(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A63F5/04 601A
(21)【出願番号】P 2022006762
(22)【出願日】2022-01-19
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 潤
【審査官】温井 脩市
(56)【参考文献】
【文献】特許第7017276(JP,B1)
【文献】特開2023-046153(JP,A)
【文献】特開2009-261567(JP,A)
【文献】特開2003-102903(JP,A)
【文献】特開2008-212555(JP,A)
【文献】特開2020-151151(JP,A)
【文献】特開2011-212381(JP,A)
【文献】特開2010-240057(JP,A)
【文献】特開2021-065389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に取り付けられた前扉と、を備え、
前記前扉の状態には、第1状態と、第3状態とが含まれ、
前記第1状態は、前記前扉が閉じており、前記前扉の被支持部が前記筐体の支持部に支持され、前扉下面の後辺と前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法が第1寸法となっている状態であり、
前記第3状態は、前記前扉が開いており、前記前扉の被支持部が前記筐体の支持部と当接し、前記前扉下面の後辺と前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法が第3寸法となっている状態であり、
前記第3寸法は、前記第1寸法よりも小さく、かつ、メダルの厚さよりも大きく、
前記第1寸法及び第3寸法は、遊技球の直径よりも小さく、
前記第1状態において、
筐体天面の前辺は、前扉天面の後辺よりも上方に位置しており、
筐体右側面の前辺は、前扉右側面の後辺よりも右方に位置しており、
前記筐体天面と前記筐体右側面とで形成された右上辺は、前記前扉天面と前記前扉右側面とで形成された右後頂点よりも外方に位置し、
前記前扉は、透光性を有するパネル部を備え、
前記パネル部は、
画像を有するシートと、
前記シートの前方に配置された前パネルと、を有し、
前記前パネルは、前面の縁にシボが形成されたシボ部を有し、
前記シボ部は、前記画像の縁を覆うように配置されている、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、回胴式遊技機(スロットマシン)や、弾球式遊技機(パチンコ機)などの遊技機は、筐体に対して開閉可能な前扉が設けられており、この前扉を開閉することによって、遊技機の内部にアクセスすることができるように構成されている。このような前扉に、装飾が施された装飾シートと、透光可能な透光パネルとを備え、装飾シートを透光パネルで保護した遊技機が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記透光パネルは、ある程度の衝撃に耐えられるよう、所定の厚み(例えば3mm程度)を有するアクリル樹脂等で構成されている。しかしながら、このように厚みがあると、その厚みによって装飾シートよりも外側を覗き込むことが可能となる虞があり、前扉の内部が視認できてしまう可能性がある。このように前扉の内部が視認できると、意匠性として美観を損なうだけでなく、所謂ゴト対策としても良好ではないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、パネル部を介して内部を視認することを不能にすることが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に取り付けられた前扉と、を備え、
前記前扉の状態には、第1状態と、第3状態とが含まれ、
前記第1状態は、前記前扉が閉じており、前記前扉の被支持部が前記筐体の支持部に支持され、前扉下面の後辺と前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法が第1寸法となっている状態であり、
前記第3状態は、前記前扉が開いており、前記前扉の被支持部が前記筐体の支持部と当接し、前記前扉下面の後辺と前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法が第3寸法となっている状態であり、
前記第3寸法は、前記第1寸法よりも小さく、かつ、メダルの厚さよりも大きく、
前記第1寸法及び第3寸法は、遊技球の直径よりも小さく、
前記第1状態において、
筐体天面の前辺は、前扉天面の後辺よりも上方に位置しており、
筐体右側面の前辺は、前扉右側面の後辺よりも右方に位置しており、
前記筐体天面と前記筐体右側面とで形成された右上辺は、前記前扉天面と前記前扉右側面とで形成された右後頂点よりも外方に位置し、
前記前扉は、透光性を有するパネル部を備え、
前記パネル部は、
画像を有するシートと、
前記シートの前方に配置された前パネルと、を有し、
前記前パネルは、前面の縁にシボが形成されたシボ部を有し、
前記シボ部は、前記画像の縁を覆うように配置されている、
ことを特徴とする遊技機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パネル部を介して内部を視認することを不能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る遊技機の外観構成を示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る遊技機の外観構成を示す側面図である。
【
図3】本実施形態に係る遊技機の筐体の内部の構成を示す正面図である。
【
図4】本実施形態に係る第1状態の前扉を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る第2状態の前扉を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る第3状態の前扉を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るメダル及び遊技球を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る遊技機の外観構成を示す背面斜視図である。
【
図11】本実施形態に係る筐体の変形例を示す斜視図である。
【
図12】本実施形態に係る下パネル部を分解して示す斜視図である。
【
図13】本実施形態に係る下パネル部の上部を示す断面図である。
【
図14】本実施形態に係る前パネルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。更に、以下の記載において、遊技者の方(手前)を「前方」、反対を「後方」と記載すると共に、
図1の正面図を基準に遊技機の上下左右を規定する。
【0010】
[遊技機の構成の概要]
まず、
図1~
図3に基づいて、遊技機の概略構成について説明をする。本実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。このスロットマシン1は、
図1及び
図2に示すように、箱型の筐体BXと、この筐体BXに対して開閉可能な前扉FDと、を備えている。
【0011】
上記筐体BXは、
図3に示すように、前面に開口BXaを有しており、その内部には遊技を実行可能にするため、或いは演出を実行可能にするための各種の内部機器が収納されている。各種の内部機器として、筐体BXには、複数のリールR1~R3を有するリールユニット310が収められており、また、リールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320が、リールユニット310の上部には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板10などが収められている。
【0012】
上述した複数のリールR1~R3(最も左方側に配置された第1リールR1、第1リールR1の右方側に配置された第2リールR2、第2リールR2の右方側に配置された第3リールR3)は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また、第1リールR1~第3リールR3は、内部からバックライトBLによって照らされると共に、リール駆動手段としてのステッピングモータMに軸支されてコマ単位(所定の回転角度単位、所定の回転量単位)で停止可能に設けられている。
【0013】
前扉FDは、それぞれ個別に開閉可能で、開口BXaの上半部を閉じることが可能な前面上扉UDと、開口の下半部を閉じることが可能な前面下扉DDと、に上下に分割して構成されている。これら前面上扉UD及び前面下扉DDは、それぞれの左方側に設けられたヒンジHN(
図3参照)によって筐体BXに開閉自在に取り付けられており、筐体BXに対して右方側が開閉可能となっていて、閉じられた際に上記各種の内部機器を前方から閉塞する。なお、本実施の形態においては、前扉FDに取付けられ、前扉FDを筐体BXに対して閉じた際、筐体BXの内部に納まらない機器であっても、前扉FDを閉じたことによって外部からアクセス不能になる機器について、内部機器と言うものとする。
【0014】
また、
図1に示すように、前面上扉UDには、第1リールR1~第3リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能にする表示窓DWが設けられている。第1リールR1~第3リールR3の停止状態では、第1リールR1~第3リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示窓DWを通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、本実施形態のスロットマシン1では、表示窓DWを通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。なお、本実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると第1リールR1~第3リールR3の中段によって構成される有効ラインXが有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、表示窓DW内の有効ラインX上に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインX上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0017】
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1~ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
【0018】
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが傾動操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後に第1リールR1~第3リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。本実施形態のスロットマシン1では、当選コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
【0019】
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、図示しない有利期間制御手段によって有利期間が開始されている場合に点灯し、有利期間が開始されていない、つまり非有利期間が開始されている場合に消灯することで有利期間が開始されているか否かを報知する有利期間報知部500Aが設けられている。
【0020】
更に、スロットマシン1には、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりする、遊技に関する演出を実行可能な演出装置300が設けられている。演出装置300には、前面上扉UDに設けられている、表示装置330、可動役物装置350、及び複数の電飾装置360、前面下扉に設けられている複数の電飾装置370が含まれる。表示装置330は、例えば液晶ディスプレイから構成され、遊技の進行に応じて各種の映像や画像を表示する演出を実行する。可動役物装置350は、例えば、表示装置330の前方に配置されており、遊技の進行に応じてモータやソレノイド等の駆動手段により移動し、表示装置330の画面を遮蔽させたり露出させたりする演出を実行する。電飾装置360,370は、遊技の進行に応じて発光する演出を実行する。また、演出装置300には、前面上扉UD及び前面下扉DDに設けられている、複数の音響装置380,390,395を含む。音響装置380,390,395は、それぞれ前扉FDの上部、下部、詳しくは後述する下パネル部UPに左右一対、配置され、遊技の進行に応じて各種の音声を出力する演出を実行する。
【0021】
前面下扉DDは、正面視において前面下扉DDと略同サイズであり、遊技者が遊技に係る操作を行う操作部CP、電飾装置370、音響装置390,395、下パネル部UP、メダル受皿MP等を備えている。より具体的には、操作部CPは、前面下扉DDの上部(前扉FDの中央部)にて前方に突出して構成されており、その上面には、遊技者が1枚ずつメダルを投入するためのメダル投入口MI、及びメダルがクレジット(貯留)されている状態で、クレジットされたメダルのうちから一度の操作によって規定投入数のメダルを投入する投入操作を受付ける投入操作手段としてのマックスベットボタンMB(ベットボタン)が取付けられている。
【0022】
また、操作部CPの前面には、投入操作手段としてのシングルベットボタンBT、開始操作手段としてのスタートレバーSL、停止操作手段としての複数のストップボタンであるストップボタンB1~ストップボタンB3、クレジットされたメダルを清算するための清算ボタンBS、前扉FDの開閉を行うためのシリンダ錠CYが取付けられている。シングルベットボタンBTは、メダルがクレジットされている状態で、クレジットされたメダルのうちから1枚のメダルを投入する投入操作を受付ける。スタートレバーSLは、第1リールR1~第3リールR3を回転させる契機となる開始操作を受付ける。ストップボタンB1~ストップボタンB3は、ステッピングモータMにより回転駆動されている第1リールR1~第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を受付ける。クレジットされているメダルは、貯留手段としての制御基板10に記憶(貯留)されている。
【0023】
本実施形態のスロットマシン1では、遊技者がメダルをメダル投入口MIに投入するか、メダルが規定投入数以上にクレジットされている場合に、規定投入数と同じ回数シングルベットボタンBTを後方に向けて押下するシングルベット操作(投入操作)又はマックスベットボタンMBを下方に向けて押下するマックスベット操作(投入操作)を行うことで、規定投入数のメダルが投入状態に設定され、第1リールR1~第3リールR3の回転制御を開始することが可能な準備状態にセットされる。そして、遊技者がスタートレバーSLに対してスタートレバーSLを傾動させる開始操作(傾動操作)を実行すると、制御基板10において第1リールR1~第3リールR3をステッピングモータMの駆動により回転開始させるとともに、乱数を用いた内部抽選が行われ、第1リールR1~第3リールR3の回転速度が所定の速度まで上昇し定常回転になったことを条件に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下操作が許可、すなわちストップボタンB1~ストップボタンB3による停止操作が有効化される。
【0024】
なお、本実施形態のスロットマシン1は、第1リールR1~第3リールR3を回転開始させた場合に、ウェイト(又はウェイト時間)と称される待機時間(約4.1秒)を設定するように構成されている。そして、スロットマシン1は、待機時間の設定から待機時間が経過するまでの期間内に再び開始操作が行われた場合に、待機時間が経過した後に第1リールR1~第3リールR3を回転開始させるように構成されている。
【0025】
その後、遊技者が任意のタイミングでストップボタンB1~ストップボタンB3を後方に向けて押下(以下、「押下タイミング」と記載)していくと、ストップボタンB1~ストップボタンB3のそれぞれに内蔵されている停止信号出力手段としてのストップスイッチがON動作を行い、制御基板10へ出力するリール停止信号をOFF状態からON状態へ変化させる。
【0026】
また、遊技者が任意のタイミングで押下状態にあるストップボタンB1~ストップボタンB3を解放すると、ストップボタンB1~ストップボタンB3それぞれに対応するストップスイッチがOFF動作を行い、制御基板10へ出力するリール停止信号をON状態からOFF状態に変化させる。そして、制御基板10は、ストップボタンB1~ストップボタンB3の押下タイミング及び解放タイミングに応じて信号状態が変化するリール停止信号のOFF状態からON状態への変化に基づいて、内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リールR1~第3リールR3を停止させる。
【0027】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受皿MPへ払い出されるようになっている。また、制御基板10にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、清算ボタンBSが押下された場合、清算ボタンBSの押下に伴って清算ボタンBSに内蔵されているメダル清算スイッチがON動作を行い、制御基板10へ出力するメダル清算信号をOFF状態からON状態へ変化させる。制御基板10は、メダル清算信号のOFF状態からON状態への変化に伴って、第1リールR1~第3リールR3が回転しておらずかつメダルがベットされていない状態に限り、ホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す清算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受皿MPへメダルを払い出す。
【0028】
[前扉の下部隙間]
ついで、前扉FD(前面下扉DD)の下部隙間について
図4~
図7に基づいて説明をする。
図4~
図6は、
図1に示すS-S線における断面図である。S-S線の位置は、遊技機1の右端(筐体BXの右側面)から、所定の寸法(例えばメダルの直径程度に相当する寸法)だけ左側に移動(オフセット)した位置となっている。詳細は後述するが、
図4は前扉FDが「第1状態」である場合を示しており、
図5は前扉FDが「第2状態」である場合を示しており、
図6は前扉FDが「第3状態」である場合を示している。
【0029】
図4に示すように、前扉FDにおける右側の背面(前扉FDの背面を正面から見た場合における左側、ヒンジHNとは反対側)には、後方に向かって突出するように形成された被支持部91(凸部)が設けられている。なお、本実施形態では、被支持部91の先端にローラー部が設けられている。また、筐体BXの内部を正面から視た場合における右側であって、前扉FDを閉じた際の被支持部91に対応する位置には、支持部92が形成されている。支持部92は、上記
図1におけるS-S線の位置において被支持部91を下方から支持可能に形成されている。
【0030】
本実施形態では、支持部92は板状に形成されており、上下方向と垂直または略垂直となる板面を有するように配置されている。支持部92は、例えば、筐体BXの右側板の内面にねじ締め等により固定されている。前扉FDを開いた状態(開放状態)から閉じた状態(閉鎖状態)へと移動させる場合、まず、被支持部91のローラー部が支持部92の手前側(前方側)に接触(当接)し、次に、被支持部91のローラー部が支持部92の上に載り(乗り上げ)、ローラー部が支持部92の上を後方側へ進む。そして、ローラー部は所定の位置で停止する。前扉FDを閉じた状態では、被支持部91が下方から支持され、前扉FDを開いた状態では、被支持部91の下方からの支持が解除(開放)されるようになっている。下方からの支持を失った前扉FDは、自重によって下に下がった状態となる。
【0031】
前扉FDの状態(位置)には、第1状態と、第2状態と、第3状態とが含まれる。
(第1状態)
図4に示すように、第1状態は、前扉FDが閉まっており(閉じており)、前扉FDの被支持部91が筐体BXの支持部92に支持された状態(閉まった状態、閉鎖された状態)である。本実施形態では、被支持部91が支持部92に荷重を加えている(載荷している)状態である。支持部92が被支持部91を上方に持ち上げているとも言える。
(第2状態)
図5に示すように、第2状態は、前扉FDが開いており、前扉FDの被支持部91が筐体BXの支持部92に当接(接触)していない状態(離間している状態、開放状態)である。
(第3状態)
図6に示すように、第3状態は、前扉FDが開いており、前扉FDの被支持部91が筐体BXの支持部92に当接(接触)している状態である。被支持部91が支持部92に当接し、前扉FDが完全に閉まらずに開いている状態とも言える。また、支持部92に当接しているが、被支持部91が支持部92によって支持されておらず、前扉FDが完全に閉まらずに開いている状態(半開放状態:少しだけ開放している状態)とも言える。なお、第3状態は、支持部92の先端部(だけ)が被支持部91を支持している状態であってもよい(被支持部91が支持部92の先端部(だけ)によって支持されている状態であってもよい)。また、第3状態は、第2状態よりも前扉FDの開放角度が小さい状態とも言える。即ち、第3状態の前扉FDの開放角度は、前扉FDの最大開放角度よりも小さくなっている。なお、前扉FDの開放角度とは、例えば、筐体BXの前面と前扉FDの背面とがなす角度とする。
【0032】
遊技機(筐体BX)の底面(下面)BXbは、相手部材(島設備等)と接触する面となる。以下、この底面BXbを筐体BXの載置面Zとする。筐体BXの載置面Zは、設置台(台)の上面と面一となっている。設置台は後方側から手前側へ延びるように形成されており、メダル受皿MPの下方にも位置(存在)している。以下、筐体BXの載置面Zという場合、載置面Zと面一となっている面全体(設置台の上面を含む)を指すものとしてもよい。なお、メダル受皿MPの例えば左側の台の上のスペースに、遊技者は飲料等を置くことができる。
【0033】
前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下面)は、筐体BXの底面BXb(載置面Z)よりも上方に位置している。
図4に示すように、第1状態(閉鎖状態)では、前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下辺、前扉FDの下面の後辺)Y1から筐体BXの載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が第1寸法L1となっている(第1寸法L1となるように設計されている)。第1寸法L1は、約3~5mm程度となっている。
【0034】
図5に示すように、第2状態(開放状態)では、前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下面、前扉FDの下面の後辺)Y2から筐体BXの載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が、第1寸法L1よりも小さい第2寸法L2となっている(第2寸法L2となるように設計されている)。第2寸法L2は、約2~3mm程度となっている。
【0035】
図6に示すように、第3状態では、前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下面、前扉FDの下面の後辺)Y3から筐体BXの載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が第1寸法L1よりも小さい第3寸法L3となっている(第3寸法L3となるように設計されている)。第3寸法L3は約2~3mm程度となっている。
【0036】
第1寸法L1~第3寸法L3は、前扉FD(メダル受皿MP)の下端(下面)と筐体BXの底面BXb(載置面Z)との上下方向の距離(差)とも言える。本実施形態では、メダル受皿MPの下面は、前後方向において、後方から前方に向かうほど上方に傾斜する面(遊技機1の前面側から背面側に向かって下り傾斜する面)となっている。よって、第1寸法L1~第3寸法L3は、メダル受皿MPの下面の後端(最下端)と、筐体BXの底面BXb(載置面Z)との上下方向の距離となっている。なお、筐体BXの底板BXLの厚さは、約15mm程度となっている。
【0037】
図7に示すように、メダルMの直径を寸法L4とする。また、メダルMの厚さを寸法L5とする。本実施形態に係る遊技機で遊技に使用されるメダルMは、寸法L4がΦ25(直径約25mm)となっており、寸法L5が約1.6mmとなっている。ただし、メダルMは、寸法L4がΦ30(直径約30mm)となっており、寸法L5が約1.7mmとなっているものであってもよい。また、遊技球Bの直径を寸法L6とする。寸法L6は約11mmである。
【0038】
図4で示した第1寸法L1は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。
図5で示した第2寸法L2は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。
図6で示した第3寸法L3は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。
【0039】
上述のとおり、前扉FDを閉じた状態(第1状態)では被支持部91が下方から支持されるようになっている。一方、前扉FDを開いた状態(第2状態および第3状態)では被支持部91の下方からの支持が解除(開放)されるようになっている。したがって、下方からの支持を失った開放状態の前扉FDは、自重によって僅かに下(下方)に下がった状態となる。換言すると、下端Y2(第2状態)および下端Y3(第3状態)は、下端Y1(第1状態)よりも下方に位置し、第2寸法L2および第3寸法L3は、第1寸法L1よりも小さくなっている。さらに換言すると、閉鎖状態よりも開放状態の方が、前扉FD(メダル受皿MP)の下端が、台の上面(筐体BXの載置面Z)に接近するようになっている。
【0040】
(メダルMの厚さとの関係)
本実施形態の遊技機を載置面Zに載置した場合において、前扉FDをいずれの状態とした場合であっても、前扉FD(メダル受皿MP)の下端と載置面Zとの間に、メダルMの厚さよりも大きい隙間(第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3)が形成される。換言すると、第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3がメダルMの厚さ(寸法L5)よりも大きくなっている。このため、仮に、前扉FD(メダル受皿MP)の下側と、メダル受皿MPの下方に存在する台との間にメダルMが入り込んでしまった(メダルMが隠れてしまった)状態で、前扉FDを開閉した場合であっても、前扉FD(メダル受皿MP)の下端とメダルMとが接触することはない。換言すると、メダル受皿MPと台との隙間に隠れたメダルMが、前扉FDの開閉を妨げることがない。このため、台の上面(載置面Z)にメダルMが存在する場合であっても、前扉FDをスムーズに開閉できる。特に、上述したように、本実施の形態における第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3は、それぞれ、前扉FDの右下端部(
図1に示すS-S線の位置)における前扉FDの下端Y1と筐体BXの載置面Zとの間の寸法である。前扉FDは、筐体BXに対して多少のがたつきを有している。このため、前扉FDが開放されると(被支持部91が筐体BXの支持部92に支持されなくなると)、前扉FDは、ヒンジHNを中心に自重によって下方に向けて左右に傾ぐことがある。この状態において、前扉FDの下部隙間は、上記前扉FDの右下端部に向かって小さくなる。そして、本実施の形態では、この前扉FDの右下端部における下部隙間の寸法L1~L3のいずれにおいても、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている。このため、上記前扉FDのがたつきを考慮した場合であっても、メダルMによって前扉FDの開閉が妨げられることが無い。また、仮に前扉FDを開いた際に前扉FDの下端がメダルMに接触する場合、メダルMが押し出されて台の上から落ち、メダルMを探す等の手間が生じるが、本実施形態によれば、そのような手間が生じるのを防止できる。
【0041】
また、本実施形態によれば、筐体BXの載置面Z(台の上面)にメダルMが重なることなく載置されている状態において、前扉FDが第2状態(開放状態)から第1状態(閉鎖状態)になることが、当該メダルMによって阻止されない(防止されない、妨げられない)。遊技場(ホール)の店員が、ホッパー内のメダルMが不足する(なくなる)ことによって発生するエンプティエラーの原因等を解消するために前扉FDを開放することがあるが、開放した前扉FDを閉じる際に、筐体BXの載置面ZにメダルMが載置されている場合であっても、当該メダルMが前扉FDに接触することなく前扉FDを閉じることができる。これにより、前扉FDと筐体BX(筐体BXの前面)との隙間にメダルMが挟まって前扉FDを閉じることができないという事態や、メダルMの挟み込みによる衝撃によって前扉FDが破損するという事態を回避できる。
【0042】
また、筐体BXの載置面Z(台の上面)にメダルMが重なることなく載置されている状態において、前扉FDが第1状態(閉鎖状態)から第2状態(開放状態)になることが、当該メダルMによって阻止されない。遊技場(ホール)の店員が、ホッパー内のメダルMが不足する(なくなる)ことによって発生するエンプティエラーの原因等を解消するため、閉じていた前扉FDを開放する際に、筐体BXの載置面ZにメダルMが載置されている場合であっても、当該メダルMが前扉FDに接触することなく前扉FDを開放することができる。これにより、前扉FDと載置面Z(台の上面)との隙間にメダルMが挟まってしまい前扉FDを開放することができないという事態や、メダルMが挟まった状態で強引に前扉FDを開放することによって前扉FDが破損するという事態を回避することができる。更に、第2寸法L2が第1寸法L1よりも小さく、前扉FDを開放した状態における、前扉FDの下端と前記筐体BXの載置面Zとの間の隙間が、前扉FDを閉鎖した状態における当該隙間よりも狭くなっている。このため、前扉が開放している状態では、当該隙間を介して部材等を差し込むことがより困難となる。したがって、不正行為を抑制できる。換言すると、不正対策性能を向上させることができる。
【0043】
(遊技球Bとの関係)
例えば、スロットマシンとパチンコ遊技機とが近くに設置されている場合等であって、前扉FD(メダル受皿MP)の付近に遊技球Bが存在している場合を考える。前扉FDを閉じた状態(第1状態)において、遊技球Bが前扉FD(メダル受皿MP)の下に転がり込んだ場合であっても、第1寸法L1が遊技球Bの直径L6よりも小さくなっているため、遊技球Bはメダル受皿MPの下の奥側(後方側)まで入り込まない。メダル受皿MPの下面は、手前ほど上方に向かうように傾斜しているが、遊技球Bは前扉FD(メダル受皿MP)の下端に到達する前に、その傾斜面に当接(接触)して停止する。そして、その状態で前扉FDが開放されると、遊技球Bは手前側へと押し出されて台の上から落下する。また、このように遊技球Bは落下するため、開いた前扉FDを閉じる際の妨げとならない。なお、前扉FDが第2状態や第3状態となっている場合に、遊技球Bが前扉FD(メダル受皿MP)の下に転がり込んだ場合にも同様のことが言える。すなわち、遊技球Bは前扉FD(メダル受皿MP)の下端に到達する前に傾斜面に接触して停止し、その状態で前扉FDが開放されると、遊技球Bは手前側へと押し出されて落下する。そして、遊技球Bは落下するため、開いた前扉FDを閉じる際の妨げとならない。
【0044】
なお、前扉FD(メダル受皿MP)の下端と、載置面Zとの隙間(第1寸法L1~第3寸法L3)は、遊技球Bの直径L6(約11mm)よりも小さいものとしたが、メダルMの2枚分の厚さ(メダルMを2枚重ねた状態の厚さ)以下となっていることがより好ましい。メダルMの2枚分の厚さは、約3.2mm程度である。その場合、メダル受皿MPの下に遊技球Bが入り込むのをより確実に防ぐことができる。
【0045】
また、本実施形態では、第1寸法L1は、第3寸法L3よりも大きく、第3寸法L3は、第2寸法L2よりも大きく、第2寸法L2は、寸法L5(メダルMの厚さ)よりも大きくなっている。換言すると、以下の関係となっている。
L1>L3>L2>L5
なお、第3寸法L3は第2寸法L2以上であってもよい(L3≧L2)。また、第3寸法L3は、第2寸法L2と略同一であってもよい(L3≒L2)。略同一とは、例えば両者の差が1mm以内であることをいう。
【0046】
図6に示す状態(第3状態)において、前扉FDの右辺(右端)から筐体BXの右辺(右端)までの隙間(前扉FDの右辺と筐体BXの右辺との間の距離(最小距離)の寸法)を第4寸法L7とする。第4寸法L7は、第3状態での前扉FDの右端部の開放寸法としてもよい。なお、
図6において第4寸法L7を示したが、
図6は
図1に示すS-S線の断面図であり、厳密には前扉FDの右端と筐体BXの右端との間の距離(寸法)を指しているものではない。第4寸法L7は、約33mmとなっている。この第4寸法L7は、メダルMの直径寸法L4よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)(L7>L4)。
【0047】
なお、本実施形態では、第2寸法L2および第3寸法L3がメダルMの厚さL5よりも大きくなるように設計されているものとしたが、部品寸法の精度(バラつき)、ヒンジHN(
図3参照)の品質(耐久力)低下、組み付け誤差等に起因し、第2寸法L2や第3寸法L3がメダルMの厚さL5以下(未満)となる場合があってもよい。その場合であっても、前扉FDが第3状態(
図6)から第1状態(
図4)に移動する過程で、前扉FDの被支持部91が筐体BXの支持部92の上に載る(乗り上げる)ようにして支持され(被支持部91が支持部92に載荷するように支持され)、前扉FDの下端と載置面Z(底面BXb)との間にメダルMの厚さ分の寸法が確保される。したがって、前扉FDを閉じることができないという事態や、メダルMの挟み込みにより前扉FDが破損するという事態を回避できる。
【0048】
(変形例)
図5に示した第2状態(開放状態)に、前扉FDの開放角度が第1開放角度である第21状態と、前扉FDの開放角度が第1開放角度よりも大きい第2開放角度である第22状態と、が含まれるものとする。第1開放角度は、10°(10度)以下の所定の角度となっている。また、第21状態では、前扉FDの回転軸側(ヒンジHN側)とは反対側における、前扉FDの端部(右端)と筐体BXの端部(右端)との間の距離(隙間)が、2枚~3枚のメダルを水平面に一列に並べた場合における一方の端部と他方の端部との間の距離(メダル2枚から3枚分の距離、例えば約50mm~約75mm程度)となっている。本変形例では、第21状態では、前扉FDの下端(右側の下端)が載置面Zに接近し、第2寸法L2が第1寸法(第1状態:閉鎖状態)よりも小さくなる(換言すると、第2状態には、第2寸法L2が第1寸法L1よりも小さくなる第21状態が含まれる)。ただし、第21状態において、第2寸法は、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている。
【0049】
本変形例では、前扉FDの開放角度が第1開放角度よりも大きい場合、開放角度が大きくなるほど、前扉FDの下端(右側の下端)が載置面Zから徐々に離間する。この場合に、前扉FDの右側(回転軸側とは反対側)の下端と載置面Zとの間の上下方向寸法を第2寸法L2とすると、第22状態(例えば前扉FDの開放角度が最大である状態では、第2寸法L2が第1寸法よりも大きくなっている。
【0050】
[外装の損傷防止構成]
ついで、スロットマシン1の外装の損傷防止構成について説明をする。スロットマシン1の外装は、上述した前扉FD及び筐体BXによって構成されており、前扉FDが閉じた状態であっても、遊技機の輸送時や、ホールへの設置時などに障害物と接触し、損傷し得る。特に、作業者は筐体BXの側面に形成された把持部400(
図2参照)を掴んで抱え込むようにスロットマシン1を運搬する関係上、前扉FD及び筐体BXの角部については、障害物と接触する場合、その角部が接触する可能性が最も高く、また、応力集中し易い形状のため、傷が付き易いという問題があった。以下の説明では、本スロットマシン1の外装の損傷を防止するための構成について説明をする。
【0051】
図1に示すように、前扉FDの外形部(外周部)は、上面(天面)FDu、下面(底面)FDb、及び左右の側面FDl,FDrによって形成されており、また、筐体BXの外形部(外周部)も同様に上面(天面)BXu、下面(底面)BXb、左右の側面BXl,BXr及び背面BXh(
図10参照)によって形成されている。そして、本実施形態に係るスロットマシン1では、上記前扉FDの外形部は、筐体BXの外形部よりも小さく形成されており、筐体BXの外形部がスロットマシン1における最大外形となっている。即ち、本実施の形態では、前扉FDの上面FDu、下面FDb、及び左右の側面FDl,FDrは、それぞれ、筐体BXの上面BXu、下面BXb、及び左右の側面BXl,BXrよりも正面視で内側に位置するように形成されている。
【0052】
また、別の言い方をすれば、筐体BXの上面BXuの左右方向(遊技機の幅方向)の寸法は、前扉FDの上面FDuの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの上面FDuが筐体BXの上面BXuの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法は、前扉FDの下面FDbの左右方向の寸法よりも大きく、前扉FDの下面FDbが筐体BXの下面BXbの左右方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向(遊技機の高さ方向)の寸法は、前扉FDの左右の側面FDl,FDrの上下方向の寸法よりも大きく、前扉FDの左右の側面FDl,FDrが筐体BXの左右の側面BXl,BXrの上下方向の寸法内に収まるように配置されているといえる。
【0053】
従って、前扉FDの四方の角部は、いずれも、筐体BXの対応する角部から外方に突出しないように構成されている。例えば、
図8は、
図2におけるC1部(前扉FDと筐体BXとの合わせ面S1における右上角部)の拡大図であり、(a)はC1部の側面拡大図、(b)はC1部の平面拡大図、(c)はC1部の正面拡大図である。
図8(a)及び(c)に示す通り、C1部においても前扉FDの上面FDuは、筐体BXの上面BXuよりも内側(下方)に位置している。このため、筐体BXの上面(筐体天面)BXuの前辺601は、前扉FDの上面(前扉天面)FDuの後辺701よりも上方に位置している。また、
図8(b)及び(c)に示すように、前扉FDの右側面FDrは、筐体BXの右側面BXrよりも内側(左方)に位置している。このため、筐体BXの右側面(筐体右側面)BXrの前辺602は、前扉FDの右側面(前扉右側面)FDrの後辺702よりも右方に位置している。
【0054】
そして、上記前扉FDの上面FDuと前扉FDの右側面FDrとが交わる辺700は、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとが交わる辺600よりも内側に位置している。換言すると、筐体BXの上面BXuと筐体BXの右側面BXrとで形成された筐体BXの右上辺600は、上面FDuと右側面FDrとで形成された前扉FDの右上辺700よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、上記2平面からなる辺を角部とした場合、前扉FDの角部700は、筐体BXの角部600から外方へと突出しないように構成されている。
【0055】
また、3辺の交わる頂点を角部として比べてみても、当然に、前扉FDの右上辺700の後方側の頂部(右上辺700と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)701と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)702と、が交わる頂部、以下、単に右後頂点もしくは前扉FDの右上後頂点ともいう)710は、筐体BXの右上辺600の前方側の頂部(右上辺600と、上面BXuの前辺(上面BXuの前方側の左右の辺)601と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)602と、が交わる頂部、以下、単に右前頂点もしくは筐体BXの右上前頂点ともいう)610よりも内側に位置している。換言すると、右前頂点610は、右後頂点710よりも外方(本実施形態では、右上方)に位置している。つまり、前扉FDの角部710は、筐体BXの角部610から外方へと突出しないように構成されている。
【0056】
上述のような構成を取った場合、筐体BXの右上辺600がスロットマシン1の最大外形を構成する事となり、障害物と接触する可能性が高い部分となる。このため、本実施形態では、上記右上辺600(以下、「右上面600」ともいう)を第1面取り面として面取りされた面取り形状としている。より具体的には、本実施の形態においては、右上辺600を形成する筐体BXの上面BXuと右側面BXrとの間の角度が鈍角となるように構成している。筐体BXの右上辺600は、このように面取りされた状態において、前扉FDの右後頂点710よりも外方(右上方)に位置している。また、筐体BXの右上前頂点610についても面取り(角落ち)されている。
【0057】
このように構成されているため、障害物に接触する場合、前扉FDの角部700(710)よりも先に筐体BXの右上辺(角部)600(610)が接触する事となり、例えば、種々の演出装置300が配置され、かつ、遊技者からも目が付きやすい前扉FDの外装に傷が付くことを防止することができる。加えて、筐体BXの角部600(610)は、面取りされているため、例え、筐体BXの角部600(610)が障害物と接触したとしても、直角の角部と比較して応力集中がし辛くなっており、傷が付きにくい。
【0058】
なお、上記筐体BXの右上辺600は、面取りされた面取り面によって形成されているため、外形形状的としては、筐体BXの右上面とも言うことができる。この右上面600は、詳しくは、
図8に示すように、上方側の上辺600uと下辺600lを備えている。本実施の形態において、この上辺600uは前扉FDの角部(右上辺700/右上頂点710)よりも上方かつ左方側に位置し、前扉FDの右側面FDrの後辺702よりも上方かつ左方側に位置している。また、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置している。
【0059】
以上のように、上辺600uは前扉FDの角部(右上辺700/右上頂点710/後辺702)よりも上方かつ左方側に位置するくらいの十分な量の面取り量(面取りするカットの量)が施されている。このように十分な面取り量を有しているので、例えば作業者が筐体BXを運搬する場合等にあって、筐体BXの右上辺600に対する作業者の安全性を確保できる。そして、十分な面取り量を有しているにも関わらず、前扉FDの角部700右上頂点710が右右辺600(面取面)よりも内側に収まっており、角部(右上頂点710)に対する作業者の安全性の確保も達成できている。
【0060】
また、本実施の形態では、筐体BXの上面BXuの前辺601についても面取りされており、右上辺600と同様に面取り面を形成している。この面取り面601は、
図8(c)に示すように、上辺601uと下辺601lを備えており、鉛直方向において、下辺601lが、前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)よりも上方に位置するように形成されている。即ち、筐体上面BXuから前扉上面FDuの後辺701(右後頂点710)までの鉛直方向の寸法が、筐体上面BXuから面取り面601の下辺(前辺)601lよりも大きくなっている。そして、これにより、面取り面に起因して前扉FDと筐体BXとの間に余計な隙間が発生することが防止されている。
【0061】
本実施の形態では、スロットマシン1が並ぶ幅方向(左右方向)に比べて寸法制限の緩い上下方向への突出量を大きくしている。即ち、前扉FDの上面FDuから筐体BXの上面BXuが突出する突出量を、前扉FDの右側面FDrから筐体BXの右側面BXrが突出する突出量よりも大きくしている。そして、その結果として、上述した位置関係となったが、筐体BXの右上面600が前扉FDの角部700(710)よりも外方に位置する位置関係を保持していれば、上辺600u及び下辺600lと前扉FDの角部700(710)との位置関係は、これに限られない。例えば、上辺600uは前扉FDの角部700(710)よりも上方かつ右方側に位置し、下辺600lは前扉FDの角部700(710)よりも下方かつ右方側に位置するようにしても良い。
【0062】
なお、本実施形態では、前扉FDの角部700についても面取りされている。また、前扉FDの右上辺700(上面FDu)は、例えば、前方側から後方側に向かって下り傾斜するような抜き勾配を有していても良い。更に、右上辺700は、前扉FDの内、演出装置300等の前方側部分を構成する部分と、合わせ面S1を形成する後方側部分とによって形成されていても良く、上記傾斜は、右後頂点710を形成する後方側のみに形成されていても良い。また、本実施の形態では、前扉FDの右上辺700の全体が筐体BXの右上辺600から飛び出さないように構成されているが、少なくとも前扉FDの右後頂点710が筐体BXの右上辺600よりも内側に位置していれば良い。
【0063】
更に、上述したように、スロットマシン1の前扉FDは、ヒンジHNの公差や劣化等により、多少のがたつきを有している。また、筐体BXに対して前扉FDが閉じられた状態であっても筐体BXと前扉FDとの間にはクリアランスがある。このため、前扉FDが閉状態(閉鎖状態)にあっても、前扉FDは、所定方向(上下左右前後方向)にがたつきを有している。従って、ヒンジHNが設けられた側(本実施の形態では左方)よりも、ヒンジHNが設けられていない側(本実施の形態では右方)の方が、前扉FDの角部が外方へと突出し易い。しかしながら、本実施の形態では、右側上方の角部(
図8参照)のみならず、
図9に示すように、右側下方の角部においても、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)よりも内側に位置し、前扉FDの角部900(910)が筐体BXの角部800(810)から突出しないようになっている。また、筐体BXの右下辺800及び右下前頂点810は、右上辺600及び右上前頂点610と同様に面取りされている。
【0064】
なお、前扉FDの辺900は、前扉FDの下面FDbと前扉FDの右側面FDrとが交わる右下辺であり、頂部910は、右下辺900と、下面FDbの後辺(下面FDbの後方側の左右の辺)と、右側面FDrの後辺(右側面FDrの後方側の上下の辺)と、が交わる右下後頂点である。また、筐体BXの辺800は、筐体BXの下面BXbと右側面BXrとが交わる右下辺であり、頂部810は、右下辺800と、下面BXbの前辺(下面BXbの前方側の左右の辺)と、右側面BXrの前辺(右側面BXrの前方側の上下の辺)と、が交わる右下前頂点である。
【0065】
これにより、前扉FDが上記がたつきにより閉状態にて傾いだ状態となったとしても、ヒンジHNとは反対側において前扉FDの角部710(700)/910(900)が面取りされた筐体BXの角部600/800から突出することを防止することができる。また、前扉FDに外力が加わっていない通常状態(がたついていない状態、第1状態)から、例えば、スロットマシン1を移動させる際に前扉FDが把持されることによって、クリアランスの範囲内で前扉FDががたついた状態(上記通常状態よりも外方に移動した状態、第2状態)となっても、筐体BXの角部600/800は、前扉FDの角部710(700)/910(900)よりも内側に位置するようになっている。
【0066】
更に、筐体BXは、上述した辺600,800以外にも、スロットマシン1の最外形を形成する角部として、
図10に示す、辺920~970を備えており、これらの辺についても傷つきやすいため、面取りして形成されている。また、同様に頂部610,810以外にも、頂部1010~1060についても、面取り(角落ち)して形成されている。例えば、筐体左側面BXlの前辺(不図示)は、前扉左側面FDlの後辺(不図示)よりも左方に位置しており、筐体BXの上面BXuと左側面BXlとの間の角度が鈍角となるように第2面取り面として面取りされた左上辺920は、前扉FDの左上辺720の後方側の頂部730よりも外方に位置している。
【0067】
なお、前扉FDの頂部730は、前扉FDの上面FDuと前扉FDの左側面FDlとによって形成されており、より詳しくは、左上辺7200と、上面FDuの後辺(上面FDuの後方側の左右の辺)740と、左側面FDlの後辺(左側面FDlの後方側の上下の辺、不図示)と、が交わる頂部(左後頂点、前扉FDの左上後頂点)である。筐体BXの左上辺は、筐体BXの上面BXuと左側面BXlとによって形成されている。辺930は筐体BXの左下辺であり、筐体BXの底面BXbと左側面BXlとによって形成されている(
図1参照)。辺940は筐体BXの上面BXuの後辺であり、筐体BXの上面BXuと背面BXhとによって形成されている。辺950は筐体BXの底面BXbの後辺であり、筐体BXの底面BXbと背面BXhとによって形成されている。辺960は筐体BXの右側面BXrの後辺であり、筐体BXの右側面BXrと背面BXhとによって形成されている。辺970は筐体BXの左側面BXlの後辺であり、筐体BXの左側面BXlと背面BXhとによって形成されている。
【0068】
また、頂部1010は、筐体BXの右上後頂点である。頂部1020は、筐体BXの右下後頂点である。頂部1030は、筐体BXの左上前頂点である。頂部1040は、筐体BXの左下前頂点である(
図1参照)。頂部1050は、筐体BXの左上後頂点である。頂部1060は、筐体BXの左下後頂点である。上述したように本実施形態に係るスロットマシン1では、前扉FDの角部及び筐体DXの角部が傷つきにくいように構成されている。このため、スロットマシン1をリユースする際になど、外装の傷が少ないため、円滑にスロットマシン1のリユースを図ることができる。
【0069】
なお、上述した実施の形態では、前扉FDの四方の角部の全てが対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成されているが、いずれかの前扉FDの角部が対応する筐体BXの角部よりも内側となっていれば良い。例えば、前扉FDの右方や上方の角部のみ対応する筐体BXの角部よりも内側となるように構成することもできる。また、前扉FDの角部は対応する筐体BXの角部よりも内側に位置することがより望ましいが、例えば、前扉FDの角部と筐体BXの角部とが正面視で重なる(同じ位置となる)ように構成しても良い。
【0070】
また同様に、スロットマシン1の最外形を形成する全ての筐体BXの角部を面取り形状とする必要はない。例えば、筐体BXの辺600,920,940,960,970及び頂部610,1010,1050のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺940のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(
図8参照),602(
図8参照),920,940,960,970,800,950のみを面取りするように構成しても良い。また、筐体BXの辺600,601(
図8参照),602(
図8参照),920,940,960,970のみを面取りするように構成しても良い。
【0071】
なお、上述した実施形態において「面取り」とは、所謂、角が斜めに削られた状態のC面取り及び角部の角を丸めるR面取りの両方を含むものとし、角部の角度とは、C面取りの場合、斜めに削られた面の角度を、R面取りの場合、角部のRの角度をいうものとする。更に、上述した実施形態において「面取り」とは、後加工としての面取り加工のみを意味するのでは無く、角部の角度が鈍角となった状態、そのものを指すものとする。即ち、例えば、上述した筐体BXのように、樹脂の一体成形品の場合、予め設計された角部のアールもしくは面の角度が鈍角となっていれば良い。また、筐体BXは、必ずしも一体成形品として制作される必要は無く、複数の部品によって箱形状を形成する組み立て式であってもよく、素材も、例えば、木製などであっても良い。
【0072】
具体的には、
図11は、筐体を天板、底板及び左右の側板を組み付ける構成とした場合の変形例を示す図であり、変形例に係る筐体BX2の右上方部分を拡大した斜視図である。
図11に示すように、当該筐体BX2は、天板BXu2と右側板BXr2とが別体の部材によって形成されている。天板BXu2は、右上辺6002及び前上辺6012が面取りして構成されており、これら右上辺6002及び前上辺6012が、それぞれ筐体BX2の右上辺及び筐体BXの上面BXuの前辺を構成している。また、同様に、右側板BXr2の右前辺6022も面取りして形成されており、この右前辺6022が筐体BXの右側面の前辺を構成している。
【0073】
ここで、本実施形態において、上記右側板BXr2は、その前面BXr21が天板BXu2の前面BXu21よりも約1mm、前方に位置している。そして、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BX2の右側面BXr22の前辺を形成する右端Lの位置が天板BXu2の前面BXu21の位置と揃うように面取りされている。即ち、右側板BXr2の右前辺6022は、筐体BXの右側面BXr22との境界Lにおいて、その端部位置が天板BXu2の前面BXu21と右側面BXu22とが交差する角部6102の位置と揃うように面取りされている。つまり、右側板BXr2の右前辺6022は、面取りによって、その寸法が前面BXr21の位置から後方へ1mm少なくなくなるようになっている。そして、このように、右側板BXr2の右前辺6022の面取りの寸法を天板BXu2の前面BXu21に合せることによって、天板BXu2の下面の角6102が突出することを防止している。なお、
図11では、筐体BX2の右上部を例に取って説明をしたが、筐体BX2は、右上部に限らず、左上部、右下部、左下部も上述した右上部と同様の構成となっている。
【0074】
また、上述した実施の形態では、前扉FDと筐体BXの合わせ面S1は、側面視で上部よりも下部が前方となるように傾斜して構成し、前扉FDの開放時に前方側に倒れようとする力を緩和しているが、必ずしも合わせ面S1が傾斜している必要は無い。更に、上述した説明では、前扉FDは、上下に分割して構成されていたが、一体に構成されていても良い。更に、本発明は、パチンコ機のような遊技機に対して適用されても良い。加えて、上述した実施の形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良い。
【0075】
[下パネル部の構成]
続いて、本実施形態における前扉FDの前面下扉DDに配置された下パネル部UPについて
図1、
図12、
図13、及び
図14を用いて説明する。
図1及び
図12に示すように、前面下扉DDの操作部CPとメダル受皿MPとの間には、下パネル部UPが配置されている。
【0076】
下パネル部UPは、
図12に示すように、前扉FDの一部を構成すると共にスロットマシン1の外装を構成する下パネル枠81と、スロットマシン1の外装を構成する前パネル82と、この前パネル82の裏面側に配置された画像85(
図13参照)を有するシートとしての装飾シート83と、前パネル82と共に装飾シート83を挟持する後パネル88と、が設けられている。
【0077】
下パネル枠81は、有色の合成樹脂によって形成されて、遮光性を有するように外面に塗装、めっき加工、金属蒸着等が施されて、つまり遮光カバーとして構成されており、前扉FDの前面下扉DDに取付けられ、前扉FDと一体的に固定されて前面下扉DDの外観を構成している。下パネル枠81は、前パネル82を外部に対して露出させる開口81aを有しており、前パネル82を介して後述の装飾シート83の画像85を視認可能にする。開口81aは、前パネル82よりも小さくなるように構成されており、つまり下パネル枠81は、前パネル82、装飾シート83、後パネル88を前方から押えて、かつ後方に板状に延びる規制板81b(
図13参照)によって前パネル82を左右及び上下方向に位置を規制し、前扉FDと一体的に固定する機能を有する。なお、下パネル枠81は、前扉FDの前面下扉DDにおける他の外装部品と一体に形成され、前パネル82、装飾シート83、後パネル88を後方から挿入して取付ける構成でもよく、この場合、前扉FDの前面下扉DDに装飾シート83の画像85を視認可能にする開口が形成されていてもよい。
【0078】
下パネル枠81は、概ね矩形状となるメインフレーム81mfを有しており、このメインフレーム81mfの内側には、左右方向にそれぞれ突出するサイド突出部81si,81siと、下方から上方に突出するアンダー突出部81unとが形成されている。このため、開口81aは、複雑な形状である非矩形状に構成されている。なお、サイド突出部81si,81siやアンダー突出部81unは、前後方向において音響装置395と重ならないように形成されている。
【0079】
前パネル82は、透光性が高い(本実施形態では透明な)合成樹脂で構成され、矩形状の板状部材によって形成されている。また、前パネル82は、その前面82FSの縁(周縁、外縁)に、詳しくは後述するシボ(皺)が形成されたシボ部として、シボ加工が施されたシボ加工部82Sを有している。この前パネル82は、装飾シート83の前方に対向配置されて、装飾シート83の前面側を覆って保護している。また、
図13に示すように、前パネル82の後面の外縁部分には、前方に突出する外縁突起82aと、後方から視て矩形状となる位置に配置された突起部82bとが形成されている。前パネル82は、下パネル枠81の後方側に外縁突起82aが嵌め込まれることで下パネル枠81に位置決めされていると共に、装飾シート83及び後述の後パネル88の表面88aは、前パネル82の突起部82bの内側に挿入されて嵌め込まれることで前パネル82に対して位置決めされている。
【0080】
また、前パネル82には、
図1及び
図12に示すように、前方から視て音響装置395に重なる位置に、多数の孔82hが形成されており、音響装置395から出力される音が前方(外部)に聞こえ易くなるように構成されている。なお、これら多数の孔82hの後方にある後述の装飾シート83や後パネル88にも前後方向に重なる位置に孔を設けて、音響装置395から出力される音がさらに聞こえ易くなるようにしてもよい。
【0081】
装飾シート83は、
図12に示すように、透光性が高い(本実施形態では透明な)合成樹脂によって略矩形のシート状に形成された基材83aを有しており、その基材83aの裏面に、スロットマシン1の製品名や関連するキャラクタ等の画像、スロットマシン1の外面を装飾する画像等の画像85(
図13参照)が有色塗料によって印刷される(施される)ことで、装飾性を有する画像面を構成している。
【0082】
装飾シート83は、裏面側に配置された後パネル88と前パネル82との間に挟まれた状態で挟持されており、前パネル82を介して前方から遊技者が装飾シート83の画像85を視認可能となっている。後パネル88は、透光性が高い(本実施形態では透明な)合成樹脂によって、表面88aが滑面状となるように板状に形成されており、この後パネル88の表面88aは、装飾シート83(画像85)と略同サイズに形成されている。即ち、後パネル88の表面88a及び装飾シート83(画像85)は、前パネル82のサイズよりも小さく、詳しくは後述するシボ加工部82Sの内縁(透明領域82T)よりも大きいサイズに構成されている。なお、後パネル88は、透明であるものに限らず、例えば、表面又は裏面に光を拡散する凹凸等が施され、透過する光が拡散するように形成されていてもよい。
【0083】
また、後パネル88は、
図12及び
図13に示すように、表面88aの外縁よりも外側に板状に延ばされた突起板88bを有しており、この突起板88bによって、下パネル枠81の規制板81bに対して後パネル88が左右及び上下方向に位置が規制されていると共に、前パネル82を下パネル枠81との間に挟み込んで挟持している。また、
図13に示すように、後パネル88の裏側には、脚部88cが後方に向けて延ばされるように形成されており、前面下扉DDの構成部品に突き当たって、下パネル枠81との間で前後方向に位置決めされるように規制されている。さらに、後パネル88の表面88aの外縁なる側面88dは、上記前パネル82の突起部82bの内側に挿入され、前パネル82に対する後パネル88の左右及び上下方向の位置が規制されている。従って、これらの構成によって、前パネル82、装飾シート83、及び後パネル88は、前面下扉DDに対して左右及び上下方向に位置決めされている。
【0084】
そして、後パネル88の裏面側には、複数のLED95aを有するバックライト基板95と、LED95aからの光を反射するリフレクタ89と、が設けられている。本実施形態においては、リフレクタ89の裏面側にバックライト基板95が配置されており、リフレクタ89の開口からLED95aの光が前方に照射されるように構成されている。なお、前面下扉DDには、LEDを有するバックライト基板の代わりに、冷陰極管等の蛍光灯やランプ等の発光源が設けられていてもよい。リフレクタ89は、遮光性を有すると共に光を反射しやすい材料、例えば白色の合成樹脂で形成されている。
【0085】
従って、以上のように構成された前面下扉DDにおける下パネル部UPは、後パネル88を介してバックライト基板95のLED95aの光によって照明された装飾シート83を、前パネル82を介して、下パネル枠81の開口81aから視認可能となっている。これら後パネル88、装飾シート83、前パネル82は、上述した各種の内部機器(特にリールユニット310、ホッパーユニット320、バックライト基板95、リフレクタ89、バックライト基板95の周辺部材等)の前方となるように前扉FDの前面下扉DDに配置されているので、特に装飾シート83の画像85によって内部機器を視認不能にする機能を有していることになる。
【0086】
[シボ加工部の詳細]
続いて、本実施形態に係るシボ加工部82Sの詳細について説明する。本実施形態に係る前パネル82は、
図1、
図12、
図13、及び
図14に示すように、前面82FSの縁(周縁、外縁)にシボ加工部82Sを有している。詳細には、シボ加工部82Sは、前パネル82の前面82FSにおける外縁から上記下パネル枠81の開口81aの内側へ所定距離d1(
図13及び
図14参照)がはみ出る形となる範囲にシボ加工が施されていることで形成されている。換言すると、シボ加工部82Sは、前方から視て上記装飾シート83の画像85の縁(周縁、外縁)と少なくとも一部が重なって画像85の縁を覆いつつ画像85の外側まで位置する範囲となるように、前面82FSに形成されている。なお、本実施形態におけるシボ加工は、前パネル82を製造する際の金型の形状によって前パネル82の前面82FSに皺(細かい凹凸)を付すことにより形成されているものであるが、これに限らず、前パネル82の前面82FS全体を平滑に形成してから、エッチングによる化学処理やサンドブラスト等を後工程で形成するものでもよい。
【0087】
シボ加工部82Sは、
図14に示すように、前方側から視て下パネル枠81の後側に重なって視認不能に隠れる第1領域82Shと、前方側から視て下パネル枠81の開口81aの内側にはみ出して視認可能に露出する第2領域82Sxと、の2つの領域を有している。従って、シボ加工部82Sは、開口81aの内側に上記画像85を鮮明に視認可能にさせる透明領域82Tを確保した状態で、その透明領域82Tの外周に配置されていることになる。この透明領域82Tは上記画像85の外縁よりも小さいことになる。
【0088】
また、第1領域82Shは、下パネル枠81のメインフレーム81mf(
図1及び
図12参照)の後方となる領域82Shmfと、下パネル枠81のサイド突出部81si,81si(
図1及び
図12参照)の後方となる2つの領域82Shsi,82Shsiと、下パネル枠81のアンダー突出部81un(
図1及び
図12参照)の後方の領域82Shunと、を有している。
【0089】
そして、第2領域82Sxは、開口81aにおける上方部分にメインフレーム81mfよりも下に所定距離d1はみ出す領域82Sxupと、開口81aにおける側方部分にサイド突出部81si,81siよりも左右方向の内側に所定距離d1はみ出す領域82Sxsi,82Sxsiと、開口81aにおける下方部分にアンダー突出部81unよりも上に所定距離d1はみ出す領域82Sxunと、を有している。
【0090】
このようにシボ加工部82Sが形成されていることで、第2領域82Sxの内縁は、開口81aと相似形でかつ開口81aよりも小さく、開口81aよりもいずれの部位でも内側に所定距離d1突出している位置にあり、つまり開口81aの内側に概ね所定距離d1の幅となる帯状でシボ加工部82Sが突出していることになる。なお、上述したように前パネル82には、音響装置395の前方に対応する位置に複数の孔82h(
図1参照)が形成されているが、シボ加工部Sは、これらの孔82hと重ならないように形成され、換言すると、複数の孔82hは開口81aの内側から所定距離d1以上離れて配置されている。
【0091】
図13に示すように、前パネル82の厚みd2は、外部からの衝撃等に耐え得るように例えば3mm程度の厚みに形成されている。一方、上記シボ加工部82Sは、開口81aからはみ出している所定距離d1が例えば5mm程度となるように形成されていて、つまりシボ加工部82Sの開口81aからはみ出す距離を、前パネル82の厚みd2よりも長い距離となるように形成している。特に本実施形態では、例えば遊技者が前パネル82を介して内部を覗こうとした場合であっても、前パネル82の光の屈折率等を考慮しつつ、シボ加工部82Sに対して45度~60度の角度の視線でも画像85の外縁まで見えないように所定距離d1を設定している。従って、前パネル82の厚みd2よりも長い所定距離d1のシボ加工部82Sによって画像85の外縁よりも外側が見えることがないように遮られ、後パネル88やそれよりも奥の内部機器(特にリールユニット310、ホッパーユニット320、バックライト基板95、リフレクタ89、バックライト基板95の周辺部材等)が見えることがない。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係るスロットマシン1では、下パネル枠81の開口81aにおいて、その開口81aの内側から所定距離d1ではみ出すように、開口81aから、開口81aよりも内側に所定距離d1まで、の範囲にシボ加工部82Sが形成されている。換言すると、シボ加工部82Sは、前パネル82の前面82FSの縁に形成され、装飾シート83の画像85の縁を覆うように形成されている。従って、シボ加工部82Sは、開口81aと画像85の縁との間に跨るように配置されている。これにより、前パネル82を介して前扉FDの内部(内部機器)を視認することを不能にすることができる。
【0093】
ところで、下パネル枠81の開口81aよりも装飾シート83に形成された画像85の大きさが例えば5mm程度大きければ(相対的に、画像85よりも開口81aを小さくしても同様である)、シボ加工部82Sが無くても内部機器が見えないようにすることができる。しかしながら、装飾シート83を大きくすることは周囲の部品との位置関係から困難であり、下パネル枠81の開口81aを小さくすれば画像85の視認範囲が小さくなり、スロットマシン1の意匠性としてインパクトに欠けるものになる虞がある。従って、本実施形態のようにシボ加工部82Sを設けることで、画像85と周囲の部品との干渉を避けることができ、かつスロットマシン1の意匠性も向上することができる。
【0094】
また、シボ加工部82Sの代わりに不透過性の部分を設けることで、内部機器が見えないようにすることができる。しかしながら、上記バックライト基板95のLED95aからの光が透過しなくなるため、下パネル部UPに暗い部分が生じてしまい、見栄えが良くなくなる虞がある。従って、本実施形態のように透過性を有するシボ加工部82Sを設けることで、バックライト基板95のLED95aからの光が透過し、下パネル部UPの明るさを確保して見栄えを良好にすることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…遊技機(スロットマシン)
82…前パネル
82FS…前面
82S…シボ部(シボ加工部)
83…シート(装飾シート)
85…画像
BX…筐体
FD…前扉
UP…パネル部(下パネル部)