(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】改装建具及び改装建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20231215BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20231215BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/62 A
(21)【出願番号】P 2023001251
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2021133444の分割
【原出願日】2021-08-18
【審査請求日】2023-01-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅徳
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-159185(JP,A)
【文献】特公昭59-005753(JP,B2)
【文献】実開昭53-146245(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、
前記改装建具は、新設枠と、アタッチメント枠と、接続部材と、を備え、
前記接続部材は、前記既設枠の内周側に配置され、
前記アタッチメント枠は、前記既設枠及び前記接続部材の内周側に配置され
前記新設枠は、前記アタッチメント枠の内周側に配置され、
前記アタッチメント枠は、見込方向室内側において見込方向に延びるアタッチメント室内側見込方向延在部を有し、
前記接続部材は、見込方向室内側において見込方向に延びる接続部材室内側見込方向延在部を有し、
前記アタッチメント枠と前記接続部材とは、
前記アタッチメント室内側見込方向延在部及び前記接続部材室内側見込方向延在部の互いの室内側端部同士で固定されている改装建具。
【請求項2】
建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具の施工方法であって、
前記改装建具は、新設枠と、アタッチメント枠と、接続部材と、を備え、
前記アタッチメント枠は、見込方向室内側において見込方向に延びるアタッチメント室内側見込方向延在部を有し、
前記接続部材は、見込方向室内側において見込方向に延びる接続部材室内側見込方向延在部を有し、
前記接続部材を前記既設枠の内周側に取り付ける工程と、
前記アタッチメント枠を前記新設枠に取り付ける工程と、
前記アタッチメント枠を取り付けた前記新設枠を、前記接続部材を取り付けた前記既設枠の内周側に挿入する工程と、
前記アタッチメント枠と前記接続部材とを
前記アタッチメント室内側見込方向延在部及び前記接続部材室内側見込方向延在部の互いの室内側端部同士で固定する工程と、を含む改装建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。このカバー工法によって改装された改装建具では、建物の開口部に取り付けられた既設枠に対して、その内周側に新設枠が取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の改装建具は、既設枠と新設枠との間に接合部材を設けている。特許文献1に記載の改装建具は、木造納まりの建物の躯体に納められており、新設枠を設ける場合に、新設枠も、既設枠と新設枠との間に設けられる接合部材も、木造納まりの建物の躯体にネジにより固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の改装建具は、木造納まりの建物の躯体に納められており、新設枠を設ける場合に、新設枠は、木造納まりの建物の躯体にネジにより固定されている。しかし、建物の躯体がRC(鉄筋コンクリート)造やSC(鉄骨)造の納まりである場合に、新設枠も、既設枠と新設枠との間に設けられる接合部材も、建物の躯体にネジにより固定することができない。そのため、建物の躯体がRC(鉄筋コンクリート)造やSC(鉄骨)造の納まりであっても、新設枠を設けることが可能であることが求められている。
【0006】
本開示は、建物の躯体がRC(鉄筋コンクリート)造やSC(鉄骨)造の納まりであっても新設枠を設けることができる改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、四周を組んで構成された新設枠と、前記新設枠の外周に四周を組んで取り付けられ前記既設枠の内周側に配置されるアタッチメント枠と、前記既設枠と前記アタッチメント枠との間に配置されると共に、前記既設枠の内周側に固定され、前記新設枠の外周に取り付けられた前記アタッチメント枠が取り付けられる接続部材と、を備える改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る改装建具を室外側から見た正面図である。
【
図4】アタッチメント枠を取り付けた新設枠を、接続部材を取り付けた既設枠に取り付ける状態を示す斜視図である。
【
図5A】改装建具の施工方法を示す図であって、既設上枠に上枠接続部材を固定すると共に、既設下枠に下枠接続部材を固定する状態を示す図である。
【
図5B】改装建具の施工方法を示す図であって、既設縦枠に縦枠接続部材を固定する状態を示す図である。
【
図6A】改装建具の施工方法を示す図であって、アタッチメント枠を取り付けた新設枠を傾けながら既設枠の内側の開口に挿通させる状態を示す縦断面図である。
【
図6B】改装建具の施工方法を示す図であって、アタッチメント枠を取り付けた新設枠を傾けながら既設枠の内側の開口に挿通させて室外側に出す状態を示す横断面図である。
【
図7A】改装建具の施工方法を示す図であって、既設枠の室外側に出したアタッチメント枠を取り付けた新設枠を、既設枠側に寄せる状態を示す縦断面図である。
【
図7B】改装建具の施工方法を示す図であって、既設枠の室外側に出したアタッチメント枠を取り付けた新設枠を、既設枠側に寄せる状態を示す横断面図である。
【
図8A】改装建具の施工方法を示す図であって、アタッチメント上枠を上枠接続部に接続すると共に、アタッチメント下枠を下枠接続部に接続する状態を示す図である。
【
図8B】改装建具の施工方法を示す図であって、アタッチメント縦枠を縦枠接続部に接続する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具1は、建物100に固定されている既設枠6を建物100に取り付けたままの状態で、新たな部材を新設して形成するリフォーム用の改装建具1である。
【0010】
本明細書において、「見付方向」とは、建物100の壁に形成された開口部に納められた改装建具1における障子10の面材の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。図面において、改装建具1の室外側を室外側X1とし、改装建具1の室内側を室内側X2とする。改装建具1の横方向を「左右方向」という。
【0011】
図1~
図3に示すように、本実施形態に係る改装建具1は、建物100の開口部に納められた引違い窓タイプの改装サッシである。改装建具1は、建物100の開口部に設けられた既設枠6に取り付けられる。本実施形態においては、改装建具1が設けられる既設枠6は、RC(鉄筋コンクリート)造やSC(鉄骨)造の建物100の躯体の納まりで納められている。
【0012】
改装建具1は、
図1~
図4に示すように、新設枠2と、新設枠2の外周に取り付けられた状態で既設枠6の内側に取り付けられるアタッチメント枠3と、接続部材8と、室内側化粧部材41,42,43と、室外側化粧カバー51,52,53と、新設枠2内にスライド可能に納められる障子10、10と、を備える。
【0013】
既設枠6は、建物100の開口部に設けられている。新設枠2は、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた状態で、接続部材8を介して、既設枠6の内側に取り付けられる。アタッチメント枠3は、既設枠6の内周側に固定された接続部材8に取り付けられる。
【0014】
まず、既設枠6の構成について説明する。既設枠6は、
図2及び
図3に示すように、建物100の開口部の内側に設けられ、矩形に組まれた枠状に形成される。既設枠6は、既設上枠61と、既設下枠62と、左右の既設縦枠63と、を備える。
【0015】
既設上枠61は、
図2に示すように、建物100の開口部の上部側に取り付けられており、下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール611、612(既設上枠ガイドレール)を有する。
【0016】
既設下枠62は、建物100の開口部の下部側に取り付けられており、上方に向けて立設される既設障子用のガイドレール621、622を有する。
【0017】
既設縦枠63は、
図3に示すように、建物100の開口部の室外側X1の左右縦部側にそれぞれ取り付けられている。
【0018】
接続部材8は、既設枠6とアタッチメント枠3との間に配置され、既設枠6とアタッチメント枠3とを接続する。接続部材8は、既設枠6の内周側に固定される。接続部材8には、新設枠2の外周に取り付けられたアタッチメント枠3が取り付けられる。接続部材8は、
図4に示すように、上枠接続部材81と、下枠接続部材82と、一対の縦枠接続部材83と、を備える。
【0019】
上枠接続部材81は、
図2及び
図4に示すように、既設上枠61とアタッチメント上枠31とを接続する。上枠接続部材81は、
図2に示すように、既設上枠61の内周側に接続される。上枠接続部材81は、室内外方向に延びる室内外方向延在板811と、室内外方向延在板811の室外側X1の端部に形成され上方に突出する突出片812と、を有する。
【0020】
突出片812は、既設上枠61のガイドレール611にネジ812aにより固定される。室内外方向延在板811における室内外方向の途中の部分は、L字状の取付片815を介して、既設上枠61のガイドレール611、612にネジ811a,815aにより固定される。
【0021】
室内外方向延在板811の室内側X2の端部813(請求項1,2の「接続部材室内側見込方向延在部」に対応する)は、アタッチメント上枠31の室内側水平延出板314(請求項1,2の「アタッチメント室内側見込方向延在部」に対応する)(後述)に、ネジ314aにより固定される。
【0022】
下枠接続部材82は、
図2及び
図4に示すように、既設下枠62とアタッチメント下枠32とを接続する。下枠接続部材82は、
図2に示すように、既設下枠62の内周側に接続される。下枠接続部材82は、室内外方向に延びる室内外方向延在板821と、室内外方向延在板821の室外側X1に接続される室外側段差L字板822と、室外側L字板822の室外側X1の端部の下部に形成される下部支持部823と、を有する。
【0023】
室内外方向延在板821における室内外方向の途中の部分は、L字状の取付片825を介して、既設下枠62のガイドレール622にネジ821a,825aにより固定される。
【0024】
室外側L字板822は、室外側X1及び上方側に開放したL字の段差状に形成され、室内外方向延在板821よりも一段低い位置に形成される。
【0025】
下部支持部823は、下方に向けて開放するU字状の開放枠823aと、開放枠823aの内部の上部に取り付けられる支持部材823bと、を有する。支持部材823bの下端部には、既設下枠62のガイドレール621の上端部が当接する。
【0026】
室内外方向延在板821の室内側X2の端部824は、アタッチメント下枠32の室内側水平延出板324に、ネジ324aにより固定される。
【0027】
縦枠接続部材83は、
図3及び
図4に示すように、既設縦枠63とアタッチメント縦枠33とを接続する。縦枠接続部材83は、
図3に示すように、既設縦枠63の内周側に接続される。縦枠接続部材83は、室内外方向に延びる室内外方向延在板831と、室内外方向延在板831の室外側X1の端部から左右方向の外側に突出する端部突出片832と、室内外方向延在板831における端部突出片832よりも室内側X2において端部突出片832に平行に左右方向の外側に突出する接続部側規制片833と、を有する。
【0028】
室内外方向延在板831には、室内外方向の途中において段差状に形成される段差部831aと、室外側X1の端部側において左右方向の内側に凸状に突出する凸部831bと、が形成される。室内外方向延在板831は、室内外方向の途中において、ネジ831cにより、既設縦枠63に固定される。
【0029】
ネジ831cにより、縦枠接続部材83の室内外方向延在板831と既設縦枠63とを固定する場合には、既設縦枠63の内周側に、縦枠接続部材83を配置すると共に、既設縦枠63と縦枠接続部材83との間に筒状スペーサ835を配置する。そして、縦枠接続部材83の左右方向の内側から、縦枠接続部材83、筒状スペーサ835及び既設縦枠63の順にネジ831cを貫通させることで、ネジ831cにより、縦枠接続部材83、筒状スペーサ835及び既設縦枠63を固定する。
【0030】
室内外方向延在板831の室内側X2の端部834は、アタッチメント縦枠33の室内側室内方向延出部333に、ネジ333aにより固定される。
【0031】
接続部側規制片833は、縦枠接続部材83が既設縦枠63に組み合わされた場合に、既設縦枠63から左右方向の内側に突出する既設側規制片631の室内側X2に配置され、室外側X1への移動が規制される。
【0032】
新設枠2は、
図4に示すように、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた状態で、既設枠6に固定された接続部材8に取り付けられる。新設枠2は、四周を組んで構成され、既設枠6の内周側に配置される。新設枠2は、既設枠6の内周に取り付けられた接続部材8の内周側に、アタッチメント枠3を介して取り付けられる。
【0033】
新設枠2は、新設上枠21と、新設下枠22と、左右の新設縦枠23と、を備える。新設枠2は、四周を組んだ状態において、新設上枠21、新設下枠22及び左右の新設縦枠23が組み合う部分において、ネジ固定されている。アタッチメント枠3は、アタッチメント上枠31と、アタッチメント下枠32と、左右のアタッチメント縦枠33と、を備える。
【0034】
新設上枠21は、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた状態において、
図2に示すように、アタッチメント上枠31の内周側に取り付けられる。新設上枠21は、下方に向けて立設される障子10,10の上部側のガイドレール211、212を有する。
【0035】
新設下枠22は、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた状態において、
図2に示すように、アタッチメント下枠32の内周側に取り付けられる。新設下枠22は、上方に向けて立設される障子10,10の下部側のガイドレール221,222を有する。
【0036】
新設縦枠23は、アタッチメント枠3が外周に取り付けられた状態において、
図3に示すように、アタッチメント縦枠33の内周側に取り付けられる。
【0037】
新設上枠21、新設下枠22及び新設縦枠23は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成される。
図2及び
図3に示すように、新設上枠21、新設下枠22及び新設縦枠23の室内側X2には、それぞれ、樹脂アングル部材213,223,233が設けられる。
【0038】
以上の新設枠2(新設上枠21、新設下枠22及び左右の新設縦枠23)は、アタッチメント枠3(アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33)が外周において四周を組んで設けられた状態で、既設枠6(既設上枠61、既設下枠62及び左右の既設縦枠63)の内周側に固定された接続部材8に取り付けられる。
【0039】
アタッチメント枠3は、
図4に示すように、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられた状態で、既設枠6の内周側に固定された接続部材8に取り付けられる。アタッチメント枠3は、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられる。
【0040】
アタッチメント枠3は、
図4に示すように、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び一対のアタッチメント縦枠33が四周に配置されて矩形に組んで構成される。アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及び左右のアタッチメント縦枠33は、それぞれ、例えば、アルミニウム材料で形成される。
【0041】
アタッチメント上枠31は、アタッチメント枠3の上部に配置され、左右方向(横方向)に延びる。アタッチメント下枠32は、アタッチメント枠3の下部側に配置され、左右方向(横方向)に延びる。アタッチメント縦枠33は、アタッチメント枠3の左右方向の端部側に配置され、上下方向に延びる。
【0042】
アタッチメント上枠31は、
図2に示すように、アタッチメント上枠中空部311と、横樋構造部312と、室外側上下方向延在板部313(見付方向延在板部)と、室内側水平延出板314(延出板)と、を有する。
【0043】
アタッチメント上枠中空部311及び横樋構造部312は、室内外方向に並んで配置される。アタッチメント上枠中空部311が室内側X2に配置され、横樋構造部312が室外側X1に配置されている。
【0044】
アタッチメント上枠中空部311は、室内外方向に延びる細長い長方形の中空状に形成される。
【0045】
横樋構造部312は、アタッチメント上枠31の上部において、アタッチメント上枠中空部311の室外側X1に形成される。横樋構造部312は、上方に向けて開放すると共に、下方に凹む凹状に形成される。
【0046】
横樋構造部312に浸入した水は、アタッチメント上枠31の長手方向の両端部に流れ、左右方向の外側に開放した長手方向の端部を介して、アタッチメント縦枠33の内部に流れ込む。アタッチメント縦枠33の内部に流れ込んだ水は、アタッチメント縦枠33の下部側において、既設下枠62により受け止めてられて外部に排出される。これにより、横樋構造部312を設けることにより、排水性能を向上でき、止水性能を向上できる。
【0047】
室外側上下方向延在板部313は、横樋構造部312の室外側X1の端部から上方に延出する板状に形成される。室外側上下方向延在板部313の室外側X1には、室外側化粧カバー51が取り付けられる。室外側上下方向延在板部313の室外側X1に取り付けられた室外側化粧カバー51は、室外側上下方向延在板部313の室外側X1に、室外側上下方向延在板部313を覆うように配置される。
【0048】
室内側水平延出板314(請求項1,2の「アタッチメント室内側見込方向延在部」に対応する)は、アタッチメント上枠中空部311の上端の室内側X2の端部から室内側X2の水平方向に延出する。室内側水平延出板314は、上枠接続部材81の室内外方向延在板811の室内側X2の端部813(請求項1,2の「接続部材室内側見込方向延在部」に対応する)に、ネジ314aにより固定される。
【0049】
アタッチメント下枠32は、
図2に示すように、室内外方向延在部321と、アタッチメント下枠中空部322(中空部)と、室外側上下方向延在板部323と、室内側水平延出板324(延出板)と、を有する。
【0050】
室内外方向延在部321及びアタッチメント下枠中空部322は、室内外方向に並んで配置される。室内外方向延在部321が室外側X1に配置され、アタッチメント下枠中空部322が室内側X2に配置されている。室内外方向延在部321は、アタッチメント下枠中空部322の上面よりも低い位置に形成される。
【0051】
アタッチメント下枠中空部322は、室内外方向に延びる細長い長方形の中空状に形成される。
【0052】
室外側上下方向延在板部323は、室内外方向延在部321の室外側X1の端部から下方に延出する板状に形成される。室外側上下方向延在板部323の室外側X1には、室外側化粧カバー52が取り付けられる。室外側上下方向延在板部323の室外側X1に取り付けられた室外側化粧カバー52は、室外側上下方向延在板部323の室外側X1に、室外側上下方向延在板部323を覆うように配置される。
【0053】
室内側水平延出板324は、アタッチメント下枠中空部322の上端の室内側X2の端部から室内側X2の水平方向に延出する。室内側水平延出板324は、下枠接続部材82の室内外方向延在板821の室内側X2の端部824に、ネジ324aにより固定される。
【0054】
アタッチメント縦枠33は、
図3に示すように、アタッチメント縦枠中空部331(中空部)と、室外側左右方向延在板部332(見付方向延在板部)と、室内側室内方向延出部333(延出板)と、を有する。
【0055】
アタッチメント縦枠中空部331は、室内外方向に延びる細長い長方形の中空状に形成される。
【0056】
室内側室内方向延出部333は、アタッチメント縦枠中空部331の左右方向の外側の端部であって室内側X2の端部から室内側X2に延出する。室内側室内方向延出部333は、縦枠接続部材83の室内外方向延在板831の室内側X2の端部834に、ネジ333aにより固定される。
【0057】
室外側左右方向延在板部332は、アタッチメント縦枠中空部331の室外側X1の端部から左右方向の外側に延出する板状に形成される。室外側左右方向延在板部332は、室外側X1に配置され、左右方向(見付方向)に延びる。
【0058】
アタッチメント縦枠中空部331の室外側X1の面には、室外側化粧カバー53が取り付けられる。アタッチメント縦枠中空部331の室外側X1の面に取り付けられた室外側化粧カバー53は、室外側左右方向延在板部332の室外側X1に、室外側左右方向延在板部332を覆うように配置される。
【0059】
室内側化粧部材41,42,43は、
図2及び
図3に示すように、室内側X2において、新設枠2の樹脂アングル部材213,223,233に、それぞれ、取り付けられている。
【0060】
室外側化粧カバー51,52,53は、
図2及び
図3に示すように、アタッチメント上枠31、アタッチメント下枠32及びアタッチメント縦枠33室外側X1の表面に、それぞれ、取り付けられている。
【0061】
また、改装建具1は、
図2及び
図3に示すように、気密構造85を有する。気密構造70は、既設枠6側と新設枠2側とを気密テープにより、既設枠6と新設枠2に取り付けられたアタッチメント枠3とを繋ぐように構成される。本実施形態においては、気密構造85は、既設枠6と新設枠2との間の気密性能を向上させるために、既設枠6と新設枠2に取り付けられたアタッチメント枠3とを繋ぐように配置される。気密構造85を構成する気密テープは、1枚で構成してもよいし、複数枚に分けたもので繋ぐように構成してもよい。なお、本実施形態の気密構造85において、気密テープを使用したが、これに限定されない。気密構造85において、例えば、貼付部分に接着剤を設けたシート材(気密貼付シート)を使用してもよい。
【0062】
本実施形態において、改装建具1が設けられる既設枠6は、RC(鉄筋コンクリート)造やSC(鉄骨)造の建物100の躯体の納まりで納められている。そのため、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられるアタッチメント枠3を、既設枠6の内周側に取り付ける際に、ネジによる固定をすることができない。
【0063】
これに対して、本開示においては、既設枠6の内周において既設枠6自体に接続部材8を固定して、既設枠6に固定した接続部材8の内周側に、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられるアタッチメント枠3を取り付ける構成とした。これにより、建物100の躯体に固定するネジを用いずに、既設枠6の内周側に接続部材8を固定することで、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられるアタッチメント枠3を、既設枠6の内周側に固定された接続部材8に取り付けることができる。
【0064】
次に、改装建具1を施工する手順について説明する。改装建具1を施工する場合には、事前に、四周組んだ新設枠2の外周に、アタッチメント枠3を組み付けた状態で準備しておく。
【0065】
改装建具1を施工する場合には、まず、既設枠6の内周側に、接続部材8を固定する。具体的には、
図5Aに示すように、既設上枠61の内周側に上枠接続部材81を固定する。詳細には、上枠接続部材81を、取付片815を介して、既設上枠61の既設障子用のガイドレール611、612に固定する。また、下枠接続部材82を、取付片825を介して、既設下枠62の内周側に固定する。更に、
図5Bに示すように、既設縦枠63の内周側に縦枠接続部材83を固定する。
【0066】
次に、
図6A及び
図6Bに示すように、新設枠2の外周にアタッチメント枠3を組み付けた状態で、新設枠2の外周に組み付けたアタッチメント枠3を、接続部材8の内側の開口に挿通させる。ここで、アタッチメント枠3において、アタッチメント上枠31の室外側上下方向延在板部313、アタッチメント下枠32の室外側上下方向延在板部323及びアタッチメント縦枠33の室内側室内方向延出部333が既設枠6に当たってしまうため、新設枠2の外周に組み付けたアタッチメント枠3を傾けながら既設枠6の開口に挿通させて、室外側X1に一旦出す。
【0067】
その後、
図7A及び
図7Bに示すように、新設枠2の外周に組み付けたアタッチメント枠3を傾けた状態から既設枠6に対して平行な状態に向きを変えて、既設枠6の室外側X1から既設枠6側に引き寄せる。
【0068】
次に、
図8Aに示すように、アタッチメント上枠31の室内側水平延出板314を室内外方向延在板811の室内側X2の端部813にネジ314aにより固定する。また、アタッチメント下枠32の室内側水平延出板324を室内外方向延在板821の室内側X2の端部824にネジ324aにより固定する。また、
図8Bに示すように、アタッチメント縦枠33の室内側室内方向延出部333を室内外方向延在板831の室内側X2の端部834にネジ333aにより固定する。
【0069】
新設上枠21においては、
図8Aに示すように、新設上枠21の内周側から、ネジ21aを、新設上枠21、アタッチメント上枠31、上枠接続部材81及び既設上枠61の順に、下方側から上方側に向かうように貫通させて、ネジ21aにより固定する。また、新設縦枠23においては、
図8Bに示すように、新設縦枠23の内周側から、ネジ23aを、新設縦枠23、アタッチメント縦枠33及び縦枠接続部材83の順に、左右方向の内側から外側に向かうように貫通させて、ネジ23aにより固定する。
【0070】
これにより、新設枠2及びアタッチメント枠3を建物100の躯体に固定せずに、新設枠2を既設枠6に取り付けることができる。よって、建物100の躯体がRC(鉄筋コンクリート)造やSC(鉄骨)造の納まりであっても、新設枠2の外周に組み付けたアタッチメント枠3を既設枠6に取り付けることができる。
【0071】
続けて、
図8A及び
図8Bに示すように、室外側X1において、室外側化粧カバー51,52,53それぞれを、アタッチメント上枠31,アタッチメント下枠32,アタッチメント縦枠33それぞれの室外側X1の面に取り付ける。また、室内側X2において、室内側化粧部材41,42,43を、新設枠2の樹脂アングル部材213,223,233それぞれに取り付ける。
【0072】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の改装建具1は、建物100の開口部に設けられた既設枠6に取り付けられ、四周を組んで構成された新設枠2と、新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられ既設枠6の内周側に配置されるアタッチメント枠3と、既設枠6とアタッチメント枠3との間に配置されると共に、既設枠6の内周側に固定され、新設枠2の外周に取り付けられたアタッチメント枠3が取り付けられる接続部材8と、を備える。
【0073】
これにより、新設枠2及びアタッチメント枠3を建物100の躯体に固定せずに、新設枠2を既設枠6に取り付けることができる。よって、建物の躯体がRC(鉄筋コンクリート)造やSC(鉄骨)造の納まりであっても、新設枠2の外周に組み付けたアタッチメント枠3を既設枠6に取り付けることができる。
【0074】
また、本実施形態においては、接続部材8は、既設上枠61とアタッチメント上枠31とを接続する上枠接続部材81と、既設下枠62とアタッチメント下枠32とを接続する下枠接続部材82と、既設縦枠63とアタッチメント縦枠33とを接続する縦枠接続部材83と、を有する。これにより、接続部材8により、アタッチメント枠3の四周を、既設枠6の内周側に容易に取り付けることができる。
【0075】
また、本実施形態においては、上枠接続部材81は、既設上枠61に設けられ下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール611、612に固定される。これにより、既設障子用のガイドレール611、612に上枠接続部材81を固定するだけで、簡易な構成で、上枠接続部材81を既設上枠61に固定することができる。
【0076】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0077】
例えば、前記実施形態においては、改装建具1を引違い窓タイプの改装サッシに適用した場合について説明した。しかし、これに限定されない。改装建具を、例えば、回転軸を中心に戸体が回転して開閉する開閉式の改装建具や、縦辷り出し式の改装建具に適用してもよい。また、改装建具を、例えば、枠に対して開閉しないで固定してガラスが取り付けられるFIX式の改装建具に適用してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 改装建具、2 新設枠、3 アタッチメント枠、6 既設枠、8 接続部材、61 既設上枠、62 既設下枠、63 既設縦枠、81 上枠接続部材、82 下枠接続部材、83 縦枠接続部材、611,612 ガイドレール(既設上枠ガイドレール)