は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成される主記憶装置である。メモリ1002は、プロセッサ1001が二次記憶装置1004から読み込んだ動作プログラムを記憶する。また、メモリ1002は、プロセッサ1001が動作プログラムを実行する際のワークメモリとして機能する。
【0044】
インタフェース1003は、例えばシリアルポート、USB(Universal Serial Bus)ポート、ネットワークインタフェースなどのI/O(Input/Output)インタフェースである。インタフェース1003により、通信部120の機能が実現される。
【0045】
二次記憶装置1004は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。二次記憶装置1004は、プロセッサ1001が実行する動作プログラムを記憶する。二次記憶装置1004により記憶部110の機能が実現される。
【0046】
次に、図10を参照しながら、提案装置10による料金プラン提案の動作の一例を説明する。図10に示す動作は、例えば端末20が提案装置10との通信を開始したときに実行される。
【0047】
提案装置10の制御部100のサービス情報取得部101は、端末20からサービス情報を取得し、サービスデータD1として記憶部110に保存する(ステップS101)。
【0048】
制御部100のモデル構築部102は、サービスデータD1に基づいてサービスに係る機器管理システムのモデルを構築し、構築したモデルを示すデータをモデルデータD2として記憶部110に保存する(ステップS102)。
【0049】
制御部100の選択部103は、サービスデータD1とモデルデータD2とに基づいて、複数の設備機器のうち設備機器ごとの契約に基づく無線通信によりインターネットINを介した通信をする1又は複数の設備機器を対象機器として選択する(ステップS103)。
【0050】
制御部100のデータ通信量推定部104は、サービスデータD1及びモデルデータD2に基づいて、ステップS103にて選択された対象機器ごとのデータ通信量を推定する(ステップS104)。
【0051】
制御部100の料金算出部105は、記憶部110に保存された料金体系データD3と、ステップS104にて推定された対象機器ごとのデータ通信量とに基づいて、対象機器ごとに適切な料金体系を決定し、サービスのために必要な通信料金を算出する(ステップS105)。
【0052】
制御部100の提案部106は、サービスデータD1と、ステップS105にて算出された通信料金とに基づいて、サービスに係る料金プランを顧客に提案する(ステップS106)。そして制御部100は、料金プラン提案の動作を終了する。
【0053】
なお、端末20に複数のサービス内容が入力された場合、提案装置10の制御部100は、それぞれのサービス内容ごとに図10に示す動作を繰り返す。その結果として、提案装置10の制御部100の提案部106は、例えば上述の図8に示す複数の料金プランを提案する。
【0054】
以上、実施の形態に係る提案システム1を説明した。実施の形態に係る提案システム1によれば、選択部103が、複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービス情報に基づいて、設備機器ごとの契約に基づく無線通信によりインターネットINを介した通信をする設備機器を対象機器として選択し、データ通信量推定部104が、サービス情報に基づいて対象機器ごとのデータ通信量を推定し、料金算出部105が、対象機器ごとの契約における料金体系を示す情報である料金体系データD3と、推定された対象機器ごとのデータ通信量とに基づいてサービスに係る通信料金を算出し、提案部106が、算出された通信料金に基づいてサービスに係る料金プランを顧客に提案するので、複数の設備機器を管理する機器管理システムに係るサービスを顧客に提供する際に適切な料金プランを顧客に提案できる。
【0055】
特に、提案システム1によれば、以下に説明するように、有線通信回線を利用したインターネット接続サービスにより各設備機器が1つのゲートウェイを介してクラウドサーバと通信する機器管理システムに係るサービスにおける料金プランと比べて低廉な料金プランを提案できる可能性が高い。
【0056】
有線通信回線を利用したインターネット接続サービスは、大容量な高速通信を定額にて可能とするものが一般的であるものの、大容量な高速通信が不要な場合には高価となる。上述の機器管理システムにおいては、1つの有線通信回線のみを介してクラウドサーバと通信するものの、設備機器が送受信するデータは一般的に小容量であるため、機器管理システムにおいて有線通信回線を利用するとコストパフォーマンスに問題が生じる可能性がある。
【0057】
一方、提案システム1においては、各対象機器が個別に契約に基づく無線通信によりインターネットを介した通信をする機器管理システムが提案対象となる。上述のとおり、無線通信によるインターネット接続サービスの料金体系は、一般的に通信量に応じて通信料金が増加する料金体系となっている。そのため、大容量の通信には不適だが、機器管理システムのような小容量の通信には好適である。
【0058】
したがって、提案システム1によれば、有線通信回線を利用した機器管理システムに係るサービスにおける料金プランと比べて低廉な料金プランを提案できる可能性が高い。
【0059】
(変形例1)
実施の形態において、提案システム1は、現実には構築されていない機器管理システムに係るサービスについての料金プランを提案するものであった。しかし、提案システム1は、現実に構築されている機器管理システムに係るサービスについての料金プランを提案するものであってもよい。例えば、有線通信回線を利用した機器管理システムに係るサービスがすでに顧客に提供されている場合において、提案システム1の運営者は、より優れた料金プランを顧客に提案するために提案システム1を利用することができる。この場合において、提案装置10のサービス情報取得部101は、端末20に入力されるサービス情報に代えて、当該機器管理システムに係るクラウドサーバに蓄積された、当該機器管理システムに関する情報をサービス情報として取得してもよい。つまり、すでに現実に構築されている機器管理システムに係るサービスについては、自動的にサービス情報を取得してもよい。
【0060】
(変形例2)
実施の形態において、提案システム1では、端末20にサービス情報が入力され提案装置10にサービス情報が送信されると、提案装置10は、自動的にモデルの構築と対象機器の選択を実行し、その後にデータ通信量の推定、通信料金の算出及び料金プランの提案を実行する。一方、モデルの修正及び対象機器の選択を、端末20を操作する作業員に行わせてもよい。
【0061】
例えば、モデル構築部102によるモデル構築の後に、提案装置10の制御部100はモデルデータを端末20に送信する。端末20は、モデルデータに基づいてモデルを表示し、作業員に修正を促す。作業員がモデルを修正すると、端末20は、修正されたモデルデータを提案装置10に送信する。モデル構築部102は、受信したモデルデータをモデルデータD2として記憶部に保存する。これらの動作により、提案装置10は、作業員により修正されたモデルに基づいて料金プランを提案できる。
【0062】
対象機器の選択についても概ね同様である。すなわち、選択部103による対象機器の選択の後に、提案装置10の制御部100は、各設備機器を示すデータと、設備機器のうちどの設備機器が対象機器であるかを示すデータとを端末20に送信する。端末20は、受信したこれらのデータに基づいて対象機器を再選択させる画面を表示し、作業員に再選択を促す。作業員が設備機器を対象機器として再選択すると、端末20は、再選択された設備機器を示すデータを提案装置10に送信する。選択部103は、受信したデータが示す設備機器を対象機器として再選択する。これらの動作により、提案装置10は、作業員により再選択された対象機器に基づいて料金プランを提案できる。
【0063】
(その他変形例)
提案装置10のモデル構築部102及び選択部103は、モデル構築及び対象機器の選択において、設備機器を設置する物件と類似する物件にて既に運用されているサービスに関するデータに基づいてモデル構築及び対象機器の選択をしてもよい。
【0064】
実施の形態においては、提案装置10の提案部106は、料金プランとして毎月あたりの料金のみを示すものであったが、初期投資費用を併せて示すものであってもよい。例えば、提案部106は、モデルデータD2に基づいて初期投資費用を算出し、料金プランの提案時に併せて当該初期投資費用を示すものであってもよい。
【0065】
実施の形態においては、対象機器が利用する無線通信として、携帯電話ネットワークを利用した無線通信を示した。このほか、例えばIEEE 802.16eに準拠した無線通信、LPWA(Low Power Wide Area)を利用した無線通信などを、対象機器が利用する無線通信としてもよい。
【0066】
図9に示すハードウェア構成においては、提案装置10が二次記憶装置1004を備えている。しかし、これに限らず、二次記憶装置1004を提案装置10の外部に設け、インタフェース1003を介して提案装置10と二次記憶装置1004とが接続される形態としてもよい。この形態においては、USBフラッシュドライブ、メモリカードなどのリムーバブルメディアも二次記憶装置1004として使用可能である。
【0067】
また、図9に示すハードウェア構成に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いた専用回路により提案装置10を構成してもよい。また、図9に示すハードウェア構成において、提案装置10の機能の一部を、例えばインタフェース1003に接続された専用回路により実現してもよい。
【0068】
提案装置10で用いられるプログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、USBフラッシュドライブ、メモリカード、HDD等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することが可能である。そして、かかるプログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータを提案装置10として機能させることが可能である。
【0069】
また、上述のプログラムをインターネット上の他のサーバが有する記憶装置に格納しておき、当該サーバから上述のプログラムがダウンロードされるようにしてもよい。
【0070】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0071】
1 提案システム、10 提案装置、20 端末、100 制御部、101 サービス情報取得部、102 モデル構築部、103 選択部、104 データ通信量推定部、105 料金算出部、106 提案部、110 記憶部、120 通信部、1000 バス、1001 プロセッサ、1002 メモリ、1003 インタフェース、1004 二次記憶装置、B 物件、D1 サービスデータ、D2 モデルデータ、D3 料金体系データ、IN インターネット、M1 機器管理システム、M11 室外機、M12 室内機、M20 クラウドサーバ、M40 基地局。
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