IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浙江山聯新材料科技有限公司の特許一覧

特許7403636無機分解性可塑性マスターバッチ材料及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】無機分解性可塑性マスターバッチ材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/22 20060101AFI20231215BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20231215BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20231215BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20231215BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
C08J3/22 CES
C08L23/04
C08L23/10
C08K3/26
C08K7/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022515565
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 CN2020106854
(87)【国際公開番号】W WO2021047333
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】201910845341.1
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522089631
【氏名又は名称】浙江山聯新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 剣勇
(72)【発明者】
【氏名】▲レイ▼ 瑞亜
(72)【発明者】
【氏名】蔡 儷晨霞
【審査官】福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106977794(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109265806(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103333395(CN,A)
【文献】特開2000-239531(JP,A)
【文献】特開平07-324147(JP,A)
【文献】特開平09-071693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28
C08J 99/00
C08L 23/04
C08L 23/10
C08K 3/26
C08K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の環境にやさしい分解性製品の製造に用いられる無機分解性可塑性マスターバッチ材料であって、
成分として、
炭酸カルシウム鉱物粉末56~72質量%と、
ポリエチレン3~10質量%と、
ポリプロピレン18~30質量%と、
ガラス繊維2~5質量%と、
助剤3~5質量%とを含み、
前記炭酸カルシウム鉱物粉末56~72質量%中の各粒子径の炭酸カルシウム鉱物粉末の割合として、
直径が65~60μmに制御された230メッシュの粒子が5~15%、
直径が60~55μmに制御された250メッシュの粒子が5~15%、
直径が55~50μmに制御された300メッシュの粒子が5~15%、
直径が50~35μmに制御された400メッシュの粒子が20~40%、
直径が20~10μmに制御された800メッシュの粒子が10~45%、
直径が10~5μmに制御された1200メッシュの粒子が10~45%であり、
炭酸カルシウム鉱物粉末全体の平均粒子径が必ず20μm~45μmの間であ
前記2~5質量%のガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、
前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比が、10:0.5~2:2~5:1~2.5であり、
前記ガラス繊維は、直径が8~9μmで、長さが0.6~1.2mmであり、
前記助剤は、相乗剤を含み、
前記相乗剤は、成分Iと成分IIとからなり、成分Iと成分IIとの質量比が10~15:1~3であり、
前記成分Iは、ジルコネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤のうちの1種又は複数種であり、
前記成分IIは、ポリプロピレングラフト無水マレイン酸、スチレングラフト無水マレイン酸、エチレン-エチルアクリル酸共重合体グラフト無水マレイン酸、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素三元共重合体グラフト無水マレイン酸、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体グラフト無水マレイン酸のうちの1種又は複数種である、
ことを特徴とする無機分解性可塑性マスターバッチ材料。
【請求項2】
割合要件を満たす炭酸カルシウム混合粉末を秤量するステップ1と、
炭酸カルシウム鉱物粉末56~72重量%と、ガラス繊維2~5質量%とを秤量し、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン3~10質量%、ポリプロピレン18~30質量%、及び助剤3~5%を混合機に加え、15~20分間混合して原料混合物を得、それと同時に、超音波振動により突固めて排気するステップ2と、
温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、原料混合物を溶融してストランド状に押し出した直後、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造するステップ3とを含む、請求項に記載の無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造方法。
【請求項3】
混合機の回転数が100~130r/minであり、超音波振動周波数が1800~2100Hzである、請求項に記載の無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造方法。
【請求項4】
超音波振動周波数が2000Hzである、請求項2または3に記載の無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造方法。
【請求項5】
ステップ3において、押出機内の原料混合物の溶融混練温度が、180℃~280℃である、請求項2または3に記載の無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機分解性可塑性マスターバッチ材料及びその製造方法に関し、各種の環境にやさしい分解性製品の製造に用いられる。
【背景技術】
【0002】
現在、中国国外では、射出成形、ブロー成形の応用分野において、分解性可塑性マスターバッチの応用はますます広がっている。中国国外のマスターバッチはほとんど中国国内の生産企業にとって高すぎる。中国国内では、技術的、経済的な制約から開発が遅れており、特に大面積射出成形の場合、分散性の悪さや不良による製品の品質低下、又は退色、にじみなどの現象が発生しやすく、カラーマスターバッチを添加する方法もあるが、中国産のカラーマスターバッチは、原材料、顔料や助剤などの原因で、一般的に、重金属が基準を遥かに超えているという問題が存在し、これは、環境への要件が高い製品には適用できず、生産過程において環境汚染などの問題も存在する。また、従来技術において分解性可塑性マスターバッチの分解速度は一般的に高くない。現在広く応用されている分解性プラスチックには、光分解性プラスチック、生分解性プラスチック、光/生分解性プラスチック、及び全分解性プラスチックなどがある。その中でも、光分解性材料は、主に紫外線などの光線の照射により、該プラスチック中の重合体分子鎖の電子活性が励起され、光化学反応が起こり、この時に空気中の酸素が化学反応に参与し、プラスチックの性質を変え、最終的に光酸素分解を実現するものである。光分解性プラスチックは光の照射により脆化し、風や雨などの自然要素の補助により、さらに細かく脆化し、最終的に粉末となり土壌に溶け込み、新たな生物循環に入る。生分解とは、微生物による侵食、分解作用により分解を実現する過程である。生分解性材料は、重合体に可塑剤や酸化防止剤などの添加剤を加えることによりその性質を変え、生物侵食に対する耐性を低下させて生分解性を実現するものである。現在、生分解性プラスチックは、デンプン系分解性プラスチック、セルロース系分解性プラスチックなど、非常に一般的になっている。光/生分解性プラスチックは、両者の利点を併せ持っているが、コストが高く、産物を制御することができず、しかも分解が不完全であることにより二次汚染を引き起こす恐れがある。全分解性プラスチックはデンプン含有量90%以上のデンプンプラスチックが代表的なものであるが、その特性にはいくつかの欠点が存在し、特に機械的特性や安定性が劣り、かつ価格は従来のプラスチックより3~8倍以上高い。そのため、分解速度が速く、分解が完全で、毒性が低く、機械的特性が良好で、コストが低い分解性可塑性マスターバッチが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
出願番号US2003002672の米国特許は、ポリオレフィン材料に無機フィラーを添加することにより、ポリオレフィン単独よりも低温での積層体基材に対するホットメルト接着剤の伝熱及び接着強度を向上させ、それによりホットメルト接着剤に対する構造のヒートシール性を向上させ、ホットメルト接着剤を用いた通常の材料よりも接着性が向上する積層体構造を提供する。しかし、このような積層体構造は、分解性材料と環境との十分な接触や反応には不利であり、その結果として材料の分解速度が低下する。出願番号2009102374677の中国特許は、廃棄物を低濃度のアルカリ液で処理した後、硝酸、塩酸、硫酸、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、フミン酸などで材料を中和し、植物の生育に必要なN、P、K類を加えた後、成膜剤や可塑剤などを加えてマルチングフィルムを製造する、バイオマス有機廃棄物を再利用して分解性マルチングフィルムを製造する方法を提供する。この材料は、適切な分解周期を有し、8ヶ月ぐらいでほぼ完全に分解するが、その機械的強度が低く、製造方法は環境に依存しており、玩具、食器などの他の製品の製造には適用できず、しかも分解物は深刻な環境汚染を引き起こす。出願番号2011104431987の中国特許出願は、ナノ粒子/ポリアミド複合材料を開示しており、加水分解重合法やアニオン重合法により、ナノ材料の独特な特性と高分子マトリックスの機械的特性を併せ持つ高分子マスターバッチを製造し、生産コストが低く、生産設備がシンプルで、大規模な工業生産に適しているが、その材料の分解速度や最終的な分解度には向上させる余裕がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、製造された製品が分解要件を満たし、一般的なプラスチック製品よりも高い機械的強度及び高い分解率を有する無機分解性可塑性マスターバッチ材料を提供することである。
【0005】
本発明の技術的解決手段は、具体的には、以下のとおりである。
【0006】
各種の環境にやさしい分解性製品の製造に用いられる無機分解性可塑性マスターバッチ材料であって、
成分として、
炭酸カルシウム鉱物粉末56~72質量%と、
ポリエチレン3~10質量%と、
ポリプロピレン18~30質量%と、
ガラス繊維2~5質量%と、
助剤3~5質量%とを含み、
前記炭酸カルシウム鉱物粉末56~72質量%中の各粒子径の炭酸カルシウム鉱物粉末の割合として、
直径が65~60μmに制御された230メッシュの粒子が5~15%、
直径が60~55μmに制御された250メッシュの粒子が5~15%、
直径が55~50μmに制御された300メッシュの粒子が5~15%、
直径が50~35μmに制御された400メッシュの粒子が20~40%、
直径が20~10μmに制御された800メッシュの粒子が10~45%、
直径が10~5μmに制御された1200メッシュの粒子が10~45%であり、
炭酸カルシウム鉱物粉末全体の平均粒子径が必ず20μm~45μmの間であることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記2~5質量%のガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維である。
【0008】
好ましくは、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比が、10:0.5~2:2~5:1~2.5である。
【0009】
好ましくは、前記ガラス繊維は、直径が8~9μmで、長さが0.6~1.2mmである。
【0010】
好ましくは、前記助剤は、表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤のうちの1種又は複数種の混合物を含む。
【0011】
好ましくは、前記相乗剤は、成分Iと成分IIとからなり、成分Iと成分IIとの質量比が10~15:1~3であり、
前記成分Iは、ジルコネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤のうちの1種又は複数種であり、
前記成分IIは、ポリプロピレングラフト無水マレイン酸、スチレングラフト無水マレイン酸、エチレン-エチルアクリル酸共重合体グラフト無水マレイン酸、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素三元共重合体グラフト無水マレイン酸、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体グラフト無水マレイン酸のうちの1種又は複数種である。
【0012】
好ましくは、前記酸化防止剤は、2,6-t-ブチル-4-メチルフェノール、ビス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィドから選ばれる1種又は2種の混合物である。
【0013】
好ましくは、各助剤の質量は、表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比が0.5~2:0.3~1:0.3~1:0.3~1:0.5~1.2:3~5:0.5~1であるという関係を満たす。
【0014】
好ましくは、前記アルミネートカップリング剤は、DL-411、DL-411AF、ASA、DL-411D、DL-411DFから選ばれる1種又は複数種である。前記ジルコネートカップリング剤はテトラ-n-プロピルジルコネートである。前記チタネートカップリング剤は、トリイソステアロイルイソプロピルカーボネート、イソプロピルトリス(4-ドデシルベンゼンスルホニル)チタネート、トリス(ジオクチルピロホスホリル)イソプロピルチタネート、ビス(ジオクチルホスホリル)エチレンチタネート、ビス(ジオクチルピロホスホリル)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジラウリルホスファイト)チタネート、トリス(ジフェニルプロピル)-イソプロピルチタネート、イソプロピルジ(メタクリル)イソステアロイルチタネートのうちの1種又は複数種である。前記シランカップリング剤は、クロロプロピルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、メタクリレート系シランカップリング剤、ビニルトリエトキシシラン、シラン化ポリブタジエン化合物、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルプロピルトリメトキシシランのうちの1種又は複数種である。
【0015】
さらに、本発明は、
割合要件を満たす炭酸カルシウム混合粉末を秤量するステップ1と、
炭酸カルシウム鉱物粉末56~72重量%と、ガラス繊維2~5質量%とを秤量し、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン3~10質量%、ポリプロピレン18~30質量%、及び助剤3~5%を混合機に加え、15~20分間混合して原料混合物を得、それと同時に、超音波振動により突固めて排気するステップ2と、
温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、原料混合物を溶融してストランド状に押し出した直後、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造するステップ3と、を含む無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造方法に関する。
【0016】
混合機の回転数が好ましくは100~130r/minであり、超音波振動周波数が好ましくは1800~2100Hzであり、さらなる超音波振動周波数が2000Hzである。
【0017】
ステップ3において、押出機内の原料混合物の溶融混練温度が、好ましくは180℃~280℃である。
【0018】
さらに、本発明は、
ブロー成形、ブリスター成形、射出成形、管引抜き、流延、フィルムインフレーションなどの複数の従来のプラスチックプロセスに適用でき、製造された製品は分解要件を満たし、一般的なプラスチック製品よりも高い機械的強度及び高い分解率を有する無機分解性可塑性マスターバッチ材料の使用を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以下の優れた利点を有する。
【0020】
(1)炭酸カルシウム粒子の粒子径:前記した炭酸カルシウム鉱物粉末56~72質量%中の各粒子径の炭酸カルシウム鉱物粉末の割合として、
直径が65~60μmに制御された230メッシュの粒子が5~15%、
直径が60~55μmに制御された250メッシュの粒子が5~15%、
直径が55~50μmに制御された300メッシュの粒子が5~15%、
直径が50~35μmに制御された400メッシュの粒子が20~40%、
直径が20~10μmに制御された800メッシュの粒子が10~45%、
直径が10~5μmに制御された1200メッシュの粒子が10~45%であり、
炭酸カルシウム鉱物粉末全体の平均粒子径が必ず20μm~45μmの間である。
【0021】
前記平均粒子径範囲内の炭酸カルシウム粒子は、強度を維持しながら、ガラス繊維と高分子重合体を最適な分散状態に維持させ、分解反応の一貫した進行を促進する一方、炭酸カルシウム鉱物粉末中の各粒子径の炭酸カルシウムの割合が上記の関係を満たすと、強固な分布構造が得られ、材料の機械的強度が著しく向上し、最適な分解速度と安定性のバランスが得られる。炭酸カルシウム鉱物粉末の粒子径が上記の割合要件を満たない場合や、鉱物粉末の粒子径がより大きいか小さい場合、材料の分解性と機械的特性の両方が低下する。
【0022】
(2)複合ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを10:0.5~2:2~5:1~2.5の質量比で混合して製造した複合ガラス繊維であり、カーボンナノチューブ、水ガラス、及びジュート繊維を短繊維として加えることにより相乗効果を有する。上記の限定された範囲内では、複合ガラス繊維フィラーの成分が互いに相乗作用を発揮し、無機フィラーと重合体材料との界面の相互作用を顕著に促進し、マスターバッチ原料中の重合体鎖の非交絡密度を増加させ、材料の損失弾性率及び貯蔵弾性率を顕著に向上させる。上記成分は、この割合では、強い機械的強度と著しく向上した分解速度を併せ持ち、さらにマスターバッチ材料全体の機械的強度と分解速度を向上させる。カーボンナノチューブ、水ガラス、及びジュート繊維の添加量がこの範囲を超えると、材料の強度が不足したり、分解速度が低下したりする。例えば、ガラス繊維中のカーボンナノチューブの含有量がさらに向上するか、又はジュート繊維の含有量がさらに減少すると、ガラス繊維が部分凝集効果を起こして材料の動的機械的特性の低下を招き、逆には、繊維は重合体鎖の形態や挙動を変えることができず、材料の分解特性が低下する。
【0023】
(3)ガラス繊維は、直径が8~9μmで、長さが0.6~1.2mmであり、最適な分布効果と充填効果が得られる。
【0024】
(4)相乗剤:相乗剤中の成分Iと成分IIの質量比が10~15:1~3である場合、相乗効果を発揮し、炭酸カルシウム粒子とガラス繊維の分散均一性及び界面結合度を高めながら炭酸カルシウムの分解速度を高め、マスターバッチ中のポリエチレン及びポリプロピレンの分解を促進する。上記範囲内で成分I又は成分IIの含有量をさらに増加させると、分解速度が低下し、粒子界面の結合効果が低下し、材料の機械的特性が影響を受ける。
【0025】
(5)助剤のうちステアリン酸亜鉛などは、混合マスターバッチ中のポリプロピレンの分解老化を速め、全体を破断して粉砕し、断面と空気を大きな面積で接触させ、特に空気中の硫化物と雨水からなる亜硫酸などの物質に遭遇すると、雨水に洗われると、小粒の炭酸カルシウムはより急速に粉砕され、より小さな破片になる。相乗剤と助剤中の他の成分は、さらに炭酸カルシウム及び高分子材料と空気との接触面積及び分解速度を増大し、最終的に材料を分解させる。分解後に残った多量の炭酸カルシウム粉末などは土壌に戻り、このため、無害・無汚染となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の最良な実施形態
実施例1
無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造:
ステップ1:粒子径65~60μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径60~55μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径55~50μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径50~35μmの炭酸カルシウム粉末40%、粒子径20~10μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径10~5μmの炭酸カルシウム粉末10%を秤量して、炭酸カルシウム混合粒子を製造した。
ステップ2:ステップ1で製造された炭酸カルシウム混合粒子56質量%と、ガラス繊維5質量%とを秤量して、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン5質量%、ポリプロピレン30質量%、及び助剤4%を回転数130r/minの混合機に加え、20分間混合して原料混合物を得、それと同時に、周波数2100Hzの超音波振動により突固めて排気した。
ステップ3:温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、混合原料を溶融してストランド状に押し出した直後に、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造した。
ステップ3において、押出機における原料混合物の溶融混練温度が280℃であった。
助剤のうち表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比は0.5:0.3:0.3:0.3:1:5:0.5であり、相乗剤は、質量比10:1のシランカップリング剤とエチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素三元共重合体グラフト無水マレイン酸であった。シランカップリング剤は3-アミノプロピルトリメトキシシランであった。
前記酸化防止剤は2,6-t-ブチル-4-メチルフェノールから選ばれた。
前記ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、前記ガラス繊維は直径が8μmで、長さが1.2mmであり、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:0.5:2:2.5であった。
本発明の実施形態
【0027】
実施例2
無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造:
ステップ1:粒子径65~60μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径60~55μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径55~50μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径50~35μmの炭酸カルシウム粉末40%、粒子径20~10μmの炭酸カルシウム粉末10%、粒子径10~5μmの炭酸カルシウム粉末15%を秤量して、炭酸カルシウム混合粒子を製造した。
ステップ2:ステップ1で製造された炭酸カルシウム混合粒子58質量%と、ガラス繊維5質量%とを秤量して、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン3質量%、ポリプロピレン30質量%、及び助剤4%を回転数130r/minの混合機に加え、20分間混合して原料混合物を得、それと同時に、周波数1800Hzの超音波振動により突固めて排気した。
ステップ3:温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、混合原料を溶融してストランド状に押し出した直後に、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造した。
上記のステップ3において、押出機における原料混合物の溶融混練温度が270℃であった。
助剤のうち表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比は1:0.5:0.5:1:0.5:3:0.5であり、相乗剤は、質量比15:1のシランカップリング剤とエチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素三元共重合体グラフト無水マレイン酸であった。シランカップリング剤は3-アミノプロピルトリエトキシシランであった。
前記酸化防止剤はビス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィドであった。
前記ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、前記ガラス繊維は直径が9μmで、長さが1.2mmであり、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:2:2:2.5であった。
【0028】
実施例3
無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造:
ステップ1:粒子径65~60μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径60~55μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径55~50μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径50~35μmの炭酸カルシウム粉末20%、粒子径20~10μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径10~5μmの炭酸カルシウム粉末20%を秤量して、炭酸カルシウム混合粒子を製造した。
ステップ2:上記の炭酸カルシウム混合粒子57重量%と、ガラス繊維3質量%とを秤量して、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン5質量%、ポリプロピレン30質量%、及び助剤5%を回転数120r/minの混合機に加え、20分間混合して原料混合物を得、それと同時に、周波数1900Hzの超音波振動により突固めて排気した。
ステップ3:温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、混合原料を溶融してストランド状に押し出した直後に、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造した。
上記のステップ3において、押出機における原料混合物の溶融混練温度が230℃であった。
助剤のうち表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比は2:1:1:1:1:3:0.5であり、相乗剤は、質量比15:3のシランカップリング剤とスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体グラフト無水マレイン酸であった。シランカップリング剤は3-アミノプロピルトリエトキシシランであった。
前記酸化防止剤はビス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィドであった。
前記ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、前記ガラス繊維は、直径が9μmで、長さが0.6mmであり、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:0.5:5:1であった。
【0029】
実施例4
無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造:
ステップ1:粒子径65~60μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径60~55μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径55~50μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径50~35μmの炭酸カルシウム粉末20%、粒子径20~10μmの炭酸カルシウム粉末45%、粒子径10~5μmの炭酸カルシウム粉末10%を秤量して、炭酸カルシウム混合粒子を製造した。
ステップ2:ステップ1で製造された炭酸カルシウム混合粒子57重量%と、ガラス繊維2質量%とを秤量して、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン8質量%、ポリプロピレン30質量%、及び助剤3%を回転数110r/minの混合機に加え、20分間混合して原料混合物を得、それと同時に、周波数2000Hzの超音波振動により突固めて排気した。
ステップ3:温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、混合原料を溶融してストランド状に押し出した直後に、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造した。
上記のステップ3において、押出機における原料混合物の溶融混練温度が200℃であった。
助剤のうち表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比は2:1:0.5:1:1.2:3:1であり、相乗剤は、質量比15:3のジルコン酸エステルカップリング剤とスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体グラフト無水マレイン酸であった。前記ジルコン酸エステルカップリング剤はテトラ-n-プロピルジルコン酸エステルであった。
前記酸化防止剤はビス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィドであった。
前記ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、前記ガラス繊維は、直径が8μmで、長さが0.6mmであり、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:1:3:1.5であった。
【0030】
実施例5
無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造:
ステップ1:粒子径65~60μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径60~55μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径55~50μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径50~35μmの炭酸カルシウム粉末20%、粒子径20~10μmの炭酸カルシウム粉末20%、粒子径10~5μmの炭酸カルシウム粉末45%を秤量して、炭酸カルシウム混合粒子を製造した。
ステップ2:ステップ1で製造された炭酸カルシウム混合粒子72質量%と、ガラス繊維2質量%とを秤量して、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン3質量%、ポリプロピレン18質量%、及び助剤5%を回転数110r/minの混合機に加え、20分間混合して原料混合物を得、それと同時に、周波数2100Hzの超音波振動により突固めて排気した。
ステップ3:温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、混合原料を溶融してストランド状に押し出した直後に、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造した。
上記のステップ3において、押出機における原料混合物の溶融混練温度が180℃であった。
助剤のうち表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比は1.5:1:0.5:1:1:4:1であり、相乗剤は、質量比12:3のチタネートカップリング剤とスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体グラフト無水マレイン酸であった。前記チタネートカップリング剤はイソプロピルトリス(4-ドデシルベンゼンスルホニル)チタネートであった。
前記酸化防止剤は2,6-t-ブチル-4-メチルフェノールであった。
前記ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、前記ガラス繊維は、直径が8.5μmで、長さが1mmであり、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:0.5:3:2.5であった。
【0031】
実施例6
無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造:
ステップ1:粒子径65~60μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径60~55μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径55~50μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径50~35μmの炭酸カルシウム粉末40%、粒子径20~10μmの炭酸カルシウム粉末12%、粒子径10~5μmの炭酸カルシウム粉末13%を秤量して、炭酸カルシウム混合粒子を製造した。
ステップ2:ステップ1で製造された炭酸カルシウム混合粒子60重量%と、ガラス繊維5質量%とを秤量して、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン10質量%、ポリプロピレン20質量%、及び助剤5%を回転数100r/minの混合機に加え、15分間混合して原料混合物を得、それと同時に、周波数2000Hzの超音波振動により突固めて排気した。
ステップ3:温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、混合原料を溶融してストランド状に押し出した直後に、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造した。
上記のステップ3において、押出機における原料混合物の溶融混練温度が240℃であった。
助剤のうち表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比は1:0.5:0.5:1:1:5:0.8であり、相乗剤は、質量比15:2のシランカップリング剤とエチレン-エチルアクリル酸共重合体グラフト無水マレイン酸であった。前記シランカップリング剤はN-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシランであった。
前記酸化防止剤は2,6-t-ブチル-4-メチルフェノールであった。
前記ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、前記ガラス繊維は、直径が8μmで、長さが1.1mmであり、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:2:3:2.5であった。
【0032】
実施例7
無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造:
ステップ1:粒子径65~60μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径60~55μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径55~50μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径50~35μmの炭酸カルシウム粉末30%、粒子径20~10μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径10~5μmの炭酸カルシウム粉末20%を秤量して、炭酸カルシウム混合粒子を製造した。
ステップ2:ステップ1で製造された炭酸カルシウム混合粒子65重量%、ガラス繊維4質量%を秤量して、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン6質量%、ポリプロピレン20質量%、及び助剤5%を回転数100r/minの混合機に加え、15分間混合して原料混合物を得、それと同時に、周波数2100Hzの超音波振動により突固めて排気した。
ステップ3:温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、混合原料を溶融してストランド状に押し出した直後に、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造した。
上記のステップ3において、押出機における原料混合物の溶融混練温度が260℃であった。
助剤のうち表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比は1:0.5:0.5:0.8:1:5:1であり、相乗剤は、質量比10:3の成分Iと成分IIであり、このうち、成分Iはアルミネートカップリング剤であり、成分IIはエチレン-エチルアクリル酸共重合体グラフト無水マレイン酸とポリプロピレングラフト無水マレイン酸との混合物であった。前記アルミネートカップリング剤はDL-411AFであった。
前記酸化防止剤は2,6-t-ブチル-4-メチルフェノールであった。
前記ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、前記ガラス繊維は、直径が9μmで、長さが0.8mmであり、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:1:3:1であった。
【0033】
実施例8
無機分解性可塑性マスターバッチ材料の製造:
ステップ1:粒子径65~60μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径60~55μmの炭酸カルシウム粉末5%、粒子径55~50μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径50~35μmの炭酸カルシウム粉末30%、粒子径20~10μmの炭酸カルシウム粉末15%、粒子径10~5μmの炭酸カルシウム粉末20%を秤量して、炭酸カルシウム混合粒子を製造した。
ステップ2:ステップ1で製造された炭酸カルシウム混合粒子70重量%と、ガラス繊維2質量%とを秤量して、混合機に順次加えて5分間混合し、その後、ポリエチレン5質量%、ポリプロピレン20質量%、及び助剤3%を回転数120r/minの混合機に加え、20分間混合して原料混合物を得、それと同時に、周波数2100Hzの超音波振動により突固めて排気した。
ステップ3:温度が供給口から排出口に向かうに従って高くなる押出機にて混合機内の原料混合物を溶融混練し、混合原料を溶融してストランド状に押し出した直後に、氷水に入れて素早く冷却し、ナイフを利用して水中で粒子状に高速切断し、その後、脱水して乾燥し、粒子状材料として無機分解性可塑性マスターバッチを製造した。
上記のステップ3において、押出機における原料混合物の溶融混練温度が220℃であった。
助剤のうち表面改質剤PN-827、熱安定剤BASF25、潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛L-608、潤滑剤としてのPPワックス、表面改質剤としてのステアリン酸180、相乗剤、酸化防止剤の質量比は1:0.5:0.5:1:1:3:0.8であり、相乗剤は、質量比11:2の成分Iと成分IIであり、成分Iはシランカップリング剤であり、成分IIはスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体グラフト無水マレイン酸とスチレングラフト無水マレイン酸との混合物であった。前記シランカップリング剤はメタクリレート系シランカップリング剤であった。
前記酸化防止剤は2,6-t-ブチル-4-メチルフェノールとビス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィドとを1:1の質量比で配合したものであった。
前記ガラス繊維は、極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとを複合した複合ガラス繊維であり、前記ガラス繊維は、直径が8.5μmで、長さが0.9mmであり、前記極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:0.5:5:1.5であった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
比較例1
ガラス繊維を添加していなかった以外、実施例1に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0035】
比較例2
補助相乗剤にはシランカップリング剤という1種の成分だけを含んだ以外、実施例1に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0036】
比較例3
補助相乗剤は、質量比1:1のジルコネートカップリング剤とポリプロピレングラフト無水マレイン酸であった以外、実施例2に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0037】
比較例4
補助相乗剤の成分は質量比1:3のアルミネートカップリング剤とスチレングラフト無水マレイン酸であった以外、実施例3に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0038】
比較例5
補助相乗剤の成分は質量比3:1のチタネートカップリング剤とスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体グラフト無水マレイン酸であった以外、実施例4に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0039】
比較例6
補助相乗剤の成分は質量比7:3のシランカップリング剤とポリプロピレングラフト無水マレイン酸であった以外、実施例5に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0040】
比較例7
前記マスターバッチ中の相乗剤はスチレングラフト無水マレイン酸だけから構成された以外、実施例6に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0041】
比較例8
前記ガラス繊維は一般的なガラス繊維であった以外、実施例7に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0042】
比較例9
前記ガラス繊維にはカーボンナノチューブが添加されていなかった以外、実施例2に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0043】
比較例10
前記ガラス繊維にはジュート繊維が添加されていなかった以外、実施例3に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0044】
比較例11
前記ガラス繊維には水ガラスが添加されていなかった以外、実施例4に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0045】
比較例12
前記複合ガラス繊維は直径が7μmで、長さ1mmであった以外、実施例6に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0046】
比較例13
前記複合ガラス繊維は直径8μm、長さ3mmであった以外、実施例6に記載の製造方法と同様にして、無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0047】
比較例14
前記複合ガラス繊維は直径が10μmで、長さが0.2mmであった以外、実施例1に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0048】
比較例15
前記複合ガラス繊維は直径が12μmで、長さが1mmであった以外、実施例2に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0049】
比較例16
前記複合ガラス繊維中の極細ガラス繊維と、水ガラスと、ジュート繊維と、カーボンナノチューブとの質量比は10:0.5:1:5であった以外、実施例3に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0050】
比較例17
前記炭酸カルシウム鉱物粉末の平均粒子径は15μmであった以外、実施例4に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0051】
比較例18
前記炭酸カルシウム鉱物粉末の平均粒子径は50μmであった以外、実施例7に記載の製造方法と同様にして無機分解性可塑性マスターバッチ材料を製造した。
【0052】
表1及び表2は、関連基準を参照して測定した実施例及び比較例の引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、及び分解性環境において6ヶ月、8ヶ月及び1年(12ヶ月)放置後の分解率である。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
マスターバッチ材料を分解した分解産物の毒性や危害についての検出結果を表3に示す。
注:
(1)1mg/kg=0.0001%
(2)MDL=方法検出限界
(3)ND=未検出(<MDL)
(4)「-」=未規定
テスト方法:US EPA 5021A:2014方法を参照して測定し、HS-GC-MSを用いて分析した。
【0056】
【表3】
【0057】
以上から分かるように、本発明の無機分解性可塑性マスターバッチ材料を用いて製造された製品は、分解要件を満たし、一般的なプラスチック製品よりも高い機械的強度及び高い分解率を有し、無害・無汚染である。