(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】カードリーダー
(51)【国際特許分類】
G06K 13/06 20060101AFI20231218BHJP
G07F 7/08 20060101ALI20231218BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20231218BHJP
G06K 7/08 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G06K13/06 A
G07F7/08 R
G06K7/00 004
G06K7/00 021
G06K7/08 040
(21)【出願番号】P 2019178122
(22)【出願日】2019-09-28
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000177346
【氏名又は名称】三和ニューテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】黒木 周二
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-128668(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190592(WO,A1)
【文献】特開2008-009478(JP,A)
【文献】特開2009-020792(JP,A)
【文献】特開2006-031432(JP,A)
【文献】特開2017-204309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 13/06
G07F 7/08
G06K 7/00
G06K 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済用カードの挿入と排出の出入り口となる挿入口を備えるフロントユニットと、
前記フロントユニットに接続されて、前記挿入口から挿入された前記決済用カードから個人情報を読み出す読み出し手段を備える本体ユニットと、を備え、
前記フロントユニットは、
前記挿入口において、前記決済用カードの挿入を受け付ける/受け付けないシャッターを有し、
前記シャッターが閉じている場合には、前記決済用カードは挿入されず、前記シャッターが開いている場合には、前記決済用カードは挿入され、
前記本体ユニットは、
前記シャッターを開閉する開閉デバイスと、
前記開閉デバイスの開閉制御を行う開閉制御部と、を有し、
前記開閉制御部から解除信号を受けた前記開閉デバイスは、前記シャッターを開け、
前記開閉制御部から閉鎖信号を受けた前記開閉デバイスは、前記シャッターを閉じ、
前記開閉デバイスは、電気信号に基づいて動作して、前記シャッターの開閉を物理的に行い、
前記読み出し手段は、前記決済用カードに備わるICチップおよび磁気記憶領域の両方に対応可能であ
り、
前記挿入口と前記シャッターを備えた前記フロントユニットは前記シャッターの開閉を切り替えるロック部材をさらに備え、
前記開閉制御部を備えた前記本体ユニットに備えられた前記開閉デバイスは、ソレノイドを備え、
前記フロントユニットと前記本体ユニットとは、分離可能であり、
前記ロック部材は第1方向に移動すると、前記シャッターを開け、前記ロック部材は前記第1方向と異なる第2方向に移動すると、前記シャッターを閉じ、
前記開閉デバイスは、前記ロック部材を前記第1方向および前記第2方向に移動させ、
前記ソレノイドは、通電によってプランジャーを射出もしくは引き戻しをさせて、
前記プランジャーは、射出もしくは引き戻しによって、前記ロック部材を前記第1方向もしくは前記第2方向に移動させ、
前記開閉制御部は、前記ソレノイドに、前記解除信号および前記閉鎖信号を出力し、
前記解除信号および前記閉鎖信号を送信する、前記開閉制御部および前記ソレノイドを接続する電気配線は、前記本体ユニット内部に格納され、
前記プランジャーは、前記シャッターと略平行に位置して射出と引き戻しを行い、
前記プランジャーは、前記プランジャーと交差する方向にアクチュエーターを有し、
前記アクチュエーターは、前記ロック部材を動作可能に連結し、
前記プランジャーの射出もしくは引き戻しに対応して、前記アクチュエーターは、前記ロック部材を前記第1方向もしくは前記第2方向に移動させ、
前記アクチュエーターの移動範囲を制限する動作範囲部材をさらに備え、
前記挿入口の下には、電子部品および電気配線が配置されない、
カードリーダー。
【請求項2】
前記決済用カードは、ICチップおよび磁気記憶領域の少なくとも一方を備え、前記ICチップおよび磁気記憶領域は、決済用カードによる支払処理に必要な個人情報を記憶する、請求項1記載のカードリーダー。
【請求項3】
前記挿入口は、決済用カードの規定幅に対応しており、
前記決済用カードの幅が前記規定幅未満である場合には、前記ロック部材は、ロック状態を維持する、請求項
1または2記載のカードリーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップと磁気記憶との両方を備える決済用カードを取り込んで読み込むカードリーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のキャッシュレス社会の進展により、様々な場所で現金による支払ではなく現金以外での支払いが増えてきている。中には、情報携帯端末のコードを用いた支払処理や決済が行われることも増えてきているが、現金以外での支払い処理としては、クレジットカードが多く使われている。従来から、クレジットカードは非常に普及しており、現金の代わりとしての支払処理やいわゆる分割払いの手段としての支払処理としても、様々な場面で使われている。
【0003】
クレジットカードは過去から多く普及しており、従来のような高額の商品購入だけでなく近年では、小規模商店やスーパーマーケットなど日常の場面でも使用される。また、ガソリンスタンド、機械式駐車場、ホテルの清算処理などのような人員削減が必要となってきている場面では、機械式精算機においてクレジットカードで支払い処理が行われるようになってきている。
【0004】
例えば、ガソリンスタンドは、人員削減やコスト削減などの必要性から、機械式精算機が設置されており、利用者はこの機械式精算機で支払い処理を行うことが増えてきている。このような機械式精算機では、利用者は、クレジットカードを用いて支払いを行う。
【0005】
また、機械式駐車場などは、そもそも無人となっており、出入り口などに機械式精算機が設置されている。利用者は、やはりこの機械式精算機で支払い処理を行う。このとき、クレジットカードを用いることも多い。
【0006】
あるいは、ホテルのチェックインやチェックアウトも自動精算機が用いられるようになってきている。チェックインやチェックアウトの手続きと合わせて、宿泊費用の清算が、この自動精算機で行われる。あるいは、チェックインの手続きだけは対面で行われて、宿泊費用の清算だけがこの自動精算機で行われることもある。
【0007】
この自動精算機での清算処理(あるいはチェックインやチェックアウトなど)も、やはりクレジットカードで行われる。
【0008】
このように、様々な場面でクレジットカードを用いた支払処理が一般的になってきている。上述したような場面だけでなく、一般的な商店や小型の商店でも、クレジットカードを用いた支払処理が行われるようになってきている。特に、外国においては、治安面や通貨への信頼性などの懸念から、日常生活の様々な場面で、クレジットカードでの支払い処理が行われている。
【0009】
一方で、クレジットカードそのものも技術的・処理システム的に進歩してきている。一つには、偽造や他人による使用を防止するために、所有者の識別子を複雑化・暗号化して、セキュリティを強化している。
【0010】
従来のクレジットカードは、所有者の識別子を磁気記憶領域に記憶していた。しかしながら、クレジットカードの盗難やスキミングで、磁気記憶領域に記憶されている所有者の識別子などの個人情報が盗難されてしまう問題が生じていた。こういった問題から、磁気記憶領域に記憶される識別子などの個人情報のセキュリティ耐性を強化したり、磁気記憶領域からの読み取りを困難にしたりするなどの技術的な改良がくわえられてきている。
【0011】
加えて、磁気記憶領域に個人情報を記憶するだけでなく、クレジットカードにICチップを搭載して、このICチップに識別子などの個人情報を記憶するようになってきている。このため、近年に発行されているクレジットカードの大半は、ICチップのみ、ICチップと磁気記憶領域の両方のいずれかのパターンで構成されている。
【0012】
このように、ICチップや磁気記憶領域のいずれかあるいは両方を備えることで、クレジットカードによる支払処理を行う場合には、ICチップからの個人情報の読み取りと、磁気記憶領域からの個人情報の読み取りの両方が必要となってきている。また、支払処理の迅速化と安全確保の観点から、磁気記憶領域からの読み取りでもICチップからの読み取りでも、正確に個人情報を読み取ることが求められている。また、偽造カードへの対応や、クレジットカードの不正使用への対応も求められている。
【0013】
また、クレジットカードによる支払処理が広まるにつれて、利用者におけるリスク管理の必要性も高まっている。例えば、クレジットカードを用いて清算機械で支払い処理をする際に、クレジットカードの個人情報が盗み取られたり漏洩したりしないような対応が求められている。さらには、上述したような様々な場面での普及により、安全性および正確性に加えて、小型でメンテナンス性の高いクレジットカードのカードリーダーが必要とされるようになってきている。もちろん、このとき、磁気記憶領域とICチップとの両方に対応できるカードリーダーが必要とされている。
【0014】
このような状況で、クレジットカードを用いた清算機械や清算装置を構成する要素である、クレジットカードなどの決済用カードの読み込みを行うカードリーダーについての技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2012-118893号公報
【文献】特開2014-228906号公報
【文献】特開2015-130181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1は、磁気クレジットカードによるクレジット決済を行い、クレジット決済金額を含むクレジット決済内容が印字されたレシートを発行する決済端末10であて、前記磁気クレジットカードに磁気的に記録されているクレジットカード番号から、前記レシートに前記クレジット決済内容を印字する言語を決定する制御部3と、該制御部3にて決定された言語にて前記クレジット決済内容が印字されたレシートを発行するプリンタ部1とを有することを特徴とする決済端末を、開示する。
【0017】
特許文献1は、磁気クレジットカードの個人情報から、利用者に最適な言語を選択して利用者に提供できる技術を開示している。
【0018】
しかしながら、特許文献1は、ICチップと磁気記憶領域の両方に対応する技術を開示していない。また、これらの記憶領域から正確に個人情報を読み取ったり、装置を小型化したりする技術について開示がない。
【0019】
上述したように、現在では、ICチップと磁気記憶領域の両方に対応して個人情報を読み取ることが求められている。また、様々な場面で使用され、対面型で使用されたり、清算機械に組み込まれて使用されたりすることが求められている。加えて、ICチップと磁気記憶領域の両方に対応して、一度でいずれかからでも個人情報を読み取ることが求められている。
【0020】
特許文献1は、このような要求に対応できない問題を有している。
【0021】
特許文献2は、SAMチップによってICカードの認証を行うICカードリーダライタにおいて、ICカードの挿入及び排出を行うカード挿入口と、挿入されたICカードの情報の読み取り及び書き込みを行うIC接点部と、SAMチップを搭載するSAMチップ搭載部とを有し、カード挿入口を介してSAMチップを装填可能とした。SAMチップ搭載部は、カード挿入口から挿入されSAMチップが搭載されたICカードと同一形状のSAMチップホルダを維持する機構を有し、SAMチップホルダーは、ICカードの搬送機構によってSAMチップ搭載部へ搬送されるICカードリーダーライターを開示する。
【0022】
特許文献1は、ICチップの決済用カードを読み取ることができる。しかしながら、ICカードと同一形状のホルダを維持する機構によって読み取ることで、装置が大型になってしまう。さらに、ICカードリーダーライターのメンテンナンス性が悪い問題もある。小型ではないことや、構造が複雑になっているからである。
【0023】
また、磁気記憶領域しか備えていない決済用カードに対してもデュアルに対応することが難しい。
【0024】
また、ICカードを挿入して個人情報を読み出す際に、ICカードに不正や問題があってもこれに対応できない問題がある。問題があるICカードでも、そのまま挿入させてしまうからである。このような不正使用への対応ができていないことで、カードリーダーライターに不具合が生じた場合でも、対応が困難となる問題がある。
【0025】
特許文献3は、決済に用いられるカードが正当な者によって保有されているか否かの認証に用いられる認証情報が入力されるセキュア入力部及びセキュア入力部による入力に関連して、読取り部により読取られた媒体の認証に必要な認証情報のセキュア入力部による入力を可能とする表示を行うセキュア表示部を備えた耐タンパ性を有するセキュアな第2の情報処理部3は、決済アプリケーション及びその他の業務アプリケーションを実行する非セキュアな第1の情報処理部2と結合可能である決済端末装置を、開示する。
【0026】
特許文献3も、特許文献1、2と同様に、ICチップおよび磁気記憶領域の両方にデュアルに対応することができにくい問題がある。加えて、装置の小型化や単純化ができず、メンテナンス性が悪い問題も生じる。
【0027】
従来技術においては、以上のような問題があった。
【0028】
また、上述したように流通しているクレジットカードのような決済用カードは、磁気記憶領域のみ、ICチップのみ、これら両方を備えるいくつかのパターンがある。既存に流通しているカードリーダーは、人力で磁気部分をスワイプさせる磁気記憶領域の読み出しデバイスと、ICチップを含む領域までクレジットカードの一部を挿し込む挿し込みデバイスとを備えていることが多い。
【0029】
この場合には、決済用カードの一度の取り込みで磁気記憶領域とICチップとを読み出すことができない問題がある。また、利用者や支払処理する店舗側担当者が、いずれを用いればよいかに迷うことが生じて、支払処理に時間が掛かったり、二重支払いなどのエラーに繋がったりすることもある。例えば、最初にICチップの読み出しのために挿し込みデバイスを使用して支払処理が完了できず、改めて磁気記憶領域の読み出しデバイスを使いなおすことがある。この場合には、利用者は二重支払いになっているのではないかとの不安を持つこともある。
【0030】
あるいは、読み出しデバイスや差し込みデバイスにカードをスワイプさせたり挿し込んだりするのは、人力で行うことになる。このため、人力作業のばらつきや不具合で、これらのデバイスが破損したり故障したりすることにつながる問題もある。これらのデバイスが故障すれば、リーダーライター自体がダメになってしまう。
【0031】
このように従来技術は上述のような問題を有していた。
【0032】
以上の課題に鑑み、ICチップと磁気記憶領域を一度の取り込みで読み出し可能であり、小型化とメンテナンス性に優れたカードリーダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記課題に鑑み、本発明のカードリーダーは、決済用カードの挿入と排出の出入り口となる挿入口を備えるフロントユニットと、
フロントユニットに接続されて、挿入口から挿入された決済用カードから個人情報を読み出す読み出し手段を備える本体ユニットと、を備え、
フロントユニットは、
挿入口において、決済用カードの挿入を受け付ける/受け付けないシャッターを有し、
シャッターが閉じている場合には、決済用カードは挿入されず、シャッターが開いている場合には、決済用カードは挿入され、
本体ユニットは、
シャッターを開閉する開閉デバイスと、
開閉デバイスの開閉制御を行う開閉制御部と、を有し、
開閉制御部から解除信号を受けた開閉デバイスは、シャッターを開け、
開閉制御部から閉鎖信号を受けた開閉デバイスは、シャッターを閉じ、
開閉デバイスは、電気信号に基づいて動作して、シャッターの開閉を物理的に行い、
読み出し手段は、決済用カードに備わるICチップおよび磁気記憶領域の両方に対応可能であり、
挿入口とシャッターを備えたフロントユニットはシャッターの開閉を切り替えるロック部材をさらに備え、
開閉制御部を備えた本体ユニットに備えられた開閉デバイスは、ソレノイドを備え、
フロントユニットと本体ユニットとは、分離可能であり、
ロック部材は第1方向に移動すると、シャッターを開け、ロック部材は第1 方向と異なる第2方向に移動すると、シャッターを閉じ、
開閉デバイスは、ロック部材を第1方向および第2方向に移動させ、
ソレノイドは、通電によってプランジャーを射出もしくは引き戻しをさせて、
プランジャーは、射出もしくは引き戻しによって、ロック部材を第1方向もしくは第2方向に移動させ、
開閉制御部は、ソレノイドに、解除信号および閉鎖信号を出力し、
解除信号および閉鎖信号を送信する、開閉制御部およびソレノイドを接続する電気配線は、本体ユニット内部に格納され、
プランジャーは、シャッターと略平行に位置して射出と引き戻しを行い、
プランジャーは、プランジャーと交差する方向にアクチュエーターを有し、
アクチュエーターは、ロック部材を動作可能に連結し、
プランジャーの射出もしくは引き戻しに対応して、アクチュエーターは、ロック部材を第1方向もしくは第2方向に移動させ、
アクチュエーターの移動範囲を制限する動作範囲部材をさらに備え、
挿入口の下には、電子部品および電気配線が配置されない。
【発明の効果】
【0034】
本発明のカードリーダーは、ICチップと磁気記憶領域のいずれをも一度の取り込み処理で読み出す処理を行える。決済用カードが、ICチップと磁気記憶領域の両方を備えている場合でも、いずれか片方しか備えていない場合でも、一度の取り込み処理で、いずれかから支払処理に必要となる個人情報を読み出すことができる。このため、二重の作業の手間を省き、二重決済などの心配をなくすことができる。
【0035】
また、カードリーダーを、決済用カードの挿入を行わせるフロントユニットと、実際に挿入された決済用カードからの個人情報の読み取り処理を行う本体ユニットとに分けていることで、メンテナンス性が高まる。また、フロントユニットは、決済用カードが適切なものであるかを判断して本体ユニットに挿入させる。このとき、物理的に決済用カードを挿入可能とするか挿入不可能とするシャッターを開閉するデバイスは、本体ユニットに備わる。このため、フロントユニットと本体ユニットとの区分けが適切に行われる。
【0036】
また、開閉するデバイスが本体ユニットに備わることで、本体ユニットとフロントユニットとの間をまたぐ配線を生じさせずに済む。これにより、メンテナンスの際にそれぞれのユニットを簡単に分離出来て、故障対応などが容易となる。
【0037】
また、開閉するデバイスが本体ユニットの中に入ることで、カードリーダー全体の重量負担のバランスや電磁界ノイズの低減なども可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1におけるフロントユニットと本体ユニットとを分解した斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態1におけるフロントユニットの背面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの内部を見えるようにした斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態1における開閉デバイスによるロック部材の解除を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態1における開閉デバイスによるロック部材の閉鎖を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態2におけるカードリーダーの内部を見えるようにした平面図である。
【
図10】本発明の実施の形態2におけるカードリーダーの側面図である。
【
図11】本発明の実施の形態2におけるカードリーダーの斜視図である。
【
図12】本発明の実施の形態2における決済用カードを挿入口21に挿入する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の第1の発明に係るカードリーダーは、決済用カードの挿入と排出の出入り口となる挿入口を備えるフロントユニットと、
フロントユニットに接続されて、挿入口から挿入された決済用カードから個人情報を読み出す読み出し手段を備える本体ユニットと、を備え、
フロントユニットは、
挿入口において、決済用カードの挿入を受け付ける/受け付けないシャッターを有し、
シャッターが閉じている場合には、決済用カードは挿入されず、シャッターが開いている場合には、決済用カードは挿入され、
本体ユニットは、
シャッターを開閉する開閉デバイスと、
開閉デバイスの開閉制御を行う開閉制御部と、を有し、
開閉制御部から解除信号を受けた開閉デバイスは、シャッターを開け、開閉制御部から閉鎖信号を受けた開閉デバイスは、シャッターを閉じ、
開閉デバイスは、電気信号に基づいて動作して、シャッターの開閉を物理的に行い、
読み出し手段は、決済用カードに備わるICチップおよび磁気記憶領域の両方に対応可能である。
【0040】
この構成により、カードリーダーは、ICチップと磁気記憶領域の両方に対応した読み出しを可能としつつ、フロントユニットと本体ユニットを用意に分離分解できる。結果として、メンテナンス性を向上させることができる。
【0041】
本発明の第2の発明に係るカードリーダーでは、第1の発明に加えて、決済用カードは、ICチップおよび磁気記憶領域の少なくとも一方を備え、ICチップおよび磁気記憶領域は、決済用カードによる支払処理に必要な個人情報を記憶する。
【0042】
この構成により、カードリーダーは、ICチップおよび磁気記憶領域のいずれでも、決済に必要となる個人情報を読み出すことができる。
【0043】
本発明の第3の発明に係るカードリーダーでは、第1または第2の発明に加えて、フロントユニットと本体ユニットとは、分離可能である。
【0044】
この構成により、カードリーダーのメンテナンス性が高まる。
【0045】
本発明の第4の発明に係るカードリーダーでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、フロントユニットは、シャッターの開閉を切り替えるロック部材をさらに備え、
ロック部材は第1方向に移動すると、シャッターを開け、ロック部材は第1方向と異なる第2方向に移動すると、シャッターを閉じる。
【0046】
この構成により、ロック部材の移動に基づいて、シャッターの開閉を実現できる。
【0047】
本発明の第5の発明に係るカードリーダーでは、第4の発明に加えて、開閉デバイスは、ロック部材を第1方向および第2方向に移動させる。
【0048】
この構成により、ロック部材の移動方向の違いによって、シャッターの開閉を切り替えることができる。
【0049】
本発明の第6の発明に係るカードリーダーでは、第5の発明に加えて、開閉デバイスは、ソレノイドを備え、
ソレノイドは、通電によってプランジャーを射出もしくは引き戻しをさせて、
プランジャーは、射出もしくは引き戻しによって、ロック部材を第1方向もしくは第2方向に移動させる。
【0050】
この構成により、解除信号や閉鎖信号を基にした電気信号のみで、ソレノイドを動作させることができる。このソレノイド動作によるプランジャーが、ロック部材を解除、閉鎖として切り替えることができ、フロントユニットにおいては、機械的動作だけで、シャッターの開閉を切り替えることができる。
【0051】
本発明の第7の発明に係るカードリーダーでは、第6の発明に加えて、開閉制御部は、ソレノイドに、解除信号および閉鎖信号を出力する。
【0052】
この構成により、ソレノイドにおけるプランジャーの射出と引き戻しを切り替えることができる。結果として、シャッターの開閉を実現できる。
【0053】
本発明の第8の発明に係るカードリーダーでは、第7の発明に加えて、解除信号および閉鎖信号を送信する、開閉制御部およびソレノイドを接続する電気配線は、本体ユニット内部に格納される。
【0054】
この構成により、配線が、フロントユニットと本体ユニットとをまたぐことがない。
【0055】
本発明の第9の発明に係るカードリーダーでは、第6の発明に加えて、プランジャーは、シャッターと略平行に位置して射出と引き戻しを行い、
プランジャーは、プランジャーと交差する方向にアクチュエーターを有し、
アクチュエーターは、ロック部材を動作可能に連結し、
プランジャーの射出もしくは引き戻しに対応して、アクチュエーターは、ロック部材を第1方向もしくは第2方向に移動させる。
【0056】
この構成により、ソレノイドなどがコンパクトに本体ユニットに格納される。また、アクチュエーターがプランジャーの動作をロック部材に与えることができ、ロック部材の解除と閉鎖を切り替えることができる。
【0057】
本発明の第10の発明に係るカードリーダーでは、第9の発明に加えて、アクチュエーターの移動範囲を制限する動作範囲部材をさらに備える。
【0058】
この構成により、ソレノイドの個体差にかかわらず、アクチュエーターの移動範囲を制限できる。これにより、ロック部材の解除と閉鎖における誤動作を防止できる。
【0059】
本発明の第11の発明に係るカードリーダーでは、第4の発明に加えて、挿入口は、決済用カードの規定幅に対応しており、
決済用カードの幅が規定幅未満である場合には、ロック部材は、ロック状態を維持する。
【0060】
この構成により、不適切や不正な決済用カードを、本体ユニットに挿入させることを防止できる。
【0061】
本発明の第12の発明に係るカードリーダーでは、第1から第11のいずれかの発明に加えて、挿入口の下には、電子部品および電気配線が配置されない。
【0062】
この構成により、決済用カードの挿入時に、汚れや水分による電気的悪影響を生じさせることを防止できる。
【0063】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0064】
(実施の形態1)
【0065】
(全体概要)
図1、
図2は、本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの斜視図である。
図1と
図2のそれぞれは、逆方向から見たカードリーダー1の斜視図を示している。
図1、
図2のそれぞれは、カードリーダー1において、外部ケースを外した全体の状態を示している。後述するように、カードリーダー1は、フロントユニット2と本体ユニット3とを備える。
図1、
図2では、このフロントユニット2と本体ユニット3との連結した状態を示している。
【0066】
図1、
図2に示されるように、カードリーダー1は、決済用カードの排出と出入り口となる挿入口21を備えるフロントユニット2を備える。また、フロントユニット2に接続(連結)されて、挿入口21から挿入された決済用カードから、個人情報を読み出す読み出し手段33を備える本体ユニット3も備える。
【0067】
すなわち、カードリーダー1は、フロントユニット2と本体ユニット3の二つの要素を備える。
【0068】
決済用カードは、クレジットカード、デビットカード、キャッシュカード、支払専用カードなどの、電子的な決済を行うデバイスである。様々な形態で普及している決済に用いられる決済用カードである。現在では、多くの消費者にとって普及しており、多くの店舗やその他の支払の必要な機関において、使用が可能となっている決済用カードである。
【0069】
図4は、本発明の決済用カードの模式図である。上述のようなクレジットカードやデビッドカードなどである。決済用カード100は、ICチップ101および磁気記憶領域102の少なくとも一方を備える。近年の決済用カード100は、個人情報保護やなりすまし防止などのセキュリティ向上のために、ICチップ101を備えることが多くなってきている。このため、決済用カード100によっては、このICチップ101のみが備わっていることがある。
【0070】
一方で、過去においては、クレジットカードなどにおいては磁気記憶領域102のみしか備わっていないものものある。セキュリティ強化のために、このような磁気記憶領域102のみの決済用カード100は減ってきているが、残っているのも事実である。このため、磁気記憶領域102のみを備える決済用カード100も、まだ使用されている。
【0071】
また、ICチップ101を備える決済用カード100は、過去の流れや、決済を実行する装置が磁気記憶領域102からの読み出しにしか対応していない場合もあることで、磁気記憶領域102も合わせて備わっていることもある。
【0072】
このため、決済用カード100は、ICチップ101と磁気記憶領域102の両方を備えることもある。これらICチップ101と磁気記憶領域102は、決済用カード100による支払処理に必要な個人情報を記憶している。例えば、個人氏名、識別番号、暗証番号(PINコードなど)といった情報を記憶する。このような個人情報を記憶しているICチップ101と磁気記憶領域102の少なくとも一方を備える決済用カード100により、カードリーダー1は、決済に必要な個人情報の読み出しを行える。
【0073】
本体ユニット3の読み出し手段33は、この決済用カードが本体部3の所定位置まで到達することで、このICチップ101および磁気記憶領域102の少なくとも一方から、決済に必要となる個人情報を読み出す。
【0074】
ここで、カードリーダー1は、決済用カード100をすべて挿入させるので、ICチップ101および磁気記憶領域102のいずれも読み出すことが可能である。このように、実施の形態1におけるカードリーダー1は、ICチップ101もしくは磁気記憶領域102のいずれからも決済に必要な個人情報を読み出すことができる。
【0075】
フロントユニット2は、このような決済用カード100の挿入を行わせる。このとき、カードリーダー1で読み出したり(あるいは、最終的に決済を行ったり)することに対して不適切なカードが挿入口21に挿入されようとすることがある。決済の規格に準拠しないカードであったり、偽造カードであったりなどである。
【0076】
このため、フロントユニット2は、このような不適切なカードを本体ユニット3に到達さないようにすることが求められる。すなわち、挿入口21から内部(本体ユニット3)に向けての挿入を行わせないようにする必要がある。
【0077】
このため、フロントユニット2は、挿入口21から挿入された決済用カード100の挿入を受け入れる/受け入れないことを切り替えるシャッター22を備える。シャッター22は、開閉が可能であり、開くことで決済用カード100を本体ユニット3に挿入させることができる。逆に、閉じていることで、決済用カード100を本体ユニット3に挿入させないようにできる。
【0078】
ここで、フロントユニット2と本体ユニット3とは、
図3のように分解可能に分離した要素同士であり、カードリーダー1として使用される場合には、接続(連結)されている。このため、決済用カード100は、フロントユニット2から挿入されて、挿入が受け入れられれば、決済用カード100は本体ユニット3に到達する。挿入が受け入れらなければ、決済用カード100は、本体ユニット3に入ることもない。
【0079】
図3は、本発明の実施の形態1におけるフロントユニットと本体ユニットとを分解した斜視図である。
【0080】
また、
図5のように、フロントユニット2が、シャッター22を備えている。
【0081】
図5は、本発明の実施の形態1におけるフロントユニットの背面図である。フロントユニット2と本体ユニット3との接触部分となる側を示している。シャッター22は、フロントユニット2に備わっている。このため、シャッター22が閉じている限り、決済用カード100はフロントユニット2でとどまった状態である。
【0082】
フロントユニット2と本体ユニット3とが、分離した要素であることで、挿入を受け付けるべきでない決済用カード100が、読み取り動作などを行う本体ユニット3に到達することがない。このため、不適切や不正なカードが、本体ユニット3に到達することで、本体ユニット3に悪影響を与えずに済む。このように、フロントユニット2と本体ユニット3とが分離して、決済用カード100の受け入れを切り替えるシャッター22がフロントユニット2に備わっていることで、不適切あるいは不正な決済用カード100が本体ユニット3に到達することがない。
【0083】
この結果、本体ユニット3での誤動作が生じにくく、本体ユニット3での電子的な故障の原因を生じさせずに済む。特に、本体ユニット3に備わる読み出し手段33は、電子的な処理で読み出しを実行する。このため、不適切あるいは不正な決済用カード100が本体部3に到達してしまうと、読み出し手段33に悪影響を及ぼす可能性がある。あるいは、不正なデータを読み出すことで、カードリーダー1を起点とする決済システム全体に悪影響が生じる可能性がある。フロントユニット2と本体ユニット3とが分離した要素であり、シャッター22がフロントユニット2に設けられ、フロントユニット2には、読み出しなどの決済用カード100に係る処理を実行する要素や、決済システムにつながる処理を行う要素が含まれていないことで、このような問題を生じさせない。
【0084】
図5のシャッター22は、通常は閉じている。シャッター22が閉じていることで、挿入口21から挿入された決済用カード100は、その時点では挿入されない。シャッター22が閉じている場合には、決済用カード100は挿入されず、シャッター22が開いている場合には、決済用カード100が挿入される。
【0085】
本体ユニット3は、シャッター22を開閉する開閉デバイス31と、開閉デバイス31の開閉制御を行う開閉制御部32を備える。開閉制御部32は、本体ユニット3に備わるマイクロプロセッサなどが、その役割を担えばよい。このため、
図1などでは、開閉制御部32を明示的に示していない。マイクロプロセッサや電子部品などによるハードウェアとソフトウェアの動作によって、開閉制御部32の動作が行われればよい。
【0086】
開閉制御部32は、種々の条件などを基準として、挿入口21に挿入された決済用カード100を挿入してよいかを決定する。この決定は、結局は、シャッター22の開閉の決定である。このため、開閉制御部32は、開閉デバイス31に対して、解除信号および閉鎖信号のいずれかを出力する。この解除信号と閉鎖信号とは、挿入口21に挿入された決済用カード100が条件を満たしている(適切なものである)のかどうかの判定によって、出力される。
【0087】
開閉制御部32から解除信号を受けた開閉デバイス31は、シャッター22を開ける。開閉デバイス31は、シャッター22の開閉動作を実行できるからである。シャッター22が開けられれば、挿入口21に挿入された決済用カード100は、本体ユニット3に取り込まれる。
【0088】
一方、開閉制御部32から閉鎖信号を受けた開閉デバイス31は、シャッター22を閉じる。この閉じるとは、開いていたシャッター22を閉じるという意味と、閉じているシャッター22を閉じたままにするとの両方の意味を有する。
【0089】
シャッター22が閉じていることで、挿入口21に決済用カード100が挿入されても、決済用カード100はそれ以上進めない。すなわち、決済用カード100は、本体ユニット3に到達しない。
【0090】
ここで、開閉デバイス31は、開閉制御部32からの電気信号(解除信号と閉鎖信号)に基づいて動作して、シャッター22の開閉を物理的に行う。物理的に行うことで、シャッター22は、物理的に開いたり閉じたりできる。結果として、挿入口21に挿入された決済用カード100は、実際に本体ユニット3に挿入されていく。
【0091】
なお、本体部3は、決済用カード100を内部に送り込む(あるいは外部に排出する)カード駆動機構を備えている。シャッター22を超えて本体ユニット3に到達した決済用カード100は、このカード駆動機構によって自動的に本体部3の内部に送り込まれる。逆に、読み出しが終了したり他の必要が生じたりした場合に応じて、カード駆動機構は、本体ユニット3内部の決済用カード100を、外部に排出する。
【0092】
また、本体ユニット3は、読み出し手段33を備える。読み出し手段33は、決済用カード100のICチップ101に対応する電子接点をもって接触したり、磁気記憶領域102に対応する磁気ヘッドなどで接触したりして、これらから読み出しを行う要素を備える。また、読み出したデータから実際に個人情報として変換処理するなどの処理を行うプロセッサなども含む。これらの要素が合わさって、読み出し手段33は、決済用カード100に備わるICチップ101および磁気記憶領域102の両方に対応して、個人情報を読み出すことができる。
【0093】
このように、カードリーダー1は、ICチップ101および磁気記憶領域102のいずれにも対応して、決済に必要となる個人情報の読み出しが可能となる。なお、
図1などでは、読み出し手段33は、対応する要素に明確に対応して符号を付していない。概念的に対応する要素に符号を付している。
【0094】
カードリーダー1は、この決済用カード100での実際の決済を行う決済システムの入り口に使用される。
【0095】
以下、各部の詳細やバリエーションなどについて説明する。
【0096】
(フロントユニットと本体ユニット)
上述したように、カードリーダー1は、フロントユニット2と本体ユニット3とから構成される(もちろん、必要に応じてこれら以外の要素を含んでよい)。ここで、
図1などに示されるように、実際のカードリーダー1として使用される場合には、フロントユニット2と本体ユニット3とは接続された状態である。
【0097】
しかしながら、必要に応じて、フロントユニット2と本体ユニット3とは、分離可能であることも好ましい。例えば、カードリーダー1を分解修理したり、不具合が生じたりしたときに、内部に残ってしまった決済用カード100を取り出す場合などにおいて、フロントユニット2と本体ユニット3とが分離可能であることが好ましい。
【0098】
ここで、シャッター22などの物理的な開閉によって決済用カード100の挿入を行わせる物理的な要素は、フロントユニット2に備わる。一方、シャッター22の開閉を制御する処理機能や機構は、本体ユニット3に備わる。本体ユニット3は、これら以外にも、読み出し手段33やこれに必要となる電子部品や電子基板が備わっている。
【0099】
すなわち、フロントユニット2には、シャッター開閉に係る物理要素は備わっているが、これに係る電子要素やこれ以外の電子要素は備わっていない。このため、シャッター開閉に係る電子要素が、本体ユニット3とフロントユニット2との間にまたがって備わることはない。例えば、開閉制御部32から開閉デバイス31に出力する解除信号や閉鎖信号の出力に係る配線は、本体ユニット3にとどまっている。本体ユニット3とフロントユニット2とにまたがって配線されていない。
【0100】
また、決済用カード100の挿入を受け付ける/受け付けないことを処理するシャッター22や挿入口21などの物理的な要素は、フロントユニット2に備わっている。一方、このシャッターの開閉を制御する物理的な機構と電子要素は、本体ユニット3に備わっている。すなわち、開閉デバイス31を基準として、フロントユニット2と本体ユニット3とが分離可能となる。
【0101】
このように分離可能であることで、不具合対応や修理にも容易に対応できるメリットがある。
【0102】
(ロック部材)
【0103】
フロントユニット2は、シャッター22の開閉を切り替えるロック部材23をさらに備える。
図5には、このロック部材23が示されている。
【0104】
ロック部材23が第1方向に移動すると、シャッター22を開く。逆にロック部材23が第2方向に移動すると、シャッター22が閉じる。第1方向と第2方向とは異なる方向である。ロック部材23の移動方向によって、シャッター22の開閉が切り替えられる。
【0105】
なお、通常状態においては、ロック部材23は第2方向側に移動しており、シャッター22が閉じられている。挿入口21に決済用カード100が挿入されて、開閉制御部32において開閉の判断がなされてから、ロック部材23が第1方向に移動する場合に、シャッター22が開く。
【0106】
開閉デバイス31は、開閉制御部32からの信号に基づいて、ロック部材23を第1方向あるいは第2方向に移動させる。この移動によって、シャッター22が、開いたり閉じたりする。
【0107】
図6は、本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの内部を見えるようにした斜視図である。
図6は、本体ユニット3の内部の一部が見える状態として示している。本体ユニット3には、上述した通り、開閉デバイス31が備わっている。開閉デバイス31は、その駆動機能を、ロック部材23に与えることができる。駆動要素を、ロック部材23に連結や接触させることができるので、駆動機能を、付与することができる。
【0108】
図7は、本発明の実施の形態1における開閉デバイスによるロック部材の解除を示す斜視図である。カードリーダー1における、ロック部材23の解除を示すのに必要な要素を示している。ここで、開閉デバイス31は、ロック部材23を、第1方向および第2方向に移動させることができる。
【0109】
図7においては、開閉制御部32から解除信号を開閉デバイス31が受けた状態を示している。開閉デバイス31は、ロック部材23を第1方向に移動させる。
図7において、矢印Aが、第1方向を示している。例えば、開閉デバイスが、移動機構を有しており、この移動機構が、ロック部材23を、第1方向に移動させる。この移動によって、ロック部材23によるシャッター22のロックが外れた状態となる。
【0110】
ロック部材23が第1方向に移動することで、ロックが解除される。ロックが解除されると、シャッター22が、
図7の矢印Y方向に回転して、シャッター22が開く。これは、挿入口21に決済用カード100が挿入されている場合であるので、シャッター22が開いて、決済用カード100がそのまま本体ユニット3に挿入されていく。
【0111】
このように、本体ユニット3に備わる開閉デバイス31の動作が、フロントユニット2に備わるロック部材23およびシャッター22を制御できる。このとき、
図7に示されるように、開閉デバイス31とロック部材23とが物理的に接着や接続されているものではなく、駆動可能に接触するだけである。このため、フロントユニット2と本体ユニット3との分離に影響がない。また、電気配線などがフロントユニット2と本体ユニット3とをまたぐことがないので、分離に影響がない。分離可能となることで、メンテナンス性が高まる効果がある。
【0112】
図8は、本発明の実施の形態1における開閉デバイスによるロック部材の閉鎖を示す斜視図である。カードリーダー1における、ロック部材23の閉鎖を示すのに必要な要素を示している。
【0113】
図8においては、開閉制御部32から閉鎖信号を開閉デバイス31が受けた状態を示している。開閉デバイス31は、ロック部材23を第2方向に移動させる。
図8において、矢印Bが、第2方向を示している。例えば、開閉デバイスが、移動機構を有しており、この移動機構が、ロック部材23を、第2方向に移動させる。この移動によって、ロック部材23により、シャッター22が閉じた状態となる。
【0114】
ロック部材23が第2方向に移動することで、ロックが閉鎖される。ロックが閉鎖されると、シャッター22が、
図8の矢印Z方向に回転して、シャッター22が閉じる。これは、挿入口21に決済用カード100が挿入されている場合であれば、例えば、本体ユニット3において決済用カード100が不適切あるいは不正なものであるとして、受け付け不可とした場合には、ロック部材23が閉鎖される。これは、開閉制御部32から閉鎖信号が出力されて、開閉デバイス31が、ロック部材23を第2方向に移動させることで実現される。
【0115】
あるいは、決済用カード100の読み出しが終わって排出された後であったり、決済用カード100が挿入されていない状態だったりすると、やはり開閉デバイス31は、ロック部材23を第2方向に移動させる。あるいは第2方向に移動させた状態を維持する。これにより、シャッター22は、閉じたままとなる。
【0116】
このように、開閉デバイス31がロック部材23を介して、シャッター22の開閉を行わせることができる。このとき、挿入口21に挿入された決済用カードの適性を識別したうえで行われるので、決済を行うことを適切に行える。
【0117】
以上のように、実施の形態1におけるカードリーダー1は、フロントユニット2と本体ユニット3との役割を適切に分割できる。加えて、備える部品や配線などの要素も分割できる。結果として、フロントユニット2と本体ユニット3とを分離可能とできる。結果として、カードリーダー1のメンテナンス性を上げることができる。
【0118】
(実施の形態2)
【0119】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、各種のバリエーションなどについて説明する。
【0120】
(開閉デバイス)
図7、
図8では、開閉デバイス31がロック部材23を移動させることで、シャッター22の開閉を制御することを示している。ここで、
図7、
図8に示されるように、開閉デバイス31は、ソレノイド35を備える構成でもよい。
【0121】
ソレノイド35は、プランジャー36を備える。ソレノイド35には、電流が通電される。この通電により、ソレノイド35は、プランジャー36を射出もしくは引き戻すことができる。例えば、通電するとソレノイド35は、プランジャー36を引き戻して、通電がなくなると弾性体の力によって、ソレノイド35は、プランジャー36を射出する。もちろん、プランジャーの射出と引き戻しの関係は、通電との対応関係が逆でもよい。これは、ソレノイドの構造で決められれば良い。
【0122】
いずれにしても、開閉デバイス31は、ソレノイド35を備える構成でもよい。ソレノイド35によるプランジャー36の射出あるいは引き戻しによって、ロック部材23を、第1方向あるいは第2方向に移動させることができる。
【0123】
ここで、開閉制御部32は、このソレノイド35に対して既述した解除信号および閉鎖信号を出力する。例えば、通電があると、ソレノイド35は、プランジャー36を引き戻し、通電がないと、ソレノイド35はプランジャー36を射出するという構成であるとする。
【0124】
ここで、プランジャー36には、プランジャー36の移動方向と交差する方向にアクチュエーター37を備える。このアクチュエーター37は、プランジャー36の射出および引き戻しの移動に合わせて、移動する。
【0125】
(解除信号:
図7)
開閉制御部32は、シャッター22を開けるために、開閉デバイス31に備わるソレノイド35に解除信号を出力する。この解除信号は、解除を行わせるための電流信号であると考えればよい。この解除信号を受けたソレノイド35は、プランジャー36を引き戻す。
【0126】
このプランジャー36の引き戻しに合わせて、
図7のように、アクチュエーター37もソレノイド35本体側に引き戻される。すなわち、アクチュエーター37は、第1方向に移動する。アクチュエーター37は、シャッター部材23を動かすように連結している。この連結によって、アクチュエーター37が第1方向に移動することで、シャッター部材23も第1方向に移動する。
【0127】
このシャッター部材23が、第1方向に移動することで、シャッター22が開くことになる。
【0128】
このため、解除信号は、ソレノイド35を通電させる電流信号であればよい。このような電流信号が、解除信号としてソレノイド35に供給されれば、プランジャー36が引き戻されて、アクチュエーター37がシャッター部材23を第1方向に移動させる。第1方向の移動によって、結果的にシャッター22を開けることができる。
【0129】
(閉鎖信号:
図8)
開閉制御部32は、シャッター22を閉じるために、開閉デバイス31に備わるソレノイド35に閉鎖信号を出力する。このとき、閉鎖信号の目的は、プランジャーの射出である。このため、解除信号のようにアクティブさせる電流信号がない状態とすればよい。これにより、電流信号が、ソレノイド35に加わらないので、弾性体によって、プランジャー36は射出される状態となる。
【0130】
ソレノイド35において、プランジャー36は、非通電状態では、弾性体によって射出状態となっており、通電状態では引き戻される状態となるように、構成されているからである(逆であれば、上述までの説明を、逆として把握すればよい)。
【0131】
この射出によって、プランジャー36に連結されるアクチュエーター37は、
図8に示されるように第2方向に移動する。第2方向への移動によって、ロック部材23も、第2方向に移動する。ロック部材23が第2方向に移動することで、シャッター22は閉じる。
【0132】
このようにして、閉鎖信号が出力される(解除信号が出力されないと把握されてもよい)と、プランジャー36が射出されて、結果的にロック部材23が第2方向に移動する。第2方向に移動して、シャッター22が閉じる。
【0133】
図9は、本発明の実施の形態2におけるカードリーダーの内部を見えるようにした平面図である。上述したソレノイド35などの位置関係が分かるように示している。
【0134】
電気信号で動作するソレノイド35は、本体ユニット3内部に格納されている。また、ソレノイド35を動作させるための電気信号の配線も、本体ユニット3内部に格納されている。ソレノイド35の動作を、最終的にシャッター22に付与する機械的要素は、アクチュエーター37のみが、本体ユニット3からフロントユニット2に突出する。これらの結果、フロントユニット2と本体ユニット3とを、容易に分離できる。分離の際には、配線の排除なども不要であるし、アクチュエーター37は、本体ユニット3に残るだけなので、これの分解や取り外しも不要である。この点でも、フロントユニット2と本体ユニット3との分離を、容易かつ確実に行える。
【0135】
ここで、
図9に示されるように、ソレノイド35は、シャッター22と略平行に配置される。すなわち、ソレノイド35に備わるプランジャー36も、シャッター22と略平行に配置される。プランジャー36が、シャッター22と平行に配置されることで、最終的にシャッター22を開閉させる機構が、本体ユニット3において、コンパクトに収まる。
【0136】
このため、ロック部材23を動作させるために、アクチュエーター37は、プランジャー36と交差する方向に設けられる。例えば、プランジャー36と略垂直の方向に設けられる。この配置関係により、プランジャー36の移動によって、アクチュエーター37は、ロック部材23を、第1方向あるいは第2方向に移動させることができる。
【0137】
このように、開閉デバイス31として、ソレノイド35が用いられることで、ソレノイド35の動作に必要となる電気的要素を本体ユニット3にのみ格納し、機械的要素を、本体ユニット3からフロントユニット2に、突出させてロック部材23を動作させることができる。これにより、フロントユニット2と本体ユニット3とを、分離可能にできる。
【0138】
また、ソレノイド35すなわちプランジャー36を、シャッター22と略平行の配置関係にすることで、ロック部材23を、アクチュエーター37を介して、容易かつ確実に動作させることができる。加えて、上述の通り、本体ユニット3内部の要素をコンパクトに配置できる。
【0139】
(動作範囲部材)
図10は、本発明の実施の形態2におけるカードリーダーの側面図である。内部の状態が分かるようにして、側面から見た状態を、
図10は、示している。このため、
図8などのようにソレノイド35およびプランジャー36を上から見た状態ではなく、横から見た状態としている。このため、プランジャー36射出方向を正面から見ている状態である。
【0140】
ここで、カードリーダー1は、アクチュエーター37の移動範囲を制限する動作範囲部材38をさらに備える。
図10で、アクチュエーター37の動作部分を囲っている要素が、この動作範囲部材38である。
【0141】
図11は、本発明の実施の形態2におけるカードリーダーの斜視図である。
図11は、カードリーダー1の内部構造が見えるように示している。この
図11に、動作範囲部材38を示している。
【0142】
動作範囲部材38は、アクチュエーター37の移動範囲を制限している。アクチュエーター37の移動範囲は、ソレノイド35のプランジャー36の射出距離によって定まる。しかしながら、ソレノイド35の個体差や動作環境によって、プランジャー36の射出距離に変化が出る可能性がある。
【0143】
このため、移動範囲を制限する動作範囲部材38が備わることで、アクチュエーター37の動作範囲が、確実に制限できる。この制限は、アクチュエーター37が、ロック部材23を移動させる範囲を制限することになる。これにより、ソレノイド35からアクチュエーター37がロック部材23を第1方向あるいは第2方向に移動させることを、確実に行わせることができる。
【0144】
(挿入口)
図12は、本発明の実施の形態2における決済用カードを挿入口21に挿入する状態を示す模式図である。
【0145】
挿入口21は、決済用カード100の規定幅に対応している。決済用カード100の幅が、規定幅以上である場合には、挿入口21が、そもそも決済用カード100の挿入を受け付けない。このため、不適切な決済用カード100による決済エラーを生じさせない。
【0146】
ここで、挿入口21においては、挿入された決済用カード100の幅が規定幅に対応しているかを識別するセンサーが備わっている。例えば、光学センサーなどが備わっており、この光学センサーによって、挿入された決済用カード100の幅を識別する。
【0147】
この結果を受けて、開閉制御部32は、開閉デバイス31への解除信号もしくは閉鎖信号を出力する。例えば、決済用カード100の幅が規定幅未満の場合には、閉鎖信号を出力する。この閉鎖信号によって、ロック部材23は、ロック状態を維持できる。
【0148】
この結果、不適切あるいは不正な決済用カード100が、本体ユニット3に挿入されてしまうことを防止できる。すなわち、不正決済や決済システムの故障などを防止できる。
【0149】
(挿入口の下部)
【0150】
また、挿入口21の下部には、電子部品および電気配線が配置されないことも好適である。
【0151】
挿入口21からは決済用カード100が挿入される。このとき、決済用カード100は、様々な利用者によって挿入される。このため、決済用カード100に汚れが付着していたり水分が付着していたりすることもあり得る。このとき、挿入口21の下部に電子部品および電気配線が配置されていないことで、決済用カード100の挿入時に、これら汚れや水分が、挿入口21の下に落ちても、カードリーダー1への電気的悪影響が生じにくい。
【0152】
生じにくいことで、カードリーダー1のメンテンナンス負担が軽減されるし、決済システム全体での問題も生じさせにくい。結果として、カードリーダー1はもちろん、カードリーダー1を起点とする決済システムの信頼性を高めることができる。
【0153】
(本体ユニット)
本体ユニット3は、読み出し手段33を備えている。
【0154】
読み出し手段33は、ICチップ101や磁気記憶領域102から、個人情報を読み出す。電気的な接点や磁気ヘッドなどにより、記憶されている個人情報を読み出す。読み出した個人情報は、そのまま決済システムのサーバーなどに送信される。
【0155】
この送信を受けて、サーバーなどが、決済処理を実行する。これらの決済処理などについては、種々の方式により実行されればよい。ここでは、本発明に直接的な関連が低いので、説明を割愛する。ただし、本発明でのカードリーダー1から、この決済処理に接続することとなる。
【0156】
また、開閉制御部32は、挿入口21の識別結果を受けて解除信号および閉鎖信号を切り替えて出力すればよい。あるいは、挿入口21での識別結果と、他の検出機能とを合わせた結果から、解除信号および閉鎖信号を切り替えて出力すればよい。あるいは、本体ユニット3に備わる決済用カード100の識別機能に基づいて、解除信号と閉鎖信号とを切り替えて出力すればよい。
【0157】
なお、実施の形態1、2で説明したカードリーダーは、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲を排除するものではない。
【符号の説明】
【0158】
1 カードリーダー
2 フロントユニット
21 挿入口
22 シャッター
23 ロック部材
3 本体ユニット
31 開閉デバイス
32 開閉制御部
33 読み出し手段
35 ソレノイド
36 プランジャー
37 アクチュエーター
38 動作範囲部材
100 決済用カード