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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】電磁波検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20231215BHJP
   G01R 31/12 20200101ALI20231215BHJP
【FI】
G01R29/08 D
G01R29/08 B
G01R31/12 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023505893
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 JP2022032304
【審査請求日】2023-01-27
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山梶 佑介
(72)【発明者】
【氏名】水口 尊敬
(72)【発明者】
【氏名】北野 萌
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-021979(JP,U)
【文献】特許第6887575(JP,B1)
【文献】特開2008-145176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
G01R 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波観測部と検出部とを備え、
電磁波発生源が配置される第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板により区切られ、電磁波発生源が存在しない第2の空間に前記検出部が配置され、
前記電磁波観測部は、前記仕切り板に形成された前記第1の空間と前記第2の空間とを貫通する貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、前記貫通部から前記第1の空間へ前記仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、前記電磁波発生源からの電磁波を受信する突出部、及び前記貫通部から前記第2の空間に前記仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する金属線、並びに前記金属線の延在部の一端と接地点との間に接続されるコイルを具備し、
前記検出部は、前記コイルの両端子間の電圧を検出する、
電磁波検出装置。
【請求項2】
電磁波観測部と検出部とを備え、
電磁波発生源が配置される第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板により区切られ、電磁波発生源が存在しない第2の空間に前記検出部が配置され、
前記電磁波観測部は、前記仕切り板に形成された前記第1の空間と前記第2の空間とを貫通する貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、前記貫通部から前記第1の空間へ前記仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、前記電磁波発生源からの電磁波を受信する突出部、及び前記貫通部から前記第2の空間に前記仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する金属線、並びに前記金属線の延在部の一端と接地点との間に接続される、コイルとコンデンサを並列接続した共振回路を具備し、
前記検出部は、前記共振回路の両端子間の電圧を検出する、
電磁波検出装置。
【請求項3】
電磁波観測部と検出部と測定部を備え、
電磁波発生源が配置される第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板により区切られ、電磁波発生源が存在しない第2の空間に前記検出部が配置され、
前記第2の空間と電磁波の伝搬を減衰させる第2の仕切り板により区切られ、前記第1の空間及び前記第2の空間とは異なる第4の空間に前記測定部が配置され、
前記電磁波観測部は、前記仕切り板に形成された前記第1の空間と前記第2の空間とを貫通する貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、前記貫通部から前記第1の空間へ前記仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、前記電磁波発生源からの電磁波を受信する突出部、及び前記貫通部から前記第2の空間に前記仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する金属線を具備し、前記第2の空間側に位置する一端部が前記第2の空間側に位置する接地点に接続され、
前記検出部は、前記金属線における延在部に重畳する電界又は磁界の少なくとも一方を非接触で検出し、
前記測定部は、前記検出部からの電磁波検出信号が入力される、
電磁波検出装置。
【請求項4】
電磁波観測部と検出部と測定部を備え、
電磁波発生源が配置される第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板により区切られ、電磁波発生源が存在しない第2の空間に前記検出部が配置され、
前記第2の空間と電磁波の伝搬を減衰させる第2の仕切り板により区切られ、前記第1の空間及び前記第2の空間とは異なる第4の空間に前記測定部が配置され、
前記電磁波観測部は、前記仕切り板に形成された前記第1の空間と前記第2の空間とを貫通する貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、前記貫通部から前記第1の空間へ前記仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、前記電磁波発生源からの電磁波を受信する突出部、及び前記貫通部から前記第2の空間に前記仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する金属線を具備し、前記第2の空間側に位置する一端部が前記第2の空間側に位置する接地点に接続され、
前記検出部は、前記金属線の延在部の一端と前記接地点との間に現れる電圧を検出する接触センサが用いられ、
前記測定部は、前記検出部からの電磁波検出信号が入力される、
電磁波検出装置。
【請求項5】
異常電磁波検知部と外乱ノイズ検出部と測定部とを備え、
前記異常電磁波検知部は、第1の電磁波観測部と第1の検出部を備え、
電磁波発生源が配置される第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる第1の仕切り板により区切られ、電磁波発生源が存在しない第2の空間に前記第1の検出部が配置され、
前記第1の電磁波観測部は、前記第1の仕切り板に形成された前記第1の空間と前記第2の空間とを貫通する第1の貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、前記貫通部から前記第1の空間へ前記第1の仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、前記電磁波発生源からの電磁波を受信する突出部、及び前記貫通部から前記第2の空間に前記第1の仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する第1の金属線を具備し、前記第2の空間側に位置する一端部が前記第2の空間側に位置する接地点に接続され、
前記第1の検出部は、前記第1の電磁波観測部における前記第1の金属線の延在部に流れる電流を検出し、
前記外乱ノイズ検出部は、第2の電磁波観測部と第2の検出部を備え、
前記第2の空間に前記第2の検出部が配置され、
前記第2の電磁波観測部は、前記第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる第2の仕切り板に区切られ、電磁波発生源が存在しない第5の空間と前記第2の空間とを区切る前記第1の仕切り板に形成された前記第5の空間と前記第2の空間とを貫通する第2の貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、前記貫通部から前記第5の空間へ前記第1の仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、前記第5の空間内における電磁波を受信する突出部、及び前記貫通部から前記第2の空間に前記第1の仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する第2の金属線を具備し、前記第2の空間側に位置する一端部が前記第2の空間側に位置する接地点に接続され、
前記第2の検出部は前記第2の電磁波観測部における前記第2の金属線の延在部に流れる電流を検出し、
前記測定部は、前記異常電磁波検知部における前記第1の検出部により検出された電流値と前記外乱ノイズ検出部における前記第2の検出部により検出された電流値との差を電磁波検出信号として監視する、
電磁波検出装置。
【請求項6】
異常電磁波検知部と外乱ノイズ検出部と測定部とを備え、
前記異常電磁波検知部は、第1の電磁波観測部と第1の検出部を備え、
電磁波発生源が配置される第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる第1の仕切り板により区切られ、電磁波発生源が存在しない第2の空間に前記第1の検出部が配置され、
前記第1の電磁波観測部は、前記第1の仕切り板に形成された前記第1の空間と前記第2の空間とを貫通する第1の貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、前記貫通部から前記第1の空間へ前記第1の仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、前記電磁波発生源からの電磁波を受信する突出部、及び前記貫通部から前記第2の空間に前記第1の仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する第1の金属線と、前記第1の金属線の延在部の一端と前記第2の空間側に位置する接地点との間に接続される第1の回路素子を具備し、
前記第1の検出部は前記第1の電磁波観測部における前記第1の回路素子の両端間の電圧を検出し、
前記外乱ノイズ検出部は、第2の電磁波観測部と第2の検出部を備え、
前記第2の空間に前記第2の検出部が配置され、
前記第2の電磁波観測部は、前記第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる第2の仕切り板に区切られ、電磁波発生源が存在しない第5の空間と前記第2の空間とを区切る前記第1の仕切り板に形成された前記第5の空間と前記第2の空間とを貫通する第2の貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、前記貫通部から前記第5の空間へ前記第1の仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、前記第5の空間内における電磁波を受信する突出部、及び前記貫通部から前記第2の空間に前記第1の仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する第2の金属線と、前記第2の金属線の延在部の一端と前記第2の空間側に位置する接地点との間に接続される第2の回路素子を具備し、
前記第2の検出部は前記第2の電磁波観測部における前記第2の回路素子の両端間の電圧を検出し、
前記測定部は、前記異常電磁波検知部における前記第1の検出部により検出された電圧値と前記外乱ノイズ検出部における前記第2の検出部により検出された電圧値との差を電磁波検出信号として監視する、
電磁波検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定対象となる電磁波発生源からの電磁波を検出する電磁波検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器などの異常を知るために電磁波を検出する電磁波検出装置が知られており、この種の電磁波検出装置の一つとして、絶縁異常により発生する部分放電電磁波を検出する金属閉鎖型配電盤の絶縁監視装置が特許文献1により提案されている。
特許文献1には、電磁波を検出するアンテナとこのアンテナの検出信号を増幅するアンプとを備える放電検出部を金属閉鎖型配電盤の筐体内に配置し、アンプの出力信号から絶縁異常時に生ずる部分放電に伴って発生する電磁波による信号成分の存否を監視する絶縁判定部を備えた金属閉鎖型配電盤の絶縁監視装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-265684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された絶縁監視装置は、金属閉鎖型配電盤を対象としているため、電磁波を検出する放電検出部を金属閉鎖型配電盤の筐体内に配置している。
一方、測定対象となる電磁波発生源が配置された空間と金属などの電磁波を減衰させる仕切り板により区切られた異なる空間に電磁波検出装置を配置し、電磁波発生源からの電磁波を検出することにより、異常を検出する電磁波検出装置が望まれている。
【0005】
本開示は上記した点に鑑みてなされたものであり、電磁波発生源が配置された第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板により区切られた第1の空間と異なる第2の空間において、第1の空間に配置された電磁波発生源からの電磁波の検出を第2の空間で実施できる電磁波検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電磁波検出装置は、電磁波観測部と検出部とを備え、
電磁波発生源が配置される第1の空間と電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板により区切られ、電磁波発生源が存在しない第2の空間に検出部が配置され、
電磁波観測部は、仕切り板に形成された第1の空間と第2の空間とを貫通する貫通穴の周壁から離隔して貫通する貫通部、貫通部から第1の空間へ仕切り板の表面から距離を離して接触せずに突出し、電磁波発生源からの電磁波を受信する突出部、及び貫通部から第2の空間に仕切り板の裏面から距離を離して接触せずに延在する延在部を有する金属線、並びに金属線の延在部の一端と接地点との間に接続されるコイルを具備し、検出部は、コイルの両端子間の電圧を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、貫通部と第1の空間へ突出する突出部と第2の空間に延在する延在部13を有する金属線、並びに金属線の延在部の一端と接地点との間に接続されるコイルを具備する簡易な構造の電磁波観測部を用い、検出部がコイルの両端子間の電圧を検出することにより、突出部と仕切り板との間に生じる寄生成分により突出部により受信した電磁波に基づく電流が、突出部から寄生成分を経由して直接仕切り板に流れるのを抑制でき、S/N比の低下を防げ、コイルの両端子間の電圧を検出部が受信でき、第1の空間に配置された電磁波発生源からの電磁波の検出を良好な検出感度により第2の空間で実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図2】実施の形態2に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図3】実施の形態3に係る電磁波検出装置を、導体板を一部破断して示す構成図である。
図4】実施の形態4に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図5】実施の形態4に係る電磁波検出装置における、電磁波発生源から放射された電磁波の周波数に対する測定部において測定された受信強度の関係を示す図である。
図6】実施の形態5に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図7】実施の形態6に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図8】実施の形態7に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図9】実施の形態8に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図10】実施の形態9に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図11】実施の形態9に係る電磁波検出装置における、電磁波発生源から放射された電磁波の周波数に対する測定部において測定された受信強度の関係を示す図である。
図12】実施の形態10に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図13】実施の形態10に係る電磁波検出装置における金属線の突出部における受信部を示す図である。
図14】実施の形態11に係る電磁波検出装置における金属線の突出部における受信部を示す図である。
図15】実施の形態12に係る電磁波検出装置における金属線の突出部における受信部を示す図である。
図16】実施の形態13に係る電磁波検出装置における金属線の突出部における受信部を示す図である。
図17】実施の形態14に係る電磁波検出装置における金属線の突出部における受信部を示す図である。
図18】実施の形態15に係る電磁波検出装置における金属線の突出部における受信部を示す図である。
図19】実施の形態16に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図20】実施の形態17に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
図21】実施の形態19に係る電磁波検出装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1に係る電磁波検出装置を図1に従い説明する。
実施の形態1に係る電磁波検出装置は、電磁波発生源100が配置された第1の空間Aと電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板200により区切られた第2の空間Bに配置され、電磁波発生源100からの電磁波を検出する。
【0010】
実施の形態1に係る電磁波検出装置は電磁波観測部10と検出部20と測定部30を備える。
まず、電磁波検出装置を説明する前に、電磁波発生源100と第1の空間Aと第2の空間Bと仕切り板200について説明する。
以下に説明する内容については、実施の形態1に限られるものではなく、他の実施の形態にも共通する。
【0011】
[電磁波発生源100]
電磁波発生源100は、例えば次に示す(a)から(f)を対象とする。
《絶縁体の経年劣化による部分放電に基づく異常検出》
電磁波発生源100における絶縁体が正常な場合には部分放電は発生せず、次のような場合に導体間の絶縁体に部分放電を発生する。この部分放電を監視することにより、本開示に係る電磁波検出装置が異常検出を実施する。
部分放電による電磁波は電圧の立ち上がり、すなわち電圧の時間変化の大きい信号であるため、高周波信号を多く含んでいる。
【0012】
≪部分放電の発生原因≫
・絶縁体の経年劣化、あるいは絶縁体に埃又は空気中の窒素が微弱な放電で酸化することで生成される窒化酸化物などが付着した場合。
・ケーブルの端部に装着されたコネクタの勘合が弱くなることによる接点不良。
・結露又は高湿度環境に長時間置かれることによるケーブル内部の導体の酸化又は絶縁体の劣化。
・繰り返し振動が加わることによる金属線と絶縁体被覆との間に発生する空隙(ボイド)。
・繰り返し振動が加わることによる絶縁体被覆内に発生する空隙。
【0013】
≪対象≫
(a)電子機器の筐体内に収められた電子装置における構成要素。例えば、電子部品、半導体装置、変電用のコイル、モータである。
なお、電子機器の筐体は電磁シールド構造である必要はない。筐体は電磁波を減衰させる構造であれば良く、例えば、複数の穴が空いているパンチングメタル、ワイヤーで構成されたメッシュ構造、樹脂だけ、樹脂に金属メッキを施したもの、金属に樹脂塗装を施したもの、又は樹脂と金属などを組み合わせた構成でも良い。
また、電子機器の筐体内部に、テレビ及びラジオ、携帯電話などで利用される電磁波に加えて、雷や静電気などの自然界で発生する電磁波、電子機器内部から生じる電磁波、及び他の電子機器から生じる電磁波が存在しても良い。
【0014】
(b)電気機器内の部分放電により電磁波が発生する構成要素。例えば、高圧配電盤の碍子、遮断器、油タイプ、モールドタイプなどの変圧器のブッシング、バスダクトの導体、整流器の主回路端子、発電機(風車用他)の主回路端子である。
(c)送電線。
(d)経年劣化により部分放電が発生する絶縁体により被覆された構成要素。例えば、電子機器における100V以上がかかる電極、電動機の主回路端子モータ、自動車用のモータ、空調機の圧縮機である。
【0015】
放電発生電圧は環境などの条件によって大きく変わるものの、パッシェンの法則又は修正パッシェンの法則以下の電圧となる。なぜならば、パッシェンの法則又は修正パッシェンの法則は電極間に火花放電が発生する電圧を示すものであり、部分放電は火花放電より低い電圧で生じることが知られているためである。
【0016】
《ケーブルに発生する電磁波による異常検出》
(e)例えば、高電圧がかかるケーブル、大電流が流れるケーブル、構造的に振動が加わりやすいケーブルである。
ケーブルに流れる電流を監視することにより、ケーブル自身、又はケーブルが接続された電気機器内部の異常検出を本開示に係る電磁波検出装置が実施する。
本例では、電気機器内部の異常がケーブルに伝搬した後に電磁波として発生するので、ケーブルを電磁波発生源100とみなす。
《半導体装置内部の異常検出》
(f)電磁シールド内部に配置された半導体装置である。
半導体装置内部に発生するサージ電圧を監視することにより、本開示に係る電磁波検出装置により異常検出できる。
【0017】
上記した電磁波発生源100は、電子機器、電気機器、電気機器内の構成要素、電子機器内の構成要素、工場内、発電所、又は変電所に配置される電磁波発生源と工場内、発電所、又は変電所以外に配置される電磁波発生源を含む。
また、本開示において対象とする電磁波は、部分放電により発生する電磁波、ケーブルに異常時に流れる電流により発生する電磁波、及び半導体装置内部のサージ電圧により発生する電磁波を含む。
本開示に係る電磁波検出装置は、上記した電磁波発生源100に対して、部分放電の検出、ケーブルに生じる異常電流又は異常電圧の検出、あるいは半導体装置内部の異常により発生するサージ電圧を検出する装置である。
【0018】
なお、部分放電により発生する高周波の電磁波に基づく高周波信号、ケーブルに異常時に流れる電流により発生する高周波の電磁波に基づく高周波信号、及び半導体装置内部のサージ電圧により発生する高周波の電磁波に基づく高周波信号を含めて異常時の高周波信号という。
また、以下の説明において、上記した電磁波発生源(a)~(f)を区別して説明する必要がない場合は、電磁波発生源100とし、電磁波発生源100は電磁波発生源(a)~(e)のいずれか、及び、電磁波発生源(a)~(e)と同様の電磁波発生源を対象としている。
【0019】
[第1の空間A]
第1の空間Aは電磁波発生源100が配置された空間。
第1の空間Aは、例えば次に示す(a)から(e)を対象とする。
(a)電子機器内において、導体板又は電磁波の伝搬を妨げる電波吸収シート、あるいは半導体装置が電磁波発生源となる場合に半導体素子が実装されるプリント基板のグラウンド面などの導体などを仕切り板200として隔たれ、電磁波発生源100が配置された空間。
(b)半導体装置を覆う電磁シールドの内部である空間。
(c)電磁波発生源100が配置された工場内、発電所、又は変電所内における、電磁波発生源100が配置された一室。仕切り板200は一室を区切り、例えば壁である。
【0020】
(d)電磁波発生源100が配置された閉空間。仕切り板200は閉空間を構成するための、例えば筐体などの一部である。
なお、電子機器の内部から電子機器の外部に向かって電源線又は通信線などの金属のケーブルが筐体から引き出されるため、ケーブルに重畳する形で電子機器の外部から電子機器の内部に電磁波が侵入することもある。このような場合でも、本開示は閉空間を構成する筐体とする。
【0021】
(e)電磁波発生源100が配置された開空間。開空間は電磁波発生源100以外の他からの電磁波の一部が侵入される空間であっても良い。仕切り板200は、電磁波発生源100が配置されていない第2の空間Bとを区切り、第1の空間Aから第2の空間Bへの電磁波の伝搬を減衰させる板である。
要するに、第1の空間Aは、上記した(a)~(e)を含み、第1の空間Aから第2の空間Bへの電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板200により区切られ、電磁波発生源100が配置された空間である。
【0022】
[第2の空間B]
第2の空間Bは第1の空間Aと仕切り板200により区切られ、電磁波発生源が存在しない空間。
第2の空間Bは、例えば次に示す(a)から(e)を対象とする。
(a)電子機器内において、導体板又は電磁波の伝搬を妨げる電波吸収シート、あるいは半導体装置が電磁波発生源となる場合に半導体素子が実装されるプリント基板のグラウンド面などの導体などを仕切り板200として第1の空間Aと隔たれ、電磁波発生源が存在しない空間。
(b)半導体装置を覆う電磁シールドの外部の空間。
(c)電磁波発生源100が配置された工場内、発電所、又は変電所内における、仕切り板200により第1の空間Aと隔たれ、電磁波発生源が存在しない一室。
【0023】
(d)仕切り板200により第1の空間Aと隔たれ、電磁波発生源100が存在しない閉空間。
(e)仕切り板200により第1の空間Aと隔たれ、電磁波発生源100が存在しない開空間。開空間は電磁波発生源100以外の他からの電磁波の一部が侵入される空間であっても良い。
要するに、第2の空間Bは、上記した(a)~(e)を含み、第1の空間Aから第2の空間Bへの電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板200により区切られ、電磁波発生源100が存在しない空間である。
【0024】
[仕切り板200]
仕切り板200は、例えば次に示す(a)から(f)を対象とする。
仕切り板200は第1の空間Aから第2の空間Bへの電磁波の伝搬を減衰させる。
≪対象≫
(a)電子機器内において、導体板、電波吸収シート、プリント基板のグラウンド面などの導体。
(b)パンチングメタル、ワイヤーで構成されたメッシュ構造。
(c)金属板、一部に穴が形成された金属板、又は一部に空気を含む誘電体を有する金属板などの導体板。
【0025】
(d)少なくとも一部に導電体を有する誘電体。
例えば、誘電体に導電体のメッキが施されているもの、導電体に樹脂を含む誘電体でコーティングしているもの、誘電体と導電体が分離されていてネジやボルト、接着剤などで勘合しているものである。
(e)半導体装置を覆う電磁シールド。
例えば、電磁シールドを直接半田付けしてプリント基板に接続するもの、オンボードコンタクト又はオンボードクリップなどを介してシールド板とプリント基板を接続したものである。
(f)工場内、発電所、又は変電所内における第1の空間Aと第2の空間Bを区切る電磁波の伝搬を減衰させる遮蔽物。
【0026】
≪形状≫
・平面板。
・曲面板。
・複数回折り曲げられた板状体。
【0027】
≪複数の穴が開いた仕切り板について≫
・カットオフ周波数以下の穴しか空いていない仕切り板200
カットオフ周波数となる穴の大きさは、円形、四角形などの穴の形状によって異なるが、概ね電磁波発生源100が持つ周波数の最大値における波長λに対して、λ/4以下である。
例えば、異常時に発生する電磁波の周波数が300MHzにおいては、波長λが1mであるため、λ/4=0.25m以下の直径となる穴しか空いていない仕切り板200である。
【0028】
・カットオフ周波数電磁波が減衰しにくいカットオフ周波数以上の穴が空いている仕切り板200
当該仕切り板が電子機器の筐体に用いられた場合、電子機器の内部は一般に複数の導体が用いられるため、異常時に発生した電磁波は複数の導体による多重反射により複雑な電磁波の伝搬経路となる機構を有しており、電子機器の筐体外に電磁波が伝搬しにくく、カットオフ周波数以上の穴が空いている仕切り板も、第1の空間Aから第2の空間Bへの電磁波の伝搬が減衰しているため、本開示の仕切り板200の対象である。
【0029】
≪仕切り板の厚さについて≫
仕切り板200が導体板である場合、
表皮効果を考慮する必要があるものの、導体板の厚さが数μm以下と極端に薄いものでなければ十分なシールド特性を有する本開示の仕切り板200の対象である。
一般的な電子機器で用いられる金属板は数μm以下でないため、どのような厚さであっても本開示の仕切り板200の対象である。
【0030】
次に、電磁波発生源100が異常時に発生する電磁波に対する外乱ノイズについて説明する。
第1の空間A及び第2の空間Bに侵入する外乱ノイズは例えば次に示す(a)から(d)である。
(a)テレビ、ラジオ、及び携帯電話などから発生する電磁波。
(b)雷及び静電気などの自然界で発生する電磁波。
(c)電子機器の内部で発生した電磁波発生源100以外からの電磁波。
(d)電子機器の外部で発生し、電子機器の内部に引き込まれる電源線及び通信線経由で伝搬する電磁波。
要するに、異常検出を行う電磁波発生源100以外による電磁波は全て外乱ノイズである。
【0031】
外乱ノイズの周波数が電磁波発生源100の異常時に発生する電磁波の周波数と同じである場合、異常時に発生する電磁波と外乱ノイズの区別が難しい。
すなわち、外乱ノイズが大きい環境においては誤検知及び誤検出を引き起こしやすい。
電磁波発生源100が異常時に発生する電磁波と外乱ノイズの区別は、電磁波発生源100が異常時に発生する電磁波Sに対する外乱ノイズNの比である信号対雑音比(S/N比:Signal-to-Noise ratio)により行える。
すなわち、電磁波発生源が異常時に発生する電磁波Sを検知した場合の受信電圧、受信電流の低下を抑制して、S/N比を大きくでき、誤検知及び誤検出を解消できる。
本開示に係る電磁波検出装置はS/N比を大きくできる。
【0032】
以下に、実施の形態1に係る電磁波検出装置における構成要素である電磁波観測部10と検出部20と測定部30について説明する。
電磁波観測部10は仕切り板200に形成された貫通穴200Aの周壁から離隔して貫通する貫通部11、貫通部11から第1の空間Aへ突出し、電磁波発生源100からの電磁波を受信する突出部12、及び貫通部11から第2の空間Bに延在する延在部13を有する金属線を具備し、第2の空間B側に位置する一端部が、接地電位となる接地点300に接続される。
【0033】
その結果、金属線10において、突出部12から貫通部11及び延在部13を介して接地点に至る。
なお、金属線10の接地点として仕切り板200における導体部に接地点300を設けることは望ましい。
これは、電磁波発生源100により金属線10と仕切り板200との間に電位差が発生するため、この電位差で生じる高周波の電流または電圧の検出が可能となるためである。
このように仕切り板200に接地点を設けると突出部12と仕切り板200の間に電気的導通路が形成される。
【0034】
また、仕切り板200における接地点300は、仕切り板200が少なくとも一部に導電体を有する誘電体である場合、導電体との間で電気的導通がある。
仕切り板200が少なくとも一部に導電体を有する誘電体であり、電磁波発生源100を有する電気機器又は電子機器である装置を対象とした場合においても、仕切り板200の導電体と電気機器又は電子機器である装置の筐体の金属部との間で電気的導通がある。
【0035】
なお、以下の説明において、電磁波観測部10を金属線10として説明する。
実施の形態1において、仕切り板200を、説明の煩雑さを避けるため、導体板200として説明する。但し、仕切り板200は導体板に限られるものではなく、上記に例示した仕切り板200のいずれもが適用可能である。
【0036】
金属線10は絶縁体で覆われた被覆線又は裸線である。
被覆線を用いると、不慮の事故で電子機器と接触することによる、電子機器の破壊、誤動作、短絡事故、又は地絡事故を防げる。電子機器と接触する可能性がない場合、金属線10に大きな電流及び大きな電圧がかからないため、裸線でも一向にかまわない。
【0037】
金属線10に大きな電流が流れることはなく、金属線10と導体板200の間に大きな電圧がかかないので、定格電流及び定格電圧を考慮する必要はなく、引き回しがしやすく、柔らかく細い被覆線を用いるのが望ましい。
例えば、直径1mm以下の金属線10を用いると、柔らかく、引き回しを容易にすることができる。ただし、形状を固定したい場合及び金属線10自体で形状を維持したい場合には変形しにくい直径の大きいもの、又は形が崩れにくい被覆を持つ金属線を用いるのが良い。
【0038】
導体板200の貫通穴200Aは、金属線10の太さ以上の直径を持つ。
貫通穴200Aは導体板200の中心部にある必要は必ずしもなく、導体板200の端部にあっても構わない。
金属線10は貫通部11と突出部12と延在部13を有する。
【0039】
金属線10の貫通部11は導体板200の貫通穴200Aを接触しないように貫き、敷設される。
金属線10の突出部12は導体板200と導通しないように、つまり、導体板200の表面から距離を離して接触しないように敷設する。
金属線10の突出部12は第1の空間Aに配置された電磁波発生源100からの電磁波を受信する受信部として機能する。
【0040】
金属線10の突出部12は貫通穴200Aから少しでも飛び出た構造であれば良く、例えば1mmでも飛び出ていれば良い。
突出部12を有する金属線10を用いることにより、金属線10が無い場合に比べるとS/N比を向上させることができる。
【0041】
部分放電による電磁波の周波数、ケーブルの異常検出が行われる際の電磁波の周波数、及び半導体装置内部の異常検出が行われる際の電磁波の周波数は1MHz~1GHzの周波数範囲内であるので、金属線10の突出部12の長さは1MHz~1GHzの周波数の電磁波に対応した長さである。
なお、1GHz以上の周波数の電磁波に対しては共振させるには金属線10の突出部12の長さを2分の1波長以上である0.15m以下が望ましく、1MHz以下の周波数の電磁波に対しては金属線10の突出部12の長さを2分の1波長以上である150m以上が望ましい。
【0042】
ただし、後に説明する回路素子により波長短縮が可能であるため、上記の長さよりも短くすることは可能であり、例えば1MHzにおいても磁性体を用いたコイルを回路素子に用いることで1.5m以下にすることも可能である。
また、放電源に近づけられることができる場合には共振を起こす必要はないため、金属線を短くすることができる。放電源と突出部が電界結合する際には2分の1波長よりも短い距離、例えば1mmでも飛び出ていれば1MHzの場合も1GHzの場合においても部分放電を検出することができる。
【0043】
金属線10の突出部12は電磁波発生源100の近く、具体的には電磁波発生源100から金属線10までの最短距離を0.3m以内に敷設するのが望ましい。
金属線10の突出部12を0.3m以内に敷設することにより、電磁波発生源100からの異常時の電磁波が弱くとも、受信強度が良く、高いS/N比を得ることができる。
金属線10の突出部12は、電磁波発生源100の電磁波を受信するために、電磁波発生源100と並走する長さを長くとることが望ましい。
【0044】
電磁波発生源100であるケーブルに流れる異常電流又は異常電圧を監視する場合、異常時に生じる高周波信号の強度及び周波数によっても変わるものの、突出部12における電磁波の受信部とケーブルとの間の距離を10mm以下、望ましくは1mm以下にする。
その結果、高いS/N比でケーブルの異常検出が可能となる。
特に、高電圧がかかるケーブル、大電流が流れるケーブル、構造的に振動が加わりやすいケーブル、コネクタの近傍に、突出部12における電磁波の受信部を配置することが望ましい。
【0045】
電磁波発生源100である電磁シールドで覆われた半導体装置内部におけるサージ電圧を監視する場合、金属線10の突出部12をポリウレタン銅線のように極細の金属線とし、半導体装置を覆う電磁シールド内部に突出部12を配置する。
その結果、電磁シールドで覆われた半導体装置内部におけるサージ電圧による異常を、サージ電圧による電磁波を突出部12が受信し、受信した電磁波に基づく電流が貫通部11及び延在部13に流れることにより、電磁シールドの外部により観測することができる。
【0046】
第1の空間Aに、各電磁波発生源100間の距離が短い複数の電磁波発生源100が配置されている場合、金属線10の突出部12を複数の電磁波発生源100の近くに配置し、金属線10の突出部12が複数の電磁波発生源100からの電磁波を検知、観測するものであってもよい。
この場合、複数の電磁波発生源100の内、異常を発生した電磁波発生源100の正確な位置を推測し難い面はあるが、複数の電磁波発生源100に対しての異常の検出、観測を行える。
【0047】
金属線10の延在部13は導体板200と導通しないように、つまり、導体板200の裏面から距離を離して接触しないように敷設する。
金属線10の延在部13は、一端部に導体板200における接地点300に電気的に接続される接点を有する。
金属線10の延在部13は、貫通部11から接点まで一定の長さを有し、突出部12により受信した電磁波に基づく電流が接点を介して接地点300へ流れ、流れる電流又は流れる電流により放射される電磁波により、異常時の高周波信号を検知する観測部として機能する。
【0048】
金属線10の延在部13の長さが長いと、電磁波発生源100からの異常時の電磁波の周波数が高い場合、金属線10の延在部13が持つ残留インダクタンス(太さ及び材質によっても変わるが約1nH/mmである)のため、突出部12が受信した電磁波発生源100からの異常時の電磁波による電流が延在部13を流れにくくなるため、金属線10の長さを短くするのが望ましい。
【0049】
検出部20に、延在部13から放射される電磁波を受信するアンテナを用いた場合、延在部13の引き回しを短くすると、アンテナが延在部13からの電磁波を受信し難くなるため、貫通部11から接点までの長さを0.1m以上とするのが望ましい。
一方、検出部20に、延在部13に流れる電流を検出する、電流プローブ(CT:Current Transformer)などの電流センサを用いた場合、電流センサが延在部13に取り付けられれば良く、延在部の長さは最短、つまり、貫通部11から接点までの長さが電流センサを取り付けるための長さでよい。
【0050】
金属線10の延在部13の一端部における接点は、使用期間内に導体板200における接地点300の電気的な接続が外れないこと、及び腐食をしないものであればよい。
例えば、はんだ付け及び溶接による接合、銅テープによる接合、導電性の接着剤による接合、及び圧着工具による接合の場合、接点は延在部13の一端部に接地点300と電気的に接続される接合部である。
ボルトとナットとによる接合の場合は、接点は延在部13の一端部に接地点300と電気的に接続される、ボルトが貫通する接続端子である。
コネクタによる接合の場合は、接点は延在部13の一端部に接地点300と電気的に接続されるコネクタである。
【0051】
貫通部11の周面と貫通穴200Aの周壁面との距離、突出部12の周面と導体板200の表面との距離、及び延在部13の周面と導体板200の裏面との距離は、それぞれ5mm以上、望ましくは10mm以上とするのが良い。
金属線10を導体板200から5mm以上離すことにより、金属線10と導体板200との間に生じる寄生成分により突出部12により受信した電磁波に基づく電流が導体板200に流れるのを抑制する。
【0052】
すなわち、突出部12により受信した電磁波に基づく電流が小さくなるのを抑制し、S/N比の低下を防げる。
なお、貫通部11の周面と貫通穴200Aの周壁面との距離は、金属線10として被覆線を用い、被覆線の絶縁体の厚さを1mm以上とするのが好ましい。
【0053】
検出部20は第2の空間Bに配置され、電磁波観測部10により検知、観測された電磁波を検出し、電磁波検出信号として出力する。
検出部20は、電磁波発生源100からの異常時の電磁波による電流が金属線10に重畳された高周波信号を受信して電磁波観測部10により検知、観測された異常時の電磁波を、金属線10に対して非接触の状態で検出する電磁波検出センサである。
ここで言う高周波信号は、金属線10に重畳された異常時の電磁波による電流、電圧、金属線10に重畳された電流に伴って生じる電界、磁界のいずれかに基づく信号である。
【0054】
電磁波検出センサは、バイコニカルアンテナなどのアンテナを含む電磁界センサ、又は電流センサである。
但し、検出部20としてアンテナ及び電流センサに限られるものではない。
なお、アンテナ及び電流センサは検出部20における検知部として機能する。
例えば、測定部30を構成する測定器に接続する測定用金属線を金属線10における延在部13に並走させ、測定用金属線を検出部20における検知部としてもよい。この場合、測定用金属線に金属線から放射される電磁波に基づく高周波信号が重畳された電流が測定用金属線に流れる。
また、間接的に高周波信号を検出する、電子を観測するセンサ、高周波信号に反応するフィルム、又は高周波信号を熱に変換する磁性シート等を検出部20における検知部としてもよい。
金属線10に重畳された異常時の電磁波による高周波信号の周波数が1MHz以下と低周波の場合にはホール素子、あるいは巨大磁気抵抗効果(GMR)又はトンネル磁気抵抗効果(TMR)を用いた素子を検出部20に用いてもよい。
【0055】
金属線10の延在部13と非接触にして延在部13による高周波信号を検知する、アンテナ又は電流センサなどの非接触センサを検出部20として用いることにより、金属線10と非接触センサとの間の直接的な電気的接続が無いため、金属線10は電磁波検出装置内の種々の回路と直接的な電気的接続がなく、電磁波発生源100から金属線10及び検出部20の非接触センサを介して電磁波検出装置の電源(図示せず)に至る経路による短絡事故及び地絡事故を防ぐことができる。
【0056】
テレビ、ラジオ、及び携帯電話などで用いられる信号の周波数帯域は信号強度が強い。
従って、検出部20は出力部にフィルタ、特にバンドパスフィルタを設け、テレビ、ラジオ、及び携帯電話などで用いられる信号の周波数帯域をカットすることにより、電磁波発生源100からの異常時の電磁波に基づく高周波信号に対し、高いS/N比により電磁波発生源100からの異常時の電磁波を検出できる。
その結果、外乱ノイズによる誤検出を低減することができる。
なお、フィルタは検出部20の出力部ではなく、測定部30の入力部に設けてもよい。
【0057】
測定部30は、検出部20からの電磁波検出信号が同軸ケーブル40を介して入力され、入力された電磁波検出信号を監視し、電磁波発生源100からの異常時の電磁波を抽出することにより、電磁波発生源100における異常を監視する測定器である。
測定部30は、検出部20からの電磁波検出信号に信号強度が強い熱的な外乱ノイズが重畳されている場合、入力部にプリアンプを設け、検出部20からの電磁波検出信号を増幅することにより、電磁波発生源100からの異常時の電磁波に基づく高周波信号に対し、高いS/N比により電磁波発生源100からの異常時の電磁波を検出できる。
その結果、外乱ノイズによる誤検出を低減することができる。
【0058】
測定部30は、外乱ノイズが検出されるタイミングが分かっている場合には、外乱ノイズが検出されるタイミングが入力され、当該タイミングにおいて、検出部20から受信した電磁波検出信号に対して信号処理を行い、外乱ノイズを低減しても良い。
この場合、外乱ノイズが低減されることにより、S/N比が向上し、結果として、外乱ノイズによる誤検出を低減することができる。
【0059】
外乱ノイズが検出されるタイミングが分かる場合は、例えば、電磁波発生源100を有する装置が商用電源で駆動している場合、電磁波発生源100から商用電源に比例したタイミングにより外乱ノイズが発生する。
また、電磁波発生源100を有する装置の内部の信号により、特定の周波数、例えば装置内部のCPUの動作周波数に従い、電磁波発生源100から特定の周波数に比例したタイミングにより電磁波、つまり外乱ノイズが発生する。
電磁波発生源100を有する装置が放電加工機である場合、電磁波発生源100から放電加工機が放電するタイミングに電磁波、つまり外乱ノイズが発生する。
【0060】
要するに、上記に例示した場合など、電磁波発生源100から発生する外乱ノイズの周波数特性及び周期性を環境ノイズとして把握できるので、把握した環境ノイズに関する情報を測定部30に入力することにより、測定部30が信号処理によって当該環境ノイズを除去でき、当該環境のいずによる誤検出を減らすことができる。
【0061】
測定部30は、電磁波発生源100からの異常時の電磁波による電流が金属線10に重畳された高周波信号の特性に合わせて選択される。
測定部30は、オシロスコープなどの時間波形を取得する測定器、スペクトラムアナライザなどの周波数特性を測定する測定器、又はリアルタイムスペクトラムアナライザなどの帯域幅の周波数の時間波形をリアルタイムで測定する測定器である。
時間波形を取得する測定器は、電子機器の経年劣化による初期における部分放電が断続的であるため、初期における部分放電による電磁波を測定、検出する場合に適している。
【0062】
周波数特性を測定する測定器は、ダイナミックレンジが広いので、連続的で繰り返し同じ波形が得られる、つまり再現性が高い電磁波を測定、検出する場合に適している。
スペクトラムアナライザを用いる場合、取り逃しを防ぐために、繰り返し測定して各周波数での最大値を計測していく方法であるマックスホールドを用い、数回の周波数掃引をして測定するのがよい。
【0063】
周波数の時間波形をリアルタイムで測定する測定器は、部分放電における放電時の周波数帯域が予測できている場合において、部分放電による電磁波を測定、検出する場合に適している。
リアルタイムスペクトラムアナライザは所望の帯域幅の周波数の時間波形をリアルタイムで測定することができ、パルス状の信号及び連続的な信号など、様々な信号を測定するのに優れている。
【0064】
測定部30は、信号強度だけが必要な場合、及び特定の周波数信号のみを取得すれば良い場合には、電力計(パワーメータ)、ピークホールド回路、あるいはA/Dコンバータとコンパレータを組み合わせた電気回路のより簡易な測定器でも良い。
【0065】
次に、実施の形態1に係る電磁波検出装置における異常検出について説明する。
第1の空間Aに配置された電磁波発生源100に近接して配置された金属線10における突出部12は、常時、電磁波発生源100から放射される電磁波を受信し、当該電磁波を監視、観測している。
電磁波発生源100から放射される電磁波を受信した突出部12は、受信した電磁波に応じた電流を発生し、電流が突出部12から貫通部11、延在部13、及び接点を介して導体板200の接地点300に流れる。
【0066】
金属線10の延在部13に流れた電流を検出部20が常時監視し、検出部20が同軸ケーブル40を介して監視した結果である電磁波検出信号を測定部30に出力する。
測定部30は検出部20からの電磁波検出信号を監視して測定し、測定結果を表示部に表示する。
電磁波発生源100から放射される電磁波に部分放電などによる異常時の電磁波が重畳されている場合、測定部30による測定結果は設定した閾値を超えた結果を示す。
測定部30による測定結果は設定した閾値を超えた時に警報を発するようにしてもよい。
【0067】
実施の形態1に係る電磁波検出装置が絶縁体の経年劣化による部分放電に基づく異常検出を行っている場合について説明する。
部分放電自体は電極間で発生するものではないため電極間のインピーダンスに影響されにくい。しかし、部分放電が進行することで電極間のインピーダンスが小さくなり、電極間の放電である火花放電又はフラッシュオーバーが発生する。
【0068】
火花放電又はフラッシュオーバーが電極間に発生すれば短絡事故になる。また、電極と対地間に火花放電又はフラッシュオーバーが発生すれば地絡事故である。
短絡事故及び地絡事故両者とも火花が出て、火花が絶縁体等に燃え移ることによって大事故につながる危険がある。
遮断器が正常に動作する場合においても周辺機器を含めた装置全体が停止するため、甚大な被害が出やすい。
さらに、ケーブルに繋がる外部の電子機器に対して誤動作又は破壊を起こす危険がある。
実施の形態1に係る電磁波検出装置は、劣化初期の部分放電の段階で発見することができ、大きな事故を未然に防ぐことができる。
【0069】
また、電磁波発生源100が配電盤又は空調機などの大きな電圧及び大きな電流が流れる環境において、配電盤又は空調機の電源の動作周波数に応じて周期的に変化する強い強度の電界又は磁界が生じる。
この強い電界又は磁界が生じる環境に金属線10の突出部12が配置され、もし、突出部12に電荷が蓄積されていると、周期的に変化する電界又は磁界によって突出部12にローレンツ力が働き、突出部12が伸び縮みを繰り返し、突出部12に金属疲労が起こることがある。
【0070】
実施の形態1に係る電磁波検出装置における金属線10は延在部13の端部において、導体板200の接地点300に接続されているため、接地点330へ電荷が流れ出すため、突出部12における帯電を防げ、突出部12に電荷がたまり難いので、突出部12にローレンツ力が働き難い。
金属線10を電気的に浮いた状態のものと比較したところ、金属線10の延在部13の端部を接地点300に接続した突出部12に働くローレンツ力は1/10以下であった。
すなわち、本実施の形態1における金属線10は長期間に渡って敷設状態が保持される利点を有する。
【0071】
以上に述べたように、実施の形態1に係る電磁波検出装置は、電磁波発生源100が配置された第1の空間Aと電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板200により区切られた第2の空間Bにおいて、電磁波発生源100からの電磁波を検出する電磁波検出装置であって、仕切り板200に形成された貫通穴200Aの周壁から離隔して貫通する貫通部11、貫通部11から第1の空間Aへ突出し、電磁波発生源100からの電磁波を受信する突出部12、及び貫通部11から第2の空間に延在する延在部13を有する金属線を具備し、第2の空間B側に位置する一端部が接地点300に接続される電磁波観測部10を備えたので、簡易な構造である電磁波観測部10を用いることにより、第1の空間Aに配置された電磁波発生源100からの電磁波の検出を第2の空間Bで実施できる。
【0072】
また、電磁波観測部10における第2の空間B側に位置する一端部が接地点300に接続されているため、金属線に電荷が帯電することを防げ、金属線を長期間に渡って敷設状態に保持できる。
さらに、突出部12を有する金属線を用いることにより、金属線が無い場合に比べるとS/N比を向上させることができる。
【0073】
電磁波観測部10における金属線が導体板200の表面及び裏面と貫通穴200Aの周壁面から5mm以上、好適には10mm以上離れて敷設されるので、金属線と導体板200との間に生じる寄生成分により突出部12により受信した電磁波に基づく電流が導体板200に流れるのを抑制し、当該電流が小さくなるのを抑制できるため、受信感度を高め、S/N比の低下を防げる。
【0074】
電磁波観測部10における金属線が導体板200に形成された貫通穴200Aから1mm以上突出し、電磁波発生源100から金属線10までの最短距離が0.3m以内であるので、電磁波発生源100からの異常時の電磁波が弱くとも、受信強度が良く、高いS/N比を得ることができる。
電磁波発生源100がケーブルである場合、金属線10の突出部12における電磁波の受信部とケーブル又は電磁シールド線の電線との間の距離が10mm以下であるので、高いS/N比を得ることができる。
電磁波発生源100である電磁シールドで覆われた半導体装置内部である場合、電磁波観測部10における金属線の突出部12における電磁波の受信部をポリウレタン銅線のように極細の金属線とし、半導体装置を覆う電磁シールド内部に突出部12を配置するので、受信強度が良く、高いS/N比を得ることができる。
【0075】
検出部20にアンテナ又は電流センサなどの非接触センサを用いると、金属線10の延在部13と非接触センサとの間の直接的な電気的接続が無いため、電磁波観測部における金属線は電磁波検出装置内の種々の回路と直接的な電気的接続がなく、電磁波発生源100から金属線及び検出部20の非接触センサを介して電磁波検出装置の電源に至る経路による短絡事故及び地絡事故を防ぐことができる。
【0076】
実施の形態2.
実施の形態2に係る電磁波検出装置を図2に従い説明する。
実施の形態2に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して電磁波観測部10における金属線の延在部13の一端部に設けられた接点が接続される接地点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図2中、図1に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
また、以下の説明において、電磁波観測部を金属線10として説明する。
【0077】
第1の空間Aと第2の空間Bとを区切る仕切り板である、貫通穴200Aを有する導体板200に、第2の空間B側に連続して形成された第2の導体板202に接地点301を有する。
金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が第2の導体板202における接地点301に電気的に接続される。
金属線10は、突出部12から貫通部11及び延在部13を介して第2の導体板202における接地点301に至る電気的導通路を形成する。
【0078】
このように構成された実施の形態2に係る電磁波検出装置も、実施の形態1に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
なお、第2の導体板202は、導体板200の一辺から直角に折り曲げられた一体構成の導体板でもよく、また、導体板200の一辺に接合され、電気的に接続された別体の導体板でもよい。
導体板200と第2の導体板202との間の直流抵抗は10Ω以下であり、0Ωに近い。
【0079】
実施の形態3.
実施の形態3に係る電磁波検出装置を図3に従い説明する。
実施の形態3に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置において第1の空間A及び第2の空間Bを導電体により囲い、第1の空間A及び第2の空間Bを導体板によって電気的にシールドされた空間とし、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して実施の形態2に係る電磁波検出装置と同様に金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が接続される接地点301が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図3中、図1及び図2に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
また、以下の説明において、電磁波観測部10を金属線10として説明する。
【0080】
第1の空間Aは、仕切り板である、貫通穴200Aを有する導体板200を含む6面の導体板200、201a~201eにより囲われた空間である。
第2の空間Bは、仕切り板である、貫通穴200Aを有する導体板200を含む6面の導体板200、202a~202eにより囲われた空間である。
すなわち、第1の空間Aと第2の空間Bとを貫通穴200Aを有する導体板200により区切り、第1の空間A及び第2の空間Bは、貫通穴200Aを除いて導体板によって完全に囲まれている。
【0081】
金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が第2の導体板202aにおける接地点301に電気的に接続される。
金属線10は、突出部12から貫通部11及び延在部13を介して第2の導体板202aにおける接地点301に至る電気的導通路を形成する。
【0082】
検出部20におけるバイコニカルアンテナなどのアンテナを含む電磁界センサ又は電流センサの電磁波検知センサは、金属線10における延在部13に近接して第2の空間に配置され、電磁波観測部10により検知、観測された電磁波を検知し、検出部20は電磁波検出信号として出力する。
測定部30は、第1の空間A及び第2の空間Bとは異なる別の空間に配置され、検出部20からの電磁波検出信号が同軸ケーブル40を介して入力される。
【0083】
第1の空間A及び第2の空間Bは、貫通穴200Aを除いて導体板によって完全に囲まれているため、第1の空間Aに配置された電磁波発生源100からの電磁波は非常に強度が弱い。
貫通穴200Aの径が電磁波発生源100からの異常時の電磁波におけるカットオフ周波数であると、貫通穴200Aを介して第1の空間Aから第2の空間Bへエバネッセント波として漏れ出るものの、第1の空間A及び第2の空間Bはシールドされた空間と見做される。
また、貫通穴200Aの径が電磁波発生源100からの異常時の電磁波におけるカットオフ周波数の1/10波長以下であると、第1の空間A及び第2の空間Bは完全にシールドされた空間と見做される。
【0084】
このように、第1の空間Aから第2の空間Bへの電磁波発生源100からの電磁波が非常に弱い、又は完全にカットオフされていても、実施の形態3に係る電磁波検出装置は、金属線10の突出部12が電磁波発生源100の電磁波を電磁波の強度が低下することなく受信し、受信した電磁波に応じた電流が突出部12から貫通部11を介して延在部13に流れるため、第2の空間Bにおいて電磁波発生源100からの電磁波を検知、観測できる。
【0085】
このように構成された実施の形態3に係る電磁波検出装置も、実施の形態1に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
電磁波発生源100が配置される第1の空間Aを導体板によって電気的にシールドされた空間としたので、電磁波発生源100からの電磁波が、第1の空間Aを構成する導体板で多重反射して金属線10の突出部12に重畳されるため、金属線10の突出部12における受信感度が高まる。
なお、第1の空間A及び第2の空間Bともに閉空間としたが、第1の空間A及び第2の空間Bは必ずしも閉空間である必要はなく、電磁波の一部が侵入できる開空間であってもよい。
【0086】
実施の形態4.
実施の形態4に係る電磁波検出装置を図4及び図5に従い説明する。
実施の形態4に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置において、検出部20を受信アンテナの一例であるバイコニカルアンテナとし、測定部30をスペクトラムアナライザとし、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して実施の形態2に係る電磁波検出装置と同様に金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が接続される接地点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図4中、図1から図3に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
また、電磁波観測部10を金属線10とし、検出部20にバイコニカルアンテナ20を用い、測定部30をスペクトラムアナライザ30として説明する。
【0087】
バイコニカルアンテナ20は金属線10の延在部13に近接して敷設され、バイコニカルアンテナ20の出力による電磁波検出信号は同軸ケーブル40を介してスペクトラムアナライザ30に入力される。
【0088】
次に、実施の形態4に係る電磁波検出装置において、電磁波発生源100からの電磁波に対する受信感度を検証した。
第1の空間A及び第2の空間Bともにシールドルームとし、第1の空間A及び第2の空間Bを区切る仕切り板200に、電磁波の最大周波数を300MHzとした場合の1/4の波長に相当する0.25m以下の直径の貫通穴200Aを形成した。
【0089】
検証に用いた電磁波発生源100として10MHz間隔で電磁波を発生する1Wのコムジェネレータを使用した。コムジェネレータは50MHz~300MHzの範囲でほぼ一定の出力電圧を出力する。
コムジェネレータの出力端子(同軸端子の芯線)に20cmのケーブルの一端を取り付け、コムジェネレータに接続しない側のケーブルの他端は開放端とした。
【0090】
金属線10は1mとし、金属線10の突出部12における受信部はコムジェネレータの出力端子に接続されたケーブルと20cmの間隔で並設した。
金属線10の延在部13は鉛直に30cm伸ばし、先端に圧着端子を取り付け、第2の空間Bを形成するシールドルームの床における接地点301にボルトで接続した。
バイコニカルアンテナ20は金属線10の延在部13に対して水平方向に50cm離して配置した。
バイコニカルアンテナ20の出力端とスペクトラムアナライザ30の入力端が3mの同軸ケーブル40により接続される。
【0091】
このように構成し、コムジェネレータ100から放射された電磁波の周波数に対する受信強度をスペクトラムアナライザ30により測定した結果を図5に示す。
図5において、横軸はコムジェネレータ100から放射された電磁波の周波数、縦軸は受信強度を示す。
図5において、10MHz間隔で示されている薄墨で示す棒線Aが実施の形態4に係る電磁波検出装置における受信強度を示す。
図5において濃い薄墨で示す波線Bが、比較のために金属線10を外した比較例を測定した測定結果を示す。
比較例は金属線10を外した以外は実施の形態4に係る電磁波検出装置と同じ条件で検証した。
【0092】
比較例の測定結果において、周波数が90MHzでコムジェネレータの一部の信号を受信して振幅が-74dBmを示すものの、50MHz~300MHzの範囲略全域において振幅は受信感度が測定限界である-80dBmの±3dBmの範囲である。
この測定結果は、貫通穴200Aを介して第1の空間Aから第2の空間Bへエバネッセント波として漏れ出たものを検出した結果と考えられる。
【0093】
これに対して、実施の形態4に係る電磁波検出装置の測定結果において、50MHz~300MHzの範囲略全域において振幅は-70dBm以上である。
実施の形態4に係る電磁波検出装置は、この検証結果から明らかなように、50MHz~300MHzの範囲略全域において受信感度が10dBm以上向上しており、特に、80MHz帯域においては-50dBm以上の大きな電圧が受信できるという効果を有する。
【0094】
実施の形態5.
実施の形態5に係る電磁波検出装置を図6に従い説明する。
実施の形態5に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置において、検出部20を電流センサの一例である電流プローブとし、測定部30をスペクトラムアナライザとし、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して実施の形態2に係る電磁波検出装置と同様に金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が接続される接地点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図6中、図1から図4に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
また、以下の説明において、電磁波観測部10を金属線10とし、検出部20を電流プローブとし、測定部30をスペクトラムアナライザ30として説明する。
【0095】
電流プローブ20は金属線10の延在部13に取り付けられ、延在部13に流れる電流を検出し、電流プローブ20の出力である当該電流に基づく電磁波検出信号が同軸ケーブル40を介してスペクトラムアナライザ30に入力される。
【0096】
実施の形態5に係る電磁波検出装置において、実施の形態4に係る電磁波検出装置と同様に電磁波発生源100からの電磁波に対する受信感度を検証したところ、図5に示す10MHz間隔で示されている薄墨で示す棒線Aと同様の測定結果が得られた。
実施の形態5に係る電磁波検出装置も、50MHz~300MHzの範囲略全域において受信感度が10dBm以上向上しており、特に、80MHz帯域においては-50dBm以上の大きな電圧が受信できるという効果を有する。
【0097】
実施の形態6.
実施の形態6に係る電磁波検出装置を図7に従い説明する。
実施の形態6に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置において、間に第3の空間Cが介在する対向配置された2枚の導電体210、220により構成される点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図7中、図1から図6に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
また、以下の説明において、電磁波観測部10を金属線10として説明する。
【0098】
導電体210は電磁波発生源100が配置される第1の空間Aと第3の空間Cとを区切り、金属線10の貫通部11が貫通する貫通穴210Aを有する。
導電体220は電磁波検出装置が配置される第2の空間Bと第3の空間Cとを区切り、金属線10の貫通部11が貫通する貫通穴220Aを有する。
導電体220は金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が接続される接地点300を有する。
【0099】
導電体210と導電体220は対向配置され、貫通穴210Aと貫通穴220Aも対向した位置に形成される。
なお、導電体210と導電体220は必ずしも対向配置される必要はなく、また、貫通穴210Aと貫通穴220Aも対向した位置に形成される必要はない。
このように構成された実施の形態6に係る電磁波検出装置も、実施の形態1に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
【0100】
実施の形態7.
実施の形態7に係る電磁波検出装置を図8に従い説明する。
実施の形態7に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して、測定部30が第2の空間Bと電磁波の伝搬を減衰させる第2の仕切り板230により区切られ、第1の空間A及び第2の空間Bとは異なる第4の空間Dに配置され、実施の形態2に係る電磁波検出装置と同様に金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が接続される接地点301が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図8中、図1から図7に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
また、電磁波観測部10を金属線10として説明する。
【0101】
第2の仕切り板230は、検出部20のアンテナの出力端と測定部30であるスペクトラムアナライザの入力端とを接続する同軸ケーブル40が貫通する貫通穴230Aを有する。
測定部30は、第2の仕切り板230により区切られ、第1の空間A及び第2の空間Bとは異なる別の空間である第4の空間Dに配置され、検出部20からの電磁波検出信号が同軸ケーブル40を介して入力される。
【0102】
このように構成された実施の形態7に係る電磁波検出装置も、実施の形態1に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
さらに、金属線10の延在部13、及び延在部13から放射される電磁波を受信するアンテナ20が配置される第2の空間Bと、スペクトラムアナライザ30が配置される第4の空間Dと分けることによって、スペクトラムアナライザ30が発する電磁波、並びにスペクトラムアナライザ30の駆動に必要な電源線及び信号線に重畳する外乱ノイズが第2の空間Bに配置される金属線10の延在部13及びアンテナ20に影響を与えることはない。
【0103】
なお、検出部20に用いられるものはアンテナに限られるものではなく、実施の形態1において例示した電磁界センサ又は電流センサでもよい。
また、測定部30はスペクトラムアナライザに限られるものではなく、実施の形態1において例示したオシロスコープ、又はリアルタイムスペクトラムアナライザでもよい。
【0104】
実施の形態8.
実施の形態8に係る電磁波検出装置を図9に従い説明する。
実施の形態8に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して、電磁波観測部10が金属線の延在部13の一端と接地点との間に接続される受動素子回路14を具備し、電磁波観測部10の一端部、つまり、受動素子回路14の他方の端子が接続される接地点301が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図9中、図1から図8に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0105】
電磁波観測部10は金属線と受動素子回路14を有する。
受動素子回路14は2つの端子を有し、一方の端子が金属線の延在部13の一端と接続され、他方の端子が接地点301に接続される。受動素子回路14の他方の端子と接地点301との接続は直接でもよく、また、金属線を介して接続してもよい。
受動素子回路14は、電磁波観測部10における金属線の延在部13の一端に接続される一方の端子と前記接地点に接続される他方の端子との間が直流に対して導通である。
【0106】
受動素子回路14は、抵抗値が1kΩ以下の抵抗又はノーマルモードチョークコイルなどのコイルの受動素子単体でよい。
また、受動素子回路14は、抵抗又はコイルの受動素子を基本として受動素子を組み合わせた回路でもよい。
例えば、受動素子回路14として抵抗又はコイルの受動素子と並列にダイオードを接続した回路としてもよい。
この場合、電磁波観測部10における金属線の突出部12の受信感度が高い場合、ダイオードによって測定部30に大電圧が印加されることを防ぎ、測定部30を瞬間的に壊すことを防ぐ。
【0107】
また、電磁波発生源100からの異常時の電磁波の周波数特性及び振幅が分かっている場合、電磁波発生源100からの異常時の電磁波の周波数に対して共振する受動素子回路14とする。
この場合、受動素子回路14はノーマルモードチョークコイルとコンデンサを並列接続した共振回路である。
この場合の受動素子回路14を構成する共振回路の共振周波数は、a)電磁波観測部10における金属線の突出部12と電磁波発生源100との離隔距離及び並走距離、b)電磁波観測部10における金属線の全長、c)電磁波観測部10における金属線と導体板200との間に生じる寄生成分による容量、d)受動素子回路14を構成する共振回路の回路トポロジー及び回路定数により選択される。
【0108】
このように受動素子回路14を条件に合った共振周波数を有する共振回路とすることにより、受動素子回路14の両端子間のインピーダンスを非常に大きくでき、受動素子回路14の両端子間の電圧が大きくなる。
また、直流又は直流に近い例えば商用周波数である50Hz又は60Hzなどの低周波の信号に対しては、コイルのインピーダンスが低いため、突出部12で検出した低周波の信号は接地点301に流れるため、強電界又は強磁界の環境に設置しても金属線は帯電しない。
【0109】
その結果、検出部20としてハイインピーダンスプローブを用い、ハイインピーダンスプローブが受動素子回路14の両端子間の大きな電圧を受信電圧として得ることができ、ハイインピーダンスプローブから高感度の電磁波検出信号を出力できる。
さらに、受動素子回路14を構成する共振回路の共振周波数以外の周波数に対しては、受動素子回路14の両端子間のインピーダンスが低く、受動素子回路14の両端子間に共振周波数以外の周波数による電圧が現れ難く、誤検出を防ぐことができる。
【0110】
電磁波発生源100からの異常時の電磁波の周波数が10MHz以下である場合を対象とする場合、受動素子回路14は1kΩ程度の抵抗とノーマルモードチョークコイルとの直列回路である。
抵抗が直列に入り電子の流れを妨げるため、抵抗がない時よりも帯電しやすいため、強電界又は強磁界では使えないが、少しずつ電荷が抵抗を通して流れていくため、比較的電界及び磁界の弱い領域で使用することができる。
また、抵抗があることによって低い周波数(例えば、100kHz以下)で高いインピーダンスを得ることができるため、異常時に発生する周波数が低い場合に有効である。
この場合も、検出部20としてハイインピーダンスプローブを用いることができ、電磁波発生源100からの異常時の電磁波の周波数が低周波であってもハイインピーダンスプローブから高感度の電磁波検出信号を出力できる。
【0111】
検出部20は実施の形態1において例示した非接触センサである電磁界センサ又は電流センサでもよい。
実施の形態8においては、電磁波観測部10が受動素子回路14を具備したことにより、検出部20が受動素子回路14の両端子間の電圧を測定することにより、電磁波観測部10により検知、観測された電磁波を検出し、電磁波検出信号として測定部30に出力できる。
【0112】
この場合の検出部20は、 電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)プローブなどのアクティブプローブ、又はハイインピーダンス仕様のパッシブプローブなどの高い入力インピーダンスを持つプローブによる接触センサを用いる。
検出部20としてプローブによる接触センサを用いることにより、受動素子回路14の両端子間の電圧の測定を精度高く実施できる。
なお、検出部20として光絶縁プローブを用いることもできる。
【0113】
また、検出部20として同軸ケーブルを用いることができる。
検出部20としての同軸ケーブルにおいて、同軸ケーブルの芯線を受動素子回路14の一方の端子と測定部30の入力端との間に接続し、同軸ケーブルの外導体を受動素子回路14の他方の端子又は接地する導体に接続する。
なお、同軸ケーブルの芯線を受動素子回路14の他方の端子と測定部30の入力端との間に接続し、同軸ケーブルの外導体を受動素子回路14の一方の端子に接続してもよい。
【0114】
検出部20としての同軸ケーブルにより、受動素子回路14の両端子間の電圧を測定でき、電磁波検出信号として測定部30に出力できる。
なお、受動素子回路14の両端子間のインピーダンス、例えば、10MHzでのインピーダンスが1kΩに比べて測定部30の内部インピーダンスが十分に低い、例えば50Ωであると、合成容量は略50Ωとなるため、測定部30の前段に入力インピーダンスの大きいオペアンプを接続する。
また、測定部30としてオシロスコープを用いる場合はオシロスコープの入力インピーダンスを1MΩに設定する。
【0115】
このように構成された実施の形態8に係る電磁波検出装置も、実施の形態1に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
また、電磁波観測部10が金属線の延在部13の一端と接地点との間に接続される受動素子回路14を具備しているので、電磁波観測部10を構成する金属線が接地点301に対して低インピーダンスで接続されて金属線への帯電を防げることにより金属線内の帯電量が小さく、その結果、電界及び磁界の変化によるローレンツ力を金属線が受けにくく、金属線及び受動素子回路14の金属疲労が起こりにくいため、金属線が取り付け箇所から長期に渡り外れにくい。
【0116】
さらに、受動素子回路14はノーマルモードチョークコイルとコンデンサを並列接続した共振回路とすることにより、共振回路の共振周波数に対しては検出感度が高く、高いS/N比で電磁波検出信号が得られる。
またさらに、検出部20が受動素子回路14の両端子間の電圧を、検出部20としてプローブである接触センサ用いることにより、受動素子回路14の両端子間の電圧の測定を精度高く実施でき、受信感度の高い電磁波検出信号が得られる。
【0117】
なお、実施の形態8に係る電磁波検出装置は受動素子回路14を用いたものとしたが、電磁波観測部10における金属線の延在部13の一端に接続される一方の端子と接地点に接続される他方の端子の2つの端子を有し、一方の端子と他方の端子との間が直流に対して導通、つまり、両端間を低インピーダンスにすればよいので、受動素子回路14の変わりに、使用時に低インピーダンスにされる能動素子である半導体素子を用いた導通用回路でもよい。
要するに、抵抗又はコイルの受動素子あるいは半導体素子の能動素子である回路素子、さらにはこれら回路素子を組み合わせた回路であり、2つの端子、つまり、金属線の延在部13の一端と接地点301との間のインピーダンスが少なくとも電磁波発生源100からの電磁波における周波数帯域において、金属線のインピーダンスより高いものであればよい。
【0118】
実施の形態9.
実施の形態9に係る電磁波検出装置を図10及び図11に従い説明する。
実施の形態9に係る電磁波検出装置は、実施の形態8に係る電磁波検出装置において、受動素子回路14を受動素子の一例であるノーマルモードチョークコイル単体又は抵抗とし、検出部20にパッシブプローブであるハイインピーダンスプローブを用い、測定部30をスペクトラムアナライザとした。
なお、図10中、図1から図9に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
また、以下の説明において、電磁波観測部10を金属線10とし、検出部20をハイインピーダンスプローブ20とし、測定部30をスペクトラムアナライザ30として説明する。
【0119】
受動素子回路14であるノーマルモードチョークコイル又は抵抗の一方の端子が金属線の延在部13の一端と接続され、ノーマルモードチョークコイル又は抵抗の他方の端子が接地点301に接続される。
ハイインピーダンスプローブ20がノーマルモードチョークコイル又は抵抗の両方の端子に接触される。
ハイインピーダンスプローブ20がノーマルモードチョークコイル又は抵抗の両方の端子間に現れる電圧を電磁波検出信号としてスペクトラムアナライザ30の入力端に同軸ケーブル40を介して出力する。
【0120】
実施の形態9に係る電磁波検出装置において、電磁波発生源100からの電磁波に対する受信感度を検証した。
第1の空間A及び第2の空間Bともにシールドルームとし、第1の空間A及び第2の空間Bを区切る仕切り板200に、電磁波の最大周波数を300MHzとした場合の1/4の波長に相当する0.25m以下の直径の貫通穴200Aを形成した。
【0121】
検証に用いた電磁波発生源100として10MHz間隔で電磁波を発生する1Wのコムジェネレータを使用した。コムジェネレータは50MHz~300MHzの範囲でほぼ一定の出力電圧を出力する。
コムジェネレータの出力端子(同軸端子の芯線)に20cmのケーブルの一端を取り付け、コムジェネレータに接続しない側のケーブルの他端は開放端とした。
ハイインピーダンスプローブ20は50MHz~300MHzを測定可能なハイインピーダンスプローブを用いた。
【0122】
金属線10は1mとし、金属線10の突出部12における受信部はコムジェネレータの出力端子に接続されたケーブルと30cmの間隔で10cmの長さを並設した。
金属線10の延在部13は鉛直に25cm伸ばし、延在部13の一端をノーマルモードチョークコイル又は抵抗の一方の端子に接続した。
ノーマルモードチョークコイル又は抵抗の他方の端子は、一端に圧着端子が取り付けられた金属線の他端に接続され、金属線に一端に取り付けられた圧着端子が第2の空間Bを形成するシールドルームの床における接地点301にボルトで接続され、ノーマルモードチョークコイル又は抵抗の他方の端子を接地点301に金属線を介して接続した。
【0123】
受動素子回路14をノーマルモードチョークコイルとした場合、インピーダンスが35μHのTDK製のSF-T12-30を用いた。
また、受動素子回路14を抵抗とした場合、インピーダンスが50Ωのリード抵抗を用いた。
このように構成し、コムジェネレータ100から放射された電磁波の周波数に対する受信強度をスペクトラムアナライザ30により測定した結果を図11に示す。
【0124】
図11において、横軸はコムジェネレータ100から放射された電磁波の周波数、縦軸は受信強度を示す。
図11において、10MHz間隔で示されている薄墨で示す棒線A1が受動素子回路14としてノーマルモードチョークコイルを用いた場合の実施の形態9に係る電磁波検出装置における受信強度を示す。
図11において濃い薄墨で示す棒線A2が受動素子回路14として抵抗を用いた場合の実施の形態9に係る電磁波検出装置における受信強度を示す。
【0125】
図11に示すように、受動素子回路14としてノーマルモードチョークコイルを用いた場合の実施の形態9に係る電磁波検出装置の測定結果において、50MHz~300MHzの範囲略全域において振幅は-70dBm以上である。
また、受動素子回路14として抵抗を用いた場合の実施の形態9に係る電磁波検出装置の測定結果において、50MHz~300MHzの範囲略全域において振幅は-65dBm以上である。
【0126】
この検証結果から明らかなように、ノーマルモードチョークコイルを用いた場合の実施の形態9に係る電磁波検出装置は、50MHz~300MHzの範囲略全域において受信感度が10dBm以上向上しており、抵抗を用いた場合の実施の形態9に係る電磁波検出装置は、50MHz~300MHzの範囲略全域において受信感度が5dBm以上向上しており、大きな電圧が受信できるという効果を有する。
特に、ノーマルモードチョークコイルを用いるのが好ましい。また、ノーマルモードチョークコイルを用いると、特定の周波数の信号を効率よく受信できる。
なお、抵抗を用いた場合、インピーダンスを50Ωから500Ωに上げることにより、5dBm感度を上げることができる。
【0127】
実施の形態10.
実施の形態10に係る電磁波検出装置を図12及び図13に従い説明する。
実施の形態10に係る電磁波検出装置は、電磁波発生源100としてケーブルを対象とし、ケーブルに発生する電磁波による異常検出を行う電磁波検出装置である。
実施の形態10に係る電磁波検出装置は、電磁波発生源100としてケーブルを対象としたことにより、実施の形態1に係る電磁波検出装置において、電磁波観測部10における金属線の突出部12を特有の構造とし、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して実施の形態2に係る電磁波検出装置と同様に金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が接続される接地点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図12中、図1から図10に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0128】
電磁波観測部10における金属線の突出部12は、図13に示すように、先端部に電磁波発生源100であるケーブルに非接触で複数回巻きつけた巻き付け構造からなる受信部12Aを有する。
巻きつけ構造による巻きつけ回数は、S/N比を考慮し、ケーブル100から外れにくくすると、3周が好ましい。但し、3周に限られるものではなく、必要なS/N比を確保できるのであれば、半周など1周以下の巻き付けであっても良い。
また、受信部12Aとケーブル100との離隔距離は、S/N比が巻き付けの直径には依存しないが、受信部12Aが絶縁破壊する距離、概ね1kV/mmよりも、安全を考慮して絶縁破壊距離の3倍以上離隔するのが望ましい。
【0129】
部分放電及び火花放電などの放電を測定する場合において、部分放電が発生する箇所が概ね分かっていることが多い。
具体的にはケーブルの被覆、ケーブルを保持する碍子、遮断器及びパワー半導体装置等のスイッチ機構を持つ箇所が経年劣化によって部分放電を発生させることが多い。
このように発生した部分放電は、部分放電が発生しやすい箇所と電気的に接続されている配線、ケーブル、バスバー、又はバスダクトなどの導体に伝搬する。
【0130】
実施の形態10に係る電磁波検出装置は、部分放電が発生しやすい箇所と電気的に接続されている配線、ケーブル、又はバスバーなどの導体を電磁波発生源100とし、導体に巻きつけ構造の受信部12Aを突出部12に設けて導体から放射される電磁波を検出するものである。
なお、本開示では、配線、ケーブル、バスバー、及びバスダクトを総称してケーブルという。
【0131】
すなわち、実施の形態10に係る電磁波検出装置は、ケーブルを電磁波発生源100として電磁波発生源由来の信号を受信することができる。
しかも、測定対象に対する導体に巻きつけ構造の受信部12Aを設けているため、ケーブルから放射される電磁波に対する受信感度が高く、測定対象に対する導体から受信する電磁波に対する外乱ノイズのS/N比が高いため、測定対象とは別に異なる電磁波発生源が存在していても、測定対象を特定できる。
【0132】
なお、実施の形態10に係る電磁波検出装置は、部分放電が発生した場合の異常検出に限られず、高速信号、スイッチング信号、又は制御信号などにおける異常検出に用いても良い。
例えば、スイッチング信号が生じるスイッチング素子であるパワー半導体装置に接続される主回路と接続するケーブルを電磁波発生源100として捉え、パワー半導体装置と主回路とを接続するケーブルに巻きつけ構造の受信部12Aを配置することにより、パワー半導体装置における異常に基づくケーブルから放射される電磁波を高感度に受信することができる。
【0133】
また、異常発生の原因となりやすいモータにおいて、モータに繋がる主回路とを接続するケーブルを電磁波発生源100として捉え、モータと主回路と接続するケーブルに巻きつけ構造の受信部12Aを配置することにより、モータにおける異常に基づくケーブルから放射される電磁波を高感度に受信することができる。
【0134】
さらに、電磁波発生源100に非接触で巻きつけられる巻き付け構造からなる受信部12Aは、金属線の突出部12における先端部に有するものとしたが、突出部12における中央部に有するものであってもよい。
【0135】
このように構成された実施の形態10に係る電磁波検出装置も、実施の形態1に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
しかも、電磁波発生源100とするケーブルに非接触に巻きつけ構造の受信部12Aを配置することにより、ケーブルから放射される電磁波を高感度に受信でき、高いS/N比を得ることができる。
【0136】
なお、実施の形態10に係る電磁波検出装置において、実施の形態8に係る電磁波検出装置と同様に、電磁波観測部10が金属線の延在部13の一端と接地点301との間に接続される受動素子回路14を具備したものでも良い。
受動素子回路14を電磁波観測部10が有することにより、電磁波発生源100から放射される電磁波の受信強度を高めることができ、S/N比を向上させることができる。
【0137】
実施の形態11.
実施の形態11に係る電磁波検出装置を図14に従い説明する。
実施の形態11に係る電磁波検出装置は、実施の形態10に係る電磁波検出装置が電磁波観測部10における金属線の突出部12に巻き付け構造からなる受信部12Aを有するのに対して、突出部12にケーブルと非接触で並走する受信部12Bを有する点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図14中、図12及び図13に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0138】
電磁波観測部10における金属線の突出部12は、先端部に電磁波発生源100であるケーブルに非接触で並走する受信部12Bを有する。
受信部12Bは、ケーブル100と誘電体を介して並走され、受信部12Bとケーブル100との離隔距離は絶縁破壊距離以上の距離である。
受信部12Bにおける並走する始端部と終端部のそれぞれには結束バンド(タイラップ)などの固定具15A、15Bによりケーブルに固定される。
固定具15A、15Bの材質は短絡防止及び突出部12との干渉を避けるため、誘電体が好ましい。
【0139】
このように構成された実施の形態11に係る電磁波検出装置も、実施の形態10に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
なお、受信部12Bの金属線をモールドケースの内部に埋め込んで良い。
この場合、受信部12Bの金属線の反対側に一側辺が開放されて離間した構造とすることにより、ケーブル100への取り付けが容易になる。
しかも、受信部12Bの構造が均一化できるため再現性の高いケーブル100からの電磁波の受信が行える。
【0140】
なお、電磁波発生源100であるケーブルに非接触で並走する受信部12Bは、金属線の突出部12における先端部に有するものとしたが、突出部12における中央部に有するものであってもよい。
また、電磁波発生源100はケーブルに限られるものではなく、実施の形態1において述べた、例えば、半導体装置、モータなどの回転機及び電動機、絶縁体劣化物などである電磁波発生源100であってもよい。
これらの電磁波発生源100であっても、金属線の突出部12が、電磁波発生源100に非接触で並走する受信部12Bを有し、電磁波発生源100からの電磁波の受信を受信部12Bにより行う。
【0141】
実施の形態12.
実施の形態12に係る電磁波検出装置を図15に従い説明する。
実施の形態12に係る電磁波検出装置は、実施の形態10に係る電磁波検出装置が電磁波観測部10における金属線の突出部12に巻き付け構造からなる受信部12Aを有するのに対して、突出部12にケーブルの周囲を囲う金属受信板からなる受信部12Cを有する点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図15中、図12及び図13に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0142】
電磁波観測部10における金属線の突出部12は、先端部に電磁波発生源100であるケーブルに非接触でケーブルの周囲を囲う金属受信板からなる受信部12Cを有する。
受信部12Cを構成する金属受信板は、一対の断面が半円の金属体12C1、12C2と、一対の金属体12C1、12C2を両側辺それぞれにおいて勘合する蝶番12C3、12C4を有する。
【0143】
一対の金属体12C1、12C2は、一端部における接続点12C5、12C6において突出部12における分岐点12Xから2つに分岐された金属線に電気的に接続される。
なお、一対の金属体12C1、12C2の一側辺側を蝶番により勘合し、他側辺側を電気的及び機械的に接続させ、突出部12における金属線を分岐させずに一方の金属体12C1に電気的に接続するものでも良い。
【0144】
このように構成された実施の形態12に係る電磁波検出装置も、実施の形態10に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
また、少なくとも一側辺が開放されて離間した構造としているため、ケーブル100への取り付けが容易である。また、ケーブル100への後付けで取り付けることもできる。
【0145】
実施の形態13.
実施の形態13に係る電磁波検出装置を図16に従い説明する。
実施の形態13に係る電磁波検出装置は、実施の形態10に係る電磁波検出装置が電磁波観測部10における金属線の突出部12に巻き付け構造からなる受信部12Aを有するのに対して、突出部12にケーブルの周囲を囲う金属線内蔵の誘電体モールドケースからなる受信部12Dを有する点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図16中、図12及び図13に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0146】
電磁波観測部10における金属線の突出部12は、先端部に電磁波発生源100であるケーブルに非接触でケーブルの周囲を囲う金属線内蔵の誘電体モールドケースからなる受信部12Dを有する。
受信部12Dを構成する誘電体モールドケースは、一側辺が離間された筒状の誘電体モールド12D2と、誘電体モールド12D2の片側周囲に、突出部12の先端部をミアンダ配線で引きまわし、誘電体モールド12D2の内部に埋め込まれた受信用金属線12D1と、誘電体モールド12D2の離間された一側辺を勘合する蝶番12D3、12D4を有する。
【0147】
なお、受信用金属線12D1を突出部12の連続する金属線としたが、受信用金属線12D1を別の金属線として、突出部12の金属線と電気的に接続するものでも良い。
要は、受信用金属線12D1が突出部12の先端部において一体であってもよく、別体であっても良い。
【0148】
このように構成された実施の形態13に係る電磁波検出装置も、実施の形態10に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
筒状の誘電体モールド12D2の一側辺が離間された構造としているため、ケーブル100への取り付けが容易である。ケーブル100への後付けで取り付けることもできる。
しかも、受信部12Dの構造が均一化できるため、ケーブル100からの電磁波の受信が再現性の高く行える。
【0149】
実施の形態14.
実施の形態14に係る電磁波検出装置を図17に従い説明する。
実施の形態14に係る電磁波検出装置は、実施の形態10に係る電磁波検出装置が電磁波観測部10における金属線の突出部12に巻き付け構造からなる受信部12Aを有するのに対して、突出部12にケーブルの周囲を囲う金属線内蔵の誘電体モールドケースからなる受信部12Eを有する点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図17中、図12及び図13に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0150】
電磁波観測部10における金属線の突出部12は、先端部に電磁波発生源100であるケーブルに非接触でケーブルの周囲を囲う金属線内蔵の誘電体モールドケースからなる受信部12Eを有する。
受信部12Eを構成する誘電体モールドケースは、一対の断面が半円の誘電体モールド12E2と、誘電体モールド12E2周囲に、突出部12の先端部を、一対の誘電体モールド12E2における一側辺が離間された側辺間を双方向で渡すミアンダ配線で引きまわし、誘電体モールド12E2の内部に埋め込まれた受信用金属線12E1と、一対の誘電体モールドの離間された両側辺それぞれにおいて勘合する蝶番12E3、12E4を有する。
【0151】
なお、受信用金属線12E1を突出部12の連続する金属線としたが、受信用金属線12E1を別の金属線として、突出部12の金属線と電気的に接続するものでも良い。
要は、受信用金属線12E1が突出部12の先端部において一体であってもよく、別体であっても良い。
【0152】
このように構成された実施の形態14に係る電磁波検出装置も、実施の形態10に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
受信用金属線12E1は一側辺が離間された側辺間を双方向で渡すミアンダ配線であるので、受信用金属線12E1とケーブル100の並走面積が多くとれ、ケーブル100から放射される電磁波を高感度に受信でき、高いS/N比を得ることができる。
また、一対の誘電体モールドの他側辺が開放されて離間した構造としているため、ケーブル100への取り付けが容易である。また、ケーブル100への後付けで取り付けることもできる。
【0153】
実施の形態15.
実施の形態15に係る電磁波検出装置を図18に従い説明する。
実施の形態15に係る電磁波検出装置は、電磁波発生源100として配電盤の内部の碍子あるいは油タイプ又はモールドタイプなどの変圧器のブッシングを対象とし、碍子又はブッシングに発生する電磁波により異常検出を行う電磁波検出装置である。
【0154】
配電盤の内部のコイルが経年劣化等により放電が発生すると、コイルの放電に基づいた電磁波が碍子から放射される。
また、変圧器の内部のコイルは経年劣化等により放電が発生ると、コイルの放電に基づいた電磁波がブッシングから放射される。
実施の形態15に係る電磁波検出装置は、碍子又はブッシングから放射される電磁波を、電磁波観測部10における金属線の突出部12に有する受信部12Fにより検知することにより、配電盤の内部のコイル又は変圧器の内部のコイルが経年劣化等により放電したことを間接的に検出する。
【0155】
図18を用いて、電磁波発生源100を碍子とし、碍子から放射される電磁波を受信する受信部12Fについて説明する。
受信部12F以外は実施の形態10に係る電磁波検出装置と同じである。
なお、図18中、図12及び図13に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0156】
碍子100は碍子導体101と碍子本体102を有する。
電磁波観測部10における金属線の突出部12は、先端部に電磁波発生源100である碍子100に、碍子本体102の周囲を囲う、金属線内蔵の誘電体モールドケースからなる受信部12Fを有する。
【0157】
受信部12Fを構成する誘電体モールドケースは、一側辺が離間された筒状の誘電体モールド12F2と、誘電体モールド12F2の周囲に、突出部12の先端部をリング状の配線として誘電体モールド12F2の内部に埋め込まれた受信用金属線12F1と、誘電体モールド12F2の離間された一側辺を勘合する蝶番12F3を有する。
なお、受信用金属線12F1を突出部12の連続する金属線としたが、受信用金属線12F1を別の金属線として、突出部12の金属線と電気的に接続するものでも良い。
要は、受信用金属線12F1が突出部12の先端部において一体であってもよく、別体であっても良い。
【0158】
このように構成された実施の形態15に係る電磁波検出装置も、実施の形態10に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
筒状の誘電体モールド12F2の一側辺が離間された構造としているため、碍子100への取り付けが容易である。碍子100への後付けで取り付けることもできる。
しかも、受信部12Fの構造が均一化できるため、碍子100からの電磁波の受信を再現性高く行える。
また、受信用金属線12F1が金属線10としての一端の開放端となるため、金属線10に大きな電流、つまり、金属線10に定格電流以上の電流が流れることはなく、金属線10が融解することはない。
【0159】
実施の形態16.
実施の形態16に係る電磁波検出装置を図19に従い説明する。
実施の形態16に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置において、電磁波観測部10における金属線の突出部12の先端部に、突出部12を構成する金属線より太い受信板12Gを有するものとし、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して実施の形態2に係る電磁波検出装置と同様に金属線10の延在部13の一端部に設けられた接点が接続される接地点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図19中、図1から図10に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0160】
電磁波観測部10における金属線の突出部12は、突出部12を構成する金属線の直径より長い幅を有する板状の受信板12Gを有する。
受信板12Gの幅は、電磁波発生源100をケーブルとした場合、ケーブルの寸法と同じかケーブルの寸法以上が好ましい。
受信板12Gの厚さは構造を維持できる厚さである。
受信板12Gは、必ずしも突出部12の先端に設ける必要はなく、先端部であればよい。
【0161】
受信板12Gは平面に限ることはなく、例えば、電磁波発生源100がケーブルの場合はケーブルの形状に合わせて曲率を持った局面でもよく、四角形以外の楕円形状、折り曲げられた形状、穴が開いている板形状など、突出部12を構成する金属線よりも太い構造を持つものであればよい。
受信板12Gは、突出部12を構成する金属線より太い板状部が1ヶ所でなく複数ケ所あってもよい。
特に、異常検出の対象となる電磁波発生源100が複数隣接している場合は、複数の電磁波発生源100それぞれの近傍に受信板12Gにおける板状部が配置されるのが望ましい。
【0162】
また、受信板12Gと電磁波発生源100との間の寄生容量が大きい程、受信板12Gにおける電磁波発生源100からの電磁波の受信強度が高くなる。
従って、受信板12Gにおける電磁波発生源100に対向する面積は、電磁波発生源100の面積と同程度か、それ以上の面積とするのが望ましい。
電磁波発生源100の面積とは、例えば、電磁波発生源100を碍子とした場合、碍子の大きさである。この場合、受信板12Gの面積は碍子と同じ大きさかそれ以上の大きさとし、受信板12Gを碍子と対向して配置する。
【0163】
また、電磁波発生源100をケーブルとした場合、ケーブルと平行に縦長の面積を持つ受信板12Gを対向して配置する。
電磁波発生源100に対して受信板12Gの距離を離して配置せざるを得ない場合は、寄生容量を増やすべく、受信板12Gの対向面積を大きくする。
このように、受信板12Gと電磁波発生源100との対向面積を大きくすることにより、寄生容量を大きくでき、電磁波発生源100から放射される電磁波における電界を受信板12Gが受け取りやすくなり、受信板12Gにおける受信強度が高くなる。
【0164】
また、電磁波発生源100を、例えば、碍子又はケーブルとした場合、受信板12Gと電磁波発生源100との間に比誘電率が高い誘電体を介在させ、受信板12Gと電磁波発生源100との間の寄生容量を大きくしてもよい。
この場合も、電磁波発生源100からの電磁波における電界を受信板12Gが受け取りやすくなり、受信板12Gにおける受信強度が高くなる。
【0165】
電磁波発生源100の近傍、具体的には電磁波発生源100から放射される電磁波の1波長以下の領域はフレネル領域となり、電界成分と磁界成分の比が一定とならない。
つまり、電磁波発生源100から放射される電磁波の特徴によって電界成分が支配的な領域と、磁界成分が支配的な領域が存在する。
【0166】
電界成分が支配的な領域の場合、受信板12Gを電磁波発生源100に対向配置することにより、電磁波発生源100から放射される電磁波の電界成分を効率よく受信できる。
また、電磁波発生源100に対して突出部12の距離を離して配置せざるを得ない場合、突出部12を金属線のみにした場合に比べて受信板12Gを設けたことにより、数dBの受信感度の向上が得られた。
【0167】
このように構成された実施の形態16に係る電磁波検出装置も、実施の形態1に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
さらに、電磁波観測部10における金属線の突出部12の先端部に、突出部12を構成する金属線より太い受信板12Gを有するので、電磁波発生源100から放射される電磁波に対する受信感度が向上する。
特に、電磁波発生源100から放射される電磁波により電界成分が支配的な領域において、電磁波発生源100からの電界成分を効率よく受信でき、電磁波発生源100から放射される電磁波に対する受信感度が向上する。
【0168】
なお、実施の形態16に係る電磁波検出装置において、実施の形態8に係る電磁波検出装置と同様に、電磁波観測部10が金属線の延在部13の一端と接地点301との間に接続される受動素子回路14を具備したものでも良い。
受動素子回路14を電磁波観測部10が有することにより、電磁波発生源100から放射される電磁波の受信強度を高めることができ、S/N比を向上させることができる。
【0169】
また、突出部12を構成する金属線の直径より長い幅を有する板状の受信板12Gは、金属線の突出部12における先端部に有するものとしたが、突出部12における中央部に有するものであってもよい。
さらに、板状の受信板12Gは、突出部12における先端部及び中央部など、複数有するものでもよい。
【0170】
実施の形態17.
実施の形態17に係る電磁波検出装置を図20に従い説明する。
実施の形態17に係る電磁波検出装置は、実施の形態19に係る電磁波検出装置が電磁波観測部10における金属線の突出部12の先端部に、突出部12を構成する金属線より太い受信板12Gを有するものとしたのに対して、仕切り板200の平面に平行な面を有する巻き線構造の受信部12Hを有するとした点が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図20中、図1から図10図19に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0171】
電磁波観測部10における金属線の突出部12は、仕切り板200の平面に平行な面に広がる渦巻状に金属線を巻いた渦巻き線構造からなる受信部12Hを有する。
受信部12Hは巻き線構造であり、ヘリカルアンテナに近い構造である。
また、受信部12Hにおける巻き線構造は平面に広がる構造であるため、当該平面の前方方向に指向性を持つ。
【0172】
受信部12Hにおける巻き線構造の中心軸は仕切り板200の貫通穴200Aの中心軸と一致するものに限らない。また、受信部12Hにおける巻き線構造の平面は仕切り板200の平面に平行な面に限られず、他の導体板の平面に平行な面であってもよい。さらに、受信部12Hにおける巻き線構造は平面内に収まらず、厚みを持った構造でもよい。
受信部12Hにおける巻き線構造は内側から外側に向かう巻き構造に限らず、外側から内側に向かう巻き構造であってもよい。
【0173】
電磁波発生源100から放射される電磁波により磁界成分が支配的な領域の場合、巻き線構造の受信部12Hを電磁波発生源100に対向配置させることにより、電磁波発生源100から放射される電磁波における磁界成分を効率よく受信できる。
また、電磁波発生源100から放射される電磁波が円偏波に近い場合、巻き線構造の受信部12Hがヘリカルアンテナに近い構造であるため、電磁波発生源100から放射される電磁波を高い受信感度により受信できる。
【0174】
このように構成された実施の形態17に係る電磁波検出装置も、実施の形態1に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
さらに、電磁波観測部10における金属線の突出部12の先端部に、渦巻き線構造からなる受信部12Hを有するので、電磁波発生源100から放射される電磁波に対する受信感度が向上する。
【0175】
特に、電磁波発生源100から放射される電磁波により磁界成分が支配的な領域において、電磁波発生源100からの磁界成分を効率よく受信でき、電磁波発生源100から放射される電磁波に対する受信感度が向上する。
また、電磁波発生源100から放射される電磁波が円偏波に近い場合、電磁波発生源100から放射される電磁波を高い受信感度を得ることができる。
【0176】
またさらに、平面に広がる渦巻き線構造からなる受信部12Hが当該平面の前方方向に指向性を持つので、電磁波発生源100が配置される第1の空間Aが十分な空間を持たずとも、第1の空間Aに受信部12Hを配置して電磁波発生源100から放射される電磁波を高い受信感度により受信することができる。
【0177】
なお、電磁波観測部10における金属線の突出部12の先端部に、受信部12Hと、受信部12Hの先端に接続した実施の形態16において示した受信板12Gを有するものとしてもよい。
この場合、電磁波発生源100から放射される電磁波において電界成分が支配的な領域及び磁界成分が支配的な領域の両領域において、電磁波発生源100から放射される電磁波を高い受信感度により受信することができる。
【0178】
なお、実施の形態17に係る電磁波検出装置において、実施の形態8に係る電磁波検出装置と同様に、電磁波観測部10が金属線の延在部13の一端と接地点301との間に接続される受動素子回路14を具備したものでも良い。
受動素子回路14を電磁波観測部10が有することにより、電磁波発生源100から放射される電磁波の受信強度を高めることができ、S/N比を向上させることができる。
【0179】
実施の形態18.
実施の形態18に係る電磁波検出装置について説明する。
実施の形態18に係る電磁波検出装置は、実施の形態1から実施の形態17に係る電磁波検出装置それぞれに対して、第1の空間Aにおいて、電磁波観測部10における金属線の突出部12の開放端と第1の空間Aに位置する接地点との間に、電磁波観測部10における金属線の延在部13と接地点との間のインピーダンスより高いインピーダンスを有するインピーダンス部を接続したものである。
【0180】
電磁波観測部10における金属線の延在部13と接地点との間のインピーダンスは、実施の形態1から実施の形態7及び実施の形態10から実施の形態17に係る電磁波検出装置においては、延在部13の一端部に設けられた接点と第2の空間Bに位置する接地点(導体板200における接地点300又は導体板202における接地点301)との間のインピーダンスであり、実施の形態8及び実施の形態9に係る電磁波検出装置においては、金属線の延在部13の一端と接地点301との間に接続される受動素子回路14のインピーダンスである。
【0181】
インピーダンス部はダイオード、あるいは耐環境性が高い絶縁性の繊維又は樹脂である。
ダイオードは、電磁波発生源100から放射される電磁波により電磁波観測部10を構成する金属線の突出部12に高い電圧がかかった時、第1の空間Aに位置する接地点に電圧を逃がす。
その結果、測定部30に高い電圧が印加されることはなく、測定部30を保護する。
また、受動素子回路14を用いたものにおいては受動素子回路14に高い電圧が印加されることはなく、受動素子回路14を保護する。
【0182】
このように構成された実施の形態18に係る電磁波検出装置も、実施の形態1から実施の形態17に係る電磁波検出装置と同様の効果を有する。
さらに、突出部12に高い電圧がかかった時、第1の空間Aに位置する接地点に電圧を逃がすため、高電圧又はモータなどの回転物がある環境においても、電磁波観測部10を構成する金属線と回転物との短絡及び金属線の回転物への挟み込みを防げ、複雑な構造をとることなく、電磁波観測部10を安全に使用することができる。
また、電磁波観測部10を構成する金属線は、延在部13側の一端が第2の空間Bに位置する接地点に接続され、突出部12側の一端が第1の空間Aに位置する接地点に接続されるため、簡単な構造により、電磁波観測部10を構成する金属線の敷設を容易にでき、しかも敷設の安定性が長期間に渡り保たれる。
【0183】
実施の形態19.
実施の形態19に係る電磁波検出装置を図21に従い説明する。
実施の形態19に係る電磁波検出装置は、実施の形態1に係る電磁波検出装置に対して外乱ノイズ検出部を備え、電磁波観測部10が金属線の延在部13の一端と接地点との間に接続される受動素子回路14を具備し、電磁波観測部10の一端部、つまり、受動素子回路14の他方の端子が接続される接地点301が相違し、その他の点においては同じである。
なお、図21中、図1から図20に付された符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0184】
実施の形態19に係る電磁波検出装置は、電磁波発生源100から放射される電磁波を検出する異常電磁波検知部と、外乱ノイズを検出する外乱ノイズ検出部と、測定部30を備える。
異常電磁波検知部は第1の電磁波観測部10と第1の検出部20を備える。
第1の電磁波観測部10は、仕切り板200に形成された貫通穴200Aの周壁から離隔して貫通する貫通部11、貫通部11から第1の空間Aへ突出し、電磁波発生源100からの電磁波を受信する突出部12、及び貫通部11から第2の空間Bに延在する延在部13を有する第1の金属線と、一方の端子が第1の金属線の延在部13の一端と接続され、他方の端子が接地点301に接続される第1の受動素子回路14を有する。
【0185】
第1の検出部20は、第1の受動素子回路14の両端子間の電圧を精度高く検出するハイインピーダンスプローブ、又は電界効果トランジスタプローブなどのアクティブプローブの接触センサである。
異常電磁波検知部における第1の電磁波観測部10と第1の検出部20は、実施の形態8又は実施の形態9に係る電磁波検出装置における電磁波観測部10と検出部20と同じである。
【0186】
外乱ノイズ検出部は第2の電磁波観測部10Rと第2の検出部20Rを備える。
外乱ノイズ検出部は第5の空間Eに存在する外乱ノイズである電磁波を検出する。
第5の空間Eは第1の空間Aと第3の仕切り板240により区切られ、第2の空間Bと仕切り板200により区切られた空間である。
第3の仕切り板240は電磁波の伝搬を減衰させる。第3の仕切り板240の材質は仕切り板200の材質もしくは同様の材質である。
【0187】
仕切り板200には第5の空間Eと第2の空間Bとを連通する第2の貫通穴200Rが形成されている。
第5の空間Eは電磁波発生源100が存在しないことを除いては第1の空間Aと類似の電磁環境を有する環境である。第1の空間Aと第5の空間Eは同様な外乱ノイズが入ってくる環境であり、同じ程度の外乱ノイズが存在する環境である。
【0188】
ここで言う類似とは、電磁波発生源100を除いては、第1の空間Aと第5の空間Eそれぞれの環境の電磁波は振幅及び周波数が似ていることを意味する。
振幅であれば第1の空間Aと第5の空間Eにおける外乱ノイズにおける振幅の差は±6dB以内、周波数であれば、第1の空間Aと第5の空間Eにおける外乱ノイズにおける周波数の差は±3%以内の差である。
【0189】
例えば、第1の空間Aにおける外乱ノイズにおける振幅が+10mVであった場合、第5の空間Eにおける外乱ノイズにおける振幅+5mV~+20mVである。
また、第1の空間Aにおける外乱ノイズにおける周波数特性が最大値となる周波数が100MHzであった場合、第5の空間Eにおける外乱ノイズにおける周波数特性が最大値となる周波数が97MHz~103MHzである。
【0190】
言い換えれば、電磁波発生源100の動作を停止して、第1の空間A及び第5の空間Eにおける電磁波を検出した場合、第1の空間Aと第5の空間Eは振幅の差が±6dB以内、周波数の差が±3%以内である電磁環境である。
【0191】
外乱ノイズ検出部は第2の電磁波観測部10Rと第2の検出部20Rを備える。
第2の電磁波観測部10Rは、第3の仕切り板240に形成された第2の貫通穴200Rの周壁から離隔して貫通する貫通部11R、貫通部11Rから第5の空間Eへ突出し、第5の空間E内における電磁波を受信する突出部12R、及び貫通部11Rから第2の空間Bに延在する延在部13Rを有する第2の金属線と、一方の端子が第2の金属線の延在部13の一端と接続され、他方の端子が第2の空間側に位置する接地点301Rに接続される第2の受動素子回路14Rを有する。
第2の検出部20Rは、第2の受動素子回路14Rの両端子間の電圧を精度高く検出するハイインピーダンスプローブ、又は電界効果トランジスタプローブなどのアクティブプローブの接触センサを用いる。
【0192】
外乱ノイズ検出部における第2の電磁波観測部10Rと第2の検出部20Rは、異常電磁波検知部における第1の電磁波観測部10と第1の検出部20と同じものを使用するのが好ましい。
特に、第2の金属線10Rは第1の金属線10と同じ素材及び太さで、長さが等しく、対称構造であることが好ましい。
【0193】
但し、第2の金属線10Rと第1の金属線10とを対称にするのは一般的に難しく、敷設する場所によっては長さが等しくできない場合、引き回し方が全く異なってしまうこともある。
このような場合は、第2の金属線10Rと仕切り板200表面及び第2の貫通穴200Rとの離隔距離、及び第2の金属線10Rと仕切り板200表面との並走距離それぞれを、第1の金属線10と仕切り板200表面及び貫通穴200Aとの離隔距離、及び第1の金属線10と仕切り板200表面との並走距離それぞれと同じにし、第2の金属線10Rは第1の金属線10と全長、素材、太さ、及び対称性が異なってもよい。
【0194】
また、第2の受動素子回路14Rは、第2の金属線10Rと第1の金属線10が対称である場合は第1の受動素子回路14と同じ特性を持つ。
但し、第2の金属線10Rが第1の金属線10と対称にできない場合、第2の受動素子回路14Rの回路定数又は第2の受動素子回路14Rの回路トポロジーを変え、第2の金属線10Rと第1の金属線10とを対称構造に近づくように調整する。
【0195】
また、全ての周波数帯域での調整が困難である場合、必要な周波数帯域に絞って、第2の受動素子回路14Rの回路定数を変更し、電磁波発生源100が無い状態で同じ周波数帯で同振幅となるように調整する。
第2の電磁波観測部10Rにより検知、観測し、第2の検出部20Rにより、検出する電磁波を受信でき、第2の検出部20Rからの信号を定量的にすることは、第2の受動素子回路14Rの回路設計により容易である。
【0196】
なお、第2の受動素子回路14Rの回路定数を変更しなくても受信感度が高く、熱的なノイズに埋もれない状態であれば、測定部30において、第2の検出部20Rにより検出された電磁波検出信号を信号処理することによって補正する。
信号処理の補正は、電磁波発生源100が正常動作時又は停止時に、設定した周波数での第2の検出部20Rからの信号レベルが第1の検出部20からの信号レベルが一致するように調整を行う。
【0197】
電磁波発生源100が動作時に第2の検出部20Rからの信号レベルを調整しても第1の検出部20からの信号レベルと一致しない場合、又は予め設定した範囲外であると電磁波発生源100に異常発生が生じているとみなす。
なお、第2の受動素子回路14Rの回路定数の変更及び第2の検出部20Rからの信号レベルの調整の両者を行ってもよい。
【0198】
測定部30は、異常電磁波検知部における第1の検出部20からの電磁波検出信号が同軸ケーブル40を介して入力され、外乱ノイズ検出部における第2の検出部20Rからの電磁波検出信号が同軸ケーブル40Rを介して入力され、第1の検出部20からの電磁波検出信号と第2の検出部20Rからの電磁波検出信号との差信号を求め、差信号を監視用の電磁波検出信号として監視し、電磁波発生源100からの異常時の電磁波を抽出することにより、電磁波発生源100における異常を監視する測定器である。
【0199】
すなわち、測定部30は、異常電磁波検知部における第1の検出部20により検出された電圧値と外乱ノイズ検出部における第2の検出部20Rにより検出された電圧値との差を電磁波検出信号として監視する。
測定部30は、オシロスコープなどの時間波形を取得する測定器、スペクトラムアナライザなどの周波数特性を測定する測定器、又はリアルタイムスペクトラムアナライザなどの帯域幅の周波数の時間波形をリアルタイムで測定する測定器である。
【0200】
以上に述べたように、実施の形態19に係る電磁波検出装置は、異常電磁波検知部において、仕切り板200に形成された貫通穴200Aの周壁から離隔して貫通する貫通部11、貫通部11から第1の空間Aへ突出し、電磁波発生源100からの電磁波を受信する突出部12、及び貫通部11から第2の空間に延在する延在部13を有する第1の金属線と、一方の端子が第1の金属線の延在部13の一端と接続され、他方の端子が接地点301に接続される第1の受動素子回路14を有する電磁波観測部10を備えたので、簡易な構造である電磁波観測部10を用いることにより、第1の空間に配置された電磁波発生源100からの電磁波の検出を第2の空間で実施できる。
実施の形態19に係る電磁波検出装置は、第1の金属線に電荷が帯電することを防げ、第1の金属線を長期間に渡って敷設状態に保持できる。
【0201】
さらに、実施の形態19に係る電磁波検出装置は、異常電磁波検知部と同様の構成の外乱ノイズ検出部を備え、異常電磁波検知部における第1の検出部20からの電磁波検出信号と外乱ノイズ検出部における第2の検出部20Rからの電磁波検出信号との差信号を求め、差信号を監視用の電磁波検出信号として監視するので、外乱ノイズに影響し難く、電磁波発生源100が異常時に発生する電磁波に対する外乱ノイズの比であるS/N比が大きく、誤検知及び誤検出を解消できる。
【0202】
なお、実施の形態19に係る電磁波検出装置において、実施の形態5において説明したように、第1の受動素子回路14を接続せずに第1の金属線の延在部13の一端を接地点301に接続し、第1の検出部20に電流センサを用い、電流センサを第1の金属線の延在部13に取り付け、延在部13に流れる電流を電流センサが検知することにより電磁波検出信号を出力し、第2の受動素子回路14Rを接続せずに第2の金属線の延在部13Rの一端を接地点301Rに接続し、第2の検出部20Rに電流センサを用い、電流センサを第2の金属線の延在部13Rに取り付け、延在部13Rに流れる電流を電流センサが検知することにより電磁波検出信号を出力するものでもよい。
【0203】
実施の形態19に係る電磁波検出装置において、実施の形態18において説明したように、第1の空間Aにおいて、第1の電磁波観測部10における第1の金属線の突出部12の開放端と第1の空間Aに位置する接地点との間に、ダイオードなどのインピーダンス部を接続し、第2の電磁波観測部10Rにおける第2の金属線の突出部12Rの開放端と第5の空間Eに位置する接地点との間に、ダイオードなどのインピーダンス部を接続してもよい。
この場合、第1の検出部20及び第2の検出部20Rは180度ハイブリッドカプラ(通称、バラン)を用いることができ、リアルタイムで変化を確認できる。
【0204】
実施の形態19に係る電磁波検出装置において、第1の電磁波観測部10における第1の金属線と仕切り板200との位置関係は実施の形態1において説明した位置関係である。
実施の形態19に係る電磁波検出装置において、電磁波発生源100は、実施の形態1において説明した、部分放電により電磁波が発生する構成要素、電気機器の異常が伝搬され、電磁波を放射するケーブル、又はサージ電圧が発生する半導体装置である。
【0205】
実施の形態19に係る電磁波検出装置において、電磁波発生源100がケーブルである場合、実施の形態10において説明したように、第1の電磁波観測部10における第1の金属線の突出部12の先端部に巻き付け構造からなる受信部12Aを有するもの、実施の形態11において説明したように、第1の金属線の突出部12にケーブルと非接触で並走する受信部12Bを有するもの、実施の形態12において説明したように、第1の金属線の突出部12にケーブルの周囲を囲う金属受信板からなる受信部12Cを有するもの、実施の形態13において説明したように、第1の金属線の突出部12にケーブルの周囲を囲う金属線内蔵の誘電体モールドケースからなる受信部12Dを有するもの、実施の形態14において説明したように、第1の金属線の突出部12にケーブルの周囲を囲う金属線内蔵の誘電体モールドケースからなる受信部12Eを有するものであってもよい。
【0206】
実施の形態19に係る電磁波検出装置において、電磁波発生源100が配電盤の内部の碍子あるいは油タイプ又はモールドタイプなどの変圧器のブッシングである場合、実施の形態15において説明したように、第1の電磁波観測部10における第1の金属線の突出部12の先端部に碍子又はブッシングの周囲を囲う、金属線内蔵の誘電体モールドケースからなる受信部12Fを有するものであってもよい。
【0207】
実施の形態19に係る電磁波検出装置において、実施の形態16において説明したように、第1の電磁波観測部10における第1の金属線の突出部12の先端部に突出部12を構成する金属線より太い受信板12Gを有するもの、実施の形態17において説明したように、第1の電磁波観測部10における第1の金属線の突出部12の先端部に仕切り板200の平面に平行な面を有する巻き線構造の受信部12Hを有するものとしてもよい。
【0208】
なお、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本開示に係る電磁波検出装置は、部分放電により電磁波が発生する構成要素、電気機器の異常が伝搬され、電磁波を放射するケーブル、及びサージ電圧が発生する半導体装置である電磁波発生源に対する異常発生の監視に適している。
【符号の説明】
【0210】
10 電磁波観測部(金属線)、11 貫通部、12 突出部、12A~12H 受信部、13 延在部、14 受動素子回路、20 検出部、30 測定部、100 電磁波発生源、200 仕切り板(導体板)、200A、210A、220A、230A 貫通穴、210、220、導体板、230 第2の仕切り板(導体板)、300、301 接地点。
【要約】
電磁波検出装置は、電磁波発生源(100)が配置された第1の空間Aと電磁波の伝搬を減衰させる仕切り板(200)により区切られた第2の空間Bにおいて、電磁波発生源(100)からの電磁波を検出する電磁波検出装置であって、仕切り板(200)に形成された貫通穴(200A)の周壁から離隔して貫通する貫通部(11)、貫通部(11)から第1の空間Aへ突出し、電磁波発生源(100)からの電磁波を受信する突出部(12)、及び貫通部(11)から第2の空間Bに延在する延在部(13)を有する金属線を具備し、第2の空間B側に位置する一端部が第2の空間B側に位置する接地点(300)に接続される電磁波観測部(10)を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15
図16
図17
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図21