(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-14
(45)【発行日】2023-12-22
(54)【発明の名称】移動体用送信信号切替装置、移動体および移動体情報提供システム
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20231215BHJP
【FI】
B62B3/00 F
(21)【出願番号】P 2023554146
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2021038738
(87)【国際公開番号】W WO2023067720
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-049819(JP,A)
【文献】特開平07-062943(JP,A)
【文献】特開平05-327843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載された第1および第2の通信装置に対応して設けられ、前記第1の通信装置の出力信号と、前記第2の通信装置の出力信号とを切り替えて送信するための送信信号切替装置であって、
前記第1および第2の通信装置の各々は、電源回路から電力の供給を受けて作動して信号を出力するように構成され、
前記第1の通信装置と前記電源回路との間に接続された第1電源線と、
前記第2の通信装置と前記電源回路との間に接続された第2電源線と、
前記第1電源線に介挿接続される第1接点部と、
前記第2電源線に介挿接続される第2接点部と、
前記第1接点部と接触された状態で前記第1接点部を導通させる第1可動端子と、
前記第2接点部と接触された状態で前記第2接点部を導通させる第2可動端子と、
第1端部が前記第1可動端子に接続され、かつ、第2端部が前記第2可動端子に接続される可動部材と備え、
前記可動部材は、前記移動体の使用時に第1方向の力を受けて第1の位置とされる一方で、前記移動体の未使用時に前記第1方向と反対の第2方向の力を受けて第2の位置に移動するように構成され、
前記第1の位置では、前記第1接点部と前記第1可動端子とが接触される一方で、前記第2接点部と前記第2可動端子とが非接触とされ、
前記第2の位置では、前記第2接点部と前記第2可動端子とが接触される一方で、前記第1接点部と前記第1可動端子とが非接触とされる、移動体用送信信号切替装置。
【請求項2】
前記移動体はロック機構を有しており、前記ロック機構は、前記移動体の未使用時に鍵が挿入されて施錠される一方で、前記移動体の使用時には前記鍵が抜去されて解錠されるように構成され、
前記可動部材は、前記移動体の使用時に前記鍵の抜去に応じて前記第1方向の力を受け、前記移動体の未使用時には前記鍵の挿入に応じて前記第2方向の力を受ける、請求項1に記載の移動体用送信信号切替装置。
【請求項3】
前記移動体は被搬送物を載置するための載置部材を有しており、前記載置部材は、前記移動体の使用時には前記被搬送物から荷重を受ける一方で、前記移動体の未使用時には前記荷重が除去されるように構成され、
前記可動部材は、前記移動体の使用時に前記荷重の印加に応じて前記第1方向の力を受け、前記移動体の未使用時には、前記荷重の除去に応じて前記第2方向の力を受ける、請求項1に記載の移動体用送信信号切替装置。
【請求項4】
前記移動体は突起部材を有しており、前記突起部材は、前記移動体の未使用時に前記移動体に形成された貫通孔に押し込まれる一方で、前記移動体の使用時には前記貫通孔から押し出されるように構成され、
前記可動部材は、前記移動体の使用時に前記突起部材の押し出しに応じて前記第1方向の力を受け、前記移動体の未使用時には前記突起部材の押し込みに応じて前記第2方向の力を受ける、請求項1に記載の移動体用送信信号切替装置。
【請求項5】
電源回路と、
前記電源回路から電力の供給を受けて作動して第1の信号を送信する第1の通信装置と、
前記電源回路から電力の供給を受けて作動して第2の信号を送信する第2の通信装置と、
前記第1の信号と前記第2の信号とを切り替えて送信するための送信信号切替装置とを備え、
前記送信信号切替装置は、
前記第1の通信装置と前記電源回路との間に接続された第1電源線と、
前記第2の通信装置と前記電源回路との間に接続された第2電源線と、
前記第1電源線に介挿接続される第1接点部と、
前記第2電源線に介挿接続される第2接点部と、
前記第1接点部と接触された状態で前記第1接点部を導通させる第1可動端子と、
前記第2接点部と接触された状態で前記第2接点部を導通させる第2可動端子と、
第1端部が前記第1可動端子に接続され、かつ、第2端部が前記第2可動端子に接続される可動部材と備え、
前記可動部材は、移動体の使用時に第1方向の力を受けて第1の位置とされる一方で、前記移動体の未使用時に前記第1方向と反対の第2方向の力を受けて第2の位置に移動するように構成され、
前記第1の位置では、前記第1接点部と前記第1可動端子とが接触される一方で、前記第2接点部と前記第2可動端子とが非接触とされ、
前記第2の位置では、前記第2接点部と前記第2可動端子とが接触される一方で、前記第1接点部と前記第1可動端子とが非接触とされる、移動体。
【請求項6】
前記移動体の使用時、前記第1の通信装置は、前記第1電源線を介して前記電源回路から電力の供給を受けて前記第1の信号を出力し、
前記移動体の未使用時、前記第2の通信装置は、前記第2電源線を介して前記電源回路から電力の供給を受けて前記第2の信号を出力し、
前記第1および第2の信号の各々は、前記移動体の使用状態を示す情報を含む、請求項5に記載の移動体。
【請求項7】
請求項5または6に記載の移動体と、
前記第1および第2の通信装置と無線通信を行う第3の通信装置と、
前記第3の通信装置と通信接続されたサーバとを備え、
前記サーバは、前記第1および第2の通信装置から前記第3の通信装置に送信される信号に基づいて、前記移動体の位置情報および使用状態を取得する、移動体情報提供システム。
【請求項8】
前記第3の通信装置は、前記第1および第2の信号の受信時刻および前記第3の通信装置の識別情報を含む受信ログ情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記第3の通信装置の設置場所と前記第3の通信装置の識別情報とを関連付けたデータベースを記憶する記憶部を含み、
前記サーバは、前記データベースを用いて、前記第3の通信装置からの前記第1の信号の前記受信ログ情報に基づいて、使用中の前記移動体の位置情報を生成し、前記第2の信号の前記受信ログ情報に基づいて、未使用の前記移動体の位置情報を生成する、請求項7に記載の移動体情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体用送信信号切替装置、移動体および移動体情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-51916号公報(特許文献1)には、スーパーマーケット等の店舗で使用されるショッピングカートの管理システムが開示される。特許文献1に記載されるカート管理システムは、ショッピングカートと、各ショッピングカートの保管場所への出入りを管理するサーバとを備える。ショッピングカートには、UHF帯で無線通信する複数の通信タグが取り付けられている。複数の通信タグのうちの少なくとも1つの通信タグは、ネスティングによるショッピングカート同士の重なりによって通信が阻害される位置に取り付けられている。
【0003】
サーバは、1つのショッピングカートの複数の通信タグのID情報が読み取れる状態から、一方の通信タグのID情報した読み取れない状態に移行すると、ショッピングカートがネスティングされたと判断する。一方、1つのショッピングカートの複数の通信タグのID情報が読み取れない状態から、各通信タグのID情報が読み取れる状態に移行すると、サーバは、ネスティングされたショッピングカートが保管場所から取り出されたと判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、通信タグは、パッシブタイプおよびアクティブタイプの何れであってもよいとされている。ただし、パッシブタイプの通信タグは通信距離が短いために、施設内で使用されているショッピングカートの位置情報を得するためには、施設内に多数のリーダを設置することが必要となり、コストを増大させることが懸念される。
【0006】
これに対して、アクティブタイプの通信タグは、パッシングタイプに比べて通信距離が長いため、リーダの設置数の増大を抑えることができる。その反面、各ショッピングカートに設置された複数の通信タグを常時作動させておく必要があるため、ショッピングカートにおける電力消費の増加に繋がることが懸念される。
【0007】
本開示は上記のような課題を解決するためになされたものであって、本開示の目的は、低消費電力で、移動体の使用状態を当該移動体の位置情報とともに提供することが可能な移動体情報提供システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る移動体用送信信号切替装置は、移動体に搭載された第1および第2の通信装置に対応して設けられ、第1の通信装置の出力信号と、第2の通信装置の出力信号とを切り替えて送信する。第1および第2の通信装置の各々は、電源回路から電力の供給を受けて作動して信号を出力するように構成される。送信信号切替装置は、第1の通信装置と電源回路との間に接続された第1電源線と、第2の通信装置と電源回路との間に接続された第2電源線と、第1電源線に介挿接続される第1接点部と、第2電源線に介挿接続される第2接点部と、第1接点部と接触された状態で第1接点部を導通させる第1可動端子と、第2接点部と接触された状態で第2接点部を導通させる第2可動端子と、第1端部が第1可動端子に接続され、かつ、第2端部が第2可動端子に接続される可動部材と備える。可動部材は、移動体の使用時に第1方向の力を受けて第1の位置とされる一方で、移動体の未使用時に第1方向と反対の第2方向の力を受けて第2の位置に移動するように構成される。第1の位置では、第1接点部と第1可動端子とが接触される一方で、第2接点部と第2可動端子とが非接触とされる。第2の位置では、第2接点部と第2可動端子とが接触される一方で、第1接点部と第1可動端子とが非接触とされる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、低消費電力で、移動体の使用状態を当該移動体の位置情報とともに提供することが可能な移動体情報提供システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る移動体情報提供システムの概略構成を示す図である。
【
図2】ショッピングカートの使用状態の一例を示す図である。
【
図3】送信信号切替装置の第1構成例を模式的に示す図である。
【
図4】送信信号切替装置の動作を説明する図である。
【
図5】送信信号切替装置の動作を説明する図である。
【
図6】通信装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図8】サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図9】空きカート情報データベースおよび使用カート情報データベースを説明するための図である。
【
図10】移動体情報提供システムの機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
【
図11】移動体情報提供システムで実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【
図12】送信信号切替装置の第2構成例を模式的に示す図である。
【
図13】送信信号切替装置の動作を説明する図である。
【
図14】送信信号切替装置の第3構成例を模式的に示す図である。
【
図15】送信信号切替装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0012】
<移動体情報提供システムの適用例>
本実施の形態に係る移動体情報提供システムは、施設内に存在する移動体の位置情報を当該施設の利用者(以下、単に「ユーザ」とも称する)に提供するためのシステムである。以下では、本実施の形態に係る移動体情報提供システムが適用される施設の一例として、ショッピングモールを挙げて説明する。
【0013】
ショッピングモール内では、買い物客が購入した商品を運搬するための移動体として、ショッピングカートが使用される。ショッピングカートとは、いわゆる手押し車であり、商品を積載するための籠、車輪およびハンドル等で構成されている。
【0014】
ショッピングカートを管理するシステムとしては、ショッピングカートに通信装置を搭載し、当該通信装置から送信される信号に基づいて、サーバがショッピングカートの位置情報を特定するように構成されたものがある。
【0015】
しかしながら、上記システムでは、通信装置は常に信号を出力するように構成されているため、サーバは、通信装置から送信される信号に基づいて、対応するショッピングカートが使用中であるのか否かを判断することができない。
【0016】
本実施の形態では、移動体の使用状態に応じて、移動体に搭載される通信装置が送信する信号を切り替えることができる移動体用送信信号切替装置について説明する。
【0017】
[実施の形態1]
<移動体情報提供システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る移動体情報提供システムの概略構成を示す図である。
図1に示すように、移動体情報提供システム100は、ショッピングカート1と、通信装置20,21と、通信装置30と、サーバ40と、端末装置50とを備える。
【0018】
通信装置20,21の各々は、通信装置30と通信可能に構成されている。通信装置30は、通信装置20,21およびサーバ40と通信可能に構成されている。サーバ40は、通信装置30および端末装置50と通信可能に構成されている。通信装置20,21と通信装置30との間の通信、通信装置30とサーバ40との間の通信、および、サーバ40と端末装置50との間の通信は、無線を用いて行われる。通信装置30とサーバ40との間の通信は、有線であってもよいし無線であってもよい。サーバ40と端末装置50との間の通信は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して行われる。
【0019】
(1)ショッピングカート1
ショッピングカート1は、通常、ショッピングモール内の予め定められた場所(代表的には、カート置き場)に集められる。買い物客は、カート置き場に赴いてショッピングカート1を借り受けることができる。ショッピングカート1を借り受けた買い物客は、買い物が済むと、ショッピングカート1を放置することなく、元のカート置き場にショッピングカート1を返却することが求められる。ショッピングカート1の返却を買い物客に促すための仕組みとして、ショッピングカート1にはコインロック10が設置されている。
【0020】
コインロック10は、例えば、ショッピングカート1のハンドルに設置されている。ハンドルにはさらに、鍵60が取り付けられている。鍵60は、先端部分に鍵部62が取り付けられた鎖部を有している。
【0021】
各ショッピングカート1のコインロック10は、他のショッピングカート1の鍵60と連結可能に構成されている。コインロック10の筐体には、後述するように、鍵60の鍵部62を挿入するための鍵挿入口と、硬貨を投入するための硬貨投入口とが形成されている。筐体内部にはロック機構が設けられている。
【0022】
図2に示すように、カート置き場では、各ショッピングカート1は、他のショッピングカート1と鎖部64によって連結されることにより、相互に束縛された状態となっている。買い物客は、ショッピングカート1を借り受ける際、コインロック10の硬貨投入口に硬貨を投入する。硬貨が投入されると、コインロック10内部のロック機構が解錠され、鍵部62を鍵挿入口から抜き取ることができる。これにより、鎖部64による連結が外れ、ショッピングカート1は他のショッピングカート1との束縛状態から開放される。このとき、硬貨投入口に投入された硬貨は、コインロック10内に設けられた拘束機構によって拘束された状態となる。
【0023】
カート置き場にショッピングカート1を返却する際、買い物客は、コインロック10の鍵挿入口に他のショッピングカート1の鍵部62を挿入する。鍵挿入口の鍵部62が挿入されると、ロック機構が施錠されてコインロック10と鍵部62とが連結することにより、ショッピングカート1と他のショッピングカート1とは相互に束縛された状態となる。このとき、鍵部62の挿入により拘束機構が作動し、硬貨が拘束状態から開放されて硬貨投入口から返却される。
【0024】
(2)通信装置20,21
図1に戻って、ショッピングカート1には、通信装置20,21が搭載されている。通信装置20,21の各々は、近距離無線通信方式により通信装置30と通信する。近距離無線通信方式には、NFC(Near Field Communication)の規格に従う通信方式、WiFi(登録商標)の規格に従う通信方式、または、BLE(Bluetooth Low Energy)の規格に従う通信方式等を用いることができる。
【0025】
通信装置20,21の各々は、例えば、BLE仕様のビーコンであり、半径数メートルから数十メートルの範囲に信号を発信するように構成される。信号には、自装置の識別情報(以下、「ビーコンID」とも称する)を含めることができる。通信装置20は「第1の通信装置」の一実施例に対応し、通信装置21は「第2の通信装置」の一実施例に対応する。通信装置20,21には同じ構成を有するビーコンを用いることができる。
【0026】
通信装置20,21の各々は、図示しない電源回路から電力の供給を受けて作動することにより信号を発信する。電源回路は、後述する送信信号切替装置16を介して、通信装置20および通信装置21の何れか一方に対して選択的に電力を供給する。通信装置20,21の各々は、電源回路からの電力供給が遮断されると、作動を停止し、信号を発信しない。
【0027】
本実施の形態では、通信装置20への電力供給と通信装置21への電力供給とは、後述するように、対応するショッピングカート1の使用状態(使用/未使用)に応じて切り替えられる。通信装置20は、対応するショッピングカート1の使用中に電源回路から電力の供給を受けて作動する。通信装置21は、対応するショッピングカート1の未使用時に電源回路から電力の供給を受けて作動する。
【0028】
通信装置20,21から送信される信号には、ビーコンIDとともに、対応するショッピングカート1の使用状態(使用/未使用)を示すフラグ情報を含めることができる。例えば、対応するショッピングカート1が使用中であるときにフラグが「1」にセットされ、対応するショッピングカート1が未使用になるとフラグが「0」にクリアされる。この場合、通信装置20が送信する信号には、ビーコンIDと、「1」にセットされたフラグ情報とが含まれることになる。一方、通信装置21が送信する信号には、ビーコンIDと、「0」にクリアされたフラグ情報とが含まれることになる。
【0029】
(3)送信信号切替装置16
図3は、送信信号切替装置16の第1構成例を模式的に示す図である。
【0030】
図3に示すように、送信信号切替装置16は、例えば、コインロック10の筐体内に設けられる。コインロック10の筐体には、鍵60の鍵部62を挿入するための鍵挿入口12と、硬貨COを投入するための硬貨投入口14とが設けられている。
図3には、筐体内部における送信信号切替装置16の部分が模式的に示されている。なお、筐体内部には、図示しないロック機構および硬貨COを拘束するための拘束機構がさらに設けられる。
【0031】
送信信号切替装置16は、対応するショッピングカート1の使用状態(使用/未使用)に応じて、通信装置20および通信装置21の何れか一方を選択的に作動させるように構成される。すなわち、送信信号切替装置16は、対応するショッピングカート1の使用状態に応じて、通信装置20からの信号と通信装置21からの信号との間で、送信信号を切り替えることができる。
【0032】
送信信号切替装置16は、通信装置20,21と電源回路22との間に設けられる。電源回路22は、蓄電池等の直流電源を含む。電源回路22は、直流電源の第1の極に繋がる第1端子22aと、直流電源の第2の極に繋がる第2端子22bとを有する。
【0033】
通信装置20は、送信信号切替装置16を介して、電源回路22の第1端子22aと接続される第1端子20aと、電源回路22の第2端子22bと接続される第2端子20bとを有する。
【0034】
通信装置21は、送信信号切替装置16を介して、電源回路22の第1端子22aと接続される第1端子21aと、電源回路22の第2端子22bと接続される第2端子21bとを有する。
【0035】
なお、
図3の例では、電源回路22および通信装置20,21は何れもコインロック10の外部に設けられているが、電源回路22および通信装置20,21の少なくとも1つをコインロック10の筐体内に設ける構成としてもよい。
【0036】
送信信号切替装置16は、電源線24~29と、接点部81,82と、可動部材70と、可動端子71,72と、弾性部材74とを備える。
【0037】
電源線24は、第1の端部が通信装置20の第1端子20aに接続され、第2の端部が電源線28の第1の端部に接続される。電源線28の第2の端部は、電源回路22の第1端子22aに接続される。電源線24および28は「第1電源線」の一実施例に対応する。
【0038】
電源線25は、第1の端部が通信装置20の第2端子20bに接続され、第2の端部が電源線29の第1の端部に接続される。電源線29の第2の端部は、電源回路22の第2端子22bに接続される。
【0039】
電源線26は、第1の端部が通信装置21の第1端子21aに接続され、第2の端部が電源線28の第1の端部に接続される。電源線26および28は「第2電源線」の一実施例に対応する。
【0040】
電源線27は、第1の端部が通信装置21の第2端子21bに接続され、第2の端部が電源線29の第1の端部に接続される。
【0041】
接点部81は、電源線24に介挿接続される。接点部81は一対の固定接点を有している。接点部82は、電源線26に介挿接続される。接点部82は一対の固定接点を有している。接点部81は「第1接点部」の一実施例に対応する。接点部82は「第2接点部」の一実施例に対応する。
【0042】
可動端子71は、接点部81に対向するように配置されている。可動端子71は、導電材料により形成されている。可動端子71は、接点部81の一対の固定接点と接触された状態において、当該固定接点間を電気的に接続し、接点部81を導通状態(オン状態)にする。可動端子71は「第1可動端子」の一実施例に対応する。
【0043】
可動端子72は、接点部82に対向するように配置されている。可動端子72は、導電材料により形成されている。可動端子72は、接点部82の一対の固定接点と接触された状態において、当該固定接点間を電気的に接続し、接点部82を導通状態(オン状態)にする。可動端子72は「第2可動端子」の一実施例に対応する。
【0044】
可動部材70は、第1の端部が可動端子71に接続され、第2の端部が可動端子72に接続されている。可動部材70は、絶縁材料により形成されている。可動部材70は、鍵挿入口12の近傍に配置されており、鍵部62の挿入/抜去の際に作用する力を受けて移動するように構成される。可動部材70は「可動部材」の一実施例に対応する。
【0045】
具体的には、可動部材70は、接点部81と可動端子71とが接触される一方で、接点部82と可動端子72とが非接触とされる「第1の位置」と、接点部82と可動端子72とが接触される一方で、接点部81と可動端子71とが非接触とされる「第2の位置」との間を移動可能に構成される。
【0046】
弾性部材74は、筐体に固定された第1の端部と、可動部材70に接続された第2の端部とを有する。弾性部材74は、例えば、バネまたはゴム等の弾性を有する部材で構成することができる。
【0047】
上述したように、買い物客がショッピングカート1を借り受ける際、すなわち、ショッピングカート1を使用する際には、コインロック10の硬貨投入口14に硬貨COが投入される。硬貨COの投入によってロック機構が解錠された後、鍵60の鍵部62が鍵挿入口12から抜き取られる。
【0048】
買い物客がショッピングカート1を返却する際、すなわち、ショッピングカート1の使用を終了する際には、コインロック10の鍵挿入口12に鍵部62が挿入される。鍵部62の挿入によってロック機構が施錠された後、硬貨投入口14から硬貨COが返却される。ショッピングカート1の未使用時には、コインロック10は、鍵挿入口12に鍵部62が挿入された状態を維持する。
【0049】
このようにコインロック10への鍵部62の抜き取りは、ショッピングカート1の使用開始に連動して行われ、コインロック10への鍵部62の挿入はショッピングカート1の使用終了に連動して行われる。第1構成例に係る送信信号切替装置16は、ショッピングカート1の使用開始および使用終了に連動して行われる鍵部62の挿入/抜去の動作を利用して可動部材70を移動させるように構成される。このような構成とすることにより、送信信号切替装置16は、ショッピングカート1の使用状態に応じて、電源回路22から通信装置20への電力供給と、電源回路22から通信装置21への電力供給との切り替えを実現する。以下に、送信信号切替装置16の動作について詳細に説明する。
【0050】
送信信号切替装置16は、ショッピングカート1の未使用時には、通信装置21を作動させるとともに、通信装置20の作動を停止する。
図4には、ショッピングカート1の使用終了時、コインロック10の鍵挿入口12に鍵部62が挿入される様子が示されている。なお、鍵部62の挿入によってロック機構が解錠されると、硬貨投入口14から硬貨COが返却される。
【0051】
図4に示すように、コインロック10の内部では、鍵部62の先端部分が可動部材70に当接している。鍵部62の挿入に伴って、可動部材70には鍵部62が挿入される方向に沿った力F2が作用する。この力F2を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子71と接点部81とが非接触とされるとともに、可動端子72と接点部82とが接触される。すなわち、可動部材70は「第2の位置」となる。このとき、弾性部材74は、力F2が付与されて圧縮される。力F2は「第2方向の力」の一実施例に対応する。
【0052】
可動端子71および接点部81の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部81は非導通状態(オフ状態)となる。その結果、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aは非接続となり、通信装置20は電源回路22から電気的に切り離される。これにより、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されるため、通信装置20は作動を停止する。
【0053】
一方、可動端子72および接点部82の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部82は導通状態(オン状態)となる。その結果、通信装置21の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aが接続されるため、通信装置21は電源回路22と電気的に接続される。これにより、電源回路22から通信装置21への電力が供給されるため、通信装置20は作動する。
【0054】
ショッピングカート1の未使用時、可動部材70は、鍵部62から付与される力F2によって第2の位置に固定される。したがって、通信装置20は停止状態に維持され、通信装置21は作動状態に維持される。
【0055】
これに対して、送信信号切替装置16は、ショッピングカート1の使用中には、通信装置20を作動させるとともに、通信装置21の作動を停止する。
図5には、ショッピングカート1の使用開始時、コインロック10の鍵挿入口12から鍵部62が抜き取られる様子が示されている。なお、硬貨投入口14に硬貨COが投入されてロック機構が解錠された後、鍵挿入口12から鍵部62が抜き取られる。コインロック10の内部では、鍵部62の抜き取りに伴い、圧縮されていた弾性部材74が元の形状に戻ろうとすることにより、可動部材70には鍵部62が挿入方向とは反対の方向に沿った力F1が作用する。力F1は「第1方向の力」の一実施例に対応する。
【0056】
この力F1を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子72と接点部82とが非接触とされるとともに、可動端子71と接点部81とが接触される。すなわち、可動部材70は「第1の位置」となる。
【0057】
可動端子71および接点部81の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部81は導通状態(オン状態)となる。その結果、通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aが接続され、通信装置20は電源回路22と電気的に接続される。これにより、電源回路22から通信装置20への電力が供給されるため、通信装置20は作動する。
【0058】
一方、可動端子72および接点部82の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部82は非導通状態(オフ状態)となる。その結果、通信装置21の第1端子21aおよび電源回路22の第1端子22aは非接続となり、通信装置21は電源回路22から電気的に切り離される。これにより、電源回路22から通信装置21への電力供給が遮断されるため、通信装置21は作動を停止する。
【0059】
ショッピングカート1の使用中、可動部材70は、弾性部材74から付与される力F1によって第1の位置に固定される。したがって、通信装置20は作動状態に維持され、通信装置21は停止状態に維持される。
【0060】
(4)通信装置30
図1に戻って、通信装置30は、施設内の予め定められた場所に設置されており、ショッピングカート1の通信装置20または通信装置21と無線通信を行う。具体的には、通信装置30は、使用中のショッピングカート1に搭載される通信装置20と無線通信を行う。通信装置30は、未使用のショッピングカート1に搭載される通信装置21と無線通信を行う。通信装置30は「第3の通信装置」の一実施例に対応する。
【0061】
図6は、通信装置30のハードウェア構成例を示す図である。
図6に示すように、通信装置30は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ31と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)32と、プロセッサ31によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)33と、データを不揮発的に格納するHDD(Hard Disk Drive)34と、通信IF(Interface)35とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。なお、通信IF35は、通信装置20,21およびサーバ40との間で通信を行うためのインターフェイスである。HDD34は「不揮発性記憶装置」の一実施例に対応する。通信装置30は、HDD34の代わりに、または、HDD34とともに他の不揮発性記憶装置を備えてしてもよい。
【0062】
通信装置30における処理は、各ハードウェアおよびプロセッサにより実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、HDD34に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、外部通信網に接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信IF35等を介してダウンロードされた後、HDDに一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ31によってHDD34から読み出され、RAM33に実行可能なプログラムの形式で格納される。プロセッサ31は、そのプログラムを実行する。
【0063】
なお、
図1では、1つの通信装置30しか示していないが、施設内に設置される通信装置30の数はこれに限定されるものではない。例えば、施設内にショッピングカート1の設置場所が複数設けられている場合には、複数の設置場所にそれぞれ対応するように複数の通信装置30を設置することができる。さらに、施設内の各店舗に対応するように通信装置30を設置することができる。
【0064】
通信装置30は、受信範囲内に存在する通信装置20,21が発信する信号を受信するように構成される。受信範囲は、通信装置20,21の信号送信範囲に対応しており、半径数メートルの円形形状を有している。なお、通信装置30の受信範囲の大きさは、通信装置20,21から発信される信号の強度によって決まる。通信装置30がカート置き場に設置されている場合には、当該通信装置30の受信範囲がカート置き場を包含するように、通信装置21の信号強度が調整される。このような構成とすることにより、カート置き場に未使用のショッピングカート1が存在する場合には、当該カート置き場に設置された通信装置30は、当該ショッピングカート1に搭載される通信装置21が発信する信号を受信することができる。
【0065】
通信装置30が店舗内に設置されている場合には、当該通信装置30の受信範囲が店舗を包含するように、通信装置20の信号強度が調整される。このような構成とすることにより、店舗内に使用中のショッピングカート1が存在する場合には、当該店舗内に設置された通信装置30は、当該ショッピングカート1に搭載される通信装置20が発信する信号を受信することができる。
【0066】
各通信装置30には、通信装置30ごとに固有の識別情報(以下、「受信機ID」とも称する)が付与されている。各通信装置30に付与された受信機IDは、通信装置30の設置場所と関連付けられてサーバ40に記憶される。サーバ40に記憶される設置場所データベースには、通信装置30ごとに、受信機IDと設置場所とが関連付けられて登録されている。
【0067】
通信装置30は、通信装置20または通信装置21から信号を受信すると、当該信号の受信時刻と、当該信号に含まれるビーコンID、および、対応するショッピングカート1の使用状態(使用/未使用)を示すフラグ情報とを紐付けてHDD34に記憶する。通信装置30のHDD34には、信号の受信履歴を示す受信ログ情報が生成される。
図7は、受信ログ情報を説明するための図である。
図7に示すように、受信ログ情報には、信号の受信時刻、信号の送信元の通信装置20または通信装置21のビーコンID、および、対応するショッピングカート1の使用状態を示すフラグ情報が記録されている。上述したように、フラグ「1」は、対応するショッピングカート1が使用中であることを示し、フラグ「0」は、対応するショッピングカート1が未使用であることを示している。
【0068】
通信装置30は、予め定められた所定周期(例えば、数分間)で、自機の識別情報(受信機ID)とともに、HDD34に記憶されている受信ログ情報をサーバ40に送信する。この際に、既にHDD34に蓄積されている受信ログ情報の一部を削除することで、受信履歴の記憶に使用するHDD34のメモリ容量を抑制することができる。
【0069】
なお、通信装置30は、上記所定周期に従って受信ログ情報を定期的にサーバ40に送信する構成に限定されず、サーバ40からの送信要求に応じて、直近の所定時間(例えば、数分間)における受信ログ情報を送信する構成としてもよい。
【0070】
(5)サーバ40
サーバ40は、施設内に存在するショッピングカート1を管理するための機能を有する。サーバ40は、一例として、施設を運営する運営会社に設置されている。サーバ40は、運営会社から施設の管理を委託された管理担当者によって利用され得る。
【0071】
図8は、サーバ40のハードウェア構成例を示す図である。
図8に示すように、サーバ40は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ41と、データを不揮発的に格納するROM42と、プロセッサ41によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM43と、データを不揮発的に格納するHDD44と、通信IF45とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。なお、通信IF45は、通信装置30および端末装置50との間で通信を行うためのインターフェイスである。HDD45は「不揮発性記憶装置」の一実施例に対応する。サーバ40は、HDD44の代わりに、または、HDD44とともに他の不揮発性記憶装置を備えてしてもよい。
【0072】
サーバ40における処理は、各ハードウェアおよびプロセッサにより実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、HDD45に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、外部通信網に接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信IF45等を介してダウンロードされた後、HDD45に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ41によってHDD45から読み出され、RAM43に実行可能なプログラムの形式で格納される。プロセッサ41は、そのプログラムを実行する。
【0073】
図1に戻って、サーバ40は、通信装置30からの受信ログ情報を受信すると、HDD45に格納されている、未使用のショッピングカート1を管理するためのデータベース(以下、「空きカート情報データベース」とも称する)および使用中のショッピングカート1を管理するためのデータベース(以下、「使用カート情報データベース」とも称する)に受信ログ情報を登録する。施設内に複数の通信装置30が設置されている場合、空きカート情報データベースおよび使用カート情報データベースには、各通信装置30の受信ログ情報が登録される。
【0074】
図9は、空きカート情報データベースおよび使用カート情報データベースを説明するための図である。
図9に示すように、複数の通信装置30の各々は、所定周期(例えば、数分間)で、受信ログ情報を自機の受信機IDとともにサーバ40に送信する。受信ログ情報は、上述したように、信号の受信時刻と、当該信号に含まれる通信装置20または通信装置21のビーコンIDと、対応するショッピングカート1の使用状態を示すフラグ情報とを含んでいる。
【0075】
サーバ40は、複数の通信装置30の各々から受信ログ情報を受信すると、フラグ情報に基づいて、受信ログ情報を、空きカート情報データベースまたは使用カート情報データベースに登録する。具体的には、サーバ40は、フラグ情報が「1」である受信ログ情報を使用カート情報データベースに登録する。サーバ40は、フラグ情報が「0」である受信ログ情報を空きカート情報データベースに登録する。サーバ40は、各データベースにおいて、すべての受信ログ情報を、信号の受信時刻の順に並べる。この際に、サーバ40は、各受信ログ情報に対して、送信元の通信装置30の受信機IDを関連付ける。各データベースは、信号の受信時刻の欄と、受信機IDの欄と、ビーコンIDの欄とを有するテーブルで構成されている。
【0076】
サーバ40は、空きカート情報データベースに登録された内容から、どのカート置き場に対応する通信装置30が、いつ、どの通信装置21の信号を受信したのかを把握することが可能となる。また、受信ログ情報を信号の受信時刻の順に並べることによって、最新の時刻での未使用のショッピングカート1の位置情報を容易に取得することができる。これによると、施設の運営会社または管理担当者は、未使用のショッピングカート1を管理することが可能となる。
【0077】
また、サーバ40は、使用カート情報データベースに登録された内容から、どの店舗に対応する通信装置30が、いつ、どの通信装置20の信号を受信したのかを把握することが可能となる。また、受信ログ情報を信号の受信時刻の順に並べることによって、使用中のショッピングカート1の軌跡を得ることができる。これによると、施設の運営会社または管理担当者は、得られた軌跡を用いて、施設内における買い物客の動向を調査することが可能となる。
【0078】
サーバ40は、空きカート情報データベースに登録された情報に基づいて、現在の時刻において未使用のショッピングカート1の現在位置を示す位置情報を生成する。例えば、サーバ40は、未使用のショッピングカート1の位置情報を示す画面データ(典型的には、WEB画面)を生成する。画面データは、例えば、施設内の平面図を示す画像上に、未使用のショッピングカート1を示すオブジェクトを配置することによって生成することができる。この平面図上には、対応するショッピングカート1の位置に応じてオブジェクトが配置される。サーバ40は、端末装置50から送信される要求信号に基づいて、生成された画面データを送信元の端末装置50に送信することができる。
【0079】
(6)端末装置50
図1に戻って、端末装置50は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して、サーバ40と通信可能に接続されている。端末装置50は、通信機能および表示機能を有する情報処理装置であり、代表的にはスマートフォンまたはタブレットである。端末装置50は、施設内のユーザU(買い物客)によって利用される。なお、端末装置50は、スマートフォンまたはタブレット等の携帯端末に限定されず、施設内に設置されたPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0080】
端末装置50は、典型的には、ウェブブラウザを有している。端末装置50は、サーバ40にアクセスし、画面データ(WEB画面)を自装置に表示する。なお、端末装置50は、画面データを表示するには、サーバ40に対してログインする必要がある。
【0081】
端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスすることにより、端末装置50は、WEB画面をディスプレイに表示する。上述したように、WEB画面は、例えば、施設内における未使用のショッピングカート1の位置を表した画像を含んでいる。端末装置50は、端末装置50のユーザ(買い物客)に対して、どこに未使用のショッピングカート1があるのかを知らせることができる。
【0082】
<移動体情報提供システムの機能的構成>
図10は、移動体情報提供システム100の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図10には、ショッピングカート1、通信装置30、サーバ40および端末装置50の機能的構成が示される。
【0083】
図10に示すように、ショッピングカート1は、通信装置20,21、電源回路22および送信信号切替装置16を含む。
【0084】
送信信号切替装置16は、ショッピングカート1の使用状態に応じて、電源回路22から通信装置20および通信装置21の何れか一方に対して選択的に電力を供給するように構成される。ショッピングカート1の使用時には、電源回路22から通信装置20へ電力が供給されるため、通信装置20は信号を発信する。一方、電源回路22から通信装置21への電力供給が遮断されるため、通信装置21は作動を停止し、信号を発信しない。ショッピングカート1の未使用時には、電源回路22から通信装置21へ電力が供給されるため、通信装置21は信号を発信する。一方、電源回路22から通信装置20への電力供給が遮断されるため、通信装置20は作動を停止し、信号を発信しない。
【0085】
通信装置30は、施設内の予め定められた場所(例えば、カート置き場および店舗等)に設置されている。通信装置30は、受信部302、記憶部304、受信ログ生成部306および送信部308を含む。受信部302は、近距離無線通信により、通信装置20,21と通信可能である。受信部302は、予め定められたサンプリング周期(例えば、数十秒)で、受信範囲内に存在するショッピングカート1の通信装置20,21が発信する信号を受信する。
【0086】
受信ログ生成部306は、信号の受信履歴を示す受信ログ情報(
図7参照)を生成して記憶部304に記憶する。受信ログ情報には、信号の受信時刻および信号の送信元の通信装置20,21のビーコンIDが紐付けられて記録されている。
【0087】
送信部308は、予め定められた所定周期(例えば、数分間)で、自機の受信機IDとともに、記憶部304に記憶されている受信ログ情報をサーバ40に送信する。
【0088】
サーバ40は、受信部402、記憶部404、画面データ生成部406および送信部408を含む。受信部402は、通信装置30の送信部308と通信接続される。受信部402は、通信装置30からの受信ログ情報を受信すると、受信ログ情報に含まれるフラグ情報に基づいて、記憶部404に格納されている空きカート情報データベースまたは使用カート情報データベースに受信ログ情報を登録する。
【0089】
記憶部404は、設置場所データベースと、空きカート情報データベースおよび使用カート情報データベース(
図9参照)とを格納している。画面データ生成部406は、空きカート情報データベースに登録された情報に基づいて、現在の時刻において未使用のショッピングカートの位置情報を示す画面データ(典型的には、WEB画面)を生成する。
【0090】
画面データ生成部406は、空きカート情報データベースおよび設置場所データベースを用いて、画面データの生成に用いるWEB画面表示用データを生成する。画面データ生成部406は、生成されたWEB画面表示用データを用いて、画面データを生成する。送信部408は、端末装置50から送信される要求信号に基づいて、生成された画面データを送信元の端末装置50に送信する。
【0091】
端末装置50は、制御部502、記憶部504、通信部506、表示部508および入力部510を含む。制御部502は、記憶部504に記憶されたプログラムに従って、端末装置50の各部を制御する。記憶部504は、所定のプログラムおよび各種のデータを記憶する。記憶部504には、移動体情報提供システム100のアプリケーションプログラムが、サーバ40からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムには、サーバ40にアクセスするためのアドレス情報(例えば、IPアドレス)が含まれる。
【0092】
通信部506は、上記アドレス情報に基づいてサーバ40にアクセスしてサーバ40と通信する。端末装置50では、通信網NWを介したサーバ40との通信によって、サーバ40から送信されたデータを、随時、記憶部504に格納することができる。
【0093】
表示部508は、例えば、液晶パネルにより構成される。入力部510は、操作ボタンを有する。あるいは、表示部508がタッチパネルで構成される場合には、タッチパネルを用いて入力部510の少なくとも一部を形成することも可能である。
【0094】
通信部506は、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスすることにより、サーバ40から画面データ(WEB画面)を受信して記憶部504に格納する。制御部502は、記憶部504に格納された画面データ(WEB画面)を記憶部504から読み出し、読み出された画面データ(WEB画面)を表示部508に表示する。
【0095】
<移動体情報提供処理の流れ>
図11は、移動体情報提供システム100で実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【0096】
図11に示すように、ショッピングカート1では、処理P1により、ショッピングカート1を借り受ける買い物客によってコインロック10から鍵部62が抜き取られると、処理P2により、ショッピングカート1に搭載される通信装置21への電力供給が遮断されて、通信装置21の作動が停止する。一方、処理P3により、通信装置20に電力が供給されて通信装置20が作動する。処理P4により、通信装置20は信号を発信する。通信装置20は、処理P5において、近距離無線通信により、施設内に設置された通信装置30に向けて信号を送信する。
【0097】
通信装置30は、通信装置20からの信号を受信すると、処理P6により、受信ログ情報を生成する。通信装置30は、処理P7により、生成された受信ログ情報をサーバ40へ送信する。
【0098】
サーバ40は、通信装置30との通信に先立って、処理P9において、通信装置配置場所データベースを生成する。通信装置配置場所データベースには、施設内に設置される通信装置30の配置場所と受信機IDとが関連付けられて登録されている。
【0099】
サーバ40は、処理P7で送信された受信ログ情報を受信すると、処理P8により、受信ログ情報に含まれているフラグ情報(フラグ「1」)に基づいて、使用カート情報データベースを生成する。
【0100】
ショッピングカート1では、処理P10により、ショッピングカート1を返却する買い物客によってコインロック10に鍵部62が挿入されると、処理P11により、ショッピングカート1に搭載される通信装置20への電力供給が遮断されて、通信装置20の作動が停止する。一方、処理P12により、通信装置21に電力が供給されて通信装置21が作動する。処理P13により、通信装置21は信号を発信する。通信装置21は、処理P14において、近距離無線通信により、施設内に設置された通信装置30に向けて信号を送信する。
【0101】
通信装置30は、通信装置21からの信号を受信すると、処理P15により、受信ログ情報を生成する。通信装置30は、処理P16により、生成された受信ログ情報をサーバ40へ送信する。
【0102】
サーバ40は、処理P16で送信された受信ログ情報を受信すると、処理P17により、受信ログ情報に含まれているフラグ情報(フラグ「0」)に基づいて、空きカート情報データベースを生成する。サーバ40は、処理P18により、処理P9で生成された通信装置配置場所データベースおよび処理P17で生成された空きカート情報データベースに基づいて、画面データ(WEB画面)を生成する。
【0103】
端末装置50は、処理P19により、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスし、画面データの送信要求を送信する。サーバ40は、端末装置50から画面データの送信要求を受け付けると、処理P20により、処理P18にて生成された画面データ(WEB画面)を、送信要求の送信元の端末装置50へ送信する。端末装置50は、処理P21により、画面データを受信し、当該画面データに基づいた画面(WEB画面)を表示部508に表示する。
【0104】
以上説明したように、本実施の形態に係る移動体情報提供システムによれば、ショッピングカート1(移動体)に通信装置20,21を搭載し、ショッピングカート1の使用状態に応じて通信装置20,21を選択的に作動させて信号を発信させる構成としたことにより、当該信号を用いて、ショッピングカート1の位置情報とともに、ショッピングカート1の使用状態を示す情報を取得することができる。
【0105】
さらに本実施の形態1によれば、ショッピングカート1の使用時に信号を発信する通信装置20において、ショッピングカート1の未使用時には通信装置20の作動を停止させる構成としたことにより、ショッピングカート1の未使用中に通信装置20が無駄に電力を消費することを抑制できる。同様に、ショッピングカート1の未使用時に信号を発信する通信装置21において、ショッピングカート1の使用時には通信装置21の作動を停止させる構成としたことにより、ショッピングカート1の使用中に通信装置21が無駄に電力を消費することを抑制できる。この結果、ショッピングカート1に取り付けた2つの通信装置20,21を常時作動させる場合と比較して、通信装置全体の電力消費を約半分に削減することが可能となる。
【0106】
また、第1構成例に係る送信信号切替装置16(
図3参照)は、ショッピングカート1の使用開始および使用終了に連動して行われる買い物客の動作(鍵部62の挿入/抜取)を利用して、通信装置20への電力供給と通信装置21への電力供給とを切り替えるように構成されている。そのため、買い物客または施設の管理担当者は、電力供給の切り替えのための特別な操作を必要とされない。
【0107】
[実施の形態2]
実施の形態1では、送信信号切替装置16の第1構成例として、ショッピングカート1に設置されたコインロック10へ鍵部62の挿入および抜去を利用して、通信装置20および通信装置21に選択的に電力を供給する構成について説明した。
【0108】
実施の形態2および3では、本実施の形態に係る送信信号切替装置16の他の構成例について説明する。
【0109】
図12および
図13は、送信信号切替装置16の第2構成例を模式的に示す図である。
図12および
図13には、ショッピングカート1の籠18を含む一部分が模式的に示されている。
【0110】
図12に示すように、籠18の底部には、商品等の被搬送物を載置するための載置部材180が設置されている。載置部材180は、弾性部材182によって支持されている。弾性部材182の第1端は載置部材180の裏面に接続され、第2端は籠18の底部に接続されている。弾性部材182は、例えば、バネまたはゴム等の弾性を有する部材で構成することができる。
【0111】
ショッピングカート1を使用している買い物客が籠18に買い物カゴまたは商品を投入すると、当該買い物カゴまたは商品が載置部材180に載置されることによって載置部材180が押し下げられ、弾性部材182が変形する(
図12参照)。買い物を済ませた買い物客が籠18から買い物カゴまたは商品を取り出したときには、当該買い物カゴまたは商品が載置部材180から除去されたことに応じて、弾性部材182によって底部と反対側の方向の力が載置部材180に付与される。その結果、載置部材180は押し上げられて元の状態に戻される(
図13参照)。
【0112】
このように載置部材180は、ショッピングカート1の使用時には被搬送物から荷重を受ける一方で、ショッピングカート1の未使用時には当該荷重が除去されるように構成されている。載置部材180の裏面には可動部材184が取り付けられている。可動部材184は、載置部材180が荷重を受けて押し下げられたときに、載置部材180とともに下方に移動する。載置部材180から荷重が除去されて載置部材180が押し上げられたときには、可動部材184は載置部材180とともに上方に移動する。
【0113】
図12に示すように、載置部材180が押し下げられた状態において、可動部材184の先端部分が可動部材に70に当接している。この載置部材180の移動に伴って、可動部材70には載置部材180の移動方向に沿った力F1が作用する。この力F1を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子71と接点部81とが接触されるとともに、可動端子72と接点部82とが非接触となる。すなわち、可動部材70は「第1の位置」となる。このとき、弾性部材74は、力F1が付与されて圧縮される。
【0114】
このようにショッピングカート1の使用時には、可動端子71および接点部81の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部81は導通状態(オン状態)となる。一方、可動端子72および接点部82の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部82は非導通状態(オフ状態)となる。
【0115】
これに対して、
図13に示すように、載置部材180が押し上げられて元の状態に戻されると、圧縮されていた弾性部材74が元の形状に戻ろうとすることにより、可動部材70には力F1とは反対の方向に沿った力F2が作用する。この力F2を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子71と接点部81とが非接触とされるとともに、可動端子72と接点部82とが接触される。すなわち、可動部材70は「第2の位置」となる。
【0116】
可動端子72および接点部82の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部82は導通状態(オン状態)となる。一方、可動端子71および接点部81の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部81は非導通状態(オフ状態)となる。
【0117】
実施の形態1と同様、可動部材70が第1の位置のときには、電源線24および電源線28を介して通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aが電気的に接続される。したがって、ショッピングカート1の使用時には、電源回路22から通信装置20に電力が供給されて通信装置20が作動する。
【0118】
一方、可動部材70が第2の位置のときには、電源線26および電源線28を介して通信装置21の第1端子21aおよび電源回路22の第1端子22aが電気的に接続される。したがって、ショッピングカート1の未使用時には、電源回路22から通信装置21に電力が供給されて通信装置21が作動する。
【0119】
なお、載置部材180に載置される被搬送物は買い物カゴまたは商品に限定されない。例えば、ショッピングカート1には、幼児連れで買い物をする買い物客のために、幼児を乗せることができる座席を有しているものがある。この場合、幼児が被搬送物に該当する。したがって、ショッピングカートにおける幼児用座席の座面部分に載置部材180を設けることができる。
【0120】
これによると、幼児が座面に着座しているとき、すなわち、ショッピングカート1の使用時には、座面とともに載置部材180が押し下げられることによって、可動部材70は「第1の位置」となる(
図12参照)。一方、幼児が座面から対座しているとき、すなわち、ショッピングカート1の未使用時には、座面とともに載置部材180が押し上げられることによって、可動部材70は「第2の位置」となる(
図13参照)。
【0121】
あるいは、被搬送物を、買い物客が所有する端末装置(代表的には、スマートフォン)とすることができる。近年、ショッピングカート1のハンドル等に設けられた載置台に買い物客が自身の端末装置を取り付け、買い物中、購入する商品の情報(例えば、商品コード等)を端末装置のスキャナ機能に読み取らせる構成が提案されている。この構成では、スキャナ機能によって読み取られた商品情報が購入リストに登録される。買い物客は、購入リストに基づいて、買い物の支払いを自身の端末装置で行うことができる。
【0122】
上記構成では、買い物を済ませた買い物客は、ショッピングカート1を返却する際、自身の端末装置を載置台から取り外す。この端末装置の載置台に載置部材180を設けることができる。これによると、端末装置が載置台に載置されているとき、すなわち、ショッピングカート1の使用時には、載置台とともに載置部材180が押し下げられることによって、可動部材70は「第1の位置」となる(
図12参照)。一方、端末装置が載置台から取り外されているとき、すなわち、ショッピングカート1の未使用時には、載置台とともに載置部材180が押し上げられることによって、可動部材70は「第2の位置」となる(
図12参照)。
【0123】
なお、本実施の形態では、ショッピングカート1の籠18の底部に載置部材180および電源切替装置16を設置する構成例について説明したが、ショッピングカート1には、籠18以外にも、脚部分などに買い物カゴまたは商品を搭載することが可能に構成されたものがある。したがって、籠18に限定されず、買い物カゴまたは商品が載置される部分に対応するように、載置部材180および電源切替装置16を設置する構成としてもよい。また、ショッピングカート1に設置される載置部材180および電源切替装置16の各々の台数は1台に限定されるものではない。
【0124】
[実施の形態3]
図14および
図15は、送信信号切替装置16の第3構成例を模式的に示す図である。
図14および
図15には、ショッピングカート1の脚19を含む一部分が模式的に示されている。
【0125】
図2に示したように、カート置き場において、ショッピングカート1は他のショッピングカート1と整列するように配置されている。例えば、買い物客は、カート置き場に設置されたカートゲートにショッピングカート1を収納することにより、ショッピングカート1を返却することができる。
【0126】
図14の例では、ショッピングカート1の脚19には突起部材192が設けられている。突起部材192は、脚19の先端部分193に形成された貫通孔190を挿通するように配置されている。突起部材192は、カートゲートに対してショッピングカート1が収納される方向に突出している。突起部材192は、貫通孔190の内部を移動可能に構成されている。
【0127】
買い物を済ませた買い物客がショッピングカート1を返却する際、買い物客は、カート置き場に設置されたカートゲートにショッピングカート1を収納する。この際、
図14に示すように、ショッピングカート1の先端部分191の突起部材192がカートゲートまたは建物の壁などの固定物194、あるいは前方の他のショッピングカート1に接触する。これにより、突起部材192は、接触相手からショッピングカート1が収納される方向とは反対の方向の力を受けて貫通孔190に押し込まれる。
【0128】
買い物客がショッピングカート1を使用する際には、買い物客は、カート置き場にて、カートゲートに収納されている複数のショッピングカート1から最後尾のショッピングカート1を引き出す。この際、
図11に示すように、ショッピングカート1の先端部分191の突起部材192は、固定物194あるいは他のショッピングカート1との接触から解放される。これにより、突起部材192は、貫通孔190から押し出されて元の位置に戻る。
【0129】
このように貫通孔190からの突起部材192の押し出しは、ショッピングカート1の使用開始に連動して行われ、貫通孔190への突起部材192の押し込みはショッピングカート1の使用終了に連動して行われる。第3構成例に係る送信信号切替装置16は、ショッピングカート1の使用開始および使用終了に連動して行われる、突起部材192の押し出し/押し込みの動作を利用して可動部材70を移動させるように構成される。
【0130】
具体的には、
図14に示すように、突起部材192が貫通孔190に押し込まれた状態において、突起部材192の先端部分が可動部材に70に当接している。この突起部材192の押し込みに伴って、可動部材70には突起部材192の移動方向に沿った力F2が作用する。この力F2を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子72と接点部82とが接触されるとともに、可動端子71と接点部81とが非接触となる。すなわち、可動部材70は「第2の位置」となる。このとき、弾性部材74は、力F2が付与されて圧縮される。
【0131】
このようにショッピングカート1の未使用時には、可動端子72および接点部82の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部82は導通状態(オン状態)となる。一方、可動端子71および接点部81の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部81は非導通状態(オフ状態)となる。
【0132】
これに対して、
図15に示すように、貫通孔190から突起部材192が押し出されると、圧縮されていた弾性部材74が元の形状に戻ろうとすることにより、可動部材70には力F2とは反対の方向に沿った力F1が作用する。この力F1を受けて可動部材70が移動することにより、可動端子72と接点部82とが非接触とされるとともに、可動端子71と接点部81とが接触される。すなわち、可動部材70は「第1の位置」となる。
【0133】
可動端子71および接点部81の一対の固定接点が接触することにより、当該固定接点間が電気的に接続されるため、接点部81は導通状態(オン状態)となる。一方、可動端子72および接点部82の一対の固定接点が非接触となることにより、当該固定接点間が電気的に遮断されるため、接点部82は非導通状態(オフ状態)となる。
【0134】
実施の形態1と同様、可動部材70が第1の位置のとき(
図15参照)には、電源線24および電源線28を介して通信装置20の第1端子20aおよび電源回路22の第1端子22aが電気的に接続される。したがって、ショッピングカート1の使用時には、電源回路22から通信装置20に電力が供給されて通信装置20が作動する。
【0135】
一方、可動部材70が第2の位置のとき(
図14参照)には、電源線26および電源線28を介して通信装置21の第1端子21aおよび電源回路22の第1端子22aが電気的に接続される。したがって、ショッピングカート1の未使用時には、電源回路22から通信装置21に電力が供給されて通信装置21が作動する。
【0136】
<移動体情報提供システムのその他の適用例>
上述した実施の形態では、ショッピングモール内に点在するショッピングカート1の位置情報を当該ショッピングカート1の使用状態とともに提供するシステムの構成について例示したが、本実施の形態に係る移動体情報提供システムの適用例はこれに限定されない。例えば、医療施設または介護施設等で施設の利用者に対し、車椅子の位置情報および使用状態を提供するためのシステムに本開示に係る移動体情報提供システムを適用することが可能である。この場合においても、車椅子の使用状態に応じて、車椅子に搭載された通信装置への電力の供給および遮断を切り替えることにより、第1のモードでは使用中の車椅子の位置情報を取得することができ、第2のモードでは未使用の車椅子の位置情報を取得することができる。
【0137】
また、車椅子に対して、電源回路および通信装置とともに、第1から第3の構成例に係る電源切替装置を設置することにより、電源切替装置は、車椅子を使用するユーザの動作を利用して通信装置への電力の供給および遮断を実現することができる。
【0138】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0139】
1 ショッピングカート、10 コインロック、12 鍵挿入口、14 硬貨投入口、16 送信信号切替装置、18 籠、19 脚、20,21,30 通信装置、20a,21a,22a 第1端子、20b,21b,22b 第2端子、22 電源回路、24~29 電源線、40 サーバ、50 端末装置、60 鍵、62 鍵部、64 鎖部、70,184 可動部材、71,72 可動端子、74,182 弾性部材、81,82 接点部、100 移動体情報提供システム、180 載置部材、190 貫通孔、192 突起部材、193 先端部分、CO 硬貨、NW 通信網。