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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20231218BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231218BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G15/00 303
G03G21/00 312
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019164955
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021043318
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【弁理士】
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】笹目 大樹
(72)【発明者】
【氏名】秋月 智雄
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄介
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-109544(JP,A)
【文献】特開2016-024327(JP,A)
【文献】特開2003-173094(JP,A)
【文献】特開2015-118347(JP,A)
【文献】特開2016-139086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な感光体と、
前記感光体の表面を帯電処理する帯電部と、
帯電処理された前記感光体の表面を画像情報に基づいて露光して前記感光体上に静電像を形成する露光部と、
前記感光体上の静電像にトナーを供給して前記感光体上にトナー像を形成する現像部と、
前記感光体上のトナー像を転写位置で被転写体に転写させる転写部と、
前記転写部に前記転写のための転写電流を供給する電源と、
前記電源を制御する制御部と、
を有し、
前記被転写体であるか又は前記被転写体からトナー像が転写される記録材であって、前記感光体の周長よりも搬送方向の長さが長い記録材に画像を形成することが可能な画像形成装置において、
前記制御部は、第1のトナー像を前記感光体に形成した後に、前記第1のトナー像と同じ記録材に転写されるハーフトーン画像を前記感光体に形成する場合であって、前記感光体の表面の移動方向に関する前記ハーフトーン画像の1周期前の位置の少なくとも一部を含む前記感光体の領域に前記第1のトナー像を形成する場合に、前記第1のトナー像を前記被転写体に転写する際の前記転写電流の値を、第1の値と、前記第1の値よりも絶対値が大きい第2の値と、の間で変更可能であり、前記感光体の表面の移動方向と略直交する方向に関して前記第1のトナー像と前記ハーフトーン画像とのそれぞれの少なくとも一部が重なる位置に前記第1のトナー像と前記ハーフトーン画像とが形成される場合に、前記第1のトナー像を前記被転写体に転写する際の前記転写電流の値を前記第2の値とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ハーフトーン画像は、印字率が5%以上、80%以下の画像であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、更に前記第1のトナー像が予め設定された所定の条件を満たす画像パターンである場合に、前記第1のトナー像を前記被転写体に転写する際の前記転写電流の値を前記第2の値とすることを特徴とする請求項又はに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の条件を満たす画像パターンは、ライン画像、テキスト画像、及び孤立したベタ画像のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記感光体の複数周期にわたる、1つの記録材に転写されるトナー像が形成され得る前記感光体の領域を、前記感光体の表面の移動方向に関して複数の分割領域に分割した場合に、各分割領域が前記転写位置を通過する期間ごとに前記転写電流の値を変更可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体の表面の移動方向に関する前記複数の分割領域のそれぞれの長さは、前記感光体の周長以下であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体から前記被転写体へのトナー像の転写の後に前記感光体の表面に残留したトナーは、前記現像部によって回収されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
回転可能な感光体と、
前記感光体の表面を帯電処理する帯電部と、
帯電処理された前記感光体の表面を画像情報に基づいて露光して前記感光体上に静電像を形成する露光部と、
前記感光体上の静電像にトナーを供給して前記感光体上にトナー像を形成する現像部と、
前記感光体上のトナー像を転写位置で被転写体に転写させる転写部と、
前記転写部に前記転写のための転写電流を供給する電源と、
前記電源を制御する制御部と、
を有し、
前記被転写体であるか又は前記被転写体からトナー像が転写される記録材であって、前記感光体の周長よりも搬送方向の長さが長い記録材に画像を形成することが可能な画像形成装置において、
前記制御部は、第1のトナー像を前記感光体に形成した後に、前記第1のトナー像と同じ記録材に転写される第2のトナー像を前記感光体に形成する場合であって、前記感光体の表面の移動方向に関する前記第2のトナー像の1周期前の位置の少なくとも一部を含む前記感光体の領域に前記第1のトナー像を形成する場合に、前記第1のトナー像を前記被転写体に転写する際の前記転写電流の値を、前記第2のトナー像に関する前記画像情報に基づいて、第1の値と、前記第1の値よりも絶対値が大きい第2の値と、の間で変更可能であり、前記感光体の複数周期にわたる、1つの記録材に転写されるトナー像が形成され得る前記感光体の領域を、前記感光体の表面の移動方向に関して複数の分割領域に分割した場合に、各分割領域が前記転写位置を通過する期間ごとに前記転写電流の値を変更可能であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ(LEDプリンタ、レーザービームプリンタなど)、ファクシミリ装置などの電子写真方式を用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置では、電子写真用の感光体の表面が帯電装置によって一様に帯電処理され、帯電処理された感光体の表面が露光装置によって画像情報に従って露光されて、感光体上に静電潜像が形成される。電子写真用の感光体は、回転可能なドラム型やエンドレスベルト型とされ、所定の周速度で回転駆動される。以下、感光体が感光ドラムである場合を例として説明する。感光ドラム上に形成された静電潜像は、現像装置により現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム上にトナー像が形成される。感光ドラム上に形成されたトナー像は、転写装置によって記録材に転写される。その後、定着装置により記録材上にトナー像が定着(溶融、固着)され、記録材は画像形成装置の外部に排出(出力)される。転写工程後に感光ドラム上に残留した転写残トナーは、クリーニング装置によって除去される。
【0003】
一般に、感光ドラムの周長よりも記録材の搬送方向の長さの方が長いため、1枚の記録材に転写される画像は、感光ドラムが複数周にわたり回転する間に感光ドラムの複数周期に分割されて形成される。このとき、感光ドラムの前周期における画像形成の履歴が、感光ドラムの次周期の画像形成に影響を与え、良好な画像形成が行えない場合がある。
【0004】
例えば、画像形成後の感光ドラムの表面は、形成された画像パターンに応じて表面電位が不均一化している。この状態で次周期の帯電工程を行った場合、前周期の画像パターンによっては、感光ドラムの表面を均一に帯電させることができず、次周期の露光工程において所望の静電潜像を形成できない場合がある。このような、感光ドラムの前周期の画像パターンが感光ドラムの次周期の画像形成に影響を与えて発生する画像不良の一つとして「ゴースト画像」がある。ゴースト画像とは、例えばコントラストの強い画像パターンを形成した後にハーフトーン画像を形成した場合に、ハーフトーン画像中に前周期の画像パターンが浮き出てしまう画像不良である。
【0005】
従来、ゴースト画像の発生を抑制するために、特許文献1に記載されるような方法が知られている。つまり、LEDなどの光源を有する帯電前露光装置により感光ドラムの表面に一様に光を照射(全面露光)し、前周期の露光工程による感光ドラムの表面の明部電位(画像部電位)と暗部電位(非画像部電位)との間の電位差を均す(帯電前露光)。これにより、次周期の帯電工程で感光ドラムの表面を均一に帯電させることができるようにし、ゴースト画像の発生を抑制する。
【0006】
また、近年では、特許文献2に記載されるような、転写工程後の感光ドラムの表面をクリーニングする特別のクリーニング装置を有していない、「クリーナーレスプロセス」を採用した画像形成装置がある。クリーナーレスプロセスを採用した画像形成装置では、転写工程後に感光ドラム上に残留した転写残トナーは、現像装置によって「現像同時クリーニング」で回収されて再利用される。現像同時クリーニングとは、転写工程後に感光ドラム上に残留した転写残トナーを次工程以後の現像時に回収バイアス(現像装置が備える現像部材に印加される直流電圧と感光ドラムの表面電位との間の電位差)によって回収する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5197264号公報
【文献】特開2000-284570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、所望の静電潜像を形成できないことによるゴースト画像の発生を抑制するためには、前周期の画像形成後の感光ドラムの表面電位を均一化することが望まれる。しかし、前述のような帯電前露光を行うためには、LEDなどの光源、光源から出た光を感光ドラムの長手方向に関して均一に照射するためのライトガイドなどが必要である。そのため、画像形成装置、あるいは画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジの小型化、軽量化、低コスト化には不利である。また、帯電前露光を行う場合であっても、帯電前露光を行う前に感光ドラムの表面電位をより均一な状態とすることは、帯電前露光のための光源の出力の低減、ライトガイドの構成の簡易化などの観点から有効である。
【0009】
また、前述のようなクリーナーレスプロセスを採用した画像形成装置では、前周期の画像形成後の転写残トナーの現像同時クリーニングを行う際に、次周期の画像形成で形成する画像パターンによっては、所望の回収バイアスを得ることができないことがある。その場合、前周期の画像形成後に感光ドラム上に残留した転写残トナーを次周期の現像時に回収しきれずに、そのトナーが該次周期の画像パターンに浮き出てしまうことがある。この現象は、前述した所望の静電潜像を形成できないことによるゴースト画像とは発生メカニズムが異なるが、感光ドラムの前周期の画像形成が感光ドラムの次周期の画像形成に影響を及ぼす点で共通しており、同様に「ゴースト画像」と呼ばれる。
【0010】
したがって、本発明は、回転可能な感光体の前周期の画像形成が該感光体の次周期の画像形成に影響を与えることによるゴースト画像の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転可能な感光体と、前記感光体の表面を帯電処理する帯電部と、帯電処理された前記感光体の表面を画像情報に基づいて露光して前記感光体上に静電像を形成する露光部と、前記感光体上の静電像にトナーを供給して前記感光体上にトナー像を形成する現像部と、前記感光体上のトナー像を転写位置で被転写体に転写させる転写部と、前記転写部に前記転写のための転写電流を供給する電源と、前記電源を制御する制御部と、を有し、前記被転写体であるか又は前記被転写体からトナー像が転写される記録材であって、前記感光体の周長よりも搬送方向の長さが長い記録材に画像を形成することが可能な画像形成装置において、前記制御部は、第1のトナー像を前記感光体に形成した後に、前記第1のトナー像と同じ記録材に転写されるハーフトーン画像を前記感光体に形成する場合であって、前記感光体の表面の移動方向に関する前記ハーフトーン画像の1周期前の位置の少なくとも一部を含む前記感光体の領域に前記第1のトナー像を形成する場合に、前記第1のトナー像を前記被転写体に転写する際の前記転写電流の値を、第1の値と、前記第1の値よりも絶対値が大きい第2の値と、の間で変更可能であり、前記感光体の表面の移動方向と略直交する方向に関して前記第1のトナー像と前記ハーフトーン画像とのそれぞれの少なくとも一部が重なる位置に前記第1のトナー像と前記ハーフトーン画像とが形成される場合に、前記第1のトナー像を前記被転写体に転写する際の前記転写電流の値を前記第2の値とすることを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の態様によると、回転可能な感光体と、前記感光体の表面を帯電処理する帯電部と、帯電処理された前記感光体の表面を画像情報に基づいて露光して前記感光体上に静電像を形成する露光部と、前記感光体上の静電像にトナーを供給して前記感光体上にトナー像を形成する現像部と、前記感光体上のトナー像を転写位置で被転写体に転写させる転写部と、前記転写部に前記転写のための転写電流を供給する電源と、前記電源を制御する制御部と、を有し、前記被転写体であるか又は前記被転写体からトナー像が転写される記録材であって、前記感光体の周長よりも搬送方向の長さが長い記録材に画像を形成することが可能な画像形成装置において、前記制御部は、第1のトナー像を前記感光体に形成した後に、前記第1のトナー像と同じ記録材に転写される第2のトナー像を前記感光体に形成する場合であって、前記感光体の表面の移動方向に関する前記第2のトナー像の1周期前の位置の少なくとも一部を含む前記感光体の領域に前記第1のトナー像を形成する場合に、前記第1のトナー像を前記被転写体に転写する際の前記転写電流の値を、前記第2のトナー像に関する前記画像情報に基づいて、第1の値と、前記第1の値よりも絶対値が大きい第2の値と、の間で変更可能であり、前記感光体の複数周期にわたる、1つの記録材に転写されるトナー像が形成され得る前記感光体の領域を、前記感光体の表面の移動方向に関して複数の分割領域に分割した場合に、各分割領域が前記転写位置を通過する期間ごとに前記転写電流の値を変更可能であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転可能な感光体の前周期の画像形成が該感光体の次周期の画像形成に影響を与えることによるゴースト画像の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施例の画像形成装置の概略断面図である。
図2】画像形成装置の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。
図3】画像パターンの一例の模式図である。
図4】画像情報の解析方法の一例を説明するための模式図である。
図5】画像情報の解析方法の他の例を説明するための模式図である。
図6】画像情報の解析方法の他の例を説明するための模式図である。
図7】比較例の画像形成装置の概略断面図である。
図8】評価試験で用いた画像の模式図である。
図9】他の実施例の画像形成装置の概略断面図である。
図10】転写効率と画像の鮮鋭度と転写電流値との関係を示すグラフ図である。
図11】ハーフトーン画像の感光ドラムの表面電位を説明するための模式図である。
図12】評価試験で用いた画像の模式図である。
図13】転写電流値の制御の手順の概略を示すフローチャート図である。
図14】中間転写方式の画像形成装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いたモノクロレーザービームプリンタである。
【0016】
回転可能な感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1は、駆動源としての駆動モータ(図示せず)によって図中矢印R1方向(時計回り方向)に回転駆動される。本実施例では、感光ドラム1は、200mm/secの周速度(プロセススピード)で回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段(帯電部)としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電工程時に、帯電ローラ2には、帯電電圧印加手段としての帯電電源E1から、負極性の直流電圧である所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段(露光部)としての露光装置(レーザー光学系、レーザースキャナ)3から画像情報に基づいて照射されるレーザー光Lによって走査露光される。これにより、露光部分の電荷の少なくとも一部が除去されて、感光ドラム1上に静電潜像(静電像)が形成される。
【0017】
感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像手段(現像部)としての現像装置5によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。現像装置5は、現像剤としての非磁性一成分現像剤であるブラック色のトナーを収容する現像容器5a、現像部材(現像剤担持体)としての現像ローラ5b、規制部材としての現像ブレード5cなどを有して構成される。現像ローラ5bは、駆動源としての駆動モータ(図示せず)によって図中矢印r方向(反時計回り方向)に回転駆動される。現像容器5a内のトナーが現像ローラ5b上に供給され、現像ローラ5bの回転に伴って現像ブレード5cによって現像ローラ5b上のトナーの層厚が規制されると共にトナーに摩擦帯電電荷が付与される。現像ローラ5b上にコートされたトナー層は、現像ローラ5bの回転に伴って感光ドラム1と現像ローラ5bとの対向部(現像位置)に搬送される。また、現像工程時に、現像ローラ5bには、現像電圧印加手段としての現像電源E2から、負極性の直流電圧である所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。なお、本実施例では、現像工程時に、現像ローラ5bは感光ドラム1の表面に当接させられる。これにより、現像ローラ5bから感光ドラム1上の静電潜像にトナーが移動して付着する。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることによって電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部分(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像)。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
【0018】
感光ドラム1と対向して、転写手段(転写部)としてのローラ状の転写部材である転写ローラ12が配置されている。転写ローラ12は感光ドラム1に向けて押圧され、感光ドラム1と転写ローラ12との接触部である転写ニップ(転写位置)Nを形成する。記録用紙などの記録材Pは、記録材カセット7に収納されており、給送ローラ8によって記録材カセット7から1枚ずつされ、搬送ローラ対9によって搬送され、転写前ガイド11によってガイドされながら転写ニップNへと搬送される。このとき、記録材Pは、トップセンサ10によって先端が検知され、感光ドラム1上のトナー像とタイミングが合わされて転写ニップNへと搬送される。上述のようにして感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写ニップNにおいて、転写ローラ12の作用によって、感光ドラム1と転写ローラ12とに挟持されて搬送される記録材P上に転写される。転写工程時に、転写ローラ12には、転写電圧印加手段としての転写電源E3から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である転写電圧(転写バイアス)が印加される。これにより、感光ドラム1と転写ローラ12との間に形成される転写電界により、感光ドラム1上のトナー像が記録材P上の所定の位置に転写される。本実施例では、画像形成時(転写工程時)に転写ローラ12に印加する電圧は、転写ローラ12に流れる電流値(転写電流値)が一定になるように転写電源E3の出力電圧値を調整する定電流制御で制御される。また、本実施例では、画像形成時の転写電流値は、詳しくは後述するように、画像情報に応じた最適な値に設定される。なお、電流値に関する大小は、特に明示しない場合も、絶対値で比較した場合のものを言うものとする。本実施例では、感光ドラム1の表面は負極性に帯電処理され、転写ローラ12には正極性の電圧が印加されるため、転写ニップNでは転写ローラ12から感光ドラム1へと電流が流れる。
【0019】
トナー像が転写された記録材Pは、搬送ガイド13に沿って定着手段としての定着装置14へと搬送される。定着装置14は、駆動ローラ14aと、ヒータ14bを内蔵する定着ローラ14cと、を有する。定着装置14は、駆動ローラ14aと定着ローラ14cとで記録材Pを挟持して搬送する過程で記録材Pに熱及び圧力を印加して、トナー像を記録材Pに定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された後の記録材Pは、排出ローラ15によって画像形成装置100の装置本体Mの上面に設けられた排出トレイ16上に排出(出力)される。
【0020】
一方、転写工程後に感光ドラム1上に残留した転写残トナーは、クリーニング手段としてのクリーニング装置4によって感光ドラム1上から除去されて回収される。クリーニング装置4は、感光ドラム1の表面に当接して配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード4aによって、回転する感光ドラム1の表面から転写残トナーを掻き取って、クリーニング容器4b内に回収する。
【0021】
本実施例では、感光ドラム1の周長は、例えばA4サイズ(縦送り)の記録材Pの搬送方向の長さ(297mm)よりも短い。そのため、例えばA4サイズ(縦送り)の1枚の記録材Pに転写される画像は、感光ドラム1が複数周にわたり回転する間に感光ドラム1の複数周期に分割されて形成される。このとき、以上の動作を繰り返すことで、次々と画像形成を行うことができる。
【0022】
本実施例では、感光ドラム1と、感光ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置5及びクリーニング装置4とは、一体的にプロセスカートリッジとしてカートリッジ化され、装置本体Mに対して着脱可能とされている。また、本実施例では、装置本体Mの下部に、記録用紙などの記録材Pが収納された記録材カセット7が設けられている。そして、記録材カセット7から記録材Pの搬送経路に沿って順に、給送ローラ8、搬送ローラ対9、トップセンサ10、転写前ガイド11、転写ローラ12、搬送ガイド13、定着装置14、排出ローラ15、排出トレイ16が配置されている。
【0023】
なお、本実施例の画像形成装置100には、転写工程の後且つ帯電工程の前の感光ドラム1の表面を除電する帯電前露光装置などの特別の除電手段は設けられていない。
【0024】
2.制御態様
図2は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様(プリンタ制御システム構成)を示す概略ブロック図である。画像形成装置100は、画像形成装置100の全体の制御を司る制御手段(制御部)としてのプリンタ制御装置304を有する。プリンタ制御装置304は、大別して、コントローラ部301と、エンジン制御部302と、に分かれている。コントローラ部301は、コントローラインターフェイス305と、画像処理部303と、を有する。エンジン制御部302は、ビデオインターフェイス310と、CPU311と、ROM312と、RAM313と、ASIC314と、画像形成制御部340と、を有する。
【0025】
プリンタ制御装置304は、コントローラインターフェイス305を用いて画像形成装置100の外部のホストコンピュータ300と接続し、該ホストコンピュータ300との間で通信を行う。コントローラ部301では、ホストコンピュータ300からコントローラインターフェイス305を介して受信した画像情報(画像データ)に基づいて、画像処理部303で文字コードのビットマップ化やグレイスケール画像のハーフトーニング処理などを行う。そして、画像処理部303は、コントローラインターフェイス305を介してエンジン制御部302のビデオインターフェイス310へ画像情報(画像データ)を送信する。画像情報には、露光装置3の点灯タイミングを制御する情報と、制御温度や転写電圧などのプロセス条件を制御するプリントモードの情報と、画像サイズの情報と、が含まれる。
【0026】
露光装置3の点灯タイミングの情報は、ビデオインターフェイス310を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)314に送信される。ASIC314は、露光装置3などの、画像形成制御部340が制御している画像形成部の一部を制御する。なお、画像形成部は、前述のプロセスで感光ドラム1にトナー像を形成する機構部の総称である。
【0027】
一方、プリントモードの情報、画像サイズの情報などのプリント動作(画像形成動作)の設定に関する情報は、ビデオインターフェイス310を介してCPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)311へ送信される。CPU311は、必要に応じて、RAM313に情報をストアしたり、ROM312又はRAM313に保存してあるプログラムを使用したり、ROM312又はRAM313に保存してある情報を参照したりする。そして、CPU311は、これらの情報に基づいて、画像形成制御部340を制御して、プロセススピード、記録材Pの給送、現像工程、帯電工程、転写工程、定着工程などの制御を行う。
【0028】
また、コントローラ部301は、ユーザやサービス担当者などの操作者がホストコンピュータ300などから入力したプリント指示を受信する。そして、コントローラ部301は、そのプリント指示に応じて、プリント命令、キャンセル指示などの指示情報を、コントローラインターフェイス305を介してエンジン制御部302のビデオインターフェイス310に送信する。その指示情報はCPU311を介して画像形成制御部340に送信され、画像形成制御部340がプリント動作の開始や中止などの制御を行う。
【0029】
3.転写電流値の決定方法
次に、本実施例における画像形成時の転写電流値の決定方法について説明する。本実施例では、画像形成時に転写ローラ12に印加する電圧は定電流制御で制御される。本実施例では、転写電源部50が、プリンタ制御装置304(より詳細には、エンジン制御部302の画像形成制御部340)に接続されている。本実施例では、転写電源部50は、転写電源(電源回路)E3と、電流検知手段としての電流検知部(電流検知回路)50aと、電圧検知手段としての電圧検知部(電圧検知回路)50bと、を有する。電流検知部50aは、転写電源E3が転写ローラ12に電圧を印加している際に転写ローラ12(すなわち、転写ニップNあるいは転写電源E3)に流れる電流値を検知することができる。電圧検知部50bは、転写電源E3が転写ローラ12に電圧を印加している際の転写電源E3の出力電圧値を検知することができる。転写電源部(転写制御部)50は、電流検知部50aによって検知される電流値が一定となるように転写電源E3の出力電圧値を調整して、転写ローラ12に印加する電圧を定電流制御することができる。
【0030】
画像形成時の転写電流値は、画像品位の観点から最適な値を決定することが望まれる。転写電流値が小さすぎる場合には、記録材P上にトナー像が十分に保持されず、記録材Pの搬送方向に関する転写ニップNの下流側や、記録材Pが定着装置14へと搬送される過程でトナー像が崩れてしまう、所謂、「散り」が発生する場合がある。また、転写電流値が大きすぎる場合には、再転写によって画像が局所的に白く抜けてしまう、所謂、「白抜け」が発生する場合がある。再転写は、転写電流値が大きすぎることにより、記録材P上のトナーの帯電極性が反転して感光ドラム1に移動する現象である。このように、画像品位の観点からは、散りや白抜けを考慮して最適な転写電流値を決定することが望まれる。
【0031】
なお、例えば、トナー、記録材Pとしての紙の坪量や電気抵抗、画像パターン、画像形成を行う際の画像形成装置100の環境(温度、湿度など)によって、散りや白抜けの発生する転写電流値は変わる。そのため、これらの諸条件に応じて最適な転写電流値に設定することが好ましい。具体的には、例えば、予め記録材Pの種類、画像形成装置100の環境ごとに散りや白抜けの観点から最適な転写電流値が求められて、テーブルデータなどとしてROM312に記憶される。そして、画像形成に先立ち、CPU311が、上記ROM312に記憶されている情報に基づいて、画像形成に用いる記録材P、画像形成時の画像形成装置100の環境に応じた最適な転写電流値を決定する。なお、記録材Pの種類とは、普通紙、厚紙、光沢紙、コート紙などの属性、メーカー、銘柄、品番、坪量、サイズなど、記録材Pを区別可能な任意の情報を包含するものである。CPU311は、記録材Pの種類の情報を、ホストコンピュータ300から入力されるプリント動作の設定に関する情報から取得することができる。また、CPU311は、画像形成装置100に設けられた環境検知手段としての環境センサの検知結果(検知信号)が入力されることで、画像形成装置100の環境に関する情報を取得することができる。ただし、本発明の理解を容易とするために、ここでは、画像パターン以外のトナー、記録材Pの種類、画像形成装置100の環境などの諸条件は一定であり、これらに応じて転写電流値は変更しないものとして説明する。
【0032】
4.ゴースト画像
次に、本実施例において抑制する「ゴースト画像」について説明する。前述のように、電子写真方式の画像形成装置100では、露光工程、現像工程、転写工程の後の感光ドラム1の表面は、形成された画像パターンに応じて表面電位が不均一化している。この状態で次周期の帯電工程を行った場合、前周期の画像パターンによっては、感光ドラム1の表面を均一に帯電させることができず、次周期の露光工程において所望の静電潜像を形成できずにゴースト画像が発生する場合がある。
【0033】
図3は、ゴースト画像を説明するための模式図である。図3(a)は画像形成の元となる画像情報を示しており、図3(b)は該画像情報に従って形成した画像を示している。図3(c)は、図3(a)とは別の画像情報を示している(図3(c)については後述する。)。なお、画像に関して先端、後端とは、特に明示しない場合も、記録材Pの搬送方向に関する先端、後端を意味するものとする。
【0034】
図3(b)において、ポイントAは全白部(非画像部)、ポイントBは全黒部である。なお、全黒部は、最大濃度レベルの画像部(所謂、ベタ黒部)である。ポイントA、ポイントBのそれぞれよりも後端側には、ハーフトーン画像が形成されている。また、ポイントC、ポイントDは、それぞれポイントA、ポイントBの感光ドラム1の1周期後の位置に相当する。このとき、ポイントCでは所望の画像が形成されているが、ポイントDでは図3(a)の画像情報とは異なり、ゴースト画像が発生している。
【0035】
このように、例えば全白部と全黒部とが隣り合ったコントラストの強い画像パターンを形成した後に、ハーフトーン画像を形成した場合には、ハーフトーン画像中に前周期の画像パターンが浮き出るゴースト画像が発生する場合がある。ゴースト画像は、感光ドラム1上にコントラストの強い画像パターンを形成した次周期の露光工程で形成する画像(特に、ハーフトーン画像)で発生しやすい。したがって、ゴースト画像の発生を抑制するためには、前周期の露光工程で形成した感光ドラム1の表面の明部電位と暗部電位との間の電位差を、次周期の帯電工程までにできるだけ小さくすることが重要である。
【0036】
5.転写電流値と画像品位との関係
本実施例では、帯電ローラ2によって感光ドラム1の表面は負極性に帯電させられ、現像ローラ5b上のトナーも負極性に帯電させられる。また、画像形成時に転写ローラ12には正極性の電圧が印加され、感光ドラム1へは正極性の電流が流れる。そのため、感光ドラム1の表面電位は、転写ニップNを通過する前よりも転写ニップNを通過した後の方が大きくなる(負極性の表面電位の絶対値が小さくなる)。このとき、転写ローラ12から感光ドラム1の表面に流れる電流値は、転写ローラ12の電位と感光ドラム1の表面電位との間の電位差によって決まり、該電位差が大きいほど流れる電流値は大きくなる。また、その流れる電流値が大きいほど、転写ニップNを通過した後の感光ドラム1の表面電位は大きくなる(負極性の表面電位の絶対値が小さくなる)。
【0037】
感光ドラム1上の画像部と非画像部とでは、非画像部の方が転写ローラ12の電位との間の電位差が大きくなるため、非画像部の方が流れる転写電流値も大きくなる。したがって、感光ドラム1の表面の明部電位と暗部電位との間の電位差は、転写ニップNを通過する前よりも、転写ニップNを通過した後の方が小さくなる。
【0038】
図3(b)を用いて、転写ニップNを通過した後の感光ドラム1の表面電位について説明する。図3(b)の全黒部を記録材P上に転写する場合、全黒部(ポイントB)と全白部(ポイントA)とでは感光ドラム1へ流れる電流の大きさが異なる。全黒部よりも全白部に流れる電流が大きくなるため、全黒部と全白部との間の電位差は、転写ニップNを通過する前よりも転写ニップNを通過した後の方が小さくなる。このとき、転写電圧の定電流制御における目標の転写電流値を大きくしていくと、ハーフトーン画像におけるゴースト画像が良化していく。これは、露光工程で生じた感光ドラム1の表面の明部電位と暗部電位との間の電位差が転写ニップNにおいて小さくなったためである。
【0039】
このように、転写電流値を大きくすることよってゴースト画像の発生を抑制することができるが、転写電流値は散りや白抜けといった転写電流値と相関のある他の画像不良も考慮して決定することが望まれる。特に、白抜けは、転写電流値を大きくした場合に悪化するため、ゴースト画像とトレードオフとなる場合がある。
【0040】
6.画像情報に応じた転写電流値の制御
次に、本実施例における画像情報に応じた転写電流値の制御について説明する。本実施例では、画像形成装置100は、画像情報に基づいて転写プロセス条件(より詳細には、転写電流値)を調整することで、転写工程の後且つ帯電工程の前の感光ドラム1の表面電位を均一化し、ゴースト画像の発生を抑制する。
【0041】
前述のように、図3(a)、(b)の画像では、全黒部の感光ドラム1の1周期後の位置を含む領域にハーフトーン画像があるため、ゴースト画像が発生しやすい。このような場合には、散り、白抜け、及びゴースト画像をそれぞれ考慮し、最適な転写電流値に設定することが望まれる。
【0042】
一方、図3(c)の画像のように、全黒部の感光ドラム1の1周期後の位置を含む領域にハーフトーン画像がない場合には、散り及び白抜けのみを考慮した最適な転写電流値に設定することが望まれる。
【0043】
そこで、本実施例では、転写工程を行う前に画像情報を取得して、該画像情報に基づいて転写電流値を設定する。
【0044】
7.画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法
次に、本実施例における画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法について説明する。図13は、本実施例における転写電圧の制御(画像情報の解析及び転写電流値に制御へのフィードバック)の手順の概略を示すフローチャート図である。
【0045】
前述のように、プリンタ制御装置304は、ホストコンピュータ300からプリント命令、プリント動作の設定に関する情報、画像情報を受信する(S1)。プリンタ制御装置304の画像処理部303は、ホストコンピュータ300から受信した画像情報に基づいてグレイスケール画像のハーフトーニング処理などを行う(S2)。このとき、画像処理部303は、例えば画像処理と並行して、画像情報を解析し、テキスト画像、全黒部、ハーフトーン画像などの画像パターンの種類の判別と、各画像パターンの配置の判別と、を行う(S3)。また、プリンタ制御装置304のCPU311は、画像処理部303における画像情報の解析結果に基づいて、画像パターンの種類と各画像パターンの配置に応じた最適な転写電流値を決定する処理を行う(S4)。そして、プリンタ制御装置304は、画像形成装置100に画像形成を実行させる(S5)。なお、転写電流値は、各記録材Pに形成する画像に関する転写工程を行う前(画像領域の先端が転写ニップNに到達する前)に決定すればよく、画像形成と並行して実行してもよい。
【0046】
まず、図4に示すように、例えばA4サイズ(縦送り)の記録材Pに画像を形成する場合に、記録材Pの搬送方向に画像情報を領域1/3~領域3/3に3分割して解析する場合について説明する。この場合、本実施例では、1つの領域の記録材Pの搬送方向の長さは、感光ドラム1の周長(1周期)よりも長い。
【0047】
前述のように、コントラストの強い画像パターンを形成した後にハーフトーン画像を形成した場合にゴースト画像が発生しやすい。なお、ここでのコントラストの強い画像パターンとは、例えば、600dpiの画像の場合、幅が10dot以上のライン画像(全黒部)、テキスト画像(全黒部)、1辺が10dotの矩形相当の面積以上の孤立パターン(全黒部)などである。また、ここでのハーフトーン画像とは、例えば、1pixelの最大濃度(100%濃度)で埋め尽くされた領域の印字率(画像比率)を100%とした場合において、特に印字率が5%以上80%以下のゴースト画像が発生しやすいハーフトーン画像である。なお、コントラストの強い画像パターンは、典型的には、全白部と全黒部とが隣り合った画像パターンである。ただし、これに限定されるものではなく、例えば上記ハーフトーン画像中に上記ライン画像、テキスト画像、パターンなどの全黒部がある場合にゴースト画像が発生する場合には、このような画像パターンもコントラストの強い画像パターンであるものとしてよい。
【0048】
図4に示すように、隣り合った2つの領域において、先端側の領域にコントラストの強い画像パターンが配置され、且つ、後端側の領域にハーフトーン画像がある場合に、少なくとも先端側の領域の転写電流値を変更する。例えば、図4(a)の画像では、領域2/3にハーフトーン画像があり、そのハーフトーン画像の感光ドラム1の1周期前の位置を含む領域1/3に全黒部がある。この場合には、少なくとも領域1/3の転写電流値を通常の転写電流値よりも大きく設定する。これにより、領域2/3のハーフトーン画像におけるゴースト画像の発生を抑制することができる。なお、通常の転写電流値は、前述のように記録材Pの種類、画像形成装置100の環境などに応じて予め設定されている、散りや白抜けを考慮した最適な転写電流値である。このとき、画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法としては、例えば、下記の2通りの方法がある。
【0049】
・方法(1)
各領域におけるハーフトーン画像の有無を判定し、ハーフトーン画像がある場合には、ハーフトーン画像がある領域、及びその領域よりも先端側の領域の転写電流値を大きくする。
【0050】
・方法(2)
各領域におけるハーフトーン画像の有無を判定し、ハーフトーン画像があり、且つ、ハーフトーン画像よりも先端側にコントラストの強い画像パターンがある場合には、そのコントラストの強い画像パターンがある領域の転写電流値を大きくする。
【0051】
図4(a)の画像に関して上記方法(1)、(2)のそれぞれで制御を行うと次のようになる。
【0052】
・方法(1)の場合
領域2/3にハーフトーン画像があるため、領域1/3及び領域2/3の転写電流値を大きくする。
【0053】
・方法(2)の場合
領域2/3にハーフトーン画像があり、且つ、領域1/3に全黒部があるため、領域1/3の転写電流値を大きくする。
【0054】
ここで、方法(1)において領域2/3の転写電流値も大きくするのは、図4(b)の画像のように、全黒部が領域1/3と領域2/3との両方にある可能性を考慮しているためである。図4(b)の画像に関して方法(1)で制御を行う場合、領域1/3及び領域2/3の転写電圧値を大きくすることになる。なお、図4(b)の画像に関して方法(2)で制御を行う場合も、領域1/3及び領域2/3の転写電圧値を大きくすることになる。
【0055】
方法(1)は、画像情報の解析を行うデータ量が少なくて済むというメリットがある。一方、方法(2)は、画像情報の解析を行うデータ量が方法(1)に比べて多くなるが、転写電流値を大きくする領域が方法(1)よりも少なくてもゴースト画像の発生を抑制できる。
【0056】
例えば、図4(c)の画像では、領域2/3及び領域3/3にハーフトーン画像があり、領域2/3に全黒部がある。図4(c)の画像に関して上記方法(1)、(2)のそれぞれで制御を行うと次のようになる。
【0057】
・方法(1)の場合
領域2/3及び領域3/3にハーフトーン画像があるため、領域1/3、領域2/3及び領域3/3の転写電流値を大きくする。
【0058】
・方法(2)の場合
領域2/3及び領域3/3にハーフトーン画像があり、かつ、領域2/3に全黒部があるため、領域2/3の転写電流値を大きくする。
【0059】
ここで、図4(c)の画像では、全黒部は領域2/3にあるため、ゴースト画像の発生を抑制するためには領域2/3の転写電流値を大きくすればよい。しかし、方法(1)のようにハーフトーン画像のみの画像情報で判定する場合には、領域1/3にコントラトの強い画像がある可能性を考慮して、領域2/3及び領域3/3に加えて、領域1/3の転写電流値を大きくする必要がある。
【0060】
このように、方法(1)では、方法(2)よりも転写電流値を大きくする領域が多くなる。前述のように、白抜けは転写電流値を大きくした場合に悪化するため、転写電流値を大きくする領域は可能な限り小さくすることが好ましい。
【0061】
次に、画像情報の分割数を上述の例よりも増やした場合の画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法について説明する。ここでは、図5に示すように、例えばA4サイズ(縦送り)の記録材Pに画像を形成する場合に、記録材Pの搬送方向に画像情報を領域1/6~領域6/6に6分割して解析する場合について説明する。この場合、本実施例では、1つの領域の記録材Pの搬送方向の長さは、感光ドラム1の周長(1周期)よりも短い。例えば、図5(a)は、図4(b)と同じ画像を6分割して解析したものである。図5(a)の画像に関して前述の方法(1)、(2)のそれぞれで制御を行うと次のようになる。
【0062】
・方法(1)の場合
領域3/6及び領域4/6にハーフトーン画像があるため、領域2/6、領域3/6及び領域4/6の転写電流値を大きくする。
【0063】
・方法(2)の場合
領域3/6及び領域4/6にハーフトーン画像があり、且つ、領域2/6及び領域3/6に全黒部があるため、領域2/6及び領域3/6の転写電流値を大きくする。
【0064】
ここで、図4(b)に示すように3分割した場合と、図5(a)に示すように6分割した場合とを比較すると、図5(a)に示すように6分割した場合の方が転写電流値を大きくする領域は小さくてよい。
【0065】
このように、解析する画像情報の分割数を増やすことによって、ゴースト画像の発生を抑制するために転写電流値を大きくする領域を小さくすることができる。
【0066】
次に、感光ドラム1の周期(周長)を考慮した場合の画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法について説明する。例えば、図5(b)は、図5(a)の画像情報のハーフトーン画像を後端側にずらした画像情報を6分割して解析したものである。この場合、前述の方法(2)では、領域2/6及び領域3/6の転写電流値を大きくすることになる。しかし、ゴースト画像は、主に感光ドラム1の1周期前の画像パターンの影響により発生する。そのため、図5(b)の画像の場合、全黒部を含む領域2/6及び領域3/6のうち、ハーフトーン画像の感光ドラム1の1周期前の位置を含む領域3/6の転写電流値のみを大きくすればよい。このように、画像情報の解析結果に加えて、感光ドラム1の周期(周長)を考慮して、転写電流値を大きくする領域を可能な限り小さくすることが好ましい。
【0067】
なお、画像情報を記録材Pの搬送方向に感光ドラム1の周期(周長)ごとに分割してもよい。
【0068】
次に、画像情報を記録材Pの搬送方向だけではなく、記録材Pの搬送方向と直交する方向にも分割して解析する場合について説明する。なお、本実施例では、露光装置3としてレーザースキャナを用いており、レーザースキャナの走査方向は、感光ドラム1の回転軸線方向と略平行な方向を主走査方向とし、感光ドラム1の表面の移動方向(記録材Pの搬送方向)を副走査方向とする。図6(a)、図6(b)は、全黒部とハーフトーン画像とが主走査方向に関して重ならない位置に配置されている画像の画像情報を示している。
【0069】
図6(a)は、例えばA4サイズ(縦送り)の記録材Pに画像を形成する場合に、画像情報を副走査方向に領域1/6~領域6/6に6分割して解析したものである。図6(a)の画像に関して、前述の方法(1)、(2)で制御を行うと、それぞれ転写電流値を大きくする制御が行われる。しかし、図6(a)の画像では、全黒部とハーフトーン画像とが主走査方向に関して重ならない位置に配置されているため、ゴースト画像は発生しない。つまり、本来であれば転写電流値を大きくする制御を行う必要がない。
【0070】
一方、図6(b)は、図6(a)と同じ画像情報を、副走査方向に1/6~領域6/6に6分割し、且つ、主走査方向に領域A~領域Dに4分割して解析したものである。この場合の画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法について説明する。まず、各領域におけるハーフトーン画像の有無を判定する。次に、ハーフトーン画像がある場合であって、ハーフトーン画像の感光ドラム1の1周期前の位置を含む副走査方向の領域にコントラストの強い画像パターンがあり、且つ、主走査方向に関してハーフトーン画像と重なる位置にコントラストの強い画像パターンがある場合には、そのコントラストの強い画像パターンがある副走査方向の領域の転写電流値を大きくする。この方法によれば、図6(b)の画像では転写電流値の変更は行わない。図6(c)は、図6(b)の画像情報の全黒部を主走査方向にずらした画像情報を上記と同様の方法で解析したものである。この場合、主走査方向に関してハーフトーン画像と重なる位置に全黒部があるため、領域2/6及び領域3/6の転写電流値を大きくする。
【0071】
このように、画像情報を主走査方向及び副走査方向の両方に分割し、またその画像情報の分割数を増やすほど、ゴースト画像の抑制と白抜けなどの他の画像不良とのバランスを取りやすくなり、より高品質の画像が得られる。
【0072】
なお、副走査方向の画像情報の分割数は、例えば、画像処理部における処理速度と、画像形成装置100のプロセススピードと、転写ローラ12に印加する転写電圧の立ち上げ時間及び立ち下げ時間と、を考慮して決定することができる。また、主走査方向の画像情報の分割数は、例えば、画像処理部における処理速度を考慮して決定することができる。画像情報の分割数は本実施例で説明したものに限らず、上述の画像形成装置100の諸条件によっては、更に分割数を増やしてもよいし、逆に分割数を減らしてもよい。ゴースト画像の発生を抑制するために転写電流値を大きくする領域を小さくする観点からは、上記分割数は、副走査方向に関する1つの分割領域の長さが感光ドラム1の周長以下となる数であることが好ましい。また、上記分割数の下限は、上記要因を考慮して決めればよいが、例えば10個程度が目安となる。
【0073】
また、転写電流値の変更量は、ゴースト画像の抑制と、転写電流値と相関のある他の画像不良(白抜けなど)の発生しやすさなどと、を考慮して調整することが好ましい。例えば、転写電流値を変更する領域にある画像が、白抜けが発生しにくい画像である場合には、ゴースト画像の抑制を優先して転写電流値の変更量を大きくすることが好ましい。一方、白抜けが発生しやすい画像である場合には、ゴースト画像の抑制と白抜けとのバランスを考え、転写電流値の変更量を小さくする、又は変更しないこととすることができる。白抜けが発生しにくい画像、白抜けが発生しやすい画像に関する情報は、予め設定してROM312に記憶しておくことができる。白抜けが発生しにくい画像は、所定の線幅未満(例えば10dot未満)の線幅の小さい細線や、所定の線幅未満(例えば10dot未満)の線幅の小さいフォントで形成されたテキスト画像などである。また、白抜けが発生しやすい画像は、上記所定の線幅以上の線幅の大きい線、上記所定の線幅以上の線幅の大きいフォントで形成されたテキスト画像などである。
【0074】
8.本実施例の作用効果
次に、本実施例の効果を調べるために行った試験の結果について説明する。本実施例との比較のために、図7に示す帯電前露光装置を備えた比較例の画像形成装置についても同様の試験を行った。図7に示す比較例の画像形成装置において、図1に示す本実施例の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるは構成を有する要素については、同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。図7に示す比較例の画像形成装置100には、感光ドラム1の回転方向に関して転写ローラ12よりも下流側且つクリーニング装置4よりも上流側に、除電手段としての帯電前露光装置20が設けられている。画像形成時に、転写工程後の感光ドラム1の表面は、帯電前露光装置20により一様に露光され、帯電工程前の感光ドラム1の表面電位はほぼゼロとなる。
【0075】
試験は、記録材PとしてA4サイズのキヤノン社製のOffice70を用いて行った。画像形成装置100は、温度23℃、湿度50%の環境下に設置し、プリント動作を行った。また、図8(a)に示す画像パターン1と、図8(b)に示す画像パターン2と、をそれぞれ1枚ずつプリントした。ここでは、図8(a)、(b)に示すように、画像情報を、記録材Pの搬送方向に感光ドラム1の周期(周長)ごとに領域1~領域4に4分割することとする。そして、本実施例に従って画像情報を解析して転写電流値の制御にフィードバックする場合、画像情報を上記領域1~領域4に4分割して解析した。画像パターン1には、領域1に全黒部として矩形のパッチ状の画像と記録材Pの搬送方向に沿う複数のライン画像とが配置されており、領域2に印字率40%のハーフトーン画像が配置されている。なお、画像パターン1において、全黒部は全て主走査方向に関してハーフトーン画像と重なる位置に配置されている。画像パターン2には、領域1に画像パターン1と同じ全黒部が配置されているが、領域2にはハーフトーン画像は配置されていない。
【0076】
表1は、帯電前露光装置20を備えた比較例の画像形成装置100についての結果を示す。また、表2は、本実施例の構成の画像形成装置100についての結果を示す。散り、白抜け、ゴースト画像は、それぞれ目視による官能評価を行い、次のような基準で評価結果を示した。散りに関しては、許容できないレベルで発生した場合を「×(不良)」、軽微に発生した場合を「△(実用上問題無し)」、発生しなかった場合を「○(良好)」とした。白抜けに関しては、許容できないレベルで発生した場合を「×(不良)」、軽微に発生した場合を「△(実用上問題無し)」、発生しなかった場合を「○(良好)」とした。ゴースト画像に関しては、発生した場合を「×(不良)」、発生しなかった場合を「○(良好)」とした。ここで、ゴースト画像は、一般に、散りや白抜けとは異なり、僅かでも発生すると視認されやすい。そのため、ゴースト画像に関しては、評価結果を発生有り又は無しのどちらかで示した。また、散り、白抜け、ゴースト画像の発生状況を総合的に判定し、全ての項目で評価結果が「〇」となり画像品位として優れているものを「very good」、全ての項目で評価結果に「×」が無く画像品位として比較的良好なものを「good」、いずれか1つの項目でも評価結果に「×」があるものは画像品位として問題のある「poor」とした。
【0077】
【表1】
【0078】
まず、表1に示す帯電前露光装置20を備えた比較例の画像形成装置100についての結果について説明する。制御方法1~制御方法5では、画像パターン1及び画像パターン2のいずれに関しても、記録材Pの全域でそれぞれ表1に示す転写電流値に設定した。比較例の画像形成装置100では、帯電前露光装置20によって帯電工程前の感光ドラム1の表面電位が均一にされているため、ゴースト画像は発生しない。そのため、転写電流値は、散り、白抜けの発生しない電流値に設定すればよい。つまり、画像パターン1及び画像パターン2のいずれに関しても総合評価が「very good」である制御方法3の転写電流値に設定することが好ましい。
【0079】
【表2】
【0080】
次に、表2に示す本実施例の構成の画像形成装置100についての結果について説明する。制御方法1~制御方法5は、本実施例に従う制御方法に対する比較用の制御方法であり、画像パターン1及び画像パターン2のいずれに関しても、記録材Pの全域でそれぞれ表2に示す転写電流値に設定した。制御方法6は、本実施例に従う制御方法(特に、前述の方法(2))であり、画像情報に応じて転写電流値を制御した。つまり、画像パターン1に関しては、領域1に対する転写電流値を、その他の領域2~4よりも大きい転写電流値に設定した。一方、画像パターン2に関しては、記録材Pの全域で、上記画像パターン1のその他の領域2~4と同じ転写電流値に設定した。
【0081】
表2に示すように、制御方法1~制御方法5において、画像パターン2に関して総合評価を「very good」にするためには制御方法3の転写電流値に設定する必要がある。しかし、画像パターン1に関して制御方法3の転写電流値に設定した場合には、ゴースト画像が発生することにより総合評価は「poor」となる。画像パターン1に関してゴースト画像の発生を抑制するには、制御方法3の転写電流値よりも大きい制御方法4の転写電流値に設定する必要がある。ただし、画像パターン2に関して制御方法4の転写電流値に設定した場合には、軽微な白抜けが発生することにより総合評価は「good」となる。つまり、本実施例の構成の画像形成装置100の場合、制御方法4のように単に記録材Pの全域でゴースト画像の発生を抑制する転写電流値に設定した場合には、画像パターン2のようなゴースト画像の発生の可能性がない画像の画像品位が低下してしまう。
【0082】
これに対して、本実施例に従う制御方法6では、ゴースト画像が発生する可能性のない画像パターン2に関しては記録材Pの全域で転写電流値を9μAに設定する。そして、ゴースト画像が発生する可能性のある画像パターン1に関しては、領域1では転写電流値を10μAに設定し、他の領域2~4では転写電流値を9μAに設定する。これにより、画像パターン2に関しては総合評価を「very good」としつつ、画像パターン1に関してはゴースト画像の発生を抑制して総合評価を「good」とすることができる。つまり、本実施例に従う制御方法6によれば、画像パターンによらずに記録材Pの全域で同じ転写電流値に設定する場合よりも高品質なプリントが行える。
【0083】
このように、本実施例の画像形成装置100は、感光体1の周長よりも搬送方向の長さが長い記録材Pに画像を形成することが可能である。そして、画像形成装置100は、次のような制御を行うことが可能な制御部(プリンタ制御装置)304を有する。つまり、制御部304は、第1のトナー像を感光体1に形成した後に、第1のトナー像と同じ記録材Pに転写される第2のトナー像を感光体1に形成する場合であって、感光体1の表面の移動方向に関する第2のトナー像の1周期前の位置の少なくとも一部を含む感光体1の領域に第1のトナー像を形成する場合に、第1のトナー像を記録材(被転写体)Pに転写する際の転写電流の値を、第2のトナー像に関する画像情報に基づいて、第1の値と、第1の値よりも絶対値が大きい第2の値と、の間で変更可能である。
【0084】
本実施例では、制御部304は、第2のトナー像がハーフトーン画像である場合に、第1のトナー像を記録材Pに転写する際の転写電流の値を第2の値とする。ここで、典型的には、ハーフトーン画像は、印字率が5%以上、80%以下の画像である。また、制御部304は、上記第2のトナー像がハーフトーン画像であることに加えて、更に第1のトナー像が予め設定された所定の条件を満たす画像パターンである場合に、第1のトナー像を記録材Pに転写する際の転写電流の値を第2の値としてもよい。ここで、典型的には、上記所定の条件を満たす画像パターンは、ライン画像、テキスト画像、及び孤立したベタ画像のうちの少なくとも1つを含む。また、制御部304は、上記第2のトナー像がハーフトーン画像であること(更には第1のトナー像が所定の条件を満たす画像パターンであること)に加えて、更に感光体1の表面の移動方向と略直交する方向に関して第1のトナー像と第2のトナー像とのそれぞれの少なくとも一部が重なる位置に第1のトナー像と第2のトナー像とが形成される場合に、第1のトナー像を記録材Pに転写する際の転写電流の値を第2の値としてもよい。また、本実施例では、制御部304は、感光体1の複数周期にわたる、1つの記録材Pに転写されるトナー像が形成され得る感光体1の領域を、感光体1の表面の移動方向に関して複数の分割領域に分割した場合に、各分割領域が転写位置Nを通過する期間ごとに転写電流の値を変更可能である。このとき、感光体1の表面の移動方向に関する上記複数の分割領域のそれぞれの長さは、感光体1の周長以下であることが好ましい。
【0085】
以上説明したように、本実施例によれば、帯電前露光装置を用いることなく、ゴースト画像の発生を抑制することができる。これにより、小型化、軽量化、低コスト化に有利な簡易な構成で、ゴースト画像の発生を抑制することができる。
【0086】
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1の画像形成装置と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0087】
1.クリーナーレスプロセスの画像形成装置
図9は、本実施例の画像形成装置100の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、クリーナーレスプロセスを採用しており、転写工程後の感光ドラム1の表面をクリーニングする特別のクリーニング装置を有していない。転写工程後に感光ドラム1の表面に残留した転写残トナーは、帯電ローラ2によって正規の帯電極性である負極性に帯電させられ、現像ローラ5bによって現像同時クリーニングされ、現像容器5aに回収される。つまり、感光ドラム1上の非画像部(非露光部分)に付着している転写残トナーは、現像ローラ5bに印加される現像電圧と感光ドラム1の表面電位(暗部電位)との間の電位差によって現像ローラ5bに移動して、現像容器5aに回収される。また、感光ドラム1上の画像部(露光部分)に付着している転写残トナーは、そのまま転写ニップNへと搬送されて画像を構成するトナーとして記録材Pに転写される。
【0088】
ここで、クリーナーレスプロセスでは、転写残トナーの回収性を高めるためには、現像ローラ5bの電位Vdcと感光ドラム1の暗部電位Vdとの間の電位差であるバックコントラスト電位Vback=|Vd-Vdc|を大きくすることが望まれる。なお、バックコントラスト電位Vbackは、回収バイアスとも呼ばれるものである。Vbackを大きくすることで、現像位置に形成される正規の帯電極性である負極性に帯電したトナーを感光ドラム1から現像ローラ5bへと移動させる向きの電界が大きくなる。そのため、帯電ローラ2による感光ドラム1の表面の帯電処理が行われる帯電位置を通過した後の転写残トナーを現像ローラ5bへ引き戻す電気的な力が大きくなり、現像ローラ5bによって転写残トナーをより回収しやすくなる。本実施例では、Vd=-700V、Vdc=-300Vとし、Vback=400Vとすることによって、現像同時クリーニングを行っている。一方、Vbackを大きくしすぎると、現像ローラ5b上にコートされたトナーの極性が反転し、感光ドラム1上の非画像部にトナーが移動する、所謂、「カブリ」が発生してしまう場合がある。そのため、Vbackは、転写残トナーの回収性とカブリとのバランスを考慮して決定することが望まれる。
【0089】
しかし、感光ドラム1上に残留した転写残トナーが多すぎると、現像位置で回収しきれずに次周期の画像パターンに浮き出てしまう、所謂、「ゴースト画像」が発生する場合がある。そのため、クリーナーレスプロセスを採用した画像形成装置100では、ゴースト画像の発生を抑制するためには、極力転写残トナーが残らないように、転写ニップNにおいて効率よく記録材Pにトナーを転写することが望まれる。
【0090】
2.クリーナーレスプロセスにおける転写電流値の決定方法
クリーナーレスプロセスを採用した画像形成装置100における転写電流値は、転写ニップNにおけるトナーの転写効率と、ライン画像やテキスト画像の鮮鋭度と、を考慮して決定することが望まれる。
【0091】
まず、転写効率とは、感光ドラム1上に形成されたトナー像が転写ニップNによって記録材Pにどの程度転写されたかを示す指標である。転写効率Tp[%]は、転写工程前の感光ドラム1上のトナーの重さをTm1[g]とし、転写工程後の感光ドラム1上に残った転写残トナーの重さをTm2[g]とした場合に、次式で表される。
Tp={(Tm1-Tm2)/Tm1}×100
【0092】
次に、ライン画像やテキスト画像の鮮鋭度とは、ライン画像やテキスト画像の微細部分の明瞭性を表す尺度である。図10に転写効率Tp[%]と画像の鮮鋭度と転写電流値との関係を模式的に示す。転写効率Tp[%]と転写電流値との関係を実線で示し、鮮鋭度と転写電流値との関係を破線(第2軸)で示している。転写効率は、転写電流値が小さすぎる場合には低下して、感光ドラム1上のトナー像を記録材P上に転写しきれずに転写残トナーが発生する。一方、転写効率は、転写電流値が大きすぎる場合にも低下して、感光ドラム1上から一度記録材Pに転写されたトナーの帯電極性が反転し、そのトナーが再度感光ドラム1上に移動する所謂再転写によって転写残トナーが発生する。また、鮮鋭度は、転写電流値が小さすぎる場合には、転写効率不足に伴う画像の欠損によって悪化する。一方、鮮鋭度は、転写電流値が大きすぎる場合にも、転写ニップNにおける異常放電によって画像の欠損や位置ずれが発生することで悪化する。
【0093】
つまり、現像同時クリーニングにより転写残トナーの回収が可能な転写効率を維持しつつ、鮮鋭度が可能な限り良くなるように転写電流値を設定することが望まれる。
【0094】
なお、例えば、トナー、記録材Pとしての紙の坪量や電気抵抗、画像パターン、画像形成を行う際の画像形成装置100の環境(温度、湿度など)によって、図10に示すような転写効率と鮮鋭度と転写電流値との関係は変わる。そのため、実施例1で説明したのと同様、これらの諸条件に応じて最適な転写電流値に設定することが好ましい。ただし、本発明の理解を容易とするために、ここでは、画像パターン以外のトナー、記録材Pの種類、画像形成装置100の環境などの諸条件は一定であり、これらに応じて転写電流値は変更しないものとして説明する。
【0095】
3.画像情報に応じた転写電流値の制御
次に、本実施例における画像情報に応じた転写電流値の制御について説明する。本実施例では、画像形成装置100は、画像情報に基づいて転写プロセス条件(より詳細には、転写電流値)を調整することで、転写効率を向上させて、感光ドラム1の次周期における現像同時クリーニングによる転写残トナーの回収性を維持する。
【0096】
前述のように、クリーナーレスプロセスでは、転写残トナーの回収性を高めるためには、Vbackを大きくすることが望まれる。しかし、感光ドラム1の次周期にハーフトーン画像がある場合など、Vbackを十分にとれない場合がある。この場合、転写残トナーを十分に回収できず、ハーフトーン画像上にゴースト画像が発生する場合がある。
【0097】
本実施例では、明部電位(画像部電位)Vlは-100Vであり、例えば印字率50%のハーフトーン画像の静電潜像を形成した場合の該ハーフトーン画像部の感光ドラム1の表面電位は、図11に示すようになる。図11において、暗部電位(非画像部電位)Vdは-700Vであるが、明部電位(画像部電位)は-100Vとなり、ハーフトーン画像部の感光ドラム1の表面電位を平均化すると-350V程度となる。この場合、著しくVbackが小さくなり、転写残トナーの回収性が低下する。
【0098】
したがって、感光ドラム1の次周期にハーフトーン画像がある場合には、さらに転写効率を高めて転写残トナーを少なくすることが望まれる。前述のように、転写電流値は転写効率と画像の鮮鋭度とを考慮して決定することが望まれるが、画像品位の観点からは、鮮鋭度を高めることよりも、視認されやすいゴースト画像の発生を抑制する方が重要である。そのため、感光ドラム1の次周期にハーフトーン画像がある場合には、ゴースト画像が発生しない転写電流値に設定することが好ましい。
【0099】
そこで、本実施例では、転写工程を行う前に画像情報を取得して、該画像情報に基づいて転写電流値を設定する。
【0100】
なお、ここでのハーフトーン画像とは、例えば、1pixelの最大濃度(100%濃度)で埋め尽くされた領域の印字率を100%とした場合において、特に印字率が5%以上80%以下の上記ゴースト画像が発生しやすいハーフトーン画像である。
【0101】
4.画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法
次に、本実施例における画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法について説明する。
【0102】
本実施例では、図12に示すように、例えばA4サイズ(縦送り)の記録材Pに画像を形成する場合に、記録材Pの搬送方向に画像情報を領域1~領域4に4分割して解析する。これは、本実施例では、画像情報を、記録材Pの搬送方向に感光ドラム1の周期(周長)ごとに領域1~領域4に4分割することに相当する。この場合の画像情報の解析方法及び転写電流値の制御へのフィードバック方法について説明する。まず、各領域におけるハーフトーン画像の有無を判定する。次に、ハーフトーン画像の感光ドラム1の1周期前の位置を含む副走査方向の領域に画像パターンがある場合には、その画像パターンがある副走査方向の領域の転写電流値を大きくする。この画像パターンは、本実施例では、コントラストの強い画像パターンに限らず、何らかの画像パターンであれば、ゴースト画像の原因となり得る。ただし、コントラストの強い画像パターンは、トナー量が多く、転写残トナーが多くなる傾向があるため、実施例1と同様にコントラストの強い画像がかるか否かを判断してもよい。上記方法によれば、図12(a)の画像では領域1の転写電流値を大きくし、図12(b)の画像では転写電流値の変更は行わない。
【0103】
なお、実施例1で説明したのと同様、画像情報を主走査方向にも分割して解析するようにしてもよい。この場合、ハーフトーン画像の感光ドラム1の1周期前の位置を含む副走査方向の領域に画像パターンがあり、且つ、主走査方向に関してハーフトーン画像と重なる位置に画像パターンがある場合には、その画像パターンがある副走査方向の領域の転写電流値を大きくする。また、実施例1で説明したのと同様、画像情報の分割数を増やすことで、ゴースト画像の抑制と、画像の鮮鋭度と、のバランスをより取りやすくなる。
【0104】
5.本実施例の作用効果
次に、本実施例の効果を調べるために行った試験の結果について説明する。試験は、記録材PとしてA4サイズのキヤノン社製のOffice70を用いて行った。画像形成装置100は、温度23℃、湿度50%の環境下に設置し、プリント動作を行った。また、図12(a)に示す画像パターン3と、図12(b)に示す画像パターン4と、をそれぞれ1枚ずつプリントした。前述のように、ここでは、図12(a)、(b)に示すように、画像情報を、記録材Pの搬送方向に感光ドラム1の周期(周長)ごとに領域1~領域4に4分割することとする。そして、本実施例に従って画像情報を解析して転写電流値の制御にフィードバックする場合、画像情報を上記領域1~領域4に4分割して解析した。画像パターン3には、領域1に全黒部として記録材Pの搬送方向に沿う複数のライン画像とテキスト「A」とが配置されており、領域2には印字率40%のハーフトーン画像が配置されている。なお、画像パターン3において、全黒部は全て主走査方向に関してハーフトーン画像と重なる位置に配置されている。画像パターン4には、領域1に画像パターン3と同じ全黒部が配置されているが、領域2にはハーフトーン画像は配置されていない。
【0105】
表3に結果を示す。ゴースト画像、画像の鮮鋭度は、それぞれ目視による官能評価を行い、次のような基準で評価結果を示した。ゴースト画像に関しては、発生した場合を「×(不良)」、発生しなかった場合を「○(良好)」とした。画像の鮮鋭度に関しては、視認可能な画像欠損や位置ずれが無いものを「〇(良好)」、軽微な画像欠損や位置ずれが発生しているものを「△(実用上問題無し)」、許容できないレベルの画像欠損や位置ずれが発生しているものを「×(不良)」とした。また、ゴースト画像の発生状況と鮮鋭度とを総合的に判定し、全ての項目で評価結果が「〇」となり画像品位として優れているものを「very good」、全ての項目で「×」が無く画像品位として比較的良好なものを「good」、いずれか1つの項目でも評価結果に「×」があるものは画像品位として問題のある「poor」とした。
【0106】
【表3】
【0107】
制御方法7~制御方法11は、本実施例に従う制御方法に対する比較用の制御方法であり、画像パターン3及び画像パターン4のいずれに関しても、記録材Pの全域でそれぞれ表3に示す転写電流値に設定した。制御方法12は、本実施例に従う制御方法であり、画像情報に応じて転写電流値を制御した。つまり、画像パターン3に関しては、領域1に対する転写電流値を、その他の領域2~4よりも大きい転写電流値に設定した。一方、画像パターン4に関しては、記録材Pの全域で、上記画像パターン3のその他の領域2~4と同じ転写電流値に設定した。
【0108】
表3に示すように、制御方法7~制御方法11において、画像パターン4に関して総合評価を「very good」にするためには制御方法9の転写電流値に設定する必要がある。しかし、画像パターン3に関して制御方法9の転写電流値に設定した場合には、ゴースト画像が発生することにより総合評価は「poor」となる。画像パターン3に関してゴースト画像の発生を抑制するには、制御方法9の転写電流値よりも大きい制御方法10の転写電流値に設定する必要がある。ただし、画像パターン4に関して制御方法10の転写電流値に設定した場合には、軽微な画像欠損が発生することにより総合評価は「good」となる。つまり、本実施例の構成の画像形成装置100の場合、制御方法10のように単に記録材Pの全域でゴースト画像の発生を抑制する転写電流値に設定した場合には、画像パターン4のようなゴースト画像の発生の可能性がない画像の画像品位が低下してしまう。
【0109】
これに対して、本実施例に従う制御方法12では、ゴースト画像が発生する可能性のない画像パターン4に関しては記録材Pの全域で転写電流値を14μAに設定する。そして、ゴースト画像が発生する可能性のある画像パターン3に関しては、領域1では転写電流値を15μAに設定し、他の領域2~4では転写電流値を14μAに設定する。これにより、画像パターン4に関しては総合評価を「very good」としつつ、画像パターン3に関してはゴースト画像の発生を抑制して総合評価を「good」とすることができる。つまり、本実施例に従う制御方法12によれば、画像パターンによらずに記録材Pの全域で同じ転写電流値に設定する場合よりも高品質なプリントが行える。
【0110】
以上説明したように、本実施例によれば、クリーナーレス方式を採用した画像形成装置100において、ゴースト画像の発生を抑制することができる。
【0111】
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0112】
上述の実施例では、転写電圧は定電流制御で制御されるものとして説明したが、転写電圧は転写電源の出力電圧値が一定となるようにする定電圧制御で制御されてもよい。この場合、転写電圧は、例えば記録材の種類、画像形成装置の環境などに応じて所定の目標の転写電流値となるように決定された電圧値で定電圧制御することができる。そして、上述の実施例と同様に画像情報に基づいて転写電流値を変更する場合、上記目標の転写電流値からの所定の変更量に対応する分だけ電圧値を変更するようにすることができる。
【0113】
上述の実施例では、感光体はドラム状(円筒状)の部材であるものとして説明したが、例えば複数の支持ローラに巻き掛けられた無端ベルト状の部材など、回転可能な他の形態の回転部材(回転体)であってもよい。また、上述の実施例では、帯電部材はローラ状の部材であるものとして説明したが、例えば複数の支持ローラに巻き掛けられた無端ベルト状の部材など、回転可能な他の形態の回転部材(回転体)であってもよい。現像部材、転写部材についても同様である。無端ベルト状の部材を用いる場合、例えば複数の支持ローラのうちの一つを、ベルトを介して感光体に当接させることができる。
【0114】
上述の実施例では、現像剤として非磁性一成分現像剤を用いた場合について説明したが、現像剤として磁性一成分現像剤を用いる場合にも本発明を適用することができ、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。また、上述の実施例では、現像部材は感光体に接触して配置されていたが、現像部材は感光体に近接して配置されていてもよい。
【0115】
また、上述の実施例では、画像形成装置は、感光体から直接記録材にトナー像を転写するものであった。本発明は、これに限定されるものではなく、中間転写方式の画像形成装置にも適用することができる。図14は、中間転写方式の画像形成装置の概略構成を示す模式図である。図14において、上述の実施例の画像形成装置におけるものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には同一の符号を付している。中間転写方式の画像形成装置100は、感光ドラム1に対向して、被転写体としての、無端状のベルトで構成された中間転写体である中間転写ベルト201などを有する。中間転写ベルト201は、複数の支持ローラ(張架ローラ)に巻き掛けられて所定の張力で張架されている。中間転写ベルト201は、複数の支持ローラのうちの駆動ローラが回転駆動されることで、図中R3方向に回転(周回移動)する。中間転写ベルト201の内周面側には、感光ドラム1と対向して、一次転写部材(転写電流供給部材)としてのローラ状の部材で構成された一次転写ローラ202が配置されていることが多い。また、中間転写ベルト201の外周面側において、複数の支持ローラのうちの二次転写内ローラ203と対向する位置には、ローラ状の部材で構成された二次転写外ローラ204が配置されることが多い。二次転写内ローラ203と二次転写外ローラ204とで中間転写ベルト201が挟持される。上述の実施例と同様にして感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ202の作用により、感光ドラム1と中間転写ベルト201との接触部である一次転写ニップN1で中間転写ベルト201上に一次転写される。一次転写時に、一次転写ローラ202にトナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加されることで、一次転写ニップN1に一次転写電流が供給される。また、中間転写ベルト201上に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト201と二次転写外ローラ204との接触部である二次転写ニップN2において中間転写ベルト201と二次転写外ローラ204とに挟持されて搬送される記録材P上に二次転写される。二次転写時には、例えば二次転写外ローラ204に、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。なお、図14では図示を省略しているが、中間転写方式は、中間転写ベルト201の表面の移動方向に沿って複数の感光ドラム1(及び感光ドラム1の周囲のプロセス手段)が配置された、いわゆる、タンデム型のカラー画像形成装置で採用されることが多い。このような中間転写方式の画像形成装置100においても、上述の実施例1、あるいは実施例2と同様にゴースト画像が発生することがある。そのため、中間転写方式の画像形成装置100においても、本発明を適用することで、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0116】
また、同様に、本発明は、上記中間転写方式の画像形成装置における中間転写体の代わりに、無端状のベルトで構成された記録材担持ベルトなどの記録材担持体を備えた画像形成装置にも適用できる。この画像形成装置では、感光体に形成されたトナー像は、記録材担持体に電圧印加部材(転写ローラなど)を介して転写電圧(転写バイアス)が印加されることで、記録材担持体に担持されて搬送される記録材上に転写される。このような記録材担持体を備えた画像形成装置においても、上述の実施例1、あるいは実施例2と同様にゴースト画像が発生することがある。そのため、このような画像形成装置においても、本発明を適用することで、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0117】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 露光装置
4 クリーニング装置
5 現像装置
12 転写ローラ
100 画像形成装置
P 記録材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14