(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】端子構造
(51)【国際特許分類】
H01R 4/48 20060101AFI20231218BHJP
H01R 4/38 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01R4/48 Z
H01R4/48 C
H01R4/38 A
(21)【出願番号】P 2020048815
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 智哉
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-303572(JP,A)
【文献】特開平10-199591(JP,A)
【文献】特開平05-266934(JP,A)
【文献】特開2002-075484(JP,A)
【文献】実開昭49-126187(JP,U)
【文献】実開平07-025566(JP,U)
【文献】特開2001-160431(JP,A)
【文献】実開昭48-015176(JP,U)
【文献】実開平01-083270(JP,U)
【文献】実公昭34-011264(JP,Y1)
【文献】実公昭44-006277(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/24- 4/56
H01R 9/00
H01R 9/15- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線が電気的に接続される端子構造であって、
配線と電気的に接続される端子部と、端子部上に形成され配線が接続される配線接続部と、配線接続部の上方に位置し、配線を押圧する押圧部と、押圧部の上方に位置し、押圧部に対して下方向への荷重を加える荷重印加部を備え、
押圧部は、配線に当接する当接面を備え、この当接面は配線挿入方向の長さ
を、配線挿入方向と直交する方向の長さよりも短く
、かつ前記荷重印加部の配線挿入方向の長さよりも短く形成し、挿入された配線の長手方向の一部に荷重を集中させる構造としたことを特徴とする端子構造。
【請求項2】
押圧部の当接面に、凸部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の端子構造。
【請求項3】
端子部の配線接続部
に、配線接続部に挿入された電線を強固に固定する複数の突部を、配線挿入方向に離して形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の端子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線が電気的に接続される端子構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
端子台や遮断器などに組み込まれる端子構造としては、特許文献1に示されるように、ねじの下端にワッシャを設け、このワッシャと下方の端子板との間に配線を挿入し、ねじを締め付けることによってワッシャを移動させ、配線を固定する構造が知られている。
【0003】
このような従来の端子構造においては、ワッシャの形状は略平板状となっており、面で配線を押さえつけることができるという利点があるが、ワッシャに加えられる荷重が広い面積に分散するため、配線が脱落するおそれがあった。特に様々な直径の配線を接続する端子構造において、細い配線を接続する場合にはこの問題が顕在化するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、様々な直径の配線を確実に接続することができる端子構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、配線が電気的に接続される端子構造であって、配線と電気的に接続される端子部と、端子部上に形成され配線が接続される配線接続部と、配線接続部の上方に位置し、配線を押圧する押圧部と、押圧部の上方に位置し、押圧部に対して下方向への荷重を加える荷重印加部を備え、押圧部は、配線に当接する当接面を備え、この当接面は配線挿入方向の長さを、配線挿入方向と直交する方向の長さよりも短く、かつ前記荷重印加部の配線挿入方向の長さよりも短く形成し、挿入された配線の長手方向の一部に荷重を集中させる構造としたことを特徴とするものである。
【0007】
なお、押圧部の当接面に、凸部を形成することが好ましい。さらに、端子部の配線接続部に、配線接続部に挿入された電線を強固に固定する複数の突部を、配線挿入方向に離して形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の端子構造によれば、押圧部から配線に加えられる荷重の分散を防ぎ、様々な直径の配線を確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図8】レバー式の端子台の差動説明図の断面図である。
【
図10】他の実施形態であるねじ式の端子台の外観斜視図である。
【
図11】他の実施形態であるねじ式の端子台の断面図である。
【
図12】他の実施形態における押圧部の斜視図である。
【
図13】他の実施形態における押圧部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
以下に説明する実施形態は、本発明をレバー式の端子台に適用したものである。しかし本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、ねじ式の端子台、レバー式やねじ式の回路遮断器など、配線を電気的に接続する端子構造に広く適用することができる。また以下に説明する実施形態では、前後方向に延びる端子部の前端に本発明の端子構造を形成し、後端は配線をねじ止めする構造としたが、前後端をともに本発明の端子構造とすることも可能である。なお本明細書においては、配線が挿入される側を前側と呼ぶものとする。
【0011】
図1と
図2は本発明の端子構造を適用したレバー式の端子台を示す外観斜視図、
図3はその分解斜視図である。この端子台は、中央の端子ユニット10を左右のベース11で挟み込んだ構造である。また
図4に示すように、端子ユニット10は左右の端子ケース12の内部に、端子部20、配線接続部30、配線を押圧する押圧部40、押圧部40に対して下方向への荷重を加える荷重印加部50を組み込んだものである。
【0012】
この実施形態の端子部20は、前後方向に延びる端子板である。この端子部20の上面に、配線が接続される配線接続部30が形成されている。この実施形態では、配線接続部30は端子部20の前側に形成されており、
図5に示すように、配線を確実に保持できるように前後方向に離れた位置に、複数の突部31を備えている。この突部31を形成することにより、
図8のように配線接続部30に挿入された電線は、当接面41と複数の突部31で、強固に固定される。また、端子部20の後側には別の配線をねじ止めするための孔21が形成されている。
【0013】
配線接続部30の上方には、配線を配線接続部30に押圧する押圧部40が設けられている。
図5に示すように押圧部40は板状の金属部材であり、配線に当接する面を当接面41とする。この当接面41は配線挿入方向の長さ、即ち前後方向の長さが、配線挿入方向と直交する方向、即ち左右方向の長さよりも短く形成されている。押圧部40の形状については、後に詳しく説明する。
【0014】
図5に示すように、押圧部40の上方には押圧部40に対して下方向への荷重を加える荷重印加部50が設けられている。この実施形態では荷重印加部50は、ヨーク51、圧縮ばね52、レバー式操作部53、フック54からなる。
【0015】
ヨーク51は金属板を逆U字状に折り曲げ形成したものであり、その両側面には縦長のスリット55が形成されている。押圧部40の左右の端部はスリット55を貫通して、フック54を引っ掛けるための引っ掛け部42となっている。圧縮ばね52がヨーク51の内部に収納されており、その下端は押圧部40の上側に形成されたばね受け部44に支持されている。このため押圧部40は圧縮ばね52により、下向きに弾発されている。ヨーク51の上方にはレバー式操作部53が配置され、その下部彎曲部56にフック54の上部が掛かっている。フック54は逆U字状のもので、その両端下部は折り曲げられて押圧部40の引っ掛け部42が嵌まっている。
【0016】
このため、
図6に示すようにレバー式操作部53を起こすとフック54が押圧部40を引き上げて上昇させ、押圧部40の当接面41を端子部20から離間させ、配線を挿入できる状態となる。しかし
図7に示すようにレバー式操作部53を倒すと、フック54が下降するため圧縮ばね52の弾発力により押圧部40は下方に弾発され、押圧部40の当接面41が配線を押圧する。
【0017】
図5に示したように、押圧部40の当接面41は配線挿入方向の長さ、即ち前後方向の長さが、配線挿入方向と直交する方向、即ち左右方向の長さよりも短く形成されている。このため挿入された配線の長手方向の一部に荷重を集中させることができ、配線の直径が小さい場合にも確実に配線を保持し、端子部20に電気的に接続することができる。
【0018】
なお
図9の(A)に示したように押圧部40の前面や後面を当接面41に向かって細く傾斜させることにより、当接面41に荷重を集中させるようにしてもよい。ただし当接面41の面積を極端に小さくすると当接面41に作用する応力が過大となり、配線を切断するおそれがあるため好ましくない。
【0019】
図9の(B)に示したように、当接面41の配線挿入方向の複数位置、すなわち配線接続部の前後方向に離れた位置に、凸部44を形成することができる。なおこの凸部44は必ずしも複数である必要はなく、前後の何れか一方とすることもできる。
【0020】
以上に説明した実施形態は本発明をレバー式の端子台に適用したものであるが、
図10以下に示すように荷重印加部50をねじ式としてもよい。この実施形態では押圧部40は
図11、
図12に示す形状であるが、その当接面41は配線挿入方向の長さが、配線挿入方向と直交する方向の長さよりも短く形成されている。この実施形態では荷重印加部であるねじ60はヨーク61の上面を貫通し、ねじ60の下端が押圧部40と連結されることで、押圧部40の昇降が可能となっている。なお配線はヨーク61の内部に挿入され、押圧部40の当接面41により押圧される。
【0021】
以上に説明したように、本発明の端子構造によれば、押圧部から配線に加えられる荷重の分散を防ぎ、様々な直径の配線を確実に接続することができる利点がある。
【符号の説明】
【0022】
10 端子ユニット
11 ベース
12 端子ケース
20 端子部
21 孔
30 配線接続部
31 突部
40 押圧部
41 当接面
42 引っ掛け部
43 ばね受け部
44 凸部
50 荷重印加部
51 ヨーク
52 圧縮ばね
53 レバー式操作部
54 フック
55 スリット
60 ねじ
61 ヨーク