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  • 特許-選択可能面積を有する不関電極 図1
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  • 特許-選択可能面積を有する不関電極 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-15
(45)【発行日】2023-12-25
(54)【発明の名称】選択可能面積を有する不関電極
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20231218BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019199670
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2020075121
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】16/180,357
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0085163(US,A1)
【文献】特開2008-253777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0304049(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0318905(US,A1)
【文献】特表2011-529761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
患者の身体上に配置するように構成された不関電極であって、互いに電気絶縁された複数の導電性サブ電極を含む、不関電極と、
前記サブ電極の選択されたサブセットを指定する制御信号を受信し、かつ前記選択されたサブセットを電気的に接続することに応答し、それにより、前記患者の前記身体を通過する電気回路を閉鎖するように構成された電気切り替え回路機構と、
プロセッサであって、
前記不関電極の必要な表面積を判定し、
前記必要な表面積を共に有する前記サブ電極の前記サブセットを選択し、
前記電気切り替え回路機構に命令して、前記サブ電極の前記選択されたサブセットを電気的に接続するように構成されている、プロセッサと、を含
前記サブ電極が、2進数列を形成するそれぞれの面積を有する、
システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、インピーダンス測定値からの指標に基づいて、前記必要な表面積を判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、ユーザーからの入力に基づいて、前記必要な表面積を判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、カテーテルに基づく高周波(RF)アブレーション処置中に、前記不関電極の前記表面積を自動的に調節するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、プローブに基づくRF焼灼処置中に、前記不関電極の前記表面積を自動的に調節するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記サブ電極が、同心導電性リングを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御信号は、それぞれの前記サブ電極がアクティブになるかどうかを各ビットが指定する2進ワードを含む、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生物学的組織を通る電流の通過を伴う医療処置、並びに特に、高周波(radiofrequency、RF)アブレーション、焼灼、切開及び/又は切断用具などの用具に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床使用のための様々な高周波(RF)アブレーションシステムが提案された。例えば、米国特許出願公開第2009/0171345号は、改善されたインピーダンス測定のための4線式インターフェースを有する、RFアブレーション発生器と共に使用するためのカテーテル及びパッチ電極システムを記載している。4線式インターフェースは、一対のソースコネクタであって、それらにわたって励起信号が生成される、一対のソースコネクタと、一対の感知コネクタ配線であって、それらにわたってインピーダンスが測定される、一対の感知コネクタ配線と、を含む。RFアブレーション発生器はまた、ソース配線及び不関リターンパッチ電極にわたってアブレーション信号を生成し得る。カテーテルは、遠位端を有するシャフトを含み、アブレーション先端部電極が遠位端に配設されている。ソースリード線は、先端部電極に電気的に連結されている。任意選択の感知リードもまた、先端部電極に電気的に連結される。本システムは、ソースリターン及び感知リターン電極(例えば、皮膚パッチ)を更に含み、それらのうちのいずれかが不関リターンと組み合わせられ得るか、又はそれらのいずれも不関リターンと組み合わせられ得ず、かつ使用される場合には、改善された性能のために患者の両側に配置され得る。インピーダンスセンサ回路は、ソースコネクタにわたって励起信号を生成し、次いで、励起信号が、先端部電極に搬送され、複合負荷(組織体積)を通って進み、パッチ電極を介して発生器に戻る。インピーダンスは、励起信号によって引き起こされた、感知コネクタにわたる電圧降下を観察することによって測定される。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2008/0021446号は、可撓性シャフトと、シャフト上に支持された本体に挿入されるように適合されたエネルギー伝送デバイスと、電源装置の電力リターンコネクタと嵌合するように適合されたコネクタと、を含む、内部不関電極デバイスを記載している。例示的な内部不関電極は、大きな単一の不関リターン電極のように共に作用する8つの離間した電極を備え、それによって、従来の外部パッチ電極の必要性をなくす。不関パッチ電極は、電気外科用ユニットの一対の電力リターンコネクタに接続されている。複数の電極は、全て共に短絡されるか、又は2つのリターンコネクタのうちの1つにおいて共に短絡されるかのいずれかである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある一実施形態は、不関電極と、電気切り替え回路機構と、プロセッサと、を含むシステムを提供する。患者の身体上に配置するように構成された不関電極は、互いに電気絶縁された複数の導電性サブ電極を含む。電気切り替え回路機構は、サブ電極の選択されたサブセットを指定する制御信号を受信し、かつ選択されたサブセットを電気的に接続することに応答し、それにより、患者の身体を通過する電気回路を閉鎖するように構成されている。プロセッサは、不関電極の必要な表面積を判定し、必要な表面積を共に有するサブ電極のサブセットを選択し、電気切り替え回路機構に命令して、サブ電極の選択されたサブセットを電気的に接続するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、インピーダンス測定値からの指標に基づいて、必要な表面積を判定するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、ユーザーからの入力に基づいて、必要な表面積を判定するように構成されている。
【0007】
一実施形態では、プロセッサは、カテーテルに基づく高周波(RF)アブレーション処置中に、不関電極の表面積を自動的に調節するように構成されている。
【0008】
別の実施形態では、プロセッサは、プローブに基づくRF焼灼処置中に、不関電極の表面積を自動的に調節するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、サブ電極は、同心導電性リングを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、サブ電極は、2進数列を形成するそれぞれの面積を有する。
【0011】
一実施形態では、制御信号は、それぞれのサブ電極がアクティブになるかどうかを各ビットが指定する2進ワードを含む。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、患者の身体上に不関電極を配置することを含む方法が更に提供され、不関電極は、互いに電気絶縁された複数の導電性サブ電極を含む。不関電極の必要な表面積が判定される。必要な表面積を共に有するサブ電極のサブセットが選択される。サブ電極の選択されたサブセットを電気的に接続し、それにより、患者の身体を通過する電気回路を閉鎖する。
【0013】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による、不関電極を含む、カテーテルに基づく心臓アブレーションシステムを模式的に描写した図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1のアブレーションシステム及び不関電極の要素の詳細図である。
図3】本発明の一実施形態による、不関電極の面積を選択するための方法を模式的に例示するアルゴリズムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概論
高周波(RF)アブレーション又は電気焼灼治療の間、患者の器官内の所与の位置で消散するために正確な量の電気エネルギーが必要とされ得る。典型的なカテーテルに基づくアブレーション(例えば、除神経)又は侵襲的焼灼(例えば、出血動脈の封止)処置では、RFアブレーション又は焼灼電極を含むプローブが器官内に挿入され、電極をアブレーションされるべき所与の位置と接触させる。RFパルスは、患者の皮膚に取り付けられた電極と外部リターン電極(不関電極とも称される)との間に印加される。
【0016】
所与の位置で消散されるRFエネルギーの量は、不関電極によって提供されるインピーダンスに依存する。このインピーダンスは、不関電極が取り付けられた患者の身体上の位置、患者間の変動、及び不関電極のアクティブ面積を含む、様々な要因に依存する。したがって、考慮されない限り、不関電極の電気インピーダンスは、比較的大きな範囲にわたって変動することがあり、この変動は、高周波アブレーション又は焼灼エネルギーが身体内で正確にどのように及びどこで(例えば、組織内にどれだけ深く)消散されるかに関する望ましくない臨床的副作用を引き起こす場合がある。
【0017】
不関電極によって提供されるインピーダンスは、上述のように、アブレーション又は焼灼の前に、電極が取り付けられた身体上の場所に依存するため、インピーダンス読み取りを制御することを望む医師は、所望のインピーダンスを達成しようとする試みにおいて、不関電極パッチを患者の身体上の異なる位置にシフトさせる必要があり得る。
【0018】
例えば、心臓アブレーション処置において、不関電極は、通常、患者の胴体上に配置されるが、電極を代替的に大腿上に配置することができる。かかる配置検索ルーチンは、医師がパッチを正確にどこに配置するかを知ることがないため、更なる時間を必要とし、かつある程度の不確実性を引き起こす。接着剤がプロセス中に損なわれる場合、パッチはまた、交換を必要とし得る。
【0019】
以下に記載及び例示される本発明の実施形態は、より一貫したRFアブレーション又は焼灼を達成するために使用され得る選択可能面積を有する不関電極を提供する。本明細書に記載される実施形態は、主に心臓RFアブレーションを指すが、開示される技術は、例えば、焼灼、切開及び/又は切断のために、様々な用具及び処置で使用され得る。本文脈において、「焼灼」という用語は、切開、切断及び同様の処置を同様に指すことを意味する。
【0020】
一実施形態では、第1のアブレーション又は焼灼の前に、RFアブレーション/焼灼システムのプロセッサは、アクティブになる(すなわち、電気的に接触する)不関電極の適切な量の表面積を選択する。例えば、医師が、患者の心臓の上に不関電極を直接配置する場合、プロセッサは、アクティブになる小さい面積を選択する。医師が、患者の大腿上に不関電極を配置する場合、プロセッサは、アクティブになる大きい面積を選択する。
【0021】
いくつかの実施形態では、開示される不関電極は、互いに電気絶縁された複数の導電性プレート(サブ電極とも称される)に分割される。一実施形態では、プロセッサは、RFアブレーション/焼灼システム内に含まれた電気切り替え回路機構に命令して、プレートのうちの1つ又は2つ以上をRF発生器に電気的に接続し、それにより、例えば、RFアブレーション/焼灼システムのプロセッサによって判定される必要な表面積を達成する。
【0022】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、インピーダンス測定値からの指標に基づいて、必要な表面積を推定するように構成されている。一実施形態では、インピーダンスは、カテーテル/プローブの不関電極とアブレーション/焼灼電極との間で測定される。別の実施形態では、不関電極の複数の隔離されたサブ電極を、処置の開始時において活性化させて、第1のアブレーション/焼灼の前に、かつ患者が、設定のインピーダンスを変化させるであろう相当量の生理食塩水を受容する前に、所与の開始インピーダンスを標準化させる。
【0023】
いくつかの実施形態では、開示される不関電極は、複数の同心リング電極に分割される。各同心電極リングは、リングのすぐ内側の面積の2倍を有し、リングは独立して、プロセッサによって制御される切り替え回路機構を介してRFアブレーション/焼灼発生器に配線される(すなわち、各リング電極は独立して電気接続可能である)。
【0024】
例えば、最小電極の面積が「AR」であり、不関電極が、上記のように合計8つの同心電極プレートリングを含む場合、不関電極の実際の面積は、異なるリングを選択することによって、1AR~255ARの範囲で選択され得る。このスキームでは、8つの面積は各々独立して、RF発生器に配線され、1AR~255ARの範囲の、1ARの分解能を有する、255個の異なる表面積値をもたらす。各リングの表面積を電極のすぐ内側の2倍にすることによって、電極に接続される配線の数が最小限に抑えられる一方、選択可能面積の範囲及び個別の面積の選択肢の数を最大化させる。
【0025】
プロセッサは、プロセッサが上記に概説されるプロセッサ関連のステップ及び機能の各々を実行することを可能にする特定のアルゴリズムを含有するソフトウェアにプログラムされる。
【0026】
したがって、選択可能面積を有する開示される不関電極は、リターン電極(不関電極)のインピーダンスの正確な選択を可能するが、これは、RFアブレーション処置又はRF電気焼灼処置、例えば、それぞれ心臓RFアブレーション又は脳血管RF電気焼灼処置の正確性及び安定性、ひいては、有効性及び安全性を改善し得る。
【0027】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、不関電極を含む、カテーテルに基づく心臓アブレーションシステムを模式的に描写した図である。図1には、アブレーションカテーテル22を使用して、患者26に対してユニポーラーアブレーション処置を実施する医師28を図示している。
【0028】
この処置では、医師28はまず、カテーテル22の遠位先端部40を患者26に挿入し、次いで、アブレーションされるべき組織に遠位先端部40を誘導する。例えば、医師は、遠位先端部が患者26の心臓24内に位置する組織と接触するまで、遠位先端部を患者26の血管系を通して前進させることができる。
【0029】
次に、遠位先端部40が組織に接触している間、医師は、遠位先端部40上の1つ又は2つ以上の電極と、被験者の外部に、例えば、被験者の背中に連結された不関(すなわち、中性)電極パッチ30との間に高周波(RF)電流を通す。
【0030】
RF電流を不関電極パッチ30に通す前に、プロセッサ36は、以下に更に記載されるように、アブレーションを最適化するために、電極上でアクティブになる不関電極パッチ30の適切な量の表面積を選択する。
【0031】
典型的には、カテーテル22は、アブレーション電流のパラメータを制御するために医師によって使用される制御部35を含むコンソール34に接続される。特に、医師28による制御部35の操作に応答して、プロセッサ36は、電流を発生させるRF発生器32に適切な命令を出力することによって、アブレーション電流のパラメータを調節する。このように、不関電極パッチ30は、電気切り替え回路機構33を介してRF発生器32に接続され、電気切り替え回路機構33は、ケーブル42を介して、以下に記載される、不関電極30の面積の選択を可能にする。いくつかの実施形態では、システム20はディスプレイ38を更に含み、プロセッサ36は、処置中に医師28に対して関連するアウトプットをディスプレイ38に表示させる。
【0032】
図1に示される特定のタイプの処置にもかかわらず、本明細書に記載される実施形態は、例えば、電気外科用処置などの選択可能面積を有する不関電極を必要とする任意の好適なタイプの処置に適用され得ることに留意されたい。
【0033】
プロセッサ36は、典型的には、汎用コンピュータを含み、このコンピュータは、本明細書に記載される機能を実行するソフトウェアにプログラムされている。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替として、又は更には、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的実体的媒体上で提供及び/若しくは記憶されてもよい。特に、プロセッサ36は、開示されるステップをプロセッサ36が実施することを可能にする、図3に含まれる、本明細書に記載される専用のアルゴリズムを作動させる。
【0034】
選択可能面積を有する不関電極
図2は、本発明の一実施形態による、図1のアブレーションシステム20及び不関電極30の要素の詳細図である。このように、RF発生器32は、カテーテル22の遠位先端部40上のアブレーション電極50と、別のリード線を介してRF発生器32に戻るように接続されたリターン不関電極30と、の間でRF電流を送達する。電極30は、中継部55を含む切り替え回路機構33を介してRF発生器32に接続される。中継部55の個々の中継部は、プロセッサ36によって制御され、プロセッサ36による命令は、制御信号として切り替え回路機構33内で受信される。一実施形態では、電気切り替え回路機構は、RF発生器32からの制御信号を受信する。
【0035】
本例では、不関電極30は、同心幾何学形状で互いに包囲する8つのサブ電極300~307を含む。各サブ電極の面積は、次の内側のサブ電極の面積の2倍である。換言すれば、サブ電極307の面積は、サブ電極306の面積の2倍であり、サブ電極306の面積は、サブ電極305の面積の2倍であり、以降も同様である。
【0036】
ARが不関電極30の最も内側のサブ電極300の面積である場合、1AR~255ARの必要なアクティブ面積に基づいて、プロセッサ36は、8つの中継部55の各々を管理して、不関電極30の8つのそれぞれのリングのうちの1つをRF発生器32に接続するか又は切断する。
【0037】
一実施形態では、所望の面積を2進形式で表すことができる。すなわち、170ARの面積が所望される場合、10進形式の170は、10101010として2進に変換され、これは、配線略図に直接対応する(例えば、この図では、面積128ARの最も外側のリング307が接続され、64ARの面積の次の内側のリング306が切断され、32ARの次の内側のリング305が接続され、16ARの次の内側のリング304が切断され、8ARの面積の次の内側のリング303が接続され、4ARの次の内側のリング302が切断され、2ARの次の内側のリング301が接続され、最も内側の面積AR300が切断される)。
【0038】
図2に示される例示的な図は、単に概念を分かりやすくする目的で選択されたものである。例えば、不関電極30の実際の形状は、矩形のプレート電極をインターリーブすることによって作製された格子を含む構成など、楕円形又は更には非同心であってもよい。しかしながら、各電極が以前の電極のサイズの2倍である、開示される実施形態は、最も多い数の面積を、最も少ない接続を必要とする均一なステップサイズで可能にする。別の例として、中継部を使用する切り替え方法は、例としてもたらされたが、例えば、切り替えダイオードなどの他の切り替えデバイスを使用することができる。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態による、不関電極の面積を選択するための方法及びアルゴリズムを模式的に示すフローチャートである。本実施形態によるアルゴリズムは、プロセッサ36が、インピーダンス判定ステップ52において、不関電極パッチ30の位置に関する最適なRFインピーダンスを判定することで始まるプロセスを実行する。最適なインピーダンスは、例えば、アブレーションカテーテル22の不関電極30と電極50との間で測定されたインピーダンスに基づいて判定される。次に、プロセッサ36は、電極面積選択ステップ54において、専用のアルゴリズムを使用して、アクティブになる不関電極パッチ30の適切な量の表面積を選択する。
【0040】
第1のアブレーションの前に、プロセッサは、不関電極上でアクティブになる適切な量の表面積を選択することができ、これにより、処置開始インピーダンスをより一貫させることができる。医師が、患者の心臓の上に不関電極を直接配置する場合、プロセッサは、アクティブになる小さい面積を選択する。医師が、患者の大腿上に不関電極を配置する場合、プロセッサは、アクティブになる大きい面積を選択する。
【0041】
発生器に応じて、通常許容可能な開始インピーダンスは、50Ω~250Ωの範囲である。臨床的には、典型的な値は、実験室が患者に不関電極を印加する場所に基づいて、上記範囲よりも狭いが、平均して、病院の現場間には依然として>50Ωの差が存在する。患者間には、身体のサイズ、血液伝導度、皮膚伝導度などにより、ある程度の変動も存在し得る。
【0042】
カテーテルが心臓内にあると、プロセッサは、パッチの面積の様々な組み合わせによって、処置のために所望の不関電極開始インピーダンスを選択する。これは、例えば、第1のアブレーションの直前に行われ得る。一実施形態では、発生器は、所与の面積値ARを接続し、インピーダンスを測定し、次いで、面積値255ARを接続し、インピーダンスを再測定する。値間の線形補間は、例えば、133ARを試みるための次の面積についての良好な予測を提供する。2つの極値の133AR間の新しい線形補間の後に、試される新しい値の更なる予測が提供される。数回の試行の中で、プロセッサは、利用可能な255個のオプションの中から最良の選択肢を判定し、したがって、開始インピーダンスの変動を低減させることができるべきである。
【0043】
一実施形態では、プロセッサ36は、処置中にパッチ面積を再選択する。例えば、発生器は、各アブレーションの前にインピーダンスを正規化することを試みることができる。パッチインピーダンスを最適化している間、カテーテルは、より一貫した測定値をもたらすために血液中に浮動しており、そうでなければ、カテーテルが組織に接触している場合、カテーテルが接触していた組織のタイプ、及びどのくらいの表面積が接触していたかは、測定されるインピーダンスを変動させ得る。
【0044】
次に、医師28は、心臓24の内側のカテーテルの接触位置などの調節を含む、患者26の心臓アブレーション治療を開始する。調節は、ステップ52において不関電極面積が最初に選択されたことに基づいて、初期電気設定を変更する。プロセッサ36は、選択された面積の認証ステップ56において、例えば、インピーダンス読み取り値を受信することによって、電気設定を監視する。選択された面積が無効である場合、ステップ52に戻ることによって選択プロセスが繰り返される。選択された面積が有効である場合、アブレーションプロセスは、アブレーション治療が終了するまで、不関電極30の面積などを調節することなく、継続する。
【0045】
図3に示される例示的なフローチャートは、単に概念を明確化する目的のために選ばれたものである。本実施形態はまた、より単純化されたフローチャートを提供するために、本明細書では意図的に本開示から省略されている、潅注を適用することなどの、アルゴリズムの更なるステップを含む。
【0046】
本明細書に記載される実施形態は、主に心臓での用途に焦点を当てているが、本明細書に記載される方法及びシステムを、神経学、耳鼻咽喉科学、腎臓学、及びRFアブレーション又は焼灼用具を利用する一般外科学などの他の用途で使用することもできる。
【0047】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上文に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていない、それらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0048】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
患者の身体上に配置するように構成された不関電極であって、互いに電気絶縁された複数の導電性サブ電極を含む、不関電極と、
前記サブ電極の選択されたサブセットを指定する制御信号を受信し、かつ前記選択されたサブセットを電気的に接続することに応答し、それにより、前記患者の前記身体を通過する電気回路を閉鎖するように構成された電気切り替え回路機構と、
プロセッサであって、
前記不関電極の必要な表面積を判定し、
前記必要な表面積を共に有する前記サブ電極の前記サブセットを選択し、
前記電気切り替え回路機構に命令して、前記サブ電極の前記選択されたサブセットを電気的に接続するように構成されている、プロセッサと、を含む、システム。
(2) 前記プロセッサが、インピーダンス測定値からの指標に基づいて、前記必要な表面積を判定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサが、ユーザーからの入力に基づいて、前記必要な表面積を判定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサが、カテーテルに基づく高周波(RF)アブレーション処置中に、前記不関電極の前記表面積を自動的に調節するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサが、プローブに基づくRF焼灼処置中に、前記不関電極の前記表面積を自動的に調節するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0049】
(6) 前記サブ電極が、同心導電性リングを含む、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記サブ電極が、2進数列を形成するそれぞれの面積を有する、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記制御信号は、それぞれのサブ電極がアクティブになるかどうかを各ビットが指定する2進ワードを含む、実施態様7に記載のシステム。
(9) 方法であって、
患者の身体上に不関電極を配置することであって、前記不関電極が、互いに電気絶縁された複数の導電性サブ電極を含む、配置することと、
前記不関電極の必要な表面積を判定することと、
前記必要な表面積を共に有する前記サブ電極のサブセットを選択することと、
前記サブ電極の前記選択されたサブセットを電気的に接続し、それにより、前記患者の前記身体を通過する電気回路を閉鎖することと、を含む、方法。
(10) 前記必要な表面積を判定することが、インピーダンス測定値からの指標に基づいて、前記必要な表面積を判定することを含む、実施態様9に記載の方法。
【0050】
(11) 前記必要な表面積を判定することが、ユーザーからの入力に基づいて、前記必要な表面積を判定することを含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記必要な表面積を判定することが、カテーテルに基づく高周波(RF)アブレーション処置中に、前記不関電極の前記表面積を自動的に調節することを含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記必要な表面積を判定することが、プローブに基づくRF焼灼処置中に、前記不関電極の前記表面積を自動的に調節することを含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記サブ電極が、同心導電性リングを含む、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記サブ電極が、2進数列を形成するそれぞれの面積を有する、実施態様9に記載の方法。
【0051】
(16) 前記制御信号を受信することは、それぞれのサブ電極がアクティブになるかどうかを各ビットが指定する2進ワードを受信することを含む、実施態様15に記載の方法。
図1
図2
図3