(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H04W 84/18 20090101AFI20231215BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20231215BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20231215BHJP
【FI】
H04W84/18
H04W4/38
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2022579163
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2021003640
(87)【国際公開番号】W WO2022168137
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】樋口 晃二
(72)【発明者】
【氏名】小谷 玄哉
【審査官】中元 淳二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037701(JP,A)
【文献】特開2009-065307(JP,A)
【文献】特開2009-232190(JP,A)
【文献】特開2011-101112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停電発生時にマルチホップ通信により複数の子機のそれぞれから停電状況を示す停電情報を収集するマルチホップ無線機と、
第1アンテナを介して上位装置と携帯電話通信を行い、前記マルチホップ無線機が収集した前記停電情報を前記携帯電話通信により前記上位装置へ送信する携帯電話無線機と、を備え、
前記携帯電話無線機は、前記マルチホップ無線機が前記停電情報を収集する期間である停電情報収集期間に、前記上位装置と前記携帯電話通信を行わない、
無線通信装置。
【請求項2】
前記携帯電話無線機と前記第1アンテナとの導通または非導通を切り替える第1スイッチをさらに備え、
前記マルチホップ無線機は、前記携帯電話無線機と前記第1アンテナとが、前記停電情報収集期間中に非導通となり前記停電情報収集期間外に導通となるように、前記第1スイッチを制御する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記携帯電話無線機とグランドとの導通または非導通を切り替える第2スイッチをさらに備え、
前記マルチホップ無線機は、前記携帯電話無線機と前記グランドとが、前記停電情報収集期間中に導通となり前記停電情報収集期間外に非導通となるように、前記第2スイッチを制御する、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1スイッチは、前記第1アンテナの接続先を前記携帯電話無線機と前記マルチホップ無線機との間で切り替え、前記第1アンテナの接続先を前記携帯電話無線機とすることにより、前記携帯電話無線機と前記第1アンテナとを導通にし、前記第1アンテナの接続先を前記マルチホップ無線機とすることにより、前記携帯電話無線機と前記第1アンテナとを非導通にする、
請求項2または請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記マルチホップ無線機は、前記携帯電話無線機が前記上位装置からの呼び出し信号を受信する周期であるDRX周期を前記停電情報収集期間より長く設定する、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記マルチホップ無線機は、前記携帯電話無線機が前記上位装置からの呼び出し信号を受信する周期であるDRX周期を設定し、設定した前記DRX周期を停電発生時に変更し、
変更後の前記DRX周期は、変更前の前記DRX周期と前記停電情報収集期間の合計より長い、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記マルチホップ無線機は、前記携帯電話無線機の無線動作モードを、前記停電情報収集期間中はアイドル状態に設定し、前記停電情報収集期間外はアクティブ状態に設定する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
特定小電力無線通信として、マルチホップ通信が知られている。マルチホップ通信は、バケツリレーのように情報を伝達していく方式であり、端末同士が直接通信するだけでなく、他の端末を経由して間接通信することによって、広範囲の通信を可能にする。マルチホップ通信を行う無線通信システムを、マルチホップ通信システムと称する。
【0003】
特許文献1の
図1には、マルチホップ通信システムが示されている。このマルチホップ通信システムは、上位装置、親機、および複数の子機を備えている。各子機には、停電発生時に停電情報を上位装置へ通知するために必要な電力を保持する、予備電源が搭載されている。
【0004】
特許文献1の
図4には、停電発生時に各子機の停電情報を上位装置へ伝送する方法が示されている。この方法によれば、各子機で停電が検出されると、停電情報がマルチホップ通信により各子機から親機まで伝送される。この伝送動作時、各子機は、自身より下位の子機から、その子機の停電情報を受信済みかどうかを判断し、規定時間が経過するか、または下位の子機から停電情報を受信するまで、上位の子機への停電情報の送信を待機する。このように、各子機が無用な送信動作を抑制することによって、予備電源の電力消費量が低減する。また、複数子機の同時送信を含む送信輻輳による無線信号干渉が抑制され、確実に停電情報が上位装置へ伝送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のマルチホップ通信システムは、各子機から上位装置への伝送にマルチホップ通信方式のみを用いる。このようなマルチホップ通信システムは小規模システムに適用可能である。しかし、広域の大規模システムでは、マルチホップ通信方式と他の無線通信方式とを併用する必要がある。例えば、有線のインターネット回線がない場所では、同一装置内にマルチホップ無線機と携帯電話無線機の2種類を備え、上位装置との通信に携帯電話システムを使用することが多い。この場合、マルチホップ通信方式の無線信号と携帯電話システムの無線信号が干渉し、子機の停電情報を確実に上位装置へ伝送することができないという問題があった。
【0007】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、マルチホップ通信と携帯電話無線通信とを併用する無線通信装置において、子機の停電情報を確実に上位装置へ伝送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の無線通信装置は、停電発生時にマルチホップ通信により複数の子機のそれぞれから停電状況を示す停電情報を収集するマルチホップ無線機と、第1アンテナを介して上位装置と携帯電話通信を行い、マルチホップ無線機が収集した停電情報を携帯電話通信により上位装置へ送信する携帯電話無線機と、を備え、携帯電話無線機は、マルチホップ無線機が停電情報を収集する期間である停電情報収集期間に、上位装置と携帯電話通信を行わない。
【発明の効果】
【0009】
本開示の無線通信装置によれば、マルチホップ無線機が複数の子機から停電情報を収集している間に、携帯電話無線機は上位装置と携帯電話通信を行わない。そのため、マルチホップ無線機は、携帯電話無線機の通信信号と干渉することなく停電情報を収集することができる。その結果、携帯電話無線機は、子機の停電情報を確実に上位装置へ伝送することができる。本開示の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1の無線通信システムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1の集約装置の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1の集約装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1の集約装置の動作を示すタイムチャートである。
【
図5】実施の形態2の集約装置の構成を示す図である。
【
図6】実施の形態3の集約装置の構成を示す図である。
【
図7】実施の形態4の集約装置の構成を示す図である。
【
図8】実施の形態4の集約装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態4の集約装置の動作を示すタイムチャートである。
【
図10】実施の形態5の集約装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】実施の形態5の集約装置の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<A.実施の形態1>
<A-1.構成>
図1は、実施の形態1の無線通信システムの構成を示している。実施の形態1の無線通信システムは、親機である集約装置1Aと、子機であるマルチホップ無線機4a,4b,4c,4d,4eとを備えて構成される。
図1において、マルチホップ無線機をMH無線機と表記しており、以下、本明細書中において同様の表記を用いる。
図1において子機の数を5つとしているが、これは例示であり2以上の任意の数であればよい。マルチホップ無線機4a,4b,4c,4d,4eは、それぞれ計測器13a,13b,13c,13d,13eに接続されている。計測器13a,13b,13c,13d,13eは、センサまたは電力メータなどである。
【0012】
集約装置1Aは、MH無線機4a,4b,4c,4d,4eからマルチホップ通信で収集されるデータを集約する。集約装置1Aは、マルチホップ無線機2(以下、「MH無線機2」とも表記する)と、携帯電話無線機3とを備えて構成される。
【0013】
MH無線機2は、MH無線機4a,4b,4c,4d,4eと無線マルチホップ通信を実現する。携帯電話無線機3は、MH無線機2がMH無線機4a,4b,4c,4d,4eから収集したデータを上位装置(図示せず)へ伝送する。携帯電話無線機3の通信方式は、例えばLTE(Long Term Evolution)であるが、これに限らない。上位装置は、例えばインターネット回線に接続された装置である。
【0014】
図2は、実施の形態1の集約装置1Aの構成を示している。集約装置1Aは、上述したMH無線機2および携帯電話無線機3の他、AC/DC変換器5、キャパシタ6、レギュレータ7、アンテナ8,9、および信号制御部10を備えている。
【0015】
MH無線機2は、制御部21および無線部22を備えている。制御部21は、MH無線機2内に実装され、外部インタフェース通信および無線制御を行う。無線部22は、MH無線機2内に実装され、無線通信を行う。
【0016】
携帯電話無線機3は、制御部31および無線部32を備えている。制御部31は、携帯電話無線機3内に実装され、外部インタフェース通信および無線制御を行う。無線部32は、携帯電話無線機3内に実装され、無線通信を行う。
【0017】
AC/DC変換器5は、集約装置1Aの外部から供給される交流電源を集約装置1Aの内部で使用する直流電源に変換する。なお、集約装置1Aの外部から直流電源が供給される場合、AC/DC変換器5は集約装置1Aから省略可能である。
【0018】
キャパシタ6は、停電時に装置を動作させるための予備電源として機能する。例えば、キャパシタ6として、静電容量を大きく確保可能なスーパーキャパシタが用いられる。なお、予備電源にはスーパーキャパシタ以外に、電池などを用いることも可能である。
【0019】
レギュレータ7は、集約装置1Aの内部回路で要求される電源電圧を生成する。電源電圧は、例えば3.3Vである。
【0020】
アンテナ8は、MH無線機2用のアンテナである。アンテナ9は携帯電話無線機3用のアンテナである。携帯電話無線機3が上位装置と携帯電話通信を行うために用いるアンテナ9を第1アンテナとも称する。
【0021】
信号制御部10は、携帯電話無線機3の無線部32とアンテナ9との間の信号を制御する。信号制御部10は、携帯電話無線機3の無線部32とアンテナ9との間に設けられたスイッチ101を備えている。スイッチ101は、MH無線機2の制御部21からの制御により、携帯電話無線機3の無線部32とアンテナ9との間の導通または非導通を切り替える。スイッチ101を第1スイッチとも称する。
【0022】
<A-2.動作>
図1を参照して、集約装置1Aへのデータ集約と上位装置へのデータ伝送について説明する。
【0023】
MH無線機4a,4b,4c,4d,4eは、接続される計測器13a,13b,13c,13d,13eからのデータを取得し、取得したデータをマルチホップ通信により、集約装置1AのMH無線機2へ伝送する。例えば、無線機4eが取得したデータは、無線機4eから無線機4cへ伝送され、さらに無線機4cから無線機4aへ伝送され、そして無線機4aから集約装置1AのMH無線機2へ伝送される。
【0024】
MH無線機2に集約されたデータは、シリアル通信インタフェースなどにより携帯電話無線機3へ伝送され、さらに携帯電話無線機3から無線通信により上位装置へ伝送される。
【0025】
無線通信システム内の各装置が、外部から電源を供給されて動作する場合、停電発生時には停電エリアの正確な特定と、早急な復旧が求められる。そのため、集約装置1AおよびMH無線機4a,4b,4c,4d,4eは、予備電源を搭載しており、停電時には予備電源の電力によって動作する。停電発生時、MH無線機4a,4b,4c,4d,4eで検知された停電情報が、上述した計測器13a,13b,13c,13d,13eのデータと同じ要領で集約装置1Aに伝送され、集約装置1Aから上位装置へ伝送される。
【0026】
集約装置1AおよびMH無線機4a,4b,4c,4d,4eに搭載される予備電源は、機器の小型化および低コスト化のため、必要最小限の容量を有することが望ましい。しかし、予備電源の容量が小さくなるほど、停電時の動作時間が短くなるため、停電発生時には速やかな停電情報の収集が必要となる。
【0027】
一方、集約装置1A内には、MH無線機2と携帯電話無線機3とが近距離で搭載されている。そのため、停電発生直後、MH無線機2が配下のMH無線機4a,4b,4c,4d,4eから停電情報を収集している間に、携帯電話無線機3の無線送信動作が発生した場合、携帯電話無線機3の送信信号がアンテナ9からアンテナ8に入ってMH無線機2の受信信号に干渉してしまう。その結果、MH無線機2はMH無線機4a,4b,4c,4d,4eからのデータを受信できず、予備電源での動作時間内に停電情報収集を完了できないという問題が発生する。
【0028】
上記の問題を解決する集約装置1Aの動作を、
図2を参照して説明する。停電発生後、AC/DC変換器5は動作を停止し、MH無線機2および携帯電話無線機3はキャパシタ6の残電荷により動作を継続する。なお、制御部21は外部からの電源供給状態を監視することで、停電発生状態を把握可能である。停電発生直後、MH無線機2は停電情報収集を開始する。ここで、MH無線機2の制御部21は、信号制御部10のスイッチ101を切断する制御を行う。
【0029】
スイッチ101が切断されることで、携帯電話無線機3とアンテナ9とが非導通となる。これにより、携帯電話無線機3は基地局からの信号が受信できなくなり、上位装置からの呼び出しによる送信動作が発生しなくなる。その結果、停電情報収集期間中に携帯電話無線機3からの無線信号が停電情報の受信信号と干渉することが避けられる。
【0030】
MH無線機2は、停電情報の収集を完了した後、制御部21によりスイッチ101を接続する制御を行う。これにより、携帯電話無線機3とアンテナ9とが導通する。その後、携帯電話無線機3が停電情報を上位装置へ伝送する。
【0031】
図3は、集約装置1Aの動作を示すフローチャートである。以下、
図3のフローに沿って集約装置1Aの動作を説明する。
【0032】
まず、集約装置1Aの外部から、集約装置1A内の各部位に対し、動作に必要な電源が供給され、集約装置1Aが起動する(ステップS101)。
【0033】
次に、MH無線機2および携帯電話無線機3が起動する(ステップS102)。具体的には、MH無線機2が周辺の無線機との無線通信を行い、配下のMH無線機4a,4b,4c,4d,4eの情報、例えば台数と最大ホッピング数とを取得する。その後、MH無線機2は連続受信状態となり、配下のMH無線機4a,4b,4c,4d,4eからの信号を待つ状態へ遷移する。携帯電話無線機3は基地局からの無線信号を検索し、有効な信号を検出した後、基地局への位置登録動作を行う。
【0034】
次に、マルチホップ無線機2の制御部21が携帯電話無線機3の制御部31に対して、間欠受信動作周期(DRX周期)を設定する。一般の携帯電話では、応答時間を速くするためDRX周期が2.56秒に設定されることが多い。一方、本実施の形態の無線通信システムのようなセンサーネットワークの場合、応答時間の制約がないためDRX周期を長くすることが可能である。
【0035】
本実施の形態において、DRX周期はMH無線機2による停電情報収集期間より長く設定される。例えば、MH無線機2配下のMH無線機群の最大ホップ数が10で、1ホップ当たりの伝送時間を3秒とする。この場合、ホップ数が最大となる無線機、すなわちMH無線機2から最も離れたMH無線機からMH無線機2に停電情報が伝送されるのに要する時間は30秒である。従って、制御部21は携帯電話無線機3のDRX周期を例えば40秒に設定する(ステップS103)。以降の説明では、DRX周期を40秒とする。
【0036】
その後、集約装置1Aは定常状態となる(ステップS104)。
【0037】
次に、制御部21は停電が発生したか否かを判断する(ステップS105)。停電が発生するまで、集約装置1Aは定常状態を継続する。ステップS105において停電が発生すると、制御部21は、スイッチ101に出力するスイッチ制御信号をLレベルからHレベルにすることで、携帯電話無線機3とアンテナ9との間のスイッチ101を切断する(ステップS106)。これにより、携帯電話無線機3とアンテナ9とは非導通となり、携帯電話無線機3が上位装置からの呼び出しにより無線送信動作をすることはなくなる。
【0038】
その後、MH無線機2は、配下のMH無線機4a,4b,4c,4d,4eからの停電情報の収集を開始する(ステップS107)。次に、MH無線機2は停電情報の収集を完了したか否かを判断する(ステップS108)。具体的には、MH無線機2は、ホップ数が最大のMH無線機からのデータ受信を完了するか、またはホップ数が最大のMH無線機からのデータ取得が完了する時間として予め見込まれる時間(上記の例では30秒)が経過した場合に、停電情報の収集を完了したと判断する。
【0039】
ステップS108において停電情報の収集が未完了であれば、集約装置1AはステップS108の処理を繰り返す。停電情報の収集が完了すると、制御部21は、スイッチ101に出力するスイッチ制御信号をHレベルからLレベルにすることで、スイッチ101を接続する(ステップS109)。これにより、携帯電話無線機3とアンテナ9とが導通し、携帯電話無線機3は携帯電話無線通信が可能な状態となる。
【0040】
次に、MH無線機2は、取得した停電情報を携帯電話無線機3に伝送する。そして、携帯電話無線機3は、アンテナ9を介した無線通信により、MH無線機2から取得した停電情報を上位装置に伝送する(ステップS110)。
【0041】
その後、予備電源であるキャパシタ6の電荷がなくなった時点で、集約装置1Aは動作を停止する(ステップS111)。
【0042】
図4は、集約装置1Aの動作を示すタイムチャートである。以下、
図4を参照して、停電発生前後の携帯電話無線機3の間欠受信動作について説明する。
図4において、T51は集約装置1Aの電源供給状態を示す。T52は、MH無線機2のマルチホップ無線(以下、「MH無線」と称する)動作を示す。T101は、MH無線機2の制御部21から出力されるスイッチ制御信号を示す。T53およびT54は、携帯電話無線機3の受信動作および送信動作をそれぞれ表す。
【0043】
停電が発生する(T61)前まで、MH無線機2の制御部21は、Lレベルのスイッチ制御信号をスイッチ101に出力する。これにより、スイッチ101は接続され、携帯電話無線機3の無線部32とアンテナ9とは導通状態にある。
【0044】
携帯電話無線機3が間欠受信動作(T64)を行った後、停電が発生する(T61)。停電の発生直後、MH無線機2の制御部21は、T5においてスイッチ制御信号をLレベルからHレベルに変更し、停電情報収集動作(T6)を開始する。
【0045】
DRX周期(T62a)は40秒である。従って、携帯電話無線機3の次の間欠受信動作のタイミング(T65)は、前回の間欠受信動作(T64)から40秒後である。しかし、上記のとおりスイッチ制御信号がHレベルとなることにより、スイッチ101が切断されているため、携帯電話無線機3の無線部32に受信信号が到達しない。従って、次の間欠受信動作のタイミング(T65)で上位装置が携帯電話無線機3に呼び出しを行っても、その呼び出しに携帯電話無線機3は応答しない。つまり、携帯電話無線機3は無線送信動作を行わないため、MH無線機2の停電情報収集動作に影響を与えることはない。
【0046】
MH無線機2の停電情報収集動作(T6)が完了すると、MH無線機2の制御部21は、T8においてスイッチ制御信号をHレベルからLレベルに変更する。これにより、スイッチ101は接続され、携帯電話無線機3の無線部32とアンテナ9とが導通状態になる。その後、携帯電話無線機3は停電情報を上位システムに伝送する(T9)。
【0047】
なお、DRX周期は、無線通信システムの最大ホップ数に基づき、MH無線機2の停電情報収集期間よりも長く設定される。そのため、間欠受信信号の受信タイミングが停電情報収集期間と重なることにより携帯電話無線機3が間欠受信信号を受信しないのは、停電情報収集期間に多くても1回である。従って、上記のスイッチ制御は、停電情報収集期間後の携帯電話無線機3による間欠受信信号の受信に影響しない。
【0048】
もし、DRX周期が例えば2.56秒のように短く設定されると、MH無線機2による停電情報収集動作(T6)中に、携帯電話無線機3は何回も間欠受信時のデータを取得できない。そのため、携帯電話無線機3はサービスエリア圏外状態にあると判定して、基地局からの無線信号検索モードに遷移してしまう。その結果、携帯電話無線機3は、停電情報収集期間後に速やかに停電情報を上位システムに伝送することができなくなる。
【0049】
<A-3.効果>
実施の形態1の無線通信装置である集約装置1Aは、停電発生時にマルチホップ通信により複数の子機であるMH無線機4a,4b,4c,4d,4eのそれぞれから停電状況を示す停電情報を収集するMH無線機2と、第1アンテナであるアンテナ9を介して上位装置と携帯電話通信を行い、MH無線機2が収集した停電情報を携帯電話通信により上位装置へ送信する携帯電話無線機3と、を備える。そして、携帯電話無線機3は、MH無線機2が停電情報を収集する期間である停電情報収集期間に、上位装置と携帯電話通信を行わない。
【0050】
以上の構成により、集約装置1Aによれば、停電発生時のMH無線機2による停電情報収集中に携帯電話無線機3の無線送信動作が発生しない。つまり、MH無線機2の無線信号が携帯電話無線機3の無線信号と干渉しないため、MH無線機2は早く、かつ確実に停電情報を収集することが可能となる。
【0051】
また、集約装置1Aは、携帯電話無線機3とアンテナ9との導通または非導通を切り替える第1スイッチであるスイッチ101を備える。そして、MH無線機2は、携帯電話無線機3とアンテナ9とが、停電情報収集期間中に非導通となり停電情報収集期間外に導通となるように、スイッチ101を制御する。この制御を行うために、MH無線機2と携帯電話無線機3との間で無線動作タイミングの調整をする必要はなく、MH無線機2のみの判断でスイッチ101の制御が可能である。従って、MH無線機2は、停電発生後、短時間でスイッチ101を制御し、携帯電話無線機3とアンテナ9とを非導通にすることができる。その結果、予備電源であるキャパシタ6の小型化、低容量化、および低コスト化が可能となる。
【0052】
<B.実施の形態2>
<B-1.構成>
図5は、実施の形態2の集約装置1Bの構成を示している。集約装置1Bは、
図1に示した実施の形態1の無線通信システムにおいて、集約装置1Aに代えて用いられるものである。集約装置1Bは、実施の形態1の集約装置1Aの構成に加えて、信号制御部10にスイッチ102を備える。
【0053】
スイッチ102は、携帯電話無線機3とグランドとの間に設けられる。スイッチ102のオンとオフは、スイッチ101と同様、MH無線機2の制御部21から出力されるスイッチ制御信号によって制御される。スイッチ102が接続された場合に、携帯電話無線機3はグランドに接続された状態になり、スイッチ102が解放された場合に、携帯電話無線機3はグランドと接続されていない状態になる。言い換えれば、スイッチ102は、携帯電話無線機3とグランドとの導通または非導通を切り替える第2スイッチである。
【0054】
<B-2.動作>
集約装置1Bの動作は、大部分が実施の形態1の集約装置1Aの動作と共通するため、以下では集約装置1Aのフローを表す
図3を参照しながら、集約装置1Aとの相違部分についてのみ説明する。
【0055】
実施の形態1の集約装置1Aでは、停電が発生すると、制御部21は、スイッチ101に出力するスイッチ制御信号をLレベルからHレベルにすることにより、携帯電話無線機3とアンテナ9との間のスイッチ101を切断した(ステップS106)。実施の形態2の集約装置1Bでは、これに加えて、携帯電話無線機3とグランドとの間のスイッチ102が接続される。これにより、携帯電話無線機3とアンテナ9とは非導通になると共に、携帯電話無線機3がグランドに接続される。
【0056】
携帯電話無線機3が基地局の近くに位置している場合、スイッチ101を切断しても、基地局から送信され携帯電話無線機3に到達する信号レベルが十分減衰されない可能性がある。そのため、本実施の形態では、スイッチ102により携帯電話無線機3をグランドに接続することによって、基地局から送信され携帯電話無線機3に到達する信号をさらに減衰させる。これにより、携帯電話無線機3が基地局の近くに位置していても、上位装置からの呼び出しにより無線送信動作をすることを抑制できる。
【0057】
実施の形態1の集約装置1Aでは、停電情報の収集が完了すると、制御部21は、スイッチ101に出力するスイッチ制御信号をHレベルからLレベルにすることで、スイッチ101を接続する(ステップS109)。実施の形態2の集約装置1Bでは、これに加えて、携帯電話無線機3とグランドとの間のスイッチ102が切断される。
【0058】
<B-3.効果>
実施の形態2の集約装置1Bは、実施の形態1の集約装置1Aの構成に加えて、携帯電話無線機3とグランドとの導通または非導通を切り替える第2スイッチであるスイッチ102を備える。そして、MH無線機2は、携帯電話無線機3とグランドとが、停電情報収集期間中に導通となり停電情報収集期間外に非導通となるように、スイッチ102を制御する。
【0059】
以上の構成により、集約装置1Bによれば、携帯電話無線機3が基地局の近くに位置している場合であっても、停電情報収集期間中に基地局から携帯電話無線機3への信号が十分に減衰されるため、携帯電話無線機3が上位装置からの呼び出しにより無線送信動作をすることが抑制される。
【0060】
<C.実施の形態3>
<C-1.構成>
図6は、実施の形態3の集約装置1Cの構成を示している。集約装置1Cは、
図1に示した実施の形態1の無線通信システムにおいて、集約装置1Aに代えて用いられるものである。集約装置1Cは、実施の形態1の集約装置1Aの構成において、アンテナ8,9に代えてアンテナ11を備え、信号制御部10に代えてスイッチ12を備えたものである。
【0061】
実施の形態1,2では、MH無線機2と携帯電話無線機3の夫々に対して専用のアンテナ8,9が設けられたが、実施の形態3では、1本のアンテナ11をMH無線機2と携帯電話無線機3とで共用することにより、集約装置1Cの小型化および低コスト化を実現する。つまり、アンテナ11は、携帯電話無線機3が上位装置と携帯電話通信を行うために用いる第1アンテナである。
【0062】
スイッチ12は、MH無線機2の無線部22および携帯電話無線機3の無線部32とアンテナ11との間に設けられ、アンテナ11の接続先をMH無線機2の無線部22と、携帯電話無線機3の無線部32との間で切り替える。スイッチ12は、携帯電話無線機3とアンテナ11との導通または非導通を切り替える第1スイッチである。つまり、スイッチ12は、アンテナ11の接続先を携帯電話無線機3とすることにより、携帯電話無線機3とアンテナ11とを導通にし、アンテナ11の接続先をMH無線機2とすることにより、携帯電話無線機3とアンテナ11とを非導通にする。スイッチ12の切り替えは、MH無線機2の制御部21から出力されるスイッチ制御信号により行われる。
【0063】
なお、実施の形態2の集約装置1Bのように、集約装置1Cにおいても、携帯電話無線機3とグランドとの間にスイッチ102が設けられていてもよい。
【0064】
<C-2.動作>
集約装置1Cの動作は、大部分が実施の形態1の集約装置1Aの動作と共通するため、以下では集約装置1Aのタイムチャートである
図4を参照しながら、集約装置1Cの動作を説明する。
【0065】
停電が発生する(T61)前まで、MH無線機2の制御部21は、Lレベルのスイッチ制御信号をスイッチ12へ出力している。これにより、スイッチ12はアンテナ11の接続先を携帯電話無線機3とする。アンテナ11はMH無線機2と非導通となり、携帯電話無線機3と導通する。
【0066】
停電の発生直後後、MH無線機2の制御部21は、T5においてスイッチ制御信号をLレベルからHレベルに変更する。これにより、スイッチ12はアンテナ11の接続先をMH無線機2とする。アンテナ11はMH無線機2と導通となり、携帯電話無線機3と非導通となる。
【0067】
その後、MH無線機2は停電情報収集動作(T6)を開始する。MH無線機2が停電情報収集動作(T6)を行っている間、上記のとおり携帯電話無線機3はアンテナ11と非導通であるため、間欠受信動作のタイミング(T65)が到来しても信号を受信しない。
【0068】
MH無線機2の停電情報収集動作(T6)が完了すると、MH無線機2の制御部21は、T8においてスイッチ制御信号をHレベルからLレベルに変更する。これにより、スイッチ12はアンテナ11の接続先を携帯電話無線機3とする。アンテナ11はMH無線機2と非導通となり、携帯電話無線機3と導通する。その後、携帯電話無線機3は停電情報を上位システムに伝送する(T9)。
【0069】
<C-3.効果>
実施の形態4の集約装置1Cにおいて、第1スイッチであるスイッチ12は、第1アンテナであるアンテナ11の接続先を携帯電話無線機3とMH無線機2との間で切り替え、アンテナ11の接続先を携帯電話無線機3とすることにより、携帯電話無線機3とアンテナ11とを導通にし、アンテナ11の接続先をマルチホップ無線機2とすることにより、携帯電話無線機3とアンテナ11とを非導通にする。従って、集約装置1Cによれば、1本のアンテナ11をMH無線機2と携帯電話無線機3とで共用するため、実施の形態1の集約装置1Aの効果に加えて、集約装置のさらなる小型化および低コスト化が可能となる。
【0070】
<D.実施の形態4>
<D-1.構成>
図7は、実施の形態4の集約装置1Dの構成を示している。集約装置1Dは、
図1に示した実施の形態1の無線通信システムにおいて、集約装置1Aに代えて用いられるものである。集約装置1Dは、実施の形態1の集約装置1Aの構成から信号制御部10を削除した構成である。
【0071】
実施の形態1では、集約装置1Aの起動後に、携帯電話無線機3のDRX周期を長い時間、例えば40秒に設定していた。これに対して本実施の形態では、集約装置1Dの起動後にDRX周期を短い時間に設定し、停電発生後にDRX周期を長い時間、例えば40秒に設定する。
【0072】
<D-2.動作>
図8は、集約装置1Dの動作を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、実施の形態1で説明した
図3のフローチャートからステップS109を削除し、ステップS103およびステップS106をステップS201およびステップS202に置き換えたものである。従って、以下ではステップS201およびステップS202について説明する。
【0073】
ステップS102において、MH無線機2および携帯電話無線機3が起動した後、ステップS201においてMH無線機2の制御部21が携帯電話無線機3の制御部31に対して、DRX周期を設定する。実施の形態1では、この時点でDRX周期が停電情報収集期間より長く、例えば40秒に設定された(
図3のステップS103)。これに対して、本実施の形態では、上位装置からの呼び出しに対する携帯電話無線機3の応答時間を短くするため、DRX周期を短い時間とする。例えば、DRX周期は一般の携帯電話と同様に2.56秒と設定される。
【0074】
停電発生後のステップS202において、MH無線機2の制御部21が携帯電話無線機3の制御部31に対して、DRX周期の設定変更を行う。本ステップにおいてDRX周期は、変更前のDRX周期とMH無線機2による停電情報収集期間との合計よりも長く設定される。変更前のDRX周期を2.56秒とし、停電情報収集期間を30秒とすると、変更後のDRX周期は32.56秒よりも長く、例えば40秒に設定される。これにより、停電情報収集期間に携帯電話無線機3の間欠受信動作が発生しない。
【0075】
図9は、集約装置1Dの動作を示すタイムチャートである。以下、
図9を参照して、停電発生前後の携帯電話無線機3の間欠受信動作について説明する。
図9において、T102は、携帯電話無線機3のDRX周期を示している。
【0076】
集約装置1Dの起動後に、DRX周期は2.56秒に設定されている。従って、携帯電話無線機3は、停電が発生する(T61)まで、2.56秒周期で受信動作を行う。この場合、携帯電話無線機3は上位装置からの呼び出しに対して、2.56秒以内に応答することができる。
【0077】
次に、停電が発生(T61)した後、MH無線機2の制御部21は携帯電話無線機3の制御部31に対して設定変更を行い、DRX周期を40秒に変更する(T12)。
【0078】
そして、MH無線機2は停電情報収集動作(T6)を行う。しかし、携帯電話無線機3のDRX周期が長くなっているため、停電情報収集期間中に上位装置から携帯電話無線機3への呼び出しは発生せず、携帯電話無線機3の送信動作は発生しない。
図9に示される集約装置1Dのその他の動作は、
図4に示される集約装置1Aの動作と同様である。
【0079】
<D-3.効果>
実施の形態4の集約装置1Dにおいて、MH無線機2は、携帯電話無線機3が上位装置からの呼び出し信号を受信する周期であるDRX周期を設定し、設定したDRX周期を停電発生時に変更する。そして、変更後のDRX周期は、変更前のDRX周期と停電情報収集期間の合計より長い。以上の構成により、集約装置1Dによれば、停電情報収集期間中に携帯電話無線機3による間欠受信動作が行われない。従って、実施の形態1-3と同様に、MH無線機2の無線信号が携帯電話無線機3の無線信号と干渉しないため、MH無線機2は早く、かつ確実に停電情報を収集することが可能となる。また、停電時以外では携帯電話無線機3のDRX周期を短くすることができるため、上位装置からの呼び出しに対する携帯電話無線機3の応答時間を短くすることが可能となる。
【0080】
<E.実施の形態5>
<E-1.構成>
実施の形態5の集約装置1Eの構成は、
図7に示した通りであり、実施の形態4の集約装置1Dの構成と同様である。集約装置1Eは、
図1に示した実施の形態1の無線通信システムにおいて、集約装置1Aに代えて用いられるものである。
【0081】
停電収集期間に携帯電話無線機3による無線通信を発生させない方法として、実施の形態4の集約装置1Dでは、携帯電話無線機3のDRX周期を、起動後に短くし、停電発生直後に長くした。これに対して、実施の形態5の集約装置1Eでは、停電発生時に携帯電話無線機3の無線動作モードをアイドルモードとする。
【0082】
<E-2.動作>
図10は、集約装置1Eの動作を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、
図8のフローチャートのステップS202をステップS301で置き換え、ステップS108とステップS110との間にステップS302およびステップS303を挿入したものである。以下、集約装置1Eの動作を、実施の形態4との相違点について説明する。
【0083】
ステップS105において停電が発生した後、MH無線機2の制御部21は、携帯電話無線機3の制御部31に対して、携帯電話無線機3の無線動作モードをアクティブ状態からアイドル状態に変更する設定変更を行う(ステップS301)。アクティブ状態とは、携帯電話無線機3の無線部32が無線通信を行う状態であり、アイドル状態とは、携帯電話無線機3の無線部32が無線通信を行わない状態である。本ステップの処理により、携帯電話無線機3の間欠受信動作は停止する。
【0084】
その後、MH無線機2が停電情報の収集が完了すると(ステップS108でYes)、制御部21は携帯電話無線機3の制御部31に対し、携帯電話無線機3の無線動作モードをアイドル状態からアクティブ状態に変更する設定変更を行う(ステップS302)。本ステップの処理により、携帯電話無線機3は基地局からの無線信号を検索し、基地局のタイミングに同期する処理を開始する。
【0085】
ステップS302の後、携帯電話無線機3は、基地局との同期が完了したか否かを判断する(ステップS303)。携帯電話無線機3は、アイドル状態に遷移する前のアクティブ状態中の周辺基地局情報を記憶している。周辺基地局情報には、有効な信号周波数の情報などが含まれる。従って、アイドル状態からアクティブ状態へ変化後、基地局との同期処理は短時間で完了する。携帯電話無線機3は、基地局との同期が完了するまでステップS303の処理を繰り返す。携帯電話無線機3は、基地局との同期が完了することにより、送信動作が可能となる。
【0086】
図11は、集約装置1Eの動作を示すタイムチャートである。以下、
図11を参照して、停電発生前後の携帯電話無線機3の間欠受信動作について説明する。
図11において、T103は、携帯電話無線機3の無線動作モードを示している。
【0087】
集約装置1Dの起動後に、携帯電話無線機3の無線動作モードはアクティブ状態に設定され、DRX周期は2.56秒に設定されている。従って、携帯電話無線機3は、停電が発生する(T61)まで、2.56秒周期で受信動作を行う。
【0088】
次に、停電が発生(T61)した後、MH無線機2の制御部21は携帯電話無線機3の制御部31に対して、無線動作モードをアイドル状態に変更する設定変更を行う(T22)。
【0089】
そして、MH無線機2は停電情報収集動作(T6)を行う。MH無線機2が停電情報収集を行っている間、携帯電話無線機3の無線動作モードはアイドル状態であるため、携帯電話無線機3は無線動作を停止する。従って、停電情報収集期間中に携帯電話無線機3の無線送信動作は発生しない。
【0090】
MH無線機2による停電情報収集が完了した後、MH無線機2の制御部21は携帯電話無線機3の制御部31に対して、無線動作モードをアクティブ状態に変更する設定変更を行う(T23)。
【0091】
そして、携帯電話無線機3は基地局からの無線信号を検索し、基地局のタイミングに同期する処理を行う(T24)。携帯電話無線機3は、基地局との同期が完了すると、DRX周期での間欠受信動作を再開すると共に、MH無線機2により収集された停電情報を上位装置に送信する(T9)。
【0092】
なお、実施の形態1-5の集約装置1A-1Eでは、MH無線機2による停電情報収集中に携帯電話無線機3が無線通信を行わないよう、MH無線機2が携帯電話無線機3を制御した。しかし、この制御は、MH無線機2が停電情報の収集以外の重要な無線通信を行う場合にも適用可能である。
【0093】
<E-3.効果>
実施の形態5の集約装置1Eにおいて、MH無線機2は、携帯電話無線機3の無線動作モードを、停電情報収集期間中はアイドル状態に設定し、停電情報収集期間外はアクティブ状態に設定する。これにより、MH無線機2による停電情報の収集中に、携帯電話無線機3による無線通信が発生しないため、MH無線機2は、携帯電話無線機3の通信信号に干渉されることなく、停電情報を早く確実に収集することができる。従って、集約装置1Eによれば、携帯電話無線機3のDRX周期を停電発生後に変更できない、または変更できるとしても時間を要する、等の制約がある場合においても、停電情報を早く確実に収集することができる。
【0094】
また、集約装置1Eによれば、停電時以外の携帯電話無線機3のDRX周期を短く設定できるため、上位装置からの呼び出しに対する携帯電話無線機3の応答時間を短くすることが可能となる。
【0095】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、または省略したりすることが可能である。上記の説明は、すべての態様において、例示である。例示されていない無数の変形例が想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0096】
1A,1B,1C,1D,1E 集約装置、2,4a,4b,4c,4d,4e マルチホップ無線機、3 携帯電話無線機、5 AC/DC変換器、6 キャパシタ、7 レギュレータ、8,9,11 アンテナ、10 信号制御部、13a,13b,13c,13d,13e 計測器、21,31 制御部、22,32 無線部、12,101,102 スイッチ。