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特許7403771外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置及び外傷性炎症改善方法
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  • 特許-外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置及び外傷性炎症改善方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置及び外傷性炎症改善方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/02 20060101AFI20231218BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20231218BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231218BHJP
   A61H 35/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61H33/02 A
A61K33/00
A61P29/00
A61H35/00 F
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020189880
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078899
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2021-11-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】316018199
【氏名又は名称】レネロファーマ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520445510
【氏名又は名称】株式会社カモス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】靜 良治
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-029832(JP,A)
【文献】特開平09-108245(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0314217(US,A1)
【文献】特表2003-517887(JP,A)
【文献】特表2017-521088(JP,A)
【文献】特表2016-515140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/02
A61K 33/00
A61P 29/00
A61H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽部に水を貯留する工程と、
前記浴槽部に貯留された前記水に対してオゾンを含む気体をバブリングにより供給する工程と、
脚部にとう嚢炎による炎症を患う馬の該脚部を前記浴槽部に貯留された前記水に浸漬する工程と、
を含むことを特徴とする馬の脚部の炎症の改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、馬の脚の炎症として知られているとう嚢炎等の外傷性炎症を緩和することが可能な外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置及び外傷性炎症改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、微生物による外傷性炎症であるとう嚢炎は、四肢を構成する遠位種子骨(とう状骨)とその周囲の靭帯付着部や滑液嚢の炎症であり、乗用馬で多く発症する炎症である。とう嚢炎の治療は、主に装蹄療法や消炎鎮痛剤の投与により行われている。
【0003】
このようなとう嚢炎の治療方法としては、例えば、液体のポリグリコールをベースとする完全に合成した生体適合性の製剤を、ウマの蹄の標的部位に送ることにより、ウマのとう嚢炎を処置する方法が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2016-515140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、薬剤においては、抗炎症作用を示すものの、副作用が懸念される。従って、薬剤の有する副作用の面などから、より安全性の高い炎症の改善手段の提供が期待されている。
【0006】
よって、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、副作用の発現の恐れが少なく、外傷性の炎症を緩和することが可能な外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置及び外傷性炎症改善方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置は、オゾンを含む気体を生成するオゾン生成部と、水を貯留可能に形成されている浴槽部と、前記浴槽に貯留されている前記水に前記オゾン生成部が生成した前記オゾンを含む気体を供給するオゾン供給部と、を備え、外傷性炎症を有する患部を前記浴槽部に貯留されている水に浸漬可能な構造をなしていることを特徴としている。
【0008】
本発明の外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置によれば、浴槽に貯留された水に対してオゾンを含む気体を供給することが可能となる。その結果、浴槽に貯留された水にオゾンを含有させることができる。そして、ユーザは、患部を浴槽に貯留された水に浸漬することによって外傷性炎症を改善させることが可能となる。
【0009】
本発明の外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置において、微生物による外傷性炎症の改善のために用いられることが好ましい。
【0010】
本発明の外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置において、靭帯損傷による外傷性炎症の改善のために用いられることが好ましい。
【0011】
本発明の外傷性炎症改善方法は、前記外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置を用意する工程と、前記浴槽部に水を貯留する工程と、前記浴槽部に貯留された前記水に対して前記オゾン供給部から前記前記オゾンを含む気体を供給する工程と、外傷性炎症を有する動物(但し、人間を除く)の患部を前記浴槽部の水に浸漬する工程と、を含むことを特徴としている。
【0012】
本発明の外傷性炎症改善方法において、前記外傷性炎症は、微生物による外傷性炎症であることが好ましい。
【0013】
本発明の外傷性炎症改善方法において、前記外傷性炎症は、靭帯損傷による外傷性炎症であることが好ましい。
【0014】
本発明の外傷性炎症改善方法において、前記動物は、馬であり、前記患部が前記馬の脚部であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置の概念図である。
図2図1のオゾン発生部のブロック図である。
図3図1のオゾン供給部の平面図である。
図4図3のオゾン供給部の拡大平面図である。
図5】外傷性炎症改善方法のフロー図である。
図6】試験例1における外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置の使用態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置(以下、オゾンバブリング装置とも称する)100の斜視図である。図1に示すように、オゾンバブリング装置100は、オゾンを含む気体を生成するオゾン生成部10と、水を貯留可能に形成されている浴槽部20と、浴槽部20に貯留されている水にオゾン生成部10が生成したオゾンを含む気体を供給するオゾン供給部30と、を有する。
【0017】
オゾン生成部10は、オゾンを含む気体を生成し、オゾン供給部30に当該気体を送り出す装置である。オゾン生成部10は、例えば、空気に所定の電圧を印加することによってオゾンを生成する。
【0018】
浴槽部20は、外傷性炎症を有する患部を浴槽部20に貯留されている水に浸漬可能な構造をなしている。浴槽部20は、本実施形態においては、箱状に形成されている。浴槽部20は、貯留されている水に患部を水に浸漬可能であり、かつオゾン供給部30を収容可能であればよく、例えば、水槽、風呂桶等であってもよい。また、浴槽部20は、箱状に限られず袋状のものであってもよい。
【0019】
浴槽部20を袋状にすることにより、患部に応じた浴槽部20のサイズの変更を容易に行うことができる。例えば、馬の脚に患部がある場合、馬の脚の患部を覆うように浴槽部20を形成すればよい。このように浴槽部20を形成することで、例えば、馬の脚を上げさせて浴槽部20に挿入すればよいので、馬を水槽状の浴槽部20に入れるよりも、簡便に治療作業を行うことができる。
【0020】
また、浴槽部20を患部に応じて適宜サイズを変更することにより、浴槽部20に貯留された水のオゾンの濃度を患部に応じた適切なものに容易に調整することができ、かつコンパクト化によるコストの低減を図ることができる。
【0021】
オゾン供給部30は、オゾン生成部10と接続部材40によって接続されている。オゾン供給部30は、オゾン生成部10から送り出されたオゾンを含む空気を浴槽部20の内部に供給する。
【0022】
接続部材40は、オゾン生成部10及びオゾン供給部30を接続する配管部材である。接続部材40は、気体の通路となる部材であればよく、特には限定されないが、例えば、環状のゴムホースを用いることができる。
【0023】
図2は、オゾン生成部10の構成を示している。図2に示すように、オゾン生成部10は、筐体11を有する。筐体11は、例えば、箱状に形成される。
【0024】
筐体11には、筐体11の外部から空気を取り込んで加圧された空気を排出するポンプ12が格納されている。ポンプ12は、外部からの電源の供給を受けて、一定量の空気を排出する。
【0025】
また、筐体11には、酸素を含む空気からオゾンを生成するオゾン発生器13が収容されている。オゾン発生器13は、例えば、酸素を含む空気に対して高電圧を印加して放電させることによってオゾンガスを発生(生成)させる無声放電方式の装置である。
【0026】
尚、オゾン発生器13は、オゾン発生器13は、無声放電方式の装置に限られず、例えば、電気分解方式の装置や、紫外線ランプ方式の装置であってもよい。
【0027】
オゾン発生器13は、接続部材50によってポンプ12と接続されている。接続部材50は、オゾン発生器13及びポンプ12を接続する配管部材である。接続部材50は、気体の通路となる部材であればよく、特には限定されないが、例えば、環状のゴムホースを用いることができる。
【0028】
したがって、オゾン生成部10は、オゾン発生器13が生成したオゾン及びポンプ12から送り出された空気を混合してオゾンを含む気体を生成可能である。
【0029】
また、オゾン発生器13は、接続部材40に接続されている。したがって、オゾン生成部10は、接続部材40を介してオゾン供給部30にオゾンを含む気体を送り出すことが可能である。
【0030】
オゾン発生器13は、タイマー(図示せず)を有する。オゾン発生器13は、タイマーでカウントされた時間に応じて、オゾンを発生させるようにしてもよい。例えば、オゾンバブリング装置100を所定時間稼働させる場合、稼働させる時間をタイマーによって制御するようにしてもよい。
【0031】
尚、浴槽部20のオゾン濃度の調整は、このようなタイマーによる制御に限られず、例えば、浴槽部20にオゾン濃度を検出する検出器を設け、浴槽部20のオゾン濃度に応じて、オゾン発生部10から送出される空気のオゾン濃度を調整するようにしてもよい。
【0032】
尚、筐体11には、例えば、ポンプ12及びオゾン生成器13の稼働のON又はOFFを切り替えるスイッチ(図示せず)、オゾンバブリング装置100に電源を供給する電源部(図示せず)が配されていてもよい。また、筐体11には、ポンプ12の風量を調整する調整ボタンが設けられていてもよい。
【0033】
筐体11の外部の空気を筐体11の内部に取り入れることが可能な通気孔(図示せず)を設けるとよい。当該通気孔には、空気中の埃等の不純混入を取り除くために、フィルターを設けるとよい。
【0034】
図3は、オゾン供給部30の平面を示している。図3に示すように、オゾン供給部30は、接続部材40と接続可能に形成されている接続部31及び接続部31に接続されオゾンを含む気体を放出可能な放出部32を有する。
【0035】
接続部31は、例えば、ゴムホース等の柔軟性を有する管状部材によって形成されている。接続部31は、接続部材40に接続可能な先端部31a及び放出部32に接続可能な基端部31bを有する。
【0036】
放出部32は、矩形の板状に形成されている。放出部32は、接続部31から送出されたオゾンを含む気体を供給可能な複数の供給部33を一の面(上面)に有する。
【0037】
供給部33の各々は、中空の円筒状に形成されている。供給部33の各々は、一の面上において互いに間隔を有して配されている。供給部33の各々は、本実施形態においては、7行10列に配されている。
【0038】
図4は、放出部32の拡大平面を示している。図4に示すように、供給部33の各々の一方の面には、当該一方の面を他方の面にかけて貫通する4つの貫通孔34が形成されている。従って、放出部32の内部空間は、4つの貫通孔34によって放出部32の外部と連通している。
【0039】
隣り合って配される供給部33の各々は、複数の配管35によって互いに接続されている。配管35は、接続部31の基端部31aに接続されている。したがって、接続部31からオゾンを含む気体が送出されると、当該気体は、配管35を通って複数の供給部33の貫通孔34から放出される。
【0040】
尚、放出部32の表面の裏側の面(底面)には、浴槽部20の底面に放出部32を固定可能な固定部材(図示せず)が設けられていてもよい。固定部材には、例えば、吸盤、マグネット、両面テープ、面ファスナ等を用いてもよい。
【0041】
以上で説明したオゾンバブリング装置100を用いた外傷性炎症改善方法について説明する。図5は、外傷性炎症改善方法の工程を示している。図5に示すように、オゾンバブリング装置100の浴槽部20に水を貯留する貯留工程が行われる(ステップS01)。
【0042】
ステップS01において、浴槽部20の底部にオゾン供給部30が配置した状態で水を貯留するとよい。水の貯留は、患部を水に浸漬させる際に十分な量があればよく特には限定されない。また、オゾンを含む気体を水に供給する観点から、水は、少なくともオゾン供給部30を覆う程度貯留するとよい。尚、水は、冷水に限られず適当な温度に調整するとよい。
【0043】
浴槽部20に貯留された水に対してオゾン供給部30からオゾンを含む気体を供給する供給工程が行われる(ステップS02)。
【0044】
ステップS02において、オゾン生成部10の筐体11に配されているスイッチを入れることにより、ポンプ12及びオゾン発生器13が稼働される。ポンプ12及びオゾン発生器13が稼働されると、オゾン生成部10からオゾンを含む気体が接続部材40を介してオゾン供給部30に送出される。
【0045】
オゾン供給部30は、オゾン生成部10から送出されたオゾンを含む気体を放出部32から放出する。水にオゾンを含む気体が供給されると、予め定めた所定の濃度に至るまでオゾンを含む気体が供給される。当該水にオゾンをバブリングさせた際に、そのオゾンに基づいて生成された過酸化水素の濃度は、0.010~0.100ppmとするとよく、0.030~0.070ppm、さらに好ましくは、0.034-0.068ppmとするとよい。
【0046】
水にオゾンをバブリングした際に、当該水に含有されているオゾンの量を測定する方法は確立されていない。一方で、当該オゾンに由来する過酸化水素の量を測定することは可能である。そこで、水の過酸化水素の含有量を測定することにより、水のオゾンの含有量を推定する。尚、学術上、オゾンに由来する過酸化水素と同等以上のオゾンの量が水に含まれていると考えられている。
【0047】
過酸化水素の量の測定には、例えば、例えば、アズワン 分光光度計ASV11D-Hを使用することができる。尚、当該水にけるオゾンの濃度(過酸化水素の濃度)が所定の濃度に達した際には、上述のオゾンの濃度(過酸化水素の濃度)を調整するために、オゾンの供給量を調整する制御を行うようにするとよい。
【0048】
外傷性炎症を有する動物の患部を浴槽部20の水に浸漬する浸漬工程が行われる(ステップS03)。
【0049】
患部を水に浸漬させる時間は、当該水のオゾンの濃度及び患部の皮膚の状態応じて変更するとよい。例えば、患部を水に浸漬させる時間は、1~60分、好ましくは、5~30分、より好ましくは、10~20分とするとよい。
【0050】
尚、頭部等の水に浸漬し続けることが困難な部位に患部がある場合には、オゾンを含む気体が供給された水を当該患部にかけるようにしてもよい。例えば、オゾンを含む気体を含む水をシャワー、手桶等によって患部にかけるようにしてもよい。
【0051】
また、本発明のオゾンバブリング装置100は、ヒト、馬、牛、犬、猫、豚、等の動物に用いることができる。本発明のオゾンバブリング装置100は、これらの動物の、例えば、脚部、腕部、腹部、背中、頭部等の皮膚に覆われている部位に生じている患部に対して用いることができる。また、本発明のオゾンバブリング装置100は、とう嚢炎、靭帯損傷、捻挫、切り傷等の外傷性炎症に対して特に有効であり、特に、本発明の外傷性炎症改善方法は、馬の脚部に患部がある、とう嚢炎に有効である。
【0052】
本発明の外傷性炎症改善方法は、上記の動物(ヒトを除く)の上記患部に対して用いることができる。また、本発明の外傷性炎症改善方法は、上記の外傷性炎症に対して用いることができる。
【0053】
以上のように、本発明のオゾンバブリング装置100によれば、浴槽部20に貯留された水に対してバブリングを行いながらオゾンを含む気体を供給することが可能となる。その結果、浴槽部20に貯留された水にオゾンを含有させることができる。
【0054】
また、本発明の外傷性炎症改善方法によれば、ユーザは、患部を浴槽部20に貯留された水に浸漬することによって外傷性炎症を改善させることが可能となる。
【実施例
【0055】
[試験例1](とう嚢炎に対する効果の検証)
微生物による外傷性炎症である、とう嚢炎を患っている馬に対して、1週間に1度の頻度で患部をオゾンバブリング装置の浴槽部の水に浸漬させて効果を検証した。
【0056】
(オゾンバブリング装置)
図6は、試験例1におけるオゾンバブリング装置100の使用態様を示している。図6に示すように、オゾンバブリング装置100は、オゾン生成部10が生成したオゾンを含む空気を接続部材40を介してオゾン供給部30から供給されるように各々が接続されている。浴槽部20は、本試験例において一方の端部が開口し、円筒の袋状に形成されている。オゾン供給30は、浴槽部20の底部に配されている。
【0057】
浴槽部20には、馬の脚50を当該浴槽部20に差し入れた際に患部が浸かる位置まで水が貯留されている。従って、オゾン供給部30から供給されたオゾンを含む空気は、浴槽部20に貯留された水に放出される。オゾンバブリング装置100は、浴槽部20に貯留された水のオゾンの濃度が0.1ppm未満(過酸化水素の濃度が0.100ppm未満)となるように、オゾン供給部30から供給される空気の量を調整する。また、当該水の温度は25℃前後とした。
【0058】
(対象個体)
対象個体は、馬(メス、2020年の年齢15歳)である。対象個体は、2016年4月頃から左前足に「とう嚢炎」の症状がみられるようになった。対象個体のとう嚢炎の症状は、普通の歩行ができない程の跛行の異常を有していた。
【0059】
(対象個体の治療歴)
対象個体には症状が出始めてから抗生剤をはじめとする薬剤治療を中心に処置を続けたが、とう嚢炎の症状の改善はみられなかった。
【0060】
2018年9月より、オゾンバブリング装置100(製品名:リフォバス、株式会社カモス製)を使用し1週間に1度を目処に処置を開始した。処置は、具体的には、オゾンバブリング装置100に対象個体の患部を10分~20分間浸漬させ、その患部の経過を観察した。当該処置においては、とう嚢炎の治療薬を併用する場合もあった。
【0061】
(オゾンバブリング装置の効果の検証)
2019年4月頃から対象個体のとう嚢炎の症状が改善し、歩行状態も徐々に良くなった。2019年7月には、対象個体は、普通の歩行が完全にできるまで回復にした。
その後もオゾンバブリングを使用し薬剤投与はせずに現在に至るが、とう嚢炎の症状の悪化はみられない。尚、処置の期間は2年であった。
【0062】
以上のように、外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置100及び外傷性炎症改善方法は、とう嚢炎をはじめとする外傷性炎症に対して症状を緩和する効果が確認された。
【符号の説明】
【0063】
100 外傷性炎症改善用オゾンバブリング装置
10 オゾン生成部
20 浴槽部
30 オゾン供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6