(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】瓶口用キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/58 20060101AFI20231218BHJP
B65D 41/04 20060101ALI20231218BHJP
【FI】
B65D41/58
B65D41/04 200
(21)【出願番号】P 2019176419
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119460(JP,A)
【文献】実開昭59-000757(JP,U)
【文献】特開昭55-116560(JP,A)
【文献】特開平07-237651(JP,A)
【文献】実開昭53-106337(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/58
B65D 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上蓋部(2)と、該上蓋部(2)の外周縁に垂下設されると共に前記上蓋部(2)に対して分離可能に設けられた封緘筒部(3)と、前記上蓋部(2)の下面に垂下設され且つ瓶口部(21)に対して着脱可能に嵌合する栓体部(4)と、を有して一体に成形された瓶口用キャップ(1)であって、
前記封緘筒部(3)の内周面には、前記瓶口部(21)の外周面に周設された係止部(22)に係止可能な被係止部(8)が形成され、
前記栓体部(4)は、前記瓶口部(21)の内周面よりも僅かに大きな径寸法を有して形成された上端部(4A)と該上端部(4A)よりも小さな径寸法で形成された下端部(4B)とを有し、
前記上端部(4A)の外周面には前記瓶口部(21)の上部内周面に密嵌合する第1シール部(13)が形成され、
前記下端部(4B)の外周面には径方向に弾性変形可能に設けられて前記瓶口部(21)の内周面を径方向外側に向かって押圧する凸リブ(14a)から成る第2シール部(14)が設けられ
、
前記凸リブ(14a)の下面と前記栓体部(4)の下端とが同一平面で形成される共に、該同一平面に遮断部材(15)が接着固定されていることを特徴とする瓶口用キャップ。
【請求項2】
凸リブ(14a)が、円環状又は螺旋状に配置されている請求項1記載の瓶口用キャップ。
【請求項3】
凸リブ(14a)が、軸方向に間隔を有して複数配置されている請求項2に記載の瓶口用キャップ。
【請求項4】
封緘筒部(3)が、瓶口部(21)を覆う側壁部(6)と、上蓋部(2)の外周壁(5)と前記側壁部(6)との間に水平且つ破断可能に連結された水平弱化部(11)と、前記側壁部(6)の下端に設けられた切欠き部(10)と、前記水平弱化部(11)と前記該切欠き部(10)との間に傾斜状且つ破断可能に配置された傾斜弱化部(12)と、を有して形成されている請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の封緘部付きキャップ。
【請求項5】
側壁部(6)に、径方向に貫く横帯状の窓孔(7)が周方向に間欠して複数形成されており、
被係止部(8)は、前記窓孔(7)の内側に、弾性変形可能に形成された連結部(9)を介して封緘筒部(3)の内側に向けて折り返し可能に連結され、前記被係止部(8)が前記封緘筒部(3)の内側に向けて折り返された状態において、瓶口部(21)の外周面に周設された係止部(22)に係止される請求項4記載の封緘部付きキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶体の瓶口部に装着される瓶口用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
瓶口用キャップに関連する先行技術として、以下の特許文献1には瓶口部に装着される内栓と瓶口部を覆う側部とを備える瓶用栓が記載されている。
特許文献1に記載の瓶用栓は、側部20に、下端部から上方に向けて設けられる切込部21と、側部20の外周に沿って周回する周回部23a及びこの周回部23aから上方へ向けて形成される傾斜部23bとが交互に連続的に形成される薄肉部23と、頭部12と側部20の境界に側部20の外周に沿って周回する分離薄肉部15と、側部20の内側面に設けられて瓶Aの環状係合部A2に係止するよう係合部24と、薄肉部23が設けられる位置に対応して係合部24に設けられる間隙部25とを備えてなり、頭部12における縁部14の外形が瓶口部A1の外形より大きく形成されている。そして、側部20の上方の内側面には内径方向へ突出する係合部24が一体に突設されており、瓶Aに内容液を充填した後に内栓10を瓶口部A1に装着すると、係合部24が瓶口部A1の外周面に設けられた環状係合部A2に係合するため、瓶Aが閉栓できるようになっている。
【0003】
また瓶用栓の開栓においては、摘み片22を指で摘んで周方向に引き上げること、切込部21から連続して形成される薄肉部23及び分離薄肉部15が破断し、内栓10と側部20とを分離して内栓10が露呈され、内栓10のみが瓶Aに装着された状態となることから、内栓10の開栓及び再閉栓(リキャップ)を容易に行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記瓶口用キャップで閉栓された瓶Aは、例えば清酒などの容器として使用されるが、清酒は一度に飲み切れないことがあり、その場合には再閉栓した状態で保管されることになる。その際、例えば瓶Aが横倒しの状態で長期間据え置かれる場合があり、完全な状態で再閉栓されていない場合には密封度が低下する恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、不完全な状態で再閉栓(リキャップ)したとしても密封度の低下を防止することにより、瓶口部からの液漏れを防止可能とした瓶口用キャップを創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
上蓋部と、上蓋部の外周縁に垂下設されると共に上蓋部に対して分離可能に設けられた封緘筒部と、上蓋部の下面に垂下設され且つ瓶口部に対して着脱可能に嵌合する栓体部と、を有して一体に成形された瓶口用キャップであって、
封緘筒部の内周面には、瓶口部の外周面に周設された係止部に係止可能な被係止部が形成され、
栓体部は、前記瓶口部の内周面よりも大きな径寸法を有して形成された上端部と該上端部よりも小さな径寸法で形成された下端部とを有し、前記上端部の外周面には瓶口部の上部内周面に密嵌合する第1シール部が形成され、前記下端部の外周面には前記瓶口部の内周面を押圧する複数の凸リブから成る第2シール部が設けられており、
前記被係止部が、前記上端部と前記下端部との境目近傍に対し、前記瓶口部を挟んで径方向に対向可能とされ、
前記凸リブの下面と前記栓体部の下端とが同一平面で形成される共に、該同一平面に遮断部材が接着固定されていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の主たる手段では、栓体部に設けた第1シール部で瓶口部の上部内周面に密嵌合することでシールすることを達成する。また第2シール部を構成する複数の凸リブが、第1シール部の下部位置において瓶口部の内周面を押圧することによるシールを達成するため、例え不完全な状態で再閉栓(リキャップ)されたとしても密封度の低下を防止し、結果として瓶口部からの液漏れを防止することができる。
また上記手段では、遮断部材を栓体部の下端及び凸リブの下面に、より簡単且つ確実に接着固定すること、及び瓶体側の内容液と栓体部との間を完全に遮断し、アルコール臭など内容液の匂いが、栓体部側に移る匂い移りの抑制を達成し得る。
【0008】
また本発明の他の手段は、上記主たる手段に、凸リブが、円環状又は螺旋状に配置されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、栓体部の外周面と瓶口部の内周面との間の確実なシールを達成し得る。
【0009】
また本発明の他の手段は、上記手段に、凸リブが、軸方向に間隔を有して複数配置されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、複数の凸リブのうち、少なくとも一つ以上の凸リブが栓体部の外周面と瓶口部の内周面との間をシールすることを達成し得る。
【0011】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、封緘筒部が、瓶口部を覆う側壁部と、上蓋部の外周壁と側壁部との間に水平且つ破断可能に連結された水平弱化部と、側壁部の下端に設けられた切欠き部と、水平弱化部と切欠き部との間に傾斜状且つ破断可能に配置された傾斜弱化部と、を有して形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、傾斜弱化部及び平弱化部を破断することにより、封緘筒部を上蓋部及び封緘筒部から分離させることを達成し得る。
【0012】
また本発明の他の手段は、上記手段に、側壁部に、径方向に貫く横帯状の窓孔が周方向に間欠して複数形成されており、
被係止部は、窓孔の内側に、弾性変形可能に形成された連結部を介して封緘筒部の内側に向けて折り返し可能に連結され、被係止部が封緘筒部の内側に向けて折り返された状態において、瓶口部の外周面に周設された係止部に係止される、との手段を加えたものである。
上記手段では、瓶口用キャップを瓶口部に装着した際に、被係止部が、瓶口部の外周面を摺動しながら係止部に侵入するため、瓶口部に対する栓体部の上方への移動の規制を達成し得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、栓体部に設けた第2シール部を構成する複数の凸リブが瓶口部の内周面に押圧可能であるため、例え不完全な状態で再閉栓(リキャップ)されたとしても密封度の低下を防止し、瓶口部からの液漏れを防止することができる。
また栓体部の下端にフィルムを接着固定することにより、清酒やお酢等の内容液の匂いが栓体部側に移る匂い移りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例として、被係止部を折り返す前の状態を示す瓶口用キャップの正面図である。
【
図2】被係止部を折り返した後の状態を示す瓶口用キャップの正面図である。
【
図3】瓶口部に装着した状態を示す瓶口用キャップの半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の瓶口用キャップは、例えば清酒や焼酎などの酒類やその他の内容液(例えば醤油、お酢など)を入れる一升瓶(1800ml入り瓶)や四号瓶(720ml入り瓶)などのガラス製の瓶体20の瓶口部21に装着されて瓶体20内を密封封止するためのものである。瓶体20はガラス製に限られるものではなく、その他陶磁器製、金属製などであっても良い。
尚、以下の説明において、瓶体20の容器軸Oに沿う上下方向を軸方向とし、容器軸Oと直交する方向を径方向とし、更に容器軸O回りに周回する方向を周方向とする。
【0017】
図1は本発明の実施例として、被係止部を折り返す前の状態を示す瓶口用キャップの正面図、
図2は被係止部を折り返した後の状態を示す瓶口用キャップの正面図、
図3は瓶口部に装着した状態を示す瓶口用キャップの半断面図である。
本発明の瓶口用キャップ1は、上蓋部2と、この上蓋部2に連設された封緘筒部3と、上蓋部2の下面に設けられた栓体部4とを有して構成されている。
図1及び
図2に示すように、上蓋部2の外周縁には外周壁5が垂下設されている。この外周壁5には複数の縦溝からなり、特に周方向における滑り止め効果を発揮するローレット5aが形成されている。
上蓋部2を構成する外周壁5の下方には、側壁部6を円筒状に形成して成る封緘筒部3が連設されている。上蓋部2側の外周壁5と封緘筒部3側の側壁部6との間には、薄肉部11aを介して破断可能に形成された水平弱化部11が周設されている。水平弱化部11を破断させることにより、封緘筒部3を上蓋部2から分離することが可能となっている。
【0018】
封緘筒部3の軸方向の中央の位置には、径方向に貫通する窓孔7が穿設されている。この窓孔7は、横帯状(周方向に長辺を有する長方形状)であり、周方向に所定の間隔を有して複数形成されている。
そして、封緘筒部3には傾斜弱化部12が形成されている。傾斜弱化部12は、任意の一ヵ所の窓孔7のうち、上縁部7aの周方向の一端側の角部と水平弱化部11との間に傾斜状に配設された第1傾斜弱化部12aと、同じく下縁部7bの周方向の一端側の角部と封緘筒部3の下端に形成された切欠き部10との間に傾斜状に配設された第2傾斜弱化部12bとを有して構成される。第1傾斜弱化部12aと第2傾斜弱化部12bとは、共に薄肉部を介して破断可能に形成され、且つ共に傾斜方向(
図1、2では右肩上がり方向)が同一方向となるように設定されている。尚、側壁部6の下端うち、第2傾斜弱化部12bの下部位置で且つ切欠き部10から連続する部分には、凸湾曲状に形成されて成る摘み部6aが設けられている。
【0019】
また各窓孔7の上縁部7aには、径方向外側に向けて凸曲面状に突出する被係止部8が、弾性変形可能に形成された連結部9を介して連設され、封緘筒部3を形成する側壁部6の内周面に向けて折り返し可能に配設されている。
図3に示すように、被係止部8は封緘筒部3の内周面に向けて折り返され、この状態で瓶口部21の外周面に凹曲面状に周設された係止部22に係止されることにより、瓶口部21に対する瓶口用キャップ1の軸方向への移動が規制されている。尚、凸曲面状の被係止部8と凹曲面状の係止部22とは互いに同じ曲率半径で形成されている。
【0020】
図3に2点鎖線で示すように、折り返し前において径方向内側を向いていた被係止部8の内周面は、折り返し後においては径方向内側を向いた状態で側壁部6の内周面に密接する。そして、折り返し前において連結部9よりも軸方向下方に位置していた被係止部8の端部8aは、折り返し後は連結部9よりも軸方向上方の位置にあって、側壁部6のうち水平弱化部11下端近傍の内周面に設けられた段差部6bに対して当接可能であり、更なる軸方向上方へ移動が規制されている。
【0021】
栓体部4は内部に空洞が形成された円筒状の部材であり、その内周面は段差なく形成されているが、外周面は上蓋部2の下面から下端にかけて径寸法が異なる径寸法を有して形成されている。すなわち、上蓋部2の下面から軸方向の略中間位置までの上端部4Aは、略中間位置から下端までの下端部4Bよりも太い径寸法で形成されている。そして、上端部4Aの外周面には複数の縦リブ4aが周方向に所定の間隔を有して配設されている。縦リブ4aの軸方向の長さ寸法は、上端部4Aの軸方向の長さ寸法よりも短く形成されており、縦リブ4aの下端は瓶口部21の上端に当接可能である。上端部4Aのうち、上端部4Aの下部(縦リブ4aの下端よりも下方に位置する部分)は、瓶口部21の内周面よりも僅かに大きな寸法で形成されており、瓶口部21の上部内周面に密嵌合することで封止を行う第1シール部13として機能する。また下端部4Bの外周面には、瓶口部21の内周面に当接可能な円環状の凸リブ14aが構成される第2シール部14が形成されている。
【0022】
本実施例では、第2シール部14を構成する複数(本実施例では3つ)の凸リブ14aが下端部4Bの外周面に設けた場合を示しているが、凸リブ14aは少なくとも1つ以上設けた構成であればよい。また凸リブ14aは栓体部4の下端の位置に形成され、凸リブ14aの下面と栓体部4の下端とが同一平面を形成する構成を有することが好ましい。
更に凸リブ14aを複数とする場合には、軸方向に所定の間隔を有して配設する構成が好ましい。第1シール部13及び第2シール部14を構成する凸リブ14aは径方向に弾性変形可能であり、凸リブ14aの径方向の端面が瓶口部21の内周面を径方向外側に向かって押圧することが可能な構成が好ましい。
【0023】
また栓体部4の下端には遮断部材15が接着固定されている。遮断部材15は、例えばフィルム状のPET樹脂又はアルミ箔で構成されており、アルコール臭など内容液の匂いが、瓶口用キャップ1側の特に栓体部4に移る匂い移りを抑制することが可能となっている。
特に、凸リブ14aが栓体部4の下端の位置に形成され、凸リブ14aの下面と栓体部4の下端とが同一平面を形成する構成では、遮断部材15は栓体部4の下端だけでなく、凸リブ14aの下面を含んだより広範囲に渡って接着固定されるため、遮断部材15が栓体部4の下端のみに接着固定される場合に比較し、より簡単且つ確実に接着固定することができる。しかも遮断部材15の径方向の端面が瓶口部21の内周面に当接し、瓶体20側の内容液と栓体部4との間を完全に遮断することが可能となるため、匂い移りをより効果的に抑制することができる。
【0024】
上記構成からなる瓶口用キャップ1を瓶口部21に装着するには、まず、治具などを用いて、連結部9において弾性変形させながら被係止部8を、封緘筒部3を構成する側壁部6の内側に向けて押し返す。これにより、被係止部8が径方向内側に向くと共に、端部8aが連結部9よりも上方に位置する状態に設定される(
図3参照)。
次に、瓶口用キャップ1を打栓し、栓体部4を瓶口部21に嵌合させる。この際、栓体部4側の縦リブ4aの下端が瓶口部21の上端に当接するため、瓶口部21に対する瓶口用キャップ1のこれ以上の下方への移動が規制される。同時に、被係止部8が、瓶口部21の外周面を摺動しながら係止部22に侵入して係止が完了し、瓶口部21に対する瓶口用キャップ1の上方への移動が規制される。更に栓体部4側の第1シール部13が瓶口部21内に押入して瓶口部21をシールする。同時に第2シール部14を構成する複数の凸リブ14aが瓶口部21の内周面を夫々押圧してシールする。よって、瓶口部21が強固にシールされた高度な密封状態に設定することができる。よって、瓶口部21が強固にシールされた高度な密封状態に設定することができる。尚、このような瓶口用キャップ1の瓶口部21への装着作業は、図示しない打栓機を用いて行われる。
【0025】
次に、上記構成からなる瓶口用キャップの瓶口部からの開栓方法について説明する。
まず、側壁部6の下端に設けられた摘み部6aを摘みながら引き上げることにより、第2傾斜弱化部12bを破断させる。すると、第2傾斜弱化部12bの破断は窓孔7の下縁部7bに達し、続けて引き上げることにより、窓孔7の上縁部7aを介して第1傾斜弱化部12aが破断し、その破断が水平弱化部11に到達する。
続いて、摘み部6aを摘まんだ指を封緘筒部3の周囲において周方向に一方に周回させながら引っ張る。すると、水平弱化部11が全周に渡って破断するため、被係止部8を備えた封緘筒部3の全体を、上蓋部2及び栓体部4から分離させることができる。
分離後は、栓体部4が瓶口部21内に密嵌合して強固にシールされ、且つ上蓋部2が瓶口部21の上に露出した状態にある。よって、上蓋部2の側壁部5を把持しながら引き抜くことにより開栓することにより、瓶口部21を通じて瓶体20内の内容液を注出させることが可能となる。
【0026】
上記構成からなる瓶口用キャップ1では、開栓後においても栓体部4を瓶口部21内に密嵌合させることにより再閉栓(リキャップ)することが可能である。
この再開栓においては、正しく栓体部4を瓶口部21内に嵌合させた場合には、上記同様に第1シール部13が瓶口部21の上部内周面をシールし、且つ第2シール部14を構成する複数の凸リブ14aが瓶口部21の内周面を夫々シールするため、瓶口部21を強固にシールすることができる。
【0027】
他方、正しくない不完全な状態で栓体部4を瓶口部21内に嵌合させた場合、例えば容器軸Oに対して栓体部4が少し傾いた不完全な状態あるいは栓体部4が奥まで挿入されず浅く嵌合した不完全な状態で栓体部4を瓶口部21内に嵌合する場合にあっては、第1シール部13における密封度は低下し易くなる。
しかし、本発明では、第1シール部13の下に第2シール部14として、複数の円環状の凸リブ14aが設けられており、この複数の凸リブ14aが瓶口部21内において内周面を夫々押圧することで密封度の低下を防止することが可能であるため、内容液の液漏れを効果的に防止することができる。
【0028】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、第2シール部14として円環状の凸リブ14aの場合を示して説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、第2シール部14は螺旋状に配置された凸リブ14aであってもよい。
【0029】
また上記実施の形態では、封緘筒部3の側壁部6に複数の窓孔7を有し、窓孔7の上下に第1傾斜弱化部12aと第2傾斜弱化部12bが連設する構成を示して説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、窓孔7を有さず、第1傾斜弱化部12aと第2傾斜弱化部12bが連続して配置される傾斜弱化部12であっても良い。
【0030】
また上記実施の形態では、窓孔7の上縁部7aに被係止部8が連結部9を介して連設された構成を示して説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば係止部を備える平面視略C型形状の部材を、封緘筒部3の内部に別途配置させる構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、瓶口用キャップの分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 : 瓶口用キャップ
2 : 上蓋部
3 : 封緘筒部
4 : 栓体部
4A : 上端部
4B : 下端部
4a : 縦リブ
5 : 外周壁
5a : ローレット
6 : 側壁部
6a : 摘み部
6b : 段差部
7 : 窓孔
7a : 窓孔の上縁部
7b : 窓孔の下縁部
8 : 被係止部
8a : 被係止部の端部
9 : 連結部
10 : 切欠き部
11 : 水平弱化部
11a: 薄肉部
12 : 傾斜弱化部
12a: 第1傾斜弱化部
12b: 第2傾斜弱化部
13 : 第1シール部
14 : 第2シール部
14a: 凸リブ
15 : 遮断部材
20 : 瓶体
21 : 瓶口部
22 : 係止部