(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】3次元デバイスおよび3次元デバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20231218BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20231218BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20231218BHJP
H10B 99/00 20230101ALI20231218BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L25/08 C
H10B99/00 495
G01R31/28 Z
G01R31/28 V
(21)【出願番号】P 2019234428
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 慎二
(72)【発明者】
【氏名】大場 隆之
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-077767(JP,A)
【文献】特開2001-307057(JP,A)
【文献】特開平11-096081(JP,A)
【文献】特開2014-071932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/28-31/3193
G11C29/00-29/56
H01L21/8229
H01L21/8239-21/8246
H01L25/00-25/18
H01L27/10-27/11597
H10B99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路面を分割した複数の分割領域のそれぞれに
複数の回路ブロックをそれぞれ有する積層された複数の回路チップと、
前記複数の回路チップにおける、積層方向に重なる各分割領域に含まれる
複数の回路ブロックのグループ毎に、グループ内の回路ブロックの中から選別された予め定められた数の回路ブロックと通信可能に接続されるインターコネクト部と
を備える3次元デバイス。
【請求項2】
前記インターコネクト部は、少なくとも1つの回路チップを貫通して前記複数の回路チップの積層方向に延伸する貫通配線を有する
請求項1に記載の3次元デバイス。
【請求項3】
前記回路ブロックのグループの少なくとも1つは、不良品と判断された少なくとも1つの回路ブロックと、良品と判断された前記予め定められた数の回路ブロックとを含む
請求項1または2に記載の3次元デバイス。
【請求項4】
前記不良品と判断された前記少なくとも1つの回路ブロックは、前記インターコネクト部および電源の少なくとも一方との接続が切断されている
請求項3に記載の3次元デバイス。
【請求項5】
前記回路チップの下または上に、前記インターコネクト部に接続されて、各回路ブロックを制御する制御チップを備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の3次元デバイス。
【請求項6】
前記制御チップは、
複数の前記回路ブロックのそれぞれに対応付けられたアドレスを設定するアドレスレジスタと、
当該3次元デバイスに対するアドレスの指定を含むコマンドを受信するコマンド受信部と、
前記コマンドが受信されたことに応じて、前記コマンドで指定された前記アドレスに対応づけられた前記回路ブロックにアクセスするコマンド処理部と、を有する
請求項5に記載の3次元デバイス。
【請求項7】
複数の前記回路ブロックのそれぞれは、
複数の前記回路ブロックのそれぞれに対応付けられたアドレスを設定するアドレスレジスタと、
前記インターコネクト部を介してコマンドを受信するコマンド受信部と、
前記コマンドが受信されたことに応じて、前記コマンドで指定された処理を実行するコマンド処理部と、を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の3次元デバイス。
【請求項8】
前記アドレスレジスタは、前記回路ブロックに対応するアドレスの設定を書き換え可能である
請求項6または7に記載の3次元デバイス。
【請求項9】
複数の前記回路ブロックのそれぞれは、メモリブロックである
請求項1から8のいずれか一項に記載の3次元デバイス。
【請求項10】
3次元デバイスを製造する方法であって、
回路面を分割した複数の分割領域のそれぞれに1以上の回路ブロックを有する回路チップ領域が配列されたウェーハを形成する段階と、
前記ウェーハ上の前記回路ブロックをそれぞれテストする段階と、
複数の前記ウェーハを積層する段階と、
前記積層された複数のウェーハを各回路チップ領域でダイシングして、積層された複数の回路チップを形成する段階と、
前記ダイシングする段階の後または前に、積層方向に重なる各分割領域に含まれる回路ブロックのグループ毎に、前記テストの結果に基づいてグループ内の回路ブロックの中から選別された予め定められた数の回路ブロックと通信可能に接続されたインターコネクト部を形成する段階と
を備える製造方法。
【請求項11】
前記複数のウェーハを積層させる段階は、前記テストにおいて良品と判断された回路ブロックの前記ウェーハにおける位置に基づいて、積層方向に重なる各分割領域に含まれる回路ブロックのグループ毎に、前記テストで良品と判断された回路ブロックが少なくとも前記予め定められた数重なる3次元デバイスの数に基づいて、積層する前記ウェーハの組み合わせを選択する段階を有する
請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元デバイスおよび3次元デバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のメモリチップを積層して3次元メモリデバイスを製造する際に、積層前のメモリチップをテストして良品を選別していた(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1 IEEE Design & Test, Volume:34, Hongshin Jun, et al, High-Bandwidth Memory (HBM) Test Challenges and Solutions
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
メモリチップのテストにおいて、一部に不良の部分があると不良品と判断されて、当該メモリチップは廃棄され、3次元メモリデバイスの歩留まりが低くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては3次元デバイスを提供する。3次元デバイスは、回路面を分割した複数の分割領域のそれぞれに1以上の回路ブロックをそれぞれ有する積層された複数の回路チップを備えてよい。3次元デバイスは、複数の回路チップにおける、積層方向に重なる各分割領域に含まれる回路ブロックのグループ毎に、グループ内の回路ブロックの中から選別された予め定められた数の回路ブロックと通信可能に接続されるインターコネクト部を備えてよい。
【0005】
インターコネクト部は、少なくとも1つの回路チップを貫通して複数の回路チップの積層方向に延伸する貫通配線を有してよい。
【0006】
回路ブロックのグループの少なくとも1つは、不良品と判断された少なくとも1つの回路ブロックと、良品と判断された予め定められた数の回路ブロックとを含んでよい。
【0007】
不良品と判断された少なくとも1つの回路ブロックは、インターコネクト部および電源の少なくとも一方との接続が切断されてよい。
【0008】
3次元デバイスは、回路チップの下または上に、インターコネクト部に接続されて、各回路ブロックを制御する制御チップを備えてよい。
【0009】
制御チップは、複数の回路ブロックのそれぞれに対応付けられたアドレスを設定するアドレスレジスタを有してよい。制御チップは、当該3次元デバイスに対するアドレスの指定を含むコマンドを受信するコマンド受信部を有してよい。制御チップは、コマンドが受信されたことに応じて、コマンドで指定されたアドレスに対応づけられた回路ブロックにアクセスするコマンド処理部を有してよい。
【0010】
複数の回路ブロックのそれぞれは、複数の回路ブロックのそれぞれに対応付けられたアドレスを設定するアドレスレジスタを有してよい。複数の回路ブロックのそれぞれは、インターコネクト部を介してコマンドを受信するコマンド受信部を有してよい。複数の回路ブロックのそれぞれは、コマンドが受信されたことに応じて、コマンドで指定された処理を実行するコマンド処理部を有してよい。
【0011】
アドレスレジスタは、回路ブロックに対応するアドレスの設定を書き換え可能であってよい。
【0012】
複数の回路ブロックのそれぞれは、メモリブロックであってよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、3次元デバイスを製造する方法を提供する。製造方法は、回路面を分割した複数の分割領域のそれぞれに1以上の回路ブロックを有する回路チップ領域が配列されたウェーハを形成する段階を備えてよい。製造方法は、ウェーハ上の回路ブロックをそれぞれテストする段階を備えてよい。製造方法は、複数のウェーハを積層する段階を備えてよい。製造方法は、積層された複数のウェーハを各回路チップ領域でダイシングして、積層された複数の回路チップを形成する段階を備えてよい。製造方法は、ダイシングする段階の後または前に、積層方向に重なる各分割領域に含まれる回路ブロックのグループ毎に、テストの結果に基づいてグループ内の回路ブロックの中から選別された予め定められた数の回路ブロックと通信可能に接続されたインターコネクト部を形成する段階を備えてよい。
【0014】
複数のウェーハを積層させる段階は、テストにおいて良品と判断された回路ブロックのウェーハにおける位置に基づいて、積層方向に重なる各分割領域に含まれる回路ブロックのグループ毎に、テストで良品と判断された回路ブロックが少なくとも予め定められた数重なる3次元デバイスの数に基づいて、積層するウェーハの組み合わせを選択する段階を有してよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の装置10の構成例を示す概略図である。
【
図2】本実施形態の積層された複数の回路チップ100の一例の説明図を示す。
【
図3】本実施形態の3次元デバイス50の回路構成の一例を示す。
【
図4】メモリブロックとアドレスの対応表の一例を示す。
【
図5】本実施形態の3次元デバイス50の回路構成の他の例を示す。
【
図6】本実施形態の3次元デバイス50の製造フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1は、本実施形態の装置10の構成例を示す概略図である。装置10は、一例として広帯域メモリ(High-Bandwidth Memory:HBM)を搭載するデバイスである。装置10は、プロセッサ20からのコマンドに応じて、3次元デバイス50にデータを書き込み、または3次元デバイス50内のデータを読み出す。装置10は、プロセッサ20と、基板30と、インターポーザ40と、3次元デバイス50とを備える。
【0019】
プロセッサ20は、インターポーザ40の上面側に接続され、一例として、中央処理装置(CPU)、グラフィックプロセッサ(GPU)、およびFPGA(Field Programmable Gate Array)の少なくとも1つであってよい。プロセッサ20は、インターポーザ40を介して3次元デバイス50または外部デバイスと通信する。
【0020】
基板30は、上面にインターポーザ40の下面側が接続され、下面には外部デバイスとの接続のための端子を有してよい。インターポーザ40は、上面側で3次元デバイス50に接続される。インターポーザ40は、上面および下面に電極が形成される。インターポーザ40は、プロセッサ20、基板30,および3次元デバイス50のそれぞれに接続された電極に接続され、これらを互いに接続する内部の配線を有する。
【0021】
3次元デバイス50は、インターポーザ40を介してプロセッサ20と通信し、装置10のメモリ部分として動作する。3次元デバイス50は、複数の回路チップ100と、インターコネクト部110と、制御チップ120とを備える。
【0022】
複数の回路チップ100は、それぞれインターコネクト部110に接続され、互いに積層される。回路チップ100は、一例としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ等の半導体メモリチップである。複数の回路チップ100は、それぞれ、インターコネクト部110を介した制御チップ120からの信号に応じて、データを書き込まれ、またはデータを読み出される。
【0023】
インターコネクト部110は、制御チップ120に接続され、制御チップ120と各回路チップ100との間の通信を可能にする。一例として、インターコネクト部110は、コマンドを通信するコマンドライン、アドレスを通信するアドレスライン、およびデータを通信するデータラインを有してよい。インターコネクト部110は、少なくとも1つの回路チップ100を貫通して複数の回路チップ100の積層方向に延伸する貫通配線115を有する。貫通配線115は、例えば、各回路チップ100を貫通するTSV(Through-Silicon Via)、および回路チップ100同士を接続するマイクロバンプ等を含む。貫通配線115は、全ての回路チップ100を貫通して制御チップ120まで積層方向に延伸し、全ての回路チップ100に接続され、これにより、各回路チップ100と制御チップ120とを接続してよい。なお、貫通配線115は、マイクロバンプを含まなくてもよく、この場合、貫通配線115は、例えばTSVに充填された導電性材料のみで複数の回路チップ100を接続してよい。
【0024】
制御チップ120は、下端の回路チップ100の下面側に配置され、マイクロバンプ等によりインターポーザ40に接続される。制御チップ120は、プロセッサ20からのコマンドをインターポーザ40を介して受信し、インターコネクト部110を介して各回路チップ100と通信することで、コマンドに応じた動作(例えば、データの書き込みまたは読み出し)を各回路チップ100が実行するように制御する。
【0025】
図2は、本実施形態の積層された複数の回路チップ100の説明図を示す。
図2において、回路チップ100の内部に形成されているインターコネクト部110の貫通配線115を点線で示す。また、
図2において、複数の回路チップ100を、回路チップC0-C8として示す。
【0026】
積層された複数の回路チップC0-C8は、回路面200を分割した複数の分割領域210-240のそれぞれに1以上のメモリブロックB0-B15をそれぞれ有する。複数の回路チップC0-C8は、それぞれ、回路面200が上面となっている。回路チップC0-C8の複数のメモリブロックB0-B15は、それぞれ、インターコネクト部110に接続されてよい。ここで、メモリブロックB0-B15は、メモリ素子(例えば1ビットを記憶する素子)を1又は複数含むものであってよい。
【0027】
図2において、複数の回路チップC0-C8はそれぞれ、同じ配置で同じ数のメモリブロックB0-B15を有し、異なる回路チップC0-C8に形成された積層方向で重なる位置にあるメモリブロックは、同じ参照符号とする。また、
図2において、分割領域210-240は4つである。例えば、分割領域210は、回路チップC0-C8のそれぞれのメモリブロックB0-B3のグループを含み、分割領域220は、回路チップC0-C8のそれぞれのメモリブロックB4-B7のグループを含み、分割領域230は、回路チップC0-C8のそれぞれのメモリブロックB8-B11のグループを含み、分割領域240は、回路チップC0-C8のそれぞれのメモリブロックB12-B15のグループを含む。
【0028】
本実施形態において、積層された複数の回路チップC0-C8は、テストにおいて不良品と判断されたメモリブロックを含むものであってよい。従って、メモリブロックのグループの少なくとも1つは、不良品と判断された少なくとも1つのメモリブロックと、良品と判断された予め定められた数(例えば、製品として必要なメモリブロックの数)以上のメモリブロックとを含む。このために、3次元デバイス50は、製品として必要なメモリブロックの数(例えば、1つの回路チップ当たりのメモリブロックの個数n×積層する回路チップの個数m)よりも多くのメモリブロックを含むような個数(例えばm+1)の回路チップを有する。従って、本実施形態において、インターコネクト部110は、複数の回路チップC0-C8における、積層方向に重なる各分割領域に含まれるメモリブロックのグループ毎に、グループ内のメモリブロックの中から選別された予め定められた数(例えば、各分割領域に含まれるメモリブロックの個数よりも少ない個数)のメモリブロックと通信可能に接続される。なお、本実施形態では、一例として、製品として必要なメモリブロックの数は、各分割領域210-240で32個である。
【0029】
なお、本実施形態の積層された複数の回路チップC0-C8は、不良品と判断されたメモリブロックを少なくとも1つ含む回路チップを少なくとも1つ含むものであってよい。従って、分割領域によっては、不良品のメモリブロックを含まない場合もある。次に、インターコネクト部110とメモリブロックとの接続についてより詳細に説明する。
【0030】
図3は、本実施形態の3次元デバイス50の回路構成の一例を示す。
図3は、一例として、1つの分割領域210におけるインターコネクト部110の接続を示す。分割領域220-240は、分割領域210と同様であってよい。なお、
図3において、メモリブロックの参照符号の前に当該メモリブロックが形成されている回路チップの参照符号を付けて示す。
図3の実施形態において、複数のメモリブロックC0B0-C8B3は、それぞれ、コマンド受信部300と、アドレスレジスタ310と、コマンド処理部320とを有する。
【0031】
コマンド受信部300は、コマンド処理部320に接続され、制御チップ120からのコマンドをインターコネクト部110を介して受信する。
【0032】
アドレスレジスタ310は、コマンド処理部320に接続され、複数のメモリブロックC0B0-C8B3のそれぞれに対応付けられたアドレスを設定する。アドレスレジスタ310は、装置10の電源オンの際または初期化において、プロセッサ20によりアドレスを設定されてよい。アドレスレジスタ310は、プロセッサ20により、メモリブロックに対応するアドレスの設定を書き換え可能である。アドレスレジスタ310は、例えば、3次元デバイス50の製造の際に回路チップのテストで良品と判断されたメモリブロックについて、プロセッサ20によりアドレスが書き込まれてよい。アドレスレジスタ310は、さらに、メモリブロックについてアドレスが書き込まれた後に(例えば製造後等に)テストで接続等の不良であると判断された場合には、当該メモリブロックに対応するアドレスを削除する等、アドレスの設定を書き換えられてもよい。この場合、制御チップ120は、当該削除されたアドレスのメモリブロックと同じ分割領域において、アドレスが未設定の他の良品のメモリブロックに、対応するアドレスを設定してよい。なお、アドレスレジスタ310は、プロセッサ20により、インターコネクト部110に接続された不良品のメモリブロックについては、使用しない旨のフラグを設定されてよい。
【0033】
コマンド処理部320は、コマンド受信部300でコマンドが受信されたことに応じて、コマンドで指定された処理を実行する。コマンド処理部320は、アドレスライン(Adr)から受信したアドレスと、アドレスレジスタ310に格納されたアドレスとが一致する場合には、コマンドライン(cmd)から受信したコマンド(書き込みまたは読み出しコマンド)に応じて、データライン(data)から受信したデータを書き込み、またはデータライン(data)へデータを送信してよい。
【0034】
図3において、メモリブロックC8B2(回路チップC8のメモリブロックB2)は、テストにおいて不良品と判断されたメモリブロックである。本実施形態では、不良品と判断された少なくとも1つのメモリブロックC8B2は、インターコネクト部110および電源の少なくとも一方との接続が切断されている。なお、分割領域210において、36個中32個のメモリブロックがインターコネクト部110に接続され、それ以外の4個のメモリブロックの接続は切断されてよい。
【0035】
また、インターコネクト部110は、分割領域210において、良品のメモリブロックが製品として必要なメモリブロックの個数(本実施形態では32個)より多い場合には、当該必要な個数より多くの良品のメモリブロックに接続してもよい。この場合、良品の余分なメモリブロックは、故障したまたは将来故障するメモリブロックの代替品となってよく、またはECC(Error Check and Correct)ビットを格納してよい。これにより、回路チップのサイズを増加させることなく、メモリ誤動作対策のECCビットを提供することができる。
【0036】
なお、不良品のメモリブロック(例えば、メモリブロックC8B2)は、コマンド受信部300、アドレスレジスタ310、およびコマンド処理部320を形成しなくてもよい。
【0037】
図4は、メモリブロックC0B0-C8B3のアドレスの対応表の一例を示す。当該対応表のアドレスは、それぞれ、対応するメモリブロックのアドレスレジスタ310に格納されてよい。インターコネクト部110に接続されるメモリブロックは、
図4に示されるように、分割領域毎に各メモリブロックに対応する(例えば5ビットの)アドレスをアドレスレジスタ310にプロセッサ20により設定されてよい。アドレスレジスタ310は、さらに対応する分割領域の(例えば2ビットの)アドレスをプロセッサ20により設定されてよい。ここで、メモリブロックC8B2は、インターコネクト部110に接続されず、アドレスは設定されなくてよい。
【0038】
図5は、本実施形態の3次元デバイス50の他の例を示す説明図である。
図5は、一例として、1つの分割領域210におけるインターコネクト部110の接続を示す。
図5の実施形態は、
図3の実施形態と異なり、メモリブロックC0B0-C8B3ではなく、制御チップ120が各メモリブロックC0B0-C8B3のアドレスを保持する。
図5の実施形態は、他の構成について
図3の実施形態と同様であってよい。
【0039】
制御チップ120は、コマンド受信部500と、アドレスレジスタ510と、コマンド処理部520と、コマンド送信部530とを有する。コマンド受信部500は、コマンド処理部520に接続され、プロセッサ20から、3次元デバイス50に対するアドレスの指定を含むコマンドを受信する。アドレスレジスタ510は、コマンド処理部520に接続され、複数のメモリブロックC0B0-C8B3のそれぞれに対応付けられたアドレスを設定する。アドレスレジスタ510は、例えば、
図4に示すようなメモリブロックC0B0-C8B3とそのアドレスの対応を示す対応表を格納してよい。コマンド処理部520は、コマンド送信部530に接続される。コマンド処理部520は、コマンド受信部500でコマンドが受信されたことに応じて、コマンドで指定されたアドレスに対応づけられたメモリブロックにアクセスする。例えば、制御チップ120は、プロセッサ20から受信したコマンド(書き込みまたは読み出しコマンド)に応じて、当該コマンドにおいて指定されたアドレス(00011)に対応づけられたメモリブロックC0B3内の指定されたアドレスに、データライン(data)で送信したデータを書き込み、または当該メモリブロックC0B3のアドレスからデータライン(data)を介してデータを読み出す。コマンド送信部530は、コマンド処理部520からのデータおよびコマンドを各メモリブロックC0B0-C8B3に送信する。
【0040】
本実施形態によれば、3次元デバイス50が、回路チップ100の積層方向に、分割された領域において冗長なメモリブロックを含むことで、不良品のメモリブロックを含む回路チップを用いた場合も、分割領域毎に必要な個数の良品のメモリブロックをインターコネクト部110に接続できる。従って、3次元デバイス50の歩留まりが向上する。当該歩留まりは、積層する追加の回路チップ100の分低下しうるが、不良品のメモリブロックを含む回路チップ100を製品に用いることができることによる向上をより大きくすることができる。回路チップ100間の配線距離は、回路チップ100の面内の配線距離よりも小さくできるため、積層方向でインターコネクト部110に接続する良品のメモリブロックの個数を調整することで、効率的に配線を形成することができる。
【0041】
図6は、本実施形態の3次元デバイス50の製造フローを示す。S600では、回路形成装置により、回路面200を分割した複数の分割領域210-240のそれぞれに1以上のメモリブロックを有する回路チップ領域が配列されたウェーハを形成する。複数のウェーハの表面上に、それぞれ複数の回路チップ領域を形成してよい。各回路チップ領域は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ等であってよく、複数のメモリブロックを含んでよい。
【0042】
S610では、試験装置により、ウェーハ上のメモリブロックをそれぞれテストする。テストは、例えば、バーンイン試験等であってよい。テストは、メモリブロックが正常に動作するか否かを検査し、正常に動作するものを良品、正常に動作しないものを不良品と判断してよい。当該テストを行う試験装置は、ウェーハ毎に、不良品と判断したメモリブロックの数、位置、識別子等を記憶してよい。この段階で閾値以下の個数の不良品のメモリブロックを含むと判定されたウェーハは、次のステップに用いられ、閾値を超える個数の不良品のメモリブロックを含むと判定されたウェーハは、次のステップに用いられず、破棄等されてよい。なお、当該閾値を超えるか否かは、回路チップ領域毎、または分割領域毎に判断してよい。なお、S610では、テストを行わずに、予め取得したデータ(例えば前工程中に取得されたデータ)により、メモリブロックが良品か不良品かの判断を行ってよく、または、予め取得したデータおよび試験装置のテスト結果により、メモリブロックが良品か不良品かの判断を行ってもよい。
【0043】
S620では、積層装置により複数のウェーハを積層する。複数のウェーハを積層させる段階は、テストにおいて良品と判断されたメモリブロックのウェーハにおける位置に基づいて、積層方向に重なる各分割領域210-240に含まれるメモリブロックのグループ毎に、テストで良品と判断されたメモリブロックが少なくとも予め定められた数重なる3次元デバイス50の数に基づいて、積層するウェーハの組み合わせを選択する段階を有する。例えば、積層された場合に、各分割領域のグループにおいて、テストで良品と判断されたメモリブロックが少なくとも予め定められた数(本実施形態では、少なくとも32個)重なる3次元デバイス50の数が、閾値以上または最大となるようなウェーハの組み合わせを、積層装置により選択する。積層装置は、S610で用いた試験装置から不良品のメモリブロックの情報(数、位置、識別子等)を受け取り、当該情報を用いて、ウェーハの組み合わせを選択してよい。
【0044】
積層装置は、分割領域の大きさ(例えば1つの分割領域に含まれるメモリブロックの数)、およびメモリブロックの大きさ(例えば1つのメモリブロックに含まれるメモリ素子の数)のうち少なくとも1つに基づいて、積層するウェーハの組み合わせを選択してよい。積層装置は、分割領域の大きさおよびメモリブロックの大きさのうち少なくとも1つを変更して、ウェーハの組み合わせを選択してよい。これにより、できるだけ多くの3次元デバイス50を製造できるようにする。
【0045】
S620では、積層装置は、積層されたウェーハの下端に、制御チップ120が形成されたウェーハを積層してよい。複数のウェーハは、マイクロバンプおよび貫通配線115等の少なくとも1つを介して積層されてよい。S620では、複数のウェーハを積層した後に、複数のウェーハを貫通する貫通孔を電子ビーム等で開け、当該貫通孔にはんだ等の導電性の金属を溶融して充填することで、インターコネクト部110の貫通配線115を形成してよい。
【0046】
S630では、接続装置は、ダイシングする段階の前に、積層方向に重なる各分割領域210-240(またはS620で調整された各分割領域)に含まれるメモリブロックのグループ毎に、S610のテストの結果に基づいてグループ内のメモリブロックの中から選別された予め定められた数のメモリブロックと通信可能に接続されたインターコネクト部110を形成する。例えば、接続装置は、テストにおいて良品と判断されたメモリブロックについて、分割領域210-240毎に、製品として必要な数のメモリブロックと、インターコネクト部110とを接続してよい。また、接続装置は、全てのメモリブロックとインターコネクト部110とを配線で接続した後に、テストにおいて不良品と判断されたメモリブロックとの接続のみを切断してもよい。例えば、当該接続の切断は、不良品と判断されたメモリブロックのヒューズを、電子ビーム等で切断してよい。また、接続装置は、テストにおいて不良品と判断されたメモリブロックとの接続配線のみを形成しなくてもよい。
【0047】
S640では、タイシング装置は、積層された複数のウェーハを各回路チップ領域でダイシングしチップ化し、積層された複数の回路チップ100を形成する。
【0048】
S650では、テスト装置は、積層された回路チップ100についてテストしてよい。例えば、テスト装置は、スピードテスト、インターコネクト部110の配線等のテストを実行してよい。当該テストで良品と判断された回路チップ100を、3次元デバイス50の製品としてよい。S650では、プロセッサ20またはテスト装置は、各メモリブロックのアドレスをアドレスレジスタに設定してもよい。
【0049】
本実施形態により、不良品と判断されたメモリブロックを含むウェーハについても、製品の製造に用いることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0050】
なお、インターコネクト部110を形成する段階S630は、ダイシングする段階S640の後に実行されてもよい。また、ダイシングする段階S630は、積層する段階S620の前に実行されてもよい。この場合、テストする段階S610は、ダイシングする段階S630と積層する段階S620との間に、各回路チップ100に対して実行されてもよい。アドレスレジスタへのアドレスの設定は、メモリブロックのテスト後にいずれかの段階で行われてよい。また、制御チップ120は、回路チップ100毎に配置してよく、また、積層された複数の回路チップ100の上面(例えば、上端の回路チップ100の上面)に配置されてもよい。
【0051】
なお、本実施形態では、HBMデバイスのメモリ部分として本願の3次元デバイスを説明したが、本願の3次元デバイスは、メモリブロック以外の回路ブロックを有してよく、3D DRAM、MPU(Micro Processor Unit)等に用いられるキャッシュメモリ、またはプロセッサ等を積層した3次元積層マルチコアプロセッサ等であってもよい。また、本願の3次元デバイスは、全てのメモリブロックが良品と判定された回路チップ100を有してもよい。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0053】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0054】
10 装置
20 プロセッサ
30 基板
40 インターポーザ
50 3次元デバイス
100 回路チップ
110 インターコネクト部
115 貫通配線
120 制御チップ
200 回路面
210 分割領域
220 分割領域
230 分割領域
240 分割領域
300 コマンド受信部
310 アドレスレジスタ
320 コマンド処理部
500 コマンド受信部
510 アドレスレジスタ
520 コマンド処理部
530 コマンド送信部
B0-B15 メモリブロック
C0-C8 回路チップ