(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】液体口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20231218BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20231218BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231218BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20231218BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/34
A61K8/86
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2019117557
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2018120048
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0107397(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0074232(KR,A)
【文献】特開2016-124789(JP,A)
【文献】特開2010-143889(JP,A)
【文献】特開2008-150305(JP,A)
【文献】国際公開第2007/148551(WO,A1)
【文献】Lactona, Netherlands,Clear Breath Mouthwash,Mintel GNPD [online],2013年01月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#1966649, [検索日:2023.04.20], 表題部分,成分,商品説明
【文献】Nippon Zettoc, Japan,Lemon Mint Mouthwash,Mintel GNPD [online],2018年01月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5367147, [検索日:2023.04.20], 表題部分, 成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/49
A61Q 1/00-90/00
A61K 6/00- 6/90
A61P 1/00-43/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である、泡状に調製されるための液体口腔用組成物
であって、該(C)として、少なくとも両性界面活性剤を含む、液体口腔用組成物。
【請求項2】
(B)成分が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選択される少なくとも1種以上である、請求項1に記載の液体口腔用組成物。
【請求項3】
(C)成分として
、さらに非イオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
【請求項4】
前記両性界面活性剤が、イミダゾリニウムベタイン、アルキルスルホベタイン、酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドアルキルベタイン、及び長鎖アルキルイミダゾリンベタイン塩から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の液体口腔用組成物。
【請求項5】
(C)成分の含有量が、0.01~20質量%である、請求項1~
4のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
【請求項6】
(D)成分が、多価アルコールである、請求項1~
5のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
【請求項7】
液体口腔用組成物が液状歯磨き又は洗口液である、請求項1~
6のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の液体口腔用組成物と、該液体口腔用組成物を充填する泡形成容器とを備えた口腔用製品。
【請求項9】
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、
(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む、洗浄力向上方法
であって、該(C)として、少なくとも両性界面活性剤を含む、洗浄力向上方法。
【請求項10】
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、
(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む、泡切れ向上方法
であって、該(C)として、少なくとも両性界面活性剤を含む、泡切れ向上方法。。
【請求項11】
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、
(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む、起泡性向上方法
であって、該(C)として、少なくとも両性界面活性剤を含む、起泡性向上方法。
【請求項12】
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、
(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である、泡状に調製されるための液体口腔用組成物
であって、陰イオン界面活性剤の含有量が、0.1質量%以下である液体口腔用組成物、及び
該液体口腔用組成物を充填する泡形成容器とを備えた口腔用製品(但し、水、ソルビトール、グリセリン、酢酸リナリル変性アルコール、アロエ液汁、PEG-40水添ヒマシ油(加水分解)、ラクトフェリン、アラントイン、グルコン酸クロルヘキシジン、安息香酸ナトリウム、アセスルファムK、フッ化ナトリウム、香料、メントール及びクエン酸を含む洗口液を除く。)
【請求項13】
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)
塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選択される少なくとも1種以上である殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である、泡状に調製されるための液体口腔用組成物
であって、陰イオン界面活性剤の含有量が、0.1質量%以下である液体口腔用組成物、及び
該液体口腔用組成物を充填する泡形成容器とを備えた口腔用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
歯槽膿漏や歯茎炎を含む、歯周組織の健康が損なわれた状態である歯周病の予防や治療に用いるための、抗炎症剤や殺菌剤などの有効成分を配合した、歯磨剤やゲル剤等の口腔用組成物が知られている。特許文献1には、ジェランガム及び非イオン性界面活性剤を配合したことを特徴とする口腔用液体組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用感、洗浄力に優れた泡状に調製し得る、液体口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である、液体口腔用組成物によって、使用感に優れた泡状に調製し得る、液体口腔用組成物を調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の液体口腔用組成物を提供する。
項1.
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、
(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である、泡状に調製されるための液体口腔用組成物。
項2.
(B)成分が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選択される少なくとも1種以上である、項1に記載の液体口腔用組成物。
項3.
(C)成分が、両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤である、項1又は2記載の液体口腔用組成物。
項4.
(C)成分の含有量が、0.01~20質量%である、項1~3のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
項5.
(D)成分が、多価アルコールである、項1~4のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
項6.液体口腔用組成物が液状歯磨き又は洗口液である、項1~5のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
項7.
項1~6のいずれか1項に記載の液体口腔用組成物と、該液体口腔用組成物を充填する泡形成容器とを備えた口腔用製品。
【0007】
さらに、本発明は、以下の方法を提供する。
項8.
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、
(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む、洗浄力向上方法。
項9.
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、
(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む、泡切れ向上方法。
項10.
(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、
(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む、起泡性向上方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体口腔用組成物は、泡状に調製するためのものであり、得られる泡状の調製物は、良好な使用感と、良好な洗浄効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[液体口腔用組成物]
本発明の液体口腔用組成物は、(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、(C)界面活性剤、並びに、(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下であり、さらに、泡状に調製されるための液体口腔用組成物である。
【0010】
((A)アラントイン及び/又はその塩)
アラントイン及び/又はその塩は、抗炎症作用、止血作用、殺菌作用、抗潰瘍作用、組織修復作用等をもたらす成分であることで知られている。アラントインは、5-ウレイドヒダントインとも称される公知化合物である。アラントインは、ヒレハリソウ(Symphytum officinale)の根茎に含まれている。なお、本発明では、アラントインとして、これを含有するヒレハリソウ又はその抽出物を使用することもできる。アラントインの塩としては、薬学上許容される塩であれば、限定はされず、例えば、アラントインアセチル-DL-メチオニン、アラントイン ポリガラクツロン酸、アラントインアスコルビン酸、アラントインアセチル-DL-メチオニン、アラントインβ-グリチルレチン酸、DLピロリドンカルボン酸ナトリウム・アラントイン、アラントイングリシル、アラントインジヒドロキシアルミニウム(アルジオキサ)、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム(アルクロキサ)等が挙げられる。限定はされないが、これらのうち、好ましくはアラントイン、アラントインジヒドロキシアルミニウム(アルジオキサ)、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム(アルクロキサ)が挙げられ、より好ましくはアラントインが挙げられる。
【0011】
本発明の液体口腔用組成物において、液体口腔用組成物の全量に対する(A)成分の含有量は、特に限定されないが、液体口腔用組成物の全質量に対して、歯茎の組織修復作用及び洗浄力を高める観点から、好ましくは、0.001質量%以上であり、より好ましくは、0.005質量%以上、さらに好ましくは、0.01質量%以上である。
【0012】
液体口腔用組成物の全量に対する(A)成分の含有量は、好ましくは、5質量%以下であり、より好ましくは、1質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以下である。
【0013】
液体口腔用組成物の全量に対する(A)成分の含有量は、好ましくは、0.001~5質量%、より好ましくは0.005~1質量%、さらに好ましくは0.01~0.5質量%である。
【0014】
((B)殺菌成分)
本発明の液体口腔用組成物に含まれる殺菌成分としては、水溶性殺菌剤(塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、ドデシルアミノエチルグリシン、ラウロイルサルコシンナトリウム(LSS)など)、油溶性殺菌剤(イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、トリクロサン、チモール、1,8-シネオールなど)が挙げられる。限定はされないが、好ましくは、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、及びイソプロピルメチルフェノールからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、特に好ましくは塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
【0015】
本発明の液体口腔用組成物において、液体口腔用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、特に限定されず、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定されるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは、0.0001質量%以上であり、より好ましくは、0.001質量%以上、さらに好ましくは、0.01質量%以上である。
【0016】
液体口腔用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、0.5質量%以下であり、より好ましくは、0.2質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。
【0017】
液体口腔用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、0.0001~0.5質量%、より好ましくは0.001~0.2質量%、さらに好ましくは0.01~0.1質量%である。
【0018】
本発明の液体口腔用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の総含有量の比率は、特に限定されないが、(A)成分の含有量1質量部に対して、0.00002~5質量部が好ましく、0.002~1質量部がより好ましい。
【0019】
本発明の液体口腔用組成物において、(B)成分に対する(A)成分の総含有量の比率は、特に限定されないが、(B)成分の含有量1質量部に対して、0.001~1000質量部が好ましく、0.01~100質量部がより好ましく、0.05~20質量部がさらに好ましい。
【0020】
((C)界面活性剤)
本発明の液体口腔用組成物に含まれる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤などが挙げられる。なかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤の少なくとも1種以上を含むことが好ましい。
【0021】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;;モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ラウリン酸ジエタノールアミドのような脂肪酸アルカノールアミド;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;ラウリルグルコシド、デシルグルコシドなどのアルキルグルコシド;ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステルのような糖脂肪酸エステル;マルチトール脂肪酸エステルのような糖アルコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテルなどが挙げられる。限定はされないが、これらのうち、好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)などのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。
【0022】
両性界面活性剤としては、例えば、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチル-N-イミダゾリウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン;ラウリルスルホベタインやラウリルヒドロキシスルホベタイン等のアルキルスルホベタイン;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等のヤシ油脂肪酸アミドアルキルベタイン;N-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等の長鎖アルキルイミダゾリンベタイン塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。限定はされないが、これらのうち、本発明の効果を奏する観点から、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチル-N-イミダゾリウムベタイン等のイミダゾリニウムベタインが好ましい。
【0023】
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩、アシルアミノ酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルグルタミン酸塩、グリセリン脂肪酸エステルの硫酸塩、脂肪酸塩(ラウリン酸塩、パルミチン酸塩等)、ココイルグルタミン酸塩、ヤシ油メチルアラニン塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩のようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩などが挙げられる。
【0024】
本発明の液体口腔用組成物において、陰イオン性界面活性剤の含有量は、10質量%未満が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。泡調製時の過剰な泡発生の防止の観点から、本発明の液体口腔用組成物には、陰イオン性界面活性剤は、実質的に含まれないこともあり得る。ここで、陰イオン性界面活性剤を「実質的に含まない」とは、全く含まないか、又は1質量%程度まで含むことを許容し、含む場合の具体的数値としては、0.1質量%以下であり、0.01質量%以下であることが好ましい。典型的には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムのような陰イオン性界面活性剤は、含有する場合でも、好ましくは、0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下である。
【0025】
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルアミン塩モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、などが挙げられる。
【0026】
その他の界面活性剤として、例えば、ステアリルアミン、オレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
【0027】
本発明の液体口腔用組成物において、液体口腔用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、特に限定されず、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定されるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは、0.01質量%以上であり、より好ましくは、0.05質量%以上、さらに好ましくは、0.1質量%以上である。
【0028】
液体口腔用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、好ましくは、20質量%以下であり、より好ましくは、10質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。
【0029】
液体口腔用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、好ましくは、0.01~20質量%、より好ましくは0.05~10質量%、さらに好ましくは0.1~5質量%である。
【0030】
(C)成分が非イオン性界面活性剤の場合、液体口腔用組成物の全量に対する非イオン性界面活性剤の総含有量は、好ましくは、0.01~20質量%、より好ましくは0.05~10質量%、さらに好ましくは0.1~5質量%、典型的には、0.1~2質量%であることが好ましい。
【0031】
(C)成分が両性界面活性剤の場合、液体口腔用組成物の全量に対する両性界面活性剤の総含有量は、好ましくは、0.001~1質量%、より好ましくは0.005~0.5質量%、さらに好ましくは0.01~0.3質量%である。
【0032】
本発明の液体口腔用組成物において、(C)成分に対する(A)成分の総含有量の比率は特に限定されないが、(C)成分の含有量1質量部に対して、0.0002~50質量部が好ましく、0.002~10質量部がより好ましく、0.002~5質量部が特に好ましい。
【0033】
((D)多価アルコール及び/又は低級アルコール)
(多価アルコール)
本発明において用いられる多価アルコールとしては、医薬品、医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。多価アルコールは、限定はされないが、具体的には、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオールなどがあげられる。好ましいものは、1、3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールである。
【0034】
本発明の液体口腔用組成物において、液体口腔用組成物の全量に対する多価アルコールの総含有量は、特に限定されず、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定されるが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは、0.5質量%以上、さらに好ましくは、1質量%以上である。
【0035】
液体口腔用組成物の全量に対する多価アルコールの総含有量は、好ましくは、30質量%以下であり、より好ましくは、25質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下である。
【0036】
液体口腔用組成物の全量に対する多価アルコールの総含有量は、好ましくは、0.1~30質量%、より好ましくは0.5~25質量%、さらに好ましくは1~20質量%である。
【0037】
本発明の液体口腔用組成物において、(C)成分に対する多価アルコールの総含有量の比率は特に限定されないが、(C)成分の含有量1質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、0.5~30質量部がより好ましく、1~20質量部がさらに好ましい。
【0038】
(低級アルコール)
本発明において用いられる低級アルコールとしては、医薬品、医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。本明細書において、「低級アルコール」というときは、C1-C6のアルコールを指す。そのうち、特に、C1-C3のアルコールを好ましく用いることができる。このような例として、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0039】
本発明の液体口腔用組成物において、本発明の効果を奏する観点から、液体口腔用組成物の全量に対する低級アルコールの総含有量は、好ましくは、0.1~30質量%、より好ましくは0.5~25質量%、さらに好ましくは1~20質量%である。口腔内の滲み感をより低減させる目的から、低級アルコールがエタノールである場合は10%未満が好ましく、より好ましくは3%、更に好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下であり、実質的に含まないことが最も好ましい。本明細書において、エタノールを「実質的に含まない」とは、エタノールを全く含まないか、又は1%程度まで含むことを許容し、含む場合の具体的数値としては、1質量%以下であり、0.1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。特に限定はされないが、エタノールは含まれる場合でも、例えば、0.001~0.01質量%であり得る。
【0040】
本発明の液体口腔用組成物において、(C)成分に対する(D)成分の総含有量の比率は特に限定されないが、(C)成分の含有量1質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、0.5~30質量部がより好ましく、1~20質量部がさらに好ましい。
【0041】
(薬効成分、栄養成分)
本発明の液体口腔用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、薬効成分として、例えば、組織修復剤(パンテノールなど)、抗炎症剤(トラネキサム酸、グリチルリチン酸二カリウム、β-グリチルレチン酸及びその塩、サリチル酸メチル、l-メントール、グリチルリチン酸モノアンモニウム、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、オウバクエキス)、出血抑制剤(カルバゾクロム、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸など)、知覚過敏抑制剤(硝酸カリウム、塩化ストロンチウム、乳酸アルミニウムなど)、血行促進剤(ビタミンE類(α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール;酢酸dl-α-トコフェロール等の酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールなど)など)、収斂剤(塩化ナトリウムなど)、再石灰化剤(フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化スズなど)、酵素(ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、デキストラナーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ、アミラーゼ、ムタナーゼなど)、銅クロロフィリンナトリウム、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、塩化亜鉛などを組み合わせて用いることができる。これらの薬効成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0042】
本発明の液体口腔用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、栄養成分として、ビタミン類、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド又はその誘導体、などを組み合わせて用いることができる。
【0043】
ビタミン類としては、例えば、dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類;ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類;アスコルビゲン-A、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビルなどのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩;チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類;シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸等の葉酸類;ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類;ビオチン、ビオチシン等のビオチン類;アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類;カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子などが挙げられる。これらのビタミン類は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0044】
アミノ酸又はその誘導体としては、例えば、アルギニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、プロリン、ヒドロキシプロリン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β-アラニン、スレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、ベタイン(トリメチルグリシン)、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン、チロシン、トリプトファン等が挙げられる。これらのアミノ酸又はその誘導体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0045】
ペプチド又はその誘導体としては、例えば、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)などが挙げられる。これらのペプチド又はその誘導体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
【0046】
本発明の液体口腔用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、アスナロエキス、オオバクエキス、トウキエキス、オウゴンエキス、カミツレエキス、ラタニアエキス、ミルラエキス、マヌカハニー抽出物、ポリフェノール類、カテキン類、フラボン類、プロアントシアニン類、などの植物由来成分を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
本発明の液体口腔用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の薬効成分として、クエン酸亜鉛、サンギナリン、デルモピノール、ラウロイルサルコシンナトリウム(LSS)、ナイシン、キトサン、クロロフィル、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどを、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[その他添加剤]
【0048】
本発明の液体口腔用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、医薬品、医薬部外品、食品、又は化粧品等として用いられ得る、溶解補助剤、増粘剤、湿潤剤、保存剤、キレート剤、pH調整剤、甘味料、香料、着色剤などの添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
溶解補助剤の好適な例としては、例えば、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、安息香酸ベンジルなどが挙げられる。
【0050】
増粘剤としては、前記水溶性高分子化合物のほか、例えば、増粘性シリカ、無水ケイ酸、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、などが挙げられる。
【0051】
湿潤剤としては、例えば、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール、トレハロース、マンニトール等の糖アルコールが挙げられる。
【0052】
保存剤としては、例えば、パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等)、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンなどが挙げられる。
【0053】
キレート剤としては、例えば、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩などが挙げられる。
【0054】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸、リン酸など)、有機酸(乳酸、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸など)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)、塩(乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム(二炭酸一水素三ナトリウム)等)などが挙げられる。
【0055】
甘味料としては、例えば、糖類又は糖アルコール(キシリトール、パラチノース、エリスリトール、マルチトール、アラビトール)、ステビオサイド、ステビアエキス、ソーマチン、グリチルリチン、スクラロース、アセスルファムカリウム、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチンなどが挙げられる。
【0056】
香料としては、例えば、カルボン、オイゲノール、リモネン、アネトール、オシメン、n-アミルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シネオール、チモール、サリチル酸メチル、バニリン、メチルオイゲノール、メチルアセテート、シトロネリルアセテート、シンナミックアルデヒド、ベンズアルデヒド、ベンジルサクシネート、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、レモン油、オレンジ油、丁子油、ティーツリー油、ローズマリー油、桂皮油、シソ油、ピメント油、セージ油、アニス油などが挙げられる。
【0057】
着色剤としては、合成又は天然由来の色素などが挙げられる。
【0058】
場合によっては、本発明の液体口腔用組成物には、(A)~(D)の成分以外に、公知の水溶性高分子化合物を含有させることもできる。水溶性高分子化合物は、分子量1,000以上の化合物であって、単独では界面活性剤として用いられないものを指し、天然由来の物質であっても、化学合成によって得られる物質であってもよい。また、酸又は塩基である高分子化合物の塩で、水溶性の物もまた、水溶性高分子に含まれる。
【0059】
水溶性高分子化合物の重量平均分子量は、例えば1,000~1000万、好ましくは2,000~800万、より好ましくは5,000~500万、更に好ましくは1万~300万である。
【0060】
水溶性高分子化合物の重合度は、例えば10以上、好ましくは50以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは500以上、特に好ましくは1000以上である。
【0061】
水溶性高分子化合物としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコール、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンN(A))コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ゼラチンなどのような糖不含有直鎖状水溶性高分子化合物;アルギン酸又はその塩、プルラン、セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びその塩類(例えば、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースアンモニウム)、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等)、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、寒天、アルギン酸プロピレングリコール、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウムなどのような直鎖状水溶性多糖類;グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビアガム、カラヤガムなどの分岐を有する水溶性高分子化合物などが挙げられ、なかでも直鎖状水溶性高分子化合物又は直鎖状水溶性多糖類が好ましく、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、アルギン酸又はその塩、セルロース系高分子、又はプルランがより好ましく、カルボキシビニルポリマー又はポリビニルピロリドンが更に好ましく、カルボキシビニルポリマーが特に好ましい。
【0062】
本発明の液体口腔用組成物において、水溶性高分子の含有量は、水溶性高分子の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定されるが、該口腔用組成物の全量に対して、水溶性高分子の総含有量は、好ましくは0.001~0.5質量%であり、より好ましくは0.005~0.2質量%、更に好ましくは0.01~0.1質量%である。
【0063】
本発明の液体口腔用組成物により高い消泡効果を付与したい場合には、水溶性高分子は実質的に含まれないこともあり得る。ここで、水溶性高分子を「実質的に含まない」とは、全く含まないか、又は1質量%程度まで含むことを許容し、含む場合の具体的数値としては、0.5質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
【0064】
本発明の液体口腔用組成物は、成分の良好な分散又は乳化や良好な使用感を確保する観点、及び泡状へ調製しやすさの観点から、精製水やイオン交換水等の水を含有する。水の含有量は、液体口腔用組成物中に、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。
【0065】
本発明の液体口腔用組成物は、二酸化炭素、ジエチルエーテル等の噴射剤を含んでもよいが、実質的に含まないことが好ましい。
【0066】
[pH]
本発明の液体口腔用組成物のpHは、本発明の効果を顕著に奏し、使用感を良好にする観点から、好ましくはpH3~6、より好ましくは4~6、更により好ましくは5~5.8、特に好ましくは5~5.5である。
【0067】
[用途]
本発明の液体口腔用組成物は、泡状に調製し、舌や歯周組織などの口腔内の組織と接触させ、口内の組織に薬理成分や栄養成分を作用させることができる。そのため、歯茎炎や歯槽膿漏などの歯周病の改善又は予防、歯の疾患や状態の改善、口内の歯茎組織の修復に用いることができる。
【0068】
歯周病は、その病状の進行によって、大きく歯茎炎(歯肉炎)と歯槽膿漏(歯周炎)の2つに分けられる。本発明の液体口腔用組成物は、これらいずれの改善又は予防に用いることができる。
【0069】
本明細書において「予防」とは、疾病若しくは症状の発症の防止若しくは遅延、又は疾病若しくは症状の発症の危険性を低下させることをいう。
【0070】
また、本明細書において「改善」、「修復」とは、疾病、症状若しくは健康状態の好転若しくは緩和、疾患、症状若しくは健康状態の悪化の防止若しくは遅延、又は疾患若しくは症状の進行の逆転、防止若しくは遅延をいう。
【0071】
[剤形]
本発明の液体口腔用組成物の性状は、医薬品、医薬部外品、化粧品として公知の液体状であり、泡形成が可能な形態であれば、特に限定されないが、液状歯磨き又は洗口液であり得る。油性基剤と水性基剤とを含む場合は、W/O型でもO/W型でもよい。本発明の液体口腔用組成物は、典型的には、泡形成容器に収容される。したがって、優れた起泡性、泡切れ、及び洗浄力を発揮することができる泡に調製され、口腔内に適用することができる。また、前後にブラッシングしてもよい。
【0072】
[容器]
本発明の液体口腔用組成物は、典型的には、フォーマー容器やエアゾール容器など泡形成容器に充填された口腔用製品とされ得る。泡形成容器は、吐出口を備えているノンエアゾールタイプの容器(例えば、ポンプフォーマー容器、スクイズフォーマー容器など)であることが好ましい。本発明の液体口腔用組成物を使用する際には、泡形成容器が備える吐出口から、液体口腔用組成物を口腔内へ直接吐出し、吐出口を経由した液体口腔用組成物を泡状で口腔内へ適用する。
【0073】
ノンエアゾールタイプの容器とは、常圧容器であり、二酸化炭素などの噴射剤を含まない内容物を収容するものである。スクイズタイプの容器及びポンプタイプの容器のいずれも使用することができるが、ポンプフォーマータイプの容器を使用することが好ましい。これらの容器には、液体口腔用組成物を良好に泡状に調製するために、容器本体から吐出口までの流路に、メッシュや複数の小孔を設けた多孔質部材を含むことが好ましい。ここで、メッシュのサイズは、80~200であり得る。
【0074】
スクイズタイプの容器とは、変形可能な容器本体に位置する胴部をスクイズ変形させることにより、必要に応じて多孔質部材を経由させながら、ヘッドスペース内から圧送される空気と内容物を混合して泡を形成させ、かかる泡を吐出口から吐出させるものである。
【0075】
ポンプフォーマータイプの容器とは、吐出口を有する泡形成容器に備えられたヘッド部を押し込むことにより、必要に応じて多孔質部材を経由させながら、外部から流入する空気と内容物を混合して泡を形成させ、泡を吐出口から吐出させるものである。通常、外部から空気を流入させるための空気シリンダーと、内容物の流路となる液シリンダーを備えるとともに、ポンプヘッドの押し込みにより圧送される空気と内容物とを混合させるための混合室を備える。ポンプフォーマーとして、限定はされないが、一例として、ヘッド部の長さがボトル中心から35~60mm、好ましくは48mm程度、吐出口全体で50~80mm、好ましくは65mm程度であるものが挙げられる。
【0076】
本発明の液体口腔用組成物はまた、泡形成容器に充填されるための詰め替え用の容器に収容され得る。詰め替え用の容器は、通常のポリエチレンテレフタレート製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)製、又はこれらのブレンドなど、公知の材料を用いて作成される容器であり得る。
【0077】
[製造方法]
本発明の液体口腔用組成物は、公知の方法により製造することができる。必要に応じて、滅菌工程を含めることができる。
【0078】
[洗浄力向上方法]
本発明の洗浄力向上方法は、(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、
(C)界面活性剤、並びに、(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む方法である。当該方法における、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、液体口腔用組成物の製剤形態及び用途については、[液体口腔用組成物]で説明したとおりである。
【0079】
[泡切れ向上方法]
本発明の泡切れ向上方法は、(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、
(C)界面活性剤、並びに、(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む方法である。当該方法における、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、液体口腔用組成物の製剤形態及び用途については、[液体口腔用組成物]で説明したとおりである。ここで、「泡切れ向上」とは、泡切れが良好であることをいい、ポンプフォーマーなどの泡形成容器で調製する泡が、口腔内で30秒程度で消失あるいは著しく減少することをいう。すなわち、本発明の液体口腔用組成物を口腔内に適用した場合には、30秒程度を目安として、泡切れ感を知覚することができ、すっきりとした使用感を達成することができる。
【0080】
[起泡性向上方法]
本発明の起泡性向上方法は、(A)アラントイン及び/又はその塩、(B)殺菌成分、
(C)界面活性剤、並びに、(D)多価アルコール及び/又は低級アルコールを含み、pHが6.0以下である液体口腔用組成物を、泡状に調製することを含む方法である。当該方法における、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、液体口腔用組成物の製剤形態及び用途については、[液体口腔用組成物]で説明したとおりである。ここで、「起泡性向上」とは、泡形成容器から吐出する際に吐出口で素早く、泡を形成することができることをいう。
【実施例】
【0081】
次に、実施例や試験例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例や試験例に限定されるものではない。
【0082】
本明細書の試験例の成分の濃度は全て成分の質量(g)を、溶液容量(100g)で割った値×100で得られる質量%で表す。
【0083】
[試験例1.洗浄効果検証試験]
下記表1に示す組成の液体口腔用組成物を、常法により調製し、これを液状のまま、あるいは泡状に調製することによって、洗浄効果を評価した。表中、特に表示のない数値は、質量%を表す。
【0084】
ここで、泡状に調製する組成物については、円柱型、メッシュサイズ100、吐出部分の長さ65mm、ボトル中心から48mmのポンプフォーマーに収容し、1プッシュ0.8mL、3プッシュで2.4mLを吐出させる条件となるように容器を押して泡を形成させた。
【0085】
まず、直径6cmのシャーレの中心部に、直径1cmの円形となるように、油溶性の赤色色素を塗布した。ここに液体のまま、又はポンプフォーマー容器から出した各試験製剤3gを入れた。1分後に、赤色色素が直径1cmの円からどの程度広がっているかを測定し、より広がっているほど洗浄力が高いと判断した。
【0086】
【0087】
表1で示した通り、アラントイン、殺菌成分、界面活性剤、多価アルコール又はエタノールを含有する液体口腔用組成物は、泡状に調製した際に洗浄力が顕著に向上することが確認できた。(A)成分又は(B)成分を含まない液体口腔用組成物は、泡状にしても洗浄力は弱かった。
【0088】
[試験例2.泡切れ効果検証試験]
下記表2に示す組成の液体口腔用組成物を調製した。円柱型、メッシュサイズ100、吐出部分の長さ65mm、ボトル中心から48mmのポンプフォーマーに収容した。
【0089】
その後、100mLビーカーにメッシュ(40メッシュ)を張り、メッシュ上に製剤を、3プッシュ塗布した(1プッシュ0.8mL、3プッシュで2.4mL)。ビーカー底部に製剤が一滴落ちるまでの時間を測定した。
【0090】
【0091】
一般的に口腔内の洗浄に必要な時間は30秒程度である。実施例の製剤は、このような短い時間内に泡が消失し、口腔内の洗浄後に製剤を吐出しやすい製剤となることがわかった。
【0092】
[試験例3.刺激性検証試験]
下記表3に示す組成の液体口腔用組成物を調製した(比較例3、実施例3-1、3-2)。実施例3-1、3-2については、円柱型、メッシュサイズ100、吐出部分の長さ65mm、ボトルを上から見た際のボトル中心(ノズル部)から吐出口までが48mmのポンプフォーマーに収容した。
【0093】
比較例及び実施例の組成物を用いて、健常人(成人)の被験者3名による滲み感の評価試験を行った。比較例3については5mL~10mLを、実施例3-1、3-2については1プッシュ(約0.8mL)~2プッシュ分の泡を口腔内に含み、時間を十分において、それぞれ試験した。被験者の口腔内で、まんべんなく液体又は泡がいきわたった状態にした後、30秒間口中で咀嚼して、滲み感を確認し、口腔内をすすいだ。
【0094】
滲み感については、強く滲み感がある状態を5、やや強く滲み感がある状態を4、滲み感がある程度ある状態を3、滲み感が少ない状態を2、滲み感があまりない状態を1、全く滲み感がない状態を0とし、それぞれについて6段階で評価した。
【表3】
【0095】
被験者のうち、それぞれが、比較例3について4~5点、実施例3-1は2~3点、実施例3-2については0点という結果であった。
【0096】
比較例の液状の洗口液は滲み感が強く、実施例のように泡状にした製剤は、口腔内の滲み感が緩和されていることがわかった。
【0097】
下記の組成で泡状液体口腔用組成物を調製した。
[処方例]
<製剤例1>
アラントイン 0.5質量%
セチルピリジニウム塩化物水和物 0.05質量%
リン酸水素ナトリウム水和物 0.04質量%
グリチルリチン酸二カリウム 0.2質量%
2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 0.3質量%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.7質量%
プロピレングリコール 10質量%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01質量%
ユリエキス 0.1%
ハッカ油 0.1質量%
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 0.1質量%
エデト酸2ナトリウム 0.01質量%
香料 0.1質量%
水 残部
合計 100質量%
pH 5.5
【0098】
<製剤例2>
アラントイン 0.01質量%
塩化ベンザルコニウム 0.01質量%
トコフェロール酢酸エステル 0.08質量%
ポリリン酸ナトリウム 0.02質量%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 0.15質量%
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 1.0質量%
エタノール 5質量%
クマザサエキス 0.002質量%
ゼニアオイエキス 0.002質量%
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
メチルパラベン 0.05質量%
エデト酸2ナトリウム 0.01質量%
香料 0.05質量%
水 残部
合計 100質量%
pH 5.5
【0099】
<製剤例3>
アラントイン 0.1質量%
塩化ベンゼトニウム 0.01質量%
マクロゴール400 1質量%
2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン 0.1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 0.5質量%
ラウリル硫酸ナトリウム 0.01質量%
グリセリン 4質量%
クワエキス 0.01質量%
ビワ葉エキス 0.01質量%
シナノキエキス 0.01質量%
加水分解コラーゲン末 0.001質量%
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 0.2質量%
エデト酸2ナトリウム 0.01質量%
香料 0.3質量%
水 残部
合計 100質量%
pH 5.5