(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】改装建具及び改装建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20231215BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/62 A
(21)【出願番号】P 2023001078
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2021133440の分割
【原出願日】2021-08-18
【審査請求日】2023-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】井東 克孝
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159185(JP,A)
【文献】特公平07-099069(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、
前記改装建具は、新設枠と、アタッチメント本体枠と、アタッチメント分割枠と、を有し、
前記アタッチメント本体枠は、前記新設枠に固定され、
前記アタッチメント分割枠は、室外側部を有し、前記既設枠の既設上枠
の見込範囲内において前記既設上枠に固定されて配置され、
前記アタッチメント本体枠は、前記アタッチメント本体枠の室外側の面が前記室外側部の室内側の面に対向した状態で、前記既設枠の内周側に取り付けられる改装建具。
【請求項2】
建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具の施工方法であって、
前記改装建具は、新設枠と、アタッチメント本体枠と、アタッチメント分割枠と、を有し、
前記アタッチメント本体枠を前記新設枠に固定するアタッチメント本体枠配置工程と、
前記アタッチメント分割枠を前記既設枠の既設上枠
の見込範囲内において前記既設上枠に固定して配置するアタッチメント分割枠配置工程と、
前記新設枠に配置された前記アタッチメント本体枠を、室内側から室外側に向かって移動させることにより、前記アタッチメント本体枠の室外側の面を前記アタッチメント分割枠の室外側部の室内側の面に対向させた状態で、前記アタッチメント本体枠が配置された前記新設枠を、前記アタッチメント分割枠が固定されて配置された前記既設枠の前記既設上枠に取り付ける新設枠取付工程と、を含む改装建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。このカバー工法によって改装された改装建具では、建物の開口部に取り付けられた既設枠に対して、その内周側に新設枠が取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
改装建具において、新設枠に見付方向の外側に延出する延出板などが設けられる。そのため、新設枠を室内側から既設枠に取り付ける場合に、新設枠の延出板が既設枠に当たってしまうため、新設枠を、傾けながら、室内側から既設枠の開口に挿通させて室外側に一旦出した後に、既設枠側に引き寄せて、既設枠に新設枠に取り付けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
改装建具において、新設枠を、室内側から既設枠の開口に挿通させて室外側に一旦出した後に、既設枠側に引き寄せて、既設枠に新設枠に取り付けることがある。この場合、例えば、室外側に面格子やシャッター等が設けられていると、新設枠を室内側から既設枠の開口に挿通させて室外側に一旦出すときに、新設枠が面格子やシャッター等に当たってしまうことがあり、施工性が損なわれる可能性がある。そのため、施工性を向上できることが求められている。
【0006】
本開示は、施工性を向上できる改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、四周を組んで構成された新設枠と、前記新設枠と前記既設枠との間に配置されたアタッチメント枠と、を備え、前記アタッチメント枠は、前記新設枠の外周に四周を組んで取り付けられるアタッチメント枠本体と、前記アタッチメント枠本体の上部に配置されることで前記既設枠の既設上枠と前記アタッチメント枠本体との間に配置される分割アタッチメント部と、を有する、改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る改装建具を室外側から見た正面図である。
【
図4】アタッチメント枠を取り付けた新設枠を既設枠に取り付けた状態を室外側から見た斜視図である。
【
図5】室外側化粧カバーを取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図6】アタッチメント枠を取り付けた新設枠を既設枠に取り付けた状態を室内側から見た斜視図である。
【
図7】室内側化粧部材及び見切り材を取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図8】アタッチメント枠本体を取り付けた新設枠を、分割アタッチメント部を取り付けた既設枠に取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図9】新設枠にアタッチメント枠を取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図10】
図2の新設上枠及びアタッチメント上枠側の部分の拡大図である。
【
図11】分割アタッチメント部の分割側横樋構造部及びアタッチメント枠本体の本体側横樋構造部を示す斜視図である。
【
図12A】改装建具の施工方法を示す図であって、既設上枠に分割アタッチメントを取り付ける状態を示す図である。
【
図12B】改装建具の施工方法を示す図であって、既設上枠に分割アタッチメントを取り付けた状態において、アタッチメント枠本体を取り付けた新設枠を組み込む状態を示す図である。
【
図12C】改装建具の施工方法を示す図であって、アタッチメント枠本体を建物(躯体)に固定する状態を示す図である。
【
図12D】改装建具の施工方法を示す図であって、室外側化粧カバー及び室内側化粧部材を取り付ける状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具1は、建物100に固定されている既設枠6を建物100に取り付けたままの状態で、新たな部材を新設して形成するリフォーム用の改装建具1である。
【0010】
本明細書において、「見付方向」とは、建物100の壁に形成された開口部に納められた改装建具1における障子10の面材の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。図面において、改装建具1の室外側を室外側X1とし、改装建具1の室内側を室内側X2とする。改装建具1の横方向を「左右方向」という。
【0011】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る改装建具1は、建物100の開口部に納められた引違い窓タイプの改装サッシである。改装建具1は、建物100の開口部に設けられた既設枠6に取り付けられる。
【0012】
改装建具1は、
図1~
図8に示すように、新設枠2と、新設枠2の外周に取り付けられた状態で既設枠6の内側に取り付けられるアタッチメント枠30と、室内側化粧部材41,42,43と、室外側化粧カバー51,52,53(室外側カバー材)と、新設枠2内にスライド可能に納められる障子10、10と、を備える。
【0013】
アタッチメント枠30は、新設枠2の四周を囲んで構成されるアタッチメント枠本体3と、アタッチメント枠本体3の上部に配置される分割アタッチメント部8と、を有する。既設枠6は、建物100の開口部に設けられている。新設枠2は、アタッチメント枠本体3が外周に取り付けられた状態で、分割アタッチメント部8が取り付けられた既設枠6の内周側に取り付けられる。アタッチメント枠30は、既設枠6と新設枠2との間に配置される。
【0014】
まず、既設枠6の構成について説明する。既設枠6は、
図2及び
図3に示すように、建物100の開口部の内側に設けられ、矩形に組まれた枠状に形成される。既設枠6は、既設上枠61と、既設下枠62と、左右の既設縦枠63と、を備える。
【0015】
既設上枠61は、
図2に示すように、建物100の開口部の上部側に取り付けられており、下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール611、612(既設上枠ガイドレール)を有する。既設上枠61の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
【0016】
既設下枠62は、建物100の開口部の下部側に取り付けられており、上方に向けて立設される既設障子用のガイドレール621、622を有する。既設下枠62の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
【0017】
既設縦枠63は、
図3に示すように、建物100の開口部の室外側X1の左右縦部側にそれぞれ取り付けられている。既設縦枠63の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
【0018】
新設枠2は、
図8に示すように、アタッチメント枠本体3が外周に取り付けられた状態で、既設枠6に取り付けられた分割アタッチメント部8に取り付けられる。新設枠2は、四周を組んで構成され、既設枠6の内周側にアタッチメント枠30を介して取り付けられる。
【0019】
新設枠2は、新設上枠21と、新設下枠22と、左右の新設縦枠23と、を備える。新設枠2は、四周を組んだ状態において、新設上枠21、新設下枠22及び左右の新設縦枠23が組み合う部分において、ネジ固定されている。アタッチメント枠本体3は、アタッチメント上枠31と、アタッチメント下枠32と、左右のアタッチメント縦枠33と、を備える。
【0020】
新設上枠21は、アタッチメント枠本体3が外周に取り付けられた新設枠2が既設枠6に取り付けられた状態において、
図2に示すように、アタッチメント上枠31を間に挟んで、既設上枠61の内周側に取り付けられる。新設上枠21は、下方に向けて立設される障子10,10の上部側のガイドレール211、212を有する。
【0021】
新設下枠22は、アタッチメント枠本体3が外周に取り付けられた新設枠2が既設枠6に取り付けられた状態において、
図2に示すように、アタッチメント下枠32を間に挟んで、既設下枠62の内周側に取り付けられる。新設下枠22は、上方に向けて立設される障子10,10の下部側のガイドレール221,222を有する。
【0022】
新設縦枠23は、アタッチメント枠本体3が外周に取り付けられた新設枠2が既設枠6に取り付けられた状態において、
図3に示すように、アタッチメント縦枠33を間に挟んで、既設縦枠63の内周側に取り付けられる。
【0023】
新設上枠21、新設下枠22及び新設縦枠23は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成される。
図2及び
図3に示すように、新設上枠21、新設下枠22及び新設縦枠23の室内側X2には、それぞれ、樹脂アングル部材213,223,233が設けられる。樹脂アングル部材213,223,233は、それぞれ額縁部材101との間に間隔を有して配置される。
【0024】
以上の新設枠2(新設上枠21、新設下枠22及び左右の新設縦枠23)は、アタッチメント枠本体3(アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33)が外周において四周を組んで設けられた状態で、既設枠6(既設上枠61、既設下枠62及び左右の既設縦枠63)の内周側に取り付けられる。
【0025】
アタッチメント枠30は、
図9に示すように、アタッチメント枠本体3と、分割アタッチメント部8と、を有する。アタッチメント枠本体3は、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられた状態で、分割アタッチメント部8が取り付けられた既設枠6の内周側に取り付けられる。アタッチメント枠本体3は、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられる。
【0026】
分割アタッチメント部8は、アタッチメント枠本体3の上部に配置されることで、既設上枠61とアタッチメント枠本体3との間に配置される。分割アタッチメント部8は、既設上枠61の下部において、既設上枠61の長手方向に延びる。分割アタッチメント部8は、
図10に示すように、室内外方向延在板部81と、分割側横樋構造部82と、室外側上下方向延在板部83と、室外側上方延出板部84(室外側見付方向延出板部)と、を有する。
【0027】
室内外方向延在板部81は、既設上枠61の下方において、室内外方向において、既設上枠61のガイドレール211、212と額縁部材101との間に亘って延びる。室内外方向延在板部81は、2つのL字状の取付片86を介して、既設上枠61のガイドレール611、612にネジにより固定される。
【0028】
分割側横樋構造部82は、
図10及び
図11に示すように、室内外方向延在板部81の室外側X1に配置される。分割側横樋構造部82は、上方に向けて開放すると共に、下方に凹む凹状に形成される。分割側横樋構造部82は、分割アタッチメント部8の左右方向(長手方向、横方向)に延びる。分割側横樋構造部82の長手方向の両端部は、左右方向の外側に開放して形成される。
【0029】
分割側横樋構造部82に浸入した水は、分割側横樋構造部82の長手方向の両端部に流れ、左右方向の外側に開放した長手方向の端部から排出され、下方に配置される本体側横樋構造部310を介して、アタッチメント縦枠33の内部に流れ込む。アタッチメント縦枠33の内部に流れ込んだ水は、アタッチメント縦枠33の下部側において、既設下枠62により受け止められて外部に排出される。これにより、分割側横樋構造部82を設けることにより、排水性能を向上でき、止水性能を向上できる。
【0030】
室外側上下方向延在板部83は、
図10に示すように、分割側横樋構造部82の室外側X1の端部を含んで、分割側横樋構造部82の室外側X1の端部から下方に延在する板状に形成される。本実施形態においては、室外側上下方向延在板部83は、上下方向に幅を有して左右方向に延びる。室外側上下方向延在板部83は、室外側X1に配置され、見付方向に延びて、室外側X1の正面を向いて形成される。
【0031】
室外側上下方向延在板部83の室外側X1の面の下方側には、上下に離れて配置される一対の係合突起831が形成される。一対の係合突起831には、室外側化粧カバー51の一対の係合突起511が係合して取り付けられる。
【0032】
室外側上方延出板部84は、室外側上下方向延在板部83の上端部から上方に延出する板状に形成される。本実施形態においては、室外側上方延出板部84は、上下方向に幅を有して左右方向に延びる。室外側上方延出板部84は、既設上枠61の室外側X1に配置され、見付方向に延びて、室外側X1の正面を向いて形成される。
【0033】
本実施形態においては、室外側上下方向延在板部83をアタッチメント枠本体3には設けずに、分割アタッチメント部8に設けている。例えば、仮に、分割アタッチメント部8を設けずに、室外側上下方向延在板部83をアタッチメント枠に設けた場合には、新設枠2の外側の四周にアタッチメント枠を取り付けた状態で、室内側X2から既設枠6に組み付ける場合に、室外側上下方向延在板部83が既設枠6に当たってしまう。
【0034】
そのため、既設枠6を一旦避けるため、アタッチメント枠を外周に取り付けた新設枠を室内側X2から傾けながら既設枠6の開口に挿通させて、室外側X1に一旦出した後に、既設枠6に引き寄せて、既設枠に新設枠を取り付ける必要性が生じる。しかしながら、例えば、室外側X1に面格子やシャッター等が設けられている場合に、室外側X1に一旦出すことを行うと室外側X1に設けられた面格子やシャッター等に新設枠が当たってしまうことがある。
【0035】
これに対して、本開示においては、アタッチメント枠30を、アタッチメント枠本体3と分割アタッチメント部8とに分割した。そして、分割アタッチメント部8に室外側上下方向延在板部83を設けて、分割アタッチメント部8を先に既設枠6に取り付けた後に、アタッチメント枠本体3を取り付けた新設枠2を、既設枠6の内周側に取り付けるようにした。これにより、アタッチメント枠本体3を外周に取り付けた新設枠2を傾けながら室内側X2から既設枠6の開口に挿通させて室外側X1に一旦出すことなく、室内側X2から簡単に取り付けることができる。
【0036】
アタッチメント枠本体3は、
図8及び
図9に示すように、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び一対のアタッチメント縦枠33が四周に配置されて矩形に組んで構成される。アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33は、それぞれ、例えば、アルミニウム材料で形成される。
【0037】
アタッチメント上枠31は、アタッチメント枠本体3の上部に配置され、左右方向(横方向)に延びる。アタッチメント下枠32は、アタッチメント枠本体3の下部側に配置され、左右方向(横方向)に延びる。アタッチメント縦枠33は、アタッチメント枠本体3の左右方向の端部側に配置され、上下方向に延びる。
【0038】
アタッチメント枠本体3は、
図8に示すように、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32の長手方向の端部の外側に、アタッチメント縦枠33の長手方向の端部が配置される縦勝ち構造により構成される。
図9に示すように、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び一対のアタッチメント縦枠33は、アタッチメント上枠31及びアタッチメント下枠32の長手方向の端部の外側に、アタッチメント縦枠33の長手方向の端部が配置された状態で、それぞれの長手方向の端部同士がネジ34により固定される。
【0039】
アタッチメント上枠31は、
図10に示すように、アタッチメント上枠中空部312と、本体側横樋構造部310と、室内側水平延出板314(延出板)と、を有する。
【0040】
アタッチメント上枠中空部312及び本体側横樋構造部310は、室内外方向に並んで配置される。アタッチメント上枠中空部312が室内側X2に配置され、本体側横樋構造部310が室外側X1に配置されている。
【0041】
アタッチメント上枠中空部312は、
図10に示すように、室内外方向に延びる細長い長方形の中空状に形成される。
【0042】
本体側横樋構造部310は、
図10及び
図11に示すように、アタッチメント上枠31の上部において、アタッチメント上枠中空部312の室外側X1に形成される。本体側横樋構造部310は、
図11に示すように、上方に向けて開放すると共に、下方に凹む凹状に形成される。本体側横樋構造部310は、アタッチメント上枠31の左右方向(長手方向、横方向)に延びる。本体側横樋構造部310の長手方向の両端部は、左右方向の外側に開放して形成される。本体側横樋構造部310は、分割側横樋構造部82の下方に配置される。
【0043】
本体側横樋構造部310に浸入した水は、アタッチメント上枠31の長手方向の両端部に流れ、左右方向の外側に開放した長手方向の端部を介して、アタッチメント縦枠33の切り欠き部331(
図11参照)を通り、アタッチメント縦枠33の内部に流れ込む。アタッチメント縦枠33の内部に流れ込んだ水は、アタッチメント縦枠33の下部側において、既設下枠62により受け止められて外部に排出される。これにより、本体側横樋構造部310を設けることにより、排水性能を向上でき、止水性能を向上できる。
【0044】
また、本体側横樋構造部310が分割側横樋構造部82の下方に配置されるため、分割側横樋構造部82の長手方向の端部から排出された水は、下方に配置される本体側横樋構造部310を介して、アタッチメント縦枠33の内部に流れ込む。そのため、本体側横樋構造部310が分割側横樋構造部82の下方に配置されることで、二重の樋構造を備えているため、排水性能を一層向上できる。
【0045】
室内側水平延出板314は、
図10に示すように、アタッチメント上枠中空部312の上端の室内側X2の端部から室内側X2の水平方向に延出する。室内側水平延出板314は、アタッチメント枠本体3を建物100(躯体)に固定する場合に、ネジ36が貫通して配置される。ネジ36は、アタッチメント上枠31の室内側水平延出板314を建物100(躯体)に固定している。
【0046】
これにより、アタッチメント上枠31の室内側水平延出板314は、ネジ36により、建物100(躯体)に固定される。アタッチメント上枠31の室内側水平延出板314と建物100(躯体)との間に隙間が形成される場合には、スペーサ部材37が配置される。スペーサ部材37は、複数枚のシートにより構成される。スペーサ部材37の一例としては、樹脂材料などで形成された薄板状の部材を挙げることができる。
【0047】
図2及び
図3に示すように、アタッチメント上枠31以外のアタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33は、それぞれ、ネジ36により、建物100(躯体)に固定される。アタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33それぞれと、額縁部材101との間に隙間が形成される場合には、アタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33それぞれと、額縁部材101との間に、スペーサ部材37が配置される。
【0048】
図3に示すように、左右のアタッチメント縦枠33には、室外側X1において、アタッチメント縦枠33を既設枠6に取り付ける際にアタッチメント縦枠33が既設枠6にぶつからないようにするため、建物100側の見付方向に張り出して延出する延出板部が設けられていない。
【0049】
また、改装建具1は、
図2及び
図3に示すように、気密構造70を有する。気密構造70は、既設枠6側と新設枠2側とを気密テープ(既設枠側気密テープ71、連結気密テープ72)により、既設枠6と新設枠2に取り付けられたアタッチメント枠30とを繋ぐように構成される。気密構造70は、既設枠6と新設枠2との間の気密性能を向上させるために、既設枠6と新設枠2に取り付けられたアタッチメント枠30とを繋ぐように配置される。
【0050】
既設枠6側と新設枠2側とを気密テープ(既設枠側気密テープ71、連結気密テープ72)により繋ぐように構成される気密構造70を有することで、既設枠側気密テープ71の一部及び連結気密テープ72の一部が二重に重なった部分において気密ラインを確保できるため、気密性能を確保できる。
【0051】
室内側化粧部材41,42,43は、
図2及び
図3に示すように、室内側X2において、新設枠2の樹脂アングル部材213,223,233に、それぞれ、取り付けられている。室内側化粧部材41,42,43と額縁部材101の内周面との境目は、建物100(躯体)に固定される断面がL字の見切り材45によって遮蔽されている。
【0052】
室外側化粧カバー51,52,53は、
図4及び
図5に示すように、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及びアタッチメント縦枠33室外側X1の表面に、それぞれ、取り付けられている。
【0053】
次に、改装建具1を施工する手順について説明する。改装建具1を施工する場合には、事前に、四周組んだ新設枠2の外周に、アタッチメント枠本体3を組み付けた状態で準備しておく。
【0054】
改装建具1を施工する場合には、
図12Aに示すように、まず、既設上枠61の下部に、分割アタッチメント部8を固定する。具害的には、分割アタッチメント部8を、既設上枠61に設けられ下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール611、612に固定する。
【0055】
次に、
図12Bに示すように、アタッチメント枠本体3を組み付けた新設枠2を、下端側が上端側よりも室外側X1に位置するように傾けた状態で、既設枠6の室内側X2から、既設枠6の開口に嵌め込んでいき、下端側を中心に回転させて、
図12Cに示すように、既設枠6に組み付ける。
【0056】
ここで、アタッチメント枠本体3のアタッチメント上枠31及びアタッチメント縦枠33には、室外側X1において、建物100側の見付方向に張り出して延出する延出板部が設けられていない。そのため、アタッチメント枠本体3のアタッチメント上枠31及びアタッチメント縦枠33に延出板部が設けれられていないことから、アタッチメント枠本体3のアタッチメント上枠31及びアタッチメント縦枠33が既設枠6にぶつからないため、アタッチメント枠本体3を組み付けた新設枠2を既設枠6の室外側X1に一旦出して既設枠6に引き寄せて既設枠6に取り付けなくてよい。つまり、アタッチメント枠本体3を組み付けた新設枠2を、室内側X2から、簡単に、既設枠6に取り付けることができる。これにより、改装建具1の施工性を向上できる。
【0057】
その後、
図12Cに示すように、ネジ36により、アタッチメント上枠31の室内側水平延出板314を建物100(躯体)に固定する。アタッチメント上枠31の室内側水平延出板314と建物100(躯体)との間に隙間が形成される箇所には、スペーサ部材37を配置する。
【0058】
続けて、
図12Dに示すように、室外側X1において、室外側化粧カバー51を分割アタッチメント部8の室外側X1に取り付けると共に、室外側化粧カバー52,53それぞれをアタッチメント下枠32,アタッチメント縦枠33それぞれの室外側X1の面に取り付ける。そして、室内側X2において、室内側化粧部材41,42,43を、新設枠2の樹脂アングル部材213,223,233それぞれに取り付ける。室内側化粧部材41,42,43と額縁部材101の内周面との境目には、L字の見切り材45を取り付ける。
【0059】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の改装建具1は、建物100の開口部に設けられた既設枠6に取り付けられ、四周を組んで構成された新設枠2と、新設枠2と既設枠6との間に配置されたアタッチメント枠30と、を備え、アタッチメント枠30は、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられるアタッチメント枠本体3と、アタッチメント枠本体3の上部に配置されることで既設枠6の既設上枠61とアタッチメント枠本体3との間に配置される分割アタッチメント部8と、を有する。
【0060】
これにより、分割アタッチメント部8を既設枠6に取り付けた後に、アタッチメント枠本体3を取り付けた新設枠2を、室内側X2から簡単に、既設枠6の内周側に取り付けることができるため、施工性を向上できる。また、分割アタッチメント部8をアタッチメント枠30の上部に設けているため、止水性能を向上できる。よって、施工性を向上でき、かつ、止水性能を向上できる。
【0061】
また、本実施形態においては、分割アタッチメント部8は、既設上枠61に固定される。これにより、分割アタッチメント部8を既設上枠61に取り付けた後に、アタッチメント枠本体3を取り付けた新設枠2を、室内側X2から簡単に、既設枠6の内周側に取り付けることができる。
【0062】
また、本実施形態においては、分割アタッチメント部8は、既設上枠61に設けられ下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール611、612に固定される。これにより、既設障子用のガイドレール611、612に固定するだけで、分割アタッチメント部8を、既設上枠61に固定できるため、簡易な構成で、分割アタッチメント部8を既設上枠61に固定することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、分割アタッチメント部8は、上方に向けて開放すると共に横方向に延びる分割側横樋構造部82を有する。これにより、分割アタッチメント部8における排水性能を向上でき、止水性能を向上できる。
【0064】
また、本実施形態においては、アタッチメント上枠31は、上方に向けて開放すると共に横方向に延びる本体側横樋構造部310を有する。これにより、アタッチメント上枠31における排水性能を向上でき、止水性能を向上できる。更に、本実施形態においては、本体側横樋構造部310が分割側横樋構造部82の下方に配置される。これにより、分割側横樋構造部82の長手方向の端部から排出された水は、下方に配置される本体側横樋構造部310を介して、アタッチメント縦枠33の内部に流れ込む。そのため、本体側横樋構造部310が分割側横樋構造部82の下方に配置されることで、二重の樋構造を備えるため、排水性能を一層向上できる。
【0065】
また、本実施形態においては、分割アタッチメント部8は、室外側X1において、見付方向の外側に延出する室外側上方延出板部84を有する。これにより、分割アタッチメント部8が室外側上方延出板部84を有しているため、アタッチメント上枠31が室外側上方延出板部を有さないため、室内側X2からアタッチメント枠本体3を取り付けた新設枠2を既設枠6の内周側に取り付ける際に、邪魔になる室外側上方延出板部が無いため、アタッチメント枠本体3を取り付けた新設枠2を、室内側X2から簡単に、既設枠6に取り付けることができる。よって、施工性を一層向上できる。
【0066】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0067】
例えば、前記実施形態においては、改装建具1を引違い窓タイプの改装サッシに適用した場合について説明した。しかし、これに限定されない。改装建具を、例えば、回転軸を中心に戸体が回転して開閉する開閉式の改装建具や、縦辷り出し式の改装建具に適用してもよい。また、改装建具を、例えば、枠に対して開閉しないで固定してガラスが取り付けられるFIX式の改装建具に適用してもよい。
【0068】
前記実施形態においては、気密構造70において、気密テープ(既設枠側気密テープ71、連結気密テープ72)を使用したが、これに限定されない。気密構造70において、例えば、貼付部分に接着剤を設けたシート材(気密貼付シート)を使用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 改装建具、2 新設枠、3 アタッチメント枠本体、6 既設枠、8 分割アタッチメント部、アタッチメント枠30、61 既設上枠、51 室外側化粧カバー(室外側カバー材)、82 分割側横樋構造部、84 室外側上方延出板部(室外側見付方向延出板部)、100 建物、611,612 ガイドレール(既設上枠ガイドレール)、310 本体側横樋構造部