(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】湯たんぽ
(51)【国際特許分類】
A61F 7/08 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A61F7/08 311A
(21)【出願番号】P 2023181128
(22)【出願日】2023-10-20
【審査請求日】2023-10-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和5年10月 Webサイトに掲載 https://www.komeri.com/shop/c/c332308/ (2)令和5年10月 Webサイトに掲載 https://twitfukuoka.com/?p=269019 (3)令和5年10月 コメリ 全店舗にて販売
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390028358
【氏名又は名称】三宅化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 博
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-85130(JP,A)
【文献】特開2001-170097(JP,A)
【文献】特開2011-45643(JP,A)
【文献】実公昭17-2136(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空部を有し、厚みを有する小判形状の本体を備える湯たんぽであって、
前記本体の長さ方向における一端部に、前記長さ方向に直交する幅方向及び前記本体の厚み方向に延びる平坦面が形成され、
前記一端部は、前記幅方向における中央部に配置された前記平坦面と、前記幅方向における前記平坦面の両側方に前記平坦面に繋げて形成された傾斜面と、当該傾斜面に設けられ、前記平坦面と面一とされて前記幅方向に前記平坦面と平行に延びる脚部とを有し、
前記本体は、前記一端部を底部として前記平坦面及び前記脚部が載置面に対して面的に接触して自立し、
前記本体が前記自立した状態で、前記長さ方向及び前記幅方向に延びる平面状をなす一側面部には、前記長さ方向における前記一端部側となる端部であって、前記幅方向における中央部に注湯口が形成され、
前記傾斜面は、前記本体が前記自立した状態で、前記一端部において前記平坦面から繋がって上方に向かう傾斜を有し、前記一側面部の前記底部側の縁部を形成する、湯たんぽ。
【請求項2】
前記本体が前記自立した状態で、
前記本体は、内部の前記中空部において、前記傾斜面の裏面をなす内壁部分が、前記注湯口に繋がる開口に向がって下方に傾斜する形状とされている、請求項1に記載の湯たんぽ。
【請求項3】
前記本体が前記自立した状態で、
前記一側面部の前記幅方向において側縁部となる部分は、前記小判形状の一部をなす円弧状に形成されており、
前記脚部は、前記一端部において、前記平坦面と面一に前記幅方向に前記平坦面と平行に延び、前記一側面部の前記円弧状とされた前記側縁部に繋がる上方への傾斜を有し、前記側縁部と一体的に前記円弧状を形成する、請求項1に記載の湯たんぽ。
【請求項4】
前記湯の注湯口に取り付けられる漏斗を更に備え、
前記本体の前記一側面部の裏側となる他側面部に凹部が形成され、前記凹部の内部に形成された底面部分に円柱状凸部が設けられ、
前記円柱状凸部の外周面に複数の切り欠きが形成され、前記円柱状凸部の直径は、前記漏斗が有する孔の内壁が前記円柱状凸部の外周面に嵌合する大きさとされている、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の湯たんぽ。
【請求項5】
前記他側面部に形成された前記凹部は、前記漏斗の最大外径部分よりも大きな径を有する円形状とされ、前記凹部の前記円形状をなす径部分の一部には、前記径から更に前記径の外方に向けて前記凹部の形状を拡げる切り欠き部が形成されている、請求項4に記載の湯たんぽ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温のために用いられる湯たんぽに関する。
【背景技術】
【0002】
湯たんぽとしては、例えば寝床などに置かれた状態で小判形状のものがある。小判形状の湯たんぽの長さ方向の一端部付近には湯の注湯口が設けられている。この注湯口から湯を湯たんぽの内部に注ぎ込む。湯を注湯口から排出させるときは、湯たんぽを持ち上げて注湯口を下に向け、下に向いた注湯口から湯が外部に出ていくようにする。このようにユーザーが湯を排出させる場合、ユーザーは湯たんぽを持ち上げて立てるか裏返して湯を注湯口から排出させる必要があり手間を要する。
【0003】
ここで、特許文献1に記載されている湯たんぽは、湯たんぽ本体と、湯たんぽ本体の注湯口に装着されるキャップとを備え、湯たんぽ本体を自立させるために該本体の底面全体が平坦に形成されている。この湯たんぽ本体を自立させた状態として、湯たんぽ本体の下端部近くに形成された注湯口からキャップを外すと、ユーザーは湯たんぽをこの状態で放置していても、注湯口から湯が排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の湯たんぽは、注湯口からキャップを外して湯たんぽ本体を自立させておけば、注湯口から湯が自然に排出されるのでユーザーに手間は掛からない。しかしながら、当該湯たんぽは、その本体の自立を安定化させるために、特許文献1の
図1に示されるように、湯たんぽ本体の平坦な底面全体を広くし、湯たんぽの下部形状を当該平坦な底面の形状に合わせて寸胴形状としている。このため、湯たんぽを自立させて湯を注湯口から排出させても、排出し切れずに寸胴形状とされた湯たんぽの下部の内部に湯が多く残る。この残り湯を湯たんぽ本体から排出させるためには、ユーザーが湯たんぽを持ち上げて注湯口を下向きにして湯を排出させる作業が依然として必要である。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、湯たんぽを自立させることで湯を湯たんぽの内部から更に速やかに排出させることができると共に、湯たんぽの内部に残る湯の量を極めて少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の湯たんぽは、内部に中空部を有し、厚みを有する小判形状の本体を備える湯たんぽであって、前記本体の長さ方向における一端部に、前記長さ方向に直交する幅方向及び前記本体の厚み方向に延びる平坦面が形成され、前記一端部は、前記幅方向における中央部に配置された前記平坦面と、前記幅方向における前記平坦面の両側方に前記平坦面に繋げて形成された傾斜面と、当該傾斜面に設けられ、前記平坦面と面一とされて前記幅方向に前記平坦面と平行に延びる脚部とを有し、前記本体は、前記一端部を底部として前記平坦面及び前記脚部が載置面に対して面的に接触して自立し、前記本体が前記自立した状態で、前記長さ方向及び前記幅方向に延びる平面状をなす一側面部には、前記長さ方向における前記一端部側となる端部であって、前記幅方向における中央部に注湯口が形成され、前記傾斜面は、前記本体が前記自立した状態で、前記一端部において前記平坦面から繋がって上方に向かう傾斜を有し、前記一側面部の前記底部側の縁部を形成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る湯たんぽによれば、湯たんぽを自立させることで湯を湯たんぽの内部から更に速やかに排出させることができると共に、湯たんぽの内部に残る湯の量を極めて少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る湯たんぽを正面側から見て示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る湯たんぽを示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る湯たんぽを背面側から見て示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る湯たんぽを示す背面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る湯たんぽを示す側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る湯たんぽを上側から見て示す上面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る湯たんぽを下側から見て示す底面図である。
【
図8】本体内部における注湯口付近の形状及び水流を概略的に示す図である。
【
図9】湯たんぽの本体における一端部部分を下方から視認して、一端部部分を着色により強調して示す斜視図である。
【
図10】湯たんぽの本体における一端部部分を上側にして、一端部部分を上方から視認して、一端部部分を着色により強調して示す斜視図である。
【
図11】湯たんぽの底面及び一対の脚部の底面を模式的に示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る湯たんぽの容器部の注湯口に漏斗が挿入された状態を拡大して示す側面図である。
【
図13】(A)、(B)は本発明の一実施形態に係る湯たんぽの容器部の背面側の凹部及び該凹部に収納された漏斗を示す断面図及び正面図である。
【
図14】(A)は本発明の一実施形態に係る湯たんぽの容器部の背面側の凹部における円柱状凸部に漏斗を嵌合させた状態を示す斜視図であり、(B)は漏斗を外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る湯たんぽについて図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る湯たんぽを正面側から見て示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る湯たんぽを示す正面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る湯たんぽを背面側から見て示す斜視図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る湯たんぽを示す背面図である。
図5は、本本発明の一実施形態に係る湯たんぽを示す側面図である。また、
図6は、本発明の一実施形態に係る湯たんぽを上側から見て示す上面図である。
図7は、本発明の一実施形態に係る湯たんぽを下側から見て示す底面図である。
【0011】
本発明の一実施形態に係る湯たんぽ10は、湯たんぽ本体11と、湯の注湯口12に着脱自在に装着されるキャップ13と、漏斗14とを備えている。湯たんぽ本体11は、例えばポリエチレン製であり、ポリエチレン製の場合はブロー成型等により一体的に形成される。湯たんぽ10は、厚みを有する小判形状である。なお、湯たんぽ10をポリエチレン製に限定する趣旨ではない。
【0012】
湯たんぽ本体11(以下、本体11)は、内部に湯を貯留する中空部を有し、
図1において本体11の上端となる位置に形成された取っ手22を更に有している。湯たんぽ本体11は、周縁部101に厚みを有し、上端位置に形成された取っ手22を含めて小判形状とされている。
【0013】
本体11は、厚み方向における大きさよりも長さ方向及び幅方向における大きさが大きく形成されている。幅方向は長さ方向に直交する方向である。
【0014】
本体11の正面部211は、小判形状の一部をなす平面状とされ(曲面状でも構わない)、縦リブ24、及び複数の横リブ25が形成されている。また、正面部211の反対側となる本体11の背面部212は、小判形状の一部をなす平面状とされ(曲面状でも構わない)、複数の横リブ26が形成されている。これらの縦リブ24、各横リブ25、26により本体11の強度が向上され、本体11への注湯などに伴う本体11の熱膨張による変形が抑制される。
【0015】
本体11は、本体11の底部をなす一端部11Aを有する。本体11の長さ方向における端部である一端部11Aには、幅方向及び厚み方向に延びる平坦面21Cが形成されている。
【0016】
一端部11Aは、幅方向における中央部に配置された平坦面21Cと、幅方向における平坦面21Cの両側方に平坦面21Cに繋げて形成された傾斜面21Dと、傾斜面21Dのそれぞれに設けられ、平坦面21Cと面一とされて幅方向に平坦面21Cと平行に延びる脚部23とで構成される。本体11は、一端部11Aを底部として平坦面21C及び脚部23が載置面に対して面的に接触して自立する。
【0017】
本体11が自立した状態で、長さ方向及び幅方向に延びる平面状をなす一側面部が正面部211であり、当該の裏側となる他側面部が背面部212である。
【0018】
また、正面部211には、一端部11A側となる正面部211の端部(
図2での下端近傍)であって幅方向における中央部には、縦リブ24及び横リブ25の表面よりも凹んだ凹所21Aが形成されている。この凹所21Aに注湯口12が形成されている。すなわち、正面部211には、一端部11A側となる正面部211の端部(
図2で下端部)であって幅方向における中央部に注湯口12が形成されている。注湯口12は、本体11内の中空部に繋がる開口を有している。
【0019】
傾斜面21Dは、本体11が自立した状態で、一端部11Aにおいて平坦面21Cから繋がって上方に向かう傾斜を有し、正面部211の底部側(一端部11A側)の縁部を形成する。すなわち、傾斜面21Dは、
図2に示すように、湯たんぽ10の正面視において、注湯口12の下部部分よりも上方となる正面部211の側縁部の位置から、注湯口12の下部部分付近の位置に向かって下降する傾斜を有している。
【0020】
これにより、本体11が自立した状態で、
図8に概略を示すように、本体11は、内部の中空部115において、傾斜面21Dの裏面をなす内壁部分115Aが、注湯口12に繋がる開口に向かって下方に傾斜する形状とされている。
【0021】
また、本体11の背面部212には、横リブ26の表面よりも凹んだ凹部21Bが形成されている。凹部21Bの内部は、凹部21Bの底面部分に円柱状凸部28が設けられている。円柱状凸部28の外周面には複数の切り欠き28Aが形成されている。更に、円柱状凸部28の直径は、切り欠き28Aを有していない箇所において、漏斗14が有する孔141の内壁が円柱状凸部28の外周面に嵌合する大きさとされている。
【0022】
背面部212に形成された凹部21Bは、漏斗14の最大外径部分よりも大きな径を有する円形状とされている。凹部21Bの当該円形状をなす径部分の一部には、上記径から更に上記径の外方に向けて凹部21Bの形状を拡げる切り欠き部27が形成されている。
【0023】
漏斗14が有する孔141の内壁を円柱状凸部28の外周面に嵌合させることで漏斗14が本体11に取り付けられ、漏斗14が有する孔141の内壁を円柱状凸部28の外周面から嵌合を解除して円柱状凸部28から漏斗14を離すことで、漏斗14が本体11から取り外される。これにより、漏斗14は、凹部21Bにおいて、本体11から着脱自在とされている。
【0024】
縦リブ24、横リブ25及び横リブ26を含む本体11の厚みは、凹所21A及び21Bの部位を除いて、略一定にされている。
【0025】
本体11が自立した状態で、正面部211の幅方向において側縁部となる部分は、小判形状の一部をなす円弧状に形成されている。すなわち、本体11の正面部211の幅方向における両側の側縁部は、本体11の幅が
図2等において上部及び下部で狭くなるような弧を描き、
図9及び
図10に示すように、上部では取っ手22の両端に繋がり、下部では傾斜面21Dに繋がり、また、脚部23の側縁部に繋がる。
図9は、湯たんぽ10の本体11における一端部11A部分を下方から視認して、一端部11A部分を着色により強調して示す斜視図である。
図10は、湯たんぽ10の本体11における一端部11A部分を上側にして、一端部11A部分を上方から視認して、一端部11A部分を着色により強調して示す斜視図である。
【0026】
一対の脚部23はそれぞれ、一端部11Aにおいて、上述のように平坦面21Cと面一に幅方向に平坦面21Cと平行に延びると共に、更に、正面部211の円弧状とされた側縁部に繋がる上方への傾斜を有し、脚部23の側縁部23Bは、正面部211の側縁部211B(周縁部101の一部)と一体的に上記円弧状を形成する。
【0027】
脚部23は、その厚さが厚さ方向において傾斜面21Dよりも薄くされ、傾斜面21Dの表面から外方に突出させて設けられている。
【0028】
本体11の幅は、本体11の長さ方向の中央付近で最も広く、長さ方向において取っ手22及び平坦面21Cに近くなるほど狭く形成されている。湯たんぽ10の正面視で、本体11の幅は、本体11の下部において、本体11の側縁部から注湯口12に近付くにつれて狭くなるように形成されている。
【0029】
本体11の下端両側に設けられた一対の脚部23は、幅方向において注湯口12の両外側に位置し、上記のように幅が特に狭くされた本体11の部位の両外側に位置する。
【0030】
図11は、本体11の一端部11Aにおいて、平坦面21C及び各脚部23の底面23Aを模式的に示している。各脚部23の底面23Aは、本体11の平坦面21Cと面一となりかつ本体11の幅方向に、脚部23の側縁部23Bが正面部211の側縁部211Bと一体的に上記円弧状を形成する位置まで延びている。これと共に、平坦面21Cは、厚み方向において本体11の厚さに近い大きさを有する。このため、本体11の平坦面21C及び各脚部23の底面23Aを下方に向けて載置面に面的に接触させることで、湯たんぽ本体11を載置面に自立させた状態では、平坦面21C及び各脚部23の底面23Aの載置面への面的接触により、湯たんぽ本体11が安定して載置面に支持され、湯たんぽ本体11が前後方向及び横方向のいずれにも倒れ難い。
【0031】
なお、各脚部23の底面23Aは、本体11の平坦面21Cに対して多少の突出があったとしても、平坦面21C及び各脚部23の底面23Aの載置面への面的接触が妨げられず湯たんぽ10が自立する限り、当該多少の突出は、面一に含まれるものとする。
【0032】
また、上述のように、本体11の一端部11Aにおける傾斜面21Dは、湯たんぽ10の正面視(
図2)において、注湯口12の下部部分よりも上方となる正面部211の側縁部の位置から、注湯口12の下部部分付近の位置に向かって下降する傾斜を有しているため、本体11が自立した状態で、本体11は、内部の中空部115において、傾斜面21Dの裏面をなす内壁部分115Aが、注湯口12に繋がる開口に向かって下方に傾斜する形状となっている。このため、湯が貯留された湯たんぽ10を、注湯口12からキャップ13を外して載置面に立てると、
図8に示すように、本体11内の湯は、注湯口12の両側において、当該傾斜を有する内壁部分115Aによる案内と重力で水流が生じ、湯が当該傾斜に沿って注湯口12まで案内される。これにより、湯を湯たんぽ11の内部から速やかに排出させることができる。
【0033】
例えば、特開2015-085130号公報(特許文献1)に示される湯たんぽの場合、本体下部が寸胴に形成されており、注湯口の両側における本体内の内壁は、載置面と平行な平面とされているため、注湯口の両側における本体内では、本実施形態に係る湯たんぽ10のように湯が積極的に注湯口に案内されることはない。このため、本実施形態に係る湯たんぽ10によれば、従来の湯たんぽよりも、湯を内部から速やかに排出させることができる。
【0034】
また、湯たんぽ10の正面視で、本体11の幅は、本体11の下部において、本体11の側縁部から注湯口12に近付くにつれて狭くなるように形成されているため、本体11内における、注湯口12の両側の部位において湯が貯留される容量は、特開2015-085130号公報(特許文献1)に示される湯たんぽの場合と比較して少ないため、本体11内の下部に残る湯の量が極めて少なくなる。
【0035】
従って、本実施形態に係る湯たんぽ10によれば、湯たんぽ10を自立させることで湯を湯たんぽ10の内部から更に速やかに排出させることができると共に、湯たんぽ10の内部に残る湯の量を極めて少なくすることができる。なお、このように湯たんぽ10の内部に残る湯の量を極めて少なくできることは、この残り湯を本体11から排出させるために必要な、ユーザーが湯たんぽ10を持ち上げて注湯口12を下向きにして湯を排出させる作業をなくせるか、或いは、僅かな作業にすることに貢献する。
【0036】
なお、このように湯たんぽ10を、本体11の一端部11Aに傾斜面21Dを設けて上記のように湯の排出を促進させ、本体11内の下部に残る湯の量を減らす形状とした場合でも、湯たんぽ10を自立させるときは、平坦面21Cのみではなく脚部23も載置面に面的に接触して湯たんぽ10を載置面に支持する。このため、脚部23は、本体1の一端部11Aに傾斜面21Dを設けて上記のように湯の排出を促進させると共に本体11内の下部に残る湯の量を減らす形状とすることと、湯たんぽ10を安定して自立させることとを両立させるために貢献する。
【0037】
湯たんぽ10に湯を入れるときは、
図12に示すように、湯たんぽ10を横にして置いた状態で、本体11の注湯口12からキャップ13を外し、漏斗14の内管14Bを注湯口12に挿し込んで、湯を漏斗14に注いで本体11に入れる。このとき、漏斗14の外管14Cは注湯口12の外側に位置する。すなわち、漏斗14の内管14Bと外管14Cとで、突出する注湯口12を挟み込む。漏斗14を用いて注湯口12から湯を湯たんぽ10に入れ終わり、使用を終えた漏斗14は、その孔14A(内管14Bの内径)が円柱状凸部28の外径部分に嵌合されることで本体11に装着される(
図4及び下記
図13参照)。
【0038】
図13(A)は、本体11の背面側の凹部21B及び該凹部21Bに収納された漏斗14を示す断面図、
図13(B)はその正面図である。また、
図14(A)は、本体11の背面側の凹部21Bの円柱状凸部28に漏斗14を嵌合させた状態を示す斜視図であり、
図14(B)は、漏斗14を外した状態を示す斜視図である。なお、
図14(A)(B)では、円柱状凸部28と漏斗14の内管14Bとの関係を明瞭にするために、外管14Cの図示を省略している。
【0039】
図13(A)(B)、
図14(A)(B)から明らかなように、漏斗14の内管14Bの孔14Aが凹部21Bの底面の円柱状凸部28に着脱自在に嵌合される。
【0040】
漏斗14の内管14Bを凹部21Bの円柱状凸部28から外すときには、凹部21Bの内周下側に設けられた窪み27に指を挿し入れて、漏斗14を凹部21Bから引き出す。
【0041】
円柱状凸部28は、熱膨張により該円柱状凸部28の外径が変化することがある。当該熱膨張により円柱状凸部28の外径が例えば増大するとき、円柱状凸部28の外周面に設けた複数(本実施形態では4つ)の切り欠き28Aにより、円柱状凸部28の外径の当該増大による変形を吸収させる。これにより、当該増大による円柱状凸部28の外径の変化量が抑えられるため、漏斗14を用いて注湯口12から湯を湯たんぽ10内に入れたときに熱膨張により円柱状凸部28の外径が増大しても、使用を終えた漏斗14の兄14Aを円柱状凸部28の外径部分に嵌合させ易くなる。このため、円柱状凸部28の熱膨張に拘わらず、漏斗14を本体11に取り付け易くできる。
【0042】
尚、
図1乃至
図14を用いて説明した上記実施形態の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0043】
10 湯たんぽ
11 湯たんぽ本体
11A 一端部
12 注湯口
13 キャップ
14 漏斗
21A 凹所
21B 凹部
21C 平坦面
22 取っ手
23 脚部
24 縦リブ
25 横リブ
26 横リブ
27 切り欠き部
28 円柱状凸部
【要約】
【課題】湯たんぽを自立させることで湯を湯たんぽの内部から更に速やかに排出させ、湯たんぽの内部に残る湯の量を極めて少なくする。
【解決手段】湯たんぽ10は、内部に中空部を有し、厚みを有する小判形状の本体11を備える。本体11の長さ方向における一端部に幅方向及び厚み方向に延びる平坦面21Cが形成されている。上記一端部は、平坦面21Cと、平坦面21Cの両側方に形成された傾斜面21Dと、傾斜面21Dに設けられた脚部23とを有する。本体11が、平坦面21C及び脚部23により自立した状態で、正面部211には、一端部11A側となる端部であって幅方向における中央部に注湯口12が形成される。傾斜面21Dは、本体11が自立した状態で、一端部11Aにおいて平坦面21Cから繋がって上方に向かう傾斜を有し、正面部211の底部側の縁部を形成する。
【選択図】
図1