(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】テンプレートマッチング装置およびテンプレートマッチング方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231215BHJP
【FI】
G06T7/00 300D
G06T7/00 300A
(21)【出願番号】P 2023544113
(86)(22)【出願日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2023013058
【審査請求日】2023-07-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川岸 悠介
(72)【発明者】
【氏名】米田 亜希子
【審査官】笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0083850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレート画像の中の同一ラインにある2つ以上の特徴画素のうち固定距離の間にあ
る
複数の特徴画素を特徴画素組として、前記テンプレート画像から複数の特徴画素組
を抽出する特徴画素抽出部と、
抽出された特徴画素組ごとに特徴画素組と比較される複数の対象画素を観測画像から抽
出する対象画素抽出部と、
抽出された複数の対象画素ごとに複数の対象画素の中から前記複数の特徴画素組に対す
る画素距離を算出される2つ以上の対象画素を決定する比較範囲制御部と、
決定された対象画素ごとに前記複数の特徴画素組に対する画素距離を算出する距離算出
部と、
各対象画素の前記画素距離に基づいて前記テンプレート画像に対応する位置を前記観測
画像から検出する位置検出部と、
を備えるテンプレートマッチング装置。
【請求項2】
テンプレート画像の中の同一ラインにある2つ以上の特徴画素のうち固定距離の間にあ
る
複数の特徴画素を特徴画素組として、前記テンプレート画像から複数の特徴画素組
を抽出し、
抽出された特徴画素組ごとに特徴画素組と比較される複数の対象画素を観測画像から抽
出し、
抽出された複数の対象画素ごとに複数の対象画素の中から前記複数の特徴画素組に対す
る画素距離を算出される2つ以上の対象画素を決定し、
決定された対象画素ごとに前記複数の特徴画素組に対する画素距離を算出し、
各対象画素の前記画素距離に基づいて前記テンプレート画像に対応する位置を前記観測
画像から検出する
テンプレートマッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テンプレートマッチングの高速化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テンプレートマッチングは、観測画像からテンプレート画像の位置を検出する技術である。
観測画像は、カメラ等を使った撮影によって得られる画像である。
テンプレート画像は、探索したい物体が含まれる画像である。
【0003】
テンプレートマッチングは、例えば以下のように活用されている。
防犯分野およびセキュリティ分野において、テンプレートマッチングは顔認証または物体検出のために活用されている。
工場のラインにおいて、テンプレートマッチングは製品検査のために活用されている。
【0004】
テンプレートマッチングの処理が高速化されることで、例えばリアルタイムでの検出が実現される。
処理の高速化のために、スパーステンプレートマッチングが提案されている。スパーステンプレートマッチングは、比較される画素をスパース化する方法である。
【0005】
特許文献1では、テンプレートマッチングの処理を高速化するための回路構成が提案されている。
具体的には、テンプレート画像の特徴画素と観測画像の複数の対象画素を同時に比較できる回路構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1における制御は、観測画像から対象画素を抽出するために特定画素を順番に参照するような単純な制御である。
そのため、特許文献1の回路構成では、スパーステンプレートマッチングで様々にスパース化された対象画素を効率的に参照することができない。
したがって、特許文献1の回路構成では、スパーステンプレートマッチングによる高速化を実現できない。
【0008】
本開示は、スパーステンプレートマッチングによる高速化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のテンプレートマッチング装置は、
テンプレート画像から複数の特徴画素を抽出する特徴画素抽出部と、
抽出された特徴画素ごとに特徴画素と比較される複数の対象画素を観測画像から抽出する対象画素抽出部と、
抽出された対象画素ごとに抽出された複数の特徴画素に対する画素距離を算出する距離算出部と、
各対象画素の前記画素距離に基づいて前記テンプレート画像に対応する位置を前記観測画像から検出する位置検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、スパーステンプレートマッチングによる高速化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1におけるテンプレートマッチング装置100の構成図。
【
図2】実施の形態1における画素比較部120の構成図。
【
図3】実施の形態1におけるテンプレートマッチング方法のフローチャート。
【
図4】実施の形態1におけるステップS110のフローチャート。
【
図5】実施の形態1におけるステップS120のフローチャート。
【
図6】実施の形態2におけるテンプレートマッチング装置100の構成図。
【
図7】実施の形態2における画素比較部120の構成図。
【
図8】実施の形態2におけるテンプレートマッチング方法のフローチャート。
【
図9】実施の形態2におけるステップS220のフローチャート。
【
図10】実施の形態3におけるテンプレートマッチング方法のフローチャート。
【
図11】実施の形態3におけるステップS320のフローチャート。
【
図12】実施の形態におけるテンプレートマッチング装置100のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態および図面において、同じ要素または対応する要素には同じ符号を付している。説明した要素と同じ符号が付された要素の説明は適宜に省略または簡略化する。図中の矢印はデータの流れ又は処理の流れを主に示している。
【0013】
実施の形態1.
スパーステンプレートマッチングの形態について、
図1から
図5に基づいて説明する。
【0014】
***構成の説明***
【0015】
図1に基づいて、テンプレートマッチング装置100の構成を説明する。
テンプレートマッチング装置100は、観測画像取得部110と画素比較部120と位置検出部130と全体制御部170といった要素を備える。
さらに、テンプレートマッチング装置100は記憶部という要素を備える。具体的には、テンプレートマッチング装置100は、観測画像記憶部140とテンプレート画像記憶部150と座標情報記憶部160といった記憶部を備える。
【0016】
テンプレートマッチング装置100の構成要素は信号線を介して互いに接続される。
【0017】
図2に基づいて、画素比較部120の構成を説明する。
画素比較部120は、特徴画素抽出部121と対象画素抽出部122と距離算出部123といった要素を備える。
【0018】
***動作の説明***
テンプレートマッチング装置100の動作の手順はテンプレートマッチング方法に相当する。
【0019】
図3に基づいて、テンプレートマッチング方法を説明する。
テンプレートマッチング装置100が起動されると、全体制御部170は、テンプレートマッチング方法の実施を開始させる。
テンプレートマッチング方法において、観測画像取得部110、画素比較部120、位置検出部130および各種記憶部は、全体制御部170によって制御される。
【0020】
ステップS110において、観測画像取得部110は観測画像を取得する。
観測画像は、対象物体が映った画像であり、カメラなどの撮影機器を使って対象物体を撮影することによって得られる。
対象物体は、テンプレートマッチングの対象となる物体である。
【0021】
図4に基づいて、ステップS110の手順を説明する。
ステップS111において、観測画像が1つ以上の画素ずつ順にテンプレートマッチング装置100に入力される。例えば、観測画像の1つ以上の画素はカメラからテンプレートマッチング装置100に入力される。
観測画像取得部110は、入力された観測画像を受け取る。
【0022】
ステップS112において、観測画像取得部110は、受け取った1つ以上の画素を観測画像記憶部140に格納する。
【0023】
また、観測画像取得部110は、1を加算して観測画像の格納回数を更新する。
観測画像の格納回数は、内部カウンタを使って管理される。観測画像の格納回数の初期値はゼロである。
【0024】
ステップS113において、観測画像取得部110は、テンプレートマッチング方法の実施のために十分な観測画像の画素が観測画像記憶部140に格納されたか判定する。
例えば、格納された画素の数が閾値に到達した場合、観測画像の画素は十分に格納されている。閾値は、例えば観測画像の画素数であり、予め決められる。
観測画像の画素が十分に格納されていない場合、処理はステップS111へ進む。
観測画像の画素が十分に格納された場合、ステップS110は終了する。
【0025】
図3に戻り、ステップS120から説明を続ける。
ステップS120において、画素比較部120は、観測画像の中の対象画素ごとに画素距離を算出する。
画素距離は、テンプレート画像の中の複数の特徴画素に対する対象画素の距離である。
テンプレート画像は、対象物体が映った画像であり、テンプレート画像記憶部150に予め記憶される。
特徴画素は、特徴点が映った画素であり、テンプレート画像から抽出される。
対象画素は、特徴画素と比較される画素であり、観測画像から抽出される。
【0026】
図5に基づいて、ステップS120の手順を説明する。
ステップS121において、特徴画素抽出部121は、テンプレート画像から未抽出の特徴画素を1つ抽出する。
そして、特徴画素抽出部121は、抽出した特徴画素を距離算出部123に渡す。
【0027】
特徴画素は以下のように抽出される。
まず、特徴画素抽出部121は、座標情報と特徴画素数の内部カウンタに基づいて、テンプレート画像の中の特徴画素のアドレスを生成する。
座標情報は、テンプレート画像における複数の特徴画素のそれぞれの座標値を示す。座標情報は、ユーザから指定され、座標情報記憶部160に予め記憶される。
そして、特徴画素抽出部121は、生成したアドレスに基づいて、テンプレート画像から特徴画素を抽出する。
【0028】
ステップS122の「特徴画素」は、ステップS121で抽出された1つの特徴画素を意味する。
【0029】
ステップS122において、対象画素抽出部122は、観測画像から未抽出の対象画素を1つ抽出する。
そして、対象画素抽出部122は、抽出した対象画素を距離算出部123に渡す。
【0030】
対象画素は、特徴画素と同様に、以下のように抽出される。
まず、対象画素抽出部122は、座標情報に基づいて、観測画像の中の対象画素のアドレスを生成する。
そして、対象画素抽出部122は、生成したアドレスに基づいて、観測画像から対象画素を抽出する。
【0031】
ステップS123の「特徴画素」は、ステップS121で抽出された1つの特徴画素を意味する。
ステップS123の「対象画素」は、ステップS122で抽出された1つの対象画素を意味する。
【0032】
ステップS123において、距離算出部123は、特徴画素と対象画素の距離を算出する。
【0033】
距離は例えば以下のように算出される。
距離算出部123は、特徴画素の画素値と対象画素の画素値の差(の絶対値)を算出する。算出される差(の絶対値)が特徴画素と対象画素の距離である。
【0034】
ステップS124において、対象画素抽出部122は、未抽出の対象画素があるか判定する。
【0035】
判定は以下のように実行される。
まず、対象画素抽出部122は、1を加算して対象画素の処理数を更新する。
対象画素の処理数は、内部カウンタを使って管理される。対象画素の処理数の初期値はゼロである。
そして、対象画素抽出部122は、対象画素の処理数を閾値と比較する。閾値はユーザから指定されて予め決められた値である。
対象画素の処理数が閾値と等しい場合、未抽出の対象画素がない。
対象画素の処理数が閾値未満である場合、未抽出の対象画素がある。
【0036】
未抽出の対象画素がある場合、処理はステップS122へ進む。
未抽出の対象画素がない場合、処理はステップS125へ進む。
【0037】
ステップS125の「対象画素」は、ステップS122で抽出された複数の対象画素のそれぞれを意味する。
【0038】
ステップS125において、距離算出部123は、対象画素ごとに、特徴画素と対象画素の距離に基づいて画素距離を更新する。これにより、各対象画素の画素距離が算出される。
【0039】
画素距離は例えば以下のように更新される。
距離算出部123は、特徴画素と対象画素の距離を加算して画素距離を更新する。画素距離の初期値はゼロである。
【0040】
ステップS126において、特徴画素抽出部121は、未抽出の特徴画素があるか判定する。
【0041】
判定は以下のように実行される。
まず、特徴画素抽出部121は、1を加算して特徴画素の処理数を更新する。
特徴画素の処理数は、内部カウンタを使って管理される。特徴画素の処理数の初期値はゼロである。
そして、特徴画素抽出部121は、特徴画素の処理数を閾値と比較する。閾値はユーザから指定されて予め決められた値である。
特徴画素の処理数が閾値と等しい場合、未抽出の特徴画素がない。
特徴画素の処理数が閾値未満である場合、未抽出の特徴画素がある。
【0042】
未抽出の特徴画素がある場合、処理はステップS121へ進む。
このとき、特徴画素抽出部121は、対象画素の処理数を初期化する。また、特徴画素抽出部121は、1を加算して特徴画素の処理数を更新する。
特徴画素の処理数は、内部カウンタを使って管理される。特徴画素の処理数の初期値はゼロである。
【0043】
未抽出の特徴画素がない場合、ステップS120は終了する。
【0044】
図3に戻り、ステップS130を説明する。
ステップS130において、位置検出部130は、各対象画素の画素距離に基づいて、テンプレート画像に対応する位置を観測画像から検出する。
そして、位置検出部130は、検出結果を出力する。
【0045】
例えば、テンプレート画像に対応する位置は以下のように検出される。
位置検出部130は、画素距離が最も小さい対象画素の位置を選択する。選択される位置がテンプレート画素に対応する位置である。
【0046】
ステップS130の後、テンプレートマッチング方法の処理は終了する。
【0047】
***実施の形態1の効果***
実施の形態1は、効率的なスパーステンプレートマッチング処理による位置検出の高速化を目的とする。
実施の形態1は、スパーステンプレートマッチング処理を実現する。
実施の形態1では、特徴画素と対象画素が座標情報(位置情報)と特徴画素数の内部カウンタに基づいて抽出され、抽出された特徴画素と抽出された対象画像が比較される。そのため、スパーステンプレートマッチング処理による位置検出が高速化される。
【0048】
***実施の形態1の実施例***
テンプレート画像記憶部150は、テンプレート画像の全ての画素を記憶する代わりに、テンプレート画像の中の全ての特徴画素を記憶してもよい。
特徴画素抽出部121は、座標情報を参照せずに、特徴画素数の内部カウンタに基づいて、テンプレート画像記憶部150から特徴画素を抽出する。
例えば、対象画素抽出部122は、特徴画素抽出部121によって抽出される特徴画素に対応する対象画素を抽出する。
【0049】
ステップS120は、ステップS110で1枚の観測画像の全ての画素が読み込まれる前に開始されてもよい。この場合、ステップS120でのループ回数は読み込まれた観測画像の大きさに応じて変更される。
【0050】
複数のテンプレート画像が使用されてもよい。
この場合、テンプレート画像枚数の内部カウンタが追加され、内部カウンタの値に応じて分岐処理が発生し、複数のテンプレート画像に対する複数の画素距離を比較して位置検出が実行される。
【0051】
実施の形態2.
スパーステンプレートマッチングを高速化する形態について、主に実施の形態1と異なる点を
図6から
図9に基づいて説明する。
【0052】
***構成の説明***
図6に基づいて、テンプレートマッチング装置100の構成を説明する。
テンプレートマッチング装置100の構成は、観測画像記憶部140を複数備える点で実施の形態1における構成と異なる。
【0053】
図7に基づいて、画素比較部120の構成を説明する。
画素比較部120は、特徴画素抽出部121と複数の対象画素抽出部122と複数の距離算出部123と比較範囲制御部124といった要素を備える。
【0054】
複数の対象画素抽出部122は、並列に配置され同時に動作する。
複数の距離算出部123は、並列に配置され同時に動作する。
対象画素抽出部122と距離算出部123は、1対1で対応付けられ接続される。
【0055】
比較範囲制御部124は、複数の対象画素の中から画素距離を算出される2つ以上の対象画素を決定する。
【0056】
***動作の説明***
図8に基づいて、テンプレートマッチング方法を説明する。
ステップS210において、観測画像取得部110は観測画像を取得する。
ステップS210の手順は、実施の形態1におけるステップS110の手順と同じである。但し、観測画像は複数の観測画像記憶部140のそれぞれに格納される。
【0057】
ステップS220において、画素比較部120は、観測画像の中の対象画素ごとに画素距離を算出する。
【0058】
図9に基づいて、ステップS220の手順を説明する。
ステップS221において、特徴画素抽出部121は、テンプレート画像から未抽出の特徴画素を1つ抽出する。
ステップS221は、実施の形態1のステップS121と同じである。
【0059】
ステップS222において、複数の対象画素抽出部122は、互いに異なる対象画素を同時に抽出する。これにより、複数の対象画素が一度に抽出される。
【0060】
複数の対象画素は以下のように抽出される。
それぞれの観測画像記憶部140には、互いに異なるオフセットアドレスが設定される。
それぞれの対象画素抽出部122は、座標情報と特徴画素数の内部カウンタに基づくアドレスと、対応付けられた観測画像記憶部140のオフセットアドレスと、に基づいて、対応付けられた観測画像記憶部140に格納された観測画像から対象画素を抽出する。
【0061】
観測画像記憶部140の数が対象画素抽出部122の数より多い場合、比較範囲制御部124は、座標情報に基づいて、ステップS222で使用される2つ以上の観測画像記憶部140を決定する。
【0062】
ステップS223において、複数の距離算出部123は、互いに異なる対象画素に対して特徴画素と対象画素の距離を同時に算出する。これにより、特徴画素と各対象画素の距離が一度に算出される。算出方法は実施の形態1における方法と同じである。
【0063】
具体的には、それぞれの距離算出部123が、対応付けられた対象画素抽出部122によって抽出された対象画素に対して特徴画素と対象画素の距離を算出する。
【0064】
比較範囲の制御のために、シフトレジスタのような記憶素子を利用することができる。シフトレジスタは、簡単なシフト処理によるデータの移動が可能な記憶素子の一例である。
シフトレジスタには、複数の対象画素が格納される。複数の対象画素のうち一部(ある範囲)が特徴画素と比較される。つまり、一部の対象画素のそれぞれと特徴画素の距離が算出される。
一部の特徴画素は、座標情報の分のシフト処理が記憶素子に対して実行されることによって記憶素子から抽出される。一部の特徴画素は、あらかじめユーザから指定された桁数の分の特徴画素である。
【0065】
ステップS224において、複数の距離算出部123は、互いに異なる対象画素に対して特徴画素と対象画素の距離に基づいて画素距離を更新する。これにより、各対象画素の画素距離が同時に算出される。更新方法は実施の形態1における方法と同じである。
【0066】
具体的には、それぞれの距離算出部123が、対応付けられた対象画素抽出部122によって抽出された対象画素の画素距離を更新する。
【0067】
ステップS225において、特徴画素抽出部121は、未抽出の特徴画素があるか判定する。ステップS225は、実施の形態1のステップS126と同じである。
【0068】
未抽出の特徴画素がある場合、処理はステップS221へ進む。このとき、特徴画素抽出部121は、1を加算して特徴画素の処理数を更新する。
未抽出の特徴画素がない場合、ステップS220は終了する。
【0069】
図8に戻り、ステップS230を説明する。
ステップS230において、位置検出部130は、各対象画素の画素距離に基づいて、テンプレート画像に対応する位置を観測画像から検出する。
ステップS230は実施の形態1のステップS130と同じである。
【0070】
ステップS230の後、テンプレートマッチング方法の処理は終了する。
【0071】
***実施の形態2の効果***
実施の形態2は、テンプレート画像の特徴画素と観測画像の複数の対象画素を同時に処理することで、スパーステンプレートマッチング処理を高速化する。
実施の形態2では、対象画素抽出部122と距離算出部123が複数配置される。これにより、テンプレート画像の特徴画素と観測画像の複数の対象画素のそれぞれの距離を同時に算出することができる。そのため、スパーステンプレートマッチング処理が高速化される。
テンプレートマッチング装置100は、比較範囲制御部124を備え、比較される対象画素をシフト処理によって複数の観測画像記憶部140から抽出される画素から選択する。これにより、観測画像を格納する際の分割数に制限を与えず他の画像処理に対して柔軟な回路構成を実現できる。
【0072】
実施の形態3.
スパーステンプレートマッチングを高速化する形態について、主に実施の形態2と異なる点を
図10および
図11に基づいて説明する。
【0073】
***構成の説明***
テンプレートマッチング装置100の構成は、実施の形態2における構成と同じである。
【0074】
***動作の説明***
図10に基づいて、テンプレートマッチング方法を説明する。
ステップS310において、観測画像取得部110は観測画像を取得する。
ステップS310は、実施の形態2のステップS210と同じである。
【0075】
ステップS320において、画素比較部120は、観測画像の中の対象画素ごとに画素距離を算出する。
【0076】
図11に基づいて、ステップS320の手順を説明する。
ステップS321において、特徴画素抽出部121は、テンプレート画像から未抽出の特徴画素組を1つ抽出する。
【0077】
特徴画素組は1つ以上の特徴画素である。
具体的には、特徴画素組は、テンプレート画像の中の同一ラインにある2つ以上の特徴画素のうち固定距離の間にある1つ以上の画素である。
【0078】
ステップS322において、複数の対象画素抽出部122は、観測画像から複数の対象画素を抽出する。抽出される複数の対象画素は互いに異なる。
【0079】
複数の対象画素の数は、1つの特徴画素に対する対象画素の数と特徴画素組にある距離の和と同じである。
【0080】
ステップS323において、複数の距離算出部123は、特徴画素組の中のそれぞれの特徴画素に対応する対象画素ごとに特徴画素組の中のそれぞれの特徴画素と対象画素の距離を算出する。算出方法は実施の形態2におけるステップS223の方法と同様である。
【0081】
一部の特徴画素は、特徴画素の座標情報と特徴画素の固定距離との分のシフト処理が記憶素子に対して実行されることによって記憶素子から抽出される。
【0082】
ステップS324において、複数の距離算出部123は、対象画素ごとに、特徴画素組の中のそれぞれの特徴画素と対象画素の距離に基づいて、画素距離を更新する。更新方法は実施の形態1における方法と同じである。
【0083】
具体的には、それぞれの距離算出部123が、対応付けられた対象画素抽出部122によって抽出された対象画素について画素距離を更新する。
【0084】
ステップS325において、特徴画素抽出部121は、未抽出の特徴画素組があるか判定する。ステップS325は、実施の形態1のステップS126と同様である。
【0085】
未抽出の特徴画素組がある場合、処理はステップS321へ進む。このとき、特徴画素抽出部121は、1を加算して特徴画素の処理数を更新する。
未抽出の特徴画素組がない場合、ステップS320は終了する。
【0086】
図10に戻り、ステップS330を説明する。
ステップS330において、位置検出部130は、各対象画素の画素距離に基づいて、テンプレート画像に対応する位置を観測画像から検出する。
ステップS330は実施の形態2のステップS230と同じである。
【0087】
ステップS330の後、テンプレートマッチング方法の処理は終了する。
【0088】
***実施の形態3の効果***
実施の形態3は、テンプレート画像の特徴画素の座標について制約が課された場合にスパーステンプレートマッチング処理を高速化する。
実施の形態3により、複数の対象画素の抽出が効率化される。また、ステップS320における繰り返し回数の減少が可能となる。特徴画素組に含まれる特徴画素が多いほど繰り返し回数の減少の効果が高くなる。また、固定距離が小さいほど複数の対象画素の抽出が効率化される。
【0089】
***実施の形態の補足***
図12に基づいて、テンプレートマッチング装置100のハードウェア構成を説明する。
テンプレートマッチング装置100は処理回路101と入出力インタフェース102を備える。
処理回路101は、観測画像取得部110と画素比較部120と位置検出部130と観測画像記憶部140とテンプレート画像記憶部150と座標情報記憶部160と全体制御部170を実現するハードウェアである。
処理回路101は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
プログラムは、光ディスクまたはフラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録(格納)することができる。
【0090】
処理回路101が専用のハードウェアである場合、処理回路101は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGAまたはこれらの組み合わせである。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。
FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0091】
テンプレートマッチング装置100は、処理回路101を代替する複数の処理回路を備えてもよい。
【0092】
処理回路101において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。
【0093】
このように、テンプレートマッチング装置100の機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせで実現することができる。
【0094】
各実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本開示の技術的範囲を制限することを意図するものではない。各実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。フローチャート等を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
【0095】
テンプレートマッチング装置100は「画像処理装置」または「画像処理回路」と読み替えてもよい。
テンプレートマッチング装置100の「装置」は「回路」と読み替えてもよい。
テンプレートマッチング装置100の各要素の「部」は「処理」、「工程」、「回路」または「サーキットリ」と読み替えてもよい。
【符号の説明】
【0096】
100 テンプレートマッチング装置、101 処理回路、102 入出力インタフェース、110 観測画像取得部、120 画素比較部、121 特徴画素抽出部、122 対象画素抽出部、123 距離算出部、124 比較範囲制御部、130 位置検出部、140 観測画像記憶部、150 テンプレート画像記憶部、160 座標情報記憶部、170 全体制御部。
【要約】
画素比較部(120)は、テンプレート画像から複数の特徴画素を抽出し、抽出された特徴画素ごとに特徴画素と比較される複数の対象画素を観測画像から抽出し、抽出された対象画素ごとに抽出された複数の特徴画素に対する画素距離を算出する。位置検出部(130)は、各対象画素の前記画素距離に基づいて前記テンプレート画像に対応する位置を前記観測画像から検出する。