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特許7403968放熱構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】放熱構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20231218BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H02G3/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019076255
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2020174155
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 賢
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-226139(JP,A)
【文献】特開2009-290976(JP,A)
【文献】特開2010-166700(JP,A)
【文献】特開平08-154327(JP,A)
【文献】実開昭61-083278(JP,U)
【文献】特開2007-325343(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225470(WO,A1)
【文献】特開2004-343994(JP,A)
【文献】特開2019-030167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H02G 3/16
B60R 12/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷部との間に設けられ前記電源に接続される第1端子及び前記負荷部に接続される第2端子を含んで構成される第1電子部品と、
一端が前記第2端子に連結され前記負荷部に電力を供給する電力供給用の電線と、
導電性を有する部材であり一端が前記第2端子に連結され他端が前記第1電子部品を収容する絶縁性の筐体に組み付けられる放熱用の導電部材と、
前記筐体に設けられ前記導電部材の前記他端が接続される放熱用の端子と、
を備えることを特徴とする放熱構造。
【請求項2】
前記筐体は、前記第1電子部品とは異なる第2電子部品の端子を挿入可能な複数の筒部を有し前記第2電子部品を保持する部品保持部を含んで構成され、
前記放熱用の端子は、前記第2電子部品が前記部品保持部に保持された状態で、余剰の前記筒部に挿入される請求項に記載の放熱構造。
【請求項3】
前記放熱用の端子は、導電性を有し前記導電部材の前記他端に接続される端子本体、及び、絶縁性を有し前記端子本体の前記導電部材側とは反対側の端部である上端部に設けられる保持部を含んで構成され、
前記保持部は、前記上端部を露出させる開口部が形成されている請求項又はに記載の放熱構造。
【請求項4】
前記第1電子部品は、前記第1端子と前記第2端子との間に設けられ前記電源から前記負荷部に流れる過電流により溶断する可溶体を含んで構成されるヒューズである請求項1~のいずれか1項に記載の放熱構造。
【請求項5】
内部に第1電子部品を収容する絶縁性の筐体と、
前記筐体の内部に収容される放熱構造と、を備え、
前記放熱構造は、
電源と負荷部との間に設けられ前記電源に接続される第1端子及び前記負荷部に接続される第2端子を含んで構成される前記第1電子部品と、
一端が前記第2端子に連結され前記負荷部に電力を供給する電力供給用の電線と、
導電性を有する部材であり一端が前記第2端子に連結され他端が前記筐体に組み付けられる放熱用の導電部材と、
前記筐体に設けられ前記導電部材の前記他端が接続される放熱用の端子と、
を備えることを特徴とする電気接続箱。
【請求項6】
導電性を有する配索材と、
内部に前記配索材と電気的に接続される第1電子部品を収容する絶縁性の筐体、及び、前記筐体の内部に収容される放熱構造を含む電気接続箱とを備え、
前記放熱構造は、
電源と負荷部との間に設けられ前記電源に接続される第1端子及び前記負荷部に接続される第2端子を含んで構成される前記第1電子部品と、
一端が前記第2端子に連結され前記負荷部に電力を供給する電力供給用の電線と、
導電性を有する部材であり一端が前記第2端子に連結され他端が前記筐体に組み付けられる放熱用の導電部材と、
前記筐体に設けられ前記導電部材の前記他端が接続される放熱用の端子と、
を備えることを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に搭載されるワイヤハーネスに適用される電気接続箱として、例えば、特許文献1には、過電流により溶断する可溶部を有するヒューズを収容する電気接続箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-033236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載の電気接続箱は、例えば、ヒューズの熱を放熱する点で更なる改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子部品を適正に放熱することができる放熱構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放熱構造は、電源と負荷部との間に設けられ前記電源に接続される第1端子及び前記負荷部に接続される第2端子を含んで構成される第1電子部品と、導電性を有する部材であり一端が前記第2端子に連結され他端が前記第1電子部品を収容する絶縁性の筐体に組み付けられる放熱用の導電部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記放熱構造において、前記筐体に設けられ前記導電部材の前記他端が接続される放熱用の端子を更に備えることが好ましい。
【0008】
上記放熱構造において、前記筐体は、前記第1電子部品とは異なる第2電子部品の端子を挿入可能な複数の筒部を有し前記第2電子部品を保持する部品保持部を含んで構成され、前記放熱用の端子は、前記第2電子部品が前記部品保持部に保持された状態で、余剰の前記筒部に挿入されることが好ましい。
【0009】
上記放熱構造において、前記放熱用の端子は、導電性を有し前記導電部材の前記他端に接続される端子本体、及び、絶縁性を有し前記端子本体の前記導電部材側とは反対側の端部である上端部に設けられる保持部を含んで構成され、前記保持部は、前記上端部を露出させる開口部が形成されていることが好ましい。
【0010】
上記放熱構造において、前記第1電子部品は、前記第1端子と前記第2端子との間に設けられ前記電源から前記負荷部に流れる過電流により溶断する可溶体を含んで構成されるヒューズであることが好ましい。
【0011】
上記放熱構造において、一端が前記第2端子に連結され前記負荷部に電力を供給する電力供給用の電線を更に備えることが好ましい。
【0012】
本発明に係る電気接続箱は、内部に第1電子部品を収容する絶縁性の筐体と、前記筐体の内部に収容される放熱構造と、を備え、前記放熱構造は、電源と負荷部との間に設けられ前記電源に接続される第1端子及び前記負荷部に接続される第2端子を含んで構成される前記第1電子部品と、導電性を有する部材であり一端が前記第2端子に連結され他端が前記筐体に組み付けられる放熱用の導電部材と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、内部に前記配索材と電気的に接続される第1電子部品を収容する絶縁性の筐体、及び、前記筐体の内部に収容される放熱構造を含む電気接続箱とを備え、前記放熱構造は、電源と負荷部との間に設けられ前記電源に接続される第1端子及び前記負荷部に接続される第2端子を含んで構成される前記第1電子部品と、導電性を有する部材であり一端が前記第2端子に連結され他端が前記筐体に組み付けられる放熱用の導電部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る放熱構造、電気接続箱、及び、ワイヤハーネスは、一端が電子部品の端子に連結され他端が当該電子部品を収容する絶縁性の筐体に組み付けられる放熱用の導電部材により、電子部品の熱を適正に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係るリレーの取り付け例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る放熱用のスペーサーの挿入例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る放熱構造を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る放熱用のスペーサーの構成例を示す図である。
図5図5は、参考例に係るダミー端子による電線変換例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0017】
〔実施形態〕
図面を参照しながら実施形態に係る放熱構造20、電気接続箱1、及び、ワイヤハーネス100について説明する。図1は、実施形態に係るリレー2の取り付け例を示す図である。図2は、実施形態に係る放熱用のスペーサー26の挿入例を示す図である。図3は、実施形態に係る放熱構造20を示す図である。図4は、実施形態に係る放熱用のスペーサー26の構成例を示す図である。
【0018】
本実施形態に係る電気接続箱1は、図1図3に示すように、自動車等の車両に搭載され、ワイヤハーネス100に組み込まれるものである。ワイヤハーネス100は、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材3を束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材3を各機器に接続するようにしたものである。ワイヤハーネス100は、導電性を有する配索材3と、配索材3に電気的に接続される電気接続箱1とを備える。配索材3は、例えば、金属棒、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性を有する棒状部材の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。ワイヤハーネス100は、複数の配索材3を束ねて集約すると共に、束ねられた配索材3の端末に設けられたコネクタ等を介して電気接続箱1が電気的に接続される。ワイヤハーネス100は、この他、更に、グロメット、プロテクタ、外装材、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0019】
電気接続箱1は、第1電子部品としてのヒューズ21、第2電子部品としてのリレー2等の電装品を集約して内部に収容するものである。電気接続箱1は、例えば、車両のエンジンルームや車両室内に設置される。電気接続箱1は、配索材3等を介して、バッテリ等の電源6と、車両内に搭載される各種電子機器等の負荷部5との間に接続されている。電気接続箱1は、電源6から供給された電力を車両内の各種電子機器等の負荷部5に分配する。電気接続箱1は、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックスなどとも呼ばれる場合があるが、本実施形態ではこれらを総称して電気接続箱と呼ぶ。以下、各図を参照して電気接続箱1の構成について詳細に説明する。
【0020】
具体的には、電気接続箱1は、リレー2と、ヒューズ21と、筐体10と、放熱構造20とを備える。リレー2は、リレー端子2aが4本設けられた4極のリレー2A又はリレー端子2aが5本設けられた5極のリレー2Aである。4極のリレー2Aは、第1負荷部(図示省略)に流れる電流を通電又は遮断する。5極のリレー2Bは、第1負荷部又は第2負荷部(図示省略)のいずれか一方に電流が流れるように切り替える。
【0021】
ヒューズ21は、過電流が流れた場合に電流流路を遮断するものである。ヒューズ21は、電源6と負荷部5との間に設けられる。ヒューズ21は、第1端子21aと、第2端子21bと、可溶体21cとを含んで構成される。第1端子21aは、導電性を有する部材により形成され、配索材3を介して電源6に電気的に接続される。第2端子21bは、導電性を有する部材により形成され、負荷部5に電気的に接続される。可溶体21cは、低融点の導電性を有する部材により形成され、第1端子21aと第2端子21bとの間に設けられる。可溶体21cは、電源6から負荷部5に流れる過電流により溶断する。ヒューズ21は、可溶体21cが溶断することにより、電源6と負荷部5との電気的な接続を遮断する。
【0022】
筐体10は、リレー2やヒューズ21等を内部に収容するものである。筐体10は、絶縁性の樹脂等により形成されており、部品保持部としてのリレー保持部11と、ヒューズ保持部12とを含んで構成される。リレー保持部11は、リレー2を保持するものである。リレー保持部11は、複数の筒部としての複数のキャビティ11a、11bを有する。リレー保持部11は、1つのリレー2に対して、4箇所に設けられたキャビティ11a、及び、1箇所に設けられたキャビティ11bにより構成されている。つまり、リレー保持部11は、1つのリレー2に対して、合計5箇所のキャビティ11a、11bにより構成されている。リレー保持部11は、4極のリレー2Aを保持する場合、4箇所のキャビティ11aに当該リレー2Aの各リレー端子2aが挿入され、当該各リレー端子2aを保持する。一方、リレー保持部11は、5極のリレー2Bを保持する場合、4箇所のキャビティ11a及び1箇所のキャビティ11bに当該リレー2Bの各リレー端子2aが挿入され、当該各リレー端子2aを保持する。
【0023】
4箇所のキャビティ11aは、4極のリレー2Aの各リレー端子2aが挿入された状態で、当該リレー2Aとは反対側から相手側端子(図示省略)が挿入され当該相手側端子が各リレー端子2aに電気的に接続される。これにより、リレー保持部11は、4極のリレー2Aの各リレー端子2aをキャビティ11aに挿入した状態で当該リレー2Aを保持することができる。
【0024】
4箇所のキャビティ11a及び1箇所のキャビティ11bは、5極のリレー2Bの各リレー端子2aが挿入された状態で、当該リレー2Bとは反対側から相手側端子(図示省略)が挿入され当該相手側端子が各リレー端子2aに電気的に接続される。これにより、リレー保持部11は、5極のリレー2Bの各リレー端子2aをキャビティ11a、11bに挿入した状態で当該リレー2Bを保持することができる。このように、リレー保持部11は、4極のリレー2A及び5極のリレー2Bを保持することができるので、4極のリレー2A及び5極のリレー2Bに対して電気接続箱1を共用化することができる。これにより、電気接続箱1は、当該電気接続箱1や金型などの再設計を抑制することができ、開発費用を抑制することができる。
【0025】
リレー保持部11は、4極のリレー2Aを保持する場合に、放熱用のスペーサー26を余剰のキャビティ11bに予めワイヤハーネス100の製造工程で挿入しておけば、誤って、5極のリレー2Bを保持することを防止できる。
【0026】
ヒューズ保持部12は、ヒューズ21を保持するものである。ヒューズ保持部12は、ヒューズ装着部(図示省略)を有し、ヒューズ21をヒューズ装着部に装着することで当該ヒューズ21を保持する。
【0027】
放熱構造20は、上述のヒューズ21と、電線22と、電力供給用の電線23と、放熱用の導電部材としての放熱用の電線24と、接続端子25と、放熱用のスペーサー26とを含んで構成され、筐体10の内部に収容されている。
【0028】
電線22は、電源6とヒューズ21の第1端子21aとを電気的に接続するものである。電線22は、一端が電源6側に接続され、他端がヒューズ21の第1端子21aに接続されている。電線22は、電源6からヒューズ21に電流を流す。
【0029】
電力供給用の電線23は、負荷部5に電力を供給する電線である。電力供給用の電線23は、ヒューズ21の第2端子21bと負荷部5の端子とを電気的に接続する。電力供給用の電線23は、一端がヒューズ21の第2端子21bに連結され、他端が負荷部5の端子に連結されている。電力供給用の電線23は、ヒューズ21から負荷部5に電流を流す。ここで、電力供給用の電線23は、負荷部5の端子圧着要件により負荷部5側に接続される電線の断面積(線径)が規定されている。電力供給用の電線23は、例えば、その断面積が3sq(平方ミリメートル)である。電力供給用の電線23は、放熱用の電線24により放熱機能を実現することで、従来のようにスプライスにより放熱用の太い電線(例えば5sqの電線)から負荷接続用の細い電線(例えば3sqの電線)に線径変換することなく1本の電線により連結することができる。なお、上述の電力供給用の電線23の断面積は、設計に応じて適宜変更される。
【0030】
放熱用の電線24は、ヒューズ21の熱を放熱するものである。放熱用の電線24は、導電性を有する部材であり、電力供給用の電線23とは異なる電線である。放熱用の電線24は、一端が第2端子21bに直接連結され、他端がヒューズ21を収容する筐体10に組み付けられる。放熱用の電線24は、例えば、その断面積が2sq(平方ミリメートル)である。放熱用の電線24は、その断面積を2sqとすることで、電力供給用の電線23の断面積(3sq)と合わせて断面積を5sqとし、必要とされる放熱効果を満たしている。なお、放熱用の電線24の断面積は、設計に応じて適宜変更される。放熱用の電線24は、他端に接続端子25が設けられ、当該接続端子25が後述する放熱用のスペーサー26に接続されることで、当該放熱用のスペーサー26を介して筐体10のリレー保持部11に組み付けられる。放熱用の電線24は、ヒューズ21に生じる熱を放熱用のスペーサー26に伝導し、当該放熱用のスペーサー26を介してヒューズ21の熱を放熱する。
【0031】
放熱用のスペーサー26は、熱を放熱する機能を有するものである。放熱用のスペーサー26は、4極のリレー2Aがリレー保持部11に保持された状態で、余剰のキャビティ11bに挿入され、疑似的な端子として機能する。放熱用のスペーサー26は、図4に示すように、端子本体26aと、保持部26bとを含んで構成される。端子本体26aは、導電性を有し、矩形状且つ板状に形成されている。端子本体26aは、キャビティ11bに挿入された状態で、放熱用の電線24の接続端子25に接続される。
【0032】
保持部26bは、絶縁性を有し、端子本体26aの放熱用の電線24側とは反対側の端部である上端部26dに設けられる。保持部26bは、直方体状に形成され、端子本体26aの上端部26dの全体を覆っている。保持部26bは、キャビティ11bに挿入される挿入方向から視て、当該保持部26bの長辺及び短辺が端子本体26aの長辺及び短辺よりも長く形成されている。つまり、保持部26bは、挿入方向から視て、端子本体26aの外形を囲っている。これにより、保持部26bは、キャビティ11bに挿入された状態で、端子本体26aが当該キャビティ11bの一方側から抜け落ちることを防止することができる。
【0033】
保持部26bは、端子本体26aの上端部26dを露出させる開口部26cが形成されている。開口部26cは、例えば、挿入方向から視て、保持部26bの長辺に沿った方向に長軸と、短辺に沿った方向に短軸とを有する楕円形状に形成されている。放熱用のスペーサー26は、放熱用の電線24から端子本体26aに伝導した熱を保持部26bの開口部26c等から放熱する。
【0034】
以上のように、実施形態に係る放熱構造20は、ヒューズ21と、放熱用の電線24とを備える。ヒューズ21は、電源6と負荷部5との間に設けられ、当該電源6に接続される第1端子21a及び負荷部5に接続される第2端子21bを含んで構成される。放熱用の電線24は、導電性を有する部材であり、一端が第2端子21bに連結され、他端がヒューズ21を収容する絶縁性の筐体10に組み付けられる。
【0035】
従来の放熱構造(図示省略)は、ヒューズ21の第2端子21bに接続される第1電線の断面積を必要な断面積よりも余分に大きくすることによりヒューズ21の熱を放熱させていた。このため、従来の放熱構造は、第2端子21bに接続される第1電線(例えば5sqの電線)と、負荷部5に接続される第1電線よりも断面積が小さい第2電線(例えば3sqの電線)とをスプライスを介して接続していた。
【0036】
これに対して、実施形態に係る放熱構造20は、放熱用の電線24を介してヒューズ21の熱を放熱することができるので、ヒューズ21と負荷部5との間をスプライスを介さずに1本の電力供給用の電線23(例えば3sqの電線)により接続することができる。このように、放熱構造20は、ヒューズ21の熱を適正に放熱することができ、ヒューズ21の温度上昇を抑制することができる。また、放熱構造20は、電力供給用の電線23の断面積を小さくすることができ線径を細くすることができる。これにより、放熱構造20は、電力供給用の電線23の配索性を向上でき、製造コストを抑制することができる。
【0037】
上記放熱構造20は、筐体10に設けられ、放熱用の電線24の他端が接続される放熱用のスペーサー26を更に備える。この構成により、放熱構造20は、放熱用のスペーサー26を介してヒューズ21の熱を適正に放熱することができる。
【0038】
上記放熱構造20において、筐体10は、リレー保持部11を含んで構成される。リレー保持部11は、ヒューズ21とは異なる電子部品であるリレー2のリレー端子2aを挿入可能な複数のキャビティ11a、11bを有し当該リレー2を保持する。放熱用のスペーサー26は、4極のリレー2Aがリレー保持部11に保持された状態で、余剰のキャビティ11bに挿入される。この構成により、放熱構造20は、余剰のキャビティ11bを有効利用することができ、特別に放熱用のスペーサー26を装着するためのキャビティを用意することを抑制できる。また、放熱構造20は、余剰のキャビティ11bに放熱用のスペーサー26を装着することで、意図しないリレー2をリレー保持部11に保持することを防止できる。
【0039】
上記放熱構造20において、放熱用のスペーサー26は、端子本体26aと、保持部26bとを含んで構成される。端子本体26aは、導電性を有し放熱用の電線24の他端に接続される。保持部26bは、絶縁性を有し端子本体26aの放熱用の電線24側とは反対側の端部である上端部26dに設けられる。保持部26bは、上端部26dを露出させる開口部26cが形成されている。この構成により、放熱構造20は、放熱用の電線24から端子本体26aに伝導した熱を保持部26bの開口部26cから放熱することができ、放熱効果を向上させることができる。
【0040】
上記放熱構造20において、ヒューズ21は、第1端子21aと第2端子21bとの間に設けられ、電源6から負荷部5に流れる過電流により溶断する可溶体21cを含んで構成される。本実施形態では、放熱構造20は、放熱対象の電子部品をヒューズ21としている。
【0041】
上記放熱構造20において、一端が第2端子21bに連結され、負荷部5に電力を供給する電力供給用の電線23を更に備える。放熱構造20は、電力供給用の電線23とは異なる放熱用の電線24によりヒューズ21の熱を放熱する。
【0042】
電気接続箱1は、内部にヒューズ21を収容する絶縁性の筐体10と、当該筐体10の内部に収容される放熱構造20とを備える。この構成により、電気接続箱1は、上述の放熱構造20と同等の効果を奏することができる。
【0043】
ワイヤハーネス100は、導電性を有する配索材3と、内部に配索材3と電気的に接続されるヒューズ21を収容する絶縁性の筐体10、及び、筐体10の内部に収容される放熱構造20を含む電気接続箱1とを備える。この構成により、ワイヤハーネス100は、上述の放熱構造20と同等の効果を奏することができる。
【0044】
なお、上記説明において、放熱構造20は、放熱用の電線24の他端が接続される放熱用のスペーサー26を備える例について説明したが、これに限定されない。放熱構造20は、例えば、放熱用のスペーサー26を用いずに、放熱用の電線24の他端を筐体10に直接組み付けてもよい。また、放熱構造20は、放熱用の電線24の他端を、筐体10に設けられたボルト等の金属部品に接続してもよい。
【0045】
放熱用のスペーサー26は、リレー保持部11に4極のリレー2Aを保持する場合に、余剰のキャビティ11bに挿入される例について説明したが、これに限定されない。放熱用のスペーサー26は、放熱用に専用に設けたキャビティに挿入してもよい。
【0046】
放熱用のスペーサー26において、保持部26bは、上端部26dを露出させる開口部26cが形成される例について説明したが、これに限定されず、開口部26cが形成されていなくてもよい。
【0047】
放熱構造20は、放熱する対象の電子部品としてヒューズ21を例に挙げて説明したが、ヒューズ21に限定されず、電気接続箱1に収容される電子部品であれば、その他の電子部品であってもよい。
【0048】
〔参考例〕
次に、実施形態の参考例について説明する。図5は、参考例に係るダミー端子7による電線変換例を示す図である。ダミー端子7は、例えば、図5に示すように、電線8と電線9との間に設けられ、当該電線8の一端に電気的に接続され、電線9の一端に電気的に接続されている。ダミー端子7は、電線8(例えば5sqの電線)と電線9(例えば3sqの電線)との間で、各電線8、9の線径変換を行う。参考例では、スプライスを用いずにダミー端子7を用いて線径変換を行っている。
【符号の説明】
【0049】
1 電気接続箱
2、2A、2B リレー(第2電子部品)
2a リレー端子(端子)
3 配索材
5 負荷部
6 電源
10 筐体
11 リレー保持部(部品保持部)
11a、11b キャビティ(筒部)
20 放熱構造
21 ヒューズ(第1電子部品)
21a 第1端子
21b 第2端子
21c 可溶体
23 電力供給用の電線
24 放熱用の電線(放熱用の導電部材)
26 放熱用のスペーサー(放熱用の端子)
26a 端子本体
26b 保持部
26c 開口部
26d 上端部
100 ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5