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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】換気報知装置および換気報知プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20231215BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20231215BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20231215BHJP
   F24F 11/526 20180101ALI20231215BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/52
F24F11/46
F24F11/526
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022545256
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2020032890
(87)【国際公開番号】W WO2022044325
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲廣▼▲崎▼ 弘志
(72)【発明者】
【氏名】高原 英樹
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-67020(JP,A)
【文献】特開2011-27305(JP,A)
【文献】国際公開第2018/199167(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 11/52
F24F 11/46
F24F 11/526
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の室内空間の換気に関する報知を行う換気報知装置であって、
前記室内空間における躯体表面の温度を躯体温度として検知する表面温度検知部と、
報知信号が送られると前記報知を行う報知部と、
前記躯体温度から前記室内空間における室温の変化量を予測し、前記予測に基づいて、前記室内空間における熱負荷が、定められた設定変化量範囲内にある中間傾向から増加傾向または減少傾向にあると判定すると、自然換気の開始を促す前記報知信号を前記報知部に送る制御部と
を備える換気報知装置。
【請求項2】
前記建物外の温度である外気温を検知する外気温検知部を備え、
前記制御部は、前記外気温および前記躯体温度から前記室温の前記変化量を予測する請求項1に記載の換気報知装置。
【請求項3】
前記建物に入射する日射量を検知する日射量検知部を備え、
前記制御部は、前記日射量に基づいて前記躯体温度を補正する請求項1または請求項2に記載の換気報知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記建物の断熱性能に係るデータを含め、前記室温の前記変化量を予測する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記室内空間における内部発熱量のデータを含め、前記室温の前記変化量を予測する請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項6】
前記建物の窓の開閉を検知する窓開閉検知部を備え、
前記制御部は、前記窓の開閉のデータを含め、前記室温の前記変化量を予測する請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項7】
前記室内空間における人の有無を検知する人体検知部を備え、
前記制御部は、前記人がいないと判定すると、前記報知信号を前記報知部に送らない請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項8】
前記報知部は、音発生装置を有する請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項9】
前記報知部は、発光装置を有する請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項10】
前記報知部は、外部装置に信号を送る通信部を有する請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項11】
前記報知部は、表示装置を有する請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記報知部に前記自然換気を促す前記報知信号を送ってから終了設定時間の経過後に、前記自然換気の終了を促す前記報知信号を送る請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項13】
窓が開放されていることを検知する窓開閉検知部を備え、
前記制御部は、前記窓開閉検知部が前記窓の開放を検知してから窓検知設定時間の経過後に、前記自然換気の終了を促す前記報知信号を送る請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記報知を行わない設定がされているかどうかを判定し、前記報知を行わない設定がされていると判定すると、前記報知信号を前記報知部に送らない請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の換気報知装置。
【請求項15】
建物内の室内空間の換気に関する報知を行うプログラムであって、
前記室内空間における躯体表面の温度である躯体温度から室温の変化量を予測する工程と、
前記予測に基づいて、前記室内空間における熱負荷が、定められた設定変化量範囲内にある中間傾向から増加傾向または減少傾向に傾向が変化するかどうかを判定する工程と、
前記中間傾向から前記増加傾向または前記減少傾向にあると判定すると、自然換気の開始を促す報知信号を送り、報知部に前記報知させる工程と
をコンピュータに行わせる換気報知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、換気報知装置および換気報知プログラムに関するものである。特に、室内空間を自然換気に関する報知に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和対象となる室内空間を空気調和しながら、換気を行う技術として、複数台の換気装置と一部を空気調和する空気調和換気システムにより、熱籠りを解消し、省エネルギで運転可能なシステムがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-040655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1のシステムは、空気調和装置と換気装置とが連動して換気を行うものである。そして、空気調和装置が取得した温度のデータに基づいて、換気装置が換気量を調整することで、室内空間の熱籠りなどを解決するものであった。
【0005】
ここで、感染症などの対策として、室内空間にいるユーザが窓を開けるなどして自然換気を行う機会が増えている。このとき、空気調和装置を運転している場合など、室内外の温度差が大きいときなどに窓などが開けられていると、室内空間における熱負荷が増加し、室内環境が変化する。このため、熱負荷の増加を抑え、効率よく自然換気を行うためには、換気を行うタイミングが重要となるが、ユーザが、換気を行うタイミングを把握するのは難しい。
【0006】
そこで、上記のような課題を解決し、室内空間を効率よく自然換気できる報知を行う換気報知装置および換気報知プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示に係る換気報知装置は、建物内の室内空間の換気に関する報知を行う換気報知装置であって、室内空間における躯体表面の温度を躯体温度として検知する表面温度検知部と、報知信号が送られると報知を行う報知部と、躯体温度から室内空間における室温の変化量を予測し、予測に基づいて、室内空間における熱負荷が、定められた設定変化量範囲内にある中間傾向から増加傾向または減少傾向にあると判定すると、自然換気の開始を促す報知信号を報知部に送る制御部とを備えるものである。
【0008】
また、この開示に係る換気報知プログラムは、建物内の室内空間の換気に関する報知を行うプログラムであって、室内空間における躯体表面の温度である躯体温度から室温の変化量を予測する工程と、予測に基づいて、室内空間における熱負荷が、定められた設定変化量範囲内にある中間傾向から増加傾向または減少傾向に傾向が変化するかどうかを判定する工程と、中間傾向から増加傾向または減少傾向にあると判定すると、自然換気の開始を促す報知信号を送り、報知部に報知させる工程とをコンピュータに行わせるものである。
【発明の効果】
【0009】
この開示によれば、制御部は、表面温度検知部の検知に係る躯体温度のデータから室温の変化量を予測し、予測による室内空間の熱負荷が中間傾向から増加傾向または減少傾向にあると判定すると、換気開始を促す旨の報知信号を報知部に送って報知させる。このため、室内空間における熱負荷の変化が少ないタイミングで自然換気を促す報知を行うことができる。そして、室内空間を空気調和中などしている場合には、省エネルギをはかりつつ、室内空間における空気の入れ替えを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る空気調和装置1の構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る空気調和装置1が有する室外機制御部51の構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係る空気調和装置1における室外機制御部51の機能的な構成を示す図である。
図4】家屋3における熱移動の様子を示す図である。
図5】躯体温度と室温との関係の一例を示す図である。
図6】暖房運転時における躯体温度と室温との関係の一例を示す図である。
図7】冷房運転時における躯体温度と室温との関係の一例を示す図である。
図8】実施の形態1に係る空気調和装置1が行う空気調和制御処理の流れを示す図である。
図9】実施の形態3における換気報知に係る処理の流れを示す図である。
図10】実施の形態3における熱負荷の傾向の変化について説明する図である。
図11】報知部58による報知の一例を示す図である。
図12】実施の形態4に係る換気の報知に係る処理の流れを示す図である。
図13】実施の形態8に係る換気の報知に係る処理の流れを示す図である。
図14】実施の形態9に係る空気調和システム500を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ここで、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一または相当部分には、同一符号を付す。
【0012】
さらに、明細書に表されている構成要素の形態は、あくまで例示であって、これらの記載に限定されるものではない。また、実施の形態および図面で限定されるものではない。
【0013】
実施の形態において、動作を行うプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列に行われる処理であるが、必ずしも時系列に処理されなくても、並列的または個別に実行される処理をも含んでもよい。
【0014】
実施の形態は、単独で実施されてもよく、組み合わされて実施されてもよい。いずれの場合においても、下記において説明する有利な効果を奏する。また、各実施の形態で説明する各種具体的な設定は、一例を示すものであるため、特にこれらに限定しない。
【0015】
そして、実施の形態において、システムとは、複数の装置で構成される装置全体または複数の機能で構成される機能全体を表すものである。
【0016】
実施の形態1.
<空気調和装置1の構成>
図1は、実施の形態1に係る空気調和装置1の構成を示す図である。空気調和装置1は、空気調和対象となる家屋3内の室内空間71を空気調和する装置である。ここでは、空気調和装置1が換気報知装置となる各部を有する。空気調和とは、空気調和対象の空間における空気の温度、湿度、清浄度および気流などを調整することであって、具体的には、暖房、冷房、除湿、加湿または空気清浄などである。
【0017】
図1に示すように、空気調和装置1は、建物である家屋3に設置される。家屋3は、一例として、いわゆる一般的な戸建て住宅の建物である。家屋3は、壁、床などの躯体で囲まれた室内空間71を有する。また、家屋3は、室内空間71内外の境界部分に、開放および閉止(以下、開閉という)が可能な窓4を有する。空気調和装置1は、たとえばCO(二酸化炭素)またはHFC(ハイドロフルオロカーボン)などを冷媒として用いたヒートポンプ式の空気調和設備である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを搭載しており、図示しない商用電源、発電設備または蓄電設備などから電力を得て動作する。
【0018】
図1に示すように、空気調和装置1は、家屋3の外側となる室外に設けられる室外機11、家屋3の内側となる室内に設けられる室内機13およびユーザによって操作されるリモートコントローラ55を備える。室外機11と室内機13とは、冷媒が流れる冷媒配管61と、各種信号が転送される通信線63とを介して接続されている。空気調和装置1は、室内機13から、たとえば、冷風を吹き出すことで家屋3内の室内空間71を冷房し、温風を吹き出すことで家屋3内の室内空間71を暖房する装置である。
【0019】
室外機11は、圧縮機21、四方弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、室外送風機31および室外機制御部51を備える。一方、室内機13は、室内熱交換器25、室内送風機33および室内機制御部53を備える。冷媒配管61は、室外機11の圧縮機21、四方弁22、室外熱交換器23および膨張弁24と、室内機13の室内熱交換器25とを環状に接続している。これにより、冷凍サイクル回路が構成されている。
【0020】
圧縮機21は、冷媒を圧縮して冷凍サイクルを循環させる。具体的に説明すると、圧縮機21は、吸入した低温および低圧の冷媒を圧縮し、高圧および高温となった冷媒を四方弁22に吐出する。実施の形態1の圧縮機21は、駆動周波数に応じて運転容量を変化させることができるインバータ回路を備える。運転容量とは、圧縮機21が単位当たりに冷媒を送り出す量である。圧縮機21は、室外機制御部51からの指示に従って駆動周波数が調整され、運転容量を変更する。
【0021】
四方弁22は、圧縮機21の吐出側に設置されている。四方弁22は、空気調和装置1の運転が冷房または除湿運転であるか暖房運転であるかに応じて、冷媒配管61中の冷媒の流れる方向を切り換える。
【0022】
室外熱交換器23は、冷媒配管61を流れる冷媒と、空気調和対象の空間の外である室外空間72の空気との間で熱交換を行う第1の熱交換器である。室外送風機31は、室外熱交換器23の傍に設けられており、室外空間72の空気を室外熱交換器23に送る第1の送風機である。室外送風機31は、送風動作を開始すると、室外機11の内部に負圧が生じて、室外空間72の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室外熱交換器23に供給され、冷媒配管61を流れる冷媒により供給される冷温熱との間で熱交換された後、室外空間72に吹き出される。
【0023】
膨張弁24は、室外熱交換器23と室内熱交換器25との間に設置されており、冷媒配管61を流れる冷媒を減圧して膨張させる。膨張弁24は、その開度が可変に制御可能な電子式膨張弁である。膨張弁24は、室外機制御部51からの指示に従って開度を変更して、冷媒の圧力を調整する。
【0024】
室内熱交換器25は、冷媒配管61を流れる冷媒と、室内空間71の空気との間で熱交換を行う第2の熱交換器である。室内送風機33は、室内熱交換器25の傍に設けられており、室内空間71の空気を室内熱交換器25に送る第2の送風機である。室内送風機33は、送風動作を開始すると、室内機13の内部に負圧が生じて室内空間71の空気を吸い込む。吸い込まれた空気は、室内熱交換器25に供給され、冷媒配管61を流れる冷媒より供給される冷温熱との間で熱交換された後、室内空間71に吹き出される。
【0025】
室内熱交換器25で熱交換された空気は、空気調和された空気として室内空間71に供給される。これにより、室内空間71が冷暖房される。室内熱交換器25における冷媒と空気との熱交換量が大きいほど、空気調和装置1の空気調和能力は上がる。ここで、空気調和能力とは、空気調和装置1による空気調和の強さを示す指標である。以下、冷房時の空気調和能力を冷房能力と呼び、暖房時の空気調和能力を暖房能力と呼ぶ。
【0026】
ここでは、室外機11における圧縮機21、四方弁22、室外熱交換器23、膨張弁24および室外送風機31並びに室内機13における室内熱交換器25および室内送風機33を合わせて、空気調和部と呼ぶ。空気調和部は、空気調和装置1のうち、実際に室内空間71を空気調和する。
【0027】
室外機11は、室外温度検知部42を有する。室外温度検知部42は、測温抵抗体、サーミスタ、熱電対などの温度センサを有し、室外送風機31によって吸い込まれた室内空間71外の空気の温度(以下、外気温という)を検知する外気温検知部となる。
【0028】
また、室内機13は、室温検知部41、表面温度検知部43、窓開閉検知部45、日射量検知部47、人体検知部49、報知部58および無線通信部59に関する装置を有する。室温検知部41は、測温抵抗体、サーミスタ、熱電対などの温度センサを有し、家屋3内における室内空間71の温度(以下、室温という)を検知する。室温検知部41は、室内熱交換器25の吸込口に設置されており、室内機13の吸込空気の温度を、室温として検知する。
【0029】
表面温度検知部43は、焦電型、サーモパイル型などの赤外線センサを有し、被検知体から放射される赤外線を検知することによって、被検知体の表面温度を検知する。実施の形態1の表面温度検知部43は、室内空間71の壁、床などから放射される赤外線を検知することができる位置に設置され、壁、床などを含む周囲の物体の表面温度を検知する。実施の形態1では、表面温度検知部43の検知に係る表面温度が、室内空間71を囲んで室内空間71内外を仕切る、室内空間71における躯体表面の躯体温度となる。
【0030】
窓開閉検知部45は、窓4の開閉を検知する。窓4の開閉検知については、特に限定するものではない。窓開閉検知部45は、たとえば、焦電型、サーモパイル型などの赤外線センサを有し、家屋3の壁などとの温度の違いにより、室内空間71内における窓4の領域を判定する。そして、窓4の領域における温度の変化量を検知し、室内空間71外の温度である外気温が高いときは、前回画像との差分と外気温や現在室温と現在の窓4の表面温度などから求めた閾値よりも変化量があったときに窓4が開いたと判定する。外気温が低い場合は、同様に、前回画像との差分と外気温や現在室温と現在の窓4の表面温度などから求めた閾値よりも変化量があったときに、窓4が開いたと判定する。また、窓4が開く前の温度を記憶しておき、閾値以下に戻った場合に窓4が閉じたと検知する。
【0031】
また、窓開閉検知部45は、COなどのVOCガスセンサなどを用いてもよい。空気調和装置1が運転しているときは、基本的には窓4などが閉められている。このため、VOCガスセンサが、人体入退室以上の閾値以上に変化したことで、窓4が開かれたことを検知することができる。
【0032】
日射量検知部47は、焦電型、サーモパイル型などの赤外線センサを有し、窓4などを介して室内空間71に入射する日射量などを検知する。ここでは、室内機13が日射量検知部47を有するものとして説明する。しかし、たとえば、日射量検知部47を窓4の付近、室外空間72などの日射量を検知可能な場所に設置することで、家屋3の壁などの日射量を検知することができるなど、より正確な日射量の検知を行うことができる。
【0033】
人体検知部49は、焦電型、サーモパイル型などの赤外線センサを有し、室内空間71において、人がいるかどうかを検知する。
【0034】
報知部58は、報知を行う装置を有し、後述するように、制御部101などから送られる報知信号に基づいて、室内空間71内にいる人に報知などを行う。報知を行う装置は、たとえば、ブザーなどの音を発する音発生装置またはLEDランプなどの発光装置である。また、報知部58は、室内機13が有する装置だけでなく、後述するリモートコントローラ55が有する表示装置を報知部58とすることができる。ただし、これらの装置に限定するものではない。
【0035】
無線通信部59は、無線通信機器を有する。無線通信部59は、たとえば、Wi-Fi(登録商標)などを利用した無線通信を行って、空気調和装置1外の外部装置(図示せず)に対して信号を送り、各種報知などを行うことができる。外部装置は、たとえば、スマートフォン、スマートスピーカなどである。
【0036】
ここで、空気調和装置1は、室温検知部41、表面温度検知部43、窓開閉検知部45、日射量検知部47および人体検知部49以外の検知部を備えている(図示せず)。たとえば、空気調和装置1は、圧縮機21の吐出側に設置され、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検知する吐出側圧力検知部を備える。また、空気調和装置1は、圧縮機21の吸入側に設置され、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検知する吸入側圧力検知部を備える。さらに、空気調和装置1は、圧縮機21の吐出側に設置され、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検知する吐出側温度検知部を備える。そして、空気調和装置1は、圧縮機21の吸入側に設置され、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検知する吸入側温度検知部を備える。
【0037】
室温検知部41、表面温度検知部43、窓開閉検知部45、日射量検知部47および人体検知部49を含む各種検知部の検知に係る信号は、室内機制御部53に送られる。室内機制御部53は、通信線63を介して、検知に係るデータを含む信号を、室外機制御部51に送る。そして、室内機制御部53は、検知に係るデータに基づいて、自然換気などに係る判定などの処理を行う。室内機制御部53は、処理に基づく報知信号を、報知部58または無線通信部59に送る。報知部58または無線通信部59は、報知信号に基づく報知を行う。したがって、ここでは、空気調和装置1は、空気調和を行うだけでなく、換気報知装置にもなる。そして、室外機制御部51および室内機制御部53は、協調動作により自然換気の報知に関する処理を行う換気報知装置の制御部となる。
【0038】
図2は、実施の形態1に係る空気調和装置1が有する室外機制御部51の構成を示す図である。図2は、室外機制御部51におけるデバイス(ハードウェア)の構成を示す。室外機制御部51は、主として、室外機11の動作を制御する。室外機制御部51は、ここでは、前述したように、換気報知装置の制御部となる。図2に示すように、室外機制御部51は、制御部101、記憶部102、計時部103および通信部104を有する。各部はバス109を介して接続されている。
【0039】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備えるデバイスである。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などともいう。制御部101において、CPUは、ROMまたは記憶部102などに記憶されたプログラムおよびデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、室外機制御部51全体を統括制御する。
【0040】
記憶部102は、いわゆる二次記憶装置または補助記憶装置としての役割を担うデバイスである。記憶部102は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などの不揮発性の半導体メモリである。記憶部102は、制御部101が各種処理を行うために使用するプログラムおよびデータ、並びに、制御部101が各種処理を行うことにより生成または取得するデータを記憶する。たとえば、記憶部102は、室温検知部41および表面温度検知部43を含む各種検知部が検知したデータ、ユーザがリモートコントローラ55に設定したデータ、あらかじめ設定されたデータなどを記憶する。
【0041】
計時部103は、計時を行うデバイスである。計時部103は、RTC(Real Time Clock)を備えており、空気調和装置1の電源がオフの間も、計時を継続することができる。
【0042】
通信部104は、通信線63を介して室内機制御部53およびリモートコントローラ55と通信する際のインタフェースとなるデバイスである。通信部104は、たとえば、ユーザからリモートコントローラ55に入力された操作指示、室内機制御部53が各種検知部の検知に係るデータを含む信号を受信し、制御部101に送る。また、通信部104は、制御部101の処理による、室内機13への指示に係る信号、ユーザに報知する報知信号などを送る。
【0043】
次に、室内機制御部53について説明する。室内機制御部53は、図2に示す室外機制御部51と同様に、CPU、ROM、RAM、通信インタフェースおよび読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備える(図示せず)。室内機制御部53において、CPUがRAMをワークメモリとして用いながら、ROMに格納された制御プログラムを実行することにより、室内機13の動作を制御する。また、室内機13が有する各種検知部から検知に係るデータを含む信号を受信し、室外機制御部51に送る。
【0044】
室外機制御部51は、前述したように、有線、無線または他の通信媒体である通信線63によって、室内機制御部53と接続されている。室外機制御部51は、室内機制御部53と通信線63を介して各種信号を授受することにより協調動作し、空気調和装置1全体を制御する。このように、室外機制御部51は、空気調和装置1を制御する装置として機能する。
【0045】
室外機制御部51および室内機制御部53は、室温検知部41、表面温度検知部43および他の検知部(図示せず)の検知に係るデータおよびユーザによって設定された空気調和装置1の設定データに基づいて、空気調和装置1の空気調和部が行う運転を制御する。具体的に説明すると、たとえば、室外機制御部51は、圧縮機21の駆動周波数、四方弁22の切り換え、室外送風機31の回転数および膨張弁24の開度を制御などする。また、室内機制御部53は、室内送風機33の回転数を制御などする。ここで、室外機制御部51が、室内送風機33の回転数を制御してもよい。また、室内機制御部53が、圧縮機21の駆動周波数、四方弁22の切り換え、室外送風機31の回転数または膨張弁24の開度を制御などしてもよい。このように、室外機制御部51および室内機制御部53は、空気調和装置1に与えられた運転指令に応じて、空気調和部の機器に、各種動作指令を出力する。
【0046】
また、室内空間71には、リモートコントローラ55が配置されている。リモートコントローラ55は、入力装置および表示装置(図示せず)を有する。リモートコントローラ55は、室内機13が備えている室内機制御部53と各種信号を送受信する。たとえば、空気調和装置1のユーザは、リモートコントローラ55を操作して、空気調和装置1に運転指令を入力する。運転指令としては、たとえば、運転と停止との切換指令、運転モード(冷房、暖房、除湿、加湿、保湿、空気清浄、送風など)の切換指令、目標温度の切換指令、目標湿度の切換指令、風量の切換指令、風向の切換指令、またはタイマーの切換指令などがある。空気調和装置1は、入力された運転指令に従って、主として空気調和に関する動作を行う。
【0047】
<冷房運転における冷凍サイクル>
ここでは、空気調和部の空気調和に係る運転について説明する。まず、「冷房」の運転モードについて説明する。室外機制御部51は、リモートコントローラ55から「冷房」の運転指令を受信すると、圧縮機21から吐出された冷媒が室外熱交換器23に流入するように四方弁22の流路を切り換える。また、室外機制御部51は、膨張弁24を開き、圧縮機21と室外送風機31とを駆動させる。また、室内機制御部53は、「冷房」の運転指令を受信すると、室内送風機33を駆動させる。
【0048】
圧縮機21が駆動すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、四方弁22を通過して室外熱交換器23へと流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外空間72から吸い込まれた室外空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁24へと流入する。膨張弁24に流入した冷媒は、膨張弁24で減圧された後、室内熱交換器25へと流入する。室内熱交換器25に流入した冷媒は、室内空間71から吸い込まれた室内空気と熱交換して蒸発した後、四方弁22を通過して、再び圧縮機21に吸入される。このようにして冷媒が流れることで、室内空間71から吸い込まれた室内空気が室内熱交換器25で冷却される。室内熱交換器25における冷媒と室内空気との熱交換量を、冷房能力と呼ぶ。
【0049】
<暖房運転における冷凍サイクル>
次に、「暖房」の運転モードについて説明する。室外機制御部51は、リモートコントローラ55から「暖房」の運転指令を受信すると、圧縮機21から吐出された冷媒が室内熱交換器25に流入するように四方弁22の流路を切り換える。また、室外機制御部51は、膨張弁24を開き、そして圧縮機21と室外送風機31とを駆動させる。また、室内機制御部53は、「暖房」の運転指令を受信すると、室内送風機33を駆動させる。
【0050】
圧縮機21が駆動すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、四方弁22を通過して室内熱交換器25へと流入する。室内熱交換器25に流入した冷媒は、室内空間71から吸い込まれた室内空気と熱交換して凝縮液化し、膨張弁24へと流入する。膨張弁24に流入した冷媒は、膨張弁24で減圧された後、室外熱交換器23へと流入する。室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外空間72から吸い込まれた室外空気と熱交換して蒸発した後、四方弁22を通過して、再び圧縮機21に吸入される。このようにして冷媒が流れることで、室内空間71から吸い込まれた室内空気が室内熱交換器25で加熱される。室内熱交換器25における冷媒と室内空気との熱交換量を、暖房能力と呼ぶ。
【0051】
図3は、実施の形態1に係る空気調和装置1における室外機制御部51の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、空気調和装置1の室外機制御部51は、機能的に、空気温度取得部310、表面温度取得部320、空気調和制御部330および設定部340および指標取得部350を備える。
【0052】
各部が行う処理は、前述した室外機制御部51が有する制御部101が、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせを実行することによって実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、たとえば、換気報知プログラムなどのように、プログラムとして記述され、室外機制御部51のROMまたは記憶部102に格納される。そして、室外機制御部51の制御部101が、CPUが、ROMまたは記憶部102に記憶されたプログラムを実行することによって、空気調和装置1の各機能を実現する。
【0053】
空気温度取得部310は、室内空間71の室温を、データとして取得する。ここでは、空気温度取得部310は、室内機13に設置された室温検知部41が検知した室温を取得する。
【0054】
ここで、室温検知部41は、検知した室温を示す温度データを含む信号を、予め定められた周期で定期的に、室内機制御部53および通信線63を介して室外機制御部51に送信する。ここでは、室温検知部41側から定期的に信号を送るものとするが、空気温度取得部310が、必要に応じて室温検知部41に要求し、室温検知部41が要求に応答して温度データを含む信号を送信してもよい。このようにして、空気温度取得部310は、室内空間71における室温のデータを室温検知部41から取得する。したがって、空気温度取得部310は、制御部101が通信部104と協働することによって実現される。空気温度取得部310は、空気温度取得手段として機能する。
【0055】
表面温度取得部320は、室内空間71における躯体の表面温度を取得する。室内空間71における躯体とは、家屋3において室内空間71を囲む壁、床、天井、柱などの構造物である。表面温度取得部320は、室内空間71における躯体の表面温度として、表面温度検知部43が検知した表面温度をデータとして取得する。
【0056】
前述した表面温度検知部43は、検知した表面温度である躯体温度のデータを含む信号を、予め定められた周期で定期的に、室内機制御部53および通信線63を介して室外機制御部51に送信する。ここでは、表面温度取得部320側から定期的に信号を送るものとするが、表面温度取得部320が、必要に応じて表面温度検知部43に要求を送信し、表面温度検知部43が要求に応答して、躯体温度のデータを含む信号を送信してもよい。このようにして、表面温度取得部320は、表面温度検知部43が検知した室内空間71における躯体温度のデータを表面温度検知部43から取得する。表面温度取得部320は、制御部101が通信部104と協働することによって実現される。表面温度取得部320は、表面温度取得手段として機能する。
【0057】
空気調和制御部330は、空気調和部の機器を制御し、室内空間71の空気調和を制御する。空気調和制御部330は、通信部104を介して室内機制御部53と通信し、室内機制御部53と協働することによって、空気調和部に空気調和させる。具体的に説明すると、空気調和制御部330は、運転モードに応じて四方弁22の流路を切り換え、膨張弁24の開度を調整し、圧縮機21、室外送風機31および室内送風機33を駆動させる。空気調和制御部330は、制御部101が計時部103および通信部104と協働することによって実現される。空気調和制御部330は、空気調和制御手段として機能する。
【0058】
空気調和制御部330は、空気温度取得部310が取得した室温のデータに基づき、室温がサーモオフ点Toffに達したと判定すると、圧縮機21の駆動を停止させる。また、空気調和制御部330は、空気温度取得部310が取得した室温のデータに基づき、室温がサーモオン点Tonに達したと判定すると、圧縮機21の駆動を開始させる。サーモオフ点Toffは、空気調和の効きすぎを防ぐために設定された、圧縮機21が駆動を停止すべき温度である。サーモオン点Tonは、運転を停止している圧縮機21が駆動を再び開始すべき温度である。以下、圧縮機21の駆動の停止および開始のことは、それぞれ「サーモオフ」および「サーモオン」と呼ぶ。また、サーモオフ点Toffおよびサーモオン点Tonは、それぞれ「サーモオフ点Toff」および「サーモオン点Ton」と呼ぶ。
【0059】
室温がサーモオフ点Toffに達するとは、室温がサーモオフ点Toffよりも低い温度からサーモオフ点Toff以上にまで上昇する、または、室温がサーモオフ点Toffよりも高い温度からサーモオフ点Toff以下にまで低下することを意味する。同様に、室温がサーモオン点Tonに達するとは、室温がサーモオン点Tonよりも低い温度からサーモオン点Ton以上にまで上昇する、または、室温がサーモオン点Tonよりも高い温度からサーモオン点Ton以下にまで低下することを意味する。
【0060】
より詳細に説明すると、空気調和制御部330は、空気温度取得部310が取得した室温のデータに基づき、室温がサーモオフ点Toffに達し、且つ、圧縮機21の駆動を停止させてから禁止時間が経過したと判定すると、圧縮機21の駆動を開始させる。
【0061】
ここで、禁止時間とは、圧縮機21が駆動を停止してから再び駆動を開始するまでに必要な時間であって、圧縮機21を保護する目的で設定された時間である。圧縮機21が駆動を停止した直後は、冷凍サイクル回路内の圧力差が大きいため、電動機は回転することができない。このような状態で圧縮機21を駆動させようとすると、故障につながる。そのため、圧縮機21には、駆動を停止した直後に運転を開始することが禁止された禁止時間が設定されている。禁止時間は、たとえば、数十秒から数分の時間に設定される。このような禁止時間が規定されているため、空気調和制御部330は、室温がサーモオン点Tonに達していても、圧縮機21の駆動を停止させてから禁止時間が経過するまでの間は、圧縮機21の駆動を開始させない。そのため、周囲の環境によっては、圧縮機21が駆動を停止してから禁止時間が経過して運転を再開可能になるまでの間に室温が変化して、室内空間71における快適性が低下することがある。
【0062】
また、設定部340は、ここでは、後述するように、躯体温度に基づいて、サーモオフ点Toffとなる温度を設定する。また、設定部340は、報知部58と接続されており、自然換気の報知に関する処理を行う。設定部340は、制御部101によって実現される。設定部340は、設定手段として機能する。
【0063】
指標取得部350は、室温検知部41および表面温度検知部43以外の検知部の検知に係るデータを、室内空間71における室温の変化量(以下、室温変化量という)を予測する指標として取得する。具体的に説明すると、室外温度検知部42、窓開閉検知部45、日射量検知部47および人体検知部49からの信号に含まれるデータを取得する。
【0064】
<室温計算のパラメータ>
圧縮機21が駆動を停止した後の室温の変化は、周囲の環境に依存する。ここで、室温に影響を与える要因について説明する。
【0065】
図4は、家屋3における熱移動の様子を示す図である。図4に示すように、室内空間71と室外空間72との間では、家屋3の壁、窓4、隙間および換気設備などを介して熱が移動する。このような熱の移動の結果、室内空間71における室温は、様々な要因によって変動する。概略的には、室内空間71における室温は、室内空間71における躯体温度、室内空間71の内部発熱、室外空間72から室内空間71への空気流入熱、室内空間71の壁および床の面積および時間の関数として、(1)式のように定められる。
【0066】
室温=関数(躯体温度,内部発熱量,
空気流入熱,壁および床の面積,時間) …(1)
【0067】
室内空間71の躯体温度は、室内空間71の壁、床、天井および柱などの躯体の表面温度であって、前述したように、表面温度検知部43が検知し、表面温度取得部320が取得する。躯体温度は、家屋3の外壁の温度、室内空間71の窓4を通過した日射、室内空間71の断熱性能および時間の関数として、(2)式のように定められる。
【0068】
躯体温度=関数(外壁の温度,
窓4を通過した日射,断熱性能,時間) …(2)
【0069】
外壁の温度は、日射と外気温と時間との関数である。言い換えると、室内空間71の躯体は、家屋3の外壁を介して日射と外気とから熱を受ける。また、室内空間71における躯体は、窓4を通過した日射によって直接的に熱を受ける。窓4を通過した日射は、窓4の性能と窓4の面積との関数である。窓4の性能は、窓4から室内空間71への日射の入りやすさを示す日射熱取得率によって見積もることができる。ここで、日射熱取得率として、日射取得係数であるμ値または外皮平均日射取得率であるηA値を用いることができる。室内空間71の断熱性能は、熱の伝えやすさを示す熱貫流率によって見積もることができる。熱貫流率として、外皮平均熱貫流率であるUA値または熱損失係数であるQ値を用いることができる。
【0070】
室内空間71の内部発熱量は、室内空間71の内部に存在する人間、照明、ヒータなどから発生する熱量である。内部発熱量は、室内空間71に居る人間の数である在室人数と、室内空間71に設置された照明、家電機器および燃焼器具からのそれぞれの発熱量との関数として、(3)式のように定められる。
【0071】
内部発熱量=関数(在室人数,
照明,家電機器,燃焼器具) …(3)
【0072】
室外空間72から室内空間71への空気流入熱は、家屋3の窓4、扉、隙間、換気設備などを介して室外空間72から室内空間71に流入する空気の熱である。空気流入熱は、室外空間72における風量、外気温、室内空間71に隣接する部屋の室温および室内空間71の気密性を示す隙間相当面積の関数として、(4)式のように定められる。ここで、隙間相当面積は、C値とも呼ぶ。
【0073】
空気流入熱=関数(風量,外気温,
隣接する部屋の室温,隙間相当面積) …(4)
【0074】
図5は、躯体温度と室温との関係の一例を示す図である。図5は、暖房運転時に圧縮機21の駆動を停止させた後の、躯体温度の違いによる室温の変化の違いを示している。室内空間71における室温は、様々なパラメータの影響を受けて変化するが、短期的には、躯体温度の影響を最も受けて変化する。図5において、実線は、室内空間71内の躯体温度が相対的に高い場合における室温の変化を表している。また、破線は、室内空間71内の躯体温度が相対的に低い場合における室温の変化を表している。
【0075】
図5に示すように、サーモオフ点Toffにまで上昇して圧縮機21が駆動を停止した後の室温は、躯体温度が相対的に低い場合には、躯体温度が相対的に高い場合に比べて、大きく低下する。これは、暖房運転時において、サーモオフ直後の室温は、躯体温度と同程度になるまで急速に低下し、その後、躯体温度と同程度で緩やかに低下していくからである。そのため、図5のように、同じサーモオフ点Toffで圧縮機21の駆動を停止したと仮定すると、躯体温度が相対的に低い場合は、躯体温度が相対的に高い場合に比べ、禁止時間time0の最中に、室温がサーモオン点Tonを超えて変化する可能性が高くなる。室温がサーモオン点Tonを超えて変化すると、暖房時には寒くなりすぎるし、冷房時には暑くなりすぎる。このため、室内空間71の快適性が低下する。
【0076】
このように、禁止時間time0の最中に室温がサーモオン点Tonを超えて変化することを抑制するため、図3に示した設定部340は、躯体温度に応じて、異なるサーモオフ点Toffを設定する。具体的に説明すると、設定部340は、表面温度取得部320が取得した躯体温度に基づき、躯体温度が低いときには、サーモオフ点Toffを高い温度に設定する。言い換えると、設定部340は、躯体温度が第1温度である場合には、躯体温度が第1温度よりも高い第2温度である場合よりも高い温度に、サーモオフ点Toffを設定する。
【0077】
より詳細に説明すると、設定部340は、表面温度取得部320が取得した躯体温度に基づいて、圧縮機21が駆動を停止してから圧縮機21が駆動を再開するまでに必要な禁止時間が経過するまでの室温変化量を予測する。一般的に、禁止時間における室温変化量は、室温と躯体温度との差が大きいほど大きくなる。たとえば暖房運転時には、躯体温度が低いほど室温変化量は大きくなり、冷房運転時には、躯体温度が高いほど室温変化量は大きくなる。
【0078】
設定部340は、圧縮機21が駆動を停止してから禁止時間が経過するまでの室温変化量を、上記(1)式を用いて予測する。前述した(1)式のように、室温は、躯体温度と時間とを含む複数のパラメータによって定められる。ここで、前述した(1)式に含まれる発熱、空気流入熱および壁および床の面積のパラメータは、予め規定された値を用いてもよいし、センサの検出に係る値を用いてもよい。
【0079】
設定部340は、禁止時間における室温変化量を予測し、予測した変化量に基づいて、サーモオフ点Toffを設定する。具体的に説明すると、設定部340は、サーモオフ点Toffを、設定温度であるサーモオン点Tonに、予測した変化量を加えたまたは減じた温度に設定する。暖房運転時には、設定部340は、サーモオフ点Toffを、サーモオン点Tonに予測した室温変化量を加えた温度に設定する。これにより、室温は、サーモオフ後の禁止時間が終了したタイミングで、サーモオン点Tonにまで低下する。これに対して、冷房運転時には、設定部340は、サーモオフ点Toffを、サーモオン点Tonに予測した室温変化量を減じた温度に設定する。これにより、室温は、サーモオフ後の禁止時間が終了したタイミングで、サーモオン点Tonにまで上昇する。
【0080】
図6は、暖房運転時における躯体温度と室温との関係の一例を示す図である。また、図7は、冷房運転時における躯体温度と室温との関係の一例を示す図である。空気調和制御部330は、設定部340によって設定されたサーモオフ点Toffに従って、圧縮機21の駆動を停止させる。図6および図7において、破線は、室内空間71内の躯体温度が相対的に低い場合、具体的には、躯体温度が第1温度である場合における室温の変化を表している。これに対して、実線は、室内空間71内の躯体温度が相対的に高い場合、具体的には、躯体温度が第1温度よりも高い第2温度である場合における室温の変化を表している。
【0081】
図6に示すように、暖房運転時には、設定部340は、サーモオフ点Toff1およびサーモオフ点Toff2を、サーモオン点Tonよりも高い温度に設定する。さらに、設定部340は、躯体温度が相対的に低い場合におけるサーモオフ点Toff1を、躯体温度が相対的に高い場合におけるサーモオフ点Toff2よりも高い温度に設定する。空気調和制御部330は、躯体温度が相対的に低い場合には、室温がサーモオフ点Toff1にまで上昇すると、圧縮機21の駆動を停止させ、サーモオフする。また、空気調和制御部330は、躯体温度が相対的に高い場合には、室温がサーモオフ点Toff1よりも低いサーモオフ点Toff2にまで上昇すると、圧縮機21の駆動を停止させ、サーモオフする。ここで、以下、サーモオフ点Toff1およびサーモオフ点Toff2を、それぞれ、第1の駆動停止温度および第2の駆動停止温度と呼ぶ場合もある。
【0082】
サーモオフした後、室温は、躯体温度が低いほど大きく低下する。このとき、サーモオフ点Toff1およびサーモオフ点Toff2は、禁止時間time0における室温変化量を予測して設定されている。このため、室温は、禁止時間time0が終わるタイミングで、設定温度であるサーモオン点Tonまで低下する。室温がサーモオン点Tonにまで低下すると、空気調和制御部330は、圧縮機21の駆動を開始させ、サーモオンする。これにより、室温は再び上昇し始める。このように、躯体温度の高低に関わらず、室温は、設定温度以上の温度に保たれる。
【0083】
これに対して、冷房運転時には、設定部340は、図7に示すように、サーモオフ点Toff1およびサーモオフ点Toff2を、サーモオン点Tonよりも低い温度に設定する。さらに、設定部340は、躯体温度が相対的に低い場合におけるサーモオフ点Toff1を、躯体温度が相対的に高い場合におけるサーモオフ点Toff2よりも高い温度に設定する。空気調和制御部330は、躯体温度が相対的に低い場合には、室温がサーモオフ点Toff1にまで低下すると、圧縮機21の駆動を停止させ、サーモオフする。また、空気調和制御部330は、躯体温度が相対的に高い場合には、室温がサーモオフ点Toff1よりも低いサーモオフ点Toff2にまで低下すると、圧縮機21の駆動を停止させ、サーモオフする。
【0084】
サーモオフした後、室温は、躯体温度が高いほど大きく上昇する。このとき、サーモオフ点Toff1およびサーモオフ点Toff2は、禁止時間time0における室温変化量を予測して設定されている。このため、室温は、禁止時間が終わるタイミングで、設定温度であるサーモオン点Tonにまで上昇する。室温がサーモオン点Tonにまで上昇すると、空気調和制御部330は、圧縮機21の駆動を開始させ、サーモオンする。これにより、室温は再び低下し始める。このように、躯体温度の高低に関わらず、室温は設定温度以下の温度に保たれる。
【0085】
図8は、実施の形態1に係る空気調和装置1が行う空気調和制御処理の流れを示す図である。空気調和装置1の制御部101は、空気調和装置1が室内空間71を暖房または冷房している際において、図8に示す空気調和制御処理を実行する。
【0086】
図8に示す空気調和制御処理において、制御部101は、まず、表面温度検知部43によって検知された躯体温度に基づいて、サーモオフ後の禁止時間における室温変化量を予測する(ステップS1)。禁止時間は、圧縮機21の保護のため、サーモオフの直後に圧縮機21が再起動しないように規定された時間である。制御部101は、圧縮機21の駆動を停止した場合に、禁止時間において室温がどの程度変化するかを予測する。具体的に説明すると、制御部101は、空気調和装置1の暖房運転時には、躯体温度が低いほど室温変化量が大きくなると予測し、冷房時には、躯体温度が高いほど室温変化量が大きくなると予測する。
【0087】
禁止時間における室温変化量を予測すると、制御部101は、予測した室温変化量に応じてサーモオフ点Toffを調整する(ステップS2)。具体的に説明すると、制御部101は、暖房運転時には、サーモオフ点Toffを、サーモオン点Tonに予測した室温変化量を加えた温度に設定する。また、制御部101は、冷房運転時には、サーモオフ点Toffを、サーモオン点Tonに予測した室温変化量を減じた温度に設定する。ステップS1およびステップS2において、制御部101は、設定部340として機能する。
【0088】
サーモオフ点Toffを調整すると、制御部101は、室温検知部41によって検知された室温を参照して、室温がサーモオフ点Toffに達したか否かを判定する(ステップS3)。具体的に説明すると、暖房時には、制御部101は、室温がサーモオフ点Toff以上の温度まで上昇した場合に、室温がサーモオフ点Toffに達したと判定する。これに対して、冷房時には、制御部101は、室温がサーモオフ点Toff以下の温度まで低下した場合に、室温がサーモオフ点Toffに達したと判定する。
【0089】
室温がサーモオフ点Toffに達していないと判定した場合(ステップS3;NO)、制御部101は、ステップS3に留まり、室温がサーモオフ点Toffに達するまで待機する。
【0090】
これに対して、室温がサーモオフ点Toffに達したと判定した場合(ステップS3;YES)、制御部101は、空気調和部のサーモオフを実施する(ステップS4)。具体的に説明すると、制御部101は、圧縮機21を制御して回転数を0に変更することによって、圧縮機21の駆動を停止させる。これにより、空気調和装置1による室内空間71の空気調和が停止する。
【0091】
空気調和部がサーモオフを行うと、制御部101は、室温検知部41によって検知された室温を参照して、室温がサーモオン点Tonに達したか否かを判定する(ステップS5)。具体的に説明すると、暖房時には、制御部101は、室温がサーモオン点Ton以下の温度まで低下した場合に、室温がサーモオン点Tonに達したと判定する。これに対して、冷房時には、制御部101は、室温がサーモオン点Ton以上の温度まで上昇した場合に、室温がサーモオン点Tonに達したと判定する。
【0092】
室温がサーモオン点Tonに達していない場合(ステップS5;NO)、制御部101は、ステップS5に留まり、室温がサーモオン点Tonに達するまで待機する。
【0093】
これに対して、室温がサーモオン点Tonに達した場合(ステップS5;YES)、制御部101は、さらに、空気調和部がサーモオフを行ってから禁止時間が経過したか否かを判定する(ステップS6)。具体的に説明すると、制御部101は、計時部103の計時に基づいて、空気調和部がサーモオフを行ってからの経過時間が予め規定された禁止時間を超えたか否かを判定する。
【0094】
制御部101は、空気調和部がサーモオフを行ってから禁止時間が経過していないと判定した場合(ステップS6;NO)、ステップS6に留まり、空気調和部においてサーモオフを行ってから禁止時間が経過するまで待機する。言い換えると、制御部101は、室温がサーモオン点Tonに達していても、空気調和部がサーモオフを行ってから禁止時間が経過していなければ、空気調和部にサーモオンを行わせない。
【0095】
これに対して、制御部101は、空気調和部がサーモオフを行ってから禁止時間が経過したと判定した場合(ステップS6;YES)、空気調和部にサーモオンを行わせる(ステップS7)。具体的に説明すると、制御部101は、圧縮機21を制御して、回転数を設定温度に応じた値に変更することによって、圧縮機21の駆動を開始させる。これにより、空気調和装置1は、室内空間71の空気調和を開始する。ここで、ステップS3~ステップS7において、制御部101は、空気調和制御部330として機能する。
【0096】
空気調和部がサーモオフを行うと、制御部101は、処理をステップS1に戻し、ステップS1~ステップS7の処理を繰り返す。言い換えると、制御部101は、躯体温度に応じてサーモオフ点Toffを変更しながら、室温がサーモオフ点Toffに達すると、空気調和部のサーモオフを行い、室温がサーモオン点Tonに達すると、空気調和部のサーモオンを行う処理を繰り返す。
【0097】
以上説明したように、実施の形態1に係る空気調和装置1は、室温がサーモオフ点Toffに達すると圧縮機21の駆動を停止させ、室温がサーモオン点Tonに達すると圧縮機21の駆動を開始させることによって、室内空間71を空気調和する。このとき、空気調和装置1は、室内空間71における躯体温度が相対的に低い場合には、室内空間71における躯体温度が相対的に高い場合よりも、サーモオフ点Toffを高い温度に設定することで、サーモオフ点Toffの温度を、躯体温度によって調整する。
【0098】
このように、躯体温度に応じてサーモオフ点Toffを調整することによって、サーモオフ直後の圧縮機21が再起動できない禁止時間の最中に、室温が、設定温度であるサーモオン点Tonを超えて変化することを抑制することができる。そのため、室内空間71における快適性を向上させることができる。また、制御部101が、室温変化量が少ないと予測した場合は、早めに圧縮機21の駆動を停止することができる。このため、実施の形態1の空気調和装置1は、空気調和に係る消費電力量を削減することができる。
【0099】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る空気調和装置1について説明する。実施の形態1に係る空気調和装置1は、躯体温度に基づいて室温変化量を予測して、サーモオフ点Toffを調整した。これに対して、実施の形態2に係る空気調和装置1は、室外機制御部51が室温変化量を予測するための指標として、さらに室外温度検知部42が取得した外気温のデータを含めて処理を行うものである。
【0100】
実施の形態1で説明した図4および(2)式で示したように、室内空間71における躯体温度は、家屋3の外壁の温度から熱を受けて変化する。さらに、家屋3の外壁の温度は、外気温からの熱を受けて変化する。このため、室内空間71における躯体温度は、外気温に応じて変化することになる。たとえば、外気温が上昇すると、躯体温度は数時間遅れて上昇し、外気温が低下すると、躯体温度は徐々に低下する。このように、外気温によって躯体温度の変化を予測することができる。そのため、外気温を取得することによって、躯体温度だけを用いる場合よりも、さらに先の時間まで見越して、室内空間71における室温変化量を予測することができる。
【0101】
実施の形態2の設定部340は、表面温度取得部320によって取得された躯体温度と前述した指標取得部350が取得した外気温とのデータに応じて、サーモオフ点Toffを設定する。具体的に説明すると、設定部340は、実施の形態1の設定部340と同様に、躯体温度が低いほどサーモオフ点Toffを高い温度に設定する。その一方で、設定部340は、躯体温度が同じであれば、外気温が相対的に低い場合の方が、外気温が相対的に高い場合よりも高くなるように、サーモオフ点Toffの温度を設定する。空気調和制御部330は、このように、設定部340によって躯体温度と外気温とに応じて設定されたサーモオフ点Toffに従って、圧縮機21の駆動を停止させる。
【0102】
これに対して、冷房運転時には、設定部340は、サーモオフ点Toff1およびサーモオフ点Toff2を、サーモオン点Tonよりも低い温度に設定する。さらに、設定部340は、外気温が相対的に低い場合におけるサーモオフ点Toff1を、外気温が相対的に高い場合におけるサーモオフ点Toff2よりも高い温度に設定する。このように、外気温に応じて、サーモオフ点Toff1およびサーモオフ点Toff2が設定されることによって、外気温が低いため室温が低下することが予測される場合には、圧縮機21は早めに停止する。これにより、室内空間71が冷えすぎることを抑制することができ、快適性が向上するとともに、消費電力量も削減することができる。また、外気温が高いため、室温が上昇することが予測される場合には、圧縮機21は長く運転する。このため、空気調和装置1は、十分に冷房することができる。
【0103】
以上説明したように、実施の形態2に係る空気調和装置1は、躯体温度に加えて、外気温にも基づいて、し、躯体温度と外気温とに応じてサーモオフ点Toffおよびサーモオフ点Toffを調整する。外気温を用いてサーモオフ点の設定を行うことにより、より先の室温変化まで精度良く予測することができる。このため、サーモオフ点Toffおよびサーモオフ点Toffをより的確に設定することができ、室内空間71における快適性をより向上させることができる。
【0104】
ここで、室外温度検知部42は、室外機11以外の場所に設置されていてもよい。たとえば、指標取得部350は、家屋3の外部に設置された温度センサが検知した外気温のデータを含む信号を、外部の電気通信回線などを介して取得してもよい。また、室外温度検知部42は、温度センサなどの危機などに限定するものでなく、天気予報、気象データなどを外部の電気通信回線などを介して得られる外気温のデータを取得し、外気温を検知してもよい。
【0105】
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、前述した設定部340が、表面温度取得部320が取得した躯体温度と指標取得部350が取得した外気温とに応じて、自然換気に関する報知に係る処理を行う。そして、設定部340は、処理に基づき、報知信号を報知部58に送って、ユーザに対して報知させるものである。ここで、以下、換気とは、基本的には、換気設備を用いず窓4などを開いて換気を行う自然換気のことをいうものとする。
【0106】
具体的に説明すると、設定部340は、表面温度取得部320が取得した躯体温度と指標取得部350によって取得された外気温とに関するデータに応じて、今後の室温変化量を予測する。そして、設定部340は、予測した室温変化量に基づき、換気に適した環境条件であると判定すると、換気を促す報知信号を報知部58に送り、ユーザに対して報知させる。また、設定部340は、換気の終了についても判定し、換気の終了を促す報知信号を報知部58に送って、ユーザに対して報知させる。
【0107】
たとえば、設定部340は、夏場の外気温影響により室温が低くなり、室内空間71における熱負荷が少なくなると予測すると、報知部58に換気を促す報知信号を送る。また、室温が低い状態から高くなる状態へと予測が変化すると、その後、室温が高くなっていくことが予測されるので、換気を促す報知を行う。室内空間71における熱負荷が少なく、熱平衡にある状態のうちに換気を促す。これにより、室内環境に対するエネルギーの損失を防ぎ、省エネルギをはかりつつ、空気の入れ替えを行うことができる。そして、室内空間71の換気を行うことで、感染症予防にも効果があると考えられる。
【0108】
図9は、実施の形態3における換気報知に係る処理の流れを示す図である。ここで、前述した設定部340、表面温度取得部320および指標取得部350が行う処理は、実質的に制御部101が行う。そこで、ここでは、制御部101が処理を行うものとして説明する。
【0109】
制御部101は、図9に示す換気報知処理を実行する。制御部101は、室内空間71における室温変化量を予測する熱負荷応答制御を行う(ステップS110)。ここで、制御部101は、実施の形態1で説明したように、表面温度検知部43の検知に係る躯体温度に基づいて室温変化量を予測する。しかし、これに限定するものではない。前述した実施の形態1で説明したように、(2)式における躯体温度は、家屋3における壁の温度により変化し、壁の温度は、外気温に影響される。そこで、実施の形態2で説明したように、制御部101は、室外温度検知部42の検知に係る外気温のデータにより。表面温度検知部43の検知に係る躯体温度のデータを補正するなどして、室温変化量を予測してもよい。
【0110】
制御部101は、室温変化量の予測に基づき、今後の熱負荷の傾向を判定する熱負荷傾向判定を行う(ステップS120)。図9に示すように、実施の形態3では、制御部101は、熱負荷の傾向について、増加傾向、中間傾向並びに減少傾向のいずれの傾向にあるかを判定する。制御部101は、室温変化量が、あらかじめ定めた設定変化量範囲以内であると予測すると、室内空間71における熱負荷が増加および減少しない中間傾向にあると判定する。また、制御部101は、室温変化量が、設定変化範囲よりも多くなると予測すると、熱負荷は上昇し、増加傾向にあると判定する。そして、制御部101は、室温変化量が、設定変化範囲よりも少なくなると予測すると、熱負荷は減少し、減少傾向にあると判定する。ここでは、制御部101は、増加、減少および中間の3パターンにおける熱負荷傾向を判定したが、増加および減少の2パターンにおける傾向を判定してもよい。
【0111】
図10は、実施の形態3における熱負荷の傾向の変化について説明する図である。まず、中間傾向から減少傾向に変化する場合については、図10に示すように、たとえば、夏場で想定したときには、日中から夕方にかけて日が落ちて外気温が下がってきたときに、室温変化量の予測による熱負荷の傾向が、中間傾向から減少傾向に変化する。一方、中間傾向から増加傾向に変化する場合については、図10に示すように、たとえば、夏場を想定した場合、朝日が差し始めて外気温が上がってきたときに、室温変化量の予測による熱負荷の傾向が、中間傾向から増加傾向に変化する。
【0112】
制御部101は、室温変化量により、熱負荷の変化が少ない、中間傾向から増加傾向に変化するまたは中間傾向から減少傾向に変化するものと判定すると、換気を促す旨の報知信号を報知部58に送るかどうかを判定する換気報知判定を行う(ステップS130)。たとえば、リモートコントローラ55の換気報知に関する設定により、報知しない旨の設定がされていれば、報知部58に報知信号を送らない。制御部101は、報知部58に報知信号を送らないと判定すると、ステップS110に戻る。また、制御部101は、換気開始を促す旨の報知信号を送ると判定すると、報知部58に報知信号を送り、換気を促す旨を報知させる(ステップS140)。
【0113】
そして、制御部101は、換気を終了するかどうかを判定する(ステップS150)。実施の形態3では、制御部101は、たとえば、報知部58に換気を促す報知信号を送ってから終了設定時間を経過したかどうかにより判定する。ただし、換気終了に係る判定については、特に限定するものはない。ここで、計時部103が時間を計る。そして、制御部101は、換気を終了すると判定すると、換気終了を促す旨の報知信号を報知部58に送る(ステップS160)。
【0114】
図11は、報知部58による報知の一例を示す図である。ここで、報知信号に基づいて換気に関する報知を行う報知部58について説明する。図11では、リモートコントローラ55が有する表示装置に、換気に関する表示を行う例を示している。ここで、前述したように、報知部58による報知は、表示に限定するものではない。たとえば、室内機13が有するブザーなどの音発生装置を報知部58として、鳴動による報知を行ってもよい。また、室内機13が有するLEDランプなどの発光装置を報知部58として、点灯、点滅などによる報知を行ってもよい。そして、換気開始を促す旨を報知する報知部58と換気終了を促す旨を報知する報知部58とが異なっていてもよい。
【0115】
以上のように、実施の形態3によれば、制御部101は、表面温度検知部43の検知に係る躯体温度のデータから室温変化量を予測し、予測による室内空間71の熱負荷の傾向に基づいて、ユーザに換気開始を促す旨の報知信号を報知部58に送る。このため、室内空間71における熱負荷の変化が少ないタイミングで換気を行うことができ、省エネルギをはかることができる。たとえば、空気調和装置1が空気調和をしている場合には、直接的に空気調和装置1の運転において省エネルギをはかることができる。また、空気調和装置1が運転中でなくても、換気による熱負荷増加を抑え、空気調和装置1の運転をさせなくてもよいなど、省エネルギが期待できる。
【0116】
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4の室外機制御部51が有する設定部340は、室内機13が有する人体検知部49の検知に基づいて、室内空間71に人の有無を判定し、報知部58に報知信号を送るかどうかを判定する。室内空間71に人がいないときに報知しても、窓4の開閉が行われないからである。
【0117】
図12は、実施の形態4に係る換気の報知に係る処理の流れを示す図である。図9と同じステップ番号を付した処理については、実施の形態3で説明したことと同様の処理を行う。ステップS110およびステップS120については、実施の形態3で説明した処理と同様である。
【0118】
実施の形態4において、制御部101は、ステップS120の熱負荷傾向判定において、熱負荷が中間傾向から増加傾向に変化するまたは中間傾向から減少傾向に変化するものと判定すると、室内空間71に人がいるかどうかを判定する(ステップS121)。ここで、制御部101は、人体検知部49の検知に基づいて、判定を行う。制御部101は、室内空間71に人がいないと判定すると、ステップS110に戻る。
【0119】
一方、制御部101は、室内空間71に人がいると判定すると、換気開始を促す旨の報知信号を報知部58に送るかどうかを判定する(ステップS130)。ステップS130以降の処理については、実施の形態3と同様である。
【0120】
以上のように、実施の形態4によれば、制御部101は、室内空間71に人がいないと判定すると、報知信号を送らずに、換気に関する報知を行わないようにした。このため、窓4を開閉する人がいない状態で報知するなど、無意味な報知を防ぐことができる。
【0121】
実施の形態5.
次に、実施の形態5について説明する。実施の形態5では、制御部101は、室内空間71における室温変化量を予測するときの指標として、日射量検知部47の検知に係る日射量のデータを取得する。データの取得は、指標取得部350の処理によって行う。
【0122】
日射量は、太陽から受ける放射エネルギの量である。前述したように、日射量検知部47は、室内機13、室内空間71の窓4の付近、室外空間72などの日射量を検知可能な場所に設置されるなどして、日射量を検知する。制御部101は、日射量検知部47の検知に係る信号に含まれる日射量のデータを、通信部104を介して取得する。
【0123】
実施の形態1で説明した図4および(2)式で示したように、家屋3に係る躯体温度は、窓4を通過する日射から熱を受けて変化する。また、家屋3の外壁の温度は、日射から熱を受けて変化する。そのため、室内空間71における躯体温度は、日射量に応じて変化する。たとえば、家屋3の外壁が日射を受けて加熱されると、熱が壁を通ることで貫流負荷が増加し、躯体温度は上昇する。また、窓4から入った日射が内壁に当たると、日射負荷が増加し、躯体温度は徐々に上昇する。一方で、日射が無くなると、躯体温度は徐々に低下する。このように、日射量によって躯体温度の変化を予測することができる。そのため、制御部101は、日射量検知部47の検知に係る信号に含まれる日射量のデータを取得し、表面温度検知部43の検知に係る躯体温度のデータを補正するなどして、室温変化量の予測に利用する。これにより、表面温度検知部43の表面温度を躯体温度とするよりも、さらに先の時間まで見越して、室内空間71における室温変化量を予測することができる。室温変化量の予測は、設定部340の処理により行う。
【0124】
このように、実施の形態5における制御部101は、日射量検知部47の検知に係る日射量のデータを用いて、室温変化量の予測を行う。日射量のデータを用いることによって、より先の室温変化量を精度良く予測することができる。このため、換気の開始などを促す報知を行うタイミングを、より的確に設定することができる。そして、室内空間71における操作性をより向上させることができる。
【0125】
ここで、実施の形態5では、日射量検知部47は、赤外線センサを有するものとして説明したが、これに限定するものではない。たとえば、日射量検知部47は、照度センサを有し、照度のデータから日射量のデータを得るようにしてもよい。また、日射量検知部47は、カメラなどを有し、カメラが撮影した室内空間71の可視画像のデータから日射量のデータを得るようにしてもよい。さらに、太陽光発電設備による発電量、天気予報または気象などのデータを得ることができる機器などを日射量検知部47として、日射量のデータを得るようにしてもよい。
【0126】
実施の形態6.
次に、実施の形態6の空気調和装置1について説明する。実施の形態5において、制御部101は、室内空間71における室温変化量を予測する指標のデータとして、室内空間71を有する家屋3の躯体などの断熱性能に係るデータを取得する。データの取得は、指標取得部350の処理によって行う。
【0127】
建物である家屋3の躯体などの断熱性能は、室内空間71と室外空間72との間での熱の伝わりやすさを示す指標である。断熱性能は、外皮平均熱貫流率または熱損失係数などによって見積もることができる。制御部101は、ユーザがリモートコントローラ55に入力した断熱性能のデータを取得する。また、制御部101は、室内空間71の断熱性能を示す情報を、空気調和装置1の過去の空気調和能力から学習処理を行うことによって取得してもよい。取得した断熱性能のデータは、たとえば、記憶部102に記憶する。たとえば、設定部340などが学習処理を行う。
【0128】
実施の形態1で説明した図4および(2)式で示すように、家屋3に係る躯体温度は、断熱性能に依存して変化する。断熱性能が高いほど、換気時における室温は変化し難く、断熱性能が低いほど、換気時における室温は変化し易くなる。そのため、制御部101は、断熱性能データを取得し、躯体温度の算出など、室温変化量の予測に利用する。これにより、表面温度検知部43の表面温度を躯体温度とするよりも、さらに先の時間まで見越して、室内空間71における室温変化量を予測することができる。室温変化量の予測は、設定部340の処理により行う。
【0129】
このように、実施の形態5における制御部101の設定部340は、家屋3の断熱性能のデータを用いて、室温変化量の予測を行う。断熱性能のデータを用いることによって、より先の室温変化量を精度良く予測することができる。このため、換気の開始などを促す報知を、より的確なタイミングで行うことができる。
【0130】
ここで、実施の形態6において、制御部101は、断熱性能のデータに加えてまたは断熱性能のデータに代えて、室内空間71の広さを示すデータを取得して、室内空間71における室温変化量を予測するための指標としてもよい。制御部101は、室内空間71の広さに係るデータを、リモートコントローラ55から送られる信号から取得してもよいし、赤外線センサまたは画像センサなどによって取得してもよい。
【0131】
実施の形態7.
次に、実施の形態7について説明する。実施の形態7では、制御部101は、室内空間71における室温変化量を予測するときに用いる指標のデータとして、前述した室内空間71の内部発熱量のデータを取得する。データの取得は、指標取得部350の処理によって行う。
【0132】
内部発熱量は、実施の形態1で説明した(3)式のように、室内空間71の在室人数、室内空間71に設置された照明、家電機器および燃焼器具からの発熱量などによって見積もることができる。そこで、制御部101は、躯体温度と内部発熱量とのデータを用いて、室温変化量を予測処理する。
【0133】
ここで、制御部101は、内部発熱量のデータを、リモートコントローラ55から送られる設定により取得してもよいし、人体検知部49、赤外線センサ、カメラなどで在室人数、照明、家電機器および燃焼機器の発熱を検知することによって取得してもよい。さらに、指標取得部350は、電気通信回線などを介して、外部の機器から送られる在室人数、機器の使用状況などのデータを、内部発熱量のデータとして取得してもよい。
【0134】
このように、実施の形態7においては、制御部101は、躯体温度に加え、内部発熱量をデータとして取得し、躯体温度と内部発熱量とに応じて、室温変化量の予測を行う。内部発熱量データを用いることによって、より先の室温変化量を精度良く予測することができる。このため、換気の開始などを促す報知を、より的確なタイミングで行うことができる。そして、室内空間71における快適性と省エネルギ性とを、より向上させることができる。
【0135】
実施の形態8.
次に、実施の形態8について説明する。実施の形態8では、制御部101は、室内空間71における室温変化量を予測するときの指標として、室内空間71における窓開閉検知部45の検知に係る窓開閉のデータを取得する。データの取得は、指標取得部350の処理によって行う。
【0136】
図13は、実施の形態8に係る換気の報知に係る処理の流れを示す図である。図9と同じステップ番号を付した処理については、実施の形態3で説明したことと同様の処理を行う。ステップS110およびステップS120については、実施の形態3と同様である。
【0137】
実施の形態4においては、制御部101は、ステップS120の熱負荷傾向判定において、熱負荷が中間傾向から増加傾向に変化するまたは中間傾向から減少傾向に変化するものと判定すると、熱負荷が増加傾向かどうかを判定する(ステップS122)。制御部101は、熱負荷が増加傾向にあると判定すると、窓開閉検知部45の検知に係る窓開閉のデータに基づき、窓4が開いているかどうかを判定する(ステップS123)。制御部101は、窓4が閉じていると判定すると、ステップS110に戻る。
【0138】
一方、制御部101は、窓4が開いていると判定すると、換気開始を促す旨の報知信号を報知部58に送るかどうかを判定する(ステップS130)。ステップS130以降の処理については、実施の形態3と同様である。
【0139】
ここで、実施の形態8では、窓開閉検知部45により窓4の開閉に基づいたが、窓4だけに限定するものではない。たとえば、扉、間仕切りなどのような、室内空間71と室外空間72との境界部分に設けられた開閉可能な部分の開閉状況を検知するなどして、データとして利用してもよい。制御部101は、扉などの開閉状況のデータを、リモートコントローラ55を介して取得してもよいし、赤外線センサまたは画像センサによって取得してもよい。そして、また、制御部101は、電気通信回線などを介して、外部の機器から、開閉に関するデータを取得してもよい。
【0140】
このように、実施の形態8では、制御部101は、躯体温度に加えて窓開閉検知部45の窓開閉データに基づいて、躯体温度と窓開閉のデータとに応じて換気報知に係る報知信号のタイミングを調整する。開閉部の開閉に関するデータを用いることによって、室内空間71における室温変化量をより正確に予測することができ、換気が十分に行われたかどうかの判定が可能となり、室内空間71における操作性をより向上させることができる。
【0141】
ここで、実施の形態8において、制御部101は、室内空間71における窓開閉検知部45の窓開閉データに加えてまたは窓開閉データに代えて、室内空間71に設置された換気設備の運転状態をデータとして取得してもよい。換気設備とは、室内空間71を換気する換気扇、レンジフードなどの設備である。制御部101は、換気設備の運転状態のデータを、リモートコントローラ55を介して取得してもよいし、赤外線センサまたは画像センサによって取得してもよいし、外部の電気通信回線などを介して取得してもよい。
【0142】
ここで、換気設備が運転している場合、室内空間71と室外空間72との間で多くの空気が移動するため、室内空間71に係る断熱性能が低下する。その結果、自然換気時には、室温が変化し易くなる。そこで、制御部101は、躯体温度が同じであれば、換気設備が運転していない場合の方が、換気設備が運転している場合よりも、換気終了までの時間である窓検知設定時間が長くなるように設定する。このように、換気設備の運転状態のデータを用いることで、室内空間71における自然換気の変化をより的確に予測することができる。そのため、室内空間71における快適性と省エネルギ性とをより向上させることができる。
【0143】
実施の形態9.
実施の形態1~実施の形態8において種々の空気調和装置1などについて説明したが、これに限らず、変形および応用が可能である。前述した各実施の形態では、空気調和装置1が換気報知装置であり、空気調和装置1が有する各種検知部の検知をデータとするものとして説明したが、これに限定するものではない。換気報知装置が空気調和装置1と独立した装置であってもよい。
【0144】
また、たとえば、前述した各実施の形態では、室温検知部41および表面温度検知部43は、室内機13に設置されていた。しかしながら、室温検知部41および表面温度検知部43は、それぞれ目的とする温度および日射量を検知することができる場所であれば、どこに設置されていてもよい。表面温度検知部43は、赤外線センサに限らず、室内空間71の壁、床、天井などに設置され、これらの表面温度を検知する温度センサであってもよい。
【0145】
前述した各実施の形態では、空気調和装置1は、1台の室外機11と1台の室内機13とを備えていた。しかしながら、空気調和装置1は、1台の室外機11と複数台の室内機13とを備えていてもよい。或いは、空気調和装置1は、1台の室外機11と中継機(図示省略)と逆止弁(図示省略)と複数台の室内機13とを備えており、冷房する室内機13と暖房する室内機13とを混在させて運転することが可能なものであってもよい。
【0146】
また、室外機11と室内機13とが設置される位置は、特に限定されない。室外機11と室内機13とは、距離が離れた位置に設置されていてもよい。たとえば、室外機11が図示しない建物の屋上に設置され、室内機13が天井裏に設置されていてもよい。
【0147】
前述した各実施の形態では、室外機制御部51の制御部101が、空気温度取得部310、表面温度取得部320、空気調和制御部330、設定部340および指標取得部350を備え、空気調和装置1を制御する装置として機能した。しかしながら、前述した各部の一部または全部を、室内機制御部53が備えてもよいし、空気調和装置1の外部の装置が備えてもよい。
【0148】
図14は、実施の形態9に係る空気調和システム500を示す図である。前述した各実施の形態では、換気報知に係る処理を行う制御装置100は、空気調和装置1の室外機11内の室外機制御部51が行うものとして説明したが、これに限定するものではない。たとえば、図14に示すように、空気調和装置1と制御装置100とを、通信ネットワーク400を介して通信可能に接続する空気調和システム500とする。そして、制御装置100が、図2で示す制御部101、記憶部102、計時部103および通信部104を有し、図3で示す空気温度取得部310、表面温度取得部320、空気調和制御部330、設定部340および指標取得部350の処理を行ってもよい。たとえば、通信ネットワーク400は、エコーネットライト(ECHONET Lite)(登録商標)に準じた宅内ネットワークであって、制御装置100は、家屋3における電力を管理するHEMS(Home Energy Management System)のコントローラであってもよい。また、通信ネットワーク400は、公衆的な電気通信回線であってもよい。そして、制御装置100は、家屋3の外部から空気調和装置1を制御するサーバなどであってもよい。
【0149】
制御装置100が上記の各機能を備える場合、空気調和システム500は、制御装置100は、複数の空気調和装置1を制御対象として制御してもよい。この場合、空気調和装置1の台数は限定しない。制御装置100の制御対象となる空気調和装置1,1のように、冷凍サイクルを備える装置であれば良く、その詳細な構成は限定されない。
【0150】
前述した各実施の形態において、空気調和装置1が家屋3に設置されるものとして説明したが、これに限定するものではない。たとえば、空気調和装置1は、集合住宅、オフィスビル、施設、工場などに設置されてもよい。また、空気調和対象の空間は、家屋3内の部屋であることに限らず、空気調和装置1によって空気調和される空間であれば、どのような空間であってもよい。
【0151】
前述した実施の形態では、制御部101が有するCPUが、記憶部102などに記憶されたプログラムを実行することで、空気温度取得部310、表面温度取得部320、空気調和制御部330、設定部340および指標取得部350の各部の機能を実行した。しかしながら、制御部101は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、たとえば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、または、これらの組み合わせなどである。制御部101が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
【0152】
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェアまたはファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部101は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または、これらの組み合わせによって、前述の各機能を実現することができる。
【0153】
また、室外機制御部51または制御装置100の動作を規定するプログラム、パーソナルコンピュータまたは情報端末装置などの既存のコンピュータが実行することで、当該コンピュータを、室外機制御部51または制御装置100として機能させることもできる。
【0154】
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、たとえば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、または、メモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットなどの通信ネットワークを介して配布してもよい。
【符号の説明】
【0155】
1 空気調和装置、3 家屋、4 窓、11 室外機、13 室内機、21 圧縮機、22 四方弁、23 室外熱交換器、24 膨張弁、25 室内熱交換器、31 室外送風機、33 室内送風機、41 室温検知部、42 室外温度検知部、43 表面温度検知部、45 窓開閉検知部、47 日射量検知部、49 人体検知部、51 室外機制御部、53 室内機制御部、55 リモートコントローラ、58 報知部、59 無線通信部、61 冷媒配管、63 通信線、71 室内空間、72 室外空間、100 制御装置、101 制御部、102 記憶部、103 計時部、104 通信部、109 バス、310 空気温度取得部、320 表面温度取得部、330 空気調和制御部、340
設定部、350 指標取得部、400 通信ネットワーク、500 空気調和システム。
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