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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】細長物用梱包箱、梱包箱用段ボール
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
B65D5/54 301H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020146572
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041405
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(74)【代理人】
【識別番号】100164208
【弁理士】
【氏名又は名称】綿谷 晶廣
(72)【発明者】
【氏名】天野 真次
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-260561(JP,A)
【文献】実開昭63-156925(JP,U)
【文献】実開昭58-136479(JP,U)
【文献】米国特許第5251819(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102005008567(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
B65D 85/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ左右両端に端フラップが連設された天面板、一方の側面板、底面板、及び、他方の側面板が順次連設され、相互に連設されていない天面板と前記他方の側面板のどちらかには、両者間を接合するための接合代片が連設され、左右の端フラップ間に延在するように複数の細長物又は細長物集合体を収容する梱包箱であって、
両方の側面板及び天面板の左右には、それぞれ、天面板側から両方の側面板の途中まで延びる略平行な2つの易切断線と、開封起点と、開封起点の両側又はその近辺から斜めに延び、前記略平行な2つの易切断線間をつなぐ易切断線とを有し、
天面板と前記他方の側面板とは、前記略平行な2つの易切断線間だけで接合され、
左右の両端部ツマ面は端フラップにより閉鎖されている梱包箱。
【請求項2】
前記略平行な2つの易切断線の端部間には、折り曲げ線が形成されている請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記略平行な2つの易切断線のうち、端フラップに近い側の易切断線の端部から延びたツマ面開き用易切断線が形成されている請求項1又は2に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記開封起点は、天面板と側面板との境の折り曲げ線近傍に、該折り曲げ線に略平行な切れ目又はスリットを含むものである請求項1~3のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項5】
前記開封起点は、指通し孔を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項6】
前記細長物が直管形蛍光管又はガラス管である請求項1~5のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項7】
ラップラウンド式の箱である請求項1~6のいずれか1項に記載の梱包箱。
【請求項8】
それぞれ左右両端に端フラップが連設された天面板、一方の側面板、底面板、及び、他方の側面板が順次連設され、相互に連設されていない天面板と前記他方の側面板のどちらかには、両者間を接合するための接合代片が連設され、左右の端フラップ間に延在するように複数の細長物又は細長物集合体を収容する梱包箱用の段ボールであって、
両方の側面板及び天面板の左右には、梱包箱を作製した際に、それぞれ、天面板側から両方の側面板の途中まで延びることになる略平行な2つの易切断線と、開封起点と、開封起点の両側又はその近辺から斜めに延び、前記略平行な2つの易切断線間をつなぐ易切断線とを有し、
前記接合代片は、天面板と前記他方の側面板を前記略平行な2つの易切断線間だけを接合するものである梱包箱用段ボール。
【請求項9】
前記段ボールがシート状である請求項8に記載の梱包箱用段ボール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直管形蛍光管やその材料であるガラス管、それ以外の管などの細長い物(以下、「細長物」ということがある。)の複数乃至多数をその運搬時などの際に収容し、その後利用する際にその取り出しが迅速、効率的に行うことが可能な梱包箱や梱包箱用の段ボールに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光ランプにおける主要部材であるガラス管のような細長物の複数や多数の集合体を収納し運搬する際に用いられる梱包箱用段ボールや梱包箱としては、従来、A式ケース(図1(a)~(d)参照)や自動機に適したラップラウンド式ケース(図2図4参照)が知られている(特許文献1の第1図等参照)。
【0003】
A式ケースの梱包箱3は、それぞれ上側及び下側に端フラップ18が連設された前面板15、一方の端面板16、後面板17、及び、他方の端面板16が順次連設され、それら4つの面板のうち、相互に連設されていない前面板15と前記他方の端面板16のどちらかには、両者間を接合するための接合代片10が連設された段ボール6を用い、下側の端フラップ18を閉鎖して、上部が開いた梱包箱3として、細長物1を収容し、上側の端フラップ18を接着テープ13などで閉鎖するものである。
図1の(b)、(c)、(d)や矢印は、開封、取り出し手順を示す。(b)に示すように、対面する端フラップ18間をまたいで覆う接着テープ13をナイフ14などで切断及び/又は除去した後、(c)に示すように、上側の端フラップ18を全て開放してから、(d)に示すように、積み重ねられて収容されている細長物1を上のものから順次取り出す。一方、図1の(b)、(c)、(d)や矢印を逆方向にし、(d)→(c)→(b)の順番にしたものが梱包手順になる。
A式ケースの梱包箱3は、このような箱作製、梱包、開梱、取り出し過程を経るので、箱作製、開梱、及び、取り出しの作業の自動化にやや困難な面があり、特に、開梱及び取り出しの作業は主に人手にゆだねられているが、それらの作業には多くの労力と手間を必要としている。
【0004】
一方、ラップラウンド式ケースは、例えば、図2のように、それぞれ左右両端に端フラップ24が連設された天面板20、一方の側面板21、底面板22、及び、他方の側面板21が順次連設され、相互に連設されていない天面板20と前記他方の側面板21とを接合するための接合代片10が天面板20に連設されたシート状段ボール7を用いて梱包箱を作製、梱包するものである。
梱包箱4の作製、梱包の一般的な過程を図3に示す。(a)に示すシート状段ボール7の天面板20と一方の側面板21を、(b)に示すように底面板22に対し折り曲げ、天面板20及び一方の側面板21と底面板22とのなす角度が、(c)に示すようにほぼ直角となるように保持する。その状態で、(c)中の矢印で示すように、底面板22上の左右の端フラップ24間に延在するように複数の細長物1(例えば、細長物集合体)を載置する。次に、(d)に示すように、天面板20、及び、前側と後側の側面板21で細長物1の周囲を包み、天面板20の接合代片10と前記他方の側面板21の被着部12(図2参照))とを、接合代片10のほぼ全長にわたって塗布された接着剤11で接合し、細長物1を包み込まれた状態とする。周囲を包み込まれた細長物1の未封鎖の両端部のツマ面については、例えば、まず、(e)に示すように、底面板22の端フラップ24を閉鎖し、その状態で、(f)に示すように、2つの側面板21の両方の端フラップ24を閉鎖して底面板22の端フラップ24の外側の面に接着する。最後に、(g)に示すように、天面板20の端フラップ24を2つの側面板21の両方の端フラップ24の外側の面に接着、閉鎖して、最終的に、(h)に示すような梱包状態とし、梱包作業を終了する。
ラップラウンド式ケースでは、製造元で効率的に量産されたシート状段ボールで細長物を包み込むように梱包するため、梱包箱の作製作業や梱包作業の自動化、効率化、自動梱包設備の設計などが比較的容易と考えられ、経済的観点からも、直管形蛍光管やその材料であるガラス管のような細長物の梱包箱として使用されてきている。
【0005】
このようにラップランド式ケースとしての梱包箱やシート状段ボールは、細長物の梱包作業に有利なものであるが、梱包箱から複数の細長物を取り出す際には、次のような困難な面がある。すなわち、梱包箱は、その本来の輸送強度を保つ観点から、天面板20と前記他方の側面板21との接合代片10を介した接合部や、端フラップ24を用いたツマ面の接合部は、それらの接合強度を高く保つ必要があり、取り出し作業に対する配慮がないまま接合が図られている。例えば、天面板20を開放して、開放された上面から細長物1を取り出す場合、接合代片10のほぼ全長にわたる接着剤で接着されている天面板20を一方の側面板21から引きはがしたり、ツマ面における相互に接合された端フラップ24を引きはがしたり、天面板20から切り離したりする必要があり、多大な労力と手間が必要となる。また、箱の上面を開放したとしても、複数の細長物の四方は、前側と後側の側面板21と左右両側の端フラップ24で囲まれており、多くの細長物をまとめて取り出すのが困難である。そのため、図4(a)~(c)に示すように、梱包箱4の両端のツマ面の少なくとも一方を開封して、開封された開口から細長物1を取り出すことが行われている。
しかしながら、このようなツマ面は、接合強度が高く保たれるように接合、封鎖されており、接合部を相互に引きはがす通常の開封の手順では、大きな労力と手間がかかるという問題点がある。更に、梱包箱から細長物を取り出す際にも長い製品であるがゆえ、細長物の長さの2倍以上の広い取り出しスペースが必要であるし、また、複数の細長物や細長物集合体と梱包箱内面との摩擦力の影響もあって、引き抜く作業も容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公昭51-22037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような従来技術を背景としたものであり、複数の細長物乃至細長物集合体の取り出しを、前記従来技術よりも迅速、効率的に行うことができる梱包箱や梱包箱用段ボールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するために、本発明の梱包箱は、それぞれ左右両端に端フラップが連設された天面板、一方の側面板、底面板、及び、他方の側面板が順次連設され、相互に連設されていない天面板と前記他方の側面板のどちらかには、両者間を接合するための接合代片が連設され、左右の端フラップ間に延在するように複数の細長物又は細長物集合体を収容する梱包箱であって、両方の側面板及び天面板の左右には、それぞれ、天面板側から両方の側面板の途中まで延びる略平行な2つの易切断線と、開封起点と、開封起点の両側又はその近辺から斜めに延び、前記略平行な2つの易切断線間をつなぐ易切断線を有し、天面板と前記他方の側面板とは、前記略平行な2つの易切断線間の接合代片だけで接合され、左右両端のツマ面は端フラップで閉鎖されていることを特徴とする。
【0009】
前記略平行な2つの易切断線の端部間には、該端部間をつなぐ折り曲げ線が形成されていることが好ましい。そうすることによって、略平行な2つの易切断線間の面板片を安定して大きく開放することができる。
本発明の梱包箱における天面板と前記他方の側面板とは、前記略平行な2つの易切断線間の接合代片(すなわち、面板片の範囲内の接合代片)だけで接合され、左右の面板片間の天面板中央部は前記他方の側面板とは接合されていないので、左右両側の前記略平行な2つの易切断線間の面板片を開放すると、左右の面板片間の天面版中央部も開放することができる。
前記略平行な2つの易切断線の間隔は、梱包箱の細長物の長さや収容量などに対応した大きさ、搬送強度、細長物の取り出しやすさなどの作業性などを考慮して決定される。
【0010】
前記略平行な2つの易切断線の端部の高さ(言い換えると、底面板と側面板の折り曲げ線から前記易切断線の端部までの距離)は、細長物の種類、長さや収容量などに対応した搬送箱の大きさ、搬送強度、細長物の取り出しやすさなどの作業性等を考慮して決定することが好ましい。
【0011】
前記略平行な2つの易切断線のうち、端フラップに近い側の易切断線から端フラップまでの距離は、左右両側の面板片とその間の天面板中央部とを開放した際に、収容している複数の細長物乃至細長物集合体が直ちにばらけない程度の強度を保持し、かつ、細長物の取り出しに大きな支障がないように決定される。
【0012】
段ボール材質が変形性に乏しい(すなわち、比較的剛性が高い)場合には、前記略平行な2つの易切断線のうち、端フラップに近い側の易切断線の端部からさらに延びるツマ開き用易切断線が形成されていることが好ましい。ツマ面開き用易切断線の延長方向は限定されないが、例えば、前記端部から端フラップ側に斜めに延びる方向とすることができる。ツマ開き用易切断線が予め形成されていると、段ボール材質が変形性に乏しい場合でも、開放し残された天面板の左右の端部とそれにつながる面板の部分を両側外向きに曲げるのが容易となり、収容されている複数の細長物乃至細長物集合体の両端部の開放も簡単で、且つ、安定となるので、複数の細長物乃至細長物集合体をばらけさせ、その取り出しをより迅速、効率的に行うことができる。しかも、そのような取り出しは、作業者が完全開放するタイミングを意図的に操作できるというメリットもある。
【0013】
前記開封起点は、略平行な2つの易切断線間の面板片の任意の位置に形成することができるが、前記2つの易切断線からの等距離位置に形成することが2本の易切断線を同時に円滑に切断するうえで好ましい。
前記開封起点を、天面板と側面板の境の折り曲げ線と略平行な切れ目と、該切れ目の両端から略直角方向に延びる僅かな長さの切れ目とから構成すると、略平行な2つの易切断線間の面板片の初期開放が容易となり、その後の面板片の開放の進行を円滑化することが期待できる。
このような開封起点の折り曲げ線と略平行な切れ目を天面板と側面板の境の折り曲げ線から僅かに外れた前記一方の側面板側の近傍に形成し、天面板と前記一方の側面板との境を谷線として折り曲げると、切れ目部は折り曲げ線部より僅かに突出するので、開封起点は把持されやすくなり、前記易切断線間の面板片を開放するのが容易となる。
【0014】
前記開封起点を天面板と側面板の境の折り曲げ線から僅かに外れた近傍に設けない場合には、開封起点が把持されやすいように、開封起点やその近傍に指通し孔やスリット孔などを形成することが好ましい。
【0015】
本発明は、ラップラウンド式の箱に適用した場合に特に有効であるが、請求項に記載された要件を満足するものであればよく、ラップラウンド式に限定されない。また、各面板などは全て、ラップラウンド式のように素材の段階から一体である必要はなく、一部の面板部を相互に接合して面板としたものを含む段ボールやそれから作製された梱包箱であっても許容される。
【0016】
本発明の梱包箱に収容される細長物の材質は、通常の搬送時に破損が生じないものであれば許容される。また、細長物の長さや重さは、段ボール製梱包箱に収容できて搬送できるものであれば許容されるが、作業者の手や腕で取り扱える範囲内のものであることが好ましい。そのような細長物としては、例えば、直管形蛍光管やその材料であるガラス管、それ以外の管などの細長いものであり、個別包装されていなくてもよいし、個別又は複数個ごとに包装されていてもよい。また、多数(例えば、10~100個)の細長物を、横5列、縦2列、・・・、横10列、縦10列などのような細長物集合体として1つの梱包箱に梱包してもよい。その場合、細長物集合体の全部又は部分ごとに、バンド、テープ、紐などで結束することもできる。
【0017】
本発明における梱包箱に作製される前の梱包箱用段ボールは、シート状であることが搬送時の取扱い性や貯蔵スペース等の点で好ましいが、シート状から梱包箱への作製工程の途中の状態であってもよい。
そのような梱包箱用段ボールは、次のようなものである。
それぞれ左右両端に端フラップが連設された天面板、一方の側面板、底面板、及び、他方の側面板が順次連設され、相互に連設されていない天面板と前記他方の側面板のどちらかには、両者間を接合するための接合代片が連設され、左右の端フラップ間に延在するように複数の細長物又は細長物集合体を収容するために用いられる梱包箱用段ボールであって、
両側の側面板及び天面板の左右には、梱包箱に作製した際に、それぞれ、天面板側から両方の側面板の途中まで延びることになる略平行な2つの易切断線と、開封起点と、開封起点又はその近辺の両側から斜めに延び、前記略平行な2つの易切断線間をつなぐ易切断線とを有し、
前記接合代片は、天面板と前記他方の側面板を前記略平行な2つの易切断線間だけを接合するものである梱包箱用段ボール。
【発明の効果】
【0018】
本発明の梱包箱によれば、略平行な易切断線間の面板片を開封起点から引き上げ、引き上げられた面板片を外側に折り曲げることにより、梱包箱の左右2か所において、天面から前後の側面板の途中までをそれぞれ開放できる。また、左右の面板片間に残された天面板中央部は、側面板に接合されていないので、左右の面板片の開放後は、天面板中央部も容易に開放することができる。それ故、天面板の左右の端部を除いた梱包箱上面と、梱包箱の左右2か所において、天面から前後の側面板の途中までが開放されることになるので、梱包箱の上面から収容されている細長物を迅速、効率的に取り出すことができる。その時点では、天面板の左右の端部は開放されずに残っているので、天面板中央部やその両側の面板片の開放と同時に収容物の複数の細長物乃至細長物集合体がばらけることは防止される。その後、上面の両端に残されていた天面板の端部とそれにつながる面板の部分を外方に曲げて、収容されている複数の細長物乃至細長物集合体の両端部を開放することもできるので、より効率的に多量の細長物を取り出すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、従来のA式ケースの段ボール、乃至、A式ケースの梱包箱の展開図を示す図面。(b)、(c)、(d)は、A式ケースの梱包箱の開梱、取り出し手順を示す見取り図。
図2図2は、従来のラップラウンド式ケースの段ボール、乃至、ラップラウンド式ケースの梱包箱の展開図を示す図面。図中の各端フラップにおける11は、梱包箱の外側となる面に対する接合材(接着剤)の塗布部分又は塗布予定部分の一例を示す。
図3】(a)~(h)は、従来のラップラウンド式ケースの段ボールを用いた梱包手順を示す見取り図。
図4】(a)~(c)は、従来のラップラウンド式ケースの梱包箱の開梱、取り出し手順を示す見取り図。
図5】(a)は、本発明の実施形態1のラップラウンド式ケースの段ボール、乃至、ラップラウンド式ケースの梱包箱の展開図を示す図面。図中の各端フラップにおける11は、梱包箱の外側となる面に対する接合材(接着剤)の塗布部分又は塗布予定部分の一例を示す。(b)は、梱包箱作製後の開封起点の周辺を示す見取り図。(c)、(d)、(e)は、実施形態1のラップラウンド式ケースの梱包箱の開梱、取り出し手順を示す見取り図。
図6】(a)は、本発明の実施形態2のラップラウンド式ケースの段ボール、乃至、ラップラウンド式ケースの梱包箱の展開図を示す図面。図中の各端フラップにおける11は、梱包箱の外側となる面に対する接合材(接着剤)の塗布部分又は塗布予定部分の一例を示す。(b)は、梱包箱作製後の開封起点の周辺を示す見取り図。(c)、(d)、(e)は、実施形態2のラップラウンド式ケースの梱包箱の開梱、取り出し手順を示す見取り図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の梱包箱や梱包箱用段ボールの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。なお、図1から図6において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
なお、本明細書において、「略平行」、「略直角」との用語は、正確な方向からのずれ角度が20度以内、好ましくは、10度以内であることを意味する。
【0021】
[実施形態1]
図5(a)に、実施形態1の梱包箱用段ボール5、7乃至梱包箱2、4の展開図を示す。
該梱包箱用段ボール(シート状段ボール)5、7は、それぞれ左右両端に端フラップ24が連設された天面板20、一方の側面板21、底面板22、及び、他方の側面板21を順次連設された状態で具備するとともに、相互に連設されていない天面板20と前記他方の側面板21のどちらかには、両者間を接合するための接合代片10が連設されている。この図では、接合代片10は、天面板20に連設されているが、その替わりに、前記他方の側面板21に連設されていても良い。破線は折り曲げ線8を、ジッパー線は易切断線30~33、38、39を、実線は切れ目乃至スリットを、それぞれ意味する。易切断線は、作業者などの操作で容易に切断できるものを意味し、いわゆるジッパー線、ミシン目などが含まれる。これらの折り曲げ線8、易切断線30~33、38、39、切れ目(開封起点35の実線参照)、スリットなどは、シート状段ボールを木型などでプレスして製造する際に形成することができる。
【0022】
両方の側面板21及び天面板20の左右には、梱包箱を作製した際に、それぞれ、天面板20側から両方の側面板21の途中まで延びることになる略平行な2つの易切断線30、31、32、33と、開封起点35と、開封起点35の両側又はその近辺から斜めに延び、前記略平行な2つの易切断線30、31、32、33間をつなぐ易切断線38とを有している。
実施形態1では、開封起点35は、天面板20と前記一方の側面板21との境の折り曲げ線8と平行で、該折り曲げ線8より僅かに前記一方の側面板21側にある切れ目36と、該切れ目36の両側から天面板20側に僅かに延びる2つの切れ目36から構成しているため、前記折り曲げ線8で谷折りすると、図5(b)に示されるように、開封起点35が前記折り曲げ線8より僅かに突出するので、開封起点35は把持しやすい。
開封起点35の両端又はその近辺から両側に斜めに伸びる2つの易切断線38は、面板片42の中央(すなわち、面板片42の線対称の対称軸)を対象軸とする線対称であることが切断を均等に進行させるうえで好ましいが、多少の角度のズレ(例えば、20度以下、より好ましくは、10度以下)は許容される。
略平行な2つの易切断線30、31、32、33に対する、開封起点35の両端又はその近辺から両側に斜めに延びる2つの易切断線38の角度は、切断が進行しやすいように決定される。
【0023】
略平行な2つの易切断線30、31、32、33の切断後、前記2つの易切断線間の面板片42が前側と後側に安定して大きく開放されるように(図5(d)の面板片42参照)、前記2つの易切断線の端部間には折り曲げ線8が形成されている。
また、収容されている複数の細長物1又は細長物集合体の両端面が開放されやすいように、略平行な2つの易切断線30、31、32、33のうち、端フラップ24に近い側の易切断線30、33の端部には、該端部からさらに延びるツマ面開き用易切断線39が形成されており、端フラップ24に近い側の易切断線30、33とツマ面開き用易切断線39との合計長は、他方の易切断線31、32よりも長くなっている。ツマ面開き用易切断線39の延長方向は限定されないが、この例では、前記端部から端フラップ24側に斜めに延びる方向としている。
【0024】
実施形態1では、左右両側の面板片42の開放後の天面板中央部43の開放が容易となるように、天面板20と前記他方の側面板21の境界の長さとほぼ等しい長さの接合代片10を用い、接合材の適用範囲を、前記略平行な2つの易切断線30、31、32、33間の接合代片10の部分に限定する態様としている。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。本発明では、要するに、天面板20と前記他方の側面板21が、前記略平行な2つの易切断線30、31、32、33間の接合代片10の接合材11により接合されれば良いのであって、接合されない天面板中央部43に対応する接合代片部分を省略するなどの態様も採用することができる。
【0025】
上記のような梱包用シート状段ボール5、7を用いて複数の細長物1乃至細長物集合体を梱包する際、従来のラップラウンド式段ボールを用いる場合と梱包手順は基本的な差異はあまりないが、従来のラップラウンド式段ボールを用いる場合では、天面板20と他方の側面板21とは接合代片10のほぼ全長にわたって接合されるのに対し、本発明では、天面板20と他方の側面板21とは、前述のとおり、略平行な2つの易切断線30、31、32、33間の接合代片10(すなわち、面板片42の範囲内の接合代片10)だけで接合され、左右の面板片42間の天面板中央部43は前記他方の側面板21とは接合されていない点で相違している。この相違点以外は、上述の従来のラップラウンド式段ボールを用いる場合と同様の梱包手順であっても良いし、また、細長物の梱包が可能な範囲で、接合材の塗布部分や塗布順序、及び、各端フラップの閉鎖順序などの梱包手順を多少変更することもできる。
なお、図5中の11は、接合代片10と前記他方の側面板21との間、及び、当接する端フラップ24相互間を接合する接合材(接着剤)の塗布部分又は塗布予定部分の一例を示す。そのような塗布部分又は塗布予定部分は、接合代片10と前記他方の側面板21との閉鎖順序、各端フラップ24の閉鎖順序と、接合材(接着剤)の塗布工程との関連に応じて、梱包箱の外側となる面又は内側となる面とすることができる。また、接合代片10における接合材(接着剤)の塗布部分又は塗布予定部分11を被接合部12とし、前記他方の側面板21における被接合部12を接合材(接着剤)の塗布部分又は塗布予定部分11とする等の変更も可能である。
使用する接合材としては、梱包箱の作製後、開梱までの間に接合を保持できるものであれば、各種の接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)、粘着剤、接着性シートなどの公知の接合材を使用することができる。
【0026】
実施形態1の梱包箱2、4を開梱し、複数の細長物1を取り出す手順を図5(c)、(d)、(e)に示す。まず、左右に存在する開封起点35をそれぞれ把持し持ち上げ、面板片42を、山形部を含む部分と谷形部を含む部分に切り分け(図5(c)参照)、持ち上げて、それぞれ後側と前側に折り曲げる(図5(d)参照)。次に、前記他方の側面板21に接合されていない接合代片10中央部と連設する天面板中央部43を開放する。その時点では、天面板20の左右の天面板端部41は残っているので、面板片42や天面板中央部43の開放と同時に内容物の複数の細長物1乃至細長物集合体がばらけることは防止される。最後に、天面板20の左右の天面板端部41をそれぞれ端部外方側に押しやり、ツマ面開き用易切断線39を切断して、複数の細長物1又は細長物集合体の左右両端を開放できるので、複数の細長物1又は細長物集合体の全部又は所定量をまとめて迅速、効率的に取り出すことができる(図5(e)参照)。図5(e)では、面板片42を省略して示していないが、細長物1を取り出す際に面板片42を切除することもできる。しかしながら、面板片42を開放状態で残したままでも細長物1の取り出しに大きな支障はないので、細長物取り出し後の梱包箱2、4は、分離部分が存在しない一体物として効率的に廃棄処理することもできる。
【0027】
[実施形態2]
図6(a)に、実施形態2の梱包箱用段ボール5、7乃至梱包箱2、4の展開図を、(b)に、梱包箱2、4作製後の開封起点35周辺を、(c)、(d)、(e)に、開梱、取り出し手順を、それぞれ示す。
実施形態2は、開封起点35を天面板20と連設していない側面板21のほぼ50%の高さの位置に設けた点、及び、開封起点35に指通し孔37を設けた点以外は実施形態1と大きな差異はない。それ故、梱包箱作製操作及び梱包操作は、実施形態1とほぼ同様に実施することができる。
側面板21における開封起点35の高さ位置(言い換えると、底面版22と前記他方の側面板21との折り曲げ線8から開封起点35までの距離)は、面板片42の開放操作の容易性や開放後の梱包箱2、4の強度などを考慮して決定するのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の梱包箱や梱包箱用段ボールを用いると、梱包作業だけでなく、開梱作業や複数の細長物又は細長物集合体の取り出し作業を迅速、効率化できるので、直管形蛍光管やその材料であるガラス管、それ以外の管などの各種細長物の梱包に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 細長物
2 梱包箱
3 A式ケースの梱包箱
4 ラップラウンド式ケースの梱包箱
5 梱包箱用段ボール
6 A式ケースの梱包箱用段ボール
7 ラップラウンド式ケースの梱包箱用段ボール
8 折り曲げ線
10 接合代片
11 接合材(接着剤)。ただし、図2図5(a)、図6(a)中の各フラップにおける11は、梱包箱の外側となる面に対する接合材(接着剤)の塗布部分又は塗布予定部分の一例を示す。
12 接合代片の接合材(接着剤)に対応する被接合部の一例
13 接着テープ
14 ナイフ
15 前面板
16 端面版(左側、右側)
17 後面板
18 端フラップ(上側、下側)
20 天面板
21 側面板(前側、後側)
22 底面板
24 端フラップ(左側、右側)
30、31 互いに略平行な易切断線
32、33 互いに略平行な易切断線
35 開封起点
36 切れ目又はスリット
37 指通し孔
38 開封起点を介して互いに略平行な2つの易切断線間をつなぐ易切断線
39 ツマ面開き用易切断線
41 互いに略平行な2つの易切断線のうちの端フラップに近い側の易切断線と端フラップとの間の天面板端部(左側、右側)
42 互いに略平行な2つの易切断線間の面板片(平面視山形部を含む側、平面視谷形部を含む側)
43 左右の面板片間の天面板中央部

図1
図2
図3
図4
図5
図6