(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】監視制御装置、監視制御システム、監視制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/185 20200101AFI20231218BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231218BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20231218BHJP
H04B 3/54 20060101ALI20231218BHJP
H04B 3/46 20150101ALI20231218BHJP
【FI】
H05B47/185
H02J13/00 311B
H02J13/00 B
H02J13/00 301D
G05B23/02 Z
H04B3/54
H04B3/46
(21)【出願番号】P 2019136595
(22)【出願日】2019-07-25
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 博則
(72)【発明者】
【氏名】粂田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】寺田 佳史
(72)【発明者】
【氏名】三木 智美
(72)【発明者】
【氏名】古澤 博行
(72)【発明者】
【氏名】吉川 正臣
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-048969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H02J 13/00
G05B 23/02
H04B 3/54
H04B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝送装置が直列に接続された電力線を介して信号の送信及び受信を行う通信部と、
複数の前記伝送装置のうち一部の前記伝送装置を含むグループの情報が設定された監視信号を送信し、前記監視信号に対応して前記グループに含まれる前記伝送装置のそれぞれから
前記グループ内における前記伝送装置の順序に応じたタイミングで送信された応答信号を受信
し、前記応答信号の受信タイミングにより前記応答信号の送信元の前記伝送装置を判定する監視処理を行い、前記監視処理の処理中に前記伝送装置に対する制御指示が
入力装置により又は他の装置から入力された場合は、前記監視処理の終了後に前記制御指示の対象の前記伝送装置へ制御信号を送信し、入力されていない場合は、前記監視処理の終了後に前記グループを変更して前記監視処理を行う制御部と、
を備える監視制御装置。
【請求項2】
前記複数の前記伝送装置は、予め複数のグループに分けられ、
前記制御部は、所定の順序に従って前記グループ毎に前記監視処理を行う、
請求項1に記載の監視制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記グループ毎の前記監視処理を所定周期で行う、
請求項2に記載の監視制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記制御信号の送信後に、前記順序に優先して、前記制御指示の対象の前記伝送装置が含まれる前記グループに対して前記監視処理を行う、
請求項2又は請求項3に記載の監視制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記グループを対象として前記制御信号を送信する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の監視制御装置。
【請求項6】
前記伝送装置は、前記電力線により供給される電力を灯火に供給し、
前記応答信号は、前記灯火の状態を表す情報を含み、
前記制御信号は、前記灯火に対する制御を指示する信号である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の監視制御装置。
【請求項7】
電力線により直列に接続される監視制御装置と複数の伝送装置とを有する監視制御システムであって、
前記監視制御装置は、
電力線を介して信号の送信及び受信を行う通信部と、
複数の前記伝送装置のうち一部の前記伝送装置を含むグループの情報が設定された監視信号を送信し、前記監視信号に対応して前記グループに含まれる前記伝送装置のそれぞれから
前記グループ内における前記伝送装置の順序に応じたタイミングで送信された応答信号を受信
し、前記応答信号の受信タイミングにより前記応答信号の送信元の前記伝送装置を判定する監視処理を行い、前記監視処理の処理中に前記伝送装置に対する制御指示が
入力装置により又は他の装置から入力された場合は、前記監視処理の終了後に前記制御指示の対象の前記伝送装置へ制御信号を送信し、入力されていない場合は、前記監視処理の終了後に前記グループを変更して前記監視処理を行う制御部と、
を有し、
前記伝送装置は、
前記電力線を介して前記監視制御装置と信号の送信及び受信を行う伝送装置通信部と、
自装置が含まれる前記グループの情報が設定された前記監視信号を受信した場合に、自装置に接続される機器の状態を表す前記応答信号を
自装置が含まれる前記グループ内における自装置の順序に応じたタイミングで返送し、自装置に対する前記制御信号を受信した場合に、前記制御信号に基づいて自装置に接続される前記機器を制御する伝送装置制御部と、
を有する、
監視制御システム。
【請求項8】
複数の伝送装置が直列に接続された電力線を介して信号の送信及び受信を行う通信ステップと、
複数の前記伝送装置のうち一部の前記伝送装置を含むグループの情報が設定された監視信号を送信し、前記監視信号に対応して前記グループに含まれる前記伝送装置のそれぞれから
前記グループ内における前記伝送装置の順序に応じたタイミングで送信された応答信号を受信
し、前記応答信号の受信タイミングにより前記応答信号の送信元の前記伝送装置を判定する監視処理を行い、前記監視処理の処理中に前記伝送装置に対する制御指示が
入力装置により又は他の装置から入力された場合は、前記監視処理の終了後に前記制御指示の対象の前記伝送装置へ制御信号を送信し、入力されていない場合は、前記監視処理の終了後に前記グループを変更して前記監視処理を行う制御ステップと、
を有する監視制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の監視制御装置として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視制御装置、監視制御システム、監視制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港等における灯火の監視及び制御を行う監視制御システムがある。この監視制御システムは、電力線搬送方式を用いることにより、灯器の電源ケーブルを通信線と兼用する。よって、広大な空港内において監視を行うための設備の敷設にかかる工事コストを削減できるという利点がある。一方で、空港の灯火は数千個所に埋設されており、空港の拡張や整備に伴いその数や位置は変化する。そこで、空港では、屋外で電力線通信搬送を行うための無線局の免許を申請する必要がない10kHz未満の低周波領域を搬送周波数に用いている。このような低周波の搬送周波数を用いた場合、通信速度は制約される。そのため、監視や制御に時間がかかる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-033868号公報
【文献】特開2005-028929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電力線搬送を利用した監視や制御の遅延を低減することができる監視制御装置、監視制御システム、監視制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の監視制御装置は、通信部と、制御部とを持つ。通信部は、複数の伝送装置が直列に接続された電力線を介して信号の送信及び受信を行う。制御部は、複数の前記伝送装置のうち一部の前記伝送装置を含むグループの情報が設定された監視信号を送信し、前記監視信号に対応して前記グループに含まれる前記伝送装置のそれぞれから応答信号を受信する監視処理を行い、前記監視処理の処理中に前記伝送装置に対する制御指示が入力された場合は、前記監視処理の終了後に前記制御指示の対象の前記伝送装置へ制御信号を送信し、入力されていない場合は、前記監視処理の終了後に前記グループを変更して前記監視処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施形態の灯火監視制御システムの動作概要を示す図。
【
図3】実施形態の監視装置の構成を示すブロック図。
【
図7】実施形態の灯火監視制御システムの処理を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の監視制御装置、監視制御システム、監視制御方法及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、灯火監視制御システム100の構成図である。灯火監視制御システム100は、交流電源1と、電源装置2と、フィルタ3と、監視制御装置10と、子局6と、灯火7と、結合器8と、電力線9とを有する。監視制御装置10は、監視装置4と、親局5とを有する。監視装置4と親局5とは、統合された一台の装置であってもよい。灯火監視制御システム100は、監視制御システムの一例であり、灯火7は、監視制御システムが監視及び制御を行う対象の機器の一例である。
【0009】
交流電源1は、商用電力を受電する受電装置である。交流電源1は、灯火監視制御システム100に電力を供給する。電源装置2は、交流電源1から供給された電力を、灯火監視制御システム100の内部用の電源電圧に変換し、変換された電源電圧を、フィルタ3を介して電力線9に出力する。この電源電圧は、灯火7の電源になる。また、この電源電圧には、親局5から送信される搬送信号や子局6から送信される搬送信号が重畳される。
【0010】
フィルタ3は、インダクタやキャパシタを組み合わせて構成されたフィルタである。フィルタ3は、電源装置2と電力線9の間に設置される。フィルタ3は、親局5と子局6との間の搬送信号のキャリア周波数に対し高インピダンスとなるようにフィルタの定数が設定されている。フィルタ3により、親局5と子局6との間の搬送信号が電源装置2側に漏れにくくなり、電力線9における搬送信号の減衰を軽減することができる。
【0011】
監視装置4は、例えば、灯火監視制御システム100の制御室等に配置される。監視装置4は、パーソナルコンピュータ等により構成される。監視装置4は、親局5が子局6から受信した監視結果を表示する。親局5は、灯火7の監視及び制御のため、灯火7と接続される子局6と電力線9を介して電力線搬送通信を行う。監視の一例は、断線診断である。また、制御の一例は、照度制御である。
【0012】
子局6は、伝送装置の一例である。子局6は、灯火7に接続される。また、子局6は、灯火7近傍の電力線9に設置される。電力線9には、複数の子局6が、結合器8を介して電力線9に直列に接続される。子局6は、電力線9を介して親局5と電力線搬送通信を行う。子局6は、親局5からの指示に従って、灯火7の監視及び制御を行う。灯火監視制御システム100が有するN台(Nは2以上の整数)の子局6を、子局6-1、6-2、…、6-Nと記載する。
【0013】
灯火7は、キセノンランプやLED(Light Emitting Diode)ライトなどにより構成された照明器具(灯器)である。灯火7は、空港の滑走路、誘導路に配置される。灯火監視制御システム100が有する複数台の灯火7を、灯火7-1、7-2、7-3、…と記載する。灯火7-n(nは1以上N以下の整数)は、子局6-nの制御対象であり、子局6-nにより状態の監視及び制御が行われる。
【0014】
結合器8は、トランス等により構成される。結合器8は、親局5又は子局6と、電力線9との間に設置される。結合器8は、親局5又は子局6が送信した電力線搬送の搬送信号を電力線9に重畳する。また、結合器8は、電力線9に重畳された電力線搬送の搬送信号を抽出して親局5又は子局6に伝送する。
図1では、親局5に接続される結合器8を結合器8-0と記載し、子局6-nに接続される結合器8を結合器8-nと記載している(nは1以上N以下の整数)。
【0015】
電力線9は、電力を伝達する電線である。電力線9は、灯火7の電源になる電源電圧を供給するとともに、親局5及び子局6による電力線搬送通信の搬送信号が重畳された電源電圧を供給する。
【0016】
ここで、灯火監視制御システム100が、従来のように所定周期で電力線9に接続されたN台全ての灯火7について状態のスキャンを行う場合の動作を説明する。まず、親局5は、アンサー要求を電力線9により送信する。アンサー要求は、子局6にアンサーを要求する監視信号である。アンサーは、アンサー要求に対する応答信号である。各子局6-n(nは1以上N以下の整数)は、アンサー要求に続くN個の状態情報の送信タイミングのうち、n個目の送信タイミングにおいて、灯火7-nの状態を示す状態情報(n)をアンサーとして電力線9により送信する。例えば、子局6-1は、電力線9を伝送するアンサー要求を受信すると、灯火7-1の状態を示す状態情報(1)を電力線9により送信する。次に、子局6-2は、電力線9を伝送するアンサー要求を受信すると、アンサー要求に続く状態情報(1)の次の送信タイミングで、灯火7-2の状態を示す状態情報(2)を電力線9により送信する。この処理を、子局6-Nまで順に繰り返す。親局5は、電力線9を時分割により伝送された状態情報(1)~状態情報(N)を受信する。
【0017】
空港の屋外にて電力線搬送通信を行う場合には、例えば、10kHz未満の低周波領域の搬送周波数を用いる。そのため、灯火7の数N=100の場合、上述した従来技術を用いると、断芯位置検出などのための状態監視に、約1分程度の検出時間を要していた。一方で、即応性が求められる場合の要求性能は、一般的に、制御に1秒、応答に2秒である。電力線搬送通信の場合、その特性により、監視と制御を同時に行うことができない。また、制御の実施後は、正しく制御が行われたか監視する必要がある。そのため、単に制御の高速化だけでなく、監視も合わせて高速化が必要となる。
【0018】
図2は、本実施形態の灯火監視制御システム100の動作概要を示す図である。本実施形態では、直列に接続されているN灯(例えば、約100灯)の灯火7をグループに分け、グループ単位によって短周期でスキャン(監視処理)を実施する。監視制御装置10は、灯火7に対する制御が指示された場合には、スキャンを一旦停止して割り込むことにより、短周期で制御を最優先に受け付け、子局6に制御信号を送信する。監視制御装置10は、制御の実施後に、制御対象の灯火7が属するグループを最優先でスキャンする。その後、監視制御装置10は、割り込み前に戻り、短周期によるグループ単位のスキャンを再開する。
【0019】
このように、監視のスキャンを小グループに分けることによって、灯火監視制御システム100は、灯火7に対する制御が入力された場合に、即時に制御に移行できる。また、灯火監視制御システム100は、制御を最優先に実施するが、制御が無い時間においては、短周期でスキャンを継続する。1回のスキャンでは、グループに属する子局6からのアンサーを受信すればよく、従来技術を用いたときのように全ての子局6からのアンサーを受信するまで待つ必要がない。これらによって、全体的に灯火監視制御システム100による監視及び制御の高速化が可能となる。
【0020】
図3は、監視装置4の構成を示すブロック図である。監視装置4は、通信部41と、制御部42と、表示部43と、入力部44とを備える。監視装置4は、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって、通信部41と、制御部42と、表示部43と、入力部44を備える装置として機能する。なお、監視装置4の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0021】
通信部41は、親局5などの他の装置と通信する。制御部42は、監視装置4の各部を制御する。制御部42は、親局5が受信した応答信号が示す灯火7の状態を表示部43に表示する。また、制御部42は、制御対象の灯火7又はグループに対する制御指令が入力部44により又は他の装置から入力された場合、制御指令を親局5に出力する。制御指令は、制御対象の灯火7又はグループと、制御対象に行う制御の内容とを含むコマンドである。表示部43は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。入力部44は、操作者による指示を入力する入力装置である。入力部44は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置である。
【0022】
図4は、親局5の構成を示すブロック図である。親局5は、記憶部51と、第一通信部52と、第二通信部53、制御部54とを備える。親局5は、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって、記憶部51と、第一通信部52と、第二通信部53、制御部54とを備える装置として機能する。なお、親局5の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0023】
記憶部51は、グループ情報を記憶する。グループ情報は、子局6-n及び灯火7-n(nは1以上N以下の整数)それぞれが属するグループと、各グループに対する監視処理(スキャン)の順序とを示す。本実施形態では、子局6-nが属するグループは、子局6-nが制御対象としている灯火7-nが属するグループである。
【0024】
第一通信部52は、電力線9を介して信号の送信及び受信を行う。信号送信時、第一通信部52は、制御部54から入力した信号をデジタル信号に変換する。第一通信部52は、変換されたデジタル信号を電力線搬送通信の搬送信号としてのアナログ信号に変換し、結合器8を介して電力線9へ送信する。信号受信時、第一通信部52は、電力線9に重畳されている電力線搬送通信の搬送信号を結合器8から受信する。第一通信部52は、受信した搬送信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号を復調して制御部54に出力する。第二通信部53は、監視装置4とデータの送受信を行う。
【0025】
制御部54は、制御対象のグループを示す対象情報を設定した監視信号を送信し、対象情報が示すグループに属する子局6それぞれから監視信号に対応した応答信号を受信する監視処理を行う。制御部54は、この監視処理を、グループ情報に設定された順序に従って、短周期でグループ毎に行う。制御部54は、受信した応答信号が示す灯火7の状態を監視装置4に出力する。制御部54は、監視処理の処理中に制御指令が監視装置4から入力された場合は、処理中の監視処理の終了後、次のグループに対する監視処理を行う前に割り込み処理を行う。制御部54は、この割り込み処理において、制御指令に従って、制御対象の灯火7を制御する子局6又は制御対象のグループに制御信号を送信する。制御部54は、送信する制御信号に、制御対象の灯火7、制御対象の灯火7を制御する子局6、又は、制御対象のグループを示す対象情報を設定する。制御部54は、制御信号の送信後に、制御対象の灯火7、制御対象の灯火7が含まれるグループ、又は、制御対象のグループを示す対象情報を設定した監視信号を送信し、対象情報に応じた子局6からの応答信号を受信した後に割り込み処理を終了する。
【0026】
図5は、子局6の構成を示すブロック図である。子局6は、記憶部61と、通信部62と、制御部63とを備える。通信部62は、伝送装置通信部の一例である。制御部63は、伝送装置制御部の一例である。子局6は、バスで接続されたプロセッサやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって、記憶部61と、通信部62と、制御部63とを備える装置として機能する。なお、子局6の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。
【0027】
記憶部61は、自局の子局番号、自局が制御対象とする灯火7の灯火番号、及び、自局が属するグループのグループ番号を記憶する。子局番号は、子局6を一意に特定する識別情報である。灯火番号は、灯火7を一意に特定する識別情報である。グループ番号は、グループを一意に特定する識別情報である。通信部62は、親局5の第一通信部52と同様の処理により、電力線を介して信号の送信及び受信を行う。通信部62は、受信した信号に設定されている対象情報が自局、自局が制御対象とする灯火7、又は、自局が属するグループを示す場合に、その信号を制御部63に出力する。制御部63は、通信部62から入力された信号が監視信号である場合、自局の制御対象の灯火7の状態を示す応答信号を生成して通信部62に出力し、送信を指示する。また、制御部63は、通信部62から入力された信号が制御信号である場合、自局の制御対象の灯火7に対して制御信号により指示された制御を行う。
【0028】
図6は、親局5の記憶部51に記憶されるグループ情報を示す図である。グループ情報は、グループ毎に、グループ番号と、グループに属する灯火7の灯火番号と、灯火7の制御を行う子局6の子局番号とを対応付けた情報である。グループ番号は、監視を行う順序を示す番号としても用いられる。ここでは、グループ番号p(pは2以上の整数)に、q灯(qは1以上の整数)の灯火7-((p-1)q+1)~7-pqが属し、q=10である場合を例に説明する。
【0029】
図7は、灯火監視制御システム100の動作を示すシーケンス図である。なお、監視装置4の制御部42は、入力部44により又は外部の装置から灯火7又はグループに対する制御指示が入力された場合、制御対象と指示された制御を示す制御指令を随時、親局5に出力する。
【0030】
まず、最初の周期において、親局5の制御部54は、グループ番号1(p=1)をスキャン対象とする。制御部54は、グループ番号1を示す対象情報が設定されたアンサー要求を生成し、第一通信部52は、生成されたアンサー要求を電力線9により送信する(ステップS105)。グループ番号1のグループに属する子局6-1~6-10は、アンサー要求を受信すると(ステップS110)、アンサーとして状態情報を電力線9に出力する(ステップS115)。
【0031】
具体的には、子局6-1の通信部62は、アンサー要求に設定されている対象情報が、記憶部61に記憶される自局のグループ番号1を示すため、受信したアンサー要求を制御部63に出力する。子局6-1の制御部63は、灯火7-1の状態と灯火7-1の灯火番号とを示す状態情報(1)を通信部62に出力し、通信部62は、状態情報(1)を電力線9により送信する。同様に、子局6-k(k=2~10)の通信部62は、アンサー要求に設定されている対象情報が自局のグループ番号1を示すため、受信したアンサー要求を制御部63に出力し、制御部63は、灯火7-kの状態と灯火7-kの灯火番号とを示す状態情報(k)を通信部62に出力する。子局6-k(k=2~10)の通信部62は、状態情報(1)~状態情報(k-1)とは異なるタイミングで、状態情報(k)をアンサーとして電力線9により送信する。例えば、子局6-k(kは1以上10以下の整数)は、アンサー要求に続く10個の状態情報の送信タイミングのうち、k個目の送信タイミングにおいて状態情報(k)を送信する。つまり、子局6-kがグループ番号pに属する場合、アンサー要求に続くq個の状態情報の送信タイミングのうち、k-(p-1)q個目の送信タイミングにおいて状態情報(k)を送信する。
【0032】
親局5の第一通信部52は、電力線9を時分割により伝送された状態情報(1)~状態情報(10)を受信し、制御部54に出力する。制御部54は、状態情報(1)~状態情報(10)を監視装置4に出力する。監視装置4の制御部42は、状態情報(1)~状態情報(10)が示す灯火7-1~7-10の状態を表示部43に表示する。
【0033】
親局5の制御部54は、ステップS105~ステップS115の処理を行っている周期の次の周期を開始する前に、監視装置4からの制御指令の有無を判定する(ステップS120)。制御部54は、制御指令を受信したと判定した場合(ステップS120:有)、割り込みを行って制御指令を表す制御信号を送信する(ステップS125)。すなわち、制御部54は、制御指令に含まれる制御対象を示す対象情報を制御信号に設定し、第一通信部52に出力する。例えば、制御対象が灯火7-31である場合、制御部54は、対象情報に、子局6-31の子局番号又は灯火7-31の灯火番号を設定する。第一通信部52は、制御信号を電力線9により送信する。子局6-31の通信部62は、記憶部61に記憶される自局番号又は灯火番号を示す対象情報が設定された制御信号を受信すると、制御部63に出力する。制御部63は、制御信号により指示された制御を灯火7-31に行う(ステップS130)。
【0034】
続いて、親局5の制御部54は、灯火7-31が属するグループ番号4(p=4)を記憶部51のグループ情報から読み出し、読み出したグループ番号4を示す対象情報を設定したアンサー要求を生成する。第一通信部52は、生成されたアンサー要求を電力線9により送信する(ステップS135)。グループ番号4のグループに属する子局6-31~6-40の通信部62は、アンサー要求に設定されている対象情報が、記憶部61に記憶される自局のグループ番号4を示すため、アンサー要求を受信し、制御部63に出力する(ステップS140)。子局6-31~6-40は、アンサー要求を受信すると、上述したステップS115の処理と同様に、アンサー要求に続く10個の状態情報の送信タイミングそれぞれで状態情報(31)~状態情報(40)を返送する(ステップS145)。親局5の第一通信部52は、電力線9を時分割で伝送された状態情報(31)~状態情報(40)を受信し、制御部54に出力する。制御部54は、状態情報(31)~状態情報(40)を監視装置4に出力する。監視装置4の制御部42は、状態情報(31)~状態情報(40)が示す灯火7-31~7-40の状態を表示部43に表示する。
【0035】
なお、制御指令が示す制御対象がグループ番号4の場合、ステップS125において、親局5の制御部54は、制御信号にグループ番号4を示す対象情報を設定し、送信する。ステップS130において、子局6-31~6-40の通信部62は、記憶部61に記憶されるグループ番号4を示す対象情報が設定された制御信号を受信すると、制御部63に出力する。子局6-31~6-40の制御部63はそれぞれ、制御信号により指示された制御を灯火7に行う。ステップS130の処理の後、灯火監視制御システム100は、上記のステップS135~ステップS145の処理を行う。ステップS135において、親局5の制御部54は、グループ番号4を示す対象情報を設定したアンサー要求を生成する。
【0036】
親局5の制御部54は、ステップS120において監視装置4から制御指令を受信していないと判定した場合(ステップS120:無)、又は、ステップS145で送信された状態情報を受信した後、次の周期でステップS150の処理を行う。すなわち、制御部54は、ステップS120の処理の前にスキャン対象としていたグループ番号1の次のグループ番号2(p=2)をスキャン対象とする。制御部54は、グループ番号2を示す対象情報が設定されたアンサー要求を生成し、第一通信部52は、生成されたアンサー要求を電力線9により送信する(ステップS150)。グループ番号2のグループに属する子局6-k(kは11以上20以下の整数)は、上述したステップS110~ステップS115と同様に、アンサー要求を受信し(ステップS155)、灯火7-kの状態と灯火7-1の灯火番号とを示す状態情報(k)を通信部62に出力する(ステップS160)。例えば、子局6-k(kは11以上20以下の整数)は、アンサー要求に続く10(=q)個の状態情報の送信タイミングのうち、k-(p-1)×10個目の送信タイミングにおいて状態情報(k)を送信する。親局5の第一通信部52は、電力線9を時分割で伝送された状態情報(11)~状態情報(20)を受信し、制御部54に出力する。制御部54は、状態情報(11)~状態情報(20)を監視装置4に出力する。監視装置4の制御部42は、状態情報(11)~状態情報(20)が示す灯火7-11~7-20の状態を表示部43に表示する。
【0037】
親局5の制御部54は、ステップS150~ステップS160の処理を行っている周期の次の周期を開始する前に、監視装置4からの制御指令の有無を判定する(ステップS165)。制御部54は、制御指令を受信したと判定した場合(ステップS165:有)、割り込みを行って制御指令を表す制御信号を送信する(ステップS170)。すなわち、制御部54は、制御指令に含まれる制御対象を示す対象情報を制御信号に設定し、第一通信部52に出力する。例えば、制御対象が灯火7-41である場合、制御部54は、対象情報に、子局6-41の子局番号又は灯火7-41の灯火番号を設定する。第一通信部52は、制御信号を電力線9により送信する。子局6-41の通信部62は、記憶部61に記憶される自局番号又は灯火番号を示す対象情報が設定された制御信号を受信すると、制御部63に出力する。制御部63は、制御信号により指示された制御を灯火7-41に行う(ステップS175)。
【0038】
続いて、親局5の制御部54は、灯火7-41が属するグループ番号5(p=5)を記憶部51のグループ情報から読み出し、読み出したグループ番号5を示す対象情報を設定したアンサー要求を生成する。第一通信部52は、生成されたアンサー要求を電力線9により送信する(ステップS180)。グループ番号5のグループに属する子局6-41~6-50の通信部62は、アンサー要求に設定されている対象情報が、記憶部61に記憶される自局のグループ番号4を示すため、アンサー要求を受信し、制御部63に出力する(ステップS185)。子局6-41~6-50は、アンサー要求を受信すると、上述したステップS115の処理と同様に、アンサー要求に続く10個の状態情報の送信タイミングそれぞれで状態情報(41)~状態情報(50)を返送する(ステップS190)。親局5の第一通信部52は、電力線9を時分割で伝送された状態情報(41)~状態情報(50)を受信し、制御部54に出力する。制御部54は、状態情報(41)~状態情報(50)を監視装置4に出力する。監視装置4の制御部42は、状態情報(41)~状態情報(50)が示す灯火7-41~7-50の状態を表示部43に表示する。
【0039】
親局5の制御部54は、ステップS165において監視装置4から制御指令を受信していないと判定した場合(ステップS165:無)、又は、ステップS190で送信された状態情報を受信した後、次の周期でステップS195の処理を行う。すなわち、灯火監視制御システム100は、ステップS165の処理の前にスキャン対象としていたグループ番号2の次のグループ番号3をスキャン対象とし、ステップS105からの処理と同様の処理を行う(ステップS195)。
【0040】
図7に示すように、親局5からのアンサー要求は、グループ1の子局6に伝えられ、親局5は、短時間でグループ1の各子局6からアンサーを受け付けることができる。その後、親局5は、制御指令の有無を確認する。親局5は、制御指令有と判定した場合、制御対象の子局6に対して制御指示及びアンサーバックを行う。親局5は、制御指令がないと判定した場合、次のスキャンに移行し、グループ2の子局6に対してアンサー要求を行う。このようにして、灯火監視制御システム100は、子局6への制御指示と、その制御指示の対象の子局6からのアンサーバックを高速に行うことができる。すなわち、灯火7の制御及び灯火7の状態の受信を高速に行うことができる。
【0041】
なお、上記では、アンサーに灯火番号を設定しているが、親局5の第一通信部52は、アンサーを受信した順序又はタイミングによって、いずれの子局6からのアンサーであるか、すなわち、いずれの灯火7についての状態情報であるかを判定してもよい。すなわち、第一通信部52は、グループ番号qのグループへアンサー要求を送信した場合、r個目(rは1以上q以下の整数)の送信タイミングで送信されたアンサーは、グループ番号pのグループ内においてr番目の子局6からのアンサーと判断する。
【0042】
上記においては、空港の灯火の制御を例に説明したが、これに限らず、電力線搬送通信によって機器の監視や制御を行う任意のシステムに適用可能である。
【0043】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、制御部54を持つことにより、遅延を低減して、電力線搬送を利用した灯火7の監視や制御を行うことができる。
【0044】
上述した実施形態によれば、電力線搬送通信において子局をグループ化することで、子局の応答タイミングを適切に制御し、制御信号の通信速度を高めることができる。また、このグループ化によって、制御信号の対象となった子局に対して優先して監視のための応答を求めることができる。また、グループ単位で一括して制御を行う通信コマンド(例えば、制御信号)を用いることにより、少ない通信容量で子局に制御指令を送ることができる。また、グループ単位で一括して監視を行う通信コマンド(例えば、アンサー要求)を用いることにより、少ない通信容量で子局から監視情報を受信することができる。また、状態の監視の通信に優先して制御指令を割り込ませることで、灯火制御を高速化できる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
1…交流電源、2…電源装置、3…フィルタ、4…監視装置、5…親局、6…子局、7…灯火、8-0~8-N…結合器、9…電力線、10…監視制御装置、41…通信部、42…制御部、43…表示部、44…入力部、51…記憶部、52…第一通信部、53…第二通信部、54…制御部、61…記憶部、62…通信部、63…制御部、100…灯火監視制御システム