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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
F16K31/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021145725
(22)【出願日】2021-09-07
(65)【公開番号】P2023038816
(43)【公開日】2023-03-17
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 秀
(72)【発明者】
【氏名】荒井 良太
(72)【発明者】
【氏名】小城 力樹
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-094460(JP,A)
【文献】国際公開第2020/230382(WO,A1)
【文献】特開2007-046317(JP,A)
【文献】特開2012-197849(JP,A)
【文献】特開2009-036365(JP,A)
【文献】特開平07-113443(JP,A)
【文献】特開2018-126023(JP,A)
【文献】特開2019-206998(JP,A)
【文献】国際公開第2021/025023(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/28- 1/48
48/00-48/42
F16K 31/00-31/05
31/44-31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁口を有する弁本体と、前記弁口と向かい合って配置される弁体と、前記弁本体に対して回転可能に配置されるローターと、前記ローターに連結される遊星歯車装置と、前記遊星歯車装置に連結される駆動軸と、前記弁本体に固定される駆動軸支持部と、を有する電動弁であって、
前記遊星歯車装置が、太陽歯車と、前記太陽歯車と噛み合う遊星歯車と、前記遊星歯車を回転可能に支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛み合う固定内歯車と、を有し、
前記駆動軸が雄ねじを有し、前記駆動軸支持部が前記雄ねじが螺合される雌ねじを有し、前記駆動軸が前記遊星歯車装置によって回転されると、前記駆動軸が前記弁口に近づく方向または前記弁口から離れる方向に移動し、
前記駆動軸支持部と前記固定内歯車とが、一体的に形成され、
前記弁本体に接合される金属部材をさらに有し、
前記駆動軸支持部と前記固定内歯車とが、合成樹脂製であり、
前記駆動軸支持部と前記固定内歯車と前記金属部材とが、一体成形されている、電動弁。
【請求項2】
弁口を有する弁本体と、前記弁口と向かい合って配置される弁体と、前記弁本体に対して回転可能に配置されるローターと、前記ローターに連結される遊星歯車装置と、前記遊星歯車装置に連結される駆動軸と、前記弁本体に固定される駆動軸支持部と、を有する電動弁であって、
前記遊星歯車装置が、太陽歯車と、前記太陽歯車と噛み合う遊星歯車と、前記遊星歯車を回転可能に支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛み合う固定内歯車と、を有し、
前記駆動軸が雄ねじを有し、前記駆動軸支持部が前記雄ねじが螺合される雌ねじを有し、前記駆動軸が前記遊星歯車装置によって回転されると、前記駆動軸が前記弁口に近づく方向または前記弁口から離れる方向に移動し、
前記駆動軸支持部と前記固定内歯車とが、一体的に形成され、
前記弁本体に圧入される金属部材をさらに有し、
前記駆動軸支持部と前記固定内歯車とが、合成樹脂製であり、
前記駆動軸支持部と前記固定内歯車と前記金属部材とが、一体成形されている、電動弁。
【請求項3】
前記遊星歯車装置が、前記太陽歯車と前記遊星歯車と前記遊星キャリアとを1組とする歯車セットをN個(ただし、Nは2以上の自然数である。)有し、
前記ローターが、第1の前記歯車セットの前記太陽歯車と同軸に連結され、
第K(ただし、K=1、・・・、N-1である。)の前記歯車セットの前記遊星キャリアが、第K+1の前記歯車セットの前記太陽歯車と同軸に連結され、
第Nの前記歯車セットの前記遊星キャリアが前記駆動軸と同軸に連結され、
前記遊星歯車装置が、前記固定内歯車を1つのみ有し、
前記固定内歯車にN個の前記歯車セットのそれぞれの前記遊星歯車が噛み合う、請求項1または請求項2に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来の電動弁を開示している。特許文献1の電動弁は、弁口を有する弁本体と、弁口と向かい合って配置された弁体と、弁本体に接合されるキャンと、を有している。キャンの外側には、ステーターが配置される。キャンの内側には、ローターが配置される。また、電動弁は、ローターの回転を減速する遊星歯車装置と、遊星歯車装置に連結された駆動軸と、駆動軸支持部材と、を有している。
【0003】
遊星歯車装置は、ローターと連結された太陽歯車と、太陽歯車と噛み合う遊星歯車と、遊星歯車を回転可能に支持する遊星キャリアと、遊星歯車と噛み合う固定内歯車である固定歯車と、遊星歯車と噛み合う内歯車である出力歯車と、を有している。
【0004】
駆動軸は、出力歯車と連結されている。駆動軸には雄ねじが形成されている。駆動軸支持部材には、雌ねじが形成されている。駆動軸の雄ねじは、駆動軸支持部材の雌ねじに螺合される。遊星歯車装置によって駆動軸が回転されると、駆動軸はねじ送り作用によって弁口に近づく方向または弁口から離れる方向に移動する。駆動軸の移動に伴って弁体が移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-197849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した電動弁では、固定歯車が円筒形状の歯車ケースを介して弁本体に固定されている。駆動軸支持部材は、弁本体に固定されている。固定歯車の中心軸と駆動軸支持部材の雌ねじの中心軸とは、互いに同軸に配置されている。しかしながら、部品精度または組立精度によっては、固定歯車の中心軸と駆動軸支持部材の雌ねじの中心軸とがずれてしまうことがあった。これにより、歯車や駆動軸などの回転部品に偏摩耗が生じて製品寿命が短くなることがあった。
【0007】
そこで、本発明は、回転部品の偏摩耗を抑制できる電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電動弁は、弁口を有する弁本体と、前記弁口と向かい合って配置される弁体と、前記弁本体に対して回転可能に配置されるローターと、前記ローターに連結される遊星歯車装置と、前記遊星歯車装置に連結される駆動軸と、前記弁本体に固定される駆動軸支持部と、を有する電動弁であって、前記遊星歯車装置が、太陽歯車と、前記太陽歯車と噛み合う遊星歯車と、前記遊星歯車を回転可能に支持する遊星キャリアと、前記遊星歯車と噛み合う固定内歯車と、を有し、前記駆動軸および前記駆動軸支持部の一方が雄ねじを有し、他方が前記雄ねじが螺合される雌ねじを有し、前記駆動軸が前記遊星歯車装置によって回転されると、前記駆動軸が前記弁口に近づく方向または前記弁口から離れる方向に移動し、前記駆動軸支持部と前記固定内歯車とが、一体的に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記駆動軸支持部と前記固定内歯車とが、合成樹脂製であり、一体成形されている、ことが好ましい。
【0010】
本発明において、前記弁本体に接合される金属部材をさらに有し、前記駆動軸支持部と前記固定内歯車とが、合成樹脂製であり、前記駆動軸支持部と前記固定内歯車と前記金属部材とが、一体成形されている。
【0011】
本発明において、前記弁本体に圧入される金属部材をさらに有し、前記駆動軸支持部と前記固定内歯車とが、合成樹脂製であり、前記駆動軸支持部と前記固定内歯車と前記金属部材とが、一体成形されている。
【0012】
本発明において、前記遊星歯車装置が、前記太陽歯車と前記遊星歯車と前記遊星キャリアとを1組とする歯車セットをN個(ただし、Nは2以上の自然数である。)有し、前記ローターが、第1の前記歯車セットの前記太陽歯車と同軸に連結され、第K(ただし、K=1、・・・、N-1である。)の前記歯車セットの前記遊星キャリアが、第K+1の前記歯車セットの前記太陽歯車と同軸に連結され、第Nの前記歯車セットの前記遊星キャリアが前記駆動軸と同軸に連結され、前記遊星歯車装置が、前記固定内歯車を1つのみ有し、前記固定内歯車にN個の前記歯車セットのそれぞれの前記遊星歯車が噛み合う、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、駆動軸支持部と遊星歯車装置の固定内歯車とが、一体的に形成されている。このようにしたことから、駆動軸支持部と遊星歯車装置の固定内歯車とが、1つの部品として一体的に形成されるため、駆動軸支持部のねじ(雄ねじまたは雌ねじ)の中心軸と固定内歯車の中心軸とを高い精度で同軸に配置することができる。そのため、回転部品の偏摩耗を抑制できる。また、回転部品の偏心による回転伝達効率の低下を抑制できる。また、電動弁の部品点数が少なくなり、電動弁の組立性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施例に係る電動弁の開弁状態を示す断面図である。
図2図1の電動弁の閉弁状態を示す断面図である。
図3図1の電動弁の一部を拡大した断面図である。
図4図1の電動弁が有する支持部材の一部断面を含む斜視図である。
図5図1の電動弁が有する弁体駆動部の分解立体図である。
図6図1の電動弁の変形例である電動弁の開弁状態を示す断面図である。
図7図6の電動弁の閉弁状態を示す断面図である。
図8図6の電動弁の一部を拡大した断面図である。
図9】本発明の第2実施例に係る電動弁の開弁状態を示す断面図である。
図10図9の電動弁の閉弁状態を示す断面図である。
図11図9の電動弁の一部を拡大した断面図である。
図12図9の電動弁が有する支持部材の一部断面を含む斜視図である。
図13図9の電動弁が有する弁体駆動部の分解立体図である。
図14図9の電動弁の変形例である電動弁の開弁状態を示す断面図である。
図15図14の電動弁の閉弁状態を示す断面図である。
図16図14の電動弁の一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例に係る電動弁について、図1図8を参照して説明する。本実施例の電動弁1は、例えば、冷凍サイクル等において冷媒流量を調整するために使用される。
【0016】
図1図2は、本発明の第1実施例に係る電動弁の断面図である。図1は、開弁状態の電動弁を示し、図2は、閉弁状態の電動弁を示す。図3は、図1の電動弁の一部(主に弁体駆動部)を拡大した断面図である。図4は、図1の電動弁が有する支持部材の一部断面を含む斜視図である。図5は、図1の電動弁が有する弁体駆動部の分解立体図である。図6図7は、図1の電動弁の変形例である電動弁の断面図である。図6は、開弁状態の電動弁を示し、図7は、閉弁状態の電動弁を示す。図8は、図6の電動弁の一部(主に弁体駆動部)を拡大した断面図である。図3図8において、ステーターユニットの記載を省略している。
【0017】
図1図2に示すように、本実施例に係る電動弁1は、弁本体10と、スリーブ20と、キャン30と、弁体40と、弁体駆動部50と、ステーターユニット90と、を有している。
【0018】
弁本体10は、有底円筒形状を有している。弁本体10は、周壁部11と、底壁部12と、を有している。弁本体10は、その内側に弁室13を有している。底壁部12は、円形の弁口14を有している。弁口14は、弁室13に接続されている。周壁部11の内周面には、上方を向く円環形状の平面15が形成されている。周壁部11には、第1導管16が接合されている。第1導管16は、周壁部11を軸線Lと直交する方向に貫通している。第1導管16は、弁室13に接続されている。底壁部12には、第2導管17が接合されている。第2導管17は、弁口14に接続されている。弁本体10は、ステンレスや真ちゅうなどの金属製である。
【0019】
スリーブ20は、段付きの円筒形状を有している。スリーブ20は、下方から上方に向かって順に配置された第1円筒部21と、段部22と、第2円筒部23と、フランジ部24と、を有している。段部22およびフランジ部24は、円環平板形状を有している。第1円筒部21の外径は、第2円筒部23の内径より小さい。第1円筒部21の上端部は、段部22の内周縁に連設されている。第2円筒部23の下端部は、段部22の外周縁に連設されている。第2円筒部23の上端部は、フランジ部24の内周縁に連設されている。スリーブ20は、弁本体10の内側に配置される。第1円筒部21は、弁口14と上下方向(軸線L方向)に間隔をあけて配置されている。フランジ部24は、弁本体10の平面15と接している。
【0020】
キャン30は、上端部が塞がれかつ下端部が開口した円筒形状を有している。キャン30の下端部は、円環平板形状の接合部材35の外周縁に接合されている。接合部材35の内側には弁本体10の上部10a(すなわち周壁部11の上部)が配置されている。弁本体10は、接合部材35の内周縁に接合されている。
【0021】
弁体40は、ステム41と、弁部42と、ばね受け部43と、ボール受け部44と、を有している。ステム41は、円柱形状を有している。ステム41の外径は、スリーブ20の第1円筒部21の内径よりわずかに小さい。ステム41は、第1円筒部21の内側に配置される。ステム41は、第1円筒部21によって上下方向に移動可能に支持される。弁部42は、上方から下方に向かうにしたがって外径が徐々に小さくなる円錐台形状を有している。弁部42は、ステム41の下端部に連設されている。弁部42の最も大きい外径は、ステム41の外径より大きい。弁部42は、弁口14と上下方向に向かい合って配置されている。ばね受け部43は、円柱形状を有している。ばね受け部43の外径は、ステム41の外径と同じである。ばね受け部43は、ステム41の上端部に接合されている。ばね受け部43は、その外周面から径方向外方に突出する円環形状のフランジ部43aを有している。ボール受け部44は、円形の平板部44aと、平板部44aの下面に連設された凸部44bと、を有している。凸部44bは、ばね受け部43に形成された孔に嵌合されている。弁体40は、弁部42が弁口14に対して進退することにより、弁口14の開口面積を無段階に変更する。弁体40は、弁口14を閉じてもよい(すなわち、開口面積を0としてもよい)。
【0022】
弁体駆動部50は、弁体40を上下方向に移動させる。弁体駆動部50は、ローター51と、連結部材52と、ローター軸53と、軸受部材54と、ローターばね55と、支持部材60と、歯車機構70と、駆動軸80と、ボール85と、開弁ばね86と、を有している。
【0023】
ローター51は、円筒形状を有している。ローター51の外周面には、N極とS極とが周方向に交互に配置されている。ローター51の外径は、キャン30の内径より小さい。ローター51は、キャン30の内側に回転可能に配置されている。ローター51の上端部には、円板形状の連結部材52が同軸に接合されている。連結部材52は、合成樹脂製である。連結部材52は、ローター51の上端部を塞いでいる。連結部材52の中心をローター軸53が貫通している。軸受部材54は、ローター51の上方に配置されており、ローター軸53の上端部を回転可能に支持している。ローターばね55は、連結部材52と軸受部材54との間に配置されている。ローターばね55は、圧縮コイルばねである。ローターばね55は、連結部材52(ローター51)を下方に押している。
【0024】
支持部材60は、合成樹脂製部品と金属製部品とを射出成形(インサート成形)によって一体的に形成した1つの部品である。支持部材60は、駆動軸支持部61と、固定歯車62と、金属部材63と、を有している。駆動軸支持部61および固定歯車62は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの合成樹脂製である。金属部材63は、真ちゅうやステンレスなどの金属製である。弁本体10と金属部材63とは、同一の金属製であることが好ましい。本実施例において、弁本体10と金属部材63とが共に真ちゅう製である。弁本体10が合金製であり、金属部材63が、当該合金と主成分が同一でかつ成分または成分比率が異なる他の合金製であってもよい。
【0025】
駆動軸支持部61は、円筒形状を有している。駆動軸支持部61の外径は、弁本体10の上部10aの内径と同じである。駆動軸支持部61は、弁本体10の上部10aの内側に同軸に配置されている。駆動軸支持部61の外周面の下部と弁本体10の上部10aの内周面との間に環状の隙間が形成されており、当該隙間が上部10aに形成された横孔と接続されている。駆動軸支持部61と弁本体10の平面15との間にスリーブ20のフランジ部24が保持される。駆動軸支持部61は、内周面61aの下部に雌ねじ61cが形成されている。
【0026】
固定歯車62は、円筒形状を有している。固定歯車62の外径は、弁本体10の上部10aの外径と同じである。固定歯車62の下端部は、駆動軸支持部61の上端部に連設されている。固定歯車62は、内周面に歯が形成された固定内歯車である。
【0027】
金属部材63は、円環平板形状を有している。金属部材63の外径は、弁本体10の上部10aの外径と同じである。金属部材63は、駆動軸支持部61と固定歯車62との連設箇所に配置されている。駆動軸支持部61と固定歯車62と金属部材63とは、同軸に配置されている。金属部材63は、弁本体10の上部10aに溶接される。なお、支持部材60において、金属部材63が省略され、駆動軸支持部61が弁本体10の上部10aに接着剤などで接合されていてもよい。
【0028】
金属部材63は、周方向に間隔をあけて並ぶ複数の貫通孔63aを有している。支持部材60を射出成形する際に複数の貫通孔63aに合成樹脂が充填される。これにより、電動弁1において、金属部材63に対して駆動軸支持部61および固定歯車62が回転してしまうことを規制する。
【0029】
歯車機構70は、固定歯車62とともに遊星歯車装置75を構成する。歯車機構70は、第1の歯車セット71と、第2の歯車セット72と、第3の歯車セット73と、を有している。
【0030】
第1の歯車セット71は、第1の太陽歯車71aと、複数の第1の遊星歯車71bと、第1の遊星キャリア71cと、を有している。第1の太陽歯車71aは、連結部材52の下面に同軸に連結されている。第1の太陽歯車71aは、合成樹脂製であり、連結部材52と一体成形されている。複数の第1の遊星歯車71bは、第1の太陽歯車71aおよび固定歯車62と噛み合う。第1の遊星キャリア71cは、第1のキャリア本体71c1と、複数の第1の支持柱71c2と、複数の第1の補助柱71c3と、第1の連結板71c4と、を有している。第1のキャリア本体71c1は、円板形状を有している。複数の第1の支持柱71c2と複数の第1の補助柱71c3とは、第1のキャリア本体71c1の上面に周方向に交互に並んで立設されている。複数の第1の支持柱71c2は、複数の第1の遊星歯車71bを回転可能に支持している。第1の連結板71c4は、円環平板形状を有している。第1の連結板71c4は、複数の第1の支持柱71c2の上端部と複数の第1の補助柱71c3の上端部とを連結している。第1の太陽歯車71aの中心および第1のキャリア本体71c1の中心をローター軸53が貫通している。
【0031】
第2の歯車セット72は、第2の太陽歯車72aと、複数の第2の遊星歯車72bと、第2の遊星キャリア72cと、を有している。第2の太陽歯車72aは、第1のキャリア本体71c1の下面に同軸に連結されている。第2の太陽歯車72aは、合成樹脂製であり、第1のキャリア本体71c1と一体成形されている。複数の第2の遊星歯車72bは、第2の太陽歯車72aおよび固定歯車62と噛み合う。第2の遊星キャリア72cは、第2のキャリア本体72c1と、複数の第2の支持柱72c2と、複数の第2の補助柱72c3と、第2の連結板72c4と、を有している。第2のキャリア本体72c1は、円板形状を有している。複数の第2の支持柱72c2と複数の第2の補助柱72c3とは、第2のキャリア本体72c1の上面に周方向に交互に並んで立設されている。複数の第2の支持柱72c2は、複数の第2の遊星歯車72bを回転可能に支持している。第2の連結板72c4は、円環平板形状を有している。第2の連結板72c4は、複数の第2の支持柱72c2の上端部と複数の第2の補助柱72c3の上端部とを連結している。第2の太陽歯車72aの中心および第2のキャリア本体72c1の中心をローター軸53が貫通している。
【0032】
第3の歯車セット73は、第3の太陽歯車73aと、複数の第3の遊星歯車73bと、第3の遊星キャリア73cと、を有している。第3の太陽歯車73aは、第2のキャリア本体72c1の下面に同軸に連結されている。第3の太陽歯車73aは、合成樹脂製であり、第2のキャリア本体72c1と一体成形されている。複数の第3の遊星歯車73bは、第3の太陽歯車73aおよび固定歯車62と噛み合う。第3の遊星キャリア73cは、第3のキャリア本体73c1と、複数の第3の支持柱73c2と、複数の第3の補助柱73c3と、第3の連結板73c4と、を有している。第3のキャリア本体73c1は、円板形状を有している。複数の第3の支持柱73c2と複数の第3の補助柱73c3とは、第3のキャリア本体73c1の上面に周方向に交互に並んで立設されている。複数の第3の支持柱73c2は、複数の第3の遊星歯車73bを回転可能に支持している。第3の連結板73c4は、円環平板形状を有している。第3の連結板73c4は、複数の第3の支持柱73c2の上端部と複数の第3の補助柱73c3の上端部とを連結している。第3の太陽歯車73aの中心をローター軸53が貫通している。
【0033】
駆動軸80は、例えば、円柱形状の金属棒を切削加工することにより形成される。駆動軸80は、第1部分81と、第2部分82と、第3部分83と、を有している。第1部分81と第2部分82と第3部分83とは、上方から下方に順に連設されている。第1部分81は、第3のキャリア本体73c1に連結されている。具体的には、第1部分81は、その外周面にローレット加工が施されており、第3のキャリア本体73c1の中央に形成された孔に圧入されている。第2部分82は、円柱形状を有している。第2部分82の外径は、駆動軸支持部61の内径よりわずかに小さい。第2部分82は、駆動軸支持部61の内側に配置される。第2部分82は、駆動軸支持部61によって回転可能および上下方向に移動可能に支持されている。第3部分83は、円柱形状を有している。第3部分83の外径は、第2部分82の外径より小さい。第3部分83の外周面には、雄ねじ83cが形成されている。雄ねじ83cは、駆動軸支持部61の雌ねじ61cに螺合される。なお、駆動軸支持部61が雄ねじを有し、駆動軸80が雌ねじを有していてもよい。第1部分81から第2部分82まで延びる軸穴80aにローター軸53の下端部が配置されている。
【0034】
ボール85は、第3部分83の下端面に接合される。ボール85は、ボール受け部44の平板部44aと接している。
【0035】
開弁ばね86は、ばね受け部43のフランジ部43aとスリーブ20の段部22との間に配置されている。開弁ばね86は、圧縮コイルばねである。開弁ばね86は、弁体40(フランジ部43a)を上方に押している。
【0036】
ステーターユニット90は、ステーター91と、カバー92と、複数の取付部93と、を有している。ステーター91は、円筒形状を有している。カバー92は、キャップ形状を有している。カバー92の内側にステーター91が配置されている。ステーター91の内側にキャン30が配置される。ステーター91は、ローター51とともにステッピングモーターを構成する。複数の取付部93は、弾性変形可能な金属片である。複数の取付部93は、カバー92に接合されている。複数の取付部93は、キャン30に形成された複数の凸部32に対応している。複数の取付部93は、それぞれに対応する凸部32が嵌まる嵌合孔93aを有している。複数の取付部93の嵌合孔93aに複数の凸部32が嵌まることで、ステーターユニット90がキャン30に取り付けられる。
【0037】
電動弁1において、弁本体10(周壁部11、底壁部12、弁口14)、スリーブ20、キャン30、弁体40、ローター51、連結部材52、ローター軸53、支持部材60(駆動軸支持部61(雌ねじ61c)、固定歯車62、金属部材63)、第1の太陽歯車71a、第1の遊星キャリア71c、第2の太陽歯車72a、第2の遊星キャリア72c、第3の太陽歯車73a、第3の遊星キャリア73cおよび駆動軸80は、それぞれの中心軸が軸線L上で一致する。
【0038】
次に、電動弁1の動作について説明する。
【0039】
電動弁1において、ステーター91に電流を流して、ローター51を一方向に回転させる。ローター51の回転は、遊星歯車装置75で減速されて駆動軸80に伝達される。駆動軸80の雄ねじ83cと駆動軸支持部61の雌ねじ61cとのねじ送り作用により、駆動軸80、歯車機構70、連結部材52およびローター51が下方に移動する。駆動軸80によって弁体40が下方に押され、弁口14の開口面積が小さくなる。弁体40が弁口14を閉じると電動弁1は閉弁状態になる。
【0040】
電動弁1において、ステーター91に電流を流して、ローター51を他方向に回転させる。ローター51の回転は、遊星歯車装置75で減速されて駆動軸80に伝達される。駆動軸80の雄ねじ83cと駆動軸支持部61の雌ねじ61cとのねじ送り作用により、駆動軸80、歯車機構70、連結部材52およびローター51が上方に移動する。開弁ばね86によって弁体40が上方に押され、弁口14の開口面積が大きくなる。弁体40が弁口14を開くと電動弁1は開弁状態になる。
【0041】
次に、電動弁1の製造方法について説明する。
【0042】
支持部材60の成形に用いる金型のキャビティに金属部材63を設置し、合成樹脂をキャビティに射出および充填して、支持部材60を得る。
【0043】
弁本体10に、第1導管16および第2導管17をろう付けする。弁本体10の上部10aを接合部材35の内側に挿入し、上部10aを接合部材35の内周縁に溶接する。弁体40のステム41をスリーブ20の第1円筒部21および開弁ばね86に挿入する。ステム41にばね受け部43を接合し、ばね受け部43にボール受け部44を嵌合する。弁体40を組み付けたスリーブ20を弁本体10の内側に配置する。弁本体10の上部10aに支持部材60の駆動軸支持部61を挿入し、弁本体10の平面15と駆動軸支持部61とによってスリーブ20のフランジ部24を保持する。弁本体10の上部10aに支持部材60の金属部材63を溶接する。
【0044】
複数の第1の遊星歯車71b、第1の遊星キャリア71cおよび第2の太陽歯車72aを互いに組み付けて第1の組付体A1を得る。複数の第2の遊星歯車72b、第2の遊星キャリア72cおよび第3の太陽歯車73aを互いに組み付けて第2の組付体A2を得る。複数の第3の遊星歯車73b、第3の遊星キャリア73c、駆動軸80およびボール85を互いに組み付けて第3の組付体A3を得る。第3の組付体A3、第2の組付体A2および第1の組付体A1を順番に支持部材60に組み付ける。
【0045】
ローター軸53を、連結部材52、第1の太陽歯車71a、第1の遊星キャリア71c、第2の太陽歯車72a、第2の遊星キャリア72c、第3の太陽歯車73aに通し、ローター軸53の下端部を駆動軸80の軸穴80aに挿入する。ローター51が接合された連結部材52と軸受部材54との間にローターばね55を配置し、ローター軸53の上端部を軸受部材54に挿入する。
【0046】
キャン30の内側に、弁本体10の上部10a、ローター51、連結部材52、ローター軸53、軸受部材54、ローターばね55、支持部材60および歯車機構70を挿入する。キャン30の下端部を接合部材35の外周縁に溶接する。ステーターユニット90をキャン30に取り付ける。このようにして、電動弁1が完成する。
【0047】
本実施例の電動弁1は、弁口14を有する弁本体10と、弁口と向かい合って配置される弁体40と、弁本体10に対して回転可能に配置されるローター51と、ローター51に連結される遊星歯車装置75と、遊星歯車装置75に連結される駆動軸80と、弁本体10に固定される駆動軸支持部61と、を有する。遊星歯車装置75が、第1の歯車セット71(第1の太陽歯車71a、複数の第1の遊星歯車71b、第1の遊星キャリア71c)と、第2の歯車セット72(第2の太陽歯車72a、複数の第2の遊星歯車72b、第2の遊星キャリア72c)と、第3の歯車セット73(第3の太陽歯車73a、第3の遊星歯車73b、第3の遊星キャリア73c)と、第1の遊星歯車71b、第2の遊星歯車72bおよび第3の遊星歯車73bと噛み合う固定歯車62と、を有する。駆動軸80が雄ねじ83cを有する。駆動軸支持部61が雄ねじ83cが螺合される雌ねじ61cを有する。駆動軸80が遊星歯車装置75によって回転されると、駆動軸80が下方(弁口14に近づく方向)または上方(弁口14から離れる方向)に移動する。そして、駆動軸支持部61と固定歯車62とが、合成樹脂製であり、一体成形されている。
【0048】
このようにしたことから、駆動軸支持部61と遊星歯車装置75の固定歯車62とが、1つの部品として一体的に形成されるため、駆動軸支持部61の雌ねじ61cの中心軸と固定歯車62の中心軸とを高い精度で同軸に配置することができる。そのため、歯車などの回転部品の偏摩耗を抑制できる。また、回転部品の偏心による回転伝達効率の低下を抑制できる。また、電動弁1の部品点数が少なくなり、電動弁1の組立性を向上させることができる。
【0049】
また、電動弁1は、弁本体10に接合される金属部材63を有している。そして、駆動軸支持部61と固定歯車62と金属部材63とが、一体成形されている。このようにすることで、駆動軸支持部61および固定歯車62を弁本体10に確実に固定することができる。
【0050】
また、ローター51が、第1の太陽歯車71aと同軸に連結される。第1の遊星キャリア71cが、第2の太陽歯車72aと同軸に連結される。第2の遊星キャリア72cが、第3の太陽歯車73aと同軸に連結される。第3の遊星キャリア73cが駆動軸80と同軸に連結される。固定歯車62に、複数の第1の遊星歯車71bと複数の第2の遊星歯車72bと複数の第3の遊星歯車73bが噛み合う。このようにすることで、遊星歯車装置75が、2K-H型の遊星歯車機構を3段組み合わせた構成を有し、比較的大きい減速比を得ることができる。また、固定歯車62を第1の歯車セット71、第2の歯車セット72および第3の歯車セット73で共用するので、遊星歯車装置75を簡易な構成にすることができる。
【0051】
なお、遊星歯車装置75は、2K-H型の遊星歯車機構を1段または2段有していてもよく、4段以上有していてもよい。遊星歯車装置75が、太陽歯車と遊星歯車と遊星キャリアとを1組とする歯車セットをN個(ただし、Nは2以上の自然数である。)有する構成では、ローター51が連結部材52を介して第1の歯車セットの太陽歯車と同軸に連結され、第K(ただし、K=1、・・・、N-1である。)の歯車セットの遊星キャリアが、第K+1の歯車セットの太陽歯車と同軸に連結され、第Nの歯車セットの遊星キャリアが駆動軸80と同軸に連結される。そして、遊星歯車装置75が、固定歯車62を1つのみ有し、固定歯車62にN個の歯車セットのそれぞれの遊星歯車が噛み合う。また、遊星歯車装置75は、2K-H型の遊星歯車機構に代えて、例えば、特許文献1に開示されている3K型不思議遊星歯車機構を有していてもよい。
【0052】
図6図8に、上述した電動弁1の変形例である電動弁1Aを示す。電動弁1Aは、(1)駆動軸80に代えて、出力軸180と駆動軸185とを有すること、(2)ローターばね55を省略したこと、以外は、電動弁1と同じ構成を有する。電動弁1Aの説明において、電動弁1と同じ構成には同じ符号を付して詳細説明を省略する。
【0053】
出力軸180は、例えば、円柱形状の金属棒を切削加工することにより形成される。出力軸180は、第1部分181と、第2部分182と、を有している。第1部分181と第2部分182とは、上方から下方に順に連設されている。第1部分181は、第3のキャリア本体73c1に連結されている。具体的には、第1部分181は、その外周面にローレット加工が施されており、第3のキャリア本体73c1の中央に形成された孔に圧入されている。第2部分182は、円柱形状を有している。第2部分182の下部には、上下方向に延在するスリット183が形成されている。第2部分182の外径は、駆動軸支持部61の内径よりわずかに小さい。第2部分182は、駆動軸支持部61の内側に配置される。第2部分182は、駆動軸支持部61によって回転可能に支持されている。第1部分181から第2部分182まで延びる軸穴180aにローター軸53の下端部が配置されている。
【0054】
駆動軸185は、例えば、円柱形状の金属棒を切削加工することにより形成される。駆動軸185は、円柱部分186と、平板部分187と、を有している。円柱部分186と平板部分187とは、下方から上方に順に連設されている。円柱部分186の外周面には、雄ねじ186cが形成されている。雄ねじ186cは、駆動軸支持部61の雌ねじ61cに螺合される。平板部分187の厚さは、出力軸180のスリット183の幅よりわずかに小さい。平板部分187は、出力軸180のスリット183の内側に上下方向に移動可能に配置される。スリット183および平板部分187によって、出力軸180の回転を駆動軸185に伝達しつつ、出力軸180に対する駆動軸185の上下方向の移動が可能になる。駆動軸185が回転されると、雄ねじ186cと駆動軸支持部61の雌ねじ61cとのねじ送り作用により、駆動軸185が上下方向に移動する。なお、電動弁1Aにおいて、出力軸180、歯車機構70、連結部材52およびローター51は上下方向に移動しない。
【0055】
電動弁1Aにおいても、上述した電動弁1と同様の作用効果を奏する。
【0056】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例に係る電動弁について、図9図16を参照して説明する。本実施例に係る電動弁2も、電動弁1と同様に、冷凍サイクル等において使用される。
【0057】
図9図10は、本発明の第2実施例に係る電動弁の断面図である。図9は、開弁状態の電動弁を示し、図10は、閉弁状態の電動弁を示す。図11は、図9の電動弁の一部(主に弁体駆動部)を拡大した断面図である。図12は、図9の電動弁が有する支持部材の一部断面を含む斜視図である。図13は、図9の電動弁が有する弁体駆動部の分解立体図である。図14図15は、図9の電動弁の変形例である電動弁の断面図である。図14は、開弁状態の電動弁を示し、図15は、閉弁状態の電動弁を示す。図16は、図14の電動弁の一部(主に弁体駆動部)を拡大した断面図である。図11図16において、ステーターユニットの記載を省略している。
【0058】
第2実施例に係る電動弁2は、支持部材60に代えて、当該支持部材60とは構成の異なる支持部材260を有すること以外は、電動弁1と同じ構成を有する。電動弁2の説明において、電動弁1と同じ構成には同じ符号を付して詳細説明を省略する。
【0059】
支持部材260は、合成樹脂製部品と金属製部品とを射出成形(インサート成形)によって一体的に形成した1つの部品である。支持部材260は、駆動軸支持部261と、固定歯車262と、金属部材263と、を有している。駆動軸支持部261および固定歯車262は、PPSやPEEKなどの合成樹脂製である。金属部材263は、真ちゅうやステンレスなどの金属製である。弁本体10と金属部材263とは、同一の金属製であることが好ましい。または、弁本体10が合金製であり、金属部材263が、当該合金と主成分が同一でかつ成分または成分比率が異なる他の合金製であってもよい。
【0060】
駆動軸支持部261は、円筒形状を有している。駆動軸支持部261は、内周面261aの下部に雌ねじ261cが形成されている。雌ねじ261cには、駆動軸80の雄ねじ83cが螺合される。
【0061】
固定歯車262は、円筒形状を有している。固定歯車262の外径は、駆動軸支持部261の外径より大きい。固定歯車262の下端部は、駆動軸支持部261の上端部に連設されている。固定歯車262は、内周面に歯が形成された固定内歯車である。固定歯車262は、上述した固定歯車62と実質的に同じである。電動弁2において、歯車機構70は、固定歯車262とともに遊星歯車装置275を構成する。
【0062】
金属部材263は、段付きの円筒形状を有している。金属部材263は、小径円筒部264と、大径円筒部265と、を有している。小径円筒部264と大径円筒部265とは、下方から上方に順に連設されている。小径円筒部264の外径は、弁本体10の上部10aの内径よりわずかに大きい。小径円筒部264の内側には、駆動軸支持部261が配置されている。小径円筒部264は、その下端面から上方に延びる縦孔と、その外周面に周方向に沿って形成され、縦孔の上端部が接続された環状溝と、を有している。環状溝は、弁本体10の上部10aに形成された横孔に接続されている。大径円筒部265の外径は、弁本体10の上部10aの外径より大きい。大径円筒部265の内側には、固定歯車262の下部が配置されている。小径円筒部264は、弁本体10の上部10aの内側に同軸に配置されている。小径円筒部264は、弁本体10の上部10aに圧入されている。小径円筒部264と弁本体10の平面15との間にスリーブ20のフランジ部24が保持される。駆動軸支持部261と固定歯車262と金属部材263とは、同軸に配置されている。
【0063】
小径円筒部264は、周方向に間隔をあけて並ぶ複数の貫通孔264aを有している。支持部材260を射出成形する際に複数の貫通孔264aに合成樹脂が充填される。これにより、電動弁2において、金属部材263から駆動軸支持部261および固定歯車262が脱落してしまうことを規制する。
【0064】
電動弁2においても、上述した電動弁1と同様の作用効果を奏する。
【0065】
また、電動弁2は、弁本体10に圧入される金属部材263を有している。そして、駆動軸支持部261と固定歯車262と金属部材263とが、一体成形されている。このようにすることで、駆動軸支持部261および固定歯車262を弁本体10に確実に固定することができる。
【0066】
図14図16に、上述した電動弁2の変形例である電動弁2Aを示す。電動弁2Aは、支持部材60に代えて、支持部材260を有すること以外は、電動弁1Aと同じ構成を有する。電動弁2Aは、すでに説明した部品で構成されているので、詳細説明を省略する。
【0067】
電動弁2Aにおいても、上述した電動弁2と同様の作用効果を奏する。
【0068】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例の構成に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、2、2A…電動弁、10…弁本体、10a…上部、11…周壁部、12…底壁部、13…弁室、14…弁口、15…平面、16…第1導管、17…第2導管、20…スリーブ、21…第1円筒部、22…段部、23…第2円筒部、24…フランジ部、30…キャン、32…凸部、35…接合部材、40…弁体、41…ステム、42…弁部、43…ばね受け部、43a…フランジ部、44…ボール受け部、44a…平板部、44b…凸部、50…弁体駆動部、51…ローター、52…連結部材、53…ローター軸、54…軸受部材、55…ローターばね、60…支持部材、61…駆動軸支持部、61a…内周面、61c…雌ねじ、62…固定歯車、63…金属部材、63a…貫通孔、70…歯車機構、71…第1の歯車セット、71a…第1の太陽歯車、71b…第1の遊星歯車、71c…第1の遊星キャリア、71c1…第1のキャリア本体、71c2…第1の支持柱、71c3…第1の補助柱、71c4…第1の連結板、72…第2の歯車セット、72a…第2の太陽歯車、72b…第2の遊星歯車、72c…第2の遊星キャリア、72c1…第2のキャリア本体、72c2…第2の支持柱、72c3…第2の補助柱、72c4…第2の連結板、73…第3の歯車セット、73a…第3の太陽歯車、73b…第3の遊星歯車、73c…第3の遊星キャリア、73c1…第3のキャリア本体、73c2…第3の支持柱、73c3…第3の補助柱、73c4…第3の連結板、75…遊星歯車装置、80…駆動軸、80a…軸穴、81…第1部分、82…第2部分、83…第3部分、83c…雄ねじ、85…ボール、86…開弁ばね、90…ステーターユニット、91…ステーター、92…カバー、93…取付部、93a…嵌合孔、180…出力軸、180a…軸穴、181…第1部分、182…第2部分、183…スリット、185…駆動軸、186…円柱部分、186c…雄ねじ、187…平板部分、260…支持部材、261…駆動軸支持部、261a…内周面、261c…雌ねじ、262…固定歯車、263…金属部材、264…小径円筒部、264a…貫通孔、265…大径円筒部、275…遊星歯車装置、A1…第1の組付体、A2…第2の組付体、A3…第3の組付体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16