(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】部品表作成支援装置、部品表作成支援方法、及び部品表作成支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20231215BHJP
【FI】
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2022538575
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2021003104
(87)【国際公開番号】W WO2022018889
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2020124546
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】西本 秀平
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-089291(JP,A)
【文献】特開2001-282343(JP,A)
【文献】特開2018-036899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受注した製品である受注製品に要求される仕様を定めた受注データであって、前記仕様を構成する複数の仕様要素の各々について、該仕様要素の具体的内容を表す
数値データである仕様要素データが対応付けられた受注データを取得する取得部と、
過去に納品した前記製品である既納製品に関する情報を蓄積した既納製品データベースと、前記製品の構成単位となるユニットの種類別に該ユニットに要求されうる前記仕様要素である代表仕様要素を複数定めた仕様マスタとを参照する選出部であって、前記既納製品を構成する前記ユニットである既納ユニットごとに、該既納ユニットと同種類の前記ユニットに対して前記仕様マスタで定める前記代表仕様要素の各々について、該既納ユニットに対する該代表仕様要素の具体的内容を表す
数値データである過去仕様要素データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出した該過去仕様要素データ
の、前記受注製品についての該代表仕様要素と同じ前記仕様要素の具体的内容を表す前記仕様要素データと
の差分の絶対値である仕様相違度を算出し、前記既納製品データベースに前記過去仕様要素データが蓄積されている複数の前記既納ユニットのうち、
前記仕様相違度が相対的に小さいものを、前記仕様の具体的内容の観点から前記受注製品との近似の度合いが相対的に高
い近似ユニットとして選出する選出部と、
前記選出部によって選出された前記近似ユニットの部品表である近似部品表を表す近似部品表データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出した前記近似部品表データを前記受注製品の前記部品表の雛型としてユーザに提示し、かつ提示した前記近似部品表データを編集する編集環境をユーザに提供する提示部と、
を備え、
前記仕様マスタにおいて、前記ユニットの種類別に定められた複数の前記代表仕様要素の間で、優先順位が規定されており、
前記選出部が、前記優先順位に従った順番で前記近似ユニットの候補となる前記既納ユニットの数が絞り込まれてゆく条件で、前記近似ユニットを選出する、
部品表作成支援装置。
【請求項2】
受注した製品である受注製品に要求される仕様を定めた受注データであって、前記仕様を構成する複数の仕様要素の各々について、該仕様要素の具体的内容を表す
数値データである仕様要素データが対応付けられた受注データを取得する取得部と、
過去に納品した前記製品である既納製品に関する情報を蓄積した既納製品データベースと、前記製品の構成単位となるユニットの種類別に該ユニットに要求されうる前記仕様要素である代表仕様要素を複数定めた仕様マスタとを参照する選出部であって、前記既納製品を構成する前記ユニットである既納ユニットごとに、該既納ユニットと同種類の前記ユニットに対して前記仕様マスタで定める前記代表仕様要素の各々について、該既納ユニットに対する該代表仕様要素の具体的内容を表す
数値データである過去仕様要素データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出した該過去仕様要素データ
の、前記受注製品についての該代表仕様要素と同じ前記仕様要素の具体的内容を表す前記仕様要素データと
の差分の絶対値である仕様相違度を算出し、前記既納製品データベースに前記過去仕様要素データが蓄積されている複数の前記既納ユニットのうち、
前記仕様相違度が相対的に小さいものを、前記仕様の具体的内容の観点から前記受注製品との近似の度合いが相対的に高
い近似ユニットとして選出する選出部と、
前記選出部によって選出された前記近似ユニットの部品表である近似部品表を表す近似部品表データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出した前記近似部品表データを前記受注製品の前記部品表の雛型としてユーザに提示し、かつ提示した前記近似部品表データを編集する編集環境をユーザに提供する提示部と、
を備え、
前記仕様マスタにおいて、前記ユニットの種類別に定められた複数の前記代表仕様要素の各々に対して重み係数が規定されており、
前記選出部が、前記重み係数が大きい前記代表仕様要素ほど、前記受注製品との前記近似の度合いに大きく寄与する条件で、前記近似ユニットを選出する、
部品表作成支援装置。
【請求項3】
前記選出部が、
前記既納ユニットごとに、該既納ユニットの製造のしやすさの度合いを数値化した製造容易性指数データを前記既納製品データベースから抽出し、前記近似ユニットの選出に際して、前記近似ユニットの候補となる前記既納ユニットの
前記製造容易性指数データを用いて、
製造のしやすさの度合いが相対的に高い前記既納ユニットが選出される条件で、前記近似ユニットの候補となる前記既納ユニットの数の絞り込みを行う、
請求項1又は2に記載の部品表作成支援装置。
【請求項4】
前記選出部が、
前記既納ユニットごとに、該既納ユニットの設計又は製造の日時を表す日時データを前記既納製品データベースから抽出し、前記近似ユニットの選出に際して、前記近似ユニットの候補となる前記既納ユニットの
前記日時データを用いて、
設計又は製造の日時が相対的に新しい前記既納ユニットが選出される条件で、前記近似ユニットの候補となる前記既納ユニットの数の絞り込みを行う、
請求項1から3のいずれか1項に記載の部品表作成支援装置。
【請求項5】
前記近似ユニットの製造に関わる作業を指示するための作業指示書である近似作業指示書を表す近似作業指示書データを、前記既納製品データベースから抽出し、抽出した前記近似作業指示書データに対して、前記編集環境での前記近似部品表データの編集の少なくとも一部を反映させる編集反映部、
をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の部品表作成支援装置。
【請求項6】
前記選出部が、前記既納ユニットの種類別に、前記近似ユニットを選出し、
前記提示部が、前記選出部によって選出された前記近似ユニット別に、前記近似部品表データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出したすべての前記近似部品表データを組み合わせたものを前記雛型として提示し、かつ提示した前記近似部品表データの組み合わせを編集する前記編集環境をユーザに提供する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の部品表作成支援装置。
【請求項7】
前記受注データにおいて、前記受注製品の機種が定められており、
前記仕様マスタにおいて、前記機種と前記ユニットの種類との組み合わせ別に、前記代表仕様要素が複数定められており、
前記選出部が、前記受注製品と同じ前記機種の前記既納製品を構成する前記既納ユニットの中から、前記近似ユニットを選出する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の部品表作成支援装置。
【請求項8】
複数の前記既納製品の各々に要求された複数の前記仕様要素を、該既納製品を構成する前記既納ユニット別に分類した結果を用いて、前記既納ユニットの種類ごとに前記代表仕様要素を決定することにより、前記仕様マスタを作成する仕様マスタ作成部、
をさらに備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の部品表作成支援装置。
【請求項9】
受注した製品である受注製品に要求される仕様を定めた受注データであって、前記仕様を構成する複数の仕様要素の各々について、該仕様要素の具体的内容を表す
数値データである仕様要素データが対応付けられた受注データをコンピュータが取得する取得ステップと、
過去に納品した前記製品である既納製品に関する情報を蓄積した既納製品データベースと、前記製品の構成単位となるユニットの種類別に該ユニットに要求されうる前記仕様要素である代表仕様要素を複数定めた仕様マスタとをコンピュータが参照する選出ステップであって、コンピュータが、前記既納製品を構成する前記ユニットである既納ユニットごとに、該既納ユニットと同種類の前記ユニットに対して前記仕様マスタで定める前記代表仕様要素の各々について、該既納ユニットに対する該代表仕様要素の具体的内容を表す
数値データである過去仕様要素データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出した該過去仕様要素データ
の、前記受注製品についての該代表仕様要素と同じ前記仕様要素の具体的内容を表す前記仕様要素データと
の差分の絶対値である仕様相違度を算出し、前記既納製品データベースに前記過去仕様要素データが蓄積されている複数の前記既納ユニットのうち、
前記仕様相違度が相対的に小さいものを、前記仕様の具体的内容の観点から前記受注製品との近似の度合いが相対的に高
い近似ユニットとして選出する選出ステップと、
コンピュータが、前記選出ステップで選出した前記近似ユニットの部品表である近似部品表を表す近似部品表データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出した前記近似部品表データを前記受注製品の前記部品表の雛型としてユーザに提示し、かつ提示した前記近似部品表データを編集する編集環境をユーザに提供する提示ステップと、
を含み、
前記仕様マスタにおいて、前記ユニットの種類別に定められた複数の前記代表仕様要素の間で、優先順位が規定されており、
前記選出ステップでは、前記優先順位に従った順番で前記近似ユニットの候補となる前記既納ユニットの数が絞り込まれてゆく条件で、前記近似ユニットを選出する、
部品表作成支援方法。
【請求項10】
コンピュータに、
受注した製品である受注製品に要求される仕様を定めた受注データであって、前記仕様を構成する複数の仕様要素の各々について、該仕様要素の具体的内容を表す
数値データである仕様要素データが対応付けられた受注データを取得する取得機能と、
過去に納品した前記製品である既納製品に関する情報を蓄積した既納製品データベースと、前記製品の構成単位となるユニットの種類別に該ユニットに要求されうる前記仕様要素である代表仕様要素を複数定めた仕様マスタとを参照する選出機能であって、前記既納製品を構成する前記ユニットである既納ユニットごとに、該既納ユニットと同種類の前記ユニットに対して前記仕様マスタで定める前記代表仕様要素の各々について、該既納ユニットに対する該代表仕様要素の具体的内容を表す
数値データである過去仕様要素データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出した該過去仕様要素データ
の、前記受注製品についての該代表仕様要素と同じ前記仕様要素の具体的内容を表す前記仕様要素データと
の差分の絶対値である仕様相違度を算出し、前記既納製品データベースに前記過去仕様要素データが蓄積されている複数の前記既納ユニットのうち、
前記仕様相違度が相対的に小さいものを、前記仕様の具体的内容の観点から前記受注製品との近似の度合いが相対的に高
い近似ユニットとして選出する選出機能と、
前記選出機能によって選出された前記近似ユニットの部品表である近似部品表を表す近似部品表データを前記既納製品データベースから抽出し、抽出した前記近似部品表データを前記受注製品の前記部品表の雛型としてユーザに提示し、かつ提示した前記近似部品表データを編集する編集環境をユーザに提供する提示機能と、
を実現させ、
前記仕様マスタにおいて、前記ユニットの種類別に定められた複数の前記代表仕様要素の間で、優先順位が規定されており、
前記選出機能が、前記優先順位に従った順番で前記近似ユニットの候補となる前記既納ユニットの数が絞り込まれてゆく条件で、前記近似ユニットを選出する、
部品表作成支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品表作成支援装置、部品表作成支援方法、及び部品表作成支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品を製造する製造業界においては、製品を構成する部品群を一覧にした部品表(BOM:Bills of materials)を用いて、製品を管理している。新規に製品の受注があった場合は、まず、受注の内容に基づいて、その製品の部品表が作成される。
【0003】
特許文献1に開示されているように、設計変更された製品の受注があった場合には、過去に納品した設計変更前の製品の部品表を雛型にして、設計変更後の製品の部品表を作成することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今回受注した製品である受注製品と、過去に納品した製品である既納製品との間に、明確な承継関係が存在しない場合もある。その場合、仕様が受注製品に近似するとは言えない既納製品の部品表を雛型として選出してしまう結果、雛型に大幅な改変を施さねばならない事態が生じる懸念がある。この場合は、受注製品の部品表を能率的に作成することができない。
【0006】
また、受注製品の少なくとも一部をユニット化できる場合は、部品表を作成するにあたり、どの種類のユニットを採用するかについても都度検討しなければならない。このことも、部品表の作成の能率化を妨げる要因となっていた。以上の理由から、受注製品の部品表を能率的に作成することができる技術が望まれる。
【0007】
本開示の目的は、受注製品の部品表を能率的に作成することができる部品表作成支援装置、部品表作成支援方法、及び部品表作成支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る部品表作成支援装置は、取得部、選出部、及び提示部を備える。
取得部は、受注製品に要求される仕様を定めた受注データを取得する。受注データは、仕様を構成する複数の仕様要素の各々について、その仕様要素の具体的内容を表す数値データである仕様要素データを対応付けたものである。
選出部は、既納製品に関する情報を蓄積した既納製品データベースと、製品の構成単位となるユニットの種類別にそのユニットに要求されうる仕様要素である代表仕様要素を複数定めた仕様マスタとを参照する。選出部は、既納製品を構成するユニットである既納ユニットごとに、その既納ユニットと同種類のユニットに対して仕様マスタで定める代表仕様要素の各々について、その既納ユニットに対するその代表仕様要素の具体的内容を表す数値データである過去仕様要素データを既納製品データベースから抽出し、抽出した過去仕様要素データの、受注製品についての代表仕様要素と同じ仕様要素の具体的内容を表す仕様要素データとの差分の絶対値である仕様相違度を算出し、既納製品データベースに過去仕様要素データが蓄積されている複数の既納ユニットのうち、仕様相違度が相対的に小さいものを、仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高い近似ユニットとして選出する。
提示部は、近似ユニットの部品表である近似部品表を表す近似部品表データを、受注製品の部品表の雛型としてユーザに提示し、かつ提示した近似部品表データを編集する編集環境をユーザに提供する。
仕様マスタにおいて、ユニットの種類別に定められた複数の代表仕様要素の間で、優先順位が規定されている。選出部は、優先順位に従った順番で近似ユニットの候補となる既納ユニットの数が絞り込まれてゆく条件で、近似ユニットを選出する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る部品表作成支援装置によれば、仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高い既納ユニットが近似ユニットとして選出される。そして、その近似ユニットの部品表を表す近似部品表データが雛型としてユーザに提示され、かつその近似部品表データを編集する編集環境がユーザに提供される。このため、ユーザは、近似部品表データを用いて、受注製品の部品表を能率的に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る部品表作成支援システムの構成を示す概念図
【
図2】実施の形態1に係る部品表作成支援装置の機能を示す概念図
【
図3A】実施の形態1に係る受注データの構成を示す概念図
【
図3B】実施の形態1に係る選出部によって抽出された過去仕様要素データの構成を示す概念図
【
図4A】実施の形態1に係る既納製品データベースの構成を示す概念図
【
図4B】実施の形態1に係る受注内容データ群の構成を示す概念図
【
図5】実施の形態1に係る仕様マスタの構成を示す概念図
【
図6】実施の形態1に係る部品表作成支援装置の構成を示す概念図
【
図7】実施の形態1に係る部品表作成支援処理のフローチャート
【
図8A】実施の形態1に係る近似ユニット選出処理の一部を示すフローチャート
【
図8B】実施の形態1に係る近似ユニット選出処理の残部を示すフローチャート
【
図9】実施の形態2に係る仕様マスタの構成を示す概念図
【
図10】実施の形態3に係る仕様マスタの構成を示す概念図
【
図11】実施の形態4に係る仕様マスタ作成部の構成を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、実施の形態1-4に係る部品表作成支援システムについて述べる。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。
【0012】
[実施の形態1]
図1に示すように、本実施の形態に係る部品表作成支援システム400は、営業部門に配置された営業端末200と、設計部門に配置された部品表作成支援装置100と、生産管理部門に配置された生産管理装置300とを備える。営業部門では、製品を受注する。設計部門では、受注した製品の設計を行い、かつその製品の部品表及び作業指示書(work instruction)を作成する。生産管理部門では、部品表及び作業指示書を用いて製品の生産を管理する。
【0013】
部品表作成支援装置100は、通信網CNによって、営業端末200及び生産管理装置300と通信可能に接続されている。営業端末200は、受注した製品(以下、受注製品と記す。)に要求される仕様を定めた受注データDT1を、部品表作成支援装置100に送信する。
【0014】
部品表作成支援装置100は、受注データDT1を用いて、設計部門のユーザによる受注製品の部品表及び作業指示書の作成を支援し、かつ支援によって完成された部品表及び作業指示書を表す生産管理データDT2を、生産管理装置300に送信する。生産管理装置300は、生産管理データDT2を用いて、受注製品の生産を管理する。
【0015】
以下、部品表作成支援装置100について具体的に説明する。
【0016】
図2に示すように、部品表作成支援装置100は、受注データDT1に基づいて生産管理データDT2を得るために、過去に納品した製品(以下、既納製品と記す。)に関する情報を蓄積した既納製品データベース21をリソースとして用い、かつそのリソースの有効活用を可能とするために新規に作成した仕様マスタ22を用いる。
【0017】
具体的には、既納製品データベース21には、既納製品についての既に作成した部品表及び作業指示書が蓄積されている。
【0018】
部品表作成支援装置100は、受注製品の部品表及び作業指示書の雛型として用いるに適した部品表及び作業指示書を、既納製品データベース21から選出する。その選出の判断基準を与えるものが仕様マスタ22である。
【0019】
そして、部品表作成支援装置100は、既納製品データベース21から選出した部品表及び作業指示書を雛型としてユーザに提示する。ユーザは、提示された雛型を必要に応じて編集することにより、受注製品の部品表及び作業指示書を完成させる。この結果、受注製品の部品表及び作業指示書を表す生産管理データDT2が得られる。
【0020】
以下、部品表作成支援装置100の機能の説明に先立ち、まず、受注データDT1、既納製品データベース21、及び仕様マスタ22のデータ構造を説明する。
【0021】
図3Aは、受注データDT1のデータ構造を示す。受注データDT1は、受注製品を識別する製品IDと、その受注製品の機種とを表す。また、受注データDT1は、その受注製品に要求される仕様を構成する複数の仕様要素の各々について、その仕様要素の具体的内容を表す仕様要素データが対応付けられたデータ構造を有する。
【0022】
ここで“仕様要素データ”とは、具体的には、受注製品の特定の部位における寸法の具体的数値を表す数値データ、受注製品の特定の部位における強度の具体的数値を表す数値データ、受注製品を構成する特定の部材の数量を表す数値データ等である。
【0023】
図4Aは、既納製品データベース21のデータ構造を示す。既納製品データベース21によれば、各々の既納製品について、その既納製品を識別する製品IDと、その既納製品の機種と、その既納製品を構成するユニット(以下、既納ユニットと記す。)とを特定可能である。
【0024】
ここで“ユニット”とは、製品の構成単位を意味する。複数の部品によって1つのユニットが構成され、1つ又は複数のユニットによって1つの製品が構成される。異種の製品間で流用可能なユニットを設計しておくことにより、製品の生産を効率的に行える。
【0025】
また、既納製品データベース21は、既納製品の機種及び既納ユニットの種類別に、その既納ユニットに対する受注内容を表す受注内容データ群DTaと、その既納ユニットについて作成された部品表を表す部品表データDTbと、その既納ユニットの製造に関わる作業を指示するためのものとして作成された作業指示書を表す作業指示書データDTcと、その既納ユニットの製造のしやすさの度合いを数値化した製造容易性指数データDTdと、その既納ユニットを設計又は製造した日時を表す日時データDTeとが紐づけされたデータ構造を有する。
【0026】
図4Bに示すように、受注内容データ群DTaは、既納製品の受注時に要求された複数の仕様要素と、それら複数の仕様要素の各々の具体的内容を表す仕様要素データ(以下、過去仕様要素データと記す。)とが対応付けられたデータ構造を有する。
【0027】
各々の受注内容データ群DTaに含まれる仕様要素と過去仕様要素データとの組の集合は、
図4Aに示すように、既納製品の機種及び既納ユニットと紐づけされている。
【0028】
図5は、仕様マスタ22のデータ構造を示す。仕様マスタ22は、製品の機種及びユニットの種類別に、そのユニットに対して要求されうる複数の仕様要素のうち、特に要求される蓋然性が高いものを代表仕様要素として複数定めたものである。
【0029】
図5では、代表仕様要素を黒丸で示す。例えば、機種「A」に使用される場合のユニット「α」の代表仕様要素は「(b)」「(c)」「(d)」の3つである。機種「A」に使用される場合のユニット「β」の代表仕様要素は「(a)」「(b)」「(f)」の3つである。機種「A」に使用される場合のユニット「γ」の代表仕様要素は「(a)」「(b)」「(e)」「(f)」の4つである。このように、代表仕様要素の数はユニット間で異なっていてもよい。
【0030】
なお、
図5では、同種類のユニットの代表仕様要素が、製品の機種に依存しない場合を例示している。但し、同種類のユニットであっても、それが適用される製品の機種に応じて、代表仕様要素は異なりうる。
【0031】
次に、
図2に戻り、部品表作成支援装置100の機能について具体的に説明する。
【0032】
図2に示すように、部品表作成支援装置100は、営業端末200から受注データDT1を取得する取得部31と、複数の既納ユニットの中から、受注データDT1が表す受注製品に仕様が近似していると言えるものを近似ユニットとして選出する選出部32と、選出された近似ユニットの部品表を雛型としてユーザに提示する提示部33とを備える。
【0033】
選出部32は、まず、既納製品データベース21に受注内容データ群DTaが格納されている既納ユニットごとに、その既納ユニットと同種類のユニットに対して仕様マスタ22で定める代表仕様要素を特定する。
【0034】
次に、選出部32は、特定した代表仕様要素の各々について、その既納ユニットに対するその代表仕様要素の具体的内容を表す過去仕様要素データを受注内容データ群DTaから抽出する。
【0035】
次に、選出部32は、抽出した過去仕様要素データと、受注製品についての、その代表仕様要素と同じ仕様要素の具体的内容を表す仕様要素データとを照合する。
【0036】
次に、選出部32は、照合の結果に基づいて、既納製品データベース21に受注内容データ群DTaが格納されている複数の既納ユニットのうち、仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高いものを近似ユニットとして選出する。
【0037】
提示部33は、選出部32によって選出された近似ユニットの部品表である近似部品表を表す部品表データ(以下、近似部品表データと記す。)DTbを既納製品データベース21から抽出する。そして、提示部33は、抽出した近似部品表データDTbを受注製品の部品表の雛型としてユーザに提示する。
【0038】
また、提示部33は、提示した近似部品表データDTbを編集する編集環境を、ユーザに提供する。ユーザは、雛型としての近似部品表データDTbを必要に応じて編集することにより、受注製品の部品表を完成させる。
【0039】
また、部品表作成支援装置100は、受注製品の製造に関わる作業を指示するための作業指示書の作成を支援する編集反映部34を備える。
【0040】
まず、編集反映部34は、選出部32によって選出された近似ユニットの作業指示書である近似作業指示書を表す作業指示書データ(以下、近似作業指示書データと記す。)DTcを既納製品データベース21から抽出する。
【0041】
次に、編集反映部34は、抽出した近似作業指示書データDTcに対して、提示部33が提供する編集環境での近似部品表データDTbの編集の少なくとも一部を反映させる。
【0042】
次に、編集反映部34は、その反映がなされた近似作業指示書データDTcをさらに編集する編集環境を、ユーザに提供する。ユーザは、雛型としての近似作業指示書データDTcを必要に応じて編集することにより、受注製品の作業指示書を完成させる。
【0043】
また、部品表作成支援装置100は、提示部33において完成された部品表を表す今回部品表データDTxと、編集反映部34において完成された作業指示書を表す今回作業指示書データDTyとを、既述の生産管理データDT2として生産管理装置300に送信する出力部35を備える。
【0044】
次に、
図6を参照し、部品表作成支援装置100のハードウエア構成について説明する。
【0045】
図6に示すように、部品表作成支援装置100は、通信網CNに接続された通信装置40を備える。通信装置40は、
図1に示す営業端末200からの受注データDT1の受信、及び
図1に示す生産管理装置300への生産管理データDT2の送信を担う。
【0046】
また、部品表作成支援装置100は、各種データを表示する表示装置50を備える。表示装置50が、
図2に示す提示部33による近似部品表データDTbのユーザへの提示、及び
図2に示す編集反映部34による近似作業指示書データDTcのユーザへの提示を実現する。
【0047】
また、部品表作成支援装置100は、各種データの追加及び削除を行うための入力装置60を備える。ユーザは、表示装置50に表示される近似部品表データDTb及び近似作業指示書データDTcの編集を、入力装置60を用いて行うことができる。
【0048】
また、部品表作成支援装置100は、既述の既納製品データベース21及び仕様マスタ22を記憶する補助記憶装置20を備える。また、補助記憶装置20は、受注製品についての部品表及び作業指示書の作成を支援する部品表作成支援処理を規定した部品表作成支援プログラム23も記憶する。
【0049】
また、部品表作成支援装置100は、補助記憶装置20から部品表作成支援プログラム23を読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)30と、CPU30が部品表作成支援プログラム23及び各種データを一時的に蓄えるための主記憶装置10とを備える。
【0050】
CPU30は、部品表作成支援プログラム23を実行することにより、
図2に示す取得部31、選出部32、提示部33、編集反映部34、及び出力部35としての機能を発現し、上述した部品表作成支援処理を実行する。
【0051】
以下、
図7を参照し、部品表作成支援処理について具体的に説明する。
【0052】
図7に示すように、まず、取得部31が、営業端末200から受注データDT1を取得する(ステップS1)。このステップS1は、受注データDT1を取得する取得ステップの一例である。
【0053】
次に、選出部32が、仕様マスタ22に従って、既納製品データベース21から、既納ユニットごとに過去仕様要素データを抽出する(ステップS2)。
【0054】
図3Bに、選出部32によって既納ユニットごとに抽出された過去仕様要素データSD1-SD6を例示的に列挙する。以下、
図3Bに示す具体例に沿って、ステップS2の処理を説明する。
【0055】
図3Bに示す具体例では、機種「A」の既納製品に用いられた、種類「α」の既納ユニットの代表仕様要素として「(b)」「(c)」(d)」が採用されている。これは、
図5に示す仕様マスタ22において、機種「A」の製品に用いられる場合の、種類「α」のユニットの代表仕様要素が「(b)」「(c)」(d)」であると規定されているからである。
【0056】
また、
図3Bに示す具体例では、機種「A」の既納製品に用いられた、種類「β」の既納ユニットの代表仕様要素として「(a)」「(f)」(b)」が採用されている。これは、
図5に示す仕様マスタ22において、機種「A」の製品に用いられる場合の、種類「β」のユニットの代表仕様要素が「(a)」「(f)」(b)」であると規定されているからである。
【0057】
このように、選出部32は、まず、既納製品データベース21に受注内容データ群DTaが格納されている既納ユニットごとに、その既納ユニットが用いられる既納製品の機種と同種の機種でかつその既納ユニットと同種類のユニットに対して、仕様マスタ22で定める代表仕様要素を特定する。
【0058】
また、
図3Bにおいて、過去仕様要素データSD1-SD6は、
図4Bに示す受注内容データ群DTaから抽出されたものである。つまり、過去仕様要素データSD1-SD6は、受注内容データ群DTaにおいて、先に特定した上記代表仕様要素と同じ仕様要素に対して紐づけされていたものである。
【0059】
このように、選出部32は、機種及び既納ユニットの種類ごとに特定した代表仕様要素の各々について、その既納ユニットに対するその代表仕様要素の具体的内容を表す過去仕様要素データを受注内容データ群DTaから抽出する。
【0060】
図7に戻り、説明を続ける。次に、選出部32は、抽出した過去仕様要素データと、受注製品についての、対応する仕様要素データとの照合を行う(ステップS3)。ステップS3では、過去仕様要素データと、それに対応する受注製品の仕様要素データとの照合が、既納ユニットごとに行われる。
【0061】
次に、選出部32は、照合の結果に基づいて、各々既納製品データベース21に受注内容データ群DTaが格納されている複数の既納ユニットのうち、仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高いものを近似ユニットとして選出する近似ユニット選出処理を行う(ステップS4)。
【0062】
近似ユニット選出処理では、既納ユニットの種類別に、唯一の近似ユニットが選出される。近似ユニット選出処理の具体的な内容については後述する。以上説明したステップS2-S4は、受注製品と同じ機種の既納製品を構成する複数の既納ユニットの中から、受注データDT1が表す受注製品に仕様が近似しているものを近似ユニットとして選出する選出ステップの一例である。
【0063】
次に、提示部33が、選出部32によって選出された近似ユニットの部品表である近似部品表を表す近似部品表データDTbを、既納製品データベース21から抽出する。
【0064】
次に、提示部33は、抽出した近似部品表データDTbを受注製品の部品表の雛型としてユーザに提示し、かつ提示した近似部品表データDTbを編集する編集環境をユーザに提供する(ステップS5)。このステップS5は、受注製品の部品表の雛型をユーザに提示し、提示した雛型を編集する編集環境をユーザに提供する提示ステップの一例である。
【0065】
なお、既述のように、ステップS4では、選出部32が既納ユニットの種類別に近似ユニットを選出する。従って、ステップS5で提示部33は、近似ユニット別に近似部品表データDTbを抽出し、抽出したすべての近似部品表データDTbを組み合わせたものを雛型としてユーザに提示する。
【0066】
そして、提示部33は、近似部品表データDTbの組み合わせを編集する編集環境を、ユーザに提供する。編集環境を提供されたユーザは、雛型としての近似部品表データDTbの組み合わせを必要に応じて編集することにより、受注製品の部品表を完成させる。
【0067】
次に、編集反映部34が、選出部32によって選出された近似ユニットの各々の作業指示書である近似作業指示書を表す近似作業指示書データDTcを、既納製品データベース21から抽出する。
【0068】
次に、編集反映部34は、抽出した近似作業指示書データDTcに対して、提示部33が提供した編集環境での近似部品表データDTbの編集の少なくとも一部を反映させる(ステップS6)。このステップS6は、部品表の編集を作業指示書に反映させる編集反映ステップの一例である。
【0069】
次に、編集反映部34は、上記反映がなされた近似作業指示書データDTcをさらに編集可能な編集環境を、ユーザに提供する(ステップS7)。ここでユーザは、雛型としての近似作業指示書データDTcを必要に応じて編集することにより、受注製品の作業指示書を完成させる。
【0070】
次に、出力部35が、ステップS5で完成された部品表を表す今回部品表データDTxと、ステップS7で完成された作業指示書を表す今回作業指示書データDTyとを、生産管理データDT2として生産管理装置300に送信する(ステップS8)。以上で、部品表作成支援装置100は、部品表作成支援処理を終える。
【0071】
図8Aを参照し、以下、上述したステップS4の近似ユニット選出処理について、具体的に説明する。
【0072】
まず、選出部32は、上述したステップS3での、受注内容データ群DTaから抽出した過去仕様要素データと、受注製品についての仕様要素データとの照合の結果、各々既納製品データベース21に受注内容データ群DTaが格納されている複数の既納ユニットのうち、すべての代表仕様要素の内容が受注製品と完全に一致するもの(以下、完全一致ユニットという。)が存在するか否かを判定する(ステップS41)。
【0073】
選出部32は、複数の既納ユニットの中に完全一致ユニットが存在する場合(ステップS41;YES)、その完全一致ユニットの数が1つであるか否かをさらに判定する(ステップS42)。選出部32は、完全一致ユニットの数が1つである場合は(ステップS42;YES)、その完全一致ユニットを近似ユニットとして選出し、
図7のステップS5に進む。
【0074】
一方、選出部32は、完全一致ユニットの数が2つ以上である場合は(ステップS42;NO)、まず、それら複数の完全一致ユニットの各々についての、
図4Aに示す日付データDTeを既納製品データベース21から抽出する。そして、選出部32は、抽出した日付データDTeが表す日付が、最も新しい完全一致ユニットを1つ選出する(ステップS43)。既述のように、日時データDTeは、既納ユニットを設計又は製造した日時を表す。つまり、ステップS43では、複数の完全一致ユニットの中から、設計又は製造した日時が最新のものが唯一選出される。そして、選出部32は、その選出した完全一致ユニットを近似ユニットとして、
図7のステップS5に進む。
【0075】
なお、ステップS42又はステップ43を経て
図7のステップS5に進む場合は、近似ユニットとして、代表仕様要素の内容が受注製品と完全に一致する完全一致ユニットが特定されている。このため、
図7のステップS5では、必ずしも近似部品表データDTbを編集する必要がない。同様に、
図7のステップS7では、必ずしも近似作業指示書データDTcを編集する必要がない。
【0076】
図3A及び
図3Bを参照し、唯一の完全一致ユニットが選出される
図8AのステップS42の「YES」の場合の処理を具体的に説明する。
【0077】
図3Bに示す、機種「A」に用いられる種類「α」の既納ユニットの中から唯一の完全一致ユニットが選出される場合を述べる。過去仕様要素データSD1は、代表仕様要素「(b)」「(c)」「(d)」の具体的内容が「120」「2」「440」であることを示している。また、過去仕様要素データSD2は、代表仕様要素「(b)」「(c)」「(d)」の具体的内容が「140」「2」「340」であることを示している。また、過去仕様要素データSD3は、代表仕様要素「(b)」「(c)」「(d)」の具体的内容が「300」「2」「440」であることを示している。
【0078】
図7のステップS3では、上述した過去仕様要素データSD1-SD3の各々と、受注製品の仕様要素データ、つまり、受注製品についての代表仕様要素「(b)」「(c)」「(d)」と同じ仕様要素「(b)」「(c)」「(d)」の具体的内容との照合が行われる。
【0079】
図3Aに示すように、受注データDT1は、受注製品についての代表仕様要素「(b)」「(c)」「(d)」と同じ仕様要素「(b)」「(c)」「(d)」の具体的内容が、「120」「2」「440」であることを示している。
【0080】
従って、機種「A」に用いられる種類「α」の既納ユニットに関しては、過去仕様要素データSD1-SD3のうち、過去仕様要素データSD1が、最も受注データDT1の内容との近似の度合いが高いことが分かる。具体的には、過去仕様要素データSD1のすべてが、対応する受注製品の仕様要素データと完全に一致する。このため、選出部32は
図8AのステップS42において、過去仕様要素データSD1を表す既納ユニットを、完全一致ユニットとして唯一選出する。
【0081】
一方、選出部32は、
図8AのステップS41で、複数の既納ユニットの中に完全一致ユニットが存在しない場合は(ステップS41;NO)、
図8BのステップS44に進む。
【0082】
図8Bを参照し、以下、上述した近似ユニット選出処理の続きを説明する。
【0083】
図8BのステップS44では、選出部32は、受注内容データ群DTaから抽出した過去仕様要素データと、受注製品についての仕様要素データとを照合することにより、複数の既納ユニットのうち、代表仕様要素の内容が受注製品と近似すると言える既納ユニットの選出を試みる(ステップS44)。なお、ステップS44の処理の具体例については後述する。
【0084】
選出部32は、ステップS44での選出に失敗した場合(ステップS45;NO)、雛型として使用可能な部品表データが対応付けられた近似ユニットが存在しなかったので、本近似ユニット選出処理を終了する。
【0085】
一方、選出部32は、ステップS44での選出に成功した場合は(ステップS45;YES)、ステップS44で唯一の既納ユニットが選出されたか否かを判定する(ステップS46)。選出部32は、ステップS46で唯一の既納ユニットが選出された場合(ステップS46;YES)、その既納ユニットを近似ユニットとして、
図7のステップS5に進む。
【0086】
一方、選出部32は、ステップS46で複数の既納ユニットが選出された場合(ステップS46;NO)、近似ユニットの候補となるそれら複数の既納ユニットの製造のしやすさの度合いを考慮して、近似ユニットの候補となる既納ユニットの数の絞り込みを行う(ステップS47)。
【0087】
具体的には、選出部32は、ステップS47では、まず近似ユニットの候補となるそれら複数の既納ユニットの各々についての、
図4Aに示す製造容易性指数データDTdを、既納製品データベース21から抽出する。なお、製造容易性指数データDTdは、既述のとおり、既納ユニットの製造のしやすさの度合いを数値化したものである。ここで“製造のしやすさ”とは、具体的には、製造に要する時間の短さ、歩留まりの良さ等を意味する。そして、選出部32は、抽出した製造容易性指数データDTdを用いて、最も製造やすいと言える既納ユニットの選出を試みる。
【0088】
その結果、唯一の既納ユニットが選出された場合(ステップS48;YES)、選出部32は、その既納ユニットを近似ユニットとして、
図7のステップS5に進む。
【0089】
一方、選出部32は、ステップS48で複数の既納ユニットが選出された場合(ステップS48;NO)、近似ユニットの候補となるそれら複数の既納ユニットの設計又は製造の日時を表す日付データDTeを用いて、それら複数の既納ユニットのうち設計又は製造した日時が最新のものを近似ユニットとして唯一選出する(ステップS49)。
【0090】
具体的には、選出部32は、ステップS49では、まず近似ユニットの候補となるそれら複数の既納ユニットの各々についての、
図4Aに示す日時データDTeを、既納製品データベース21から抽出する。なお、日時データDTeは、既述のとおり、既納ユニットを設計又は製造した日時を表す。そして、選出部32は、抽出した日時データDTeを用いて、設計又は製造の日時が最新の既納ユニットを唯一選出する。
【0091】
以下、ステップS44の処理の一具体例を述べる。
【0092】
図3Bに示す過去仕様要素データSD4-SD6を用いて、機種「A」に用いられる種類「β」の既納ユニットの中から、代表仕様要素の内容が受注製品と近似すると言える既納ユニットが選出される場合を述べる。
【0093】
まず、選出部32は、過去仕様要素データSD4の各々の、対応する受注製品の仕様要素データとの差分の絶対値の合計「2+19+80=101」、過去仕様要素データSD5の各々の、対応する受注製品の仕様要素データとの差分の絶対値の合計「2+18+160=180」、及び過去仕様要素データSD6の各々の、対応する受注製品の仕様要素データとの差分の絶対値の合計「20+22+200=242」をそれぞれ算出する。
【0094】
過去仕様要素データSD4-SD6のうち、これらの算出値が最も小さくなるものは、受注製品の仕様要素データに近似すると言える。具体的には、過去仕様要素データSD4-SD6のうち、過去仕様要素データSD4が、最も受注データDT1の内容との近似の度合いが高いことが分かる。
【0095】
従って、機種「A」に用いられる種類「β」の既納ユニットの中において、過去仕様要素データSD4を表すものは、仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高いと言える。このため、選出部32は、その過去仕様要素データSD4を表す既納ユニットを、近似ユニットとして選出する。
【0096】
つまり、本具体例では、複数の既納ユニットのうち、代表仕様要素の内容が受注製品と近似すると言える近似ユニットを唯一選出することができる。本具体例では、“仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高い”とは、具体的には、過去仕様要素データの、対応する受注製品の仕様要素データとの差分の絶対値(以下、仕様相違度と記す。)の合計が相対的に小さいことを意味する。以上のように、本具体例では、既納ユニットの種類別に、仕様相違度の合計が最も小さい既納ユニットが近似ユニットとして選出される。
【0097】
但し、選出部32は、複数の既納ユニットの間で、仕様相違度の合計が最も小さくなる既納ユニットが特定できるとしても、その仕様相違度の合計が、予め定めた閾値を上回る場合は、近似ニットが選出できなかったものとして(ステップS45;NO)、近似ユニット選出処理を終了する。
【0098】
なお、ここでいう閾値とは、過去仕様要素データが受注製品の仕様要素データに近似していると言える場合の、仕様相違度の合計の最大値を表す。つまり、選出部32は、すべての既納ユニットの過去仕様要素データが、受注製品の仕様要素データから大幅に乖離している場合は、近似ユニット選出処理を終了する。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態に係る部品表作成支援装置100によれば、仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高い既納ユニットが近似ユニットとして選出される。そして、その近似ユニットの部品表を表す近似部品表データDTbが雛型としてユーザに提示され、かつその近似部品表データDTbを編集する編集環境がユーザに提供される。このため、ユーザは、近似部品表データDTbを用いて、受注製品の部品表を能率的に作成することができる。
【0100】
また、近似部品表データDTbに対してユーザが施した編集の少なくとも一部が、近似ユニットの作業指示書を表す近似作業指示書データDTcに対して自動的に反映される。このため、ユーザは、近似部品表データDTbの編集と重複する編集を近似作業指示書データDTcに施す必要がない。
【0101】
また、その反映がなされた近似作業指示書データDTcをさらに編集する編集環境が、ユーザに提供される。このため、ユーザは、その近似作業指示書データDTcを用いて、受注製品の作業指示書を能率的に作成することができる。
【0102】
[実施の形態2]
上記実施の形態1では、
図8BのステップS44において、既述の仕様相違度を用いて近似ユニットの選出を行った。仕様相違度に重み係数が掛け算された値を用いて、近似ユニットの選出を行ってもよい。以下、その具体例として、実施の形態2に係るステップS44の処理について説明する。
【0103】
図9に示すように、本実施の形態に係る仕様マスタ22においては、ユニットの種類別に定められた複数の代表仕様要素の各々に対して重み係数が規定されている。重み係数は、その代表仕様要素の、既納ユニットと受注製品との近似の度合いを判断するうえでの重要度を表す。重要度が大きいほど重み係数が大きい。なお、ユーザは、重み係数を自由に調整できる。
【0104】
本実施の形態では、選出部32は、
図8BのステップS44において、重み係数が大きい代表仕様要素ほど、受注製品との近似の度合いに大きく寄与する条件で、近似ユニットを選出する。具体的には、まず、選出部32は、過去仕様要素データの、対応する受注製品の仕様要素データとの差分の絶対値である、既述の仕様相違度を算出する。次に、選出部32は、その仕様相違度に、上述した重み係数を掛け算する。そして、選出部32は、その仕様相違度に重み係数を掛け算した値(以下、重み付き仕様相違度と記す。)の、すべての代表仕様要素に関する和を評価指標として用いる。その評価指標が小さいほど、受注製品との近似の度合いが大きい。
【0105】
以下、本実施の形態に係るステップS44の処理の具体例を述べる。
【0106】
図3Bに示す過去仕様要素データSD4-SD6を用いて、機種「A」に用いられる種類「β」の既納ユニットの中から、代表仕様要素の内容が受注製品と近似すると言える既納ユニットが選出される場合を述べる。
【0107】
図9に示すように、機種「A」に用いられる種類「β」のユニットについての、代表仕様要素(a)の重み係数は「11」であり、代表仕様要素(f)の重み係数は「12」であり、代表仕様要素(b)の重み係数は「13」である。
【0108】
従って、
図3Bにおいて、過去仕様要素データSD4についての重み付き仕様相違度の和は、「2×11+19×12+80×13=1270」と算出される。また、過去仕様要素データSD5についての重み付き仕様相違度の和は、「2×11+18×12+160×13=2318」と算出される。また、過去仕様要素データSD6についての重み付き仕様相違度の和は、「20×11+22×12+200×13=3084」と算出される。
【0109】
以上より、過去仕様要素データSD4-SD6のうち、重み付き仕様相違度の和が最も小さくなるものは、過去仕様要素データSD4であると分かる。
【0110】
従って、本実施形態に係る判断基準では、機種「A」に用いられる種類「β」の既納ユニットの中において、過去仕様要素データSD4を表すものが、仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高いと言える。このため、選出部32は、その過去仕様要素データSD4を表す既納ユニットを、近似ユニットとして選出する。
【0111】
以上説明したように、本実施形態では、“仕様の具体的内容の観点から受注製品との近似の度合いが相対的に高い”とは、具体的には、仕様相違度に重み係数を掛け算した重み付き仕様相違度の合計が相対的に小さいことを意味する。なお、
図5を参照して述べた実施の形態1に係るステップS44の処理は、本実施の形態に係る重み係数をすべて1とした特別な場合に該当する。
【0112】
但し、選出部32は、複数の既納ユニットの間で、重み付き仕様相違度の合計が最も小さくなる既納ユニットが特定できるとしても、その重み付き仕様相違度の合計が、予め定めた閾値を上回る場合は、近似ニットが選出できなかったものとして(ステップS45;NO)、近似ユニット選出処理を終了する。なお、ここでいう閾値とは、過去仕様要素データが受注製品の仕様要素データに近似していると言える場合の、重み付き仕様相違度の合計の最大値を表す。
【0113】
[実施の形態3]
図5に示した仕様マスタ22においては、製品の機種及びユニットの種類別に、そのユニットに対して要求されうる複数の代表仕様要素が定められていた。さらに、それら複数の代表仕様要素の間で、優先順位を規定し、その優先順位を考慮して近似ユニットの選出を行ってもよい。以下、その具体例として、実施の形態3に係るステップS44の処理について説明する。
【0114】
なお、受注製品と同じ機種の既納製品に適用された同種類の既納ユニットの集合が、その種類の近似ユニットの候補となる点は、実施の形態1及び2と同じである。
【0115】
図10に示すように、本実施の形態に係る仕様マスタ22では、製品の機種及びユニットの種類別に定められた複数の代表仕様要素の間で、優先順位が規定されている。具体的には、
図5に示した黒丸の各々が、
図10では、優先順位を表す数字に置き換えられている。
【0116】
本実施の形態では、選出部32は、
図8BのステップS44において、上述した優先順位に従った順番で近似ユニットの候補となる既納ユニットの数が絞り込まれてゆく条件で、近似ユニットを選出する。
【0117】
具体的には、まず、選出部32は、第1優先順位の仕様要素の具体的内容を表す過去仕様要素データと、それに対応する受注製品についての仕様要素データとを照合し、過去仕様要素データとそれに対応する受注製品の仕様要素データとの差分の絶対値が小さい既納ユニットを唯一選出することを試みる。
【0118】
第1優先順位で近似ユニットの候補となる既納ユニットが複数選出された場合、第2優先順位で近似ユニットの候補の数を絞り込む。それでも近似ユニットの候補となる既納ユニットが複数存在する場合、第3優先順位以降も同様にして優先順位の順番に近似ユニットの候補となる既納ユニットの数を絞り込んでゆく。そして、最終的に唯一の既納ユニットを特定する。
【0119】
なお、最終の優先順位まで近似ユニットの候補の数を絞り込んだ場合でも、近似ユニットの候補となる既納ユニットが複数存在する場合は、
図8BのステップS47又はS49で、それら候補の中から唯一の既納ユニットが近似ユニットとして唯一選出される。
【0120】
また、第1優先順位で近似ユニットの候補となる既納ユニットが選出されなかった場合、即ち複数の既納ユニットと受注製品のユニットの仕様要素のデータが大幅に乖離している場合は、近似ニットが選出できなかったものとして(ステップS45;NO)、近似ユニット選出処理を終了する。
【0121】
本手法によれば、優先順位が最下位の代表仕様要素の具体的内容を表す過去仕様要素データの、受注製品についての仕様要素データとの照合を待たずに、近似ユニットが決まりうる。この意味で、優先順位の高い代表仕様要素ほど、受注製品との近似の度合いに大きく寄与する条件となっている。
【0122】
図3及び
図10を参照し、本実施の形態に係る選出部32の動作の一具体例を述べる。
図3Bにおいて、同じ機種「A」に用いられる同種類「β」の既納ユニットの集合の中から、その種類「β」の近似ユニットを1つ選出する場合について述べる。即ち、過去仕様要素データSD4-SD6を表す3つの既納ユニットが候補である。
【0123】
まず、
図10を参照すると、機種「A」に用いられる場合のユニット「β」の代表仕様要素のうち、第1優先順位のものは「(a)」であることが分かる。
【0124】
このため、選出部32は、
図3Bに示す過去仕様要素データSD4のうち代表仕様要素「(a)」に対応する「42」、過去仕様要素データSD5のうち代表仕様要素「(a)」に対応する「38」、及び過去仕様要素データSD6のうち代表仕様要素「(a)」に対応する「60」の各々を、
図3Aに示す仕様要素「(a)」に対応する仕様要素データ「40」と照合する。
【0125】
この結果、過去仕様要素データSD6を表す既納ユニットは、代表仕様要素「(a)」の観点で、受注製品との仕様相違度が相対的に大きいことが分かる。そこで、選出部32は、過去仕様要素データSD6を表す既納ユニットを候補から除外する。
【0126】
次に、
図10を再び参照すると、機種「A」に用いられる場合のユニット「β」の代表仕様要素のうち、第2優先順位のものは「(f)」であることが分かる。
【0127】
このため、選出部32は、
図3Bに示す過去仕様要素データSD4のうち代表仕様要素「(f)」に対応する「97」、及び過去仕様要素データSD5のうち代表仕様要素「(f)」に対応する「60」の各々を、
図3Aに示す仕様要素「(f)」に対応する仕様要素データ「78」と照合する。
【0128】
この結果、過去仕様要素データSD4を表す既納ユニットは、代表仕様要素「(f)」の観点で、受注製品との仕様相違度が相対的に大きいことが分かる。そこで、選出部32は、過去仕様要素データSD4を表す既納ユニットを候補から除外する。
【0129】
以上により、過去仕様要素データSD5を表す既納ユニットが、上記種類「β」に関しての近似ユニットとして唯一特定される。
【0130】
以上説明したように、本実施形態によれば、代表仕様要素の優先順位に従った順番で候補数を次第に減少させていく手法で近似ユニットを特定する。このため、優先順位が相対的に低い代表仕様要素の具体的内容を表す過去仕様要素データの、受注製品についての仕様要素データとの照合を待たずに、近似ユニットが決まりうる。従って、実施の形態1及び2の場合よりも、近似ユニットを速やかに選出しうる。
【0131】
[実施の形態4]
実施の形態1-3において、部品表作成支援装置100は、仕様マスタ22を作成する仕様マスタ作成部をさらに備えてもよい。以下、その具体例を述べる。
【0132】
図11に、本実施の形態に係る仕様マスタ作成部70を示す。仕様マスタ作成部70は、原始データDTsを用いて、仕様マスタ22を作成する。
【0133】
原始データDTsは、各々の既納製品を特定するデータと、その既納製品の機種を特定するデータと、その既納製品を構成する既納ユニットを特定するデータと、受注時にその既納製品に要求された仕様を特定するデータとが紐づけされたものである。
【0134】
仕様マスタ作成部70は、原始データDTsに対し、各々の既納製品について、その既納製品に要求された仕様を複数の仕様要素に分割する分割操作を施す仕様分割部71を有する。仕様分割部71が施す上記分割操作によって、分割済データDTtが得られる。
【0135】
分割済データDTtは、各々の既納製品を特定するデータと、その既納製品の機種を特定するデータと、その既納製品を構成する既納ユニットを特定するデータと、その既納製品に要求された複数の仕様要素を特定するデータとが紐づけされたものである。
【0136】
また、仕様マスタ作成部70は、分割済データDTtに対し、各々の既納製品について、その既納製品に要求された仕様要素の集合を、その既納製品を構成する既納ユニット別に分類する分類操作を施す仕様要素分類部72を有する。
【0137】
仕様要素分類部72が施す上記分類操作によって、中間データDTuが得られる。中間データDTuは、各々の既納製品について、その既納製品を構成する既納ユニットの各々に対して、上記分類操作でその既納ユニットに分類された仕様要素が紐づけされたものである。
【0138】
また、仕様マスタ作成部70は、中間データDTuを用いて、既納ユニットの種類ごとに複数の代表仕様要素を決定する代表仕様要素決定部73を有する。
【0139】
代表仕様要素決定部73は、中間データDTuを統計分析する。具体的には、代表仕様要素決定部73は、既納製品の機種及び既納ユニットの種類ごとに中間データDTuを集計することにより、中間データDTuで個々の既納ユニットに対して紐づけされた仕様要素の各々の、既納製品の機種及び既納ユニットの種類ごとの出現頻度を求める。
【0140】
そして、代表仕様要素決定部73は、出現頻度が相対的に高い複数の仕様要素を、その既納製品の機種及びその既納ユニットの種類についての代表仕様要素と決定する。これにより、
図5にも示した仕様マスタ22が得られる。
【0141】
また、代表仕様要素に所望の重み係数を対応付ければ、
図9に示した仕様マスタ22が得られる。また、上述した仕様要素の出現頻度の順番に、代表仕様要素に優先順位を付与すれば、
図10に示した仕様マスタ22が得られる。
【0142】
なお、仕様マスタ作成部70は、人工知能によって実現してもよい。
【0143】
具体的には、仕様分割部71は、教師あり機械学習により生成された学習モデルによって実現することができる。その機械学習には、仕様と、その仕様を分割することにより得られる仕様要素の集合との対応関係を複数定めた教師データが用いられる。その教師データは、人手により作成してもよい。
【0144】
また、仕様要素分類部72も、教師あり機械学習により生成された学習モデルによって実現することができる。その機械学習には、仕様要素と、その仕様要素が要求されうる既納ユニットとの対応関係を複数定めた教師データが用いられる。その教師データは、人手により作成してもよい。
【0145】
以上、実施の形態1-4について説明した。以下に述べる変形も可能である。
【0146】
図2及び
図4Aに示した既納製品データベース21は、複数のデータベースによって構成されていてもよい。つまり、既納製品データベース21は、受注内容データ群DTaを含む第1データベース、部品表データDTbを含む第2データベース、及び作業指示書データDTcを含む第3データベースの集合であってもよい。製品ID、機種、既納ユニットの少なくともいずれかをキーとして、上記第1データベース、第2データベース、及び第3データベースから必要なデータを取り出すことにより、全体として既納製品データベース21の機能を得ることができる。
【0147】
また、
図4Aに示した製造容易性指数データDTd及び日時データDTeは、必ずしも既納製品データベース21に予め格納されていなくてもよい。部品表作成支援装置100は、
図8AのステップS43、
図8BのステップS47、ステップS49で製造容易性指数データDTd又は日時データDTeが必要となる度に、製造容易性指数データDTd又は日時データDTeを生産管理装置300から取得してもよい。
【0148】
実施の形態1-4において、製品は、受注ごとの個別の仕様に基づいて製造される個別受注製品であってもよい。具体的には、個別受注製品として、重電製品、産業用電気製品、電動輸送機器、輸送機が例示される。重電製品としては、発電機、変圧器、電力設備が例示される。産業用電気製品としては、産業用電動機、産業用ロボットが例示される。電動輸送機器としては、昇降機が例示される。輸送機としては、船舶が例示される。
【0149】
図6に示した部品表作成支援プログラム23をコンピュータにインストールすることで、そのコンピュータに、受注データを取得する取得機能と、複数の既納ユニットの中から受注製品に仕様が近似するものを近似ユニットとして選出する選出機能と、近似ユニットの部品表を表す近似部品表データをユーザに提示する提示機能とを実現させることができる。即ち、そのコンピュータを部品表作成支援装置100として機能させることができる。部品表作成支援プログラム23は、通信回線を通じて配布することもできるし、光ディスク、磁気ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することもできる。
【0150】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされる。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【0151】
本出願は、2020年7月21日に出願された、日本国特許出願特願2020-124546号に基づく。本明細書中に、日本国特許出願特願2020-124546号の明細書、特許請求の範囲、及び図面全体を参照として取り込むものとする。
【符号の説明】
【0152】
10…主記憶装置、20…補助記憶装置、21…既納製品データベース、22…仕様マスタ、23…部品表作成支援プログラム、30…CPU、31…取得部、32…選出部、33…提示部、34…編集反映部、35…出力部、40…通信装置、50…表示装置、60…入力装置、70…仕様マスタ作成部、71…仕様分割部、72…仕様要素分類部、73…代表仕様要素決定部、100…部品表作成支援装置、200…営業端末、300…生産管理装置、400…部品表作成支援システム、CN…通信網、DT1…受注データ、DT2…生産管理データ、DTa…受注内容データ群、DTb…部品表データ、DTc…作業指示書データ、DTd…製造容易性指数データ、DTe…日時データ、DTs…原始データ、DTt…分割済データ、DTu…中間データ、DTx…今回部品表データ、DTy…今回作業指示書データ、SD1-SD6…過去仕様要素データ。