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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】警報システム及び車載監視手段
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20231218BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20231218BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G08B25/10 E
G08B17/00 C
G08B21/00 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019138476
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021022183
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-023796(JP,A)
【文献】特開2015-022352(JP,A)
【文献】特開2009-282910(JP,A)
【文献】特開2003-256954(JP,A)
【文献】特開2007-087136(JP,A)
【文献】特開2009-212730(JP,A)
【文献】特表2013-501268(JP,A)
【文献】特開2015-069304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を含む所定の監視領域に設置された複数の監視手段により連動グループを形成し、所定の異常を監視して警報する警報システムに於いて、
前記複数の監視手段の少なくとも1台は、前記連動グループの他の監視手段と通信可能な前記建物の駐車場所に駐車する車両に搭載される車載監視手段であり、
前記車載監視手段は、前記車両の使用を開始したときにグループ離脱信号を送信し、前記車両の使用を停止したときにグループ復帰信号を送信し、
前記連動グループの他の監視手段は、前記車載監視手段から前記グループ離脱信号を受信したときに前記車載監視手段を前記連動グループから除外し、前記車載監視手段から前記グループ復帰信号を受信したときに前記車載監視手段を前記連動グループに復帰させることを特徴とする警報システム。
【請求項2】
請求項1記載の警報システムに於いて、
前記車載監視手段は、
前記グループ離脱信号の送信に先立ちグループ確認信号を送信し、前記他の監視手段の何れかから確認応答信号を受信した場合に前記グループ離脱信号を送信し、
前記グループ復帰信号の送信に先立ち前記グループ確認信号を送信し、前記他の監視手段の何れかから確認応答信号が受信された場合に前記グループ復帰信号を送信することを特徴とする警報システム。
【請求項3】
請求項1記載の警報システムに於いて、
前記車載監視手段は、
前記車両の使用開始として、前記車両のエンジン始動、手動ブレーキの解除を含む所定の使用開始操作を検出し、
前記車両の使用停止として、前記車両のエンジン停止、前記手動ブレーキの作動を含む所定の使用停止操作を検出することを特徴とする警報システム。
【請求項4】
請求項1記載の警報システムに於いて、
前記車載監視手段は、前記車両搭載の電熱タバコ着火装置に対する車両電源の供給と遮断により前記車両の使用開始と前記停止を検出するセンサユニットを備えたことを特徴とする警報システム。
【請求項5】
請求項4記載の警報システムに於いて、
前記センサユニットは、前記電熱タバコ着火装置のシガ―ソケットに着脱自在に装着され、前記車両電源の供給により動作して前記車載監視手段に使用開始信号を無線送信するものであり、
前記車載監視手段は、前記センサユニットから前記使用開始信号を受信したときに前記グループ離脱信号を送信し、前記センサユニットからの前記使用開始信号の受信が継続して停止したときに前記グループ復帰信号を送信することを特徴とする警報システム。
【請求項6】
請求項1記載の警報システムに於いて、
前記車載監視手段を含む前記複数の監視手段は、定期的にテスト信号を相互に送受信して通信テストを行い、前記テスト信号を送受信できない少なくとも1台の監視手段が存在した場合に通信エラーを検出して報知し、
前記車載監視手段を除く他の監視手段は、前記車載監視手段から前記グループ離脱信号を受信したときに、前記車載監視手段を前記通信テストの対象から除外し、前記グループ復帰信号を受信したときに、前記車載監視手段を前記通信テストの対象に含めることを特徴とする警報システム。
【請求項7】
請求項1記載の警報システムに於いて、
前記車載監視手段を含む前記複数の監視手段は火災連動信号を含む所定の連動信号を送信したとき、前記連動グループを形成する他の監視手段の全てから連動応答信号を受信しない場合に前記連動信号を再送信しており、
前記車載監視手段を除く他の監視手段は、前記車載監視手段から前記グループ離脱信号を受信したときに、前記車載監視手段を前記連動信号の再送信を行う対象から除外し、前記車載監視手段から前記グループ復帰信号を受信したときに、前記車載監視手段を前記連動信号の再送信を行う対象に含めることを特徴とする警報システム。
【請求項8】
建物を含む所定の監視領域に設置された複数の監視手段により形成される連動グループに属し、車両に設置されて所定の異常を監視する車載監視手段に於いて、
前記車両の使用を開始したときに前記連動グループに属する他の監視手段にグループ離脱信号を送信して前記連動グループから除外させ、前記車両の使用を停止したときに前記連動グループに属する他の監視手段にグループ復帰信号を送信して前記連動グループに復帰させるグループ離脱復帰制御部が設けられたことを特徴とする車載監視手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線連動型の警報器により連動グループを形成し、警報器で火災を検出して警報した場合に他の警報器に火災連動信号を送信して警報させる警報システム及び車載監視手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災を検出して警報する住宅用火災報器が普及している。住宅用火災警報器は、警報器内にセンサ部と警報部を一体に備え、火災を検出すると火災警報を出すようにしており、警報器単体で火災監視と警報ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0003】
また、火災警報器を無線式として複数の火災警報器により連動グループを形成し、任意の火災警報器が火災を検出すると連動元を示す警報を出力して火災連動信号を送信し、他の火災警報器からも連動先を示す警報を出力するようにした連動型の警報システムも実用化され、普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-113114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の連動型警報システムにあっては、住宅の敷地内に車庫が建てられている場合には、火災警報器を車庫に設置して住宅内の火災警報器と連動グループを形成することで、車庫の火災も監視することができる。
【0006】
しかしながら、火災警報器は屋内設置を前提としていることから防水構造をもっておらず、雨水に晒される敷地内の空スペースや屋根付き駐車スペースに駐車している車両の火災を監視することができない。
【0007】
このため火災警報器を屋外に駐車している車両に搭載し、住宅内に設置している火災警報器との間で連動グループを形成することで、駐車している車両の火災を監視することができる。
【0008】
しかしながら、車両に火災警報器を搭載した場合、1mW以下の省電力無線局として動作する連動グループを形成する火災警報器の通信可能距離は100メートル以下であり、車両が駐車場所から出ていくと住宅に設置している他の火災警報器との通信が不能となり、連動グループが形成されなくなることでシステム障害となる。
【0009】
例えば、連動型警報システムの火災警報器は定期的に通信テストを行っており、車両に搭載した火災警報器との通信が断たれることで通信エラーとなり、車両が戻ってくるまで通信エラーとなるシステム障害が解消されないという問題がある。
【0010】
本発明は、システム障害を起こすことなく、住宅と敷地内に駐車している車両を連動グループに含めて火災等の異常を適切に監視可能とする警報システム及び車載監視手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(警報システム)
本発明は、建物を含む所定の監視領域に設置された複数の監視手段により連動グループを形成し、所定の異常を監視して警報する警報システムに於いて、
複数の監視手段の少なくとも1台は、連動グループの他の監視手段と通信可能な建物の駐車場所に駐車する車両に搭載される車載監視手段であり、
車載監視手段は、車両の使用を開始したときにグループ離脱信号を送信し、車両の使用を停止したときにグループ復帰信号を送信し、
連動グループの他の監視手段は、車載監視手段からグループ離脱信号を受信したときに車載監視手段を連動グループから除外し、車載監視手段からグループ復帰信号を受信したときに車載監視手段を連動グループに復帰させることを特徴とする。
【0012】
(連動グループとの通信確認によるグループ離脱と復帰)
車載監視手段は、
グループ離脱信号の送信に先立ちグループ確認信号を送信し、他の監視手段の何れかから確認応答信号を受信した場合にグループ離脱信号を送信し、
グループ復帰信号の送信に先立ちグループ確認信号を送信し、他の監視手段の何れかから確認応答信号が受信された場合にグループ復帰信号を送信する。
【0013】
(車両の使用開始と使用停止の検出)
車載監視手段は、
車両の使用開始として、車両のエンジン始動、手動ブレーキの解除を含む所定の使用開始操作を検出し、
車両の使用停止として、車両のエンジン停止、手動ブレーキの作動を含む所定の使用停止操作を検出する。
【0014】
(電熱タバコ着火装置による車両の使用開始と停止の検出)
車載監視手段は、
車両搭載の電熱タバコ着火装置に対する車両電源の供給と遮断により車両の使用開始と停止を検出するセンサユニットを備える。
【0015】
(電熱タバコ着火装置のセンサユニット)
センサユニットは、電熱タバコ着火装置のシガ―ソケットに着脱自在に装着され、車両電源の供給により動作して車載監視手段に使用開始信号を無線送信するものであり、
車載監視手段は、センサユニットから使用開始信号を受信したときにグループ離脱信号を送信し、センサユニットからの使用開始信号の受信が継続して停止したときにグループ復帰信号を送信する。
【0016】
(通信テスト)
車載監視手段を含む複数の監視手段は、定期的にテスト信号を相互に送受信して通信テストを行い、テスト信号を送受信できない少なくとも1台の監視手段が存在した場合に通信エラーを報知し、
車載監視手段を除く他の監視手段は、車載監視手段からグループ離脱信号を受信したときに、車載監視手段を通信テストの対象から除外し、グループ復帰信号を受信したときに、車載監視手段を通信テストの対象に含める。
【0017】
(連動信号の再送)
車載監視手段を含む複数の監視手段は、火災連動信号を含む所定の連動信号を送信したとき、他の監視手段の全てから連動応答信号を受信しないときに連動信号を再送信しており、
車載監視手段を除く他の監視手段は、車載監視手段からグループ離脱信号を受信したときに、車載監視手段を連動信号の再送信を行う対象から除外し、車載監視手段からグループ復帰信号を受信したときに、車載監視手段を連動信号の再送信を行う対象に含める。
【0018】
(車載監視手段)
本発明の別の形態にあっては、建物を含む所定の監視領域に設置された複数の監視手段により形成される連動グループに属し、車両に設置されて火災を監視する車載監視手段に於いて、
車両の使用を開始したときに連動グループに属する他の監視手段にグループ離脱信号を送信して連動グループから除外させ、車両の使用を停止したときに連動グループに属する他の監視手段にグループ復帰信号を送信して連動グループから復帰させるグループ離脱復帰制御部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
(基本的な効果)
本発明は、建物を含む所定の監視領域に設置された複数の監視手段により連動グループを形成し、所定の異常を監視して警報する警報システムに於いて、複数の監視手段の少なくとも1台は、連動グループの他の監視手段と通信可能な建物の駐車場所に駐車する車両に搭載される車載監視手段であり、車載監視手段は、車両の使用を開始したときにグループ離脱信号を送信し、車両の使用を停止したときにグループ復帰信号を送信し、連動グループの他の監視手段は、車載監視手段からグループ離脱信号を受信したときに車載監視手段を連動グループから除外し、車載監視手段からグループ復帰信号を受信したときに車載監視手段を連動グループに復帰させるようにしたため、車載監視手段を搭載した車両が敷地内の駐車場所から出て住宅内の監視手段との通信ができなくなっても、エンジンの始動等により車両の使用を開始すると、車載監視手段は連動グループから自動的に離脱し、住宅内に設置している監視手段による縮退した連動グループが生成され、車載監視手段と通信できなくなっても連動グループの異常を示すシステム障害とはならず、住宅内での例えば火災監視を正常に継続することができる。
【0020】
また、車載監視手段を搭載した車両が敷地内の駐車場所に戻って車両の使用を停止すると、車載監視手段は自動的に連動グループに復帰し、車両の火災監視を含めた連動グループによる火災監視を可能とする。
【0021】
(連動グループとの通信確認によるグループ離脱と復帰の効果)
また、車載監視手段は、グループ離脱信号の送信に先立ちグループ確認信号を送信し、他の監視手段の何れかから確認応答信号を受信した場合にグループ離脱信号を送信し、グループ復帰信号の送信に先立ちグループ確認信号を送信し、他の監視手段の何れかから確認応答信号が受信された場合にグループ復帰信号を送信するようにしたため、住宅の敷地以外の連動グループとの通信ができない場所に車両を駐車した場合、車両の使用停止と使用開始に伴いグループ確認信号を送信しても確認応答信号は受信されず、不必要にグループ離脱信号やグループ復帰信号を送信する動作を防止できる。
【0022】
(車両の使用開始と使用停止の検出による効果)
また、車載監視手段は、車両の使用開始として、車両のエンジン始動、手動ブレーキの解除を含む所定の使用開始操作を検出し、車両の使用停止として、車両のエンジン停止、手動ブレーキの作動を含む所定の使用停止操作を検出するようにしたため、車両の運転開始を検出するための特別な操作を必要とすることなく、通常行う車両の運転を開始し、また、車両の運転を停止するとき操作を検出して、連動グループからの離脱と復帰を自動的に行うことができる。
【0023】
(電熱タバコ着火装置による車両の使用開始と停止の検出による効果)
また、車載監視手段は、車両搭載の電熱タバコ着火装置に対する車両電源の供給と遮断により車両の使用開始と停止を検出するセンサユニットを備え、センサユニットは、電熱タバコ着火装置のシガ―ソケットに着脱自在に装着され、車両電源の供給により動作して車載監視手段に使用開始信号を無線送信するものであり、車載監視手段は、センサユニットから使用開始信号を受信したときにグループ離脱信号を送信し、センサユニットからの使用開始信号の受信が継続して停止したときにグループ復帰信号を送信するようにしたため、車両側に新たなセンサや機器を設けるといった作業を必要とすることなく、シガ―ソケットにセンサユニットを装着するだけで、エンジン始動によるシガ―ソケットの通電で使用開始信号が車載監視手段に送信されてグループ離脱信号を住宅内の監視手段に送信して、自動的に連動グループから離脱させることができる。
【0024】
また、車両のエンジンを切ると、シガーソケットに対する給電が停止し、センサユニットが動作を停止して使用開始信号が断たれることで、これを検出してグループ復帰信号が住宅内の監視手段に送信され、自動的に連動グループに復帰させることができる。
【0025】
(通信テストに対する効果)
また、車載監視手段を含む複数の監視手段は、定期的にテスト信号を相互に送受信して通信テストを行い、テスト信号を送受信できない少なくとも1台の監視手段が存在した場合に通信エラーを報知し、車載監視手段を除く他の監視手段は、車載監視手段からグループ離脱信号を受信したときに、車載監視手段を通信テストの対象から除外し、グループ復帰信号を受信したときに、車載監視手段を通信テストの対象に含めるようにしたため、車載監視手段を搭載した車両が敷地内の駐車場所から出て連動グループとの通信が断たれても、通信テストを行ったときに通信エラーとならず、車載監視手段と通信できなくなっても、残された監視手段で連動グループを形成しシステム障害としての通信エラーを起こすことなく、住宅の火災を監視することが可能となる。
【0026】
(連動信号の再送に対する効果)
また、車載監視手段を含む複数の監視手段は、火災連動信号を含む所定の連動信号を送信したとき、他の監視手段の全てから連動応答信号を受信しないときに連動信号を再送信しており、車載監視手段を除く他の監視手段は、車載監視手段からグループ離脱信号を受信したときに、車載監視手段を連動信号の再送信を行う対象から除外し、車載監視手段からグループ復帰信号を受信したときに、車載監視手段を連動信号の再送信を行う対象に含めるようにしたため、車載監視手段を搭載した車両が敷地内の駐車場所から出て連動グループとの通信が断たれ、連動グループで火災を検出した監視手段が火災連動信号を送信して車載監視手段から連動応答信号が受信されなくとも、残された監視手段で連動グループを形成し、システム障害を起こすことなく、火災連動信号を全ての監視手段で受信するための再送動作を確実に行うことを可能とする。
【0027】
(車載監視手段の効果)
また、本発明の別の形態にあっては、建物を含む所定の監視領域に設置された複数の監視手段により形成される連動グループに属し、車両に設置されて火災を監視する車載監視手段に於いて、車両の使用を開始したときに連動グループに属する他の監視装置にグループ離脱信号を送信して連動グループから除外させ、車両の使用を停止したときに連動グループに属する他の監視手段にグループ復帰信号を送信して連動グループから復帰させるグループ離脱復帰制御部が設けられたため、前述した警報システムに設けた車載監視手段と同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】連動グループを形成する警報システムの実施形態を示した説明図
図2】住宅内に設置する警報器の機能構成を示したブロック図
図3】車両に設置する車載警報器及びセンサユニットの機能構成を示したブロック図
図4】車両のシガーソケットに装着するセンサユニットの外観を示した説明図
図5】車両の使用に伴う車載警報器の連動グループに対する離脱と復帰を示したタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
[警システム]
図1は連動グループを形成する警報システムの実施形態を示した説明図であり、住宅と車両に設置される無線式の警報器(住宅用火災警報器)により構成される警報システムを例にとっている。
【0030】
[実施形態の基本的な概念]
本実施形態による警報システムの基本的な概念は、住宅11等の監視領域(住宅11内及びその敷地内)に設置された監視手段として機能する複数の無線式の警報器により連動グループを形成し、所定の異常例えば火災を監視して警報する警報システムであって、複数の警報器の少なくとも1台は、連動グループの他の警報器10-1~10-4と通信可能領域の駐車場所(駐車スペース又は車庫等)に駐車する車両14に搭載される車載監視手段として機能する車載警報器12であり、車載警報器12は、車両14の使用を開始したときにグループ離脱信号を送信し、車両14の使用を停止したときにグループ復帰信号を送信し、連動グループの他の警報器10-1~10-4は、車載警報器12からグループ離脱信号を受信したときに車載警報器12を連動グループから除外し、車載警報器12からグループ復帰信号を受信したときに車載警報器12を連動グループに復帰させるというものである。
【0031】
これにより車両14に車載警報器12を設置し、車両14の火災を連動グループにより監視し、また、車載警報器12を設置した車両14が駐車場所から出て住宅内の警報器10-1~10-4との通信ができなくなっても、エンジンの始動等により車両14の使用を開始すると、車載警報器12は連動グループから自動的に離脱し、住宅11内に設置している警報器10-1~10-4による縮退した連動グループが形成され、通信エラー等のシステム障害とはならず、住宅11内でのグループ連動による火災監視を正常に継続することができる。
【0032】
また、車載警報器12を搭載した車両14が駐車場所に戻って車両14の使用を停止すると、車載警報器12は自動的に連動グループに復帰し、車両14の火災監視を含めた連動グループによる火災監視を可能とする。
【0033】
[警報システムの概要]
図1に示すように、住宅11の台所、居間、主寝室、子供部屋等の各部屋に、火災を検出して警報する無線式の警報器10-1~10-4が設置され、更に住宅11の敷地内となる屋外の駐車スペースや車庫等の駐車場所に駐車している車両14に無線式の車載警報器12が設置されている。
【0034】
警報器10-1~10-4及び車載警報器12は、火災等の連動信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅11および車両14の火災監視を行っている。また。警報器10-1~10-4及び車載警報器12は、同じチャンネル周波数を使用し、且つ所定のグループアドレスを設定することにより連動グループを形成している。本実施形態で連動グループを形成する警報器の最大数は例えば15台となる。また、以下の説明で住宅11に設置した警報器10-1~10-4を区別する必要がない場合は、警報器10という場合がある。
【0035】
警報器10-1~10-4及び車載警報器12の各々は、固有のグループアドレスGと端末アドレスA1~A5を登録することにより、相互に信号を通信可能な連動グループが形成される。ここで、警報器10-1~10-4の端末アドレスをA1~A4とし、車載警報器12の端末アドレスをA5とする。
【0036】
いま、住宅11の警報器10-1が設置された部屋で火災が発生したとすると、警報器10-1が火災を検出し、警報音と警報表示により連動元を示す火災警報を出力する。また火災を検出した警報器10-1は他の警報器10-2~10-4及び車載警報器12に対し、グループアドレス及び端末アドレスを設定した火災連動信号を無線により送信する。
【0037】
他の警報器10-2~10-4及び車載警報器12は連動元の警報器10-1からの火災連動信号を受信した場合に、警報音と警報表示により連動先を示す火災警報を出力する。
【0038】
警報器10-1~10-4及び車載警報器12は火災警報の出力中に警報停止操作を行うと、自身の警報を停止すると共にグループアドレスと端末アドレスを設定した警報停止連動信号を他の警報器に送信して警報停止動作を行わせる。また、火災を検出した警報器10-1で火災復旧が検出されると、自身の警報を停止すると共にグループアドレスと端末アドレスを設定した火災復旧連動信号を他の警報器10-2~10-4及び車載警報器12に送信して警報停止動作を行わせる。
【0039】
また、車両14で火災が発生したとすると、車載警報器12が火災を検出し、警報音と警報表示により連動元を示す火災警報を出力すると共に住宅11に設置した警報器10-1~10-4に対し、グループアドレスと端末アドレスを設定した火災を示す火災連動信号を無線により送信する。
【0040】
住宅11の警報器10-1~10-4は連動元の車載警報器12からの火災連動信号を受信した場合に、警報音と警報表示により連動先を示す火災警報を出力する。なお、車載警報器12からの火災連動信号を受信した場合、火災連動信号に含まれる端末アドレスA5から車載警報器12を判別し、車両火災を示す音声メッセージを含む連動先警報を出力しても良い。
【0041】
また、通常の監視状態で、警報器10-1~10-4及び車載警報器12は、例えば72時間の周期で自動的に通信テスト(定期通報テスト)を行っている。更に、警報器10-1~10-4及び車載警報器12は、テストスイッチを長押し操作すると、通信テストを行うことができる。
【0042】
一方、車載警報器12が設置された車両14には、車両14の使用開始と使用停止を検出するセンサユニット16が設けられる。センサユニット16は車両14のシガーソケットに装着され、エンジン始動によるシガ―ソケットへの車両電源の供給を検出して使用信号を車載警報器12に無線送信する。なお、エンジンの運転中、センサユニット16は使用信号を継続的又は周期的に送信し、車載警報器12は車両14が使用中にあることを判断している。
【0043】
車載警報器12はセンサユニット16から使用信号を受信すると、住宅11に設置された連動グループの警報器10-1~10-4に対しグループ離脱信号を送信し、車載警報器12を連動グループから離脱させる。
【0044】
ここで、車載警報器12の連動グループからの離脱とは、連動グループを形成するために警報器10-1~10-4に登録している端末アドレスA1~A5の内、車載警報器12の端末アドレスA5を例えばマスク処理やフラグビット処理により隠蔽又は無効化し、通信テストや連動信号送信先から除外することを意味する。
【0045】
このように車両14のエンジンを始動して車両14の使用を開始すると、自動的に車載警報器12が連動グループから離脱され、車両14が敷地外に出ることで連動グループの警報器10-1~10-4と通信できなくなっても、通信テストの対象から除外されることで、通信テストを行っても通信エラーになることを防止する。
【0046】
また、車両14が敷地内に戻り、エンジンを切って車両14の使用を停止又は終了した場合には、センサユニット16による使用信号の送信が停止する。車載警報器12は、センサユニット16からの使用信号の受信停止を判別すると、車両14は連動グループの通信可能エリアに戻ってきていることから、住宅11に設置された連動グループの警報器10-1~10-4に対しグループ復帰信号を送信し、車載警報器12を連動グループに復帰させる。
【0047】
ここで、車載警報器12の連動グループへの復帰とは、グループ離脱の際に隠蔽又は無効化していた車載警報器12の端末アドレスA5を例えばマスク処理やフラグビット処理の解除により有効化し、車載警報器12を通信テストや連動信号送信先に戻すことを意味する。
【0048】
車載警報器12の車両14の使用開始と使用終了に伴うグループ離脱信号とグループ復帰信号の送信は、住宅11に設置した警報器10-1~10-4の何れかと通信可能であること、即ち車両14が連動グループの通信可能距離にいることを確認してから送信することが望ましい。
【0049】
このため車載警報器12はグループ離脱信号又はグループ復帰信号の送信に先立ち、警報器10-1~10-4にグループ確認信号を送信し、確認応答信号を受信したときにグループ離脱信号又はグループ復帰信号を送信し、確認応答信号を受信しないときは、グループ離脱信号又はグループ復帰信号は送信しないようにする。
【0050】
これにより車両14の使用中に、連動グループとは通信できない離れた場所に車両14を停車した場合に不必要なグループ離脱信号とグループ復帰信号の送信を防止することができる。
【0051】
[警報器]
(警報器の機能構成)
図2は住宅内に設置する警報器の機能構成を示したブロック図である。図2に示すように、警報器10は制御プロセッサ18を備え、制御プロセッサ18には、CPU24が設けられ、CPU24からのバス32に、制御ロジック26、ROM28、RAM30が接続されている。なお、制御ロジック26はCPU24の制御処理に伴うバス制御などの各種のハードウェア機能を実現する。
【0052】
バス32には、制御プロセッサ18の外部に設けた通信部20、検煙部34、テストスイッチ36、表示灯38、スピーカ40、登録スイッチ42及び不揮発メモリ44が接続されている。
【0053】
検煙部34は、公知の散乱光式検煙構造をもち、所定周期で赤外LEDを用いた発光部を間欠的に発光駆動し、フォトダイオードなどの受光部で受光した散乱光の受光信号を増幅し、煙濃度検出信号を出力する。なお、検煙部34に代えて温度検出部を設ける場合もあり、温度検出部は、温度検出素子として例えばサーミスタを使用し、この場合、温度による抵抗値の変化に対応した電圧信号となる温度検出信号を出力する。
【0054】
通信部20は、アンテナ22が接続され、他の警報器10及び車載警報器12との間で所定の通信プロトコルに従って火災等の連動信号を送受信する。この通信プロトコルは、日本国内の場合には、例えば426MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(特定小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)に準拠する。
【0055】
426MHz帯の特定小電力セキュリティシステム無線局設備では、426.2500MHz~426.8375MHzの間に12.5kHzの周波数帯域幅を持つ48チャンネルが割り当てられており、何れかのチャンネル周波数を複数の警報器で構成する連動グループに割り当てて使用する。
【0056】
また、通信部20は無線送信部と無線通信部を備え、無線送信部は火災連動信号等のデータ信号をMSK変調した後にFM変調してアンテナ22から426MHz帯の割当チャンネル周波数の信号電波として送信し、無線受信部は、アンテナ22による他の警報器10及び車載警報器12が送信した信号電波を受信し、FM復調した後に、FSK復調を行い、更にビット判定を行って火災連動信号等のデータ信号を復調する。
【0057】
CPU24にはROM28に記憶したプログラムの実行により実現される火災制御部46及びグループ管理制御部48の機能が設けられる。
【0058】
(火災制御部の機能)
CPU24に設けられた火災制御部46の制御機能は次のようになる。火災制御部46は、検煙部34から出力された煙濃度検出信号をAD変換して読み込み、煙濃度が所定の閾値以上の場合に火災を検出し、連動元示す火災警報を出力させる制御を行う。
【0059】
火災制御部46は、火災警報を出力させた場合、通信部20に指示してグループアドレス及び自己の端末アドレスを設定した火災連動信号を生成し、他の警報器10及び車載警報器12へ火災連動信号を送信させる制御を行い、当該火災連動信号を受信した他の警報器10及び車載警報器12で連動先を示す火災警報を出力させる。
【0060】
また、火災制御部46は、同じ連動グループとなる住宅11内の他の警報器10又は車両14に配置した車載警報器12が送信した火災連動信号を通信部20により受信した場合、連動先を示す火災を出力させる制御を行う。
【0061】
また、火災制御部46は、テストスイッチ36の操作による警報停止制御、検煙部34の煙濃度が閾値以下に下がる火災復旧制御についても、火災連動信号の場合と同様に、通信部20により警報停止連動信号及び火災復旧連動信号の送信を行う。
【0062】
(グループ管理制御部)
CPU24に設けられたグループ管理制御部48の制御機能は次のようになる。図1に示した警報器10-1~10-4及び車載警報器12により連動グループを形成するためには、警報器10-1~10-4及び車載警報器12をテーブル等の作業台に並べ、電池電源を入れた状態で、例えば警報器10-1の登録スイッチ42を押してから所定時間以内、例えば60秒以内に他の警報器10-2~10-4及び車載警報器12の登録スイッチ42を押す。
【0063】
警報器10-1のグループ管理制御部48は、未登録となっているグループアドレスを所定の規則、例えば警報器10-1に記憶されている固有の製造番号に基づいて所定のグループアドレスGを生成してグループ管理情報50に登録し、また、未登録となっている自己の端末アドレスA1を生成し、グループ管理情報50に登録する。
【0064】
続いて、グループ管理制御部48は、グループアドレスG及び自己の端末アドレスA1を含む登録信号を他の警報器10-2~10-4及び車載警報器12に送信し、それぞれのグループ管理情報50に登録させる。
【0065】
同様の操作を、残りの警報器10-2~10-4及び車載警報器12について繰り返してグループ登録を完了すると、警報器10-1~10-4及び車載警報器12のグループ管理情報50には、連動グループを構成するグループアドレスG及び端末アドレスA1~A5が登録された状態となる。
【0066】
また、警報器10のグループ管理制御部48は、車載警報器12から端末アドレスA5を含むグループ離脱信号を受信したとき、車載警報器12を連動グループから離脱させるため、グループ管理情報50に登録している車載警報器12の端末アドレスA5を例えばマスク処理により無効化し、連動グループを端末アドレスA1~A4からなる住宅11に設置された警報器10-1~10-4で構成させる連動グループに縮退させる制御を行う。
【0067】
また、警報器10のグループ管理制御部48は、連動グループを縮退させた状態で、車載警報器12から端末アドレスA5を含むグループ復帰信号を受信したとき、車載警報器12を連動グループから復帰させるため、グループ管理情報50に登録している車載警報器12の端末アドレスA5を無効化しているマスク処理を解除し、連動グループを端末アドレスA1~A5からなる住宅11に設置された警報器10-1~10-4及び車載警報器12で構成させる連動グループに復帰させる制御を行う。
【0068】
なお、グループ管理制御部48による車載警報器12の連動グループからの離脱と復帰は、グループ管理情報50に登録している車載警報器12の端末アドレスA5に対応してフラグビットを設け、フラグビット0で無効として連動グループから離脱させ、フラグビット1で有効として連動グループに復帰させても良い。
【0069】
[車載警報器]
図3は車両に設置する車載警報器及びセンサユニットの機能構成を示したブロック図、図4は車両のシガーソケットに装着するセンサユニットの外観を示した説明図である。
【0070】
(車載警報器の機能構成)
図3に示すように、車載警報器12は、制御プロセッサ18を備え、制御プロセッサ18には、CPU24が設けられ、CPU24からのバス32に、制御ロジック26、ROM28、RAM30が接続され、更に、バス32には、外部の通信部20、検煙部34、テストスイッチ36、表示灯38、スピーカ40、登録スイッチ42及び不揮発メモリ44が接続されている。また、CPU24にはプログラムの実行により実現される機能として、火災制御部46とグループ管理制御部48が設けられている。
【0071】
このような構成及び機能は、図2に示した警報器10と同じであるが、車載警報器12はCPU24にグループ離脱復帰制御部52の機能が新たに設けられ、また、外部の機器として、センサユニット16が設けられている。
【0072】
(センサユニット)
図3に示すように、センサユニット16は、電源コネクタ部54、センサ制御部56及びアンテナ60を接続したセンサ通信部58で構成される。
【0073】
センサユニット16は、図4に示すように、車両14に設けられた灰皿装置に設けられたシガ―ソケット72に装着して使用される。センサユニット16は円筒形のユニット本体62の上部に蓋部材としてホルダー部64が設けられ、ユニット本体62の先端にプラス側となる電極ピン66が設けられ、ユニット本体62の周囲の相対した2箇所に円弧状に張出したマイナス側となるバネ電極68が設けられ、バネ電極68に直交したユニット本体62の周囲の相対した位置に、片持ち構造の押圧片70が設けられている。
【0074】
センサユニット16のユニット本体62の中には、図3に示したセンサ制御部56とアンテナ60を接続したセンサ通信部58が組み込まれ、電源コネクタ部54から電源供給を受けて動作する。
【0075】
図4のユニット本体62をシガ―ソケット72に差し込むと、ユニット本体62に設けた電極ピン66がソケットプラス側に接続され、バネ電極68がソケットマイナス側に接続される。
【0076】
シガーソケット72は車両14のエンジンを始動すると車両電源が供給され、エンジンを停止すると車両電源の供給が停止される。このためセンサユニット16をシガーソケット72に差し込んだ状態で車両14のエンジンを始動すると、シガーソケット72を介してセンサユニット16に車両電源が供給されて動作する。
【0077】
図3に示すセンサユニット16は、電源コネクタ部54を介して車両14のエンジン始動に伴って車両電源が供給されて動作すると、センサ制御部56の指示によりセンサ通信部58が使用信号を送信し、車載警報器12に車両の使用開始を判断させ、グループ離脱信号を送信させる。
【0078】
センサ通信部58は、図3に示した車載警報器12の通信部20と同じ426MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(特定小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)に準拠しており、通信エリアは車両内の狭い範囲であることから、送信電力は小さめに設定している。また、センサ制御部56は、車両電源の供給により動作すると、センサ通信部58に指示し、所定周期で使用信号を繰り返し送信する。
【0079】
車両14のエンジンを停止すると、シガ―ソケット72に対する車両電源の供給が停止し、センサユニット16からの周期的な使用信号の送信は停止し、車載警報器12にセンサユニット16からの使用信号の継続的な停止から車両14の使用停止、即ち、エンジン停止を判断させ、グループ復帰信号を送信させる。
【0080】
(グループ離脱復帰制御部)
車載警報器12のグループ離脱復帰制御部52は、センサユニット16から使用信号を最初に受信すると、通信部20に指示してグループ離脱信号を送信する制御を行い、グループ離脱信号を受信した警報器10はグループ管理情報50に登録している車載警報器12の端末アドレスをマスク処理等により無効化して連動グループから離脱させる制御を行わせる。
【0081】
ここで、センサユニット16が使用信号を周期的(間欠的)に送信している場合、グループ離脱復帰制御部52は周期的に使用信号を受信したときにタイマをリトリガスタートし、使用信号が受信されなくなったときは、タイマがリトリガスタートされなくなることから、タイマのタイムアップ出力により車両14の停止を判断してグループ復帰信号を送信する制御を行う。
【0082】
また、グループ離脱復帰制御部52は、センサユニット16から使用信号を最初に受信したとき又は使用信号の受信が停止したとき、グループ確認信号を送信し、住宅11に設置された警報器10-1~10-4の何れかから確認応答信号を受信したときにグループ離脱信号またはグループ復帰信号を送信し、確認応答信号を受信しないときはグループ離脱信号又はグループ復帰信号を送信しないようにする制御を行う。これにより連動グループの通信可能領域から離れた敷居外の場所に車両を駐車した場合の使用開始と使用終了によるグループ離脱信号とグループ復帰信号の不必要な送信を防止する。
【0083】
なお、連動グループの通信可能領域から離れた場所に車両を駐車したときに車載警報器12から送信される信号には、グループアドレスが設定されていることから、近くに同じチャンネル周波数を使用した他の連動グループの警報システムを設置した住宅や施設が存在しても、グループアドレスが異なることで、異なる連動グループとの間での信号のやり取りによる誤動作は確実に防止される。
【0084】
また、グループ離脱復帰制御部52は、車両の使用開始によりグループ離脱信号を送信した後に車両の使用停止を判断するまでの間、通信部20の通信動作を停止する制御を行うようにしても良い。
【0085】
即ち、グループ離脱復帰制御部52はエンジンの始動に伴いセンサユニット16から使用信号を受信してグループ離脱信号を送信したときに通信部20に対する電源供給を停止するなどして動作を停止し、エンジンの停止に伴いセンサユニット16からの使用信号の受信が継続的に停止して車両の使用停止を判断したら通信部20に対する電源供給を再開し、グループ復帰信号を送信する制御を行う。これにより車載警報器12が連動グループから離脱している間、通信部20動作させないことで、通信テスト等の不必要な通信をなくし、また、消費電力を低減できる。
【0086】
[車両の使用に伴う連動グループの管理制御]
図5は車両の使用に伴う車載警報器の連動グループに対する離脱と復帰を示したタイムチャートである。
【0087】
図5に示すように、車両14住宅11の敷地内に駐車している状態にあっては、連動グループを形成している端末アドレスA1~A5の住宅11に設置した警報器10-1~10-4と車載警報器12との間で、例えば72時間に1回の周期でステップS1~S5に示す通信テストを行っている。
【0088】
続いて、ステップS6に示すように、車両14を使用するためにエンジンを始動したとすると、センサユニット16がエンジンの始動によるシガーソケット72に対する車両電源の供給により動作し、ステップS7で使用信号を車載警報器12に送信する。
【0089】
車載警報器12はセンサユニット16からの使用信号を受信すると、車両14の使用開始と判断し、ステップS8でグループ離脱信号を住宅11に設置している警報器10-1~10-4に送信し、ステップS9~S12に示すように端末アドレスA5のマスク処理等による無効化により、車載警報器12を連動グループから離脱させる。
【0090】
このため車両14の使用により車載警報器12と通信できなくなった状態で、住宅11に設置された警報器10-1~10-4で通信テストが行われても、通信エラーを起こすことなく、通信テストを正常終了させることができる。
【0091】
また、車載警報器12が連動グループから離脱した状態で、例えば、警報器10-1が火災を検出して連動元を示す火災警報を出力すると、火災連動信号を他の警報器10-2~10-4に送信して連動先警報を出力させる。連動元の警報器10-1は、連動先からの確認応答信号の受信を判別しており、全ての送信元からの確認応答信号が得られない場合、火災連動信号の再送信を繰り返す。
【0092】
このとき連動グループから離れて通信できない車載警報器12から確認応答信号は受信されないが、車載警報器12は連動グループから離脱しているため、全ての連動先から確認応答信号が正常に得られたこととなり、車載警報器12から確認応答信号が得られずに火災連動信号の再送信を繰り返してしまうシステムエラー(システム障害)を確実に防止することができる。
【0093】
続いて、ステップS13で車両14が敷地内に戻ってエンジンを停止したとすると、ステップS14でセンサユニット16が使用信号の送信を停止し、車載警報器12が使用信号の継続的な停止からエンジン停止を判断し、ステップS15で住宅11に設置している警報器10-1~10-4にグループ復帰信号を送信し、ステップS16~S19に示すように端末アドレスA5のマスク処理を解除して有効化することで、車載警報器12を連動グループに復帰させる。
【0094】
〔本発明の変形例〕
(車両の使用開始と使用停止の検出)
上記の実施形態は、車両の使用開始と使用停止を、エンジンの始動と停止により検出しているが、これに限定されず、手動ブレーキの解除により車両の使用を検出し、手動ブレーキの作動で車両の使用停止を検出しても良い。
【0095】
また、車両を使用するときには速度計等のメータパネルで液晶表示が行われることから、センサユニットとして、メータパネルの表示による明るさを光学的に検出する受光部を設け、受光信号が得られた車両の使用を検出し、受光信号が継続的に断たれたら車両の使用停止を検出するようにしても良い。これによりセンサユニットを外付けするだけで、簡単に車両の使用と使用停止を検出し、車載警報器からグループ離脱信号とグループ復帰信号を送信することができる。

【0096】
(車載警報器)
上記の実施形態は、車両1台に配置した車載警報器と住宅内に設置した警報器により連動グループを形成した場合を例にとっているが、これに限定されず、複数台の車両に各々に配置した車載警報器と住宅内に配置した警報器により連動グループを形成しても良い。
【0097】
(親子方式)
上記の実施形態は、住宅内に複数の警報器を設置し、車両に車載警報器を配置して連動グループを形成する場合、親機/子機の区別が無くそれぞれの警報器が相互に通信するものであるが、親機と複数の子機を設けて連動グループを形成し、各グループの親機に中継器の機能を持たせ、異なるグループの親機同士の間で連動警報のための通信を行うようにしても良い。この場合、親機は住宅内に設置した警報器とする。
【0098】
(警報器)
上記の実施形態は、火災を検知して警報する無線式の警報器を例にとるものであったが、警報器以外の無線式の火災警報器、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら警報器を複合的に含むシステムについても同様に適用できる。
【0099】
また、上記の実施形態は無線式の警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした無線式の警報器であっても良い。
【0100】
(車載警報器とセンサユニット)
上記の実施形態は車両に設けた車載警報器12とセンサユニット16を無線で通信接続しているが、信号線を用いた有線の通信接続としても良い。
【0101】
また、車載警報器12は、盗難警報器等の各種の防犯警報器であっても良い。
【0102】
(シリアルID)
上記の実施形態は、車載警報器12からグループ離脱信号を住宅に設置した警報器10が受信したときに車載警報器12を連動グループから除外し、グループ復帰信号を受信したときに連動グループに復帰させているが、これに限定されず、車載警報器12からのクループ離脱信号及びグループ復帰信号にシリアルID(製造時に付与される固有の識別子)を含めて送信し、住宅11の警報器10はグループ離脱信号を受信したときに車載警報器12を連動グループから除外するとともに受信したシリアルIDを記憶し、グループ復帰信号を受信したときに、受信したシリアルIDと記憶したシリアルIDとが一致したときに連動グループに復帰させるようにしても良い。
【0103】
(車載警報器の連動警報)
上記の実施形態は、車載警報器12が住宅11の警報器10から火災連動信号を受信したときに火災警報を出力しているが、駐車中の車両には人がいる可能性が低く、また、住宅11内での火災警報を外に報知すると迷惑になることから、車載警報器12で火災連動信号を受信したときに火災警報を出力しないようにしても良い。
【0104】
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0105】
10,10-1~10-4:警報器
11:住宅
12:車載警報器
14:車両
16:センサユニット
18:制御プロセッサ
20:通信部
24:CPU
26:制御ロジック
28:ROM
30:RAM
32:バス
34:検煙部
36:テストスイッチ
38:表示灯
40:スピーカ
42:登録スイッチ
44:不揮発メモリ
46:火災制御部
48:グループ管理制御部
50:グループ管理情報
52:グループ離脱復帰制御部
54:電源コネクタ部
56:センサ制御部
58:センサ通信部
62:ユニット本体
64:ホルダー部
66:電極ピン
68:バネ電極
70:押圧片
72:シガ―ソケット
図1
図2
図3
図4
図5