(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】防蚊性を有する内装材、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/18 20060101AFI20231218BHJP
A01N 31/14 20060101ALI20231218BHJP
A01N 53/08 20060101ALI20231218BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20231218BHJP
A01N 25/34 20060101ALI20231218BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20231218BHJP
A01P 17/00 20060101ALI20231218BHJP
A01M 1/24 20060101ALI20231218BHJP
A01M 29/12 20110101ALI20231218BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20231218BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20231218BHJP
B32B 29/00 20060101ALI20231218BHJP
D21H 27/20 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B32B27/18 F
A01N31/14
A01N53/08 125
A01N25/00 102
A01N25/34 A
A01P7/04
A01P17/00
A01M1/24
A01M29/12
B32B27/30 101
B32B27/10
B32B29/00
D21H27/20 A
(21)【出願番号】P 2019198097
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮村 佳成
(72)【発明者】
【氏名】前田 里恵
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-131731(JP,A)
【文献】特開平07-309701(JP,A)
【文献】実開平04-069401(JP,U)
【文献】特開2019-081822(JP,A)
【文献】特開2017-186275(JP,A)
【文献】特開昭63-183504(JP,A)
【文献】特開平03-124886(JP,A)
【文献】特表2005-515766(JP,A)
【文献】特開2005-154915(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105908522(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N、A01P、A01M、B32B、D21H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
該基材層の上に積層された表面層と、を備え、
前記表面層は、ピレスロイド系薬剤を固着し、
前記基材層が天然パルプ等のセルロース繊維からなる紙、又は印刷塩化ビニルシートであり、
前記表面層が熱可塑性樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂が発泡塩化ビニル性樹脂シート、又は塩化ビニルフィルムであり、
前記熱可塑性樹脂の溶融接着により前記基材層と前記表面層が接着された、
ことを特徴とする内装材。
【請求項2】
前記ピレスロイド系薬剤を0 . 3 ~ 3 . 0 g / m 2 固着している請求項1に記載の内装材。
【請求項3】
前記ピレスロイド系薬剤が、ペルメトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、メトフルトリン、トランスフルトリン、フェノトリン、ピレトリンからなる群より選ばれる1もしくは複数のピレスロイド系薬剤である請求項1または2に記載の内装材。
【請求項4】
表面層と基材層を備えた内装材の製造方法であって、
ピレスロイド系薬剤とバインダー樹脂を含む加工液を前記表面層に塗布する塗布工程と、
前記表面層の裏面から熱ロールによって加熱する加熱工程と、
続く前記表面層の裏面に前記基材層を積層する積層工程と、
続くエンボスロールとニップロールによって挟圧して前記表面層と前記基材層を
溶融接着する
接着工程と、
を備えたことを特徴とする内装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蚊に対して優れた忌避性及びノックダウン性を発揮する内装材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に蚊から人等を保護するために、従来から蚊の侵入を阻止する蚊帳が用いられていた。しかしながら、一旦侵入を許してしまうと他の方法、例えば、蚊取線香のように空気中に殺虫剤を拡散させることで蚊を退治するなどの方法が行われていた。
【0003】
特許文献1には、害虫防除剤が樹脂糸中に練り込まれた樹脂糸と、昆虫成長制御剤成分が樹脂糸中に練り込まれた樹脂糸で、多数の網目を形成した編(織)で形成された害虫防除ネットが開示されている。
【0004】
ところで、近年は生活様式の変化から従来とは異なる方法が求められていた。すなわち、取扱いに労を要する防除ネットや蚊帳などよりも容易な方法で、居住空間において健康や生活環境の観点から、蚊等の害虫に対する忌避性能に優れ、安全性が高い方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、室内の換気や、扉又は玄関からの人の出入りに伴い、蚊が侵入してしまった場合にも、蚊は始終飛び回っていることはなく、例えば室内の壁や天井をはじめとする内装材に止まることから、蚊に対して忌避性及びノックダウン性を発揮する内装材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1] 基材層と、
該基材層の上に積層された表面層と、を備え、
前記表面層は、ピレスロイド系薬剤を固着し、
前記基材層が天然パルプ等のセルロース繊維からなる紙、又は印刷塩化ビニルシートであり、
前記表面層が熱可塑性樹脂であり、
前記熱可塑性樹脂が発泡塩化ビニル性樹脂シート、又は塩化ビニルフィルムであり、
前記熱可塑性樹脂の溶融接着により前記基材層と前記表面層が接着された、
ことを特徴とする内装材。
【0009】
[2]前記ピレスロイド系薬剤を0.3~3.0g/m2固着している前項1に記載の内装材。
【0010】
[3]前記ピレスロイド系薬剤が、ペルメトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、メトフルトリン、トランスフルトリン、フェノトリン、ピレトリンからなる群より選ばれる1もしくは複数のピレスロイド系薬剤である前項1または2に記載の内装材。
【0012】
[4]表面層と基材層を備えた内装材の製造方法であって、
ピレスロイド系薬剤とバインダー樹脂を含む加工液を前記表面層に塗布する塗布工程と、
前記表面層の裏面から熱ロールによって加熱する加熱工程と、
続く前記表面層の裏面に前記基材層を積層する積層工程と、
続くエンボスロールとニップロールによって挟圧して前記表面層と前記基材層を溶融接着する
接着工程と、
を備えたことを特徴とする内装材の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、内装材の表面層にピレスロイド系薬剤を固着していることから、蚊に対して優れた忌避効果及びノックダウン効果を発揮することができ、前記基材層と前記表面層を十分に接着した内装材となる。
【0014】
[2]の発明では、ピレスロイド系薬剤の固着量をこの範囲にすることで、蚊に対して十分に優れた忌避効果及びノックダウン効果を発揮することができる。
【0015】
[3]の発明では、内装材の表面層への適用性がよく、しかも徐々に揮発することから一過性でない忌避効果及びノックダウン効果を発揮することができる。
【0017】
[4] の発明では、塗布工程によりピレスロイド系薬剤とバインダー樹脂を含む加工液の必要量を表面層に確実に塗布することができる。その後加熱工程により前記表面層の裏面から熱ロールによって十分加熱し、続く積層工程により前記表面層の裏面に前記基材層を積層した後、接着工程により前記表面層と前記基材層を確実に接着させることができるので耐久性が一段と向上する。こうして、蚊に対して優れた忌避効果及びノックダウン効果を発揮することができる内装材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る内装材の一実施形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の防蚊性を有する内装材、及びその製造方法について詳しく説明する。室内には、家具や家電製品が備えられるものの、内装材の占める面積が大きくしかも比較的長い間使用される。室内の内装材としては、例えば壁紙、天井の石膏ボードや、塗壁、ウッドパネル、腰壁が挙げられる。
【0020】
図1は、本発明に係る内装材の一実施形態を示す断面図である。本発明に係る内装材1は、基材層3と、該基材層3の上に積層された表面層2と、を備え、前記表面層2は、ピレスロイド系薬剤を固着していることを特徴とする。
【0021】
ここで、本発明の一実施形態として内装材1が壁紙の場合を例に説明する。表面層2は基材層3の上側に積層され、表面層2としては安価で加工のし易い熱可塑性樹脂シートが好ましい。なかでも凹凸感のある立体的な風合いの発砲塩化ビニル性樹脂シートが好ましい。発砲塩化ビニル性樹脂シートは、塩化ビニル樹脂に発泡剤を配合し、シートを形成した後220℃~240℃に加熱し発泡させて作られる。また、表面層2として織物のような繊維素材を用いる場合には、繊維素材の風合いを生かしたまま加工することができる。
【0022】
基材層3は、特に限定されないが、例えば天然パルプ等のセルロース繊維からなる紙を用いるのが好ましい。基材層3は接着剤を介してコンクリートや、木製の板材の面に貼り付けられる。このため、水分を放出しにくいことからカビが発生する恐れがあるので、防カビ、抗菌加工が施されている基材を使用するのが好ましい。接着剤には、VOC(揮発性有機化合物)を含んでいることが多いため、経時的にVOCを発生することがあるので、VOCを含まない澱粉系の糊が好ましい。
【0023】
表面層2には、ピレスロイド系薬剤を固着しており、固着量は0.3~3.0g/m2の範囲が好ましい。固着量が0.3g/m2未満では、長期にわたる効果を発揮できない恐れがあり好ましくなく、3.0g/m2を超えても内装材としての機能低下の恐れや、徒に薬剤量の増加によるコストアップを招くだけになるので好ましくない。固着量を0.3~3.0g/m2の範囲にすることで、蚊に対して十分に優れた忌避効果及びノックダウン効果を発揮することができる。
【0024】
前記ピレスロイド系薬剤としては、例えばペルメトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、メトフルトリン、トランスフルトリン、フェノトリン、ピレトリンを挙げることができる。中でも、ペルメトリン、エトフェンプロックスからなる群より選ばれる1もしくは複数のピレスロイド系薬剤が好ましい。とりわけ、ペルメトリン、エトフェンプロックスは、内装材1の表面層2への適用性がよく、しかも徐々に揮発することから一過性でない効果を発揮することができる。こうして、建物内において、空調や換気扇、各部屋や通路を含め人の出入りに伴い、蚊が侵入してしまった場合、蚊は始終飛び回っていることはなく、例えば、室内の壁や天井をはじめとする内装材1に止まることから、表面層2に固着するピレスロイド系薬剤が、内装材1に止まった蚊と接触することで優れた忌避効果及びノックダウン効果を発揮することができる。
【0025】
本発明の内装材1は、表面層2が熱可塑性樹脂を含んでなるのが好ましく、加熱されることで熱可塑性樹脂が溶融することから、基材層3と表面層2は確実に溶融接着されている。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、塩化ビニル樹脂が柔軟性、加工性の点でより好ましい。
【0026】
次に、本発明の内装材1 の製造方法について説明する。内装材1 の製造方法は、表面層2と基材層3を備えた内装材の製造方法であって、ピレスロイド系薬剤とバインダー樹脂を含む加工液を前記表面層2 に塗布する塗布工程と、前記表面層2の裏面から熱ロールによって加熱する加熱工程と、続く前記表面層2の裏面に前記基材層3を積層する積層工程と、続くエンボスロールとニップロールによって挟圧して前記表面層2と前記基材層3を溶融接着する接着工程と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
この製造方法によって、表面層2にピレスロイド系薬剤を確実に固着させることができ、しかも、加熱工程、積層工程、及び接着工程によって前記表面層2と前記基材層3を確実に接着させることができ耐久性が一段と向上する。こうして、蚊に対して優れた忌避効果及びノックダウン効果を発揮することができる内装材1を製造することができる。
【0028】
(塗布工程)
塗布工程では、ピレスロイド系薬剤とバインダー樹脂を均一に分散させた加工液を、表面層2に塗布する。表面層2にピレスロイド系薬剤とバインダー樹脂を均一に分散させた加工液を塗布する方法としては特に限定されないが、例えば、スプレー法、グラビアロール法やスクリーンプリント法等が挙げられる。中でも、グラビアロール法とスクリーンプリント法が、加工液の塗布量をコントロールできるとともに、均一に塗布できるので好ましい。
【0029】
(加熱工程)
加熱工程では、表面層2の裏面から熱ロールによって加熱する。前記熱ロールを表面層2の裏面に接触させることで表面層2を加熱することができる。前記熱ロールの熱源としては、例えば蒸気、ヒータで昇温されたオイル媒体等を挙げることができる。表皮層2の材料の特性にしたがって適宜採用すればよく、特に限定されない。
【0030】
(積層工程)
積層工程では、表面層2の裏面に基材層3を積層する。要するに基材層3の上に表面層2を積層する。基材層3の上に表面層2を積層する方法としては特に限定されないが、例えば、長尺ものであれば、ロール状の表面層2を巻き出し、上述の各工程を経た後、ロール状の基材3を巻き出し、ローラー等を経由し基材層3の上側に重ね合わせることで、積層することができる。また、長尺ものでなく枚ものであれば、枚ごとに基材層3の上に、公知の方法で表面層2を載せることで積層することができる。
【0031】
(接着工程)
接着工程では、加熱工程、積層工程に続いて、エンボスロールとニップロールによって挟圧して表面層2と基材層3を接着させる。エンボスロールにより表面層2に凹凸の意匠を付与するとともに、エンボスロールとニップロールによって挟圧することで、表皮層2の裏面側から溶融軟化した表皮層2と基材層3をより強固に接着する。こうして、表面層2と基材層3を強固に接着させ一体化させることができる。
【実施例】
【0032】
次に、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のものに特に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における薬剤の種類と内装材に対する固着量を表1に示し、忌避試験及びノックダウン試験の結果を表2に示した。
【0033】
<実施例1>
基材層として印刷塩化ビニルシートを、表面層として塩化ビニルフィルムを用意した。また、エトフェンプロックス20重量部と水10重量部とアクリルバインダー樹脂70重量部を混合した加工液を、ロールコート法によって塩化ビニルフィルムの上に塗布し乾燥後、塩化ビニルフィルムの裏面から熱ロール(表面温度180℃)を接触させて加熱した。続いて、印刷塩化ビニルシートのうえに塩化ビニルフィルムを積層した後、エンボスロールとニップロールによって印刷塩化ビニルシートと塩化ビニルフィルムを挟圧し接着して、内装材を得た。防蚊剤の内装材表面層への固着量は1.2g/m2で、表面層の変色も無かった。こうして得られた内装材の忌避率は85%、ノックダウン割合(%)は100%であった。
【0034】
<実施例2>
基材層として裏打ち紙を用意した。ペルメトリン20重量部と水10重量部と塩化ビニル樹脂65重量部と発泡剤5重量部を混合した加工液を、ロールコート法によって裏打ち紙に塗布した。続いて、温度150℃で加熱して表面層が塩化ビニル樹脂製の壁紙を得た。防蚊剤の表面層への固着量は1.2g/m2で、表面層の変色も無かった。こうして得られた壁紙の忌避率は70%、ノックダウン割合(%)は90%であった。
【0035】
<実施例3>
実施例2において、ペルメトリン20重量部と水10重量部と塩化ビニル樹脂65重量部と発泡剤5重量部を混合した加工液に替えて、エトフェンプロックス10重量部と水5重量部と塩化ビニル樹脂65重量部と発泡剤5重量部を混合した加工液を用いた以外は実施例2と同様にして壁紙を得た。防蚊剤の表面層への固着量は0.5g/m2で、表面層の変色も無かった。こうして得られた壁紙の忌避率は60%、ノックダウン割合(%)は30%であった。
【0036】
<実施例4>
実施例2において、ペルメトリン20重量部と水10重量部と塩化ビニル樹脂65重量部と発泡剤5重量部を混合した加工液に替えて、エトフェンプロックス30重量部と水10重量部と塩化ビニル樹脂60重量部と発泡剤3重量部を混合した加工液を用いた以外は実施例2と同様にして壁紙を得た。防蚊剤の表面層への固着量は2.3g/m2で、表面層の変色も無かった。こうして得られた壁紙の忌避率は90%、ノックダウン割合(%)は100%であった。
【0037】
【0038】
<比較例1>
防蚊剤を固着しなかった、すなわち未加工品の壁紙を比較用として、実施例1~4、比較例2、3の忌避試験及び<ノックダウン試験>の基準として用いた。
【0039】
<比較例2>
実施例2において、ペルメトリン20重量部と水10重量部と塩化ビニル樹脂65重量部と発泡剤5重量部を混合した加工液に替えて、ピカリジン25重量部と水10重量部と塩化ビニル樹脂60重量部と発泡剤5重量部を混合した加工液を用いた以外は実施例2と同様にして壁紙を得た。ピカリジンの表面層への固着量は2.0g/m2で、表面層の変色も無かった。こうして得られた壁紙の忌避率は50%、ノックダウン割合(%)は0%であった。
【0040】
<比較例3>
実施例2において、ペルメトリン20重量部と水10重量部と塩化ビニル樹脂65重量部と発泡剤5重量部を混合した加工液に替えて、パラジクロロベンゼン10重量部と水20重量部と塩化ビニル樹脂70重量部と発泡剤5重量部を混合した加工液を用いた以外は実施例2と同様にして壁紙を得た。パラジクロロベンゼンの表面層への固着量は2.0g/m2で、表面層の変色も無かった。こうして得られた壁紙の忌避率は55%、ノックダウン割合(%)は0%であった。
【0041】
【0042】
表1と表2から明らかなように、本発明の実施例1の内装材及び実施例2~4の壁紙は、蚊に対して優れた忌避性及びノックダウン性を発揮した。
【0043】
一方、比較例2、3の壁紙は、蚊に対して明らかに忌避性があるとは言い難く、いずれも0%でノックダウン性はなかった。
【0044】
<忌避試験>
20cm角のアクリルボックス内に未加工の内装材(防蚊剤非固着)と加工した内装材(防蚊剤固着)を半分ずつ貼った。このアクリルボックス内にヒトスジシマカの雌成虫20頭を放ち時間経過毎に試料に静止した個体数を数え、静止割合(%)を算出した。そして、6時間後の静止割合(%)を忌避率(%)とし、次の式から算出した。なお、表2には6時間後の静止割合(%)(=忌避率(%))を示した。
忌避率(%)=100×未加工内装材に静止した個体数/(未加工内装材に静止した個体数+加工内装材に静止した個体数)
【0045】
<ノックダウン試験>
10cm角の加工した内装材(防蚊剤固着)を置き、その上に直径9cmのシャーレの底を上にし、シャーレ内にヒトスジシマカの雌成虫10頭を放ち、30分経過毎にノックダウンした個体数を数え、ノックダウンした個体数の割合(%)を算出した。
【0046】
上述の試験により算出した加工した内装材(防蚊剤固着)の忌避率(%)が60%以上で、かつノックダウンした個体数の割合(%)が30%以上を合格とした。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の内装材は、蚊に対して忌避性及びノックダウン性を発揮する内装材として用いられ、例えば、壁紙、天井材など屋内の内装材として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・内装材
2・・・表面層
3・・・基材層