IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 梅田 裕生の特許一覧

<>
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図1
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図2
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図3
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図4
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図5
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図6
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図7
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図8
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図9
  • 特許-フォーク機能を有する摂食用具 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】フォーク機能を有する摂食用具
(51)【国際特許分類】
   A47G 21/02 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A47G21/02 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021527409
(86)(22)【出願日】2020-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2020016981
(87)【国際公開番号】W WO2020261726
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2019131479
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510033398
【氏名又は名称】梅田 裕生
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】梅田 裕生
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-145561(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01430817(EP,A1)
【文献】特開2015-054228(JP,A)
【文献】国際公開第2015/189767(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0230640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G21/00-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で把持することが可能な柄と、
当該柄の長手方向に沿った縦軸の先端側に設けられる摂取部と、
当該摂取部の側方に設けられ、食物を刺し込むことが可能に、複数の溝及び当該溝により形成される複数の爪部で構成される第一櫛部と、
前記摂取部の先端に設けられ、食物を刺し込むことが可能に、前記縦軸と略平行な複数の溝及び当該溝により形成される複数の爪部とで構成される第二櫛部と、
を備えたフォーク機能を有する摂食用具であって、
前記第一櫛部が、前記溝の開口部が底部よりも先端側に向くように、前記縦軸に対して斜めに設けられ、
前記第二櫛部における前記第一櫛部側の溝の深さを、他の第二櫛部の溝の深さよりも浅くし、もしくは、前記第一櫛部における前記第二櫛部側の溝の深さを、他の第一櫛部の溝の深さよりも浅くしたことを特徴とするフォーク機能を有する摂食用具。
【請求項2】
前記第一櫛部と第二櫛部の境界部分に、前記摂取部を切り欠いた切欠部を設けるようにした請求項1に記載のフォーク機能を有する摂食用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、比較的硬いケーキやパイなどを食する際に使用される摂食用具に関するものであって、より詳しくは、不要な力を入れずに、ケーキの形状を極力崩すことなくケーキなどを食することができるようにしたフォーク機能を有する摂食用具に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーキやパイなどを食する場合、スプーンやフォークやナイフなどの摂食用具が使用される。このような摂食用具をマナーに従って使用する場合、正式にはヨーロッパ諸国のテーブルマナーに従う必要がある。このテーブルマナーによると、フォークは、その先端部を用いて垂直に一口サイズに切り分けたうえ、先端部分に刺して口に運んで食することが正式とされている(下記の非特許文献1から3参照)。
【0003】
しかしながら、このような摂食用具は、特にマナーを理解しなくとも、直感的に使用されることが多々ある。具体的には、ケーキなどを食する場合、スプーンやフォークの側面を振り下ろしてケーキを一口サイズに切り分け、その切り分けたケーキを、フォークの先端部分に刺し込んで口に運んだり、あるいは、スプーンで掬って口に運んだりすることがある。
【0004】
しかし、このようにスプーンなどの側面を用いてケーキやパイなどを一口サイズに切り分けるようにした場合、スプーンなどの側面とケーキとの接触面積が大きくなるため、ケーキが押圧されて変形したり、転倒したりしてしまう。
【0005】
これに対して、正式なマナーに従って、フォークを縦長方向に使用して先端で刺し込んで切り取る場合、このような動作は、人間の直感的動作からはかけ離れているため、作法として理解しない限り使用しない方法であるといえ、一般庶民にあまねく浸透しているとは言い難い。
【0006】
一方、下記の特許文献1・2には、側面の一部に櫛部を有するスプーンなども提案されている。このようなスプーンを用いれば、側面に設けられた櫛部を用いてケーキに刺し込んで切り分けることができ、また、その切り分けられたケーキを掬って食べることができるようになる。
【0007】
しかしながら、このようなスプーンは、側面の一部分にしか櫛部が設けられていないため、櫛部の無い部分ではケーキを刺し込むことができず、接触面積が大きくなって、ケーキの変形や転倒などを生じさせてしまう。また、このようなスプーンの側面を使用してケーキを切り分けたとしても、切り分けられたケーキを刺し込んで食する場合、別にフォークを用意して、そのフォークの先端で切り分けられたケーキを刺し込んで食する必要があるため、二度手間になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-54228号公報
【文献】実開昭63-13071号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】https://style.nikkei.com/article/DGXKZO98593580Y6A310C1W03501/ (2016年3月19日付日本経済新聞プラスワン記事)(令和2年4月8日時点確認済)
【文献】https://tg-uchi.jp/topics/4699(令和2年4月8日時点確認済)
【文献】https://www.hn-online.jp/column_manners/vol16.html(令和2年4月8日時点確認済)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、人間の直感的動作において、一口サイズへの切り分けと、その切り分けられた食物を食する際の刺し込みを一本で同時に行えるようにした摂食用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、削除手で把持することが可能な柄と、当該柄の長手方向に沿った縦軸の先端側に設けられる摂取部と、当該摂取部の側方に設けられ、食物を刺し込むことが可能に、複数の溝及び当該溝により形成される複数の爪部で構成される第一櫛部と、前記摂取部の先端に設けられ、食物を刺し込むことが可能に、前記縦軸と略平行な複数の溝及び当該溝により形成される複数の爪部とで構成される第二櫛部と、を備えたフォーク機能を有する摂食用具であって、前記第一櫛部が、前記溝の開口部が底部よりも先端側に向くように、前記縦軸に対して斜めに設けられ、前記第二櫛部における前記第一櫛部側の溝の深さを、他の第二櫛部の溝の深さよりも浅くし、もしくは、前記第一櫛部における前記第二櫛部側の溝の深さを、他の第一櫛部の溝の深さよりも浅くするようにしたものである。
【0016】
また、前記第一櫛部と第二櫛部の境界部分に、前記摂取部を切り欠いた切欠部を設けるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、人間の直感的動作において、一口サイズへの切り分けと、その切り分けられた食物を食する際の刺し込みを一本で同時に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一の実施の形態を示す摂食用具の正面図
図2図1における側面図
図3】第二の実施の形態における摂食用具を示す図
図4】第三の実施の形態における摂食用具を示す図
図5】第四の実施の形態における摂食用具を示す図
図6】第五の実施の形態における摂食用具を示す図
図7】第六の実施の形態における摂食用具を示す図
図8】第七の実施の形態における摂食用具を示す図
図9】第八の実施の形態における摂食用具を示す図
図10】左利き用の実施の形態における摂食用具を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
この実施の形態における摂食用具1は、金属やプラスチック、木質、竹、シリコン、カーボン、ポリカーボネイトなどや、これらの素材を複数組み合わせて構成されるものであって、図1に示すように、手で握ることが可能な柄3と、その柄3の先端側に設けられ、食物を掬い取ることが可能な摂取部2と、その摂取部2の一方の側面に設けられる第一櫛部5と、摂取部2の先端側に設けられる第二櫛部6とを備えて構成されている。そして、このように構成することによって、ケーキなどの食物を一口サイズに切り分けて食べる場合に、側面に設けられた第一櫛部5を食物に刺し込んで切り分けるとともに、その切り分けられた食物を、今度は、先端側に設けられた第二櫛部6で刺し込んで口に運べるようにしたものである。以下、本実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明において、柄3の縦長方向に沿った縦軸CLに対して直交する方向を左右方向(側方)とし、縦軸CLに対して摂取部2が設けられている側を先端側として説明する。
【0021】
まず、この摂食用具1を構成する柄3は、人間の手で握ることが可能に構成されるものであって、ここでは、図1の破線で示されるような棒状に構成される。この柄3は、先端側の摂取部2と一体成形されてもよく、あるいは、摂取部2との間の接続部4で分離可能に構成されてもよい。なお、ここでは、図2に示すように、柄3を摂取部2に対して、0度から10度起こすように設けているが、これらの角度に限定されるものではない。また、柄3の形状については、湾曲形状や、屈曲形状など、種々の形状をしていてもよい。
【0022】
この柄3に対して接続部4を介して先端側に設けられる摂取部2は、ケーキなどの食物を掬い取ることができるようにしたものであって、中央を湾曲するように凹ませた左右非対称形状に構成されている。そして、このように湾曲形状に構成することによって、掬い取った食物をこぼれないように保持できるようにしている。なお、ここでは摂取部2を湾曲形状にしているが、平面状であってもよい。平面状に構成した場合は、食物を中央の凹みに保持させることが難しくなるデメリットがある反面、第一櫛部5で食物を切り分ける際に、直線状に食物を切り分けることができるというメリットがある。なお、ここで摂取部2は、後述する第一櫛部5と第二櫛部6の他に、これらの櫛が形成されていない基端部20などによって構成される。
【0023】
この摂取部2の一方の側部に設けられる第一櫛部5は、図1に示すように、側部から中央側に切り込んだ溝51と、その溝51と溝51の間に形成された爪部52によって構成される。このような第一櫛部5の溝51は、縦長方向に口の中に入れて食する場合、食物が溝51の間に取り残されないようにするために、縦軸に対して開口部側が底部53よりも先端方向を向くように平行に傾斜させて設けるようにしている。このようにすれば、摂取部2を口の中に入れて唇を閉じる際に、その傾斜に沿って溝51の間の食物を開口部側に導いて食することができるため、残渣を少なくすることができるというメリットがある。なお、このように第一櫛部5の溝51を傾斜させる場合、利き手で摂食用具1を持って口に運ぶ際の角度などを考慮して、中央の縦軸CLに対して50度から90度の範囲内(好ましくは、55度から65度の範囲内)で傾斜させておくことが好ましい。このような角度にしておくと、振り下ろしによって切り分けが楽になる他、切り分けたケーキを食する際に、溝51に食べ物が残るようなことがなくなる。さらに、図3から図9では、側面から中央側にテーパー状に切り込んだ溝51と、その溝51と溝51の間に形成された爪部52によって構成される。また、溝51は、図3から図9に示すように、側面から中央側に向けて内幅を若干狭くしたテーパー状に切り込む形状とし、爪部52の先端側を若干尖らせるようにしてもよい。さらに、切り分けなどを容易に行わせるように、爪部52の先端を円錐状に尖らせたり、表裏の厚み幅を外側に向けて順次薄くして刃物状にしたり、あるいは、底部53を同様に刃物状にしたりしてもよい。
【0024】
一方、このように溝51を斜めに形成する場合、第一櫛部5を縦軸CLに対して垂直方向に振り下ろして食物を切り分ける際に、食物との抵抗が大きくなってしまい、ケーキを変形させたり転倒させたりしまう可能性がある。このため、図4図5に示すように、第一櫛部5の溝51を、縦軸CLに対して垂直に形成するようにしてもよい。このようにすれば、縦軸CLに対して垂直に第一櫛部5を振り下ろして切り分ける際、食物に対して爪部52を垂直に刺し込むことができるため、軽い力で食物を切り分けることができるようになる。
【0025】
このような第一櫛部5は、摂取部2の側面全体で食物に爪部52を刺し込んで切り分けることができるように、摂取部2の縦長方向の中央を挟むように全体的に設けられる。また、食物を切り分ける際に、食物との抵抗を少なくするために、できる限り溝51の深さを深くするようにしている。ただし、あまり溝51を深くしすぎると、摂取部2の強度が保たれなくなり、また、摂取部2に食物を載せにくくなる可能性がある。このため、好ましくは、中央の縦軸CLを超えない深さにしておく。
【0026】
なお、この第一櫛部5の溝51の数は、図1図2においては、5本設けるようにしているが、4本以下にしてもよく、あるいは、6本以上にしてもよい。
【0027】
この摂取部2の先端側に設けられる第二櫛部6は、図1などに示すように、縦軸方向に沿って設けられた平行な複数の溝61と、この溝61と溝61との間に形成された爪部62によって構成されるものであって、第二櫛部6における前記第一櫛部5側の溝61を、他の第二櫛部6の溝61よりも浅くしている。そして、このように構成された溝62によって、縦軸方向に食物を刺し込んで保持し、柄3を握って食物を口の中に運び入れるようにしている。
【0028】
ところで、このように第一櫛部5や第二櫛部6を設けるようにした場合、それぞれの溝51、61の底部53、63が非常に接近してしまうために、コーナー部分8での強度を保つことができなくなる可能性がある。そのため、それぞれの底部53、63が接近しすぎないように、第一櫛部5や第二櫛部6の底部53、63を、他方の第二櫛部6や第一櫛部5の底部63、53から退避させるような溝51、61の深さにしておく。このような方法としては、図1に示すように、第二櫛部6における第一櫛部5に近い側の溝61を浅くしておき、そこから徐々に他方側面に向けて溝61の深さを深くしていく方法や、図4から図7などに示すように、第一櫛部5における先端側(第二櫛部6側)の溝51を他の溝51よりも浅くしておく方法などを採用することができる。
【0029】
また、このように溝51、61の底部53、63が接近しすぎないようにしても、どうしても、基端部20からコーナー部分8へ導く領域が狭くなる一方、そのコーナー部分8に、刺し込みや切り分け時における両方の力が作用してしまうため、コーナー部分8に変形を生じてしまう可能性がある。そこで、この実施の形態では、第一櫛部5と第二櫛部6の境界部分に、摂取部2を縁部から切り欠いた切欠部7(図1図3図4図6図8)を設けるようにしている。このように構成することによって、食物の刺し込み時や切り分け時に、コーナー部分8に力が掛からないようにすることができ、コーナー部分8における変形などを防止できるようにしている。
【0030】
なお、ここでは摂取部のコーナー部分8に切欠部7を設けるようにしているが、強度が確保されている場合は、図5図7図9などに示すように、切欠部7を設けないようにしてもよい。
【0031】
次に、このように構成された摂食用具1の使用例について説明する。
【0032】
まず、ケーキなどを食する場合、この摂食用具1の柄3を握り、ケーキを一口サイズに切り分けする。
【0033】
この切り分けを行う場合、摂取部2の側面に設けられた第一櫛部5を食物に当て、そのまま振り下ろすようにする。すると、爪部52が食物に刺し込まれ、そこから徐々に切り分けられ、溝51の底部53に当たって食物が全体的に切り分けられるようになる。なお、このとき、溝51が斜めに形成されている場合は、食物の硬さによって、縦軸CLと直交する方向に振り下ろしてもよく、あるいは、その溝51に沿って斜め方向に振り下ろすようにしてもよい。
【0034】
そして、このように切り分けられた食物は、摂取部2の基端部20などに載せられた状態で、そのまま、口に運ばれるか、あるいは、先端側に設けられた第二櫛部6で刺し込まれて口に運ばれる。
【0035】
そして、唇を閉じて摂取部2が口から取り出される際、食物が摂取されるようになるが、このとき、斜め方向に向いている第一櫛部5の溝51に挟まれた食物は、唇を閉じて口から取り出される際に、溝51に沿って口の中に取り残される。
【0036】
このように上記実施の形態によれば、手で把持することが可能な柄3と、当該柄3の長手方向に沿った縦軸CLの先端側に設けられる摂取部2と、当該摂取部2の側方に設けられ、食物を刺し込むことが可能に、複数の溝51及び当該溝51により形成される複数の爪部52で構成される第一櫛部5と、前記摂取部2の先端に設けられ、、食物を刺し込むことが可能に、前記縦軸CLと略平行な複数の溝61及び当該溝61により形成される複数の爪部62とで構成される第二櫛部6とを備え、前記第一櫛部5を、前記溝51の開口部が底部53よりも先端側に向くように、前記縦軸CLに対して斜めに設け、前記第二櫛部6における前記第一櫛部5側の溝61の深さを、他の第二櫛部6の溝61の深さよりも浅くし、もしくは、前記第一櫛部5における前記第二櫛部側6の溝51の深さを、他の第一櫛部5の溝51の深さよりも浅くしたので、人間の直感的動作において、一口サイズへの切り分けと、その切り分けられた食物を食する際の刺し込みを一本で同時に行うことができるようになる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0038】
例えば、上記実施の形態では、第一櫛部5を左側に設けるようにしたが、左利き用として、図10に示すように、左右逆方向に第一櫛部5を設けるようにしてもよい。なお、図10においては、図1から図9までの各図の左利き用の正面図を示すものであり、側面図などは左右逆となっているため、これらの図面を省略するものとする。また、左右両利き用に、表裏面に同じ凹状の湾曲面を有する形状であってもよい。
【0039】
また、上記実施の形態では、摂取部2の外縁を略楕円形状をなすように構成しているが、図3から図9などに示すように、略長方形状に近い形状に構成し、また、図8図9に示すように、第二櫛部6の爪部62の先端の位置を揃えるようにしてもよい。このように構成すれば、皿上の食物を刺し込む際、爪部62の先端を皿上に当接させることができるため、小さな食物についても、第二櫛部6で刺し込んで食することができるようになる。
【0040】
また、上記実施の形態では、直線状の溝を形成するようにしたが、特に、第二櫛部6などについては、デザイン性などを考慮してハート型の爪部を形成するような湾曲した溝を形成するようにしてもよい。
【実施例1】
【0041】
摂食用具1を、3Dプリンタを用いて形状確認と機能確認のため試作した。以下に、本発明の試作品の実施の形態について、説明する。その上、それを用いて、実際ケーキを試食した。Tiertime社UP BOXを使用し、フィラメントは純正ABSフィラメントを使用した。造形データは、Shade3D社、Shade3D ver16.1.0を使用し作製したファイルをstlデータ形式で保存し、上記3Dプリンタを用いて出力した。出力物は、全長11.5cm、摂取部4.8cmで、摂取部最大幅が2.5cm、摂取部のすり鉢状全体としての厚みは5.6mm、摂取部素材の厚みは2.4~2.6mm、軸は軸の中央部で7.5mm×5mmで、傾斜がそれぞれ90度、70度、60度、50度のものと、前述の傾斜が60度のもので、前記出力物の長さが1.1倍縮尺となる全長12.6cm、摂取部5.2cmで傾斜が60度のものを作成した。全長11.5cmの溝(12)の幅と爪部(4)の幅はいずれも2.1mm~2.4mmで、溝(12)の長さは傾斜が70度のもので最大1.22cm、60度のもので最大1.25cm、50度のもので1.35cmとなり、いずれも軸を超えない長さとした。軸と平行に配置した溝(13)の幅は2.4mm~2.6mm、爪部の幅が2.0mm~2.2mmであった。溝(13)の長さは、約9mm~12mmで、切欠きの長さは約5.5~6.3mmであった。
【0042】
出力物で実際ケーキを食したところ、いずれの出力物でも側面の複数の爪部を用いて切り取った際の、ケーキの切り取るときの手の抵抗が、従来フォークの側面を使用して切り取った際の手の抵抗より明らかに低く、滑らかに切り取ることができ、なおかつケーキの形状変形が少ないことが判明した。また、切り取ったケーキを摂食用具の摂取部の先端の複数の爪部を用いて刺して把持し、摂取することも可能であった。
【符号の説明】
【0043】
1・・・摂食用具
2・・・摂取部
3・・・柄
4・・・接続部
5・・・第一櫛部
51・・・溝
52・・・爪部
6・・・第二櫛部
61・・・溝
62・・・爪部
7・・・切欠部
8・・・コーナー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10