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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20231218BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20231218BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G06V40/13
H04N25/70
G02F1/1333
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019088581
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2020184227
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日向野 敏行
(72)【発明者】
【氏名】西山 和廣
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 安
(72)【発明者】
【氏名】遊津 元希
(72)【発明者】
【氏名】松永 和己
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-506806(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0356915(US,A1)
【文献】特表2017-527045(JP,A)
【文献】特開2002-268615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06V 40/13
H04N 25/70
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ基材と、前記センサ基材に設けられ、それぞれに照射された光に応じた信号を出力する複数の光電変換素子と、を含む光学センサと、
被測定対象の方向に出射光を照射する発光素子と、
複数の第1透光領域と、非透光領域とを含み、前記光学センサと前記被測定対象との間に設けられた光学素子と、を有し、
前記光学素子において、
複数の前記第1透光領域は、複数の前記光電変換素子のそれぞれと重なる位置で前記光学素子の厚さ方向に貫通して設けられ、前記光電変換素子に入射する入射光を透過させ、
前記非透光領域は、複数の前記第1透光領域の間に設けられ、前記第1透光領域よりも光の透過率が小さく、
前記発光素子は、前記センサ基材に複数設けられ、平面視で前記光電変換素子と隣あって設けられ、
前記光学素子は、前記非透光領域を挟んで前記第1透光領域と隣り合う複数の第2透光領域を含み、
複数の前記第2透光領域は、前記発光素子と重なる位置に設けられ、前記出射光を透過させる
検出装置。
【請求項2】
複数の前記第1透光領域のそれぞれの面積は、複数の前記光電変換素子のそれぞれの面積よりも小さい
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記発光素子と前記被測定対象との間に設けられた液晶表示パネルを有し、
前記液晶表示パネルは、赤色を表示する赤色画素と、緑色を表示する緑色画素と、青色を表示する青色画素とを含み、
前記発光素子は、前記青色画素と重なる領域に設けられ、
前記光電変換素子は、前記赤色画素及び前記緑色画素の少なくとも一方と重なる領域に設けられる
請求項1又は請求項に記載の検出装置。
【請求項4】
複数の前記発光素子は、可視光を照射する複数の第1発光素子と、近赤外光を照射する第2発光素子とを含む
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記光電変換素子は、PIN型ダイオードである
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記発光素子は、無機発光素子又はOLEDである
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示パネルと、光源と、導光板と、ピンホール撮像板と、画像センサとを有する画像取得装置が記載されている。特許文献1において、光源は、導光板の側端部に設けられる。光源から照射された光は、導光板の内部を進行し、被検出体によって反射された光は、光ピンホール撮像板を通って画像センサに入射する。
【0003】
特許文献2には、光学画像センサと、ピンホールアレイマスク層と、ディスプレイ層と、カバー層と、光源と、を有する電子デバイスが記載されている。特許文献2において、光源は、ユーザの指に光を向け、かつ光学画像センサの方へ光を導くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2017-527045号公報
【文献】特表2018-506806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学式センサを備えた検出装置において、指や掌等の被検出体の指紋の形状に限られず、被検出体の種々の生体情報を検出することが要求されている。この場合、光学式センサは、検出する生体情報に応じて複数の光源を備える場合があり、小型化が困難となる可能性がある。特許文献1の光源は、導光板の側端部に設けられた、エッジライト構造であり、表示パネルの直下に光源を設ける構成は記載されていない。また、特許文献2には、光源の具体的な配置について記載されていない。
【0006】
本発明は、小型化を図ることが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の検出装置は、センサ基材と、前記センサ基材に設けられ、それぞれに照射された光に応じた信号を出力する複数の光電変換素子と、を含む光学センサと、被測定対象の方向に出射光を照射する発光素子と、複数の第1透光領域と、非透光領域とを含み、前記光学センサと前記被測定対象との間に設けられた光学素子と、を有し、前記光学素子において、複数の前記第1透光領域は、複数の前記光電変換素子のそれぞれと重なる位置で前記光学素子の厚さ方向に貫通して設けられ、前記光電変換素子に入射する入射光を透過させ、前記非透光領域は、複数の前記第1透光領域の間に設けられ、前記第1透光領域よりも光の透過率が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II’断面図である。
図3図3は、図2の領域Aを拡大して示す部分拡大図である。
図4図4は、表示領域の画素配列を表す回路図である。
図5図5は、光学センサを模式的に示す平面図である。
図6図6は、図5のVI-VI’断面図である。
図7図7は、光電変換素子の部分検出領域を示す回路図である。
図8図8は、図4のVIII-VIII’断面図である。
図9図9は、図8の発光素子を拡大して示す断面図である。
図10図10は、光学素子を示す平面図である。
図11図11は、図10のXI-XI’断面図である。
図12図12は、第1変形例に係る光学素子を示す断面図である。
図13図13は、表示パネル、光学素子及び光学センサの平面視での配置関係を説明するための説明図である。
図14図14は、図13のXIV-XIV’断面図である。
図15図15は、散乱構造の一例を示す断面図である。
図16図16は、散乱構造の他の例を示す断面図である。
図17図17は、第2実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図18図18は、第2実施形態に係る検出装置が有する照明装置を模式的に示す斜視図である。
図19図19は、第2実施形態に係る光学素子を示す平面図である。
図20図20は、第2実施形態に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの配置関係を模式的に示す断面図である。
図21図21は、第2実施形態の第2変形例に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの配置関係を模式的に示す断面図である。
図22図22は、第2変形例に係る光学素子を示す平面図である。
図23図23は、第3実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図24図24は、第3実施形態に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの配置関係を模式的に示す断面図である。
図25図25は、第3実施形態の第3変形例に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの配置関係を模式的に示す断面図である。
図26図26は、第4実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図27図27は、第4実施形態に係る検出装置が有する表示パネルを模式的に示す斜視図である。
図28図28は、第4実施形態に係る表示パネルの駆動回路を示す回路図である。
図29図29は、第4実施形態に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの平面視での配置関係を説明するための説明図である。
図30図30は、第4実施形態の第4変形例に係る画素の配列を説明するための説明図である。
図31図31は、第4実施形態の第5変形例に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を示す斜視図である。図2は、図1のII-II’断面図である。図1に示すように、検出装置1は、表示パネル2と、光学素子4と、光学センサ5とを有する。第3方向Dzにおいて、光学センサ5、光学素子4、表示パネル2の順に積層されている。
【0011】
なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、光学センサ5の基体であるセンサ基材51の表面に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、例えば、センサ基材51の法線方向に対応する。なお、以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0012】
表示パネル2は、表示領域DAと、周辺領域BEとを有する。表示領域DAは、表示部DPと重なって配置され、画像を表示する領域である。周辺領域BEは、表示部DPと重ならない領域であり、表示領域DAの外側に配置される。
【0013】
表示パネル2は、表示素子として液晶層LC(図3参照)を有する液晶表示パネルである。表示パネル2は、アレイ基板SUB1と、対向基板SUB2とを備えている。アレイ基板SUB1は、第1基板10と、画素PXと、周辺回路GCと、接続端子T1とを有する。第1基板10、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等により、各画素PXを駆動するためのアレイ基板SUB1が構成される。アレイ基板SUB1は、駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。駆動IC(Integrated Circuit)は、接続端子T1を介して接続される。
【0014】
表示部DPは複数の画素PXを有し、複数の画素PXは、表示領域DAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。周辺回路GC及び接続端子T1は、周辺領域BEに設けられる。周辺回路GCは、駆動ICからの各種制御信号に基づいて複数の走査線GLを駆動する回路である。周辺回路GCは、複数の走査線GLを順次又は同時に選択し、選択された走査線GLにゲート駆動信号を供給する。これにより、周辺回路GCは、走査線GLに接続された複数の画素PXを選択する。
【0015】
駆動ICは、表示パネル2の表示を制御する回路である。駆動ICは、接続端子T1に接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。これに限定されず、駆動ICは、第1基板10の周辺領域BEにCOG(Chip On Glass)として実装されてもよい。
【0016】
図2に示すように、表示パネル2は、光学センサ5の発光素子7と、被測定対象である指Fgとの間に設けられる。光学センサ5は、センサ基材51と、複数の光電変換素子6と、複数の発光素子7とを有する。センサ基材51は、絶縁性の基材であり、例えばガラス基板である。或いは、センサ基材51は、ポリイミド等の樹脂で構成された樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。複数の光電変換素子6及び複数の発光素子7は、同一のセンサ基材51に設けられる。複数の光電変換素子6及び複数の発光素子7は、センサ基材51の表示領域DAと重なる領域に設けられる。ただし、複数の光電変換素子6及び複数の発光素子7は、表示領域DAの一部の領域と重なる領域に設けられていてもよい。
【0017】
光電変換素子6は、例えばアモルファスシリコン等により形成されたフォトダイオードである。光電変換素子6は、照射される光L2に応じた電気信号を検出回路DET(図7参照)に出力する。
【0018】
発光素子7は、例えば無機発光素子(LED、Light Emitting Diode)や有機EL(OLED、Organic Light Emitting Diode)等が用いられる。表示パネル2は、光学素子4を介して、センサ基材51と対向して設けられており、発光素子7は、光L1を表示パネル2及び被測定対象である指Fgの方向に向けて照射する。
【0019】
光学素子4は、第3方向Dzにおいて、光学センサ5と表示パネル2との間に設けられる。光学素子4は、平板状であり、少なくとも複数の光電変換素子6及び複数の発光素子7と重なる領域に設けられる。光学素子4は、第1透光領域41、第2透光領域42及び非透光領域43を含む。第1透光領域41は、複数の光電変換素子6のそれぞれと重なる位置で光学素子4の厚さ方向に貫通して設けられる。第1透光領域41は、透光性を有し、光電変換素子6に入射する光L2(入射光)を透過させる。
【0020】
第2透光領域42は、複数の発光素子7のそれぞれと重なる位置で光学素子4の厚さ方向に貫通して設けられる。複数の第2透光領域42は、発光素子7から照射される光L1(出射光)を透過させる。非透光領域43は、複数の第1透光領域41及び複数の第2透光領域42の間に設けられ、第1透光領域41及び第2透光領域42よりも光の透過率が小さい。つまり、光L1及び光L2は、非透光領域43を透過しない。
【0021】
このような構成により、発光素子7から照射される光L1は、第2透光領域42を透過して表示パネル2に入射する。光L1は、表示パネル2を透過して指Fgの表面又は内部で反射する。指Fgで反射された光L2は、表示パネル2及び第1透光領域41を透過して、光電変換素子6に入射する。これにより、光学センサ5は、光L2に基づいて、指Fgの指紋や血管像(静脈パターン)等の生体に関する情報を検出することができる。また、表示パネル2は、表示の際には、表示パネル2を透過した光L1により表示画像を表示できる。このように、複数の発光素子7は、検出用の光源と、表示用の光源とを兼ねる。
【0022】
次に、表示パネル2、光学素子4及び光学センサ5の詳細な構成について説明する。図3は、図2の領域Aを拡大して示す部分拡大図である。図3は、検出装置の概略断面構造を表す断面図である。図3に示すように、対向基板SUB2は、アレイ基板SUB1の表面に垂直な方向に対向して配置される。液晶層LCは、アレイ基板SUB1と対向基板SUB2との間に設けられる。アレイ基板SUB1は、基体として第1基板10を有する。対向基板SUB2は、基体として第2基板20を有する。第1基板10及び第2基板20は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透光性を有する材料で形成される。
【0023】
アレイ基板SUB1は、第1基板10の対向基板SUB2と対向する側に、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14、第5絶縁膜15、画素信号線SL、画素電極PE、共通電極DE、第1配向膜AL1等を備えている。
【0024】
なお、本明細書において、第1基板10に垂直な方向において、第1基板10から第2基板20に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、第2基板20から第1基板10に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0025】
第1絶縁膜11は、第1基板10の上に設けられる。第2絶縁膜12は、第1絶縁膜11の上に設けられる。第3絶縁膜13は、第2絶縁膜12の上に設けられる。信号線SLは、第3絶縁膜13の上に設けられる。第4絶縁膜14は、第3絶縁膜13の上に設けられ、画素信号線SLを覆っている。なお、図3では図示されないが、走査線GLは、例えば第2絶縁膜12の上に設けられる。
【0026】
共通電極DEは、第4絶縁膜14の上に設けられる。共通電極DEは、表示領域DAに亘って連続して設けられている。ただし、これに限定されず、共通電極DEはスリットが設けられ、複数に分割されていてもよい。共通電極DEは、第5絶縁膜15によって覆われている。
【0027】
画素電極PEは、第5絶縁膜15の上に設けられ、第5絶縁膜15を介して共通電極DEと対向している。画素電極PE及び共通電極DEは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性を有する導電材料によって形成されている。画素電極PE及び第5絶縁膜15は、第1配向膜AL1によって覆われている。
【0028】
第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13及び第5絶縁膜15は、例えば、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの透光性を有する無機系材料によって形成されている。第4絶縁膜14は、透光性を有する樹脂材料によって形成され、無機系材料によって形成された他の絶縁膜と比べて厚い膜厚を有している。
【0029】
対向基板SUB2は、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に、遮光層BM、カラーフィルタCFR、CFG、CFB、オーバーコート層OC、第2配向膜AL2などを備えている。対向基板SUB2は、第2基板20のアレイ基板SUB1と反対側に導電層21を備えている。
【0030】
表示領域DAにおいて、遮光層BMは、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に位置している。そして、遮光層BMは、画素電極PEとそれぞれ対向する開口部を規定している。画素電極PEは、画素PXの開口部ごとに区画されている。遮光層BMは、黒色の樹脂材料や、遮光性の金属材料によって形成されている。
【0031】
カラーフィルタCFR、CFG、CFBのそれぞれは、第2基板20のアレイ基板SUB1と対向する側に位置し、それぞれの端部が遮光層BMに重なっている。一例では、カラーフィルタCFR、CFG、CFBは、それぞれ赤色、緑色、青色に着色された樹脂材料によって形成されている。
【0032】
オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFR、CFG、CFBを覆っている。オーバーコート層OCは、透光性を有する樹脂材料によって形成されている。第2配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、例えば、水平配向性を示す材料によって形成されている。
【0033】
導電層21は、第2基板20の上に設けられる。導電層21は、例えばITO等の透光性の導電性材料である。外部から印加される静電気や、第2偏光板PL2に帯電した静電気は、導電層21を流れる。検出装置1は、静電気を短時間に除去することができ、表示層である液晶層LCに加えられる静電気を低減することができる。これにより、表示パネル2は、ESD耐性を向上させることができる。
【0034】
第1偏光板PL1は、第1基板10の外面、あるいは、光学素子4(図2参照)と対向する面に配置される。第2偏光板PL2は、第2基板20の外面、あるいは、観察位置側の面に配置される。第1偏光板PL1の第1偏光軸及び第2偏光板PL2の第2偏光軸は、例えばX-Y平面においてクロスニコルの位置関係にある。なお、表示パネル2は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2に加え、位相差板などの他の光学機能素子を含んでいてもよい。
【0035】
アレイ基板SUB1及び対向基板SUB2は、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が向かい合うように配置されている。液晶層LCは、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に封入されている。液晶層LCは、誘電率異方性が負のネガ型液晶材料、あるいは、誘電率異方性が正のポジ型液晶材料によって構成されている。
【0036】
例えば、液晶層LCがネガ型液晶材料である場合であって、液晶層LCに電圧が印加されていない状態では、液晶分子LMは、X-Y平面内において、その長軸が第1方向Dxに沿う方向に初期配向している。一方、液晶層LCに電圧が印加された状態、つまり、画素電極PEと共通電極DEとの間に電界が形成されたオン時において、液晶分子LMは、電界の影響を受けてその配向状態が変化する。オン時において、入射した直線偏光は、その偏光状態が液晶層LCを通過する際に液晶分子LMの配向状態に応じて変化する。
【0037】
図4は、表示領域の画素配列を表す回路図である。アレイ基板SUB1には、図4に示す各副画素SPXのスイッチング素子Tr、画素信号線SL、走査線GL等が形成されている。画素信号線SLは、第2方向Dyに延在する。画素信号線SLは、各画素電極PE(図3参照)に画素信号を供給するための配線である。走査線GLは、第1方向Dxに延在する。走査線GLは、各スイッチング素子Trを駆動する駆動信号(走査信号)を供給するための配線である。
【0038】
画素PXは、複数の副画素SPXが含まれる。副画素SPXは、それぞれスイッチング素子Tr及び液晶層LCの容量を備えている。スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。図3に示す画素電極PEと共通電極DEとの間に第5絶縁膜15が設けられ、これらによって図4に示す保持容量Csが形成される。
【0039】
図3に示すカラーフィルタCFR、CFG、CFBは、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域が周期的に配列されている。各副画素SPX-R、SPX-G、SPX-Bに、R、G、Bの3色の色領域が1組として対応付けられる。そして、3色の色領域に対応する副画素SPXを1組として画素PXが構成される。つまり、表示パネル2は、赤色を表示する副画素SPX-Rと、緑色を表示する副画素SPX-Gと、青色を表示する副画素SPX-Bと、を含む。なお、カラーフィルタは、4色以上の色領域を含んでいてもよい。この場合、画素PXは、4つ以上の副画素SPXを含んでいてもよい。
【0040】
図5は、光学センサを模式的に示す平面図である。図5に示すように、光電変換素子6及び発光素子7は、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列されている。具体的には、光電変換素子6及び発光素子7は、第1方向Dxにおいて、交互に配置されている。また、光電変換素子6及び発光素子7は、それぞれ、第2方向Dyに配列されている。発光素子7は、光電変換素子6と隣り合って配置されている。発光素子7は、光電変換素子6と1対1の関係で配置されているが、これに限定されず、発光素子7は、複数の光電変換素子6ごとに1つ設けられていてもよい。この場合、複数の光電変換素子6は、第1方向Dxにおいて、発光素子7と隣り合う光電変換素子6と、発光素子7を介さず他の光電変換素子6と隣り合う光電変換素子6とを含む。
【0041】
センサ基材51には、センサ信号線SLA、センサ走査線GLA、光源信号線SLB、光源走査線GLB等の各種配線が設けられている。センサ走査線GLAは、各センサスイッチング素子TrA(図7参照)を駆動する駆動信号(走査信号)を供給するための配線である。これにより、光電変換素子6は順次選択される。センサ信号線SLAは、光電変換素子6の検出信号を検出回路DET(図7参照)に出力するための配線である。
【0042】
光源走査線GLBは、発光素子7の駆動回路に含まれる各スイッチング素子を駆動する駆動信号(走査信号)を供給するための配線である。光源信号線SLBは、発光素子7に駆動電圧を供給するための配線である。
【0043】
センサ走査線GLA及び光源走査線GLBは、それぞれ第1方向Dxに延在している。センサ信号線SLA及び光源信号線SLBは、それぞれ第2方向Dyに延在している。光電変換素子6は、センサ走査線GLA及びセンサ信号線SLAで囲まれた領域に設けられる。発光素子7は、光源走査線GLB及び光源信号線SLBで囲まれた領域に設けられる。また、センサ走査線GLA、光源走査線GLB、センサ信号線SLA及び光源信号線SLBで囲まれた領域には、それぞれ光電変換素子6及び発光素子7を駆動するための駆動回路が設けられる。
【0044】
発光素子7には、アノード電極78が接続される。アノード電極78は、平面視で、発光素子7よりも大きい面積を有している。アノード電極78は、銀(Ag)等の金属材料で形成され、発光素子7の側方から照射された光を反射して、表示パネル2に向けて光L1を照射する。つまり、発光素子7及びアノード電極78を含む領域が、光L1を照射する発光面となる。
【0045】
アノード電極78の第1方向Dxでの幅WB1は、光電変換素子6の第1方向Dxでの幅WA1よりも大きい。アノード電極78の第2方向Dyでの幅WB2は、光電変換素子6の第2方向Dyでの幅WA2よりも大きい。これにより、複数の発光素子7は、表示領域DAの全体に良好に光L1を照射することができる。
【0046】
複数の発光素子7は、異なる波長の光L1を照射する第1発光素子7-Wと第2発光素子7-NIRとを含む。第1発光素子7-Wは、可視光(例えば白色の光)を照射する。第1発光素子7-Wは、複数の発光素子で構成されていてもよいし、発光素子と蛍光体との組み合わせで構成されていてもよい。第2発光素子7-NIRは、例えば近赤外光を照射する。複数の第1発光素子7-W(図5に示す例では3つの第1発光素子7-W)に対して1つの第2発光素子7-NIRが設けられる。
【0047】
これにより、表示パネル2の表示の際には、複数の発光素子7のうち第1発光素子7-Wが光L1を照射し、光学センサ5の検出の際には、複数の発光素子7のうち第1発光素子7-W及び第2発光素子7-NIRが光L1を照射する。発光素子7は、白色及び近赤外光の光L1に限定されず、他の波長の光L1を照射する発光素子を有していてもよい。光学センサ5が検出する生体に関する情報、例えば、指Fgや掌の凹凸(指紋)、血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等に応じて、異なる波長の光L1を照射してもよい。光学センサ5は、例えば、指紋検出の際に、第1発光素子7-Wから照射される可視光に基づいて検出を行い、血管像(静脈パターン)の検出の際に、第2発光素子7-NIRから照射される近赤外光に基づいて検出を行ってもよい。
【0048】
図6は、図5のVI-VI’断面図である。図6は、光電変換素子6及びセンサスイッチング素子TrAの断面構成を模式的に示している。センサスイッチング素子TrAは、光電変換素子6に対応して設けられる。センサスイッチング素子TrAは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS型のTFTで構成されている。
【0049】
図6に示すように、光電変換素子6は、センサアレイ基板SUBAの第1有機絶縁層55の上に、下部電極64、半導体61、上部電極65の順に積層される。つまり、センサ基材51の表面に垂直な方向において、下部電極64と上部電極65とは、光電変換層である半導体61を挟んで対向する。センサアレイ基板SUBAは、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板である。センサアレイ基板SUBAは、センサ基材51と、センサスイッチング素子TrA及び各種配線等を有する。また、センサアレイ基板SUBAは、発光素子7(図5参照)を駆動するための各種スイッチング素子及び各種配線も含む。
【0050】
光電変換素子6は、PIN型のフォトダイオードである。半導体61は、アモルファスシリコン(a-Si)である。半導体61は、i型半導体61a、p型半導体61b及びn型半導体61cを含む。i型半導体61a、p型半導体61b及びn型半導体61cは、光電変換素子の一具体例である。図6では、センサ基材51の表面に垂直な方向において、n型半導体61c、i型半導体61a及びp型半導体61bの順に積層されている。ただし、反対の構成、つまり、p型半導体61b、i型半導体61a及びn型半導体61cの順に積層されていてもよい。
【0051】
下部電極64は、光電変換素子6のアノードであり、検出信号を読み出すための電極である。上部電極65は、光電変換素子6のカソードであり、電源信号SVSを光電変換素子6に供給するための電極である。
【0052】
第1有機絶縁層55の上に絶縁層56及び絶縁層57が設けられている。絶縁層56は、上部電極65の周縁部を覆い、上部電極65と重なる位置に開口が設けられている。接続配線67は、上部電極65のうち、絶縁層56が設けられていない部分で上部電極65と接続される。接続配線36は、上部電極65と電源信号線Lvsとを接続する配線である。絶縁層57は、上部電極65及び接続配線67を覆って絶縁層56の上に設けられる。絶縁層57の上に平坦化層である第2有機絶縁層58及びオーバーコート層59が設けられる。
【0053】
図6に示すように、センサスイッチング素子TrAは、センサ基材51に設けられている。具体的には、センサ基材51の一方の面に、遮光層LSA、絶縁層52、半導体層PSA、絶縁層53、センサ走査線GLA、絶縁層54、ソース電極SEA及びアノード接続線68(ドレイン電極DEA)、第1有機絶縁層55の順に設けられている。絶縁層52、53、54、56、57等の無機絶縁層は、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等が用いられる。また、各無機絶縁層は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0054】
遮光層LSAは、センサ基材51よりも光の透過率が小さい材料で形成され、半導体層PSAの下に設けられる。絶縁層52は、遮光層LSAを覆ってセンサ基材51の上に設けられる。半導体層PSAは、絶縁層52の上に設けられる。半導体層PSAは、例えばポリシリコンや酸化物半導体が用いられる。
【0055】
絶縁層53は、半導体層PSAを覆って絶縁層52の上に設けられる。センサ走査線GLAは、絶縁層53の上に設けられる。センサ走査線GLAの、半導体層PSAと重なる部分がゲート電極として機能する。センサスイッチング素子TrAは、センサ走査線GLAが半導体層PSAの上側に設けられたトップゲート構造である。ただし、これに限定されず、センサスイッチング素子TrAは、ボトムゲート構造でもよく、デュアルゲート構造でもよい。
【0056】
絶縁層54は、センサ走査線GLAを覆って絶縁層53の上に設けられる。ソース電極SEA(信号線SLA)及びドレイン電極DEA(アノード接続線68)は、絶縁層54の上に設けられる。ソース電極SEA及びドレイン電極DEAは、それぞれ、絶縁層53、54に設けられたコンタクトホールを介して半導体層PSAと接続される。光電変換素子6の下部電極64は、第1有機絶縁層55に設けられたコンタクトホールを介してアノード接続線68に接続される。
【0057】
光電変換素子6としてアモルファスシリコン材料を用いていたが、代わりに有機材料等を用いてもよい。また、光電変換素子6としてポリシリコンを用いてPIN型のフォトダイオードを形成してもよい。
【0058】
図7は、光電変換素子の部分検出領域を示す回路図である。部分検出領域PAAは、センサ信号線SLAとセンサ走査線GLAとで囲まれた領域である。図7に示すように、部分検出領域PAAは、光電変換素子6と、容量素子Caと、センサスイッチング素子TrAとを含む。センサスイッチング素子TrAのゲートはセンサ走査線GLAに接続される。センサスイッチング素子TrAのソースはセンサ信号線SLAに接続される。センサスイッチング素子TrAのドレインは、光電変換素子6のアノード(下部電極64)及び容量素子Caに接続される。
【0059】
光電変換素子6のカソードには、電源回路から電源信号SVSが供給される。また、容量素子Caには、電源回路から、容量素子Caの初期電位となる基準信号VR1が供給される。
【0060】
部分検出領域PAAに光L2が照射されると、光電変換素子6には光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。センサスイッチング素子TrAがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、センサ信号線SLAに電流が流れる。センサ信号線SLAは、検出回路DETに接続される。これにより、光学センサ5は、部分検出領域PAAごとに、光電変換素子6に照射される光の光量に応じた信号を検出できる。なお、光学センサ5は、複数のセンサ信号線SLAごとに、センサ信号線SLAと検出回路DETとの接続と非接続とを切り換えるスイッチング回路を備えていてもよい。
【0061】
図8は、図4のVIII-VIII’断面図である。図8は、発光素子7及び駆動トランジスタDRTの断面構成を模式的に示している。図8に示すように、発光素子7及び駆動トランジスタDRTは、センサ基材51の上に設けられる。
【0062】
駆動トランジスタDRTは、半導体層PSB、光源走査配線GLB、ドレイン電極DEB、ソース電極SEBを含む。絶縁層54の上に、アノード電源線IPL及び台座BSが設けられている。アノード電源線IPLのうち、半導体層PSBと重なる部分が駆動トランジスタDRTのドレイン電極DEBとして機能する。台座BSのうち、半導体層PSBと重なる部分が駆動トランジスタDRTのソース電極SEBとして機能する。半導体層PSBの下には、遮光層LSBが設けられている。駆動トランジスタDRTの構成は、図6に示すセンサスイッチング素子TrAの構成と類似しているので、詳細な説明は省略する。
【0063】
第1有機絶縁層55は、アノード電源線IPL及び台座BSを覆って絶縁層54の上に設けられる。光源共通電極CEB、重畳電極PEB及びカソード電極CDは、インジウムスズ酸化物(ITO、Indium Tin Oxide)である。絶縁層56は、センサ基材51の法線方向において、光源共通電極CEBと重畳電極PEBとの間に設けられる。
【0064】
アノード電極78は、例えば、ITO、銀(Ag)、ITOの積層体である。アノード電極78は、重畳電極PEBの上に設けられ、第1有機絶縁層55に設けられたコンタクトホールCHを介して台座BSに接続される。接続層CLは、銀ペーストにより形成され、センサ基材51と発光素子7との間において、アノード電極78の上に設けられる。発光素子7は、接続層CLの上に設けられ、接続層CLと電気的に接続される。つまり、発光素子7は、接続層CLを介してアノード電極78と電気的に接続される。
【0065】
絶縁層57は、アノード電極78及び接続層CLの側面を覆って絶縁層56の上に設けられる。第2有機絶縁層58は、発光素子7の側面を覆って絶縁層57の上に設けられる。カソード電極CDは、第2有機絶縁層58及び発光素子7の上に設けられ、発光素子7のカソード端子ELED2(図9参照)と電気的に接続される。カソード電極CDは、複数の発光素子7のカソード端子ELED2と電気的に接続される。オーバーコート層59は、カソード電極CDの上に設けられる。
【0066】
図9は、図8の発光素子を拡大して示す断面図である。図9に示すように、発光素子7は、発光素子基板SULED、n型クラッド層NC、発光層EM、p型クラッド層PC、アノード端子ELED1及びカソード端子ELED2を有する。発光素子基板SULEDの上に、n型クラッド層NC、発光層EM、p型クラッド層PC及びカソード端子ELED2の順に積層される。アノード端子ELED1は、発光素子基板SULEDと接続層CLとの間に設けられる。
【0067】
発光層EMは、例えば窒化インジウムガリウム(InGaN)である。p型クラッド層PCとn型クラッド層NCは、窒化ガリウム(GaN)である。発光素子基板SULEDは、炭化珪素(SiC)である。アノード端子ELED1及びカソード端子ELED2は、いずれもアルミニウムである。
【0068】
各発光素子7の製造工程において、製造装置は、発光素子基板SULEDの上に、n型クラッド層NC、発光層EM、p型クラッド層PC及びカソード端子ELED2を成膜する。その後、製造装置は、発光素子基板SULEDを薄膜化して、発光素子基板SULEDの底面にアノード端子ELED1を形成する。そして、製造装置は、方形に切断加工した発光素子7を接続層CLの上に配置した。
【0069】
このような構成により、発光素子7のアノード(アノード端子ELED1)は、駆動トランジスタDRTを介してアノード電源線IPLに接続される。アノード電源線IPLには、アノード電源電位PVDDが供給される。発光素子7のカソード(カソード端子ELED2)には、カソード基準電位が供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード基準電位よりも高い電位である。これにより、発光素子7は、アノード電源電位PVDDとカソード基準電位との電位差により順方向電流(駆動電流)が供給され発光する。なお、図8図9に示す発光素子7の構成はあくまで一例であり、他の構成の発光素子を適用してもよい。
【0070】
図10は、光学素子を示す平面図である。図11は、図10のXI-XI’断面図である。図10に示すように、光学素子4は、第1透光領域41、第2透光領域42及び非透光領域43を含む。第1透光領域41及び第2透光領域42は、それぞれ光電変換素子6及び発光素子7に対応して設けられる。第1透光領域41及び第2透光領域42は、平面視で、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。具体的には、第1透光領域41及び第2透光領域42は、非透光領域43を挟んで第1方向Dxに隣り合う。また、第1透光領域41及び第2透光領域42は、それぞれ第2方向Dyに配列される。
【0071】
第1透光領域41は、平面視で円形状である。また、第2透光領域42は、平面視で矩形状である。第2透光領域42の面積は、第1透光領域41の面積よりも大きい。これにより、発光素子7からの光L1の取出し効率の低下を抑制できる。ただし、第1透光領域41及び第2透光領域42の平面視での形状は、光電変換素子6の受光面の形状及び発光素子7の発光面の形状に応じて、適宜変更してもよい。第1透光領域41及び第2透光領域42は、それぞれ、円形状、四角形状に限定されず、多角形状、楕円形状、異形状等であってもよい。
【0072】
図11に示すように、光学素子4は、第1透光性樹脂44と、非透光性樹脂45とを有する。複数の第1透光性樹脂44は、第3方向Dzに積層される。非透光性樹脂45は、非透光領域43と重なる領域において、第1透光性樹脂44の層間に設けられる。第1透光性樹脂44は、可視光及び近赤外光を透過する透光性の樹脂材料である。非透光性樹脂45は、第1透光性樹脂44よりも光の透過率が小さい材料である。非透光性樹脂45は、着色された樹脂材料であり、例えば黒色の樹脂材料である。
【0073】
言い換えると、第1透光領域41及び第2透光領域42は、非透光性樹脂45と重ならない領域であり、光学素子4の一方の面から他方の面まで第1透光性樹脂44のみで構成される。非透光領域43は、光学素子4の一方の面と他方の面との間で、少なくとも一層の非透光性樹脂45を有する領域である。このような構成により、光学素子4は、第1透光領域41において光L1を透過させ、第2透光領域42において光L2を透過させ、非透光領域43において、光L1、L2を非透過にすることができる。
【0074】
図12は、第1変形例に係る光学素子を示す断面図である。図12に示すように、第1変形例に係る光学素子4において、非透光性樹脂45Aは平板状に形成され、第1透光領域41及び第2透光領域42と重なる領域に貫通孔H1、H2が設けられている。貫通孔H1、H2は、それぞれ、光学素子4の一方の面から他方の面まで貫通している。第1透光性樹脂44Aは、貫通孔H1、H2の内部に設けられ、第3方向Dzに延びる柱状に形成される。
【0075】
図13は、表示パネル、光学素子及び光学センサの平面視での配置関係を説明するための説明図である。なお、図13では、光学素子4の第1透光領域41及び第2透光領域42を点線で示し、光学センサ5の光電変換素子6、発光素子7及びアノード電極78を二点鎖線で示している。
【0076】
図13に示すように、光電変換素子6及び発光素子7は、画素PXごとに配置されている。つまり、複数の副画素SPX-R、SPX-G、SPX-Bに対して、1つの光電変換素子6及び1つの発光素子7が設けられている。光電変換素子6の第1方向Dxの配置ピッチは、画素PXの第1方向Dxの配置ピッチと等しい。光電変換素子6の第2方向Dyの配置ピッチは、画素PXの第2方向Dyの配置ピッチと等しい。同様に、発光素子7の第1方向Dxの配置ピッチは、画素PXの第1方向Dxの配置ピッチと等しい。発光素子7の第2方向Dyの配置ピッチは、画素PXの第2方向Dyの配置ピッチと等しい。
【0077】
ただし、光電変換素子6及び発光素子7は、複数の画素PXに対して1つ配置されていてもよい。光電変換素子6の第1方向Dxの配置ピッチは、画素PXの第1方向Dxの配置ピッチの整数倍であってもよい。光電変換素子6の第2方向Dyの配置ピッチは、画素PXの第2方向Dyの配置ピッチの整数倍であってもよい。同様に、発光素子7の第1方向Dxの配置ピッチは、画素PXの第1方向Dxの配置ピッチの整数倍であってもよい。発光素子7の第2方向Dyの配置ピッチは、画素PXの第2方向Dyの配置ピッチの整数倍であってもよい。また、図13では、1つの光電変換素子6に対して、1つの発光素子7が設けられているが、これに限定されない。例えば、数10から100個程度の光電変換素子6(画素PX)に対して、1つの発光素子7が設けられていてもよい。
【0078】
光電変換素子6は、赤色を表示する副画素SPX-Rと緑色を表示する副画素SPX-Gの少なくとも一方と重なる領域に設けられている。図13では、光電変換素子6は、赤色を表示する副画素SPX-Rと緑色を表示する副画素SPX-Gに跨がって配置される。ここで、青色を表示する副画素SPX-Bの単位面積当たりの輝度は、副画素SPX-R、SPX-Gよりも小さい。本実施形態では、発光素子7は、副画素SPX-Bと重なる領域に配置される。これにより、副画素SPX-Bの輝度の低下を抑制することができ、表示パネル2は表示特性を向上できる。
【0079】
光学素子4の第1透光領域41は、光電変換素子6と重なって配置される。平面視で、複数の第1透光領域41のそれぞれの面積は、複数の光電変換素子6のそれぞれの面積よりも小さい。すなわち、第1透光領域41の直径は、光電変換素子6の幅WA1、WA2(図5参照)よりも小さい。ここで、光電変換素子6の面積は、具体的には、光L2を受光する上部電極65の面積である。このような構成により、複数の光電変換素子6の間でのクロストークを抑制して、光学センサ5の検出精度を向上させることができる。
【0080】
第2透光領域42は、発光素子7及びアノード電極78と重なって配置される。第2透光領域42の第1方向Dxの幅及び第2方向Dyの幅は、アノード電極78の幅WB1、WB2(図5参照)よりも小さい。
【0081】
図14は、図13のXIV-XIV’断面図である。なお、図14は、表示パネル2、光学素子4及び光学センサ5の断面視での配置関係を模式的に示している。図14に示すように、発光素子7が設けられた領域では、第3方向Dzにおいて、センサ基材51、発光素子7、第2透光領域42、第1基板10、液晶層LC、カラーフィルタCFB、第2基板20の順に積層される。また、光電変換素子6が設けられた領域では、第3方向Dzにおいて、センサ基材51、光電変換素子6、第1透光領域41、第1基板10、液晶層LC、カラーフィルタCFR及びカラーフィルタCFG、第2基板20の順に積層される。
【0082】
発光素子7から照射された光L1は、第2透光領域42、第1基板10、液晶層LC、カラーフィルタCFB及び第2基板20を透過して、指Fgに入射する。光学素子4の第2透光領域42は、散乱構造を有していることが望ましい。この場合、光L1は、第2透光領域42で散乱されて、副画素SPX-Bと隣り合う副画素SPX-R、SPX-G、及び複数の画素PXに亘って照射される。これにより、表示パネル2の表示面から出射される光L1の輝度の差を小さくすることができ、表示特性を向上させることができる。
【0083】
図15は、散乱構造の一例を示す断面図である。図15に示すように、光学素子4の上に散乱層48が設けられている。散乱層48は、少なくとも第2透光領域42を覆って、発光素子7の上側に設けられる。散乱層48は、発光素子7からの光L1を散乱させる。また、散乱層48は、第1透光領域41及び光電変換素子6と重なる領域に、開口48aが設けられる。つまり、第1透光領域41及び光電変換素子6の上には、散乱層48が設けられていない。散乱層48は、例えば、光学素子4の上に塗布形成される。開口48aは、エッチングにより形成される。ただし、散乱層48の形成方法は、これに限定されない。
【0084】
図16は、散乱構造の他の例を示す断面図である。図16に示すように、第2透光領域42の表面に、微小な凹凸構造49が形成されている。第1透光領域41の表面は、凹凸構造49が形成されていない平坦面である。凹凸構造49は、発光素子7からの光L1を散乱させる。凹凸構造49は、第1透光領域41をメタルマスクで覆い、メタルマスクで覆われていない第2透光領域42の表面を、例えばサンドブラストやドライアイスブラストなどにより粗面化することで形成できる。なお、図15及び図16に示した散乱構造は、図11及び図12のいずれの光学素子4にも適用できる。
【0085】
指Fgで反射された光L2は、第2基板20、カラーフィルタCFR、CFG、液晶層LC、第1基板10、第1透光領域41を透過して光電変換素子6に入射する。これにより、光学センサ5は、指紋や、静脈パターンなどの各種生体情報を検出することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の検出装置1は、光学センサ5と、表示パネル2(液晶表示パネル)と、複数の発光素子7と、光学素子4と、を有する。光学センサ5は、センサ基材51と、センサ基材51に設けられ、それぞれに照射された光に応じた信号を出力する複数の光電変換素子6と、を含む。表示パネル2は、センサ基材51と垂直な方向において、センサ基材51と対向して設けられる。複数の発光素子7は、センサ基材51と垂直な方向において、表示パネル2とセンサ基材51との間に位置し、表示パネル2に光L1(出射光)を照射する。光学素子4は、複数の第1透光領域41と、非透光領域43とを含み、センサ基材51と垂直な方向において、光学センサ5と表示パネル2との間に設けられる。光学素子4において、複数の第1透光領域41は、複数の光電変換素子6のそれぞれと重なる位置で光学素子4の厚さ方向に貫通して設けられ、光電変換素子6に入射する入射光を透過させる。非透光領域43は、複数の第1透光領域41の間に設けられ、第1透光領域41よりも光の透過率が小さい。また、複数の発光素子7は、センサ基材51に設けられる。
【0087】
これによれば、複数の光電変換素子6と複数の発光素子7とが同一のセンサ基材51の上に設けられている。このため、光学センサ5の光源をセンサ基材51とは異なる基板上に設ける構成と比べて検出装置1の薄型化を図ることができる。また、複数の発光素子7は、光学センサ5の光源と表示パネル2の光源を兼ねる。このため、表示パネル2のバックライトを省くことができる。
【0088】
(第2実施形態)
図17は、第2実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、上述した実施形態で説明した構成要素については、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0089】
図17に示すように、検出装置1Aは、表示パネル2と、照明装置8と、光学素子4Aと、光学センサ5とを有する。照明装置8は、光源基材81と、複数の発光素子7とを有する。複数の発光素子7は、光源基材81の表示パネル2と対向する面に設けられる。すなわち、光学センサ5は、複数の発光素子7を有さず、センサ基材51の上に複数の光電変換素子6が設けられている。
【0090】
照明装置8は、第3方向Dzにおいて、光学センサ5と表示パネル2との間に設けられる。言い換えると、照明装置8は、第3方向Dzにおいて、光学センサ5と指Fgとの間に設けられる。より具体的には、検出装置1Aは、第3方向Dzにおいて、光学センサ5、光学素子4A、照明装置8、表示パネル2の順に積層される。
【0091】
図18は、第2実施形態に係る検出装置が有する照明装置を模式的に示す斜視図である。図18に示すように、複数の発光素子7は、光源基材81の表示領域DAと重なる領域に配列される。複数の発光素子7は、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。複数の発光素子7を駆動するための周辺回路GCB、接続端子T3は、周辺領域BEに配置される。
【0092】
光源走査線GLB及び光源信号線SLB(図5参照)は、光源基材81に設けられる。発光素子7は、光源走査線GLB及び光源信号線SLBで囲まれた領域に設けられる。複数の光源走査線GLBは、それぞれ周辺回路GCBに接続される。光源信号線SLB及び周辺回路GCBは、複数の接続端子T3を介して、複数の発光素子7を制御する制御回路及び電源回路と接続される。なお、複数の発光素子7と、表示パネル2の各副画素SPX、第1透光領域41及び光電変換素子6との、平面視での配置関係は、図13に示した構成と同様である。
【0093】
図19は、第2実施形態に係る光学素子を示す平面図である。本実施形態では、照明装置8は、光学素子4Aの上に配置される。このため、図19に示すように、光学素子4Aは、第2透光領域42を有さない。つまり、第1方向Dxに隣り合う第1透光領域41の間は、非透光領域43となっている。なお、光学素子4Aの断面構成は、図11に示す第1実施形態と同様の構成又は図12に示す第1変形例と同様の構成を適用することができる。また、平面視で、第1透光領域41は、図13と同様に、光電変換素子6と重なる領域に設けられ、光電変換素子6の面積よりも小さい面積を有して形成される。
【0094】
図20は、第2実施形態に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの配置関係を模式的に示す断面図である。図20に示すように、光学センサ5のセンサ基材51及び光電変換素子6の上に光学素子4Aが設けられる。光学素子4Aの第1透光領域41は、光電変換素子6と重なる領域に設けられる。光学素子4Aの非透光領域43は、光電変換素子6と重ならない領域に設けられる。
【0095】
照明装置8の光源基材81は、光学素子4Aの上に設けられる。発光素子7は、光源基材81の上において、光学素子4Aの非透光領域43と重なる領域に設けられる。言い換えると、発光素子7は、第1透光領域41及び光電変換素子6と重ならない領域に設けられる。表示パネル2は、発光素子7を覆うオーバーコート層85の上に設けられる。
【0096】
このような構成により、照明装置8の発光素子7から照射された光L1は、第1基板10、液晶層LC、カラーフィルタCFB及び第2基板20を透過して、指Fgに入射する。指Fgで反射された光L2は、第2基板20、カラーフィルタCFR、CFG、液晶層LC、第1基板10、照明装置8、第1透光領域41を透過して光電変換素子6に入射する。
【0097】
本実施形態では、発光素子7が、光学素子4Aと表示パネル2との間に設けられている。このため、発光素子7からの光L1は、光学素子4Aを介さずに表示パネル2に入射するので、発光素子7の光の利用効率を向上させることができる。また、光電変換素子6は、光学素子4Aを介して発光素子7と異なる層に設けられている。このため、光学素子4Aは、発光素子7の側方に照射される光L1が光電変換素子6に入射することを抑制することができる。この結果、光学センサ5は、検出精度を向上させることができる。
【0098】
図21は、第2実施形態の第2変形例に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの配置関係を模式的に示す断面図である。図22は、第2変形例に係る光学素子を示す平面図である。
【0099】
図21に示すように、第2変形例の検出装置1Bは、第2実施形態の検出装置1Aと比べて、光学素子4Bの構成が異なる。具体的には、光学素子4Bの第1透光領域41は、可視光透過領域41aと近赤外光透過領域41bとを含む。可視光透過領域41aは、可視光及び近赤外光を透過させる領域である。近赤外光透過領域41bは、可視光を非透過とし、近赤外光を透過させる領域である。
【0100】
近赤外光透過領域41bを構成する第2透光性樹脂46は、非透光領域43を構成する非透光性樹脂45の下面及び側面を覆って設けられる。可視光透過領域41aを構成する第1透光性樹脂44は、第2透光性樹脂46に設けられた貫通孔の内部に設けられる。
【0101】
図22に示すように、平面視において、近赤外光透過領域41bは可視光透過領域41aの周囲を囲む環状に形成される。これにより、近赤外光の光L2が透過できる領域は近赤外光透過領域41bと可視光透過領域41aとを合わせた領域となり、可視光の光L2が透過できる領域は、可視光透過領域41aとなる。つまり、近赤外光の光L2が透過できる領域の面積は、可視光の光L2が透過できる領域の面積よりも大きい。また、隣り合う第1透光領域41の間は、非透光領域43となっている。
【0102】
上述したように、指紋検出の際に、図21に示す第1発光素子7-Wが可視光を照射し、指Fgで反射した光L2は、可視光透過領域41aを透過して光電変換素子6に入射する。また、血管像(静脈パターン)の検出の際に、第2発光素子7-NIRが近赤外光を照射して、指Fgで反射した光L2は、可視光透過領域41a及び近赤外光透過領域41bを透過して光電変換素子6に入射する。これにより、指紋検出の際には、光L2が透過できる光学素子4Bの開口径を小さくしてクロストークを抑制できる。また、指紋検出に比べて解像度が要求されない血管像(静脈パターン)の検出の際には、光学素子4Bの開口径を大きくして、光L2の利用効率を向上させることができる。
【0103】
(第3実施形態)
図23は、第3実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。図24は、第3実施形態に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの配置関係を模式的に示す断面図である。図23に示すように、第3実施形態の検出装置1Cは、上述した第1実施形態及び第2実施形態と比べて、照明装置8Aの構成が異なる。
【0104】
照明装置8Aは、導光板82と、発光素子7Aとを有する。導光板82は、平板状であり、表示パネル2のアレイ基板SUB1と対向して配置される。導光板82は、少なくとも表示領域DAと重なる領域に配置される。発光素子7Aは、導光板82の側端部に配置され、光L1を導光板82に向けて照射する。
【0105】
光学センサ5、光学素子4A、照明装置8A及び表示パネル2の積層順は、第2実施形態と同様である。具体的には、第3方向Dzにおいて、導光板82は光学素子4Aと表示パネル2との間に配置される。
【0106】
図24に示すように、導光板82は、光学素子4Aの第1透光領域41及び非透光領域43に重なって設けられる。導光板82の上面82aには複数の凹部83が設けられている。複数の凹部83により、光L1を散乱させる散乱構造が形成される。発光素子7Aから照射された光L1は、導光板82の内部で反射を繰り返しつつ、発光素子7Aから離れる方向に進行する。光L1の一部は、複数の凹部83で散乱されて、上面82aから表示パネル2に向かって進行する。
【0107】
導光板82の上面82aから照射された光L1は、第1基板10、液晶層LC、カラーフィルタCF及び第2基板20を透過して、指Fgに入射する。指Fgで反射された光L2は、第2基板20、カラーフィルタCFR、CFG、液晶層LC、第1基板10、照明装置8の導光板82、第1透光領域41を透過して光電変換素子6に入射する。
【0108】
このように、検出装置1Cは、いわゆる直下型の照明装置8に限定されず、導光板82の側端部に発光素子7Aが設けられたエッジライト型を適用することもできる。本実施形態では、第2実施形態に比べ、光学素子4Aと表示パネル2との間に光源基材81(図17参照)が設けられていないので、検出装置1の薄型化を図ることができる。
【0109】
なお、複数の凹部83の単位面積当たりの数(配置密度)は、発光素子7Aから離れるにしたがって多くなる。これにより、発光素子7Aから離れた位置で、光L1を効率よく散乱させることができ、光L1の面内での分布が生じることを抑制できる。また、導光板82の下面82bと非透光領域43との間に、反射層を設けてもよい。これにより、光L1が下面82bから外部に照射されることを抑制でき、光L1の利用効率を向上させることができる。また、発光素子7Aは、第1発光素子7-W及び第2発光素子7-NIRを有していてもよく、第1発光素子7-W及び第2発光素子7-NIRが、導光板82の側端部に設けられていてもよい。
【0110】
図25は、第3実施形態の第3変形例に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの配置関係を模式的に示す断面図である。第3変形例に係る検出装置1Dにおいて、照明装置8Bは、光源基材81と導光板82と、第1発光素子7A-Wと、第2発光素子7A-NIRとを有する。第1発光素子7A-Wは光源基材81の上に設けられる。第2発光素子7A-NIRは導光板82の側端部に設けられる。
【0111】
照明装置8Bは、第3方向Dzにおいて、光源基材81、第1発光素子7A-W、導光板82の順に積層される。すなわち、光源基材81は、光学素子4Bの上に設けられ、導光板82は、光源基材81と表示パネル2との間に設けられる。
【0112】
指紋検出の際には、第1発光素子7A-Wが可視光の光L1を照射し、光L1は、導光板82及び表示パネル2を透過して指Fgに入射する。指Fgで反射した光L2は、表示パネル2、導光板82、光源基材81、可視光透過領域41aを透過して光電変換素子6に入射する。また、血管像(静脈パターン)の検出の際には、第2発光素子7A-NIRが近赤外光を照射して、導光板82の複数の凹部83で散乱された光L1は、表示パネル2を透過して指Fgに入射する。指Fgで反射した光L2は、表示パネル2、導光板82、光源基材81、可視光透過領域41a及び近赤外光透過領域41bを透過して光電変換素子6に入射する。
【0113】
このように、異なる波長の光L1を照射する第1発光素子7A-W及び第2発光素子7A-NIRを、それぞれ別の部材に設けてもよい。第3変形例では、第2発光素子7A-NIRの光L1を照射する照射面(導光板82の上面82a)が、第1発光素子7A-Wよりも表示パネル2に近い位置に配置される。このため、第2発光素子7A-NIRからの光L1は、光源基材81及び第1発光素子7A-Wを介さずに、表示パネル2側に照射される。したがって、検出装置1Dは、血管像(静脈パターン)を効率的に撮像することができる。
【0114】
なお、光学素子4Bは、図21に示す第2変形例と同様に可視光透過領域41a及び近赤外光透過領域41bを有する構成であるが、これに限定されない。検出装置1Dは、光学素子4Bに換えて、図17に示す第2実施形態の光学素子4Aを適用してもよい。
【0115】
(第4実施形態)
図26は、第4実施形態に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。図27は、第4実施形態に係る検出装置が有する表示パネルを模式的に示す斜視図である。
【0116】
図26に示すように、第4実施形態の検出装置1Eは、光学センサ5、光学素子4A及び表示パネル2Aを有する。光学素子4Aは、第3方向Dzにおいて、光学センサ5と表示パネル2Aとの間に設けられる。表示パネル2Aは、アレイ基板SUB1A及びアレイ基板SUB1Aに設けられた複数の発光素子7Bを有する。発光素子7Bは、平面視で、3μm以上、100μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED)チップであり、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。各画素PXにマイクロLEDを備える表示パネル2Aは、マイクロLED表示パネルとも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子7Bの大きさを限定するものではない。
【0117】
アレイ基板SUB1A及び複数の発光素子7Bの断面構成は、第1実施形態に示す図8及び図9と同様の構成を適用することができる。
【0118】
表示パネル2Aは、複数の発光素子7Bを覆うオーバーコート層29を有する。指Fgは、オーバーコート層29の表面に接触又は近接する。ただし、これに限定されず、オーバーコート層29の上にカバー基板が設けられていてもよい。
【0119】
図27に示すように、表示パネル2Aにおいて、アレイ基板SUB1Aの表示領域DAには複数の画素PXが設けられている。複数の画素PXは、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列されている。複数の画素PXは、それぞれ、発光素子7B-R、7B-G、7B-Bを有する。発光素子7B-R、7B-G、7B-Bは、第1方向Dxに配列されている。表示パネル2Aは、発光素子7B-R、7B-G、7B-Bごとに異なる光を照射することで画像を表示する。例えば、発光素子7B-Rは赤色の光を照射する。発光素子7B-Gは緑色の光を照射する。発光素子7B-Bは青色の光を照射する。
【0120】
なお、以下の説明において、発光素子7B-R、7B-G、7B-Bを区別して説明する必要がない場合には、単に発光素子7Bという。また、複数の発光素子7Bは、4色以上の異なる光を出射してもよい。また、複数の画素PX及び発光素子7Bの配置は、図27に示す構成に限定されない。例えば、画素PXを構成する発光素子7B-R、7B-G、7B-Bのうち、2つの発光素子7Bが第2方向Dyに隣り合っていてもよい。
【0121】
図28は、発光素子の駆動回路を示す回路図である。図28は、1つの発光素子7Bに設けられた駆動回路PICAを示しており、駆動回路PICAは複数の発光素子7Bのそれぞれに設けられている。図28に示すように、駆動回路PICAは、発光素子7Bと、5つのトランジスタと、2つの容量とを含む。具体的には、駆動回路PICAは、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTを含む。駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTは、それぞれn型TFTで構成される。また、駆動回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2を含む。
【0122】
発光素子7Bのカソード(カソード端子ELED2(図9参照))は、カソード電源線CDLに接続される。また、発光素子7Bのアノード(アノード端子ELED1(図9参照))は、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTを介してアノード電源線IPLに接続される。アノード電源線IPLには、アノード電源電位PVDDが供給される。カソード電源線CDLには、カソード電源電位PVSSが供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。
【0123】
アノード電源線IPLは、発光素子7Bに、駆動電位であるアノード電源電位PVDDを供給する。具体的には、発光素子7Bは、アノード電源電位PVDDとカソード電源電位PVSSとの電位差(PVDD-PVSS)により順方向電流(駆動電流)が供給され発光する。つまり、アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSに対し、発光素子7Bを発光させる電位差を有している。発光素子7Bのアノード端子ELED1はアノード電極78に接続され、アノード電極78とアノード電源線IPLと間に等価回路として、第2容量Cs2が接続される。
【0124】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、アノード電極78を介して発光素子7Bのアノード端子ELED1に接続され、ドレイン電極は、出力トランジスタBCTのソース電極に接続される。駆動トランジスタDRTのゲート電極は、第1容量Cs1、画素選択トランジスタSSTのドレイン電極及び初期化トランジスタISTのドレイン電極に接続される。
【0125】
出力トランジスタBCTのゲート電極は、出力制御信号線MSLに接続される。出力制御信号線MSLには、出力制御信号BGが供給される。出力トランジスタBCTのドレイン電極は、アノード電源線IPLに接続される。
【0126】
初期化トランジスタISTのソース電極は、初期化電源線INLに接続される。初期化電源線INLには、初期化電位Viniが供給される。初期化トランジスタISTのゲート電極は、初期化制御信号線ISLに接続される。初期化制御信号線ISLには、初期化制御信号IGが供給される。すなわち、駆動トランジスタDRTのゲート電極には、初期化トランジスタISTを介して初期化電源線INLが接続される。
【0127】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線SLに接続される。映像信号線SLには、映像信号Vsigが供給される。画素選択トランジスタSSTのゲート電極には、画素制御信号線SSLが接続されている。画素制御信号線SSLには、画素制御信号SGが供給される。
【0128】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット電源線RLに接続される。リセット電源線RLには、リセット電源電位Vrstが供給される。リセットトランジスタRSTのゲート電極には、リセット制御信号線RSLが接続される。リセット制御信号線RSLには、リセット制御信号RGが供給される。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、発光素子7Bのアノード端子ELED1及び駆動トランジスタDRTのソース電極に接続される。
【0129】
リセットトランジスタRSTのドレイン電極と、駆動トランジスタDRTのゲート電極との間に、等価回路として、第1容量Cs1が設けられる。画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2により、駆動トランジスタDRTの寄生容量とリーク電流とによるゲート電圧の変動を抑制することができる。
【0130】
駆動トランジスタDRTのゲート電極には、映像信号Vsig(または、階調信号)に応じた電位が供給される。つまり、駆動トランジスタDRTは、出力トランジスタBCTを介して供給されたアノード電源電位PVDDに基づいて、映像信号Vsigに応じた電流を発光素子7Bに供給する。このように、アノード電源線IPLに供給されたアノード電源電位PVDDは、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTによって降下するため、発光素子7Bのアノード端子ELED1には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。
【0131】
第2容量Cs2の一方の電極には、アノード電源線IPLを介してアノード電源電位PVDDが供給され、第2容量Cs2の他方の電極には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。つまり、第2容量Cs2の一方の電極には、第2容量Cs2の他方の電極よりも高い電位が供給される。第2容量Cs2の一方の電極は、例えば、アノード電源線IPLであり、第2容量Cs2の他方の電極は、アノード電極78及びこれに接続されたアノード接続電極である。
【0132】
表示パネル2Aにおいて、周辺回路GCA(図27参照)は、複数の画素行を、先頭行(例えば、図27中の表示領域DAにおいて、最上部に位置する画素行)から順番に選択する。駆動ICは、選択された画素行の画素PXに映像信号Vsig(映像書き込み電位)を書き込み、発光素子7Bを発光させる。駆動ICは、1水平走査期間ごとに、映像信号線SLに映像信号Vsigを供給し、リセット電源線RLにリセット電源電位Vrstを供給し、初期化電源線INLに初期化電位Viniを供給する。表示パネル2Aは、これらの動作が1フレームの画像ごとに繰り返される。
【0133】
図29は、第4実施形態に係る表示パネル、光学素子及び光学センサの平面視での配置関係を説明するための説明図である。図29に示すように、複数の発光素子7Bは、光電変換素子6及び第1透光領域41と重ならない位置に設けられる。言い換えると、複数の発光素子7Bは、光学素子4Aの非透光領域43(図26参照)と重なる領域に設けられる。また、第1方向Dxにおいて隣り合う2つの光電変換素子6の間で、複数の発光素子7Bが配置される。第1方向Dxにおいて、光電変換素子6及び第1透光領域41、発光素子7B-R、発光素子7B-G、発光素子7B-B、光電変換素子6及び第1透光領域41、発光素子7B-R、発光素子7B-G、発光素子7B-Bのように繰り返し配置される。また、第2方向Dyにおいて、それぞれ同色の発光素子7B-R、発光素子7B-G、発光素子7B-Bが配列される。
【0134】
このような構成により、図26に示すように、表示パネル2Aの各発光素子7Bから照射された光L1は、指Fgに向かって進行する。指Fgで反射された光L2は、複数の発光素子7Bの間の開口部及び第1透光領域41を透過して、光電変換素子6に入射する。なお、開口部とは、表示パネル2Aの画素信号線SLと走査線GLとで囲まれた領域のうち、発光素子7B、アノード電極78及び各種配線で覆われていない領域である。
【0135】
第4実施形態の検出装置1Eにおいて、表示パネル2Aの表示素子である複数の発光素子7Bは、光学センサ5の光源を兼ねる。このため、第1実施形態から第3実施形態に比べて、検出装置1Eの小型化(薄型化)を図ることができる。
【0136】
図30は、第4実施形態の第4変形例に係る画素の配列を説明するための説明図である。図29では、画素PXを構成する発光素子7B-R、発光素子7B-G、発光素子7B-Bが第1方向Dxに配列される例を示したが、これに限定されない。図30に示すように、第4変形例において、画素PXは、発光素子7B-NIRを含む。発光素子7B-NIRは、赤外光、より好ましくは近赤外光を照射する無機発光素子である。
【0137】
第1方向Dxにおいて、発光素子7B-NIRは発光素子7B-Gと隣り合って配置される。第2方向Dyにおいて、発光素子7B-NIRは発光素子7B-Rと隣り合って配置される。第2方向Dyにおいて、発光素子7B-Gは発光素子7B-Bと隣り合って配置される。第1方向Dxにおいて、発光素子7B-Rは発光素子7B-Bと隣り合って配置される。
【0138】
発光素子7B-NIR、7B-R、7B-G、7B-Bの配置は、図30に示す例に限定されない。発光素子7B-NIR、7B-R、7B-G、7B-Bのうち、いくつかの発光素子を入れ換えてもよい。また、発光素子7B-NIR、7B-R、7B-G、7B-Bは、第1方向Dxに配列されてもよい。
【0139】
表示パネル2Aの表示と、光学センサ5の検出は、時分割で行ってもよく、同時に行ってもよい。発光素子7B-NIRは不可視光を照射するので、発光素子7B-R、7B-G、7B-Bにより表示を行う表示期間に、発光素子7B-NIRが光L1を照射しても表示特性への影響は小さい。このため、光学センサ5は、表示期間に照発光素子7B-NIRから照射される光に基づいて生体情報を検出することができる。
【0140】
図31は、第4実施形態の第5変形例に係る検出装置の概略断面構成を示す断面図である。第5変形例に係る検出装置1Fは、図25に示す検出装置1Eと比較して光学素子4Aが設けられていない構成となっている。
【0141】
すなわち、図31に示すように、光学センサ5の上に、光学素子4Aを介さずに、複数の発光素子7B(マイクロLED)を有する表示パネル2Aが設けられている。より具体的には、光学センサ5のオーバーコート層59の上面にアレイ基板SUB1Aが接している。ただし、アレイ基板SUB1Aは、オーバーコート層59との間に間隔を有してもよい。
【0142】
第5変形例においても、発光素子7Bから照射された光L1は、指Fgに向かって進行する。指Fgで反射された光L2は、アレイ基板SUB1Aの開口部を透過して光電変換素子6に入射する。これにより、検出装置1Fは、生体に関する情報を検出することができる。また、第5変形例では、光学素子4Aが設けられていないので、第5実施形態に比べて薄型化を図ることができる。
【0143】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0144】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F 検出装置
2、2A 表示パネル
4、4A、4B 光学素子
5 光学センサ
6 光電変換素子
7、7A、7B 発光素子
7-W、7A-W 第1発光素子
7-NIR、7A-NIR 第2発光素子
8、8A、8B 照明装置
10 第1基板
20 第2基板
41 第1透光領域
42 第2透光領域
43 非透光領域
44 第1透光性樹脂
45 非透光性樹脂
51 センサ基材
61 半導体
64 下部電極
65 上部電極
81 光源基材
82 導光板
SUB1、SUB1A アレイ基板
SUB2 対向基板
SUBA センサアレイ基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31