(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】カード処理装置及びその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/34 20120101AFI20231218BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20231218BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20231218BHJP
G06K 7/08 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
G06Q20/34 400
G07G1/12 321P
G07G1/01 301E
G06K7/08 040
(21)【出願番号】P 2019167341
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】西田 正敏
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-132228(JP,A)
【文献】特開2017-045174(JP,A)
【文献】特開2017-162343(JP,A)
【文献】特開2004-272932(JP,A)
【文献】特開2006-085457(JP,A)
【文献】特開2019-120956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07G 1/12
G07G 1/01
G06K 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに搭載されたICチップ及び前記カードが備える磁気ストライプのうちの前記磁気ストライプのみから情報を読み取るカード処理装置において、
決済に係るカード情報を磁気情報として記憶する
前記カードから、前記カード情報を読み取る読取部と、
前記読取部で読み取った前記カード情報からICチップを搭載していることを示す情報を取得する取得部と、
前記取得部で前記ICチップを搭載していることを示す情報を取得すると、前記カードがICチップを搭載するカードであることをカード取扱者に対して報知する報知部と、を備えるカード処理装置。
【請求項2】
前記取得部で前記ICチップを搭載していることを示す情報を取得すると、前記カード取扱者に対して前記カードの正当性を確認するために必要な項目を表示する表示部、
をさらに具備する請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記表示部で表示された項目に対する前記カード取扱者の確認結果を受け付ける受付部、
をさらに具備する請求項2記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記項目は複数有り、前記受付部で1つの項目に対
する正当性
の確認
として前記カードにICチップが付いていることの確認を示す確認結果を受け付けると、前記表示部で次の項目を表示する、請求項3記載のカード処理装置。
【請求項5】
前記ICチップを搭載していることを示す情報は、ICチップが組み込まれたカードに磁気情報として、前記カードの磁気ストライプに記憶されている、請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のカード処理装置。
【請求項6】
カードに搭載されたICチップ及び前記カードが備える磁気ストライプのうちの前記磁気ストライプのみから情報を読み取るカード処理装置であって、決済に係るカード情報を磁気情報として記憶する
前記カードから、前記カード情報を読み取る読取部を備えたカード処理装置のコンピュータに、
前記読取部で読み取った前記カード情報からICチップを搭載していることを示す情報を取得する機能、及び、
前記ICチップを搭載していることを示す情報を取得すると、前記カードがICチップを搭載するカードであることをカード取扱者に対して報知する機能、
を実現させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、カード処理装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップを搭載したクレジットカードが普及している。ICチップには、カード情報が暗号化されて記録されている。このため、カード情報を磁気ストライプに記録した磁気式のクレジットカードと比べて耐久性に優れている。また、ICチップを搭載したクレジットカードでの決済時には、署名の代わりに暗証番号の入力により本人確認を行うため、不正利用防止の効果も高いというメリットがある。
【0003】
しかしながら、中小の小売店においては、ICチップを搭載したクレジットカードを処理するICカード処理装置の普及率は高くない。未だに、磁気式のクレジットカードを処理する磁気カード処理装置を使用している店舗が多い。このため、ICチップを搭載したクレジットカードであっても磁気ストライプを備え、ICカード処理装置だけでなく磁気カード処理装置にも対応できる併用のクレジットカードが主流である。
【0004】
ところで、磁気ストライプの情報は、第三者が簡易な読取機を用いることで読み取ることができる。このため、偽造カードの生成が容易である。一方、ICチップの情報を読み取るには専門性の高い読取機が必要となる上、難易度も高い。また、ICチップそのものが比較的高価である。このため、ICチップを搭載したクレジットカードの偽造は容易ではない。ただし、ICチップを搭載したクレジットカードであっても磁気ストライプを備えたカードの場合には、そのカードの磁気ストライプから読み取った磁気データを、例えばダミーのICチップを搭載した磁気カードの磁気ストライプにコピーすることで、ICチップを搭載したクレジットカードを偽造できる。偽造されたクレジットカードは、磁気カード処理装置を使用している店舗であれば、不正使用が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、磁気カード処理装置を使用している店舗であってもICチップを搭載したクレジットカードを複製した偽造カードの不正使用を未然に防止できるカード処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、カード処理装置は、読取部と、取得部と、報知部とを備える。読取部は、決済に係るカード情報を磁気情報として記憶するカードから、カード情報を読み取る。取得部は、読取部で読み取ったカード情報からICチップを搭載していることを示す情報を取得する。報知部は、取得部でICチップを搭載していることを示す情報を取得すると、カードがICチップを搭載するカードであることをカード取扱者に対して報知する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るカード処理装置を備えたカード決済システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、同カード処理装置の要部回路構成を含むカード決済システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、同カード処理装置のプロセッサが実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図4A】
図4Aは、同カード処理装置のタッチスクリーンに表示される情報の一例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、同カード処理装置のタッチスクリーンに表示される情報の一例を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、同カード処理装置のタッチスクリーンに表示される情報の一例を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、同カード処理装置のタッチスクリーンに表示される情報の一例を示す図である。
【
図4E】
図4Eは、同カード処理装置のタッチスクリーンに表示される情報の一例を示す図である。
【
図4F】
図4Fは、同カード処理装置のタッチスクリーンに表示される情報の一例を示す図である。
【
図4G】
図4Gは、同カード処理装置のタッチスクリーンに表示される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係るカード処理装置を備えたカード決済システムの全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、磁気カード処理装置を使用している店舗であってもICチップを搭載したクレジットカードを複製した偽造カードの不正使用を未然に防止できるカード処理装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下の説明において、ICチップを搭載するとともに磁気ストライプを備えたクレジットカードをICクレジットカードと称し、磁気ストライプのみを備えたクレジットカードを磁気クレジットカードと称する。ただし、ICクレジットカードと磁気クレジットカードの両方の区別が不要な場合には、単に、クレジットカードと称する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るカード処理装置1を備えたカード決済システムの全体構成を示す模式図である。
図2は、カード処理装置1の要部回路構成を含むカード決済システムのブロック図である。先ず、
図1及び
図2を用いて、カード決済システムの構成について説明する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のカード決済システムは、カード処理装置1と、電子サイン入力端末2とを含む。カード処理装置1は、クレジットカード会社のサーバとネットワーク通信を行ってカード決済に係る処理を行う装置である。カード処理装置1の詳細については後述する。
電子サイン入力端末2は、電子サインを入力するための端末である。電子サイン入力端末2は、サイン用のタッチスクリーン31を備えており、このタッチスクリーン31に対する、例えばペンを用いた手書き入力操作に応じて、手書きされた線を表す線データを電子サインデータとして入力する。線データは、例えばペンによりタッチされた位置を示す座標のデータ列によって表される。電子サイン入力端末2は、タッチスクリーン31を介して入力された電子サインデータをカード処理装置1へと送信する機能を有している。
【0012】
図1に示すように、カード処理装置1は、矩形状の箱型の本体10を有しており、この本体10の右側面下部に電源スイッチ11を設けている。またカード処理装置1は、本体10の上面に操作パネル12を設けている。操作パネル12は、その表面に、LCD(Liquid Crystal Display)表示モジュール13a(
図2を参照)とタッチパッド13b(
図2を参照)とから構成されたタッチスクリーン13を備えている。また、操作パネル12は、上面に対して開閉自在となっており、操作パネル12を開くことで、本体10の内部にレシート用紙をセットすることができる。本体10の内部には、決済に関する情報等をレシート用紙に印刷するためのプリンタ14(
図2参照)が設けられている。また、本体10と操作パネル12との間にレシート発行口15が形成されている。プリンタ14によって印刷されたレシート用紙は、レシート発行口15から本体10の外部へと排出される。
【0013】
カード処理装置1は、本体10の側面上部にカードリーダ16を設けている。カードリーダ16は、クレジットカードから磁気ストライプに記録されているカード情報を読み取るためのものである。カードリーダ16は、カード処理装置1の読取部を構成する。
【0014】
カード処理装置1は、操作パネル12にリセットボタン17を配置している。リセットボタン17は、カードリーダ16で読み取ったカード情報、タッチスクリーン31から入力された電子サインデータ等のクリアを指示するための操作ボタンである。
【0015】
図2に示すように、カード処理装置1は、プロセッサ20、メモリ102、入出力インターフェース103及び表示コントローラ104を備えている。カード処理装置1では、プロセッサ20、メモリ102、入出力インターフェース103及び表示コントローラ104によってコンピュータが構成される。
【0016】
プロセッサ101は、コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、カード処理装置1としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0017】
メモリ102は、上記コンピュータの記憶部分に相当する。メモリ102は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メモリ102は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、プロセッサ101が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メモリ102は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ101によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0018】
メモリ102に記憶されるアプリケーションプログラムには、カード処理装置1で実行される情報処理に関して記述した制御プログラムが含まれる。制御プログラムをメモリ102にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、メモリ102にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0019】
入出力インターフェース103は、電子サイン入力端末2との間で、所定の通信プロトコルに従いデータの入出力を行うインターフェースである。また、入出力インターフェース103は、イントラネット等のネットワーク4に接続されており、このネットワーク4を介してクレジットカード会社のサーバ5とデータ通信を行えるようになっている。
【0020】
表示コントローラ104は、タッチスクリーン13をGUI(Graphical User Interface)として機能させるために、タッチスクリーン13のLCD表示モジュール13aとタッチパッド13bとを制御する。すなわち表示コントローラ104は、プロセッサ101からの指令に応じて、LCD表示モジュール13aに対して種々の画像を表示する機能を有している。また表示コントローラ104は、タッチパッド13bからの信号により、LCD表示モジュール13aに表示された画像に対するタッチ操作位置を検出し、そのタッチ操作位置をプロセッサ101へと通知する機能を有している。
【0021】
かかる構成のカード処理装置1は、ICクレジットカード又は磁気クレジットカードの磁気ストライプに記録されたカード情報を基にクレジット決済を処理するものである。さらにカード処理装置1は、スキミングによる偽造カードの不正使用を防止するために、プロセッサ101が
図3の流れ図に示す手順の情報処理を実行する。この情報処理は、メモリ102に記憶された制御プログラムに従ったものである。なお、この情報処理の手順は一例である。同様の効果が得られるのであれば、その手順は特に限定されるものではない。
【0022】
図3は、クレジット決済を処理するためにカード処理装置1を操作するカード取扱者が処理開始を宣言した後の主要な情報処理の手順を示している。カード取扱者は、典型的には小売店の店員である。処理開始が宣言されると、プロセッサ101は、ACT1としてタッチスクリーン13にクレジット支払画面を表示する。クレジット支払画面は、クレジット支払金額、支払回数等のクレジット支払いに関する情報の入力を受け付けるための画面である。
【0023】
クレジット支払画面を確認したカード取扱者は、その画面を介してクレジット支払金額、支払回数等を入力する。そして、入力を終えたカード取扱者は、決済対象の客から預かったクレジットカードの磁気ストライプに記録されたカード情報をカードリーダ16で読み取らせる。
【0024】
クレジット支払いに関する情報が入力されると、プロセッサ101は、ACT2としてカード情報の読み取りを制御する。具体的にはプロセッサ101は、カードリーダ16で磁気ストライプに記録されている磁気データが読み取られるのを待ち受ける。そしてプロセッサ101は、カードリーダ16で読み取られた磁気データがクレジットカードのカード情報であるか否かを確認する。磁気データがカード情報以外の場合、プロセッサ101は、磁気データを破棄する。磁気データがカード情報の場合、プロセッサ101は、磁気データをカード情報として取り込む。そしてプロセッサ101は、ACT3へと進む。
【0025】
ここで、クレジットカードがICクレジットカードである場合、その磁気ストライプに記録されているカード情報には、ICチップを搭載したクレジットカードであることを示す情報を含んでいる。以下、この情報をIC有情報と称する。一方、クレジットカードが磁気クレジットカードである場合には、その磁気ストライプに記録されているカード情報にIC有情報は含まれていない。
【0026】
カード情報を取り込んだプロセッサ101は、ACT3としてそのカード情報がICクレジットカードのカード情報であるか否かを判定する。上述したように、カード情報にIC有情報が含まれている場合、プロセッサ101は、カード情報がICクレジットカードのカード情報であると判定する。カード情報にIC有情報が含まれていない場合、プロセッサ101は、カード情報が磁気クレジットカードのカード情報であると判定する。カード情報が磁気クレジットカードのカード情報である場合、プロセッサ101は、ACT3においてNOと判定し、ACT6へと進む。ACT6の処理については後述する。
【0027】
ここにプロセッサ101は、ACT2及びACT3の処理を実行することにより、取得部を構成する。すなわちプロセッサ101は、読取部であるカードリーダ16で読み取ったカード情報からICチップを搭載していることを示す情報を取得する。
【0028】
カード情報がICクレジットカードのカード情報である場合、プロセッサ101は、ACT3においてYESと判定し、ACT4へと進む。プロセッサ101は、ACT4として
図4Aに示す画像SC1をタッチスクリーン13に表示させる。画像SC1は、カードがICクレジットカードであることをカード取扱者に報知するメッセージM1として、例えば「確認 このカードはICクレジットカードです。」を表示した画像である。メッセージM1を確認したカード取扱者は、客から預かったクレジットカードがICクレジットカードであると認識できる。
【0029】
ここにプロセッサ101は、タッチスクリーン13と協働してACT4の処理実行することにより報知部を構成する。すなわちプロセッサ101は、取得部でICチップを搭載していることを示す情報を取得すると、カードがICチップを搭載するカードであることをカード取扱者に対して報知する。
【0030】
プロセッサ101は、ACT5としてタッチスクリーン13の表示を画像SC1から
図4Bに示す画像SC2に切り替える。画像SC2は、カードにICチップが付いているか否かの確認をカード取扱者に促すメッセージM2として、例えば「確認 カードにICチップが付いていますか?」を表示した画像である。画像SC2には、OKボタンB1とNGボタンB2も表示されている。メッセージM2を確認したカード取扱者は、客から預かったクレジットカードにICチップが装着されているか否かを確認する。そしてICチップが装着されている場合、カード取扱者はOKボタンB1にタッチする。ICチップが装着されていない場合には、カード取扱者はNGボタンB2にタッチする。
【0031】
プロセッサ101は、OKボタンB1又はNGボタンB2がタッチされるのを待ち受ける。そして、タッチパッド13bからの信号によりNGボタンB2がタッチされたことを検知すると、プロセッサ101は、ACT5においてNOと判定し、ACT10へと進む。ACT10の処理については後述する。
【0032】
一方、タッチパッド13bからの信号によりOKボタンB1がタッチされたことを検知した場合には、プロセッサ101は、ACT5においてYESと判定し、ACT6へと進む。すなわちプロセッサ101は、カードが磁気クレジットカードである場合、あるいはカードがICクレジットカードであり、そのクレジットカードにICチップが装着されているとカード取扱者によって確認された場合に、ACT6へと進む。
【0033】
プロセッサ101は、ACT6としてタッチスクリーン13の表示を画像SC2から
図4Cに示す画像SC3に切り替える。画像SC3は、カードに署名があるか否かの確認をカード取扱者に促すメッセージM3として、例えば「確認 カードに署名はありますか?」を表示した画像である。画像SC3には、OKボタンB3とNGボタンB4も表示されている。メッセージM3を確認したカード取扱者は、客から預かったクレジットカードの署名欄に署名があるか否かを確認する。そして署名がある場合、カード取扱者はOKボタンB3にタッチする。署名がない場合には、カード取扱者はNGボタンB4にタッチする。
【0034】
プロセッサ101は、OKボタンB3又はNGボタンB4がタッチされるのを待ち受ける。そして、タッチパッド13bからの信号によりOKボタンB3がタッチされたことを検知すると、プロセッサ101は、ACT6においてYESと判定し、ACT8へと進む。ACT8の処理については後述する。
【0035】
一方、タッチパッド13bからの信号によりNGボタンB4がタッチされたことを検知した場合には、プロセッサ101は、ACT6においてNOと判定し、ACT7へと進む。プロセッサ101は、ACT7としてタッチスクリーン13の表示を画像SC3から
図4Dに示す画像SC4に切り替える。画像SC4は、客に署名をさせてカードの名義と同じであるか否かの確認をカード取扱者に促すメッセージM4として、例えば「署名を記入して戴き、カードの名義と同じか確認してください。署名が読めない場合には、お名前を確認してください。」を表示した画像である。画像SC4には、OKボタンB5とNGボタンB6も表示されている。メッセージM4を確認したカード取扱者は、客から電子サイン入力端末2又は所定の用紙に署名をもらい、署名された名義がカードの名義と同じか確認する。店員は、署名された名義がカードの名義と同じであれば、OKボタンB5にタッチする。署名された名義がカードの名義と異なっていたならば、NGボタンB6にタッチする。
【0036】
プロセッサ101は、OKボタンB5又はNGボタンB6がタッチされるのを待ち受ける。そして、タッチパッド13bからの信号によりOKボタンB5がタッチされたことを検知すると、プロセッサ101は、ACT7においてYESと判定し、ACT8へと進む。すなわちプロセッサ101は、クレジットカードに署名があるか、署名が無くても客が記入した署名とカードの名義とが一致していることをカード取扱者が確認した場合には、ACT8へと進む。
【0037】
プロセッサ101は、ACT8としてタッチスクリーン13の表示を画像SC4から
図4Eに示す画像SC5に切り替える。画像SC5は、読み取ったカード情報に含まれているカード番号「1234 5678 XXXX XXXX」とともに、カードに刻印されているカード番号と表示されたカード番号とが一致しているか否かの確認をカード取扱者に促すメッセージM5として、例えば、「確認 カードに刻印されているカード番号と表示されているカード番号と同じですか?」を表示した画像である。画像SC5には、OKボタンB7とNGボタンB8も表示されている。メッセージM5を確認したカード取扱者は、カードに刻印されているカード番号がタッチスクリーン13に表示されているカード番号「1234 5678 XXXX XXXX」と一致するか否かを確認する。そして一致する場合、カード取扱者はOKボタンB7にタッチする。一致しない場合には、カード取扱者はNGボタンB8にタッチする。
【0038】
プロセッサ101は、OKボタンB7又はNGボタンB8がタッチされるのを待ち受ける。そして、タッチパッド13bからの信号によりOKボタンB7がタッチされたことを検知すると、プロセッサ101は、ACT8においてYESと判定し、ACT9へと進む。プロセッサ101は、ACT9としてタッチスクリーン13の表示を画像SC5から
図4Fに示す画像SC6に切り替える。画像SC6は、クレジットカードによって取引の決済が可能であることをカード取扱者に促すメッセージM6として、例えば「取引可能です。」を表示した画像である。メッセージM6を確認したカード取扱者は、クレジットカードによる取引の決済処理を実行する。この決済処理については、周知の処理であるので、ここでの説明は省略する。
【0039】
一方、プロセッサ101は、タッチパッド13bからの信号によりNGボタンB8がタッチされたことを検知した場合には、ACT8においてNOと判定し、ACT10へと進む。すなわちプロセッサ101は、カード取扱者が、ICクレジットカードにICチップがないことを確認した場合、又は、署名の不一致を確認した場合、あるいは、カード番号の不一致を確認した場合には、ACT10へと進む。プロセッサ101は、ACT10としてタッチスクリーン13の表示を画像SC2、SC4又はSC5から
図4Gに示す画像SC7に切り替える。画像SC7は、クレジットカードが偽造されたカードであることをカード取扱者に通知するメッセージM7として、例えば「このカードは使用できません。至急、クレジットカード会社に連絡してください。」を表示する画像である。メッセージを確認したカード取扱者は、クレジットカードが偽造カードであると認識する。そしてカード取扱者は、クレジットカードによる決済を中止し、偽造カードが使用された場合の対処を実行する。この対処も周知の処理であるので、ここでの説明は省略する。
【0040】
プロセッサ101は、ACT9又はACT10の処理を終えると、
図3の流れ図に示す手順の情報は処理を終了する。
【0041】
なお、プロセッサ101は、画像SC7の表示とは別に、カード取扱者に対して警告を行ってもよい。警告は、表示を見た客が警戒し、不法な行為を起こす虞があるため、店員だけに理解できる他の報知形態を用いることが好ましい。例えば、警告を表す所定のメロディ音を流したり、LED(Light Emitting Diode)等を点灯/点滅させたりすることが考えられる。
【0042】
ここに、タッチスクリーン13のLCD表示モジュール13aは、プロセッサ101のACT5乃至ACT8の処理を受けることにより、表示部として機能する。また、タッチスクリーン13のタッチパッド13bは、プロセッサ101のACT5乃至ACT8の処理を受けることにより、受付部として機能する。すなわち、LCD表示モジュール13aは、取得部でICチップを搭載していることを示す情報を取得すると、カード取扱者に対してカードの正当性を確認するために必要な項目を、画像SC2、画像SC3、画像SC4及び画像SC5として順次表示する。そしてタッチパッド13bは、表示部で表示された項目に対するカード取扱者の確認結果を、OKボタンB1,B3,B5,B7又はNGボタンB2,B4,B6,B8のタッチ入力により受け付ける。
【0043】
以上の説明から明らかなように、カード処理装置1は、ICクレジットカードの磁気ストライプに記録されているカード情報を不正にコピーした磁気カードが使用されると、タッチスクリーン13に
図4Aに示す画像SC1が表示され、続いて
図4Bに示す画像SC2が表示される。したがって、磁気カードにICカードが装着されていない場合、カード取扱者は磁気カードが偽造カードであることを容易に確認することができる。また、画像SC2のメッセージM2によってカード取扱者はICチップを念入りに確認するので、たとえダミーのICチップが磁気カードに装着されていてもその不正を容易に見破ることができる。
【0044】
また、仮にダミーのICチップを識別することが困難な場合にも、引き続き画像SC3、画像SC4、画像SC5が順次表示され、その都度カード取扱者は画像のメッセージに従て確認操作を行う。したがって、署名の相違あるいはカード番号の相違などから偽造カードを見分けられる確率は極めて高いものとなる。
【0045】
よって、本実施形態によれば、磁気カード処理装置を使用している店舗であってもICクレジットカードを複製した偽造カードの不正使用を未然に防止できるカード処理装置1を提供することができる。
【0046】
なお、カード処理装置1は、
図1に示す単体の装置に限定されるものではない。例えば
図5に示すように、磁気カードリーダ61、キーボード62、オペレータ用ディスプレイ63、客用ディスプレイ64等を備えたPOS端末6をカード処理装置の一態様とすることも可能である。すなわち、磁気カードリーダ61は、読取部として機能する。そして、POS端末6の制御部であるプロセッサは、磁気カードリーダ61によって、決済に係るカード情報を磁気情報として記憶するカードからカード情報を読み取ると、そのカード情報からICチップを搭載していることを示す情報を取得する。そしてプロセッサは、ICチップを搭載していることを示す情報を取得すると、カードがICチップを搭載するカードであることをカード取扱者に対して報知するための画像SC1、さらにはカード取扱者に対してカードの正当性を確認するために必要な項目を示す画像SC2,SC3,SC4,SC5等をオペレータ用ディスプレイ33に表示させる。そして、プロセッサは、キーボード62の所定キーが操作入力されることにより、表示部で表示された項目に対するカード取扱者の確認結果を受け付ける。かくして、カード処理装置1の機能をPOS端末6で実現することができる。
【0047】
因みに、POS端末6におけるオペレータ用ディスプレイ63の画面は、カード取扱者である店員側を向いており、この店員と対峙する客は表示内容を確認することができない。したがって、オペレータ用ディスプレイ63に具体的な警告表示を行っても問題はない。また、客側には客用ディスプレイ64が向いているので、必要に応じて客用ディスプレイ64に情報を表示させて、客と情報を共有するようにしてもよい。
【0048】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1…カード処理装置、2…電子サイン入力端末、6…POS端末、12…操作パネル、13…タッチスクリーン、13a…LCD表示モジュール、13b…タッチパッド、14…プリンタ、16…カードリーダ、101…プロセッサ、102…メモリ、103…入出力インターフェース、104…表示コントローラ。