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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】ずれ止め金具及び床構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/02 20060101AFI20231218BHJP
   E04C 5/10 20060101ALI20231218BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
E04B5/02 C
E04C5/10
E04B1/58 601E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019137226
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021021217
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110664
【氏名又は名称】ナンカイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】豊島 一也
(72)【発明者】
【氏名】西野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】潮 真之介
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-080906(JP,U)
【文献】特開平05-295827(JP,A)
【文献】特開平04-231536(JP,A)
【文献】特開2000-160749(JP,A)
【文献】実開昭61-176308(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/00-5/48
E04B 1/38-1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床を形成する床パネルの水平方向のずれを防止するためのずれ止め金具であって、
略矩形状の底面と、
前記底面の4辺からそれぞれ略垂直上方に立ち上がる4つの側面と、
によって上面が開口した箱形に形成されており、
前記底面は、
床パネルが設置される横架材に前記ずれ止め金具を固定するためのボルトを挿通可能なボルト孔と、
前記ボルト孔と前記底面の一の辺との間に、当該一の辺に沿って互いに間隔をあけて配置され、前記横架材の一方の縁辺に係合して前記ずれ止め金具の回転を防止するための前記底面から下方に突出した少なくとも2つの略円筒形の突起と、を備えていることを特徴とするずれ止め金具。
【請求項2】
前記底面の4つの角部のうち少なくとも1つの角部に切欠き穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のずれ止め金具。
【請求項3】
1枚の金属板を曲げ加工することで前記箱形に形成していることを特徴とする請求項1または2に記載のずれ止め金具。
【請求項4】
建物の水平方向に横架された横架材と、
前記横架材の上に設置される複数の床パネルと、
少なくとも1つの請求項1から3のいずれか一項に記載のずれ止め金具と、
を有する床構造であって、
前記ずれ止め金具は、4つの前記床パネルの角部が集合する箇所で前記横架材に固定され、
前記4つの床パネルの角部には、そのうちの1つの角部にのみ前記ずれ止め金具を設置するための切欠きが設けられ、
前記床パネルの角部には、前記建物の柱を避けるために柱用切欠きが設けられ、
前記柱用切欠きが4つ隣り合うように前記床パネルが配置され、
前記切欠きの大きさは、前記柱用切欠きと同じ大きさとなるように形成されていることを特徴とする床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の床を床パネルによって形成する際の床パネルの水平方向のずれを防止するためのずれ止め金具及び該ずれ止め金具を備えた床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等の建物の床を形成する際に、軽量気泡コンクリート(ALC)や押出成形セメント板のような平板状のパネル材を床パネルとして用いて、床パネルを複数敷き詰めることによって床を形成することがある。床パネルは、工場生産によって予め所定の形状や寸法に形成されたものが現場に搬送され、現場で床パネルを横架材に取り付けることで床が施工される。このような床パネルによる床の施工は主に鉄骨造の建物で行われ、横架材としては一般的にH形鋼梁が用いられている。各床パネルは、略平行に配設されている2つのH形鋼梁の間に、床パネルの対向する辺の端部がそれぞれH形鋼梁の上に載置されるようにして架設される。そして、帯板状の金属板が略中央部で階段状に折り曲げられて断面略Z字形に形成されたZプレートと呼ばれる取付部材を床パネルの下面に取り付けて、Zプレートと床パネルの下面とでH形鋼梁の上フランジを上下から挟み込んで挟持することで床パネルがH形鋼梁に固定される(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。Zプレートは、ボルト及びナットを用いたねじ締結によって床パネルに取り付けられ、ボルトの締め付けを調節することで、H形鋼梁の上フランジを挟持する強さを調節できるようになっている。このように、床パネルによって床を形成する場合は、床パネルを横架材に載置してZプレートをボルト締結することで簡単に施工できるため、現場でコンクリートの打設を行って床を形成するような場合と比べて、作業者の技量に左右されることが少なく品質を一定に保つことができ、工期も短縮できる等の利点がある。
【0003】
しかしながら、地震等によって床に水平方向に大きな力がかかった場合に、上記のように、各床パネルは、横架材であるH形鋼梁に対して、Zプレートを用いてH形鋼梁の上フランジを上下から挟持するようにして固定されているため、地震等による水平力によって床パネルが水平方向に移動してしまい、床パネルが本来固定されている位置から飛び出して、形成された床の外周部に設けられる壁等を破損させてしまったりする虞がある。そのため、床パネルの水平方向のずれを防ぐために、図14に示すような、ずれ止め金具100が用いられている。
【0004】
ずれ止め金具100は、図14(a)及び図14(b)に示すように、略矩形板状の底面101と、底面101の長辺の一辺から略垂直上方に立ち上がる側面102とを有する断面略L字形の金具で、底面101には、底面101を貫通するボルト孔103が底面101の長手方向に沿って間隔を空けた2か所に設けられている。ずれ止め金具100は、図14(c)に示すように、底面101をH形鋼梁の上フランジの上に当接させるようにして、ずれ止め金具100の底面101の2つのボルト孔103と、2つのボルト孔103に対応するように設けられているH形鋼梁の上フランジのボルト孔とを介して、ボルト及びナットによって2か所でH形鋼梁に留め付けられる。ずれ止め金具100は2か所でH形鋼梁に固定されていることで、力を受けても回転することなく抗力を発揮することができるようになっている。このようなずれ止め金具100を、図15に示すように、H形鋼梁の上に載置された床パネルの側面に側面102を当接させるようにして設置することによって、同図中の矢印で示すような側面102に略垂直な方向へ床パネルの動きを抑制することができる。そのため、所定の数のずれ止め金具100を、床パネルによって形成された床の主に外周部に均等に配置するようにすることで、床パネルにかかる水平力の一部をずれ止め金具100が負担し、床パネルが外側に飛び出すことが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-120635号公報
【文献】実開平5-78733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなずれ止め金具100は、1つのずれ止め金具100によって負担できる水平力や、地震等の際に想定する床に発生する水平力等を考慮しながら、必要な設置数が計算される。床に発生する水平力は床面積に比例するので、例えば、1つのずれ止め金具100を設置することで対応できる床面積を単位面積として決定すると、床面積を該単位面積で割って余りを切り上げた数のずれ止め金具100を設置すればよいということになる。しかしながら、ずれ止め金具100は断面略L字形のため、図15に示すように、側面102に当接する床パネルに対して、側面102に略垂直な同図中の矢印方向の1方向には抗力を発揮して動きを抑制することができるが、その他の方向についての床パネルの動きを抑制することは出来ない。そのため、例えば、形成された床が矩形状の場合、床は4辺あり、上記で床面積に対して算出されたずれ止め金具100の必要数は1方向に対しての数であるため、床の外周部の4辺それぞれに対して、算出されたずれ止め金具100の必要数を設置することになるため、多くのずれ止め金具100を用いる必要があった。
【0007】
また、床パネルの重量が重いような場合には、地震等によって発生する水平力が大きくなるため、ずれ止め金具100の必要数は増加する。また、高い耐震等級が求められるような場合にも、より大きな水平力に対抗する必要があるため、ずれ止め金具100の必要数は増加する。また、床の遮音性を高めるために床パネルとH形鋼梁の間に設置する防振材に柔軟な素材を採用し、防振材の効果を損なわせないためにZプレートによる床パネルとH形鋼梁との固定力をやや弱めるような場合には、床パネルは水平力によって動きやすくなっているので、ずれ止め金具100の必要数は増加する。このように、建物の仕様等によって、さらに多くのずれ止め金具100の設置が必要となる場合がある。
【0008】
ずれ止め金具100の必要数が増えることによって、床の外周部だけでは必要数のずれ止め金具100を設置しきれない場合があり、その場合には床の内部に設置することになる。床の外周部は、床パネルが外周部で途切れるため、図15に示すように、そのままずれ止め金具100を設置することができることが多いが、床の内部は、床パネルが敷き詰められているため、そのままではずれ止め金具100を設置できない。そのため、図16に示すように、隣接する2つの床パネルの角部をそれぞれ切り欠くことによって1つのずれ止め金具100を設置することになる。このようにずれ止め金具100を床の内部に設置する場合でも、ずれ止め金具100は、図16の矢印で示すような1方向にしか動きを抑制できない。そのため、例えば床が正方形の場合、1方向に対して床の内側に設置する必要が生じたずれ止め金具100の数の分、基本的に他の3方向に対しても同様に床の内側に設置する必要が生じる上、さらに、それらの床の内側に設置されるずれ止め金具100の数の2倍の床パネルに切欠きを設ける必要が生じる。また、建物の仕様等によっては、床の隣にすぐ壁等が設けられる場合があり、そのような場合には、床の外周部であっても、ずれ止め金具100を設置する箇所に、図16のように床パネルに切欠きを設ける必要がある。
【0009】
床パネルが押出成形セメント板のような硬いパネル材の場合、床パネルを現場で切り欠くことはかなりの手間となることから、工場で予め切り欠いておくことが必要となる。しかし、上記のように、ずれ止め金具100の必要数自体も多い上に、1つのずれ止め金具100を設置するために2つの床パネルに対して切欠きが設けられることから、非常に多くの床パネルを切り欠く必要があるので、工場における切欠きを設ける工程も余分にかかる上に、切欠きが設けられた床パネルと設けられていない床パネルとで床パネルの種類も増えるので、床パネルの発注ミスや施工ミスが起こりうる原因となっていた。また、床パネルがALCの場合には、現場で切り欠くこともできるが、現場での施工の手間もかかり、また、切削粉の飛散等が問題になる場合も多かった。
【0010】
以上のように、従来の断面略L字形のずれ止め金具100を用いた場合には、設置する必要数が多く、また、回転を防止するためにそれぞれ2か所でボルト及びナットでH形鋼梁に固定するため、部材費もかさみ、施工負担も多かった。さらに、ずれ止め金具100を設置するために設けられる床パネルの切欠き数も多く、コストアップや施工ミスの原因となっていた。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、従来の断面略L字形のずれ止め金具よりも大幅に設置数及び床パネルの切欠き数を削減することができ、さらに施工も簡単なずれ止め金具及び床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係るずれ止め金具は、建物の床を形成する床パネルの水平方向のずれを防止するためのずれ止め金具であって、略矩形状の底面と、前記底面の4辺からそれぞれ略垂直上方に立ち上がる4つの側面と、によって上面が開口した箱形に形成されており、前記底面は、床パネルが設置される横架材に前記ずれ止め金具を固定するためのボルトを挿通可能なボルト孔と、前記ボルト孔と前記底面の一の辺との間に、当該一の辺に沿って互いに間隔をあけて配置され、前記横架材の一方の縁辺に係合して前記ずれ止め金具の回転を防止するための前記底面から下方に突出した少なくとも2つの略円筒形の突起と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、本発明に係るずれ止め金具は、前記底面の4つの角部のうち少なくとも1つの角部に切欠き穴が設けられていることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明に係るずれ止め金具は、1枚の金属板を曲げ加工することで前記箱形に形成していることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る床構造は、建物の水平方向に横架された横架材と、前記横架材の上に設置される複数の床パネルと、少なくとも1つの請求項1から3のいずれか一項に記載のずれ止め金具と、を有する床構造であって、前記ずれ止め金具は、4つの前記床パネルの角部が集合する箇所で前記横架材に固定され、前記4つの床パネルの角部には、そのうちの1つの角部にのみ前記ずれ止め金具を設置するための切欠きが設けられ、前記床パネルの角部には、前記建物の柱を避けるために柱用切欠きが設けられ、前記柱用切欠きが4つ隣り合うように前記床パネルが配置され、前記切欠きの大きさは、前記柱用切欠きと同じ大きさとなるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るずれ止め金具によると、略矩形状の底面と、前記底面の4辺からそれぞれ略垂直上方に立ち上がる4つの側面と、によって上面が開口した箱形に形成されているため、4つの側面によって、4方向に床パネルの水平方向への動きを抑制することができる。そのため、従来の1方向にしか床パネルの水平方向への動きを抑制することができない断面略L字形のずれ止め金具と比べて、大幅にずれ止め金具の設置数を減らすことができる。また、前記底面は、床パネルが設置される横架材に前記ずれ止め金具を固定するためのボルトを挿通可能なボルト孔と、前記横架材に係合して前記ずれ止め金具の回転を防止するための前記底面の下方に突出する少なくとも2つの突起と、を備えるため、底面の2つの突起を横架材に係合させるようにして、底面のボルト孔を介してボルト及びナットによって横架材に締結することで、ずれ止め金具が横架材に固定されて、ずれ止め金具の側面に床パネルによって水平方向の力が加えられた場合でもずれ止め金具の回転が防止される。従って、ずれ止め金具の横架材への施工は、1組のボルト及びナットの締結を行うだけでよいため、施工が簡単でコストも削減できる。
【0018】
好ましくは、本発明に係るずれ止め金具は、前記底面の4つの角部のうち少なくとも1つの角部に切欠き穴が設けられていることを特徴とするため、施工時に雨が降っている場合等でも、ずれ止め金具の内部の水が切欠き穴を介して外部に排出されるため、ずれ止め金具内に水が溜まることなく、水の排出作業等を行う必要がない。
【0019】
好ましくは、本発明に係るずれ止め金具は、1枚の金属板を曲げ加工することで前記箱形に形成していることを特徴とするため、溶接加工によってずれ止め金具を形成した場合と比べて、溶接の際の熱による部材の歪み、溶接割れ、飛散したスパッタ等の影響を考慮しなくてよいので、作業者の技術に左右されることが少なく、品質を一定に保つことができ、また、製造工程も少なくできて製造コストも下げることができる。
【0020】
本発明に係る床構造は、建物の水平方向に横架された横架材と、前記横架材の上に設置される複数の床パネルと、少なくとも1つの本発明に係るずれ止め金具と、を有する床構造であって、前記ずれ止め金具は、4つの前記床パネルの角部が集合する箇所で前記横架材に固定され、前記4つの床パネルの角部には、そのうちの1つの角部にのみ前記ずれ止め金具を設置するための切欠きが設けられていることを特徴とするため、1つのずれ止め金具を設置するために、床パネルには1つの切欠きを設けるだけでよく、従来よりも床パネルの加工数を減らすことができる。また、ずれ止め金具は、4つの床パネルの角部が集合する箇所の1つの角部に設けられた切欠きに配置され、地震等によって水平力が発生した場合でも、床パネルの水平方向の動きが、床パネルがずれ止め金具に当接することによって抑制される。ずれ止め金具は箱形で4つの側面を有するので、4方向に対して床パネルのずれ止め効果を奏することができ、従来よりもずれ止め金具の数を少なくすることができる。
【0021】
好ましくは、本発明に係る床構造は、前記切欠きが、前記建物の柱を避けるために前記床パネルに設けられた柱用切欠きと同じ大きさに形成されていることを特徴とするため、既製の柱用切欠きが設けられた床パネルを、ずれ止め金具を設置するための切欠きが設けられた床パネルとして兼用させることができるので、コストの削減、また発注ミスや施工ミスの低減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るずれ止め金具の斜視図。
図2図1のずれ止め金具を下方向から見た斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係るずれ止め金具の展開図。
図4】本発明の一実施形態に係るずれ止め金具の平面図。
図5】本発明の一実施形態に係る床構造の一部抜粋斜視図。
図6】本発明の一実施形態に係る床構造の一部抜粋平面図。
図7図6におけるX-X矢視方向の断面正面図。
図8】本発明の一実施形態に係る床構造で床パネルが横架材に取り付けられる様子を示す分解斜視図。
図9図8の床パネルのY矢視方向における床パネルが横架材に取り付けられた後の断面正面図。
図10】本発明の一実施形態に係る床構造でずれ止め金具が横架材に取り付けられる様子を示す斜視図。(a)は取付前の様子を示す図。(b)は取付後の様子を示す図。
図11】本発明の一実施形態に係る床構造でずれ止め金具が横架材へ取り付けられる様子を下方向から見た斜視図。(a)は取付前の様子を示す図。(b)は取付後の様子を示す図。
図12】床の内部に設けられた柱の周りに柱用切欠きを有する床パネルが配置される様子を示す平面図。
図13】本発明の一実施形態に係る床構造で複数のずれ止め金具が配置される様子を示す平面図。
図14】従来のずれ止め金具の説明図。(a)は斜視図。(b)は側面図。(c)はずれ止め金具がH形鋼梁に取り付けられる様子を示す斜視図。
図15】従来のずれ止め金具を床の外周部に施工した様子を示す斜視図。
図16】従来のずれ止め金具を床の内部に施工した様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係るずれ止め金具及び床構造の一実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下はあくまで本発明の一実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲は以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0024】
本実施形態に係るずれ止め金具10は、横架材の上に複数の床パネルを敷き詰めて形成される床において、床パネルの水平方向のずれを防止するために用いられる金具であり、図1及び図2に示すように、略矩形状の底面11と、底面11の4辺からそれぞれ略垂直上方に立ち上がる4つの側面12とを備え、上面が開口した箱形に形成されている。底面11には、底面11を貫通するボルト孔13と、底面11から下方に突出する2つの突起14が設けられている。
【0025】
本実施形態では、ずれ止め金具10は、1枚の金属板から形成されている。1枚の金属板を、図3に示すような形状に切削加工して、底面11となる部分にボルト孔13の穴あけ加工を行い、底面11を貫通させないようにプレス加工によって突起14を形成する。そして、その金属板の図3の破線部分で示された曲げ部を矢印方向に曲げ加工することによって、図4に示すような箱形のずれ止め金具10が形成される。このように、本実施形態に係るずれ止め金具10は、曲げ加工によって箱形に形成されており、溶接加工は行っていないため、複数の部材を溶接加工によって箱形に形成するような場合と比べて、溶接の際の熱による部材の歪み、溶接割れ、飛散したスパッタ等の影響を考慮しなくてよいので、作業者の技術に左右されることが少なく、品質を一定に保つことができ、また、製造工程も少なくできて製造コストも下げることができると考えられる。
【0026】
図2及び図4には、底面11の4つの角部にそれぞれ切欠き穴15が設けられている様子が示されているが、これは、図3に示すように、底面11と側面12との間の曲げ部や側面12の曲げ部における付け根の部分の曲げ加工による変形を防ぐために設けられているものである。このように、底面11の4つの角部の切欠き穴15は、曲げ加工のために設けられているものであるが、この切欠き穴15は、ずれ止め金具10の内部から外部へ水を排出する手段としても有用である。例えば、施工時に雨が降った場合等に、ずれ止め金具10は上部が開口した箱形に形成されているため、内部に水が溜まってしまうようなことが考えられるが、切欠き穴15が設けられていることによって、切欠き穴15を介して内部の水が外部に排出されるため、内部に溜まった水の排出作業等を行う必要が無い。
【0027】
また、図1及び図4には、底面11の4辺から略垂直上方に立ち上がる側面12のうち、1組の対向する側面12が2重に重なっている様子が示されているが、これも曲げ加工によって箱形に形成しているためである。底面11の対向する辺に設けられている側面12を形成するための2つの断面略コ字形に形成された部分が、互いの断面略コ字形の開口側を向かい合わせにして曲げられて、一方を他方に嵌合させるような形になっているので、2つの断面略コ字形の部分の側面部分が2重に重なることになる。ずれ止め金具10は、側面12にそれぞれ外側から内側に向かう方向に床パネルからの力を受けることになるが、これらの力を受けた場合でも、一方の断面略コ字形の部分の側面部分の先端部が他方の断面略コ字形の部分の底面部分に当接することで、箱形が保たれる。そのため、本実施形態のように1枚の金属板を曲げ加工することによって箱形に形成している場合でも、ずれ止め金具10は側面12に加えられる外力に対して抗力を発揮することができる。
【0028】
本実施形態では、上記のように溶接加工を行うことなく1枚の金属板を曲げ加工によってずれ止め金具10を形成したが、溶接加工や他の手段によってずれ止め金具10を形成してもよい。例えば、略矩形板状の底面と、略矩形板状の4枚の側面とをそれぞれ溶接して箱形に形成するようにしてもよいし、略十字形の展開図となる金属板を曲げ加工によって箱形にして隣接する側面をそれぞれ溶接するようにしてもよい。また、突起14についても、別部材として溶接加工やネジ加工等によって底面11に取り付けるようにしてもよい。このように、溶接加工によってずれ止め金具10を形成するような場合には、本実施形態のように1組の対向する側面12を2重に重ねる必要はなく、各側面12は1重でよい。ずれ止め金具10が箱形に形成されて、4面ある側面12がそれぞれにかかる外力に耐えられるようになっていればよい。また、降雨時等にずれ止め金具10の内部に溜まった水を排出できるように、底面11の角部のうち少なくとも1か所に切欠き穴15に相当するような穴を設けておいてもよい。
【0029】
次に、本実施形態に係る床構造1について説明する。図5及び図6に示すように、床構造1は、建物の水平方向に横架されるH形鋼梁30と、H形鋼梁30の上に設置される複数の床パネル40と、ずれ止め金具10と、を有する。ずれ止め金具10は、4つの床パネル40の角部が集合する箇所でH形鋼梁30に固定され、その集合した4つの床パネル40の角部のうちの1つの角部にのみ、ずれ止め金具10を設置するための切欠き41が設けられている。ずれ止め金具10の4つの側面12によって、図5の矢印で示すような4方向に対して床パネル40の水平方向の動きが抑制される。
【0030】
H形鋼梁30は、鉄骨造の建物における横架材として一般的に用いられているものであり、互いに平行な一対の上フランジ31及び下フランジ32と、上フランジ31及び下フランジ32の中央部を接続するウェブ33とによって断面略H字形を形成する長手状の金属部材で、その断面略H字形を90度回転させて上フランジ31が上側に配置されるようにして水平方向に延びるように設置されている。H形鋼梁30には、柱、梁、ブレース、継手等の他の部材をH形鋼梁30に接続するためのボルトを挿通可能な複数のボルト孔34が予め所定の位置や間隔で設けられている。本実施形態では、図6及び図8に示すように、H形鋼梁30の上フランジ31に、中央部のウェブ33が面対称の対称面となるようにして、左右にそれぞれ上フランジ31の長手方向に沿って等間隔に4つのボルト孔34が設けられており、さらにその左右4つずつのボルト孔34が上フランジ31の長手方向に一定の間隔毎に設けられている。その一定の間隔というのは、左右4つずつのボルト孔34とその隣の左右4つずつのボルト孔34との対応するボルト孔34間の距離が、床パネル40の短辺の距離と略等しくなるような間隔となっており、H形鋼梁30に設置された各床パネル40の角部の位置に同様にボルト孔34が現れるようになっている。
【0031】
床パネル40は、略矩形平板状のパネル材で、予め工場で所定の形状や寸法に成形されている。床パネル40に用いられるパネル材としては、軽量気泡コンクリート(ALC)や押出成形セメント板等、いくつか種類が考えられるが、本実施形態では押出成形セメント板を床パネル40として用いた例を示している。押出成形セメント板は、セメント等の原料を中空を有する板状に押出成形してオートクレーブ養生したパネル材であり、図8に示すように、床パネル40は、内部を長辺方向に略平行に貫通する複数の中空部42を有し、各中空部42は床パネル40の短辺側の2つの側面にそれぞれ開口している。中空部42には、床の遮音性を向上させる等の目的で、例えば砂状の無機材等の吸音性のある充填材43を充填するようにしてもよい。
【0032】
各床パネル40は、図6に示すように、床パネル40の短辺側の両側の端部がそれぞれH形鋼梁30の上フランジ31の上に載置されるようにして、互いに略平行に並設されている2つのH形鋼梁30の間に架設される。そして、床パネル40は、Zプレート51によってそれぞれH形鋼梁30に固定される。図8に示すように、Zプレート51は、帯板状の金属板が中間部で階段状に折り曲げられるようにして断面略Z字形に形成された部材で、中間部の折曲部よりも一方側の上板部には、Zプレート51を床パネル40に取り付けるためのZプレート固定ボルト52を挿通可能なボルト孔が設けられており、中間部の折曲部よりも他方側の下板部は、上板部よりも一段下がったようになっている。床パネル40の下面には、床パネル40の下面から中空部42まで貫通するZプレート固定ボルト52を挿通可能なボルト孔が設けられており、該ボルト孔が設けられた中空部42には、Zプレート固定ナット53が取り付けられている。Zプレート固定ナット53は、Zプレート固定ボルト52と螺合するナット部と、ナット部を中空部42の内部へ案内して固定するための湾曲した帯板状のガイド部とを有する。Zプレート固定ナット53のガイド部の湾曲の凸側を先にして中空部42の開口部から挿入すると、ガイド部の湾曲が中空部42の内壁によって内側に曲げられて、ガイド部の湾曲の復元力によってガイド部が中空部42内で突っ張るようにして、Zプレート固定ナット53は中空部42内の任意の位置で係止できるようになっている。Zプレート固定ナット53は、ボルト孔が設けられた中空部42の内部で、該ボルト孔とナット部のネジ穴との位置を合わせるようにして固定されており、Zプレート51の上板部を床パネル40の下面に当接させるようにして、Zプレート固定ボルト52を、Zプレート51の上板部のボルト孔及び床パネル40のボルト孔に挿通させて、中空部42の内部に固定されたZプレート固定ナット53に螺合させることによって、Zプレート51が床パネル40に取り付けられる。この時、図9に示すように、Zプレート固定ボルト52を締め付けることで、Zプレート51の下板部がH形鋼梁30の上フランジ31の下面に当接するようになっており、上フランジ31の上に載置された床パネル40の端部と、Zプレート51の下板部とによって、上フランジ31を上下から挟み込んで挟持することで、床パネル40がH形鋼梁30に固定される。
【0033】
床パネル40の端部を上フランジ31の上に載置する際には、図9に示すように、必要に応じて防振材55を上フランジ31の床パネル40が載置される箇所に取り付けるようにしてもよい。防振材55は、床パネル40に生じた振動や衝撃等を緩和させることができる部材で、床の防音性を高める目的等で用いられる。防振材55としては、例えば、シロマー(登録商標)のようなポリウレタン製のものが好適に用いられる。防振材55は、予め工場でH形鋼梁30の床パネル40が載置される位置に取り付けておくことが可能であり、また、床パネル40にも、予め工場で中空部42にZプレート固定ナット53や充填材43を取り付けておくようにすると、現場ではH形鋼梁30の上に床パネル40を載置して、Zプレート51をZプレート固定ボルト52で締結するだけで簡単に施工できる。
【0034】
ずれ止め金具10は、図10及び図11に示すように、H形鋼梁30の上フランジ31に取り付けられる。ずれ止め金具10の底面11を下にして上フランジ31の上に載置し、底面11のボルト孔13及び上フランジ31のボルト孔34にボルト21を挿通させて、ボルト21をナット22に締結することでずれ止め金具10がH形鋼梁30に取り付けられる。ずれ止め金具10がH形鋼梁30に取り付けられた際、4つの側面12は、それぞれH形鋼梁30の長手方向に略平行または略垂直となるようになっている。ずれ止め金具10の底面11には下方に突出する2つの略円筒形の突起14が間隔を空けて設けられているが、平面視におけるボルト孔13の中心から2つの突起14の円のボルト孔13側の共通接線までの距離は、H形鋼梁30の上フランジ31のボルト孔34の中心から該ボルト孔34に近い方の上フランジ31の縁辺までの距離と略等しくなっており、図11に示すように、ずれ止め金具10が上フランジ31に取り付けられた際に、2つの突起14がそれぞれ上フランジ31の縁辺に引っ掛かるようになっている。そのため、ずれ止め金具10は、ボルト21及びナット22によって1か所でH形鋼梁30に固定するだけで、ずれ止め金具10に回転する力が加えられたような場合でも、2つの突起14が上フランジ31の縁辺に係合していることによって回転が防止される。このようにずれ止め金具10は、2つの突起14を上フランジ31の縁辺に係合させるようにして、1組のボルト21及びナット22によって上フランジ31に締結されることから、従来の2組のボルト及びナットを用いる必要のあったずれ止め金具100と比べて、1組のボルト21及びナット22を締結するだけで簡単に施工できて、また、2つの突起14のために施工の配置間違いも防止することができる。
【0035】
図5及び図6に示すように、各床パネル40は、短辺がH形鋼梁30の長手方向に略平行で、長辺がH形鋼梁30の長手方向に略垂直になるようにして、略平行な2つのH形鋼梁30の間に架設され、各床パネル40の角部はH形鋼梁30上に位置するようになっている。そして、ずれ止め金具10は、H形鋼梁30上の4つの床パネル40の角部が集合する箇所に設置される。そのため、ずれ止め金具10が設置される箇所の床パネル40には、ずれ止め金具10のための切欠きが設けられている必要があるが、ずれ止め金具10が配置される箇所における4つの床パネル40の角部には、そのうちの1つの角部にのみずれ止め金具10を配置するための切欠き41が設けられている。切欠き41は平面視略矩形状の切欠きで、切欠き41に配置されたずれ止め金具10の4つの側面12は、それぞれ切欠き41の2つの側面と、切欠き41を有する床パネル40に隣り合う2つの床パネル40の側面とにそれぞれ略当接するようになっている。ずれ止め金具10はH形鋼梁30に回転しないように固定されているため、ずれ止め金具10の4つの側面12に略当接する床パネル40によって水平方向の力が加えられたとしても各側面12が抗力を発揮することができる。そのため、1つのずれ止め金具10によって、図5の矢印で示すような4方向に対して、床パネル40の水平方向の動きを抑制することができる。
【0036】
ずれ止め金具10の大きさや形状については、ずれ止め金具10の必要数が多くなるような場合には、1つのずれ止め金具10によって負担できる水平力を大きくする等、適宜設計してもよい。その場合には、床パネル40に設ける切欠き41についてもずれ止め金具10の大きさに合わせて切り欠くようにすればよい。ただ、図12に示すように、建物の仕様等によって、床パネル40によって形成される床の内部に柱60が設けられる場合がある。柱60はH形鋼梁30の上フランジ31の上に立設されて、柱60に臨む4つの床パネル40の角部には、それぞれ柱60を避けるための柱用切欠き45または柱用切欠き46が設けられる。隣り合う柱用切欠き45を有する床パネル40と柱用切欠き46を有する床パネル40とは鏡像関係のようになっており、2つの柱用切欠き45と2つの柱用切欠き46とによって略正方形の切欠きが形成されるようになっている。柱60が設置される場合には、必ず柱用切欠き45及び柱用切欠き46が設けられた床パネル40が製造されることになるため、ずれ止め金具10の大きさをこの柱用切欠き45または柱用切欠き46に合わせるようにすると、既製の柱用切欠き45または柱用切欠き46を有する床パネル40を流用できるので、新たにずれ止め金具10のために床パネル40に切欠き41を設ける必要がなく、コスト削減や発注ミスの低減等につながるため好ましい。本実施形態では、切欠き41が柱用切欠き45と略同一の場合を示している。また、ずれ止め金具10の側面12の高さについては、床パネル40やずれ止め金具10が施工された後、敷き詰めた床パネル40の上にパーティクルボードや床仕上げ材等が施工されるため、図7に示すように、床パネル40の高さを超えないようになっていればよい。
【0037】
ずれ止め金具10は、1つのずれ止め金具10によって負担できる水平力や、地震等の際に想定する床に発生する水平力等を考慮しながら、必要な設置数が計算される。床パネル40によって形成される床の床面積に比例して、ずれ止め金具10の必要数も変化する。従来の1方向にしか床パネル40の水平方向の動きを抑制することができない断面略L字形のずれ止め金具100を用いた場合には、床面積に対して必要と算出された数のずれ止め金具100を、矩形状の床の場合、床の4辺に対してそれぞれ設置する必要があったため、床面積に対する必要数の4倍の数のずれ止め金具100が必要であったが、本実施形態に係るずれ止め金具10は、箱形に形成されており、側面12が4方向に対して床パネル40の水平方向の動きを抑制することができるため、ずれ止め金具10を1つ設置するだけで床の4辺に対してずれ止め効果を発揮することができ、床面積に対して必要と算出された数のずれ止め金具10を設置するだけでよく、4倍する必要がないため、ずれ止め金具10を用いることで、従来のずれ止め金具100よりも、大幅に設置数を減らすことができる。さらに、ずれ止め金具10は、4つの床パネル40の角部が集合する箇所に配置されて、その4つの床パネル40の角部のうちの1つの角部にだけずれ止め金具10を設置するための切欠き41を設ければよく、従来のずれ止め金具100の場合には、1つのずれ止め金具100を設置するために2つの床パネル40に切欠きを設ける必要があるのと比べると、切欠き41を設ける必要のある床パネル40の数も大幅に減らすことができる。従って、用いられるずれ止め金具10やボルト21及びボルト22の数が少ないため、部材費を削減することができるとともに施工も簡単で、床パネル40の切欠き41の数も少ないため、切欠き41を設けるための工程を削減できて、発注ミスや施工ミス等を減らすことが出来る。
【0038】
算出された必要数のずれ止め金具10は、図13に示すように、床パネル40によって形成された床の外周部付近の4つの床パネルの角部が集合する箇所にまんべんなく配置されるようにする。ずれ止め金具10のための切欠き41が設けられる床パネル40に、2つ以上の切欠きが設けられないようにして、切欠き41を柱60のための柱用切欠き45または柱用切欠き46と同様の切欠きとすると、床を形成するための床パネル40の種類を少なくすることができるので、コストを削減できて施工ミス等も少なくすることができる。ずれ止め金具10は、従来のずれ止め金具100のように形成された床の最外周部に配置されることはないため、建物の仕様によって床の隣にすぐ壁等が設けられる場合でも、その仕様に関係なく設置することができる。
【0039】
本発明に係る床構造1は、特に、床パネル40に、押出成形セメント板のような重いパネル材を用いる場合に効果的である。押出成形セメント板は、ALC等と比べると重量が重いものの、中空部を有するので遮音性に優れ、例えば集合住宅の2階以上の床等、遮音性が重視されるような床を形成する場合に用いられる。床パネル40の重量が重くなると、その分、地震等の際に発生する水平力も大きくなるため、従来のずれ止め金具100を用いた床構造では、非常に多くのずれ止め金具100が必要で、床パネル40にも多くの切欠きを設ける必要があり、コストも高く、施工も大変であったが、本実施形態に係る床構造1のずれ止め金具10は、箱形で4方向にずれ止め効果を奏することができるので、従来よりも大幅に必要数が少なく、床パネル40の切欠き41も少なくて済むので、施工も簡単でコストも削減できる。
【符号の説明】
【0040】
1 床構造
10 ずれ止め金具
11 底面
12 側面
13 ボルト孔
14 突起
15 切欠き穴
21 ボルト
22 ナット
30 H形鋼梁(横架材)
31 上フランジ
32 下フランジ
33 ウェブ
34 ボルト孔
40 床パネル
41 切欠き
42 中空部
43 充填材
45 柱用切欠き
46 柱用切欠き
51 Zプレート
52 Zプレート固定ボルト
53 Zプレート固定ナット
55 防振材
60 柱
100 (従来の)ずれ止め金具
101 底面
102 側面
103 ボルト孔
図1
図2
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