(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】冷蔵庫およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
F25D23/02 304C
(21)【出願番号】P 2019167475
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】吉池 真史
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-078465(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0280608(US,A1)
【文献】特開2004-278891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00 - 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室が形成された断熱箱体と、前記貯蔵室を塞ぐ断熱扉と、を備え、
前記断熱扉は、
金属板から成る外側板材部と、
前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された側面板材部と、
前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された下方蓋材部と、
前記外側板材部に対向して配置される内側板材部と、
前記外側板材部と前記内側板材部との間に形成される内部空間と、
前記内部空間を上方から塞ぐ上方蓋材部と、
前記内部空間に配置される断熱材と、
前記側面板材部と連続すると共に、前記側面板材部に対して略直角に曲折された第1折返部と、
前記下方蓋材部と連続すると共に、前記下方蓋材部に対して略直角に曲折された第2折返部と、
前記
側面板材部と、前記下方蓋材部と、前記第1折返部と、前記第2折返部と、を相互に固定する固定部材と、を有し、
前記側面板材部には、第1孔部が形成され、
前記下方蓋材部には、第2孔部が形成され、
前記第1折返部には、第3孔部が形成され、
前記第2折返部には、第4孔部が形成され、
前記固定部材は、第1挿入凸部と、第2挿入凸部と、第3挿入凸部と、第4挿入凸部と、を有し、
前記第1挿入凸部は、前記第1孔部に挿入され、
前記第2挿入凸部は、前記第2孔部に挿入され、
前記第3挿入凸部は、前記第3孔部に挿入され、
前記第4挿入凸部は、前記第4孔部に挿入されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
断熱扉を備えた冷蔵庫の製造方法であって、
前記断熱扉は、金属板から成る外側板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された側面板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された下方蓋材部と、前記外側板材部に対向して配置される内側板材部と、前記外側板材部と前記内側板材部との間に形成される内部空間と、前記内部空間を上方から塞ぐ上方蓋材部と、前記内部空間に配置される断熱材と、前記側面板材部と連続すると共に、前記側面板材部に対して略直角に曲折された第1折返部と、前記下方蓋材部と連続すると共に、前記下方蓋材部に対して略直角に曲折された第2折返部と、前記
側面板材部と、前記下方蓋材部と、前記第1折返部と、前記第2折返部と、を相互に固定する固定部材と、を有し、前記側面板材部には、第1孔部が形成され、前記下方蓋材部には、第2孔部が形成され、前記第1折返部には、第3孔部が形成され、前記第2折返部には、第4孔部が形成され、
前記外側板材部、前記側面板材部、および、前記下方蓋材部を有する前記金属板を準備する工程と、
前記外側板材部に対して、前記側面板材部、前記下方蓋材部、前記第1折返部および前記第2折返部を略直角に曲折加工する工程と、
前記外側板材部の角部に於いて、前記下方蓋材部、前記側面板材部、前記第1折返部および前記第2折返部を固定する工程と、
前記内側板材部に前記外側板材部を対向して配置し、前記内側板材部と前記外側板材部との間に前記内部空間を形成し、前記内部空間に前記断熱材を配置する工程と、を具備し、
前記固定する工程では、第1挿入凸部と、第2挿入凸部と、第3挿入凸部と、第4挿入凸部とを有する前記固定部材を準備し、前記第1挿入凸部を前記第1孔部に挿入し、前記第2挿入凸部を前記第2孔部に挿入し、前記第3挿入凸部を前記第3孔部に挿入し、前記第4挿入凸部を前記第4孔部に挿入することを特徴とする冷蔵庫の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫およびその製造方法に関し、特に、外側面が金属板から成る断熱扉を有する冷蔵庫およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷蔵庫では、断熱性を有する冷蔵庫本体の内部に、冷蔵室、冷凍室、野菜室等の各貯蔵室が形成され、これら貯蔵室は前方から断熱性を備えた扉で閉鎖されている。
【0003】
特許文献1に、この種の冷蔵庫が備える扉が記載されている。
図15に、この種の冷蔵庫に備えられる扉100を示す。この図では、扉100を構成する各部材を離して示している。扉100は、後方から、内板101、外板102、樹脂製パネル103を備えている。また、外板102の上端部分および下端部分には、上方キャップ108および下方キャップ109が嵌め込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した構成の扉100では、冷蔵庫運転時に於ける利便性の観点から改善の余地があった。具体的には、扉100の外板102はステンレス等の鋼板から成る一方、下方キャップ109は合成樹脂から成る。よって、冷蔵庫の運転状況下に於いて、金属から成る外板102は外気の影響を受けて昇温される一方、下方キャップ109はそれほど昇温されない。このことから、冷蔵庫の外部雰囲気が多湿の場合、低温となる下方キャップ109の表面に結露が発生してしまう。
【0006】
このような結露を防止するべく、熱伝導を促進するために、下方キャップ109および外板102の内側にアルミテープを貼着する場合がある。しかしながら、このようにすると部品点数が増加し、更に、製造工程に於ける工数が増加するので、製造コストが増大してしまう。更に、下方キャップ109を備えていること自体が、組立工数の増加や部材を招いている。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱扉の部品点数を低減すると共に、扉での結露発生を抑制することができる冷蔵庫およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室が形成された断熱箱体と、前記貯蔵室を塞ぐ断熱扉と、を備え、前記断熱扉は、金属板から成る外側板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された側面板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された下方蓋材部と、前記外側板材部に対向して配置される内側板材部と、前記外側板材部と前記内側板材部との間に形成される内部空間と、前記内部空間を上方から塞ぐ上方蓋材部と、前記内部空間に配置される断熱材と、前記側面板材部と連続すると共に、前記側面板材部に対して略直角に曲折された第1折返部と、前記下方蓋材部と連続すると共に、前記下方蓋材部に対して略直角に曲折された第2折返部と、前記側面板材部と、前記下方蓋材部と、前記第1折返部と、前記第2折返部と、を相互に固定する固定部材と、を有し、前記側面板材部には、第1孔部が形成され、前記下方蓋材部には、第2孔部が形成され、前記第1折返部には、第3孔部が形成され、
前記第2折返部には、第4孔部が形成され、前記固定部材は、第1挿入凸部と、第2挿入凸部と、第3挿入凸部と、第4挿入凸部と、を有し、前記第1挿入凸部は、前記第1孔部に挿入され、前記第2挿入凸部は、前記第2孔部に挿入され、前記第3挿入凸部は、前記第3孔部に挿入され、前記第4挿入凸部は、前記第4孔部に挿入されることを特徴とする。
【0009】
本発明は、断熱扉を備えた冷蔵庫の製造方法であって、前記断熱扉は、金属板から成る外側板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された側面板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された下方蓋材部と、前記外側板材部に対向して配置される内側板材部と、前記外側板材部と前記内側板材部との間に形成される内部空間と、前記内部空間を上方から塞ぐ上方蓋材部と、前記内部空間に配置される断熱材と、前記側面板材部と連続すると共に、前記側面板材部に対して略直角に曲折された第1折返部と、前記下方蓋材部と連続すると共に、前記下方蓋材部に対して略直角に曲折された第2折返部と、前記側面板材部と、前記下方蓋材部と、前記第1折返部と、前記第2折返部と、を相互に固定する固定部材と、を有し、前記側面板材部には、第1孔部が形成され、前記下方蓋材部には、第2孔部が形成され、前記第1折返部には、第3孔部が形成され、前記第2折返部には、第4孔部が形成され、前記外側板材部、前記側面板材部、および、前記下方蓋材部を有する前記金属板を準備する工程と、前記外側板材部に対して、前記側面板材部、前記下方蓋材部、前記第1折返部および前記第2折返部を略直角に曲折加工する工程と、前記外側板材部の角部に於いて、前記下方蓋材部、前記側面板材部、前記第1折返部および前記第2折返部を固定する工程と、前記内側板材部に前記外側板材部を対向して配置し、前記内側板材部と前記外側板材部との間に前記内部空間を形成し、前記内部空間に前記断熱材を配置する工程と、を具備し、前記固定する工程では、第1挿入凸部と、第2挿入凸部と、第3挿入凸部と、第4挿入凸部とを有する前記固定部材を準備し、前記第1挿入凸部を前記第1孔部に挿入し、前記第2挿入凸部を前記第2孔部に挿入し、前記第3挿入凸部を前記第3孔部に挿入し、前記第4挿入凸部を前記第4孔部に挿入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の冷蔵庫は、貯蔵室が形成された断熱箱体と、前記貯蔵室を塞ぐ断熱扉と、を備え、前記断熱扉は、金属板から成る外側板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された側面板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された下方蓋材部と、前記外側板材部に対向して配置される内側板材部と、前記外側板材部と前記内側板材部との間に形成される内部空間と、前記内部空間を上方から塞ぐ上方蓋材部と、前記内部空間に配置される断熱材と、前記側面板材部と連続すると共に、前記側面板材部に対して略直角に曲折された第1折返部と、前記下方蓋材部と連続すると共に、前記下方蓋材部に対して略直角に曲折された第2折返部と、前記側面板材部と、前記下方蓋材部と、前記第1折返部と、前記第2折返部と、を相互に固定する固定部材と、を有し、前記側面板材部には、第1孔部が形成され、前記下方蓋材部には、第2孔部が形成され、前記第1折返部には、第3孔部が形成され、
前記第2折返部には、第4孔部が形成され、前記固定部材は、第1挿入凸部と、第2挿入凸部と、第3挿入凸部と、第4挿入凸部と、を有し、前記第1挿入凸部は、前記第1孔部に挿入され、前記第2挿入凸部は、前記第2孔部に挿入され、前記第3挿入凸部は、前記第3孔部に挿入され、前記第4挿入凸部は、前記第4孔部に挿入されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、背景技術では必要とされた下方キャップを不要とすることで、断熱扉を構成する部品点数を削減し、コストを低減することが出来る。更に、本発明の冷蔵庫によれば、断熱扉の下方蓋材部が、外側板材部と連続した金属板から構成されることで、冷蔵庫の運転時に於いて外気からの熱が外側板材部から下方蓋材部に伝導する。よって、冷蔵庫の外部雰囲気が多湿な状況であったとしても、外側板材部から熱が伝導することで、下方蓋材部が適度に昇温され、下方蓋材部の表面に水滴が発生することが抑制される。
【0012】
本発明は、断熱扉を備えた冷蔵庫の製造方法であって、前記断熱扉は、金属板から成る外側板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された側面板材部と、前記外側板材部と連続すると共に、前記外側板材部に対して略直角に曲折された下方蓋材部と、前記外側板材部に対向して配置される内側板材部と、前記外側板材部と前記内側板材部との間に形成される内部空間と、前記内部空間を上方から塞ぐ上方蓋材部と、前記内部空間に配置される断熱材と、前記側面板材部と連続すると共に、前記側面板材部に対して略直角に曲折された第1折返部と、前記下方蓋材部と連続すると共に、前記下方蓋材部に対して略直角に曲折された第2折返部と、前記側面板材部と、前記下方蓋材部と、前記第1折返部と、前記第2折返部と、を相互に固定する固定部材と、を有し、前記側面板材部には、第1孔部が形成され、前記下方蓋材部には、第2孔部が形成され、前記第1折返部には、第3孔部が形成され、前記第2折返部には、第4孔部が形成され、前記外側板材部、前記側面板材部、および、前記下方蓋材部を有する前記金属板を準備する工程と、前記外側板材部に対して、前記側面板材部、前記下方蓋材部、前記第1折返部および前記第2折返部を略直角に曲折加工する工程と、前記外側板材部の角部に於いて、前記下方蓋材部、前記側面板材部、前記第1折返部および前記第2折返部を固定する工程と、前記内側板材部に前記外側板材部を対向して配置し、前記内側板材部と前記外側板材部との間に前記内部空間を形成し、前記内部空間に前記断熱材を配置する工程と、を具備し、前記固定する工程では、第1挿入凸部と、第2挿入凸部と、第3挿入凸部と、第4挿入凸部とを有する前記固定部材を準備し、前記第1挿入凸部を前記第1孔部に挿入し、前記第2挿入凸部を前記第2孔部に挿入し、前記第3挿入凸部を前記第3孔部に挿入し、前記第4挿入凸部を前記第4孔部に挿入することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫の製造方法によれば、断熱扉の下方蓋材部を、外側板材部と連続する金属板により構成することから、下方蓋材部となる部材を別途に用意する必要が無い。よって、断熱扉を構成する部品定数を削減でき、冷蔵庫の製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は側方断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の扉を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の他の形態に係る冷蔵庫の扉を示す図であり、(A)は分解斜視図であり、(B)は固定部材を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図であり、(D)はビートが形成された部分の金属板を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図である。
【
図11】本発明の他の形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図である。
【
図12】本発明の他の形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図であり、(D)は固定部材を示す斜視図である。
【
図13】本発明の他の形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は金属板を示す平面図であり、(B)は金属板を下方から見た図であり、(C)は金属板を側方から見た図であり、(D)は固定部材を示す斜視図であり、(E)は挿入凸部を示す断面図である。
【
図14】本発明により奏される効果を示す表である。
【
図15】背景技術にかかる冷蔵庫の扉を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右を示す。尚、以下の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10の概略構造を示す。
図1(A)は冷蔵庫10の全体的な外観を示す斜視図であり、
図1(B)は冷蔵庫10を側方から見た断面図である。
【0017】
図1(A)に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体である冷蔵庫本体11を備え、この冷蔵庫本体11の内部に食品等を貯蔵する貯蔵室が形成されている。この貯蔵室として、上段から、冷蔵室15、上段冷凍室17、下段冷凍室18および野菜室19が形成されている。ここで、上段冷凍室17および下段冷凍室18は何れも冷凍温度域の貯蔵室であるので、これらを冷凍室16と総称する場合もある。
【0018】
冷蔵庫本体11の前面は開口しており、各貯蔵室の前面開口は、各々が断熱扉で閉鎖されている。具体的には、上段から、冷蔵室15の開口は扉20で閉鎖され、上段冷凍室17の開口は扉21で閉鎖され、下段冷凍室18の開口は扉22で閉鎖され、野菜室19の開口は扉23で閉鎖されている。
【0019】
扉20は、冷蔵室15の開口を前方から閉鎖し、例えば、右端の上下端部が回転自在に冷蔵庫本体11により支持されている。一方、扉21,22,23は、冷蔵庫本体11に対して、前後方向に引出自在に配設されている。また、扉21、扉22および扉23では、引き出し用の把手部が上方キャップに形成されている。
【0020】
図1(B)を参照して、冷蔵庫10の本体である冷蔵庫本体11は、前面が開口する鋼板製の外箱12と、この外箱12内に間隙を持たせて配設され、前面が開口する合成樹脂製の内箱13とから構成されている。外箱12と内箱13との間隙には、発泡ポリウレタン製の断熱材14が充填発泡されている。尚、上記した扉20等も、冷蔵庫本体11と同様の断熱構造を採用している。
【0021】
冷蔵室15と、その下段に位置する冷凍室16との間は、断熱仕切壁24によって仕切られている。また、冷凍室16とその下段の野菜室19との間にも、断熱仕切壁25が形成されている。断熱仕切壁24,25も、上記した冷蔵庫本体11と同様に、断熱構造を有している。
【0022】
冷凍室16の後方には冷却室が形成されており、この冷却室の内部には、庫内を循環する空気を冷却するための蒸発器である冷却器28が配置されている。
【0023】
冷却器28は、圧縮機27、図示しない放熱器、図示しないキャピラリーチューブである膨張弁に、冷媒配管を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成するものである。
【0024】
冷却器28で冷却された冷気が、冷蔵室15、冷凍室16および野菜室19を循環することで、冷蔵室15および野菜室19の室内温度は冷蔵温度域に保たれ、冷凍室16の室内温度は冷凍温度域に保たれる。
【0025】
また、冷蔵庫10は、図示しない制御装置を備えており、この制御装置は、センサ類からの入力値を基に所定の演算処理を実行し、圧縮機27等の各構成機器を制御する。
【0026】
図2を参照して、上記した冷蔵庫10に備えられる扉20の構成を詳述する。ここでは、扉20を構成する各部材を前後方向に分離して示している。
【0027】
扉20は、意匠面となる外側板材部29と、外側板材部29を後方から塞ぐ内側板材部30と、内側板材部30の内側面に枠状に取り付けられるガスケット37と、を主に有している。
【0028】
内側板材部30は、板状に真空形成された合成樹脂材料から成り、外側板材部29を後方から塞ぐ。外側板材部29と内側板材部30との間には、内部空間33が形成され、内部空間33には断熱材34が充填されている。断熱材34としては、ウレタン樹脂等の発泡樹脂またはVIP(Vacuum Insulation Panel)を採用することができる。
【0029】
内部空間33の上端には、合成樹脂から成る上方蓋材部35が嵌め込まれている。一方、内部空間33の下端は、外側板材部29と連続する金属板から成る下方蓋材部36で覆われている。換言すると、扉20の前面、左右側面および下面は、一枚の金属板を曲折加工することで形成されている。
【0030】
後述するように、本実施形態では、下方蓋材部36として、外側板材部29と連続して形成することで、扉20を構成する部品点数を削減し、更に、冷蔵庫10の運転時に於いて下方蓋材部36に結露が発生することを抑止している。また、このような扉20の構成は、
図1(B)に示す扉21、扉22、扉23にも適用することができる。
【0031】
図3を参照して、他の形態に係る扉20の構成を説明する。
図3(A)は扉20を示す斜視図であり、
図3(B)は固定部材38を示す斜視図である。
【0032】
図3(A)に示す扉20の基本的な構成は
図2に示したものと同様であり、ここでは、扉20の下側角部に固定部材38が配置されている。固定部材38は合成樹脂から成り、外側板材部29を構成する各部位を固定すると共に、扉20の角部に鋼板から成る鋭利な部分が露出しないように保護する部位である。
【0033】
図3(B)を参照して、固定部材38の構成を説明する。固定部材38は、一体的に射出成形された合成樹脂から成り、第1面部381、第2面部382および第3面部383を有する。第1面部381および第2面部382は略矩形形状を呈する板状部材であり、第3面部383は略三角形形状を呈する板状部材である。第1面部381、第2面部382および第3面部383は、互いに直交するように配置されている。固定部材38を扉20に組み付けると、固定部材38の第1面部381は外側板材部29の左右側面に当接し、第2面部382は外側板材部29の下面に当接し、第3面部383は外側板材部29の後面に当接する。また、固定部材38の各側辺および角部は、冷蔵庫10の使用時に於ける安全性を向上するために、丸みを帯びた角丸形状に成形されても良い。
【0034】
また、第1面部381から右方に向かって挿入凸部401が突出し、第2面部382から上方に向かって挿入凸部402が突出し、第3面部383から前方に向かって挿入凸部403および挿入凸部404が形成されている。挿入凸部401ないし挿入凸部404は、円筒状に突出しており、その先端部には、
図13を参照して後述するように返し部42が形成されている。挿入凸部401は、外側板材部29の側面に形成された孔に挿入され、挿入凸部402は扉20の底部に形成された孔に挿入され、挿入凸部403および挿入凸部404は外側板材部29の後面に形成された孔に挿入される。このようにすることで、外側板材部29を構成する各部位の相対的位置を固定することができる。更には、固定部材38を外側板材部29に対して強固に組み付けることができる。係る事項は、
図13を参照して後述する。
【0035】
図4から
図10を参照して、
図2に示した扉20を製造する方法を説明する。
【0036】
図4を参照して、上記した外側板材部29の材料となる金属板45を用意する。
図4(A)は金属板45を示す平面図であり、
図4(B)は
図4(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図4(C)は
図4(A)に示す金属板45を右方から見た図である。
【0037】
図4(A)ないし
図4(C)を参照して、金属板45は、
図2に示した扉20の金属板45を構成するのに十分な面積を有している。金属板45としては、例えば厚さが0.5mm程度のステンレス板を採用することが出来る。金属板45は、圧延することにより製造されるが、金属板45は圧延方向が左右方向に平行になるように規定されている。このようにすることで、後述するように、作業員の手による曲折加工が容易になる。
【0038】
図5を参照して、次に、上記した金属板45にプレス加工等の切断加工を施し、所定形状に成形する。
図5(A)は所定形状に切断された金属板45を示す平面図であり、
図5(B)は
図5(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図5(C)は
図5(A)に示す金属板45を右方から見た図である。また、
図5(D)は、後述するビート54が形成される部分の金属板45の断面を示している。
【0039】
図5(A)を参照して、金属板45には、中央に外側板材部48が形成されている。外側板材部48の左右方向外側には、側面板材部49が繋がっている。側面板材部49の左右方向外側には折返部52が繋がっている。折返部52は、
図2に示した外側板材部29の端部が内側に向かって折り返される部位である。折返部52の下端部分を略矩形状に開口することで開口部47が形成されている。開口部47には、後述する挿入片46が挿入される。
【0040】
外側板材部48の下側には下方蓋材部51が繋がっている。また、下方蓋材部51の左右方向両側には、折返部53が形成されている。下方蓋材部51の下方には、折返部55が形成されており、折返部55の左右両端部側から下方に向かって伸びる矩形の挿入片46が形成されている。
【0041】
ここで、外側板材部48と下方蓋材部51との境界、下方蓋材部51と折返部53との境界、および、下方蓋材部51と折返部55との境界には、プレス加工によりビート54が形成されている。
図5(D)にビート54の断面形状を示す。
図5(A)では、ビート54が形成されている部分を一点鎖線で示している。ビート54を形成された部分は、作業員により曲折加工を行うことができるので、扉20の製造コストを低減することができる。
【0042】
図6を参照して、次に、折返部53および折返部55を直角に曲折加工する。
図6(A)は金属板45を示す平面図であり、
図6(B)は
図6(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図6(C)は
図6(A)に示す金属板45を右方から見た図である。
【0043】
図6(A)ないし
図6(C)を参照して、ここでは、折返部53を左右後方内側に向かって略直角に曲折している。上記したように、下方蓋材部51と折返部53との境界には、上記したビート54が形成されているので、この曲折作業は作業員の手により行うことができる。また、折返部55を、下方蓋材部51に対して略直角に曲折している。ここでも、下方蓋材部51と折返部55との境界にビート54が形成されていることで、曲折作業を容易に行うことができる。
【0044】
図7を参照して、次に、下方蓋材部51を直角に曲折加工する。
図7(A)は金属板45を示す平面図であり、
図7(B)は
図7(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図7(C)は
図7(A)に示す金属板45を右方から見た図である。
【0045】
図7(A)ないし
図7(C)を参照して、ここでは、下方蓋材部51を、外側板材部48に対して略直角となるように曲折加工している。このように下方蓋材部51を曲折加工することで、折返部55および挿入片46は、上方を向くようになる。下方蓋材部51と外側板材部48との境界には、上記したビート54を形成しているので、下方蓋材部51の曲折加工は作業員の手により容易に行うことができる。
【0046】
図8を参照して、次に、折返部52を直角に曲折加工する。
図8(A)は金属板45を示す平面図であり、
図8(B)は
図8(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図8(C)は
図8(A)に示す金属板45を右方から見た図である。
【0047】
図8(A)ないし
図8(C)を参照して、左右両端に配置された折返部52を、側面板材部49に対して直角に曲折加工している。折返部52の曲折加工は、プレス機を用いた押し曲げ加工を行う。折返部52の曲折加工にプレス機を用いることで、精密に曲折加工を行うことができ、製造される扉20の外観性を向上することができる。
【0048】
図9を参照して、次に、側面板材部49を直角に曲折加工する。
図9(A)は金属板45を示す平面図であり、
図9(B)は
図9(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図9(C)は
図9(A)に示す金属板45を右方から見た図である。
【0049】
図9(A)ないし
図9(C)を参照して、外側板材部48に対して側面板材部49が直角となるように、曲折加工する。側面板材部49の曲折加工に於いても、上記と同様にプレス機を用いた押し曲げ加工を行うことで、外側板材部48にして側面板材部49を正確に且つ外観良く曲折することができる。
【0050】
図10を参照して、次に、開口部47に挿入片46を係合する。
図10(A)は金属板45を示す平面図であり、
図10(B)は
図10(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図10(C)は
図10(A)に示す金属板45を右方から見た図である。
【0051】
図10(A)を参照して、上記したように、折返部52に形成した開口部47に、折返部55の端部である挿入片46は挿入されている。ここでは、開口部47から上方に突出する部分の挿入片46を、下方に向かって略180度折り曲げる。これにより、折返部52と折返部55との相対位置が固定され、折返部52と繋がる側面板材部49の外側板材部48に対する角度が略直角に固定される。また、折返部55と繋がる下方蓋材部51の外側板材部48に対する角度が略直角に固定される。
【0052】
上記した工程により、
図2に示した扉20の一部である外側板材部29および下方蓋材部36が製造される。その後は、外側板材部29の後方側に内側板材部30を組み付けることで、外側板材部29と内側板材部30との間に内部空間33を形成する。また、内側板材部30の後方側にガスケット37を配置する。更に、内部空間33を上方から上方蓋材部35で塞ぎ、内部空間33に断熱材34を充填する。このような工程により扉20を製造する。
図1(A)に示す、扉21、扉22および扉23も、上記と同様の製造方法で製造することができる。
【0053】
更に、
図1(B)を参照して、冷蔵庫本体11に、冷却器28や圧縮機27などの冷凍サイクルを構成する各構成機器を配設し、冷蔵室15の前方開口を扉20で塞ぎ、上段冷凍室17の前方開口を扉21で塞ぎ、下段冷凍室18の前方開口を扉22で塞ぎ、野菜室19の前方開口を扉23で塞ぐ。このような工程により冷蔵庫10が製造される。
【0054】
次に、
図11から
図13を参照して、
図3に示した扉20を製造する方法を説明する。以下の説明では、
図2に示した扉20の製造方法と重複する部分は割愛する。ここでは、
図12(B)に示す固定部材38により、金属板45を構成する各部位を固定している。
【0055】
図11を参照して、扉20を製造するために所定形状に打ち抜かれた金属板45の形状を説明する。
図11(A)は金属板45を示す平面図であり、
図11(B)は
図11(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図11(C)は
図11(A)に示す金属板45を側方から見た図である。
【0056】
図11(A)を参照して、金属板45は、外側板材部48の左右両側に側面板材部49および折返部52が形成されており、外側板材部48の下方に下方蓋材部51および折返部55が形成されている。また、側面板材部49の下端部分を開口することで孔部411が形成され、折返部52の下端部分を開口することで孔部413が形成されている。更に、下方蓋材部51の左右端部を開口することで孔部412が形成され、折返部55の左右端部を開口することで孔部414が形成されている。孔部411ないし孔部414には、略円形の開口であり、後の工程に於いて、
図3(B)に示した挿入凸部401ないし挿入凸部404が挿入される。
【0057】
図12に、曲折加工が終了した後の金属板45を示す。
図12(A)は金属板45を示す平面図であり、
図12(B)は
図12(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図12(C)は
図12(A)に示す金属板45を側方から見た図である。また、
図12(D)は、固定部材38を示す斜視図である。
【0058】
図12(A)ないし
図12(C)を参照して、外側板材部48に対して、側面板材部49、折返部52、下方蓋材部51、折返部55を略直角に曲折加工している。係る曲折加工を行うことで、金属板45の端部に、孔部411、孔部412、孔部413および孔部414が配置されている。孔部411は、
図12(B)に示すように、金属板45の側面板材部49に形成されている。孔部412は、
図12(C)に示すように、金属板45の下方蓋材部51に形成されている。孔部413および孔部414は、
図12(A)に示すように、金属板45の後面を構成する折返部52および折返部55に形成されている。
【0059】
上記のように、金属板45を曲折加工する工程が終了したら、金属板45の左下角部および右下角部に、夫々、
図12(D)に示す固定部材38を嵌め込む。具体的には、金属板45の孔部411、孔部412、孔部413および孔部414に、固定部材38の挿入凸部401、挿入凸部402、挿入凸部403および挿入凸部404を挿入する。このようにすることで、金属板45の左下角部および右下角部が固定部材38で覆われるので、金属板45の左下角部および右下角部において鋭利な金属板の端部が外部に露出することがなく、使用時の安全性を向上することができる。更に、金属板45の孔部413等に、固定部材38の挿入凸部401等が挿入固定されることで、金属板45を構成する折返部52、折返部55、下方蓋材部51および折返部55の相対的な位置を強固に固定することができる。
【0060】
図13に、固定部材38が嵌め込まれた金属板45を示す。
図13(A)は金属板45を示す平面図であり、
図13(B)は
図13(A)に示す金属板45を下方から見た図であり、
図13(C)は
図13(A)に示す金属板45を側方から見た図である。また、
図13(D)は固定部材38を示す斜視図であり、
図13(E)は挿入凸部401を示す断面図である。
【0061】
図13(A)ないし
図13(C)に示すように、金属板45の下側左方端部および下側右方端部に、固定部材38が配設されている。このようにすることで、金属板45の左下角部および右下角部が固定部材38で覆われるので、金属板45の左下角部および右下角部において鋭利な金属板の端部が外部に露出することがなく、使用時の安全性を向上することができる。更に、金属板45の孔部413等に、固定部材38の挿入凸部401等が挿入固定されることで、金属板45を構成する折返部52、折返部55、下方蓋材部51および折返部55の相対的な位置を強固に固定することができる。
【0062】
図13(D)を参照して、固定部材38の内面には挿入凸部401ないし挿入凸部404が形成されている。また、
図13(E)に示すように、挿入凸部401の先端部を上方に向かって突出させることで返し部42が形成されている。挿入凸部401の先端側に返し部42が形成されることで、挿入凸部401を、
図12(C)に示す孔部411に挿入した際に、挿入凸部401の先端に形成された挿入凸部402が、孔部411に内側から係合し、挿入凸部401の離脱を防止することができる。係る形状は、他の挿入凸部402ないし挿入凸部404に関しても同様である。
【0063】
上記工程により扉20が製造される。また、
図1(B)を参照して、扉20を、他の構成機器と共に冷蔵庫本体11に配設することで、冷蔵庫10が製造される。
【0064】
図14のグラフを参照して、本実施形態により奏される効果を説明する。ここでは、
図1(A)を参照して、扉21の下面を樹脂キャップで構成した比較例と、扉21の下面を金属板から構成した本実施形態との温度差を示している。また、比較例と本実施形態とでは、冷蔵庫10を取り巻く外部雰囲気の温度および湿度は等しい。
【0065】
先ず、比較例に於いて、冷凍室は-18.6℃に冷却されており、冷蔵室は2.1℃に冷却されている。本実施形態に於いては、冷凍室は-18.5℃に冷却されており、冷蔵室は2.1℃に冷却されている。
【0066】
次に、扉21の下端部の温度は、扉21の下端部が樹脂キャップから成る比較例は27.9℃であるのに対し、扉21の下端部が金属板から成る本実施形態は28.5℃である。即ち、扉21の下端部の温度は、本実施形態の方が比較例よりも0.6℃高温である。比較例に於いて、扉21の下端部の温度が低い理由は、扉21の下端部を構成する合成樹脂部材に熱が良好に伝導しないからである。一方、本実施形態では、扉21の下端部が金属板からなることで、外気からの熱伝導により扉21の下端部が良好に昇温する。よって、冷蔵庫10を取り巻く外部雰囲気が多湿な状況であっても、扉21の下端部に結露が発生することを抑制することができる。
【0067】
次に、
図2に示した扉21に配設されるガスケット37の下端の温度を説明する。扉21に配設されるガスケット37の下部の温度は、比較例では27.8℃であるのに対し、本実施形態では28.6℃である。即ち、扉21に配設されるガスケット37の下部の温度は、本実施形態の方が比較例よりも0.8℃高温である。これは、扉21の外側板材部29からガスケット37に良好に熱が伝導していることを示している。
【0068】
次に、
図2に示した扉21の下部の温度を説明する。扉21の下部の温度は、比較例では26.1℃であるのに対し、本実施形態では27.2℃である。即ち、扉21の下部の温度は、本実施形態の方が比較例よりも1.1℃高温である。これは、扉21の外側板材部29の下面まで熱が伝導することで、扉21の下方の領域まで良好に昇温されていることを示している。
【0069】
次に、
図1に示した扉22に配設されるガスケット37の上端の温度を説明する。扉22に配設されるガスケット37の上端の温度は、比較例では25.5℃であるのに対し、本実施形態では26.8℃である。即ち、扉22に配設されるガスケット37の上端の温度は、本実施形態の方が比較例よりも1.3℃高温である。これは、扉21の外側板材部29の下面に熱が良好に伝導することで、その直下に配置される、扉22のガスケット37の上端も、良好に昇温されていることを示している。
【0070】
一般的に、ガスケット37の上端部および下端部は結露が発生しやすい条件下にあるが、本実施形態のように扉21の下端部を金属板から構成することで、ガスケット37の上端部および下端部の温度を上昇させ、ガスケット37の周辺に結露が発生することを抑止することができる。
【0071】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。また、上記した各形態は相互に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0072】
10 冷蔵庫
11 冷蔵庫本体
12 外箱
13 内箱
14 断熱材
15 冷蔵室
16 冷凍室
17 上段冷凍室
18 下段冷凍室
19 野菜室
20 扉
21 扉
22 扉
23 扉
24 断熱仕切壁
25 断熱仕切壁
27 圧縮機
28 冷却器
29 外側板材部
30 内側板材部
33 内部空間
34 断熱材
35 上方蓋材部
36 下方蓋材部
37 ガスケット
38 固定部材
381 第1面部
382 第2面部
383 第3面部
401 挿入凸部
402 挿入凸部
403 挿入凸部
404 挿入凸部
411 孔部
412 孔部
413 孔部
414 孔部
42 返し部
45 金属板
46 挿入片
47 開口部
48 外側板材部
49 側面板材部
51 下方蓋材部
52 折返部
53 折返部
54 ビート
55 折返部
100 扉
101 内板
102 外板
103 樹脂製パネル
108 上方キャップ
109 下方キャップ