(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】通信装置、車両、プログラム、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
G08G1/16 A
(21)【出願番号】P 2022504827
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2020009000
(87)【国際公開番号】W WO2021176575
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉橋 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 茂
(72)【発明者】
【氏名】郡司 泰明
(72)【発明者】
【氏名】古海 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮地 康弘
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-225572(JP,A)
【文献】特開2007-223517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する対象特定部と、
前記対象特定部が特定した前記対象の位置に基づいて、
前記対象特定部が特定した前記対象の位置を示す情報を含み、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を
要求する要求情報を送信する送信部と、
前記要求情報に対する応答情報を受信する受信部と
を備え、
前記送信部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信する
通信装置。
【請求項2】
前記対象特定部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、前記対象の位置情報を補正し、
前記送信部は、前記対象特定部が補正した前記位置情報を含む警告情報を送信する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記対象特定部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、前記対象に警告するか否かを判断し、
前記送信部は、前記対象特定部が前記対象に警告すると判断した場合に、前記警告情報を送信する
請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記対象特定部は、
前記移動体の位置情報を取得する移動体位置情報取得部と、
前記移動体の外部の画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した前記画像から、前記移動体に接近する危険性がある前記対象を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した前記対象までの距離を取得する対象距離取得部と、
前記移動体の位置情報及び前記対象までの距離に基づいて、前記移動体に接近する危険性がある前記対象の位置を算出する対象位置算出部と
を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記要求情報は、前記外部端末の位置情報の再測位を前記外部端末に指示する指示情報を含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記応答情報は、前記外部端末のアドレス情報を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記アドレス情報を宛先とする前記警告情報を送信する
請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記送信部は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を直接通信で前記外部端末に送信する
請求項1から7のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記送信部は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方をブロードキャストで送信する
請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記対象距離取得部は、前記移動体に設置されるレーダーによって前記対象との距離を取得する
請求項4に記載の通信装置。
【請求項11】
前記対象距離取得部は、前記画像取得部が取得した前記画像に基づいて前記対象との距離を取得する
請求項4に記載の通信装置。
【請求項12】
前記送信部が前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する送信方式を選択する通信制御部
をさらに備え、
前記通信制御部は、前記対象の移動速度、前記移動体の移動速度、及び前記移動体と前記対象との間の相対的な速度の少なくともいずれかに基づいて、前記送信方式の選択を行う
請求項1から11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記送信部が前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する送信方式を選択する通信制御部
をさらに備え、
前記通信制御部は、前記対象の種別に基づいて、前記送信方式の選択を行う
請求項1から12のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
通信装置であって、
移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する対象特定部と、
前記対象特定部が特定した前記対象の位置に基づいて、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を含む要求情報を送信する送信部と、
前記要求情報に対する応答情報を受信する受信部と
を備え、
前記送信部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信し、
前記通信装置は、
前記送信部が前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する送信方式を、前記対象の移動速度、前記移動体の移動速度、及び前記移動体と前記対象との間の相対的な速度の少なくともいずれかに基づいて選択する通信制御部
をさらに備え、
前記送信方式は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を第1信号強度で送信する第1送信方式と、前記警告情報及び前記要求情報の前記少なくとも一方を前記第1信号強度とは異なる第2信号強度で送信する第2送信方式とを含み、
前記送信方式の選択は、前記第1送信方式及び前記第2送信方式の一方を選択することを含む
通信装置。
【請求項15】
通信装置であって、
移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する対象特定部と、
前記対象特定部が特定した前記対象の位置に基づいて、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を含む要求情報を送信する送信部と、
前記要求情報に対する応答情報を受信する受信部と
を備え、
前記送信部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信し、
前記通信装置は、
前記送信部が前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する送信方式を、前記対象の種別に基づいて選択する通信制御部
をさらに備え、
前記送信方式は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を第1信号強度で送信する第1送信方式と、前記警告情報及び前記要求情報の前記少なくとも一方を前記第1信号強度とは異なる第2信号強度で送信する第2送信方式とを含み、
前記送信方式の選択は、前記第1送信方式及び前記第2送信方式の一方を選択することを含む
通信装置。
【請求項16】
前記送信方式は、前記対象に対応付けられた外部端末にユニキャストで前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する第1送信方式と、ブロードキャストで前記警告情報及び前記要求情報の前記少なくとも一方を送信する第2送信方式とを含み、
前記送信方式の選択は、前記第1送信方式及び前記第2送信方式の一方を選択することを含む
請求項12又は13に記載の通信装置。
【請求項17】
前記対象は、人物及び車両の少なくとも一つを含む
請求項1から
16のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項18】
前記移動体は車両である
請求項1から
17のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項19】
請求項
18に記載の通信装置を備える車両。
【請求項20】
コンピュータを、
請求項1から18のいずれか一項に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【請求項21】
移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する段階と、
前記特定された前記対象の位置に基づいて、
前記位置を特定する段階において特定された前記対象の位置を示す情報を含み、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を
要求する要求情報を送信する段階と、
前記要求情報に対する応答情報を受信する段階と、
前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信する段階と
を備える通信方法。
【請求項22】
移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する段階と、
前記特定された前記対象の位置に基づいて、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を含む要求情報を送信する段階と、
前記要求情報に対する応答情報を受信する段階と、
前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信する段階と、
前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する送信方式を、前記対象の移動速度、前記移動体の移動速度、及び前記移動体と前記対象との間の相対的な速度の少なくともいずれかに基づいて選択する段階と
を備え、
前記送信方式は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を第1信号強度で送信する第1送信方式と、前記警告情報及び前記要求情報の前記少なくとも一方を前記第1信号強度とは異なる第2信号強度で送信する第2送信方式とを含み、
前記送信方式の選択は、前記第1送信方式及び前記第2送信方式の一方を選択することを含む
通信方法。
【請求項23】
移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する段階と、
前記特定された前記対象の位置に基づいて、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を含む要求情報を送信する段階と、
前記要求情報に対する応答情報を受信する段階と、
前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信する段階と、
前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する送信方式を、前記対象の種別に基づいて選択する段階と
を備え、
前記送信方式は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を第1信号強度で送信する第1送信方式と、前記警告情報及び前記要求情報の前記少なくとも一方を前記第1信号強度とは異なる第2信号強度で送信する第2送信方式とを含み、
前記送信方式の選択は、前記第1送信方式及び前記第2送信方式の一方を選択することを含む
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、車両、プログラム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「探索信号を送信するとともに応答信号を受信する車両用通信端末」が記載されている。特許文献2には、「車載カメラで撮像した画像から、・・・道路と、・・・横断者とを検出」と記載されている。特許文献3には、「車両周辺の画像から歩行者を認識する画像認識手段」が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2017-27525号公報
[特許文献2] 特開2019-194909号公報
[特許文献3] 特開2006-163637号公報
【一般的開示】
【0003】
本発明の第1の態様においては、通信装置が提供される。通信装置は、移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する対象特定部を備える。通信装置は、前記対象特定部が特定した前記対象の位置に基づいて、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を含む要求情報を送信する送信部を備える。通信装置は、前記要求情報に対する応答情報を受信する受信部を備える。前記送信部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信する。
【0004】
前記対象特定部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、前記対象の位置情報を補正してよい。前記送信部は、前記対象特定部が補正した前記位置情報を含む警告情報を送信してよい。
【0005】
前記対象特定部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、前記対象に警告するか否かを判断してよい。前記送信部は、前記対象特定部が前記対象に警告すると判断した場合に、前記警告情報を送信してよい。
【0006】
前記対象特定部は、前記移動体の位置情報を取得する移動体位置情報取得部を備えてよい。前記対象特定部は、前記移動体の外部の画像を取得する画像取得部を備えてよい。前記対象特定部は、前記画像取得部が取得した前記画像から、前記移動体に接近する危険性がある前記対象を抽出する抽出部を備えてよい。前記対象特定部は、前記抽出部が抽出した前記対象までの距離を取得する対象距離取得部を備えてよい。前記対象特定部は、前記移動体の位置情報及び前記対象までの距離に基づいて、前記移動体に接近する危険性がある前記対象の位置を算出する対象位置算出部を備えてよい。
【0007】
前記要求情報は、前記外部端末の位置情報の再測位を前記外部端末に指示する指示情報を含んでよい。
【0008】
前記応答情報は、前記外部端末のアドレス情報を含んでよい。
【0009】
前記送信部は、前記アドレス情報を宛先とする前記警告情報を送信してよい。
【0010】
前記送信部は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を直接通信で前記外部端末に送信してよい。
【0011】
前記送信部は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方をブロードキャストで送信してよい。
【0012】
前記対象距離取得部は、前記移動体に設置されるレーダーによって前記対象との距離を取得してよい。
【0013】
前記対象距離取得部は、前記画像取得部が取得した前記画像に基づいて前記対象との距離を取得してよい。
【0014】
前記通信装置は、前記送信部が前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する送信方式を選択する通信制御部を備えてよい。前記通信制御部は、前記対象の移動速度、前記移動体の移動速度、及び前記移動体と前記対象との間の相対的な速度の少なくともいずれかに基づいて、前記送信方式の選択を行ってよい。
【0015】
前記通信装置は、前記送信部が前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する送信方式を選択する通信制御部を備えてよい。前記通信制御部は、前記対象の種別に基づいて、前記送信方式の選択を行ってよい。
【0016】
前記送信方式は、前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を第1信号強度で送信する第1送信方式と、前記警告情報及び前記要求情報の前記少なくとも一方を前記第1信号強度とは異なる第2信号強度で送信する第2送信方式とを含んでよい。前記送信方式の選択は、前記第1送信方式及び前記第2送信方式の一方を選択することを含んでよい。
【0017】
前記送信方式は、前記対象に対応付けられた外部端末にユニキャストで前記警告情報及び前記要求情報の少なくとも一方を送信する第1送信方式と、ブロードキャストで前記警告情報及び前記要求情報の前記少なくとも一方を送信する第2送信方式とを含んでよい。前記送信方式の選択は、前記第1送信方式及び前記第2送信方式の一方を選択することを含んでよい。
【0018】
前記対象は、人物及び車両の少なくとも一つを含んでよい。
【0019】
前記移動体は車両であってよい。
【0020】
本発明の第2の態様においては、車両が提供される。車両は、上記通信装置を備える。
【0021】
本発明の第3の態様においては、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する対象特定部として機能させる。プログラムは、コンピュータを、前記対象特定部が特定した前記対象の位置に基づいて、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を含む要求情報を送信する送信部として機能させる。プログラムは、コンピュータを、前記要求情報に対する応答情報を受信する受信部として機能させる。前記送信部は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信する。
【0022】
本発明の第4の態様においては、通信方法が提供される。通信方法は、移動体に接近する危険性がある対象の位置を特定する段階を備える。通信方法は、前記特定された前記対象の位置に基づいて、位置情報の要求対象となる外部端末の位置情報を含む要求情報を送信する段階を備える。通信方法は、前記要求情報に対する応答情報を受信する段階を備える。通信方法は、前記応答情報に含まれる前記外部端末の位置情報に基づいて、警告情報を送信する段階を備える。
【0023】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】警告システム10の利用場面を模式的に示す。
【
図3】カメラ22で撮像された画像300を模式的に示す。
【
図5】車両20、端末82a及び端末82bが実行する処理の流れを概略的に示す。
【
図6】車両20、端末82a及び端末82bが実行する他の処理の流れを概略的に示す。
【
図7】送信方式を特定するために通信制御部270が参照する送信方式情報のデータ構造を示す。
【
図8】通信装置24が実行する通信方法に係るフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0026】
図1は、警告システム10の利用場面を模式的に示す。警告システム10は、車両20と、端末82aと、端末82bとを備える。端末82aは、歩行者80aが所持する端末であり、端末82bは、歩行者80bが所持する端末である。歩行者80a及び歩行者80bを「歩行者80」と総称する場合がある。また、端末82a及び端末82bを「端末82」と総称する場合がある。車両20は「移動体」の一例である。
【0027】
警告システム10において、車両20は、車両20に接近する危険性がある歩行者80が存在する場合に、端末82に警告情報を送信する。端末82は、警告情報を受信すると、警告表示、音やバイブレーション等によって歩行者80に警告する。これにより、車両20が接近していることを、歩行者80に通知する。
【0028】
なお、端末82は「外部端末」の一例である。端末82は、携帯電話やスマートフォン等の携帯情報端末であってよい。端末82は、測位機能を備える。端末82は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite ystem)衛星から発信された電波を受信し、GNSS(Global Navigation Satellite ystem)衛星から発信された電波に基づいて、端末82の現在位置を測定する。端末82は定期的に測位を行うことによって、端末82の現在位置を定期的に更新する。
【0029】
なお、本実施形態では、車両20に接近する危険性がある「対象」が「歩行者」である場合を主に取り上げて説明する。しかし、車両20に接近する危険性がある「対象」は、他の移動体や車両であってよい。この場合「外部端末」は、他の車両が備えるテレマティクス制御ユニット(TCU)等の通信装置であってよい。
【0030】
車両20は、センサ29と通信装置24と備える。センサ29は、カメラ及びレーダーを備える。センサ29は、カメラ及びレーダーを備える。センサ29は、左境界線31から右境界線32までの範囲の情報を取得する。例えば、センサ29は、左境界線31から右境界線32までの範囲の画像及び測距情報を取得する。通信装置24は、カメラで取得された画像を認識して歩行者80を検出する。また、通信装置24は、レーダーで取得された測距情報と、車両20の現在位置とに基づいて、歩行者80の現在位置を検出する。通信装置24は、歩行者80の向き等に基づいて、歩行者80の移動方向等を特定する。通信装置24は、歩行者80の現在位置及び移動方向に基づいて、車両20に接近する危険性、特に車両20の予定走行経路上に存在する可能性がある歩行者80を特定する。
【0031】
例えば、
図1に示す状況において、車両20は車道50内を走行している。車道50には歩道60が併設されている。センサ29は、歩道60内を歩いている歩行者80a及び歩行者80bを検出する。歩行者80bは歩道60内を車道50と平行に歩く方向に向いているため、通信装置24は、歩行者80bが車両20に接近する可能性は低いと判断する。一方、歩行者80aは車道50に向かう方向に向いているため、通信装置24は、歩行者80aが車両20に接近する危険性があると判断する。
【0032】
通信装置24は、端末82aの位置情報を取得するために、位置情報を端末82に要求する要求情報を送信する。このとき、通信装置24は、センサ29が検出した歩行者80aの位置を示す位置情報を、要求情報に含める。端末82aは、要求情報を受信すると、要求情報に含まれている位置情報が示す位置と端末82aの現在位置との間の距離が予め定められた値より短い場合に、端末82aの測位機能を用いて測位する。端末82aは、測位によって得られた最新の位置情報と、端末82aのアドレス情報とを含む応答情報を車両20に送信する。一方、端末82bは、要求情報を受信すると、要求情報に含まれている位置情報が示す位置と端末82bの現在位置との間の距離が予め定められた値より長いと判断して、応答情報を送信しない。
【0033】
通信装置24は、端末82aからの応答情報を受信すると、応答情報に含まれる端末82aの位置情報に基づいて警告情報を送信する。例えば、通信装置24は、応答情報に含まれる端末82aの位置情報と、センサ29で特定された歩行者80aの移動方向等に基づいて、歩行者80aが車両20に接近する危険性があるか否かを最終的に判断する。通信装置24は、歩行者80aが車両20に接近する危険性があると判断した場合に、応答情報に含まれる端末82aのアドレス情報を宛先として、警告情報を送信する。
【0034】
端末82aは、警告情報を受信すると、端末82aのHMI(Human Machine Interface)機能によって、歩行者80aへの警告を行う。なお、端末82bは、車両20から端末82aに送信された警告情報の電波を受信した場合、警告情報の宛先が端末82bでないと判断して、歩行者80bへの警告を行わない。
【0035】
このように、通信装置24は、車両20に接近することが予測される歩行者80aの位置情報を、要求情報に含めて端末82に送信する。そのため、端末82aは、要求情報に含まれる位置情報と端末82aの現在位置とに基づいて、要求情報に応答すべきと判断して測位を行って、端末82aの最新の位置情報を車両20に送信する。これにより、通信装置24は、警告情報を送信する必要があるか否かを、端末82aの最新の位置情報を用いて判断することができる。そして、通信装置24は、警告情報を送信する必要がないと判断した場合は、警告情報を送信しないようにすることができる。これにより、通信トラフィックの増加を抑制することができる。
【0036】
端末82bは、位置情報の要求情報を受信した場合に、要求情報に含まれる位置情報と端末82bの現在位置とに基づいて、要求情報に応答する必要がないと判断する。そのため、端末82bは、車両20から受信した要求情報を破棄すればよく、要求情報に基づいて更に処理を行う必要がない。また、端末82bが応答情報を送信しないので、通信トラフィックの増加を抑制することができる。
【0037】
なお、車両20に接近する危険性がある物体を検出する手法として、レーダーによる測距情報及び移動ベクトルを用いて検出する手法がある。しかし、この手法では、例えば歩道橋や高架道路上を移動する物体を、車両20に接近する物体として誤認識する場合がある。このような誤認識を防ぐためには、3次元地図情報を参照して3次元の認識処理を行うことが必要となる。また、移動ベクトルを算出するために複数回の測定が必要となるため、車両20に接近する危険性がある物体を検出するのに時間がかかる場合がある。これに対し、警告システム10によれば、車両20に接近する物体の種類や向きを画像認識を用いて検出することができるので、そのため、測距情報や移動ベクトルを主体にして車両20に接近する物体を検出する場合に比べて、車両20に接近する物体を適切に検出することができる。
【0038】
なお、センサ29が情報を取得する範囲、すなわち左境界線31から右境界線32までの範囲は、車両20の速度や車両20の外部の状況によって可変であってよい。車速や車外の状況によってセンサ29が情報を取得する範囲を可変にすることによって、より状況に即した物体を選定することができる。
【0039】
また、上述したように、警告システム10によれば、通信装置24は、端末82で測位された最新の位置情報に基づいて警告情報を送信する。そのため、警告が必要な歩行者80aの端末82aに警告を行わせることができ、警告が必要でない歩行者80bの端末82aが警告を行わないようにすることができる。よって、必要のない歩行者80に警告が行われることを抑制することができる。また、端末82と車両20との間で無駄な通信が発生することを抑制することができるので、通信トラフィックの増加を抑制することができる。特に、端末82bは、歩行者80bに接近する車両20の位置を確認したり、車両20と通信する等の処理を行う必要もない。
【0040】
なお、通信装置24と端末82との間の通信は、直接通信により実行される。例えば、通信装置24は、Cellular-V2Xにおける近距離直接通信により、端末82と直接通信を行う。Cellular-V2Xにおける近距離直接通信としては、LTE-V2X PC5や、5G-V2X PC5等(本実施形態において、「PC5」と略称する)の通信方式が含まれる。通信装置24と端末82との間の直接通信として、Wi-Fi、DSRC(Dedicated Short Range Communications)を用いる形態を採用してもよい。通信装置24と端末82との間の直接通信として、Cellular-V2XやDSRC(登録商標)以外に、Bluetooth(登録商標)等の任意の直接通信方式を採用してもよい。通信装置24は、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)が備える通信インフラを用いて、端末82と直接通信をしてもよい。
【0041】
図2は、車両20のシステム構成を示す。車両20は、センサ29と、通信装置24と、運転支援制御装置30とを備える。
【0042】
センサ29は、レーダー21と、カメラ22と、GNSS受信部25と、車速センサ26とを備える。レーダー21は、LiDARやミリ波レーダー等であってよい。GNSS受信部25は、GNSS衛星から発信された電波を受信する。GNSS受信部25は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、車両100の現在位置を示す情報を生成する。カメラ22は、車両20の周辺を撮像して画像情報を生成する。例えば、カメラ22は、車両20の進行方向の画像を撮像して画像情報を生成する。なお、センサ29は、オドメータ等の位置センサや、加速度センサや姿勢センサ等のIMU(慣性計測ユニット)を備えてよい。
【0043】
通信装置24は、処理部200と、記憶部280と、通信部294とを備える。処理部200は、例えば、プロセッサを含む演算処理装置により実現される。記憶部280は、不揮発性の記憶媒体を備えて実現される。処理部200は、記憶部280に格納された情報を用いて処理を行う。通信部294は、端末82との直接通信を担う。通信部294は、送信部290と受信部292とを備える。処理部200は、CPU、ROM、RAM、I/O及びバス等を備えたマイクロコンピュータを備えるECU(Electronic Control Unit)によって実現されてよい。
【0044】
処理部200は、対象特定部210と、速度算出部260と、通信制御部270とを備える。対象特定部210は、車両20に接近する危険性がある対象の位置を特定する。本実施形態において、「車両20に接近する危険性がある対象」は、例えば、移動体であり、人物及び車両の少なくとも一方を含んでよい。また、「接近する」とは、例えば車両20の走行予定経路上に近づくこと、または走行予定経路上と重なることを含んでいてよい。対象特定部210は、車両20に接近する危険性がある歩行者の位置を特定してよい。対象特定部210は、画像取得部220と、抽出部222と、対象距離取得部230と、対象位置算出部240と、移動体位置情報取得部250とを備える。
【0045】
移動体位置情報取得部250は、車両20の位置情報を取得する。具体的には、移動体位置情報取得部250は、GNSS受信部25から、車両20の位置情報を取得する。画像取得部220は、車両20の外部の画像を取得する。具体的には、画像取得部220は、カメラ22が撮像した画像をカメラ22から取得する。抽出部222は、画像取得部220が取得した画像から、車両20に接近する危険性がある対象を抽出する。対象距離取得部230は、抽出部222が抽出した対象までの距離を取得する。対象距離取得部230は、画像取得部220が取得した画像以外に、車両20に設置されるレーダー21によって対象との距離を取得してよく、それらをフュージョンして統計処理に基づいて取得してもよい。対象距離取得部230は、画像取得部220が取得した画像に基づいて対象との距離を取得してよい。対象位置算出部240は、車両20の位置情報及び対象までの距離に基づいて、車両20に接近する危険性がある対象の位置を算出する。
【0046】
送信部290は、対象特定部210が特定した対象の位置に基づいて、位置情報の要求対象となる端末82の位置情報を含む要求情報を送信する。端末82は、要求情報を受信すると、端末82が測位した位置情報を含む応答情報を送信する。なお、送信部290は、端末82の位置情報の再測位を端末82に指示する指示情報を含んでよい。端末82は、要求情報を受信すると、再測位を行って、再測位によって得られた位置情報を含む応答情報を送信する。応答情報は、端末82と直接または間接的に通信するためのアドレス情報を含んでよい。
【0047】
受信部292は、要求情報に対する応答情報を受信する。送信部290は、応答情報に含まれる端末82の位置情報に基づいて、警告情報を送信する。例えば、対象特定部210は、応答情報に含まれる端末82の位置情報に基づいて、対象の位置情報を補正してよい。送信部290は、対象特定部210が補正した位置情報を含む警告情報を送信してよい。例えば、対象特定部210は、応答情報に含まれる端末82の位置情報を対象の位置情報として特定し、送信部290は、当該応答情報に含まれる端末82の位置情報を含む警告情報を送信してよい。このように、送信部290は、端末82の位置情報に基づいて、警告を出力すべき端末82の位置情報を含む警告情報を送信してよい。送信部290は、警告情報を送信することによって、警告情報を受信した端末82に、警告情報に含まれる位置情報から定まる範囲内に端末82が位置する場合に、警告を出力させることを指示する。
【0048】
また、対象特定部210は、応答情報に含まれる端末82の位置情報に基づいて、対象に警告するか否かを判断してよい。送信部290は、対象特定部210が対象に警告すると判断した場合に、警告情報を送信してよい。例えば、対象特定部210は、応答情報に含まれる端末82の位置情報と、車両20の位置、車両20の移動方向、及び車両20の速度とに基づいて、車両20に対象が接近する危険性があるか否かを再度判断してよく、送信部290は、対象特定部210が車両20に対象が接近する危険性があると判断した場合に、警告情報を送信してよい。応答情報に端末82のアドレス情報が含まれている場合、送信部290は、アドレス情報を宛先とする警告情報を送信してよい。
【0049】
なお、送信部290は、要求情報を直接通信で端末82に送信してよい。送信部290は、要求情報をブロードキャストで送信してよい。また、送信部290は、警告情報を直接通信で端末82に送信してよい。送信部290は、警告情報をブロードキャストで送信してよい。なお、送信部290は、指向性通信によって要求情報及び警告情報の少なくとも一方を送信してよい。例えば、送信部290は、指向性アンテナを有し、対象特定部210が特定した対象の位置に向けて、要求情報及び警告情報の少なくとも一方を送信してよい。
【0050】
速度算出部260は、抽出部222が抽出した対象の移動速度に関する情報を算出する。例えば、速度算出部260は、対象位置算出部240が算出した位置の時間変化に基づいて、抽出部222が抽出した対象の移動速度を算出してよい。速度算出部260は、抽出部222が抽出した対象と、車速センサ26が検出した車両20の移動速度との相対速度を算出してよい。速度算出部260は、対象距離取得部230が取得した距離の時間変化に基づいて、抽出部222が抽出した対象と車速センサ26が検出した車両20の移動速度との相対速度を算出してよい。速度算出部260は、対象距離取得部230が取得した距離の時間変化に基づいて、相対速度を算出してもよい。
【0051】
通信制御部270は、送信部290が要求情報及び警告情報の少なくとも一方を送信する送信方式を選択する。通信制御部は、対象の移動速度、車両20の移動速度、及び車両20と対象との間の相対的な速度の少なくともいずれかに基づいて、送信方式の選択を行ってよい。通信制御部270は、対象の種別に基づいて、送信方式の選択を行ってよい。
【0052】
送信方式は、要求情報及び警告情報の少なくともオブジェクト一方を第1信号強度で送信する第1送信方式と、要求情報及び警告情報の少なくとも一方を第1信号強度とは異なる第2信号強度で送信する第2送信方式とを含んでよい。送信方式の選択は、第1送信方式及び第2送信方式の一方を選択することを含んでよい。また、送信方式は、対象に対応付けられた端末82にユニキャストで要求情報及び警告情報の少なくとも一方を送信する第1送信方式と、ブロードキャストで要求情報及び警告情報の少なくとも一方を送信する第2送信方式とを含んでよい。送信方式の選択は、第1送信方式及び第2送信方式の一方を選択することを含んでよい。
【0053】
運転支援制御装置30は、センサ29で検出された情報を用いて、車両20の運転支援を行う。運転支援制御装置30は、先進運転支援システム(ADAS;Advanced Driver-Assistance Systems)の機能を有するECUにより実現されてよい。
【0054】
図3は、カメラ22で撮像された画像300を模式的に示す。
図4は、画像300が取得された状況を模式的に示す。
【0055】
画像取得部220は、カメラ22から画像300を取得する。抽出部222は、画像300を解析して、車両20に接近する危険性がある歩行者80のオブジェクトを抽出する。例えば、抽出部222は、画像300から、人物や車両等の、本実施形態の「対象」となり得る予め定められた物体のオブジェクトを抽出して、抽出したオブジェクトに基づいて、各物体の向きを特定する。抽出部222は、物体のオブジェクトの形に基づいて、各物体の向きを特定してよい。抽出部222は、特定した向きに基づいて、車両20の走行予定経路に接近する危険性がある物体のオブジェクトを特定する。
【0056】
例えば、
図3の例では、オブジェクト310a及びオブジェクト310bは人物のオブジェクトである。オブジェクト310aの体の向きは車道50方向に向いている。一方、オブジェクト310bの体の向きは車道50方向に向いていない。そのため、抽出部222は、オブジェクト310aを、車両20に接近する危険性がある対象のオブジェクトとして抽出する。
【0057】
対象距離取得部230は、レーダー21から測距情報を取得する。対象距離取得部230は、レーダー21から取得した測距情報と、画像300上におけるオブジェクト310aの位置とに基づいて、車両20の基準位置P1から歩行者80aの位置P2までの距離Lを算出する。例えば、対象距離取得部230は、レーダー21に、オブジェクト310aの位置に対応する実空間上の方向に存在する物体までの距離を測定させてよい。また、対象距離取得部230は、レーダー21から実空間上の複数点の測距情報を取得して、複数点の測距情報の中から、画像300上のオブジェクト310aの位置に対応する点の測距情報を選択することにより、距離Lを特定してよい。対象距離取得部230は、画像300を解析することにより、距離Lを特定してもよい。対象距離取得部230は、画像300内のオブジェクトの大きさに基づいて、距離Lを特定してよい。対象距離取得部230は、被写体までの距離に応じてぼけ量や色ズレ量が異なることを利用して、画像のオブジェクト310aの領域から抽出したボケ量及び色ズレ量に基づいて、距離Lを特定してよい。対象距離取得部230は、カメラ22で取得された視差情報に基づいて距離Lを特定してよい。カメラ22が2眼カメラである場合、対象距離取得部230は、2眼カメラから得られた画像から視差情報を抽出することによって距離Lを特定してもよい。また、対象距離取得部230は複数の異なる手法で特定した距離Lに関するデータをフュージョン、あるいは重み付けを行って合算することで距離Lを特定してもよい。
【0058】
対象位置算出部240は、GNSS受信部25により検出された車両20の位置情報を取得する。対象位置算出部240は、GNSS受信部25により検出された位置情報に基づく車両20の基準位置P1と、対象距離取得部230が取得した距離Lと、画像300内のオブジェクト310aの位置に基づいて、
図4における歩行者80aの位置P2を算出する。通信制御部270は、位置P2を示す位置情報を含む要求情報を生成する。本実施形態において、要求情報に含まれる位置情報は、位置P2の地理的な位置を示す座標情報である。通信制御部270は、送信部290に要求情報を送信させる。
【0059】
端末82a及び端末82bはそれぞれ、送信部290から送信された要求情報を受信すると、要求情報から、位置P2の座標情報を抽出する。端末82a及び端末82bはそれぞれ、それぞれの端末82が点P2の近傍にあるか否かを判断する。例えば、端末82a及び端末82bはそれぞれ、それぞれの端末82の現在位置と点P2との間の距離が予め定められた距離D1以下か否かを判断する。端末82aは、端末82aの現在位置と点P2との間の距離がD1以下であることから、端末82aが点P2の近傍にあると判断して、GNSS信号を用いて測位を行う。
【0060】
なお、端末82aは、端末82aにおいてGNSS信号を用いて定期的に測位を行うよう設定されている場合において、当該定期的な測位とは別個に、GNSS信号を用いて測位を行ってよい。端末82aは、端末82aにおいてGNSS信号を用いて定期的に測位することが禁止されている場合でも、要求情報を受信したことに応じて、GNSS信号を用いて測位を行ってよい。一方、端末82bは、端末82の現在位置と点P2との間の距離がD1を超えることから、端末82bが点P2の近傍にないと判断して、要求情報に応じた再測位を行わず、要求情報を破棄する。
【0061】
端末82aは、測位によって測定した点P3の位置を示す位置情報を含む応答情報を、車両20に送信する。車両20において、受信部292が応答情報を受信すると、対象位置算出部240は、応答情報に含まれる位置情報が示す点P3に基づいて、歩行者80aの位置を補正する。
【0062】
一例として、対象位置算出部240は、歩行者80aが点P3に位置していると決定してよい。また、対象位置算出部240は、点P3を中心として距離D2内に歩行者80aが位置していると仮定し、要求情報の送信前に特定した点P2が距離D2内にないことを条件として、歩行者80aが点P3に位置していると決定してよい。そして、対象特定部210は、点3に位置する歩行者が車両20に接近する危険性があるか否かを判断し、点3に位置する歩行者が車両20に接近する危険性があると判断した場合に、送信部290は警告情報を端末82aに送信する。なお、対象位置算出部240は、要求情報の送信前に特定した点P2と点P3との間の距離が距離D2以下の場合には、歩行者80aが点P2に位置していると判定してよい。この場合、歩行者80aが車両20に接近する危険性があるか否かの判定を行うことなく、警告情報を端末82aに送信してよい。なお、端末82aに警告情報を送信する場合に、通信制御部270は、応答情報から抽出した点P3を示す位置情報を含む警告情報を生成して送信部290に送信させてよい。
【0063】
端末82a及び端末82bはそれぞれ、送信部290から送信された警告情報を受信すると、警告情報から、点P3の座標情報を抽出する。端末82a及び端末82bはそれぞれ、それぞれの端末82が点P3の近傍にあるか否かを判断する。例えば、端末82a及び端末82bは、それぞれの端末82の現在位置と点P3との間の距離が予め定められた距離D3以下であるか否かを判断する。端末82aは、端末82aの現在位置と点P3との間の距離がD3以下であることから端末82が点P3の近傍にあると判断して、警告を出力する。なお、D3はD1と同じ長さであってよい。D3はD1より短くてもよい。送信部290は、D1を示す距離情報を含む要求情報を送信してよい。送信部290は、D3を示す距離情報を含めて警告情報を送信してよい。
【0064】
なお、速度算出部260は、歩行者80aの速度V2を算出してよい。例えば、速度算出部260は、対象位置算出部240が算出した位置の時間的な変化量に基づいて、歩行者80aの速度V2を算出してよい。通信制御部270は、速度V2に基づいて、送信部290が要求情報を送信する送信方式を選択してよい。通信制御部270は、車両20の速度V1に基づいて、送信部290が要求情報を送信する送信方式を選択してもよい。通信制御部270は、車速センサ26で検出された車両20の速度に少なくとも基づいて、速度V1を特定してよい。通信制御部270は、GNSS受信部25で検出された車両20の位置の時間的な変化量に基づいて、速度V1を特定してよい。通信制御部270は、速度V1及び速度V2に基づいて、車両20と歩行者80aとの相対速度を算出し、算出した相対速度に基づいて、送信部290が要求情報を送信する送信方式を選択してもよい。同様に、通信制御部270は、速度V2に基づいて、送信部290が警告情報を送信する送信方式を選択してよい。通信制御部270は、車両20の速度V1に基づいて、送信部290が警告情報を送信する送信方式を選択してもよい。通信制御部270は、車両20と歩行者80aとの相対速度に基づいて、送信部290が警告情報を送信する送信方式を選択してもよい。通信制御部270が速度に基づいて送信方式を決定する方法の一例については、後述する。
【0065】
図5は、車両20、端末82a及び端末82bが実行する処理の流れを概略的に示す。
図5では、車両20に接近する危険性がある対象として歩行者を認識する場合を取り上げて説明する。
【0066】
S502において、抽出部222は、カメラ22から取得した画像から、歩行者のオブジェクトを抽出する。S504において、抽出部222は、抽出した各オブジェクトに対応する各歩行者について、車両20に接近する危険性があるか否かを判断する。S506において、対象位置算出部240は、車両20に接近する危険性がある歩行者の座標を算出する。
【0067】
S508において、送信部290は、S506で算出した歩行者の位置の座標情報を含む要求情報を送信する。このとき、送信部290は、警告情報の宛先となる端末82を指定せずに、ブロードキャストで要求情報を送信してよい。送信部290は、要求情報の宛先となる端末82を指定して、ユニキャストで要求情報を送信してもよい。送信部290は、要求情報を送信する前に取得した周囲の端末82のアドレスを特定して、ユニキャストで要求情報を端末82へ送信してよい。一例として、送信部290は、S506で歩行者の座標を特定した後、送信部290に要求情報を送信させる前に、車両20の周囲に存在する端末82のアドレスを直接通信により取得して、取得したアドレスを宛先として、ユニキャストで警告情報を端末82へ送信してよい。送信部290は、車両20の周囲に存在する端末82から送信されるビーコン情報に基づいて、端末82のアドレスを取得して、取得したアドレスを宛先として、ユニキャストで要求情報を端末82へ送信してよい。
【0068】
端末82aは、通信装置24から要求情報を受信すると、S520において、位置情報を車両20に送信するか否かを判断する。例えば、
図4に示す例では、端末82aは、端末82aの現在位置と、要求情報に含まれる点P2の座標との間の距離がD1以下であると判断する。したがって、端末82aは、位置情報を車両に送信すると判断して、S522において、測位を行う。なお、端末82aは、位置情報の要求情報を受信したことに応じて測位を行い、S520の判断を行ってよい。S524において、測位により測定された端末82aの座標情報を含む応答情報を、車両20に送信する。なお、応答情報には、応答情報の送信元となる端末82aの端末IDが含まれる。応答情報に含まれる端末IDは、アドレス情報の一例である。
【0069】
一方、端末82bは、S530において、端末82bの現在位置と要求情報に含まれる点P2との間の距離がD1を超えると判断する。これにより、端末82bは、位置情報を車両に送信しないと判断して、測位を行わずに要求情報を破棄する。なお、端末82bは、位置情報の要求情報を受信したことに応じて測位を行い、S530の判断を行ってよい。
【0070】
車両20において受信部292が応答情報を受信すると、S510において、対象位置算出部240は、応答情報に含まれる端末82aの座標情報に基づいて、警告の対象を特定する。例えば、
図4に示す例において、対象位置算出部240は、応答情報に含まれる点P3に歩行者80aが位置するとみなして、歩行者80aが車両20に接近する危険性がある場合に、歩行者80aが警告の対象になると判断してよい。歩行者80aが警告の対象になると判断した場合、S512において、送信部290は、S524で受信した応答情報の送信元の端末IDを宛先とする警告情報を送信する。このように、警告情報の送信先の端末IDを特定できる場合、送信部290は、ユニキャストで警告情報を送信してよい。
【0071】
端末82aは、通信装置24から警告情報を受信すると、S526において、端末82aのHMI機能を用いて歩行者80aに警告測位を行う。なお、端末82bは、通信装置24が送信した警告情報の電波を受信するが、端末82bは警告情報の宛先に該当しないため、警告を行うことなく警告情報を破棄する。
【0072】
なお、車両20において、S512で警告情報を送信した後、S514において、運転支援制御装置30は運転支援を行う。例えば、運転支援制御装置30は、衝突被害軽減制動制御装置(Advanced Emergency Braking System)の機能により、予め定められた条件が満たされた場合に、車両20を減速させたり、ビームパッシングやホーンの吹聴を行うことによって、歩行者に車両20の接近を通知してよい。
【0073】
図6は、車両20、端末82a及び端末82bが実行する他の処理の流れを概略的に示す。
図6のS502、S504、S506、S508、S514、S520、S522及びS530の処理は、それぞれ
図5のS502、S504、S506、S508、S514、S520、S522及びS530の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0074】
端末82aは、S522において測位を行った後、S624において、測位により測定された端末82aの座標情報を含む応答情報を、車両20に送信する。ここでは、応答情報には、応答情報の送信元となる端末82aの端末IDが含まれていないものとする。
【0075】
車両20において受信部292が応答情報を受信すると、S610において、対象位置算出部240は、応答情報に含まれる端末82aの座標情報に基づいて、警告の対象を特定する。S610の処理はS510の処理と同じであるので説明を省略する。S610において歩行者80aが警告の対象になると判断した場合、S612において、送信部290は、S624で受信した位置情報を含む警告情報を送信する。警告情報の送信先の端末82のアドレス情報が不明の場合、送信部290は、警告情報の宛先の端末82を指定せずに、位置情報を含む警告情報をブロードキャストで送信してよい。
【0076】
端末82aは、通信装置24から送信された警告情報を受信すると、S626において、警告を行うか否かを判断する。例えば、
図4に示す例では、端末82aは、端末82aの現在位置と、警告情報に含まれる点P3の座標との間の距離がD3以下であると判断する。したがって、端末82aは、S628において、端末82aのHMI機能を用いて歩行者80aに警告を行う。一方、端末82bは、S632において、端末82bの現在位置と警告要求情報に含まれる点P3との間の距離がD3を超えると判断する。これにより、端末82bは、警告を行わずに警告情報を破棄する。
【0077】
なお、
図5に関連して、応答情報に端末IDが含まれる場合に送信部290が警告情報をユニキャストで送信する形態を説明した。また、
図6に関連して、応答情報に端末IDが含まれない場合に、端末82の座標情報を含む警告情報をブロードキャストで送信する形態を説明した。しかし、
図5と
図6の処理を任意に組み合わせてもよい。例えば、
図5のS512において、端末82の座標情報を含む警告情報をユニキャストで端末82aに送信して、端末82aがS626の処理を行ってよい。また、
図5のS512において、端末82aの座標情報を含む警告情報をブロードキャストで送信して、端末82aがS626の処理を行ってよい。
【0078】
図7は、送信方式を特定するために通信制御部270が参照する送信方式情報のデータ構造を示す。送信方式情報は、種別と、速度と、送信方式とを対応づける。通信制御部270は、送信方式情報を参照して、要求情報及び警告情報の少なくとも一方の送信方式を決定する。送信方式情報は、記憶部280に記憶される。なお、説明が冗長になることを避けるために、
図7の説明において、要求情報及び警告情報のことを「送信情報」と呼ぶ。
【0079】
「種別」は、例えば「歩行者」や「自動車」等、警告の対象となり得る物体の種別を識別する情報である。「速度」は、警告の対象となり得る物体の速度の範囲を示す情報である。
【0080】
「送信方式」は、送信情報の送信方式を識別する情報である。「送信方式」は、送信情報の送信信号強度を定める情報を含んでよい。例えば、「方式2」は、「方式1」より高い信号強度で送信する送信方式であってよい。
【0081】
「送信方式」は、ユニキャスト送信及びブロードキャスト送信のいずれで送信情報を送信するかを定める情報を含んでよい。例えば、「方式1」は「ユニキャスト」であり、「方式2」は「ブロードキャスト」であってよい。
【0082】
「送信方式」は、ブロードキャスト送信する場合における送信情報の繰り返し送信数を定める情報を含んでよい。例えば、「方式2」は、「方式1」より多い繰り返し送信数で送信する送信方式であってよい。
【0083】
「送信方式」は、ブロードキャスト送信する場合における送信情報の繰り返し送信を行う期間を定める情報を含んでよい。例えば、「方式2」は、「方式1」より長い繰り返し送信期間で送信する送信方式であってよい。
【0084】
「送信方式」は、ブロードキャスト送信する場合における送信情報の繰り返し送信頻度を定める情報を含んでよい。例えば、「方式2」は、「方式1」より高い繰り返し送信頻度で送信する送信方式であってよい。「送信方式」は、ブロードキャスト送信する場合において送信情報を繰り返し送信する時間間隔を定める情報を含んでよい。例えば、「方式2」は、「方式1」より短い繰り返し送信間隔で送信する送信方式であってよい。
【0085】
「送信方式」は、ユニキャスト送信において送信情報の再送制御を行うか否かを示す情報を含んでよい。例えば、「方式1」は再送制御を行わない送信方式であってよく、「方式2」は再送制御を行う送信方式であってよい。
【0086】
「送信方式」は、ユニキャスト送信において送信情報の再送を試行する再送試行回数を示す情報を含んでよい。例えば、「方式2」は、「方式1」より多い再送試行回数で送信する送信方式であってよい。
【0087】
「送信方式」は、PC5によって送信情報を送信するか否かを識別する情報を含んでよい。「送信方式」は、DSRC(登録商標)によって送信情報を送信するか否かを識別する情報を含んでよい。「送信方式」は、Bluetooth(登録商標)で送信情報を送信するか否かを識別する情報を含んでよい。例えば、「方式1」は、DSRC(登録商標)によって送信情報を送信することを示し、「方式2」は、PC5によって送信情報を送信することを示してよい。
【0088】
通信制御部270は、送信方式情報において、対象特定部210が特定した種別と、速度算出部260が算出した移動速度との組み合わせに対応づけられた送信方式を選択して、選択した送信方式で送信する。一例として、「方式1」が「ユニキャスト」の送信方式であり、「方式2」が「ブロードキャスト」の送信方式である場合を取り上げて説明する。通信制御部270は、送信方式情報を参照して、速度が予め定められた速度より速い場合に、「ブロードキャスト」の送信方式を少なくとも選択する。具体的には、警告対象の種別が歩行者である場合、歩行者の速度が2km/s以下の場合は、「ユニキャスト」を選択し、歩行者の速度が2km/sを超える場合は、「ブロードキャスト」を選択する。警告対象の種別が自動車である場合、自動車の車速が5km/s以下の場合は、「ユニキャスト」を選択し、車速が5km/sを超える場合は「ブロードキャスト」を選択する。なお、「送信方式」は、複数の送信方式の組み合わせを定めてよい。例えば、「送信方式」は、自動車の車速が5km/sを超える場合に対応づけて、送信情報を「ユニキャスト」及び「ブロードキャスト」で送信することを定めてよい。
【0089】
このように、通信制御部270は、抽出部222が抽出した対象の種別に基づいて、送信情報の送信方式を選択する。これにより、通信制御部270は、対象の種別、対象の移動速度に基づく危険性の高さに応じて、送信情報の送信方式を選択することができる。なお、上記した送信方式の選択は単なる例示に過ぎない。送信方式の選択は、対象の種別、対象が車両20に接近する危険性、対象が車両20に接近するまでの時間、通信の信頼性、通信の輻輳度等を総合的に考慮して最適な送信方式を選択すればよい。例えば、「方式1」が「ブロードキャスト」であり「方式2」が「ユニキャスト」である場合も有り得る。
【0090】
なお、送信部290は、抽出部222が抽出した対象の種別を示す種別情報を含む送信情報を送信してもよい。端末82は、送信情報を受信した場合に、送信情報に含まれる種別情報を抽出して、抽出した種別情報が端末82に予め定められた種別情報に適合しない場合には警告又は測位を行わないと判断してよい。例えば、車両20が「歩行者」の種別情報を含む送信情報を送信した場合に、当該送信情報を受信した他の車両は、送信情報に含まれる種別情報が示す種別に適合しないため、警告又は測位を行わないと判断してよい。
【0091】
図8は、通信装置24が実行する通信方法に係るフローチャートを示す。通信装置24は、警告処理ループの始点S700から、警告処理ループの終点S728までの間の処理を、繰り返し実行する。通信装置24は、警告処理の始点S700及び警告処理の終点S728の少なくとも一方において予め定められた条件が満たされた場合に、警告処理のループを終了する。
【0092】
S702において、移動体位置情報取得部250及び速度算出部260は、それぞれ車両20の現在位置及び移動速度を取得する。例えば、移動体位置情報取得部250は、GNSS受信部25から逐次出力される位置情報を取得する。また、速度算出部260は、車速センサ26から逐次出力される速度情報を取得する。
【0093】
S704において、抽出部222は、画像取得部220がカメラ22から取得した画像から、車両20に接近する危険性がある対象を抽出する。また、抽出部222は、画像から、車両20に接近する危険性がある対象の種別を特定する。
【0094】
S706において、対象距離取得部230は、車両20に接近する危険性がある対象が抽出されたか否かを判断する。車両20に接近する危険性がある対象が抽出されなかった場合、S728に移行する。一方、車両20に接近する危険性がある対象が抽出された場合、S708において、対象距離取得部230は、S704で抽出された対象までの距離を取得する。対象距離取得部230は、レーダー21の測距情報や画像取得部220が取得した画像の解析結果に基づいて、S704で抽出された対象までの距離を取得する。
【0095】
S710において、対象位置算出部240は、S704で抽出された対象の位置を算出する。具体的には、対象位置算出部240は、S702で取得した車両の位置と、S708で取得した対象までの距離と、画像内における対象の位置とに基づいて、S704で抽出された対象の位置を示す地理的な座標を算出する。
【0096】
S712において、速度算出部260は、S704で抽出された対象の移動速度を算出する。例えば、速度算出部260は、S704で抽出された対象の位置の時間的な変化量に基づいて、S704で抽出された対象の速度を算出してよい。速度算出部260は、対象と車両20との間の相対的な移動速度を算出してもよい。
【0097】
S714において、通信制御部270は、S712で算出された移動速度及びS704で抽出された対象の種別に基づいて、要求情報の送信方式を選択する。
【0098】
S716において、送信部290は、S710で算出した対象の座標を含む要求情報を、S714で選択された送信方式に従って送信する。S718において、受信部292は、端末82の座標情報を含む応答情報を受信する。S720において、対象位置算出部240は、応答情報に含まれる座標情報に基づいて対象の位置を補正する。例えば、対象位置算出部240は、応答情報に含まれる座標情報を対象の位置情報とみなしてよい。
【0099】
S722において、対象特定部210は、対象が車両20に接近する危険性がある否かを判断する。対象が車両20に接近する危険性がないと判断した場合、S728に移行する。一方、対象が車両20に接近する危険性があると判断した場合、S724において、通信制御部270は、S712で算出された移動速度及びS704で抽出された対象の種別に基づいて、警告情報の送信方式を選択する。そして、S726において、送信部290は、S724で選択された送信方式に従って警告情報を送信する。
【0100】
以上に説明した警告システム10によれば、通信装置24が位置情報を含む要求情報を送信するので、車両20に接近する危険性のない歩行者80の端末82が測位を行うことを抑制することができる。また、通信装置24は、端末82が測位した最新の位置情報を用いて歩行者80に警告する必要があるか否かを決定することができる。また、通信装置24は、端末82の最新の位置情報に基づいて警告情報を送信することができる。そのため、警告の必要のない歩行者80に警告が行われることいを抑制することができる。また、端末82と車両20との間で無駄な通信が発生することを抑制することができる。また、警告システム10によれば、各端末82は、要求情報や警告情報に含まれる位置情報と端末82の現在位置との距離を算出すればよく、歩行者80に接近する車両20の位置を確認する等の処理を各端末82が行う必要もない。そのため、端末82の負荷を軽減することができる。
【0101】
なお、車両20は、輸送機器の一例である。輸送機器は、乗用車やバス等の自動車、鞍乗型車両、自転車等を含む。また、移動体としては、人物以外に、乗用車やバス等の自動車、鞍乗型車両、自転車等の輸送機器を含む。
【0102】
図9は、本発明の複数の実施形態が全体的又は部分的に具現化され得るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000に、実施形態に係る通信装置24等の装置又は当該装置の各部として機能させる、当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
【0103】
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
【0104】
CPU2012は、ROM2026及びRAM2014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0105】
通信インタフェース2022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。フラッシュメモリ2024は、コンピュータ2000内のCPU2012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ROM2026は、アクティブ化時にコンピュータ2000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入力/出力チップ2040はまた、キーボード、マウス及びモニタ等の様々な入力/出力ユニットをシリアルポート、パラレルポート、キーボードポート、マウスポート、モニタポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート等の入力/出力ポートを介して、入力/出力コントローラ2020に接続してよい。
【0106】
プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又はメモリカードのようなコンピュータ可読媒体又はネットワークを介して提供される。RAM2014、ROM2026、又はフラッシュメモリ2024は、コンピュータ可読媒体の例である。プログラムは、フラッシュメモリ2024、RAM2014、又はROM2026にインストールされ、CPU2012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2000に読み取られ、プログラムと上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0107】
例えば、コンピュータ2000及び外部デバイス間で通信が実行される場合、CPU2012は、RAM2014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2022は、CPU2012の制御下、RAM2014及びフラッシュメモリ2024のような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取った送信データをネットワークに送信し、ネットワークから受信された受信データを、記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0108】
また、CPU2012は、フラッシュメモリ2024等のような記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2014に読み取られるようにし、RAM2014上のデータに対し様々な種類の処理を実行してよい。CPU2012は次に、処理されたデータを記録媒体にライトバックする。
【0109】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理にかけられてよい。CPU2012は、RAM2014から読み取られたデータに対し、本明細書に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々な種類のオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々な種類の処理を実行してよく、結果をRAM2014にライトバックする。また、CPU2012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2012は、第1の属性の属性値が指定されている、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0110】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2000上又はコンピュータ2000近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能である。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2000に提供してよい。
【0111】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000を通信装置24として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、通信装置24の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段である通信装置24の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の通信装置24が構築される。
【0112】
様々な実施形態が、ブロック図等を参照して説明された。ブロック図において各ブロックは、(1)オペレーションが実行されるプロセスの段階又は(2)オペレーションを実行する役割を持つ装置の各部を表わしてよい。特定の段階及び各部が、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウエア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、及び他の論理オペレーション、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウエア回路を含んでよい。
【0113】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく実行され得る命令を含む製品の少なくとも一部を構成する。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0114】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0115】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はプログラマブル回路に対し、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、説明された処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0116】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0117】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0118】
10 警告システム
20 車両
21 レーダー
22 カメラ
24 通信装置
25 GNSS受信部
26 車速センサ
29 センサ
30 運転支援制御装置
50 車道
60 歩道
80 歩行者
82 端末
100 車両
200 処理部
210 対象特定部
220 画像取得部
222 抽出部
230 対象距離取得部
240 対象位置算出部
250 移動体位置情報取得部
260 速度算出部
270 通信制御部
280 記憶部
290 送信部
292 受信部
294 通信部
300 画像
310 オブジェクト
2000 コンピュータ
2010 ホストコントローラ
2012 CPU
2014 RAM
2020 入力/出力コントローラ
2022 通信インタフェース
2024 フラッシュメモリ
2026 ROM
2040 入力/出力チップ