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特許7403748発泡層を含むパウチ形電池セル及び該パウチ形電池セルを含む電池モジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】発泡層を含むパウチ形電池セル及び該パウチ形電池セルを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20231218BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231218BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20231218BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/129
H01M50/133
H01M50/211
H01M50/242
H01M50/293
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022564052
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 KR2022000265
(87)【国際公開番号】W WO2022149892
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002833
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ハ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・イム・チェ
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-553155(JP,A)
【文献】特開2019-067616(JP,A)
【文献】特開2000-173564(JP,A)
【文献】特開2012-059379(JP,A)
【文献】特開2012-084377(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045855(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0303425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部被服層、金属層及び内部接着層を含むラミネートシートからなる電池ケース;
前記電池ケースの内部に収容された電極組立体;及び
前記電池ケースにおいて電極組立体収納部の第1面及び第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に塗布された発泡層;
を含むパウチ形電池セル。
【請求項2】
前記外部被服層は1つ以上の層状構造を有し、前記外部被服層の最外層はPET(ポリエチレンテレフタレート)からなる、請求項1に記載のパウチ形電池セル。
【請求項3】
前記発泡層は、ポリウレタンフォーム(PU foam)を含む、請求項1または2に記載のパウチ形電池セル。
【請求項4】
前記発泡層の厚さは、前記電池ケースの部位別の膨脹程度によって厚さ偏差が存在するように形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のパウチ形電池セル。
【請求項5】
前記発泡層の厚さは、前記電池ケースが多く膨脹する部分で薄く形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のパウチ形電池セル。
【請求項6】
前記発泡層が付加されない前記電極組立体収納部の第1面又は第2面の外部被服層の外面には、両面テープが付着している、請求項1から5のいずれか一項に記載のパウチ形電池セル。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項によるパウチ形電池セルの製造方法であって、
ラミネートシートからなる電池ケースに電極組立体を収容して密封する段階;及び
前記電池ケースの外面に発泡層を形成する段階;
を含み、
前記発泡層は、前記電池ケースにおいて電極組立体収納部の第1面及び第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に形成される、パウチ形電池セルの製造方法。
【請求項8】
前記発泡層を形成する段階は、ポリウレタンフォームを形成する過程である、請求項7に記載のパウチ形電池セルの製造方法。
【請求項9】
前記発泡層が形成されていない前記電極組立体収納部の第1面又は前記第2面の外面に、両面テープを付着させる過程を含む、請求項7または8に記載のパウチ形電池セルの製造方法。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項によるパウチ形電池セルを少なくとも一つ以上含む電池モジュールであって、
前記パウチ形電池セルで構成される電池セルスタック、及び前記電池セルスタックを収容するモジュールハウジングを含み、
前記電池セルスタックは、追加の緩衝部材無しで前記パウチ形電池セルが密着して配列されている、電池モジュール。
【請求項11】
前記電池セルスタックは、電池ケースの外面に発泡層が付加された第1電池セル、及び前記発泡層が付加されていない第2電池セルを含む、請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
1個の前記第1電池セルが、連続して配置される前記第2電池セルの間に配置されている、請求項11に記載の電池モジュール。
【請求項13】
請求項10による電池モジュールの製造方法であって、
前記パウチ形電池セルで構成される電池セルスタックを準備する段階;及び
前記電池セルスタックを前記モジュールハウジングに収納する段階;
を含み、
前記電池セルスタックは、追加の緩衝部材無しで前記パウチ形電池セルが密着して配列されている、電池モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記パウチ形電池セルは、前記電池ケースにおいて電極組立体収納部の第1面及び前記第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に発泡層が塗布された形態である、請求項13に記載の電池モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記電池セルスタックを準備する段階は、
前記電池ケースの外面に発泡層が付加されていない第2電池セルを連続配置し、電池ケースの外面に発泡層が付加された第1電池セルを1個配置する過程を繰り返す過程である、請求項13に記載の電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月8日付韓国特許出願第2021-0002833号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本願発明は、発泡層を含むパウチ形電池セル及び該パウチ形電池セルを含む電池モジュールに関する。具体的には、追加の緩衝部材がなくてもパウチ形電池セルの体積膨脹を自己で収容できるように発泡層を含むパウチ形電池セル及び該パウチ形電池セルを含む電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯用電子機器のような小型装置だけでなく、自動車や電力貯蔵システムのような中大型装置にも、リチウム二次電池がエネルギー源として広く用いられている。中大型装置にリチウム二次電池を利用する場合に、容量及び出力を高めるために多数のリチウム二次電池を電気的に連結して使用しており、積層しやすく、重さの軽いパウチ形二次電池が多く用いられている。
【0004】
前記パウチ形二次電池を用いて電池モジュール又は電池パックを製造するとき、エネルギー密度を上げるために電池セルを密着して配置する。また、エネルギー密度を上げるために、電池セル、電池モジュール又は電池パック内の空いた空間を減らし、空気通路の体積を減らす方法などが考慮される。
【0005】
リチウム二次電池は、反復した充放電過程で電極組立体の膨脹及び収縮による体積変化が起きる。限られた空間における電池セルの厚さ膨脹は、電池セルが密着配列されている電池パックの変形を引き起こすことがある。このような問題を防止するために、複数の電池セルが積層された電池セルスタック同士の間ごとに緩衝部材を配置し、電池セルの体積膨脹を収容又は緩衝することができる。前記緩衝部材としてポリウレタン又はシリコン材質のフォームパッドが用いられてよい。
【0006】
前記フォームパッドは単独で作ることはできず、一般に、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上にポリウレタンフォームを塗布して成長させる。このような過程で製造されるフォームパッドを使用する場合に、電池セル製造工程と別個にフォームパッドを製造する過程が必要である。また、フォームパッドを成長させるために使われるPETフィルムの厚さによって、電池セルスタックに余分の体積増加が発生する問題がある。
【0007】
特許文献1は、熱融着層、バリアーゴム層及び外部保護層が順次に積層される二次電池用パウチを開示している。特許文献1は、金属材料からなるバリアー層に代えてゴムからなるバリアー層を備えているため、電池ケースを製造するために、一般に使われるアルミニウム層を含むラミネートシートを使用することができない。
【0008】
特許文献2は、電極組立体を取り囲むように備えられる支持ケース、及び前記電極組立体と前記支持ケースとの間に位置するフォーム部材を含む二次電池を開示している。
【0009】
特許文献2は、電極組立体のスウェリングによる性能低下を最小化するために、電池ケース内に/から電解液を吸収/排出できるフォーム部材を備えているだけで、電池ケースの膨脹を緩衝するための技術は提示できずにいる。
【0010】
特許文献3は、外部被服層、金属層及びシーラント層を含むラミネートシートからなっており、前記ラミネートシートは、外部から加えられる物理的な衝撃を吸収するための衝撃吸収層をさらに含む二次電池を開示している。
【0011】
特許文献3は、外部被服層と金属層との間及び/又は金属層とシーラント層との間に衝撃吸収層を備える形態であるため、内部に衝撃吸収層が備えられたラミネートシートを別に準備して電池セルを製造しなければならない。
【0012】
このように、一般に使用する外部被服層、金属層及び内部接着層を含むラミネートシートを使用し、電池セルの膨脹によって電池パックなどが損傷することを防止でき、電池セルの製造過程を単純化することによって生産性を向上させることができる技術は提示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第2017-0045976号公報
【文献】韓国公開特許第2020-0109153号公報
【文献】韓国公開特許第2017-0009495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、電池セルスタック内に追加の緩衝部材無しでパウチ形電池セルを密着配列しても、前記パウチ形電池セルが体積膨脹を吸収して電池モジュールが変形することを防止できるパウチ形電池セル及び該パウチ形電池セルを含む電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本願発明に係るパウチ形電池セルは、外部被服層、金属層及び内部接着層を含むラミネートシートからなる電池ケース、前記電池ケースの内部に収容された電極組立体、及び前記電池ケースにおいて電極組立体収納部の第1面及び第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に塗布された発泡層を含むことができる。
【0016】
前記外部被服層は、1つ以上の層状構造を有し、前記外部被服層の最外層はPET(ポリエチレンテレフタレート)からなってよい。
【0017】
前記発泡層は、ポリウレタンフォーム(PU foam)を含むことができる。
【0018】
前記発泡層の厚さは、前記電池ケースの部位別の膨脹の程度によって厚さ偏差が存在するように形成されてよい。
【0019】
前記発泡層の厚さは、前記電池ケースが多く膨脹する部分で薄く形成されてよい。
【0020】
前記発泡層が付加されていない前記電極組立体収納部の第1面又は第2面の外部被服層の外面には、両面テープが付着してよい。
【0021】
本発明は、前記パウチ形電池セルの製造方法を提供し、具体的には、前記パウチ形電池セルの製造方法は、ラミネートシートからなる電池ケースに電極組立体を収容して密封する段階、及び前記電池ケースの外面に発泡層を形成する段階を含み、前記発泡層は、前記電池ケースにおいて電極組立体収納部の第1面及び第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に形成されてよい。
【0022】
前記発泡層を形成する段階は、ポリウレタンフォームを形成する過程であってよい。
【0023】
前記発泡層が形成されていない前記電極組立体収納部の第1面又は前記第2面の外面に両面テープを付着させる過程を含むことができる。
【0024】
本発明は、前記パウチ形電池セルを少なくとも一つ以上含む電池モジュールを提供し、前記電池モジュールは、前記パウチ形電池セルで構成される電池セルスタック、及び前記電池セルスタックを収容するモジュールハウジングを含み、前記電池セルスタックは、追加の緩衝部材無しで前記パウチ形電池セルが密着して配列されてよい。
【0025】
前記電池セルスタックは、電池ケースの外面に発泡層が付加された第1電池セル、及び前記発泡層が付加されていない第2電池セルを含むことができる。
【0026】
前記第1電池セルは1個が、連続して配置される前記第2電池セルの間に配置されてよい。
【0027】
本発明は、また、前記電池モジュールの製造方法を提供し、具体的には、前記電池モジュールの製造方法は、前記パウチ形電池セルで構成される電池セルスタックを準備する段階、及び前記電池セルスタックを前記モジュールハウジングに収納する段階を含み、前記電池セルスタックは、追加の緩衝部材無しで前記パウチ形電池セルが密着して配列されてよい。
【0028】
前記パウチ形電池セルは、前記電池ケースにおいて電極組立体収納部の第1面及び前記第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に発泡層が塗布された形態であってよい。
【0029】
前記電池セルスタックを準備する段階は、前記電池ケースの外面に発泡層が付加されていない第2電池セルを連続配置し、電池ケースの外面に発泡層が付加された第1電池セル1個を配置する過程を繰り返し行う過程であってよい。
【0030】
本願発明は、また、上記の、課題を解決するための手段を様々に組み合わせた形態でも提供可能である。
【発明の効果】
【0031】
以上に説明したように、本願発明は、パウチ形電池セルで体積変化が大きい部分にのみ発泡層を備えるので、発泡層の付加による重さ増加を最小化できる。
【0032】
また、パウチ形電池セルの外部被服層上に発泡層を形成するので、発泡層を形成するために別の部材が不要であるという長所がある。
【0033】
また、組み立てられたパウチ形電池セルの電池ケースの外面に発泡層を形成する過程によって発泡層の形成されたパウチ形電池セルを完成できるので、発泡パッドなどを別途に製造する時間を減らし、製造時間を短縮することができる。
【0034】
また、電池セルの厚さ膨脹の程度に対応するように発泡層の厚さ調節ができ、電池セルのスウェリング特性を考慮して設定された厚さの発泡層をあらかじめ形成することによって電池モジュールの組立工程を簡素化できる。
【0035】
また、電池ケースに発泡層と両面テープを共に備えることによって、電池セルの膨脹緩和の効果と共に電池セルを固定する機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施例に係るパウチ形電池セルの平面図及び垂直断面図である。
図2図1のパウチ形電池セルの分解斜視図である。
図3】第2実施例に係るパウチ形電池セルの斜視図及び部分拡大図である。
図4】第2実施例及び第3実施例に係るパウチ形電池セルの膨脹前後を示す垂直断面図である。
図5】本願発明に係る電池セルスタックの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本願発明を容易に実施できる実施例を詳細に説明する。ただし、本願発明の好ましい実施例に対する動作原理を詳細に説明するとき、関連する公知機能又は構成に関する具体的な説明が本願発明の要旨を却って曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0038】
なお、図面中、類似の機能及び作用をする部分に対しては同一の図面符号を使用する。明細書全体を通じて、ある部分が他の部分と連結されているとしているとき、これは、直接に連結されている場合の他に、それらの間にさらに他の素子を介在して間接に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むということは、別に断らない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0039】
また、構成要素を限定又は付加して具体化する説明は、特に制限がない限り、いかなる発明に適用されてもよく、特定の発明に関する説明に限定されない。
【0040】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示されたものは、特に言及されない限り、複数である場合も含む。
【0041】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって、「又は」は、特に言及されない限り、「及び」も含むものである。したがって、「A又はBを含む」とは、Aを含む、Bを含む、A及びBを含む、3つのいずれの場合をも意味する。
【0042】
以下、本願発明を、図面を参照して詳細な実施例のように説明する。
【0043】
図1は、第1実施例に係るパウチ形電池セルの平面図及び垂直断面図であり、図2は、図1のパウチ形電池セルの分解斜視図である。
【0044】
図1及び図2を参照すると、本願発明に係るパウチ形電池セルは、ラミネートシートからなる電池ケース101の内部に電極組立体103が収容され、電池ケース101の外面のうち、電極組立体収納部120の外面に発泡層110が塗布された形態である。
【0045】
電極組立体103は、正極リードと負極リードで構成される電極リード102が互いに反対方向に突出する両方向電極組立体であってもよく、正極リードと負極リードが同一方向に向かって突出する単方向電極組立体であってもよい。
【0046】
また、電極組立体103の種類は特に限定されず、長いシート状の正極と負極を分離膜が挟持された状態で巻き取った構造のジェリー・ロール(巻取型)電極組立体、所定の大きさ単位で切り取った多数の正極と負極の間に分離膜を挟持した状態で順次に積層したスタック型(積層型)電極組立体、所定単位の正極と負極の間に分離膜を挟持した状態で積層した単位セルを分離膜シートで巻き取った構造のスタック/フォルディング型電極組立体、又は前記単位セルが分離膜を挟持した状態で積層されて接合された構造のラミネーション/スタック型電極組立体であってよい。
【0047】
電池ケース101は、外部被服層、空気及び水分遮断性の金属層、及び熱融着性の内部接着層の積層構造を有する。
【0048】
前記外部被服層は外部から電池セルを保護する役割を担う点で、外部環境に対して優れた耐性を有する必要があり、よって、厚さに対比して優れた引張強度と耐候性などが要求され、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate;PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybuthyleneterephthalate;PBT)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate;PEN)などのポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂などが使用されてよい。このような材料は単独で又は2種以上混合して使用されてよく、2層以上からなる層状構造であってよい。例えば、前記外部被服層は、ONy(延伸ナイロンフィルム)とPETからなる層状構造であってよく、前記外部被服層の最外層はPETからなってよい。
【0049】
前記金属層は、ガス、湿気などの異物の流入又は電解液の漏れを防止する機能の他にも電池ケースの強度を向上させる機能を発揮できるように、アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金が使用されてよく、アルミニウム合金としては、例えば、合金番号8079、1N30、8021、3003、3004、3005、3104、3105などを挙げることができ、これらは単独で又は2つ以上の組合せで使用されてよい。
【0050】
前記内部接着層は、熱融着性を有し、電解液に対する吸湿性が低く、電解液によって膨脹又は侵食しない高分子樹脂が使用されてよく、例えば、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)からなってよい。
【0051】
発泡層110は、パウチ形電池セルの体積膨脹を収容又は緩和するために付加される構成であり、前記パウチ形電池セルで体積変化が大きく起きる電極組立体収納部120の第1面121及び第2面122のいずれか一方の外部被服層の外面に塗布されてよい。
【0052】
図1及び図2に示すパウチ形電池セル100の電池ケース101は、上部ケース101a及び下部ケース101bで構成され、下部ケース101bに電極組立体収納部120が形成され、上部ケース101aには電極組立体収納部が形成されないので、上部ケース101aが電極組立体収納部120の上面を構成することになる。上部ケース101aと下部ケース101bの外周辺は熱融着してシーリング部105を形成する。
【0053】
具体的には、発泡層110は、電極組立体収納部120の第1面121のうち、シーリング部105を除く中心部にのみ形成されてよく、又は電極組立体収納部120の第2面122の外面に塗布されて形成されてよい。又は、第1面121と第2面122の両方に発泡層が形成されてもよい。
【0054】
発泡層110は、電池ケースの膨脹する体積を収容できる形態であり、発泡高分子類に該当する物質を使用でき、例えば、ポリウレタンフォーム、発泡シリコンパッド又はポリプロピレンなどを使用することができる。
【0055】
図3は、第2実施例に係るパウチ形電池セルの斜視図及び部分拡大図である。
【0056】
図3の上部にある部分拡大図は、下部にあるパウチ形電池セル200においてA-A’に沿って切断した部分の垂直断面図である。
【0057】
図3を参照すると、パウチ形電池セル200の電池ケース201は、上部ケース201aと下部ケース201bで構成され、上部ケース201aと下部ケース201bのそれぞれには電極組立体収納部が形成されている。
【0058】
上部ケース201aに形成された電極組立体収納部の上面が第1面221であり、下部ケース201bに形成された電極組立体収納部の下面が第2面222であるとき、発泡層210は、第1面221の外部被服層の外面に形成され、第2面222の外部被服層の外面には両面テープ(図示せず)が付着してよい。又は、図3とは違い、第2面222の外部被服層の外面に発泡層が形成され、第1面221の外部被服層の外面に両面テープが付着してもよいことは勿論である。
【0059】
両面テープが付着する場合には、電池セルを密着配列して電池セルスタックを構成する時に、電池セル間の位置を固定することができる。
【0060】
図3の上部にある部分拡大図は、電池ケース201が膨脹した状態を示している。電池ケースは中心部に体積増加が最も大きく発生する。したがって、発泡層210の圧縮は中心部で最も大きく起きる。ただし、電池ケース201の体積が増加しても、発泡層を含む電池セルの全体厚さが増加しないように、発泡層210の厚さは、電池ケースの厚さ増加幅よりも厚いサイズで付加されてよい。
【0061】
図4は、第2実施例及び第3実施例に係るパウチ形電池セルの膨脹前後を示す垂直断面図である。
【0062】
図4を参照すると、(a)は、図3に示した第2実施例に係るパウチ形電池セルの膨脹前後を示し、(b)は、第3実施例に係るパウチ形電池セルの膨脹前後を示す。
【0063】
図4(a)を参照すると、発泡層210は全体的に均一な厚さで形成された形態である。電池ケース201のうち、膨脹が最も大きい中心部において発泡層210に対する圧力が最も大きく、電池ケース201の周辺部に向かって次第に発泡層210に対する圧力が減る。したがって、電池ケース201が膨脹した時に、発泡層210の中心部の厚さが最も薄くなり、密度が最も増加する。ただし、この時にも、発泡層を含むパウチ形電池セルの全体厚さは、電池ケースの膨脹前の発泡層を含む全体厚さと同一に維持され得る。
【0064】
図4(b)を参照すると、発泡層310の厚さは、電池ケース301の部位別膨脹の程度によって厚さ偏差が存在するように形成された形態である。
【0065】
具体的には、発泡層310の厚さは、電池ケースが多く膨脹する部分において薄く形成されるので、電池ケースの中心部に付加された発泡層310の厚さは、電池ケースの周辺部に比べて相対的に薄く、電池ケースの周辺部に向かって次第に発泡層310の厚さが増加する形態である。
【0066】
ただし、電池ケース301が膨脹する場合に、電池ケースの中心部の体積膨脹が最も大きいので、中心部が膨らんだ形態となる。このような、電池ケースの膨脹によって発泡層中心部の内側面も膨らむように変形されながら圧縮が起き、発泡層の外面が平坦な形態に変形される。したがって、発泡層310を含むパウチ形電池セルにおいて電池ケースの膨脹前に最も厚い部分と、電池ケースの膨脹後に最も厚い部分の厚さとが同一に維持され得る。
【0067】
一つの具体的な例において、前記パウチ形電池セルの製造方法は、ラミネートシートからなる電池ケースに電極組立体を収容して密封する段階、及び前記電池ケースの外面に発泡層を形成する段階を含み、前記発泡層は、前記電池ケースにおいて電極組立体収納部の第1面及び第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に形成されてよい。
【0068】
前記発泡層を形成する段階は、ポリウレタンフォームを形成する過程によって行われてよい。
【0069】
また、前記発泡層が形成されていない前記電極組立体収納部の第1面又は前記第2面の外面に両面テープを付着させる過程を含むことができる。
【0070】
このように、本願発明に係るパウチ形電池セルは、一般のパウチ形電池セルの外面のうち、電極組立体収納部の第1面又は第2面に発泡層を形成する過程によって製造され、従来のパウチ形電池セルにも適用可能な長所がある。
【0071】
図5は、本願発明に係る電池セルスタックの正面図である。
【0072】
図5(a)は、第4実施例に係る電池セルスタックの正面図であり、図5(b)は、第5実施例に係る電池セルスタックの正面図である。
【0073】
図5(a)及び図5(b)を参照すると、図5(a)の電池セルスタックは、16個のパウチ形電池セル100が密着して積層されており、図5(b)は、電池ケース401の外面に発泡層が付加されないパウチ形電池セル300と、電池ケース401外面に発泡層410が付加されたパウチ形電池セル400とが密着して積層されている。電池セルスタックは、追加の緩衝部材無しで密着して配置された状態でモジュールハウジング(図示せず)に収容され、電池モジュールとして組み立てられ得る。
【0074】
図5(a)は、パウチ形電池セル100のみで構成され、パウチ形電池セル100は、右側面には発泡層110が付加され、左側面には両面テープ130が付着している。
【0075】
両面テープ130が付加されることにより、隣り合うパウチ形電池セル100間の結合及び位置決めが容易になされ得る。ただし、必要によって両面テープ130が付加されないパウチ形電池セルも本願発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0076】
図5(a)のように、単一種類のパウチ形電池セルで電池セルスタックを構成する場合には、パウチ形電池セルの製造時に一括して全てのパウチ形電池セルに発泡層を形成する過程を行うことができ、パウチ形電池セルの製造過程を単一化することができる。
【0077】
図5(b)は、3個のパウチ形電池セル300と1個のパウチ形電池セル400を配置する過程を繰り返して形成された電池セルスタックを示す。
【0078】
具体的には、パウチ形電池セル400は、3個のパウチ形電池セル300ごとに1個ずつ配置されてよく、パウチ形電池セル400に付加された発泡層410の厚さは、3個のパウチ形電池セル300と1個のパウチ形電池セル400が膨脹した時の全体厚さ変化量を収容できる厚さであってよい。
【0079】
すなわち、パウチ形電池セルごとに電極組立体の組成や特性によって厚さ変化量が決められ、このような厚さ変化量を考慮して発泡層の厚さを設定することができる。
【0080】
図5(a)及び図5(b)に示す電池セルスタックのx軸方向幅は、パウチ形電池セルの膨脹前後に一定に維持され得る。したがって、電池セルの膨脹及び収縮による体積変化にもかかわらず電池モジュールの外形が変形されず、安全性の向上した電池モジュールを提供することができる。
【0081】
本願発明に係る電池モジュールの製造方法は、前記パウチ形電池セルで構成される電池セルスタックを準備する段階、及び前記電池セルスタックを前記モジュールハウジングに収納する段階を含み、前記電池セルスタックは、追加の緩衝部材無しで前記パウチ形電池セルが密着して配列される形態であってよい。
【0082】
前記パウチ形電池セルは、前記電池ケースで電極組立体収納部の第1面及び前記第2面中のいずれか一方の外部被服層の外面に発泡層が塗布される形態であってよい。又は、前記第1面及び前記第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に発泡層が塗布され、前記発泡層が塗布されない他面には両面テープが付着する形態であってもよい。
【0083】
前記電池セルスタックを準備する段階は、前記電池ケースの外面に発泡層が付加されていない第2電池セルを連続配置し、連続配置された第2電池セルの一側端に、電池ケースの外面に発泡層が付加された第1電池セルを1個配置する過程を繰り返す過程によってなされてよい。
【0084】
又は、前記電池セルスタックを準備する段階は、前記電池ケースの外面に発泡層が付加された第1電池セルのみを連続配置する過程であってもよい。
【0085】
前記電池セルスタックを準備した後、前記電池セルスタックを前記モジュールハウジングに収納でき、又は前記モジュールハウジングの内部に個別電池セルを収納しながら電池セルスタックを準備する段階を共に行うこともできる。
【0086】
このように、本願発明に係るパウチ形電池セル及び電池モジュールは、電極組立体収納部の第1面又は第2面のいずれか一方の外部被服層の外面に発泡層を備えることによって、前記パウチ形電池セルの体積膨脹を吸収及び緩衝でき、パウチ形電池セルの体積変化によって電池モジュールが膨脹変形することを防止できる。
【0087】
本願発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本願発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上に説明したように、本願発明は、パウチ形電池セルにおいて体積変化が大きい部分にのみ発泡層を備えるので、発泡層の付加による重さ増加を最小化できる。
【0089】
また、パウチ形電池セルの外部被服層上に発泡層を形成するので、発泡層を形成するために別の部材が不要であるという長所がある。
【0090】
また、組み立てられたパウチ形電池セルの電池ケースの外面に発泡層を形成する過程によって発泡層の形成されたパウチ形電池セルを完成できるので、発泡パッドなどを別途に製造する時間を減らし、製造時間を短縮することができる。
【0091】
また、電池セルの厚さ膨脹の程度に対応するように発泡層の厚さ調節ができ、電池セルのスウェリング特性を考慮して設定された厚さの発泡層をあらかじめ形成することによって、電池モジュールの組立工程を簡素化できる。
【0092】
また、電池ケースに発泡層と両面テープを共に備えることによって、電池セルの膨脹緩和の効果と共に電池セルを固定する機能を発揮することができる。
【符号の説明】
【0093】
100,200,300,400:パウチ形電池セル
101,201,301,401:電池ケース
101a,201a:上部ケース
101b,201b:下部ケース
102:電極リード
103:電極組立体
105:シーリング部
110,210,310,410:発泡層
120:電極組立体収納部
121,221:第1面
122,222:第2面
130:両面テープ
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5