(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】モジュール、電子機器、及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6595 20110101AFI20231218BHJP
H01R 13/6596 20110101ALI20231218BHJP
H01R 24/50 20110101ALI20231218BHJP
【FI】
H01R13/6595
H01R13/6596
H01R24/50
(21)【出願番号】P 2019187665
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2018220770
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 誠
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-067544(JP,A)
【文献】特開2017-130321(JP,A)
【文献】特開2015-004829(JP,A)
【文献】特開2013-025984(JP,A)
【文献】特開2013-026076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 - 12/91
H01R 13/56 - 13/72
H01R 24/00 - 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラウンド配線を含む配線板と、
前記配線板に設けられた電気部品と、
前記配線板に設けられ、前記配線板を通じて前記電気部品に電気的に接続されたコネクタと、を備え、
前記コネクタは、
前記グラウンド配線に電気的に接続された少なくとも1つの金属部材と、
高周波信号の伝送に用いられる複数の高周波信号ピンと、
前記高周波信号の伝送以外の用途に用いられる複数の非高周波信号ピンと、を有し、
前記複数の高周波信号ピンは、前記複数の高周波信号ピンのうちの1つのピンと前記複数の非高周波信号ピンのうちの1つのピンとが配列された配列方向において連続して配列された複数の第1ピン
と複数の第2ピンを含み、
前記複数の非高周波信号ピンの少なくとも1つは、前記複数の第1ピンと前記複数の第2ピンとの間に設けられ、
前記複数の第1ピンと前記1つの金属部材との間には、前記複数の非高周波信号ピンのいずれも介在しないことを特徴とするモジュール。
【請求項2】
グラウンド配線を含む配線板と、
前記配線板に設けられた電気部品と、
前記配線板に設けられ、前記配線板を通じて前記電気部品に電気的に接続されたコネクタと、を備え、
前記コネクタは、
前記グラウンド配線に電気的に接続された少なくとも1つの金属部材と、
高周波信号の伝送に用いられる複数の高周波信号ピンと、
前記高周波信号の伝送以外の用途に用いられる複数の非高周波信号ピンと、を有し、
前記複数の高周波信号ピンは、前記複数の高周波信号ピンのうちの1つのピンと前記複数の非高周波信号ピンのうちの1つのピンとが配列された配列方向において連続して配列された複数の第1ピンを含み、
前記複数の第1ピンと前記1つの金属部材との間には、前記複数の非高周波信号ピンのいずれも介在せず、
前記配線板は、第1導体層に配置され、前記電気部品と前記複数の高周波信号ピンとを電気的に接続する複数の第1配線を有し、
前記配線板は、前記第1導体層、及び前記第1導体層とは別の第2導体層に跨って配置され、前記電気部品と前記複数の非高周波信号ピンとを電気的に接続する複数の第2配線と、を有し、
前記グラウンド配線は、前記第1導体層と前記第2導体層との間の第3導体層に配置されたグラウンドパターンを含むことを特徴とするモジュール。
【請求項3】
前記1つの金属部材が第1金属部材であり、
前記コネクタは、前記配列方向に前記第1金属部材と間隔をあけて配置され、前記グラウンド配線に電気的に接続された第2金属部材を有し、
前記複数の第2ピンと前記第2金属部材との間には、前記複数の非高周波信号ピンのいずれも介在しないことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記1つの金属部材が第1金属部材であり、
前記コネクタは、前記配列方向に前記第1金属部材と間隔をあけて配置され、前記グラウンド配線に電気的に接続された第2金属部材を有し、
前記複数の高周波信号ピンは、前記配列方向において連続して配列された複数の第2ピンを含み、
前記複数の第2ピンと前記第2金属部材との間には、前記複数の非高周波信号ピンのいずれも介在しないことを特徴とする請求項
2に記載のモジュール。
【請求項5】
前記複数の第1ピンと前記複数の第2ピンとの数の差が0又は1であることを特徴とする請求項
3または4に記載のモジュール。
【請求項6】
前記コネクタは、前記配列方向に互いに間隔をあけて配置された第1金属部材及び第2金属部材を有し、
前記1つの金属部材は、前記第1金属部材と前記第2金属部材との間に配置された第3金属部材であることを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項7】
前記コネクタは、前記第1金属部材と前記第2金属部材との間に配置された第3金属部材を有し、
前記複数の高周波信号ピンは、前記配列方向において連続して配列された複数の第3ピンを含み、
前記複数の第3ピンと前記第3金属部材との間には、前記複数の非高周波信号ピンのいずれも介在しないことを特徴とする請求項
3または4に記載のモジュール。
【請求項8】
前記複数の高周波信号ピンは、前記第3金属部材を挟んで前記複数の第3ピンとは反対側に配置され、前記配列方向において連続して配列された複数の第4ピンを含み、
前記複数の第4ピンと前記第3金属部材との間には、前記複数の非高周波信号ピンのいずれも介在しないことを特徴とする請求項
7に記載のモジュール。
【請求項9】
前記複数の第3ピンと前記複数の第4ピンとの数の差が0又は1であることを特徴とする請求項
8に記載のモジュール。
【請求項10】
前記コネクタが第1コネクタであり、前記第1コネクタに着脱可能な第2コネクタを備え、
前記第2コネクタは、前記第1コネクタに装着されたときに前記1つの金属部材に接触する第4金属部材を有することを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項11】
前記第2コネクタに取り付けられた複数の同軸ケーブルを備え、
前記複数の同軸ケーブルの各々は、心線及び外皮導体を含み、
複数の前記外皮導体は、前記第4金属部材に電気的に接続されていることを特徴とする請求項
10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記高周波信号ピンは、データ信号の送受信を行なうピンであり、前記非高周波信号ピンは、データ信号以外の信号の送受信を行なうピンであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項13】
前記配線板は、第1導体層に配置され、前記電気部品と前記複数の高周波信号ピンとを電気的に接続する複数の第1配線を有することを特徴とする請求項1乃至
12のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項14】
前記電気部品は、半導体装置であることを特徴とする請求項1乃至
13のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項15】
前記半導体装置は、画像処理ICであることを特徴とする請求項
14に記載のモジュール。
【請求項16】
前記電気部品は、メモリが着脱可能なメモリコネクタであることを特徴とする請求項1乃至
13のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項17】
前記高周波信号は、速度が100[Mbps]以上のデジタル信号であることを特徴とする請求項1乃至
16のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項18】
前記デジタル信号は、差動信号であることを特徴とする請求項
17に記載のモジュール。
【請求項19】
前記デジタル信号は、データ信号であることを特徴とする請求項
17に記載のモジュール。
【請求項20】
前記複数の第1ピンと前記1つの金属部材との間には、前記複数の高周波信号ピンのうち前記複数の第1ピン以外のピンのいずれも介在しないことを特徴とする請求項1乃至
19のいずれか1項に記載のモジュール。
【請求項21】
筐体と、
前記筐体の内部に配置された無線通信ユニットと、
前記筐体の内部に配置された請求項1乃至
20のいずれか1項に記載のモジュールと、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項22】
筐体と、
前記筐体の内部に配置された無線通信ユニットと、
前記筐体の内部に配置された撮像素子と、
前記筐体の内部に配置された請求項1乃至
20のいずれか1項に記載のモジュールと、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ対策に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、無線通信ユニットが搭載されるものがある。この種の電子機器の一例であるデジタルカメラでは、無線通信ユニットが搭載されることで、PCなどの他の機器により撮像動作等を遠隔操作、或いは撮像画像を他の機器に伝送することが可能となっている。
【0003】
この種の電子機器では、内部に配置されたケーブルから放射される電磁ノイズが、無線通信ユニットにおいて受信されることで、無線通信速度が低下する問題があった。
【0004】
この無線通信の信頼性が低下する問題を解決する手段の一つとして、非特許文献1には、リング形状のフェライトコアにケーブルを挿通し、ケーブルから放射される電磁ノイズをフェライトコアによって低減させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】羽鳥光俊 監修「EMC設計の実際」丸善出版事業部(2000年6月30日発行、P.238)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子機器の小型化、及び無線通信ユニットにおける電波の受信感度の高まりにより、従来の方法によるノイズ対策では不十分であり、更なる改良が求められていた。また、電子機器が無線通信ユニットを有していない場合であっても、電子機器のまわりに無線通信を行う他の電子機器が配置される場合もあるため、他の電子機器にノイズが干渉しないように、ノイズの放射量を低減することが求められていた。
【0007】
本発明は、ノイズの放射量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様は、グラウンド配線を含む配線板と、前記配線板に設けられた電気部品と、前記配線板に設けられ、前記配線板を通じて前記電気部品に電気的に接続されたコネクタと、を備え、前記コネクタは、前記グラウンド配線に電気的に接続された少なくとも1つの金属部材と、高周波信号の伝送に用いられる複数の高周波信号ピンと、前記高周波信号の伝送以外の用途に用いられる複数の非高周波信号ピンと、を有し、前記複数の高周波信号ピンは、前記複数の高周波信号ピンのうちの1つのピンと前記複数の非高周波信号ピンのうちの1つのピンとが配列された配列方向において連続して配列された複数の第1ピンと複数の第2ピンを含み、前記複数の非高周波信号ピンの少なくとも1つは、前記複数の第1ピンと前記複数の第2ピンとの間に設けられ、前記複数の第1ピンと前記1つの金属部材との間には、前記複数の非高周波信号ピンのいずれも介在しないことを特徴とするモジュールである。
本開示の第2態様は、グラウンド配線を含む配線板と、前記配線板に設けられた電気部品と、前記配線板に設けられ、前記配線板を通じて前記電気部品に電気的に接続されたコネクタと、を備え、前記コネクタは、前記グラウンド配線に電気的に接続された少なくとも1つの金属部材と、高周波信号の伝送に用いられる複数の高周波信号ピンと、前記高周波信号の伝送以外の用途に用いられる複数の非高周波信号ピンと、を有し、前記複数の高周波信号ピンは、前記複数の高周波信号ピンのうちの1つのピンと前記複数の非高周波信号ピンのうちの1つのピンとが配列された配列方向において連続して配列された複数の第1ピンを含み、前記複数の第1ピンと前記1つの金属部材との間には、前記複数の非高周波信号ピンのいずれも介在せず、前記配線板は、第1導体層に配置され、前記電気部品と前記複数の高周波信号ピンとを電気的に接続する複数の第1配線を有し、前記配線板は、前記第1導体層、及び前記第1導体層とは別の第2導体層に跨って配置され、前記電気部品と前記複数の非高周波信号ピンとを電気的に接続する複数の第2配線と、を有し、前記グラウンド配線は、前記第1導体層と前記第2導体層との間の第3導体層に配置されたグラウンドパターンを含むことを特徴とするモジュールである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ノイズの放射量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)及び(b)は、第1実施形態に係る電子機器の一例である撮像装置の斜視図である。
【
図2】(a)及び(b)は、第1実施形態に係る無線通信装置を示す斜視図である。
【
図3】(a)は、第1実施形態に係る無線通信装置のブロック図である。(b)は、第1実施形態に係るハーネスの説明図である。
【
図4】(a)及び(b)は、第1実施形態に係るハーネスのコネクタと画像処理ユニットのコネクタとの接続構造を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るコネクタの構造の説明図である。
【
図6】第1実施形態に係る通信モジュールの平面図である。
【
図7】変形例1のハーネスのコネクタと画像処理ユニットのコネクタとの接続構造を示す断面図である。
【
図9】(a)は、第2実施形態に係るハーネスのコネクタと画像処理ユニットのコネクタとの接続構造を示す断面図である。(b)は、変形例3のハーネスのコネクタと画像処理ユニットのコネクタとの接続構造を示す断面図である。
【
図10】第3実施形態に係る通信モジュールにおける画像処理ユニットの説明図である。
【
図11】実施例の通信モジュールのシミュレーションモデルを示す図である。
【
図12】(a)及び(b)は、実施例におけるコネクタ部の断面図である。
【
図13】(a)~(e)は、実施例においてシミュレーションしたシミュレーションモデルの配線構造を示すコネクタ部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係る電子機器の一例である撮像装置100の斜視図である。
図1(a)は、撮像装置100を液晶画面301の側から見た撮像装置100の斜視図である。
図1(b)は、撮像装置100をレンズ鏡筒302の側から見た撮像装置100の斜視図である。撮像装置100は、デジタルカメラであり、静止画及び/又は動画を撮像する機能を有する。撮像装置100は、外装ケースである筐体101と、筐体101に設けられた液晶画面301と、筐体101に設けられたグリップ304とを有する。グリップ304には、シャッターボタン303が設けられている。筐体101には、レンズ鏡筒302が着脱可能となっている。
【0012】
筐体101の内部には、スロット162Aを有するメモリコネクタ162が配置されている。メモリコネクタ162のスロット162Aには、SDカードやCFカードといったメモリであるメモリカード110が着脱可能となっている。筐体101から不図示の蓋を取り外すことで、メモリコネクタ162のスロット162Aが筐体101の外部に露出する。メモリカード110をスロット162Aに差し込むことで、メモリカード110に、撮像により得られた画像データを書き込んだり、メモリカード110に書き込まれた画像データを読み出したりすることができる。
【0013】
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る撮像装置における筐体の内部に配置された無線通信装置を示す斜視図である。
図3(a)は、第1実施形態に係る無線通信装置のブロック図である。
図3(b)は、ハーネスの説明図である。撮像装置100は、筐体101と、筐体101の内部に配置された無線通信装置102とを備える。
図2(a)は、
図1(a)と同じ方向から無線通信装置102を見た斜視図であり、
図2(b)は、
図1(b)と同じ方向から無線通信装置102を見た斜視図である。
【0014】
無線通信装置102は、撮像ユニット130と、画像処理ユニット140と、無線通信ユニット150と、アクセサリユニット160と、を有する。画像処理ユニット140は、撮像ユニット130、無線通信ユニット150、及びアクセサリユニット160と互いに通信可能に電気的に接続されている。画像処理ユニット140とアクセサリユニット160とは、複数の線路を含むハーネス201により互いに通信可能に接続されている。画像処理ユニット140と撮像ユニット130とは、複数の線路を含むハーネス202により互いに通信可能に接続されている。画像処理ユニット140と無線通信ユニット150とは、複数の線路を含むハーネス203により互いに通信可能に接続されている。
【0015】
筐体101の内部には、樹脂又は金属で構成された支持部材108が配置されており、撮像ユニット130、画像処理ユニット140、無線通信ユニット150、及びアクセサリユニット160は、支持部材108に支持されている。撮像ユニット130は、支持部材108に対して
図1(b)に示すレンズ鏡筒302の側に配置されている。画像処理ユニット140は、支持部材108にねじなどの固定部材105で固定されている。
【0016】
撮像ユニット130は、配線板131と、配線板131に実装された半導体装置である撮像素子132と、配線板131に実装されたコネクタ133と、を備える。配線板131は、プリント配線板である。撮像素子132は、CMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサなどのイメージセンサである。撮像素子132は、入射された光像を光電変換して、撮像画像を示すデジタル信号であるデータ信号を出力する。コネクタ133は、撮像素子132に配線板131の配線で電気的に接続されている。
【0017】
無線通信ユニット150は、GHz帯域の無線通信を行うものである。無線通信ユニット150は、モジュール化された無線通信モジュールである。無線通信ユニット150は、アンテナ153が設けられた配線板151と、配線板151に実装された無線通信IC152と、を有する。配線板151は、プリント配線板である。また、無線通信ユニット150は、配線板151に実装され、無線通信IC152に配線板151の配線で電気的に接続されたコネクタ154を有する。無線通信IC152は、アンテナ153を介してPC又は無線ルータなどの外部機器と無線通信を行うことで、画像データの送受信を行う。即ち、無線通信IC152は、画像データを示すデジタル信号を変調し、アンテナ153から無線規格の通信周波数の電波として送信する。また、無線通信IC152は、アンテナ153にて受信された電波を、画像データを示すデジタル信号に復調する。無線通信IC152は、例えばWiFi(登録商標)の規格に準拠して外部機器と無線通信する。なお、第1実施形態では、無線通信ユニット150、即ち無線通信IC152が、WiFi(登録商標)の規格に準拠して無線通信を行う場合について説明するが、この無線通信規格に限定するものではない。例えばBluetooth(登録商標)の規格であってもよい。
【0018】
画像処理ユニット140は、配線板141と、配線板141に実装された画像処理IC142と、を有する。配線板141は、プリント配線板である。また、画像処理ユニット140は、配線板141に実装され、画像処理IC142に配線板141の配線で電気的に接続されたコネクタ143、144、145を有する。
【0019】
アクセサリユニット160は、配線板161と、配線板161に実装された上述のメモリコネクタ162と、を有する。配線板161は、プリント配線板である。また、アクセサリユニット160は、配線板161に実装され、メモリコネクタ162に配線板161の配線で電気的に接続されたコネクタ163を有する。
【0020】
画像処理ユニット140のコネクタ143には、ハーネス201の第1端が装着され、アクセサリユニット160のコネクタ163には、ハーネス201の第2端が装着される。画像処理ユニット140のコネクタ144には、ハーネス202の第1端が装着され、撮像ユニット130のコネクタ133には、ハーネス202の第2端が装着される。画像処理ユニット140のコネクタ145には、ハーネス203の第1端が装着され、無線通信ユニット150のコネクタ154には、ハーネス203の第2端が装着される。
【0021】
画像処理ユニット140とアクセサリユニット160との間でハーネス201を通じて通信されるデータ信号は、高周波信号、例えば通信速度が100[Mbps]以上のデジタル信号である。このデータ信号は、第1実施形態では画像データのデジタル信号である。このデータ信号は、シングルエンド信号及び差動信号のいずれであってもよいが、第1実施形態ではシングルエンド信号よりも高速な伝送が可能となる差動信号である。
【0022】
画像処理IC142とメモリカード110とは、PCI Express(登録商標)の規格、より具体的にはPCI Express(登録商標)2.0の規格に準拠して通信を行う。即ち、画像処理IC142とメモリカード110との間の通信網におけるインタフェースは、PCI Express(登録商標)2.0の規格に準拠したものとなっている。なお、画像処理IC142とメモリカード110との通信方式がPCI Express(登録商標)2.0である場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、Serial ATA、USB、HDMI(登録商標)といった別の規格の通信方式や、異なる転送速度の通信方式であってもよい。
【0023】
画像処理IC142は、撮像素子132から撮像画像を示す電気信号であるデジタル信号を取得して画像処理を行い、画像データを生成することができる。また、画像処理IC142は、画像データをメモリカード110に書き込む処理、及びメモリカード110から画像データを読み出す処理を行うことができる。更に、画像処理IC142は、無線通信IC152から画像データを取得する処理、及び無線通信IC152に画像データを送る処理を行うことができる。
【0024】
第1実施形態では、
図3(a)に示すように、画像処理ユニット140、アクセサリユニット160、及びハーネス201により、通信モジュール170が構成されている。
図2(a)及び
図2(b)に示す画像処理ユニット140の画像処理IC142は、電気部品の一例としての半導体装置である。アクセサリユニット160のメモリコネクタ162は、電気部品の一例である。ハーネス201は、データ信号線、即ち画像データを示すデジタル信号であるデータ信号の伝送線路を含んでいる。更に、ハーネス201は、データ信号線以外の配線、例えば制御線、電源線及びグラウンド線といった、データ信号の伝送線路以外の線路を含んでいる。なお、データ信号線である伝送線路を伝送させるデータ信号には、別の信号が付加されていてもよい。別の信号は、例えば同期信号である。
【0025】
ハーネス201を用いてデジタル信号を転送する際、電磁ノイズが放射されるのを防止する、又はデジタル信号に外来の電磁ノイズが重畳するのを防止するため、ハーネス201にはシールドケーブルが用いられる。
図3(b)に示すように、ハーネス201は、ケーブル部210と、ケーブル部210の長手方向の第1端に設けられたコネクタ211と、ケーブル部210の長手方向の第2端に設けられたコネクタ212とを有する。
【0026】
図3(b)に示すハーネス201のコネクタ211は、
図2(a)に示す画像処理ユニット140のコネクタ143に着脱可能である。
図3(b)に示すハーネス201のコネクタ212は、
図2(b)に示すアクセサリユニット160のコネクタ163に着脱可能である。アクセサリユニット160のコネクタ構造は、画像処理ユニット140のコネクタ構造と同様である。以下、画像処理ユニット140のコネクタ構造について説明し、アクセサリユニット160のコネクタ構造については説明を省略する。
【0027】
図4(a)及び
図4(b)は、第1実施形態に係るハーネス201のコネクタ211と画像処理ユニット140のコネクタ143との接続構造を示す断面図である。
図4(a)は、コネクタ211をコネクタ143から取り外した状態の断面図である。
図4(b)は、コネクタ211をコネクタ143に装着した状態の断面図である。配線板141には、第1コネクタであるコネクタ143が設けられている。ハーネス201は、ケーブル部210の長手方向の端に設けられた、第2コネクタであるコネクタ211を有する。
【0028】
コネクタ143は、配列方向であるY方向に一列に配列された複数、例えば8つのピン4081、4082、4083、4084、4085、4086、4087及び4088を有する。また、コネクタ143は、ピン4081にY方向に隣接して配置された金属部材の一例であるグラウンド端子4071と、ピン4088にY方向に隣接して配置された金属部材の一例であるグラウンド端子4072と、を有する。即ち、8つのピン4081、4082、4083、4084、4085、4086、4087及び4088は、グラウンド端子4071とグラウンド端子4072との間に配置されている。第1実施形態では、グラウンド端子4071は、第1金属部材の一例であり、グラウンド端子4072は、第2金属部材の一例である。
【0029】
配線板141は、グラウンド配線4Gを有する。配線板141の主面141Aには、複数、例えば8つの導体パターン411、412、413、414、415、416、417及び418と、グラウンド配線4Gの一部である導体パターンであるグラウンドパターン41Gとが形成されている。即ち、配線板141の第1導体層に、導体パターン411、412、413、414、415、416、417及び418と、グラウンドパターン41Gとが配置されている。第1導体層は、第1表層1101、及び第1表層1101とは反対の第2表層のうち、第1表層1101である。
【0030】
コネクタ143の各ピン4081、4082、4083、4084、4085、4086、4087及び4088は、配線板141の各導体パターン411、412、413、414、415、416、417及び418にはんだ等で接合されている。これにより、コネクタ143の各ピン4081、4082、4083、4084、4085、4086、4087及び4088は、配線板141の各導体パターン411、412、413、414、415、416、417及び418に電気的に接続されている。コネクタ143のグラウンド端子4071及びグラウンド端子4072は、共に配線板141のグラウンドパターン41Gにはんだ等で接合されている。これにより、グラウンド端子4071及びグラウンド端子4072は、グラウンドパターン41Gに電気的に接続されている。ピン4081、4082、4083、4084、4085、4086、4087及び4088と、グラウンド端子4071及び4072とは、不図示の絶縁部材に支持されている。グラウンド端子4071及び4072は、後述する金属ケース410が取り付け可能となるように、配線板141のグラウンドパターン41G上に立設されている。グラウンド端子4071は係合部4091を有し、グラウンド端子4072は係合部4092を有する。
【0031】
ケーブル部210は、複数、例えば8つの同軸ケーブル2201、2202、2203、2204、2205、2206、2207及び2208を有する。各同軸ケーブル2201、2202、2203、2204、2205、2206、2207及び2208は、シールドケーブルであり、心線221と、心線221を覆う絶縁層222と、絶縁層222を覆う金属シールドである外皮導体223とを有する。外皮導体223は、心線221から放射されるノイズを遮蔽したり、外部から飛来するノイズを遮蔽したりするための導体である。
【0032】
コネクタ211は、第4金属部材の一例である金属ケース410を有する。複数の同軸ケーブル220は、金属ケース410に取り付けられた不図示の絶縁部材に支持されている。金属ケース410は、断面コの字形状に形成されている。8つの同軸ケーブルの外皮導体223は、金属ケース410に接触又は接合されることで、一括して電気的に接続されている。金属ケース410は、Y方向の端部である2つの係合部4111及び4112を有する。金属ケース410の係合部4111がグラウンド端子4071の係合部4091に係合(接触)し、金属ケース410の係合部4112がグラウンド端子4072の係合部4092に係合(接触)することで、コネクタ211がコネクタ143に装着される。つまり、コネクタ211をコネクタ143に装着することで、金属ケース410とグラウンド端子4071及び4072とが電気的に接続される。
【0033】
図5は、第1実施形態に係るハーネス201のコネクタ211と、画像処理ユニット140のコネクタ143との構造の説明図である。
図5には、ハーネス201を分解して図示している。
図5において、網掛けして図示した部分は、樹脂である。
図5には、便宜上、8つの同軸ケーブル220
1、220
2、220
3、220
4、220
5、220
6、220
7及び220
8のうち、データ信号の伝送線路となる1つの同軸ケーブル220のみ図示している。また、
図5には、便宜上、8つのピン408
1、408
2、408
3、408
4、408
5、408
6、408
7及び408
8のうち、データ信号の伝送線路となる1つのピン408のみ図示している。また、
図5には、便宜上、8つの導体パターン41
1、41
2、41
3、41
4、41
5、41
6、41
7及び41
8のうち、データ信号の伝送線路となる1つの導体パターン41のみ図示している。
【0034】
コネクタ211をコネクタ143に装着するときには、
図5に示すように、コネクタ211をコネクタ143に対向させて、主面141Aに垂直なZ方向に移動させる。これにより、ピン408と心線221とが接触することで電気的に接続され、配線板141の導体パターン41、ピン408、及びハーネス201の心線221を含んでデータ信号の伝送線路が形成される。コネクタ211をコネクタ143に装着することで、金属ケース410の係合部411
1とコネクタ143の係合部409
1とが係合(接触)し、金属ケース410の係合部411
2とコネクタ143の係合部409
2とが係合(接触)する。これにより、金属ケース410が配線板141のグラウンドパターン41Gと電気的に接続される。
【0035】
図5に示すように、信号電流I
Sは、鎖線で示す方向に心線221を通過すると、コネクタ143、211において心線221からピン408に流れ、ピン408から導体パターン41に流れる。一方、信号のリターン電流I
Rは、二点鎖線で示すようにグラウンドパターン41Gからグラウンド端子407
1又は407
2、及び金属ケース410を迂回して、外皮導体223に沿って信号電流I
Sとは逆向きに流れることになる。従って、リターン電流I
Rの経路は、コネクタ211とコネクタ143との接続部分においてリターン電流I
Rが迂回する分、信号電流I
Sの経路よりも長くなる。信号電流I
Sの経路と、リターン電流I
Rの経路との間に経路長の差があると、信号電流I
Sとリターン電流I
Rとの間に位相差が生じる。位相差が大きいほど、放射される電磁ノイズの量が多くなる。
【0036】
ハーネスを通じて高速なデータ信号を伝送する際、放射される電磁ノイズが無線通信周波数と同じ帯域に存在することがある。この場合、電磁ノイズが
図2(b)に示すアンテナ153を介して無線通信IC152に受信されると、受信されたノイズレベルが大きいほど無線通信速度が低下することになる。特に
図2(b)に示すように筐体101の一つの側面にハーネス201の一部が近づけて配置されていると、ノイズ源となるハーネス201と被害回路である無線通信ユニット150との距離が近づくため、無線通信IC152は電磁ノイズの影響を受けやすい。
【0037】
第1実施形態では、
図4(a)及び
図4(b)に示すケーブル部210は、データ信号の伝送線路となる同軸ケーブルを4つ、それ以外の同軸ケーブルを4つ含んでいる。即ち、コネクタ143は、データ信号の伝送線路となるピンを4つ、それ以外のピンを4つ含んでいる。
【0038】
ピン4081及びピン4082は、互いに隣接して配置されている。ピン4081及びピン4082の各々は、差動信号であるデータ信号の伝送線路である第1ピンである。Y方向に連続して配列されているピン4081及びピン4082でピン群4211が構成されている。ピン4087及びピン4088は、互いに隣接して配置されている。ピン4087及びピン4088の各々は、差動信号であるデータ信号の伝送線路である第2ピンである。Y方向に連続して配列されているピン4087及びピン4088でピン群4212が構成されている。複数のピン4081、4082、4087及び4088が、高周波信号の伝送に用いられる複数の高周波信号ピンである。ピン4083、ピン4084、ピン4085、及びピン4086は、互いに隣接して配置されている。ピン4083、ピン4084、ピン4085、及びピン4086の各々は、高周波信号の伝送以外の用途に用いられる非高周波信号ピン、即ちデータ信号の伝送線路以外の線路である。Y方向に連続して配列されているピン4083、ピン4084、ピン4085、及びピン4086でピン群422が構成されている。
【0039】
ピン4081に電気的に接続された導体パターン411は、データ信号の伝送線路であるデータ信号線である。ピン4082に電気的に接続された導体パターン412は、データ信号線である。ピン4083に電気的に接続された導体パターン413は、データ信号線以外の配線である。ピン4084に電気的に接続された導体パターン414は、データ信号線以外の配線である。ピン4085に電気的に接続された導体パターン415は、データ信号線以外の配線である。ピン4086に電気的に接続された導体パターン416は、データ信号線以外の配線である。ピン4087に電気的に接続された導体パターン417は、データ信号線である。ピン4088に電気的に接続された導体パターン418は、データ信号線である。
【0040】
グラウンド端子4071は、ピン群422よりピン群4211に近接している。グラウンド端子4072は、ピン群422よりピン群4212に近接している。即ち、ピン群4211は、グラウンド端子4071の近くに配置され、ピン群4212は、グラウンド端子4072の近くに配置されている。これにより、ピン群4211を構成する各ピン4081、4082を通過する信号電流と、信号電流に対するリターン電流との経路差、即ち位相差を小さくすることができ、位相差に起因して放射される電磁ノイズを低減することができる。同様に、ピン群4212を構成する各ピン4087、4088を通過する信号電流と、信号電流に対するリターン電流との経路差、即ち位相差を小さくすることができ、位相差に起因して放射される電磁ノイズを低減することができる。放射される電磁ノイズが低減されるので、無線通信ユニット150において無線通信速度が安定する。
【0041】
グラウンド端子4071は、ピン群4211のうちY方向の端に位置するピン4081に隣接しており、グラウンド端子4071とピン4081との間には、他のピンは存在しない。即ち、グラウンド端子4071とピン4081との間には、複数のピン4083、4084、4085、及び4086のいずれも介在しない。グラウンド端子4072は、ピン群4212のうちY方向の端に位置するピン4088に隣接しており、グラウンド端子4072とピン4088との間には、他のピンは存在しない。即ち、グラウンド端子4072とピン4088との間には、複数のピン4083、4084、4085、及び4086のいずれも介在しない。これにより、信号電流とリターン電流との経路差、即ち位相差を効果的に小さくすることができ、放射される電磁ノイズを効果的に低減することができる。
【0042】
第1実施形態では、コネクタ143は、上述したように、2つのピン群4211及び4212と、2つのグラウンド端子4071及び4072とを有している。2つのピン群4211及び4212は、ピン群422を挟んでY方向に並んで配置されている。2つのグラウンド端子4071及び4072は、2つのピン群4211及び4212と、ピン群422とを挟んでY方向に並んで配置されている。即ち、Y方向の中央にピン群422が配置され、Y方向の端にピン群4211及び4212が配置されている。このようなピン配列により、両側のグラウンド端子4071及び4072のそれぞれにリターン電流が均等に分配され、放射される電磁ノイズを効果的に低減することができる。
【0043】
2つのピン群4211及び4212におけるピン数の差は、0であるのが好ましい。これにより、2つのグラウンド端子4071及び4072のそれぞれにリターン電流が均等に分配され、放射される電磁ノイズを効果的に低減することができる。なお、ピン群4211のピン数が偶数であり、ピン群4212のピン数が偶数であるため、ピン数の差が0であるが、ピン群4211及びピン群4212のうち、一方のピン数が偶数、他方のピン数が奇数の場合は、ピン数の差は1であるのが好ましい。一方のピン数が奇数、他方のピン数が奇数の場合は、ピン数の差は0であるのが好ましい。
【0044】
以上、データ信号線が4つの場合を例に説明したが、これに限定するものではなく、2つ以上であればよい。また、画像データのように、データ量が増加する場合には、4つ以上であるのが好ましい。データ信号線の数が増えるほど、リターン電流の経路長が長くなる傾向にあるので、第1実施形態のように、データ信号線を2つのピン群4211及び4212に分配することで、放射される電磁ノイズを効果的に低減することができる。
【0045】
図3(b)のハーネス201のコネクタ212の構成は、
図4(a)及び
図4(b)に示すコネクタ211と同様であり、
図2(b)のアクセサリユニット160のコネクタ163の構成は、
図4(a)及び
図4(b)に示すコネクタ143と同様である。このため、コネクタ163とコネクタ212との接続構造においても、放射される電磁ノイズを効果的に低減することができる。
【0046】
なお、ケーブル部210から放射される電磁ノイズを軽減する対策として、ケーブル部210を囲むリング状のフェライトコアを設けてもよいが、ケーブル部210が外皮導体223を有するため、フェライトコアは省略可能である。フェライトコアを省略する分、装置を小型化することができる。
【0047】
図6は、第1実施形態に係る通信モジュール170の平面図である。
図6に示す配線板141において、
図4(a)の各ピン408
1、408
2、408
7及びピン408
8に接続される第1配線であるデータ信号線103を実線で示す。また、
図6に示す配線板141において、
図4(a)の各ピン408
3、408
4、408
5、及び408
6に接続される、データ信号線103以外の第2配線である配線104を破線で示す。データ信号線103は、
図4(a)において導体パターン41
1、41
2、41
7及び41
8として図示されている。配線104は、
図4(a)において導体パターン41
3、41
4、41
5及び41
6として図示されている。配線板141において、データ信号線103は、コネクタ143が実装される第1導体層である第1表層1101に配置されている。データ信号線103は短いほど好ましく、第1実施形態では第1表層1101にのみ配置されている。コネクタ143のピンを
図4(a)及び
図4(b)に示すピン配列とするために、データ信号線103以外の配線104は、第1表層1101と、第1表層1101とは別の第2導体層、例えば内層又は第2表層と、に跨って配置されている。配線板161においても、配線板141と同様の配線構造である。このように、画像処理IC142のピン配列に応じて配線板141における配線104を、第1表層1101以外の導体層にも跨って配置してもよい。
【0048】
[変形例1]
図7は、変形例1のハーネスのコネクタと画像処理ユニットのコネクタとの接続構造を示す断面図である。変形例1の第1コネクタであるコネクタ143の構造と第2コネクタであるコネクタ211の構造は、第1実施形態と同様であるが、各ピンの用途が異なる。
図7に示すように、コネクタ143は、複数のピン408
1~408
8を有する。複数のピン408
1~408
8に含まれる複数の高周波信号ピンは、ピン408
1、408
2からなる。複数のピン408
1、408
2は、Y方向に連続して配列された第1ピンである。複数のピン408
1、408
2は、データ信号の伝送線路である。複数のピン408
1、408
2でピン群421が構成されている。この場合、複数のピン408
1~408
8に含まれる複数の非高周波信号ピンは、Y方向に連続して配列された複数のピン408
3、408
4、408
5、408
6、408
7、408
8からなる。複数のピン408
3、408
4、408
5、408
6、408
7、408
8でピン群422が構成される。グラウンド端子407
1、407
2のうち、グラウンド端子407
1が金属部材に対応する。
【0049】
図7に示すように、ピン群421とグラウンド端子407
1とが隣接しているのが好ましい。即ち、ピン群421とグラウンド端子407
1との間には、複数のピン408
3、408
4、408
5、408
6、408
7、408
8のいずれも介在していない。
【0050】
[変形例2]
図8は、変形例2の通信モジュールの平面図である。
図8に示す配線板141において、各ピン408
1、408
2、408
7、408
8に接続される第1配線であるデータ信号線103を実線で示す。
図8に示す配線板141において、各ピン408
3、408
4、408
5、408
6に接続される、データ信号線103以外の第2配線である配線104を破線で示す。画像処理IC142のピン配列を、コネクタ143のピン配列と整合させてもよい。これにより配線104を第1表層1101のみに配置することができ、配線104を配線板141の別の導体層に配置する必要がなくなるので、配線構造がシンプルになる。これにより、配線板141を小型化することができる。
【0051】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るコネクタのピン配列について説明する。
図9(a)は、第2実施形態に係るハーネスのコネクタと画像処理ユニットのコネクタとの接続構造を示す断面図である。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0052】
第1コネクタである、画像処理ユニットのコネクタ143Bは、配列方向であるY方向に一列に配列された複数、例えば20のピン4081~40820を有する。また、コネクタ143Bは、第1実施形態と同様、第1金属部材の一例であるグラウンド端子4071及び第2金属部材の一例であるグラウンド端子4072を有する。更に、コネクタ143Bは、グラウンド配線4Gの一部であるグラウンドパターン41Gにはんだ等で接合されてグラウンドパターン41Gに電気的に接続された、第3金属部材の一例であるグラウンド端子4073を有する。グラウンド端子4073は、グラウンド端子4071とグラウンド端子4072との間、第2実施形態ではコネクタ143BにおけるY方向の中央部に配置されている。
【0053】
ハーネスのケーブル部は、複数、例えば20の同軸ケーブル220からなる。ハーネスのコネクタ211Bは、第4金属部材の一例である金属ケース410Bを有する。複数の同軸ケーブル220は、金属ケース410Bに取り付けられた不図示の絶縁部材に支持されている。金属ケース410Bには、20の同軸ケーブル220の外皮導体が接触又は接合されることで、一括して電気的に接続されている。金属ケース410Bは、Y方向の端部である2つの係合部4111、4112と、Y方向の中央部にある係合部4113と、を有する。コネクタ211Bがコネクタ143Bに装着されると、係合部4111がグラウンド端子4071、係合部4112がグラウンド端子4072、係合部4113がグラウンド端子4073にそれぞれ接触する。
【0054】
複数のピン4081~40820は、複数の高周波信号ピンである複数のピン4081、4082、4089、40810、40811、40812、40819、40820を含む。また、複数のピン4081~40820は、複数の非高周波信号ピンであるピン4083、4084、4085、4086、4087、4088、40813、40814、40815、40816、40817、40818を含む。
【0055】
複数のピン4081、4082は、Y方向に連続して配列されている。複数のピン4081、4082の各々は、差動信号であるデータ信号の伝送線路である第1ピンである。ピン4081及びピン4082でピン群4211が構成されている。複数のピン40819、40820は、Y方向に連続して配列されている。複数のピン40819、40820の各々は、差動信号であるデータ信号の伝送線路である第2ピンである。ピン40819及びピン40820でピン群4212が構成されている。
【0056】
複数のピン4089、40810は、Y方向に連続して配列されている。複数のピン4089、40810の各々は、差動信号であるデータ信号の伝送線路である第3ピンである。ピン4089及びピン40810でピン群4213が構成されている。複数のピン40811、40812は、Y方向に連続して配列されている。複数のピン40811、40812の各々は、差動信号であるデータ信号の伝送線路である第4ピンである。ピン40811及びピン40812でピン群4214が構成されている。
【0057】
ピン群4211は、グラウンド端子4071に隣接して配置され、ピン群4212は、グラウンド端子4072に隣接して配置されている。2つのピン群4213、4214は、1つのグラウンド端子4073を挟んでY方向に並んで配置されている。2つのピン群4213、4214は、グラウンド端子4073に隣接して配置されている。
【0058】
複数のピン4083~4088は、Y方向に連続して配置されている。複数のピン4083~4088でピン群4221が構成されている。複数のピン40813~40818は、Y方向に連続して配置されている。複数のピン40813~40818でピン群4222が構成されている。ピン群4211とピン群4213との間には、ピン群4221が配置されている。また、ピン群4214とピン群4212との間には、ピン群4222が配置されている。
【0059】
即ち、グラウンド端子4071とピン群4211との間には、複数のピン4083、4084、4085、4086、4087、4088、40813、40814、40815、40816、40817、40818のいずれも介在していない。また、グラウンド端子4072とピン群4212との間には、複数のピン4083、4084、4085、4086、4087、4088、40813、40814、40815、40816、40817、40818のいずれも介在していない。また、グラウンド端子4073とピン群4213との間には、複数のピン4083、4084、4085、4086、4087、4088、40813、40814、40815、40816、40817、40818のいずれも介在していない。グラウンド端子4073とピン群4214との間には、複数のピン4083、4084、4085、4086、4087、4088、40813、40814、40815、40816、40817、40818のいずれも介在していない。
【0060】
このように、金属ケース410BのY方向の中央部に係合部411
3がある場合には、この係合部411
3に係合するグラウンド端子407
3に隣接してピン群421
3及び421
4が配置されていてもよい。ピン群421
3及び421
4をグラウンド端子407
3に近づけて配置することにより、ピン群421
3及び421
4を構成する各ピンを通過する信号電流と、信号電流に対するリターン電流との経路差、即ち位相差を小さくすることができる。したがって、位相差に起因して放射される電磁ノイズを低減することができる。放射される電磁ノイズが低減されるので、
図2(b)の無線通信ユニット150において無線通信速度が安定する。
【0061】
2つのピン群4213及び4214におけるピン数の差は0であるのが好ましい。これにより、2つのピン群4213及び4214における各ピンをグラウンド端子4073にできる限り近づけることができ、放射される電磁ノイズを効果的に低減することができる。なお、ピン群4213のピン数が偶数であり、ピン群4214のピン数が偶数であるため、ピン数の差が0であるが、ピン群4213及びピン群4214のうち、一方のピン数が偶数、他方のピン数が奇数の場合は、ピン数の差は1であるのが好ましい。一方のピン数が奇数、他方のピン数が奇数の場合は、ピン数の差は0であるのが好ましい。
【0062】
[変形例3]
図9(b)は、変形例3のハーネスのコネクタと画像処理ユニットのコネクタとの接続構造を示す断面図である。変形例3の第1コネクタであるコネクタ143Bの構造と第2コネクタであるコネクタ211Bの構造は、第2実施形態と同様であるが、各ピンの用途が異なる。
図9(b)に示すように、コネクタ143Bは、複数のピン408
1~408
20を有する。複数のピン408
1~408
20のうち、複数のピン408
9、408
10、408
11、408
12は、複数の高周波信号ピンである。それ以外の複数のピン408
1~408
8、408
13~408
20は、複数の非高周波信号ピンである。グラウンド端子407
1、407
2、407
3のうち、グラウンド端子407
3が、高周波信号ピンと隣接する金属部材に対応する。
【0063】
複数のピン4089、40810は、Y方向に連続して配列されている。複数のピン4089、40810でピン群4213が構成されている。複数のピン40811、40812は、Y方向に連続して配列されている。複数のピン40811、40812でピン群4214が構成されている。ピン群4214はグラウンド端子4073を挟んでピン群4213とは反対側に配置されている。即ち、グラウンド端子4073は、ピン群4213、4214に挟まれて配置されている。
【0064】
複数のピン4081~4088は、Y方向に連続して配列されている。複数のピン4081~4088でピン群4221が構成されている。複数のピン40813~40820は、Y方向に連続して配列されている。複数のピン40813~40820でピン群4222が構成されている。ピン群4222はグラウンド端子4073を挟んでピン群4221とは反対側に配置されている。
【0065】
グラウンド端子4073には、ピン群4213、4214が隣接して配置されている。即ち、グラウンド端子4073とピン群4213との間、及びグラウンド端子4073とピン群4214との間には、他のピン、即ち複数のピン4081~4088、40813~40820のいずれも介在していない。この場合、ピン群4213、4214の各々に含まれるピンが、第1ピンである。
【0066】
変形例3においても、金属ケース410BのY方向の中央部に係合部411
3があり、この係合部411
3に係合するグラウンド端子407
3に隣接してピン群421
3及び421
4が配置されている。ピン群421
3及び421
4をグラウンド端子407
3に近づけて配置することにより、ピン群421
3及び421
4を構成する各ピンを通過する信号電流と、信号電流に対するリターン電流との経路差、即ち位相差を小さくすることができる。したがって、位相差に起因して放射される電磁ノイズを低減することができる。放射される電磁ノイズが低減されるので、
図2(b)の無線通信ユニット150において無線通信速度が安定する。
【0067】
2つのピン群4213及び4214におけるピン数の差は0であるのが好ましい。これにより、2つのピン群4213及び4214における各ピンをグラウンド端子4073にできる限り近づけることができ、放射される電磁ノイズを効果的に低減することができる。なお、ピン群4213のピン数が偶数であり、ピン群4214のピン数が偶数であるため、ピン数の差が0であるが、ピン群4213及びピン群4214のうち、一方のピン数が偶数、他方のピン数が奇数の場合は、ピン数の差は1であるのが好ましい。一方のピン数が奇数、他方のピン数が奇数の場合は、ピン数の差は0であるのが好ましい。
【0068】
なお、第2実施形態及びその変形例3において、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、グラウンド端子407
3のY方向の両側にピン群421
3、421
4がある場合について説明したが、これに限定するものではない。ピン群421
3、421
4のうち、いずれか一方が省略されていてもよい。
【0069】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る通信モジュールの構造について説明する。第3実施形態では、通信モジュールにおける画像処理ユニットの配線板の構成が、第1及び第2実施形態と異なる。
図10は、第3実施形態に係る通信モジュールにおける画像処理ユニット140Cの説明図である。画像処理ユニット140Cは、配線板141Cと、第1実施形態と同様、画像処理IC142及びコネクタ143と、を有する。配線板141Cは、プリント配線板である。画像処理IC142及びコネクタ143は、配線板141Cに設けられている。
【0070】
配線板141Cは、第3実施形態では3層基板である。配線板141Cは、第1表層1101と、第1表層1101とは反対の第2表層1103と、内層1102とを含む。第1表層1101は、第1導体層である。第2表層1103は、第1導体層とは別の第2導体層である。内層1102は、第1導体層と第2導体層との間の第3導体層である。これら3つの導体層は、Z方向に第1表層1101、内層1102、第2表層1103の順に配置されている。画像処理IC142及びコネクタ143は、第1表層1101に実装されている。第1表層1101と内層1102との間には、不図示の絶縁体層があり、内層1102と第2表層1103との間には、不図示の絶縁体層がある。なお、配線板141Cが4層以上の基板の場合、第2導体層は、内層であってもよい。
【0071】
配線板141Cは、第1配線であるデータ信号線103を複数有する。また、配線板141Cは、データ信号線103以外の第2配線である配線104を複数有する。データ信号線103は、
図4(a)において導体パターン41
1、41
2、41
7及び41
8として図示されている。配線104は、
図4(a)において導体パターン41
3、41
4、41
5及び41
6として図示されている。データ信号線103は、第1表層1101にのみ配置され、配線104は、第1表層1101と第2表層1103とに跨って配置されている。
【0072】
上述の第1実施形態では、例えば
図6に示すように、アクセサリユニット160のメモリコネクタ162には、メモリカード110が装着される。メモリカード110に高速信号が伝送される際には、制御線が、配線板161において終端されている構成となっている。
【0073】
一方、信号の高速伝送を行う電子式ビューファインダーや、高速伝送を行わないストロボといった、カメラのアクセサリとなる電気部品が配線板161に設けられる場合がある。電子式ビューファインダーがコネクタ163に電気的に接続される場合、ストロボの制御線や電源線は、コネクタ163に電気的に接続されないため、片側が終端されていないフローティングの配線となる。フローティングの配線は、アンテナ効率が高い。
【0074】
図10に示す配線104には、ストロボの制御線や電源線が含まれている。第3実施形態では、配線板141Cは、グラウンド配線の一部である、第1表層1101と第2表層1103との間の内層1102に配置されたグラウンドパターン41CGを有する。グラウンドパターン41CGは、例えばベタパターンであり、配線板141Cの主面に垂直なZ方向に視て、即ち平面視で、データ信号線103の半分以上、好ましくは9割以上、第3実施形態では全部と重なっている。グラウンドパターン41CGがあることにより、ストロボの制御線や電源線と、データ信号線103との間で、電磁結合、即ちクロストークを防ぐことができる。また、第1実施形態と同様のコネクタの構造により、アンテナに受信されるノイズレベルを低減させることができる。
【0075】
[実施例]
実施例として、通信モジュールのシミュレーションモデルを用いて、3次元電磁界シミュレーションを実施した。計算には、CST社の三次元電磁界シミュレータMW-STUDIOを用いた。
図11は、実施例の通信モジュールのシミュレーションモデルを示す図である。
図11のモデルにおいて、データ信号を送信する側のプリント配線板601と、データ信号を受信する側のプリント配線板602とは、2つのコネクタ部603と、20のシールドケーブル604とによって接続されている。各コネクタ部603は、第1コネクタと第2コネクタからなる。プリント配線板601及び602の各々は、その4隅に配置された、高さ6.6mm、直径4mmの円柱状の金属スペーサー605によって金属板606に電気的に接続されている。プリント配線板601及び602には、4つのデータ信号線607がコネクタの中央部に配置され、制御線、電源線又はグラウンド線に該当する、データ信号線607以外の配線608が、データ信号線607の両側に配置されている。なお、配線608は、プリント配線板601においてグラウンドパターン609に接続され、プリント配線板602においてグラウンドパターン610に接続されている。シミュレーションでは、プリント配線板601のデータ信号線607とグラウンドパターン609との間に、波源を設定し、位相ずれによるコモンモードを想定してデータ信号線607に給電した。プリント配線板602のデータ信号線607は、データ信号線607とグラウンドパターン610との間に50Ωの抵抗を配置することで終端した。
【0076】
図11における各部の寸法について説明する。プリント配線板601及び602は、X方向55mm×Y方向70mmの4層基板とした。データ信号線607は、第1層目の導体層、即ち表層に配置されているものとした。第2層目、第3層目及び第4層目の導体層にはグラウンドのベタパターンが配置されているものとした。第1層目及び第4層目の導体層の厚みは、0.1mm、第2層目及び第3層目の導体層の厚みは、0.035mmとし、導体の材質は銅とした。第1層目と第2層目との間の絶縁体層の厚みは、0.1mm、第2層目と第3層目との間の絶縁体層の厚みは、1.13mm、第3層目と第4層目との間の絶縁体層の厚みは、0.1mmとし、絶縁体の材質はFR4とした。金属板606は、X方向242mm×Y方向102mmとし、材質は銅とした。シールドケーブル604の長さは110mmとした。
【0077】
図12(a)及び
図12(b)は、実施例におけるコネクタ部603の断面図である。
図12(a)は、コネクタ部603の中央でYZ平面に沿ってコネクタ部603を切断した図である。
図12(b)は、コネクタ部603の中央でXZ平面に沿ってコネクタ部603を切断した図である。シールドケーブル604の心線の直径aは0.09mmで、心線の材質は銅とした。シールドケーブル604の内部樹脂材の直径bは0.28mmで、内部樹脂材の材質はテフロン(登録商標)とした。シールドケーブル604の外皮導体の直径cは0.31mmで、外皮導体の材質は銅とした。隣り合う2つのシールドケーブル604の間隔は、0.09mmとした。金属カバー701は、厚み1mmの銅板とし、ZY平面の断面でコの字形状、XZ平面の断面でLの字形状に折り曲げて形成されているものとした。ZY平面で見て金属カバー701のY方向の寸法dを10.74mm、金属カバー701のZ方向の寸法eを1.34mmとした。XZ平面で見て金属カバー701のX方向の寸法fを2.53mm、金属カバー701のZ方向の寸法gを1.45mmとした。グラウンド端子702は、厚み1mmの銅板とし、YZ平面の断面でZの字形状に折り曲げて形成されているものとした。グラウンド端子702におけるY方向の寸法hを0.5mm、寸法iを1.2mmとした。グラウンド端子702におけるZ方向の寸法jを1.3mmとし、X方向の寸法を1mmとした。ピン703におけるX方向の寸法kを1mm、寸法lを0.86mmとした。ピン703におけるZ方向の寸法mを1mm、寸法nを1.28mmとした。ピン703におけるY方向の寸法を1mmとした。データ信号線607および配線608の線幅をそれぞれ1mm、コネクタ部603から波源或いは終端抵抗までの距離をそれぞれ4mmとした。
【0078】
図13(a)、
図13(b)、
図13(c)、
図13(d)、及び
図13(e)は、実施例においてシミュレーションしたシミュレーションモデルの配線構造を示すコネクタ部の断面図である。
図13(a)、
図13(b)、及び
図13(c)には、4つのデータ信号線607に接続される4つのピンを互いに隣接して配置した場合を示す。
【0079】
図13(a)には、データ信号線607以外の配線に接続される16のピンのうち、8つのピンを
図13(a)中、左側、残りの8つのピンを
図13(a)中、右側に配置した場合を示す。
図13(b)には、データ信号線607以外の配線に接続される16のピンのうち、4つピンを
図13(b)中、左側、残りの12のピンを
図13(b)中、右側に配置した場合を示す。
図13(c)には、4つのデータ信号線607に接続される4つのピンを互いに隣接して配置した場合を示す。
図13(c)には、データ信号線607以外の配線に接続される16のピンのうち、1つのピンを
図13(c)中、左側、残りの15のピンを
図13(c)中、右側に配置した場合を示す。即ち、グラウンド端子702と4つのデータ信号線607に接続される4つのピンとの間に、1ピンだけ、データ信号線以外の配線に接続されるピンが配置されている。このピンは、グラウンド配線に接続されている。
【0080】
図13(d)には、データ信号線607以外の配線に接続される16のピンを
図13(d)中、右側に配置した場合を示す。即ち、4つのデータ信号線607に接続される4つのピンのうちの1つは、グラウンド端子702の隣に配置されている。
図13(e)には、2つのデータ信号線607に接続される2つのピンを互いに隣接して配置したピン群を、2つ配置し、2つのピン群の間に、データ信号線607以外の配線に接続される16のピンを配置した場合を示す。したがって、2つのピン群のうち一方は、2つのグラウンド端子702のうち一方に隣接して配置され、2つのピン群のうち他方は、2つのグラウンド端子702のうち他方に隣接して配置される。
【0081】
図13(a)を「モデル1」、
図13(b)を「モデル2」、
図13(c)を「モデル3」、
図13(d)を「モデル4」、
図13(e)を「モデル5」とする。各モデルについて、コネクタ部603から漏れ出たノイズがケーブルの外皮導体に伝搬した量を観測するため、ケーブルの中央でケーブルからの高さ6mm上の磁界強度を算出した。観測周波数は、WiFi(登録商標)通信の周波数帯域で利用されている2.432GHz帯域(5チャンネル)とした。計算結果を表1にまとめる。
【表1】
【0082】
モデル1は比較例1である。モデル2は比較例2である。モデル3は比較例3である。モデル4は実施例1である。モデル5は実施例2である。表1において、モデル1、モデル2、モデル3及びモデル4を比較すると、データ信号線607をグラウンド端子702に近づける程、電磁ノイズの漏洩量が低減していくことが確認できる。モデル4は、モデル1~3よりも電磁ノイズの漏洩量を抑制できることがわかる。モデル5は、モデル1~5の中で電磁ノイズの漏洩量が最小となることがわかる。
【0083】
なお、本実施例では、WiFi(登録商標)通信の周波数帯域で利用されている2.432GHz(5チャンネル)を想定してシミュレーションを行ったがこの周波数帯域に限定するものではない。WiFi(登録商標)であれば2.412GHzから2.472GHzの帯域や5.18GHzから5.32GHzの帯域や5.5GHzから5.7GHz等、他の周波数帯域に対しても適用可能である。さらに被害回路である無線通信ユニットの通信方式は、WiFi(登録商標)に限らず、LTE、5Gなどの公共無線や、Bluetooth(登録商標)といった、他の通信方式であってもよい。また、本実施例では、シミュレーションを行った場合について説明したが、電磁ノイズを実測してもよい。この場合、本シミュレーションと同じく、ケーブルの中央あるいはコネクタ部の直上に市販の磁界プローブを配置し、スペクトラムアナライザで通信周波数の帯域の電磁ノイズを検証可能である。
【0084】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
【0085】
上述の実施形態では、
図2(a)に示す画像処理ユニット140におけるコネクタ143の構造、及び
図2(b)に示すアクセサリユニット160におけるコネクタ163の構造について説明したが、この構造を、他のコネクタにも適用してもよい。例えば、
図2(a)に示すコネクタ144、
図2(b)に示すコネクタ133に適用してもよい。また、無線通信IC152に有線で接続されるコネクタ154やコネクタ145にも適用してもよい。
【0086】
上述の実施形態では、電子機器の一例である撮像装置について説明したが、これに限定するものではなく、電子機器として例えばプリンタ等の画像形成装置についても適用可能である。
【0087】
上述の実施形態では、電子機器が被害回路である無線通信ユニットを備えている場合について説明したが、これに限定するものではない。電子機器自身が無線通信ユニットを備えていない場合であっても、電子機器の外部に漏れる電磁ノイズを低減することができるので、他の電子機器に電磁ノイズが干渉するのを防止することができる。また、被害回路は無線通信ユニットに限定するものでもない。
【符号の説明】
【0088】
100…撮像装置(電子機器)、101…筐体、141…配線板、143…コネクタ(第1コネクタ)、170…通信モジュール、211…コネクタ(第2コネクタ)、4071…グラウンド端子(金属部材)、4081…ピン(第1ピン)、4082…ピン(第1ピン)