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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】敷き鉄板の連結治具
(51)【国際特許分類】
   E01C 9/08 20060101AFI20231218BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20231218BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
E01C9/08 Z
F16B5/06 E
F16B2/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020115926
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013398
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503116073
【氏名又は名称】鈴健興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150223
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 修三
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康修
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-178912(JP,A)
【文献】特開平10-131110(JP,A)
【文献】特開2002-212907(JP,A)
【文献】特開2019-49099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00-17/00
F16B 2/00-2/26
5/00-5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する複数の敷き鉄板を連結する敷き鉄板の連結治具において、
前記複数の敷き鉄板の下側に配置される下板と、該複数の敷き鉄板を押圧するように上側に配置される上板と、前記下板に対して該上板を回転可能に締結する締結部材と、を備え、
前記下板の敷き鉄板側の表面には、複数箇所に尖端部が設けられ、
前記上板の回転中心を挟んだ該上板の敷き鉄板側の複数の表面それぞれは、該上板の幅方向に沿って同一回転方向へ傾斜している傾斜部を有する
ことを特徴とする敷き鉄板の連結治具。
【請求項2】
請求項1において、
前記傾斜部は、前記上板の長さ方向において尖った刃部を備えることを特徴とする敷き鉄板の連結治具。
【請求項3】
請求項2において、
前記上板の回転中心から前記刃部までの距離は、該上板の回転中心からすべての前記尖端部までの距離とは異なることを特徴とする敷き鉄板の連結治具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記上板の回転中心を挟んだ前記上板の敷き鉄板側の表面それぞれの前記傾斜部は、更に、該上板の長さ方向に沿って該上板の厚みが変化するように傾斜していることを特徴とする敷き鉄板の連結治具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記傾斜部は、すべての前記尖端部に対峙可能とされていることを特徴とする敷き鉄板の連結治具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記複数箇所の尖端部はそれぞれ、前記上板の回転中心に対して4回対称となるように前記下板に設けられていることを特徴とする敷き鉄板の連結治具。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記複数箇所の尖端部はそれぞれ、前記下板の敷き鉄板側の表面からの突出量が調整可能とされていることを特徴とする敷き鉄板の連結治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷き鉄板の連結治具に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、作業現場の仮設道路、仮設資材置場、施工済の床等の表面には、これらを養生するために敷き鉄板を敷設することが広く行われている。ところが、養生しようとする表面が均一な状態でないことが多い。このため、単に複数の敷き鉄板を敷設しただけでは、隣り合う敷き鉄板の端部で段差が生じてしまい、かえって作業者や作業機械の通行の障害になったり、作業機械の通過により敷き鉄板の位置がずれて養生すべき表面を効果的に養生できなかったりする場合が生じている。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に示すような敷き鉄板の連結治具が提案されている。この敷き鉄板の連結治具は、隣接する2つの敷き鉄板を連結する連結治具であり、2つの敷き鉄板の下側に配置される下板と、2つの敷き鉄板の上側に配置される上板と、その上板と下板とを一体に固定する締結部材と、を備えている。更に、この連結治具は、上板の下面の両端近傍の部分に先端の尖ったボルトを備える。特許文献1では、このボルトを締め付けることで、ボルトの先端を2つの敷き鉄板に食い込ませ、しっかりと2つの敷き鉄板を連結させることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-178912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で示すような敷き鉄板の連結治具では、結局は如何に強い力でボルトを螺合させることで、敷き鉄板により深く食い込ませるかが大切となる。そういった意味では、電動インパクトドライバなどを用いて、ボルトを強力に螺合させることが必要となる。しかしながら、このような敷き鉄板の連結作業は、必ず土砂などが混じり、電気設備が十分にない作業現場で行うものであり、しかも、このような連結作業は、作業状況に応じて行うことも多い。更には、連結作業時に、ボルトの先端を直接的に敷き鉄板の表面に食い込ませるので、仮に電動インパクトドライバが使用できたとしても、しっかりと2つの敷き鉄板を連結させるために、作業者は相応の体力と相応の時間を費やすこととなる。つまり、特許文献1で示すような敷き鉄板の連結治具は、実際の作業現場では使い勝手があまりよくないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するべくなされたもので、簡単な構成で複数の敷き鉄板をしっかりと連結可能でありながら、実際の作業現場で使い勝手のよい敷き鉄板の連結治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、隣接する複数の敷き鉄板を連結する敷き鉄板の連結治具において、前記複数の敷き鉄板の下側に配置される下板と、該複数の敷き鉄板を押圧するように上側に配置される上板と、前記下板に対して該上板を回転可能に締結する締結部材と、を備え、前記下板の敷き鉄板側の表面には、複数箇所に尖端部が設けられ、前記上板の回転中心を挟んだ該上板の敷き鉄板側の複数の表面それぞれは、該上板の幅方向に沿って同一回転方向へ傾斜している傾斜部を有することにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
本発明では、締結部材により、上板が下板に回転可能に締結されている。そして、上板の回転中心を挟んだ上板の敷き鉄板側の複数の表面それぞれは、上板の幅方向に沿って同一回転方向へ傾斜している。このため、上板を回転させると、上板と下板との間にある敷き鉄板にその回転角度に応じて増大する押圧力をかけることができる。ここで、下板の敷き鉄板側の表面には、複数箇所に尖端部が設けられているので、上板を回転させることで、尖端部に敷き鉄板を食い込ませることができる。そして、上板を回転させるには、電動工具を使用する必要もなく、作業現場ではより身近なハンマーで上板の側面を叩くことで、実現することが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で複数の敷き鉄板をしっかりと連結可能でありながら、実際の作業現場で使い勝手のよい敷き鉄板の連結治具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る敷き鉄板の連結治具を示す側面図
図2図1の連結治具を示す上面図
図3図1の連結治具の下板の敷き鉄板側の表面を示す図
図4図1の連結治具の上板を示す図(敷き鉄板側の表面の図(A)、上板の幅方向の側面図(B)、上板の長さ方向の側面図(C))
図5図1の連結治具により隣接する2つの敷き鉄板を連結する手順を説明する図
図6図1の連結治具を用いて、4つの敷き鉄板を連結した様子を示す図
図7】本発明の第2実施形態に係る敷き鉄板の連結治具の上板を示す図(敷き鉄板側の表面の図(A)、上板の幅方向の側面図(B)、上板の長さ方向の側面図(C))
図8】本発明の第3実施形態に係る敷き鉄板の連結治具の上板を示す図(敷き鉄板側の表面の図(A)、上板の幅方向の側面図(B)、上板の長さ方向の側面図(C))
図9】本発明の第4実施形態に係る敷き鉄板の連結治具の上板を示す図(敷き鉄板側の表面の図(A)、上板の幅方向の側面図(B)、上板の長さ方向の側面図(C))
図10】本発明の第5実施形態に係る敷き鉄板の連結治具の上板を示す図(敷き鉄板側の表面の図(A)、上板の幅方向の側面図(B)、上板の長さ方向の側面図(C))
図11】本発明の第6実施形態に係る敷き鉄板の連結治具の上板を示す図(敷き鉄板側の表面の図(A)、上板の幅方向の側面図(B)、上板の長さ方向の側面図(C))
図12】本発明に係る敷き鉄板の連結治具を示す図(第1実施形態の図(A)、第7実施形態の図(B)、第8実施形態の図(C)、第9実施形態の図(D))
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図6を参照して、本発明の第1実施形態の一例を詳細に説明する。
【0012】
最初に、図1に基づいて、敷き鉄板IP1、IP2の連結治具100の概略構成について説明する。連結治具100は、隣接する複数(本実施形態では、2つ)の敷き鉄板IP1、IP2を連結する。連結治具100は、下板102と、上板104と、締結部材106と、を備える。下板102は、複数の敷き鉄板IP1、IP2の下側に配置される。上板104は、複数の敷き鉄板IP1、IP2を押圧するように上側に配置される。締結部材106は、下板102に対して上板104を回転可能に締結する。ここで、下板102の敷き鉄板側の表面(上面)には、複数箇所(本実施形態では、4箇所)に尖端部110が設けられている。そして、上板104の回転中心Oを挟んだ上板104の敷き鉄板側の複数の表面(2つの下面)それぞれは、上板104の幅方向に沿って同一回転方向へ傾斜している傾斜部112を有する。なお、下板102、上板104の厚みはともに、敷き鉄板IP1、IP2の厚み以上であってもよいし、敷き鉄板IP1、IP2の厚み未満であってもよい。例えば、敷き鉄板IP1、IP2の厚みが22mmであれば、下板102と上板104の厚みは、22mm以上でもよいし、22mm未満でもよい。なお、図1に示す白抜き矢印は、下板102に対する上板104の回転方向を示している(以降の図でも同様)。
【0013】
次に、各構成要素について、詳細に説明する。
【0014】
下板102は、図2図3に示す如く、例えば、鉄を主成分とした円形のベースプレートである(必ずしも円形でなく、方形でもよい)。下板102の中心には、図3に示す如く、締結部材106の取付孔102Aが設けられている。なお、下板102の中心は、上板104の回転中心Oと一致している。尖端部110は、回転中心Oから距離L1の位置において、回転中心O周りで90度毎に設けてある。即ち、複数箇所の尖端部110はそれぞれ、回転中心Oに対して4回対称となるように下板102に設けられている。複数箇所の尖端部110は、例えば、いもねじの先端部とされており、下板102に設けられた螺合孔へのいもねじの螺合状態を変更させることで、下板102の上面からの突出量が調整可能とされている。つまり、複数箇所の尖端部110はそれぞれ、下板102の敷き鉄板側の表面からの突出量が調整可能とされている。なお、尖端部110は、それを支えるいもねじと最初から一体に成形されてもよいが、例えば、炭化タングステンなどを主成分とする超硬合金とされ、後からいもねじにロウ付けされていてもよい。
【0015】
上板104は、図1図2図4(A)~(C)に示す如く、例えば、鉄を主成分としたほぼ直方体とされている。上板104の中央には、図4(A)に示す如く、締結部材106を回転可能に取り付けるための取付孔(締結部材106の脱落を防止する凹部Dp(図1参照)を含む)104Aが設けられている。この取付孔104Aの中心が上板104の回転中心Oである。上板104の下面には、図4(A)~(C)に示す如く、2つの傾斜部112が設けられている(例えば、傾斜部112の傾斜面の傾斜角度は、水平面から1度以上で10度未満であるが、それらの角度でなくてもよい)。2つの傾斜部112は、回転中心Oに対して、互いに位相が180度ずれている。更に、本実施形態では、傾斜部112は、更に、回転中心Oから離れるにしたがって、上板104の長さ方向に沿って上板104の厚みが一様に減少するように傾斜している。そして、2つの傾斜部112にはそれぞれ、上板104の幅方向に延在する刃部114が設けられている(刃部114は、上板104の長さ方向において尖っている形態を有する)。なお、刃部114は、傾斜部112の傾斜角に沿って一定量が突出している。即ち、刃部114の表面それぞれは、上板104の幅方向に沿って同一回転方向へ傾斜している傾斜部ともされている。本実施形態では、刃部114が、上板104の下面の平坦な部分にも、傾斜部112の部分から連続して設けられている。なお、回転中心Oから刃部114までの距離L2は、距離L1よりも短くされている。刃部114は、例えば、炭化タングステンなどを主成分とする超硬合金とされ、上板104の下面に座を設けてそこにロウ付けして下面と一体化することができる。なお、上板104の長さと下板102の直径とはほぼ同一である。このため、上板104が下板102に対して回転した際には、上板104の傾斜部112は、すべての尖端部110に対峙可能となっている。
【0016】
締結部材106は、図1に示す如く、例えば、鉄を主成分としたボルト(例えば、ドライバーや六角レンチで締結可能)であり、ボルトヘッドを上板104の取付孔104Aの凹部Dpに回転可能に係合させ、下板102の取付孔102Aに螺合させることで、上板104と下板102との距離を変更可能としている。ここで、下板102と上板104との間には、互いの距離を調整するためのスペーサ108が配置されている。スペーサ108には、例えば、複数の金属性のワッシャなどを用いてもよいし、ダブルナットを用いて下板102と上板104との距離を変更するようにしてもよい。
【0017】
次に、隣接する2つの敷き鉄板IP1、IP2の連結手順について、図2図5(A)~(C)を用いて説明する。
【0018】
まず、連結治具100において、連結する敷き鉄板IP1、IP2の厚みに適切なスペーサ108を用いて、締結部材106により、下板102に上板104を回転可能に締結しておく。また、尖端部110の突出量及び刃部114の突出量は、予め敷き鉄板IP1、IP2の硬さや予備実験などを参考とし、適切に調整して設定しておく。そして、図5(A)に示す如く、敷き鉄板IP1、IP2を下板102の上に配置する。なお、複数箇所の尖端部110はそれぞれ、回転中心Oに対して4回対称となるように下板102に設けられている。このため、下板102をどのような角度に配置しても、必ず、1つの尖端部110は、敷き鉄板IP1、IP2の下に配置される構成となっている。
【0019】
次に、図5(B)に示す如く、上板104の(傾斜部112が設けられた反対側の)側面をハンマーHmなどで叩いて、上板104を回転させる。上板104の回転に従い、傾斜部112の刃部114により敷き鉄板IP1、IP2の両方同時に押圧力をかけ、尖端部110に敷き鉄板IP1、IP2を食い込ませる。同時に、刃部114自身も敷き鉄板IP1、IP2に食い込ませていく。
【0020】
そして、図5(C)に示す如く、最終的には上板104を当初の角度から90度回転させることで、2つの敷き鉄板IP1、IP2を、連結治具100を介して連結させる。この連結治具100を用いて、隣接する4つの敷き鉄板IP1~IP4を連結すると、例えば、図6のようになる。
【0021】
このように、本実施形態では、締結部材106により、上板104が下板102に回転可能に締結されている。そして、上板104の回転中心Oを挟んだ上板104の敷き鉄板側の複数の表面それぞれは、上板104の幅方向に沿って同一回転方向へ傾斜している。このため、上板104を白抜き矢印の方向に回転させると、上板104と下板102との間にある敷き鉄板IP1、IP2にその回転角度に応じて増大する押圧力をかけることができる。ここで、下板102の敷き鉄板側の表面には、複数箇所に尖端部110が設けられているので、上板104を回転させることで、尖端部110に敷き鉄板IP1、IP2を食い込ませることができる。そして、上板104を回転させるには、電動工具を使用する必要もなく、作業現場ではより身近なハンマーHmで上板104の側面を叩くことで、実現することが可能である。
【0022】
さらに、本実施形態では、敷き鉄板IP1、IP2から尖端部110へかかる押圧力は、上板104自体の回転により生じている。このため、上板104を回転させる力が仮に締結部材106で用いるボルトを回転させる力と同程度でも、上板104の回転半径はそのボルトの螺合する半径に比べてかなり大きくされているので、上板104を回転させる力の方がより大きな押圧力を容易に生じさせる。つまり、(例えば、電動インパクトドライバなどを用いて)ボルトから得られる押圧力に比べて、上板104の回転により、敷き鉄板IP1、IP2から尖端部110へ極めて容易に大きな押圧力を与えることが可能である。
【0023】
また、本実施形態では、傾斜部112だけでなく、傾斜部112が刃部114を備える。このため、敷き鉄板IP1、IP2の下面に下板102の尖端部110を食い込ませ、かつ敷き鉄板IP1、IP2の上面に上板104の刃部114を食い込ませることができ、敷き鉄板IP1、IP2をより強固に連結することができる。
【0024】
また、本実施形態では、回転中心Oから刃部114までの距離L2が、回転中心Oから尖端部110までの距離L1よりも短くされている。すなわち、刃部114の位置と尖端部110の位置とが一致していない。このため、刃部114が当接して食い込む敷き鉄板IP1、IP2の位置を、尖端部110により相応に撓んだ状態にしておくことができる。よって、刃部114の位置と尖端部110の位置とが一致している場合に比べて、上板104を回転させる力を少なくすることが可能でありながら、敷き鉄板IP1、IP2の両面で互いに連結状態を構成することが可能である。なお、これに限らず、回転中心Oから刃部までの距離L2が、回転中心Oから尖端部までの距離L1よりも短くなくてもよい。そもそも、回転中心Oからすべての尖端部までの距離が等しくされていなくてもよい。その際にも、回転中心Oから刃部までの距離は、回転中心Oからすべての尖端部までの距離と異なってもよいし、いずれかの尖端部までの距離と等しくてもよい。
【0025】
また、本実施形態では、傾斜部112は、更に、回転中心Oから離れるにしたがって、上板104の長さ方向に沿って上板104の厚みが減少するように傾斜している。このため、敷き鉄板IP1、IP2が下板102に対して尖端部110に向かって持ち上がるように傾いて配置されている場合には、上板104の僅かな回転時から敷き鉄板IP1、IP2に効果的に押圧力をかけることができる。また、上板104は、回転中心Oに近い部分で断面積が大きいので、上板104の変形や破損が生じにくい。
【0026】
また、本実施形態では、傾斜部112が、すべての尖端部110に対峙可能とされている。このため、すべての尖端部110に対して、傾斜部112の回転に従って増大する押圧力を敷き鉄板IP1、IP2を介して均等にかけることができる。なお、これに限らず、傾斜部は一部の尖端部に対峙可能とされていてもよいし、全く対峙しなくてよい。全く対峙しなくても、敷き鉄板IP1、IP2には相応の面積があるので、上板が敷き鉄板IP1、IP2の一部を押圧することで、敷き鉄板IP1、IP2から尖端部に押圧力をかけることができる。
【0027】
また、本実施形態では、複数箇所の尖端部110はそれぞれ、回転中心Oに対して4回対称となるように下板102に設けられている。このため、2つの敷き鉄板IP1、IP2を連結する際には、下板102がどんな回転角度であっても、少なくとも1つの尖端部110が敷き鉄板IP1、IP2それぞれに食い込むことになる。なお、これに限らず、尖端部が4回対称となるように配置されていなくてもよいし、そもそも、尖端部は4箇所ではなく、敷き鉄板IP1、IP2それぞれに対応して2箇所だけに配置されていてもよい。勿論、尖端部はさらに多く配置されていてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、複数箇所の尖端部110はそれぞれ、下板102の上面からの突出量が調整可能とされている。このため、敷き鉄板IP1、IP2の表面状態(凸凹状態、錆状態、変形状態、硬さの状態など)に応じて、尖端部110の突出量を調整でき、敷き鉄板IP1、IP2同士の連結状態を最適に構成することができる。なお、これに限らず、尖端部の突出量が調整可能となっていなくてもよい。尖端部の突出量に応じて、敷き鉄板IP1、IP2を選択して使用するようにしてもよい。
【0029】
よって、本実施形態では、簡単な構成で2つの敷き鉄板IP1、IP2をしっかりと連結可能でありながら、実際の作業現場で使い勝手のよい敷き鉄板IP1、IP2の連結治具100を提供することが可能である。
【0030】
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0031】
例えば、第1実施形態では、傾斜部112は、傾斜部112上に更に刃部114を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7(A)~(C)に示す第2実施形態の如くであってもよい。第2実施形態では、上板204は第1実施形態の刃部114を備えていない形状とされている。このため、本実施形態の上板204は、第1実施形態の上板104に比べて、より簡単にかつ早期に、しかもより低コストで製造可能である(なお、符号204A、212は、第1実施形態で説明された符号104A、112と同一の構造を有する)。
【0032】
なお、上記実施形態では、傾斜部112、212は、更に、回転中心Oから離れるにしたがって、上板104、204の長さ方向に沿って上板104、204の厚みが減少するように傾斜しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8(A)~(C)に示す第3実施形態の如くであってもよい。第3実施形態では、傾斜部312は、更に、回転中心Oから離れるにしたがって、上板304の長さ方向に沿って上板304の厚みが増大するように傾斜している。つまり、本実施形態では、敷き鉄板IP1、IP2の互いに最接近する端部が跳ね上がって高くなっている場合であっても、上板304の回転が可能であり、安定して敷き鉄板IP1、IP2に押圧力をかけることが可能である(なお、符号304Aは、第1実施形態で説明された符号104Aと同一の構造を有する)。
【0033】
なお、上記実施形態では、傾斜部112、212、312は、更に、上板104、204、304の長さ方向に沿って上板104、204、304の厚みが変化するように傾斜しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9(A)~(C)に示す第4実施形態の如くであってもよい。第4実施形態では、傾斜部412は、上板404の長さ方向には上板404の厚みが同一とされている。つまり、傾斜部412は、上板404の幅方向に沿って同一回転方向へ傾斜しているだけである。そして、傾斜部412は、上板404の長さ方向において尖った刃部414を備える構成である。このため、本実施形態の上板404は、第1実施形態の上板104よりも加工・成形が容易で、より低コストで製造が可能である(なお、符号404Aは、第1実施形態で説明された符号104Aと同一の構造を有する)。
【0034】
なお、第4実施形態では、傾斜部412は、傾斜部412上に更に刃部414を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10(A)~(C)に示す第5実施形態の如くであってもよい。第5実施形態では、上板504は第4実施形態の刃部414を備えていない形状とされている。このため、本実施形態の上板504は、第4実施形態の上板404に比べて、より簡単にかつ早期に、しかもより低コストで製造可能である(なお、符号504A、512は、第4実施形態の符号404A、412と同一の構造を有する)。
【0035】
なお、第5実施形態では、傾斜部512は、刃部を備えていないが、本発明はこれに限定されず、例えば、図11(A)~(C)に示す第6実施形態の如くであってもよい。第6実施形態では、上板604の下面それぞれは、上板604の幅方向に沿って同一回転方向へ傾斜している刃部614を有している。そして、この刃部614は、上板604の長さ方向において尖った形状とされている。すなわち、本実施形態では、上記実施形態の傾斜部は備えないが、刃部614が傾斜部自体に該当している。この場合には、上板604のうち、刃部614の刃先自体を傾斜させるので、刃部614を支持する上板604の加工をより短時間に行うことが可能である(なお、符号604Aは、第5実施形態の符号504Aと同一の構造を有する)。
【0036】
なお、第1実施形態では、上板104は、図1図2図12(A)などで示す如く、ほぼ直方体であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、図12(B)、(C)、(D)に示す第7、8、9実施形態の如くであってもよい。第7実施形態では、上板704はT字型とされて、隣接する3つの方形の敷き鉄板IP1~IP3を一度に連結することを可能としている。第8実施形態では、上板804は十字型とされて、隣接する4つの方形の敷き鉄板IP1~IP4を一度に連結することを可能としている。第9実施形態では、上板904はY字型とされて、隣接する3つの変形した敷き鉄板IP1~IP3を一度に連結することを可能としている(なお、符号700、800、900及び702、802、902は、第1実施形態で説明された符号100及び102と同一の構造を有する)。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、作業現場の仮設道路、仮設資材置場、施工済の床等の表面を養生するための敷き鉄板を連結するのに好適である。
【符号の説明】
【0038】
100、700、800、900…連結治具
102、702、802、902…下板
102A、104A、204A、304A、404A、504A、604A…取付孔
104、204、304、404、504、604、704、804、904…上板
106…締結部材
108…スペーサ
110…尖端部
112、212、312、412、512…傾斜部
114、414、614…刃部
Dp…凹部
Hm…ハンマー
IP1、IP2、IP3、IP4…敷き鉄板
L1、L2…距離
O…回転中心
図1
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図12