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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ロールベーラ
(51)【国際特許分類】
   A01F 15/07 20060101AFI20231218BHJP
   A01F 15/10 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A01F15/07
A01F15/10 R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018176416
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020043829
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-09-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000198330
【氏名又は名称】株式会社IHIアグリテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏
(72)【発明者】
【氏名】宮田 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】原田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】▲広▼川 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】清水 研吾
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】有家 秀郎
【審判官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-132019(JP,A)
【文献】特開2008-11804(JP,A)
【文献】特開2015-39364(JP,A)
【文献】特開2003-52228(JP,A)
【文献】特開2019-97397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入される飼料作物をロールベールに成形する成形室を備えていると共に、前記飼料作物を前記成形室に搬送する搬送装置を備えているロールベーラであって、
前記搬送装置は、飼料作物を成形室に搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤに搬送回転方向の駆動力を伝達する正転駆動部と、
前記搬送コンベヤに非搬送方向の駆動力を伝達する逆転駆動部と、
前記搬送コンベヤの搬送回転状態を検出する回転検出部と、
前記回転検出部の検出結果が、前記搬送コンベヤの搬送回転が設定された回転数未満であるときに、前記搬送コンベヤに対する前記正転駆動部の駆動力伝達を切断し、前記搬送コンベヤの搬送回転を停止させるように制御する制御部とを備えていることを特徴とするロールベーラ。
【請求項2】
前記正転駆動部は、前記搬送コンベヤに対して搬送回転方向の駆動力の伝達を入力状態と切断状態とに切換える正転クラッチ部を有し、前記正転クラッチ部の入力状態と切断状態とに切換える動作が前記制御部で制御されていることを特徴とする請求項1に記載のロールベーラ。
【請求項3】
前記逆転駆動部は、前記搬送コンベヤに対して非搬送方向の駆動力の伝達を入力状態と切断状態とに切換える逆転クラッチ部を有し、前記逆転クラッチ部は、前記搬送コンベヤの搬送動作中では切換えを阻止すると共に、前記搬送コンベヤの搬送回転が停止したときに、前記逆転クラッチ部を入力状態に切換え可能な状態となるように、前記制御部で制御されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロールベーラ。
【請求項4】
前記逆転駆動部は、前記搬送コンベヤに対して非搬送方向の駆動力の伝達を入力状態と切断状態とに切換える逆転クラッチ部を有し、前記逆転クラッチ部は、前記搬送コンベヤの搬送動作中では切換えを阻止すると共に、前記搬送コンベヤの搬送回転が停止したときに、前記逆転クラッチ部を入力状態に切換えるように、前記制御部で制御されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロールベーラ。
【請求項5】
投入される飼料作物をロールベールに成形する成形室を備えていると共に、前記飼料作物を前記成形室に搬送する搬送装置を備えているロールベーラの制御方法であって、
前記搬送装置は、
飼料作物を成形室に搬送する搬送コンベヤと、
前記搬送コンベヤに搬送回転方向の駆動力を伝達する正転駆動部と、
前記搬送コンベヤに非搬送方向の駆動力を伝達する逆転駆動部と、
前記搬送コンベヤの搬送回転状態を検出する回転検出部とを備え、
前記逆転駆動部は、前記搬送コンベヤに対して非搬送方向の駆動力の伝達を入力状態と切断状態とに切換える逆転クラッチ部を有し、
前記回転検出部の回転検出結果が、前記搬送コンベヤの搬送回転が設定された回転数未満であるときに、前記搬送コンベヤの搬送回転を停止させるように制御し、
前記逆転クラッチ部は、前記搬送コンベヤの搬送動作中では切換えを阻止するように制御され、そして、
前記搬送コンベヤの搬送回転が停止したときに、
前記逆転クラッチ部を入力状態に切換え可能な状態となるよう制御するか、または、
前記逆転クラッチ部を入力状態に切換えるように制御することを特徴とするロールベーラの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細断された飼料作物をロールベールに成形するロールベーラに関する。
【背景技術】
【0002】
ロールベーラは、下記特許文献1に記載されているように、車体に配置された原動機によって作動するクローラを有すると共に、車体の前方から後方にシュートが備えられた収穫機、操縦席、ホッパ、搬送コンベヤ、成形室、イジェクタを有したものが知られている。
【0003】
このようなロールベーラによると、走行しながら収穫した飼料作物を細断し、細断した飼料作物をシュートからホッパに投入し、このホッパに貯留される飼料作物を搬送コンベヤの搬送回転で成形室に投入し、この成形室内でロールベールが成形され、成形されたロールベールがイジェクタによって圃場に放出される。
【0004】
したがって、特許文献1に記載のロールベーラは、飼料作物の収穫からロールベールの成形・放出まで行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015―39364公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のロールベーラは、細断された飼料作物が搬送コンベヤで成形室に搬送される道中で詰まってしまうということがあった。
【0007】
搬送コンベヤで飼料作物の詰まりが生じた場合、搬送コンベヤや搬送コンベヤに動力を伝えるベルトやチェーン等に過負荷がかかり、搬送コンベヤやベルトやチェーン等が損傷してしまうという問題があり、その上、詰まった飼料作物を除去するのにホッパ内の飼料作物を全て取り除くという、大きな労力を要する作業を行わなければならなかった。
【0008】
前述のような問題から現在では、飼料作物の詰まりが生じた場合でも搬送コンベヤやベルトやチェーン等への損傷を防ぐと共に、詰まりを容易に解消できるロールベーラの開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するために本発明が採用した手段は、投入される飼料作物をロールベールに成形する成形室を備えていると共に、前記飼料作物を前記成形室に搬送する搬送装置を備えているロールベーラであって、前記搬送装置は、飼料作物を成形室に搬送する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤに搬送回転方向の駆動力を伝達する正転駆動部と、前記搬送コンベヤに非搬送方向の駆動力を伝達する逆転駆動部と、前記搬送コンベヤの搬送回転状態を検出する回転検出部と、前記回転検出部の検出結果が、前記搬送コンベヤの搬送回転が設定された回転数未満であるときに、前記搬送コンベヤに対する前記正転駆動部の駆動力伝達を切断し、前記搬送コンベヤの搬送回転を停止させるように制御する制御部とを備えていることを特徴とするロールベーラにしたことである。
【0010】
また、前述の課題を解決するために本発明が採用した別態様の手段は、投入される飼料作物をロールベールに成形する成形室を備えていると共に、前記飼料作物を前記成形室に搬送する搬送装置を備えているロールベーラの制御方法であって、前記搬送装置は、飼料作物を成形室に搬送する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤに搬送回転方向の駆動力を伝達する正転駆動部と、前記搬送コンベヤに非搬送方向の駆動力を伝達する逆転駆動部と、前記搬送コンベヤの搬送回転状態を検出する回転検出部とを備え、前記逆転駆動部は、前記搬送コンベヤに対して非搬送方向の駆動力の伝達を入力状態と切断状態とに切換える逆転クラッチ部を有し、前記回転検出部の回転検出結果が、前記搬送コンベヤの搬送回転が設定された回転数未満であるときに、前記搬送コンベヤの搬送回転を停止させるように制御し、前記逆転クラッチ部は、前記搬送コンベヤの搬送動作中では切換えを阻止するように制御され、そして、前記搬送コンベヤの搬送回転が停止したときに、前記逆転クラッチ部を入力状態に切換え可能な状態となるよう制御するか、または、前記逆転クラッチ部を入力状態に切換えるように制御することを特徴とするロールベーラの制御方法にしたことである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態のロールベーラの側面図である。
図2図1の断面図であり、ホッパからイジェクタ装置までの範囲を示す。
図3図1の平面図である。
図4図1に示すホッパ付近の要部拡大図である。
図5図4の(5)-(5)線拡大断面図である。
図6】制御部の構成図である。
図7】制御部の制御方法を説明するフローチャートである。
図8図1に示す成形室の要部拡大図であり、一部切欠して示す。
図9】可動側半部を開いた状態の成形室の要部拡大図であり、一部切欠して示す。
図10図6の要部拡大図である。
図11図10の平面図である。
図12図1に示すイジェクタ装置の拡大図であり、要部を更に拡大して示す。
図13図12の(13)-(13)線断面図である。
図14】昇降支持装置の連結軸の嵌脱状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態のロールベーラAを図1図14に基づいて説明する。尚、本形態で例示するロールベーラは、飼料作物の収穫から、ロールベールの成形及び圃場への放出まで行う自走収穫式のロールベーラであるが、本発明では、自走収穫式のロールベーラに限らない。
【0013】
ロールベーラAは、図1図3に示すように、車体A1に、操縦席1、走行体2、収穫機3、シュート3A、ホッパ4、搬送装置5、成形室6、閉塞装置7、イジェクタ装置8が配置されており、更に、走行体2、収穫機3、ホッパ4、搬送装置5、成形室6の原動力となるエンジン(図示せず)や、このエンジンの動力を、操縦席1からの操作によって、走行体2、収穫機3、ホッパ4、搬送装置5、成形室6に伝達する動力伝達系(図示せず)が備えられている。
【0014】
尚、以下では、収穫機3側を「前(前進側)」、イジェクタ装置8側を「後」、走行体2側を「下」、操縦席側を「上」、前後方向に対して平面方向に直交する方向を「左右」として説明する。
【0015】
また、前述の飼料作物Bとは、圃場で育成されたデントコーンや牧草等、家畜の飼料に利用されるものである。
【0016】
ロールベーラAの基本的構成及び動作は、前述の特許文献1に記載のロールベーラと同じであるので具体的な説明は省略するが、操縦席1からの操作で走行体2を前進走行させながら、収穫機3で圃場Gの飼料作物Bを刈り取って細断すると共に、細断した飼料作物Bを、シュート3Aを介してホッパ4に投入し、且つホッパ4から落下する飼料作物を搬送装置5の搬送コンベヤ501で成形室6に投入する。
【0017】
成形室6に投入された飼料作物Bを成形室6の成形装置6Aで筒状のロールベールB1に成形すると共に、送出装置4Bから成形室6に送出される梱包資材でロールベールB1を梱包した後、成形室6の可動側半部61を開いて固定側半部60から排出し、且つ排出されるロールベールB1を、イジェクタ80を介して圃場Gに放出するものである。
【0018】
搬送装置5は、図1に示すように、飼料作物Bを成形室6に搬送する搬送コンベヤ501と、搬送コンベヤ501に搬送方向の駆動力を伝達する正転駆動部5Aと、搬送コンベヤ501に非搬送方向の駆動力を伝達する逆転駆動部5Bと、搬送コンベヤ501の搬送回転状態を検出する回転検出部5Cと、回転検出部5Cの検出結果に基づいて、正転駆動部5A及び逆転駆動部5Bの動作を制御する制御部5Dとを備えている。
【0019】
搬送コンベヤ501は、図2に示すように、ホッパ4の飼料作物落下口40の下方に確保された独立した空間である飼料作物搬送空間41に配置されており、飼料作物搬送空間41の底部に設けられた搬送面42に至る飼料作物Bを、正転駆動部5Aから伝達される回転(図面上、反時計回転)によって回転して成形室6の投入口62に搬送するようになっている。
【0020】
搬送コンベヤ501は、特許文献1に記載の搬送コンベヤと同様に、平面ラダー状の無限軌道構造のものであり、飼料作物搬送空間41の上流側と下流側とに、夫々回転軸500、510、520に回転自在に軸支されたローラ50、51及びスプロケット52にわたって無限軌道を構成するように巻き掛けられている。
【0021】
尚、スプロケット52を軸支する回転軸520は、正転駆動部5A及び逆転駆動部5Bからの駆動が入力されて駆動する軸であるため、以下では「駆動軸520」という。
【0022】
正転駆動部5Aは、図4及び図5に示すように、駆動軸520に同軸、且つ一体回転するように軸支された従動プーリ50Aと、従動プーリ50Aと平行な軸を有して軸支された駆動プーリ51Aと、従動プーリ50Aと駆動プーリ51Aとにわたるように巻き掛けられた駆動ベルト52Aと、駆動プーリ51Aの駆動回転を従動プーリ50Aの回転として入力すると共に、切断するための正転クラッチ部Cとを備えている。
【0023】
駆動プーリ51Aは、前述のエンジンの動力が、前述の動力伝達系を介して伝達される動力によって駆動回転するようにされている。
【0024】
正転クラッチ部Cは、駆動ベルト52Aの下方側の外周520Aに対して上下動自在、且つ接離自在に軸支され、接触して押圧することによって、駆動ベルト52Aにテンションを与えるテンションローラC1と、テンションローラC1を上下動させるように上下動自在に支持された支持杆C2と、支持杆C2の上下動の動力となるモータ(電動・油圧)C3と、モータC3の回転を支持杆C2の上下動として伝達するラックアンドピニオンC4を備えている。尚、支持杆C2の上下動の動力については、モータC3に換えてアクチュエータを用いてもよい。
【0025】
このような正転クラッチ部Cは、モータC3の停止状態においては支持杆C2が下降状態であると共に、テンションローラC1が外周520Aから離間しており(図4において仮想線で示す)、これにより、駆動ベルト52Aが緩んだ状態となって、駆動ベルト52Aに対して駆動プーリ51Aが空転するため、駆動プーリ51Aの駆動が伝達されない切断状態となり、この切断状態において搬送コンベヤ501の搬送回転を停止させることができる。
【0026】
一方、モータC3を停止状態から回転させることで、支持杆C2が上昇すると共に、支持杆C2の上昇に伴ってテンションローラC1が上昇して、駆動ベルト52Aの外周520Aに接触して上方に向けて押圧する(図4において実線で示す)ことで、駆動ベルト52Aにテンションが生じた状態となって、駆動プーリ51Aの駆動回転を駆動ベルト52Aの回転として伝達されると共に、駆動ベルト52Aの回転を従動プーリ50Aの回転として伝達される入力状態となり、この入力状態において搬送コンベヤ501を搬送回転させることができる。
【0027】
逆転駆動部5Bは、図4及び図5に示すように、駆動軸520に同軸、且つ遊転するように軸支された従動スプロケット50Bと、従動スプロケット50Bの軸と平行な軸とするモータ軸M1を有するモータ(油圧・電動)Mと、モータ軸M1に同軸、且つ一体回転するように軸支された駆動スプロケット51Bと、従動スプロケット50Bと駆動スプロケット51Bとにわたるように巻き掛けられた駆動チェーン52Bと、駆動スプロケット51Bの駆動回転を従動スプロケット50Bの回転として入力すると共に、切断するための逆転クラッチ部Dとを備えている。
【0028】
逆転クラッチ部Dは、図5に示すように、駆動軸520に同軸とすると共に、一体回転するように、且つ駆動軸520の軸方向にスライド自在に軸支されたクラッチ板D1と、クラッチ板D1をスライドさせるシリンダ(電動・油圧)D2とを備えている。
【0029】
クラッチ板D1は、従動スプロケット50Bと従動プーリ50Aの間に配置されており、従動スプロケット50Bとの対面側に爪クラッチD10が突設されている。
【0030】
従動スプロケット50Bには、クラッチ板D1のスライドによって、爪クラッチD10が係脱する爪クラッチ係合部D11が形成されている。
【0031】
クラッチ板D1の従動スプロケット50B側へのスライドによって、爪クラッチD10が爪クラッチ係合部D11に係合し、この係合によって、駆動スプロケット51Bから駆動チェーン52Bを介して従動スプロケット50Bに伝達されるモータMの回転を、駆動軸520の回転として伝達する入力状態とすることができる。
【0032】
また、クラッチ板D1の従動スプロケット50Bから離間するスライドによって、
爪クラッチD10が爪クラッチ係合部D11から外れ、これによって、駆動スプロケット51Bから駆動チェーン52Bを介して従動スプロケット50Bに伝達されるモータMの回転を、駆動軸520に回転として伝達されない切断状態とすることができる。
【0033】
モータMのモータ軸M1は、搬送コンベヤ501を逆転させる方向に回転させる方向として回転するように設定されている。
【0034】
回転検出部5Cは、被検出体50Cと、被検出体50Cの回転パルスを検出する検出センサ51Cとを備えており、検出センサ51Cの検出結果を制御部5Dに送信するように制御されている。
【0035】
被検出体50Cは、駆動軸520と平行な軸を有して回転自在に軸支されたスプロケット状のものであり、駆動軸520に一体回転するように軸支された駆動スプロケット53Cとにわたるようにチェーン54Cが巻き掛けられており、駆動軸520の回転が駆動スプロケット53Cからチェーン54Cを介して被検出体50Cに伝達されるようにされている。
【0036】
また、チェーン54Cは、被検出体50Cとともに、被検出体50Cの軸と平行な軸を有して回転自在に軸支された従動スプロケット55C、56Cに巻き掛けられている。
【0037】
すなわち、駆動軸520が、被検出体50Cを回転させると共に、駆動搬送コンベヤ501を搬送回転させるための共通の駆動軸520にされており、搬送コンベヤ501を搬送回転させる駆動軸520の回転が、同時に被検出体50Cを回転させる回転でもあるため、搬送コンベヤ501の搬送回転中には、被検出体50Cは、搬送コンベヤ501に伴って常に回転していると共に、搬送コンベヤ501の回転数の増減に比例して回転数が増減するようになっている。
【0038】
検出センサ51Cは、被検出体50Cの回転パルスを検出するものであり、被検出体50Cの回転パルスを検出できる位置に配置されている。
【0039】
検出センサ51Cは、例えば、周知の電磁ピックアップによる検出センサ51Cを用いることができ、これによって、被検出体50Cの回転パルスの変化を検出することができる。
【0040】
尚、駆動スプロケット53C、従動スプロケット55C、56Cを被検出体50Cとしてもよい。
【0041】
また、検出センサ51Cは、駆動軸520(搬送コンベヤ501)の回転状態を検出できるものであれば、前述の電磁ピックアップによる検出センサ51Cに限らない。
【0042】
制御部5Dは、操縦席のコントーロールボックス(図示せず)に内蔵され、検出センサ51Cの回転パルス信号が送信されるように電気的に接続されており、搬送コンベヤ501の搬送回転中において、検出センサ51Cから送信される回転パルス信号に基づいて被検出体50Cの回転数を判定すると共に、判定された回転数が正常な回転数未満であるときに、正転クラッチ部Cを自動的に切断させるように制御し、この制御によって搬送コンベヤ501の搬送回転を停止させるようにしている。
【0043】
制御部5Dによる正転クラッチ部Cを自動的に切断させる制御では、下記のような状況での不具合を解消できる。
【0044】
具体的には、搬送コンベヤ501の搬送回転に対して詰まりによって過負荷が作用すると、搬送コンベヤ501の回転数が減少すると同時に、搬送コンベヤ501に作用する抵抗が駆動軸520及び従動プーリ50Aにも作用すると共に、搬送コンベヤ501の回転数が減少に伴って回転数も減少するが、このとき従動プーリ50Aには、駆動プーリ51Aからの駆動回転力が駆動ベルト52Aを介して伝達されている。
【0045】
このため、従動プーリ50Aには、駆動ベルト52Aを介して伝達される搬送コンベヤ501を搬送回転させる回転力と、搬送コンベヤ501の搬送回転に対して作用する過負荷による抵抗によって生じる搬送回転を止めようとする抵抗力とが同時に作用することになる。
【0046】
すなわち、駆動ベルト52Aを介して従動プーリ50Aに伝達される駆動プーリ51Aの回転力が、従動プーリ50Aに作用する抵抗力に対抗して従動プーリ50Aを搬送方向へ無理やり回転させようとすることになる。
【0047】
そして、この無理やり回転させようとする力が、駆動ベルト52Aに対する過負荷となり、過負荷によって、駆動ベルト52Aが駆動プーリ51A及び従動プーリ50Aに対してスリップしてしまい、過負荷及び過負荷による摩擦抵抗が高いスリップによって、駆動ベルト52Aに損傷や摩耗を生じさせてしまう。
【0048】
また、搬送コンベヤ501に対して直接作用する過負荷による抵抗力によって、搬送コンベヤ501の損傷も生じていた。
【0049】
そこで、前述のように、搬送コンベヤの回転数を回転検出部5Cによって検出し、検出された回転数が正常回転数未満であるときに、制御部5Dによる正転クラッチ部Cを自動的に切断させる制御によって、駆動ベルト52Aのテンションが緩み、駆動ベルト52Aに対して駆動プーリ51Aが空転するため、搬送コンベヤ501に作用する過負荷による抵抗力を起因とする駆動ベルト52Aに対する過負荷をなくすことができると共に、過負荷による摩擦抵抗が高いスリップを防止でき、且つ過負荷による搬送コンベヤ501の破損等を防止することができる。
【0050】
また、搬送動作中に詰まりが生じ、搬送コンベヤ501の搬送速度が低下していることをオペレータが気づかない場合でも、正転クラッチ部Cを自動的に切断して搬送コンベヤ501の搬送回転を停止するようにしているため、詰まりに対する迅速な対応をすることができる。
【0051】
制御部5Dは、搬送動作中では、逆転クラッチ部Dの入力操作・切断操作が無効となるように制御すると共に、正転クラッチ部Cが切断された時点で、操作無効を解除して逆転クラッチ部Dの入力操作・切断操作を行えるようにする制御、或いは、正転クラッチ部Cが切断された時点で、逆転クラッチDを自動的に入力状態に切換える動作をさせるように制御することが好ましく、このような制御によって、搬送動作中における逆転クラッチ部Dの誤操作を防止することができる。
【0052】
すなわち、搬送コンベヤ501の搬送回転の停止後、手動操作、或いは制御部5Dの制御によって、逆転クラッチ部Dを入力状態に切換えると共に、モータMを動作させることで、搬送コンベヤ501を逆転させることができ、この搬送コンベヤ501を逆転させることによって、詰まりを除去する作業を行うことができる。
【0053】
詰まりの除去後には、逆転クラッチ部Dを切断状態に切換えると共に、モータMを停止させ、且つ正転クラッチ部Cを入力状態に切換えることで、再び搬送コンベヤ501を搬送動作させることができる。
【0054】
次に、制御部5Dによる正転クラッチ部C及び逆転クラッチ部Dの制御方法を図6及び図7に基づいて説明すると、この制御方法では、逆転クラッチ部Dの入力状態への動作は手動によって行われる。
【0055】
制御部5Dは、図6に示すように、受信部50D、演算記憶部51D、判定送信部52D、操作信号送信部53Dとを少なくとも備えている。
【0056】
受信部50Dは、検出センサ51Cから送信される回転パルス信号を受信すると共に、この回転パルス信号を演算記憶部51Dに送信する。
【0057】
演算記憶部51Dは、受信した回転パルス信号に基づいて、被検出体50Cの回転数を演算し、演算された回転数を記憶すると共に、あらかじめ設定された正常回転数や正転クラッチ部C及び逆転クラッチ部Dの制御を含む搬送装置5の制御を行うためのプログラム等が記憶されており、演算された回転数及び正常回転数を判定送信部52Dに送信するようにされている。
【0058】
判定送信部52Dは、送信された演算された回転数と正常回転数とを比較すると共に、演算された回転数が正常回転数未満であるか否かを判定し、判定結果が正常回転数未満であるときに、正転クラッチ部Cに対してモータC3を回転させる信号を送信するようにされている。
【0059】
操作信号送信部53Dは、判定送信部52DがモータC3を回転させる信号を送信したか否かを監視しており、信号送信されていない場合(実線で示す)に、逆転クラッチ部Dの操作部D100に対して操作無効信号を送信(実線で示す)し、信号送信された場合(破線で示す)に、逆転クラッチ部Dの操作部D100に対して操作無効解除信号を送信(破線で示す)するようにされている。
【0060】
この制御部5Dが行うプログラムを図7に基づいて説明すると、このプログラムは、正転クラッチ部Cを入力状態として搬送コンベヤ501の搬送回転が行われたときに開始するものである(S1)。
【0061】
搬送コンベヤ501の搬送回転中では、常に検出センサが被検出体50Cの回転パルスを検出している(S2)と共に、検出結果を受信部50Dに送信しており(S3)、受信部50Dを介して入力される回転パルス信号を演算記憶部51Dが回転数を常に演算している(S4)。
【0062】
演算記憶部51Dで演算される回転数とあらかじめ設定された正常回転数は、常に判定送信部52Dに送信されており(S5)、判定送信部52Dでは、送信された演算された回転数と正常回転数とを常に比較する(S6)と共に、演算された回転数が正常回転数未満であるか否かを判定し(S7)、判定結果が正常回転数未満であるときに、正転クラッチ部Cに対してモータC3を回転させる信号を送信する(S8)。
【0063】
すなわち、モータC3の回転によって正転クラッチ部Cを切断することができ、これによって、現在の回転数が正常回転数未満である場合に、搬送コンベヤ501の搬送回転を自動的に停止させることができる。
【0064】
操作信号送信部53Dにおいて監視された結果(S9)が、モータC3を回転させる信号が送信されていない場合には、操作部D100に対して操作無効信号を送信し(S10)、モータC3を回転させる信号が送信された場合には、操作部D100に対して操作無効解除信号を送信する(S11)。
【0065】
すなわち、操作部D100に対して操作無効信号が送信されている状態では、逆転クラッチ部Dの操作はすべて無効となり、操作部D100に対して操作無効解除信号が送信された場合に限り、逆転クラッチ部Dの手動操作を行うことができ、これによってプログラムが終了する(S12)。
【0066】
逆転クラッチ部Dの自動制御については、図6において、判定送信部52Dと逆転クラッチ部Dとが接続されており、判定送信部52Dで演算された回転数が正常回転数未満である場合に、正転クラッチ部Cに対してモータC3を回転させる信号を送信(切断状態)し、逆転クラッチ部Dに対してシリンダD2を伸長させる信号を送信(入力状態:仮想戦で示す)すると共に、モータMを回転させる信号を送信(仮想戦で示す)するようにされる。
【0067】
逆転クラッチDの入力状態への切換えを自動制御するプログラムにおいては、図7のS9においてシリンダD2を伸長させる信号の送信がされた場合、シリンダD2を伸長させる信号及びモータMを作動させる信号を送信(S11′(仮想戦で示す))するステップが追加される。
【0068】
この自動制御によって、搬送コンベヤ501の搬送回転の自動停止制御と、搬送コンベヤ501の非搬送回転(逆転)自動開始制御とを行うことができ、搬送コンベヤの逆転停止及び搬送回転の再開は、操作部D100の手動操作によって行うことができる。
【0069】
成形室6は、飼料作物を成形室6内に投入する投入口が確保された固定側半部60と、ロールベールB1の軸と平行な軸を中心として回転するように軸支され、回転によって固定側半部60に対して開閉動する可動側半部61と、固定側半部60と可動側半部61にわたって配置された成形装置6Aとを備えている。
【0070】
成形装置6Aは、固定側半部60と可動側半部61とにわたる円周上に連続するように配列された複数の回転ローラ62と、回転ローラ62の内、少なくとも、前記固定側半部60の下端部を構成する回転ローラ62A及びこの回転ローラ62Aよりも上位に配置された回転ローラ62Bにわたって巻掛けられた成形ベルト63と、少なくとも、可動側半部61の下端部を構成する回転ローラ62C及びこの回転ローラ62Cよりも上位に配置された回転ローラ63Dにわたって巻掛けられた成形ベルト64と、前記成形ベルト64の上端に位置する外周面と外周面に対して周方向で隣接する回転ローラ62の周面との間の隙間Sを開閉自在に閉塞する閉塞装置7とを備えている。
【0071】
尚、成形室6の基本的な構成及び基本的な作用、成形装置6Aの基本的な構成及び基本的な作用は、前述の特許文献1に記載のロールベーラに搭載された成形室及び成形装置と同じであるので、具体的な説明は省略する。
【0072】
閉塞装置7は、図1図3図8図11に示すように、隙間Sを閉塞する閉塞体70と、可動側半部61の開閉動を閉塞体70の開閉動として伝えるリンク機構71とを備えている。
【0073】
閉塞体70は、成形室6の外周側から隙間Sと対面すると共に、隙間Sの左右方向全域にわたるように配置され、可動側半部61に可動側半部61の軸と平行な軸を中心として、隙間Sに対して接離する方向に回転するように、可動側半部61の左右の側板61A、61Bにわたるように設けられている。
【0074】
閉塞体70は、可動側半部61が閉状態であるときに(図8)、リンク機構71によって、成形ベルト64及び回転ローラ62に接触して隙間Sを閉塞する一方、可動側半部61が開状態であるときに(図9)、リンク機構71によって、成形ベルト64及び回転ローラ62から離間して隙間Sを開放するように切換わるようにされている。
【0075】
閉塞体70は、ゴム等の弾性を有する素材を用いて中空状に形成され、素材及び中空形態もしくはその両方によって弾性が生じる弾性体700と弾性体700を支持する支持体701とから構成されており、弾性体700の弾性によって隙間Sに対する閉塞性能を高めることができる。
【0076】
支持体701は、側板61A、61Bに対して左右方向の軸を有する支持軸70Aを介して回転自在に軸支されている。
【0077】
リンク機構71は、左側の側板61Aの外側に配置され、一端側が閉塞体70の支持軸70Aに一体回転するように軸支された支持板71Aと、支持板71Aと側板61Aとにわたるように配置されたリンクロッド71Bとを備えている。
【0078】
尚、リンク機構71は、例示した実施形態では、左側の側板61Aに配置した形態としているが、本発明では右側の側板61Bに配置してもよい。
【0079】
リンクロッド71Bには、図10図11に示すように、支持板71Aの他端側を回転自在に支持すると共に、リンクロッド71Bの軸方向にスライドするスライド体72Bと、スライド体72Bの軸方向の両側からスライド体72Bの定位置を保持すると共に、スライド体72Bのスライドに対してスライド体72Bを定位置に復帰させるように付勢する2個のスプリング(付勢部)73B、74Bが備えられている。
【0080】
スライド体72Bには、左右方向の軸を有する支持軸70Bが備えられており、この支持軸70Bに支持板71Aが回転自在に支持されている。
【0081】
すなわち、支持軸70Bに対して支持板71Aが回転自在に支持されている一方、側板61A、61Bに回転自在に支持されている支持軸70Aに対して支持板71Aが一体回転するように支持されていることから、リンクロッド71Bの軸方向のスライドに伴うスライド体72Bの位置移動によって、支持板71Aが閉塞体70の隙間から切離する方向の回転として伝えるリンク構造が構成される。
【0082】
スプリング73B、74Bは、スライド体72Bをリンクロッド71Bの軸方向の両側から挟むように配置されている。
【0083】
図中、符号731B、741Bは、リンクロッド71Bに固定され、スプリング73B、74Bを支承する支承部であり、支承部731B、741Bとスライド体72Bとの間にスプリング73B、74Bが配置されている。
【0084】
すなわち、スライド体72Bに対してリンクロッド71Bの軸方向の両側からスプリング73B、74Bの付勢力を作用させているため、スライド体72Bの定位置を保持できると共に、スライド体72Bのスライドした位置をスプリング73B、74Bの付勢力によって保持することができる。
【0085】
スライド体72Bの定位置は、可動側半部61が閉状態において、スライド体72Bに対するスプリング73B、74Bの付勢力が双方とも同じとなる位置であり、閉塞体70の閉塞状態を保持できる位置である。
【0086】
また、可動側半部61の開状態では、スライド体72Bの位置移動によって、スプリング74Bが収縮すると共に、スプリング73Bが伸長した状態で、スライド体72Bを保持している。
【0087】
リンクロッド71Bの側板61A側の端部には、リンクロッド71Bの回転支点となる回転支点軸76Bが設けられており、この回転支点軸76Bを可動側半部61の回転中心CRから偏心した位置、図示においては、可動側半部61の回転中心CRから径方向に沿って下方に偏心した位置に、支持軸70Aの軸と平行な軸を有して回転自在に軸支している。
【0088】
リンクロッド71Bは、可動側半部61を開閉動作させたとき、この開閉動作に伴ってリンクロッド71Bが回転支点軸76Bを中心に回転し、この回転道中において、支持板71Aに対して回転させる方向への引っ張り力及び押し力が生じる。
【0089】
リンクロッド71Bの引っ張り力及び押し力は、リンクロッド71Bの回転支点の位置を可動側半部61の回転中心CRから偏心させたことによって、可動側半部61が閉じている状態と開いている状態での、可動側半部61の回転中心CRからリンクロッド71Bの支持板71A側の端部との距離差(閉>開)が生じる。
【0090】
すなわち、可動側半部の開閉時に生じる前述の距離差によって、支持板71Aに対して、リンクロッドの軸方向のスライドに伴うスライド体72Bの位置移動による引っ張り力及び押し力を作用させ、この引っ張り力及び押し力で支持軸70Aを回転させることができ、支持軸70Aの回転によって、閉塞体70を隙間Sに対して接離するように回転させることができる。
【0091】
回転支点軸76Bの軸支位置は、例示した位置に限らず、前述のような距離差を生じさせる位置であればよい。
【0092】
リンク機構71は、例示した形態に限らず、可動側半部61の開閉動作を閉塞体70の隙間Sに対する開閉動として伝えることができるものであればよい。
【0093】
本実施形態の閉塞装置7は、ロールベールB1の成形中(可動側半部閉状態)では、リンク機構71によって閉塞体70が隙間を閉塞している状態となるため、成形ベルト64の回転によって隙間Sに入り込む飼料作物Bの隙間からのこぼれ落ちを防止することができる。
【0094】
また、ロールベールB1の成形後に可動側半部61を開くと、リンク機構71によって閉塞体70が隙間Sを開放する状態となって、閉塞体70の部分に空間が生じるため、隙間Sに入り込んで詰まっているわずかな飼料作物は、可動側半部61を開いた状態での成形ベルト64の回転によって取り除くことができる。
【0095】
したがって、成形ベルト64に悪影響を与えることなく、ロールベールB1の成形中における飼料作物Bのこぼれ落ち量を低減できると共に、隙間Sに詰まった飼料作物Bを容易に除去できる。
【0096】
イジェクタ装置8は、固定側半部60から排出されるロールベールB1を支持すると共に、支持した状態で降ろして、圃場Gに近い低い位置からロールベールB1を転がして排出するようにしたものである。
【0097】
イジェクタ装置8は、図1図3図12図14に示すように、車体A1に左右方向を軸として回転可能に支持されたイジェクタ80と、イジェクタ80を回転させるように支持すると共に、イジェクタ80の停止状態を支持する昇降支持装置8Aと、昇降支持装置8Aをイジェクタ80に着脱自在に連結する連結装置8Bとを備えている。
【0098】
昇降支持装置8Aは、伸縮によって付勢力が生じるガススプリング或いは単動シリンダであり、この昇降支持装置8Aの伸縮によって、イジェクタ80の上下動を行うようにされている。
【0099】
昇降支持装置8Aは、イジェクタ80を成形室6から排出されるロールベールB1を支承する支承位置で保持し(図1の実線で示すイジェクタ80の状態)、イジェクタ80に対して、昇降支持装置8Aの付勢力を上回るロールベールB1の荷重が作用したときに収縮して、イジェクタ80をスロープ状になるように下降させ(図1の仮想線で示すイジェクタ80の状態)、イジェクタ80からロールベールB1が圃場に放出されたときに、イジェクタ80を支承位置に上昇させる付勢力を有している。
【0100】
昇降支持装置8Aは、軸方向の両端側にイジェクタ80の軸と平行な軸を有して突設された連結軸を介して、軸方向で車体A1とイジェクタ80とにわたるように、連結されていると共に、イジェクタ80側の連結軸が連結装置8Bを介して連結されている。
【0101】
連結軸80A、80Bは、夫々車体A1及び連結装置8Bに対して軸を中心として回転するように連結されており、イジェクタの上下動による回転に追従して回転するようにされている。
【0102】
車体A1には、複数の連結位置Pを備えた連結板A10が設けられており、ロールベールB1の重量に対応して連結軸80Aの連結位置Pを変更できるようにされている。
【0103】
連結装置8Bは、イジェクタ80に設けられた一対の取付板800に設けられており、連結軸80Bと平行な軸を有して回転自在に軸支された回転軸80Cと、一対の取付板800の間に配置され、回転軸80Cと一体回転するように軸支された左右一対の回転板81Bと、回転板81Bに凹設され、連結軸80Bを嵌脱自在に支持する連結凹部82Bと、回転板81Bの回転を制限する回転制限装置83Bとを備えている。
【0104】
回転軸80Cには、回転軸の周面から径方向に沿って開口された冶具挿し込み口801が備えられており、この冶具挿し込み口801に棒状の冶具(図示せず)を挿し込んで、この冶具を回転軸80Cの周方向に動かすことによって、回転軸80Cを回転させることができる。
【0105】
連結凹部82Bは、回転軸80Cの経線に沿って凹設され、回転板81Bの端縁を連結軸80Bが嵌脱される開放部820とすると共に、底部を連結軸が回転自在に接触して支持される円弧状の接触支持部821として形成されている。
【0106】
回転軸80Cの回転に伴う回転板81Bの回転範囲中には、昇降支持装置8Aがイジェクタ80を支承位置で保持する位置(図12)において、連結軸80Bを嵌脱不能として連結凹部82Bに連結された状態を保持する保持位置と、連結軸を開放部820から嵌脱する嵌脱位置とが設定されている。
【0107】
回転板81Bの保持位置では、図12に示すように、開放部820が車体A1側を向き、連結軸80Bが連結凹部82Bに嵌合されていると共に、昇降支持装置8Aの付勢力によって連結軸80Bが接触支持部821に押し付けられるようにされている。
【0108】
昇降支持装置8Aは、イジェクタ80を支える構造上、車体A1からイジェクタ80へ向かって高くなるように傾斜させて配置されてため、保持位置で連結軸80Bが連結された回転板81Bには、連結軸80Bを介して昇降支持装置8Aの傾斜方向に伸長する付勢力が作用しており、この傾斜方向に伸長する付勢力によって、保持位置から図14に示す嵌脱位置へ向かって(図面上半時計方向)回転しようとする。
【0109】
そのため、保持位置での回転板81Bは、回転制限装置83Bによって、保持位置から嵌脱位置へ向かう回転を制限し、これによって、昇降支持装置8Aの付勢力による回転板81Bの回転を阻止することができると共に、連結軸80Bの連結状態を保持することができる。
【0110】
図中、符号822は、保持位置での回転板81Bの図面上反時計方向の回転を阻止する阻止する阻止体である。
【0111】
嵌脱位置は、図14に示すように、保持位置から回転板81Bを図面上時計方向に回転させたときの回転に伴って、昇降支持装置8Aが連結軸80Aの軸を回転中心として図面上反時計方向に回転し、この回転に伴って描かれる連結軸80Bの回転軌跡が、連結凹部82Bの凹設方向とほぼ一致する位置に設定されている。
【0112】
連結軸80Bの回転軌跡が連結凹部81Bの凹設方向とほぼ一致する位置とは、昇降支持装置8Aの連結軸80Aの軸を回転中心とする図面上反時計方向の回転によって、連結軸80Bを開放部820から抜き取ることができると共に、昇降支持装置8Aの連結軸80Aの軸を回転中心とする図面上時計方向の回転によって、連結軸80Bを開放部820から嵌め込むことができる位置であって、昇降支持装置8Aの軸長に対応して変化する。
【0113】
すなわち、図14に示すように、嵌脱位置において、昇降支持装置8Aを連結軸80Aの軸を中心として回転させることによって、連結軸80Bを連結凹部81Bから抜き取ることができると共に、連結軸80Bを連結凹部81Bに嵌めこむことができる。
【0114】
また、連結軸80Bを抜き取った状態では、昇降支持装置8Aの付勢力が連結軸80Aには作用しないので、連結軸80Aがボルト・ナットによって連結するものであっても、連結軸80Aの着脱や連結位置Pの変更を容易に行うことができる。
【0115】
尚、連結装置8Bは、例示したようにイジェクタ80側の取付板800に配置するものに限らず、車体A1側の連結板A10に配置してもよいし、取付板800と連結板A10の双方に配置してもよい。
【0116】
回転制限装置83Bは、図12図14に示すように、回転板81Bの上方で回転板81Bの回転方向の縁が接触するように突設されており、回転軸80Cと平行な軸を有すると共に、軸方向に沿って着脱自在に固定されている。
【0117】
回転制限装置83Bは、例えば、ボルト・ナットを用いることができ、ボルトを取付板800に貫通し、貫通したボルトにナットを螺合することで、取付板800に取り付けることができ、ナットをボルトから外せばボルトを取付板800から抜き取ることができる。
【0118】
本実施形態のイジェクタ装置8は、連結軸80Bを回転板81Bに保持位置で連結した状態で、回転板81Bの回転が回転制限装置83Bによって制限されているため、連結状態を確実に保持することができる。
【0119】
また、回転制限装置83Bを取り外すことで、回転板81Bを保持位置から嵌脱位置へ回転させることができ、嵌脱位置において、連結軸80Bを連結凹部82Bから抜き取ることができると共に、連結軸80Bを嵌め入れることができる。
【0120】
したがって、昇降支持装置8Aの取付位置の変更作業及び交換作業を容易に行うことができる。
【0121】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0122】
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0123】
A:ロールベーラ
B:飼料作物
B1:ロールベール
5:搬送装置
6:成形室
501:搬送コンベヤ
5A:正転駆動部
5B:逆転駆動部
5C:回転検出部
5D:制御部
C:正転クラッチ部
D:逆転クラッチ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14