(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/03 20060101AFI20231218BHJP
B60C 11/13 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B60C11/03 300E
B60C11/03 300B
B60C11/13 B
B60C11/13 C
(21)【出願番号】P 2019145292
(22)【出願日】2019-08-07
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳樹
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-177326(JP,A)
【文献】特開2017-081439(JP,A)
【文献】特開2016-002794(JP,A)
【文献】特開2006-347459(JP,A)
【文献】特開平03-025007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
B60C 11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延びる第1及び第2主溝と、前記第1及び第2主溝によって区画される陸部と、を備え、
前記陸部は、複数の陸溝と、
前記第1主溝又は前記第2主溝と、前記複数の陸溝とによって区画され、複数の角部を有する第1ブロックと、前記複数の陸溝によって区画され、複数の角部を有する
第2ブロックと、を備え、
前記第1ブロックの前記複数の角部は、角度が最も大きく且つ角度が180°よりも大きい最大角部を含み、
前記第2ブロックの前記複数の角部は、前記最大角部を含まず、
前記
第1ブロックは、前記最大角部に配置されるブロック溝を備え
、
前記
第1ブロックは、前記最大角部を構成する第1及び第2端縁を備
える、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記ブロック溝の一方の溝縁は、前記第1及び第2端縁のうち一方と連続線状となるように、形成される、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ブロック溝の一方の溝縁は、前記第1及び第2端縁のうち短い方と連続線状となるように、形成される、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第1端縁は、タイヤ幅方向に沿って、延び、
前記第2端縁は、タイヤ周方向に沿って、延びる、請求項1~3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ブロック溝の深さは、前記
第1ブロックの端縁から内部へ向けて、浅い、請求項1~4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空気入りタイヤは、溝によって区画される複数のブロックを備えている(例えば、特許文献1)。そして、ブロックは、複数の角部を有しており、複数の角部においては、角部の角度が大きいほど、角部の剛性は、大きくなる。したがって、角部の剛性にバラツキが存在するため、ブロックにおける剛性のバラツキが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、ブロックにおける剛性のバラツキが発生することを抑制することができる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
空気入りタイヤは、溝によって区画され、複数の角部を有するブロックを備え、前記複数の角部は、角度が最も大きく且つ角度が180°よりも大きい最大角部を含み、前記ブロックは、前記最大角部に配置されるブロック溝を備える。
【0006】
また、空気入りタイヤにおいては、前記ブロックは、前記最大角部を構成する第1及び第2端縁を備え、前記ブロック溝の一方の溝縁は、前記第1及び第2端縁のうち一方と連続線状となるように、形成される、という構成でもよい。
【0007】
また、空気入りタイヤにおいては、前記ブロック溝の一方の溝縁は、前記第1及び第2端縁のうち短い方と連続線状となるように、形成される、という構成でもよい。
【0008】
また、空気入りタイヤにおいては、前記ブロックは、前記最大角部を構成する第1及び第2端縁を備え、前記第1端縁は、タイヤ幅方向に沿って、延び、前記第2端縁は、タイヤ周方向に沿って、延びる、という構成でもよい。
【0009】
また、空気入りタイヤにおいては、前記ブロック溝の深さは、前記ブロックの端縁から内部へ向けて、浅い、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド面の要部展開図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線における拡大断面図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド面の要部展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、
図1~
図4を参照しながら説明する。なお、各図(
図5も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0012】
各図において、第1の方向D1は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1の回転中心であるタイヤ回転軸と平行であるタイヤ幅方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ1の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りのタイヤ周方向D3である。
【0013】
タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ1のタイヤ幅方向D1の中心に位置する面のことであり、タイヤ子午面とは、タイヤ回転軸を含む面であって、タイヤ赤道面S1と直交する面のことである。また、タイヤ赤道線とは、タイヤ1のタイヤ径方向D2の外表面(後述する、トレッド面2a)とタイヤ赤道面S1とが交差する線のことである。
【0014】
タイヤ幅方向D1において、内側は、タイヤ赤道面S1に近い側となり、外側は、タイヤ赤道面S1から遠い側となる。また、タイヤ径方向D2において、内側は、タイヤ回転軸に近い側となり、外側は、タイヤ回転軸から遠い側となる。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ1は、ビードを有する一対のビード部1aと、各ビード部1aからタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール部1bと、一対のサイドウォール部1bのタイヤ径方向D2の外端部に連接され、タイヤ径方向D2の外表面が路面に接地するトレッド部1cとを備えている。本実施形態においては、タイヤ1は、内部に空気が入れられる空気入りタイヤ1であって、リム(図示していない)に装着される。
【0016】
また、タイヤ1は、一対のビードの間に架け渡されるカーカス層1dと、カーカス層1dの内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナー層1eとを備えている。カーカス層1d及びインナーライナー層1eは、ビード部1a、サイドウォール部1b及びトレッド部1cに亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0017】
トレッド部1cは、路面に接地するトレッド面2aを有するトレッドゴム2と、トレッドゴム2とカーカス層1dとの間に配置されるベルト層1fとを備えている。トレッド面2aは、実際に路面に接地する接地面を有しており、当該接地面のうち、タイヤ幅方向D1の外側端は、接地端2b,2bという。
【0018】
図1及び
図2に示すように、トレッドゴム2は、タイヤ周方向D3に延びる複数の主溝2c,2cを備えている。主溝2cは、タイヤ周方向D3の全長に亘って連続して延びている。そして、主溝2cは、タイヤ周方向D3に沿ってジグザグ状に延びている、という構成である。なお、主溝2cは、タイヤ周方向D3に対して平行に延びている、という構成でもよい。
【0019】
主溝2cは、特に限定されないが、例えば、摩耗するにしたがって露出することで摩耗度合が分かるように、溝を浅くしてある部分、所謂、トレッドウエアインジケータ(図示していない)を備えている、という構成でもよい。また、主溝2cの数は、特に限定されないが、本実施形態においては、主溝2cの数は、二つである。
【0020】
また、主溝2cは、特に限定されないが、例えば、接地端2b,2b間の距離(タイヤ幅方向D1の寸法)の3%以上の溝幅を有している、という構成でもよい。また、主溝2cは、特に限定されないが、例えば、5mm以上の溝幅を有している、という構成でもよい。
【0021】
トレッドゴム2は、主溝2c,2c及び接地端2b,2bによって区画される複数の陸部2d,2eを備えている。複数の陸部2d,2eにおいては、主溝2cと接地端2bとによって区画されて且つタイヤ幅方向D1の最も外側に配置される陸部2dは、ショルダー陸部2dといい、隣接される主溝2c,2c同士によって区画されて且つ一対のショルダー陸部2d,2d間に配置される陸部2eは、ミドル陸部2eという。
【0022】
なお、ミドル陸部2eのうち、タイヤ赤道面S1と交差する陸部2eは、センター陸部2eという。即ち、センター陸部2eを区画する一対の主溝2c,2cは、それぞれタイヤ赤道面S1からタイヤ幅方向D1に離れて配置されている。また、陸部2d,2eの数は、特に限定されないが、本実施形態においては、主溝2cの数が二つであるため、陸部2d,2eの数は、三つであり、ミドル陸部2eの数は、一つである。
【0023】
図2に示すように、陸部2d,2eは、タイヤ幅方向D1及びタイヤ周方向D3の少なくとも一方に延びる陸溝2fを複数備えている。これにより、陸部2d,2eは、溝2c,2fによって区画されるブロック3,4を複数備えている。そして、複数のブロック3,4は、タイヤ周方向D3に並列されている。なお、陸溝2fは、特に限定されないが、例えば、2mm以上の溝幅を有している、という構成でもよい。
【0024】
ミドル陸部2eは、複数の陸溝2fによって区画されるブロック4と、主溝2cと複数の陸溝2fとによって区画されるブロック3,4とを備えている。ショルダー陸部2dは、主溝2cと複数の陸溝2fとによって区画されるブロック4を備えている。
【0025】
なお、陸部2d,2eは、タイヤ周方向D3に連続するリブ形状であって、ブロック3,4を備えていない、という構成でもよい。即ち、少なくとも一つの陸部2d,2eは、陸溝2fがタイヤ周方向D3で分断することによって、タイヤ周方向D3に並列されるブロック3,4を有するブロック形状であればよい。
【0026】
ここで、角度が180°を超える角部8aを有するブロック3の構成について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0027】
なお、以下、角度が180°を超える角部8aを有するブロック3は、第1ブロック3といい、それ以外のブロック4は、第2ブロック4という。また、本実施形態においては、異なる形状を有する複数の第1ブロック3が、存在しており、以下、特定の第1ブロック3の構成について説明する。
【0028】
図3に示すように、第1ブロック3は、ブロック溝5と、複数のサイプ6とを備えている。例えば、第1ブロック3が有する凹部5,6のうち、幅が1.6mm以上である凹部は、ブロック溝5といい、幅が1.6mm未満である凹部は、サイプ6という。
【0029】
サイプ6の一端は、溝2fに連接されており、サイプ6の他端は、第1ブロック3の内部に位置している。即ち、サイプ6の一端は、開放されており、サイプ6の他端は、閉止されている。なお、サイプ6の両端は、溝2c,2f,5に連接され、開放されている、という構成でもよく、また、サイプ6の両端は、第1ブロック3の内部に位置し、閉止されている、という構成でもよい。また、第1ブロック3は、サイプ6を備えていない、という構成でもよい。
【0030】
第1ブロック3は、複数の端縁7a~7gと、複数の角部8a~8gとを備えている。そして、第1ブロック3は、略多角形状に形成されている。なお、第1ブロック3の形状は、特に限定されないが、本実施形態においては、第1ブロック3は、略7角形状に形成されている。
【0031】
図3(
図5も同様)において、破線は、ブロック溝5が連接される端縁7bの延長仮想線を示している。なお、ブロック溝5が端縁7bに連接されている場合には、当該端縁7bの長さは、当該端縁7bの延長仮想線も含めた長さとする。また、ブロック溝5が端縁7bの端部に位置している場合には、当該端縁7bで構成される角部8aの角度は、当該端縁7bの延長仮想線で構成される角部8aの角度とする。
【0032】
ところで、複数の角部8a~8gにおいては、角部8a~8gの角度が大きいほど、角部8a~8gの剛性は、大きくなる。即ち、角度が最も大きい最大角部8aの剛性は、最も大きくなる。しかも、最大角部8aの角度は、180°よりも大きくなっている。なお、180°よりも大きい角度を有する角部8aの個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、第1ブロック3は、180°よりも大きい角度を有する角部8aを一つ備えている。
【0033】
それに対して、ブロック溝5は、最大角部8aに配置されている。具体的には、ブロック溝5は、最大角部8aを構成する第1端縁7a及び第2端縁7bに連接されている。より具体的には、ブロック溝5の第1溝縁5aは、第1端縁7aに連接されており、ブロック溝5の第2溝縁5bは、第2端縁7bに連接されている。これにより、最大角部8aの剛性が大きくなり過ぎることを抑制することができるため、第1ブロック3における剛性のバラツキが発生することを抑制することができる。
【0034】
したがって、例えば、接地圧を均一化することができるため、操縦安定性能を向上させることができる。斯かる効果は、全ての路面に対して現れるが、特に、雪上路面(特に、アイス路面)に対して顕著に現れる。また、例えば、第1ブロック3における偏摩耗が発生することを抑制することができる。斯かる効果は、全ての路面に対して現れるが、特に、ドライ路面に対して顕著に現れる。
【0035】
また、ブロック溝5の第1溝縁5aは、最大角部8aを構成する第1端縁7aと連続線状となるように、形成されている。具体的には、第1溝縁5aは、最大角部8aを構成する第1及び第2端縁7a,7bのうち、短い方の第1端縁7aと連続線状となるように、形成されている。なお、特に限定されないが、本実施形態においては、第1溝縁5aは、複数の端縁7a~7gのうち、最も短い第1端縁7aと直線状(又は、曲線状)となるように、第1端縁7aと連接されている。
【0036】
これにより、短い第1端縁7aが、第1溝縁5aと連続することによって、第1端縁7aと第1溝縁5aとによって形成されるエッジ成分は、長くなる。したがって、当該エッジ成分の機能を十分に発揮させることができるため、悪路面及び雪上路面に対するタイヤ性能を向上させることができる。
【0037】
しかも、最大角部8aを構成する第1端縁7aは、タイヤ幅方向D1に沿って、延びている。具体的には、第1端縁7aがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度は、45°未満である。これにより、第1端縁7aのエッジ成分が機能することによって、タイヤ周方向D3の滑りを抑制することができる。
【0038】
さらに、最大角部8aを構成する第2端縁7bは、タイヤ周方向D3に沿って、延びている。具体的には、第2端縁7bがタイヤ周方向D3に対して傾斜する角度は、45°未満である。これにより、第2端縁7bのエッジ成分が機能することによって、タイヤ幅方向D1の滑りを抑制することができる。
【0039】
このように、第1端縁7a及び第2端縁7bは、剛性を確保できている最大角部8aを構成しているため、それぞれの端縁7a,7bのエッジ成分が十分に機能できる。しかも、第1端縁7a及び第2端縁7bが、それぞれ異なる方向D1,D3に沿って延びているため、それぞれの方向D1,D3に対する滑りを抑制することができる。
【0040】
一方で、最大角部8aの剛性が低くなり過ぎた場合には、タイヤ性能を低下させる場合がある。例えば、最大角部8aを構成する第1及び第2端縁7a,7bによるエッジ成分の機能を十分に発揮することができない場合がある。また、例えば、第1ブロック3における剛性にバラツキが発生することによって、例えば、接地圧が不均一になる場合があったり、第1ブロック3における偏摩耗が発生する場合があったりする。
【0041】
そこで、
図4に示すように、ブロック溝5の深さは、ブロック3の端縁から内部へ向けて、浅くなっている。これにより、最大角部8aの剛性が低くなり過ぎることを抑制している。なお、ブロック溝5の深さは、断続的に浅くなる(溝底が階段状である)、という構成でもよく、本実施形態においては、ブロック溝5の深さは、連続的に浅くなる(溝底が平滑状である)、という構成である。
【0042】
なお、特定の第1ブロック3の構成について、
図3及び
図4を参照しながら説明したが、
図2に戻り、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、異なる形状である第1ブロック3も、最大角度8aに配置されるブロック溝5を備えている、という構成である。即ち、本実施形態においては、第1ブロック3の全ては、最大角部8aに配置されるブロック溝5を備えている、という構成である。
【0043】
以上より、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、溝2c,2fによって区画され、複数の角部8a~8gを有するブロック3を備え、前記複数の角部8a~8gは、角度が最も大きく且つ角度が180°よりも大きい最大角部8aを含み、前記ブロック3は、前記最大角部8aに配置されるブロック溝5を備える。
【0044】
斯かる構成によれば、最大角部8aは、複数の角部8a~8gのうち、角度が最も大きく、しかも、最大角部8aの角度は、180°よりも大きくなっている。それに対して、ブロック溝5が最大角部8aに配置されているため、最大角部8aの剛性が大きくなり過ぎることを抑制することができる。これにより、ブロック3における剛性のバラツキが発生することを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記ブロック3は、前記最大角部8aを構成する第1及び第2端縁7a,7bを備え、前記ブロック溝5の一方の溝縁5aは、前記第1及び第2端縁7a,7bのうち一方7aと連続線状となるように、形成される、という構成である。
【0046】
斯かる構成によれば、ブロック溝5の一方の溝縁5aが、第1及び第2端縁7a,7bのうち一方7aと連続しているため、当該端縁7aと溝縁5aとによって形成されるエッジ成分は、長くなる。これにより、当該エッジ成分の機能を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記ブロック溝5の一方の溝縁5aは、前記第1及び第2端縁7a,7bのうち短い方7aと連続線状となるように、形成される、という構成である。
【0048】
斯かる構成によれば、ブロック溝5の一方の溝縁5aが、第1及び第2端縁7a,7bのうち短い方7aと連続しているため、短い方の端縁7aのエッジ成分は、溝縁5aのエッジ成分によって延長される。これにより、当該エッジ成分の機能を十分に発揮させることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記ブロック3は、前記最大角部8aを構成する第1及び第2端縁7a,7bを備え、前記第1端縁7aは、タイヤ幅方向D1に沿って、延び、前記第2端縁7bは、タイヤ周方向D3に沿って、延びる、という構成である。
【0050】
斯かる構成によれば、第1端縁7aがタイヤ幅方向D1に沿って延びているため、第1端縁7aのエッジ成分が機能することによって、タイヤ周方向D3の滑りを抑制することができる。また、第2端縁7bがタイヤ周方向D3に沿って延びているため、第2端縁7bのエッジ成分が機能することによって、タイヤ幅方向D1の滑りを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記ブロック溝5の深さは、前記ブロック3の端縁から内部へ向けて、浅い、という構成である。
【0052】
斯かる構成によれば、ブロック溝5の深さが、ブロック3の端縁から内部へ向けて、浅くなっているため、最大角部8aの剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、ブロック3における剛性のバラツキが発生することを効果的に抑制することができる。
【0053】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0054】
(1)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ブロック溝5の一方の溝縁5aは、最大角部8aを構成する一方の端縁7aと連続線状となるように、形成されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0055】
例えば、
図5に示すように、ブロック溝5のそれぞれの溝縁5a,5bは、最大角部8aを構成するそれぞれの端縁7a,7bと屈曲線状となるように、形成されている、という構成でもよい。
図5に係るブロック溝5のそれぞれの溝縁5a,5bは、最大角部8aを構成するそれぞれの端縁7a,7bと、傾斜して交差している。
【0056】
(2)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ブロック溝5の一方の溝縁5aは、第1及び第2端縁7a,7bのうち短い方7aと連続線状となるように、形成されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、ブロック溝5の一方の溝縁5bは、第1及び第2端縁7a,7bのうち長い方7bと連続線状となるように、形成されている、という構成でもよい。
【0057】
(3)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、最大角部8aを構成する第1端縁7aは、タイヤ幅方向D1に沿って、延びており、最大角部8aを構成する第2端縁7bは、タイヤ周方向D3に沿って、延びている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。最大角部8aを構成する第1及び第2端縁7a,7bは、例えば、それぞれタイヤ幅方向D1に沿って、延びている、という構成でもよく、また、例えば、それぞれタイヤ周方向D3に沿って、延びている、という構成でもよい。
【0058】
(4)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ブロック溝5の深さは、ブロック3の端縁から内部へ向けて、浅くなっている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、例えば、ブロック溝5の深さは、一定(同じだけでなく、略同じも含む)である、という構成でもよい。
【0059】
(5)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1ブロック3は、ブロック溝5を一つ備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1ブロック3は、ブロック溝5を複数備えている、という構成でもよい。
【0060】
(6)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、最大角部8aに配置されるブロック溝5を有する第1ブロック3は、ミドル陸部(具体的には、センター陸部)2eに配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、最大角部8aに配置されるブロック溝5を有する第1ブロック3は、ショルダー陸部2dに配置されている、という構成でもよく、ミドル陸部2eが複数備えられる場合には、センター陸部2e以外のミドル陸部2eに配置されている、という構成でもよい。
【0061】
(7)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1ブロック3の全ては、最大角部8aに配置されるブロック溝5を有する、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、複数の第1ブロック3のうち、少なくとも一つの第1ブロック3は、最大角部8aに配置されるブロック溝5を有する、という構成でもよい。
【0062】
なお、例えば、複数の第1ブロック3のうち、25%以上の第1ブロック3は、最大角部8aに配置されるブロック溝5を有する、という構成が好ましい。また、例えば、複数の第1ブロック3のうち、50%以上の第1ブロック3は、最大角部8aに配置されるブロック溝5を有する、という構成がより好ましい。
【0063】
(8)また、空気入りタイヤ1が使用される路面は、特に限定されない。空気入りタイヤ1は、例えば、雪上路面を走行する際に使用されてもよく、また、例えば、悪路面(例えば、泥濘地、岩場)を走行する際に使用されてもよく、例えば、ドライ路面を走行する際に使用されてもよく、また、例えば、ウエット路面を走行する際に使用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…空気入りタイヤ、1a…ビード部、1b…サイドウォール部、1c…トレッド部、1d…カーカス層、1e…インナーライナー層、1f…ベルト層、2…トレッドゴム、2a…トレッド面、2b…接地端、2c…主溝、2d…ショルダー陸部、2e…ミドル陸部、2f…陸溝、3…第1ブロック、4…第2ブロック、5…ブロック溝、5a…第1溝縁、5b…第2溝縁、6…サイプ、7a…第1端縁、7b…第2端縁、7c~7g…端縁、8a…最大角部、8b~8g…角部、D1…タイヤ幅方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、S1…タイヤ赤道面