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特許7403709情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
G06F11/34 176
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023501405
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2022026467
【審査請求日】2023-01-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】矢野 淳平
(72)【発明者】
【氏名】東 英和
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/100308(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/129093(WO,A1)
【文献】特開2020-102100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30-11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアルタイムOSが動作する情報処理装置であって、
前記情報処理装置が実行する制御処理の結果に関する第1解析データを収集し、汎用OSが動作する第1情報処理装置から、前記情報処理装置に対する制御指示に関する第2解析データを収集する収集手段と、
前記第1解析データと前記第2解析データとを対応づけて収集データとして記憶手段に格納する格納手段と、
前記第1情報処理装置と前記情報処理装置との間の通信が確立されているか否かを監視する監視手段と、
前記監視手段により前記通信が確立されていないと判定されると、前記第1情報処理装置とは異なる、TCP/IP通信が可能な第2情報処理装置に、前記記憶手段に格納された前記収集データを送信する送信手段と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記格納手段は、
前記収集データを、前記記憶手段の予め定められたデータ領域に格納し、
前記予め定められたデータ領域の全てに前記収集データが格納されると、前記予め定められたデータ領域に格納された前記収集データのうち最も古い収集データを削除し、新たに収集された収集データを格納することにより、前記予め定められたデータ領域に格納された前記収集データを更新する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
リアルタイムOSが動作する情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、前記情報処理装置が実行する制御処理の結果に関する第1解析データを収集し、汎用OSが動作する第1情報処理装置から、前記情報処理装置に対する制御指示に関する第2解析データを収集し、
前記情報処理装置が、前記第1解析データと前記第2解析データとを対応づけて収集データとして予め定められたデータ領域に格納し、
前記情報処理装置が、前記第1情報処理装置と前記情報処理装置との間の通信が確立されているか否かを監視し、
前記情報処理装置が、前記通信が確立されていないと判定されると、前記第1情報処理装置とは異なる、TCP/IP通信が可能な第2情報処理装置に、前記予め定められたデータ領域に格納された前記収集データを送信する、
情報処理方法。
【請求項4】
リアルタイムOSが動作するコンピュータを、
前記コンピュータが実行する制御処理の結果に関する第1解析データを収集し、汎用OSが動作する第1情報処理装置から、前記コンピュータに対する制御指示に関する第2解析データを収集する収集手段、
前記第1解析データと前記第2解析データとを対応づけて収集データとして予め定められたデータ領域に格納する格納手段、
前記第1情報処理装置と前記コンピュータとの間の通信が確立されているか否かを監視する監視手段、
前記監視手段により前記通信が確立されていないと判定されると、前記第1情報処理装置とは異なる、TCP/IP通信が可能な第2情報処理装置に、前記予め定められたデータ領域に格納された前記収集データを送信する送信手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ネットワークは、汎用PC、汎用PCに通信可能に接続する専用ボード装置、センサ及び種々の装置と信号をやり取りするための入出力装置等、複数の情報処理装置から構成される。産業用ネットワークにおいて、情報処理装置又は情報処理装置間の通信に異常が発生した場合に備え、事後保全に有用なデータを保存しておく技術が知られている。例えば、特許文献1には、リーダ情報処理ユニットと、複数のフォロワー情報処理ユニットとを含む産業用ネットワークにおいて、リーダ情報処理ユニットが何らかの理由により停止した場合に備え、リーダ情報処理ユニットが扱うデータを、予め選定されたフォロワー情報処理ユニットにバックアップさせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/235088号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示された技術では、停止したリーダ情報処理ユニットが扱うデータはバックアップされている。しかしながら、産業用ネットワークにおいて異常が発生した場合、異常の解析のためには、情報処理装置が扱うデータだけでなく、その情報処理装置と通信を行う他の情報処理装置からの制御指示に関するデータも必要となる。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、情報処理装置が実行する制御処理の結果に関するデータと、他の情報処理装置からの制御指示に関するデータとを収集し、保存しておくことが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る情報処理装置は、
リアルタイムOSが動作する情報処理装置であって、
前記情報処理装置が実行する制御処理の結果に関する第1解析データを収集し、汎用OSが動作する第1情報処理装置から、前記情報処理装置に対する制御指示に関する第2解析データを収集する収集手段と、
前記第1解析データと前記第2解析データとを対応づけて収集データとして記憶手段に格納する格納手段と
前記第1情報処理装置と前記情報処理装置との間の通信が確立されているか否かを監視する監視手段と、
前記監視手段により前記通信が確立されていないと判定されると、前記第1情報処理装置とは異なる、TCP/IP通信が可能な第2情報処理装置に、前記記憶手段に格納された前記収集データを送信する送信手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、情報処理装置が実行する制御処理の結果に関するデータと、他の情報処理装置からの制御指示に関するデータとを収集し、保存しておくことが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る専用ボード装置のハードウェア構成を示すブロック図
図2】実施形態に係る専用ボード装置の機能構成を示す図
図3】実施形態に係るデータ領域に格納された収集データの例を示す図
図4】実施形態に係るデータ領域に格納された収集データの例を示す図
図5】実施形態に係る監視処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
実施形態に係る専用ボード装置100は、産業用ネットワークシステム1を構成する情報処理装置の一つである。図1に、専用ボード装置100のハードウェア構成と、産業用ネットワークシステム1を構成する情報処理装置の例を示す。産業用ネットワークシステム1には、専用ボード装置100,400と、汎用PC200,500と、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)通信が可能な情報処理装置300と、PLC(Programmable Logic Controller)600と、が含まれる。専用ボード装置100,400においてリアルタイムOS(Operating System)が動作し、汎用PC200,500において汎用OSが動作する。また、専用ボード装置100は、汎用PC200により統御される。
【0010】
専用ボード装置100は、種々の処理を実行するプロセッサ11と、プロセッサ11の処理に用いられる種々のデータを記憶するメモリ12と、汎用PCと通信するための第1通信インタフェース13と、第2通信インタフェース14と、を有する。
【0011】
プロセッサ11は、種々の処理を実行するCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ11は、メモリ12に格納されるプログラムを実行することにより、専用ボード装置100の種々の機能を実現する。
【0012】
メモリ12は、揮発性及び不揮発性メモリを含む。メモリ12は、専用ボード装置100の各種機能を実現するためのプログラム、及び、プロセッサ11の処理に用いられる種々のデータを格納する。例えば、メモリ12には、専用ボード装置100において動作するリアルタイムOS15を格納する。また、メモリ12は、プロセッサ11の作業領域として用いられる。
【0013】
第1通信インタフェース13は、汎用PC200と通信を行うためのシリアル通信インタフェースであり、ネットワークインタフェース回路を含む。汎用PC200は、メモリ21に格納された汎用OS22が動作する装置である。第1通信インタフェース13は、汎用PC200から信号を受信して、この信号により示されるデータをプロセッサ11へ出力する。また、第1通信インタフェース13はプロセッサ11から出力されたデータを示す信号を外部の装置へ送信する。
【0014】
第2通信インタフェース14は、情報処理装置300、専用ボード装置400及びPLC600を含む外部の装置と通信を行うためのシリアル通信インタフェースであり、ネットワークインタフェース回路を含む。第2通信インタフェース14は、例えば、Ethernetの通信規格に従うものである。第2通信インタフェース14は、外部の装置から信号を受信して、この信号により示されるデータをプロセッサ11へ出力する。また、第2通信インタフェース14は、プロセッサ11から出力されたデータを示す信号を外部の装置へ送信する。
【0015】
次に、図2を用いて、専用ボード装置100の機能について説明する。専用ボード装置100は、機能的には、収集部101と、格納部102と、記憶部103と、監視部104と、送信部105と、を備える。
【0016】
収集部101は、専用ボード装置100が実行する制御処理の結果に関する第1解析データ701を収集する。また、収集部101は、汎用OS22が動作する汎用PC200から、専用ボード装置100に対する制御指示に関する第2解析データ702を収集する。収集部101は、プロセッサ11及び第1通信インタフェース13により実現される。なお、収集部101は、収集手段の一例である。また、専用ボード装置100は、情報処理装置の一例であり、汎用PC200は、第1情報処理装置の一例である。
【0017】
第1解析データ701とは、専用ボード装置100が実行する制御処理の結果に関するデータである。第1解析データ701は、例えば、専用ボード装置100が管理するデバイス値のような制御結果に関わるデータであり、専用ボード装置100の記憶部103に格納される。ここで、デバイスとは、産業用ネットワークシステム1に含まれる情報処理装置が、互いに自身の状態、制御に関わる指示値等を通知し合うために用いられるものであり、デバイス値は、デバイスに格納される値を示す。
【0018】
第2解析データ702とは、汎用OS22が動作する汎用PC200から取得するデータであって、専用ボード装置100に対する制御指示に関するデータである。第2解析データ702は、例えば、汎用PC200から取得する関数のコール状況のような制御指示に関わるデータであり、汎用PC200のメモリ21に格納される。ここで、関数とは、専用ボード装置100に対するデータの送受信指示に関するものである。関数は、例えば、データ値、データサイズ及び書き込みアドレスを指定し、一括でデータを書き込む関数、或いは、データサイズ及び読み出しアドレスを指定し、一括でデータを読み込む関数である。
【0019】
例えば、収集部101は、専用ボード装置100から第1解析データ701を周期的に収集し、汎用PC200から第2解析データ702を周期的に収集する。ここで、周期的に収集する、とは、予め定められた間隔で繰り返し収集することを示す。この間隔は一定に限らず、産業用ネットワークシステム1の管理者により任意に定められる。収集部101が第1解析データ701を収集するタイミング及び収集するタイミングの間隔は、収集部101が第2解析データ702を収集するタイミング及び収集するタイミングの間隔と同じでも、異なっていてもよい。
【0020】
格納部102は、第1解析データ701及び第2解析データ702を収集データ703として記憶部103に格納する。具体的には、格納部102は、収集データ703を、記憶部103の予め定められたデータ領域に格納する。格納部102は、プロセッサ11により実現される。また、記憶部103は、メモリ12により実現される。なお、格納部102は、格納手段の一例であり、記憶部103は、記憶手段の一例である。
【0021】
予め定められたデータ領域とは、記憶部103において予め確保された領域であり、産業用ネットワークシステム1の管理者により任意に定められる。予め定められたデータ領域は、リングバッファ構成とする。
【0022】
収集データ703は、第1解析データ701及び第2解析データ702と、それらに付随する情報と、を含む。付随する情報とは、例えば、第1解析データ701、第2解析データ702、及び、収集データ703が生成された時刻である。
【0023】
例えば、格納部102は、収集部101により第1解析データ701及び第2解析データ702が収集されると、収集された第1解析データ701及び第2解析データ702を、収集データ703として記憶部103の予め定められたデータ領域に格納する。
【0024】
図3に、収集データ703が格納された記憶部103のデータ領域の模式図を示す。図3は、予め定められたデータ領域の全てが使用されている状態を示したものである。図3のアドレスは、収集データ703を格納するために予め定められたデータ領域のアドレスを示すものである。アドレスが示すデータ領域には、第1解析データ701と、第2解析データ702と、収集データ703が生成された時刻を示す時刻情報と、が対応付けて格納される。図3の時刻情報は、アドレスが示すデータ領域に格納される収集データ703が生成された時刻を示すものとする。収集データ703は、アドレスの番号が小さいデータ領域から順に格納される。例えば、アドレス“1”のデータ領域には、第1解析データ“a1”と、第2解析データ“b1”と、時刻情報“t1”とが対応付けて格納される。
【0025】
また、格納部102は、予め定められたデータ領域の全てに収集データ703が格納されると、予め定められたデータ領域に格納された収集データ703のうち最も古い収集データ703を削除し、新たに収集された収集データ703を格納することにより、予め定められたデータ領域に格納された収集データ703を更新する。
【0026】
例えば、図3に示すように、予め定められたデータ領域の全てが使用された後に、収集部101により第1解析データ701及び第2解析データ702が収集されると、格納部102は、時刻情報が示す時刻が古いアドレスの収集データを削除し、新たに収集された第1解析データ701及び第2解析データ702を、収集データが削除されたアドレスのデータ領域に格納することにより、予め定められたデータ領域の収集データ703を更新する。例えば、収集部101により第1解析データ“an+1”及び第2解析データ“bn+1”が収集されると、格納部102は、アドレス“1”のデータ領域に格納された第1解析データ“a1”、第2解析データ“b1”及び時刻情報“t1”を削除し、図4に示すように、アドレス“1”のデータ領域に、第1解析データ“an+1”、第2解析データ“bn+1”、及び、アドレス“1”のデータ領域に格納する収集データ703が生成された時刻を示す時刻情報“tn+1”を対応付けて格納する。また、その後、収集部101により第1解析データ“an+2”及び第2解析データ“bn+2”が収集されると、格納部102は、アドレス“2”のデータ領域に格納された第1解析データ“a2”、第2解析データ“b2”及び時刻情報“t2”を削除し、図4に示すように、アドレス“2”のデータ領域に、第1解析データ“an+2”、第2解析データ“bn+2”、及び、アドレス“2”のデータ領域に格納する収集データ703が生成された時刻を示す時刻情報“tn+2”を対応付けて格納する。
【0027】
監視部104は、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信が確立されているか否かを監視する。監視部104は、プロセッサ11及び第1通信インタフェース13により実現される。なお、監視部104は、監視手段の一例である。
【0028】
例えば、監視部104は、汎用PC200との通信インタフェースである第1通信インタフェース13における通信状態を監視することにより、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信が確立されているか否かを監視する。監視部104が通信状態を監視する処理は、収集部101による処理及び格納部102による処理と並列に実行される。
【0029】
送信部105は、監視部104により通信が確立されていないと判定されると、情報処理装置300に、記憶部103に格納された収集データ703を送信する。送信部105は、プロセッサ11及び第2通信インタフェース14により実現される。なお、送信部105は、送信手段の一例である。また、情報処理装置300は、第2情報処理装置の一例である。
【0030】
例えば、監視部104により、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信が確立されていないと判定されると、送信部105は、第2通信インタフェース14を介してTCP/IP通信により、情報処理装置300に記憶部103の予め定められたデータ領域に格納された収集データ703を送信する。
【0031】
次に、本実施形態に係る監視処理について、図5を用いて説明する。図5の監視処理は、例えば、専用ボード装置100に電源が投入されると実行される処理である。
【0032】
監視部104は、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信状態を取得する(ステップS101)。
【0033】
例えば、監視部104は、汎用PC200との通信インタフェースである第1通信インタフェース13における通信状態を示す情報を取得する。
【0034】
監視部104は、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信が確立されているか否かを判定する(ステップS102)。監視部104は、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信が確立されていると判定すると(ステップS102;YES)、ステップS101に戻る。一方、監視部104は、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信が確立されていないと判定すると(ステップS102;NO)、送信部105は、情報処理装置300に、記憶部103に格納された収集データ703を送信する。
【0035】
例えば、監視部104が、取得した情報に基づいて、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信が確立されていると判定すると、ステップS101に戻る。一方、監視部104が、汎用PC200と専用ボード装置100との間の通信が確立されていないと判定すると、送信部105は、情報処理装置300に記憶部103の予め定められたデータ領域に格納された収集データ703を送信する。
【0036】
産業用ネットワークシステムにおいて、専用ボード装置が接続された汎用PCは、汎用OSの不安定性のため突然の停止のような動作不能となることがある。よって、事後保全のために、汎用PC及び汎用PCに接続された専用ボード装置について異常を解析するための解析データの集積が重要となる。本実施形態によれば、専用ボード装置は、専用ボード装置が実行する制御処理の結果に関するデータと、汎用PCから、専用ボード装置への制御指示に関するデータとを収集し、保存しておくことができる。これにより、相互に関連のあるデータを集積することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、収集された解析データは、予め定められたデータ領域に格納し、予め定められたデータ領域の全てを使用すると、古い収集データは削除して新たな収集データを格納する。このように、予め定められたデータ領域の容量に応じて、収集データは随時更新されるので、メモリ容量を制限しつつ、事後保全に有用なデータを格納することができる。
【0038】
また、本実施形態によれば、汎用PCと専用ボード装置との間の通信が確立されていないと判定すると、汎用PC200と専用ボード装置100との通信に異常が発生した、又は、汎用PC及び専用ボード装置のいずれかに異常が発生したとみなし、収集した解析データを他の情報処理装置に送信する。これにより、汎用PC及び専用ボード装置の双方に異常が発生して、どちらにもアクセスできなくなった場合にも、他の情報処理装置にアクセスできれば解析データを取得することができる。また、解析データを他の情報処理装置に退避させることで、汎用PC及び専用ボード装置が故障した際に、それらの修理、交換等が容易となり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、解析データは周期的に収集され、収集データとして予め定められたデータ領域に蓄積されるので、汎用PC及び専用ボード装置に異常が発生した瞬間、及び、汎用PCと専用ボード装置との間の通信に異常が発生した瞬間に加え、それ以前の解析データも残すことができる。これにより、事後保全のための有用なデータをより多く取得することができる。
【0040】
(変形例)
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0041】
上記実施形態において、送信部105は、TCP/IP通信による情報交換が可能な情報処理装置300に収集データ703を送信するとしたが、これに限らない。産業ネットワークシステム1に含まれる情報処理装置であって、TCP/IP通信により情報交換できる情報処理装置であれば、送信部105は、情報処理装置300以外の装置に収集データ703を送信してもよい。例えば、送信部105は、TCP/IP通信により情報交換可能なPLC600に収集データ703を送信してもよい。
【0042】
また、上記実施形態において、記憶部103のデータ領域に格納される時刻情報は、収集データ703が生成された時刻を示すものとしたが、これに限らない。記憶部103のデータ領域に格納される時刻情報に、第1解析データ701及び第2解析データ702が生成された時刻を示す情報が含まれてもよい。
【0043】
また、上記実施形態に係る専用ボード装置100の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置に適用することで、当該パーソナルコンピュータ又は情報端末装置を実施形態に係る専用ボード装置100として機能させることも可能である。
【0044】
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネットのような通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0045】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示によれば、情報処理装置が実行する制御処理の結果に関するデータと、他の情報処理装置からの制御指示に関するデータとを収集し、保存しておくことが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 産業用ネットワークシステム、11 プロセッサ、12,21 メモリ、13 第1通信インタフェース、14 第2通信インタフェース、15 リアルタイムOS、22 汎用OS、100,400 専用ボード装置、101 収集部、102 格納部、103 記憶部、104 監視部、105 送信部、200,500 汎用PC、300 情報処理装置、600 PLC、701 第1解析データ、702 第2解析データ、703 収集データ。
【要約】
リアルタイムOSが動作する情報処理装置の収集部(101)は、情報処理装置が実行する制御処理の結果に関する第1解析データ(701)を収集し、汎用OSが動作する第1情報処理装置から、情報処理装置に対する制御指示に関する第2解析データ(702)を収集する。格納部(102)は、第1解析データ(701)及び第2解析データ(702)を収集データ(703)として記憶部(103)に格納する。
図1
図2
図3
図4
図5