(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】固体撮像装置およびその製造方法、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20231218BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20231218BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20231218BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231218BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20231218BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231218BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H04N25/70
H01L29/44 S
H01L29/78 301X
H01L27/088 A
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2019150215
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】黒部 利博
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198486(WO,A1)
【文献】特開2017-183636(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057278(WO,A1)
【文献】特開2016-143850(JP,A)
【文献】国際公開第2020/241151(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/093479(WO,A1)
【文献】特開2016-136584(JP,A)
【文献】特開2015-053411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H01L 29/41
H01L 21/336
H01L 29/78
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、
前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、
前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、
前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であ
り、
前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅と、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅とは同一または略同一である
固体撮像装置。
【請求項2】
半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、
前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、
前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、
前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であり、
前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅は、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅に対して長い
固体撮像装置。
【請求項3】
半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、
前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、
前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、
前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であり、
前記増幅トランジスタは、前記チャネル領域の前記チャネル最上面と前記ゲート電極との間に、ゲート絶縁膜以外の絶縁膜を有する
固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部は、断面視で、前記垂直ゲート電極部底面側が狭い逆テーパ形状を有する
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記増幅トランジスタの前記ゲート電極は、前記基板面より上側の平面電極部をさらに含み、
前記
平面電極部の平面形状は、矩形状である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記増幅トランジスタの前記ゲート電極は、前記基板面より上側の平面電極部をさらに含み、
前記
平面電極部の平面形状は、楕円形状である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
増幅トランジスタのゲート電極の一部として、半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を形成し、
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、
前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、
前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、
前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であ
り、
前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅と、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅とは同一または略同一である
固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、
前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、
前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、
前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であ
り、
前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅と、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅とは同一または略同一である
固体撮像装置
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像装置およびその製造方法、並びに電子機器に関し、特に、埋め込みゲート構造のトランジスタ構造においてノイズを抑制できるようにした固体撮像装置およびその製造方法、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)固体撮像素子の画素には、例えば、光電変換を行うフォトダイオードと、生成された電荷をフローティングディフュージョン(以下、FDと称する)に転送する転送トランジスタと、FDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する増幅トランジスタなどが形成される。
【0003】
このようなCMOS固体撮像素子において、ノイズ抑制を目的に、フォトダイオードが形成された半導体基板に対して、ゲート電極の一部が埋め込まれた埋め込みゲート構造のトランジスタを採用した固体撮像素子が提案されている(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-121093号公報
【文献】特開2013-125862号公報
【文献】特開2017-183636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、埋め込みゲート構造のトランジスタには、改良の余地がある。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、埋め込みゲート構造のトランジスタ構造においてノイズを抑制できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の固体撮像装置は、半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であり、前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅と、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅とは同一または略同一である。
本技術の第2の側面の固体撮像装置は、半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であり、前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅は、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅に対して長い。
本技術の第3の側面の固体撮像装置は、半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であり、前記増幅トランジスタは、前記チャネル領域の前記チャネル最上面と前記ゲート電極との間に、ゲート絶縁膜以外の絶縁膜を有する。
【0008】
本技術の第4の側面の固体撮像装置の製造方法は、増幅トランジスタのゲート電極の一部として、半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を形成し、前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であり、前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅と、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅とは同一または略同一である。
【0009】
本技術の第5の側面の電子機器は、半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向であり、前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅と、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅とは同一または略同一である固体撮像装置を備える。
【0010】
本技術の第1乃至第5の側面においては、半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタが設けられる。前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向である。さらに第1、第4、第5の側面においては、前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅と、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅とが同一または略同一とされる。さらに第2の側面においては、前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅が、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅に対して長く構成される。さらに第3の側面においては、前記増幅トランジスタが、前記チャネル領域の前記チャネル最上面と前記ゲート電極との間に、ゲート絶縁膜以外の絶縁膜を有するように構成される。
【0011】
固体撮像装置及び電子機器は、独立した装置であっても良いし、他の装置に組み込まれるモジュールであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施の形態に係る固体撮像装置の構成例を示す模式図である。
【
図4】第1基板と第2基板の所定の位置における平面図である。
【
図5】画素ユニットを1枚基板で構成した場合の断面図である。
【
図7】増幅トランジスタの第1構成例を示す図である。
【
図8】第1構成例に係る増幅トランジスタの形成方法を説明する図である。
【
図9】第1構成例に係る増幅トランジスタの形成方法を説明する図である。
【
図10】第1構成例に係る増幅トランジスタの
図6の平面図との対応関係を示す図である。
【
図11】第1構成例に係る増幅トランジスタの
図4の平面図との対応関係を示す図である。
【
図12】8個のセンサ画素で共有する場合の画素ユニットの平面図である。
【
図13】増幅トランジスタの第2構成例を示す図である。
【
図14】増幅トランジスタの第3構成例を示す図である。
【
図15】第3構成例に係る増幅トランジスタの形成方法を説明する図である。
【
図16】増幅トランジスタの第3構成例の第1変形例を示す図である。
【
図17】増幅トランジスタの第3構成例の第2変形例を示す図である。
【
図18】増幅トランジスタの第3構成例の第3変形例を示す図である。
【
図19】第3構成例の第3変形例の形成方法を説明する図である。
【
図20】増幅トランジスタの第4構成例を示す図である。
【
図21】第4構成例に係る増幅トランジスタの形成方法を説明する図である。
【
図22】増幅トランジスタの第5構成例を示す図である。
【
図23】増幅トランジスタの第6構成例を示す図である。
【
図24】第6構成例に係る増幅トランジスタの形成方法を説明する図である。
【
図25】増幅トランジスタの第7構成例を示す図である。
【
図26】第7構成例に係る増幅トランジスタの形成方法を説明する図である。
【
図27】第7構成例に係る増幅トランジスタの形成方法を説明する図である。
【
図28】イメージセンサの使用例を説明する図である。
【
図29】本技術を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像装置の構成例
2.画素ユニットの回路構成例
3.画素ユニットの積層構成例
4.画素ユニットの単層構成例
5.増幅トランジスタの第1構成例
6.増幅トランジスタの第2構成例
7.増幅トランジスタの第3構成例
8.増幅トランジスタの第3構成例の変形例
9.増幅トランジスタの第4構成例
10.増幅トランジスタの第5構成例
11.増幅トランジスタの第6構成例
12.増幅トランジスタの第7構成例
13.イメージセンサの使用例
14.電子機器への適用例
【0014】
なお、以下の説明で参照する図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる。また、図面相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0015】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれる。
【0016】
<1.固体撮像装置の構成例>
図1は、本開示の実施の形態に係る固体撮像装置の構成例を示す模式図である。
【0017】
固体撮像装置1は、
図1に示されるように、第1基板10、第2基板20、および、第3基板30の3つの基板を貼り合わせて構成されている。第1基板10、第2基板20、および、第3基板30は、この順に積層されている。
【0018】
第1基板10は、第1半導体基板11に、光電変換を行う複数のセンサ画素12を有している。複数のセンサ画素12は、第1基板10における画素領域13内に行列状に設けられている。第2基板20は、第2半導体基板21に、センサ画素12から出力された電荷に基づく画素信号を読み出す読み出し回路22を4つのセンサ画素12ごとに1つずつ有している。第2基板20は、行方向に延在する複数の画素駆動線23と、列方向に延在する複数の垂直信号線24とを有している。
【0019】
第3基板30は、第3半導体基板31に、画素信号を処理するロジック回路32を有している。ロジック回路32は、例えば、垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34、水平駆動回路35、および、システム制御回路36を有している。ロジック回路32(具体的には水平駆動回路35)は、センサ画素12ごとの出力電圧Voutを外部に出力する。ロジック回路32では、例えば、ソース電極およびドレイン電極と接する不純物拡散領域の表面に、CoSi2やNiSiなどのサリサイド(Self Aligned Silicide)プロセスを用いて形成されたシリサイドからなる低抵抗領域が形成されていてもよい。
【0020】
垂直駆動回路33は、例えば、複数のセンサ画素12を行単位で順に選択する。カラム信号処理回路34は、例えば、垂直駆動回路33によって選択された行の各センサ画素12から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路34は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各センサ画素12の受光量に応じた画素データを保持する。水平駆動回路35は、例えば、カラム信号処理回路34に保持されている画素データを順次、外部に出力する。システム制御回路36は、例えば、ロジック回路32内の各ブロック(垂直駆動回路33、カラム信号処理回路34および水平駆動回路35)の駆動を制御する。
【0021】
<2.画素ユニットの回路構成例>
図2は、固体撮像装置1の画素ユニットPUの構成例を示す回路図である。
【0022】
1つの画素ユニットPUは、
図2に示されるように、4つのセンサ画素12と、1つの読み出し回路22とで構成されている。換言すれば、1つの読み出し回路22は、4つのセンサ画素12で共有されており、4つのセンサ画素12の各出力が、共有される読み出し回路22に入力される。
【0023】
各センサ画素12は、光電変換素子であるフォトダイオードPDと、フォトダイオードPDと電気的に接続された転送トランジスタTRとを有している。
【0024】
読み出し回路22は、フローティングディフュージョンFD、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRST、及び、選択トランジスタSELを有している。なお、選択トランジスタSELは、必要に応じて省略してもよい。
【0025】
以下において、1つの読み出し回路22に接続されている4つのセンサ画素12を区別する場合、
図2に示されるように、センサ画素12
1乃至12
4と記述する。センサ画素12
1乃至12
4に含まれるフォトダイオードPDと転送トランジスタTRについても同様に、フォトダイオードPD
1乃至PD
4、および、転送トランジスタTR
1乃至TR
4のように記述する。一方、4つのセンサ画素12およびフォトダイオードPDと転送トランジスタTRを区別する必要がない場合には、下付きの添え字は省略する。
【0026】
フォトダイオードPDは、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。フォトダイオードPDのカソードが転送トランジスタTRのソースに電気的に接続されており、フォトダイオードPDのアノードが基準電位線(例えばグラウンド)に電気的に接続されている。転送トランジスタTRのドレインは、フローティングディフュージョンFDに電気的に接続され、転送トランジスタTRのゲート電極は、画素駆動線23に電気的に接続されている。
【0027】
読み出し回路22の入力端は、フローティングディフュージョンFDであり、リセットトランジスタRSTのソースが、フローティングディフュージョンFDに電気的に接続されている。リセットトランジスタRSTのドレインには、増幅トランジスタAMPのドレインとともに、所定の電源電圧VDDが供給されている。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、画素駆動線23(
図1)に電気的に接続されている。増幅トランジスタAMPのソースは、選択トランジスタSELのドレインに電気的に接続されており、増幅トランジスタAMPのゲート電極が、リセットトランジスタRSTのソースに電気的に接続されている。選択トランジスタSELのソースが、読み出し回路22の出力端となっており、垂直信号線24に電気的に接続されている。選択トランジスタSELのゲート電極は、画素駆動線23(
図1)に電気的に接続されている。
【0028】
図2の配線L1乃至L9は、後述する
図3の配線L1乃至L9と対応している。
【0029】
転送トランジスタTRは、画素駆動線23および配線L9を介してゲート電極に供給される制御信号にしたがってオン状態となると、フォトダイオードPDの電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTRを介してフォトダイオードPDから出力された電荷を一時的に保持する。リセットトランジスタRSTは、フローティングディフュージョンFDの電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRSTがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位が、電源電圧VDDにリセットされる。
【0030】
増幅トランジスタAMPは、画素信号として、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷に応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMPは、定電流源としての負荷MOS(不図示)とソースフォロア回路を構成し、フォトダイオードPDで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力する。増幅トランジスタAMPは、選択トランジスタSELがオン状態となると、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅して、その電位に応じた電圧の画素信号を、垂直信号線24を介してカラム信号処理回路34に出力する。選択トランジスタSELは、読み出し回路22からの画素信号の出力タイミングを制御する。すなわち、選択トランジスタSELがオン状態となっているときに、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷のレベルに応じた電圧の画素信号が出力可能となる。
【0031】
転送トランジスタTR、リセットトランジスタRST、増幅トランジスタAMP、および、選択トランジスタSELは、例えば、N型のMOS FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成される。
【0032】
<3.画素ユニットの積層構成例>
図3は、画素ユニットPUが形成されている第1基板10と第2基板20の断面図である。
【0033】
なお、
図3に示す断面図は、あくまで模式図であり、実際の構造を厳密に正しく示すことを目的とした図ではない。
図3に示す断面図は、固体撮像装置1に含まれる画素ユニットPUの構成を紙面でわかり易く説明するために、トランジスタや不純物拡散層の水平方向における位置を意図的に変えて示している部分を含む。
【0034】
例えば、
図3では、フローティングディフュージョンFDの一部である高濃度n型層(n型拡散層)51と、転送トランジスタTRのゲート電極TGと、高濃度p型層(p型拡散層)52とが横方向に並んで配置されているが、実際の構造では、高濃度n型層51、ゲート電極TG、及び高濃度p型層52は、紙面の垂直方向に並んで配置されている場合がある。この場合、ゲート電極TGを挟んで、紙面の手前側に高濃度n型層51及び高濃度p型層52の一方が配置され、紙面の奥側に高濃度n型層51及び高濃度p型層52の他方が配置される。画素ユニットPUの実際の配置は、後述する
図4がより正確に示している。
【0035】
固体撮像装置1は、
図3に示されるように、第1基板10と第2基板20とが積層されて積層体を構成している。第1基板10は、第1半導体基板11を有し、第1半導体基板11のおもて面11a側に第2基板20が積層されている。
【0036】
第1半導体基板11のおもて面11a側に、転送トランジスタTRがセンサ画素12ごとに設けられている。転送トランジスタTRのソースが高濃度n型層51であり、センサ画素12ごとに設けられた高濃度n型層51は、配線L2により電気的に接続され、フローティングディフュージョンFDを構成する。
【0037】
第1基板10のおもて面11a側と反対の裏面側が光入射面である。したがって、固体撮像装置1は、裏面照射型の固体撮像装置であり、光入射面である裏面側にカラーフィルタおよびオンチップレンズが設けられている。カラーフィルタおよびオンチップレンズそれぞれは、例えば、センサ画素12ごとに設けられている。
【0038】
第1基板10が有する第1半導体基板11は、例えばシリコン基板で構成されている。第1半導体基板11のおもて面11aの一部およびその近傍には、ウェル層であるp型層53(以下、pウェル53と称する。)が設けられており、pウェル53よりも深い領域に、フォトダイオードPDを構成するn型層54が設けられている。転送トランジスタTRのゲート電極TGは、第1半導体基板11のおもて面11aからpウェル53を貫通してフォトダイオードPDとしてのn型層54に達する深さまで延在している。pウェル53のコンタクト部である高濃度p型層52には、配線L1を介して基準電位(例えば、接地電位:0V)が供給されており、pウェル53の電位が基準電位に設定されている。
【0039】
第1半導体基板11には、隣り合うセンサ画素12どうしを電気的に分離する画素分離層55が設けられている。画素分離層55は、例えばDTI(Deep Trench Isolation)構造を有し、第1半導体基板11の深さ方向に延在している。画素分離層55は、例えば、酸化シリコンによって構成されている。また、第1半導体基板11において、画素分離層55とフォトダイオードPD(n型層54)との間には、p型層56とn型層57とが設けられている。画素分離層55側にp型層56が形成され、フォトダイオードPD側にn型層57が形成されている。
【0040】
第1半導体基板11のおもて面11a側には、絶縁膜58が設けられている。絶縁膜58は、例えば、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)、シリコン酸窒化膜(SiON)又はシリコン炭窒化膜(SiCN)のうちの1つ、又は、これらのうち2つ以上を積層した膜である。
【0041】
第2基板20が有する第2半導体基板21は、例えばシリコン基板で構成されている。
第2半導体基板21は、第1基板10と向かい合うおもて面21aと、おもて面21aの反対側に位置する裏面21bとを有する。
図3では、おもて面21aは下面であり、裏面21bは上面である。
【0042】
第2半導体基板21は、例えば、ウェル層であるp型層71(以下、pウェル71と称する。)で構成され、第2半導体基板21の裏面21b側に、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタSEL、および、リセットトランジスタRSTが形成されている。
【0043】
増幅トランジスタAMPとリセットトランジスタRSTとの間には、素子分離層72が形成されている。選択トランジスタSELとリセットトランジスタRSTとの間には、pウェル71のコンタクト部である高濃度p型層73が形成されており、選択トランジスタSELと高濃度p型層73との間、および、リセットトランジスタRSTと高濃度p型層73との間にも、素子分離層72が形成されている。素子分離層72は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造を有する。高濃度p型層73には、配線L1を介して基準電位(例えば、接地電位:0V)が供給されており、pウェル71の電位が基準電位に設定されている。
【0044】
増幅トランジスタAMPは、ゲート電極AGと、ドレインとしての高濃度n型層74と、ソースとしての高濃度n型層75とで構成される。増幅トランジスタAMPのゲート電極AGは、その一部が第2半導体基板21の基板面(裏面21b)から深さ方向に埋め込まれた構造を有している。
【0045】
リセットトランジスタRSTは、ゲート電極RGと、ドレインとしての高濃度n型層76と、ソースとしての高濃度n型層77とで構成される。選択トランジスタSELは、ゲート電極SGと、ドレインとしての高濃度n型層78と、ソースとしての高濃度n型層79とで構成される。
【0046】
増幅トランジスタAMPのゲート電極AGは、第1半導体基板11にセンサ画素12ごとに設けられた高濃度n型層51と、配線L2により接続されている。また、増幅トランジスタAMPのゲート電極AGは、配線L3により、リセットトランジスタRSTのソースである高濃度n型層77とも接続されている。この配線L2およびL3を含む、各センサ画素12の高濃度n型層51と、リセットトランジスタRSTのソースである高濃度n型層77とにより、フローティングディフュージョンFDが構成されている。
【0047】
増幅トランジスタAMPのドレインである高濃度n型層74と、リセットトランジスタRSTのドレインである高濃度n型層76とが、配線L4により接続されている。高濃度n型層74および高濃度n型層76には、配線L4を介して所定の電源電圧VDDが供給されている。
【0048】
増幅トランジスタAMPのソースである高濃度n型層75と、選択トランジスタSELのドレインである高濃度n型層78とが、配線L5により接続されている。
【0049】
リセットトランジスタRSTのゲート電極RGは、配線L6を介して画素駆動線23と接続されており、リセットトランジスタRSTを制御する駆動信号が、垂直駆動回路33から供給される。
【0050】
選択トランジスタSELのゲート電極SGは、配線L7を介して画素駆動線23と接続されており、選択トランジスタSELを制御する駆動信号が、垂直駆動回路33から供給される。選択トランジスタSELのソースである高濃度n型層79は、配線L8を介して垂直信号線24(
図2)と接続されており、フローティングディフュージョンFDに保持された電荷に応じた電圧の画素信号が、配線L8を介して垂直信号線24へ出力される。
【0051】
転送トランジスタTRのゲート電極TGは、配線L9を介して画素駆動線23と接続されており、転送トランジスタTRを制御する駆動信号が、垂直駆動回路33から供給される。
【0052】
第2基板20は、第2半導体基板21のおもて面21a、裏面21bの一部、及び、側面を覆う絶縁膜81を有する。絶縁膜81は、例えば、SiO、SiN、SiON又はSiCNのうちの1つ、又は、これらのうち2つ以上を積層した膜である。第1基板10の絶縁膜58と第2基板20の絶縁膜81は互いに接合されて、層間絶縁膜82を構成している。
【0053】
配線L1から配線L9の材料には、任意の金属材料を選択することができるが、例えば、第1基板10と第2基板20の積層方向に延設されている部分は、タングステン(W)で構成し、積層方向と直交する方向(例えば、水平方向)に延設されている部分は、銅(Cu)又はCuを主成分とするCu合金で構成することができる。
【0054】
図4は、第1基板10と第2基板20の積層方向の所定の位置(深さ)における画素ユニットPUの平面図である。
【0055】
より具体的には、
図4のAは、第2半導体基板21の裏面21bと同一位置の平面図であり、
図4のBは、第1半導体基板11のおもて面11aと同一位置の平面図である。
【0056】
図4のAおよびBに示されるように、第1基板10の第1半導体基板11と、第2基板の第2半導体基板21とは、実際には、同一サイズで互いに重なる位置関係にある。
【0057】
第2基板の第2半導体基板21において、増幅トランジスタAMP、選択トランジスタ、及び、リセットトランジスタRSTとからなるトランジスタ群は、平面視で、画素ユニットPUの中心側に配置され、トランジスタ群の外周に、配線L1、L2、L9などが配置されて、積層方向に貫通して、第1半導体基板11と第2半導体基板21とを電気的に接続している。
【0058】
図4のBに示されるように、1つの画素ユニットPUに含まれる4つのセンサ画素12は、画素分離層55で分離されて、画素ユニットPUの中心に対して点対称に配置されている。また、第1半導体基板11においてセンサ画素12ごとに配置される転送トランジスタTRやフローティングディフュージョンFDの一部である高濃度n型層51も、画素ユニットPUの中心に対して点対称に配置されている。
【0059】
<4.画素ユニットの単層構成例>
上述した例では、固体撮像装置1が、第1基板10、第2基板20、および、第3基板30の3つの基板を積層して構成されているとして説明したが、複数基板の積層ではなく、単一基板上に形成する構成とすることもできる。あるいはまた、
図3および
図4に示した第1基板10と第2基板20の2枚を、1枚の基板上に形成する構成とすることができる。
【0060】
図5は、
図3および
図4に示した2枚の基板(第1基板10と第2基板20)を、1枚の基板で構成した場合の断面図である。
【0061】
図5に示す断面図は、あくまで模式図であり、実際の構造を厳密に正しく示すことを目的とした図ではない点は、
図3の断面図と同様である。画素ユニットPUに含まれるトランジスタ群の実際の配置は、後述する
図6がより正確に示している。
【0062】
図5においては、
図3の断面図と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0063】
図5において、半導体基板101は、例えばシリコン基板で構成されている。半導体基板101のおもて面101aの一部およびその近傍には、ウェル層であるp型層111(以下、pウェル111と称する。)が設けられており、pウェル111よりも深い領域に、フォトダイオードPDを構成するn型層54が設けられている。pウェル111は、
図3のpウェル53およびpウェル71に対応する。
【0064】
半導体基板101のおもて面101a側と反対の裏面側が光入射面である。半導体基板101の裏面側には、カラーフィルタおよびオンチップレンズが設けられている。カラーフィルタおよびオンチップレンズそれぞれは、例えば、センサ画素12ごとに設けられている。
【0065】
半導体基板101のおもて面101a側には、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRST、選択トランジスタSEL、および、転送トランジスタTRが形成されている。これらの詳細は
図3と同様であるので、説明を省略するが、増幅トランジスタAMPのゲート電極AGは、その一部が半導体基板101の基板面(おもて面101a)から深さ方向に埋め込まれた構造を有している。増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRST等のトランジスタ群の上面は、絶縁膜112で覆われている。
【0066】
図6は、半導体基板101のおもて面101aの位置(深さ)における画素ユニットPUの平面図である。
【0067】
1つの画素ユニットPUは、センサ画素12が2x2で配置されて構成されている。画素ユニットPUの中央部に、4つのセンサ画素12で共有されるフローティングディフュージョンFDとしての高濃度n型層51が配置されている。各センサ画素12のフローティングディフュージョンFDの近傍に転送トランジスタTRが配置されている。
【0068】
1つの画素ユニットPUを構成する4つのセンサ画素12のうち、1つのセンサ画素12には、リセットトランジスタRSTが配置され、他のセンサ画素12には、選択トランジスタSELが配置され、残りの2つのセンサ画素12に、増幅トランジスタAMPが配置されている。2つのセンサ画素12に配置された増幅トランジスタAMPのゲート電極AGどうしは配線L2で接続され、ドレインとしての高濃度n型層74どうしは配線L4で接続され、ソースとしての高濃度n型層75どうしは配線L5で接続されることにより、1つの増幅トランジスタAMPとして動作する。
【0069】
以上のように構成される画素ユニットPUのセンサ画素12では、
図3および
図5に示したように、増幅トランジスタAMPのゲート電極AGの一部が、基板面から深さ方向に埋め込まれた構造を有している。このような構造を有することにより、平面形状のゲート電極を有するプレーナ―型のトランジスタよりもノイズが抑制されている。以下では、固体撮像装置1のセンサ画素12の一部である増幅トランジスタAMPの構造について、より詳細に説明する。
【0070】
<5.増幅トランジスタの第1構成例>
図7は、増幅トランジスタAMPの第1構成例を示している。
【0071】
図7のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図7のBは、
図7のAのX-X’線における断面図、
図7のCは、
図7のAのY-Y’線における断面図を示している。
【0072】
図7において、
図5と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0073】
図7のAの平面視において、増幅トランジスタAMPのゲート電極AGは、ドレインとしての高濃度n型層74と、ソースとしての高濃度n型層75との間に、配置されている。
【0074】
増幅トランジスタAMPのゲート電極AGは、
図7のBおよびCに示されるように、半導体基板101のおもて面101a(基板面)より上側の平面電極部AGHと、基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2とで構成される。第1の垂直ゲート電極部AGV1と第2の垂直ゲート電極部AGV2とを特に区別しない場合、単に、垂直ゲート電極部AGVと称する。
【0075】
図7のBの断面視において、第1の垂直ゲート電極部AGV1と第2の垂直ゲート電極部AGV2との間には、増幅トランジスタAMPのチャネル領域となるフィン部131が、pウェル111により形成されている。なお、第1構成例では、フィン部131が、pウェル111により形成されているが、フィン部131は、半導体基板のイオン注入されていない領域の場合もある。
【0076】
第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2の外側方向は、酸化膜からなる絶縁膜132で囲まれている。チャネル領域となるフィン部131と、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2との間には、増幅トランジスタAMPのゲート酸化膜として機能する酸化膜133が形成されている。絶縁膜132とpウェル111との間にも、酸化膜133が形成されている。
【0077】
図7のBの断面視において、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれは、おもて面101aから第1の深さDP1における第1の電極幅ELH1に対して、おもて面101aから第2の深さDP2における第2の電極幅ELH2が短い構造を有している。換言すれば、第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2は、断面視で、垂直ゲート電極部AGVの底面側が狭い逆テーパ形状を有している。
【0078】
一方、チャネル領域となるフィン部131については、おもて面101aから第1の深さDP1における第1のチャネル幅CH1と、基板面から第2の深さDP2における第2のチャネル幅CH2とは同一または略同一である。ここで、略同一とは、同一とみなせる程度の差分の範囲内を表し、製造誤差等によるズレなどは略同一に含まれる。
【0079】
ここで、第1の深さDP1は、第1の垂直ゲート電極部AGV1と第2の垂直ゲート電極部AGV2との間のフィン部131のおもて面101aに最も近いチャネル最上面の位置であり、第2の深さDP2は、第1の垂直ゲート電極部AGV1と第2の垂直ゲート電極部AGV2のおもて面101aから最も遠い垂直ゲート電極部AGVの底面の位置である。なお、図面では、見易さを優先して、位置を多少ずらして記載している(後述するその他の図面についても同様)。
【0080】
図7のCの断面視においても、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれは、おもて面101aから第1の深さDP1における第1の電極幅ELV1に対して、おもて面101aから第2の深さDP2における第2の電極幅ELV2が短い構造を有している。換言すれば、第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2は、断面視で、垂直ゲート電極部AGVの底面側が狭い逆テーパ形状を有している。
【0081】
以上のように、増幅トランジスタAMPは、半導体基板101のおもて面101a(基板面)から深さ方向に埋め込まれた第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2で、チャネル領域を構成するフィン部131を挟み込んだFinFET構造を有する。
【0082】
第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれは、底面側が狭い逆テーパ形状を有しており、pウェル111との接触面積が小さくなるので、寄生容量を低減することができる。寄生容量を低減できることにより、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0083】
図8および
図9を参照して、
図7に示した第1構成例に係る増幅トランジスタAMPの形成方法を説明する。
【0084】
図8のAに示されるように、pウェル111上の酸化膜133の上に、絶縁膜151、酸化膜152、および、レジスト153が、その順で形成された後、フィン部131の位置に対応してレジスト153がパターニングされる。絶縁膜151は、ハードマスクとして形成され、例えば、シリコン窒化膜(SiN)や、SiOCなどの低誘電率絶縁膜(以下、Low-k絶縁膜と称する)を採用することができる。
【0085】
そして、
図8のBに示されるように、レジスト153のパターンに応じて、絶縁膜151と酸化膜152をエッチングした後、レジスト153が除去される。
【0086】
次に、
図8のCに示されるように、酸化膜152をマスクとして、酸化膜133とpウェル111とを所定の深さまでエッチングした後、
図8のDに示されるように、熱酸化により、pウェル111表面に酸化膜133が形成される。
【0087】
次に、
図9のAに示されるように、酸化膜133の上に、絶縁膜132が、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により積み増しされた後、
図9のBに示されるように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、絶縁膜132が平坦化される。このとき、絶縁膜151が、CMPのストッパとして機能する。
【0088】
次に、
図9のCに示されるように、パターニングされたレジスト154を用いて、フィン部131の両側の絶縁膜132が、逆テーパ形状にエッチングされる。
【0089】
そして、
図9のDに示されるように、フィン部131の側面に酸化膜133が形成された後、絶縁膜151およびレジスト154が除去される。最後に、例えばCVD法を用いて、平面電極部AGHと第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2とで構成されるゲート電極AGが形成される。ゲート電極AGの材料には、例えば、ポリシリコンが用いられる。
【0090】
なお、上述した工程では、レジスト153をマスクとして、酸化膜152および絶縁膜151をエッチングする工程(
図8のB)と、酸化膜152をマスクとして、酸化膜133とpウェル111とをエッチングする工程(
図8のC)との2段階でフィン部131を形成したが、レジスト153をマスクとして、一回のエッチングで、pウェル111までエッチングし、フィン部131を形成してもよい。
【0091】
図10は、第1構成例に係る増幅トランジスタAMPと、
図6に示した画素ユニットPUの平面配置との対応関係を示している。
【0092】
図10には、
図6に示した画素ユニットPUの平面配置のX-X’線における増幅トランジスタAMPの断面図と、Y-Y’線におけるリセットトランジスタRSTの断面図が示されている。
【0093】
増幅トランジスタAMPは、
図10に示されるように、ゲート電極AGの一部である第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2が、基板面から深さ方向に埋め込まれた構造を有している。
【0094】
一方、増幅トランジスタAMP以外のその他のトランジスタであるリセットトランジスタRSTは、ゲート電極RGが基板面上にのみ形成され、基板面から深さ方向に埋め込まれない構造を有している。
【0095】
図11は、第1構成例に係る増幅トランジスタAMPと、
図4に示した画素ユニットPUの平面配置との対応関係を示している。
【0096】
図11には、
図4のAに示した画素ユニットPUの平面配置のX-X’線における増幅トランジスタAMPとリセットトランジスタRSTの断面図が示されている。
【0097】
図11においても、増幅トランジスタAMPは、ゲート電極AGの一部である第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2が、基板面から深さ方向に埋め込まれた構造を有している。
【0098】
一方、増幅トランジスタAMP以外のその他のトランジスタであるリセットトランジスタRSTは、ゲート電極RGが基板面上にのみ形成され、基板面から深さ方向に埋め込まれない構造を有している。
【0099】
図2、
図4、および
図6の画素ユニットPUは、1つの読み出し回路22を、4個のセンサ画素12で共有する回路構成であるが、例えば、1つの読み出し回路22を、8つのセンサ画素12で共有する回路構成も可能である。
【0100】
図12は、画素ユニットPUが、1つの読み出し回路22と、8個のセンサ画素12とで構成される場合の、画素ユニットPUの平面図と、増幅トランジスタAMPの断面図を示している。
【0101】
画素ユニットPUが、1つの読み出し回路22と、8個のセンサ画素12とで構成される場合、8個のセンサ画素12は、例えば、垂直方向に4個と、水平方向に2個の4×2で配置される。そして、増幅トランジスタAMP、リセットトランジスタRST、リセットトランジスタRST、および、切替トランジスタFDGは、2×2単位のセンサ画素12の垂直方向の間に配置される。なお、切替トランジスタFDGは、フローティングディフュージョンFDの容量を切り替えできる構成を採用した場合の、容量の切り替えを行うトランジスタである。
【0102】
図12には、画素ユニットPUの平面配置のX-X’線における増幅トランジスタAMPの断面図が示されている。
【0103】
図12においても、増幅トランジスタAMPは、ゲート電極AGの一部である第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2が、基板面から深さ方向に埋め込まれた構造を有している。
【0104】
<6.増幅トランジスタの第2構成例>
図13は、増幅トランジスタAMPの第2構成例を示している。
【0105】
図13のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図13のBは、
図13のAのX-X’線における断面図、
図13のCは、
図13のAのY-Y’線における断面図を示している。
【0106】
図13において、
図7に示した第1構成例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0107】
図13に示される第2構成例に係る増幅トランジスタAMPは、チャネル領域を構成するフィン部131の形状が
図7に示した第1構成例と異なり、その他の点は
図7に示した第1構成例と共通する。
【0108】
具体的には、
図7に示した第1構成例では、増幅トランジスタAMPのチャネル領域を構成するフィン部131の形状が、第1の深さDP1における第1のチャネル幅CH1と、第2の深さDP2における第2のチャネル幅CH2とが同一または略同一となるように形成されていた。
【0109】
これに対して、
図13の第2構成例では、
図13のBの断面視において、フィン部131のおもて面101aから遠い底部に近い方の側面がラウンディング形状(曲線形状)となっており、第1の深さDP1における第1のチャネル幅CH1が、第2の深さDP2における第2のチャネル幅CH2に対して短く形成されている。
【0110】
図7のBとCの断面視のいずれにおいても、第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2は、底面側が狭い逆テーパ形状を有している点は、
図7に示した第1構成例と同様である。
【0111】
図13に示した第2構成例に係る増幅トランジスタAMPにおいても、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれが、底面側が狭い逆テーパ形状を有しており、pウェル111との接触面積が小さくなるので、寄生容量を低減することができる。寄生容量を低減できることにより、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0112】
<7.増幅トランジスタの第3構成例>
図14は、増幅トランジスタAMPの第3構成例を示している。
【0113】
図14のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図14のBは、
図14のAのX-X’線における断面図、
図14のCは、
図14のAのY-Y’線における断面図を示している。
【0114】
図14において、上述した第1構成例および第2構成例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0115】
図14に示される第3構成例に係る増幅トランジスタAMPは、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2の形状が
図13に示した第2構成例と異なり、その他の点は
図13に示した第2構成例と共通する。
【0116】
具体的には、
図13に示した第2構成例では、第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2が、
図13のBとCの断面視のいずれにおいても、底面側が狭い逆テーパ形状となるように形成されていた。
【0117】
これに対して、
図14の第3構成例では、
図14のBとCの断面視のいずれにおいても、第1の垂直ゲート電極部AGV1または第2の垂直ゲート電極部AGV2と、絶縁膜132と境界面が、半導体基板101のおもて面101a(基板面)に対して垂直に形成されている。
【0118】
図14のCの断面視における第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれの第1の深さDP1における第1の電極幅ELV1と、第2の深さDP2における第2の電極幅ELV2とは同一または略同一である。
【0119】
一方、
図14のBの断面視における第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれの第1の深さDP1における第1の電極幅ELH1と、第2の深さDP2における第2の電極幅ELH2との関係は、フィン部131の底部の側面がラウンディングしている構造となっていることから、第1の深さDP1における第1の電極幅ELH1に対して、第2の深さDP2における第2の電極幅ELH2が短い関係にある。
【0120】
したがって、
図14に示した第3構成例に係る増幅トランジスタAMPにおいても、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれが、底面側が狭い形状を有しており、pウェル111との接触面積が小さくなるので、寄生容量を低減することができる。寄生容量を低減できることにより、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0121】
図15を参照して、
図14に示した第3構成例に係る増幅トランジスタAMPの形成方法を説明する。
【0122】
【0123】
図8のAと
図8のBの工程が実施された後、
図15のAに示されるように、酸化膜152をマスクとして、基板面から所定の深さとなるまで、酸化膜133およびpウェル111がエッチングされる。ドライエッチングにおける、ガス種、バイアス電圧、パワー、処理時間等のプロセス条件を調整することにより、
図15のAに示されるように、フィン部131の側面をラウンディング形状に形成することができる。また、フィン部131の側面のラウンディング形状は、意図せずに形成される場合も含む。
【0124】
その後、
図15のBに示されるように、絶縁膜151をストッパとして、積み増しされた絶縁膜132が、CMPにより平坦化される。
【0125】
その後、
図15のCに示されるように、パターニングされたレジスト154を用いた異方性エッチングにより、フィン部131の両側の絶縁膜132が、基板面に対して垂直方向にエッチングされる。
【0126】
そして、
図15のDに示されるように、フィン部131の側面に酸化膜133が形成された後、絶縁膜151およびレジスト154が除去される。最後に、例えばCVD法を用いて、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2を含むゲート電極AGが形成される。ゲート電極AGの材料には、例えば、ポリシリコンが用いられる。
【0127】
上述した工程において、pウェル111上面の酸化膜152および絶縁膜151をエッチングする工程と、酸化膜133とpウェル111とをエッチングする工程とを、一回のエッチング工程で行ってもよい点は、第1の構成例の形成方法と同様である。
【0128】
<8.増幅トランジスタの第3構成例の変形例>
(第1変形例)
図16は、
図14に示した第3構成例に係る増幅トランジスタAMPの第1変形例を示している。
【0129】
図16のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図16のBは、
図16のAのX-X’線における断面図を示している。
図16のAのY-Y’線における断面図は、
図14のCと同様であるので省略する。
【0130】
図16に示される第1変形例に係る増幅トランジスタAMPは、チャネル領域を構成するフィン部131の形状が
図14に示した第3構成例と異なり、その他の点は
図14に示した第3構成例と共通する。
【0131】
具体的には、
図16に示される第1変形例は、フィン部131のおもて面101aに近いチャネル最上面の側面がラウンディングしている構造となっている。チャネル最上面のラウンディング形状は、
図15の絶縁膜151の厚みや、ドライエッチングのプロセス条件を調整することにより、形成することができる。あるいはまた、チャネル最上面のラウンディング形状は意図せずに形成されるものであってもよい。チャネル最上面に角部が形成されると、界面準位密度が悪化し、キャリアとしての電子が捕獲されやすくなるため、ラウンディング形状とすることにより、界面準位で捕獲される電子を低減させることができる。
【0132】
図16に示した第1変形例に係る増幅トランジスタAMPにおいても、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれが、底面側が狭い形状を有しており、pウェル111との接触面積が小さくなるので、寄生容量を低減することができる。寄生容量を低減できることにより、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0133】
(第2変形例)
図17は、
図14に示した第3構成例に係る増幅トランジスタAMPの第2変形例を示している。
【0134】
図17のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図17のBは、
図17のAのX-X’線における断面図を示している。
図17のAのY-Y’線における断面図は、
図14のCと同様であるので省略する。
【0135】
図17に示される第2変形例に係る増幅トランジスタAMPは、チャネル領域を構成するフィン部131と第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2の形状が
図14に示した第3構成例と異なり、その他の点は
図14に示した第3構成例と共通する。
【0136】
具体的には、
図17に示される第2変形例は、
図17のBの断面視で示されるように、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2が、サブトレンチ172を有する構造となっている。
【0137】
第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2は、
図17のBの断面視において、フィン部131側である内側の側壁が、外側の側壁よりも深い位置まで掘り込まれることにより、サブトレンチ172が形成されている。内側の側壁の深さは、絶縁膜132とpウェル111とが酸化膜133を介して接触する接触面171よりも深くなっている。これにより、フィン部131と垂直ゲート電極部AGVとの接触面積が増大するので、チャネル領域を流れるドレイン電流を増大させることができ、これにより、相互コンダクタンスg
mを増大させることができる。相互コンダクタンスg
mの増大により、ノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0138】
図17に示した第2変形例に係る増幅トランジスタAMPにおいても、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれが、底面側が狭い形状を有しているので、寄生容量を低減することができる。寄生容量を低減できることにより、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0139】
(第3変形例)
図18は、
図14に示した第3構成例に係る増幅トランジスタAMPの第3変形例を示している。
【0140】
図18のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図18のBは、
図18のAのX-X’線における断面図を示している。
【0141】
図18に示される第3変形例に係る増幅トランジスタAMPは、ゲート電極AGの形状が
図14に示した第3構成例と異なり、その他の点は
図14に示した第3構成例と共通する。
【0142】
具体的には、
図14に示した第3構成例では、ゲート電極AGの基板面(おもて面101a)より上側の部分である平面電極部AGHの平面形状が、矩形状とされていた。
【0143】
これに対して、
図18に示される第3変形例では、
図18のAの平面図に示されるように、平面電極部AGHの平面形状が、楕円形状とされている。このような楕円形状の平面電極部AGHは、
図9のCに示した工程におけるレジスト154の平面形状を、
図19のBに示されるように楕円形状にパターニングすることで実現することができる。レジスト154の楕円形状パターンの短径方向の直径181は、
図19のAに示されるように、基板面(おもて面101a)の位置におけるゲート電極AGの幅に相当する。
【0144】
図18のAのX-X’線に対して垂直な方向の断面の第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれは、
図14のCのように、第1の深さDP1における第1の電極幅ELV1と、第2の深さDP2における第2の電極幅ELV2とは同一または略同一となるように形成してもよいし、
図7のCのように、垂直ゲート電極部AGVの底面側が狭い逆テーパ形状に形成してもよい。
【0145】
図18に示した第3変形例に係る増幅トランジスタAMPにおいても、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれが、底面側が狭い形状を有しているので、寄生容量を低減することができる。寄生容量を低減できることにより、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0146】
<9.増幅トランジスタの第4構成例>
図20は、増幅トランジスタAMPの第4構成例を示している。
【0147】
図20のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図20のBは、
図20のAのX-X’線における断面図、
図20のCは、
図20のAのY-Y’線における断面図を示している。
【0148】
図20において、上述した第1構成例乃至第3構成例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0149】
図20に示される第4構成例に係る増幅トランジスタAMPは、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2の形状と、その間のフィン部131の形状が、
図14に示した第3構成例と異なり、その他の点は
図14に示した第3構成例と共通する。
【0150】
具体的には、
図14に示した第3構成例では、
図14のBの断面視において、フィン部131の底部に近い方の側面がラウンディング形状(曲線形状)となっていた。また、第1の垂直ゲート電極部AGV1または第2の垂直ゲート電極部AGV2と、絶縁膜132と境界面が、半導体基板101のおもて面101a(基板面)に対して垂直に形成されていた。これにより、第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2それぞれは、第1の深さDP1における第1の電極幅ELH1に対して、第2の深さDP2における第2の電極幅ELH2が短い断面形状となっていた。
【0151】
これに対して、
図20の第4構成例では、
図20のBの断面視に示されるように、フィン部131の第1の深さDP1における第1のチャネル幅CH1が、第2の深さDP2における第2のチャネル幅CH2に対して長い関係となるように、フィン部131が形成されている。第1の垂直ゲート電極部AGV1または第2の垂直ゲート電極部AGV2と、絶縁膜132と境界面は、半導体基板101のおもて面101a(基板面)に対して垂直に形成されている。これにより、第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2それぞれは、第1の深さDP1における第1の電極幅ELH1に対して、第2の深さDP2における第2の電極幅ELH2が長い断面形状となっている。
【0152】
図20の第4構成例に係る増幅トランジスタAMPにおいては、第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2それぞれの底面におけるpウェル111との接触面積は、上述した第1構成例乃至第3構成例と比較して大きくなるので、寄生容量の観点では、第1構成例乃至第3構成例よりも大きくなる。
【0153】
一方で、
図20の第4構成例では、チャネル領域を形成するフィン部131の底部が上部よりも狭くなっている。換言すれば、第1のチャネル幅CH1が第2のチャネル幅CH2に対して長くなるように、フィン部131が形成されている。このように、フィン部131の底部を上部よりも狭く形成することにより、pウェル111との間口が狭くなるので、pウェル111の影響を抑えることができる。pウェル111の影響を低減することにより、チャネル領域を流れるドレイン電流を増大させることができるので、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0154】
図21を参照して、
図20に示した第4構成例に係る増幅トランジスタAMPの形成方法を説明する。
【0155】
第4構成例の形成方法を説明する
図21は、
図8に示した第1構成例の形成方法のうち、共通する工程の一部を省略した図に相当する。
図21のAは、
図8のCに対応し、
図21のBは、
図9のBに対応する。
図21のCは、
図9のCに対応し、
図21のDは、
図9のDに対応する。
【0156】
図8のAと
図8のBの工程が実施された後、
図21のAに示されるように、酸化膜152をマスクとして、基板面から所定の深さとなるまで、酸化膜133およびpウェル111がエッチングされる。ドライエッチングにおける、ガス種、バイアス電圧、パワー、処理時間等のプロセス条件を調整することにより、
図21のAに示されるように、フィン部131の底部が上部よりも狭い逆テーパ形状に形成することができる。
【0157】
その後、
図21のBに示されるように、絶縁膜151をストッパとして、積み増しされた絶縁膜132が、CMPにより平坦化される。
【0158】
その後、
図21のCに示されるように、パターニングされたレジスト154を用いた異方性エッチングにより、絶縁膜132が、基板面に対して垂直方向にエッチングされる。基板面に対して垂直にエッチングされると、逆テーパ形状のフィン部131の側面に絶縁膜132が残るので、フィン部131の側面が絶縁膜132で保護された状態となる。これにより、エッチングの際のフィン部131の側面の界面ダメージを抑えることができる。
【0159】
そして、フィン部131の側面に残った絶縁膜132を除去し、ゲート酸化膜となる酸化膜133が形成された後、絶縁膜151およびレジスト154が除去される。最後に、
図21のDに示されるように、例えばCVD法を用いて、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2を含むゲート電極AGが形成される。ゲート電極AGの材料には、例えば、ポリシリコンが用いられる。
【0160】
上述した工程において、pウェル111上面の酸化膜152および絶縁膜151をエッチングする工程と、酸化膜133とpウェル111とをエッチングする工程とを、一回のエッチング工程で行ってもよい点は、第1の構成例の形成方法と同様である。
【0161】
<10.増幅トランジスタの第5構成例>
図22は、増幅トランジスタAMPの第5構成例を示している。
【0162】
図22のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図22のBは、
図22のAのX-X’線における断面図、
図22のCは、
図22のAのY-Y’線における断面図を示している。
【0163】
図22において、上述した第1構成例乃至第4構成例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0164】
図22に示される第5構成例に係る増幅トランジスタAMPは、
図7に示した第1構成例の第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2の構造と、
図20に示した第4構成例のフィン部131の構造とを組み合わせた構造を有する。
【0165】
具体的には、チャネル領域を形成するフィン部131の断面形状については、
図22の第5構成例は、
図20に示した第4構成例と同様に、底部が上部よりも狭い逆テーパ形状を有する。一方、第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2の断面形状については、
図22の第5構成例は、
図7に示した第1構成例と同様に、垂直ゲート電極部AGVの底面側が狭い逆テーパ形状を有している。フィン部131と垂直ゲート電極部AGV以外の構成は、
図7に示した第1構成例、および、
図20に示した第4構成例と同様である。
【0166】
図22の第5構成例によれば、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2それぞれの断面形状が、底面側が狭い逆テーパ形状であることにより、寄生容量を低減することができる。また、チャネル領域を形成するフィン部131の断面形状が、底部が上部よりも狭い逆テーパ形状であることにより、pウェル111の影響を抑えることができる。このような垂直ゲート電極部AGVとフィン部131の形状により、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0167】
<11.増幅トランジスタの第6構成例>
図23は、増幅トランジスタAMPの第6構成例を示している。
【0168】
図23のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図23のBは、
図23のAのX-X’線における断面図、
図23のCは、
図23のAのY-Y’線における断面図を示している。
【0169】
図23において、上述した第1構成例乃至第5構成例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0170】
図23に示される第6構成例に係る増幅トランジスタAMPは、フィン部131の形状が、
図14に示した第3構成例と異なり、その他の点は
図14に示した第3構成例と共通する。
【0171】
具体的には、
図14に示した第3構成例では、
図14のBの断面視において、フィン部131の底部に近い方の側面がラウンディング形状となっていた。
【0172】
これに対して、
図23の第6構成例では、
図23のBの断面視において、フィン部131の形状がボウイング形状(弓なり形状)となっている。換言すれば、フィン部131の最上部である第1の深さDP1と、底部である第2の深さDP2の中間位置である第3の深さDP3における第3のチャネル幅CH3が、第1の深さDP1における第1のチャネル幅CH1に対して短く、かつ、第2の深さDP2における第2のチャネル幅CH2に対しても短い関係となるように、フィン部131が形成されている。
【0173】
図23の第6構成例によれば、フィン部131の深さ方向の中間部を上部よりも狭く形成することにより、pウェル111との間口が狭くなるので、pウェル111の影響を抑えることができる。pウェル111の影響を低減することにより、チャネル領域を流れるドレイン電流を増大させることができるので、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0174】
なお、
図23の第6構成例では、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2の絶縁膜132と境界面がおもて面101a(基板面)に対して垂直に形成されているが、
図22に示した第5構成例のように、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2の断面形状を逆テーパ形状としてもよい。
【0175】
図24を参照して、
図23に示した第6構成例に係る増幅トランジスタAMPの形成方法を説明する。
【0176】
【0177】
図8のAと
図8のBの工程が実施された後、
図24のAに示されるように、酸化膜152をマスクとして、基板面から所定の深さとなるまで、酸化膜133およびpウェル111がエッチングされる。ドライエッチングにおける、ガス種、バイアス電圧、パワー、処理時間等のプロセス条件を調整することにより、
図24のAに示されるように、フィン部131の中間部が最上部および底部よりも狭いボウイング形状に形成することができる。
【0178】
その後、
図24のBに示されるように、絶縁膜151をストッパとして、積み増しされた絶縁膜132が、CMPにより平坦化される。
【0179】
その後、
図24のCに示されるように、パターニングされたレジスト154を用いた異方性エッチングにより、絶縁膜132が、基板面に対して垂直方向にエッチングされる。基板面に対して垂直にエッチングされると、ボウイング形状のフィン部131の側面に絶縁膜132が残るので、フィン部131の側面が絶縁膜132で保護された状態となる。これにより、エッチングの際のフィン部131の側面の界面ダメージを抑えることができる。
【0180】
そして、フィン部131の側面の絶縁膜132を除去し、ゲート酸化膜となる酸化膜133が形成された後、絶縁膜151およびレジスト154が除去される。最後に、
図24のDに示されるように、例えばCVD法を用いて、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2を含むゲート電極AGが形成される。ゲート電極AGの材料には、例えば、ポリシリコンが用いられる。
【0181】
上述した工程において、pウェル111上面の酸化膜152および絶縁膜151をエッチングする工程と、酸化膜133とpウェル111とをエッチングする工程とを、一回のエッチング工程で行ってもよい点は、第1の構成例の形成方法と同様である。
【0182】
<12.増幅トランジスタの第7構成例>
図25は、増幅トランジスタAMPの第7構成例を示している。
【0183】
図25のAは、増幅トランジスタAMPの平面図であり、
図25のBは、
図25のAのX-X’線における断面図、
図25のCは、
図25のAのY-Y’線における断面図を示している。
【0184】
図25において、上述した第1構成例乃至第6構成例と対応する部分については同一の符号を付してあり、その部分の説明は適宜省略する。
【0185】
図25に示される第7構成例は、フィン部131の形状については、
図7に示した第1構成例と同様に、第1の深さDP1における第1のチャネル幅CH1と、第2の深さDP2における第2のチャネル幅CH2とが、同一または略同一の形状を有している。
【0186】
一方、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2の形状については、
図14に示した第3構成例と同様に、絶縁膜132と境界面が、半導体基板101のおもて面101a(基板面)に対して垂直に形成されている。
【0187】
また、ゲート絶縁膜としての酸化膜133と、ゲート電極AG(の平面電極部AGH)との間に、ゲート絶縁膜以外の絶縁膜151が形成されている。この絶縁膜151は、上述した第1構成例乃至第6構成例の形成方法において、ハードマスクとして使用した絶縁膜が除去されずに配置されたものである。第7構成例のその他の点は
図14の第3構成例と同様である。
【0188】
フィン部131の上面に形成された絶縁膜151によれば、チャネル領域(フィン部131)の上部に流れるドレイン電流を抑制し、界面準位密度を低減させることができる。界面準位で捕獲される電子(キャリア)が減るので、ノイズが低減される。したがって、増幅トランジスタAMPに発生するノイズを低減し、SN比を向上させることができる。
【0189】
なお、図示は省略するが、上述した第1構成例乃至第6構成例またはその変形例に係る増幅トランジスタAMPにおいて、ハードマスクとして使用した絶縁膜151を、そのまま残存させた構造も採用可能である。
【0190】
図26および
図27を参照して、
図25に示した第7構成例に係る増幅トランジスタAMPの形成方法を説明する。
【0191】
【0192】
CMPにより、絶縁膜132と絶縁膜151とが同一平面とされた
図26のCに示される状態から、例えば、ウェットエッチングにより、
図26のDに示されるように、絶縁膜132が所定の深さだけ除去される。
【0193】
そして、
図27のAに示されるように、絶縁膜151をさらに追加形成した後、
図27のBに示されるように、パターニングされたレジスト154を用いた異方性エッチングにより、フィン部131の両側の絶縁膜132が、基板面に対して垂直方向にエッチングされる。
【0194】
そして、フィン部131の側面に酸化膜133が形成された後、
図27のCに示されるように、絶縁膜151を除去せずに残したまま、CVD法等を用いて、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2を含むゲート電極AGが形成される。ゲート電極AGの材料には、例えば、ポリシリコンが用いられる。絶縁膜151を除去せずに残したままとすることで、チャネル領域となるフィン部131をセルフアラインで形成することができる。
【0195】
あるいはまた、絶縁膜151を除去してから、第1および第2の垂直ゲート電極部AGV1およびAGV2を含むゲート電極AGを、CVD法等を用いて形成してもよく、この場合、第7構成例に係る増幅トランジスタAMPは、
図27のDに示されるようになる。
【0196】
上述した工程において、pウェル111上面の酸化膜152および絶縁膜151をエッチングする工程と、酸化膜133とpウェル111とをエッチングする工程とを、一回のエッチング工程で行ってもよい点は、第1の構成例の形成方法と同様である。
【0197】
<13.イメージセンサの使用例>
図28は、上述の固体撮像装置1を用いたイメージセンサの使用例を示す図である。
【0198】
上述の固体撮像装置1を用いたイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0199】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0200】
<14.電子機器への適用例>
本技術は、固体撮像装置への適用に限られるものではない。即ち、本技術は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に固体撮像装置を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に固体撮像装置を用いる電子機器全般に対して適用可能である。固体撮像装置は、ワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0201】
図29は、本技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0202】
図29の撮像装置300は、レンズ群などからなる光学部301、
図1の固体撮像装置1の構成が採用される固体撮像装置(撮像デバイス)302、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路303を備える。また、撮像装置300は、フレームメモリ304、表示部305、記録部306、操作部307、および電源部308も備える。DSP回路303、フレームメモリ304、表示部305、記録部306、操作部307および電源部308は、バスライン309を介して相互に接続されている。
【0203】
光学部301は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像装置302の撮像面上に結像する。固体撮像装置302は、光学部301によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。この固体撮像装置302として、
図1の固体撮像装置1、即ち、チャネル領域を構成するフィン部131を第1の垂直ゲート電極部AGV1および第2の垂直ゲート電極部AGV2で挟み込んだFinFET構造を有する増幅トランジスタAMPを画素回路に備える固体撮像装置を用いることができる。
【0204】
表示部305は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の薄型ディスプレイで構成され、固体撮像装置302で撮像された動画または静止画を表示する。記録部306は、固体撮像装置302で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0205】
操作部307は、ユーザによる操作の下に、撮像装置300が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部308は、DSP回路303、フレームメモリ304、表示部305、記録部306および操作部307の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0206】
上述したように、固体撮像装置302として、上述した第1構成例乃至第7構成例またはその変形例に係る増幅トランジスタAMPを有する固体撮像装置1を用いることで、出力する画素信号のノイズを低減し、SN比を向上させることができる。従って、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置300においても、撮像画像の高画質化を図ることができる。
【0207】
上述した例では、第1導電型をP型、第2導電型をN型として、電子を信号電荷とした固体撮像装置について説明したが、本技術は正孔を信号電荷とする固体撮像装置にも適用することができる。すなわち、第1導電型をN型とし、第2導電型をP型として、前述の各半導体領域を逆の導電型の半導体領域で構成することができる。
【0208】
また、本技術は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像装置への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像装置や、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像装置(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
【0209】
また、本技術は、固体撮像装置に限らず、他の半導体集積回路を有する半導体装置全般に対して適用可能である。
【0210】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0211】
なお、本技術は、以下の構成を取ることができる。
(1)
半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、
前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、
前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、
前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向である
固体撮像装置。
(2)
前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅は、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅に対して短い
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
断面視において、前記チャネル領域の前記基板面から遠い底部に近い方の側面が、曲線形状とされている
前記(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅と、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅とは同一または略同一である
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(5)
前記第1の深さにおける前記チャネル領域の第1のチャネル幅は、前記第2の深さにおける前記チャネル領域の第2のチャネル幅に対して長い
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(6)
前記第1の深さと前記第2の深さの中間位置である第3の深さにおけるチャネル幅は、前記第1の深さにおけるチャネル幅に対して短い
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(7)
前記第3の深さにおけるチャネル幅は、前記第2の深さにおけるチャネル幅に対しても短い
前記(6)に記載の固体撮像装置。
(8)
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部は、断面視で、前記垂直ゲート電極部底面側が狭い逆テーパ形状を有する
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(9)
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部は、断面視で、前記チャネル領域側である内側の側壁が、外側の側壁よりも深い位置まで掘り込まれたサブトレンチを有する
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(10)
前記増幅トランジスタは、前記チャネル領域の前記チャネル最上面と前記ゲート電極との間に、ゲート絶縁膜以外の絶縁膜を有する
前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(11)
前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部とからなる平面形状は、矩形状である
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(12)
前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部とからなる平面形状は、楕円形状である
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(13)
増幅トランジスタのゲート電極の一部として、半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を形成し、
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、
前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、
前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、
前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向である
固体撮像装置の製造方法。
(14)
半導体基板の基板面から深さ方向に埋め込まれた第1および第2の垂直ゲート電極部を含むゲート電極を有する増幅トランジスタを備え、
前記第1の垂直ゲート電極部および前記第2の垂直ゲート電極部それぞれは、前記基板面から第1の深さにおける第1の電極幅に対して、前記基板面から第2の深さにおける第2の電極幅が短い構造を有し、
前記第1の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部との間のチャネル領域の前記基板面に最も近いチャネル最上面の位置であり、
前記第2の深さは、前記第1の垂直ゲート電極部と前記第2の垂直ゲート電極部の前記基板面から最も遠い垂直ゲート電極部底面の位置であり、
前記第1の電極幅および前記第2の電極幅の方向は、前記チャネル領域のチャネル幅と同一の方向である
固体撮像装置
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0212】
1 固体撮像装置, 10 第1基板, 11 第1半導体基板, 12 センサ画素, 20 第2基板, 21 第2半導体基板, 22 読み出し回路, 30 第3基板, 101 半導体基板, 131 フィン部, 132 絶縁膜, 133 酸化膜, 151 絶縁膜, AMP 増幅トランジスタ, AG ゲート電極, AGV1 第1の垂直ゲート電極部 AGV2 第2の垂直ゲート電極部, CH1 第1のチャネル幅, CH2 第2のチャネル幅, CH3 第3のチャネル幅, DP1 第1の深さ, DP2 第2の深さ, DP3 第3の深さ, ELH1 第1の電極幅, ELH2 第2の電極幅, ELV1 第1の電極幅, ELV2 第2の電極幅, 300 撮像装置, 302 固体撮像装置