IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

特許7403725前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法
<>
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図1
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図2
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図3
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図4
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図5
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図6
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図7
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図8
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図9
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図10
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図11
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図12
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図13
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図14
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図15
  • 特許-前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20231215BHJP
   H05B 47/125 20200101ALI20231215BHJP
【FI】
B60Q1/14 H
H05B47/125
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023548817
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2021039736
(87)【国際公開番号】W WO2023073849
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-08-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今儀 潤一
(72)【発明者】
【氏名】井上 悟
(72)【発明者】
【氏名】井上 極
(72)【発明者】
【氏名】中本 弘毅
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/005377(WO,A1)
【文献】特開2021-88233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方に存在する他車両の画像に基づき前記他車両の位置を検出する検出部と、
前記検出された他車両の位置に基づき、遮光すべき領域である遮光領域を決定する第1の決定部と、
前記決定された遮光領域に近接し、かつ前記遮光領域の光量に比して光量が大きくなるべき領域である複数の減光領域を決定する第2の決定部と、
前記他車両における運転者の位置を推定する推定部と、
前記複数の減光領域のうち、前記推定された運転者の位置により近い一の減光領域の光量が、前記一の減光領域以外の他の減光領域の光量より小さくなるように前照灯の照射を制御する制御部と、
を含む前照灯配光制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記前照灯の照射の制御を、前記一の減光領域を規定するための前記前照灯の照射角度が、前記他の減光領域を規定するための前記前照灯の照射角度より大きくなるように行う請求項1に記載の前照灯配光制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記前照灯の照射の制御を、前記一の減光領域を規定するための前記前照灯の光源の光量が、前記他の減光領域を規定するための前記前照灯の光源の光量より小さくなるように行う請求項1に記載の前照灯配光制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記前照灯の照射の制御を、前記一の減光領域を規定するための前記前照灯の光源の光量が、前記一の減光領域の光量がグレア現象を発生させる光量に至らないグレア発生限界光量以下になるように行う請求項1に記載の前照灯配光制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記自車両及び前記他車両間の距離が長いときに比し短いとき、前記自車両及び前記他車両間の相対速度が小さいときに比し大きいとき、または、前記自車両を通り前記自車両の進行方向に平行な第1の仮想直線と前記自車両及び前記他車両を通る第2の仮想直線とにより規定される角度である相対角度が小さいときに比し大きいときは、前記一の減光領域の光量を小さくする請求項1に記載の前照灯配光制御装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記他車両が前記自車両の走行方向と反対の方向に走行する対向車両であるか否かを検出し、
前記制御部は、前記他車両が前記対向車両であることが検出されたとき、左側通行の道路における前記対向車両の進行方向の右側により近い前記一の減光領域の光量が前記対向車両の進行方向の左側により近い前記他の減光領域の光量より小さくなるように、または、右側通行の道路における前記対向車両の進行方向の左側により近い前記一の減光領域の光量が前記対向車両の前記進行方向の右側により近い前記他の減光領域の光量より小さくなるように、前記前照灯を照射させる請求項1に記載の前照灯配光制御装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記他車両が前記自車両の走行方向と反対の方向に走行する対向車両であるか否かを検出し、
前記制御部は、前記他車両が前記対向車両であることが検出された場合、前記自車両及び前記対向車両間の距離が予め定められた閾値距離より短いとき、前記自車両及び前記対向車両間の相対速度が予め定められた閾値相対速度より大きいとき、または、前記自車両を通り前記自車両の進行方向に平行な第1の仮想直線と前記自車両及び前記対向車両を通る第2の仮想直線とにより規定される角度である相対角度が予め定められた閾値相対角度より大きいとき、左側通行の道路における前記対向車両の進行方向の右側により近い前記一の減光領域の光量が前記対向車両の前記進行方向の左側により近い前記他の減光領域の光量より小さくなるように、または、右側通行の道路における前記対向車両の進行方向の左側により近い前記一の減光領域の光量が前記対向車両の前記進行方向の右側により近い前記他の減光領域の光量より小さくなるように、前記前照灯を照射させる請求項1に記載の前照灯配光制御装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記他車両が前記自車両の走行方向と同一の方向に走行する前方車両であるか否か、及び、前記他車両が旋回しているか否かを検出し、
前記制御部は、前記前照灯の照射の制御を、前記他車両が前記前方車両であり、かつ旋回しているとき、旋回方向の内側における減光領域の光量が、前記旋回方向の外側における減光領域の光量より小さくなるように行う請求項1に記載の前照灯配光制御装置。
【請求項9】
検出部が、自車両の前方に存在する他車両の画像に基づき前記他車両の位置を検出し、
第1の決定部が、前記検出された他車両の位置に基づき、遮光すべき領域である遮光領域を決定し、
第2の決定部が、前記決定された遮光領域に近接し、かつ前記遮光領域の光量に比して光量が大きくなるべき領域である複数の減光領域を決定し、
推定部が、前記他車両における運転者の位置を推定し、
制御部が、前記複数の減光領域のうち、前記推定された運転者の位置により近い一の減光領域の光量が、前記一の減光領域以外の他の減光領域の光量より小さくなるように前照灯の照射を制御する、
前照灯配光制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車両用前照灯の配光制御方法及び配光制御装置は、前方車両に対する眩惑を防止することを目的の一つとする。前記した特許文献1の方法及び装置は、前記目的を達成すべく、前方車両の車両位置を検出し、検出された前方車両の車両位置に対応して複数の照明領域を選択的に減光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015-005377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した方法及び装置は、上記した前方車両の車両位置の検出を、撮像した前方車両の画像を分析することにより行う。前記画像の分析に要する時間に伴う時間的なずれに起因して、画像の分析を開始する時点では照射すべき照明領域であったものの、画像の分析を終了した時点では照射すべきでなくなった照明領域を照射することになり、前方車両に対する眩惑を防止することができないことがあった。あるいは前方車両位置の検出から照射までの制御系において遅れが生じる部分があった場合、照射すべきでなくなった照明領域を照射することになる虞も考えられる。
【0005】
本開示の目的は、自車両の視認性を確保しつつ、他車両の視認性を悪化させることを回避することができる前照灯配光制御装置及び前照灯配光制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決すべく、本開示に係る前照灯配光制御装置は、自車両の前方に存在する他車両の画像に基づき前記他車両の位置を検出する検出部と、前記検出された他車両の位置に基づき、遮光すべき領域である遮光領域を決定する第1の決定部と、前記決定された遮光領域に近接し、かつ前記遮光領域の光量に比して光量が大きくなるべき領域である複数の減光領域を決定する第2の決定部と、前記他車両における運転者の位置を推定する推定部と、前記複数の減光領域のうち、前記推定された運転者の位置により近い一の減光領域の光量が、前記一の減光領域以外の他の減光領域の光量より小さくなるように前照灯の照射を制御する制御部と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る前照灯配光制御装置によれば、自車両の視認性を確保しつつ、他車両の視認性を悪化させることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能ブロック図である。
図2】実施形態1の自車両JSと他車両との関係を示す。
図3】実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSのハードウェア構成を示す。
図4】実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示すフローチャートである。
図5】実施形態2の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示す。
図6】実施形態3の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示す。
図7】実施形態4の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示す。
図8】実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その1)を示す。
図9】実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その2)を示す。
図10】実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その3)を示す。
図11】実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その4)を示す。
図12】実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その1)を示す。
図13】実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その2)を示す。
図14】実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その1)を示す。
図15】実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その2)を示す。
図16】実施形態8の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る前照灯配光制御装置の実施形態について説明する。
【0010】
実施形態1.
〈実施形態1〉
実施形態1の前照灯配光制御装置について説明する。
【0011】
〈実施形態1の機能〉
図1は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能ブロック図である。実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能について、図1を参照して説明する。
【0012】
実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSは、自車両の前方に存在する他車両としての前方車両ZS及び/あるいは対向車両TSの状況に応じて、前照灯ZTの照射を制御すべく、図1に示されるように、撮像部SAと、検出部KEと、第1の決定部KE1と、第2の決定部KE2と、推定部SUと、制御部SEと、を含む。図1では撮像部SAが前照灯配光制御装置ZHSに含まれているが、前照灯配光制御装置ZHSの外部に設けられた撮像部SAから信号を受領するようにしてもよい。
【0013】
検出部KEは、「検出部」に対応し、第1の決定部KE1は、「第1の決定部」に対応し、第2の決定部KE2は、「第2の決定部」に対応し、推定部SUは、「推定部」に対応し、制御部SEは、「制御部SE」に対応する。
【0014】
図2は、実施形態1の自車両JSと自車両の前方に存在する他車両との関係を示す。
【0015】
「他車両」とは、自車両JS以外の車両をいう。他車両は、図2に示されるように、例えば、自車両JSの前方に存在し、かつ、自車両JSが走行する道路DR1と同一の道路DR1を、自車両JSの走行方向と同一の方向に走行する前方車両ZS、及び/あるいは、自車両JSの前方に存在し、かつ、自車両JSが走行する道路DR1に対向する道路DR2を、自車両JSの走行方向とは反対の方向に走行する対向車両TSである。
【0016】
以下では、説明及び理解を容易にすべく、表記「他車両ZS、TS」により、前方車両ZS及び/あるいは対向車両TSの両者/あるいは一方を示すことがある。
【0017】
図1に戻り、撮像部SAは、他車両ZS、TSの画像を撮像する。撮像部SAは、例えば、カメラから構成される。
【0018】
検出部KEは、撮像部SAにより撮像された他車両ZS、TSの画像に基づき、他車両ZS、TSの位置を検出する。
【0019】
第1の決定部KE1は、検出部KEにより検出された他車両ZS、TSの位置に基づき、図2に示されるように、例えば、他車両ZS、TSの運転者の視認性を悪化させることを防止するために遮光すべき領域である前方車両遮光領域SZS及び対向車両遮光領域STSを決定する。前方車両遮光領域SZSは、図2に示されるように、主に、前方車両ZSの進行方向の前方の領域及び進行方向の後方の領域である。対向車両遮光領域STSは、図2に示されるように、主に、対向車両TSの進行方向の斜め前方の領域である。
【0020】
第2の決定部KE2は、前方車両ZSについて、図2に示されるように、第1の決定部KE1により決定された前方車両遮光領域SZSに近接する前方車両左減光領域GZS(H)及び前方車両右減光領域GZS(M)を決定する。
【0021】
前方車両左減光領域GZS(H)の光量である前方車両左光量IZS(H)及び前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)は、制御部SEによる前照灯ZTの照射の制御により、前方車両遮光領域SZSの光量(例えば、0ルーメン秒〔lm・s〕または0ルーメン秒〔lm・s〕に近い値)に比して大きい。
【0022】
第2の決定部KE2は、対向車両TSについて、上記したと同様に、図2に示されるように、第1の決定部KE1により決定された対向車両遮光領域STSに近接する対向車両左減光領域GTS(H)及び対向車両右減光領域GTS(M)を決定する。
【0023】
対向車両左減光領域GTS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)及び対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)は、制御部SEによる前照灯ZTの照射の制御により、対向車両遮光領域STSの光量(例えば、0ルーメン秒〔lm・s〕または0ルーメン秒〔lm・s〕に近い値)に比して大きい。
【0024】
推定部SUは、他車両ZS、TSにおける運転者USの位置を、例えば、他車両ZS、TSの車種を分析することにより推定する。車種の分析は、自車両で集めた情報、例えばカメラ画像に基づいて車種を推定すればよい。あるいは車種の分析は、自車両JSと他車両ZS、TSとの間で通信を用いて車両情報を受領してもよい。なおこの通信は、車車間通信、路車間通信あるいはクラウドを介在するなど任意の通信を採用可能である。
あるいは運転者の位置は、車種の分析を行うことなく簡易的には左側走行の国、地域では右ハンドルと推定するとともに右側走行の国、地域では左ハンドルと推定してもよい。
【0025】
制御部SEは、前方車両ZSについて、前方車両左減光領域GZS(H)及び前方車両右減光領域GZS(M)のうち、推定部SUにより推定された前方車両ZSの運転者USの位置により近い前方車両右減光領域GZS(M)の前方車両右光量IZS(M)が、推定部SUにより推定された前方車両ZSの運転者USの位置からより遠い前方車両左減光領域GZS(H)の前方車両左光量IZS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0026】
制御部SEは、対向車両TSについて、上記したと同様に、対向車両左減光領域GTS(H)及び対向車両右減光領域GTS(M)のうち、推定部SUにより推定された対向車両TSの運転者USの位置により近い対向車両右減光領域GTS(M)の対向車両右光量ITS(M)が、推定部SUにより推定された対向車両TSの運転者USの位置からより遠い対向車両左減光領域GTS(H)の対向車両左光量ITS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0027】
〈実施形態1のハードウェア構成〉
図3は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSのハードウェア構成を示す。
【0028】
実施形態の前照灯配光制御装置ZHSは、上述した機能を果たすべく、図3に示されるように、プロセッサPCと、メモリMMと、記憶媒体KBと、を含み、必要に応じて、入力部NYと、出力部SYと、更に含む。
【0029】
プロセッサPCは、ソフトウェアに従ってハードウェアを動作させる、よく知られたコンピュータの中核である。メモリMMは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)から構成される。記憶媒体KBは、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)から構成される。記憶媒体KBは、プログラムPRを記憶する。プログラムPRは、プロセッサPCが実行すべき処理の内容を規定する命令群である。
【0030】
入力部NYは、外部からの情報や信号を受領するものであって例えば、カメラ、マイク、キーボード、マウス、タッチパネルなどの機器あるいは自車両内の他のECU(ElectronicControlUnit)などの情報を受領するインターフェイスから構成される。出力部SYは、例えば、液晶モニター、プリンタ、タッチパネルなどの機器あるいは自車両内の他のECU(ElectronicControlUnit)などに情報を出力するインターフェイスから構成される。
【0031】
前照灯配光制御装置ZHSにおける機能とハードウェア構成との関係については、ハードウェア上で、プロセッサPCが、記憶媒体KBに記憶されたプログラムPRを、メモリMM上で実行すると共に、必要に応じて、入力部NY及び出力部SYの動作を制御することにより、撮像部SA~制御部SEの各部の機能を実現する。
【0032】
〈実施形態1の動作〉
図4は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示すフローチャートである。実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
以下では、説明及び理解を容易にすべく、前方車両ZSに関する動作及び対向車両TSに関する動作の両者を並行して述べる。実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSは、前記した両動作を行うことに代えて、前方車両ZSに関する動作のみを行ってもよく、また、対向車両TSに関する動作のみを行ってもよいし、前方車両ZS及び対向車両TSに関する動作の双方を行ってもよい。
【0034】
ステップST11:撮像部SA(図1に図示。)は、他車両ZS、TS(図2に図示。)の画像、即ち、前方車両ZS及び対向車両TSの両者を含む画像を撮影する。撮像部SAは、前方車両ZS及び対向車両TSの両者を含む画像を撮影することに代えて、前方車両ZSを主に含む画像、及び、対向車両TSを主に含む画像を別々に撮影してもよい。
【0035】
撮像部SAにより前方車両ZS及び対向車両TSの画像が撮影されると、検出部KE(図1に図示。)は、前方車両ZS及び対向車両TSが撮影された画像に基づき、前方車両ZSの位置及び対向車両TSの位置を検出する。前方車両ZSの位置及び対向車両TSの位置は、例えば、XY座標により表される。ここでX軸は自車両JSの前後方向をいい、Y軸は自車両JSの車幅方向をいう。
【0036】
ステップST12:第1の決定部KE1(図1に図示。)は、前方車両ZSについて、検出部KEにより検出された前方車両ZSの位置に基づき、図2に示されるように、遮光すべき領域である遮光領域、即ち、前方車両ZSの進行方向の前方及び後方に位置する前方車両遮光領域SZSを決定する。
【0037】
第1の決定部KE1は、対向車両TSについて、上記したと同様に、検出部KEにより検出された対向車両TSの位置に基づき、図2に示されるように、遮光すべき領域である遮光領域、即ち、対向車両TSの進行方向の前方に位置する対向車両遮光領域STSを決定する。
【0038】
ステップST13:第2の決定部KE2(図1に図示。)は、前方車両ZSについて、前方車両遮光領域SZSに基づき、前方車両遮光領域SZSの近接する前方車両左減光領域GZS(H)及び前方車両右減光領域GZS(M)を決定する。前方車両左減光領域GZS(H)の光量である前方車両左光量IZS(H)、及び、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)は、前方車両遮光領域SZSの光量に比して大きくなるべきである。IZS(H)>IZS(M)。これは運転者USが存在する側の光量を他方に比して小さくして運転者USへの眩惑を抑止するものである。前方車両左光量IZS(H)及び前方車両右光量IZS(M)の両者の大きさの調整は、制御部SEが前照灯ZTの照射を制御することに行われる。
【0039】
図2に示されるように、前方車両左減光領域GZS(H)を規定する前照灯ZTの照射角度である前方車両左角度θZS(H)、及び、前方車両右減光領域GZS(M)を規定する前照灯ZTの照射角度である前方車両右角度θZS(M)は、図2に示されるように、概ね同一である。
【0040】
第2の決定部KE2は、対向車両TSについて、上記したと同様に、対向車両遮光領域STSに基づき、対向車両遮光領域STSに隣接する対向車両左減光領域GTS(H)及び対向車両右減光領域GTS(M)を決定する。対向車両左減光領域GTS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)、及び、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)は、対向車両遮光領域STSの光量に比して大きくなるべきである。対向車両左光量ITS(H)及び対向車両右光量ITS(M)の両者の大きさの調整は、制御部SEが前照灯ZTの照射を制御することに行われる。
【0041】
図2に示されるように、対向車両左減光領域GTS(H)を規定する、前照灯ZTの照射角度である対向車両左角度θTS(H)、及び、対向車両右減光領域GTS(M)を規定する前照灯ZTの照射角度である対向車両右角度θTS(M)は、概ね同一である。
【0042】
ステップST14:推定部SU(図1に図示。)は、図2に示されるように、前方車両ZSにおける運転者USの位置、及び対向車両TSにおける運転者USの位置を推定する。推定部SUは、前方車両ZS、対向車両TSの運転者USの位置の推定を、例えば、前方車両ZS、対向車両TSの車種に基づき行う。
【0043】
ステップST15:制御部SE(図1に図示。)は、第2の決定部KE2により決定された複数の減光領域のうち、推定部SUにより推定された運転者USの位置により近い一の減光領域の光量が、前記一の減光領域以外の他の減光領域の光量、例えば、推定部SUにより推定された運転者の位置からより遠い他の減光領域の光量より小さくなるように、前照灯ZTによる照射の動作を制御する。
【0044】
制御部SEは、具体的には、図2に示されるように、前方車両ZSについて、前方車両左減光領域GZS(H)及び前方車両右減光領域GZS(M)のうち、推定部SUにより推定された運転者USの位置により近い前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)が、上記した運転者USの位置からより遠い前方車両左減光領域GZS(H)の光量である前方車両左光量IZS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0045】
制御部SEは、図2に示されるように、対向車両TSについて、上記したと同様に、対向車両左減光領域GTS(H)及び対向車両右減光領域GTS(M)のうち、推定部SUにより推定された運転者USの位置により近い対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が、上記した運転者USの位置からより遠い前方車両左減光領域GZS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0046】
〈実施形態1の効果〉
上述したように、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、図2に示されるように、前方車両ZSについては、前方車両ZSの前方車両遮光領域SZSに近接し、かつ前方車両ZSの運転者USの位置により近い前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)が、前方車両ZSの前方車両遮光領域SZSに近接し、かつ前方車両ZSの運転者USの位置からより遠い前方車両左減光領域GZS(H)の光量である前方車両左光量IZS(H)より小さくなるように、前照灯ZTによる照射を制御する。
【0047】
制御部SEは、図2に示されるように、対向車両TSについては、上記したと同様に、対向車両TSの対向車両遮光領域STSに近接しかつ対向車両TSの運転者USの位置により近い対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が、対向車両TSの対向車両遮光領域STSに近接し、かつ対向車両TSの運転者USの位置からより遠い対向車両左減光領域GTS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0048】
上記した前照灯ZTの照射の制御により、自車両JSの運転者の視認性を確保しつつ、他車両ZS、TSの運転者の視認性を悪化させることを回避することができる。
【0049】
実施形態2.
〈実施形態2〉
実施形態2の前照灯配光制御装置について説明する。
実施形態2の前照灯配光制御装置は、運転者USが存在すると推定した側の減光領域を他方の側に比して広くするものである。
【0050】
〈実施形態2の機能及びハードウェア構成〉
実施形態2の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成(図1図3に図示。)と同様である。
【0051】
〈実施形態2の動作〉
実施形態2の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、基本的に、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作(図4に図示。)と同様である。
【0052】
実施形態2の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、他方で、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作と相違して、前照灯ZTの照射角度を相違させる。
【0053】
図5は、実施形態2の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示す。
【0054】
実施形態2の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SE(図1に図示。)は、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図5に示されるように、前方車両ZSについて、前方車両ZSの運転者USの位置により近い前方車両右減光領域GZS(M)を規定するための前照灯ZTの照射角度である前方車両右角度θZS(M)が、前方車両ZSの運転者USの位置からより遠い前方車両左減光領域GZS(H)を規定するための前照灯ZTの照射角度である前方車両左角度θZS(H)より大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0055】
制御部SEは、対向車両TSについて、上記したと同様に、対向車両TSの運転者USの位置により近い対向車両右減光領域GTS(M)を規定するための前照灯ZTの照射角度である対向車両右角度θTS(M)が、対向車両TSの運転者USの位置からより遠い対向車両左減光領域GTS(H)を規定するための前照灯ZTの照射角度である対向車両左角度θTS(H)より大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0056】
〈実施形態2の効果〉
上述したように、実施形態2の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、前方車両ZSについては、前方車両右角度θZS(M)が前方車両左角度θZS(H)より大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。また、対向車両TSについては、対向車両右角度θTS(M)が対向車両左角度θTS(H)より大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。これにより、前方車両ZS、対向車両TSが、運転状況(例えば、走行速度、走行車線)を変更する場合であっても、前方車両右減光領域GZS(M)内に前方車両ZSの運転者USが位置する可能性を高くし、また、対向車両右減光領域GTS(M)内に対向車両TSの運転者USが位置する可能性を高くする。これにより、前方車両ZS、対向車両TSが運転状況を変更しても、前方車両ZSの運転者US、対向車両TSの運転者USの視認性が悪化することを回避する可能性をより高めることができる。
【0057】
実施形態3.
〈実施形態3〉
実施形態3の前照灯配光制御装置について説明する。
実施形態3の前照灯配光制御装置は、減光領域の光量を光源の光量で調整するものである。
【0058】
〈実施形態3の機能及びハードウェア構成〉
実施形態3の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成(図1図3に図示。)と同様である。
【0059】
〈実施形態3の動作〉
実施形態3の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、基本的に、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作(図4に図示。)と同様である。
【0060】
実施形態3の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、他方で、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作と相違して、前照灯ZTの光源の光量を制御する。
【0061】
図6は、実施形態3の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示す。
【0062】
実施形態3の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SE(図1に図示。)は、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図6に示されるように、前方車両ZSについて、前方車両ZSの運転者USの位置により近い前方車両右減光領域GZS(M)を規定するための前照灯ZTの光源(図示せず。)の光量である前方車両右用光源光量JZS(M)が、前方車両ZSの運転者USの位置からより遠い前方車両左減光領域GZS(H)を規定するための前照灯ZTの光源の光量である前方車両左用光源光量JZS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0063】
制御部SEは、図6に示されるように、対向車両TSについて、上記したと同様に、対向車両TSの運転者の位置により近い対向車両右減光領域GTS(M)を規定するための前照灯ZTの光源の光量である対向車両右用光源光量JTS(M)が、対向車両TSの運転者USの位置からより遠い対向車両左減光領域GTS(H)を規定するための前照灯ZTの光源の光量である対向車両左用光源光量JTS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0064】
〈実施形態3の効果〉
上述したように、実施形態3の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、図6に示されるように、前方車両ZSについては、前方車両右用光源光量JZS(M)が、前方車両左用光源光量JZS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。これにより、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)が、前方車両左減光領域GZS(H)の光量である前方車両左光量IZS(H)より小さくなる。その結果、前方車両ZSの運転者USが、自車両JSの前照灯ZTの照射に起因して歩行者等を視認することが困難になるとのグレア現象が発生することを抑制することができる。
【0065】
制御部SEは、図6に示されるように、対向車両TSについては、上記したと同様に、対向車両右用光源光量JTS(M)が、対向車両左用光源光量JTS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。これにより、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が、対向車両左減光領域GTS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)より小さくなる。その結果、対向車両TSの運転者USが、自車両JSの前照灯ZTの照射に起因して歩行者等の視認することが困難になるとのグレア現象が発生することを抑制することができる。
【0066】
実施形態4.
〈実施形態4〉
実施形態4の前照灯配光制御装置について説明する。
実施形態4の前照灯配光制御装置は、前方車両ZS、対向車両TSの運転者近傍の光量がグレア発生限界光量未満に制御するものである。
【0067】
〈実施形態4の機能及びハードウェア構成〉
実施形態4の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成(図1図3に図示。)と同様である。
【0068】
〈実施形態4の動作〉
実施形態4の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、基本的に、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作(図4に図示。)と同様である。
【0069】
実施形態4の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、他方で、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作と相違して、減光領域での光量がグレア現象を発生させる程度に至らないように前照灯ZTの光源の光量を制御する。ここでグレア現象を発生させる程度に至らない光量のうち最大の光量をグレア発生限界光量と称する。
【0070】
図7は、実施形態4の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示す。
【0071】
実施形態4の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SE(図1に図示。)は、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図7に示されるように、前方車両ZSについて、前方車両ZSの運転者USの位置により近い前方車両右減光領域GZS(M)内における、運転者USの位置に最も近い領域である前方車両近接減光領域GZS(K)の光量である前方車両近接光量IZS(K)がグレア現象を発生させる光量に至らないように、前方車両右減光領域GZS(M)を規定するための前照灯ZTの光源(図示せず。)の光量である前方車両右用光源光量JZS(M)を制御する。
【0072】
制御部SEは、図7に示されるように、対向車両TSについて、上記したと同様に、対向車両TSの運転者USの位置により近い対向車両右減光領域GTS(M)内における、運転者USの位置に最も近い領域である対向車両近接減光領域GTS(K)の光量である対向車両近接光量ITS(K)がグレア現象を発生させる光量に至らないように、対向車両右減光領域GTS(M)を規定するための前照灯ZTの光源の光量である対向車両右用光源光量JTS(M)を制御する。
【0073】
制御部SEは、上記した前照灯ZTの光源の光量の制御を、前方車両近接光量IZS(K)が自車両JS及び前方車両ZS間の距離の2乗に概ね反比例する関係、及び、対向車両近接光量ITS(K)が自車両JS及び対向車両TS間の距離の2乗に概ね反比例する関係を用いて行う。
【0074】
〈実施形態4の効果〉
上述したように、実施形態4の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、図7に示されるように、前方車両ZSについては、前方車両近接光量IZS(K)がグレア現象を生じる光量に至らないように、前照灯ZTの前方車両右用光源光量JZS(M)を制御する。これにより、前方車両ZSの運転者USが、自車両JSの前照灯ZTの照射に起因して、歩行者等を視認することが困難になるとのグレア現象が発生することを実施形態1に比してより大きく抑制することができる。
【0075】
制御部SEは、また、図7に示されるように、対向車両TSについては、対向車両近接光量ITS(K)がグレア現象を生じる光量に至らないように、前照灯ZTの対向車両右用光源光量JTS(M)を制御する。これにより、対向車両TSの運転者USが、自車両JSの前照灯ZTの照射に起因して、歩行者等を視認することが困難になるとのグレア現象が発生することを実施形態1に比してより大きく抑制することができる。
【0076】
実施形態5.
〈実施形態5〉
実施形態5の前照灯配光制御装置について説明する。
実施形態5の前照灯配光制御装置は、自車両JSと他車両ZS、TSとの距離、相対速度または相対角度が変化したとき、これらの変化前に比して減光領域の光量を制御するものである。
【0077】
〈実施形態5の機能及びハードウェア構成〉
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成(図1図3に図示。)と同様である。
【0078】
〈実施形態5の動作〉
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、基本的に、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作(図4に図示。)と同様である。
【0079】
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、他方で、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作と相違して、自車両JS及び他車両ZS、TS間の関係に応じて、具体的には、距離、相対速度、相対角度に応じて、前方車両右光量IZS(M)及び対向車両右光量ITS(M)(いずれも図2に図示。)を制御する。
【0080】
図8は、実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その1)を示す。
【0081】
図9は、実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その2)を示す。
【0082】
図10は、実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その3)を示す。
【0083】
図11は、実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その4)を示す。
【0084】
〈距離〉
(1)距離K1(JZ)は、図8に示されるように、例えば、自車両JSの前部(例えば、フロントバンパー)及び前方車両ZSの後部(例えば、リアバンパー)間の隔たりである。
(2)距離K1(JT)は、図8に示されるように、例えば、自車両JSの前部(例えば、フロントバンパー)及び対向車両TSの前部(例えば、フロントバンパー)間の隔たりである。
【0085】
〈相対速度〉
相対速度は、図8に示されるように、以下のとおり定義される。
(1)自車両JSの速度V1(J)及び前方車両ZSの速度V1(Z)間の相対速度SV1(JZ)=|V1(J)-V1(Z)|
(2)自車両JSの速度V1(J)及び対向車両TSの速度V1(T)間の相対速度SV1(JT)=|V1(J)+V1(T)|
自車両JS、前方車両ZS、対向車両TSの速度V1(J)、V1(Z)、V1(T)は、進行方向を考慮して、正負が決定されている。
【0086】
〈相対角度〉
(1)相対角度SK1(JZ)は、図8に示されるように、自車両JSの中心(図示せず。)を通りかつ自車両JSの進行方向に平行な仮想中心線KC1(J)と、自車両JSの中心及び前方車両ZSの中心(図示せず。)を通る仮想直線KT1(JZ)とがなす角度である。
【0087】
(2)相対角度SK1(JT)は、図8に示されるように、上記した仮想中心線KC1(J)と、自車両JSの中心及び対向車両TSの中心(図示せず。)を通る仮想直線KT1(JT)とがなす角度である。
【0088】
〈距離の変化(前方車両ZS)〉
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SE(図1に図示。)は、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図8及び図9に示されるように、自車両JS及び前方車両ZS間の距離が、距離K1(JZ)(図8に図示。)から距離K2(JZ)(図9に図示。)へ短くなると、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)(図2に図示。)が距離の変化前に比して小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。制御部SEは、上記とは対照的に、自車両JS及び前方車両ZS間の距離が、距離K2(JZ)から距離K1(JZ)へ長くなると、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)が距離の変化前に比して大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0089】
〈距離の変化(対向車両TS)〉
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図8及び図9に示されるように、自車両JS及び対向車両TS間の距離が、K1(JT)(図8に図示。)から距離K2(JT)(図9に図示。)へ短くなると、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)(図2に図示。)が距離の変化前に比して小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。制御部SEは、上記とは対照的に、自車両JS及び対向車両TS間の距離が、K2(JT)から距離K1(JT)へ長くなると、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が距離の変化前に比して大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0090】
〈相対速度の変化(前方車両ZS)〉
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図8及び図10に示されるように、自車両JS及び前方車両ZS間の相対速度が、SV1(JZ)(図8に図示。)からSV2(JZ)(図10に図示。)へ大きくなると、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)(図2に図示。)が相対速度の変化前に比して小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。制御部SEは、上記とは対照的に、自車両JS及び前方車両ZS間の相対速度が、SV2(JZ)からSV1(JZ)へ小さくなると、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)が相対速度の変化前に比して大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0091】
〈相対速度の変化(対向車両TS)〉
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図8及び図10に示されるように、自車両JS及び対向車両TS間の相対速度が、SV1(ZT)(図8に図示。)からSV2(ZT)(図10に図示。)へ大きくなると、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)(図2に図示。)が相対速度の変化前に比して小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。制御部SEは、上記とは対照的に、自車両JS及び対向車両TS間の相対速度が、SV2(ZT)からSV1(ZT)へ小さくなると、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が相対速度の変化前に比して大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0092】
〈相対角度の変化(前方車両ZS)〉
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図8及び図11に示されるように、自車両JS及び前方車両ZS間の相対角度が、SK1(JZ)(図8に図示。)からSK2(JZ)(図11に図示。)へ大きくなると、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)(図2に図示。)が相対角度の変化前に比して小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。制御部SEは、上記とは対照的に、自車両JS及び前方車両ZS間の相対角度が、SK2(JZ)からSK1(JZ)へ小さくなると、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)が相対角度の変化前に比して大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0093】
〈相対角度の変化(対向車両TS)〉
実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、フローチャート(図4に図示。)のステップST15で、図8及び図11に示されるように、自車両JS及び対向車両TS間の相対角度が、SK1(JT)(図8に図示。)からSK2((JT)(図11に図示。)へ大きくなると、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)(図2に図示。)が相対角度の変化前に比して小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。制御部SEは、上記とは対照的に、自車両JS及び対向車両TS間の相対角度が、SK2(JT)からSK1((JT)へ小さくなると、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が相対角度の変化前に比して大きくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0094】
〈実施形態5の効果〉
上述したように、実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、前方車両ZSについては、自車両JS及び前方車両ZS間の距離、相対速度、及び相対角度に応じて、前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)が変わるように、前照灯ZTの照射を制御する。これにより、自車両JSの前照灯ZTの照射に起因して、前方車両ZSの運転者USによる視認性が悪化するとのグレア現象の発生を、自車両JS及び前方車両ZS間の距離、相対速度、及び相対角度の変化に応じて低減することができる。
【0095】
制御部SEは、また、対向車両TSについては、自車両JS及び対向車両TS間の距離、相対速度、及び相対角度に応じて、対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が変わるように、前照灯ZT照射を制御する。これにより、これにより、自車両JSの前照灯ZTの照射に起因して、対向車両TSの運転者USによる視認性が悪化するとのグレア現象の発生を、自車両JS及び対向車両TS間の距離、相対速度、及び相対角度の変化に応じて低減することができる。
【0096】
実施形態6.
〈実施形態6〉
実施形態6の前照灯配光制御装置について説明する。
実施形態6の前照灯配光制御装置は、自車両で得た情報あるいは通信で得た情報に基づいて他車両の運転者USの位置を推定することに代えて、道路の通行方向に基づいて他車両の運転者USの位置を簡易的に推定するものである。
【0097】
〈実施形態6の機能及びハードウェア構成〉
実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成(図1図3に図示。)と同様である。
【0098】
〈実施形態6の動作〉
実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、基本的に、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作(図4に図示。)と同様である。
【0099】
実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、他方で、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作と相違して、対向車両TSの対向車両右減光領域GTS(M)及び対向車両左減光領域GTS(H)のいずれかの光量を、道路の通行方向(左側通行、右側通行)に応じて制御する。実施の形態6は、前方車両ZS、対向車両TSの車種の分析において道路の通行方向を利用して簡易的に分析するものである。すなわち左側通行なら他車両は右ハンドル、右側通行なら他車両は左ハンドルと推定して制御を行う。
【0100】
図12は、左側通行の国、地域の例であって、実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その1)を示す。
【0101】
図13は、右側通行の国、地域の例であって、実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その2)を示す。
【0102】
実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSでは、検出部KE(図1に図示。)は、フローチャート(図4に図示。)のステップST11で、他車両ZS、TSが、対向車両TSであるか否かを検出する。
【0103】
〈左側通行の場合〉
上記したステップST11で、他車両ZS、TSが対向車両TSであることが検出されると、上記のフローチャートのステップST15で、制御部SE(図1に図示。)は、図12に示されるように、左側通行の道路DR2における対向車両TSの進行方向の右側により近い対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が、対向車両TSの進行方向の左側により近い対向車両左減光領域GTS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0104】
〈右側通行の場合〉
上記したと同様に、ステップST11で、他車両ZS、TSが対向車両TSであることが検出されると、上記のフローチャートのステップST15で、制御部SEは、上記とは相違して、図13に示されるように、右側通行の道路DR2における対向車両TSの進行方向の左側により近い対向車両左減光領域GTS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)が、対向車両TSの進行方向の右側により近い対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0105】
〈実施形態6の効果〉
上述したように、実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSでは、対向車両TSについて、制御部SEは、図12に示されるように、左側通行の場合、対向車両右光量ITS(M)が対向車両左光量ITS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。制御部SEは、上記とは対照的に、図13に示されるように、右側通行の場合、対向車両左光量ITS(H)が対向車両右光量ITS(M)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。ここで、多くの場合に、道路の通行方向(左側通行、右側通行)に基づき、対向車両TSの運転者USの位置(進行方向の右側、左側)が特定される。
【0106】
従って、実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSでは、実施形態1の推定部SUが自車両で得た情報あるいは通信で得た情報に基づいて対向車両TSの運転者USの位置を推定することに代えて、上記した運転者USを特定する方法を用いることにより、対向車両左光量ITS(H)及び対向車両右光量ITS(M)のいずれを相対的に低減させるべきかの決定を簡易に行うことができる。
【0107】
実施形態7.
〈実施形態7〉
実施形態7の前照灯配光制御装置について説明する。
実施形態7の前照灯配光制御装置は、自車両JSと対向車両TSとの距離が閾値距離よりも短い、相対速度が閾値相対速度よりも大きい、または相対角度が閾値相対角度よりも大きいとき、対向車両TSの運転者が存在すると推定する側の減光領域の光量を他方に比して小さくするものである。
ここで自車両JSと対向車両TSとの距離が閾値距離よりも短い、相対速度が閾値相対速度よりも大きい、または相対角度が閾値相対角度よりも大きいときというのは、対向車両TSが遮光領域から逸脱しやすいときである。
【0108】
〈実施形態7の機能及びハードウェア構成〉
実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成(図1図3に図示。)と同様である。
【0109】
〈実施形態7の動作〉
実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、基本的に、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作(図4に図示。)と同様である。
【0110】
実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、他方で、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作と相違して、自車両JS及び対向車両TS間での距離、相対速度、及び相対角度に応じて、前照灯ZTの照射を制御する。
【0111】
図14は、実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その1)を示す。
【0112】
図15は、実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSの動作(その2)を示す。
【0113】
実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSでは、検出部KE(図1に図示。)は、フローチャート(図4に図示。)のステップST11で、図14(左側通行の場合)、図15(右側通行の場合)に示されるように、他車両ZS、TSが対向車両TSであるか否かを検出する。
【0114】
他車両ZS、TSが対向車両TSであることが検出されると、制御部SE(図1に図示。)は、上記のフローチャートのステップST15で、(1A)自車両JS及び対向車両TS間の距離K2(JT)と予め定められた閾値距離KTHとを比較し、(1B)自車両JS及び対向車両TS間の相対速度SV2(JT)と予め定められた閾値相対速度SVTHとを比較し、(1C)自車両JS及び対向車両TS間の相対角度SK2(JT)と予め定められた閾値相対角度SKTHとを比較する。
【0115】
制御部SEは、(1A)距離K2(JT)が閾値距離KTHより短いとき、(1B)相対速度SV2(JT)が閾値相対速度SVTHより大きいとき、または、(1C)相対角度SK2(JT)が閾値相対角度SKTHより大きいとき、以下の動作を行う。
【0116】
〈左側通行の場合〉
制御部SEは、図14に示されるように、左側通行の道路DR2における対向車両TSの進行方向の右側により近い対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)が、対向車両TSの進行方向の左側により近い対向車両左減光領域GTS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0117】
〈右側通行の場合〉
制御部SEは、図15に示されるように、右側通行の道路DR2における対向車両TSの進行方向の左側により近い対向車両左減光領域GTS(H)の光量である対向車両左光量ITS(H)が、対向車両TSの進行方向の右側により近い対向車両右減光領域GTS(M)の光量である対向車両右光量ITS(M)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0118】
制御部SEは、上記とは対照的に、(1A)距離K2(JT)が閾値距離KTHより長いとき、(1B)相対速度SV2(JT)が閾値相対速度SVTHより小さいとき、または、(1C)相対角度SK2(JT)が閾値相対角度SKTHより小さいとき、上記した前照灯ZTの照射の制御を行わない。
【0119】
〈実施形態7の効果〉
上述したように、実施形態7の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、他車両ZS、TSが対向車両TSであることが検出されると、図14に示されるように、左側通行の場合、対向車両左光量ITS(H)が対向車両右光量ITS(M)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御し、図15に示されるように、右側通行の場合、対向車両右光量ITS(M)が対向車両左光量ITS(H)により小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0120】
これにより、道路DR2が左側通行であるか右側通行であるかを問わず、対向車両TSの運転者USの位置により近い減光領域である、対向車両右減光領域GTS(M)(左側通行の場合。図14に図示。)、及び対向車両左減光領域GTS(H)(右側通行の場合。図15に図示。)を減光する。その結果、実施形態5の前照灯配光制御装置ZHSと同様に、自車両JSの前照灯ZTの照射に起因して、対向車両TSの運転者USによる視認性が悪化するとのグレア現象の発生を、自車両JS及び対向車両TS間の距離、相対速度、及び相対角度の変化に応じて低減することができる。
【0121】
多くの場合に、道路の通行方向(左側通行、右側通行)に基づき、対向車両TSの運転者USの位置(進行方向の右側、左側)が特定される。従って、道路の通行方向(左側通行、右側通行)を考慮することによって、実施形態6の前照灯配光制御装置ZHSと同様に、対向車両左光量ITS(H)及び対向車両右光量ITS(M)のいずれを相対的に低減させるべきかの決定を簡易的に行うことができる。
【0122】
実施形態8.
〈実施形態8〉
実施形態8の前照灯配光制御装置について説明する。
実施形態8の前照灯配光制御装置は、前方車両ZSが旋回しているときその旋回内側の光量を小さくするものである。
【0123】
〈実施形態8の機能及びハードウェア構成〉
実施形態8の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成は、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの機能及びハードウェア構成(図1図3に図示。)と同様である。
【0124】
〈実施形態8の動作〉
実施形態8の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、基本的に、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作(図4に図示。)と同様である。
【0125】
実施形態8の前照灯配光制御装置ZHSの動作は、他方で、実施形態1の前照灯配光制御装置ZHSの動作と相違して、前方車両ZSが旋回しているか否かに応じて、前照灯ZTの照射を制御する。
【0126】
図16は、実施形態8の前照灯配光制御装置ZHSの動作を示す。
【0127】
実施形態8の前照灯配光制御装置ZHSでは、検出部KE(図1に図示。)は、フローチャート(図4に図示。)のステップST11で、他車両ZS、TSが、前方車両ZSであるか否か、及び、旋回しているか否かを検出する。
【0128】
図16に示されるように、他車両ZS、TSが前方車両ZSであり、かつ旋回していることが検出されると、制御部SE(図1に図示。)は、上記のフローチャートのステップST15で、前方車両ZSの旋回方向の内側、換言すれば、前方車両ZSが旋回するときに描く仮想的な円弧の中心(図示せず。)により近い前方車両右減光領域GZS(M)の光量である前方車両右光量IZS(M)が、前方車両ZSの旋回方向の外側、換言すれば、前方車両ZSが旋回するときに描く仮想的な円弧の中心からより遠い前方車両左減光領域GZS(H)の光量である前方車両左光量IZS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。
【0129】
〈実施形態8の効果〉
上述したように、実施形態8の前照灯配光制御装置ZHSでは、制御部SEは、他車両ZS、TSが前方車両ZSであり、かつ旋回しているとき、前方車両ZSの旋回方向の内側である前方車両右光量IZS(M)が、前方車両ZSの旋回方向の外側である前方車両左光量IZS(H)より小さくなるように、前照灯ZTの照射を制御する。これにより、前方車両ZSの運転者USの視線が旋回方向の内側に集中することを背景に、自車両JSの前照灯ZTによる照射に起因して、前方車両ZSの運転者による視認性が悪化するとのグレア現象が発生することを抑制することができる。
【0130】
本開示の要旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態同士を組み合わせてもよく、また、各実施形態中の構成要素を適宜、削除し、変更し、または、他の構成要素を追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本開示に係る前照灯配光制御装置は、自車両の視認性を確保しつつ、他車両の視認性を悪化させることを回避することに利用可能である。
【符号の説明】
【0132】
DR1 道路、DR2 道路、GTS(M) 対向車両右減光領域、GTS(H) 対向車両左減光領域、GTS(K) 対向車両近接減光領域、GZS(M) 前方車両右減光領域、GZS(H) 前方車両左減光領域、GZS(K) 前方車両近接減光領域、ITS(M) 対向車両右光量、ITS(H) 対向車両左光量、ITS(K) 対向車両近接光量、IZS(M) 前方車両右光量、IZS(H) 前方車両左光量、IZS(K) 前方車両近接光量、JS 自車両、JTS(M) 対向車両右用光源光量、JTS(H) 対向車両左用光源光量、JZS(M) 前方車両右用光源光量、JZS(H) 前方車両左用光源光量、KTH 閾値距離、K1 距離、K2 距離、KB 記憶媒体、KC1 仮想中心線、KE 検出部、KE1 第1の決定部、KE2 第2の決定部、KT1 仮想直線、MM メモリ、NY 入力部、PC プロセッサ、PR プログラム、SA 撮像部、SE 制御部、SK1 相対角度、SK2 相対角度、SKTH 閾値相対角度、STS 対向車両遮光領域、SU 推定部、SV1 相対速度、SV2 相対速度、SVTH 閾値相対速度、SY 出力部、SZS 前方車両遮光領域、TS 対向車両、US 運転者、ZHS 前照灯配光制御装置、ZS 前方車両、ZT 前照灯、θTS(H) 対向車両左角度、θTS(M) 対向車両右角度、θZS(H) 前方車両左角度、θZS(M) 前方車両右角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16