(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/10 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
F24C15/10 B
F24C15/10 A
(21)【出願番号】P 2019099987
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2022-05-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 直司
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-181323(JP,A)
【文献】特開2008-177010(JP,A)
【文献】特開2014-054466(JP,A)
【文献】特開2011-159417(JP,A)
【文献】特開2004-019917(JP,A)
【文献】実開昭51-105978(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/10
F24C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部
と前部が開口する筐体と、
前記筐体の前面に
設けられた開口に前方から挿入して配置され、前側から第1ネジが締結されることによって、前記筐体の前記前面に固定されるフロントパネルと、
前記筐体の上部に
設けられた上部開口を閉塞するように固定される天板と、
前記天板の下面に固定され、当該下面に電装部品を支持する電装部品支持部と
を備えた加熱調理器において、
前記フロントパネルには、後方に延び、前側から後方に向けて工具を内側に挿入可能な筒状の工具挿入部が設けられ、
前記工具挿入部の後方に延びる奥側に設けられ、前後方向に貫通し、前側から
第2ネジを差し込み可能な差し込み穴が設けられ、
前記天板の前記下面の前側には、下方に延びる固定板部が設けられ、
前記固定板部には、前後方向に貫通する固定穴が設けられ、
前記天板を前記筐体の上部に載置したときに、前記差し込み穴と前記固定穴とが互いに前後方向に重なるように配置され、前記工具挿入部の内側に挿入された前記工具によって、前記差し込み穴と前記固定穴とに差し込まれた前記
第2ネジが締結されることによって、前記天板と前記フロントパネルが互いに固定され、
前記工具挿入部の前後方向の長さは、前記
第2ネジの長さよりも長いこと
を特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記筐体の中央側に設けられるグリル庫と、
前記筐体の前記前面の中央側に設けられ、前記グリル庫の前面に設けられたグリル開口を開閉するグリル扉と
をさらに備え、
前記フロントパネルは、前記筐体の前記前面において、前記グリル扉の左右両側に夫々固定される左右一対のフロントパネルであって、
前記固定板部は、前記天板の前記下面の前記前側における左右両側部から下方に延びる左右一対の固定板部であって、
前記天板を前記筐体の上部に載置したときに、前記左右一対の固定板部は、前記グリル扉を左右両側から挟む位置に配置され、前記左右一対のフロントパネルの夫々の前記差し込み穴と、前記左右一対の固定板部の夫々の前記固定穴とが互いに前後方向に重なるように配置されること
を特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記固定板部の前記固定穴が、前記フロントパネルの前記差し込み穴と前後方向に重なる位置を所定位置とした場合、
前記筐体には、前記天板を前記筐体の上部に載置するときに、前記固定板部に接触することにより、前記固定板部を前記所定位置にガイドするガイド部が設けられたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天板の下面に前後方向に延びる係止爪部を設けたガスコンロが知られている(例えば、特許文献1参照)。このガスコンロでは、天板を筐体の上部に載せた後に、操作つまみを前側にスライドさせると、係止爪部が筐体の係止穴に差し入れられて筐体に天板が固定される。また、天板の下面の前側に異物の進入を検出可能な複数の光センサを左右方向に広く設け、当該複数の光センサのうちいずれかが異物の進入を検出した場合、コンロバーナの火力を絞ることができるコンロも知られている(例えば、特許文献2参照)。このような特許文献2に記載のコンロに、特許文献1に記載の係止爪部を利用した天板の固定構造を適用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-5951号公報
【文献】特開2018-128163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献2に記載のコンロの天板の下面には、複数の光センサが左右方向に広く設けられているため、そのような天板の下面において、係止爪部を前側にスライドさせるスペースがない。このことから、特許文献1に記載の係止爪部を利用して、天板を筐体に固定するのは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、天板の下面に電装部品が支持されていても、天板を筐体に容易に固定できる加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の加熱調理器は、上部と前部が開口する筐体と、前記筐体の前面に設けられた開口に前方から挿入して配置され、前側から第1ネジが締結されることによって、前記筐体の前記前面に固定されるフロントパネルと、前記筐体の上部に設けられた上部開口を閉塞するように固定される天板と、前記天板の下面に固定され、当該下面に電装部品を支持する電装部品支持部とを備えた加熱調理器において、前記フロントパネルには、後方に延び、前側から後方に向けて工具を内側に挿入可能な筒状の工具挿入部が設けられ、前記工具挿入部の後方に延びる奥側に設けられ、前後方向に貫通し、前側から第2ネジを差し込み可能な差し込み穴が設けられ、前記天板の前記下面の前側には、下方に延びる固定板部が設けられ、前記固定板部には、前後方向に貫通する固定穴が設けられ、前記天板を前記筐体の上部に載置したときに、前記差し込み穴と前記固定穴とが互いに前後方向に重なるように配置され、前記工具挿入部の内側に挿入された前記工具によって、前記差し込み穴と前記固定穴とに差し込まれた前記第2ネジが締結されることによって、前記天板と前記フロントパネルが互いに固定され、前記工具挿入部の前後方向の長さは、前記第2ネジの長さよりも長いことを特徴とする。
【0007】
【0008】
請求項2の加熱調理器は、前記筐体の中央側に設けられるグリル庫と、前記筐体の前記前面の中央側に設けられ、前記グリル庫の前面に設けられたグリル開口を開閉するグリル扉とをさらに備え、前記フロントパネルは、前記筐体の前記前面において、前記グリル扉の左右両側に夫々固定される左右一対のフロントパネルであって、前記固定板部は、前記天板の前記下面の前記前側における左右両側部から下方に延びる左右一対の固定板部であって、前記天板を前記筐体の上部に載置したときに、前記左右一対の固定板部は、前記グリル扉を左右両側から挟む位置に配置され、前記左右一対のフロントパネルの夫々の前記差し込み穴と、前記左右一対の固定板部の夫々の前記固定穴とが互いに前後方向に重なるように配置されるとよい。
【0009】
請求項3の加熱調理器は、前記固定板部の前記固定穴が、前記フロントパネルの前記差し込み穴と前後方向に重なる位置を所定位置とした場合、前記筐体には、前記天板を前記筐体の上部に載置するときに、前記固定板部に接触することにより、前記固定板部を前記所定位置にガイドするガイド部が設けられるとよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の加熱調理器によれば、天板の下面の前側から下方に延びる固定板部を、筐体に固定されたフロントパネルに固定する。これにより、天板の下面の広い範囲に電装部品支持部を固定した場合であっても、天板を筐体に固定できる。
【0011】
また、工具挿入部内に第2ネジと工具を挿入し、ネジ止め作業を行うことができる。これにより、仮にネジ止め作業の途中で第2ネジが外れても、工具挿入部内に落下するので、キッチンのキャビネット内に第2ネジが落下するのを防止できる。
【0012】
請求項2の加熱調理器によれば、筐体の前面の左右両側に左右一対のフロントパネルが固定された加熱調理器である。加熱調理器は、天板の下面の前側から下方に延びる左右一対の固定板部を、筐体に固定された左右一対のフロントパネルに固定する。これにより、天板の下面の広い範囲に電装部品支持部を固定した場合であっても、天板を筐体に対してバランス良く安定して固定できる。
【0013】
請求項3の加熱調理器によれば、固定板部を所定位置に容易に配置できるので、天板を筐体にネジで固定する際の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】天板3の下面から延びる左固定板部51と右固定板部52と、左フロントパネル80及び右フロントパネル90とが固定された状態の斜視図である。
【
図4】
図3に示す構造体を別角度から見た斜視図である。
【
図5】
図4に示す構造体を上下逆にして載置したときの斜視図である。
【
図6】天板3、左フロントパネル80、右フロントパネル90の分解斜視図である。
【
図7】天板3の左固定板部51と右固定板部52が、筐体2の左ガイド部201と右ガイド部202によりガイドされ、左フロントパネル80の工具挿入部812と、右フロントパネル90の工具挿入部912とに対して位置決めされた状態を上方から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0016】
図1~
図5を参照し、コンロ1の構造を説明する。
図1に示すコンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1は筐体2と天板3を備える。天板3は、筐体2の上部開口を塞ぐように位置決めして固定される。天板3はガラス製であり、その下面には、一部透過性を有する非透過性の印刷が施される。天板3の上面左側には左バーナ4、上面右側には右バーナ5、上面後側にはグリル用の排気口7が夫々設けられる。排気口7には、網状のカバー7Cが設置される。カバー7Cを取り外すと、
図4に示すように、排気口7の左側には後側固定穴7A、排気口7の右側には後側固定穴7Bが設けられる。これら後側固定穴7A、7Bは、筐体2の内側後部に設けられた左右一対の固定穴(図示略)に対して上方から重なり、ネジが上方から締結される。
【0017】
図1に示すように、筐体2の前面の中央部には、グリル扉8が手前側に引き出し可能に設けられる。グリル扉8は、筐体2内部に設けられるグリル庫10(
図3参照)の前側のグリル開口(図示略)を開閉する。グリル扉8の前面の上部には、取手8Aが前方に突出して設けられる。筐体2の前面において、グリル扉8の左側の上下には、化粧板6A、6Bが取り付けられ、右側の上下には、化粧板6C、6Dが取り付けられる。
【0018】
筐体2の前面から右側の化粧板6C、6Dを取り外すと、
図3に示すように、右フロントパネル90の前面が露出する。右フロントパネル90の前面上部には、電源スイッチ19が設けられる。化粧板6Cの前面上部には、開口66が設けられ、該開口66から電源スイッチ19が前方に突出する(
図1参照)。右フロントパネル90の前面下部には、筒状の吸気通路部95と操作部9が設けられる。吸気通路部95は後方に延設され、その前端部には空気入口951が設けられる。空気入口951は、筐体2の底面の前側付近において下向きに開口する。操作部9はグリル操作用であって、右フロントパネル90の前面下部に回動可能に支持される。吸気通路部95は、空気入口951から外部の空気を内側に取り入れる。
【0019】
筐体2の前面から左側の化粧板6Aと6Bを取り外すと、
図3に示すように、左フロントパネル80の前面が露出する。左フロントパネル80の前面の略中央部には、電池ケース83が手前側に引き出し可能に設けられる。左フロントパネル80の前面下部には、吸気通路部85が設けられる。吸気通路部85は後方に延設され、その前端部には空気入口851が設けられる。空気入口851は、筐体2の底面の前側付近において下向きに開口する。吸気通路部85は、空気入口851から外部の空気を内側に取り入れる。
【0020】
図2に示すように、天板3の上面の前側部において、左バーナ4の前側には、左バーナ4を操作する為の左操作部11が設けられ、右バーナ5の前側には、右バーナ5を操作する為の右操作部12が設けられる。左操作部11には、左バーナ4の点火、消火、及び火力の増減等の操作を、指先のタッチで受け付ける複数の受付部と、タイマ時間等を表示する表示部と、使用状態に応じて点灯、又は点滅する発光表示部等が設けられる。右操作部12にも、左操作部11と同様に、右バーナ5の操作に対応する複数の受付部、表示部、発光表示部等が設けられる。左バーナ4と右バーナ5に挟まれる中央部の前側には、グリル使用中に点灯するグリル用発光表示部13が設けられる。左操作部11と右操作部12において、受付部、発光表示部、及びグリル用発光表示部13は、天板3に印刷された透光性を有するボタン、マーク、又は記号等である。表示部は、天板3の非印刷領域であって、透明性を有する窓部である。
【0021】
天板3の下面の前側部には、上面に設けられた左操作部11、右操作部12、グリル用発光表示部13に対応するように、一枚の電装基板(図示略)が接着剤、又は両面テープ等で貼着される。その電装基板を下方から覆うようにして、センサケース40が固定板3A(
図4、
図5参照)を介してネジで固定される。センサケース40は、左右方向に長い樹脂製の筐体である。天板3の下面に貼着された電装基板は、センサケース40の内側に収容されると共に、天板3の下面に対して下方から支持される。
【0022】
電装基板の上面において、受付部に対応する位置には、指先のタッチを感知する静電容量方式の感知部が設けられ、表示部に対応する位置には、7セグ表示器が設けられ、発光表示部及びグリル用発光表示部13に対応する位置には、LED等の発光部が設けられる。これらにより、左操作部11と右操作部12において、各受付部における指先のタッチは、電装基板の各感知部によって感知され、7セグ表示器による表示、及び発光部による発光は、表示部、発光表示部、及びグリル用発光表示部13においてユーザに認識される。
【0023】
左操作部11の後側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部15が設けられ、右操作部12の後側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部16が設けられ、グリル用発光表示部13の後側には、平面視略矩形状のセンサ用窓部17が設けられる。センサ用窓部15~17は透明性を有する非印刷領域であり、上方から見た場合に天板3下方を透過する。センサ用窓部15の下方には、左から右に4つのセンサ31~34が夫々配置される。センサ用窓部16の下方には、左から右に4つのセンサ35~38が夫々配置される。センサ用窓部17の下方には、1つのセンサ39が配置される。これら9つのセンサ31~39(以下総称する場合は「センサ30」と呼ぶ)は、上方に位置する異物までの距離を測定可能な一般的な測距センサであり、例えば赤外線センサである。これら9つのセンサ31~39は、天板3の下面に固定されたセンサケース40に収容されると共に、天板3の下面側に支持される。
【0024】
図3、
図4に示すように、センサケース40の左端部には左筒部42が設けられ、右端部には右筒部43が設けられる。左筒部42及び右筒部43は、センサケース40の左右両端部から下方に突出する。左筒部42の開口する下端部と、左フロントパネル80の吸気通路部85の後端開口部(図示略)との間には、上下方向に延びる略筒状の左ダクト部71が接続される。左ダクト部71の内側には、左冷却ファン(図示略)が取り付けられる。左冷却ファンの駆動により、左ダクト部71は、空気入口851から吸気通路部85内に空気を取り込み、冷却空気としてセンサケース40に供給する。一方、右筒部43の開口する下端部と、右フロントパネル90の吸気通路部95の後端開口部(図示略)との間には、上下方向に延びる略筒状の右ダクト部72が接続される。右ダクト部72の内側には、右冷却ファン(図示略)が取り付けられる。右冷却ファンの駆動により、右ダクト部72は、空気入口951から吸気通路部95内に空気を取り込み、冷却空気としてセンサケース40に供給する。
【0025】
図示しないが、センサケース40の内側には、基板収容部とセンサ収容部が設けられる。基板収容部には、電装基板が配置されると共に、左ダクト部71及び右ダクト部72から供給された冷却空気が流れる空気流路が設けられる。電装基板の近傍を冷却空気が流れることによって、電装基板が冷却される。一方、センサ収容部には、センサ31~39が配置されると共に、左ダクト部71及び右ダクト部72から供給された冷却空気が流れる空気流路が設けられる。センサ31~39の近傍を冷却空気が流れることによって、センサ31~39が冷却される。センサケース40の前面の中央部には、左右一対の前側排出口54A、54B(
図3参照)が設けられる。センサケース40の下面の中央部には、下方に突出する筒状の後側排出口68が設けられる。基板収容部を流れた冷却空気は、前側排出口54A、54Bから外部に排出される。センサ収容部を流れた冷却空気は、後側排出口68から外部に排出される。
【0026】
ここで、センサ30の構造と機能を説明する。センサ30は、図示しない発光部と受光部を備える。発光部は上方に向けて赤外光を発光する。受光部は、発光部が発光した赤外光が異物に反射した反射光を受光する。センサ30は、受光部が受光した反射光の強度に基づき、三角測距方式を応用して異物までの距離を測定する。センサ30は、対応するセンサ用窓部15~17の上方に異物(例えば、ユーザの身体の一部等)が侵入した場合、その異物で反射した反射光を、センサ用窓部15~17を介して受光部で受信し、異物までの距離を測定する。センサ30は、測定した異物までの距離を距離信号として、コンロ1の制御部(図示略)に出力する。制御部は受信した距離信号に基づき、検出した異物の高さが天板3から所定高さ範囲内であると判断した場合に異物有りと判定し、燃焼中のコンロバーナ(左バーナ4、右バーナ5)の火力を速やかに絞る制御を行う。
【0027】
図3~
図5を参照し、天板3の下面の前側部に設けられる左固定板部51及び右固定板部52を説明する。上記の通り、天板3の下面の前側部には、左右方向に長いセンサケース40がネジで固定される。そのセンサケース40の前側で、且つ左右両側には、下方向に延びる一対の左固定板部51及び右固定板部52が設けられる。左固定板部51及び右固定板部52は、夫々、正面視上下方向に長い略矩形板状に形成される。左固定板部51の下端部には、固定穴51Aが設けられ、右固定板部52の下端部には、固定穴52Aが設けられる。固定穴51A、52Aは、左固定板部51及び右固定板部52を前後方向に貫通する。これら左固定板部51及び右固定板部52は、筐体2の前面に固定された左フロントパネル80及び右フロントパネル90に対して、ネジ101、102で固定される(
図6参照)。なお、左固定板部51及び右固定板部52を用いて、筐体2に天板3を固定する具体的な方法については後述する。
【0028】
図6を参照し、右フロントパネル90の構造を説明する。なお、左フロントパネル80と右フロントパネル90の基本構造は略同一であるので、本実施形態では、右フロントパネル90の構造を中心に説明する。右フロントパネル90は正面視縦長略矩形状に形成され、前壁部91と後方筒部92を備える。前壁部91は、正面視上下方向に長い略矩形状に形成される。前壁部91の右上角部、左上角部、右下角部には、前後方向に貫通する3つのパネル側固定穴911が設けられる。これら3つのパネル側固定穴911は、筐体2の前面の右側に設けられた3つの筐体側固定穴(図示略)の前側に重なる。筐体側固定穴は前側に向けて開口する。そして、互いに重なるパネル側固定穴911と筐体側固定穴に対してネジが前方から締結されることによって、右フロントパネル90が筐体2の前面の右側に固定される。
【0029】
前壁部91は、本体部91Aと枠部91Bを備える。本体部91Aは前壁部91の上側に設けられ、正面視略矩形状に形成される。本体部91Aは、電源スイッチ19を前面の右上部に備える。本体部91Aの前面には、化粧板6C(
図1参照)が取り付けられる。本体部91Aの背面の上端部で、且つ左右方向中央部よりもやや左側には、略円筒状の工具挿入部912が後方に突出して設けられる(
図6参照)。工具挿入部912は、前後方向に延びる挿入穴913を中央部に備える。挿入穴913の前端部は、前壁部41の上端部の前面において前向きに開口する。挿入穴913には、ネジ102を回す為の工具(図示略)の先端部を、前側から後方に向けて挿入可能である。工具は、例えば、ネジ102を回転させるプラスドライバー、マイナスドライバー等である。挿入穴913の奥側には、リング状の底部が設けられ、その底部の中央には、前後方向に貫通する差し込み穴914(
図7参照)が設けられる。底部には、挿入穴913に対して前方から差し込まれたネジ102の頭部が係止し、軸部が差し込み穴914から後方に突出する。
【0030】
枠部91Bは、前壁部91の下側に設けられ、正面視略矩形枠状に形成される。枠部91Bの下部には、略三角柱状の操作部9の下部が回動可能に軸支される。操作部9の前面には、矩形状の開口部9Bが設けられ、その開口部9Bの内側に吸気通路部95が配置される。操作部9の前面には、化粧板6D(
図1参照)が固定される。化粧板6Dの上部を指で後方に押し込むと、操作部9は、右フロントパネル90の前面に設けられたロック機構98によるロックが外れ、下部を基点に前方に回動する。その結果、操作部9の背面側に設けられたグリル用の操作パネル(図示略)が前方に引き出される。後方筒部92は、略四角筒状に形成され、枠部91Bの後部から後方に突出して設けられる。吸気通路部95は、後方筒部92の底面に設けられる。
【0031】
後方筒部92の後端開口部を塞ぐように、右ダクト部72の下端部がネジで固定される。右ダクト部72の下端部には、挿入筒部(図示略)が前方に突出して設けられる。挿入筒部は、右ダクト部72内部の空気流路と連通し、右フロントパネル90の吸気通路部95の後端開口部の内側に嵌り込んで接続される。これにより、吸気通路部95の空気入口951から右ダクト部72の上端開口部まで延びる吸気ダクトが形成される。
【0032】
なお、詳述しないが、左フロントパネル80も、右フロントパネル90と同様に、筐体2の前面の左側にネジで固定される。
図6に示すように、左フロントパネル80は、前壁部81と後方筒部82を備える。前壁部81の左上角部、右上角部、左下角部には、前後方向に貫通する3つのパネル側固定穴811が設けられる。前壁部81の上端部の背面側で、且つ左右方向中央部よりもやや右側には、工具挿入部812が設けられる。工具挿入部812は、挿入穴813を内側に備える。挿入穴813の奥側には、リング状の底部が設けられ、その底部の中央には、前後方向に貫通する差し込み穴814(
図7参照)が設けられる。底部には、挿入穴813に対して前方から差し込まれたネジ102の頭部が係止し、軸部が差し込み穴814から後方に突出する。吸気通路部85は、後方筒部82の底面に設けられる。後方筒部82の後端開口部を塞ぐように、左ダクト部71の下端部がネジで固定される。左ダクト部71の下端部にも、挿入筒部(図示略)が前方に突出して設けられる。挿入筒部は、左ダクト部71内部の空気流路と連通し、左フロントパネル80の吸気通路部85の後端開口部の内側に嵌り込んで接続される。これにより、吸気通路部85の空気入口851から左ダクト部71の上端開口部まで延びる吸気ダクトが形成される。
【0033】
図3、
図6、
図7を参照し、筐体2の上部開口に対する天板3の固定方法の一例を説明する。作業者は、天板3を筐体2に固定する前に、左フロントパネル80と右フロントパネル90を筐体2の前面の左右両側にネジで夫々固定する。次いで、作業者は、天板3の下面を筐体2の上部開口に向け、筐体2の上部開口に対して上方から天板3を降ろして載置する。
【0034】
ここで、
図6、
図7に示すように、筐体2の上部開口の前壁200の内面には、左右方向に離間する一対の左ガイド部201と右ガイド部202が設けられる。なお、
図3においては、左ガイド部201と右ガイド部202を省略している。左ガイド部201は平面視略L字状、右ガイド部202は平面視略逆L字状に形成され、互いに左右対称形状である。前壁200の内面において、左ガイド部201は、左フロントパネル80の工具挿入部812の後端部に相対する位置よりもやや右側に設けられる。右ガイド部202は、右フロントパネル90の工具挿入部912の後端部に相対する位置よりも左側に設けられる。
【0035】
作業者は、天板3を両手で持ちながら筐体2に向けて降ろす際、天板3の左固定板部51の右端部を、筐体2の左ガイド部201の左側面に当接させ、天板3の右固定板部52の左端部を、筐体2の右ガイド部202の右側面に当接させる。これにより、筐体2に対する天板3の左右方向の位置が自動的に決まる。さらに、左固定板部51と右固定板部52の夫々の前面を、筐体2の前壁200の内面に接触させる。これにより、筐体2に対する天板3の前後方向の位置が自動的に決まる。
【0036】
次いで、作業者は、前後左右の位置決めがなされた状態で、天板3を降ろし、天板3の上部開口を塞ぐように載置する。左固定板部51及び右固定板部52は、左ガイド部201及び右ガイド部202によって下方にガイドされる。そして、左固定板部51は、左フロントパネル80の工具挿入部812の後端部の後側である所定位置に位置決めされる。右固定板部52は、右フロントパネル90の工具挿入部912の後端部の後側である所定位置に位置決めされる。左固定板部51の固定穴51Aは、工具挿入部812の挿入穴813に対向する。右固定板部52の固定穴52Aは、工具挿入部912の挿入穴913に対向する。
【0037】
次いで、作業者は、左フロントパネル80の工具挿入部812の挿入穴813に対して前側からネジ101を挿入する(
図6参照)。挿入穴813の底部にネジ101の頭部が係止し、差し込み穴814から軸部が後方に突出する。作業者は挿入穴813に工具の先端部を挿入し、ネジ101を回すことによって、ネジ101の軸部を左固定板部51の固定穴51Aに締結させる。これにより、左フロントパネル80の工具挿入部812と、天板3の左固定板部51が互いに固定される(
図4、
図5参照)。このように、本実施形態は、工具挿入部812の挿入穴813内にネジ101と工具の先端部を挿入し、ネジ止め作業を行うように構成されているので、その作業の途中でネジ101が外れ、例えばキッチンのキャビネット内に落下するのを防止できる。外れたネジ101を、挿入穴813の内側で受けることができるので、作業性を向上できる。
【0038】
一方、作業者は、左フロントパネル80と同様に、右フロントパネル90の工具挿入部912の挿入穴913に対して前側からネジ102を挿入する(
図6参照)。挿入穴913の底部にネジ102の頭部が係止し、差し込み穴914から軸部が後方に突出する。作業者は挿入穴913に工具の先端部を挿入し、ネジ102を回すことによって、ネジ102の軸部を右固定板部52の固定穴52Aに締結させる。これにより、右フロントパネル90の工具挿入部912と、天板3の右固定板部52が互いに固定される(
図4、
図5参照)。
【0039】
そして、上記の通り、左フロントパネル80及び右フロントパネル90は、筐体2の前面の左右両側に既にネジで固定されている。このことから、天板3は、左フロントパネル80及び右フロントパネル90を介して、筐体2に固定される。このとき、排気口7の左右両側に設けられた後側固定穴7A、7Bは、筐体2の内側後部に設けられた左右一対の固定穴(図示略)に対して上方から重なる。作業者は、後側固定穴7A、7B及び左右一対の固定穴に対して上方からネジを締結する。このようにして、天板3は、筐体2の上部に固定される(
図3参照)。
【0040】
また、本実施形態においては、天板3の下面から下方に延びる左右一対の左固定板部51と右固定板部52を、筐体2に固定された左右一対の左フロントパネル80及び右フロントパネル90に固定する。これにより、天板3の下面において左右方向の広い範囲にセンサケース40を固定していても、天板3を筐体2に対してバランス良く安定して固定できる。
【0041】
以上説明したように、上記実施形態のコンロ1は、筐体2、左フロントパネル80、右フロントパネル90、天板3、センサケース40を備える。筐体2の上部は開口する。左フロントパネル80及び右フロントパネル90は、筐体2の前面に固定される。天板3は、筐体2の上部に開口を閉塞するように固定される。センサケース40は天板3の下面に固定され、電装基板とセンサ31~39を天板3の下面に支持する。左フロントパネル80には、前後方向に貫通し、前側からネジ101を差し込み可能な差し込み穴814が設けられる。右フロントパネル90には、前後方向に貫通し、前側からネジ102を差し込み可能な差し込み穴914が設けられる。天板3の下面の前側部には、下方に延びる左固定板部51及び右固定板部52が設けられる。左固定板部51及び右固定板部52には、固定穴51A、52Aが設けられる。天板3を筐体2の上部に載置したときに、挿入穴813、913と、左固定板部51及び右固定板部52の固定穴51A、52Aとが互いに前後方向に重なるように配置される。そして、挿入穴813、913と固定穴51A、52Aとにネジ101、102が差し込まれて締結されることによって、天板3と、左フロントパネル80及び右フロントパネル90とが互いに固定される。これにより、天板3の下面の左右方向の広い範囲に、センサケース40を固定した場合であっても、天板3を筐体2に対して容易に固定できる。
【0042】
上記説明において、コンロ1は本発明の「加熱調理器」の一例である。センサケース40は本発明の「電装部品支持部」の一例である。電装基板、センサ31~39は本発明の「電装部品」の一例である。左フロントパネル80及び右フロントパネル90は、本発明の「フロントパネル」の一例である。左固定板部51及び右固定板部52は、本発明の「固定板部」の一例である。固定穴51A、52Aは本発明の「固定穴」の一例である。左ガイド部201及び右ガイド部202は、本発明の「ガイド部」の一例である。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態の右フロントパネル90の上端部には、工具挿入部912が設けられ、その中央の挿入穴913の奥側に差し込み穴914が設けられるが、工具挿入部912を省略し、右フロントパネル90の上端部に差し込み穴914を直接設けてもよい。なお、左フロントパネル80の工具挿入部812においても同様である。
【0044】
上記実施形態では、天板3の下面に左右一対の左固定板部51及び右固定板部52を備えるが、何れか一方のみでもよく、又は固定板部をさらに追加してもよい。例えば、フロントパネルが一つの場合、固定板部は一つでもよく、複数でもよい。固定板部を複数設けた場合、天板3の下面の前側部において左右均等になるように配置するとよい。これにより、天板3を筐体2の上部に対して、バランス良く強固に固定できる。
【0045】
コンロ1は、グリル庫10の左右両側に、左ダクト部71と右ダクト部72を備えるが、何れか一方のみでもよい。その場合、センサケース40に対して、左右のうち片方から冷却空気を供給するようにすればよい。また、左フロントパネル80と右フロントパネル90の吸気通路部85、95も何れか一方のみにすればよい。
【0046】
筐体2の前壁200の内面には、左ガイド部201と右ガイド部202が設けられるが、その形状は上記実施形態に限定されない。左ガイド部201と右ガイド部202は、左固定板部51及び右固定板部52に対して内側から当接することによって、左右方向における位置決めを行いつつ下方にガイドするが、外側(左右両側)から当接してもよい。また、左ガイド部201と右ガイド部202のうち何れか一方を省略してもよい。
【0047】
本実施形態のセンサケース40は、電装基板と、センサ31~39を収容して支持するものであるが、その他の電装部品を収容して支持するものであってもよい。また、収容する電装部品は一種類であってもよく、二種類以上であってもよい。
【0048】
上記実施形態のコンロ1は、ビルトインコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。また、コンロバーナの数は、上記実施形態では二つであるが、一つ、又は三つ以上であってもよい。
【0049】
天板3上における複数のセンサ30の配置、個数、場所についても、上記実施形態に限らず、自由に変更可能である。中央のセンサ39は省略してもよい。センサ30は赤外光を発光する赤外線センサであるが、異物を検出可能なセンサであればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 コンロ
2 筐体
3 天板
6C、6D 化粧板
8 グリル扉
10 グリル庫
31~39 センサ
40 センサケース
51 左固定板部
52 右固定板部
51A、52A 固定穴
80 左フロントパネル
90 右フロントパネル
91、92 ネジ
100 電装基板
201 左ガイド部
202 右ガイド部
812、912 工具挿入部